(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025003292
(43)【公開日】2025-01-09
(54)【発明の名称】葉柄切断装置
(51)【国際特許分類】
A23N 15/00 20060101AFI20241226BHJP
B26D 3/26 20060101ALI20241226BHJP
B26D 7/26 20060101ALI20241226BHJP
【FI】
A23N15/00 Z
B26D3/26 605B
B26D3/26 605A
B26D7/26
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024030133
(22)【出願日】2024-02-29
(31)【優先権主張番号】P 2023102224
(32)【優先日】2023-06-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】391017702
【氏名又は名称】日本協同企画株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100144749
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 正英
(74)【代理人】
【識別番号】100076369
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 正治
(72)【発明者】
【氏名】宮田 和男
【テーマコード(参考)】
3C021
4B061
【Fターム(参考)】
3C021JA02
3C021JA09
4B061AB01
4B061BA03
4B061BB07
4B061CB05
4B061CB13
(57)【要約】
【課題】 高速回転による遠心力で刃物をブロッコリーの葉柄の付け根側に振って、当該付け根付近を切断できるようにした葉柄切断装置の提供。
【解決手段】 ブロッコリーの茎の周囲を回転する回転体と、回転体に回転可能に取り付けられた刃物を備え、刃物は回転体の回転に伴って茎の外周を回転し、回転による遠心力で当該茎側に振られてブロッコリーの葉柄の付け根付近に接触して、当該付け根付近を切断できるようにした。前記回転体が、葉柄の上部と花蕾を上、茎を下にしてブロッコリーをセットできる台座の下方にあり、回転体に揺動体が回転可能に設けられ、揺動体に刃物が設けられ、揺動体は回転体が高速回転すると揺動体の刃物取り付け側が茎方向へ振られ、刃物が葉柄の付け根付近に接触して当該付け根付近を切断できるようにした葉柄切断装置。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被切断物の周囲を回転する回転体と、回転体に回転可能に取り付けられた刃物を備え、
刃物は回転体の回転に伴って被切断物の外周を回転し、回転による遠心力で被切断物側に振られて、被切断物を切断できるようにしてある、
ことを特徴とする葉柄切断装置。
【請求項2】
ブロッコリーの周囲を回転する回転体と、揺動体と、刃物を備え、
揺動体は回転体に支持軸で回転可能に取り付けてあり、
刃物は揺動体の軸方向一端側であって支持軸よりも先方に取り付けて、揺動体が回転体の回転に伴ってブロッコリーの外周を回転すると、刃物が揺動体の回転による遠心力でブロッコリーの茎側に接近して、ブロッコリーの葉柄の付け根付近を切断できるようにしてある、
ことを特徴とする葉柄切断装置。
【請求項3】
ブロッコリーをセットできる台座の下方に配置されて、ブロッコリーの茎の周囲方向に回転する回転体と、
前記回転体に支持軸で回転可能に取り付けられた細長の揺動体と、
前記揺動体の軸方向一端側であって支持軸よりも先方に取り付けられて茎の外側に配置された刃物を備えており、
前記揺動体は回転体の回転に伴って茎の外周を回転し、回転による遠心力で刃物側がブロッコリーの茎側に接近するように振られるようにしてあり、
刃物は揺動体の刃物側が茎側に振られるとブロッコリーの葉柄の付け根付近に接触して当該付け根付近を切断できるようにしてある、
ことを特徴とする葉柄切断装置。
【請求項4】
請求項2又は請求項3記載の葉柄切断装置において、
揺動体の軸方向他端側であって支持軸よりも後方に、錘が取り付けられている、
ことを特徴とする葉柄切断装置。
【請求項5】
請求項2又は請求項3記載の葉柄切断装置において、
揺動体の刃物側が必要以上に茎側に振られるのを防止して、刃物による茎の損傷を防止するストッパーを備えた、
ことを特徴とする葉柄切断装置。
【請求項6】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の葉柄切断装置において、
回転体を昇降可能として刃物の高さ位置を調整可能とし、刃物による葉柄の付け根付近の切断位置を調整できるようにした、
ことを特徴とする葉柄切断装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は収穫されたブロッコリーやカリフラワー、その他の野菜(以下、まとめて「ブロッコリー」と記載する。)の葉柄の付け根付近(下部)を自動的に切断できる葉柄切断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
収穫されたブロッコリーA(
図1(a)、
図2(a))は、花蕾Bの外周に複数本の葉柄Cが伸びている。不要な葉柄は収穫時に畑で切り落としているが、茎Dの周囲から花蕾Bの周囲上方に伸びた数本の葉柄Cは残った状態で選果場に持ち込まれている。これら葉柄Cや茎Dは選果場で所望長に切断してから箱詰(包装)し、出荷している。
【0003】
葉柄の切断箇所、切断長さは出荷する地域によって異なる。例えば、北海道に出荷する(北海道仕様の)ブロッコリーAは、
図1(b)のように花蕾Bの外周上方に突出している葉柄Cを、花蕾Bの高さ方向略中央部で切断して、花蕾Bの高さ方向略中央部よりも下部を残してある。また、茎Dは葉柄Cの下で切断している。関東・九州方面に出荷する(関東・九州仕様の)ブロッコリーAは、
図2(b)のように葉柄Cを付け根付近で切断し、茎Dを所望長に切断している。
【0004】
ブロッコリーAの葉柄Cや茎Dの切断は、従前は手作業で行っていたが、近年は、葉柄を付け根付近で自動的に切断できる切断装置(特許文献1)がある。
【0005】
特許文献1の自動切断装置は手作業での切断に比して作業性が向上する。この自動切断装置の切断刃物は、茎の軸方向に縦長にして、茎の軸方向数箇所から突出している全ての葉柄を切断(関東・九州仕様に切断)できるようにしてある。しかし、切断刃物を茎の軸方向上方側に固定してあるため、茎の軸方向上方の葉柄を残して切断する(北海道仕様に切断)することはできない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の課題は、ブロッコリーの茎の軸方向数箇所から伸びている葉柄の全てを付け根付近から切断(関東・九州仕様に切断)することも、上方の葉柄を残して下方の葉柄だけを付け根付近から切断(北海道仕様に切断)することもできる葉柄切断装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の葉柄切断装置は、被切断物の周囲を回転する回転体と、回転体に回転可能に取り付けられた刃物を備え、刃物は回転体の回転に伴って被切断物の外周を回転し、回転による遠心力で被切断物側に振られて、被切断物を切断できるようにしたものである。
【0009】
前記葉柄切断装置はブロッコリーの葉柄の付け根付近を切断するのに適する。この場合は、ブロッコリーの周囲を回転する回転体に細長の揺動体を支持軸で回転可能に取り付け、揺動体の軸方向一端側であって支持軸よりも先方に刃物を取り付けて、揺動体が回転体の回転に伴ってブロッコリーの外周を回転すると、刃物が揺動体の回転による遠心力でブロッコリーの茎側に接近して、葉柄の付け根付近を切断できるようにする。
【0010】
前記葉柄切断装置は、回転体を昇降体の昇降に伴って昇降可能とし、上昇位置を変えることにより、切断できる葉柄の付け根付近を選択できるようにすることもできる。
【発明の効果】
【0011】
本発明の葉柄切断装置は、一台の葉柄切断装置で、茎から出ている葉柄の全てを切断(関東・九州仕様に切断)することも、上方の葉柄を残して下方の葉柄だけを切断(北海道仕様に切断)することもできるので便利である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】(a)(b)は北海道仕様の葉柄切断の説明図であり、(a)は切断前、(b)は切断後の説明図。
【
図2】(a)(b)は関東・九州仕様の葉柄切断の説明図であり、(a)は切断前、(b)は切断後の説明図。
【
図4】(a)はブロッコリーをセットする台座の説明図、(b)は台座にブロッコリーをセットした状態の斜視図。
【
図5】
図3の葉柄切断装置を、ブロッコリーをセットした台座の下方に配置した説明図。
【
図6】本発明の葉柄切断装置を上昇させた状態の説明図。
【
図7】本発明の葉柄切断装置の刃物静止時(非回転時)の説明図。
【
図8】本発明の葉柄切断装置の刃物による、葉柄付け根付近の切断説明図。
【
図10】
図9の葉柄切断装置であって、刃物が茎側に振られた状態の説明図。
【
図11】
図9の葉柄切断装置の刃物による、葉柄付け根付近の切断説明図。
【
図12】台座の下に本発明の葉柄切断装置を、台座の上に上葉柄切断装置を配置した状態の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(実施形態1)
本発明の葉柄切断装置10は、
図3のように、モータMで回転させる回転軸2の上部に横長楕円形の回転体3があり、回転体3の上に細長の二本の揺動体4が回転可能に取り付けられており、夫々の揺動体4の長手方向一端側上面に刃物5が、支持軸6により回転可能に取り付けられ、揺動体4の他端側下面に錘7が固定されている。
【0014】
葉柄切断装置10は支持具11をも備えている。支持具11は回転軸2とは別に設けた昇降体12(
図3)の上端に取り付けてあり、昇降体12の昇降に伴って昇降し、上昇時にブロッコリーAの茎D(
図5)の底面Eに突き刺さり、降下により底面Eから離れるようにしてある。
【0015】
[回転軸]
回転軸2はモータMの回転で回転する。モータMの回転軸に装備されている駆動ギヤG1(
図7)と回転軸2に装備されている伝達ギヤG2(
図7)を噛み合わせて、回転速度を調節できるようにしてある。
【0016】
[回転体]
回転体3は回転軸2に固定して、回転軸2と同方向に回転するようにしてある。回転体3の回転数は、回転体3の回転に伴う遠心力で、揺動体4の刃物取り付け側が内側(
図3の矢印A方向)に振られる程度の回転数、例えば、1500~4000rpm程度の高速回転が適する。
【0017】
[揺動体]
夫々の揺動体4は細長であり、長手方向略中央部が支軸6により回転体3に回転可能に取り付けられており、回転体3の回転に伴って同方向に回転するようにしてある。二本の揺動体4は非回転時(静止時)には
図7のように平行になっており、回転体3の高速回転に伴って高速回転して、刃物取り付け側が、
図5のように台座1にセットされているブロッコリーAの茎D側に振られ、葉柄Cの付け根付近に接触して当該付け根付近を切断できるようにしてある。切断が終わると回転体3の回転が停止し、二本の揺動体4の回転も停止して平行に戻り、二本の刃物5も平行(元の状態)に戻る首振り式にしてある。
【0018】
[刃物]
刃物5は
図3のように、揺動体4の軸方向一端側であって支持軸6よりも先端側に取り付けられている。刃物5は
図3のように尖鋭な三角形の刃物基板の内側が刃先5aになっている。この刃物5は揺動体4の上面に上向きに取り付けて、揺動体4が
図3の矢印A方向に回転すると刃先5aが茎D側を向くようにしてある。二本の刃物5は夫々の揺動体4の非回転時(静止時)には、二本の揺動体4と同様に平行になっているが、回転体3の高速回転に伴って揺動体4が高速回転すると、高速回転の遠心力で刃物5側が内側(
図6の茎D側)に振られて刃先5cが葉柄Cの付け根付近に接触して当該付け根付近を切断でき、回転体3の高速回転が停止して、揺動体4が制止すると、元の状態(並行状態)に戻るようにしてある。
【0019】
[錘]
揺動体4の軸方向他端側であって支持軸6よりも後端側(刃物取り付け側と反対側)の下面には錘7が取り付けられている。錘7は回転体3の高速回転に伴って揺動体4が時計廻り方向に高速回転(例えば1500~4000rpm程度)すると、揺動体4の刃物取り付け側(先端側)が、その高速回転に伴う遠心力で茎D側に接近し易くするためのものである。
【0020】
[ストッパー]
本発明では、揺動体4の刃物取り付け側が必要以上に茎D側に振られて、茎Dへ刃物5による傷付きを防止するためストッパー8(
図3、
図8)を設けてある。ストッパー8は刃物5が茎Dにまで接触するのを防止できれば、任意の構造とすることができるが、
図3では、回転体2の上面上方に突出する縦バー8aと、支持軸6から横向きに突出する横バー8bで構成されており、回転体2の高速回転に伴って揺動体4が回転し、その回転による遠心力で揺動体4が内側に振られて、
図6のように、刃物5の刃先5aが葉柄Cの付け根付近に接触し、その付け根付近を切断する。切断し終えると、縦バー8a(
図3)が横バー8b(
図3)に接触して、揺動体4がそれ以上は内側に振られないようにしてある。
【0021】
支持具11はリング状の基材の上面に突起が突出しており、回転軸2とは別に設けた昇降体12(
図3)の上端に取り付けて、昇降体12の昇降に伴って昇降するようにしてあり、上昇時にブロッコリーAの茎D(
図5)の底面Eに付き当るようにしてある。
【0022】
[昇降駆動]
前記葉柄切断装置10(
図3)は、回転軸2を昇降体(図示せず)に取り付けて、昇降体の昇降に伴って昇降可能とし、昇降位置を変えることにより、接触する(切断できる)葉柄Cを選択できるようにしてある。全ての葉柄Cの付け根付近に接触するように高さ調整すると、全ての葉柄Cの付け根付近が切断されて関東・九州仕様(
図2(b))のように切断することででき、下方の葉柄Cの付け根付近にだけ接触するように高さ調整すると、下方の葉柄Cの付け根付近だけが切断されて、上方の葉柄Cが残る北海道仕様(
図1(b)のように切断することができる。
図3の回転軸2は、図示しないカム、シリンダ等の駆動機構で上昇させ、スプリングSで引き戻して降下させるようにすることも、これとは逆に、スプリングSで押し上げ、駆動機構(図示せず)で引き下げて降下させるようにしてある。昇降機構は回転軸2を昇降可能であれば、これ以外の機構であってもよい。
【0023】
[刃物の交換]
本発明では、回転軸2の昇降により刃物5を高さ調整するのではなく、刃物5を長さの異なるものに交換することにより、葉柄Cの切断位置を変えて、関東・九州仕様と北海道仕様に切り替えることもできる。
【0024】
[台座]
ブロッコリーAをセットする台座1(
図4~
図6)は、ブロッコリーAの花蕾Bを上、茎Dを下にしてセットできるものであれば、その形状、構造、動作等は任意のものであってもよい。一例である
図4(a)の台座1は、角形の箱状であり、べース30の上に本体31がある。本体31、べース30の中央部には上下に連結開口している円形の差込み孔(セット孔)39がある。セット孔39は
図4(b)のように、花蕾Bを上、茎Dを下にして差し込んで(押し込んで)、ブロッコリーAをセットすることができる大きさである。
図4(a)のように、セット孔39の内周面39aは上下方向に高さがあり、上方から下方に向けて内側に下り傾斜になって、内径が下方に向けて次第に小さく(細く)なっていて、ブロッコリーAを差し込み易くなっている。
【0025】
セット孔39の上面周縁の対向位置には、略半円形の二枚の開閉板40が配置されている。両開閉板40は二枚の連結板41で連結されており、連結板41は図示しない牽引具(例えば、スプリング)で互いに引き寄せられている。二枚の開閉板40はセット孔39内にブロッコリーAを押し込むと外側に押し広げられ(拡径し)、ブロッコリーAを排出すると元の位置に戻る(縮径する)開閉式にしてある。開閉式にすることで、ブロッコリーAを上方からセット孔39内に押し込み易くなり、押し込みを終えると二枚の開閉板40がブロッコリーAの外周に接してブロッコリーAを外側から保持することができる。
【0026】
[茎の切断]
図5のブロッコリーAは、その茎Dを所望長に切断してある。茎DはブロッコリーAを台座1にセットする前に、或いは、セット後に切断することができる。茎切断用の刃物は回転式の円盤状刃物が適し、茎と円盤状刃物の双方又はいずれか一方を移動させて、移動中に切断することができる。
【0027】
[実施形態1の葉柄切断装置の動作1]
この葉柄切断装置は、
図5のように、ブロッコリーAがセットされているバケット(台座)1の下方に配置されて、ブロッコリーAの葉柄Cを茎Dへの付け根付近から切断することができる。切断は次のようにして行うことができる。
(1)
図3の葉柄切断装置10を、図示しない昇降装置で上昇させて支持具11を茎Dの底面Eに押し当てる。茎Dは予め所望長に切断しておいておくのが望ましい。
(2)モータMを回転させて回転体3を回転(1500rpm程度の高速回転)させ、揺動体4を同方向に回転させる。この回転の遠心力で、揺動体4の長手方向先端側(刃物取付け側)が
図8~
図11のように内側(ブロッコリーAの茎D側)に振られて、刃物5が葉柄Cの茎Dへ付近に接触し且つ接触部分を
図2(b)のように切断する。切断し終えると、縦バー8a(
図3)が横バー8b(
図3)に接触して、揺動体4がそれ以上は内側に振られない。
(3)葉柄Cの付け根付近の切断が終わると、モータM、回転体3の回転が停止し、揺動体4の回転及び振れが停止する。
(4)刃物5の回転停止後、葉柄切断装置10を昇降装置で降下させて、支持具11を茎Dの底面Eから引き離す。離れてから、ブロッコリーAを台座1から抜き取る。抜き取りは手動で或いはロボットで自動的に行うことができる。台座1を横に傾けてブロッコリーAが自動的に抜け落ちるようにして行うこともできる。
【0028】
(実施形態2)
本発明の葉柄切断装置は
図9~
図11のようなものであってもよい。これら図の葉柄切断装置の基本的構成は、
図3の葉柄切断装置と同様である。異なるのは、回転体3の形状構造である。
【0029】
図9~
図11では、モータMを取り付けた基板51にブロッコリーAをセットする台座1を取り付け、この台座1にリング状の回転体3を回転可能に取り付け、回転体3の上面二箇所に揺動体4を取り付け、夫々の揺動体4に刃物5を上向きに取り付けてある。
【0030】
図9~
図11の葉柄切断装置は、静止時(非回転時)には二本の揺動体4が互いに平行、二本の刃物5が互いに平行になっている。モータMの高速回転に伴って回転体3が同方向に高速回転すると揺動体4も高速回転し、高速回転の遠心力で揺動体4の刃物取り付け側が
図10のように台座1にセットされているブロッコリーAの茎D側に振られ、刃物5が
図11のようにブロッコリーAの葉柄Cの付け根付近に接触して当該付け根付近を切断できるようにしてある。
【0031】
図9~
図11の葉柄切断装置も、図示しない昇降装置に取り付けて、昇降装置の昇降に伴って、葉柄Cの付け根付近への刃物5の接触位置を調節可能として、切断できる葉柄Cを選択することができる。昇降装置に取り付けるのではなく、刃物5を長さの異なるものに付け替えて、葉柄Cの付け根付近への刃物5の接触位置を変えて、切断できる葉柄Cを選択することもできる。
【0032】
図9~
図11の実施形態でも、
図3の支持具11、昇降体12と同様の構成、機能の支持具と昇降体を備えているが、
図9~
図11ではその支持具、昇降体を図示していない(省略してある)。
【0033】
[実施形態2の葉柄切断装置の動作]
実施形態2の葉柄切断装置でも、
図5のように、台座1にセットされているブロッコリーAの葉柄Cの付け根付近を切断することができる。この場合は、実施形態2の葉柄切断装置10を実施形態1の葉柄切断装置と同様に昇降させ、上昇させ、高速回転させて行うことができる。
【0034】
[上葉柄切断装置との併用]
前記のように、本発明の葉柄切断装置10で葉柄Cの付け根付近を切断する場合、
図12のように、上葉柄切断装置50と組み合わせて使用することもできる。この場合、茎Dの中心と、台座1の上方に配置された上葉柄切断装置50の中心と、台座1の下方に配置された本発明の葉柄切断装置(下葉柄切断装置)10の中心は、一本の縦軸線X-X線上に配置されるようにする。縦軸線X-X線上に配置されることにより、上葉柄切断装置50による葉柄Cの上部の切断と、下葉柄切断装置10による葉柄Cの下部の切断をスムースに行うことができる。ちなみに、茎Dの中心と上葉柄切断装置50の中心と、下葉柄切断装置10の中心が縦軸線X-Xからずれると、下葉柄切断装置10の刃物5で葉柄Cの下部を切断するときに、刃物5が茎Dに食い込んで茎Dが損傷するおそれがある。
【0035】
[上葉柄切断装置]
上葉柄切断装置50は、モータMの回転に伴って回転する回転軸52の下に回転体53(
図12)が取り付けられており、その回転体53に二枚の刃物54が取り付けられている。また、回転体53より下方に押し具55が取り付けられている。押し具55は図示しない昇降体に取り付けられて、昇降体の昇降に伴って昇降するようにしてあり、降下時に
図13のように、ブロッコリーAの花蕾Bの上に押し当るようにしてある。
【0036】
昇降体の降下により押し具55が降下して花蕾Bの上に押し当った状態で、回転軸52が回転すると回転体53が花蕾Bの外側を回転(公転)し、公転時の遠心力で、二枚の刃物54が回転(自転)して夫々の刃物54の先端側(下端側)が
図14のように花蕾Bの上から横(外側)に広がって、二枚の刃物54の刃先が花蕾B側(葉柄Cの内側)から葉柄Cに接触して、当該葉柄Cをその内側から切断できるようにしてある。
【0037】
葉柄Cの切断が終わると、モータM、回転軸52の回転、回転体53の回転(公転)が停止し、刃物54の回転(自転)も停止し、刃物54が押し具55の上に引き上げられて、自転前の元の状態(
図13の状態)に戻されて、刃物54の先端側が
図13のように押し具55の上に引き上げられる。また、回転体53が昇降体(図示しない)の上昇により引き上げられて、刃物54及び押し具55が花蕾Bの上方に引き上げられて降下前の元の状態(
図12の状態)に戻る。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明における回転軸、回転体、揺動体、刃物、昇降機構、その他の部材の形状、構造、配置、動作、動作の順番等は、本発明の課題を解決できる範囲で設計変更可能である。
【符号の説明】
【0039】
1 台座(バケット)
2 回転軸
3 回転体
4 揺動体
5 刃物
5a 刃先
6 支持軸
7 錘
8 ストッパー
8a 縦バー
8b 横バー
10 葉柄切断装置(下葉柄切断装置)
11 支持具
12 昇降体
30 (台座の)ベース
31 (台座の)本体
39 差込み孔(セット孔)
39a (セット孔の)内周面
40 開閉板
41 連結板
50 上葉柄切断装置
51 基板
52 回転軸
53 回転体
54 刃物
55 押し具
A ブロッコリー
B 花蕾
C 葉柄
D 茎
E (茎の)底面
G1 駆動ギヤ
G2 伝達ギヤ
M モータ
S スプリング