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特開2025-32918測定装置、測定システム、及び、プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025032918
(43)【公開日】2025-03-12
(54)【発明の名称】測定装置、測定システム、及び、プログラム
(51)【国際特許分類】
   G01D 21/00 20060101AFI20250305BHJP
【FI】
G01D21/00 M
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023138434
(22)【出願日】2023-08-28
(71)【出願人】
【識別番号】000006507
【氏名又は名称】横河電機株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】596157780
【氏名又は名称】横河計測株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100169823
【弁理士】
【氏名又は名称】吉澤 雄郎
(74)【代理人】
【識別番号】230128026
【弁護士】
【氏名又は名称】駒木 寛隆
(72)【発明者】
【氏名】谷川 彰
(72)【発明者】
【氏名】森山 裕之
(72)【発明者】
【氏名】片岡 浩一
【テーマコード(参考)】
2F076
【Fターム(参考)】
2F076BA01
2F076BA11
2F076BD05
2F076BE06
2F076BE19
(57)【要約】
【課題】フレームコントローラを複数スロット幅モジュールに対応可能とする。
【解決手段】測定装置は、モジュールを接続可能な複数のスロットと、前記複数のスロットに接続された前記モジュールに対する電力の供給を制御する電源管理部と、前記モジュールにより取得された測定信号を表示する表示部と、を備え、前記電源管理部は、前記複数のスロットのいずれかにおいて異常が検出された場合に、当該異常が検出された前記スロットに接続された前記モジュールが接続する全ての前記スロットを対象スロットとして特定し、前記特定された対象スロットにおける電力の供給を停止する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モジュールを接続可能な複数のスロットと、
前記複数のスロットに接続された前記モジュールに対する電力の供給を制御する電源管理部と、
前記モジュールにより取得された測定信号を表示する表示部と、
を備え、
前記電源管理部は、
前記複数のスロットのいずれかにおいて異常が検出された場合に、当該異常が検出された前記スロットに接続された前記モジュールが接続する全ての前記スロットを対象スロットとして特定し、
前記特定された対象スロットにおける電力の供給を停止する、
測定装置。
【請求項2】
前記測定装置に接続された前記モジュールの各々について、当該モジュールが接続している前記スロットを示す情報である電源制御テーブルを保持する保持部を更に備え、
前記電源管理部は、前記複数のスロットのいずれかにおいて異常が検出された場合に、前記電源制御テーブルを参照して、前記対象スロットを特定する、
請求項1に記載の測定装置。
【請求項3】
前記電源管理部は、
前記測定装置に接続された前記モジュールの各々について、当該モジュールが前記測定装置に接続するための前記スロットの配置を含むコネクタ情報を取得し、
前記測定装置に接続された前記モジュールの各々についての前記コネクタ情報に基づき、前記電源制御テーブルを作成し、
作成した前記電源制御テーブルを前記保持部に保持させる、
請求項2に記載の測定装置。
【請求項4】
前記電源管理部は、
前記測定装置に接続された前記モジュールの各々について、当該モジュールの型名を取得し、
前記測定装置に接続された前記モジュールの各々についての前記型名に基づき、前記コネクタ情報を取得する、
請求項3に記載の測定装置。
【請求項5】
前記電源管理部は、前記測定装置に接続された前記モジュールの各々から、当該モジュールについての前記コネクタ情報を取得する、請求項3に記載の測定装置。
【請求項6】
前記複数のスロットに対応して設けられ、当該スロットに接続された前記モジュールに対する電力の供給の有無を切り替える、複数の電源制御部を更に備え、
前記電源管理部は、前記複数の電源制御部を制御して、前記複数のスロットに接続された前記モジュールに対する電力の供給を制御する、
請求項1に記載の測定装置。
【請求項7】
前記複数の電源制御部から取得される情報に基づき、前記複数のスロットにおける、当該スロットに接続された前記モジュールに対する電力供給に関する異常を検出する異常検出部を更に備え、
前記電源管理部は、前記異常検出部により前記複数のスロットのいずれかにおいて異常が検出された場合に、当該異常が検出された前記スロットに接続された前記モジュールが接続する全ての前記スロットを対象スロットとして特定する、
請求項6に記載の測定装置。
【請求項8】
前記複数のスロットに対応して設けられ、当該スロットに接続された前記モジュールと通信する、複数のモジュール通信部を更に備え、
前記電源管理部は、前記複数のモジュール通信部のいずれかにより、当該モジュール通信部と通信した前記モジュールから異常を示す異常情報を受信した場合に、当該モジュール通信部に対応する前記スロットに接続された前記モジュールが接続する全ての前記スロットを対象スロットとして特定する、
請求項1に記載の測定装置。
【請求項9】
モジュールと、
前記モジュールと接続可能な測定装置と、
を備える測定システムであって、
前記測定装置は、
前記モジュールを接続可能な複数のスロットと、
前記複数のスロットに接続された前記モジュールに対する電力の供給を制御する電源管理部と、
前記モジュールにより取得された測定信号を表示する表示部と、
を備え、
前記電源管理部は、
前記複数のスロットのいずれかにおいて異常が検出された場合に、当該異常が検出された前記スロットに接続された前記モジュールが接続する全ての前記スロットを対象スロットとして特定し、
前記特定された対象スロットにおける電力の供給を停止する、
測定システム。
【請求項10】
プロセッサと、
モジュールを接続可能な複数のスロットと、
前記複数のスロットに接続された前記モジュールにより取得された測定信号を表示する表示部と、
を備えた測定装置を制御するプログラムであって、
前記プロセッサに、
前記複数のスロットのいずれかにおいて異常が検出された場合に、当該異常が検出された前記スロットに接続された前記モジュールが接続する全ての前記スロットを対象スロットとして特定する手順と、
前記特定された対象スロットにおける電力の供給を停止する手順と、
を実行させるプログラム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、測定装置、測定システム、及び、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
様々な計測機能を備えた複数のモジュールを接続可能なフレームコントローラが知られている。例えば、波長可変光源、光パワーメータ、光減衰器、又は、光スイッチなどの、各種プラグインモジュールを接続可能なモジュール型計測器は、このようなフレームコントローラに当たる。フレームコントローラは、モジュールを接続するための複数のスロットを備え、スロットにはめ込まれたモジュールに対して電力を供給して各モジュールを動作させることが一般的である。
【0003】
特許文献1、2には、接続されたモジュールに対する電力供給に関する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002-125373号公報
【特許文献2】特開2015-102901号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、従来の構成は、複数のスロットを介してフレームコントローラに接続する複数スロット幅モジュールへの対応という点で改善の余地があった。例えば、従来の構成は、複数スロット幅モジュールが占有する各スロットに対する電力供給を同時に停止することができなかった。そのため、一部のスロットのコネクタを介して過大な電流が流れ、結果として複数スロット幅モジュールの内部回路を破損する可能性があった。
【0006】
本開示の目的は、フレームコントローラを複数スロット幅モジュールに対応可能とすることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示によれば、測定装置は、
(1)モジュールを接続可能な複数のスロットと、
前記複数のスロットに接続された前記モジュールに対する電力の供給を制御する電源管理部と、
前記モジュールにより取得された測定信号を表示する表示部と、
を備え、
前記電源管理部は、
前記複数のスロットのいずれかにおいて異常が検出された場合に、当該異常が検出された前記スロットに接続された前記モジュールが接続する全ての前記スロットを対象スロットとして特定し、
前記特定された対象スロットにおける電力の供給を停止する。
【0008】
このように、測定装置は、複数のスロットのいずれかにおいて異常が検出された場合に、異常が検出されたスロットに接続されたモジュールが接続する全てのスロットを特定して、そのスロットにおける電力の供給を停止する。したがって、測定装置によれば、異常が検出されたスロットに接続されたモジュールに対する電力供給を同時に停止することができる。よって、測定装置は、複数のスロットを介して接続する複数スロット幅モジュールに対応することが可能である。
【0009】
(2)(1)の測定装置において、
前記測定装置に接続された前記モジュールの各々について、当該モジュールが接続している前記スロットを示す情報である電源制御テーブルを保持する保持部を更に備え、
前記電源管理部は、前記複数のスロットのいずれかにおいて異常が検出された場合に、前記電源制御テーブルを参照して、前記対象スロットを特定してもよい。
【0010】
このように、電源管理部は、複数のスロットのいずれかにおいて異常が検出された場合に、電源制御テーブルを参照して対象スロットを特定する。したがって、測定装置は、異常が検出されたスロットに接続されたモジュールが接続する全てのスロットを適切に特定して、そのスロットにおける電力の供給を停止することが可能である。
【0011】
(3)(2)の測定装置において、
前記電源管理部は、
前記測定装置に接続された前記モジュールの各々について、当該モジュールが前記測定装置に接続するための前記スロットの配置を含むコネクタ情報を取得し、
前記測定装置に接続された前記モジュールの各々についての前記コネクタ情報に基づき、前記電源制御テーブルを作成し、
作成した前記電源制御テーブルを前記保持部に保持させてもよい。
【0012】
このように、測定装置は、接続されたモジュールの各々についてのコネクタ情報に基づき電源制御テーブルを作成し、その電源テーブルを用いて電力供給を停止する対象スロットを特定する。したがって、測定装置は、モジュールの接続の状況に応じて、電力供給を停止する対象スロットを適切に特定することが可能である。
【0013】
(4)(3)の測定装置において、
前記電源管理部は、
前記測定装置に接続された前記モジュールの各々について、当該モジュールの型名を取得し、
前記測定装置に接続された前記モジュールの各々についての前記型名に基づき、前記コネクタ情報を取得してもよい。
【0014】
このように、測定装置は、接続されたモジュールの型名に基づき、そのモジュールについてのコネクタ情報を取得する。したがって、測定装置は、モジュールとの間で膨大な通信を伴うことなく、モジュールに対応するコネクタ情報を取得することが可能である。
【0015】
(5)(3)の測定装置において、
前記電源管理部は、前記測定装置に接続された前記モジュールの各々から、当該モジュールについての前記コネクタ情報を取得してもよい。
【0016】
このように、測定装置は、接続されたモジュールの各々から、そのモジュールについてのコネクタ情報を取得する。したがって、測定装置は、モジュールに対応する正確なコネクタ情報を取得することが可能である。
【0017】
(6)(1)から(5)のいずれかの測定装置において、
前記複数のスロットに対応して設けられ、当該スロットに接続された前記モジュールに対する電力の供給の有無を切り替える、複数の電源制御部を更に備え、
前記電源管理部は、前記複数の電源制御部を制御して、前記複数のスロットに接続された前記モジュールに対する電力の供給を制御してもよい。
【0018】
このように、測定装置は、接続されたモジュールに対する電力の供給の有無を切り替える電源制御部をスロットごとに備え、電源管理部は、電源制御部を制御して、モジュールに対する電力の供給を制御する。したがって、測定装置は、異常を検出したスロットに応じて、各スロットにおける電力供給を容易に切り替えることが可能である。
【0019】
(7)(6)の測定装置において、
前記複数の電源制御部から取得される情報に基づき、前記複数のスロットにおける、当該スロットに接続された前記モジュールに対する電力供給に関する異常を検出する異常検出部を更に備え、
前記電源管理部は、前記異常検出部により前記複数のスロットのいずれかにおいて異常が検出された場合に、当該異常が検出された前記スロットに接続された前記モジュールが接続する全ての前記スロットを対象スロットとして特定してもよい。
【0020】
このように、測定装置は、複数のスロットにおける、当該スロットに接続されたモジュールに対する電力供給に関する異常を検出する異常検出部により異常を検出する。したがって、測定装置は、各スロットにおける異常を適切に検出して、電力供給を切り替えることが可能である。
【0021】
(8)(1)から(7)のいずれかの測定装置において、
前記複数のスロットに対応して設けられ、当該スロットに接続された前記モジュールと通信する、複数のモジュール通信部を更に備え、
前記電源管理部は、前記複数のモジュール通信部のいずれかにより、当該モジュール通信部と通信した前記モジュールから異常を示す異常情報を受信した場合に、当該モジュール通信部に対応する前記スロットに接続された前記モジュールが接続する全ての前記スロットを対象スロットとして特定してもよい。
【0022】
このように、測定装置は、モジュールから異常情報を受信したことに基づき異常を検出するため、モジュール側の異常に応じて、電力供給を適切に切り替えることが可能である。
【0023】
本開示によれば、測定システムは、
(9)モジュールと、
前記モジュールと接続可能な測定装置と、
を備える測定システムであって、
前記測定装置は、
前記モジュールを接続可能な複数のスロットと、
前記複数のスロットに接続された前記モジュールに対する電力の供給を制御する電源管理部と、
前記モジュールにより取得された測定信号を表示する表示部と、
を備え、
前記電源管理部は、
前記複数のスロットのいずれかにおいて異常が検出された場合に、当該異常が検出された前記スロットに接続された前記モジュールが接続する全ての前記スロットを対象スロットとして特定し、
前記特定された対象スロットにおける電力の供給を停止する。
【0024】
このように、測定システムは、複数のスロットのいずれかにおいて異常が検出された場合に、異常が検出されたスロットに接続されたモジュールが接続する全てのスロットを特定して、そのスロットにおける電力の供給を停止する。したがって、測定システムによれば、異常が検出されたスロットに接続されたモジュールに対する電力供給を同時に停止することができる。よって、測定システムは、複数のスロットを介して接続する複数スロット幅モジュールに対応することが可能である。
【0025】
本開示によれば、プログラムは、
(10)プロセッサと、
モジュールを接続可能な複数のスロットと、
前記複数のスロットに接続された前記モジュールにより取得された測定信号を表示する表示部と、
を備えた測定装置を制御するプログラムであって、
前記プロセッサに、
前記複数のスロットのいずれかにおいて異常が検出された場合に、当該異常が検出された前記スロットに接続された前記モジュールが接続する全ての前記スロットを対象スロットとして特定する手順と、
前記特定された対象スロットにおける電力の供給を停止する手順と、
を実行させる。
【0026】
このように、プログラムに基づき動作する測定装置は、複数のスロットのいずれかにおいて異常が検出された場合に、異常が検出されたスロットに接続されたモジュールが接続する全てのスロットを特定して、そのスロットにおける電力の供給を停止する。したがって、当該測定装置によれば、異常が検出されたスロットに接続されたモジュールに対する電力供給を同時に停止することができる。よって、当該測定装置は、複数のスロットを介して接続する複数スロット幅モジュールに対応することが可能である。
【発明の効果】
【0027】
本開示の一実施形態によれば、フレームコントローラを複数スロット幅モジュールに対応可能とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】比較例に係るフレームシステムの構成を示す図である。
図2】一実施形態に係るフレームコントローラの外観の一例を示す図である。
図3】一実施形態に係るモジュールの外観の一例を示す図である。
図4】一実施形態に係るフレームシステムの構成例を示すブロック図である。
図5】一実施形態に係るフレームコントローラの動作例を示すフローチャートである。
図6】モジュールの実装例と電源制御テーブルの一例を示す図である。
図7】一実施形態に係るフレームシステムの構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
<比較例>
図1は、比較例に係るフレームシステム9の構成を示す図である。フレームシステム9は、比較例に係るフレームコントローラ90及びモジュール94(94a,94b)を備える。比較例に係るフレームコントローラ90は、モジュール94を実装することが可能な複数のスロットを有する。モジュール94は、フレームコントローラ90に測定値等の様々な情報を提供する。モジュール94は、フレームコントローラ90と接続するためのコネクタを有する。ユーザは、モジュール94をスロットに実装することで、モジュール94のコネクタをフレームコントローラ90に接続する。
【0030】
モジュール94のコネクタは、フレームコントローラ90から、駆動電源となる電力を受給したり、動作制御信号を受信したりするための信号線を有する。フレームコントローラ90に接続されたモジュール94は、動作制御信号に基づき様々な物理量の測定値を示す電気信号を取得する等、そのモジュール94の種類に応じた動作を行う。モジュール94は、コネクタを介して取得した物理量の測定値等の情報をフレームコントローラ90へ送信する。
【0031】
比較例に係るフレームコントローラ90は、電源制御部91(91a,91b)、モジュール通信部92(92a,92b)、及び、異常検出部93を備える。フレームコントローラ90は、スロットごとに、電源制御部91(91a,91b)、及び、モジュール通信部92(92a,92b)を1つずつ備える。
【0032】
電源制御部91は、対応するスロットに実装されたモジュール94に対して、駆動電源としての電力の供給の有無を切り替える機能を有する。また、電源制御部91は、モジュール94に対する駆動電源としての電力供給に関して、電圧及び電流等の情報を取得する機能を有する。
【0033】
モジュール通信部92は、モジュール94と通信し、モジュール94の型名を含む情報の取得、及び、モジュール94の動作制御を行う機能を有する。モジュール通信部92がモジュール94との間で送受信する情報には、モジュール94の挿抜をフレームコントローラ90が認識するための信号も含まれる。
【0034】
異常検出部93は、電源制御部91が取得した情報に基づいて、各スロットにおける異常を検出する機能を有する。異常検出部93は、あるスロットにおける電力供給の異常を検出した場合、そのスロットにおける電源制御部91を制御して、電力の供給を停止させることができる。
【0035】
上記のような構成において、電源制御部91は、モジュール94が実装されているスロットを検出し、そのスロットに取り付けられたモジュール94に対する電力供給を開始する。次に、モジュール通信部92は、モジュール94と通信して、接続されているモジュール94の型名を取得する。異常検出部93は、各電源制御部91を常時監視する。異常検出部93は、いずれかのスロットの電源制御部91における異常を検知した場合、そのスロットにおける電源制御部91に対して、モジュール94への電力供給の停止を指示する。
【0036】
ここで、比較例に係るフレームコントローラ90に対して複数スロット幅モジュールを接続する状況を考える。複数スロット幅モジュールとは、1台のモジュールで複数のスロットを占有するモジュールをいう。複数スロット幅モジュールは、複数のコネクタを備え、複数のスロットを介してフレームコントローラ90に接続してもよい。
【0037】
複数スロット幅モジュールにおいては、コネクタ1つあたりに流せる電流量には上限がある。そこで、電源容量確保を目的として、複数のコネクタに対してフレームコントローラ90の電源を並列に接続し、電力供給を並列に実施することが考えられる。このような内部で電源を並列接続する複数スロット幅モジュールにおいては、電力供給の開始及び終了のタイミングがコネクタにより異なると、電力供給停止が遅いコネクタに電流が集中し、その結果、内部回路を破損する可能性がある。したがって、複数スロット幅モジュールに対する電力供給の開始及び停止は、複数スロット幅モジュールの破損防止の観点から、全てのコネクタに対して同時に行う必要がある。
【0038】
しかし、比較例に係るフレームコントローラ90に対して複数スロット幅モジュールを接続した場合、複数のコネクタにおける電力供給を同時に停止することができない。そこで、比較例に係るフレームコントローラ90においては、電源の並列接続を禁止することが考えられる。もっとも、複数スロット幅モジュールの内部で電源を並列接続しない場合であっても、全てのコネクタに対する電力供給を同時に停止しないと、内部回路が破損する場合がある。例えば、先に電力供給を停止したコネクタに接続された回路に対して信号が送られた場合、ラッチアップ等により回路を破損する可能性がある。したがって、比較例に係るフレームコントローラ90においては、仮に電源の並列接続を禁止したとしても、内部回路の破損防止の観点から、設計上の制約がある。
【0039】
このように、比較例に係るフレームコントローラ90は、複数スロット幅モジュールへの対応という点で改善の余地がある。
【0040】
<実施形態>
以下、本開示の一実施形態について、図面を参照して説明する。各図面中、同一の構成又は機能を有する部分には、同一の符号を付している。本実施形態の説明において、同一の部分については、重複する説明を適宜省略又は簡略化する場合がある。
【0041】
図2は、一実施形態に係るフレームコントローラ10の外観の一例を示す図である。図3は、一実施形態に係るモジュール20の外観の一例を示す図である。図4は、一実施形態に係るフレームシステム1の構成例を示すブロック図である。図4に示すように、測定システムとしてのフレームシステム1は、フレームコントローラ10及びモジュール20を備える。
【0042】
図2に示すように、測定装置としてのフレームコントローラ10は、複数のスロット17、表示部18、及び、操作部19を備える。
【0043】
スロット17は、モジュール20を実装するための差込口である。スロット17は、モジュール20を接続可能である。フレームコントローラ10は、スロット17の内部において、モジュール20のコネクタ25(図3参照)と電気的及び機械的に接続するための接続部を備えてもよい。
【0044】
表示部18は、ユーザに対して情報を表示するモニタである。表示部18は、例えば、モジュール20により取得した信号の波形等を表示する。表示部18は、例えば、液晶パネルディスプレイ又は有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ等としてもよい。表示部18は、操作部19と一体的に設けられたタッチスクリーン(タッチパネル)として構成されてもよい。
【0045】
操作部19は、ユーザからの操作を受け付ける1つ以上の入力インターフェースを含む。操作部19は、例えば、物理キー、静電容量キー、ポインティングディバイス、又は、表示部18と一体的に設けられたタッチスクリーン等であるが、これらに限定されない。上述の表示部18及び操作部19の少なくとも一方は、フレームコントローラ10と一体に構成されてもよいし、別体として設けられてもよい。
【0046】
モジュール20は、フレームコントローラ10に測定値等の情報を提供する。モジュール20は、例えば、波長可変光源、光パワーメータ、光減衰器、又は、光スイッチなどの、各種プラグインモジュールとしてもよい。あるいは、モジュール20は、電圧、電流、及び、電力等の電気測定値、並びに、温度、圧力、流量、歪み、加速度、pH、又は、湿度等の、光以外の物理量に関する測定値に関する信号(測定信号)を取得してもよい。
【0047】
図3に示すように、モジュール20は、コネクタ25を備える。コネクタ25は、フレームコントローラ10のスロット17の内部に設けられた接続部と電気的及び機械的に接続することができる。ユーザは、モジュール20をスロット17に実装することで、モジュール20のコネクタ25をフレームコントローラ10に接続する。
【0048】
モジュール20のコネクタ25は、フレームコントローラ10から、駆動電源となる電力を受給したり、動作制御信号を受信したりするための信号線を有する。フレームコントローラ10に接続されたモジュール20は、動作制御信号に基づき様々な物理量の測定値を示す電気信号を取得する。モジュール20は、コネクタ25を介して取得した物理量の測定値をフレームコントローラ10へ送信する。フレームコントローラ10は、モジュール20から提供された物理量の測定値の波形を表示部18に表示する。
【0049】
なお、図3に例示されるモジュール20は、フレームコントローラ10と接続した場合に1つのスロット17を占有するが、モジュール20は、複数のスロット17を占有してフレームコントローラ10と接続してもよい。前述のように、1台のモジュール20で複数のスロット17を占有するモジュール20を「複数スロット幅モジュール」と称する。複数スロット幅モジュールは、複数のコネクタ25を備え、複数のスロット17を介してフレームコントローラ10に接続してもよい。フレームコントローラ10と接続した場合に複数スロット幅モジュールが占有するスロット17の個数は、その複数スロット幅モジュールが備えるコネクタ25の個数と同一でなくてもよい。例えば、複数スロット幅モジュールは、スロット17を占有するものの、そのスロット17に対応するコネクタ25を備えない部分を有してもよい。
【0050】
図4は、フレームコントローラ10に対して、2つのモジュール20(20a,20b)が接続された例を示している。モジュール20aは、1つのスロット17を占有する形状を有し、1つのコネクタ25を備える。モジュール20bは、2つのスロット17を占有する形状を有し、2つのコネクタ25を備える。モジュール20bは、複数スロット幅モジュールに該当する。
【0051】
図4に示すように、フレームコントローラ10は、装置内部の構成として、電源制御部11(11a,11b,11c)、モジュール通信部12(12a,12b,12c)、異常検出部13、電源管理部14、テーブル保持部15、及び、記憶部16を備える。フレームコントローラ10は、スロット17ごとに、電源制御部11(11a,11b,11c)、及び、モジュール通信部12(12a,12b,12c)を1つずつ備える。図4の例において、モジュール20aは、コネクタ25を介して、電源制御部11a及びモジュール通信部12aと接続する。モジュール20bは、コネクタ25を介して、電源制御部11b,11c及びモジュール通信部12b,12cと接続する。
【0052】
電源制御部11は、電源管理部14の制御に基づき、対応するスロット17に実装されたモジュール20に対して、駆動電源としての電力の供給の有無を切り替える機能を有する。また、電源制御部11は、モジュール20に対する駆動電源としての電力供給に関して、電圧及び電流等の情報を取得する機能を有する。
【0053】
モジュール通信部12は、モジュール20と通信し、モジュール20の型名を含む情報の取得、及び、モジュール20の動作制御を行う機能を有する。モジュール通信部12がモジュール20との間で送受信する情報には、モジュール20の挿抜をフレームコントローラ90が認識するための信号も含まれる。モジュール通信部12は、モジュール20から取得した型名を電源管理部14に通知する機能を有する。
【0054】
異常検出部13は、電源制御部11が取得した情報に基づいて、各スロット17における異常を検出する機能を有する。異常検出部13は、検出した異常情報を電源管理部14に通知する。異常情報には、例えば、異常を検出したスロット17のスロット番号、及び、異常の種類等が含まれてもよい。異常の種類には、例えば、モジュール20に対する電源電流、電圧、電力、ユーザの操作異常、及び、モジュール20の入力/出力異常等が含まれてもよい。
【0055】
保持部としてのテーブル保持部15は、電源制御テーブルを保持する。電源制御テーブルは、フレームコントローラ10に接続されたモジュール20の各々について、そのモジュール20がコネクタ25により接続しているスロット17を示す情報である。電源制御テーブルの例については、図6を参照して後述する。
【0056】
記憶部16は、コネクタ情報を記憶する。コネクタ情報は、モジュール20の型名と、その型名で識別されるモジュール20が占有するスロット17のスロット幅、及び、そのスロット幅においてコネクタ25により接続されるスロット17の配置と、の対応関係を示す情報である。スロット幅は、モジュール20が占有するスロット17の個数である。例えば、図4のモジュール20aのスロット幅は1である。モジュール20bのスロット幅は2である。例えば、コネクタ25による接続有を「1」、接続無を「0」で表すとすると、モジュール20aのコネクタ25により接続されるスロット17の配置は、[1]と表すことができる。モジュール20aのコネクタ25により接続されるスロット17の配置は、[11]と表すことができる。
【0057】
図4に示すように、モジュール20(20a,20b)は、記憶部21(21a,21b)を備える。モジュール20の記憶部21は、そのモジュール20についてのコネクタ情報を記憶する。すなわち、モジュール20の記憶部21が記憶するコネクタ情報は、そのモジュール20の型名、そのモジュール20が占有するスロット17のスロット幅、及び、そのスロット幅においてコネクタ25により接続されるスロット17の配置を示す情報である。フレームコントローラ10は、モジュール20の接続に応じて、そのモジュール20からコネクタ情報を取得する。取得したコネクタ情報が記憶部16に記憶されていない場合、フレームコントローラ10は、そのコネクタ情報を記憶部16に追加して記憶させる。
【0058】
電源管理部14は、各スロット17の電源制御部11(11a,11b,11c)の動作を管理する機能を有する。具体的には、電源管理部14は、モジュール20の接続に応じて、モジュール通信部12を介して取得したそのモジュール20の型名情報と、記憶部16に記憶されたコネクタ情報から電源制御テーブルを作成し、テーブル保持部15に保持させる。
【0059】
異常検出部13が各スロット17のいずれかにおける異常を検出した場合、電源管理部14は、異常を検出したスロット17に接続されたモジュール20が使用している全てのスロット17を、電源制御テーブルを参照して特定する。電源管理部14は、特定した各スロット17に対応する電源制御部11を制御して、その電源制御部11からの電力供給を停止させる。したがって、本実施形態に係るフレームコントローラ10は、複数スロット幅モジュールが接続された場合に、その複数スロット幅モジュールが有する複数のコネクタ25に対する電力供給を同時に停止することができる。よって、フレームコントローラ10は、複数スロット幅モジュールに対応することが可能である。
【0060】
なお、本実施形態例において、図4にブロックとして示した各構成要素は、別個のハードウェアにより実現されるが、このような構成に限られない。例えば、2つ以上の構成要素が共通のハードウェアにより実現されてもよい。具体的には、例えば、テーブル保持部15及び記憶部16は、同一のメモリにより構成されてもよい。また、図4に示した各構成要素の少なくとも一部は、汎用のプロセッサがプログラムを実行することで実現されてもよい。すなわち、図4に示した各構成要素の少なくとも一部は、ソフトウェアにより実現されてもよい。例えば、異常検出部13及び電源管理部14は、ソフトウェアにより実現されてもよい。また、フレームコントローラ10及びモジュール20の各々は、単一の装置により実現されてもよいし、複数の装置の協働により実現されてもよい。
【0061】
図5は、一実施形態に係るフレームコントローラ10の動作例を示すフローチャートである。図5を参照して説明するフレームコントローラ10の動作は、フレームコントローラ10の制御方法の1つに相当してもよい。図5の各ステップの動作は、フレームコントローラ10の電源管理部14による制御に基づき実行されてもよい。以下、図5の動作が、図4のように、2つのモジュール20(20a,20b)がフレームコントローラ10のスロット17に接続された状態で開始する例を説明する。
【0062】
ステップS1において、電源管理部14は、フレームコントローラ10に接続されたモジュール20の各々に対して電力供給を開始する。具体的には、例えば、電源管理部14は、電源制御部11aを制御してモジュール20aに対する電力供給を開始する。電源管理部14は、電源制御部11b,11cを制御してモジュール20bに対する電力供給を開始する。
【0063】
ステップS2において、電源管理部14は、フレームコントローラ10に接続されたモジュール20の各々から、その型名を取得する。具体的には、電源管理部14は、例えば、モジュール通信部12a,12b,12cを制御して、モジュール20a,20bの型名をモジュール20から取得する。電源管理部14は、記憶部16を参照して、その型名に関するコネクタ情報が記憶部16に記憶されているか否かを判定する。電源管理部14は、コネクタ情報が記憶部16に記憶されていない場合、そのモジュール20のコネクタ情報を記憶部16に追加する。
【0064】
ステップS3において、電源管理部14は、ステップS2で認識した型名に基づき、電源制御テーブルを作成する。具体的には、電源管理部14は、記憶部16に記憶されたコネクタ情報を参照して、フレームコントローラ10に接続されているモジュール20の各々についての、スロット幅、及び、コネクタ25により接続されるスロット17の配置を取得する。電源管理部14は、取得したスロット幅及び接続されるスロット17の配置に基づき、電源制御テーブルを作成する。
【0065】
図6は、モジュール20の実装例と電源制御テーブル100の一例を示す図である。図6の例において、フレームコントローラ10は、9つのスロット17を備える。9つのスロット17は、スロット番号(Slot No.)「1」~「9」により識別される。図6の例では、フレームコントローラ10に対して、4つのモジュール20c,20d,20e,20fが接続されている。モジュール20cのスロット幅は、3である。モジュール20cは、スロット番号「1」~「3」のスロット17を占有している。モジュール20cのコネクタ25c1,25c2により接続されるスロット17の配置は、[101]と表すことができる。モジュール20dのスロット幅は、2である。モジュール20dは、スロット番号「4」、「5」のスロット17を占有している。モジュール20dのコネクタ25d1,25d2により接続されるスロット17の配置は、[11]と表すことができる。モジュール20eのスロット幅は、1である。モジュール20eは、スロット番号「6」のスロット17を占有している。モジュール20eのコネクタ25eにより接続されるスロット17の配置は、[1]と表すことができる。モジュール20fのスロット幅は、3である。モジュール20fは、スロット番号「7」~「9」のスロット17を占有している。モジュール20fのコネクタ25f1,25f2により接続されるスロット17の配置は、[011]と表すことができる。
【0066】
図6の電源制御テーブル100において、MODULE_ID[n]は、スロット番号「n」のスロット17を占有するモジュール20のコネクタ25が接続された全てのスロット17の接続状態をビット「1」で示し、それ以外のスロット17の接続状態をビット「0」で示す。ここで、nは、自然数(n:1,2,・・・)である。
【0067】
例えば、スロット番号「1」~「3」のスロット17は、モジュール20cが占有している。モジュール20cのコネクタ25c1,25c2は、スロット番号「1」、「3」のスロット17に接続する。そのため、図6に示すように、MODULE_ID[1]~MODULE_ID[3]は、いずれも[000000101]となる。ここで、MODULE_ID[1]~MODULE_ID[3]の下位3ビットは、モジュール20cのコネクタ25c1,25c2により接続されるスロット17の配置[101]と同一である(121)。同様に、スロット番号「4」、「5」のスロット17は、モジュール20dが占有している。モジュール20dのコネクタ25d1,25d2は、スロット番号「4」、「5」のスロット17に接続する。そのため、MODULE_ID[4],MODULE_ID[5]は、いずれも[000011000]となる。スロット番号「6」のスロット17は、モジュール20eが占有している。モジュール20eのコネクタ25eは、スロット番号「6」のスロット17に接続する。そのため、MODULE_ID[6]は、[000100000]となる。スロット番号「7」~「9」のスロット17は、モジュール20fが占有している。モジュール20fのコネクタ25f1,25f2は、スロット番号「8」、「9」のスロット17に接続する。そのため、MODULE_ID[7]~MODULE_ID[9]は、いずれも[110000000]となる。
【0068】
なお、電源管理部14は、モジュール通信部12を経由してモジュール20から取得したコネクタ情報から電源制御テーブルを作成してもよい。
【0069】
図5の説明に戻る。ステップS4において、電源管理部14は、異常検出部13が各スロット17のいずれかにおける異常を検出したか否かを判定する。具体的には、電源管理部14は、異常検出部13から異常情報を受信した場合に異常を検出したと判定してもよい。電源管理部14は、異常を検出した場合(ステップS4でYES)はステップS5へ進み、そうでない場合(ステップS4でNO)はそのまま待機する。
【0070】
ステップS5において、電源管理部14は、異常を検出したスロット17に接続されたモジュール20のコネクタ25が接続する全てのスロット17を対象スロットとして特定する。対象スロットは、電源を遮断すべきスロット17である。具体的には、電源管理部14は、ステップS4で異常検出部13から受信した異常情報を参照して、異常を検出したスロット17のスロット番号を特定する。電源管理部14は、特定したスロット番号のスロット17に接続されたモジュール20のコネクタ25が接続する全てのスロット17を、電源制御テーブルを参照して特定する。
【0071】
例えば、電源制御テーブルが図6で表される場合において、異常検出部13が異常を検出したスロット17のスロット番号が「3」であるとする。この場合、電源管理部14は、スロット番号「3」のスロット17についての接続関係を示すMODULE_ID[3]を参照する。MODULE_ID[3]=[000000101]であるから、電源管理部14は、スロット番号「1」及び「3」のスロット17を対象スロットとして特定する。
【0072】
ステップS6において、電源管理部14は、ステップS5で特定した全ての対象スロットへの電力供給を同時に停止するように、対象スロットに対応する各電源制御部11を制御する。これにより、異常が生じたスロット17に接続する全てのコネクタ25への電力供給は、同時に停止する。ステップS6の処理を終えると、電源管理部14は、図5により示されるフローチャートの処理を終了する。
【0073】
前述のように、比較例に係るフレームコントローラ90は、異常が検出されたスロットの電源しか遮断することができない。これに対して、本実施形態に係る測定装置としてのフレームコントローラ10は、複数のスロット17のいずれかにおいて異常が検出された場合に、異常が検出されたスロット17に接続されたモジュール20が接続する全てのスロット17を対象スロットとして特定する。フレームコントローラ10は、その対象スロットにおける電力の供給を停止する。したがって、フレームコントローラ10によれば、異常が検出されたスロット17に接続されたモジュール20に対する電力供給を同時に停止することができる。
【0074】
また、フレームコントローラ10は、電源制御テーブルを用いて同時に電力供給を停止するスロット17を特定する。したがって、フレームコントローラ10によれば、モジュール20の種類の組合せ、モジュール20を実装するスロット17の位置、及び、異常が発生したスロット17の位置等に依存せずに、適切に電源断を行うことができる。また、フレームコントローラ10においては、電源管理部14が各電源制御部11の動作を統括する。そのため、複数スロット幅モジュールが接続された複数のスロット17で同時に異常が発生した場合であっても、例えば、電源切断が二重に行われるといった異常な動作を防ぐことができる。さらに、フレームコントローラ10によれば、異なる複数のモジュール20で同時に異常が発生した場合であっても、それらの電源を同時に遮断することができる。
【0075】
このように、フレームコントローラ10によれば、複数スロット幅モジュールにおいて、モジュール20の内部で各コネクタ25からの電源を並列接続することができるようになり、1つのモジュール20内の負荷電流容量を増大させることが可能である。また、フレームコントローラ10によれば、電源を並列接続しない場合でも、モジュール20内でスロット17間の通信及び制御信号の接続があった場合に、故障の危険性を低減させることが可能である。
【0076】
図4を参照して説明したフレームシステム1では、フレームコントローラ10が異常検出部13を備えるが、異常検出部は、モジュール側が備えてもよい。このような構成について、図7を参照して説明する。以下、図4と共通する構成については同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0077】
図7は、一実施形態に係るフレームシステム2の構成例を示すブロック図である。フレームシステム2は、フレームコントローラ30及びモジュール40(40a,40b)を備える。図7に示すように、フレームコントローラ30は、装置内部の構成として、電源制御部11(11a,11b)、モジュール通信部12(12a,12b)、電源管理部14、テーブル保持部15、及び、記憶部16を備える。モジュール40(40a,40b)は、記憶部41(41a,41b)及び異常検出部42(42a,42b)を備える。
【0078】
図7の構成例では、フレームコントローラ30は異常検出部を備えない。モジュール40が備える異常検出部42は、モジュール40内での異常を検出する。モジュール40は、異常検出部42が異常を検出すると、検出した異常情報を、コネクタ25及びモジュール通信部12を介して電源管理部14に通知する。異常情報には、例えば、異常を検出したスロット17のスロット番号、及び、異常の種類等が含まれてもよい。異常の種類には、例えば、モジュール40に対する電源電流、電圧、電力、ユーザの操作異常、モジュール20の入力/出力異常の他に、更に、モジュール40内部温度、モジュール40の内部気圧、モジュール40の内部FANアラーム、モジュール40に対するユーザの操作異常、モジュール40の振動又は衝撃の異常、及び、モジュール40内部の湿度異常(結露)が含まれてもよい。
【0079】
このような構成において、電源管理部14は、モジュール40から異常情報を受信したことに基づき異常を検出する。したがって、フレームコントローラ30は、モジュール40側の異常に応じて、電力供給を適切に切り替えることが可能である。なお、フレームコントローラ10,30と、モジュール20,40の両方が異常検出部を備え、電源管理部14は、これらの異常検出部のいずれかが検出した異常に応じて、電力供給を切り替えるようにしてもよい。
【0080】
本開示は上述の実施形態に限定されるものではない。例えば、ブロック図に記載の複数のブロックは統合されてもよいし、又は1つのブロックは分割されてもよい。フローチャートに記載の複数のステップは、記述に従って時系列に実行する代わりに、各ステップを実行する装置の処理能力に応じて、又は必要に応じて、並列的に又は異なる順序で実行されてもよい。その他、本開示の趣旨を逸脱しない範囲での変更が可能である。
【符号の説明】
【0081】
1、2 フレームシステム
10 フレームコントローラ
11 電源制御部
12 モジュール通信部
13 異常検出部
14 電源管理部
15 テーブル保持部
16 記憶部
17 スロット
18 表示部
19 操作部
20 モジュール
21 記憶部
25 コネクタ
30 フレームコントローラ
40 モジュール
41 記憶部
42 異常検出部
9 フレームシステム
90 フレームコントローラ
91 電源制御部
92 モジュール通信部
93 異常検出部
94 モジュール
100 電源制御テーブル
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7