(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025003268
(43)【公開日】2025-01-09
(54)【発明の名称】乾燥食品の製造方法
(51)【国際特許分類】
A23B 2/92 20250101AFI20241226BHJP
A23L 35/00 20160101ALI20241226BHJP
A23L 7/10 20160101ALI20241226BHJP
A23L 7/109 20160101ALN20241226BHJP
【FI】
A23L3/44
A23L35/00
A23L7/10 A
A23L7/109 E
A23L7/109 F
A23L7/109 G
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023199413
(22)【出願日】2023-11-24
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-08-06
(31)【優先権主張番号】P 2023103448
(32)【優先日】2023-06-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】520025220
【氏名又は名称】株式会社パーク
(71)【出願人】
【識別番号】523241519
【氏名又は名称】田嶋 善文
(74)【代理人】
【識別番号】110003890
【氏名又は名称】弁理士法人SIPPs
(72)【発明者】
【氏名】三好 拓朗
(72)【発明者】
【氏名】田嶋 善文
【テーマコード(参考)】
4B022
4B023
4B036
4B046
【Fターム(参考)】
4B022LA01
4B022LB06
4B022LJ06
4B023LC07
4B023LC08
4B023LE03
4B023LE11
4B023LE26
4B023LE30
4B023LG03
4B023LK10
4B023LL01
4B023LP14
4B023LP17
4B036LC04
4B036LE03
4B036LE05
4B036LF01
4B036LF03
4B036LF07
4B036LF15
4B036LF19
4B036LG01
4B036LH12
4B036LH38
4B036LP09
4B046LA06
4B046LB06
4B046LC09
4B046LC11
4B046LC17
4B046LC20
4B046LE15
4B046LE16
4B046LE18
(57)【要約】
【課題】 本発明は、調理が容易で食味が良好な乾燥食品の製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】 本発明は、乾燥具材と、塩を含む調味料とを収容容器に入れることを含み、前記乾燥具材がアルファ化デンプンを含む、乾燥食品の製造方法に関する。好ましくは、本発明は、上記方法において、前記乾燥具材が、アルファ化デンプンを含む第1の乾燥具材と、フリーズドライ製法によって得られた第2の乾燥具材を含む乾燥食品の製造方法に関する。
【選択図】 なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
乾燥具材と、塩を含む調味料とを収容容器に入れることを含み、前記乾燥具材がアルファ化デンプンを含む、乾燥食品の製造方法。
【請求項2】
前記乾燥具材が、アルファ化デンプンを含む第1の乾燥具材と、フリーズドライ製法によって得られた第2の乾燥具材を含む、請求項1に記載の乾燥食品の製造方法。
【請求項3】
前記第2の乾燥具材が、タンパク質食材を含む、請求項2に記載の乾燥食品の製造方法。
【請求項4】
前記第1の乾燥具材100質量部に対して、前記第2の乾燥具材が5質量部~50質量部で含まれる、請求項3に記載の乾燥食品の製造方法。
【請求項5】
前記第1の乾燥具材が、アルファ化米を含む、請求項2に記載の乾燥食品の製造方法。
【請求項6】
前記乾燥具材は、最終的に得られる乾燥食品の総塩分量の50質量%以下の塩分を含み、前記塩を含む調味料は、最終的に得られる乾燥食品の総塩分量の50質量%以上の塩分を含む、請求項1に記載の乾燥食品の製造方法。
【請求項7】
前記乾燥具材は、最終的に得られる乾燥食品の総塩分量の5質量%以上50質量%以下の塩分を含み、前記塩を含む調味料は、最終的に得られる乾燥食品の総塩分量の50質量%以上95質量%以下の塩分を含む、請求項6に記載の乾燥食品の製造方法。
【請求項8】
前記乾燥具材は、アルファ化デンプンを含む第1の乾燥具材と、フリーズドライ製法によって得られた第2の乾燥具材を含み、前記第2の乾燥具材が、乾燥させたソース又はスープを含む、請求項7に記載の乾燥食品の製造方法。
【請求項9】
前記乾燥食品が、登山用の乾燥食品である、請求項1に記載の乾燥食品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乾燥食品の製造方法に関する。特に、本発明は、調理が容易で食味が良好な乾燥食品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
乾燥食品として、熱湯等の液体で復元して喫食するフリーズドライ食品が広く知られている。フリーズドライ食品は、水分を含んだ食品をマイナス30℃程度で急速に凍結し、さらに減圧して真空状態とすることで水分を昇華させて乾燥させて製造される。フリーズドライ食品は、非常に短時間で食品を復元させることができる。
【0003】
例えば、特許文献1は、フリーズドライ食品を開示しており、乾燥性および具材の復元性に優れ、喫食後の廃液が発生し難い乾燥食品を提供できる、としている。
【0004】
また、米の乾燥食品として、アルファ化米が知られている。アルファ化米は、炊いたり蒸したりした米を、熱風で急速乾燥させるエアドライ製法によって製造される。アルファ化米は、生米に含まれ消化されにくいβ-デンプンを、消化されやすいα-デンプンに変化させたものであり、急速に乾燥させることによって、α-デンプンがその状態を維持することができる。アルファ化米は、食味が良好であるものの、熱湯等の液体で復元するのには、フリーズドライ食品よりも時間が掛かる。
【0005】
特許文献2は、アルファ化米等を用いた乾燥穀類加工品を開示しており、長期間保存しても異臭や酸化臭の発生が無く、風味も良好である乾燥穀類加工品を提供できるとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2022-029748号公報
【特許文献2】特開2004-215553号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、調理が容易で食味が良好な乾燥食品の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
1つの実施形態において、本発明は、
乾燥具材と、塩を含む調味料とを収容容器に入れることを含む、乾燥食品の製造方法である。
【0009】
通常、アルファ化米等の乾燥具材を用いた乾燥食品は、調理した食品をそのまま乾燥させてそれを復元して喫食される。本発明者らは、登山用の乾燥食品を開発する中で、通常の製造方法によって得られた乾燥食品では、塩分を多めに加えても食味がはっきりと出ないことに気づいた。
【0010】
そこで本発明者らが検討を重ねたところ、塩を加えて調理した食品をそのまま乾燥させた場合よりも、乾燥させた具材に対して塩を加えて、その後復元させた場合の方が、復元した食品の塩分を鮮やかに感じられ、良好な食味が得られることを見出した。また、塩を含む調味料を減らした状態で乾燥させて乾燥食品を製造し、その乾燥食品を復元した後に調味料を加えた場合には、塩分が強すぎることが分かった。
【0011】
これは、塩分が食品の内部にまで浸透しているか、食品の表面のみに存在しているかによって、舌が感じる塩分に差が出たためと考えられるが、乾燥食品においては、復元させる際に熱湯で煮込んだり、水に浸漬させる時間がある程度必要であるため、本発明の製造方法によって得られた乾燥食品は、それらの工程において、食品の周囲に塩分が適度に存在できるようになり、絶妙な食味が得られるようになったと考えられる。すなわち、本発明では、調理をした食材を乾燥させるのではなく、乾燥させた食材と調味料とを収容容器に入れて、その乾燥食品に水を投入して復元させる際に調理を完成させる。
【0012】
1つの実施形態において、本発明の方法は、乾燥具材が、エアドライ製法による第1の乾燥具材と、フリーズドライ製法によって得られた第2の乾燥具材を含む。
【0013】
また、他の1つの実施形態において、本発明の方法は、エアドライ製法による第1の乾燥具材と、フリーズドライ製法によって得られた第2の乾燥具材とを収容容器に直接入れることを含む、乾燥食品の製造方法である。好ましくは、この実施形態では、第1の乾燥具材及び第2の乾燥具材に加えて、塩を含む調味料をさらに収容容器に入れることを含む。
【0014】
乾燥食品は、通常は、エアドライ製法であればエアドライ製法のみによって、またフリーズドライ製法であればフリーズドライ製法のみによって、調理が終わった食品をそのまま乾燥させて製造されるが、本発明者らは、エアドライ製法によって得られる第1の乾燥具材に、フリーズドライ製法による第2の乾燥具材を組み合わせることで、復元後に食味が良好になることを見出した。
【0015】
1つの実施形態において、本発明の方法は、第2の乾燥具材は、タンパク質食材を含む。
【0016】
上記の方法において、本発明者らは、第2の乾燥具材として、肉類、魚類等のタンパク質食材を用いる場合には特に、フリーズドライ製法によって製造して、それを第1の乾燥具材と混ぜるほうが、復元後に食味が非常に良好になることを見出した。
【0017】
1つの実施形態において、本発明の方法は、第1の乾燥具材100質量部に対して、第2の乾燥具材が5質量部~50質量部で含まれる。
【0018】
主具材となる第1の乾燥具材と、副具材となる第2の乾燥具材が、このような重量比で含む場合には、復元後に食味が非常に良好になるため好ましい。
【0019】
1つの実施形態において、本発明の方法は、第1の乾燥具材が、アルファ化デンプン含有食材、又は米粉、小麦粉、大麦粉、そば粉、とうもろこし粉、ジャガイモ粉、豆粉、片栗粉、葛粉、わらび粉、若しくは蓮根粉を含む食材を含む。
【0020】
第1の乾燥具材が、これらの食材を含む場合、本発明による有利な効果が得られやすい。
【0021】
1つの実施形態において、本発明の方法は、乾燥具材は、最終的に得られる乾燥食品の総塩分量の50質量%以下の塩分を含み、塩を含む調味料は、最終的に得られる乾燥食品の総塩分量の50質量%以上の塩分を含む。また、好ましくは、本発明の方法は、乾燥具材は、最終的に得られる乾燥食品の総塩分量の5質量%以上50質量%以下の塩分を含み、塩を含む調味料は、最終的に得られる乾燥食品の総塩分量の50質量%以上95質量%以下の塩分を含む。
【0022】
この実施形態のように、乾燥具材において塩分を少量だけ添加をして、塩を含む調味料において塩分を分けて添加することも本発明の本質的な特徴であり、このような方法によれば非常に食味の良好な乾燥食品を得ることができる。
【0023】
その実施形態において、本発明の方法は、乾燥具材が、アルファ化デンプンを含む第1の乾燥具材と、フリーズドライ製法によって得られた第2の乾燥具材を含み、第2の乾燥具材が、乾燥させたソース又はスープを含むことができる。
【0024】
乾燥具材と調味料とで塩分を分けて添加する実施形態においては、乾燥させたソース又はスープを第2の乾燥具材として用いることによってさらに食味の良好な乾燥食品を得ることができる。
【0025】
1つの実施形態において、本発明の方法は、登山用の乾燥食品を得る方法である。
【0026】
登山用の乾燥食品は、塩分が鮮やかに感じられることが重要であるため、本発明による有利な効果が得られやすい。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、調理が容易で食味が良好な乾燥食品の製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明の乾燥食品の製造方法は、乾燥具材と、塩を含む調味料とを収容容器に入れることを含む。
【0029】
乾燥具材は、塩を含む調味料と収容容器に入れられる時点ですでに乾燥されている。乾燥具材は、水分を含む具材を乾燥させて得られるものであり、本発明の有利な効果が得られる範囲で水分を含んでいてもよい。
【0030】
乾燥具材としては、本発明の有利な効果が得られる範囲であれば特に限定されない。例えば、乾燥具材としては、アルファ化デンプン含有食材を挙げることができる。本発明で用いられるアルファ化デンプンは、加熱されたことでデンプン分子が規則性を失い、糊状になったデンプンであり、その状態で乾燥したものである。そのような乾燥具材としては、米、小麦、大麦、とうもろこし、ヒエ、キビ、粟等の穀類又はそれを原料とする食材(パン、うどん、パスタ、クスクス等)を急速乾燥させたものを挙げることができる。したがって、乾燥具材は乾燥麺も含むことができるが、本発明の有利な効果が得られるように、典型的にはアルファ化米等の米系乾燥具材である。米系乾燥具材としては、特開2014-158423号公報に記載のような膨化乾燥米を用いることもできる。アルファ化していない穀物類を用いた場合、特に登山用食品等として用いる場合には標高の高い場所では調理の際に湯温が上がりきらずに調理に時間がかかったり、芯が残ったりして食味が良好な乾燥食品とはならない。
【0031】
また、乾燥具材としては、米粉、小麦粉、大麦粉、そば粉、とうもろこし粉、ジャガイモ粉、豆粉、片栗粉、葛粉、わらび粉、若しくは蓮根粉を含む食材を挙げることができる。例えば、米粉麺、ひきわり小麦、パスタ又はショートパスタ、乾燥麺、素麺、乾燥うどん、オートミール、もち麦、押し麦、蕎麦、ポレンタ、コーンミール、レンズ豆(皮あり、皮なし)、ひよこ豆等を挙げることができる。
【0032】
乾燥具材を得るための乾燥方法としては、特に限定されず、エアドライ、真空乾燥、凍結乾燥、ローラー乾燥、高周波乾燥、瞬間油熱乾燥等を用いることができる。但し、好適にはエアドライであり、具体的には、60~100℃の温度で、1~2時間程度の時間、乾燥させることが好ましい。また、乾燥手段としては、例えば、パンド乾燥、棚式乾燥等を挙げることができる。
【0033】
乾燥具材は、エアドライ製法による第1の乾燥具材と、他の乾燥具材を含むことができる。他の乾燥具材としては、特に限定されない。全ての乾燥具材をエアドライ製法によって製造してもよい。ただし、他の乾燥具材として、フリーズドライ製法によって得られた第2の乾燥具材を含むことができる。通常の乾燥食品は、調理を行った後に、それをそのまま乾燥させて製造されるが、エアドライ製法による第1の乾燥具材と、フリーズドライ製法によって得られた第2の乾燥具材とを組み合わせることで、復元させた際の食味が良好になることがわかった。
【0034】
ここで、第2の乾燥具材としては、野菜、肉、魚、エビ等の甲殻類、貝類、卵等の様々な具材を挙げることができるが、典型的には、肉、魚、甲殻類、貝類、卵等のタンパク質食材を挙げることができ、特に肉を挙げることができる。また、第2の乾燥具材として、乾燥させたソース又はスープも挙げることができ、これらを混合したものの乾燥物も挙げることができる。
【0035】
乾燥具材は、第1の乾燥具材100質量部に対して、第2の乾燥具材を、例えば、1質量部以上、3質量部以上、5質量部以上、10質量部以上、15質量部以上、20質量部以上、30質量部以上、又は40質量部以上含まれていてもよく、100質量部以下、80質量部以下、60質量部以下、50質量部以下、30質量部以下、又は20質量部以下で含まれていてもよい。典型的には、乾燥具材は、第1の乾燥具材100質量部に対して、第2の乾燥具材を、3質量部~80質量部、又は5質量部~50質量部の範囲で含むことができる。
【0036】
乾燥具材と共に収容容器に入れられる調味料は、塩を含む。調味料は、その他に胡椒、ハーブ等のスパイス類を含むことができ、粉状であることが好ましい。ただし、本発明の有利な効果が得られる範囲で、調味料は液体を含んでいてもよい。本明細書において、塩は、塩化ナトリウムであるが、イオン化した状態で存在していてもよく、固体状で存在していてもよい。
【0037】
本発明の製造方法によって得られる乾燥食品では、調理をした食材を乾燥させるのではなく、乾燥具材に調味料を加えて復元させることで調理を完成させる。ただし、本発明の有利な効果が得られる限り、乾燥具材にも予め塩分が含まれていてもよい。例えば、第2の乾燥具材が乾燥させたソース又はスープを含む場合に、これらに塩分が含まれていてもよい。ただし、第2の乾燥具材が乾燥させたソース又はスープを含む場合であっても、これらに全く塩分が含まれていなくてもよい。
【0038】
例えば、乾燥具材は、最終的に得られる乾燥食品の総塩分量の3質量%以上、5質量%以上、10質量%以上、20質量%以上、又は30質量%以上、また70質量%以下、50質量%以下、30質量%以下、20質量%以下、又は10質量%以下の塩分を含むことができる。また、塩を含む調味料は、最終的に得られる乾燥食品の総塩分量の30質量%以上、50質量%以上、70質量%以上、80質量%以上、又は90質量%以上の塩分を含むことができ、97質量%以下、95質量%以下、90質量%以下、80質量%以下、70質量%以下、又は50質量%以下の塩分を含むことができる。例えば、乾燥具材に塩分が含まれる場合、塩分が含まれる乾燥具材は、乾燥させたソース又はスープであることができるが、アルファ化デンプンを含む第1の乾燥具材に塩分が含まれていてもよい。
【0039】
乾燥食品が入れられる収容容器は、乾燥食品に用いられる容器であれば特に限定されないが、例えばパウチ状容器、トレー包装容器、カップ包装容器等の様々な容器を用いることができる。
【0040】
ここで、調味料は、乾燥具材と共に一緒に包装されていることが好ましい。カップラーメン等の乾燥食品では、調味料を後で添加するように麺とは別に包装されていることがあるが、本発明の製造方法によって得られる乾燥食品では、調味料は別に包装されていないことが好ましい。調味料を別の包装とした場合には、復元させる際に、調味料を上部からかけることで具材の上部に調味料が偏在しすぎてしまう場合があり、また別の包装となっていることによって、包装体のゴミが生じることになり、これは登山食として乾燥食品を使う場合には、山にゴミを残す可能性がでるため不適切であるためである。
【0041】
本発明の製造方法によって得られる乾燥食品は、例えば水を適量加えて、クッカーで加熱をし、蓋をして10分~20分程度待つことによって復元させることができる。これによって、乾燥具材の周囲に塩分が適度に存在できるようになる。ただし、水を加えて60分程度待つだけでも同様の効果が得られる。
【0042】
本発明の方法によって得られる乾燥食品は、様々な場面で喫食することができ、例えば災害時のための保存用の乾燥食品、登山用の乾燥食品等として用いることができる。この中でも特に、登山用の乾燥食品は、塩分が鮮やかに感じられることが重要であるため、本発明による有利な効果が得られやすいため好ましい。すなわち、本発明は、上記のように得られる乾燥食品を、登山において使用する方法にも関する。
【0043】
本発明の製造方法によって得られる乾燥食品は、かやくごはん、チャーハン、ピラフ、カレーライス、チキンライス、おこわ、リゾット、パスタ等の様々な料理のための乾燥食品とすることができる。
【0044】
本発明を以下の実施例でさらに具体的に説明をするが、本発明はこれによって限定されるものではない。
【実施例0045】
第1の乾燥具材として、70グラムのアルファ化米(希望食品株式会社、商品名:アルファ化米(玄米ご飯))と、第2の乾燥具材として、フリーズドライされた5グラムの肉(深川養鶏農業協同組合、商品名:長州鶏もも肉)及び野菜、シェリー酒、ワイン、生クリーム等で構成されたフリーズドライされた13グラムのソースを、パウチ状の容器に入れて、さらに塩を2グラム入れて、容器をヒートシールした。これにより、復元したときにリゾットとなる実施例1の乾燥食品を得た。
【0046】
復元したときの実施例1のリゾットと、各具材が同じ重量になるようにリゾットを通常に調理をして製造した。これをエアドライ製法によって乾燥させて、比較例1の乾燥食品を得た。
【0047】
塩を入れなかったこと以外は実施例1と同様にして、復元したときにリゾットとなる参考例1の乾燥食品を得た。
【0048】
これらの乾燥食品に、適量の水を加えて、クッカーで加熱をし、沸騰してから蓋をして15分程度待つことによって復元させた。参考例1によるリゾットでは、復元後に、実施例1によるリゾットと塩分量が同じとなるように塩を加えた。
【0049】
これらのリゾットを5人で試食したところ、全員が実施例1のリゾットが最も美味しいと評価をした。また、比較例1のリゾットは、塩味が薄く感じられ、また肉等の具材が実施例1及び参考例1の同じ具材と比較して、美味しくないとの回答であった。
【0050】
また、第1の乾燥具材としてアルファ化米ではなくショートパスタ(ペンネフジッリ)を用いたこと以外は実施例1、参考例1及び比較例1と同様にして、実施例2、参考例2及び比較例2の乾燥食品を製造して、比較したところ、上記実験と同様に、実施例2のパスタが最も美味しいと評価された。
【0051】
さらに、第1の乾燥具材として、ロングパスタ(フェデリーニカペリーニ)、特開平9-191845号に記載のような早茹でタイプのパスタ、生蕎麦(そば粉、小麦粉及びタピオカ粉を含む)、ビーフン、フォー等についても同様の試作を行い、これらを用いても調理が容易で食味が良好な乾燥食品が得られることを確認できた。