(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025032907
(43)【公開日】2025-03-12
(54)【発明の名称】測位システム
(51)【国際特許分類】
G01S 19/52 20100101AFI20250305BHJP
G01S 19/49 20100101ALI20250305BHJP
G01C 21/28 20060101ALI20250305BHJP
G01S 19/47 20100101ALI20250305BHJP
【FI】
G01S19/52
G01S19/49
G01C21/28
G01S19/47
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023138421
(22)【出願日】2023-08-28
(71)【出願人】
【識別番号】503027931
【氏名又は名称】学校法人同志社
(74)【代理人】
【識別番号】100111349
【弁理士】
【氏名又は名称】久留 徹
(72)【発明者】
【氏名】竹田 正樹
(72)【発明者】
【氏名】宮本 直人
(72)【発明者】
【氏名】廣瀬 圭
(72)【発明者】
【氏名】近藤 亜希子
【テーマコード(参考)】
2F129
5J062
【Fターム(参考)】
2F129BB03
2F129BB22
2F129BB26
2F129BB33
2F129BB46
2F129BB48
5J062CC07
5J062EE04
5J062FF04
(57)【要約】
【課題】より精度の高い位置や速度、加速度などの運動情報を取得できるようにした衛星測位システムを提供する。
【解決手段】複数の衛星2aおよび固定局2bと移動局3との距離に基づいて移動局3の位置情報を取得する位置情報取得部21と、当該位置情報を第一サンプリング時間で微分することによって第一速度を算出する第一速度算出部22と、前記移動局3に設けられたジャイロセンサ41および加速度センサ42と、当該ジャイロセンサ41を用いて、前記加速度センサ42によって検出された加速度の座標系を絶対座標系による加速度に変換する変換部5と、当該変換部5によって変換された加速度を第二サンプリング時間で積分することによって、前記移動局の第二速度を算出する第二速度算出部6と、これらの第一速度と第二速度から補正された補正速度を算出する速度補正部7とを設ける。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の衛星、もしくは、当該複数の衛星および固定局と移動局との距離に基づいて移動局の位置情報を取得する位置情報取得部と、
当該位置情報取得部から得られた位置を第一サンプリング時間で微分することによって第一速度を算出する第一速度算出部と、
前記移動局に設けられたジャイロセンサおよび加速度センサと、
当該ジャイロセンサを用いて、前記加速度センサによって検出された加速度の座標系を絶対座標系による加速度に変換する変換部と、
当該変換部によって変換された加速度を第二サンプリング時間で積分することによって前記移動局の第二速度を算出する第二速度算出部と、
前記第一速度算出部によって得られた第一速度と、前記第二速度算出部で得られた第二速度とを用いて、補正された移動局の補正速度を算出する速度補正部と、
を備えた移動局の測位システム。
【請求項2】
請求項1の移動局の測位システムにおいて、さらに、
前記第二速度算出部によって得られた第二速度を前記第二サンプリング時間で積分して、前記移動局の第二位置を算出する第二位置算出部を備え、
前記位置情報取得部で取得された位置と、前記第二位置算出部で得られた第二位置とを用いて、補正された移動局の補正位置を算出する位置補正部と、
を備えた移動局の測位システム。
【請求項3】
請求項1の移動局の測位システムにおいて、さらに、
前記位置情報出力部から得られた位置を前記第一サンプリング時間で二回微分することによって第一加速度を算出する第一加速度算出部を備え、
前記第一加速度算出部で得られた第一加速度と、変換部によって変換された加速度とから、補正された移動局の補正加速度を算出する加速度補正部と、
を備えた移動局の測位システム。
【請求項4】
複数の衛星、もしくは、当該複数の衛星および固定局と移動局との距離に基づいて移動局の位置情報を取得するステップと、
当該取得された位置情報を第一サンプリング時間で微分することによって第一速度を算出するステップと、
前記移動局に設けられたジャイロセンサを用いて、当該移動局に設けられた加速度センサによって検出された加速度の座標系を絶対座標系による加速度に変換するステップと、
当該変換された加速度を第二サンプリング時間で積分することによって、前記移動局の第二速度を算出するステップと、
前記第一速度と第二速度を用いて、補正された移動局の補正速度を算出するステップと、
を備えた移動局の測位方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、RTK方式などの衛星測位システム(以下、「GNSS」と称する)を用いて、移動局の速度などの運動状態を正確に計測できるようにした測位システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在、自動車などの移動局の位置を測定する場合、GPSなどのGNSSが一般的に使用されている。このGPSは、複数の衛星との距離を電波によって計測し、それぞれの電波との距離に基づいて計測対象物の位置を計測できるようにしたものである(特許文献1参照)。
【0003】
しかしながら、このGPSでは、測位のためのサンプリング周波数が10Hzから100Hz程度と粗く、細かな運動には対応することができないばかりでなく、また、位置計測も数メートルの範囲内でずれてしまう。
【0004】
これに対して、RTK方式を用いた衛星測位システムは、複数の衛星局に対して、地上側に固定局を設け、移動局の位置を複数の衛星局からの距離によって測位するとともに、固定局からの補正情報に基づいて、数センチのずれで移動局の位置情報を計測できるようにしたものである。このため、小さな位置の変化を有する移動局の運動を正確に計測できるようなシステムとして活用され始めている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、このようなRTK方式においても、数センチレベルの誤差を有するため、移動局のさらに細かな位置を検出することができず、例えば、人間の手足などのような、運動の解析には適用することが難しい。さらに、その計測された位置に基づいて、速度や加速度などを検出する場合、誤差を有する位置情報を測位のためのサンプリング周期で微分して速度を計算し、さらに、その速度をさらに微分して加速度を検出しなければならないため、誤差が大きくなってしまう。
【0007】
そこで、本発明は上記課題を解決するために、より精度の高い速度などの運動状態を計測できるようにした衛星測位システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
すなわち、本発明は上記課題を解決するために、複数の衛星、もしくは、当該複数の衛星および固定局と移動局との距離に基づいて移動局の位置情報を取得する位置情報取得部と、当該位置情報取得部から得られた位置を第一サンプリング時間で微分することによって第一速度を算出する第一速度算出部と、前記移動局に設けられたジャイロセンサおよび加速度センサと、当該ジャイロセンサを用いて、前記加速度センサによって検出された加速度の座標系を絶対座標系による加速度に変換する変換部と、当該変換部によって変換された加速度を第二サンプリング時間で積分することによって前記移動局の第二速度を算出する第二速度算出部と、を備え、前記第一速度算出部によって得られた第一速度と、前記第二速度算出部で得られた第二速度とを用いて、補正された移動局の補正速度を算出する速度補正部と、を備えるようにしたものである。
【0009】
このように構成すれば、加速度センサの座標系と、衛星からの位置情報に基づく絶対座標系とを一致させた状態で、衛星からの位置情報を微分して得られた第一速度と、加速度センサで検出された加速度をサンプリング時間で積分して得られた第二速度とを用いて、最終的な補正速度を算出するようにしているため、より正確な速度を計測することができるようになる。
【0010】
また、このような発明において、さらに、前記第二速度算出部によって得られた第二速度を前記第二サンプリング時間で積分して、前記移動局の第二位置を算出する第二位置算出部を備え、前記位置情報取得部で取得された位置と、前記第二位置算出部で得られた第二位置とを用いて、補正された移動局の補正位置を算出する位置補正部と、を備えて構成することもできる。
【0011】
このように構成すれば、加速度センサによって検出された加速度を第二サンプリング時間で二回積分した第二位置と、衛星から得られた位置情報を用いて、最終的に補正された補正位置を算出するようにしているため、より正確な位置を計測することができるようになる。
【0012】
さらに、前記位置情報出力部から得られた位置を前記第一サンプリング時間で二回微分することによって第一加速度を算出する第一加速度算出部を備え、前記第一加速度算出部で得られた第一加速度と、変換部によって変換された加速度とから、補正された移動局の補正加速度を算出する加速度補正部と、を備えるようにすることもできる。
【0013】
このように構成すれば、加速度センサからの加速度と、衛星からの位置情報の変位に基づく第二加速度を用いて、最終的に補正された補正加速度を算出するようにしているため、より正確な加速度を計測することができるようになる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、加速度センサの座標系と、衛星からの位置情報に基づく絶対座標系とを一致させた状態で、衛星からの位置情報を微分して得られた第一速度と、加速度センサで検出された加速度を第二サンプリング時間で積分して得られた第二速度と、を用いて、最終的な補正速度を算出するようにしているため、より正確な速度を計測することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の一実施の形態における測位システムの外観図
【
図7】同形態における処理のフローチャートを示す図
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の一実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0017】
この実施の形態の測位システム1は、衛星2aや固定局2bを用いて移動局3の位置を測位し、その位置から移動局3の速度などの運動状態を検出できるようにしたものであって、ハードウェアとして、複数の衛星2aや、固定局2b、移動局3に取り付けられた慣性センサ4などを備えて構成される。そして、特徴的に、複数の衛星2aや固定局2bを用いて、移動局3の位置を検出し、その検出された位置に基づいて第一速度を算出するとともに、一方、その移動局3に取り付けられた慣性センサ4を用いて、移動局3の加速度を検出し、その検出された加速度を用いて、第二速度を算出できるようにしたものである。そして、これらの算出された第一速度と第二速度とを用いて、補正された補正速度を推定できるようにしたものである。以下、本実施の形態における測位システム1について、詳細に説明する。
【0018】
まず、位置情報取得部21は、4つ以上の衛星2aからの電波を用いて、移動局3の位置を測定できるように構成される。このとき、使用されるGNSSシステムとしては、GPS方式を用いてもよいが、このGPS方式では検出精度に数メートルの誤差が含まれてしまうため、ここでは、地上側に固定局2bを設け、この固定局2bと移動局3との距離によって、移動局3の位置を補正するRTK方式を用いるものとする。このようなRTK方式によれば、位置情報を数センチレベルの誤差で検出することが可能となる。なお、この位置情報の取得は、10Hzから100Hz程度のサンプリング周期(第一サンプリング時間ごと)で取得される。このとき、位置情報取得部21で取得された移動局3の位置情報は、絶対座標系を基準とする位置情報として取得される。
【0019】
第一速度算出部22は、この位置情報取得部21によって取得された位置情報の変位に基づいて、絶対座標系を基準とする移動局3の第一速度を算出するものであって、第一サンプリング時間ごとに取得された位置情報の変位から、その移動局3の絶対座標系における第一速度を次式で算出する。
【0020】
【0021】
なお、この位置情報取得部21で取得された位置情報は、数センチレベルで誤差を有するものであり、また、第一サンプリング時間も比較的長いものであるため、算出された第一速度は、人間の手足の動きなどのような細かい運動解析を行う場合、精度が悪くなる。そこで、ここでは、移動局3に設けられた慣性センサ4を用いて、最終的な補正速度を算出できるようにしている。
【0022】
この慣性センサ4は、移動局3に取り付けられるジャイロセンサ41や加速度センサ42によって構成されるものであって、その慣性センサ4を基準とする座標系の三軸周りの角速度や三軸方向に沿った加速度を、その慣性センサ4の第二サンプリング周期(第二サンプリング時間ごと)で検出する。なお、この慣性センサ4の第二サンプリング周期は、GNSSの第一サンプリング周期よりも大きく、1000Hz程度の周期で検出される。
【0023】
ところで、このように加速度センサ42で検出された加速度は、GNSSの絶対座標系を基準とする値とは異なるものであるため、加速度の方向を絶対座標系に一致させる必要がある。そこで、変換部5を用いて、加速度センサ42の座標系の加速度を絶対座標系の加速度に変換させる。
【0024】
変換部5で、慣性センサ4の座標系を絶対座標系の値に変換させる場合、ジャイロセンサ41から得られた角速度を用いて、慣性センサ4における座標系である三軸周りの角速度を検出する。一般に、絶対座標系におけるロール角の微分値、ピッチ角の微分値、ヨー角の微分値と、ジャイロセンサ41の角速度との間には、数2の関係が成立する。
【0025】
【0026】
一方、ヨー角の角速度からヨー角を得る場合、その角速度を積分することにより、次式に示すようにヨー角が得られる。
【0027】
【0028】
すなわち、この数3をサンプリング時間Tsを用いて計算すると、次式で表されるヨー角が得られる。
【0029】
【0030】
この関係式を考慮して、数2のヨー角をサンプリング時間Tsを用いて計算すると、ヨー角は数5で示される。
【0031】
【0032】
このとき、初期値としては、慣性センサ4を取り付けた状態の移動局3を、あらかじめ水平状態で北に向いてもらい、絶対座標系に近づけた状態の値を初期値として入力させるようにしておく。
【0033】
以下、同様にして、数2からロール角、ピッチ角を計算し、慣性センサ4の座標系を基準とするX軸周りの回転であるロール角や、Y軸周りの回転であるピッチ角、方位であるZ軸周りの回転であるヨー角を算出する。
【0034】
そして、あらかじめ入力された初期値から順次算出されたロール角、ピッチ角、ヨー角を用いて、加速度センサ42の座標系を基準とする加速度(Ax,Ay,Az)を、北方位を基準とする絶対座標系の加速度(ax,ay,az)に変換する。
【0035】
ところで、このように絶対座標系によるz軸方向の加速度には、重力加速度が含まれることになるため、変換された絶対座標系のz軸方向の加速度から重力加速度を引いておくようにする。
【0036】
次に、第二速度算出部6を用いて、このように変換された絶対座標系を基準とするxyz軸方向の加速度Aを第二サンプリング時間で積分して、xyz軸方向に沿った第一速度Vを算出する。なお、次式において、VやAは、ベクトルを示すものである。
【0037】
【0038】
この関係式を第二サンプリング時間Tsを用いて計算すると、加速度センサ42からの情報を絶対座標系に変換した第一速度が得られる。
【0039】
そして、前記位置情報取得部21によって検出された位置の変位に基づく第一速度と、前記変換部5によって絶対座標系に変換された加速度から計算された第二速度と、を用いて、速度補正部7を用いて移動局3の補正速度を算出する。
【0040】
この補正速度の算出方法については、種々の方法を用いることができる。
【0041】
<第一の補正方法>
【0042】
第一の補正方法として、GNSSから得られた情報に基づく第一速度と、加速度センサ42から得られた情報に基づく第二速度とが存在している場合、
図3に示すように、第一速度と第二速度の平均値を補正速度として算出することができる。このような方法によれば、片側だけから算出された速度に比べて、誤差を小さくすることができるようになる。
【0043】
<第二の補正方法>
【0044】
第二の補正方法として、GNSSによる第一サンプリング時間と、加速度センサ42による第二サンプリング時間とが、略一致している場合、
図4に示すように、GNSSから得られた情報に基づく第一速度と、加速度センサ42から得られた情報に基づく第二速度の間の値(例えば、平均値など)を補正速度として算出し、一方、第一サンプリング時間と一致していない第二サンプリング時間においては、加速度センサ42から得られた情報に基づく第二速度を補正速度として算出することもできる。
【0045】
<第三の補正方法>
【0046】
第三の補正方法として、加速度センサ42によって大きな加速度が検出された場合、急激な細かな速度変化が生じているとみなし、
図5に示すように、加速度センサ42の加速度の大きさに応じて、加速度センサ42から得られた情報に基づく第二速度の影響の割合を大きくし、逆に、GNSSから得られた情報に基づく第一速度の影響の割合を小さくして、補正速度を算出することもできる。このようにすれば、加速度センサ42によって、急激な動きを検知した場合に、その加速度センサ42から得られた加速度に基づく第二速度の影響を大きくして、実際の速度に近づけることができるようになる。
【0047】
<第四の補正方法>
【0048】
第四の補正方法として、加速度センサ42から得られた情報に基づく第一速度と、GNSSから得られた情報に基づく第二速度とが存在している場合、
図6に示すように、拡張カルマンフィルタを用いて補正された速度を算出することもできる。このような方法によれば、計算を高速に行うことができ、また、精度高く補正速度を推定することが可能となる。
【0049】
次に、このように構成された測位システム1における速度の推定方法について、
図7のフローチャートを用いて説明する。
【0050】
まず、位置情報取得部21を用いて、GNSSから得られた位置情報を取得する(ステップS1)。そして、第一サンプリング時間ごとに、この位置情報の差分をとり、GNSSから得られた情報に基づく第一速度を算出する(ステップS2)。なお、このとき算出された第一速度は、北方位を基準とする絶対座標系の速度となる。
【0051】
一方、移動局3に設けられた加速度センサ42から、移動局3の座標系を基準とする加速度を計測する(ステップS3)。
【0052】
そして、この計測された加速度を、絶対座標系を基準とする加速度に変換すべく、ジャイロセンサ41を用いてヨー角やピッチ角、ロール角を算出し、この算出された角度に基づいて、加速度センサ42で得られた加速度を絶対座標系に基づく加速度に変換する(ステップS4)。
【0053】
そして、このように変換された加速度センサ42の加速度を、第二サンプリング時間で積分し、加速度センサ42に基づく情報から第二速度を算出する(ステップS5)。
【0054】
次に、このように算出されたGNSSからの情報に基づく第一速度と、加速度センサ42に基づく第二速度から、補正された補正速度を算出する(ステップS6)。
【0055】
このとき、第一の補正方法で補正速度を算出する場合、第一速度と第二速度の平均値を算出し、また、第二の補正方法で補正速度を算出する場合、それぞれのサンプリング時間が一致している時間でのみ、中間値を補正速度とし、また、一致していない場合は、第二速度を補正速度とする。また、第三の補正方法で補正速度を算出する場合、加速度センサ42の加速度の大きさに応じて、加速度センサ42からの情報に基づく速度の割合を大きくして、補正速度を算出する。さらに、第四の補正方法で補正速度を算出する場合、拡張カルマンフィルタを用いて補正速度を算出する。
【0056】
このように上記実施の形態によれば、複数の衛星2a、もしくは、当該複数の衛星2aおよび固定局2bと移動局3との距離に基づいて移動局3の位置情報を取得する位置情報取得部21と、当該位置情報取得部21から得られた位置を第一サンプリング時間で微分することによって第一速度を算出する第一速度算出部22と、前記移動局3に設けられたジャイロセンサ41および加速度センサ42と、当該ジャイロセンサ41を用いて、前記加速度センサ42によって検出された加速度の座標系を絶対座標系による加速度に変換する変換部5と、当該変換部5によって変換された加速度を第二サンプリング時間で積分することによって、前記移動局3の第二速度を算出する第二速度算出部6と、を備え、前記第一速度算出部22で得られた第一速度と、前記第二速度算出部6で得られた第二速度とを用いて、補正された補正速度を算出する速度補正部7と、を備えるようにしたので、より正確に移動局3の速度を計測することができるようになる。
【0057】
なお、本発明は上記実施の形態に限定されることなく、種々の態様で実施することができる。
【0058】
例えば、上記実施の形態では、GNSSからの情報に基づく位置情報を微分して第一速度を算出するとともに、加速度センサ42の情報に基づく加速度を積分して第二速度を算出するようにしたが、加速度センサ42の情報に基づく加速度を二回積分して位置情報(第二位置)を算出し、この第二位置と、前記位置情報取得部21からの位置情報を用いて、位置補正部で位置情報を補正するようにしてもよい。あるいは、逆に、GNSSからの位置情報の変位を第一サンプリング時間で二回微分して加速度(第一加速度)を算出し、この第一加速度と、前記変換部5で絶対座標件に変換して得られた加速度を用いて、加速度補正部で補正加速度を算出するようにしてもよい。このとき、加速度センサ42の値を絶対座標系の加速度に変換させた後では、重力加速度による影響がある程度残るため、GNSSの位置情報から得られた加速度を用いて補正すると、より正確な加速度を算出することができる。
【0059】
また、上記実施の形態では、移動局3の速度を算出するようにしたが、角速度などを出力するようにしてもよい。このとき、角速度として、絶対座標系によるxyz軸周りの角速度を出力するようにしておく。
【0060】
さらに、上記実施の形態では、平均値や、中間値、カルマンフィルタを用いた値を用いて補正速度を算出するようにしたが、これ以外の方法として、相補フィルタなどを用いて補正速度を算出するようにしてもよい。
【0061】
また、上記実施の形態では、ジャイロセンサ41を用いて角度を算出するようにしたが、これ以外に、地磁気センサを用いて角度を算出するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0062】
1・・・測位システム
2a・・・衛星
2b・・・固定局
21・・・位置情報取得部
22・・・第一速度算出部
3・・・移動局
4・・・慣性センサ
41・・・ジャイロセンサ
42・・・加速度センサ
5・・・変換部
6・・・第二速度算出部
7・・・速度補正部