(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025003313
(43)【公開日】2025-01-09
(54)【発明の名称】冷却構造を有する回転子モジュール
(51)【国際特許分類】
H02K 9/19 20060101AFI20241226BHJP
【FI】
H02K9/19 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024065618
(22)【出願日】2024-04-15
(31)【優先権主張番号】10-2023-0079573
(32)【優先日】2023-06-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】507098483
【氏名又は名称】ヒュンダイ・モービス・カンパニー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000154
【氏名又は名称】弁理士法人はるか国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】フワン イン グ
(72)【発明者】
【氏名】イン ビョン リョル
(72)【発明者】
【氏名】リ サン ウク
(72)【発明者】
【氏名】ハ テ ウク
【テーマコード(参考)】
5H609
【Fターム(参考)】
5H609BB03
5H609PP02
5H609PP07
5H609PP08
5H609QQ05
5H609QQ12
5H609QQ13
5H609RR27
5H609RR36
5H609RR42
5H609RR43
(57)【要約】
【課題】より直接的な回転子の冷却を行い、これにより、モータの性能を向上させることができる冷却構造を有する回転子モジュールを提供すること。
【解決手段】回転子、より具体的には、冷却効率が向上した回転子が提供される。本発明の冷却構造を有する回転子モジュールは、回転子コアの内部を貫通する冷却流路を含む冷却構造を回転子に直接設けることにより、より直接的な回転子の冷却を行い、これにより、モータの性能向上を確保する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部が中空となっている円筒形状を有する回転子コアであって、冷却流路部を含む回転子コアと、
前記回転子コアの中心に嵌入されて固定され、前記回転子コアの中心軸を中心に回転する回転子シャフトであって、冷却流体が充填される冷却流体流動流路を含む回転子シャフトとを有し、
前記冷却流路部は、一端が前記冷却流体流動流路と連通し、他端が前記回転子コアの外部と連通する、
冷却構造を有する回転子モジュール。
【請求項2】
前記冷却流路部は、
前記回転子シャフトの側面を貫通し、前記冷却流体流動流路から前記回転子コアの一端へと流体を分散する第1流路と、
前記回転子コアを軸方向に貫通し、第1流路と連通する第2流路と、
を有する請求項1に記載の冷却構造を有する回転子モジュール。
【請求項3】
前記冷却流路部は、一端が前記第1流路と連通し、他端が第2流路と連通し、半径方向に配置される第3流路をさらに有し、
前記回転子コアは、中心に第1挿入ホールを有する平板である第1プレートをさらに有し、
前記回転子シャフトは前記第1挿入ホールに挿入され、
前記第1プレートは、一面が前記回転子コアの一端面と接し、
前記第3流路は、前記第1プレートの一面における溝形状である、
請求項2に記載の冷却構造を有する回転子モジュール。
【請求項4】
前記冷却流路部は、一端が前記第2流路と連通し、半径方向に配置される第4流路と、前記第4流路の他端を貫通する第1流体噴射ホールとをさらに有し、
前記回転子コアは、中心に第2挿入ホールを有する平板である第2プレートをさらに有し、
前記回転子シャフトは前記第2挿入ホールに挿入され、
前記第2プレートは、一面が前記回転子コアの他端面と接し、
前記第4流路は、前記第2プレートの一面における溝形状であり、
前記第1流体噴射ホールは、前記第2プレートを軸方向に貫通する、
請求項3に記載の冷却構造を有する回転子モジュール。
【請求項5】
前記第1流体噴射ホールと前記回転子コアの回転軸との距離は、前記第2流路と前記回転軸との距離より短い、
請求項4に記載の冷却構造を有する回転子モジュール。
【請求項6】
前記第4流路の長さは、前記第2流路の直径と前記第1流体噴射ホールの直径との和より大きい、
請求項4に記載の冷却構造を有する回転子モジュール。
【請求項7】
前記冷却流路部は、前記第3流路の一端から延び、前記第3流路と連通する第5流路と、前記第5流路の末端を貫通する第2流体噴射ホールとを含み、
前記第5流路は、前記第1プレートの一面における溝形状であり、
前記第2流体噴射ホールは、前記第1プレートを軸方向に貫通する、
請求項4に記載の冷却構造を有する回転子モジュール。
【請求項8】
前記第2流体噴射ホールと前記回転子コアの回転軸との距離は、前記第2流路と前記回転軸との距離より短い、
請求項7に記載の冷却構造を有する回転子モジュール。
【請求項9】
前記冷却流路部は、
一端が前記第2流路の一端と連通する第6流路であって、前記第1プレートにおいて溝形状かつ、その半径方向に配置される第6流路と、
前記第6流路の他端に前記第1プレートを貫通して形成される第4流体噴射ホールと、
前記回転子シャフトの側面に貫通形成され、前記冷却流体流動流路から前記回転子コアの他端側に流体を分散する第7流路と、
一端が前記第7流路と連通し、他端が第2流路と連通する第8流路であって、前記第2プレートにおいて溝形状かつ、その半径方向に配置される第8流路と、
をさらに有する、請求項4に記載の冷却構造を有する回転子モジュール。
【請求項10】
前記冷却流体流動流路内に前記冷却流体を供給する供給パイプをさらに有し、
前記回転子シャフトは、
前記冷却流体流動流路と、前記冷却流体流動流路の開放側を有する第1パーツであって、一側に前記回転子コアが嵌入される第1パーツと、
一端に位置する圧入部を有する第2パーツであって、前記圧入部は前記第1パーツの一側に圧入され、前記供給パイプの一端が前記一端に嵌入される第2パーツと、をさらに有し、
前記供給パイプは、前記供給パイプの一端が前記冷却流体流動流路の軸方向の中心よりも前記圧入部の一端に近く位置するように、前記第2パーツに嵌入される、
請求項1に記載の回転子モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転子に関し、より詳細には、冷却効率を高めた回転子に関する。
【背景技術】
【0002】
電気自動車の駆動モータの発熱源は、電流が流れるコイルと磁束が流れる電磁鋼板コアである。モータの作動時に当該部品の温度が上昇し、温度が高くなりすぎると、モータの機能異常が発生する。これを防止するために、モータの発熱源を冷却することが重要であるが、モータでは、発熱源にオイルを直接噴射するオイル冷却方式、ハウジング水路部に冷却水を流して発熱源を間接冷却する水冷方式などがある。
【0003】
そのうち、オイル冷却方式は、主な発熱体であるステータとこれを囲む部分の熱を冷却するために冷却オイルを噴射する冷却パイプを介して行われる。ここで、冷却パイプを介して飛散した冷却オイルが発熱体であるモータを冷却し、熱伝逹された熱いオイルがモータの底面に貯油され、モータの底面に貯油されたオイルは、モータと減速機を繋ぐ内部ハウジング流路を介して減速機に誘導され、その後、減速機のチャーニングによりオイルが減速機の潤滑に用いられる。また、減速機ハウジング部に貯油されたオイルは、ポンプを介して外部熱交換器に移動し、冷却水と熱交換して冷却したオイルは、またモータの冷却のために循環する構造を採択している。
【0004】
このような従来の駆動モータのオイル冷却方式で冷却を行う場合、冷却のための別の冷却パイプが必要であり、そのため、部品の個数が増加し、固定子コアの深部および回転子コアを冷却し難いという問題があった。また、回転子コアの場合、プレート類および固定子コア/コイルに覆われて、外部にオイルを噴射する場合、直接冷却することが難しいという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】韓国公開特許第10-2022-0096306号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記のような問題を解決するために導き出されており、本発明は、回転子コアの内部を貫通する冷却流路を含む冷却構造を回転子に直接設けることにより、より直接的な回転子の冷却を行い、これにより、モータの性能を向上させることができる冷却構造を有する回転子モジュールを提供することを目的とする。
【0007】
より詳細には、回転子コアに冷却流路を形成して、コアと冷却油が直接接触するようにすることで、冷却性能を向上し、その流路が外側のマグネットと内側のマグネットとの間に位置するようにすることで、相対的に冷却が難しい外側のマグネットの冷却を容易に行うことができる冷却構造を有する回転子モジュールを提供することを目的とする。
【0008】
また、コアの端部に位置するプレートにオイルが流出する出口ホールを設置し、その位置をコア流路に対して半径方向の内側に設置することで、コア内の冷却油の不均衡を解消し、騒音、振動、ハーシュネス(NVH)問題を防止することができる冷却構造を有する回転子モジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述のような問題を解決するために、本発明の一実施形態による冷却構造を有する回転子モジュールは、内部が中空となっている円筒形状を有する回転子コアであって、冷却流路部を含む回転子コアと、回転子コアの中心に嵌入されて固定され、回転子コアの中心軸を中心に回転する回転子シャフトであって、冷却流体が充填される冷却流体流動流路を含む回転子シャフトとを有し、冷却流路部は、一端が冷却流体流動流路と連通し、他端が回転子コアの外部と連通する。
【0010】
また、冷却流路部は、回転子シャフトの側面を貫通し、冷却流体流動流路から回転子コアの一端へと流体を分散する第1流路と、回転子コアを軸方向に貫通し、第1流路と連通する第2流路とを有する。
【0011】
また、冷却流路部は、一端が第1流路と連通し、他端が第2流路と連通し、半径方向に配置される第3流路をさらに有し、回転子コアは、中心に第1挿入ホールを有する平板である第1プレートをさらに有し、回転子シャフトは第1挿入ホールに挿入され、第1プレートは、一面が回転子コアの一端面と接し、第3流路は、第1プレートの一面における溝形状である。
【0012】
また、冷却流路部は、一端が第2流路と連通し、半径方向に配置される第4流路と、第4流路の他端を貫通する第1流体噴射ホールとをさらに有し、回転子コアは、中心に第2挿入ホールを有する平板である第2プレートをさらに有し、回転子シャフトは第2挿入ホールに挿入され、第2プレートは、一面が回転子コアの他端面と接し、第4流路は、第2プレートの一面における溝形状であり、第1流体噴射ホールは、第2プレートを軸方向に貫通する。
【0013】
また、第1流体噴射ホールと回転子コアの回転軸との距離は、第2流路と回転軸との距離より短い。
【0014】
また、第4流路の長さは、第2流路の直径と第1流体噴射ホールの直径との和より大きい。
【0015】
また、冷却流路部は、前記第3流路の一端から延び、第3流路と連通する第5流路と、第5流路の末端を貫通する第2流体噴射ホールとを含み、第5流路は、第1プレートの一面における溝形状であり、第2流体噴射ホールは、第1プレートを軸方向に貫通する。
【0016】
また、第2流体噴射ホールと回転子コアの回転軸との距離は、第2流路と回転軸との距離より短い。
【0017】
また、冷却流路部は、一端が第2流路の一端と連通する第6流路であって、第1プレートにおいて溝形状かつ、その半径方向に配置される第6流路と、第6流路の他端に第1プレートを貫通して形成される第4流体噴射ホールと、回転子シャフトの側面に貫通形成され、冷却流体流動流路から回転子コアの他端側に流体を分散する第7流路と、一端が第7流路と連通し、他端が第2流路と連通する第8流路であって、前記第2プレートにおいて溝形状かつ、その半径方向に配置される第8流路とをさらに有する。
【0018】
また、冷却流体流動流路の内部に冷却流体を供給する供給パイプをさらに有し、回転子シャフトは、冷却流体流動流路と、冷却流体流動流路の開放側を有する第1パーツであって、一側に回転子コアが嵌入される第1パーツと、一端に位置する圧入部を有する第2パーツであって、圧入部は第1パーツの一側に圧入され、供給パイプの一端が一端に嵌入される第2パーツと、をさらに有し、供給パイプは、供給パイプの一端が冷却流体流動流路の軸方向の中心よりも圧入部の一端側に近く位置するように、第2パーツに嵌入される。
【発明の効果】
【0019】
上記のような構成による本発明の冷却構造を有する回転子モジュールは、回転子コアの内部を貫通する冷却流路を含む冷却構造を回転子に直接設けることにより、より直接的な回転子冷却を行い、これにより、モータの性能を向上させることができる効果がある。
【0020】
より詳細には、回転子コアに冷却流路を形成して、コアと冷却油が直接接触するようにすることで、冷却性能を向上し、その流路が外側のマグネットと内側のマグネットとの間に位置するようにすることで、相対的に冷却が難しい外側のマグネット冷却を容易に行うことができる効果がある。
【0021】
また、コア端部に位置するプレートにオイルが流出する出口ホールを設置し、その位置をコア流路に対して半径方向の内側に設置することで、コア内の冷却油の不均衡を解消し、NVH問題を予防することができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明の冷却構造を有する回転子モジュールの軸方向の断面を図示した斜視図である。
【
図2】本発明の冷却構造を有する回転子モジュールの軸方向の断面図である。
【
図3】本発明の回転子コアの半径方向の断面図である。
【
図4】本発明の第4流路を図示した冷却構造を有する回転子モジュールの部分断面図ある。
【
図5】本発明の第4流路を図示した冷却構造を有する回転子モジュールの部分断面図である。
【
図8】本発明の突出部を図示した冷却構造を有する回転子モジュールの部分斜視図である。
【
図9】本発明の冷却流路部の第1実施形態による冷却構造を有する回転子モジュールの軸方向の断面図である。
【
図10】本発明の冷却流路部の第1実施形態による第1プレートの平面図である。
【
図11】本発明の冷却流路部の第2実施形態による第2プレートの平面図である。
【
図12】本発明の冷却流路部の第3実施形態による第1プレートの平面図である。
【
図13】本発明の冷却流路部の第3実施形態による冷却構造を有する回転子モジュールの軸方向の断面図である。
【
図14】本発明の冷却流路部の第3実施形態による第2プレートの平面図である。
【
図15】本発明の一実施形態による冷却構造を有する回転子モジュールの軸方向の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の技術的思想について添付の図面を用いてより具体的に説明する。これに先立ち、本明細書および請求の範囲にて使用されている用語や単語は、通常的もしくは辞書的な意味に限定して解釈してはならず、発明者らは、自分の発明を最善の方法で説明するために用語の概念を適宜定義することができるという原則に則って、本発明の技術的思想に合致する意味と概念に解釈すべきである。
【0024】
以下、
図1を参照して、本発明の冷却構造を有する回転子モジュール1000の基本構成について説明する。
【0025】
図1に図示されているように、本発明は、回転子コア100と、回転子シャフト200とを含むことができる。より詳細には、回転子コア100は、内部が中空となっている円筒形状に形成されることができ、内部に電界を発生させる磁石を含むことができる。ここで、磁石は、半径方向に2個の層が形成されることができる。また、回転子シャフト200は、回転子コア100の中心軸を中心に回転することができ、回転子コア100の中心に嵌入されて固定されることができ、内部に冷却流体が充填される冷却流体流動流路230を含むことができる。
【0026】
ここで、回転子コア100は、冷却流路部110を含むことができる。冷却流路部110は、一端が冷却流体流動流路230と連通し、他端が回転子コア100の外部と連通するように形成されることができる。冷却流路部110は、回転子コアの内部にも冷却流体が流れるように誘導することで、より直接的な回転子冷却を行い、これにより、モータの性能を向上させることができる。
【0027】
以下、
図2~
図5を参照して、本発明の冷却流路部110についてより詳細に説明する。
【0028】
図2に図示されているように、冷却流路部110は、回転子シャフト200の側面に半径方向に貫通形成され、この際、冷却流体流動流路230から回転子コア100側に流体を分散させる第1流路111と、回転子コア100に軸方向に貫通形成され、第1流路111と連通する第2流路112とを含むことができる。より詳細には、第1流路111は、回転子コア100の一側端部と対応する位置に形成されることができ、回転子シャフト200の側面の円周方向に沿って2個以上形成されることができる。第1流路111および第2流路112を含むことにより、冷却流体流動流路230に流れる流体が回転子シャフト200の外部に流出し、回転子コア100の内部を貫通して流動するように誘導することができ、より直接的な回転子冷却を行い、これにより、モータの性能を向上させることができる。
【0029】
また、第2流路112は、
図3に図示されているように、回転子コア100に内挿された外側のマグネット140と内側のマグネット150との間に形成されることができ、回転子コア100の側面の円周方向に沿って2個以上形成されることができる。すなわち、第2流路112と回転子コア100の回転軸との距離は、回転子コア100の外側のマグネット140と回転軸との距離より短く、回転子コア100の内側のマグネット150と回転軸との距離より長いことができる。これにより、相対的に冷却が難しい外側のマグネット140の冷却を容易に行うことができる。
【0030】
また、冷却流路部110は、第1流路111と第2流路112を連通するための第3流路113を含むことができる。より詳細には、第3流路113は、一端が第1流路111と連通し、他端が第2流路112と連通し、半径方向に形成されることができる。一実施形態において、第3流路113は、回転子コア100に形成されることができ、または第1プレート120に形成されることができる。第1プレート120に関する説明は後述する。
【0031】
また、冷却流路部110は、一端が第2流路112と連通し、半径方向に形成される第4流路114と、第4流路114の他端に貫通形成される第1流体噴射ホール115とを含むことができる。一実施形態において、第4流路114は、回転子コア100に形成されることができ、または第2プレート130に形成されることができる。第2プレート130に関する説明は後述する。ここで、第3流路113と第4流路114は、回転子コア100を中心にそれぞれ反対側に位置することができる。すなわち、第3流路113および第3流路113と連通する第1流路111は、回転子コア100の一側端部に位置することができ、第4流路114は、回転子コア100の他側端部に位置することができる。
【0032】
すなわち、冷却流体は、冷却流体流動流路230で第1流路111を介して回転子シャフト200の外部に流出され、次に、第3流路113を介して回転軸の反対側、すなわち、半径方向に移動し、第2流路112を介して回転子コア100を軸方向に貫通して移動し、第2流路112に完全に充填された後、第4流路114を介して回転軸側にまた再移動することができる。その後、第1流体噴射ホール115を介して外部に流体が噴射されるようにすることができる。これにより、第1流体噴射ホール115は、
図4に図示されているように、第1流体噴射ホール115と回転子コア100の回転軸との距離R2を第2流路112と回転軸との距離であるR1より短くする位置に形成されることができる。
【0033】
上述のような冷却流路部110の構成により、冷却流路部110に流れる流体は、回転子コア100の外部に流出する直前に、第4流路114を介してまた回転軸側に移動することができ、回転し続けている回転子コア100の遠心力によって冷却流体が流路の外側に偏らないように防止することができ、最終的に、コア内のオイル流動不均衡によるNVHの問題を防止することができる。
【0034】
さらに、
図5に図示されているように、第4流路114の長さLは、第2流路112の直径d1と第1流体噴射ホール115の直径d2との和より大きいように形成されることが好ましい。すなわち、第2流路112と第1流体噴射ホール115との間に所定のギャップを含むものであり、これにより、上述の第4流路114の効果を極大化することができ、冷却流体が第2流路112を完全に充填する前に、第1流体噴射ホール115を介して流体が噴射されないように防止することができる。これにより、コア内に形成された第2流路112に沿って流体が均一に流動するようにすることができ、第1流体噴射ホール115を介して噴射される流量も一定に維持することができる。
【0035】
以下で、
図6~
図8を参照して、本発明の第1プレート120および第2プレート130についてより詳細に説明する。
【0036】
回転子コア100は、一端面に積層される平板である第1プレート120を含むことができる。第1プレート120は、
図6に図示されているように、中心に回転子シャフト200が嵌入される第1挿入ホール121が形成されることができる。第1プレート120は、回転子コア100の一端面と接する一面に第3流路113が溝形状に形成されることができる。第1プレート120に形成される第3流路113は、第1流路111および第2流路112と同じ個数だけ形成されることができ、それぞれ所定の間隔で離隔形成されることができる。第3流路113が形成された平板である第1プレート120を回転子コア100と分離された構成として含むことにより、回転子コア100の外側のマグネット140および内側のマグネット150と第3流路113が干渉しないようにすることができる。
【0037】
また、
図7に図示されているように、回転子コア100は、中心に回転子シャフト200が嵌入される第2挿入ホール132が形成された平板である第2プレート130を含むことができる。第2プレート130は、一面が回転子コア100の他断面と接することができ、第4流路114は、回転子コア100と接する第2プレート130の一面に溝形状に形成されることができる。第1流体噴射ホール115は、第2プレート130を軸方向に貫通して形成されることが好ましい。第4流路114および第1流体噴射ホール115は、第2流路112と同じ個数だけ形成されることができる。
【0038】
さらに、
図8に図示されているように、第2プレート130は、第2挿入ホール132の周縁に沿って突出形成される突出部131を含むことができる。ここで、突出部131が突出形成される領域は、第1流体噴射ホール115が貫通形成される領域の少なくとも一部と重なることができる。これにより、第1流体噴射ホール115が形成される領域だけ突出部131の側面に溝が形成されることができる。これにより、第1流体噴射ホール115を介して噴射される冷却流体が回転軸の反対側に噴射されるようにすることができ、回転子コア100の外部面をより効率的に冷却することができる。
【0039】
以下で、
図9~
図10を参照して、冷却流路部110の第1実施形態についてより詳細に説明する。
【0040】
図9に図示されているように、冷却流路部110は、第3流路113と連通し、且つ、第3流路113の一端から延長形成される第5流路116と、第5流路116の末端に貫通形成される第2流体噴射ホール117とを含むことができる。ここで、
図10に図示されているように、第5流路116は、第1プレート120の一面に溝形状に形成され、この際、第3流路113から延長形成されることができる。第2流体噴射ホール117は、第1プレート120を軸方向に貫通して形成されることが好ましい。これにより、コア内に形成された第2流路112に沿って流体が均一に流動するようにすることができ、第1流体噴射ホール115を介して噴射される流量も一定に維持することができる。
【0041】
また、第5流路116は、曲げられた形状とされ、第3流路113と共に、U字形を形成することができ、第2流体噴射ホール117は、第3流路113から円周方向に所定間隔離隔した位置に形成されることができる。これにより、第3流路113に進入した冷却流体が分けられ、その一部は第2流路112に流入し、残りの一部は第5流路116に流入して、回転子コア100の両側に冷却流体が分割して噴射されるようにすることができる。
【0042】
ここで、第2流体噴射ホール117と回転子コア100の回転軸との距離は、第2流路112と回転軸との距離より短いことが好ましい。より詳細には、第2流体噴射ホール117と回転子コア100の回転軸との距離は、第1流体噴射ホール115と回転子コア100の回転軸との距離と同一であることができる。これにより、回転子コア100の両側に流体が同じ流量で噴射されることができ、回転子コア100を均一に冷却することができる。
【0043】
以下で、
図11を参照して、冷却流路部110の第2実施形態についてより詳細に説明する。
【0044】
図11に図示されているように、冷却流路部110は、第3流路113上に貫通形成される第3流体噴射ホール118を含むことができる。より詳細には、第3流体噴射ホール118は、第3流路113の他端、すなわち、第2流路112と連通する位置から第3流路113の一端側に所定間隔離隔した位置に形成されることができる。ここで、第3流体噴射ホール118は、第1プレート120を軸方向に貫通して形成されることが好ましい。冷却流路部110の第2実施形態を適用することにより、第3流路113に進入した冷却流体が分離し、一部は第3流体噴射ホール118に流入され、残りの一部は第2流路112に流入されて、回転子コア100の両側に冷却流体が分割して噴射されるようにすることができる。
【0045】
ここで、第3流体噴射ホール118と回転子コア100の回転軸との距離は、第1流体噴射ホール115と回転子コア100の回転軸との距離と同一であることができる。すなわち、第3流路113の他端と第3流体噴射ホール118との距離が第4流路114の長さと同一であることができる。これにより、回転し続けている回転子コア100の遠心力によって冷却流体が流路の外側に偏らないように防止することができ、回転子コア100の両側から流体が同じ流量で噴射されるようにすることができ、回転子コア100を均一に冷却することができる。
【0046】
以下で、
図12~
図14を参照して、冷却流路部110の第3実施形態についてより詳細に説明する。
【0047】
図12に図示されているように、冷却流路部110は、第1プレート120上に形成され、この際、一端が第2流路112の一端と連通し、半径方向に形成される第6流路119と、第6流路119の他端に貫通形成される第4流体噴射ホール110aとを含むことができる。すなわち、第2流路112の一端のうち少なくとも一部は、第3流路113と連通することができ、残りの一部は、第6流路119および第4流体噴射ホール110aと連通することができる。
【0048】
また、
図13に図示されているように、冷却流路部110は、回転子シャフト200の側面に半径方向に貫通形成され、且つ、冷却流体流動流路230から回転子コア100側に流体を分散させる第7流路110bを含むことができる。第7流路110bは、回転子コア100の他側端部に対応するように、すなわち、第1流路111の反対側に形成されることができる。
【0049】
また、
図14に図示されているように、第7流路110bと第2流路112の他端を連通するための第8流路110cを含むことができる。より詳細には、第8流路110cは、一端が第7流路110bと連通し、他端が第2流路112の他端と連通し、半径方向に形成されることができる。ここで、第8流路110cは、第2プレート130に溝形状に形成されることができ、第2流路112の他端のうち少なくとも一部は、第8流路110cと連通することができ、残りの一部は、第4流路114および第1流体噴射ホール1105と連通することができる。
【0050】
ここで、第1プレート120の第6流路119および第4流体噴射ホール110aは、第2プレート130の第7流路110bと軸方向に一直線上に位置することができ、第1プレート120の第3流路113は、第2プレート130の第4流路114および第1流体噴射ホール115と軸方向に一直線上に位置することができる。
【0051】
また、第1プレート120の第6流路119と第3流路113は、同じ数で形成されることができ、第2プレート130の第7流路110bと第4流路114も同じ数で形成されることができる。さらに、第6流路119と第3流路113は、互いに交互に配置されることができ、第7流路110bと第4流路114も互いに交互に配置されることができる。
【0052】
このような構造を採択することにより、
図13に図示されているように、回転子コア100の両側から流体が同じ流量で噴射されるようにすることができ、冷却流路部110の第1実施形態および第2実施形態とは異なり、冷却流体流動流路230から他の方向に噴射される流体が互いに分離した流路を介して流動するようにすることで、分岐点に該当する流路(第3流路113)での流量および圧力のバラツキが生じないようにすることができ、冷却流体の過剰使用を防止することができる効果がある。
【0053】
以下で、
図15を参照して、回転子シャフト200についてより詳細に説明する。
【0054】
図15に図示されているように、本発明の冷却構造を有する回転子モジュール1000は、冷却流体流動流路230の内部に冷却流体を供給する供給パイプ300をさらに含むことができる。ここで、供給パイプ300は、一端が回転子シャフト200に嵌入されることができ、嵌入された一端部の側面に冷却流体供給ホール310が形成されることができる。また、回転子シャフト200は、側面に回転子コア100が嵌入され、冷却流体流動流路230が形成され、且つ、冷却流体流動流路230の一側が開放されるように形成される第1パーツ210と、一端に圧入部221が形成され、圧入部221が第1パーツ210の一側に圧入されて嵌入され、一端に供給パイプ300の一端が嵌入される第2パーツ220とを含むことができる。ここで、供給パイプ300は、一端、すなわち、冷却流体供給ホール310が冷却流体流動流路230の軸方向の中心より第2パーツ220の圧入部221の一端側にさらに近く位置するように、第2パーツ220に嵌入されることができる。これにより、孤立するオイルを最小化し、コアの入口側へのスムーズな流動を形成することができる。
【0055】
本発明の上述の実施形態に限定して技術的思想を解釈してはならない。適用範囲が多様であることは言うまでもなく、請求の範囲で請求する本発明の要旨から逸脱することなく、当業者の水準で様々な変形実施が可能である。したがって、このような改良および変更は、当業者にとって自明である限り、本発明の保護範囲に属する。
【符号の説明】
【0056】
1000 冷却構造を有する回転子モジュール
100 回転子コア
110 冷却流路部
111 第1流路
112 第2流路
113 第3流路
114 第4流路
115 第1流体噴射ホール
116 第5流路
117 第2流体噴射ホール
118 第3流体噴射ホール
119 第6流路
110a 第4流体噴射ホール
110b 第7流路
110c 第8流路
120 第1プレート
121 第1挿入ホール
130 第2プレート
131 突出部
132 第2挿入ホール
140 外側のマグネット
150 内側のマグネット
200 回転子シャフト
210 第1パーツ
220 第2パーツ
221 圧入部
230 冷却流体流動流路
300 供給パイプ
310 冷却流体供給ホール