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特開2025-3331シート製造用途のための自動フレーム間整合監視
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025003331
(43)【公開日】2025-01-09
(54)【発明の名称】シート製造用途のための自動フレーム間整合監視
(51)【国際特許分類】
   D21G 9/00 20060101AFI20241226BHJP
【FI】
D21G9/00
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024083753
(22)【出願日】2024-05-23
(31)【優先権主張番号】63/522,252
(32)【優先日】2023-06-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】18/385,311
(32)【優先日】2023-10-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】500575824
【氏名又は名称】ハネウェル・インターナショナル・インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】Honeywell International Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100138759
【弁理士】
【氏名又は名称】大房 直樹
(72)【発明者】
【氏名】マイケル レオ ヘルド
(72)【発明者】
【氏名】マイケル フォーブス
【テーマコード(参考)】
4L055
【Fターム(参考)】
4L055DA03
4L055DA09
4L055DA13
4L055DA17
4L055DA25
(57)【要約】      (修正有)
【課題】連続シート生産プロセスで採用されるオンライン測定プロファイルミスアライメントのレベルを決定する自動監視システムの提供。
【解決手段】シート製造において2つのプロファイルを整合させることは、シート上のコーティング重量を計算できるようにするために重要である。コーティング重量プロファイルは、コーティング後のコーティングされたシートの測定された総重量からコーティング前のシートの重量を差し引くことによって計算される。プロファイルがこの減算に対して正しく整合されていない場合、コーティング重量プロファイルは不正確になり、コーティング重量の明らかな偏差に対する是正管理措置がシートの間違った部分に適用され、品質が低下する可能性がある。プロファイルのミスアライメントは、新しい測定データが利用可能になると、相互相関分析を繰り返し実行することによって監視される。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
機械方向(MD)に移動する連続シートを生産するシート製造システムを動作させる方法であって、前記シート製造システムは、1つ以上のアクチュエータビームを含み、各ビームは、横断方向に沿って配列された複数のアクチュエータと、前記MDに沿った第1の位置において前記1つ以上のアクチュエータビームの下流に配置された第1のセンサと、前記MDに沿った第2の位置において前記第1のセンサの下流に配置された第2のセンサと、を含み、前記方法は、
(a)前記第1のセンサを用いて前記連続シートのシート特性を測定し、第1のシート特性プロファイルを生成し、前記第1のシート特性プロファイルを履歴の第1のプロファイルのデータベースに記録するステップと、
(b)前記第2のセンサを用いて前記連続シートのシート特性を測定し、第2のシート特性プロファイルを生成するステップと、
(c)アライメント情報を決定するために、前記第2のシート特性プロファイルを前記データベースからの1つ以上の第1のプロファイルと比較するステップと、
(d)ステップ(a)、(b)及び(c)を繰り返すステップと、を含む、方法。
【請求項2】
機械方向(MD)に動く、移動する材料のシートの形成を監視するシステムであって、
第1の位置において前記シートの第1のプロファイルを測定するように構成された第1のデバイスと、
第1の位置よりも下流側の第2の位置においてシートの第2のプロファイルを測定するように構成された第2のデバイスと、
前記第1のプロファイルと前記第2のプロファイルとの間のアライメントを決定するために、前記第1のプロファイルを前記第2のプロファイルと比較するための手段と、を含む、システム。
【請求項3】
前記第1のプロファイルを前記第2のプロファイルと比較するための手段は相互相関を使用する、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
機械方向(MD)に移動する連続シートを生産するシート製造システムを動作させる方法であって、前記シート製造システムは、横断方向に沿って配列された1つ以上のアクチュエータと、前記MDに沿った第1の位置において前記1つ以上のアクチュエータの下流に配置された第1のセンサと、前記MDに沿った第2の位置において前記第1の走査センサの下流に配置された第2のセンサと、を含み、前記方法は、
(a)前記第1のセンサを用いて前記連続シートのシート特性を測定し、第1のシート特性プロファイルを生成するステップと、
(b)前記第2のセンサを用いて前記連続シートのシート特性を測定し、第2のシート特性プロファイルを生成するステップと、
(c)アライメント情報を決定するために、第1のシート特性プロファイルを第2のシート特性プロファイルと比較するステップと、を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2023年6月21日に出願された同時係属出願第63/522,252号に対する35U.S.C.§119(e)の下での優先権を主張し、これは参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、一般に、シート材料を製作するための品質管理技術に関し、より詳細には、連続シート生産プロセスで採用されるスキャナ間のオンライン測定プロファイルミスアライメントのレベルを決定する自動監視システムに関する。
【背景技術】
【0003】
オンライン測定は、製造中にシート材料の特性を検出して、シート作製プロセスの促進制御を可能にし、ひいては、生産される規格外のシート材料の量を低減しながらシート品質を保証するために使用される。シート作製中のオンライン測定を行う際の主な問題のうちの1つは、シート材料の物理的特性が、通常、機械方向及び横方向において変化することである。(「機械方向」とは、製造中のシート材料の移動方向を指し、「横方向」という用語は、機械方向に垂直なシートの表面を横切る方向を指す。)
【0004】
シート材料のばらつきを検出するために、各走査に沿った坪量又はキャリパなどの選択されたシート特性の値を検出しながら、横方向にシート作製機械を横切って周期的に前後に横断する走査センサが用いられる。実際には、走査センサによって提供された測定情報は、通常、各走査の後に組み立てられて、横方向で検出されたシート特性の「プロファイル」を提供する。言い換えれば、各プロファイルは、横方向の隣接する場所での一連のシート測定値で構成される。プロファイルの目的は、シート特性の横方向のばらつきを容易に検出することを可能にすることである。特性測定値は、横方向セグメントの有限サイズのビンにおいて平均化される。スキャナ測定値を表示するマップは、典型的に、幅にわたる点又はビンに分割される。例えば、各ビンは約5mmの距離を表すことができる。
【0005】
製紙及びリチウムイオン電池電極製造において、機械方向に沿って異なる位置に位置付けられた複数のスキャナがしばしば使用される。各スキャナは、生産ライン上で幅方向測定プロファイルを生成する。各スキャナからの測定プロファイルは、シートの一方の側から他方の側までの離散エリアをカバーする何百もの測定を含むことができる。測定及び品質管理目的のために、すべてのスキャナについてプロファイルを整合させておくことが必要である。
【0006】
スキャナのミスアライメントは、生産ラインの開始から最終の生産ラインまでの異常の追跡にも影響を及ぼす。製造されるシートがコーティングされる場合、コーティングされていないシートの重量プロファイルがコーティングされた重量プロファイルから減算されるとき、誤整合したプロファイルは不正確なコーティング重量の推定をもたらす可能性がある。現在、シート製造業者は、適切なデータを収集し分析することによって、スキャナのアライメントを手動でチェックしなければならない。時間のかかる是正措置は必要な場合に実行されるが、これは高レベルのドメイン知識を必要とする可能性があり、問題が発見されたときにのみ行われることが多い。更に、製造者は、ミスアライメントが根本的な原因であることに気付かないので、不十分なシート品質が持続するか、あるいは検出されなくなる可能性がある。当業界では、ミスアライメントが発生したときに製造業者に直ちに通告し得る自動アライメント監視システムが必要とされている。
【発明の概要】
【0007】
本発明は、1つのスキャナデバイスおいて指定されたビンが、他のすべてのスキャナデバイスにおいて同じビンに対応し、両方ともシートの同じ別個の部分を表すという認識に部分的に基づいている。プロセス動作の変化に起因して、プロファイルのアライメントは経時的に変化する可能性があり、したがって、アライメントが特定のビン数又は対応する物理的距離だけシフトされた場合、1つのスキャナデバイスからのプロファイルがより良好に整合され得る。スキャナのミスアライメントは、下流制御ループが上流制御ループに対してターゲットプロファイルの誤った部分を調整するように動作するので、不十分なカスケード制御などの問題を引き起こす可能性がある。
【0008】
本発明では、新しい測定データが利用可能になると、相互相関分析を繰り返し実行することによって、プロファイルのミスアライメントを監視することができる。オフセットの変化を経時的に追跡することができ、データを監視のために表示することができる。オフセットが0から逸脱したとき、及び/又は値が(ある閾値内で)変化したとき、プラント要員への自動警報がトリガされる。
【0009】
一態様では、本発明は、機械方向(MD)に移動する連続シートを生産するシート製造システムを動作させる方法であって、シート製造システムは、1つ以上のアクチュエータビームを含み、各ビームは、横断方向に沿って配列された複数のアクチュエータと、MDに沿った第1の位置において1つ以上のアクチュエータビームの下流に配置された第1のセンサと、MDに沿った第2の位置において第1のセンサの下流に配置された第2のセンサと、を含み、方法は、
(a)第1のセンサを用いて連続シートのシート特性を測定し、第1のシート特性プロファイルを生成し、第1のシート特性プロファイルを履歴の第1のプロファイルの(クラウド内などの)データベースに記録するステップと、
(b)第2のセンサを用いて連続シートのシート特性を測定し、第2のシート特性プロファイルを生成するステップと、
(c)アライメント情報を決定するために、第2のシート特性プロファイルをデータベースからの1つ以上の第1のプロファイルと比較するステップと、
(d)ステップ(a)、(b)及び(c)を繰り返すステップと、を含む、方法を対象とする。センサは走査センサであることが好ましく、この技術は相互相関分析を用いる。
【0010】
別の態様では、本発明は、機械方向(MD)に動く、移動する材料のシートの形成を監視するシステムを対象とし、システムは、
第1の位置においてシートの第1のプロファイルを測定するように構成された第1のデバイスと、
第1の位置よりも下流側の第2の位置においてシートの第2のプロファイルを測定するように構成された第2のデバイスと、
第1のプロファイルと第2のプロファイルとの間のアライメントを決定するために、第1のプロファイルを第2のプロファイルと比較するための手段と、を含む。
【0011】
更なる態様において、本発明は、機械方向(MD)に移動する連続シートを生産するシート製造システムを動作させる方法であって、シート製造システムは、横断方向に沿って配列された1つ以上のアクチュエータと、MDに沿った第1の位置において1つ以上のアクチュエータの下流に配置された第1のセンサと、MDに沿った第2の位置において第1の走査センサの下流に配置された第2のセンサと、を含み、方法は、
(a)第1のセンサを用いて連続シートのシート特性を測定し、第1のシート特性プロファイルを生成するステップと、
(b)第2のセンサを用いて連続シートのシート特性を測定し、第2のシート特性プロファイルを生成するステップと、
(c)アライメント情報を決定するために、第1のシート特性プロファイルを第2のシート特性プロファイルと比較するステップと、を含む、方法を対象とする。
【0012】
本発明の1つの用途では、シート製造生産ラインからのプロファイルデータがクラウドに送信され、そこで分析のためにクラウドサーバデータベースに記憶される。データは、多くの異なる変数に対するプロファイル測定値と、少なくとも2つのスキャナからのプロファイルデータと、を含む。クラウドサーバ内のデータ監視サービスは、1時間毎などの適切な間隔で定期的に、一対のスキャナ間の共通測定から最新のデータを収集する。例えば、2つの異なるスキャナからの乾燥重量プロファイルは、乾燥重量が機械に沿って非常に安定しているので、比較のために有利であり得る。分析は、個別のプロファイルに基づくことができる。しかしながら、いくつかのプロファイルを平均化することは、ランダムノイズの影響を低減することによって、後続の分析を改善することになり得る。プロファイルエッジ付近の値の変動が分析に悪影響を与えないように、プロファイルのうちのエッジから離れた部分を自動的に選択するなど、追加の処理が実行される。他の処理ステップが含まれてもよい。プロファイル又は平均プロファイルが収集され処理されると、アライメント分析が実行される。本発明の好ましい実施形態では、プロファイル間の多くの異なるオフセット値に対して計算される相互相関が使用される。最大相関が生じるオフセットは、プロファイルが最良に整合する場所である。
【0013】
プロファイルエッジの部位を識別し、エッジ部位を使用してアライメントを決定するなど、アライメントを決定するための他の技法も存在し得る。別の技法は、異なるオフセットにおけるプロファイル間の絶対誤差の和を使用することである。アライメントオフセットが決定されると、当該アライメントオフセットは多くの方法で使用され得る。第一に、経時的なオフセット値を表示して、アライメントが正しく安定しているかどうかをサービス技術者が確認できるようにすることができる。第二に、どの程度のミスアライメントが許容可能であるか、及びどの時点でミスアライメントが警告をトリガすべきかについて、閾値を決定することができる。閾値は、ビンの数又は顧客単位の物理的距離に関するものとすることができる。一対のスキャナのミスアライメントが検出された場合、オペレータは、オペレータディスプレイを介して通知され、任意選択で、ステータスが電子メール又はテキストメッセージを介して送信されるべきである。警告は、ミスアライメントの量(程度)と、アライメントを補正し、品質不良による損失を回避するために必要な措置と、を含む。
【0014】
自動フレーム間アライメント技術は、リチウムイオン電池用の電極、紙、プラスチック、金属箔、コーティングされた金属基板、又は布などのシート製造生産に特に適している。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】移動するシートの機械方向に沿って配列された2つの走査センサを有するシート作製システムを示す。
図2】プロファイルアライメント監視技術のフローチャートである。
図3A】完全に整列されていない2つのスキャナからの乾燥重量プロファイルである。
図3B】完全に整列されていない2つのスキャナからの乾燥重量プロファイルである。
図4A】サイズプレススキャナとリールスキャナとの間の24時間にわたる計算された重量アライメントオフセットを示す。
図4B】ウェットストックスキャナとリールスキャナとの間の24時間にわたる計算された重量アライメントオフセットを示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明は、材料の連続シートに沿って異なる部位で取られた2つ以上の測定プロファイル間のアライメントを決定する方法に関する。好ましいプロファイルアライメント監視技術では、相互相関が用いられる。例えば、1つの用途では、リチウムイオン電池用の電極などのシート上のコーティングの重量を正確に計算することができるように、シート製造において2つのプロファイルをどのように整合させるかを知ることが重要である。コーティング重量プロファイルは、コーティング後のコーティングされたシートの測定された総重量からコーティング前のシートの重量を差し引くことによって計算される。プロファイルがこの減算に対して正しく整合されていない場合、コーティング重量プロファイルは不正確になり、コーティング重量の明らかな偏差に対する是正管理措置がシートの間違った部分に適用される可能性がある。その結果、品質が低下する。
【0017】
図1は、シート作製プロセスの機械方向(MD)に沿って配置された一対の走査センサ100及び104を示す。走査センサ100は、2つの横梁を含むフレーム上に支持され、横方向(CD)に繰り返し前後に移動するスキャナヘッド102を含む。同様に、スキャナセンサ104は、フレーム上に支持され、CDに繰り返し前後に移動するスキャナヘッド106を含む。2つの走査センサ間のMDに沿った距離は既知であり、移動するシート110の速度は既知である。第1の走査センサ100は、第1の部位で移動するシート110の特性を測定し、第2の走査センサ104は、下流の第2の部位で移動するシート110の同じ特性を測定する。プロセッサ及びメモリを含むコントローラ108は、両方のセンサからデータを収集する。コントローラは、ネットワーク、例えばインターネットを介してクラウドストレージデバイスに結合され得る。
【0018】
シート速度のために、各走査センサは、シート表面を横切って斜めに移動し、結果として、連続する走査経路は、シートの長手方向縁部に垂直な方向に対してジグザグパターンを有する。実際には、走査センサによって提供された測定情報は、通常、各走査の後に組み立てられて、CDにおいて検出されたシート特性の「プロファイル」を提供する。言い換えれば、各プロファイルは、横方向の隣接する場所での一連のシート測定値で構成される。特性測定値は、CDセグメントの有限サイズのビンにおいて平均化される。プロファイルの目的は、シート特性の横方向のばらつきを容易に検出することを可能にすることである。スキャナ測定値を表示するマップは、典型的に、幅にわたる点又はビンに分割される。例えば、各ビンは約5mmの距離を表すことができる。
【0019】
シート作製プロセスが紙製品の連続シートを生産する場合、特定の幅を有する紙材料は、木材繊維及び他の材料の水性混合物を含むパルプ懸濁液供給原料から生産される。供給原料は、品質管理システムによって監視及び制御されるアクチュエータによって実行される様々な単位操作を受ける。アクチュエータは、例えば、プロセスのウェットエンドでワイヤメッシュ上に供給原料を放出するヘッドボックスの幅に沿って配置されたスライス、下流に配置された噴霧器及び加熱器を含む。製紙については、Backstrom及びForbesの米国特許第9,309,625号、並びにHughes及びTixierの米国特許第8,021,517号に記載されており、これらは参照により本明細書に組み込まれる。
【0020】
製紙プロセスを制御するために、シートの選択された性質が連続的に測定され、製紙機械が、シート品質を確実にするように調整される。測定することができる紙の典型的な物理的特性としては、例えば、厚さ、坪量、含水量、灰分などの化学組成、表面粗さ、光沢、キャリパ、色、及びクレープパターン表面特徴が挙げられる。CD制御は、シートを走査することができる1つ以上のスキャナを使用してシート特性を測定することによって達成されてもよい。例えば、各スキャナは、乾燥重量、含水量、灰分、又は任意の他の若しくは追加の特性を測定するためのセンサを携持することができる。
【0021】
図1に示されるように、走査センサ104は走査センサ100の下流に配置される。一構成では、2つの走査センサが、加熱、カレンダリング、又はコーティングなどの特定の動作の前後に紙の特性を測定する。例えば、紙は化学コーティング又はプラスチックフィルムでコーティングされ得る。例示として、走査センサ102は、その重量などの紙の特性を測定し、紙の縁部からそれぞれ距離a、b、及びcに位置する重量の3つのピークを有する第1のプロファイル112を生成する。その後、コーティングが紙に適用されてコート紙シートが形成された後、走査センサ104は、コート紙シートの坪量を測定し、紙の縁部からそれぞれ距離a、b、及びcに位置する坪量の3つのピークを有する第2のプロファイル114を生成する。本発明は、2つのプロファイルのアライメントを連続的に監視するものである。
【0022】
シート上のコーティングの重量を正確に計算することができるように、連続シート製造において2つのプロファイルを整合させることが重要である。コーティング重量プロファイルは、コーティング後のコーティングされたシートの測定された総重量からコーティング前のシートの重量を差し引くことによって計算される。プロファイルがこの減算に対して正しく整合されていない場合、コーティング重量プロファイルは不正確になり、コーティング重量の明らかな偏差に対する是正管理措置がシートの間違った部分に適用され、品質が低下する可能性がある。
【0023】
本発明では、経時的なオフセットの変化の追跡を可能にするために新しい測定データが利用可能になると、アライメント分析が繰り返し実行される。結果は監視のために表示されてもよい。オフセットが0から逸脱するとき、及び/又は値が(一定の閾値内で)変化したとき、自動アラートが送信されてもよい。
【0024】
図2は、材料のシートに沿った異なる部位で取られた2つの測定されたプロファイル間のアライメントを決定するためのアプローチを説明するフローチャートである。最初のステップ202、204及び206では、新しいプロファイル測定について相互相関値が計算される。相互相関が最も高いラグが、プロファイルアライメントに使用されるオフセットとして選択される。次に、ステップ208において、最新のオフセットが履歴オフセットと比較され、オフセットが許容限度に違反しているか否かが判定される。違反がない場合、更新間隔216に続く別のプロファイルに対してプロセスが繰り返される。しかしながら、違反が検出された場合、ステップ210及び212において、プラント要員に警告を送ることができ、技術者は、プロファイルを0オフセットで整合させるようにスキャナ/測定セットアップを是正するなどの是正措置を行う。その後、ステップ214で監視が再開される。
【0025】
本発明のプロセスの例示として、第1の走査センサによって測定されるプロファイルyと、第1の走査センサの下流に位置する第2の走査センサによって測定されるプロファイルyと、を考える。各走査センサは、典型的にはシートの両縁部を越えて延在する同じ幅を測定する。シートがプロセスに沿って移動するときのシートの動きに起因して、第1の走査センサ上のある位置に配置された材料は、第2の走査センサ上の同じ位置に配置されないことがある。部位間の位置の差を決定することが重要である。これらの測定のために、シート特性はシートの長さにわたってN個の位置で測定されると仮定され、説明を簡単にするために、同じ数の測定が両方の部位で行われると仮定される。この技術は、測定の数が測定部位間で異なる場合にも対処するように容易に拡張され得ることが理解される。
【0026】
相互相関関数は、一方の他方に対する変位の関数として2つの信号がどれだけ一緒に移動するかの尺度を与える。相互相関を使用して、2つの測定プロファイルを最良に整合させる方法が決定される。
【0027】
2つのプロファイルy及びyの相互共分散関数は、以下の通りである。
【0028】
【数1】
【0029】
相互相関関数は、0ラグの自己共分散によって正規化された相互共分散である。
【0030】
【数2】
【0031】
上記の式では、y及びyは、乾燥重量などの紙(又は他のタイプのシート)特性の測定されたプロファイルである。R{y,y}は、yとyとの間の相互共分散関数であり、2つのプロファイルの各値が抄紙機(又は他のシート製造装置)の幅にわたってどれだけ一緒に移動するかを示す。mは、2つのプロファイル間の位置オフセットである。Nは、分析に使用されるデータポイントの数(この場合、プロファイル内のビンの数)である。r{y,y}は、2つの変数y及びyの0ラグ自己共分散によって正規化された相互共分散である相互相関である。
【0032】
相互相関は、プロファイルが正確に共に変化するときに最大値1を与える。2つのプロファイルの相互共分散関数を計算し、プロファイルを最良に整合させるのに必要なオフセットである相互相関が最も高いラグを求める。rが最も高い値mは、プロファイルを最良に整合させるのに必要なオフセットである。
【0033】
多くの場合、シートの縁部は、各スキャナ上の同じ部位に配置されない。また、縁部付近でのシート特性の予期せぬ変動的な挙動が存在し得る。これらの理由のために、プロファイルを最良に整合させる方法を決定するとき、プロファイルの縁部分を使用しないことがより良い。シートの縁部分は、相互相関計算に含まれない。所与のシステムでは、プロファイルのどの部分をアライメント計算に使用するかを決定するために、ユーザー入力値(開始位置及び終了位置)があり得る。説明のために、ユーザーがこれらの値を無効にしない限り、シート幅の20%で開始し、シート幅の80%で終了する安全な初期/デフォルト値が使用される。
【0034】
図3A及び図3Bは、製紙機械で取られた2つの測定されたプロファイルの例である。紙製品の乾燥重量は、製紙プロセスの途中に位置するサイズプレスの前に測定された。サイズプレスにより、デンプン材料の溶液が乾燥紙の表面上に塗布された。次いで、連続紙が巻き取られた巻き取りリールにおいて、完成した紙の乾燥重量が測定された。透過モードで動作するベータゲージ走査センサを用いて重量が測定された。
【0035】
図3Aは、サイズプレススキャナ(製紙機械の途中)によって測定された紙重量(抄紙機の幅を横切る部位での紙の重量)の測定プロファイルを示す。図3Bは、リールスキャナによって(製紙機械の端部に向かって)測定された紙重量(抄紙機の幅を横切る部位における紙の重量)のプロファイルの重量を示す。紙が製紙機械に沿って移動するときに、紙が機械横断方向に対して収縮又はふらつきを生じない場合、プロファイルの縁部並びにプロファイルの山及び谷は、各プロットのx軸上の同じ部位にあるはずである。スキャナアライメント分析の発明により、プロファイルが実際にx軸にわたって同じ部位に配置されているかどうか、又は1つのプロファイルが機械横断方向にどれだけシフトしているかが決定される。
【0036】
図3Aに示されるように、紙の幅に沿った測定プロファイルは、目標プロファイルの上下に変動した。同様に、図3Bでは、コート紙の測定プロファイルも、コート紙の目標プロファイル付近で変動した。両方の測定されたプロファイルは、同じ基本形状を有するが、プロファイルにおけるピークは、(サイズプレス測定における142.05インチ(360.81cm)でのピーク及び141.42インチ(359.21cm)でのリール測定における同じピークによって見られるように)厳密に同じ部位においては整合しない。更に、2つのプロファイルは、同じ部位で開始及び終了せず、縁部付近の2つのプロファイルの挙動は全く異なる。この場合、アルゴリズムは、プロファイルの内側部分(デフォルトでは、この場合、46インチ(117cm)から184インチ(467cm)までの内側60%)に焦点を合わせる。
【0037】
図4A及び図4Bは、24時間にわたるプロファイルの対の間のアラインメント分析を示す。図4Aは、サイズプレススキャナで測定されたプロファイルをリールスキャナで測定されたプロファイルと比較したものである。プロットされているのは、上述の方法によって計算されたプロファイルオフセットである。図4Bは、ウェットストックスキャナで測定されたプロファイルの位置決めをリールスキャナで測定されたプロファイルの位置決めと比較したものである。ウェットストックスキャナは、繊維と水との混合物であるパルプスラリーが脱水される製紙機械のウェットエンドの後に配置される。両方のプロット(図4A及び図4B)は、最初に、プロファイルが、示される時間期間の最初の約10時間にわたって、0に近いオフセットで良好に整列されたことを示す。しかしながら、時間期間の後半では、プロットが2.78インチのプロファイル間の持続的なオフセットを示すので、シートはスキャナ間で位置がずれているように見える。プロットを横切る中央の破線の垂直線は、グレード変化が発生した場所を示す(抄紙機の操作が異なる仕様の紙の製造に切り替わった)。点線で示されたボックスは、シート破損があった(データが入手できなかった)場所を示す。
【0038】
本発明では、各部位におけるいくつかのプロファイルをある期間にわたって平均化することができ、次いで、プロファイル間のオフセットを決定するために相互相関計算が実行される。このプロセスを一定の時間間隔で繰り返すことによって、経時的なオフセットの傾向を展開することができる。最良の製品品質のために、オフセットはほぼ0のままであるべきである。経時的な傾向を観察することによって、0からの偏差に対する閾値を決定することができる。次いで、オフセットがある期間にわたって閾値を超えたとき、アラートが生成され得る。
【0039】
本発明を製紙プロセスにおいて説明してきたが、本発明は、例えば、プラスチック、織物、金属箔、及びリチウムイオン電池用電極などのコーティングされた金属箔を含む他のシート製造プロセスにも適用され得ることが理解される。
【0040】
走査センサを使用する代わりに、1つ以上の固定センサを使用することができる。例えば、複数のセンサをシート110(図1)の幅に沿って計画的に配置することができる。各静的センサは、固定小数点の測定値のみを提供する。CD方向にシート全体をカバーするためには、複数の固定センサが必要となる。
【0041】
監視される特性に応じて、走査センサは、透過モード又は反射モードで動作するように構成され得る。例えば、上部スキャナヘッドは、放射線のビームを移動ウェブ又はシート内に向ける放射線源を収容してもよく、下部スキャナヘッドは、材料を透過した放射線を検出する放射線受信器を収容する。デュアルスキャナヘッドがCDに沿って前後に前進すると、センサはウェブ又はシートの1つ以上の特性を測定する。透過モードで動作するセンサは、例えば、Tixier及びHughesに対する米国特許第9,182,360号、Hughes及びTixierに対する米国特許第8,527,212号、Tixierに対する米国特許第7,298,492号、Hughesらに対する米国特許出願公開第2021/0382173号、並びにTixier及びHughesに対する米国特許出願公開第2021/0262776号に記載されており、これらは参照により本明細書に組み込まれる。典型的には、通常生産モードでは、走査センサのサンプリングレートは、10~200ミリ秒毎に1サンプルの範囲である。
【0042】
反射モードでは、上部スキャナヘッドは、ウェブ又はシートの1つ以上の特性を測定するために、放射線源と検出器の両方を収容し得る。反射モードで動作するセンサは、例えば、米国特許第9,182,360号、同第8,527,212号、同第7,298,492号、及び米国特許出願公開第2020/0096308号に記載されており、これらは参照により本明細書に組み込まれる。
【0043】
シート60の表面画像を捕捉するために、カメラが上部又は下部スキャナヘッドに固定され得る。カメラシステムは、Shakespeare及びKellomakiに付与された米国特許第7,695,592号に記載されており、この特許は参照により本明細書に組み込まれる。
【0044】
上記は、本発明の原理、好ましい実施形態、及び動作モードを説明してきた。しかしながら、本発明は、考察される特定の実施形態に限定されるものとして解釈されるべきではない。したがって、上述の実施形態は、限定的ではなく例示的なものとしてみなされるべきであり、以下の特許請求の範囲によって定義されるような本発明の範囲から逸脱することなく、当業者によってそれらの実施形態において変形が行われ得ることを理解されたい。
図1
図2
図3A
図3B
図4A
図4B
【外国語明細書】