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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025033271
(43)【公開日】2025-03-13
(54)【発明の名称】大型箱
(51)【国際特許分類】
   B65D 19/20 20060101AFI20250306BHJP
【FI】
B65D19/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023138876
(22)【出願日】2023-08-29
(71)【出願人】
【識別番号】000212647
【氏名又は名称】ナビエース株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】523327019
【氏名又は名称】太榮株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】弁理士法人光陽国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100088616
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 一平
(74)【代理人】
【識別番号】100154829
【弁理士】
【氏名又は名称】小池 成
(74)【代理人】
【識別番号】100132403
【弁理士】
【氏名又は名称】永岡 儀雄
(74)【代理人】
【識別番号】100198856
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 聡
(72)【発明者】
【氏名】古野 愛
(72)【発明者】
【氏名】杉本 洋輔
(72)【発明者】
【氏名】福岡 徹
(72)【発明者】
【氏名】寺迫 謙二
【テーマコード(参考)】
3E063
【Fターム(参考)】
3E063AA06
3E063BA10
3E063BB08
3E063CA03
3E063CA12
3E063CB01
3E063EE01
(57)【要約】
【課題】プラスチック製バンドによる締結作業を行わないでも物品の梱包状態を安定させ、搬送時や保管時等であっても当該梱包状態を保持することが可能な大型箱の提供を課題とする。
【解決手段】物品8を内部に収容し梱包するための段ボール製の大型箱1は、外殻部6と、外殻部6の上方から被設される蓋部12と、外殻部6の下方に敷設され、平板四角形状のパッド基板部13、及びパッド基板部13の互いに対向する少なくとも一対のパッド辺14a,14bからそれぞれ延設されたパッド延設片部4a,4bを有する補助パッド部2とを具備する。更に、大型箱1は、外殻部6の下方に敷設されるボックス部3と、延設片部33を有する蓋部8と、及び、桁部材9、底板部11a,11bを有するパレット3とを備えている。
【選択図】図4

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を内部に収容し梱包するための段ボール製の大型箱であって、
外殻部と、
前記外殻部の上方から被設される蓋部と、
前記外殻部の下方に敷設され、平板四角形状のパッド基板部、及び前記パッド基板部の互いに対向する少なくとも一対のパッド辺からそれぞれ延設されたパッド延設片部を有する補助パッド部と
を具備する大型箱。
【請求項2】
平板四角形状のボックス基板部及び前記ボックス基板部のそれぞれの基板部辺から上方に向かって垂設された垂片部を有し、上方に開口した開口部を備え、前記補助パッド部の下方に敷設される箱型形状のボックス部を更に具備する請求項1に記載の大型箱。
【請求項3】
前記蓋部は、
平板四角形状の蓋板部及び前記蓋板部のそれぞれの蓋板部辺から延設され、前記蓋板部に対して直交方向に沿って折り曲げることにより、蓋部側面を形成する蓋側片部を更に有し、
互いに対向する少なくとも一対の前記蓋側片部から更に延設された延設片部を備える請求項1または2に記載の大型箱。
【請求項4】
所定の間隔をあけて配設された複数の桁部材、前記桁部材の下面に敷設される平板四角形状の底板部、前記桁部材の上面に載設される平板四角形状の天板部を有するパレットを更に具備し、
前記パレットの前記天板部の上に前記ボックス部が接合される請求項2に記載の大型箱。
【請求項5】
前記補助パッド部は、
互いに対向する一対の前記パッド延設片部が前記パッド辺に沿って折り畳まれ、前記パッド基板部の上に重ね合わせた状態で前記ボックス部の内部に収容可能な請求項1に記載の大型箱。
【請求項6】
前記パッド延設片部は、
前記パッド基板部の前記パッド辺から延設された下片部と、
前記下片部から前記パッド辺の辺長さよりも短い長さで形成された上片部と
を有し、
L字形状を呈して形成される請求項1に記載の大型箱。
【請求項7】
前記パッド延設片部は、
前記延設片上端から更に折り返し可能に延設された折り返し片部を有し、
前記延設片上端から折り返された前記折り返し片部を利用して前記外殻部上端を挟み込んで固定する請求項1に記載の大型箱。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、大型箱に関する。更に詳しくは、物品を梱包した状態で搬送や保管するために使用される段ボール製の大型箱に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、工場等で生産された各種製品や当該製品を製造するために使用される部品、或いは資材等の種々の物品を生産工場から製造工場まで搬送したり、製造後或いは製造前に倉庫等の保管場所で所定期間保管したりするために、当該物品を載置するための、所謂「大型箱」が多く用いられている。これらの大型箱は、物品等を載置した状態で多段に積重し、更に搬送時等の重量物等の物品を安定して支持することができるように、高い強度を有する材質のものが使用されている。
【0003】
例えば、木材で形成された大型箱が多く使用され、更に合成樹脂製の大型箱も使用されている。更に近年においては、十分な強度を備え、かつ軽量性等で利点を有する段ボール材を使用した段ボール製の大型箱も広く普及している(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
従来の段ボール製の大型箱100の詳細について、図10及び図11に基づいて具体的に説明する。なお、図10は従来の大型箱100の概略構成を示す分解斜視図であり、図11図10の大型箱100を用いた物品101の梱包の一例を示す説明図である。
【0005】
従来の段ボール製の大型箱100は、図10及び図11に示すように、所定の間隔をあけて配設された複数の桁部材102、当該桁部材102の下面に敷設されるシート状(平板状)の底板部103、及び桁部材102の上面に載設される天板部104を有するパレット106と、パレット106の天板部104の上に積設されるボックス部105と、大型箱100の外側面を構成する外殻部107と、外殻部107の上方に被せられる蓋部108とを主に具備して構成されている。
【0006】
ここで、上述したパレット106、ボックス部105、外殻部107、及び蓋部108のそれぞれの部材(構成)が全てシート状の段ボール材を所定形状にカットし、更に折り曲げたり、接着剤等を用いて接合したりする加工を行うことで形成されている。
【0007】
パレット106の桁部材102は、シート状の段ボール材を、接着剤等を使用して貼り合わせることによって形成された略四角柱状の長尺体として構成されるものである。かかる桁部材102が所定の間隔をあけて複数配設されている。なお、図10及び図11に示した大型箱100の場合、四本の桁部材102が使用されているが、桁部材102の数は特に限定されるものではない。
【0008】
一方、パレット106の底板部103及び天板部104は、それぞれ同一形状を呈するシート状の四角形の段ボール材によって形成されており、一辺の長さL1(図10参照)が桁部材102の長手方向の長さに一致し、更に他辺の長さL2(図10参照)が所定の間隔をあけて配設された複数の桁部材102のそれぞれ最外側に位置する一対の桁部材102の距離に一致するように形成されている。
【0009】
また、図10及び図11に示された大型箱100は、底板部103及び桁部材102、天板部104及び桁部材102の接合及び貼り合わせは、上記桁部材102と同様に、接着剤等が使用されている。
【0010】
更に、パレット106の天板部104の上に接合されるボックス部105は、天板部104と略一致する四角形状のボックス基板部109と、ボックス基板部109のそれぞれの基板部辺110a,110b,110c,110dから上方に向かって折り曲げられた(垂設された)垂片部111を有し、上方に開口した開口部112を有する箱型形状、更に換言すれば上方に開口した断面略コの字形状を呈している。ボックス部105のボックス基板部109の上に梱包対象となる物品101(図11参照)等を載置することができる。
【0011】
加えて、大型箱100は、ボックス部105の上に載置された物品101の水平方向及び上方向等からの外部からの衝撃が加わらないように保護したり、梱包される物品101が外部から視認されるのを防いだり、或いは、物品101を梱包した状態の大型箱100を多段に積重した状態で搬送及び保管をするために、段ボール製の外殻部107、及び蓋部108を更に具備している。
【0012】
シート状の段ボール材の一端同士を連結し、上方視断面四角形状の四角筒状を呈するように形成された外殻部107(スリーブ)は、ボックス部105と、蓋部108の間に配置される。
【0013】
これにより、ボックス基板部109、及び外殻部107によって囲まれた収容空間113が形成され、当該収容空間113に梱包対象となる物品101を収容することができる。更に、外殻部107の上方から段ボール製の蓋部108を被せることにより、収容空間113の上部を塞ぎ、当該収容空間113を外部から完全に遮蔽することができる(図11参照)。ここで、外殻部107はボックス部105の上に載置され、立設された状態であり、当該ボックス部105とは接着剤等によって接合されていない。
【0014】
そのため、その他構成として、互いに対向する一対の桁部材102の間に、蓋部108を固定するためのプラスチック製バンド114(以下、単に「Pバンド114」と称す。)を桁部材102の長手方向に沿って通し、更にPバンド114を天板部104、ボックス部105、外殻部107、及び蓋部108の周囲に沿わせるようにして締結することを行っている(図11参照)。
【0015】
これにより、外殻部107が蓋部108及び天板部104・ボックス部105の間で上下方向から締め付けられた状態で固定される。このように、Pバンド114による締結作業を行うことで、物品101の梱包が完了し、搬送時や保管時に外部から加わる衝撃等から物品101を外殻部107や蓋部108によって保護することができ、更に外殻部107のボックス部105に対する立設状態を維持することができる。すなわち、Pバンド114によって締結固定された外殻部107、及び蓋部108によって、物品101の梱包状態を安定させ、物品101の搬送や保管等を確実に行うことができる。なお、図11に示す従来の大型箱100は、二本のPバンド114を使用して蓋部108を締結固定する例を示しているが、Pバンド114の本数は特に限定されるものではない。
【0016】
このように、従来の段ボール製の大型箱100の場合、物品101の梱包作業において、外殻部107を固定するためのPバンド114を用いた締結作業が不可欠なものとなっていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【特許文献1】特開2016-108021号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
しかしながら、上記した従来の段ボール製の大型箱の場合、下記に掲げる不具合を生じることがあった。すなわち、前述したPバンドによる締結作業を行う必要があり、かかる作業が物品の梱包を行う作業者にとって大きな負担となることがあった。
【0019】
例えば、梱包対象となる物品が大きなものであったり、或いは重量物であったりする場合、Pバンドを一対の桁部材の間を通したり、或いはPバンドを強い力で締結したりする作業に多くの労力を要し、更に当該作業自体の作業時間が長くなる可能性があった。その結果、物品の梱包作業に多くの時間を要し、当該締結作業による作業効率が低下したり、或いは、作業者に過度の負担を強いたりすることがあった。また、締結固定を確実にするために、使用するPバンドの本数を一般的に二本以上取り付けることがあり、更に作業者の負担となることがあった。
【0020】
そのため、Pバンドによる締結作業を行わないでも物品の梱包状態を安定させ、搬送時や保管時等であっても当該梱包状態を保持することが可能な大型箱が期待されていた。
【0021】
そこで、本発明は上記実情に鑑み、Pバンドによる締結作業を省略化し、安定した梱包状態を保持することが可能な大型箱の提供を課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0022】
本発明によれば、上記課題を解決した大型箱が提供される。
【0023】
[1] 物品を内部に収容し梱包するための段ボール製の大型箱であって、外殻部と、前記外殻部の上方から被設される蓋部と、前記外殻部の下方に敷設され、平板四角形状のパッド基板部、及び前記パッド基板部の互いに対向する少なくとも一対のパッド辺からそれぞれ延設されたパッド延設片部を有する補助パッド部とを具備する大型箱。
【0024】
[2] 平板四角形状のボックス基板部及び前記ボックス基板部のそれぞれのボックス基板部辺から上方に向かって垂設された垂片部を有し、上方に開口した開口部を備え、前記補助パッド部の下方に敷設される箱型形状のボックス部を更に具備する前記[1]に記載の大型箱。
【0025】
[3] 前記蓋部は、平板四角形状の蓋板部及び前記蓋板部のそれぞれの蓋板部辺から延設され、前記蓋板部に対して直交方向に沿って折り曲げることにより、蓋部側面を形成する蓋側片部を更に有し互いに対向する少なくとも一対の前記蓋側片部から更に延設された延設片部を備える前記[1]または[2]に記載の大型箱。
【0026】
[4] 所定の間隔をあけて配設された複数の桁部材、前記桁部材の下面に敷設される平板四角形状の底板部、前記桁部材の上面に載設される平板四角形状の天板部を有するパレットを更に具備し、前記パレットの前記天板部の上に前記ボックス部が接合される前記[2]に記載の大型箱。
【0027】
[5]前記補助パッド部は、互いに対向する一対の前記パッド延設片部が前記パッド辺に沿って折り畳まれ、前記パッド基板部の上に重ね合わせた状態で前記ボックス部の内部に収容可能な前記[1]に記載の大型箱。
【0028】
[6] 前記パッド延設片部は、前記パッド基板部の前記パッド辺から延設された下片部と、前記下片部から前記パッド辺の辺長さよりも短い長さで形成された上片部とを有し、L字形状を呈して形成される前記[1]に記載の大型箱。
【0029】
[7] 前記パッド延設片部は、前記延設片上端から更に折り返し可能に延設された折り返し片部を有し、前記延設片上端から折り返された前記折り返し片部を利用して前記外殻部上端を挟み込んで固定する前記[2]に記載の大型箱。
【発明の効果】
【0030】
本発明の大型箱は、従来の段ボール製の大型箱の構成に加え、外殻部の下方に敷設される補助パッド部を具備することにより、外殻部と補助パッド部のパッド延設片部とを接合することにより、これらの構成を一体的に形成することができ、外殻部及び補助パッド部を固定することができる。その結果、従来は必要であったPバンドによる締結作業を省略化し、梱包作業の作業時間の短縮等の当該作業の効率化や作業者の負担の軽減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】本発明の一実施形態の大型箱の補助パッド部の構成を示す展開図である。
図2】ボックス部に収容された折り畳まれた状態の補助パッド部を示す説明図である。
図3】ボックス部に収容されたパッド延設片部を立設させた状態の補助パッド部、外殻部、及び一対の補強枠を示す説明図である。
図4】パッド延設片部、補強枠、及び外殻部のテープ材による固定の様子、及び蓋部を示す説明図である。
図5】本実施形態の大型箱を用いた物品の梱包の一例を示す説明図である。
図6】補助パッド部の別例構成を示す説明図である。
図7】補助パッド部の別例構成を示す説明図である。
図8】補助パッド部の別例構成を示す説明図である。
図9図8の補助パッド部による補強枠及び外殻部の固定の様子を示す説明図である。
図10】従来の大型箱の概略構成を示す分解斜視図である。
図11図10の大型箱を用いた物品の梱包の一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、図面を参照しつつ、本発明の大型箱の実施の形態について説明する。なお、本発明の大型箱は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の範囲を逸脱しない限りにおいて、種々の設計の変更、修正、改良等を加え得るものである。
【0033】
図1は本発明の一実施形態の大型箱1の補助パッド部2の構成を示す展開図であり、図2はボックス部3に収容された折り畳まれた状態の補助パッド部2を示す説明図であり、図3はボックス部3に収容されたパッド延設片部4a,4bを立設させた状態の補助パッド部2、外殻部6、及び一対の補強枠5a,5bを示す説明図であり、図4はパッド延設片部4a,4b、補強枠5a,5b、及び外殻部6のテープ材7による固定の様子を示す、及び蓋部12を示す説明図であり、図5は本実施形態の大型箱1を用いた物品8の梱包の一例を示す説明図である。
【0034】
本発明の一実施形態の大型箱1は、図1-5に主として示されるように、梱包対象となる製品や部品、或いは資材等の物品8を内部の収容空間26に収容し梱包可能なものであり、外殻部6、及び蓋部12を主に具備し、更に、外殻部6の下方に敷設される補助パッド部2を具備することを特徴とするものである。
【0035】
更に、本実施形態の大型箱1は、上記構成に加え、桁部材9、天板部10、及び底板部11a,11bを有するパレット35と、補助パッド部2及びパレット35の天板部10の間に介設されるボックス部3と、外殻部6の内側に配置される一対の補強枠5a,5bとを具備して構成されている。
【0036】
ここで、桁部材9、天板部10、底板部11a,11bを有するパレット35、ボックス部3、外殻部6は、既に説明した従来の大型箱100の構成と同一である。そのため、これらの構成については、説明を簡略化するための一部説明を省略する。
【0037】
更に、一対の補強枠5a,5bは、図3に示すように、三つの面からなる上方視断面略コの字形状を呈するものであり、コの字の互いの開口側を向かい合わせた状態で配置されている。かかる補強枠5a,5bは、本発明の特徴的構成である補助パッド部2のパッド延設片部4a,4bと、外殻部6との間に挿入され、側方から加わる衝撃等を外殻部6とともに受け止め、収容空間26に収容された物品8の保護をするとともに、更に蓋部12を外殻部6とともに下方から支えることにより、大型箱1の上方から加わる衝撃等に対しても物品8を保護することができる。
【0038】
本実施形態の大型箱1を構成するパレット35、ボックス部3、補助パッド部2、一対の補強枠5a,5b、外殻部6、及び蓋部12は、全てシート状等の段ボール材を利用して構成されており、それぞれの構成が予め設計された所定の形状にカットされ、更に必要に応じて接着剤等で接合または貼着され、または予め規定された位置の辺に沿って所定角度に折り曲げられ、或いは折り畳まれたものが用いられている。
【0039】
本実施形態の大型箱1における特徴的構成である補助パッド部2は、一枚のシート状(平板状)の段ボール材を、図1の展開図に示すように予め規定された形状にカットして形成されるものであり、中央部分に平板四角形状のパッド基板部13を有し、更に当該パッド基板部13の互いに対向する一対のパッド辺14a,14b(図1における紙面上下方向に沿って平行の辺に相当)からそれぞれ延設された一対のパッド延設片部4a,4bを有して構成されている。
【0040】
パッド延設片部4a,4bは、パッド辺14a,14bと略同一の長さで延設された下片部27a,27bと、当該下片部27a,27bからパッド辺14a,14bの辺長さよりも短い長さで形成された上片部21a,21bとを有し、L字形状を呈して形成されている。なお、本実施形態の大型箱1では、下片部27a,27bの辺長さに対し、上片部21a,21bの辺長さが約1/2となるように設定されている。
【0041】
更に、補助パッド部2のパッド延設片部4a,4bは、パッド辺14a,14bに沿って所定方向(図1において紙面手前方向)に折り曲げ、更にかかる折り曲げを継続することで、パッド基板部13とそれぞれのパッド延設片部4a,4bを重ね合わせた状態とすることができる。すなわち、図1に示した展開図からパッド延設片部4a,4bを折り畳むことができる(図2参照)。
【0042】
これにより、ボックス部3の内部に補助パッド部2を収容可能とすることができる。そのため、本実施形態の大型箱1を納品する際に、図2に示すような、補助パッド部2から下の部分を組立てたユニットを形成し、これらのユニットを複数積み重ねた状態で行うことができる。なお、補助パッド部2より上の部分(補強枠5a,5b、外殻部6、及び蓋部12)については別途折り畳んだ状態で納品することができる。その結果、搬送コストがかからず、更に搬送作業も容易となる。
【0043】
本実施形態の大型箱1を組立てる場合、補助パッド部2のパッド延設片部4a,4bは、パッド辺14a,14bに沿って所定方向(図1において紙面手前方向に相当)に折り曲げ、パッド基板部13に対して直交させることができる。これにより、パッド基板部13を基準としてパッド延設片部4a,4bを直交方向に立設させた状態とすることができる(図3参照)。
【0044】
ここで、図1の展開図に示したように、パッド基板部13を挟んで互いに対向するように延設されたパッド延設片部4a,4bの形状は、互いに鏡像となっている。そのため、図2に示すように、パッド延設片部4a,4bを折り畳んだ状態であっても、双方が干渉することがない。すなわち、パッド延設片部4a,4b同士が重なることがない。
【0045】
更に、補助パッド部2は、その他の構成として、パッド基板部13の上記のパッド辺14a,14bとそれぞれ直交する他方のパッド辺14c,14d(図1参照)のそれぞれ二箇所にV字形状の切り欠き15が設けられている。当該切り欠き15は、図2に示す状態でのボックス基板部(詳細は後述する)への接合時の位置合わせの目的で形成されている。
【0046】
一方、L字形状のパッド延設片部4a,4bの下片部27a,27bの互いに対向する側辺16a,16bにも略半長円形状を呈する切り欠き17が設けられている。かかる略半長円形状の切り欠き17は、パッド延設片部4a,4bをパッド基板部13に重ねるようにして折り畳んだ状態で、前述したV字形状の切り欠き15を視認するために予め設けられている(図2等参照)。
【0047】
次に、本実施形態の大型箱1のその他構成について具体的に説明する。なお、前述した通り、本実施形態の大型箱1の基本的な構成は、既に説明した従来の大型箱100(図10及び図11参照)と略同一のものである。
【0048】
本実施形態の大型箱1は、所定の間隔をあけて配設された複数の桁部材9、当該桁部材9の下面に敷設されるシート状の底板部11a,11b、及び桁部材9の上面に載設される天板部10を有するパレット35と、パレット35の天板部10の上に積設されるボックス部3と、ボックス部3の上に接合される補助パッド部2と、外殻部6と当接し、または、外殻部6と補助パッド部2のパッド延設片部4a,4bの間に挟まれた状態で配置される一対の補強枠5a,5bと、一対の補強枠5a,5bの外周を囲んで被覆する外殻部6と、外殻部6の上方から被せられる蓋部12とを主に具備している。
【0049】
更に具体的に説明すると、パレット35の桁部材9は、シート状の段ボール材を、接着剤等を使用して貼り合わせることによって形成された略四角柱状の長尺体として構成されるものである。そして、かかる桁部材9(図2等参照)が複数本準備され、所定の間隔をあけて配設されている。なお、図1-5に示す本実施形態の大型箱1の場合、四本の桁部材9が使用されているが、使用する桁部材9の本数は特に限定されるものではない。
【0050】
一方、パレット35の底板部11a,11b及び天板部10は、それぞれ同一形状(四角形状)を呈するシート状の段ボール材によって形成されており、その一辺の長さが桁部材9の長手方向に一致する長さを有し、更に底板部11a等の他辺の長さが、所定の間隔をあけて配設された複数の桁部材9のそれぞれ最外側に位置する一対の桁部材9の距離に一致するように形成されている(図10における長さL1,L2参照)。なお、図2及び図3等に示すように、それぞれの辺の長さを一致させ、底板部11a等を正方形状のものとして構成するものであっても構わない。
【0051】
更に、本実施形態の大型箱1において、二枚の底板部11a,11bを備え、かかる二枚の底板部11a,11bを互いに重ね合わせた状態で接着剤によって貼り合わせが行われている。二枚の底板部11a,11bを重ね合わせた状態で貼り合わせることにより、大型箱1自体の強度、特に底板部11a,11bにおける強度を向上させることができる。
【0052】
また、パレット35の天板部10の上に接合されるボックス部3は、天板部10と略一致する四角形状のボックス基板部(図示しない)と、ボックス基板部のそれぞれの基板部辺29から上方に向かって折り曲げられた(垂設された)垂片部18を有し、上方に開口した開口部19を有する箱型形状、更に換言すれば上方に開口した開口部19を有する断面略コの字形状を呈している。更に互いに対向する一対の垂片部18の一部には、取り出し作業を容易にするための略半長円形状の取り出し用切り欠き28がそれぞれ設けられている。
【0053】
この箱型形状のボックス部3のボックス基板部の上に、上記した補助パッド部2のパッド基板部13が重ねられ、接着剤を用いて接合されている。ボックス部3のボックス基板部は大部分が、補助パッド部2のパッド基板部13によって被覆されるため、図2及び図3において図示していない。また、梱包対象の物品8は、上記した補助パッド部2のパッド基板部13の上に載置されることになる。
【0054】
ここで、前述したように、補助パッド部2のパッド延設片部4a,4bは、折り畳み可能に形成されている。そのため、大型箱1の未使用時、或いは、大型箱1を使用する顧客等まで搬送する搬送時においては、図2に示すように、補助パッド部2のパッド延設片部4a,4bは、パッド基板部13と重ね合わせるように折り畳まれている。
【0055】
このような形態とすることで、本発明の大型箱を納品する際に、接着剤等で接合された底板部11a,11b、桁部材9、天板部10、ボックス部3、及び補助パッド部2にかかる大型箱1の一部構成をコンパクトに折り畳んだ状態で、かつ、複数の当該一部構成を積み重ねた状態で搬送することができる。その結果、納品時等の搬送作業が容易となる。
【0056】
一方、物品8の梱包を行う場合、図2の折り畳まれた状態のパッド延設片部4a,4bを、パッド基板部13に対して直交するように当該パッド延設片部4a,4bを立設する操作を行う(図3参照)。ここで、パッド延設片部4a,4bの中央付近に設けられた折り曲げ辺20a,20bに沿って、パッド延設片部4a,4bの上片部21a,21bを更に外側方向(図3における紙面右斜め上方向及び紙面左斜め下方向に相当)に折り曲げた状態とすることもできる。
【0057】
これにより、補助パッド部2のパッド延設片部4a,4bによる開口部分が広くなり、梱包対象となる物品8をパッド基板部13の上に載置する作業が容易となる。なお、物品8の載置が完了した場合は、折り曲げ辺20a,20bに沿った外側への折り曲げ状態を解除する。
【0058】
その後、補助パッド部2のパッド基板部13の上に載置された物品8の水平方向及び上方向等からの外部からの衝撃が加わらないように保護したり、梱包される物品8を外部から視認するのを防いだり、或いは、物品8を梱包した大型箱1を多段に積重した状態で搬送または保管したりするために、段ボール製の一対の補強枠5a,5b、外殻部6、及び蓋部12を取り付ける作業を行う。
【0059】
具体的に説明すると、物品8をパッド基板部13の上に載置した状態(図3参照)で、パッド延設片部4a,4bの更に外側の位置に、一対の補強枠5a,5bをそれぞれボックス部3のボックス基板部(図示しない)の上に立設させる。
【0060】
ここで、シート状の段ボール材を折り曲げて形成された一対の補強枠5a,5bは、所定の二箇所の位置で折り曲げられ、三つの面を有して構成されており、上方視断面略コの字形状を呈するものである。そのため、補強枠5a,5bの三つの面の中の中央の面が桁部材9の長手方向に沿って配置され、三つの面の両端の面が複数の桁部材9の配設方向に沿うように配置されている。そして、略コの字形状の互いに開口した側を向い合わせた状態で、ボックス部3の上に立設される。
【0061】
一方、シート状の段ボール材の一端同士を連結し、上方視断面四角形状の四角筒状を呈するように形成された外殻部6は、立設された一対の補強枠5a,5bの更に外側に配置され、換言すれば、一対の補強枠5a,5bを四角筒内に収容した状態で当該補強枠5a,5bを形成する三つの面とそれぞれ当接するように配置される(図4参照)。すなわち、外殻部6及び補助パッド部2のパッド延設片部4a,4bの間に補強枠5a,5bが挟まれた状態となる。
【0062】
その結果、物品8の下方を支持する補助パッド部2と、物品8の側方をパッド延設片部4a,4b、補強枠5a,5b、及び外殻部6の三重の構成で囲む収容空間26が形成され、当該収容空間26に梱包対象となる物品8を収容した状態となる。これにより、図4に示すように、物品8の側方側は、内側からパッド延設片部4a,4b、補強枠5a,5b、及び外殻部6が並んだ構造となる。なお、パッド延設片部4a,4bが設けられていない箇所については、補強枠5a,5b及び外殻部6の二層によって形成されている。
【0063】
更に、かかるパッド延設片部4a,4bの延設片上端22の位置と、補強枠5a,5bの補強枠上端23の位置と、外殻部6の外殻部上端24の位置とがそれぞれ一致する、所謂「面位置」となるように形成されている(図4参照)。
【0064】
このように、それぞれの上端の位置が一致した状態で、延設片上端22、補強枠上端23、及び外殻部上端24をテープ材7で接合することにより、テープ接合部25を形成することができる。すなわち、テープ接合部25によって、パッド延設片部4a,4b、補強枠5a,5b、及び外殻部6を一体的に固定することができる。これにより、パッド延設片部4a,4bは、その下方の位置するボックス部3等と接合しているため、底板部11a,11bから補強枠5a,5b及び外殻部6を一体的に連結した状態となる。
【0065】
そして、補助パッド部2のパッド基板部13及びパッド延設片部4a,4b、補強枠5a,5b、及び外殻部6によって囲まれた収容空間26に梱包対象となる物品8を収容した状態で、更に外殻部6の上方から蓋部12を被設することにより、収容空間26の上部を塞ぎ、当該収容空間26を外部から完全に遮蔽することができる(図5参照)。これにより、物品8の梱包が完了する。
【0066】
ここで、蓋部12は、図4及び図5に示すように、平板四角形状の蓋板部30及び当該蓋板部30のそれぞれの蓋板部辺31から延設され、蓋板部に対して直交方向に沿って折り曲げることにより、蓋部側面を形成する四つの蓋側片部32a,32bを有している。更に、互いに対向する一対の蓋側片部32aの両端側には、蓋側片部32aから更に突出した略台形状の延設片部33が設けられている。かかる構成を備えることにより、図5に示すように、外殻部6、一対の補強枠5a,5b、パッド延設片部4a,4bの上に蓋部12を被せた状態で、延設片部33及び当該延設片部33に直交する外殻部6を架け渡すようにテープ材7を貼着することができる。すなわち、蓋部12及び外殻部6の間にもテープ接合部25を設けることができる。これにより、外殻部6に蓋部12が固定される。
【0067】
本実施形態の大型箱1は、前述したように、テープ材7を用いてテープ接合部25が形成されるため、パッド延設片部4a,4b、補強枠5a,5b、及び外殻部6がそれぞれの上端位置で固定されている。更に、パッド延設片部4a,4bを含む補助パッド部2は、その下方に位置するボックス部3と接合され、当該ボックス部3は天板部10を介して複数の桁部材9及び底板部11a,11bとも接合している。そのため、かかる構成が全て接着剤或いはテープ材7によって一体的に構成されている。また、蓋部12に設けられた延設片部33によって外殻部6と蓋部の間にもテープ接合部25を設けることが可能となっている。
【0068】
そのため、物品8を梱包し収容空間26に当該物品8を梱包した状態であっても、これらのパッド延設片部4a,4b等の位置関係、外殻部6に対する蓋部12の相対的位置が変化することがない。そのため、従来の大型箱100のようにPバンド114(図11参照)による締結作業を省略することができる。
【0069】
上記した本実施形態の大型箱1において、図1-5に基づいて、補助パッド部2の構成、特に、L字形状を呈する一対のパッド延設片部4a,4bを有するものを示したがこれに限定されるものではなく、梱包対象となる物品8の形状や種類等に応じて種々の形状やパッド延設片部の数を増減させたものを採用することができる。また、特に図示しないがパッド延設片部の長さ(高さ)は任意に設定することができる。
【0070】
以下、図6-9に基づいて、本発明の大型箱における補助パッド部の別例構成について説明を行う。ここで、図6-8は、補助パッド部の別例構成を示す説明図であり、図9図8の補助パッド部による補強枠及び外殻部の固定の様子を示す説明図である。なお、図6-9において、補助パッド部以外の大型箱の構成は、本実施形態の大型箱1において説明したものと同一であるため、同一符号を付し、詳細な説明を省略するものとする。また、説明を簡略化するため、図6-8については、補強枠5a,5b、外殻部6、及び蓋部12の構成を、図9については蓋部12の構成の図示をそれぞれ省略している。
【0071】
本発明の別例構成の大型箱40として、図6に示すものであっても構わない。かかる構成の大型箱40の補助パッド部41は、平板四角形状のパッド基板部42と、パッド基板部42の四つのパッド辺43(本発明における四辺に相当)からそれぞれ延設された四つのパッド延設片部44a,44b,44c,44dとを有して構成されている。
【0072】
すなわち、パッド基板部42の全てのパッド辺43からそれぞれパッド延設片部44a等が延設され、合計4つのパッド延設片部44a等を有する補助パッド部41を備えている。その結果、補強枠5a,5bの補強枠上端23及び外殻部6の外殻部上端24でのテープ材7による接合箇所が増加する(図4参照)。これにより、テープ接合部25の数を増やすことができ、補助パッド部41と補強枠5a,5b及び外殻部6との接合強度を増すことができ、物品8の梱包状態を安定させることができる。
【0073】
更に、本発明の別例構成の大型箱50として、図7に示すものであっても構わない。かかる構成の大型箱50の補助パッド部51における一対のパッド延設片部52a,52bは、延設片上端53から斜め下方に向かう斜辺部54を有して構成されている。その結果、パッド延設片部52a,52bをパッド基板部55と重ね合わせるようにしても互いのパッド延設片部52a,52bが干渉することなく折り畳むことができる。
【0074】
また、本発明の別例構成の大型箱60として、図8及び図9に示すものであっても構わない。かかる構成の大型箱60の補助パッド部61における一対のパッド延設片部62a,62bは、延設片上端63から更に延設された折り返し片部64a,64bを有するものであっても構わない。その結果、図9に示すように、延設片上端63に沿って折り返し片部64a,64bを外側に折り返し、補強枠上端23及び外殻部上端24に折り返し部65を沿わせ、更に外殻部6の外側面6aと折り返し片部64a,64bを重ね合わせることができる。かかる構成とすることにより、本実施形態の大型箱1において示したテープ材7によるテープ接合部25の構成を省略することができる。なお、折り返された折り返し片部64a,64bは、その後に上方から被せられる蓋部12によって押さえ付けられるため、折り返し状態が維持される。
【0075】
上記の通り、本発明の大型箱1,40,50,60は、従来の大型箱100(図10等)に対し、特徴的構成である補助パッド部2,41,51,61を具備することにより、従業者の作業負担となっていたPバンド114による締結作業を省略し、物品8を梱包した状態で安定した搬送や保管等を行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0076】
本発明の大型箱は、段ボール製の大型箱を製造する製造工場等で好適に製造することが可能であり、製品や部品、及び資材等の種々の物品を梱包し、搬送したり、保管したりする場所で好適に使用することができる。
【符号の説明】
【0077】
1,40,50,60,100:大型箱、2,41,51,61:補助パッド部、3,105:ボックス部、4a,4b,44a,44b,44c,44d,52a,52b,62a,62b:パッド延設片部、5a,5b:補強枠、6,107:外殻部、7:テープ材、8:物品、9,102:桁部材、10:天板部、11a,11b,103:底板部、12,108:蓋部、13,42,55:パッド基板部、14a,14b,14c,14d,43:パッド辺、15,17:切り欠き、16a,16b:側辺、18,111:垂片部、19:開口部、20a,20b:折り曲げ辺、21a,21b:上片部、22,53,63:延設片上端、23:補強枠上端、24:外殻部上端、25:テープ接合部、26,113:収容空間、27a,27b:下片部、28:取り出し用切り欠き、29,110a,110b,110c,110d:基板部辺、30:蓋板部、31:蓋板部辺、32a,32b:蓋側片部、33:延設片部、35,106:パレット、54:斜辺部、64a,64b:折り返し片部、65:折り返し部、114:Pバンド(プラスチック製バンド)、L1,L2:長さ。


図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11