(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025033157
(43)【公開日】2025-03-13
(54)【発明の名称】光ファイバ融着接続作業用ケース
(51)【国際特許分類】
G02B 6/255 20060101AFI20250306BHJP
【FI】
G02B6/255
【審査請求】有
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023138684
(22)【出願日】2023-08-29
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-12-06
(71)【出願人】
【識別番号】591048830
【氏名又は名称】日本電設工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100139114
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 貞嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100139103
【弁理士】
【氏名又は名称】小山 卓志
(74)【代理人】
【識別番号】100214260
【弁理士】
【氏名又は名称】相羽 昌孝
(74)【代理人】
【識別番号】100227455
【弁理士】
【氏名又は名称】莊司 英史
(72)【発明者】
【氏名】西澤 義光
【テーマコード(参考)】
2H036
【Fターム(参考)】
2H036KA01
2H036KA02
2H036MA11
(57)【要約】
【課題】作業者が脚立に立って、光ファイバの融着接続作業を行う効率的に行うことが可能な光ファイバ融着接続作業用ケースを提供する。
【解決手段】本発明に係る光ファイバ融着接続作業用ケース1は、光ファイバの融着接続機の固定に用いられる機器取り付け孔112が穿孔された底板110と、前記底板110の四方から連設される側板(130、131、132、133)と、を有するケース本体100と、前記ケース本体100と、ヒンジ140を介して接続される蓋体150と、ファスナーチェーン230が設けられ、前記ケース本体100と、前記蓋体150とを覆う袋部材200と、前記袋部材200に取り付けられ、メスバックルが設けられたメスバックルベルトと、前記袋部材200に取り付けられ、オスバックルが設けられたオスバックルベルトと、前記メスバックルと前記オスバックルとが、前記底板110に近い前記袋部材200の外で着脱することを特徴とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ファイバの融着接続機の固定に用いられる機器取り付け孔が穿孔された底板と、前記底板の四方から連設される側板と、を有するケース本体と、
前記ケース本体と、ヒンジを介して接続される蓋体と、
ファスナーチェーンが設けられ、前記ケース本体と、前記蓋体とを覆う袋部材と、
前記袋部材に取り付けられ、メスバックルが設けられたメスバックルベルトと、
前記袋部材に取り付けられ、オスバックルが設けられたオスバックルベルトと、
前記メスバックルと前記オスバックルとが、前記底板に近い前記袋部材の外で着脱することを特徴とする光ファイバ融着接続作業用ケース。
【請求項2】
前記底板と前記袋部材との間に、底面クッション部材が配されることを特徴とする請求項1に記載の光ファイバ融着接続作業用ケース。
【請求項3】
前記メスバックルベルトの前記袋部材側と前記オスバックルベルトの前記袋部材側には、滑り止めゴムが設けられることを特徴とする請求項1に記載の光ファイバ融着接続作業用ケース。
【請求項4】
前記底板には、ゴム板が貼り付けられることを特徴とする請求項1に記載の光ファイバ融着接続作業用ケース。
【請求項5】
前記側板には、クッション部材が貼り付けられることを特徴とする請求項1に記載の光ファイバ融着接続作業用ケース。
【請求項6】
前記蓋体が枠状であることを特徴とする請求項1に記載の光ファイバ融着接続作業用ケース。
【請求項7】
前記側板には、カラビナの装着に用いられるカラビナ取り付け孔が穿孔されることを特徴とする請求項1に記載の光ファイバ融着接続作業用ケース。
【請求項8】
前記袋部材の外側における、前記機器取り付け孔に対応する箇所にはフラップが設けられることを特徴とする請求項1に記載の光ファイバ融着接続作業用ケース。
【請求項9】
前記フラップと、前記袋部材には面ファスナーが設けられることを特徴とる請求項8に記載の光ファイバ融着接続作業用ケース。
【請求項10】
前記袋部材の内側における、前記蓋体の開口内と対応する箇所にはポケットが設けられることを特徴とする請求項1に記載の光ファイバ融着接続作業用ケース。
【請求項11】
前記袋部材の内側における、前記蓋体の開口内と対応する箇所にはメッシュ素材ポケットが設けられることを特徴とする請求項1に記載の光ファイバ融着接続作業用ケース。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業者が脚立に立って、光ファイバの融着接続作業を行う際に好適に用いることができる光ファイバ融着接続作業用ケースに関する。
【背景技術】
【0002】
光ファイバ同士を加熱溶融して融着接続する光ファイバ融着接続作業においては、光ファイバの融着接続機に加え、光ファイバの被覆を除去するストリッパー、光ファイバを切断するカッター、さらに薬品などの工具類が用いられる。
【0003】
光ファイバの融着接続作業は、様々な場所で行われることから、上記のような工具類を一つのケースにまとめて、持ち運び可能とすると共に、当該ケース自体を作業台として用い得るようにする提案がこれまでなされている。
【0004】
例えば、特許文献1(国際公開番号2020/158336)には、融着接続機及び光ファイバカッタを同時に収納できるとともにそれらの作業台として使用できる収納ケースにおいて、外面には一対の肩ベルトが設けられており、作業者が両肩に掛けながら収納ケースを体の前側に配置し、蓋部を開いて融着接続作業を行うことができるものが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1には、一対の肩ベルトを作業者が両肩に掛けながら収納ケースを体の前側に配置し、蓋部を開いて融着接続作業を行うことで、特に、柱上や梯子上など高所での作業性を向上させることができる旨の記載がある。
【0007】
しかしながら、例えば、高所作業に用いられる脚立と作業者との間のスペースには限りがあり、脚立に立った作業者が肩ベルトを掛けた状態で収納ケースを体の前に配置すると、作業者はのけ反るような姿勢となってしまい、安全な体制での作業が困難となってしまう、という問題があった。
【0008】
本発明は、上記のような課題に鑑み、作業者が脚立に立って、光ファイバの融着接続作業を行う際に好適に用いることができる光ファイバ融着接続作業用ケースを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
このような課題を解決するために、本発明に係る光ファイバ融着接続作業用ケースは、光ファイバの融着接続機の固定に用いられる機器取り付け孔が穿孔された底板と、前記底板の四方から連設される側板と、を有するケース本体と、前記ケース本体と、ヒンジを介して接続される蓋体と、ファスナーチェーンが設けられ、前記ケース本体と、前記蓋体とを覆う袋部材と、前記袋部材に取り付けられ、メスバックルが設けられたメスバックルベルトと、前記袋部材に取り付けられ、オスバックルが設けられたオスバックルベルトと、前記メスバックルと前記オスバックルとが、前記底板に近い前記袋部材の外で着脱することを特徴とする。
【0010】
また、本発明に係る光ファイバ融着接続作業用ケースは、前記底板と前記袋部材との間に、底面クッション部材が配されることを特徴とする。
【0011】
また、本発明に係る光ファイバ融着接続作業用ケースは、前記メスバックルベルトの前記袋部材側と前記オスバックルベルトの前記袋部材側には、滑り止めゴムが設けられることを特徴とする。
【0012】
また、本発明に係る光ファイバ融着接続作業用ケースは、前記底板には、ゴム板が貼り付けられることを特徴とする。
【0013】
また、本発明に係る光ファイバ融着接続作業用ケースは、前記側板には、クッション部材が貼り付けられることを特徴とする。
【0014】
また、本発明に係る光ファイバ融着接続作業用ケースは、前記蓋体が枠状であることを特徴とする。
【0015】
また、本発明に係る光ファイバ融着接続作業用ケースは、前記側板には、カラビナの装着に用いられるカラビナ取り付け孔が穿孔されることを特徴とする。
【0016】
また、本発明に係る光ファイバ融着接続作業用ケースは、前記袋部材の外側における、前記機器取り付け孔に対応する箇所にはフラップが設けられることを特徴とする。
【0017】
また、本発明に係る光ファイバ融着接続作業用ケースは、前記フラップと、前記袋部材には面ファスナーが設けられることを特徴とる。
【0018】
また、本発明に係る光ファイバ融着接続作業用ケースは、
前記袋部材の内側における、前記蓋体の開口内と対応する箇所にはポケットが設けられることを特徴とする。
【0019】
また、本発明に係る光ファイバ融着接続作業用ケースは、前記袋部材の内側における、前記蓋体の開口内と対応する箇所にはメッシュ素材ポケットが設けられることを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明に係る光ファイバ融着接続作業用ケースは、前記メスバックルと前記オスバックルとが、前記底板に近い前記袋部材の外で着脱することで、脚立の天板に装着することが可能となる。そして、このような本発明に係る光ファイバ融着接続作業用ケースによれば、作業者が脚立に立って、光ファイバの融着接続作業を効率的に行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の実施形態に係る光ファイバ融着接続作業用ケース1の概略の分解斜視図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る光ファイバ融着接続作業用ケース1のケース本体100を示す図である。
【
図3】本発明の実施形態に係る光ファイバ融着接続作業用ケース1に用いられる底面クッション部材190の平面図である。
【
図4】融着接続機10の取り付けねじ孔12近傍のレイアウトのイメージ図である。
【
図5】本発明の実施形態に係る光ファイバ融着接続作業用ケース1の外装(袋部材200の外装に同じ)を示す図である。
【
図6】本発明の実施形態に係る光ファイバ融着接続作業用ケース1の使用例を示す図である。
【
図7】本発明の実施形態に係る光ファイバ融着接続作業用ケース1を用いた脚立Xでの光ファイバの融着接続作業の様子を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態と図面を参照しつつ説明する。
図1は本発明の実施形態に係る光ファイバ融着接続作業用ケース1の概略の分解斜視図である。なお、
図1に示す光ファイバ融着接続作業用ケース1の斜視図は、煩雑さを避けるために一部図示省略されている箇所がある。
【0023】
本発明に係る光ファイバ融着接続作業用ケース1は、光ファイバの融着接続作業に必要な機器・工具・薬品類をひとまとめとして持ち運び可能とすると共に、光ファイバ融着接続作業用ケース1を開くことにより、光ファイバの融着接続作業のためのスペースを提供する。特に、本発明に係る光ファイバ融着接続作業用ケース1は、脚立Xの天板Y側に取り付けることで、高所における光ファイバの融着接続作業の効率化を図ることができる。
【0024】
光ファイバ融着接続作業用ケース1は、概略、骨格となるアルミニウム製のケース本体100と、このケース本体100とヒンジ140を介して一体化されている、アルミニウム製の蓋体150とが、布等からなる袋部材200に収納された構成を有している。ケース本体100の底板110と、袋部材200との間には、底面クッション部材190が配されている。
【0025】
袋部材200は、第1袋部210と、これに連設されている第2袋部220とから構成されている。第1袋部210は、主としてケース本体100を収納することを想定しており、第2袋部220は、主として蓋体150を収納することを想定している。
【0026】
第1袋部210と、第2袋部220とには、ファスナーチェーン230が設けられている。ファスナーチェーン230に取り付けられているスライダー235を摺動させることで、第1袋部210と、第2袋部220と間を開閉することができるようになっている。
【0027】
本発明に係る光ファイバ融着接続作業用ケース1においては、ケース本体100の底板110の上面側(ケース内側)は、光ファイバの融着接続作業を行う際、融着接続機10、ストリッパー13、カッター15といった機器・工具類や、エタノールなどの薬品類が設置される作業スペースとして利用される。
【0028】
一方、ケース本体100の底板110の下面側(ケース外側)は、脚立Xの天板Y側に取り付けられる側となる。底板110の下面側には、底面クッション部材190が配されており、天板Yにおける凹凸形状を当該底面クッション部材190が吸収することで、光ファイバ融着接続作業用ケース1の安定性が増し、底板110の上面側での作業性が向上する。
【0029】
図2は本発明の実施形態に係る光ファイバ融着接続作業用ケース1のケース本体100を示す図である。
図2(A)はケース本体100を上面からみた平面図であり、
図2(B)はケース本体100を前方からみた図である。なお、上面、下面、前方、後方、右方、左方などの方向は、光ファイバ融着接続作業用ケース1を開いて光ファイバの融着接続作業を行う作業者の視点を基準としている(
図6、
図7参照)。
【0030】
ケース本体100は、平面視で矩形状の底板110と、この底板110の四方から連設される側板と、を有している。これら4つの側板の内訳は、前方側に底板110と連設される前方側板130と、後方側に底板110と連設される後方側板131と、右方側に底板110と連設される右方側板132と、左方側に底板110と連設される左方側板133である。
【0031】
底板110には、融着接続機10を底板110に対して固定する際に用いられる、取り付けねじ孔12を挿通する機器取り付け孔112が2つ穿孔されている。本発明に係る光ファイバ融着接続作業用ケース1においては、複数の機器取り付け孔112が設けられているために、種類の異なる融着接続機10を底板110に固定したり、作業者の作業のし易い底板110の位置に融着接続機10を固定したりすることができる。融着接続機10は、取り付けねじ孔12が利用されることで、底板110に対して着脱自在とされている。なお、底板110に穿孔する機器取り付け孔112の数は、任意とすることができる。
【0032】
上記のように、底板110に穿孔されている2つの機器取り付け孔112の位置に略対応する底面クッション部材190には、開口部192が設けられている。また、2つの機器取り付け孔112の位置に略対応する袋部材200にも開口部212が設けられている。この開口部212に対応して、当該開口部212を塞いだり開放したりするフラップ214が設けられている。
【0033】
フラップ214は、袋部材200と同様の素材の矩形状の部材で、一辺が袋部材200に対して縫い付けられている。フラップ214の当該一辺と対向する一辺の側には、面ファスナー215が設けられている。フラップ214が、前記開口部212を塞いだときに、フラップ214の面ファスナー215と対応する袋部材200の位置にも、面ファスナー215が設けられている。フラップ214側の面ファスナー215と、袋部材200側の面ファスナー215とを着脱することで、開口部212が塞がれたり閉じたりする。
【0034】
本発明に係る光ファイバ融着接続作業用ケース1によって、収納されている機器・工具・薬品類が搬送されている時や、光ファイバの融着接続作業時においては、先のフラップ214によって開口部212が塞がれた状態とされている。
【0035】
通常、融着接続機10には取り付けねじ孔12が設けられており、この取り付けねじ孔12を利用して、融着接続機10を取り付け対象物に対して着脱することができるようになっている。本発明に係る光ファイバ融着接続作業用ケース1においては、融着接続機10は、ケース本体100の底板110に対して着脱することができるようになっている。
【0036】
本発明に係る光ファイバ融着接続作業用ケース1において、融着接続機10を着脱する際の手順を説明すると、まず、フラップ214と袋部材200のそれぞれの面ファスナー215を剥離することで、袋部材200の開口部212を開放する。融着接続機10を光ファイバ融着接続作業用ケース1に装着する場合を例にとると、融着接続機10の取り付けねじ孔12と、底板110のいずれかの機器取り付け孔112と、取り付けねじ20とを、
図1の一点鎖線上となるように配置して、取り付けねじ20を取り付けねじ孔12に螺着させることで、融着接続機10を光ファイバ融着接続作業用ケース1の底板110に対して固着する。
【0037】
逆に、融着接続機10を光ファイバ融着接続作業用ケース1の底板110から取り外す際には、フラップ214を開けて、開口部212を開放し、融着接続機10の取り付けねじ孔12と螺合している取り付けねじ20を回し螺着を緩めて、取り付けねじ20による融着接続機10の拘束を解放する。
【0038】
ところで、底板110と、袋部材200との間には、底面クッション部材190が配されているが、ここで、底面クッション部材190の厚さとして好適な条件について説明する。
図4は融着接続機10の取り付けねじ孔12近傍のレイアウトのイメージ図である。
【0039】
取り付けねじ20は、人手によって回転操作される頭部22と、この頭部22から延出する螺刻されたシャフト状のねじ部25とを有するものである。通常、融着接続機10の取り付けねじ20は、カメラ等を三脚に固定する際に用いられる三脚ねじと同規格(1/4インチサイズ)のものである。本発明に係る光ファイバ融着接続作業用ケース1においても、取り付けねじ20は、上記のような三脚ねじと同規格のものを想定している。
【0040】
図4に示すように、ケース本体100の底板110と、フラップ214との間に、取り付けねじ20の頭部22の厚さに相当するスペースが必要となる。このスペースを担保するのが、底面クッション部材190の厚さである。底面クッション部材190の材質としては、ポリエチレンフォームなどの発泡樹脂材料を好適に用いることができる。本実施形態では、当該発泡樹脂材料として、三和化工株式会社ポリエチレンフォーム製サルペルカ(登録商標)L1400を用いた。
【0041】
ここで、底面クッション部材190の厚さをtとすると、上記のように底板110とフラップ214との間に、取り付けねじ20の頭部22のスペースを確保するために好適な厚さtについて説明する。本発明に係る光ファイバ融着接続作業用ケース1においては、底面クッション部材190の材質にもよるが、取り付けねじ20として、前記三脚ねじと同規格のものを用いることを考慮すると、底面クッション部材190の厚さtは10mm以上20mm以下であることが好適であり、より好ましくは、厚さtは13mm以上17mm以下である。
【0042】
以上のように、本発明に係る光ファイバ融着接続作業用ケース1においては、袋部材200のフラップ214の開け閉めにより、底板110のいずれかの機器取り付け孔112を露出させることが可能であるので、光ファイバ融着接続作業用ケース1に対する融着接続機10の着脱を簡便に行うことができるようになっている。
【0043】
底板110には、平面視でみた四隅のそれぞれに長孔115が2つずつ設けられている。これらの長孔115には、袋部材200から延出するベルト状部材(不図示)が挿通され、ベルト状部材を適宜締結されることで、ケース本体100と袋部材200の第1袋部210とが一体化される。
【0044】
底板110と袋部材200との間に配されている底面クッション部材190は、平面視でみて四隅に切り欠き部194が設けられている。これらの切り欠き部194が設けられているため、不図示のベルト状部材が底面クッション部材190によって邪魔されないようになっている。
【0045】
ケース本体100の底板110における機器取り付け孔112の左右には、それぞれ底板ゴム板118が貼り付けられている。光ファイバの融着接続作業においては、融着接続の機能を果たす融着接続機10の他に、ストリッパー13、カッター15などの補助機器・補助工具が用いられる。これらストリッパー13、カッター15を、底板110上の融着接続機10の両脇に安定的に載置するために、本発明に係る光ファイバ融着接続作業用ケース1においては、底板ゴム板118のような弾性を有する部材が2枚、底板110に設けられている。
【0046】
また、ケース本体100の3つの側板(前方側板130、右方側板132、左方側板133)には、カラビナ取り付け孔134が設けられている。本実施形態では、前方側板130に2つのカラビナ取り付け孔134が、また、方側板132、左方側板133に、それぞれ3つのカラビナ取り付け孔134が設けられているが、いくつの孔を側板に設けるかは任意である。
【0047】
カラビナ取り付け孔134は、例えば、補助機器・補助工具類(不図示)の完全落下防止に用いられる。このために、一端が補助機器・補助工具類(不図示)に接続され、他端にカラビナ(不図示)が接続されたコードが用いられる。このようなコードのカラビナを、先のカラビナ取り付け孔134に取り付けておくことで、補助機器・補助工具類(不図示)が底板110から完全に落下してしまうことを防止することができる。
【0048】
ケース本体100における前方側板130の上端部には、当該上端部をカバーするようにして前方側板ゴム板138が設けられている。このような前方側板ゴム板138によって、作業者の手の荷重が支えられるので、作業者の手が、前方側板130の上端部に食い込むようなことがなく、快適に光ファイバの融着接続作業を行うことが可能となる。
【0049】
側板のうち、後方側板131には、後方側板クッション部材135が貼り付けられている(
図2参照)。本発明に係る光ファイバ融着接続作業用ケース1に機器・工具・薬品類を収納して、持ち運ばれる際には、光ファイバ融着接続作業用ケース1の後方側板131の方が底部となる。そこで、光ファイバ融着接続作業用ケース1に上記のように後方側板クッション部材135を設けておき、搬送中に振動・衝撃などにより、機器・工具・薬品類が受けるダメージを低減する。
【0050】
ケース本体100の後方側板131と、蓋体150との間には、2つのヒンジ140が設けられており、ケース本体100に対して蓋体150が開閉するようになっている。さらに、ケース本体100の後方側板131と、蓋体150との間には、トルクヒンジ145が取り付けられている。このようなトルクヒンジ145により、ケース本体100に対して蓋体150が所望の角度で安定する。
【0051】
ケース本体100と、上記のようにヒンジ140とトルクヒンジ145とを介して接続されている蓋体150は、本実施形態では開口152を有する枠状のアルミニウム製部材が用いられる。本発明に係る光ファイバ融着接続作業用ケース1においては、蓋体150として枠状の部材が用いられるために、光ファイバ融着接続作業用ケース1全体を軽量化することが可能となる。
【0052】
次に、上記のようなケース本体100と蓋体150とからなる骨格部を収納する袋部材200について説明する。袋部材200は、主としてケース本体100を収納する第1袋部210と、主として蓋体150を収納する第2袋部220とからなる。第1袋部210には、開口部212を覆うフラップ214が設けられていることは説明したとおりである。
【0053】
袋部材200の第2袋部220の内側には、本発明に係る光ファイバ融着接続作業用ケース1を用いて作業を行う作業者の視点からみて左右のそれぞれに大きめのポケット224と、それぞれのポケット224の下方にメッシュ素材ポケット226が設けられている。これらのポケットは、袋部材200が、ケース本体100と蓋体150とを収容したとき、ちょうど蓋体150の開口152と対応する位置となるように配されている。
【0054】
上記のようなポケット224、メッシュ素材ポケット226は、機器・工具・薬品類を収納するために供することができる。また、これらポケットには、作業現場の図面やの資料等の収納することもでき、作業者が適宜資料等を参照することで、作業効率を向上させることができる。
【0055】
図5は本発明の実施形態に係る光ファイバ融着接続作業用ケース1の外装(袋部材200の外装に同じ)を示す図である。本発明に係る光ファイバ融着接続作業用ケース1の蓋体150を閉じ、底板110を下面としたときを基準として、光ファイバ融着接続作業用ケース1の外装における各面を規定する。
図5(A)は光ファイバ融着接続作業用ケース1の天面部203から見た図であり、
図5(B)は光ファイバ融着接続作業用ケース1の底面部205から見た図であり、
図5(C)は光ファイバ融着接続作業用ケース1の側面部206を前方側板130の方からみた図である。
【0056】
光ファイバ融着接続作業用ケース1の側面部206における後方側板131の側においては、
図5(A)、図(B)に示すように、底足部209が設けられている。後方側板131と対向する前方側板130の側における側面部206には、取っ手部208が設けられている。また、右方側板132、左方側板133に対応する、それぞれの側面部206には、Dカン金具260が取り付けられている。両側面部206における2つのDカン金具260に肩紐(不図示)を渡すことによって、光ファイバ融着接続作業用ケース1を肩にかけて持ち運ぶことが可能となる。
【0057】
図5(C)に示すように、側面部206における第1袋部210と、第2袋部220と間には、ファスナーチェーン230が設けられており、ファスナーチェーン230に取り付けられているスライダー235の摺動により、第1袋部210と、第2袋部220との間を開いたり、閉じたりすることができる。
【0058】
本発明に係る光ファイバ融着接続作業用ケース1は、
図5(B)に示すように、袋部材200の底面部205側(ケース本体100の底板110側)で嵌合するメスバックル245とオスバックル255を有している。袋部材200は、袋部材200の前方側板130側の側面部206に縫い付けられ、メスバックル245が設けられたメスバックルベルト240を2本有している。それに対応するように、袋部材200は、袋部材200の後方側板131側の側面部206に縫い付けられ、オスバックル255が設けられたオスバックルベルト250を2本有している。
【0059】
本発明に係る光ファイバ融着接続作業用ケース1においては、上記のようなメスバックルベルト240とオスバックルベルト250とで、光ファイバ融着接続作業用ケース1を脚立Xの天板Yに取り付けることを想定している。
【0060】
図6は本発明の実施形態に係る光ファイバ融着接続作業用ケース1の使用例を示す図である。また、
図7は本発明の実施形態に係る光ファイバ融着接続作業用ケース1を用いた脚立Xでの光ファイバの融着接続作業の様子を示す模式図である。
【0061】
本発明に係る光ファイバ融着接続作業用ケース1を使用するには、光ファイバ融着接続作業用ケース1の底面部205を天板Yの上に載置して、2本のメスバックルベルト240とオスバックルベルト250とで天板Yを抱き込むようにして、メスバックル245とオスバックル255とを嵌合させることで、光ファイバ融着接続作業用ケース1を天板Yに装着する。
【0062】
メスバックル245には、メスバックル245から繰り出すメスバックルベルト240の長さを調整する周知の構造が設けられている。このような構造により、光ファイバ融着接続作業用ケース1を天板Yに安定的に固定することが可能となる。
【0063】
また、メスバックルベルト240の袋部材200側(
図5(B)では見えない側)と、オスバックルベルト250の袋部材200側(
図5(B)では見えない側)には、滑り止めゴム(不図示)が設けられている。このような滑り止めゴムが、各ベルトに設けられているために、アルミニウム製の天板Yに密着するように各ベルトが装着することができ、光ファイバ融着接続作業用ケース1が天板Y上で安定する。
【0064】
本発明に係る光ファイバ融着接続作業用ケース1は、2本のメスバックルベルト240とオスバックルベルト250が設けられてなるものであるが、これらのベルトは脚立Xの天板Yに取り付ける目的のために設けられるものであり、従来技術に係るケースに設けられるベルトとは異なるものである。
【0065】
以上、本発明に係る本発明に係る光ファイバ融着接続作業用ケース1は、前記メスバックル245と前記オスバックル255とが、前記底板110に近い前記袋部材200の外で着脱することで、脚立Xの天板Yに装着することが可能となる。そして、このような本発明に係る光ファイバ融着接続作業用ケース1によれば、作業者が脚立Xに立って、光ファイバの融着接続作業を効率的に行うことが可能となる。
【符号の説明】
【0066】
1・・・光ファイバ融着接続作業用ケース
10・・・融着接続機
12・・・取り付けねじ孔
13・・・ストリッパー
15・・・カッター
20・・・取り付けねじ
22・・・頭部
25・・・ねじ部
100・・・ケース本体
110・・・底板
112・・・機器取り付け孔
115・・・長孔
118・・・底板ゴム板
130・・・前方側板
131・・・後方側板
132・・・右方側板
133・・・左方側板
134・・・カラビナ取り付け孔
135・・・後方側板クッション部材
138・・・前方側板ゴム板
140・・・ヒンジ
145・・・トルクヒンジ
150・・・(枠状)蓋体
152・・・開口
190・・・底面クッション部材
192・・・開口部
194・・・切り欠き部
200・・・袋部材
203・・・天面部
205・・・底面部
206・・・側面部
208・・・取っ手部
209・・・底足部
210・・・第1袋部(ケース本体対応)
212・・・開口部
214・・・フラップ
215・・・面ファスナー
220・・・第2袋部(蓋体対応)
224・・・ポケット
226・・・メッシュ素材ポケット
230・・・ファスナーチェーン
235・・・スライダー
240・・・メスバックルベルト
245・・・メスバックル
250・・・オスバックルベルト
255・・・オスバックル
260・・・Dカン金具
X・・・脚立
Y・・・天板
【手続補正書】
【提出日】2024-07-26
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ファイバの融着接続機の固定に用いられる機器取り付け孔が穿孔され、前記融着接続機が固定される上面側と前記上面側と表裏の関係にある下面側とを有する底板と、前記底板の四方から連設される側板と、を有するケース本体と、
前記ケース本体と、ヒンジを介して接続される蓋体と、
ファスナーチェーンが設けられ、前記ケース本体と、前記蓋体とを覆う袋部材と、
前記袋部材に取り付けられ、メスバックルが設けられたメスバックルベルトと、
前記袋部材に取り付けられ、オスバックルが設けられたオスバックルベルトと、を備え、
前記メスバックルと前記オスバックルとが、前記底板の前記下面側における前記袋部材の外で着脱することを特徴とする光ファイバ融着接続作業用ケース。
【請求項2】
前記底板と前記袋部材との間に、底面クッション部材が配されることを特徴とする請求項1に記載の光ファイバ融着接続作業用ケース。
【請求項3】
前記メスバックルベルトの前記袋部材側と前記オスバックルベルトの前記袋部材側には、滑り止めゴムが設けられることを特徴とする請求項1に記載の光ファイバ融着接続作業用ケース。
【請求項4】
前記底板には、ゴム板が貼り付けられることを特徴とする請求項1に記載の光ファイバ融着接続作業用ケース。
【請求項5】
前記側板には、クッション部材が貼り付けられることを特徴とする請求項1に記載の光ファイバ融着接続作業用ケース。
【請求項6】
前記蓋体が枠状であることを特徴とする請求項1に記載の光ファイバ融着接続作業用ケース。
【請求項7】
前記側板には、カラビナの装着に用いられるカラビナ取り付け孔が穿孔されることを特徴とする請求項1に記載の光ファイバ融着接続作業用ケース。
【請求項8】
前記袋部材の外側における、前記機器取り付け孔に対応する箇所にはフラップが設けられることを特徴とする請求項1に記載の光ファイバ融着接続作業用ケース。
【請求項9】
前記フラップと、前記袋部材には面ファスナーが設けられることを特徴とする請求項8に記載の光ファイバ融着接続作業用ケース。
【請求項10】
前記袋部材の内側における、前記蓋体の開口内と対応する箇所にはポケットが設けられることを特徴とする請求項1に記載の光ファイバ融着接続作業用ケース。
【請求項11】
前記袋部材の内側における、前記蓋体の開口内と対応する箇所にはメッシュ素材ポケットが設けられることを特徴とする請求項1に記載の光ファイバ融着接続作業用ケース。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0009】
このような課題を解決するために、本発明に係る光ファイバ融着接続作業用ケースは、光ファイバの融着接続機の固定に用いられる機器取り付け孔が穿孔され、前記融着接続機が固定される上面側と前記上面側と表裏の関係にある下面側とを有する底板と、前記底板の四方から連設される側板と、を有するケース本体と、前記ケース本体と、ヒンジを介して接続される蓋体と、ファスナーチェーンが設けられ、前記ケース本体と、前記蓋体とを覆う袋部材と、前記袋部材に取り付けられ、メスバックルが設けられたメスバックルベルトと、前記袋部材に取り付けられ、オスバックルが設けられたオスバックルベルトと、を備え、前記メスバックルと前記オスバックルとが、前記底板の前記下面側における前記袋部材の外で着脱することを特徴とする。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0017
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0017】
また、本発明に係る光ファイバ融着接続作業用ケースは、前記フラップと、前記袋部材には面ファスナーが設けられることを特徴とする。
【手続補正書】
【提出日】2024-09-26
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ファイバの融着接続機の固定に用いられる機器取り付け孔が穿孔され、前記融着接続機が固定される上面側と前記上面側と表裏の関係にある下面側とを有する底板と、前記底板の四方から連設される側板と、を有するケース本体と、
前記ケース本体と、ヒンジを介して接続される蓋体と、
ファスナーチェーンが設けられ、前記ケース本体と、前記蓋体とを覆う袋部材と、
前記袋部材に取り付けられ、メスバックルが設けられたメスバックルベルトと、
前記袋部材に取り付けられ、オスバックルが設けられたオスバックルベルトと、を備え、
前記メスバックルと前記オスバックルとが、前記底板の前記下面側における前記袋部材の外で着脱し、前記メスバックルベルトの長さが調整されることで、脚立の天板に固定されることを特徴とする光ファイバ融着接続作業用ケース。
【請求項2】
前記底板と前記袋部材との間に、底面クッション部材が配されることを特徴とする請求項1に記載の光ファイバ融着接続作業用ケース。
【請求項3】
前記メスバックルベルトの前記袋部材側と前記オスバックルベルトの前記袋部材側には、滑り止めゴムが設けられることを特徴とする請求項1に記載の光ファイバ融着接続作業用ケース。
【請求項4】
前記底板には、ゴム板が貼り付けられることを特徴とする請求項1に記載の光ファイバ融着接続作業用ケース。
【請求項5】
前記側板には、クッション部材が貼り付けられることを特徴とする請求項1に記載の光ファイバ融着接続作業用ケース。
【請求項6】
前記蓋体が枠状であることを特徴とする請求項1に記載の光ファイバ融着接続作業用ケース。
【請求項7】
前記側板には、カラビナの装着に用いられるカラビナ取り付け孔が穿孔されることを特徴とする請求項1に記載の光ファイバ融着接続作業用ケース。
【請求項8】
前記袋部材の外側における、前記機器取り付け孔に対応する箇所にはフラップが設けられることを特徴とする請求項1に記載の光ファイバ融着接続作業用ケース。
【請求項9】
前記フラップと、前記袋部材には面ファスナーが設けられることを特徴とする請求項8に記載の光ファイバ融着接続作業用ケース。
【請求項10】
前記袋部材の内側における、前記蓋体の開口内と対応する箇所にはポケットが設けられることを特徴とする請求項1に記載の光ファイバ融着接続作業用ケース。
【請求項11】
前記袋部材の内側における、前記蓋体の開口内と対応する箇所にはメッシュ素材ポケットが設けられることを特徴とする請求項1に記載の光ファイバ融着接続作業用ケース。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0009】
このような課題を解決するために、本発明に係る光ファイバ融着接続作業用ケースは、光ファイバの融着接続機の固定に用いられる機器取り付け孔が穿孔され、前記融着接続機が固定される上面側と前記上面側と表裏の関係にある下面側とを有する底板と、前記底板の四方から連設される側板と、を有するケース本体と、前記ケース本体と、ヒンジを介して接続される蓋体と、ファスナーチェーンが設けられ、前記ケース本体と、前記蓋体とを覆う袋部材と、前記袋部材に取り付けられ、メスバックルが設けられたメスバックルベルトと、前記袋部材に取り付けられ、オスバックルが設けられたオスバックルベルトと、を備え、前記メスバックルと前記オスバックルとが、前記底板の前記下面側における前記袋部材の外で着脱し、前記メスバックルベルトの長さが調整されることで、脚立の天板に固定されることを特徴とする。