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特開2025-32778画像処理装置、画像処理システム、画像処理方法及び制御プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025032778
(43)【公開日】2025-03-12
(54)【発明の名称】画像処理装置、画像処理システム、画像処理方法及び制御プログラム
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/00 20060101AFI20250305BHJP
【FI】
H04N1/00 Z
H04N1/00 350
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023138250
(22)【出願日】2023-08-28
(71)【出願人】
【識別番号】000136136
【氏名又は名称】株式会社PFU
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100180806
【弁理士】
【氏名又は名称】三浦 剛
(72)【発明者】
【氏名】川崎 靖長
(72)【発明者】
【氏名】前田 康隆
【テーマコード(参考)】
5C062
【Fターム(参考)】
5C062AA02
5C062AA05
5C062AB02
5C062AB20
5C062AB23
5C062AB30
5C062AB40
5C062AB42
5C062AC05
5C062AC22
5C062AC58
5C062AE01
5C062AE15
(57)【要約】
【課題】利用者の利便性を向上させることが可能な画像処理装置、画像処理システム、画像処理方法及び制御プログラムを提供する。
【解決手段】画像処理装置は、媒体が撮像された複数の入力画像を取得する取得部と、複数の入力画像の内の特定数の入力画像に対して画像処理を実行する画像処理部と、特定数の入力画像に対する画像処理が不要である度合い又は冗長である度合いが所定の基準を満たす場合、画像処理の省略又は媒体の撮像方法の変更を推奨する旨を利用者に通知する通知部と、を有する。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
媒体が撮像された複数の入力画像を取得する取得部と、
前記複数の入力画像の内の特定数の入力画像に対して画像処理を実行する画像処理部と、
前記特定数の入力画像に対する前記画像処理が不要である度合い又は冗長である度合いが所定の基準を満たす場合、前記画像処理の省略又は媒体の撮像方法の変更を推奨する旨を利用者に通知する通知部と、
を有することを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記通知部は、画像読取装置において、前記特定数の入力画像が生成された後に、撮像処理又は画像処理に関する設定が変更されずに新たな媒体の読取が実行された場合に、前記画像処理の省略又は媒体の撮像方法の変更を推奨する旨を利用者に通知する、請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記取得部は、画像読取装置において載置台にまとめて載置されて順次搬送された媒体が撮像された入力画像を前記特定数の入力画像として取得する、請求項1または2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記画像処理部は、前記複数の入力画像に対して前記画像処理と異なる第2画像処理をさらに実行し、
前記通知部は、前記複数の入力画像に対する前記第2画像処理が完了してから、前記画像処理の省略を推奨する旨を利用者に通知する、請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記画像処理部は、前記複数の入力画像に対して前記画像処理と異なる第2画像処理を、前記画像処理と非同期に、前記画像処理より優先して実行する、請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記通知部は、前記複数の入力画像に対する前記第2画像処理が完了しているか否かに関わらず、前記画像処理の省略を推奨する旨を利用者に通知する、請求項5に記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記画像処理部は、前記入力画像に対して前記画像処理を実行済みであるか否かに関わらず、前記入力画像の特徴情報に基づいて、前記画像処理が不要である度合い又は冗長である度合いを算出する、請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項8】
画像読取装置及び情報処理装置を有する画像処理システムであって、
前記画像読取装置及び前記情報処理装置のうちの何れかが、媒体が撮像された複数の入力画像を取得する取得部を有し、
前記画像読取装置及び前記情報処理装置のうちの何れかが、前記複数の入力画像の内の特定数の入力画像に対して画像処理を実行する画像処理部を有し、
前記画像読取装置及び前記情報処理装置のうちの何れかが、前記特定数の入力画像に対する前記画像処理が不要である度合い又は冗長である度合いが所定の基準を満たす場合、前記画像処理の省略又は媒体の撮像方法の変更を推奨する旨を利用者に通知する通知部を有する、
ことを特徴とする画像処理システム。
【請求項9】
媒体が撮像された複数の入力画像を取得し、
前記複数の入力画像の内の特定数の入力画像に対して画像処理を実行し、
前記特定数の入力画像に対する前記画像処理が不要である度合い又は冗長である度合いが所定の基準を満たす場合、前記画像処理の省略又は媒体の撮像方法の変更を推奨する旨を利用者に通知する、
ことを特徴とする画像処理方法。
【請求項10】
コンピュータの制御プログラムであって、
媒体が撮像された複数の入力画像を取得し、
前記複数の入力画像の内の特定数の入力画像に対して画像処理を実行し、
前記特定数の入力画像に対する前記画像処理が不要である度合い又は冗長である度合いが所定の基準を満たす場合、前記画像処理の省略又は媒体の撮像方法の変更を推奨する旨を利用者に通知する、
ことを前記コンピュータに実行させることを特徴とする制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置、画像処理システム、画像処理方法及び制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、媒体が撮像された画像を処理する画像処理装置が、様々な用途において利用されている。画像処理装置では、画像内の文字、バーコード等の情報が適切に管理されるように、各情報の検出処理等の画像処理を実行することが要求されている。
【0003】
読取画像が白紙画像でない場合に原稿画像について傾き補正処理を実行し、読取画像が白紙画像である場合に原稿画像について傾き補正処理を実行しない画像処理装置が開示されている(特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2015-128288号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
画像処理装置では、利用者の利便性を向上させることが求められている。
【0006】
本発明の目的は、利用者の利便性を向上させることが可能な画像処理装置、画像処理システム、画像処理方法及び制御プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一側面に係る画像処理装置は、媒体が撮像された複数の入力画像を取得する取得部と、複数の入力画像の内の特定数の入力画像に対して画像処理を実行する画像処理部と、特定数の入力画像に対する画像処理が不要である度合い又は冗長である度合いが所定の基準を満たす場合、画像処理の省略又は媒体の撮像方法の変更を推奨する旨を利用者に通知する通知部と、を有する。
【0008】
本発明の一側面に係る画像処理システムは、画像読取装置及び情報処理装置を有する画像処理システムであって、画像読取装置及び情報処理装置のうちの何れかが、媒体が撮像された複数の入力画像を取得する取得部を有し、画像読取装置及び情報処理装置のうちの何れかが、複数の入力画像の内の特定数の入力画像に対して画像処理を実行する画像処理部を有し、画像読取装置及び情報処理装置のうちの何れかが、特定数の入力画像に対する画像処理が不要である度合い又は冗長である度合いが所定の基準を満たす場合、画像処理の省略又は媒体の撮像方法の変更を推奨する旨を利用者に通知する通知部を有する。
【0009】
本発明の一側面に係る画像処理方法は、媒体が撮像された複数の入力画像を取得し、複数の入力画像の内の特定数の入力画像に対して画像処理を実行し、特定数の入力画像に対する画像処理が不要である度合い又は冗長である度合いが所定の基準を満たす場合、画像処理の省略又は媒体の撮像方法の変更を推奨する旨を利用者に通知する。
【0010】
本発明の一側面に係る制御プログラムは、コンピュータの制御プログラムであって、媒体が撮像された複数の入力画像を取得し、複数の入力画像の内の特定数の入力画像に対して画像処理を実行し、特定数の入力画像に対する画像処理が不要である度合い又は冗長である度合いが所定の基準を満たす場合、画像処理の省略又は媒体の撮像方法の変更を推奨する旨を利用者に通知することをコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、画像処理装置、画像処理システム、画像処理方法及び制御プログラムは、利用者の利便性を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】一実施形態に係る画像処理システムの概略構成を示す図である。
図2】一実施形態に係る画像読取装置を示す斜視図である。
図3】一実施形態に係る画像読取装置の内部の搬送経路を説明するための図である。
図4】一実施形態に係る画像読取装置の概略構成を示すブロック図である。
図5】一実施形態に係る第1記憶装置及び第1処理回路の概略構成を示す図である。
図6】一実施形態に係る情報処理装置の概略構成を示すブロック図である。
図7】一実施形態に係る画像読取処理の動作の例を示すフローチャートである。
図8】一実施形態に係る画像読取処理の動作の例を示すフローチャートである。
図9】一実施形態に係る推奨画面の表示データの一例を示す模式図である。
図10】他の実施形態に係る画像読取処理の動作の例を示すフローチャートである。
図11】他の実施形態に係る後処理の動作の例を示すフローチャートである。
図12】他の実施形態に係る後処理の動作の例を示すフローチャートである。
図13】他の実施形態に係る第1処理回路の概略構成を示すブロック図である。
図14】他の実施形態に係る第2記憶装置及び第2処理回路の概略構成を示す図である。
図15】他の実施形態に係る第2処理回路の概略構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の一側面に係る画像処理装置、画像処理システム、画像処理方法及び制御プログラムについて図を参照しつつ説明する。但し、本発明の技術的範囲はそれらの実施の形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された発明とその均等物に及ぶ点に留意されたい。
【0014】
図1は、一実施形態に係る画像処理システムの概略構成を示す図である。
【0015】
図1に示すように、画像処理システム1は、一又は複数の画像読取装置100と、一又は複数の情報処理装置200とを有する。画像読取装置100及び情報処理装置200は、ネットワークNを介して、相互に通信接続されている。ネットワークNは、インターネット、イントラネット等である。画像読取装置100及び情報処理装置200は、画像処理装置の一例である。
【0016】
画像読取装置100は、例えば原稿である媒体を搬送しながら撮像するADF(Auto Document Feeder)タイプのスキャナ装置である。媒体は、用紙、薄紙、厚紙又はカード等である。媒体は、レシート、名刺、請求書、納品書等、様々な種類の媒体を含む。なお、画像読取装置100は、ファクシミリ、複写機、プリンタ複合機(MFP、Multifunction Peripheral)等でもよい。また、画像読取装置100は、媒体を搬送せずに撮像するフラットベッドタイプの装置でもよい。
【0017】
情報処理装置200は、パーソナルコンピュータ、ノート型パーソナルコンピュータ、タブレット型コンピュータ、スマートフォン等である。情報処理装置200は、クラウドネットワークに設けられたサーバでもよい。
【0018】
図2は、一実施形態に係る画像読取装置を示す斜視図である。
【0019】
画像読取装置100は、下側筐体101、上側筐体102、載置台103、排出台104、第1入力装置105、及び第1表示装置106等を備える。
【0020】
上側筐体102は、画像読取装置100の上面を覆う位置に配置され、媒体つまり時、画像読取装置100内部の清掃時等に開閉可能なようにヒンジにより下側筐体101に係合している。
【0021】
載置台103は、搬送される媒体を載置可能に下側筐体101に係合している。排出台104は、排出口から排出された媒体を保持可能に下側筐体101に係合している。
【0022】
第1入力装置105は、ボタン等の入力デバイス及び入力デバイスから信号を取得するインタフェース回路を有し、利用者による入力操作を受け付け、利用者の入力操作に応じた操作信号を出力する。第1表示装置106は、液晶、有機EL(Electro-Luminescence)等を含むディスプレイ及びディスプレイに画像データを出力するインタフェース回路を有し、画像データをディスプレイに表示する。
【0023】
図2において矢印A1は媒体搬送方向を示し、矢印A2は媒体搬送方向と直交する幅方向を示し、矢印A3は媒体搬送方向及び幅方向と直交する高さ方向を示す。以下では、上流とは媒体搬送方向A1の上流のことをいい、下流とは媒体搬送方向A1の下流のことをいう。
【0024】
図3は、一実施形態に係る画像読取装置の内部の搬送経路を説明するための図である。
【0025】
画像読取装置100の内部の搬送経路は、第1媒体センサ111、給送ローラ112、分離ローラ113、第1搬送ローラ114、第2搬送ローラ115、第2媒体センサ116、撮像装置117、第3搬送ローラ118、第4搬送ローラ119等を有している。各ローラの数は一つに限定されず、各ローラの数はそれぞれ複数でもよい。その場合、各ローラは、それぞれ幅方向A2に間隔を空けて並べて配置される。給送ローラ112、分離ローラ113、第1搬送ローラ114、第2搬送ローラ115、第3搬送ローラ118、及び第4搬送ローラ119は、搬送部の一例であり、複数の媒体を順次搬送する。
【0026】
画像読取装置100は、いわゆるストレートパスを有する。下側筐体101の上面は、媒体の搬送路の下側ガイド107aを形成し、上側筐体102の下面は、媒体の搬送路の上側ガイド107bを形成する。
【0027】
第1媒体センサ111は、給送ローラ112及び分離ローラ113より上流側に配置される。第1媒体センサ111は、接触検出センサを有し、載置台103に媒体が載置されているか否かを検出する。第1媒体センサ111は、載置台103に媒体が載置されている状態と載置されていない状態とで信号値が変化する第1媒体信号を生成して出力する。なお、第1媒体センサ111は接触検出センサに限定されず、第1媒体センサ111として、光検知センサ等の、媒体の有無を検出可能な他の任意のセンサが使用されてもよい。
【0028】
給送ローラ112は、下側筐体101に設けられ、載置台103に載置された媒体を下側から順に給送する。分離ローラ113は、いわゆるブレーキローラ又はリタードローラであり、上側筐体102に設けられ、給送ローラ112に対向して配置される。給送ローラ112及び分離ローラ113は、媒体を分離する分離部として機能する。なお、分離ローラ113の代わりに、分離パッドが用いられてもよい。
【0029】
第1搬送ローラ114及び第2搬送ローラ115は、給送ローラ112及び分離ローラ113より下流側に、相互に対向して配置され、給送ローラ112及び分離ローラ113によって給送された媒体を撮像装置117に搬送する。
【0030】
第2媒体センサ116は、第1搬送ローラ114及び第2搬送ローラ115より下流側且つ撮像装置117より上流側に配置され、その位置に搬送された媒体を検出する。第2媒体センサ116は、媒体搬送路に対して一方の側(例えば下側筐体101)に設けられた発光器及び受光器と、媒体搬送路を挟んで発光器及び受光器と対向する位置(例えば上側筐体102)に設けられた導光管とを含む。発光器は、LED(Light Emitting Diode)等であり、媒体搬送路に向けて光を照射する。一方、受光器は、フォトダイオード等であり、発光器により照射され、導光管により導かれた光を受光する。第2媒体センサ116と対向する位置に媒体が存在するときは、発光器から照射された光は媒体により遮られるため、受光器は発光器から照射された光を検出しない。受光器は、受光する光の強度に基づいて、第2媒体センサ116の位置に媒体が存在する状態と存在しない状態とで信号値が変化する第2媒体信号を生成して出力する。第2媒体センサ116の数は複数でもよい。その場合、各第2媒体センサ116は、それぞれ幅方向A2に間隔を空けて並べて配置される。
【0031】
なお、導光管の代わりに、ミラー等の反射部材が使用されてもよい。また、発光器及び受光器は、媒体搬送路を挟んで対向して設けられてもよい。また、第2媒体センサ116は、媒体が接触している場合、又は、媒体が接触していない場合に所定の電流を流す接触検知センサ等により、媒体の存在を検出してもよい。
【0032】
撮像装置117は、撮像部の一例である。撮像装置117は、第1搬送ローラ114及び第2搬送ローラ115より下流側且つ第3搬送ローラ118及び第4搬送ローラ119より上流側に配置される。撮像装置117は、第1撮像装置117a及び第2撮像装置117bを含む。第1撮像装置117a及び第2撮像装置117bは、媒体の搬送路の近傍に、搬送路を挟んで対向して配置される。
【0033】
第1撮像装置117aは、光源、及び、主走査方向に直線状に配列されたCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)による撮像素子を有する等倍光学系タイプのCIS(Contact Image Sensor)によるラインセンサを有する。また、第1撮像装置117aは、撮像素子上に像を結ぶレンズと、撮像素子から出力された電気信号を増幅し、アナログ/デジタル(A/D)変換するA/D変換器とを有する。第1撮像装置117aは、搬送部により順次搬送された媒体の表面を撮像して入力画像を生成し、出力する。
【0034】
同様に、第2撮像装置117bは、光源、及び、主走査方向に直線状に配列されたCMOSによる撮像素子を有する等倍光学系タイプのCISによるラインセンサを有する。また、第2撮像装置117bは、撮像素子上に像を結ぶレンズと、撮像素子から出力された電気信号を増幅し、A/D変換するA/D変換器とを有する。第2撮像装置117bは、搬送部により順次搬送された媒体の裏面を撮像して入力画像を生成し、出力する。
【0035】
画像読取装置100は、第1撮像装置117a及び第2撮像装置117bを一方だけ配置し、媒体の片面だけを読み取ってもよい。また、CMOSによる撮像素子を備える等倍光学系タイプのCISによるラインセンサの代わりに、CCD(Charge Coupled Device)による撮像素子を備える等倍光学系タイプのCISによるラインセンサが利用されてもよい。また、CMOS又はCCDによる撮像素子を備える縮小光学系タイプのラインセンサが利用されてもよい。
【0036】
第3搬送ローラ118及び第4搬送ローラ119は、撮像装置117より下流側に、相互に対向して配置され、第1搬送ローラ114及び第2搬送ローラ115によって搬送された媒体を排出台104上に排出する。
【0037】
載置台103に載置された媒体は、給送ローラ112が図3の矢印A4の方向に回転することによって、下側ガイド107aと上側ガイド107bの間を媒体搬送方向A1に向かって搬送される。分離ローラ113は、媒体搬送時、図3の矢印A5の方向に回転又は停止する。給送ローラ112及び分離ローラ113の働きにより、載置台103に複数の媒体が載置されている場合、載置台103に載置されている媒体のうち給送ローラ112と接触している媒体のみが分離される。これにより、分離された媒体以外の媒体の搬送が制限される(重送の防止)。
【0038】
媒体は、下側ガイド107aと上側ガイド107bによりガイドされながら、第1搬送ローラ114と第2搬送ローラ115の間に送り込まれる。媒体は、第1搬送ローラ114及び第2搬送ローラ115がそれぞれ図3の矢印A6及びA7の方向に回転することによって、第1撮像装置117aと第2撮像装置117bの間に送り込まれる。撮像装置117により読み取られた媒体は、第3搬送ローラ118及び第4搬送ローラ119がそれぞれ図3の矢印A8及びA9の方向に回転することによって排出台104上に排出される。
【0039】
図4は、一実施形態に係る画像読取装置の概略構成を示すブロック図である。
【0040】
画像読取装置100は、前述した構成に加えて、モータ121、第1通信装置122、第1記憶装置130、及び第1処理回路140等をさらに有する。
【0041】
モータ121は、一又は複数のモータを含む。モータ121は、第1処理回路140からの制御信号によって、給送ローラ112、分離ローラ113、第1搬送ローラ114、第2搬送ローラ115、第3搬送ローラ118、及び第4搬送ローラ119を回転させて媒体の搬送動作を行う。なお、第1搬送ローラ114及び第2搬送ローラ115のうちの一方のローラは他方のローラに従動回転する従動ローラでもよい。また、第3搬送ローラ118及び第4搬送ローラ119のうちの一方のローラは、他方のローラに従動回転する従動ローラでもよい。
【0042】
第1通信装置122は、無線信号を送受信するアンテナと、無線LAN(Local Area Network)等の通信プロトコルに従って、無線通信回線を通じて信号の送受信を行うための無線通信インタフェース回路とを有する。第1通信装置122は、情報処理装置200と通信可能であり、第1処理回路140からの指示に従って、情報処理装置200と通信接続して各種の画像及び情報を送受信する。なお、第1通信装置122は、TCP/IP(Transmission Control Protocol/Internet Protocol)等の通信プロトコルに従った有線通信インタフェース回路を有し、ネットワークを介して情報処理装置200と接続されてもよい。また、第1通信装置122は、USB(Universal Serial Bus)等のシリアルバスに準じるインタフェース回路を有し、USBケーブル等の有線ケーブルを介して情報処理装置200と接続されてもよい。
【0043】
第1記憶装置130は、記憶部の一例である。第1記憶装置130は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等のメモリ装置、ハードディスク等の固定ディスク装置、又はフレキシブルディスク、光ディスク等の可搬用の記憶装置等を有する。また、第1記憶装置130には、画像読取装置100の各種処理に用いられるコンピュータプログラム、データベース、テーブル等が格納される。コンピュータプログラムは、コンピュータ読み取り可能な可搬型記録媒体から、公知のセットアッププログラム等を用いて第1記憶装置130にインストールされてもよい。可搬型記録媒体は、例えばCD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)、DVD-ROM(Digital Versatile Disc Read Only Memory)等である。また、コンピュータプログラムは、サーバ等から配信されて第1記憶装置130にインストールされてもよい。
【0044】
第1処理回路140は、予め第1記憶装置130に記憶されているプログラムに基づいて動作する。第1処理回路140は、例えばCPU(Central Processing Unit)である。第1処理回路140として、DSP(digital signal processor)、LSI(large scale integration)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)等が用いられてもよい。
【0045】
第1処理回路140は、第1入力装置105、第1表示装置106、第1媒体センサ111、第2媒体センサ116、撮像装置117、モータ121、第1通信装置122及び第1記憶装置130等と接続され、これらの各部を制御する。第1処理回路140は、モータ121の駆動制御、撮像装置117の撮像制御等を行い、入力画像を取得する。第1処理回路140は、取得した入力画像に対して画像処理を実行するとともに、画像処理が不要又は冗長である度合いを算出する。第1処理回路140は、算出した度合いが所定の基準を満たす場合、画像処理の省略又は媒体の撮像方法の変更を推奨する旨を第1通信装置122又は第1表示装置106に出力し、利用者に通知する。
【0046】
図5は、一実施形態に係る第1記憶装置及び第1処理回路の概略構成を示す図である。
【0047】
図5に示すように、第1記憶装置130には、制御プログラム131、通知プログラム132、取得プログラム133、及び画像処理プログラム134が記憶される。これらの各プログラムは、プロセッサ上で動作するソフトウェアにより実装される機能モジュールである。第1処理回路140は、第1記憶装置130に記憶された各プログラムを読み取り、読み取った各プログラムに従って動作することにより、制御部141、通知部142、取得部143、及び画像処理部144として機能する。
【0048】
図6は、一実施形態に係る情報処理装置の概略構成を示すブロック図である。
【0049】
情報処理装置200は、第2入力装置201、第2表示装置202、第2通信装置203、第2記憶装置210、及び第2処理回路220等を有する。
【0050】
第2入力装置201は、キーボード、マウス等の入力装置及び入力装置から信号を取得するインタフェース回路を有し、利用者の操作に応じた信号を第2処理回路220に出力する。
【0051】
第2表示装置202は、液晶、有機EL等を含むディスプレイ及びディスプレイに画像データを出力するインタフェース回路を有し、第2処理回路220からの指示に従って、各種の情報をディスプレイに表示する。
【0052】
第2通信装置203は、無線信号を送受信するアンテナと、無線LAN等の所定の通信プロトコルに従って無線通信回線を通じて信号の送受信を行うための無線通信インタフェース回路とを有する。第2通信装置203は、画像読取装置100と通信可能であり、第2処理回路220からの指示に従って、画像読取装置100と通信接続して各種の画像及び情報を送受信する。なお、第2通信装置203は、TCP/IP等の通信プロトコルに従った有線通信インタフェース回路を有し、ネットワークを介して画像読取装置100と接続されてもよい。また、第1通信装置122は、USB等のシリアルバスに準じるインタフェース回路を有し、USBケーブル等の有線ケーブルを介して画像読取装置100と接続されてもよい。
【0053】
第2記憶装置210は、記憶部の一例である。第2記憶装置210は、RAM、ROM等のメモリ装置、ハードディスク等の固定ディスク装置、又はフレキシブルディスク、光ディスク等の可搬用の記憶装置等を有する。第2記憶装置210には、情報処理装置200の各種処理に用いられるコンピュータプログラム、データベース、テーブル等が格納される。コンピュータプログラムは、例えばCD-ROM、DVD-ROM等のコンピュータ読み取り可能な可搬型記録媒体から、公知のセットアッププログラム等を用いて第2記憶装置210にインストールされてもよい。また、コンピュータプログラムは、サーバ等から配信されて第2記憶装置210にインストールされてもよい。
【0054】
第2処理回路220は、予め第2記憶装置210に記憶されているプログラムに基づいて動作する。第2処理回路220は、例えばCPUである。なお、第2処理回路220として、DSP、LSI、ASIC、FPGA等が用いられてもよい。
【0055】
第2処理回路220は、第2入力装置201、第2表示装置202、第2通信装置203及び第2記憶装置210等と接続され、これらの各部を制御する。第2処理回路220は、第2通信装置203を介した画像読取装置100とのデータ送受信制御、第2入力装置201の入力制御、第2表示装置202の表示制御等を行う。
【0056】
図7及び図8は、一実施形態に係る画像読取処理の動作の例を示すフローチャートである。
【0057】
以下、図7及び図8に示したフローチャートを参照しつつ、一実施形態に係る画像読取装置の画像読取処理の動作の例を説明する。なお、以下に説明する動作のフローは、予め第1記憶装置130に記憶されているプログラムに基づき主に第1処理回路140により画像読取装置100の各要素と協働して実行される。
【0058】
最初に、制御部141は、利用者により第1入力装置105又は情報処理装置200を用いて媒体の読み取りの指示が入力されて、媒体の読み取りを指示する操作信号を第1入力装置105又は第1通信装置122から受信するまで待機する(ステップS101)。操作信号には、利用者により第1入力装置105又は情報処理装置200を用いて、読み取りの指示とともに指定されたプロファイルが含まれる。プロファイルは、生成される画像の用途又は撮像される媒体の種類等に応じて利用者により設定される、撮像処理、第1画像処理又は第2画像処理に関する設定である。
【0059】
撮像処理に関する設定は、媒体の撮像方法を規定するための設定であり、例えば解像度、読取面等を含む。解像度は、入力画像の解像度の設定であり、解像度の設定値として、150dpi(Dots Per Inch)、200dpi、300dpi、600dpi、1200dpi等が設定される。画像読取装置100は、撮像処理において媒体の搬送速度、撮像装置117の撮像タイミング(時間間隔)、ラインセンサ内でどの位置に配置された撮像素子に撮像させるか等を設定することにより、設定された解像度を有する入力画像を生成することができる。読取面は、媒体の撮像される面の設定であり、読取面の設定値として、片面(表面のみ)、両面等が設定される。
【0060】
第1画像処理は、画像処理の一例であり、一部の入力画像に対して不要又は冗長である可能性がある処理である。第1画像処理は、例えば色判定、向き補正、白紙検出、バーコード認識、OCR(Optical Character Recognition)等を含む。色判定は、入力画像に含まれる色の成分がカラーであるかグレースケールであるか二値であるかを判定し、入力画像内の各画素の階調値を、判定された色成分に応じた値に変換する処理である。向き補正は、入力画像に含まれる媒体の向きが正しく(上向きに)なるように入力画像を回転させる処理である。白紙検出は、入力画像に白紙が含まれるか否かを判定し、白紙が含まれる入力画像を削除する処理である。バーコード認識は、入力画像からバーコードを検出する処理である。OCRは、入力画像に対して文字認識を行う処理である。プロファイルにおいてバーコード認識、又はOCRを実行することが指定される場合、入力画像内でバーコード認識、又はOCRを実行する領域(例えば、全領域、上部領域、中部領域、下部領域等)がさらに指定される。
【0061】
一方、第2画像処理は、第1画像処理と異なる処理であり、全ての入力画像に対して実行される必要がある処理である。第2画像処理は、例えばクロッピング、色調整等を含む。クロッピングは、入力画像から媒体が含まれる領域を切り出す処理である。色調整は、入力画像内の色を調整する処理である。
【0062】
プロファイルにおいて、入力画像を生成するための一もしくは複数の撮像処理に関する設定、及び/又は入力画像に対して実行される一もしくは複数の第1画像処理もしくは第2画像処理が指定される。制御部141は、プロファイルにおいて指定された撮像処理に関する設定、第1画像処理及び第2画像処理を第1記憶装置130に記憶(設定)する。プロファイルには、さらに継続読取の設定が含まれる。継続読取は、載置台103に載置された全ての媒体の読み取りが完了した後に、利用者により新たに載置された媒体を継続して読み取るための設定である。
【0063】
次に、通知部142は、今回の画像読取処理で指定されたプロファイルが前回の画像読取処理で指定されたプロファイルと同一であるか否かを判定する(ステップS102)。今回の画像読取処理で指定されたプロファイルが前回の画像読取処理で指定されたプロファイルと同一でない場合、通知部142は、特に処理を実行せずに、ステップS107へ処理を移行する。
【0064】
一方、今回の画像読取処理で指定されたプロファイルが前回の画像読取処理で指定されたプロファイルと同一である場合、通知部142は、推奨フラグがONであるか否かを判定する(ステップS103)。推奨フラグは、プロファイルにおいて指定可能な第1画像処理又は撮像処理毎に設定される。各推奨フラグの初期値は、OFFに設定される。各推奨フラグは、対応する第1画像処理の省略、又は媒体の撮像方法の変更、即ち撮像処理の設定の変更が推奨される場合に、後述する処理においてONに設定される。今回の画像読取処理で指定されたプロファイルで実行することが指定された全ての第1画像処理について、推奨フラグがOFFである場合、通知部142は、特に処理を実行せずに、ステップS107へ処理を移行する。
【0065】
一方、今回の画像読取処理で指定されたプロファイルで実行することが指定された何れかの第1画像処理について、推奨フラグがONである場合、通知部142は、推奨画面の表示データを生成する。通知部142は、生成した表示データを、第1表示装置106に表示し又は第1通信装置122を介して情報処理装置200に送信することにより出力する(ステップS104)。情報処理装置200は、第2通信装置203を介して画像読取装置100から表示データを受信した場合、受信した表示データを第2表示装置202に表示させる。また、通知部142は、推奨フラグをOFFに設定する。
【0066】
図9は、一実施形態に係る推奨画面の表示データの一例を示す模式図である。
【0067】
図9に示すように、推奨画面の表示データ900には、テキスト901、推奨設定902、現在の設定903、変更ボタン904、終了ボタン905等が含まれる。テキスト901は、第1画像処理の省略、又は媒体の撮像方法の変更を推奨する旨を示す文字列である。推奨設定902、現在の設定903、及び変更ボタン904は、省略が推奨される第1画像処理又は変更が推奨される撮像処理毎に表示される。推奨設定902は、各第1画像処理又は撮像処理において推奨される設定である。現在の設定903は、各第1画像処理又は撮像処理における現在の設定である。変更ボタン904は、各第1画像処理又は撮像処理において、現在の設定を推奨設定に変更するためのボタンである。終了ボタン905は、推奨画面の表示データ900の表示を終了するためのボタンである。
【0068】
次に、通知部142は、第1画像処理の省略又は媒体の撮像方法の変更の指示を受け付けたか否かを判定する(ステップS105)。通知部142は、推奨画面の表示データ900で、利用者により第1入力装置105又は情報処理装置200を用いて何れかの変更ボタン904が押下された状態で終了ボタン905が押下された場合に、第1画像処理の省略又は媒体の撮像方法の変更の指示を受け付ける。通知部142は、押下された変更ボタン904に対応する第1画像処理又は撮像処理の設定を指定する指示信号を第1入力装置105又は第1通信装置122から受信することにより、その第1画像処理の省略又は媒体の撮像方法の変更の指示を受け付ける。一方、通知部142は、推奨画面の表示データ900で、何れの変更ボタン904も押下されていない状態で終了ボタン905が押下された場合、推奨画面の表示データ900の表示の終了指示を受け付ける。通知部142は、終了指示信号を第1入力装置105又は第1通信装置122から受信することにより、推奨画面の表示データ900の表示の終了指示を受け付ける。
【0069】
推奨画面の表示データ900の表示の終了指示を受け付けた場合、通知部142は、推奨画面の表示データ900の表示を終了し、ステップS107へ処理を移行する。通知部142は、推奨画面の表示データ900が情報処理装置200に表示されている場合、推奨画面の表示データ900の表示を終了することを要求する要求信号を、第1通信装置122を介して情報処理装置200に送信する。情報処理装置200は、第2通信装置203を介して画像読取装置100から要求信号を受信した場合、推奨画面の表示データ900の表示を終了する。
【0070】
一方、第1画像処理の省略又は媒体の撮像方法の変更の指示を受け付けた場合、通知部142は、推奨画面の表示データ900の表示を終了する。また、通知部142は、指示信号で指定された各第1画像処理について処理の省略を設定し、又は指示信号で指定された各撮像処理の設定、即ち媒体の撮像方法を変更する(ステップS106)。通知部142は、第1記憶装置130に記憶(設定)された第1画像処理又は撮像処理のうち、指示信号で指定された第1画像処理又は撮像処理の設定を、推奨画面の表示データ900に表示された推奨設定902に変更する。
【0071】
次に、制御部141は、載置台103に媒体が載置されるまで待機する(ステップS107)。制御部141は、第1媒体センサ111から第1媒体信号を取得し、取得した第1媒体信号に基づいて、載置台103に媒体が載置されているか否かを判定する。
【0072】
次に、制御部141は、モータ121を駆動し、給送ローラ112、分離ローラ113、第1搬送ローラ114、第2搬送ローラ115、第3搬送ローラ118及び/又は第4搬送ローラ119を回転させる(ステップS108)。これにより、制御部141は、載置台103に載置された媒体を給送及び搬送させる。制御部141は、ステップS101で取得されたプロファイルに従って入力画像が生成されるように、特にプロファイルで指定された解像度の画像が生成可能な速度で回転するように、モータ121を制御する。ステップS106において撮像処理の設定が変更されている場合、制御部141は、変更された設定に従って入力画像が生成されるようにモータ121を制御する。
【0073】
次に、取得部143は、撮像装置117から、搬送される媒体が撮像された入力画像を取得する(ステップS109)。
【0074】
取得部143は、例えば、第2媒体センサ116から受信する第2媒体信号に基づいて媒体の先端が第2媒体センサ116の位置を通過したか否かを判定する。取得部143は、第2媒体センサ116から定期的に第2媒体信号を取得し、第2媒体信号の信号値が、媒体が存在しないことを示す値から媒体が存在することを示す値に変化したときに、媒体の先端が第2媒体センサ116の位置を通過したと判定する。取得部143は、媒体の先端が第2媒体センサ116の位置を通過した時に、撮像装置117に撮像を開始させる。制御部141は、ステップS101で取得されたプロファイルに従って入力画像が生成されるように撮像装置117を制御する。ステップS106において撮像処理の設定が変更されている場合、制御部141は、変更された設定に従って入力画像が生成されるように撮像装置117を制御する。
【0075】
その後、取得部143は、媒体の後端が撮像装置117の撮像位置を通過した時に、撮像装置117に撮像を終了させる。例えば、取得部143は、第2媒体センサ116から受信する第2媒体信号に基づいて媒体の後端が第2媒体センサ116の位置を通過したか否かを判定する。取得部143は、第2媒体センサ116から定期的に第2媒体信号を取得し、第2媒体信号の信号値が、媒体が存在することを示す値から媒体が存在しないことを示す値に変化したときに、媒体の先端が第2媒体センサ116の位置を通過したと判定する。取得部143は、媒体の後端が第2媒体センサ116の位置を通過してから所定時間が経過した時に媒体の後端が撮像装置117の撮像位置を通過したと判定する。所定時間は、媒体が第2媒体センサ116の位置から撮像位置まで移動するのに要する時間に設定される。
【0076】
取得部143は、撮像装置117が所定ライン分の入力画像を生成するたびに撮像装置117から入力画像を取得し、撮像装置117に撮像を終了させた時に、入力画像を合成する。制御部141は、撮像装置117に撮像を終了させた時に、全ライン分の入力画像をまとめて取得してもよい。
【0077】
次に、画像処理部144は、入力画像に対して第1画像処理及び第2画像処理を実行する(ステップS110)。画像処理部144は、ステップS101で取得されたプロファイルに従って第1画像処理及び第2画像処理を実行する。ステップS106において第1画像処理の省略が設定されている場合、画像処理部144は、省略が設定された各第1画像処理を実行する。即ち、画像処理部144は、省略の指示を受け付けた第1画像処理のうち、不要であると判定された第1画像処理の全部、及び冗長であると判定された第1画像処理の一部については実行しない。
【0078】
実行すべき第1画像処理として色判定が指定されている場合、画像処理部144は、入力画像内の各画素の色値(R値、G値、B値等)の分布に基づいて、入力画像に含まれる色の成分がカラーであるか白黒であるかを判定する。画像処理部144は、入力画像内の各画素の色値の分散値を算出する。画像処理部144は、算出した分散値の平均値が、予め定められた色分散閾値以上である場合、入力画像に含まれる色の成分がカラーであると判定し、分散値が色分散閾値未満である場合、入力画像に含まれる色の成分が白黒であると判定する。色の成分が白黒であると判定した場合、画像処理部144は、入力画像内の各画素の輝度値の分布に基づいて、入力画像に含まれる色の成分がグレースケールであるか二値であるかを判定する。画像処理部144は、入力画像内の各画素の輝度値の分散値を算出する。画像処理部144は、算出した分散値が、予め定められた輝度分散閾値以上である場合、入力画像に含まれる色の成分がグレースケールであると判定し、分散値が輝度分散閾値未満である場合、入力画像に含まれる色の成分が二値であると判定する。画像処理部144は、入力画像内の各画素の階調値を、特定した色の成分を有するように変換する。
【0079】
実行すべき第1画像処理として向き補正が指定されている場合、画像処理部144は、回転処理等の公知の画像処理技術を利用して入力画像を90度ずつ回転させながらOCRを実行する。画像処理部144は、最も多くの文字が検出された入力画像に含まれる媒体の向きが正しい(上向きである)と判定し、媒体の向きが正しくなるように入力画像を回転させる。
【0080】
実行すべき第1画像処理として白紙検出が指定されている場合、画像処理部144は、入力画像内で、隣接する画素との階調値(輝度値又は色値等)の差が予め定められた階調閾値以上であるエッジ画素を抽出する。画像処理部144は、相互に隣接するエッジ画素で囲まれた領域のうちの最大領域を媒体領域として検出する。画像処理部144は、検出した媒体領域に含まれるエッジ画素の数が予め定められた閾値以下であるか否かにより、入力画像に白紙が含まれるか否かを判定する。画像処理部144は、入力画像に白紙が含まれると判定した場合、その入力画像を削除する。
【0081】
実行すべき第1画像処理としてバーコード認識が指定されている場合、画像処理部144は、画像が入力された場合に、画像にバーコードが含まれるか否かを出力するように事前学習された識別器により、画像にバーコードが含まれるか否かを判定する。この識別器は、例えばディープラーニング等により、様々なバーコードを含む複数の画像を用いて事前学習され、予め第1記憶装置130に記憶される。画像処理部144は、入力画像内で指定されたバーコード認識を実行する領域を識別器に入力し、識別器から出力された情報に基づいて、指定された領域にバーコードが含まれるか否かを特定する。
【0082】
実行すべき第1画像処理としてOCRが指定されている場合、画像処理部144は、公知のOCR技術を利用して、入力画像内で指定されたOCRを実行する領域に対して文字認識を行う。
【0083】
実行すべき第2画像処理としてクロッピングが指定されている場合、画像処理部144は、白紙検出の場合と同様にして、入力画像内で媒体領域を検出し、検出した媒体領域を入力画像から切り出す。
【0084】
実行すべき第2画像処理として色調整が指定されている場合、画像処理部144は、入力画像に対して、例えばガンマ補正を実行し、又は平滑化フィルタ、エッジ強調フィルタ等の予め定められたフィルタを適用することにより、色調整を実行する。
【0085】
なお、通知部142は、第1画像処理を実行するたびに、各第1画像処理の実行結果を、第1表示装置106に表示し又は第1通信装置122を介して情報処理装置200に送信することにより出力し、利用者に通知してもよい。その場合、通知部142は、現在までに取得した入力画像の総数、特定された色の成分毎の入力画像の数、向き補正により回転された角度毎の入力画像の数、白紙が含まれる入力画像の数、指定可能な領域毎の、バーコードが検出された入力画像の数、指定可能な領域毎の、文字が検出された入力画像の数等を出力する。これにより、利用者は、各媒体の特徴をリアルタイムに把握することができる。
【0086】
次に、画像処理部144は、実行した各第1画像処理が不要又は冗長であるか否かを判定し、判定結果を第1記憶装置130に記憶する(ステップS111)。
【0087】
色判定について、画像処理部144は、入力画像の色の成分がカラーである場合、入力画像内の各画素の階調値を変換することが不要であると判定し、第1画像処理が不要であると判定する。また、載置台103にまとめて載置されたほとんど全ての媒体の色の成分がグレースケール又は二値の何れかである場合、入力画像に含まれる色の成分を判定せずに、入力画像内の各画素の階調値を固定的にグレースケール又は二値に変換してもよい可能性がある。したがって、画像処理部144は、所定割合以上の入力画像に含まれる色の成分がグレースケール又は二値である場合、入力画像に含まれる色の成分を判定することが不要であると判定し、第1画像処理が冗長であると判定する。
【0088】
向き補正について、画像処理部144は、入力画像を回転させていない状態で媒体の向きが正しい場合、媒体の向きを補正することが不要であると判定し、第1画像処理が不要であると判定する。また、載置台103にまとめて載置されたほとんど全ての媒体について、媒体の向きを正しくするために入力画像を回転させた角度が同一である場合、媒体の向きを検出することなく、入力画像を固定的にその角度だけ回転させてもよい可能性がある。したがって、画像処理部144は、所定割合以上の入力画像を回転させた角度が同一である場合、媒体の向きを検出することが不要であると判定し、第1画像処理が冗長であると判定する。
【0089】
白紙検出について、載置台103にまとめて載置されたほとんど全ての媒体が撮像された各入力画像に白紙が含まれていない場合、白紙が含まれる入力画像を削除しなくてもよい可能性がある。したがって、画像処理部144は、所定割合以上の入力画像に白紙が含まれていない場合、白紙が含まれる入力画像の削除が不要であると判定し、第1画像処理が不要であると判定する。また、載置台103にまとめて載置されたほとんど全ての媒体の一方の面が白紙である場合、媒体の両面が撮像されずに、片面のみが撮像されることにより、白紙が含まれる入力画像を削除しなくてもよい可能性がある。したがって、画像処理部144は、所定割合以上の媒体の一方の面が白紙である場合、白紙が含まれる入力画像の削除が冗長であると判定し、第1画像処理が冗長であると判定する。
【0090】
バーコード認識について、画像処理部144は、入力画像内でバーコードが検出されない場合、バーコードの認識処理が不要であると判定し、第1画像処理が不要であると判定する。また、入力画像内で、指定可能な領域のうち、指定された領域より小さい領域内にのみバーコードが存在する場合、その小さい領域内でのみバーコードを検出すれば十分である。そのため、画像処理部144は、入力画像内で、指定可能な領域のうち、指定された領域より小さい領域内でのみバーコードが検出される場合、第1画像処理が冗長であると判定する。
【0091】
OCRについて、画像処理部144は、入力画像内で検出された文字数が所定数未満である場合、OCR処理が不要であると判定し、第1画像処理が不要であると判定する。所定数は、一以上の任意の数に設定される。また、入力画像内で、指定可能な領域のうち、指定された領域より小さい領域内にのみ、検出すべき文字が存在する場合、その小さい領域内でのみ文字を検出すれば十分である。そのため、画像処理部144は、入力画像内で、指定可能な領域のうち、指定された領域より小さい領域内でのみ所定数以上の文字が検出される場合、第1画像処理が冗長であると判定する。
【0092】
また、OCRについて、大きいサイズの文字のみが存在する場合、又は文字の密度(所定面積あたりの文字数)が小さい場合、入力画像の解像度は低くてもよい可能性がある。そのため、所定サイズ以上の文字のみが存在し、且つ解像度が所定解像度以上である場合、画像処理部144は、高解像度の入力画像に対するOCRが冗長であると判定し、第1画像処理が冗長であると判定する。また、文字の密度が所定密度以下であり、且つ解像度が所定解像度以上である場合、画像処理部144は、高解像度の入力画像に対するOCRが冗長であると判定し、第1画像処理が冗長であると判定する。
【0093】
一方、クロッピング及び色調整は、何れの媒体に対しても実行されるべきである。そのため、クロッピング及び色調整については、画像処理部144は、第1画像処理が不要又は冗長でないと判定する。
【0094】
次に、画像処理部144は、第1画像処理及び第2画像処理が実行された入力画像を、第1通信装置122を介して情報処理装置200に送信することにより出力する(ステップS112)。情報処理装置200は、第2通信装置203を介して画像読取装置100から入力画像を受信した場合、受信した入力画像を第2表示装置202に表示させる。
【0095】
次に、制御部141は、第1媒体センサ111から受信する第1媒体信号に基づいて載置台103に媒体が残っているか否かを判定する(ステップS113)。載置台103に媒体が残っている場合、制御部141は、ステップS109へ処理を戻し、ステップS109~S113の処理を繰り返す。
【0096】
これにより、取得部143は、画像読取装置100において載置台103にまとめて載置されて順次搬送された特定数の媒体が撮像された特定数の入力画像を取得し、画像処理部144は、特定数の入力画像に対して第1画像処理及び第2画像処理を実行する。載置台103にまとめて載置される媒体は、同一種類の媒体である可能性が高く、各媒体が撮像された入力画像は同一の特徴を有する可能性が高い。したがって、画像読取装置100は、載置台103にまとめて載置される媒体が撮像された入力画像を用いることにより、第1画像処理が不要又は冗長であるかを高精度に判定することができる。
【0097】
一方、載置台103に媒体が残っていない場合、制御部141は、モータ121を停止し、給送ローラ112、分離ローラ113、第1搬送ローラ114、第2搬送ローラ115、第3搬送ローラ118及び第4搬送ローラ119を停止させる(ステップS114)。これにより、制御部141は、媒体の搬送を停止させる。
【0098】
次に、画像処理部144は、第1画像処理を実行した特定数の入力画像に対する第1画像処理が不要である不要度合い、及び冗長である冗長度合いを算出する(ステップS115)。画像処理部144は、プロファイルにおいて指定可能な第1画像処理毎に、不要度合い及び冗長度合いを算出する。
【0099】
色判定について、画像処理部144は、第1画像処理が実行された入力画像の数(特定数)に対する、色の成分がカラーである入力画像の数の割合を不要度合いとして算出する。また、画像処理部144は、第1画像処理が実行された入力画像の数(特定数)に対する、色の成分がグレースケールである入力画像の数及び色の成分が二値である入力画像の数のうちの最大数の割合を冗長度合いとして算出する。
【0100】
向き補正について、画像処理部144は、第1画像処理が実行された入力画像の数(特定数)に対する、入力画像を回転させていない状態で媒体の向きが正しい入力画像の数の割合を不要度合いとして算出する。また、画像処理部144は、第1画像処理が実行された入力画像を、媒体の向きを正しくするために入力画像を回転させた角度毎に分類し、同一の角度だけ回転させた入力画像の最大数を特定する。通知部142は、第1画像処理が実行された入力画像の数(特定数)に対する、特定した最大数の割合を冗長度合いとして算出する。
【0101】
白紙検出について、画像処理部144は、第1画像処理が実行された入力画像の数(特定数)に対する、白紙が含まれていない入力画像の数の割合を不要度合いとして算出する。また、画像処理部144は、第1画像処理が実行された入力画像の数(特定数)に対する、媒体の一方の面(特定の面)が白紙である入力画像の数の割合を不要度合いとして算出する。
【0102】
バーコード認識について、画像処理部144は、第1画像処理が実行された入力画像の数(特定数)に対する、バーコードが検出されない入力画像の割合を不要度合いとして算出する。また、画像処理部144は、利用者により指定可能な領域毎に、その領域以外の領域でバーコードが検出されない入力画像の数を計数する。画像処理部144は、計数した入力画像の数が最大である領域を第1対象領域として特定し、第1画像処理が実行された入力画像の数(特定数)に対する、第1対象領域について計数された入力画像の数の割合を冗長度合いとして算出する。
【0103】
OCRについて、画像処理部144は、第1画像処理が実行された入力画像の数(特定数)に対する、所定数以上の文字が検出されない入力画像の割合を不要度合いとして算出する。また、画像処理部144は、利用者により指定可能な領域毎に、その領域以外の領域で所定数以上の文字が検出されない入力画像の数を計数する。画像処理部144は、計数した入力画像の数が最大である領域を第2対象領域として特定し、第1画像処理が実行された入力画像の数(特定数)に対する、第2対象領域について計数された入力画像の数の割合を冗長度合いとして算出する。
【0104】
また、画像処理部144は、所定サイズ以上の文字のみが存在し、且つ解像度が所定解像度以上である入力画像の数、又は、文字の密度が所定密度以下であり、且つ解像度が所定解像度以上である入力画像の数を特定する。画像処理部144は、第1画像処理が実行された入力画像の数(特定数)に対する、特定した入力画像の数の割合を、高解像度の入力画像に対するOCRの冗長度合いとして算出する。
【0105】
なお、通知部142は、上記の各割合に対して、所定の係数を乗算した値、又は所定のオフセットを加算もしくは減算した値を不要度合い又は冗長度合いとして算出してもよい。
【0106】
また、画像処理部144は、第1画像処理の実行結果ではなく、入力画像の特徴情報に基づいて、不要度合い又は冗長度合いを算出してもよい。即ち、画像処理部144は、入力画像に対して第1画像処理を実行済みであるか否かに関わらず、入力画像の特徴情報に基づいて、不要度合い又は冗長度合いを算出してもよい。
【0107】
その場合、色判定について、画像処理部144は、入力画像に含まれる色の成分を特徴情報として検出する。向き補正について、画像処理部144は、入力画像に含まれる媒体の向きを特徴情報として検出する。白紙検出について、画像処理部144は、入力画像に白紙が含まれるか否かを特徴情報として検出する。
【0108】
バーコード認識及びOCRについて、画像処理部144は、例えば白紙検出の場合と同様にして、指定された領域毎にエッジ画素を抽出する。画像処理部144は、各領域に含まれるエッジ画素の数が予め定められた閾値以上であるか否かにより各領域に何らかのオブジェクトが存在するか否かを判定し、各領域に何らかのオブジェクトが存在するか否かを特徴情報として検出する。画像処理部144は、入力画像内にオブジェクトが存在しない場合、第1画像処理が不要であると判定し、入力画像内で、指定可能な領域のうち、指定された領域より小さい領域内にのみオブジェクトが存在する場合、第1画像処理が冗長であると判定する。画像処理部144は、第1画像処理が実行された入力画像の数(特定数)に対する、オブジェクトが存在しない入力画像の割合を不要度合いとして算出する。また、画像処理部144は、利用者により指定可能な領域毎に、その領域以外の領域にオブジェクトが存在しない入力画像の最大数を計数する。画像処理部144は、計数した入力画像の数が最大である領域を対象領域として特定し、第1画像処理が実行された入力画像の数(特定数)に対する、対象領域について計数された入力画像の数の割合を冗長度合いとして算出する。
【0109】
これらにより、画像処理部144は、より簡易に不要度合い又は冗長度合いを算出できる。
【0110】
次に、画像処理部144は、不要度合い又は冗長度合いが所定の基準を満たすか否かを判定する(ステップS116)。画像処理部144は、プロファイルにおいて指定可能な第1画像処理毎に、不要度合い又は冗長度合いが所定の基準を満たすか否かを判定する。
【0111】
画像処理部144は、例えば不要度合いが不要閾値以上である場合、不要度合いが所定の基準を満たすと判定し、不要度合いが不要閾値未満である場合、不要度合いが所定の基準を満たさないと判定する。不要閾値は0より大きく且つ1以下の任意の値に予め設定される。不要閾値が1に設定された場合は、通知部142は、全ての(特定数の)入力画像に対して第1画像処理が不要と判定されたときに、不要度合いが所定の基準を満たすと判定する。不要閾値として、第1画像処理毎に異なる値が設定されてもよい。
【0112】
また、画像処理部144は、例えば冗長度合いが冗長閾値以上である場合、冗長度合いが所定の基準を満たすと判定し、冗長度合いが不要閾値未満である場合、冗長度合いが所定の基準を満たさないと判定する。冗長閾値は0より大きく且つ1以下の任意の値に予め設定される。冗長閾値が1に設定された場合は、画像処理部144は、全ての(特定数の)入力画像に対して第1画像処理が冗長と判定されたときに、冗長度合いが所定の基準を満たすと判定する。冗長閾値として、第1画像処理毎に異なる値が設定されてもよい。
【0113】
全ての第1画像処理について、不要度合い及び冗長度合いが所定の基準を満たさない場合、通知部142は、特に処理を実行せずに、ステップS118へ処理を移行する。
【0114】
一方、何れかの第1画像処理について、不要度合い又は冗長度合いが所定の基準を満たす場合、画像処理部144は、対応する第1画像処理についての推奨フラグをONに設定する(ステップS117)。これにより、同一のプロファイルを用いて、画像読取処理が再実行される場合に、ステップS104において、通知部142は、推奨画面の表示データを出力し、第1画像処理の省略又は媒体の撮像方法の変更を推奨する旨を利用者に通知する。即ち、通知部142は、画像読取装置100において、特定数の入力画像が生成された後に、撮像処理、第1画像処理又は第2画像処理に関する設定が変更されずに新たな媒体の読取が実行された場合に、第1画像処理の省略又は媒体の撮像方法の変更を推奨する旨を利用者に通知する。
【0115】
同一のプロファイルを用いて画像読取処理が実行される場合、同一種類の媒体が撮像される可能性が高い。したがって、先に撮像された媒体について不要又は冗長である第1画像処理は、後から撮像された媒体についても不要又は冗長である可能性が高い。画像読取装置100は、不要度合い又は冗長度合いが所定の基準を満たす場合に、第1画像処理の省略又は媒体の撮像方法の変更を推奨する旨を利用者に通知する。これにより、利用者は、通知された処理を現状通りに実行するか否かを判断することができる。利用者は、通知された処理を現状通りに実行する必要がある場合は処理を変更せず、通知された処理が不要又は冗長である場合は処理を適宜変更して画像読取処理の処理時間を低減させることができる。したがって、画像読取装置100は、利用者の利便性を向上させることができる。
【0116】
通知部142は、各第1画像処理において不要度合いが所定の基準を満たす場合、推奨画面の表示データにおいてその処理をOFFにすることを推奨設定とする。
【0117】
通知部142は、色判定について冗長度合いが所定の基準を満たす場合、推奨画面の表示データにおいて、入力画像内の各画素の階調値を、特定数の入力画像のうち、最も多くの入力画像に含まれる色の成分を有するように固定的に変換することを推奨設定とする。通知部142は、向き補正について冗長度合いが所定の基準を満たす場合、推奨画面の表示データにおいて、特定数の入力画像のうち、最も多くの入力画像を回転させた角度だけ固定的に回転させることを推奨設定とする。通知部142は、白紙検出について冗長度合いが所定の基準を満たす場合、推奨画面の表示データにおいて、読取面を片面にすることを推奨設定とする。
【0118】
通知部142は、バーコード認識について冗長度合いが所定の基準を満たす場合、推奨画面の表示データにおいて、バーコードの検出領域を、上記した第1対象領域に限定することを推奨設定とする。また、通知部142は、OCRについて冗長度合いが所定の基準を満たす場合、推奨画面の表示データにおいて、文字の検出領域を、上記した第2対象領域に限定することを推奨設定とする。また、通知部142は、高解像度の入力画像に対するOCRについて冗長度合いが所定の基準を満たす場合、推奨画面の表示データにおいて、解像度を所定解像度未満とすることを推奨設定とする。
【0119】
次に、制御部141は、ステップS101で取得されたプロファイルにおいて継続読取が有効に設定されているか否かを判定する(ステップS118)。継続読取が有効に設定されている場合、制御部141は、ステップS103へ処理を戻し、ステップS103以降の処理を繰り返す。これにより、推奨フラグがONに設定されている場合、通知部142は、ステップS104において、推奨画面の表示データを出力し、第1画像処理の省略又は媒体の撮像方法の変更を推奨する旨を利用者に通知する。そして、利用者によって新たな媒体が載置台103に載置された場合、継続読取が実行される。一方、継続読取が無効に設定されていた場合、制御部141は、一連のステップを終了する。
【0120】
継続読取が有効に設定されている場合、又は同一のプロファイルを用いて連続して画像読取処理が実行される場合、取得部143は、同一のプロファイルに従って、複数の入力画像を取得する。この場合、画像処理部144は、取得部143により取得された複数の入力画像の内の特定数の入力画像に対して第1画像処理を実行する。通知部142は、第1画像処理が実行された特定数の入力画像に対する不要度合い又は冗長度合いが所定の基準を満たす場合、第1画像処理の省略又は撮像方法の変更を推奨する旨を利用者に通知する。これにより、利用者は、通知された処理を現状通りに実行するか否かを判断することができる。利用者は、通知された処理を現状通りに実行する必要がある場合は処理を変更せず、通知された処理が不要又は冗長である場合は処理を適宜変更して画像読取処理の処理時間を低減させることができる。したがって、画像読取装置100は、利用者の利便性を向上させることができる。
【0121】
なお、画像処理部144は、ステップS115において、不要度合い及び冗長度合いのうちの何れか一方のみを算出し、ステップS116において、不要度合い及び冗長度合いのうちの何れか一方のみについて、所定基準を満たすか否かを判定してもよい。また、画像処理部144は、全ての第1画像処理について不要度合い又は冗長度合いが所定基準を満たすか否かを判定するのでなく、少なくとも一つの第1画像処理について不要度合い又は冗長度合いが所定基準を満たすか否かを判定してもよい。
【0122】
また、通知部142は、継続読取が実行されるか否かに関わらず、第1画像処理の省略又は媒体の撮像方法の変更を推奨する旨を利用者に通知してもよい。その場合、ステップS117において、通知部142は、推奨画面の表示データを出力してもよい。
【0123】
また、通知部142は、画像読取処理が連続して実行されない場合でも、第1画像処理の省略又は媒体の撮像方法の変更を推奨する旨を利用者に通知してもよい。その場合、ステップS117において、通知部142は、推奨フラグをプロファイルと関連付けて第1記憶装置130に記憶する。ステップS102の処理が省略され、ステップS103において、通知部142は、今回の画像読取処理で指定されたプロファイルと関連付けられた推奨フラグがONであるか否かを判定する。その推奨フラグがONである場合、ステップS104において、通知部142は、推奨画面の表示データを表示する。
【0124】
以上詳述したように、画像読取装置100は、特定数の入力画像において特定の第1画像処理が不要又は冗長である場合、第1画像処理の省略又は媒体の撮像方法の変更を利用者に推奨する。これにより、利用者は、その処理を現状通りに実行する必要がある場合は処理を変更せず、その処理が不要又は冗長である場合は処理を適宜変更して画像読取処理の処理時間を低減させることができる。したがって、画像読取装置100は、利用者の利便性を向上させることが可能となった。
【0125】
特に、画像読取装置100は、載置台103にまとめて載置された媒体について第1画像処理が不要又は冗長である場合に、設定が変更されることなく続けて載置台103に載置された媒体に対して第1画像処理の省略又は撮像方法の変更を利用者に推奨する。設定が変更されずに続けて撮像される媒体は、直前に撮像された媒体と同様の特徴を有している可能性が高い。そのため、画像読取装置100は、直前に撮像された媒体の特徴に基づいて、以降に撮像される媒体について不要又は冗長な処理を省略し、画像読取処理の処理時間をより低減させることができる。
【0126】
即ち、画像読取装置100は、同様の特徴を有している媒体が連続して撮像されている途中に画像処理の省略又は撮像方法の変更を利用者に推奨する。これにより、画像読取装置100は、全ての媒体の撮像が完了する前に、設定を適切に変更でき、画像読取処理の処理時間を低減させることができる。
【0127】
また、画像読取装置100は、不要又は冗長な第1画像処理を省略することにより、消費電力の低減を図ることができる。また、画像読取装置100は、不要又は冗長な第1画像処理を省略することにより、生成される入力画像の品質を統一できる。
【0128】
一般に、利用者は、媒体読取処理に多大な時間がかかる場合に、媒体の撮像と、その後の画像処理との何れの影響が大きいかを認識することができない。画像読取装置100は、不要又は冗長な画像処理がある場合に、画像処理の省略を利用者に推奨するため、利用者は、不要又は冗長な画像処理を把握でき、画像処理に対する知識を深めることができる。これにより、利用者は、以後、プロファイルを適切に設定することができ、画像読取装置100は、利用者の利便性を向上させることができる。
【0129】
図10は、他の実施形態に係る画像読取装置の画像読取処理の動作の例を示すフローチャートである。
【0130】
以下、図10に示したフローチャートを参照しつつ、本実施形態に係る画像読取装置の画像読取処理の動作の例を説明する。なお、以下に説明する動作のフローは、予め第1記憶装置130に記憶されているプログラムに基づき主に第1処理回路140により画像読取装置100の各要素と協働して実行される。
【0131】
最初に、制御部141は、図7のステップS101の処理と同様にして、操作信号を受信するまで待機する(ステップS201)。
【0132】
次に、制御部141は、図7のステップS107の処理と同様にして、載置台103に媒体が載置されるまで待機する(ステップS202)。
【0133】
次に、制御部141は、図7のステップS108の処理と同様にして、各ローラを回転させて、載置台103に載置された媒体を給送及び搬送させる(ステップS203)。
【0134】
次に、制御部141は、図7のステップS109の処理と同様にして、撮像装置117から入力画像を取得し、第1記憶装置130に記憶する(ステップS204)。
【0135】
次に、制御部141は、図7のステップS113の処理と同様にして、載置台103に媒体が残っているか否かを判定する(ステップS205)。載置台103に媒体が残っている場合、制御部141は、ステップS201へ処理を戻し、ステップS201~S205の処理を繰り返す。これにより、ステップS204において、取得部143は、媒体が撮像された複数の入力画像を取得する。
【0136】
一方、載置台103に媒体が残っていない場合、制御部141は、ステップS114の処理と同様にして、各ローラを停止させて、媒体の搬送を停止させ(ステップS206)、一連のステップを終了する。
【0137】
図11は、本実施形態に係る画像読取装置の後処理の動作の例を示すフローチャートである。
【0138】
以下、図11に示したフローチャートを参照しつつ、本実施形態に係る画像読取装置の後処理の動作の例を説明する。なお、以下に説明する動作のフローは、予め第1記憶装置130に記憶されているプログラムに基づき主に第1処理回路140により画像読取装置100の各要素と協働して実行される。図11に示したフローチャートは、図10に示したフローチャートと並行して実行される。
【0139】
最初に、画像処理部144は、第1記憶装置130から、図10のステップS204で取得された入力画像のうち、第2画像処理が実行されていない入力画像、即ち第1画像処理及び第2画像処理の何れも実行されていない入力画像を読み出す(ステップS301)。
【0140】
次に、画像処理部144は、現在までに第2画像処理が実行された入力画像、即ち第1画像処理及び第2画像処理の何れかが実行された入力画像の数が特定数以下であるか否かを判定する(ステップS302)。以下では、現在までに第2画像処理が実行された入力画像の数を処理画像数と称する場合がある。
【0141】
処理画像数が特定数以下である場合、画像処理部144は、読み出した入力画像に対して、図10のステップS201で取得されたプロファイルで実行が指示されている全ての第1画像処理及び第2画像処理を実行する(ステップS303)。画像処理部144は、図7のステップS110の処理と同様にして、第1画像処理及び第2画像処理を実行する。また、画像処理部144は、図7のステップS112の処理と同様にして、第1画像処理及び第2画像処理が実行された入力画像を出力する。このように、画像処理部144は、特定数の入力画像に対して第1画像処理及び第2画像処理を連続して実行する。
【0142】
次に、画像処理部144は、図7のステップS111の処理と同様にして、実行した各第1画像処理が不要又は冗長であるか否かを判定し、判定結果を第1記憶装置130に記憶する(ステップS304)。
【0143】
次に、画像処理部144は、ステップS303において第1画像処理及び第2画像処理の実行に要した時間を算出し、第1記憶装置130に記憶する(ステップS305)。
【0144】
次に、画像処理部144は、処理画像数が特定数であるか否かを判定する(ステップS306)。処理画像数が特定数でない場合、即ち処理画像数が特定数未満である場合、画像処理部144は、特に処理を実行せずに、ステップS312へ処理を移行する。
【0145】
一方、処理画像数が特定数である場合、画像処理部144は、特定数の媒体が撮像された入力画像に対する第1画像処理及び第2画像処理の実行に要した時間の合計が、その特定数の媒体の搬送に要した時間の合計以下であるか否かを判定する(ステップS307)。第1画像処理及び第2画像処理の実行に要した時間の合計が、媒体の搬送に要した時間の合計以下である場合、画像処理部144は、現在のペースで第1画像処理を実行しても問題ないと判定し、特に処理を実行せずに、ステップS312へ処理を移行する。
【0146】
一方、第1画像処理及び第2画像処理の実行に要した時間の合計が、媒体の搬送に要した時間の合計より大きい場合、通知部142は、図8のステップS115の処理と同様にして、不要度合い及び冗長度合いを算出する(ステップS308)。
【0147】
次に、通知部142は、図8のステップS116の処理と同様にして、不要度合い又は冗長度合いが所定の基準を満たすか否かを判定する(ステップS309)。不要度合い又は冗長度合いが所定の基準を満たさない場合、通知部142は、特に処理を実行せずに、ステップS312へ処理を移行する。
【0148】
一方、不要度合い又は冗長度合いが所定の基準を満たす場合、通知部142は、不要度合い又は冗長度合いが所定の基準を満たす第1画像処理を、実行が保留される保留画像処理として設定する(ステップS310)。
【0149】
一方、ステップS302で処理画像数が特定数より大きい場合、画像処理部144は、読み出した入力画像に対して、プロファイルで実行が指示されている画像処理のうち、保留画像処理以外の第1画像処理及び第2画像処理を実行する(ステップS311)。画像処理部144は、図7のステップS110の処理と同様にして、保留画像処理以外の第1画像処理及び第2画像処理を実行する。このように、画像処理部144は、特定数の入力画像に対する不要度合い又は冗長度合いが所定の基準を満たす場合、特定数の入力画像以外の入力画像に対して第1画像処理をスキップしつつ第2画像処理を実行する。保留画像処理が設定されていない場合、画像処理部144は、図7のステップS112の処理と同様にして、第1画像処理及び第2画像処理が実行された入力画像を出力する。
【0150】
次に、画像処理部144は、保留画像処理以外の第1画像処理、及び第2画像処理が実行されていない入力画像が残っているか否かを判定する(ステップS312)。画像処理部144は、保留画像処理以外の第1画像処理、及び第2画像処理が実行されていない入力画像が残っている場合、画像処理部144は、ステップS301へ処理を戻し、ステップS301以降の処理を繰り返す。
【0151】
これにより、画像処理部144は、取得部143により取得された複数の入力画像の内の少なくとも特定数の入力画像に対して第1画像処理を実行し、取得部143により取得された複数の入力画像、即ち全ての入力画像に対して第2画像処理を実行する。
【0152】
一方、保留画像処理以外の第1画像処理、及び第2画像処理が実行されていない入力画像が残っていない場合、画像処理部144は、保留画像処理が実行されていない入力画像が存在するか否かを判定する(ステップS313)。保留画像処理が実行されていない入力画像が存在しない場合、画像処理部144は、一連のステップを終了する。
【0153】
一方、保留画像処理が実行されていない入力画像が存在する場合、通知部142は、図7のステップS104の処理と同様にして、推奨画面の表示データを生成し、生成した表示データを出力する(ステップS314)。但し、本実施形態では、第1画像処理と非同期に媒体の撮像が実行されているため、通知部142は、推奨画面の表示データにおいて、媒体の撮像方法の変更については利用者に推奨しない。
【0154】
保留画像処理が実行されていない入力画像が存在する場合、ステップS309において、不要度合い又は冗長度合いが所定の基準を満たすと判定されている。即ち、通知部142は、特定数の入力画像に対する不要度合い又は冗長度合いが所定の基準を満たす場合、第1画像処理の省略を推奨する旨を利用者に通知する。利用者は、通知された第1画像処理が必要である場合は第1画像処理の実行を継続させ、通知された第1画像処理が不要又は冗長である場合はその第1画像処理の一部又は全部を省略させて画像読取処理の処理時間を低減させることができる。したがって、画像読取装置100は、利用者の利便性を向上させることができる。
【0155】
特に、通知部142は、取得部143により取得された複数の入力画像、即ち全ての入力画像に対する第2画像処理が完了してから、第1画像処理の省略を推奨する旨を利用者に通知する。これにより、利用者は、現在までに媒体搬送及び必須の第2画像処理に要した時間を考慮しつつ、不要又は冗長であると判定された第1画像処理を現状通りに実行するか否かを検討することができる。したがって、画像読取装置100は、利用者の利便性をより向上させることができる。
【0156】
また、本実施形態では、画像読取装置100は、第1画像処理が不要又は冗長であるか否かを判定する特定数を予め設定しておくことができる。したがって、画像読取装置100は、多数の入力画像に対して第1画像処理が実行されることを抑制するとともに、第1画像処理が不要又は冗長であるか否かを精度良く判定することができる。
【0157】
次に、通知部142は、図7のステップS105の処理と同様にして、第1画像処理の省略の指示を受け付けたか否かを判定する(ステップS315)。
【0158】
推奨画面の表示データ900の表示の終了指示を受け付けた場合、通知部142は、図7のステップS105の処理と同様にして、推奨画面の表示データ900の表示を終了する。画像処理部144は、保留画像処理が実行されていない各入力画像に対して、保留画像処理を実行し(ステップS316)、一連のステップを終了する。画像処理部144は、図7のステップS110の処理と同様にして、保留画像処理を実行する。また、画像処理部144は、図7のステップS112の処理と同様にして、保留画像処理が実行された入力画像を出力する。
【0159】
一方、第1画像処理の省略の指示を受け付けた場合、通知部142は、図7のステップS106の処理と同様にして、推奨画面の表示データ900の表示を終了するとともに、指示信号で指定された各保留画像処理について処理の省略を設定する。画像処理部144は、保留画像処理が実行されていない各入力画像に対して、処理の省略が設定された各保留画像処理を実行し(ステップS317)、一連のステップを終了する。画像処理部144は、図7のステップS110の処理と同様にして、処理の省略が設定された保留画像処理を実行する。画像処理部144は、省略の指示を受け付けた保留画像処理のうち、不要であると判定された保留画像処理の全部、及び冗長であると判定された保留画像処理の一部については実行しない。また、画像処理部144は、図7のステップS112の処理と同様にして、保留画像処理が実行された入力画像を出力する。
【0160】
なお、ステップS305及びS307の処理は省略されてもよい。
【0161】
以上詳述したように、画像読取装置100は、複数の入力画像に対する第2画像処理が完了してから、第1画像処理の省略を推奨する旨を利用者に通知する場合も、利用者の利便性を向上させることが可能となった。
【0162】
図12は、さらに他の実施形態に係る画像読取装置の後処理の動作の例を示すフローチャートである。
【0163】
以下、図12に示したフローチャートを参照しつつ、本実施形態に係る画像読取装置の後処理の動作の例を説明する。なお、以下に説明する動作のフローは、予め第1記憶装置130に記憶されているプログラムに基づき主に第1処理回路140により画像読取装置100の各要素と協働して実行される。図12に示したフローチャートは、図10に示したフローチャートと並行して、図11に示したフローチャートの代わりに実行される。
【0164】
最初に、画像処理部144は、第1記憶装置130に、図10のステップS204で取得された入力画像のうち、第2画像処理が実行されていない入力画像が残っているか否かを判定する(ステップS401)。
【0165】
第2画像処理が実行されていない入力画像が残っている場合、画像処理部144は、第1記憶装置130から、第2画像処理が実行されていない入力画像を読み出す。画像処理部144は、図7のステップS110の処理と同様にして、読み出した入力画像に対して第2画像処理を実行する(ステップS402)。
【0166】
次に、画像処理部144は、ステップS402において第2画像処理の実行に要した時間を算出し、第1記憶装置130に記憶し(ステップS403)、ステップS407へ処理を移行する。なお、現在までに第1画像処理が実行された入力画像の数が特定数を超えている場合、ステップS403の処理は省略されてもよい。以下では、現在までに第1画像処理が実行された入力画像の数を処理画像数と称する場合がある。
【0167】
一方、ステップS401で第2画像処理が実行されていない入力画像が残っていない場合、画像処理部144は、第1記憶装置130から、第2画像処理が実行済みであり且つ第1画像処理が実行されていない入力画像を読み出す。画像処理部144は、図7のステップS110の処理と同様にして、読み出した入力画像に対して第1画像処理を実行する(ステップS404)。なお、後述するステップS413において第1画像処理について処理の省略が設定されている場合、画像処理部144は、入力画像に対して、処理の省略が設定された各第1画像処理を実行する。即ち、画像処理部144は、省略の指示を受け付けた第1画像処理のうち、不要であると判定された第1画像処理の全部、及び冗長であると判定された第1画像処理の一部については実行しない。また、画像処理部144は、ステップS112の処理と同様にして、第1画像処理及び第2画像処理が実行された入力画像を出力する。
【0168】
このように、画像処理部144は、第2画像処理を、第1画像処理と非同期に、即ち第1画像処理と異なるタイミングで、第1画像処理より優先して実行する。これにより、画像処理部144は、必須の第2画像処理を優先的に実行しつつ、第2画像処理が実行される合間に時間的な余裕がある場合に、媒体の特徴に応じて変化する可能性がある第1画像処理を実行する。したがって、画像読取装置100は、より効率的に各画像処理を実行することができる。利用者は、後述する処理で第1画像処理の省略を推奨する旨が通知されたときに、その時点までに媒体搬送及び必須の第2画像処理に要した時間を考慮しつつ、不要又は冗長であると判定された第1画像処理を現状通りに実行するか否かを検討することができる。したがって、画像読取装置100は、利用者の利便性をより向上させることができる。
【0169】
次に、画像処理部144は、図7のステップS111の処理と同様にして、実行した各第1画像処理が不要又は冗長であるか否かを判定し、判定結果を第1記憶装置130に記憶する(ステップS405)。なお、処理画像数が特定数を超えている場合、ステップS405の処理は省略されてもよい。
【0170】
次に、画像処理部144は、ステップS404において第1画像処理の実行に要した時間を算出し、第1記憶装置130に記憶し(ステップS406)、ステップS407へ処理を移行する。なお、処理画像数が特定数を超えている場合、ステップS406の処理は省略されてもよい。
【0171】
次に、画像処理部144は、処理画像数が特定数以下であるか否かを判定する(ステップS407)。処理画像数が特定数未満である場合、又は処理画像数が特定数を超えている場合、画像処理部144は、特に処理を実行せずに、ステップS414へ処理を移行する。
【0172】
一方、処理画像数が特定数以下である場合、画像処理部144は、特定数の媒体が撮像された入力画像に対する第1画像処理及び第2画像処理の実行に要した時間の合計が、特定数の媒体の搬送に要した時間の合計以下であるか否かを判定する(ステップS408)。画像処理部144は、ステップS402で現在までに算出された第2画像処理の実行に要した時間の平均値に特定数を乗算することにより、特定数の媒体が撮像された入力画像に対する第2画像処理の実行に要した時間の合計を算出する。また、画像処理部144は、現在までに搬送された媒体について媒体の搬送に要した時間の平均値に特定数を乗算することにより、特定数の媒体の搬送に要した時間の合計を算出する。第1画像処理及び第2画像処理の実行に要した時間の合計が、媒体の搬送に要した時間の合計以下である場合、画像処理部144は、現在のペースで第1画像処理を実行しても問題ないと判定し、特に処理を実行せずに、ステップS414へ処理を移行する。
【0173】
一方、第1画像処理及び第2画像処理の実行に要した時間の合計が、媒体の搬送に要した時間の合計より大きい場合、通知部142は、図8のステップS115の処理と同様にして、不要度合い及び冗長度合いを算出する(ステップS409)。
【0174】
次に、通知部142は、図8のステップS116の処理と同様にして、不要度合い又は冗長度合いが所定の基準を満たすか否かを判定する(ステップS410)。不要度合い又は冗長度合いが所定の基準を満たさない場合、通知部142は、特に処理を実行せずに、ステップS414へ処理を移行する。
【0175】
一方、不要度合い又は冗長度合いが所定の基準を満たす場合、通知部142は、通知部142は、図7のステップS104の処理と同様にして、推奨画面の表示データを生成し、生成した表示データを出力する(ステップS411)。但し、本実施形態では、第1画像処理と非同期に媒体の撮像が実行されているため、通知部142は、推奨画面の表示データにおいて、媒体の撮像方法の変更については利用者に推奨しない。
【0176】
このように、通知部142は、特定数の入力画像に対する不要度合い又は冗長度合いが所定の基準を満たす場合、第1画像処理の省略を推奨する旨を利用者に通知する。利用者は、通知された第1画像処理が必要である場合は第1画像処理の実行を継続させ、通知された第1画像処理が不要又は冗長である場合はその第1画像処理の一部又は全部を省略させて画像読取処理の処理時間を低減させることができる。したがって、画像読取装置100は、利用者の利便性を向上させることができる。
【0177】
特に、通知部142は、取得部143により取得された複数の入力画像に対して、第2画像処理を、第1画像処理と非同期に、即ち第1画像処理と異なるタイミングで、実行する。通知部142は、特定数の入力画像に対する第1画像処理が完了した時点で、特定数の入力画像に対する不要度合い又は冗長度合いが所定の基準を満たす場合、第1画像処理の省略を推奨する旨を利用者に通知する。これにより、画像読取装置100は、第1画像処理を第2画像処理と非同期に実行しつつ、第1画像処理が不要又は冗長であるかを判定するのに適した数だけ第1画像処理を実行した後に、第1画像処理が不要又は冗長であるかを判定することができる。したがって、画像読取装置100は、各画像処理を効率良く実行しつつ、適切なタイミングで第1画像処理が不要又は冗長であるかを判定することができる。
【0178】
また、通知部142は、取得部143により取得された複数の入力画像に対する第2画像処理が完了しているか否かに関わらず、第1画像処理の省略を推奨する旨を利用者に通知する。これにより、画像読取装置100は、各画像処理を効率良く実行しつつ、適切なタイミングで、第1画像処理が不要又は冗長であるかを判定することができる。
【0179】
また、本実施形態では、画像読取装置100は、第1画像処理が不要又は冗長であるか否かを判定する特定数を予め設定しておくことができる。したがって、画像読取装置100は、多数の入力画像に対して第1画像処理が実行されることを抑制するとともに、第1画像処理が不要又は冗長であるか否かを精度良く判定できる。
【0180】
次に、通知部142は、図7のステップS105の処理と同様にして、第1画像処理の省略の指示を受け付けたか否かを判定する(ステップS412)。推奨画面の表示データ900の表示の終了指示を受け付けた場合、通知部142は、図7のステップS105の処理と同様にして、推奨画面の表示データ900の表示を終了し、ステップS414へ処理を移行する。
【0181】
一方、第1画像処理の省略の指示を受け付けた場合、通知部142は、図7のステップS106の処理と同様にして、推奨画面の表示データ900の表示を終了する。そして、通知部142は、指示信号で指定された各第1画像処理について、処理の省略を設定する(ステップS413)。
【0182】
次に、画像処理部144は、不要であると判定された第1画像処理以外の第1画像処理、及び第2画像処理が実行されていない入力画像が残っているか否かを判定する(ステップS414)。不要であると判定された第1画像処理以外の第1画像処理、及び第2画像処理が実行されていない入力画像が残っている場合、画像処理部144は、ステップS401へ処理を戻し、ステップS401以降の処理を繰り返す。
【0183】
これにより、画像処理部144は、取得部143により取得された複数の入力画像の内の少なくとも特定数の入力画像に対して第1画像処理を実行し、取得部143により取得された複数の入力画像、即ち全ての入力画像に対して第2画像処理を実行する。一方、不要であると判定された第1画像処理以外の第1画像処理、及び第2画像処理が実行されていない入力画像が残っていない場合、画像処理部144は、一連のステップを終了する。
【0184】
なお、図7のステップS115で説明したように、画像処理部144は、ステップS409において、第1画像処理の実行結果ではなく、入力画像の特徴情報に基づいて、不要度合い又は冗長度合いを算出してもよい。即ち、画像処理部144は、入力画像に対して第1画像処理を実行済みであるか否かに関わらず、入力画像の特徴情報に基づいて、不要度合い又は冗長度合いを算出してもよい。その場合、例えば、画像処理部144は、ステップS402において、第2画像処理を実行するとともに、入力画像の特徴情報を検出する。画像処理部144は、ステップS407において、現在までに特徴情報が検出された入力画像の数が特定数であるか否かを判定し、現在までに特徴情報が検出された入力画像の数が特定数である場合、ステップS408へ処理を移行する。
【0185】
これにより、画像処理部144は、特定数の入力画像に対して第1画像処理を実行することなく、第1画像処理が不要又は冗長であるかを判定できる。その結果、画像処理部144は、特定数の入力画像に対して第1画像処理を実行しなくてもよく、媒体読取に要する時間をより低減させることができる。
【0186】
また、画像処理部144は、第1画像処理を、第2画像処理とは別のタスクで実行してもよい。また、ステップS403、S406及びS408の処理は省略されてもよい。
【0187】
以上詳述したように、画像読取装置100は、第1画像処理と非同期に第2画像処理を実行しつつ第1画像処理の省略を推奨する旨を利用者に通知する場合も、画像読取装置100は、利用者の利便性を向上させることが可能となった。
【0188】
図13は、他の実施形態に係る画像読取装置における第1処理回路340の概略構成を示すブロック図である。
【0189】
第1処理回路340は、第1処理回路140の代わりに用いられ、画像読取処理等を実行する。第1処理回路340は、制御回路341、通知回路342、取得回路343、及び画像処理回路344等を有する。
【0190】
制御回路341は、制御部の一例であり、制御部141と同様の機能を有する。制御回路341は、第1入力装置105又は第1通信装置122から操作信号を、第1媒体センサ111から第1媒体信号を、第2媒体センサ116から第2媒体信号を受信する。制御回路341は、受信した各信号に基づいて、モータ121を制御する。
【0191】
通知回路342は、通知部の一例であり、通知部142と同様の機能を有する。通知回路342は、第1記憶装置130から不要度合い又は冗長度合いを読み出し、読み出した各情報に基づいて推奨画面の表示データを生成し、第1表示装置106又は第1通信装置122に出力する。
【0192】
取得回路343は、取得部の一例であり、取得部143と同様の機能を有する。取得回路343は、撮像装置117から入力画像を取得し、第1記憶装置130に記憶する。
【0193】
画像処理回路344は、画像処理部の一例であり、画像処理部144と同様の機能を有する。画像処理回路344は、第1記憶装置130から入力画像を読み出し、第1画像処理及び第2画像処理を実行するとともに、不要度合い又は冗長度合いを算出し、第1記憶装置130に記憶する。また、画像処理回路344は、入力画像を第1通信装置122に出力する。
【0194】
以上詳述したように、画像読取装置は、第1処理回路340を用いる場合も、利用者の利便性を向上させることが可能となった。
【0195】
図14は、さらに他の実施形態に係る情報処理装置における第2記憶装置410及び第2処理回路420の概略構成を示す図である。
【0196】
図14に示すように、第2記憶装置410には、制御プログラム411、通知プログラム412、取得プログラム413、及び画像処理プログラム414が記憶される。これらの各プログラムは、プロセッサ上で動作するソフトウェアにより実装される機能モジュールである。第2処理回路420は、第1記憶装置130に記憶された各プログラムを読み取り、読み取った各プログラムに従って動作することにより、制御部421、通知部422、取得部423、及び画像処理部424として機能する。
【0197】
制御部421、通知部422、取得部423、及び画像処理部424は、それぞれ画像読取装置100の制御部141、通知部142、取得部143、及び画像処理部144と同様の機能を有する。第2記憶装置410は、第1記憶装置130が記憶する各データを記憶する。図7及び図8の画像読取処理のステップS101~S106、S108~S112、S114~S118の処理、図10の画像読取処理のステップS201、S203~S204、S206の処理、図11の後処理のステップS301~S317の処理、並びに図12の後処理のステップS401~S414の処理は、制御部421、通知部422、取得部423、及び画像処理部424により実行される。
【0198】
ステップS101、S201において、制御部421は、利用者により第2入力装置201を用いて媒体の読み取りの指示が入力されて操作信号を第2入力装置201から受信するまで待機する。制御部421は、受信した操作信号を、第2通信装置203を介して画像読取装置100に送信する。
【0199】
ステップS104、S314、S414において、通知部422は、推奨画面の表示データを、第2表示装置202に表示することにより出力する。
【0200】
ステップS105、S315、S412において、通知部142は、指示信号を第2入力装置201から受信することにより、第1画像処理の省略又は媒体の撮像方法の変更の指示を受け付ける。
【0201】
ステップS106、S317、S413において、通知部142は、第2記憶装置410に記憶された各情報を変更することにより、第1画像処理の省略を設定し、又は媒体の撮像方法を変更する。
【0202】
ステップS108、S203において、制御部421は、モータ121を駆動させることを要求する要求信号を、第2通信装置203を介して画像読取装置100に送信する。画像読取装置100の制御部141は、第1通信装置122を介して情報処理装置200から要求信号を受信し、受信した要求信号に従ってモータ121を駆動させる。これにより、制御部421は、媒体を給送及び搬送させる。
【0203】
ステップS109、S204において、取得部143は、入力画像を、第1通信装置122を介して情報処理装置200に送信する。取得部423は、第2通信装置203を介して画像読取装置100から入力画像を受信することにより取得し、第2記憶装置410に記憶する。
【0204】
ステップS112、S303、S311、S316、S317、S404において、画像処理部424は、入力画像を第2表示装置202に表示することにより出力する。
【0205】
ステップS114、S206において、制御部421は、モータ121を停止させることを要求する要求信号を、第2通信装置203を介して画像読取装置100に送信する。画像読取装置100の制御部141は、第1通信装置122を介して情報処理装置200から要求信号を受信し、受信した要求信号に従ってモータ121を停止させる。これにより、制御部421は、入力画像を生成した画像読取装置100による画像生成処理を停止させる。
【0206】
ステップS301において、画像処理部144は、第2記憶装置210から入力画像を読み出す。
【0207】
なお、上記において情報処理装置の各部により実行される各処理のうちの一部は、画像読取装置の対応する各部により実行されてもよい。
【0208】
以上詳述したように、画像処理システムは、情報処理装置が画像読取処理及び後処理の一部を実行する場合も、利用者の利便性を向上させることが可能となった。
【0209】
図15は、さらに他の実施形態に係る情報処理装置における第2処理回路520の概略構成を示すブロック図である。
【0210】
第2処理回路520は、第2処理回路420の代わりに用いられ、画像読取処理等を実行する。第2処理回路520は、制御回路521、通知回路522、取得回路523、及び画像処理回路524等を有する。
【0211】
制御回路521は、制御部の一例であり、制御部421と同様の機能を有する。制御回路521は、第2入力装置201から操作信号を受信し、受信した操作信号を第2通信装置203に出力する。
【0212】
通知回路522は、通知部の一例であり、通知部422と同様の機能を有する。通知回路522は、第2記憶装置210から不要度合い又は冗長度合いを読み出し、読み出した各情報に基づいて推奨画面の表示データを生成し、第2表示装置202に出力する。
【0213】
取得回路523は、取得部の一例であり、取得部423と同様の機能を有する。取得回路523は、第2通信装置203から入力画像を受信し、第2記憶装置210に記憶する。
【0214】
画像処理回路524は、画像処理部の一例であり、画像処理部424と同様の機能を有する。画像処理回路524は、第2記憶装置210から入力画像を読み出し、第1画像処理及び第2画像処理を実行するとともに、不要度合い又は冗長度合いを算出し、第2記憶装置210に記憶する。また、画像処理回路524は、入力画像を第2表示装置202に出力する。
【0215】
以上詳述したように、情報処理装置は、第2処理回路520を用いる場合も、利用者の利便性を向上させることが可能となった。
【0216】
以上、好適な実施形態について説明してきたが、実施形態はこれらに限定されない。例えば、通知部142は、不要度合い又は冗長度合いが所定の基準を満たす場合、第1画像処理の省略、又は媒体の撮像方法の変更を推奨する旨を利用者に通知せずに、第1画像処理の省略を設定し、又は媒体の撮像方法を変更してもよい。
【0217】
また、画像読取装置は、いわゆるUターンパスを有し、載置台に載置された媒体を上側から順に給送及び搬送し、排出台に排出してもよい。
【符号の説明】
【0218】
1 画像処理システム、100 画像読取装置、130 第1記憶装置、141、421 制御部、142、422 通知部、143、423 取得部、144、424 画像処理部、200 情報処理装置、210 第2記憶装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15