(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025032898
(43)【公開日】2025-03-12
(54)【発明の名称】センサ、測定システム、測定方法、液体量の提示方法、及びスポンジの製造方法
(51)【国際特許分類】
G01N 33/50 20060101AFI20250305BHJP
A61B 5/00 20060101ALI20250305BHJP
G01N 1/10 20060101ALI20250305BHJP
G01N 37/00 20060101ALI20250305BHJP
G01N 35/08 20060101ALI20250305BHJP
【FI】
G01N33/50 X
A61B5/00 N
G01N1/10 V
G01N37/00 101
G01N35/08 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】25
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023138410
(22)【出願日】2023-08-28
(71)【出願人】
【識別番号】504171134
【氏名又は名称】国立大学法人 筑波大学
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】辻村 清也
(72)【発明者】
【氏名】丁 翰林
【テーマコード(参考)】
2G045
2G052
2G058
4C117
【Fターム(参考)】
2G045AA25
2G045CB12
2G052AA29
2G052DA09
2G052EB08
2G052EB09
2G052GA23
2G058DA07
2G058GA11
4C117XD16
4C117XE06
(57)【要約】
【課題】生物から排出された液体に関する物理量を精度良く検出することができるセンサ、測定システム、測定方法、液体量の提示方法、及びスポンジの製造方法を提供する。
【解決手段】センサ(10)は、生物から排出された液体が気化することにより生じた蒸気を取り込む取込口(24)を有する基材(12)と、前記取込口(24)と連通するマイクロチャネル(26)を有するマイクロチャネル部材(16)と、前記マイクロチャネル(26)に充填され、親水性及び吸湿性を有しており、前記蒸気を吸収して前記蒸気から変化した前記液体を保持するスポンジ(18)と、前記スポンジ(18)によって保持された前記液体に関する物理量を検出する検出部(48)とを備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
生物から排出された液体が気化することにより生じた蒸気を取り込む取込口を有する基材と、
前記取込口と連通するマイクロチャネルを有するマイクロチャネル部材と、
前記マイクロチャネルに充填され、親水性及び吸湿性を有しており、前記蒸気を吸収して前記蒸気から変化した前記液体を保持するスポンジと、
前記スポンジによって保持された前記液体に関する物理量を検出する検出部とを備える
センサ。
【請求項2】
前記生物は、人又は動物であり、
前記液体は、汗である
請求項1に記載のセンサ。
【請求項3】
前記スポンジは、天然生物を用いて生成されたバイオスポンジである
請求項1に記載のセンサ。
【請求項4】
前記天然生物は、真菌である
請求項3に記載のセンサ。
【請求項5】
前記スポンジは、前記真菌から得られたキチンをキトサンに分解し、前記キトサンに添加物と溶液とを混合してゲル状の混合物を生成する生成工程と、前記混合物を攪拌する攪拌工程と、前記混合物を凍結することにより内部骨格を有する中間生成物を得る凍結工程と、前記中間生成物を解凍する解凍工程と、前記中間生成物を架橋する架橋工程とを経て製造されたものである
請求項4に記載のセンサ。
【請求項6】
前記凍結工程、前記解凍工程、及び前記架橋工程は、前記混合物を前記マイクロチャネルに充填した状態で行われる工程である
請求項5に記載のセンサ。
【請求項7】
前記マイクロチャネル部材は、前記取込口と連通する連通穴と、前記連通穴を介して前記取込口と連通する前記マイクロチャネルとを有し、
前記マイクロチャネルは、前記連通穴を中心に同心状に配置された複数の円弧溝を有する一筆書き状に形成されている
請求項1に記載のセンサ。
【請求項8】
前記スポンジは、前記連通穴に充填される中心部と、前記中心部を中心に同心状に配置され、前記複数の円弧溝に充填される複数の円弧部とを有する一筆書き状に形成されている
請求項7に記載のセンサ。
【請求項9】
前記中心部には、水溶性を有する色素が含有されている
請求項8に記載のセンサ。
【請求項10】
前記検出部は、前記液体の成分の濃度を前記物理量として検出する濃度検出部を有し、
前記濃度検出部は、濃度センサを有し、
前記スポンジは、前記濃度センサと重なる重複部を有する
請求項8に記載のセンサ。
【請求項11】
前記重複部は、前記スポンジの経路上における前記複数の円弧部よりも前記中心部の側に位置する
請求項10に記載のセンサ。
【請求項12】
前記検出部は、前記液体の量を前記物理量として検出する量検出部を有する
請求項1に記載のセンサ。
【請求項13】
前記量検出部は、第1電極部と、第2電極部とを有する
請求項12に記載のセンサ。
【請求項14】
前記スポンジは、前記取込口と重なる中心部と、前記中心部を中心に同心状に配置された複数の円弧部とを有する一筆書き状に形成されており、
前記第1電極部は、前記取込口に沿って円弧状に延びる第1円弧部と、前記第1円弧部から前記第1円弧部の径方向外側へ延びる複数の第1径方向部とを有し、
前記第2電極部は、前記スポンジの外周部に沿って円弧状に延びる第2円弧部と、前記第2円弧部から前記第2円弧部の径方向内側へ延びる複数の第2径方向部とを有し、
前記第1径方向部と前記第2径方向部とは、前記取込口の周方向に交互に並んでおり、かつ前記複数の円弧部と重なっている
請求項13に記載のセンサ。
【請求項15】
前記検出部は、前記液体の成分の濃度を前記物理量として検出する濃度検出部を有する
請求項1に記載のセンサ。
【請求項16】
前記濃度検出部は、水素イオンの濃度を検出する水素イオン濃度センサ、電解質の濃度を検出する電解質濃度センサ、代謝物の濃度を検出する代謝物濃度センサ、及び特定の成分の濃度を検出する成分濃度センサのうちの少なくとも一つの濃度センサを有する
請求項15に記載のセンサ。
【請求項17】
前記スポンジは、前記取込口と重なる中心部と、前記中心部を中心に同心状に配置された複数の円弧部とを有する一筆書き状に形成されており、
前記検出部は、前記液体の量を前記物理量として検出する量検出部を有し、
前記量検出部は、第1電極部と、第2電極部とを有し、
前記第1電極部は、前記取込口に沿って円弧状に延びる第1円弧部と、前記第1円弧部から前記第1円弧部の径方向外側へ延びる複数の第1径方向部とを有し、
前記第2電極部は、前記スポンジの外周部に沿って円弧状に延びる第2円弧部と、前記第2円弧部から前記第2円弧部の径方向内側へ延びる複数の第2径方向部とを有し、
前記第1径方向部と前記第2径方向部とは、前記取込口の周方向に交互に並んでおり、かつ前記複数の円弧部と重なっており、
前記濃度センサは、前記複数の第1径方向部及び前記複数の第2径方向部のうち隣り合う一対の径方向部と、前記第1円弧部とによって囲われた領域に配置されている
請求項16に記載のセンサ。
【請求項18】
前記第1電極部は、前記取込口とは反対側に直線状に延びる第1導体部を有し、
前記第2電極部は、前記取込口とは反対側に直線状に延びる第2導体部を有し、
前記濃度検出部は、前記濃度センサと接続されるセンサ接続部と、前記センサ接続部から前記取込口とは反対側に直線状に延びる第3導体部とを有し、
前記一対の径方向部は、前記複数の第1径方向部及び前記複数の第2径方向部のうち前記第1導体部及び前記第2導体部の側に配置された径方向部であり、
前記第3導体部は、前記第1導体部と前記第2導体部との間に配置されている
請求項17に記載のセンサ。
【請求項19】
請求項1に記載のセンサと、
前記センサに接続される測定装置とを備える
測定システム。
【請求項20】
前記スポンジは、前記取込口と重なる中心部と、前記中心部を中心に同心状に配置された複数の円弧部とを有する一筆書き状に形成されており、
前記検出部は、前記液体の量を前記物理量として検出する量検出部を有し、
前記量検出部は、第1電極部と、第2電極部とを有し、
前記第1電極部は、前記取込口に沿って円弧状に延びる第1円弧部と、前記第1円弧部から前記第1円弧部の径方向外側へ延びる複数の第1径方向部とを有し、
前記第2電極部は、前記スポンジの外周部に沿って円弧状に延びる第2円弧部と、前記第2円弧部から前記第2円弧部の径方向内側へ延びる複数の第2径方向部とを有し、
前記第1径方向部と前記第2径方向部とは、前記取込口の周方向に交互に並んでおり、かつ前記複数の円弧部と重なっており、
前記測定装置は、プロセッサを備え、
前記プロセッサは、前記スポンジによって保持された前記液体の量に応じて前記液体と前記第1径方向部及び前記第2径方向部との接触状態が変化することにより前記第1電極部と前記第2電極部との間に掛かる電圧の値が変化することに基づいて、前記液体の量及び前記液体の排出速度の少なくとも一方を導出する
請求項19に記載の測定システム。
【請求項21】
請求項1に記載のセンサと、前記センサに接続される測定装置と、を備える測定システムを用い、
前記蒸気を前記取込口から取り込み、
前記スポンジによって前記蒸気を吸収して前記蒸気から変化した前記液体を保持し、
前記スポンジによって保持された前記液体に関する物理量を前記検出部によって検出し、
前記検出部によって検出された前記物理量に基づいて前記液体に関する測定値を取得することを含む
測定方法。
【請求項22】
前記スポンジは、前記取込口と重なる中心部と、前記中心部を中心に同心状に配置された複数の円弧部とを有する一筆書き状に形成されており、
前記検出部は、前記液体の量を前記物理量として検出する量検出部を有し、
前記量検出部は、第1電極部と、第2電極部とを有し、
前記第1電極部は、前記スポンジの外周部に沿って円弧状に延びる第1円弧部と、前記第1円弧部から前記第1円弧部の径方向内側へ延びる複数の第1径方向部とを有し、
前記第2電極部は、前記取込口に沿って円弧状に延びる第2円弧部と、前記第2円弧部から前記第2円弧部の径方向外側へ延びる複数の第2径方向部とを有し、
前記第1径方向部と前記第2径方向部とは、前記取込口の周方向に交互に並んでおり、かつ前記複数の円弧部と重なっており、
前記第1径方向部と前記第2径方向部とは、前記取込口の周方向に交互に並んでおり、
前記測定装置は、プロセッサを備え、
前記測定方法は、前記プロセッサが、前記スポンジによって保持された前記液体の量に応じて前記液体と前記第1径方向部及び前記第2径方向部との接触状態が変化することにより前記第1電極部と前記第2電極部との間に掛かる電圧の値が変化することに基づいて、前記液体の量及び前記液体の排出速度の少なくとも一方を前記測定値として導出することを含む
請求項21に記載の測定方法。
【請求項23】
請求項1に記載のセンサを用い、
前記蒸気を前記取込口から取り込み、
前記スポンジによって前記蒸気を吸収して前記蒸気から変化した前記液体を保持し、
前記スポンジによって保持された前記液体の量を視覚可能な態様で提示することを含む
液体量の提示方法。
【請求項24】
前記スポンジは、前記取込口と重なる中心部と、前記中心部を中心に同心状に配置された複数の円弧部とを有する一筆書き状に形成されており、
前記中心部には、水溶性を有する色素が含有されており、
前記提示方法は、前記液体の量に応じて前記スポンジに拡がる前記色素の範囲によって前記液体の量を視覚可能な態様で提示することを含む
請求項23に記載の液体量の提示方法。
【請求項25】
請求項1に記載のセンサに用いられる前記スポンジの製造方法であって、
真菌から得られたキチンをキトサンに分解し、前記キトサンに添加物と溶液とを混合してゲル状の混合物を生成する生成工程と、
前記混合物を攪拌する攪拌工程と、
前記混合物を凍結することにより内部骨格を有する中間生成物を得る凍結工程と、
前記中間生成物を解凍する解凍工程と、
前記中間生成物を架橋する架橋工程と、
を経ることで前記混合物から前記スポンジを製造することを含む
スポンジの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、センサ、測定システム、測定方法、液体量の提示方法、及びスポンジの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に発汗は運動や高い周囲温度と関連しており、汗には生理学的な健康状態の評価に重要な関連性を持つ様々なバイオマーカーが含まれている。生理学の観点からは、発汗は、体内必須物質の喪失や外因性化学種への暴露という2つの指標として、十分に確立されている。対照的に、汗の化学的性質と血液化学的性質との関係は、まだ十分に解明されていない。このような不確実性に対処する研究は、既知のバイオマーカーと新たに発見されたバイオマーカーの両方に適用でき、臨床応用の選択肢をさらに広げることができる。
【0003】
近年、汗の捕捉、収集、及び測定に対して材料科学と力学設計とを適用した技術があり、この技術としては、湿度計ベースのプラットフォーム(例えば、非特許文献1参照)、吸収性材料ベースのプラットフォーム(例えば、非特許文献2参照)、及びマイクロ流体ベースのプラットフォーム(例えば、非特許文献3参照)などがある。これらのプラットフォームのほとんどの実施形態は、通常、中強度から高強度のトレーニング中に実施され、分析のために複雑な実験装置と訓練を受けたスタッフとを必要とする。一方で、これらのプラットフォームの中でも、マイクロ流体ベースのマイクロ流体パッチは、臨床標準に代わるシンプルで低コストのものであり、信頼性が向上し、迅速で家庭での検査や幅広い展開に適している。例えば、このようなマイクロ流体パッチは、発汗による全身の水分と電解質の損失とを測定するスポーツパフォーマンスへの応用に利用可能である。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】Kwon, K.; Kim, J. U.; Deng, Y.; et al. An on-skin platform for wireless monitoring of flow rate, cumulative loss and temperature of sweat in real time. Nat. Electron. 4, 2021, 302-312.
【非特許文献2】Shaghayegh, S.; Razieh, S.; et al. MicroSweat: A Wearable Microfluidic Patch for Noninvasive and Reliable Sweat Collection Enables Human Stress Monitoring, Adv. Sci. 10, 2023, 2204171.
【非特許文献3】Reeder, J. T.; Choi, J.; Xue, Y.; et al. Waterproof, electronics-enabled, epidermal microfluidic devices for sweat collection, biomarker analysis, and thermography in aquatic settings. Sci. Adv. 5, 2019, No. eaau6356.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
通常の状態における人の汗には、活動性発汗(すなわち、顕性発汗)と、経表皮水分喪失(すなわち、不感性発汗)の2種類があり、不感性発汗は蒸気という形で活動性発汗と同様の生理的影響を及ぼすが、不感性発汗に対してウェアラブルデバイスを使って定量化した研究はほとんどされていない。汗腺の分泌速度や分泌量が低いこと、サンプリング中の蒸発が速いこと、マイクロ流体内の水圧抵抗により分析のためにセンサに収集できる液量が制限されていることなどから、安静時の発汗にアクセスすることは依然として大きな課題である。このため、報告されているウェアラブルデバイスのほとんどは、運動、温熱、化学的刺激など、分泌速度の高い汗の収集に重点を置いている。
【0006】
従来のプラットフォームでは、少量の通常の汗を素早くデバイスに取り込むことができないため、リアルタイムの評価が制限される。したがって、低い汗分泌速度をターゲットとしたプラットフォームが求められるが、連続的な分析、そして重要な点として、安静時の発汗速度を正確に測定することが課題である。これは、不感性発汗の性質や、従来の技術に限界があることに加え、自然条件下では汗腺の分泌圧が不十分であるため、新しい分泌汗が、設計された収集領域まで古い収集汗を連続的に押し進めることが困難又は不可能な場合があるためである。また、臨床環境における安静時の体温調節性発汗(すなわち、不感蒸泄性発汗を含む)の速度モニタリングには、換気式湿度測定チャンバのようなかさ張る機器や、シングルポイント分析物測定のための24時間の収集期間が必要であった。
【0007】
なお、以上は、発汗に関する考察であるが、不感性発汗と同様に、生物から排出された各種液体が気化することにより生じた蒸気を捕集する場合にも、同様の課題がある。
【0008】
本開示は、上記課題に鑑みてなされたものであって、生物から排出された液体に関する物理量を精度良く検出することができるセンサ、測定システム、測定方法、液体量の提示方法、及びスポンジの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示の第1態様は、生物から排出された液体が気化することにより生じた蒸気を取り込む取込口を有する基材と、前記取込口と連通するマイクロチャネルを有するマイクロチャネル部材と、前記マイクロチャネルに充填され、親水性及び吸湿性を有しており、前記蒸気を吸収して前記蒸気から変化した前記液体を保持するスポンジと、前記スポンジによって保持された前記液体に関する物理量を検出する検出部とを備えるセンサである。
【0010】
本開示の第2態様は、第1態様に係るセンサと、前記センサに接続される測定装置とを備える測定システムである。
【0011】
本開示の第3態様は、第1態様に係るセンサと、前記センサに接続される測定装置と、を備える測定システムを用い、前記蒸気を前記取込口から取り込み、前記スポンジによって前記蒸気を吸収して前記蒸気から変化した前記液体を保持し、前記スポンジによって保持された前記液体に関する物理量を前記検出部によって検出し、前記検出部によって検出された前記物理量に基づいて前記液体に関する測定値を取得することを含む測定方法である。
【0012】
本開示の第4態様は、第1態様に係るセンサを用い、前記蒸気を前記取込口から取り込み、前記スポンジによって前記蒸気を吸収して前記蒸気から変化した前記液体を保持し、前記スポンジによって保持された前記液体の量を視覚可能な態様で提示することを含む液体量の提示方法である。
【0013】
本開示の第5態様は、第1態様に係るセンサに用いられる前記スポンジの製造方法であって、真菌から得られたキチンをキトサンに分解し、前記キトサンに添加物と溶液とを混合してゲル状の混合物を生成する生成工程と、前記混合物を攪拌する攪拌工程と、前記混合物を凍結することにより内部骨格を有する中間生成物を得る凍結工程と、前記中間生成物を解凍する解凍工程と、前記中間生成物を架橋する架橋工程と、を経ることで前記混合物から前記スポンジを製造することを含むスポンジの製造方法である。
【発明の効果】
【0014】
本開示によれば、生物から排出された液体に関する物理量を精度良く検出することができるセンサ、測定システム、測定方法、液体量の提示方法、及びスポンジの製造方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】センサを人の甲に装着した態様を示す図である。
【
図9】混合物をマイクロチャネルに充填する態様を示す説明図である。
【
図13】発汗量及び発汗速度を測定する原理を示す説明図である。
【
図14】測定システムの第1変形例を示す概念図である。
【
図15】測定システムの第2変形例を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(センサ10の概要)
はじめに、本開示の一実施形態に係るセンサ10の概要について説明する。
【0017】
図1に、本開示の一実施形態に係るセンサ10を示す。上記課題を克服するために、発明者らは、一例として、不感性発汗に着目し、鋭意検討を重ねることにより、不感蒸泄性発汗を含む体温調節発汗組成と発汗速度と発汗量とを安静時に連続測定するための装着パッチ型のセンサ10を考案した。
【0018】
センサ10は、人の肌に貼り付け可能であり、通常の状態において汗腺から排出された汗が気化することにより生じた不感性発汗である蒸気を取り込み、取り込んだ蒸気に基づいて発汗量などの物理量を検出可能な発汗量センサである。
図1には、センサ10が人の手の甲に貼り付けられている例が示されているが、センサ10は、人の手の甲以外の身体のあらゆる部位(例えば、額、首、肩、腹部、腕、大腿部、すね、又は足の甲など)に貼り付け可能である。
【0019】
センサ10は、超親水性のバイオスポンジを、汗収集ウェルとマイクロチャネルとに埋め込むことで、低分泌速度での迅速な汗の取り込みを実現し、測定用にマイクロチャネルに押し込まれる前に蓄積されなければならない発汗量を減らしている。親水性と抗菌性を持つバイオスポンジを基材、電極層、マイクロチャネル部材、及び表皮材に対して階層的に組み合わせることで、汗の漏れを防ぎ、迅速な汗の取り込みを可能にすると同時に、機械的な完全性も確保している。さらに、マイクロチャネルの寸法は、汗腺の分泌圧が静止した汗をセンサ10内に押し込むのに十分であるように、圧力の損失を最小限に抑える寸法に設定されている。
【0020】
このセンサ10は、汗収集ウェルとマイクロチャネルとに埋め込まれた新たに開発したバイオスポンジの特質により、不感性発汗である場合でも、汗をもれなく捕捉し、不確実性を最小限に抑えることが可能である。さらにバイオスポンジを埋め込んだマイクロチャネルを使用することで、水圧損失の欠点を克服し、取込口側での汗の迅速な動きを作り出し、従来の分析の蒸発や誤差を克服し、頻繁で最新の発汗速度の測定に変換することができる。
【0021】
このようなセンサ10は、日常生活におけるさまざまな身体部位で、nL/min/cm2の発汗速度で通常の発汗を採取することができ、安静時の発汗速度と成分分析をほぼリアルタイムで行うことができるものである。マイクロ流体工学における親水性バイオスポンジは、液圧損失と液圧抵抗とを無視できるほど小さくすることができる。12時間以上の継続的モニタリングの間、採取ウェルからの横方向への汗の漏れはなく、その領域で発生した汗をすべてセンサ10に取り込むことができる。バイオスポンジが充填されたマイクロチャネルに強制的に汗が取り込まれ、汗が継続的にマイクロチャネルに取り込まれていることを確認するために、汗収集ウェルには青色の色素が使用されている。
【0022】
また、発汗量測定用及び発汗速度測定用に電気感知電極(すなわち、放射状電極)を導入し、パルスの数と各パルス間の時間間隔をモニターすることで、マイクロチャンネル内の発汗量と発汗速度とを算出することができる。
【0023】
さらに、グルコース、pH(ペーハー)、Na+(ナトリウムイオン)、K+(カリウムイオン)等といった汗に含まれるバイオマーカーをモニターするために、イオン選択性電極を用いている。イオン選択性電極の感度はネルンストの挙動に近く、生理的な範囲内で高い感度を示す。
【0024】
このセンサ10は、不感蒸泄汗の迅速な吸収に応用され、発汗量と発汗速度のモニターを可能にし、安静時の発汗と代謝やストレス、疾患状態との関係を探るための応用の可能性を示すものである。この特異的なバイオスポンジを備えたセンサ10をさらに応用することにより、自然発汗速度、血糖値、さまざまなイオン濃度に関するデータを定量的に蓄積し、低血糖症のような非侵襲的予測因子としての自然発汗速度を可能にする相関関係を構築することができる。これらの相関関係に基づいて、安静時の発汗データは、継続的かつ非侵襲的に疾病を推定するために使用することができる。なお、汗は、本開示における「液体」の一例である。
【0025】
(センサ10の具体的な構成)
続いて、センサ10の具体的な構成について説明する。
【0026】
図2に示すように、センサ10は、基材12と、表皮材14と、マイクロチャネル部材16と、スポンジ18と、電極層20と、複数の濃度センサ22とを有する。
【0027】
基材12は、接着シートであり、人の肌に貼り付け可能である。基材12は、平面視で円形と台形とを組み合わせた形状に形成されている。基材12の円形部分の中心部には、取込口24が形成されている。取込口24は、平面視で円形に形成されており、基材12の厚さ方向に貫通している。基材12には、取込口24から取込口24の径方向外側に延びる複数のスリット24Aと、各スリット24Aの端部に形成された円形部24Bとが形成されている。一例として、スリット24Aの数は、4つであり、4つのスリット24Aは、等角度間隔に並んでいる。つまり、取込口24及び複数のスリット24Aは、十字状に形成されている。
図2に示す例において、スリット24Aの数は、4つであるが、4つ以外でもよい。
【0028】
表皮材14は、センサ10の表皮部分を形成しており、シート状に形成されている。表皮材14は、基材12と同様の外形形状を有しており、平面視で円形と台形とを組み合わせた形状に形成されている。マイクロチャネル部材16、スポンジ18、電極層20、及び複数の濃度センサ22は、基材12と表皮材14とによって挟まれた状態で保持される。表皮材14は、例えば、通気性を有する。また、表皮材14は、透明又は半透明に形成されている。
【0029】
マイクロチャネル部材16は、平面視で円形のシート状に形成されている。マイクロチャネル部材16は、電極層20と表皮材14との間に配置される。マイクロチャネル部材16は、後述する電極層20の連通穴33を介して取込口24と連通する連通穴25(すなわち、汗収集ウェル)と、連通穴25及び連通穴33を介して取込口24と連通するマイクロチャネル26と、マイクロチャネル26の終端部に形成された排出口27とを有する。マイクロチャネル26は、汗に対して毛細管現象を生じさせることができる細長い流路である。マイクロチャネル26における各濃度センサ22と重なる部位には、複数の凹部29が形成されている。
【0030】
図3に示すように、マイクロチャネル26は、連通穴25と凹部29との間を連結する第1連結溝26Aと、複数の凹部29の間を連結する第2連結溝26Bと、凹部29と後述する円弧溝26Dとを連結する第3連結溝26Cと、連通穴25を中心に同心状に配置された複数の円弧溝26Dと、隣り合う円弧溝26D同士を連結する第4連結溝26Eとを有する一筆書き状に形成されている。各円弧溝26Dは、マイクロチャネル部材16の周方向に延在している。
【0031】
このように、マイクロチャネル26は、連通穴25から排出口27に向けて蛇行しながら延びる一筆書き状に形成されている。連通穴25及び凹部29は、電極層20(
図2参照)の側に開口しており、排出口27は、表皮材14(
図2参照)の側に開口している。マイクロチャネル26は、電極層20の側に開口を有し表皮材14の側に底部を有する細溝状に形成されている。凹部29とマイクロチャネル26とは、マイクロチャネル部材16が電極層20に重ね合わされることにより、電極層20によって蓋をされた状態となる。
【0032】
図2に戻り、スポンジ18は、連通穴25とマイクロチャネル26と排出口27とに充填されており、連通穴25とマイクロチャネル26と排出口27とを連ねた形状を有する。スポンジ18は、連通穴25とマイクロチャネル26と排出口27とに充填された状態で、電極層20に対する基材12と反対側から電極層20に重ね合わされる。スポンジ18は、親水性と、吸湿性と、抗菌性とを有しており、取込口24から取り込まれた蒸気を吸収し、蒸気から液体に変化した汗を保持する。
【0033】
スポンジ18が有する親水性とは、汗に対して親和性が高いこと指す。また、スポンジ18が有する吸湿性とは、スポンジ18による毛細管現象とスポンジ18が有する親水性とによって汗がスポンジ18に吸い込まれることにより、まだ汗に変化していない状態の蒸気(すなわち、取込口24から取り込まれた蒸気)を吸収し得る性質を指す。スポンジ18は、例えば、天然生物を用いて生成されたバイオスポンジであり、天然生物由来の繊維によって形成された立体的な網目構造を有する多孔質材である。天然生物は、例えば、真菌である。スポンジ18の具体的な製造方法については、後述する。
【0034】
図4に示すように、スポンジ18は、連通穴25(
図3参照)に充填されて取込口24(
図2参照)と重なる中心部18Aと、各濃度センサ22(
図2参照)と重なる複数の重複部18Bと、中心部18Aと重複部18Bとの間を連結する第1連結部18Cと、複数の重複部18Bの間を連結する第2連結部18Dと、重複部18Bと後述する円弧部18Fとを連結する第3連結部18Eと、中心部18Aを中心に同心状に配置された複数の円弧部18Fと、隣り合う円弧部18F同士を連結する第4連結部18Gと、排出口27(
図3参照)に充填される終端部18Hとを有する一筆書き状に形成されている。
【0035】
各円弧部18Fは、スポンジ18の周方向に延在している。終端部18Hは、複数の円弧部18Fのうちスポンジ18の外周側に形成された円弧部18Fの終端部に形成されている。このように、スポンジ18は、中心部18Aから終端部18Hに向けて蛇行しながら延びる一筆書き状に形成されている。重複部18Bは、スポンジ18の経路上における複数の円弧部18Fよりも中心部18Aの側に位置する。ここで言うスポンジ18の経路とは、中心部18Aから終端部18Hに向けて蛇行しながら延びる一筆書き状の経路のことを指す。
【0036】
複数の円弧部18Fの一端と他端との間は、開放部28として形成されており、開放部28には、複数の重複部18Bが配置されている。中心部18Aには、水溶性を有する色素30が含有されている。色素30には、例えば、汗を連想される青色の色素が用いられるが、色素30の色は、青色以外に、赤色、黄色、又は緑色等でもよい。また、色素30は、食用色素でもよい。色素30には、例えば、タール系合成色素などを用いることができる。
【0037】
図5に示すように、電極層20は、フィルム32と、第1電極部34と、第2電極部36と、複数の第3電極部38とを有する。フィルム32は、基材12及び表皮材14(
図2参照)と同様の外形形状を有しており、平面視で円形と台形とを組み合わせた形状に形成されている。フィルム32の円形部分の中心部には、連通穴33が形成されている。連通穴33は、取込口24(
図1参照)と連通穴25(
図3参照)とを連通している。フィルム32は、例えば、接着シートである。フィルム32の表面(すなわち、スポンジ18側の面)は、接着面であり、第1電極部34、第2電極部36、及び複数の第3電極部38は、フィルム32の接着面に設けられている。
【0038】
図6に示すように、電極層20は、次の要領で製造される。すなわち、先ず、
図6の(1)に示すように、厚さ100μmのPIフィルム40に50WのCO
2レーザーカッターを照射することにより、PIフィルム40に第1電極部34、第2電極部36、及び複数の第3電極部38を有する炭素薄膜である電極部42を形成する。そして、
図6の(2)に示すように、電極部42をPDMSの薄いフィルム32の接着面に転写することにより、電極層20が形成される。
【0039】
図7に示すように、第1電極部34と第2電極部36とは、スポンジ18(
図2参照)によって保持された汗の量を検出する量検出部44を構成しており、複数の濃度センサ22と複数の第3電極部38とは、スポンジ18によって保持された汗の成分の濃度を検出する濃度検出部46を構成している。また、量検出部44及び濃度検出部46によって、スポンジ18によって保持された汗に関する各種の物理量を検出する検出部48が構成されている。
【0040】
第1電極部34は、取込口24(
図3も参照)に沿って円弧状に延びる第1円弧部34Aと、第1円弧部34Aから第1円弧部34Aの径方向外側へ直線状に延びる複数の第1径方向部34Bと、複数の第1径方向部34Bのうちの第1径方向部34B2に接続された接続円弧部34Cと、接続円弧部34Cの端部から取込口24とは反対側に直線状に延びる第1導体部34Dとを有する。第1導体部34Dの端部には、第1接続部34Eが形成されている。
【0041】
第2電極部36は、スポンジ18(
図4参照)の外周部に沿って円弧状に延びる第2円弧部36Aと、第2円弧部36Aから第2円弧部36Aの径方向内側へ直線状に延びる複数の第2径方向部36Bと、第2円弧部36Aの端部から第1導体部34Dに沿って取込口24とは反対側に直線状に延びる第2導体部36Cとを有する。第2導体部36Cの端部には、第2接続部36Dが形成されている。
【0042】
第1径方向部34Bと第2径方向部36Bとは、取込口24の周方向に交互に並んでいる。第1径方向部34Bと第2径方向部36Bとは、スポンジ18のうちの複数の円弧部18F(
図4参照)と平面視で交差するように重ね合わされる。なお、第1径方向部34B及び第2径方向部36Bの数は、後述する発汗量及び発汗速度を検出する観点から3本以上であることが好ましいが、いくつでもよい。
【0043】
第3電極部38は、濃度センサ22と接続されるセンサ接続部38Aと、センサ接続部38Aから取込口24とは反対側に直線状に延びる第3導体部38Bとを有する。複数の第3導体部38Bは、第1導体部34Dと第2導体部36Cとの間に配置されている。一例として、第1導体部34D、第2導体部36C、及び複数の第3導体部38Bは、平行に形成されている。第3導体部38Bの端部には、第3接続部38Cが形成されている。なお、第3電極部38の数は、濃度センサ22(
図2参照)の数に応じて設定される。
図4に示す例において、第3電極部38の数は、3つであるが、第3電極部38の数は、いくつでもよい。例えば、
図8に示すように、濃度センサ22の数が4つである場合には、第3電極部38の数は、4つでもよい。
【0044】
図7に示すように、濃度センサ22は、センサ接続部38Aに接続された状態において、複数の第1径方向部34B及び複数の第2径方向部36Bのうち第1導体部34D及び第2導体部36Cの側に配置された隣り合う一対の径方向部(一例として、第1径方向部34B1及び第1径方向部34B2)と、第1円弧部34Aとによって囲われた領域50に配置される。領域50は、具体的には、第1径方向部34B1と第1径方向部34B2とが成す中心角の範囲に相当する。領域50は、上述の開放部28(
図4参照)と重なる領域である。
【0045】
濃度センサ22は、水素イオンの濃度(すなわち、pH)を検出する水素イオン濃度センサ、電解質の濃度を検出する電解質濃度センサ、代謝物の濃度を検出する代謝物濃度センサ、及び特定の成分の濃度を検出する成分濃度センサのうちのいずれかである。
【0046】
電解質濃度センサの検出対象である電解質は、例えば、Na+(ナトリウムイオン)、Cl-(塩化物イオン)、K+(カリウムイオン)、NH4
+(アンモニウムイオン)、Ca2+(カルシウムイオン)、又はH+(水素イオン)でもよい。代謝物濃度センサの検出対象である代謝物は、乳酸、グルコース、尿素、尿酸、又はクリアチニンでもよい。成分濃度センサの検出対象である成分は、アミノ酸、ビタミンC、コレステロール、又はホルモンでもよい。
【0047】
複数の濃度センサ22は、同一種類の濃度センサを含んでいてもよく、互いに異なる種類の濃度センサでもよい。濃度センサ22は、水素イオン、塩化物、電解質、代謝物、又は特定の成分の濃度を個別に検出するための公知の構造を備える。例えば、濃度センサ22には、溶液中の目的種イオンにだけ応答するイオン選択性電極(Ion-Selective Electrode,ISE)が用いられる。なお、
図7に示す例において、濃度センサ22の数は、3つであるが、第3電極部38の数と同様に、濃度センサ22の数は、いくつでもよい。
【0048】
(スポンジ18の製造方法)
次に、スポンジ18の製造方法について説明する。
【0049】
図9に示すように、スポンジ18(
図4参照)は、ゲル状の混合物52をマイクロチャネル部材16の上に配置し、混合物52をブレード54によって引き延ばし、混合物52をマイクロチャネル26に充填することにより生成される。混合物52は、以下に具体的に説明する通り、例えば、真菌から得られたキチン(すなわち、直鎖型の含窒素多糖高分子)をキトサンに分解し、キトサンに添加物と溶液とを混合することにより生成される。
【0050】
添加物は、例えば、アルギン酸ナトリウム、塩化カルシウム、ホウ酸、塩酸、硫酸、カルボキシメチルセルロース、ジメチルスルホキシド、ヘキサクロロプラチン酸水素、及びポリビニルアルコールを含む。溶液は、超純水である。超純水は、超純水装置Milli-Q(登録商標)により精製されたものである。
【0051】
キチンは、ポテトデキストロース寒天平板培養真菌から精製したものである。具体的には、キチンは、生の菌糸体を収穫し、蒸した後、多量の超純水で洗浄し、ハウスブレンダーで破砕し、フィルター洗浄して細胞内物質を除去したものである。キチンに含まれる残渣スラリー(細胞壁)については、キチンを塩化水素溶液と水酸化ナトリウム溶液に交互に浸漬し、十分に洗浄し、亜塩素酸ナトリウム溶液に浸漬して漂白処理している。そして、このようにして精製されたキチンを、最終的に、超純水で十分に洗浄し、凍結乾燥後、室温で保存した。この手法によれば、キチン(M-キチン)を得ることができる。
【0052】
なお、簡便のために、キチンは、次のように精製されてもよい。すなわち、生の菌糸体を凍結乾燥して抽出し、さらに化学修飾し、乾燥したキチンを水酸化ナトリウム溶液で飽和したジメチルスルホキシド溶液に攪拌しながら浸漬し、エタノールで遠心洗浄して未反応溶媒を除去した後、磁気攪拌することにより生成物を水酸化ナトリウム溶液に直接分散させ、生成物が中性を示すまで超純水で十分に洗浄し、凍結乾燥後に室温で保存してもよい。この手法によれば、部分的に脱アセチル化されたキチン(DM-キチン)を得ることができる。本手法では、生成されたキチンを蒸留水で十分に洗浄して中性にし、さらに室温で乾燥させた。
【0053】
混合物52としての前駆体生ゲルは、設計した比率で調製した各ゲルを順次混合し、各前駆体ゲルが系内で均質化するまで激しく攪拌することにより調製した。まず、ある化学量論的量のセルロール誘導体とアルギン酸ナトリウムを、超音波作用下において均質化分散液中で混合し、第1のゲルを得た。また、ポリビニルアルコールに超純水を加え、オイルバスでインキュベートして調製し、第2のゲルを得た。最終的に、第1のゲルと第2のゲルとを混合した混合ゲルに少量のホウ酸を添加し、ホモジナイザーを用いて撹拌した。そして、脱泡後、前駆体生ゲルを得た。
【0054】
図10に示すように、スポンジ18の製造方法は、生成工程Aと、攪拌工程Bと、凍結工程Cと、解凍工程Dと、架橋工程Eとを備える。生成工程Aでは、真菌から得られたキチンをキトサンに分解し、キトサンに添加物と溶液とを混合してゲル状の混合物52を生成する。
図7には、一例として、混合物52に、アルギン酸ナトリウム52A、ポリビニルアルコール52B、カルボキシメチルセルロース52C、キトサン52D、及びホウ酸52Eが含まれている状態が示されている。
【0055】
攪拌工程Bでは、撹拌器具(図示省略)を用いて混合物52を攪拌する。凍結工程Cでは、混合物52を凍結する。これにより、最初に重合した内部骨格56Aを持つ中間生成物56が得られる。内部骨格56Aは、水分が凍結することにより生成された結晶58に沿って形成される。解凍工程Dでは、中間生成物56を解凍する。架橋工程Eでは、中間生成物56を架橋する。これにより、内部骨格56Aを形成する高分子同士が化学結合されて硬化する。
【0056】
このように、生成工程Aと、攪拌工程Bと、凍結工程Cと、解凍工程Dと、架橋工程Eとを順に経ることでバイオスポンジであるスポンジ18(
図4も参照)が製造される。なお、凍結工程C、解凍工程D、及び架橋工程Eは、混合物52をマイクロチャネル26(
図9参照)に充填した状態で行われる工程である。以上の製造方法により、天然生物由来の繊維によって形成された立体的な網目構造を有し、かつ親水性、抗菌性、及び吸湿性に優れたバイオスポンジであるスポンジ18が得られる。
【0057】
(発汗量の提示方法)
次に、センサ10を用いた発汗量の提示方法について説明する。以下の説明する発汗量の提示方法は、本開示における「液体量の提示方法」の一例である。
【0058】
図11には、時間の経過とともにスポンジ18のうち汗を保持する範囲が増加する態様が示されている。すなわち、濃いドットで示した範囲がスポンジ18のうち汗を保持している範囲を示している。なお、
図11では、汗を保持する範囲を容易に理解するために、センサ10が簡易的な構成で示されている。また、
図11では、例えば、1時間毎の経過の態様を並べて示している。
【0059】
図11に示すように、汗腺から排出された汗が気化することにより生じた蒸気が取込口24(
図2も参照)から取り込まれると、取込口24から取り込まれた蒸気が連通穴25(
図2も参照)に到達する。連通穴25に到達した蒸気は、スポンジ18に吸収され、スポンジ18に吸収された蒸気は、マイクロチャネル26を進むに従って徐々に液体に変化する。液体に変化した汗は、スポンジ18の親水性とスポンジ18による毛細管現象とによってスポンジ18に吸い込まれる。これにより、取込口24からの蒸気の取り込みが促進され、蒸気がスポンジ18に次々と吸収される。そして、スポンジ18に吸い込まれた汗は、スポンジ18によって保持される。汗腺から排出される汗の量が増加すると、スポンジ18によって保持される汗の量が増加し、スポンジ18のうち汗を保持する範囲が増加する。
【0060】
ここで、上述の通り、スポンジ18の中心部18Aには、水溶性を有する色素30が含有されている。このため、スポンジ18によって保持される汗は、色素30によって着色される。したがって、スポンジ18によって保持される汗の量に応じてスポンジ18に拡がる色素30の範囲によって発汗量を視覚可能な態様で提示することが可能になる。これにより、センサ10を装着した人、又はセンサ10を管理する人などが、スポンジ18に拡がる色素30の範囲を確認することにより、発汗量を視覚的に把握することが可能となる。
【0061】
(測定システム60)
次に、センサ10を用いた測定システム60及び測定方法について説明する。
【0062】
図12に示すように、測定システム60は、センサ10と、測定装置62とを備える。測定装置62は、ウェアラブルデバイスでもよいし、パーソナルコンピュータでもよいし、測定回路でもよい。測定装置62は、コンピュータ64と、第1検出回路66と、第2検出回路68と、ディスプレイ70とを備える。
【0063】
コンピュータ64は、プロセッサ72と、メモリ74とを備える。第1検出回路66は、第1接続部34E及び第2接続部36Dと電気的に接続されている。例えば、第1接続部34Eを有する第1電極部34は、陰極であり、第2接続部36Dを有する第2電極部36は、陽極である。第2検出回路68は、第1接続部34E及び第3接続部38Cと電気的に接続されている。第3接続部38Cを有する第3電極部38は、濃度センサ22からの信号取り出し用の陽極である。
【0064】
プロセッサ72は、例えば、CPU(Central Processing Unit)を有しており、メモリ74は、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)を有する。コンピュータ64は、第1検出回路66と、第2検出回路68と、ディスプレイ70とに電気的に接続されており、プロセッサ72は、第1検出回路66と、第2検出回路68と、ディスプレイ70とを制御する。ディスプレイ70は、例えば、液晶ディスプレイであり、プロセッサ72で演算された結果(例えば、後述する発汗量、発汗速度、及び汗の成分の濃度)を表示する。
【0065】
ここで、
図13には、スポンジ18によって保持された汗の量及び発汗速度を測定する原理が模式的に示されている。
図13では、第1円弧部34A及び第2円弧部36Aが直線状に示されている。また、
図13には、第1電極部34と第2電極部36との間に掛かる電圧と時間との関係が、第1径方向部34B及び第2径方向部36Bの位置と対応付けられた状態で示されている。
【0066】
プロセッサ72は、第1電極部34と第2電極部36との間に一定の電流が供給されるように、第1検出回路66を制御する。
図11を用いて説明した通り、汗腺から排出される汗の量が増加すると、スポンジ18によって保持される汗の量が増加し、スポンジ18のうち汗を保持する範囲が矢印Xの方向に増加する。
【0067】
スポンジ18によって保持された汗が1本目の第1径方向部34Bを通過して2本目の第2径方向部36Bに到達すると、第1電極部34と第2電極部36とが汗を介して導通し、第1電極部34と第2電極部36との間に電圧が掛かるようになる。そして、以降、汗が第1径方向部34B又は第2径方向部36Bを跨ぐ度に、充電電流が短い時間流れることにより、第1電極部34と第2電極部36との間に掛かる電圧の値が低下し、その都度、第1電極部34と第2電極部36との間に一定の電流を供給する制御が実行されることにより、低下していた電圧の値が増加する。これにより、汗が3本目以降の第1径方向部34B又は第2径方向部36Bを跨ぐ度に、電圧の値が瞬間的に落ち込むパルス76が出現する。
【0068】
第1検出回路66は、パルス76が出現する度に、パルス76を検出した旨を示すパルス検出信号をプロセッサ72に出力する。プロセッサ72は、発汗量が多くなるほどパルス検出信号の数が多くなることを利用し、パルス検出信号の数に応じて発汗量を導出する。例えば、パルス検出信号の数と発汗量の具体的な値との関係を示すテーブルがメモリ74(
図12参照)に記憶されてもよい。そして、プロセッサ72は、テーブルに基づいて、パルス検出信号の数から発汗量の具体的な値を導出してもよい。
【0069】
また、プロセッサ72は、発汗速度が高くなるほどパルス検出信号が出力される時間間隔が短くなることを利用し、パルス検出信号の時間間隔に応じて発汗速度を導出する。例えば、パルス検出信号の時間間隔と発汗速度の具体的な値との関係を示すテーブルがメモリ74(
図12参照)に記憶されてもよい。そして、プロセッサ72は、テーブルに基づいて、パルス検出信号の時間間隔から発汗速度の具体的な値を導出してもよい。また、プロセッサ72は、パルス検出信号に基づいて導出した発汗量を、そのパルス検出信号が得られるまでに要した時間で除することにより、発汗速度を導出してもよい。
【0070】
このように、スポンジ18によって保持された汗の量に応じて、汗と第1径方向部34B及び第2径方向部36Bとの接触状態が変化することにより、第1電極部34と第2電極部36との間に掛かる電圧の値が変化する。そして、プロセッサ72は、第1電極部34と第2電極部36との間に掛かる電圧の値が変化することに基づいて、発汗量と発汗速度とを導出する。
【0071】
図12に戻り測定システム60の説明を続ける。プロセッサ72は、第1電極部34と第2電極部36との間に電流が供給されていない期間に、第3電極部38毎に、第1電極部34と第3電極部38との間に、一定の電流が供給されるように、第2検出回路68を制御する。スポンジ18によって保持された汗によって第1電極部34と濃度センサ22とが導通している状態では、汗の成分に応じて第1電極部34と濃度センサ22との間の電気抵抗が変化し、電気抵抗に応じて、第1電極部34と第3電極部38との間に掛かる電圧が変化する。
【0072】
第2検出回路68は、第1電極部34と第3電極部38との間に掛かる電圧を検出し、検出した電圧に応じた電圧検出信号をプロセッサ72に出力する。プロセッサ72は、濃度センサ22毎に、第2検出回路68から入力した電圧検出信号に応じて、汗の成分の濃度を導出する。例えば、電圧検出信号の電圧値と濃度の具体的な値との関係を示すテーブルがメモリ74(
図12参照)に記憶されてもよい。そして、プロセッサ72は、テーブルに基づいて、電圧検出信号の電圧値から濃度の具体的な値を導出してもよい。これにより、例えば、濃度センサ22が、水素イオン濃度センサ、電解質濃度センサ、代謝物濃度センサ、及び成分濃度センサのうちのいずれかである場合には、汗に含まれる水素イオン、塩化物、電解質、代謝物、及び特定の成分のうちのいずれかの濃度が測定可能となる。
【0073】
なお、量検出部44によって検出される発汗量、及び濃度検出部46によって検出される濃度は、本開示における「液体に関する物理量」の一例である。また、測定装置62において取得される発汗量、発汗速度、及び濃度の値は、本開示における「液体に関する測定値」の一例である。また、発汗速度は、本開示における「排出速度」の一例である。
【0074】
(効果)
次に、本開示の一実施形態の効果について説明する。
【0075】
以上詳述した通り、本実施形態に係るセンサ10では、スポンジ18が、親水性及び吸湿性を有しているので、液体である汗だけでなく、汗が気化することにより生じた蒸気もスポンジ18によって吸収することができる。これにより、例えば、液体である汗しか吸収することができない構造のセンサに比して、汗腺から排出された汗を効率よく回収することができる。これにより、センサ10によって発汗量及び濃度を精度良く検出することができる。この結果、安静時、日常生活時、又は日常活動時の発汗の連続モニタリングを実現することができる。
【0076】
また、スポンジ18は、天然生物を用いて生成されたバイオスポンジである。これにより、スポンジ18に抗菌性を付与することができるので、発汗の連続モニタリングを実現する場合でも、センサ10を衛生的に保つことができる。
【0077】
また、天然生物は、真菌である。これにより、真菌から得た繊維によって、よりきめの細かい立体的な網目構造を実現することができるので、蒸気を吸収する性能を向上させることができる。
【0078】
また、
図10に示すように、スポンジ18は、真菌から得られたキチンをキトサンに分解し、キトサンに添加物と溶液とを混合してゲル状の混合物52を生成する生成工程Aと、混合物52を攪拌する攪拌工程Bと、混合物52を凍結することにより内部骨格56Aを有する中間生成物56を得る凍結工程Cと、中間生成物56を解凍する解凍工程Dと、中間生成物56を架橋する架橋工程Eとを経て製造されたものである。これにより、水分が抜けて乾燥してもマイクロチャネル26で収縮せずに立体構造を保つことができるスポンジ18を形成することができる。
【0079】
また、凍結工程C、解凍工程D、及び架橋工程Eは、
図9に示すように、混合物52をマイクロチャネル26に充填した状態で行われる。これにより、スポンジ18を成形するための専用の金型を用いなくて済むので、コストダウンすることができる。
【0080】
また、スポンジ18は、マイクロチャネル26に充填されている。これにより、マイクロチャネル26によってスポンジ18の形状を保つことができるので、蒸気を吸収する性能を長く維持することができる。
【0081】
また、
図3に示すように、マイクロチャネル部材16は、取込口24と連通する連通穴25と、連通穴25を介して取込口24と連通するマイクロチャネル26とを有し、マイクロチャネル26は、連通穴25を中心に同心状に配置された複数の円弧溝26Dを有する一筆書き状に形成されている。また、
図4に示すように、スポンジ18は、連通穴25に充填される中心部18Aと、中心部18Aを中心に同心状に配置され、複数の円弧溝26Dに充填される複数の円弧部18Fとを有する一筆書き状に形成されている。これにより、連通穴25からセンサ10の外周側に汗を蛇行しながら搬送することができるので、センサ10により多くの汗を取り込むことができる。
【0082】
また、
図11に示すように、スポンジ18の中心部18Aには、水溶性を有する色素30が含有されている。このため、スポンジ18によって保持される汗は、色素30によって着色される。したがって、スポンジ18によって保持される汗の量に応じてスポンジ18に拡がる色素30の範囲によって発汗量を視覚可能な態様で提示することができる。これにより、センサ10を装着した人、又はセンサ10を管理する人などが、スポンジ18に拡がる色素30の範囲を確認することにより、発汗量を視覚的に把握することができる。
【0083】
また、
図4に示すように、スポンジ18は、濃度センサ22と重なる重複部18Bを有する。したがって、重複部18Bで汗を保持することができるので、汗の成分の濃度を濃度センサ22によって精度よく検出することができる。
【0084】
また、重複部18Bは、スポンジ18の経路上における複数の円弧部18Fよりも中心部18Aの側に位置する。したがって、複数の円弧部18Fに汗の範囲が到達する前(換言すれば、発汗量及び発汗速度を検出できる状態になる前)に、重複部18Bに配置された濃度センサ22によって汗の成分の濃度を検出することができる。
【0085】
また、
図7に示すように、センサ10は、発汗量を検出する量検出部44と、汗の成分の濃度を検出する濃度検出部46とを有する。したがって、一つのセンサ10によって、発汗量と、汗の成分の濃度とを検出することができるので、汗から人に関するより多くの情報を取得することができる。
【0086】
また、量検出部44は、第1電極部34と、第2電極部36とを有する。したがって、スポンジ18によって保持された汗の量に応じて第1電極部34と第2電極部36との間に掛かる電圧の値が変化することに基づいて、発汗量を導出することができる。
【0087】
また、第1電極部34は、取込口24に沿って円弧状に延びる第1円弧部34Aと、第1円弧部34Aから第1円弧部34Aの径方向外側へ延びる複数の第1径方向部34Bとを有し、第2電極部36は、スポンジ18の外周部に沿って円弧状に延びる第2円弧部36Aと、第2円弧部36Aから第2円弧部36Aの径方向内側へ延びる複数の第2径方向部36Bとを有し、第1径方向部34Bと第2径方向部36Bとは、取込口24の周方向に交互に並んでおり、かつ複数の円弧部18Fと重なっている。これにより、
図13に示すように、スポンジ18の保持された汗が3本目以降の第1径方向部34B又は第2径方向部36Bを跨ぐ度に、電圧の値が瞬間的に落ち込むパルス76が出現するので、パルス76の数に基づいて、発汗量を導出することができる。この結果、第1電極部34と第2電極部36との間の電気抵抗に基づいて、発汗量を導出する場合に比して、導出精度を向上させることができる。
【0088】
また、パルス検出信号の時間間隔に応じて、発汗速度も導出することができるので、発汗量しか導出することができない場合に比して、センサ10を装着した人に関するより多くの情報を取得することができる。
【0089】
また、濃度検出部46は、水素イオンの濃度を検出する水素イオン濃度センサ、電解質の濃度を検出する電解質濃度センサ、代謝物の濃度を検出する代謝物濃度センサ、及び特定の成分の濃度を検出する成分濃度センサのうちの少なくとも一つの濃度センサ22を有する。したがって、発汗量だけでなく、汗に含まれる水素イオン、塩化物、電解質、代謝物、及び特定の成分の少なくともいずれかの濃度を検出することができる。
【0090】
また、
図7に示すように、濃度センサ22は、第1径方向部34B1と、第1径方向部34B2と、第1円弧部34Aとによって囲われた領域50に配置されている。したがって、領域50を、濃度センサ22を配置するための領域として活用しているので、センサ10を小型化することができる。
【0091】
また、
図7に示すように、第1径方向部34B1及び第1径方向部34B2は、複数の第1径方向部34B及び複数の第2径方向部36Bのうち第1導体部34D及び第2導体部36Cの側に配置された径方向部であり、第3導体部38Bは、第1導体部34Dと第2導体部36Cとの間に配置されている。したがって、第3導体部38Bを濃度センサ22から第1導体部34Dと第2導体部36Cとの間を通じて直線状に導出することができるので、電極層20の構成を簡素化することができる。
【0092】
(変形例)
次に、本開示の一実施形態の変形例について説明する。
【0093】
上記実施形態において、センサ10は、汗腺から排出された汗が気化することにより生じた蒸気を取り込むが、汗以外に人から排出される体液が気化することにより生じた蒸気を取り込んでもよい。例えば、センサ10がおむつに装着され、尿が気化することにより生じた蒸気を取り込み、取り込んだ蒸気に基づいて尿の量を検出したり、尿の成分の濃度を検出したりしてもよい。また、センサ10は、涙の捕集に適用されてもよいし、血液の捕集に適用されてもよい。
【0094】
また、センサ10は、人以外に汗をかく動物に対して適用されてもよいし、汗以外に動物から排出される体液に対して適用されてもよい。また、センサ10は、人又は動物以外に、例えば、植物など各種生物に対して適用されてもよい。例えば、センサ10を植物に適用し、葉からの蒸散を可視化してもよい。
【0095】
また、上記実施形態において、センサ10は、発汗量を検出する量検出部44と、汗の成分の濃度を検出する濃度検出部46とを有するが、量検出部44及び濃度検出部46のどちらか一方のみを有していてもよい。
【0096】
また、上記実施形態において、第1検出回路66は、パルス76が出現する度に、パルス76を検出した旨を示すパルス検出信号をプロセッサ72に出力するが、第1電極部34と第2電極部36との間に掛かる電圧を検出し、検出した電圧に応じた電圧検出信号をプロセッサ72に出力してもよい。そして、プロセッサ72は、第1検出回路66から入力した電圧検出信号に応じて、発汗量を導出してもよい。
【0097】
また、上記実施形態において、プロセッサ72は、パルス検出信号に基づいて、発汗量及び発汗速度の両方を導出するが、発汗量及び発汗速度のどちらか一方のみを導出してもよい。
【0098】
また、上記実施形態において、センサ10は、測定装置62と電気的に接続されているが、例えば、
図14に示すように、スマートウォッチ等のウェアラブルデバイス78に電気的に接続されてもよい。また、センサ10は、フレキシブルフラットケーブル80を介してウェアラブルデバイス78に電気的に接続されてもよい。そして、センサ10からウェアラブルデバイス78に入力されたパルス検出信号又は電圧検出信号に応じたデータがウェアラブルデバイス78から測定装置62に送信され、測定装置62は、受信したデータに基づいて、発汗量、発汗速度、及び濃度の値を取得してもよい。
【0099】
また、
図15に示すように、測定装置62は、ウェアラブルデバイス78に組み込まれてもよい。また、センサ10もウェアラブルデバイス78に組み込まれてもよい。
【0100】
また、上記実施形態において、スポンジ18は、天然生物を用いて生成されたバイオスポンジであるが、合成樹脂等の合成高分子によって生成された合成スポンジでもよい。
【0101】
また、上記実施形態において、センサ10は、電極層20を備えるが、電極層20が省かれた構成でもよい。この場合には、センサ10は、スポンジ18によって保持される汗の量に応じてスポンジ18に拡がる色素30の範囲によって発汗量を視覚可能な態様で提示する発汗計として機能する。なお、色素30以外の手段(例えば、表皮材14が透明又は半透明に形成され、汗を吸ったスポンジ18自体の色の変化)により、発汗量を視覚可能な態様で提示してもよい。
【0102】
また、上記実施形態において、複数の第1径方向部34B及び複数の第2径方向部36Bのうち第1導体部34D及び第2導体部36Cの側に配置された隣り合う一対の径方向部は、一例として、第1径方向部34B1及び第1径方向部34B2であるが、第1径方向部34Bと第2径方向部36Bとの組み合わせでもよく、第2径方向部36Bと第2径方向部36Bとの組み合わせでもよい。
【0103】
また、上記実施形態において、プロセッサ72は、CPUを有するが、CPUに代えて、又は、CPUに加えて、FPGA(Field-Programmable Gate Array)等のPLD(Programmable Logic Device)を有していてもよく、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の専用電気回路を有していてもよい。
【0104】
また、上記複数の変形例は、適宜組み合わされて実施されてもよい。
【0105】
以上、本開示の一実施形態について説明したが、本開示は、上記に限定されるものでなく、上記以外にも、その主旨を逸脱しない範囲内において種々変形して実施可能であることは勿論である。
【0106】
以下、本開示の一実施形態について、以下の付記を開示する。
(付記1)
生物から排出された液体が気化することにより生じた蒸気を取り込む取込口(24)を有する基材(12)と、
前記取込口(24)と連通するマイクロチャネル(26)を有するマイクロチャネル部材(16)と、
前記マイクロチャネル(26)に充填され、親水性及び吸湿性を有しており、前記蒸気を吸収して前記蒸気から変化した前記液体を保持するスポンジ(18)と、
前記スポンジ(18)によって保持された前記液体に関する物理量を検出する検出部(48)とを備える
センサ(10)。
(付記2)
前記生物は、人又は動物であり、
前記液体は、汗である
付記1に記載のセンサ(10)。
(付記3)
前記スポンジ(18)は、天然生物を用いて生成されたバイオスポンジである
付記1又は付記2に記載のセンサ(10)。
(付記4)
前記天然生物は、真菌である
付記3に記載のセンサ(10)。
(付記5)
前記スポンジ(18)は、前記真菌から得られたキチンをキトサンに分解し、前記キトサンに添加物と溶液とを混合してゲル状の混合物(52)を生成する生成工程(A)と、前記混合物(52)を攪拌する攪拌工程(B)と、前記混合物(52)を凍結することにより内部骨格(56A)を有する中間生成物(56)を得る凍結工程(C)と、前記中間生成物(56)を解凍する解凍工程(D)と、前記中間生成物(56)を架橋する架橋工程(E)とを経て製造されたものである
付記4に記載のセンサ(10)。
(付記6)
前記凍結工程(C)、前記解凍工程(D)、及び前記架橋工程(E)は、前記混合物(52)を前記マイクロチャネル(26)に充填した状態で行われる工程である
付記5に記載のセンサ(10)。
(付記7)
前記マイクロチャネル部材(26)は、前記取込口(24)と連通する連通穴(25)と、前記連通穴(25)を介して前記取込口(24)と連通する前記マイクロチャネル(26)とを有し、
前記マイクロチャネル(26)は、前記連通穴(25)を中心に同心状に配置された複数の円弧溝(26D)を有する一筆書き状に形成されている
付記1から付記6の何れか一つに記載のセンサ(10)。
(付記8)
前記スポンジ(18)は、前記連通穴(25)に充填される中心部(18A)と、前記中心部(18A)を中心に同心状に配置され、前記複数の円弧溝(26D)に充填される複数の円弧部(18F)とを有する一筆書き状に形成されている
付記7に記載のセンサ(10)。
(付記9)
前記中心部(18A)には、水溶性を有する色素(30)が含有されている
付記8に記載のセンサ(10)。
(付記10)
前記検出部(48)は、前記液体の成分の濃度を前記物理量として検出する濃度検出部(46)を有し、
前記濃度検出部(46)は、濃度センサ(22)を有し、
前記スポンジ(18)は、前記濃度センサ(22)と重なる重複部(18B)を有する
付記8又は付記9に記載のセンサ(10)。
(付記11)
前記重複部(18B)は、前記スポンジ(18)の経路上における前記複数の円弧部(18F)よりも前記中心部(18A)の側に位置する
付記10に記載のセンサ(10)。
(付記12)
前記検出部(48)は、前記液体の量を前記物理量として検出する量検出部(44)を有する
付記1から付記11の何れか一つに記載のセンサ(10)。
(付記13)
前記量検出部(44)は、第1電極部(34)と、第2電極部(36)とを有する
付記12に記載のセンサ(10)。
(付記14)
前記スポンジ(18)は、前記取込口(24)と重なる中心部(18A)と、前記中心部(18A)を中心に同心状に配置された複数の円弧部(18F)とを有する一筆書き状に形成されており、
前記第1電極部(34)は、前記取込口(24)に沿って円弧状に延びる第1円弧部(34A)と、前記第1円弧部(34A)から前記第1円弧部(34A)の径方向外側へ延びる複数の第1径方向部(34B)とを有し、
前記第2電極部(36)は、前記スポンジ(18)の外周部に沿って円弧状に延びる第2円弧部(36A)と、前記第2円弧部(36A)から前記第2円弧部(36A)の径方向内側へ延びる複数の第2径方向部(36B)とを有し、
前記第1径方向部(34A)と前記第2径方向部(36B)とは、前記取込口(24)の周方向に交互に並んでおり、かつ前記複数の円弧部(18F)と重なっている
付記13に記載のセンサ(10)。
(付記15)
前記検出部(48)は、前記液体の成分の濃度を前記物理量として検出する濃度検出部(46)を有する
付記1から付記14の何れか一つに記載のセンサ(10)。
(付記16)
前記濃度検出部(48)は、水素イオンの濃度を検出する水素イオン濃度センサ、電解質の濃度を検出する電解質濃度センサ、代謝物の濃度を検出する代謝物濃度センサ、及び特定の成分の濃度を検出する成分濃度センサのうちの少なくとも一つの濃度センサ(22)を有する
付記15に記載のセンサ(10)。
(付記17)
前記スポンジ(18)は、前記取込口(24)と重なる中心部(18A)と、前記中心部(18A)を中心に同心状に配置された複数の円弧部(18F)とを有する一筆書き状に形成されており、
前記検出部(48)は、前記液体の量を前記物理量として検出する量検出部(44)を有し、
前記量検出部(44)は、第1電極部(34)と、第2電極部(36)とを有し、
前記第1電極部(34)は、前記取込口(24)に沿って円弧状に延びる第1円弧部(34A)と、前記第1円弧部(34A)から前記第1円弧部(34A)の径方向外側へ延びる複数の第1径方向部(34B)とを有し、
前記第2電極部(36)は、前記スポンジ(18)の外周部に沿って円弧状に延びる第2円弧部(36A)と、前記第2円弧部(36A)から前記第2円弧部(36A)の径方向内側へ延びる複数の第2径方向部(36B)とを有し、
前記第1径方向部(34A)と前記第2径方向部(36B)とは、前記取込口(24)の周方向に交互に並んでおり、かつ前記複数の円弧部(18F)と重なっており、
前記濃度センサ(22)は、前記複数の第1径方向部(34B)及び前記複数の第2径方向部(36B)のうち隣り合う一対の径方向部(34B1、34B2)と、前記第1円弧部(34A)とによって囲われた領域(50)に配置されている
付記16に記載のセンサ(10)。
(付記18)
前記第1電極部(34)は、前記取込口(24)とは反対側に直線状に延びる第1導体部(34D)を有し、
前記第2電極部(36)は、前記取込口(24)とは反対側に直線状に延びる第2導体部(36C)を有し、
前記濃度検出部(46)は、前記濃度センサ(22)と接続されるセンサ接続部(38A)と、前記センサ接続部(38A)から前記取込口(24)とは反対側に直線状に延びる第3導体部(38B)とを有し、
前記一対の径方向部(34B1、34B2)は、前記複数の第1径方向部(34B)及び前記複数の第2径方向部(36B)のうち前記第1導体部(34D)及び前記第2導体部(36C)の側に配置された径方向部であり、
前記第3導体部(38B)は、前記第1導体部(34D)と前記第2導体部(36C)との間に配置されている
付記17に記載のセンサ(10)。
(付記19)
付記1から付記18の何れか一つに記載のセンサ(10)と、
前記センサ(10)に接続される測定装置(62)とを備える
測定システム(60)。
(付記20)
前記スポンジ(18)は、前記取込口(24)と重なる中心部(18A)と、前記中心部(18A)を中心に同心状に配置された複数の円弧部(18F)とを有する一筆書き状に形成されており、
前記検出部(48)は、前記液体の量を前記物理量として検出する量検出部(44)を有し、
前記量検出部(44)は、第1電極部(34)と、第2電極部(36)とを有し、
前記第1電極部(34)は、前記取込口(24)に沿って円弧状に延びる第1円弧部(34A)と、前記第1円弧部(34A)から前記第1円弧部(34A)の径方向外側へ延びる複数の第1径方向部(34B)とを有し、
前記第2電極部(36)は、前記スポンジ(18)の外周部に沿って円弧状に延びる第2円弧部(36A)と、前記第2円弧部(36A)から前記第2円弧部(36A)の径方向内側へ延びる複数の第2径方向部(36B)とを有し、
前記第1径方向部(34A)と前記第2径方向部(36B)とは、前記取込口(24)の周方向に交互に並んでおり、かつ前記複数の円弧部(18F)と重なっており、
前記測定装置(62)は、プロセッサ(72)を備え、
前記プロセッサ(72)は、前記スポンジ(18)によって保持された前記液体の量に応じて前記液体と前記第1径方向部(34B)及び前記第2径方向部(36B)との接触状態が変化することにより前記第1電極部(34)と前記第2電極部(36)との間に掛かる電圧の値が変化することに基づいて、前記液体の量及び前記液体の排出速度の少なくとも一方を導出する
付記19に記載の測定システム(60)。
(付記21)
付記1から付記18の何れか一つに記載のセンサ(10)と、前記センサ(10)に接続される測定装置(62)と、を備える測定システム(60)を用い、
前記蒸気を前記取込口(24)から取り込み、
前記スポンジ(18)によって前記蒸気を吸収して前記蒸気から変化した前記液体を保持し、
前記スポンジ(18)によって保持された前記液体に関する物理量を前記検出部(48)によって検出し、
前記検出部(48)によって検出された前記物理量に基づいて前記液体に関する測定値を取得することを含む
測定方法。
(付記22)
前記スポンジ(18)は、前記取込口(24)と重なる中心部(18A)と、前記中心部(18A)を中心に同心状に配置された複数の円弧部(18F)とを有する一筆書き状に形成されており、
前記検出部(48)は、前記液体の量を前記物理量として検出する量検出部(44)を有し、
前記量検出部(44)は、第1電極部(34)と、第2電極部(36)とを有し、
前記第1電極部(34)は、前記取込口(24)に沿って円弧状に延びる第1円弧部(34A)と、前記第1円弧部(34A)から前記第1円弧部(34A)の径方向外側へ延びる複数の第1径方向部(34B)とを有し、
前記第2電極部(36)は、前記スポンジ(18)の外周部に沿って円弧状に延びる第2円弧部(36A)と、前記第2円弧部(36A)から前記第2円弧部(36A)の径方向内側へ延びる複数の第2径方向部(36B)とを有し、
前記第1径方向部(34A)と前記第2径方向部(36B)とは、前記取込口(24)の周方向に交互に並んでおり、かつ前記複数の円弧部(18F)と重なっており、
前記測定装置(62)は、プロセッサ(72)を備え、
前記測定方法は、前記プロセッサ(72)が、前記スポンジ(18)によって保持された前記液体の量に応じて前記液体と前記第1径方向部(34B)及び前記第2径方向部(36B)との接触状態が変化することにより前記第1電極部(34)と前記第2電極部(36)との間に掛かる電圧の値が変化することに基づいて、前記液体の量及び前記液体の排出速度の少なくとも一方を導出することを含む
付記21に記載の測定方法。
(付記23)
付記1から付記18の何れか一つに記載のセンサ(10)を用い、
前記蒸気を前記取込口(24)から取り込み、
前記スポンジ(18)によって前記蒸気を吸収して前記蒸気から変化した前記液体を保持し、
前記スポンジ(18)によって保持された前記液体の量を視覚可能な態様で提示することを含む
液体量の提示方法。
(付記24)
前記スポンジ(18)は、前記取込口(24)と重なる中心部(18A)と、前記中心部(18A)を中心に同心状に配置された複数の円弧部(18F)とを有する一筆書き状に形成されており、
前記中心部(18A)には、水溶性を有する色素(30)が含有されており、
前記提示方法は、前記液体の量に応じて前記スポンジ(18)に拡がる前記色素の範囲によって前記液体の量を視覚可能な態様で提示することを含む
付記23に記載の液体量の提示方法。
(付記25)
付記1から付記18の何れか一つに記載のセンサ(10)に用いられる前記スポンジ(18)の製造方法であって、
真菌から得られたキチンをキトサンに分解し、前記キトサンに添加物と溶液とを混合してゲル状の混合物(52)を生成する生成工程(A)と、
前記混合物(52)を攪拌する攪拌工程(B)と、
前記混合物(52)を凍結することにより内部骨格(56A)を有する中間生成物(56)を得る凍結工程(C)と、
前記中間生成物(56)を解凍する解凍工程(D)と、
前記中間生成物(56)を架橋する架橋工程(E)と、
を経ることで前記混合物(52)から前記スポンジ(18)を製造することを含む
スポンジ(18)の製造方法。
(付記26)
生物から排出された液体が気化することにより生じた蒸気を取り込む取込口(24)を有する基材(12)と、
前記取込口(24)と連通するマイクロチャネル(26)を有するマイクロチャネル部材(16)と、
前記マイクロチャネル(26)に充填され、親水性及び吸湿性を有しており、前記蒸気を吸収して前記蒸気から変化した前記液体を保持するスポンジ(18)とを備える
センサ(10)。
(付記27)
真菌から得られたキチンをキトサンに分解し、前記キトサンに添加物と溶液とを混合してゲル状の混合物を生成する生成工程と、前記混合物を攪拌する攪拌工程と、前記混合物を凍結することにより内部骨格を有する中間生成物を得る凍結工程と、前記中間生成物を解凍する解凍工程と、前記中間生成物を架橋する架橋工程とを経て製造されたスポンジ(18)。
(付記28)
デバイス(10)を用いた液体量の提示方法であって、
前記デバイス(10)は、
生物から排出された液体が気化することにより生じた蒸気を取り込む取込口(24)を有する基材(12)と、
前記取込口(24)と連通するマイクロチャネル(26)を有するマイクロチャネル部材(16)と、
前記マイクロチャネル(26)に充填され、親水性及び吸湿性を有しており、前記蒸気を吸収して前記蒸気から変化した前記液体を保持するスポンジ(18)とを備え、
前記提示方法は、
前記蒸気を前記取込口(24)から取り込み、
前記スポンジ(18)によって前記蒸気を吸収して前記蒸気から変化した前記液体を保持し、
前記スポンジ(18)によって保持された前記液体の量を視覚可能な態様で提示することを含む
液体量の提示方法。
(付記28)
真菌から得られたキチンをキトサンに分解し、前記キトサンに添加物と溶液とを混合してゲル状の混合物(52)を生成する生成工程(A)と、
前記混合物(52)を攪拌する攪拌工程(B)と、
前記混合物(52)を凍結することにより内部骨格(56A)を有する中間生成物(56)を得る凍結工程(C)と、
前記中間生成物(56)を解凍する解凍工程(D)と、
前記中間生成物(56)を架橋する架橋工程(E)と、
を経ることで前記混合物(52)からスポンジ(18)を製造することを含む
スポンジ(18)の製造方法。
【符号の説明】
【0107】
10 センサ
12 基材
14 表皮材
16 マイクロチャネル部材
18 スポンジ
18A 中心部
18B 重複部
18C 第1連結部
18D 第2連結部
18E 第3連結部
18F 円弧部
18G 第4連結部
18H 終端部
20 電極層
22 濃度センサ
24 取込口
24A スリット
24B 円形部
25 連通穴
26 マイクロチャネル
26A 第1連結溝
26B 第2連結溝
26C 第3連結溝
26D 円弧溝
26E 第4連結溝
27 排出口
28 開放部
29 凹部
30 色素
32 フィルム
33 連通穴
34 第1電極部
34A 第1円弧部
34B 第1径方向部
34C 接続円弧部
34D 第1導体部
34E 第1接続部
36 第2電極部
36A 第2円弧部
36B 第2径方向部
36C 第2導体部
36D 第2接続部
38 第3電極部
38A センサ接続部
38B 第3導体部
38C 第3接続部
40 PIフィルム
42 電極部
44 量検出部
46 濃度検出部
48 検出部
50 領域
52 混合物
52A アルギン酸ナトリウム
52B ポリビニルアルコール
52C カルボキシメチルセルロース
52D キトサン
52E ホウ酸
54 ブレード
56 中間生成物
56A 内部骨格
58 結晶
60 測定システム
62 測定装置
64 コンピュータ
66 第1検出回路
68 第2検出回路
70 ディスプレイ
72 プロセッサ
74 メモリ
76 パルス
78 ウェアラブルデバイス
80 フレキシブルフラットケーブル