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2025-33316通行判定装置、入退管理システム、通行判定方法、入退管理方法、通行判定プログラム、および入退管理プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025033316
(43)【公開日】2025-03-13
(54)【発明の名称】通行判定装置、入退管理システム、通行判定方法、入退管理方法、通行判定プログラム、および入退管理プログラム
(51)【国際特許分類】
   G01S 5/12 20060101AFI20250306BHJP
【FI】
G01S5/12
【審査請求】有
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023138957
(22)【出願日】2023-08-29
(71)【出願人】
【識別番号】000236056
【氏名又は名称】三菱電機ビルソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003199
【氏名又は名称】弁理士法人高田・高橋国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】三田 尚義
【テーマコード(参考)】
5J062
【Fターム(参考)】
5J062AA01
5J062BB05
5J062CC14
5J062CC18
(57)【要約】      (修正有)
【課題】判定エリアの新設、移設、および調整などの管理をより容易に行うことができる通行判定装置、入退管理システム、通行判定方法、入退管理方法、通行判定プログラム、および入退管理プログラムを提供する。
【解決手段】入退管理システム1において、通行判定装置6の受信機10は、管理領域の境界のうちの一箇所に設けられる。受信機10は、利用者の無線通信機器4から発信され識別情報を含む無線信号を受信する。算出部12は、受信機10が受信した無線信号を用いる測距および測角によって、当該無線信号を発信した無線通信機器4の三次元位置を算出する。判定部13は、算出された三次元位置に基づいて、当該無線通信機器4が判定エリア内にあるかを判定する。通信部14は、無線通信機器4が判定エリア内にある場合に、当該無線通信機器4から発信された識別情報を入退管理装置5に送信する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者の通行が管理される管理領域の境界の一箇所に設けられ、利用者の通行とともに移動する無線通信機器から発信され前記無線通信機器が記憶する識別情報を含む無線信号を受信する受信機と、
前記受信機が受信した前記無線信号を用いる測距および測角によって、前記無線通信機器の三次元位置を算出する算出部と、
前記算出部が算出した前記無線通信機器の三次元位置に基づいて、前記無線通信機器が予め設定された判定エリア内にあるかを判定する判定部と、
前記無線通信機器が前記判定エリア内にあると前記判定部が判定する場合に、前記無線通信機器から発信された識別情報を、受信する識別情報に基づいて認証処理を行う入退管理装置に送信する通信部と、
を備える、通行判定装置。
【請求項2】
前記判定エリアは、鉛直方向を軸方向とする柱体状の領域であり、
前記判定部は、前記無線通信機器の水平面内の位置に基づいて、前記無線通信機器が前記判定エリア内にあるかを判定する、
請求項1に記載の通行判定装置。
【請求項3】
前記判定エリアは、鉛直方向を軸方向とし、軸が前記受信機を通る円柱状の領域であり、
前記判定部は、前記円柱状の領域の軸からの前記無線通信機器の水平距離に基づいて、前記無線通信機器が前記判定エリア内にあるかを判定する、
請求項2に記載の通行判定装置。
【請求項4】
前記判定エリアは、鉛直方向を軸方向とし、軸が前記受信機を通り、軸上に中心のある扇形を底面とする柱体状の領域であり、
前記判定部は、前記柱体状の領域の軸の周りの前記無線通信機器の位置の方位角および前記柱体状の領域の軸からの前記無線通信機器の水平距離に基づいて、前記無線通信機器が前記判定エリア内にあるかを判定する、
請求項2に記載の通行判定装置。
【請求項5】
前記判定エリアは、複数の内部エリアを含み、
前記判定部は、前記無線通信機器とともに移動する利用者の、前記複数の内部エリアおよび前記判定エリア外における移動履歴を判定し、
前記通信部は、前記無線通信機器とともに移動する利用者について前記判定部が判定した移動履歴を、前記無線通信機器から発信された識別情報に対応付けて前記入退管理装置に送信する、
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の通行判定装置。
【請求項6】
前記複数の内部エリアは、水平方向において前記管理領域外に面し前記管理領域内に面しない第1エリア、および水平方向において前記管理領域内に面し前記管理領域外に面しない第2エリアを含み、
前記判定部は、前記無線通信機器が前記判定エリア外から前記第1エリアに入り、前記無線通信機器が前記第2エリアから前記判定エリア外に出た場合に、前記無線通信機器とともに通行する利用者が前記管理領域に入域したものとして、当該利用者の移動履歴を判定する、
請求項5に記載の通行判定装置。
【請求項7】
前記複数の内部エリアは、水平方向において前記管理領域外に面し前記管理領域内に面しない第1エリア、および水平方向において前記管理領域内に面し前記管理領域外に面しない第2エリアを含み、
前記判定部は、前記無線通信機器が前記判定エリア外から前記第2エリアに入り、前記無線通信機器が前記第1エリアから前記判定エリア外に出た場合に、前記無線通信機器とともに通行する利用者が前記管理領域から退域したものとして、当該利用者の移動履歴を判定する、
請求項5に記載の通行判定装置。
【請求項8】
前記複数の内部エリアは、水平方向において前記管理領域外に面し前記管理領域内に面しない第1エリア、および水平方向において前記管理領域内に面し前記管理領域外に面しない第2エリアを含み、
前記判定部は、前記無線通信機器が前記判定エリア外から前記第1エリアに入り、前記無線通信機器が前記第1エリアから前記判定エリア外に出た場合に、前記無線通信機器とともに通行する利用者が前記管理領域の周囲を素通りしたものとして、当該利用者の移動履歴を判定する、
請求項5に記載の通行判定装置。
【請求項9】
前記算出部は、前記受信機が受信した前記無線信号を用いる測距によって、前記受信機および前記無線通信機器の間の直線距離を測角によらずに算出し、
前記判定部は、前記算出部が算出する前記受信機および前記無線通信機器の間の直線距離が予め設定された強制認証距離より短いかを判定し、
前記通信部は、前記受信機および前記無線通信機器の間の直線距離が前記強制認証距離より短いと前記判定部が判定する場合に、前記無線通信機器から発信された識別情報を前記入退管理装置に送信する、
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の通行判定装置。
【請求項10】
利用者の通行とともに移動し、記憶している識別情報を含む無線信号を発信する無線通信機器と、
受信する識別情報に基づいて認証処理を行う入退管理装置と、
利用者の通行が管理される管理領域の境界の一箇所に設けられ、前記無線通信機器が発信する前記無線信号を受信する受信機と、
前記受信機が受信した前記無線信号を用いる測距および測角によって、前記無線通信機器の三次元位置を算出する算出部と、
前記算出部が算出した前記無線通信機器の三次元位置に基づいて、前記無線通信機器が予め設定された判定エリア内にあるかを判定する判定部と、
前記無線通信機器が前記判定エリア内にあると前記判定部が判定する場合に、前記無線通信機器から発信された識別情報を前記入退管理装置に送信する通信部と、
を備える、入退管理システム。
【請求項11】
コンピュータまたはコンピュータシステムが、
利用者の通行とともに移動する無線通信機器から発信され、前記無線通信機器が記憶する識別情報を含み、利用者の通行が管理される管理領域の境界の一箇所に設けられた受信機によって受信される無線信号を用いる測距および測角によって、前記無線通信機器の三次元位置を算出することと、
算出した前記無線通信機器の三次元位置に基づいて、前記無線通信機器が予め設定された判定エリア内にあるかを判定することと、
前記無線通信機器が前記判定エリア内にあると判定する場合に、前記無線通信機器から発信された識別情報を、受信する識別情報に基づいて認証処理を行う入退管理装置に送信することと、
を実行する、通行判定方法。
【請求項12】
コンピュータまたはコンピュータシステムが、
利用者の通行とともに移動する無線通信機器から発信され、前記無線通信機器が記憶する識別情報を含み、利用者の通行が管理される管理領域の境界の一箇所に設けられた受信機によって受信される無線信号を用いる測距および測角によって、前記無線通信機器の三次元位置を算出することと、
算出した前記無線通信機器の三次元位置に基づいて、前記無線通信機器が予め設定された判定エリア内にあるかを判定することと、
前記無線通信機器が前記判定エリア内にあると判定する場合に、前記無線通信機器から発信された識別情報に基づいて認証処理を行うことと、
を実行する、入退管理方法。
【請求項13】
コンピュータまたはコンピュータシステムに、
利用者の通行とともに移動する無線通信機器から発信され、前記無線通信機器が記憶する識別情報を含み、利用者の通行が管理される管理領域の境界の一箇所に設けられた受信機によって受信される無線信号を用いる測距および測角によって、前記無線通信機器の三次元位置を算出することと、
算出した前記無線通信機器の三次元位置に基づいて、前記無線通信機器が予め設定された判定エリア内にあるかを判定することと、
前記無線通信機器が前記判定エリア内にあると判定する場合に、前記無線通信機器から発信された識別情報を、受信する識別情報に基づいて認証処理を行う入退管理装置に送信することと、
を実行させる、通行判定プログラム。
【請求項14】
コンピュータまたはコンピュータシステムに、
利用者の通行とともに移動する無線通信機器から発信され、前記無線通信機器が記憶する識別情報を含み、利用者の通行が管理される管理領域の境界の一箇所に設けられた受信機によって受信される無線信号を用いる測距および測角によって、前記無線通信機器の三次元位置を算出することと、
算出した前記無線通信機器の三次元位置に基づいて、前記無線通信機器が予め設定された判定エリア内にあるかを判定することと、
前記無線通信機器が前記判定エリア内にあると判定する場合に、前記無線通信機器から発信された識別情報に基づいて認証処理を行うことと、
を実行させる、入退管理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、通行判定装置、入退管理システム、通行判定方法、入退管理方法、通行判定プログラム、および入退管理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、入退管理システムの例を開示する。入退管理システムの利用者は、検出部と、判定部と、を備える装置を所持する。検出部は、コイルが発生する交流磁界強度を、コイルが形成する平面上の軸成分と、その平面の法線方向の軸成分とに分離して検出する。判定部は、平面上の軸成分と法線方向の軸成分との比率に応じて、検出部が所定の判定エリア内に存在するか否かを判定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012-164086号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の入退管理システムにおいて、判定エリアは、コイルが形成する平面をその平面の法線方向に伸ばしたエリアに相当する。このため、判定エリアを新たに設ける場合には判定エリアに合わせてコイルを敷設する必要があり、判定エリアを調整する場合にはコイルを敷設し直す必要がある。このため、判定エリアの新設、移設、および調整などの管理が困難である。
【0005】
本開示は、このような課題の解決に係るものである。本開示は、判定エリアの新設、移設、および調整などの管理をより容易に行うことができる通行判定装置、入退管理システム、通行判定方法、入退管理方法、通行判定プログラム、および入退管理プログラムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る通行判定装置は、利用者の通行が管理される管理領域の境界の一箇所に設けられ、利用者の通行とともに移動する無線通信機器から発信され前記無線通信機器が記憶する識別情報を含む無線信号を受信する受信機と、前記受信機が受信した前記無線信号を用いる測距および測角によって、前記無線通信機器の三次元位置を算出する算出部と、前記算出部が算出した前記無線通信機器の三次元位置に基づいて、前記無線通信機器が予め設定された判定エリア内にあるかを判定する判定部と、前記無線通信機器が前記判定エリア内にあると前記判定部が判定する場合に、前記無線通信機器から発信された識別情報を、受信する識別情報に基づいて認証処理を行う入退管理装置に送信する通信部と、を備える。
【0007】
本開示に係る入退管理システムは、利用者の通行とともに移動し、記憶している識別情報を含む無線信号を発信する無線通信機器と、受信する識別情報に基づいて認証処理を行う入退管理装置と、利用者の通行が管理される管理領域の境界の一箇所に設けられ、前記無線通信機器が発信する前記無線信号を受信する受信機と、前記受信機が受信した前記無線信号を用いる測距および測角によって、前記無線通信機器の三次元位置を算出する算出部と、前記算出部が算出した前記無線通信機器の三次元位置に基づいて、前記無線通信機器が予め設定された判定エリア内にあるかを判定する判定部と、前記無線通信機器が前記判定エリア内にあると前記判定部が判定する場合に、前記無線通信機器から発信された識別情報を前記入退管理装置に送信する通信部と、を備える。
【0008】
本開示に係る通行判定方法は、コンピュータまたはコンピュータシステムが、利用者の通行とともに移動する無線通信機器から発信され、前記無線通信機器が記憶する識別情報を含み、利用者の通行が管理される管理領域の境界の一箇所に設けられた受信機によって受信される無線信号を用いる測距および測角によって、前記無線通信機器の三次元位置を算出することと、算出した前記無線通信機器の三次元位置に基づいて、前記無線通信機器が予め設定された判定エリア内にあるかを判定することと、前記無線通信機器が前記判定エリア内にあると判定する場合に、前記無線通信機器から発信された識別情報を、受信する識別情報に基づいて認証処理を行う入退管理装置に送信することと、を実行する方法である。
【0009】
本開示に係る入退管理方法は、コンピュータまたはコンピュータシステムが、利用者の通行とともに移動する無線通信機器から発信され、前記無線通信機器が記憶する識別情報を含み、利用者の通行が管理される管理領域の境界の一箇所に設けられた受信機によって受信される無線信号を用いる測距および測角によって、前記無線通信機器の三次元位置を算出することと、算出した前記無線通信機器の三次元位置に基づいて、前記無線通信機器が予め設定された判定エリア内にあるかを判定することと、前記無線通信機器が前記判定エリア内にあると判定する場合に、前記無線通信機器から発信された識別情報に基づいて認証処理を行うことと、を実行する方法である。
【0010】
本開示に係る通行判定プログラムは、コンピュータまたはコンピュータシステムに、利用者の通行とともに移動する無線通信機器から発信され、前記無線通信機器が記憶する識別情報を含み、利用者の通行が管理される管理領域の境界の一箇所に設けられた受信機によって受信される無線信号を用いる測距および測角によって、前記無線通信機器の三次元位置を算出することと、算出した前記無線通信機器の三次元位置に基づいて、前記無線通信機器が予め設定された判定エリア内にあるかを判定することと、前記無線通信機器が前記判定エリア内にあると判定する場合に、前記無線通信機器から発信された識別情報を、受信する識別情報に基づいて認証処理を行う入退管理装置に送信することと、を実行させる。
【0011】
本開示に係る入退管理プログラムは、コンピュータまたはコンピュータシステムに、利用者の通行とともに移動する無線通信機器から発信され、前記無線通信機器が記憶する識別情報を含み、利用者の通行が管理される管理領域の境界の一箇所に設けられた受信機によって受信される無線信号を用いる測距および測角によって、前記無線通信機器の三次元位置を算出することと、算出した前記無線通信機器の三次元位置に基づいて、前記無線通信機器が予め設定された判定エリア内にあるかを判定することと、前記無線通信機器が前記判定エリア内にあると判定する場合に、前記無線通信機器から発信された識別情報に基づいて認証処理を行うことと、を実行させる。
【発明の効果】
【0012】
本開示に係る通行判定装置、入退管理システム、通行判定方法、入退管理方法、通行判定プログラム、または入退管理プログラムによれば、判定エリアの新設、移設、および調整などの管理がより容易になる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】実施の形態1に係る入退管理システムの構成図である。
図2】実施の形態1に係る通行判定装置の算出部による無線通信機器の三次元位置の算出の例を示す図である。
図3】実施の形態1に係る入退管理システムにおいて設定される判定エリアの第1の例を示す図である。
図4】実施の形態1に係る入退管理システムにおいて設定される判定エリアの第2の例を示す図である。
図5】実施の形態1に係る入退管理システムにおいて設定される判定エリアの第3の例を示す図である。
図6】実施の形態1に係る入退管理システムにおいて設定される判定エリアの第4の例を示す図である。
図7】実施の形態1に係る入退管理システムの動作の例を示すフローチャートである。
図8】実施の形態1に係る入退管理システムの主要部のハードウェア構成図である。
図9】実施の形態2に係る入退管理システムにおいて設定される判定エリアの例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本開示の対象を実施するための形態について添付の図面を参照しながら説明する。各図において、同一または相当する部分には同一の符号を付して、重複する説明は適宜に簡略化または省略する。なお、本開示の対象は以下の実施の形態に限定されることなく、本開示の趣旨を逸脱しない範囲において、実施の形態の任意の構成要素の変形、または実施の形態の任意の構成要素の省略が可能である。
【0015】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係る入退管理システム1の構成図である。
【0016】
入退管理システム1は、施設に適用される。施設は、例えば、屋内施設もしくは屋外施設、またはこれらを複合した施設などである。施設は、例えば、1つまたは複数の建物などからなる。施設は、例えば、建物などの一部であってもよい。施設において、管理領域が設定される。管理領域は、施設の内部または外部の予め設定された領域である。入退管理システム1は、管理領域への利用者の入退域を管理するシステムである。
【0017】
この例の入退管理システム1において、電気錠2を備えた扉3が管理領域の境界上の出入口に設けられる。管理領域の境界は、管理領域の周縁部の空間および管理領域に隣接する空間などの境界領域を含んでもよい。扉3は、例えば建物の玄関、または建物の内部の部屋の出入口などに設けられる。入退管理システム1において、扉3に代えて、または扉3と共に、セキュリティゲートなどが管理領域の境界上の出入口に設けられていてもよい。
【0018】
管理領域の境界を通行する入退管理システム1の利用者は、例えば無線通信機器4を所持して施設を通行する。管理領域の境界を通行可能な利用者は、例えば管理領域への入退域が許可されている人物または自律移動体などである。無線通信機器4は、利用者の通行とともに施設内を移動する。無線通信機器4は、例えば、利用者が所持するスマートフォンまたは利用者が装着するスマートウォッチなどの可搬な汎用の情報処理機器などであってもよいし、利用者が所持する無線タグなどの入退管理システム1の専用機器であってもよい。無線通信機器4は、例えば利用者が自律移動体である場合などに、自律移動体に内蔵される無線通信モジュールなどであってもよい。無線通信機器4は、無線信号を通信する機能を搭載する。無線通信機器4は、自身を識別する識別情報または自身とともに通行する利用者などを識別する識別情報を記憶する。識別情報は、例えば、入退管理システム1において無線通信機器4または利用者などに付与される固有のID(IDentifier)などである。無線通信機器4は、記憶している識別情報を含む無線信号を発信する。無線信号は、例えば、UWB(Ultra Wide Band)、またはその他の規格などの信号である。
【0019】
入退管理システム1は、入退管理装置5と、通行判定装置6と、を備える。入退管理装置5および通行判定装置6は、通信ネットワーク7を通じて通信しうるように接続される。通信ネットワーク7は、例えば、施設内のLAN(Local Area Network)などの局所的なネットワークであってもよいし、インターネットまたは電話回線網などの広域なネットワークであってもよい。
【0020】
入退管理装置5は、管理領域の境界の通行を試みる利用者の認証処理などの入退域の管理を行う装置である。認証処理は、例えば、利用者または利用者とともに移動する無線通信機器4の識別情報などに基づいて、当該利用者に管理領域への入退域が許可されているか否かを判定する処理などである。入退管理装置5は、入退管理システム1において、上位の制御装置として機能する。入退管理装置5は、例えば1つまたは複数のサーバコンピュータなどによって構成される。入退管理装置5の一部または全部は、施設に設けられていてもよいし、施設外に設けられていてもよい。入退管理装置5の一部または全部の機能は、クラウドサービス上の処理または記憶のリソースなどによって実装されていてもよい。
【0021】
入退管理装置5は、認証部8と、錠制御部9と、を備える。認証部8は、例えば、通信ネットワーク7などを通じて取得する識別情報についての認証可否の判定などの認証処理における情報処理を行う部分である。識別情報についての認証可否の判定は、例えば、当該識別情報が予め設定された通行許可リストに含まれるか否かなどによって行われる。錠制御部9は、例えば通信ネットワーク7などを通じて電気錠2の施解錠の制御を行う部分である。例えば、錠制御部9は、認証部8が認証可と判定する場合に、電気錠2を解錠させる指令を出力する。錠制御部9は、例えば通信ネットワーク7などを通じて、電気錠2の施解錠の状態、および扉3の開閉の状態の情報を取得してもよい。
【0022】
通行判定装置6は、管理領域の境界に設けられる。この例において、通行判定装置6は、管理領域の内部および外部を隔てる壁面において、管理領域の外側で管理領域の出入口に隣接するように設けられる。通行判定装置6は、受信機10と、記憶部11と、算出部12と、判定部13と、通信部14と、を備える。
【0023】
受信機10は、通行判定装置6に内蔵される。受信機10は、無線通信機器4が発信する無線信号を受信する機能を搭載する。単一の受信機10は、管理領域の境界の一箇所に、通行判定装置6の内部装置として設けられる。受信機10は、1つ以上のアンテナを含む。この例において、受信機10は、複数のアンテナを含む。入退管理システム1において、管理領域の境界の全体を囲うように受信機10を設ける必要はない。
【0024】
記憶部11は、情報を記憶する機能を搭載する部分である。記憶部11は、例えば、判定エリアの情報などを記憶する。判定エリアは、利用者の通行が検出されたかを判定する予め設定された領域である。判定エリアは、例えば、管理領域の出入口に対して設定される。この例において、判定エリアは、三次元的な領域である。判定エリアは、例えば、通行判定装置6が隣接するように設けられた管理領域の出入口に通じる領域である。判定エリアは、例えば、通行判定装置6を基準とする相対的な位置などによって設定される。判定エリアは、例えば、複数種類の形状のエリアから選択することによって設定されるものであってもよい。
【0025】
算出部12は、無線通信機器4の三次元位置を算出する機能を搭載する部分である。算出部12は、例えば、受信機10が受信した無線信号を用いる測距および測角によって、当該無線信号を発信した無線通信機器4の三次元位置を算出する。無線通信機器4の三次元位置は、例えば、通行判定装置6を基準とした相対座標などによって表される。この例において、無線通信機器4の三次元位置は、例えば、デカルト座標系などの三次元直交座標系の座標(x,y,z)などによって表される。なお、無線通信機器4の三次元位置は、例えば、極座標系などの三次元直交曲線座標系の座標(r,θ,φ)などによって表されてもよい。
【0026】
算出部12は、例えば、受信機10が受信した無線信号の信号強度を用いる測距の手法などに基づいて、当該無線信号を発信した無線通信機器4と通行判定装置6との間の距離情報を取得する。信号強度は、例えばRSSI値(RSSI:Received Signal Strength Indicator)などである。あるいは、算出部12は、例えばToF法(ToF:Time of Flight)などの測距の手法によって、無線信号を発信した無線通信機器4と通行判定装置6との間の距離情報を取得してもよい。このとき、算出部12は、無線通信機器4と時刻同期を取ることで無線信号の片道の伝播時間を用いて測距を行ってもよいし、無線通信機器4と無線信号を送受信することで往復に要する無線信号の伝播時間を用いて測距を行ってもよい。ここで、無線通信機器4が発信する無線信号は、例えば、通行判定装置6が無線信号により管理領域の出入口の周辺に発信する質問信号に対する応答信号などであってもよい。
【0027】
算出部12は、例えば、受信機10が受信した無線信号を用いる測角の手法などに基づいて、当該無線信号を発信した無線通信機器4の通行判定装置6を基準とした角度情報を取得する。算出部12は、例えばPDoA法(PDoA:Phase Difference of Arrival)などの測角の手法によって、無線通信機器4からの無線信号の到来方向、すなわち無線通信機器4の角度情報を取得してもよい。算出部12は、受信機10に搭載された複数のアンテナで受信する無線信号の位相差によって、当該無線信号の到来方向を取得する。なお、例えば無線通信機器4が複数のアンテナから複数の無線信号を同時に発信する場合などに、算出部12は、受信機10に搭載された単一のアンテナで受信する複数の無線信号の間の位相差などによって、当該複数の無線信号の到来方向を取得してもよい。
【0028】
判定部13は、無線通信機器4が判定エリア内にあるか否かを判定する機能を搭載する部分である。判定部13は、例えば、算出部12が算出した無線通信機器4の三次元位置に基づいて、記憶部11が記憶する判定エリアの情報との比較などによって当該判定を行う。
【0029】
通信部14は、無線通信機器4から発信された識別情報を、通信ネットワーク7などを通じて入退管理装置5に送信する機能を搭載する部分である。通信部14は、無線通信機器4が判定エリア内にあるか否かの判定部13による判定結果に基づいて、識別情報の入退管理装置5への送信を制御する。この例において、通信部14は、無線通信機器4が判定エリア内にあると判定される場合に、当該無線通信機器4から発信された識別情報を入退管理装置5の認証部8に送信する。一方、通信部14は、無線通信機器4が判定エリア内にあると判定されない場合に、当該無線通信機器4から発信された識別情報を入退管理装置5の認証部8に送信しない。
【0030】
図2は、実施の形態1に係る通行判定装置6の算出部12による無線通信機器4の三次元位置の算出の例を示す図である。
【0031】
この例において、原点Oは、通行判定装置6の位置を表す。z軸の方向は、鉛直方向を表す。xy平面は、水平面を表す。x軸の方向は、通行判定装置6が設けられた壁面の面内方向を表す。y軸の方向は、通行判定装置6が設けられた壁面の法線方向を表す。点pは、無線通信機器4の位置を表す。点hは、通行判定装置6の位置Oを通る水平面に点pから下ろした垂線の足を表す。
【0032】
算出部12は、受信機10が受信した無線信号を用いる測距により、通行判定装置6および無線通信機器4の間の直線距離rpを取得する。また、算出部12は、受信機10が受信した無線信号を用いる測角により、通行判定装置6を基準とした無線通信機器4の角度情報を取得する。角度情報は、例えば、仰俯角θおよび方位角φを含む。仰俯角θは、水平面を基準とした上下方向の角度を表す。方位角φは、鉛直方向の周りの角度を表す。算出部12は、例えば、直線距離rp、仰俯角θ、および方位角φを用いて、無線通信機器4の三次元位置として三次元直交座標系の座標(xp,yp,zp)を算出する。算出部12は、例えば、直線距離rp、仰俯角θ、および方位角φを用いて、無線通信機器4の三次元位置として三次元円筒座標系の座標(rh,φ,zp)を算出してもよい。ここで、距離rhは、通行判定装置6および無線通信機器4の間の水平距離を表す。距離rhは、例えば、直線距離rpおよび仰俯角θを用いて算出される。また、算出部12は、直線距離rp、仰俯角θ、および方位角φ自体を無線通信機器4の三次元位置としてもよい。
【0033】
図3は、実施の形態1に係る入退管理システム1において設定される判定エリアの第1の例を示す図である。
【0034】
判定エリアは、例えば、鉛直方向を軸方向する柱体状の領域に設定される。この例において、判定エリアは、底面が矩形状である四角柱状の領域に設定される。判定エリアは、例えば、水平面内のxy座標の範囲によって設定される。判定エリアは、例えば、x座標の範囲を表す区間[x1,x2]およびy座標の範囲を表す区間[y1,y2]によって設定される。
【0035】
判定部13は、無線通信機器4の三次元位置から求めた無線通信機器4の水平面内の位置に基づいて、無線通信機器4が判定エリア内にあるか否かを判定する。判定部13は、例えば、無線通信機器4の三次元位置のx座標の座標値xpが区間[x1,x2]に含まれ、かつ、無線通信機器4の三次元位置のy座標の座標値ypが区間[y1,y2]に含まれるときに、無線通信機器4が判定エリア内にあると判定する。この場合、判定部13は、無線通信機器4の高さによらずに、判定エリア内にあるか否かの判定を行うことができる。なお、判定部13は、x座標の座標値xpが区間[x1,x2]に含まれない場合に、y座標の座標値ypによる判定を行わずに、無線通信機器4が判定エリア内にないと判定してもよい。同様に、判定部13は、y座標の座標値ypが区間[y1,y2]に含まれない場合に、x座標の座標値xpによる判定を行わずに、無線通信機器4が判定エリア内にないと判定してもよい。
【0036】
なお、柱体状の判定エリアにおいて、例えば、高さの範囲も併せて設定されていてもよい。この例において、判定エリアは、高さの範囲が指定された直方体状の領域であってもよい。このとき、判定エリアの高さの範囲は、z座標の範囲を表す区間[z1,z2]によって設定される。判定部13は、無線通信機器4の水平面内の位置が判定エリア内にある条件を満たし、かつ、無線通信機器4の三次元位置のz座標の座標値zpが区間[z1,z2]に含まれるときに、無線通信機器4が判定エリア内にあると判定する。
【0037】
図4は、実施の形態1に係る入退管理システム1において設定される判定エリアの第2の例を示す図である。
【0038】
判定エリアは、例えば、鉛直方向を軸方向とし、底面が円形状である円柱状の領域に設定される。円柱状の領域の軸は、例えば、通行判定装置6を通る鉛直線上に設定される。判定エリアは、例えば、通行判定装置6からの水平距離の最大値rmによって設定される。
【0039】
判定部13は、無線通信機器4の三次元位置から求めた無線通信機器4の水平面内の位置に基づいて、無線通信機器4が判定エリア内にあるか否かを判定する。判定部13は、例えば、通行判定装置6および無線通信機器4の間の水平距離rhが距離rm以下であるときに、無線通信機器4が判定エリア内にあると判定する。
【0040】
なお、判定エリアは、例えば、管理領域の外側などの半円柱状の領域であってもよい。このとき、判定部13は、通行判定装置6および無線通信機器4の間の水平距離rhが距離rm以下であり、かつ、無線通信機器4が管理領域の外側にあるときに、無線通信機器4が判定エリア内にあると判定する。無線通信機器4が管理領域の外側にあるか否かの判定は、例えば、無線通信機器4の三次元位置の方位角φまたはy座標の座標値ypなどに基づいて行われる。また、円柱状の領域である判定エリアの軸は、通行判定装置6の位置を通らないように設定されてもよい。このとき、判定エリアは、例えば、軸の水平面内の位置および軸からの水平距離の最大値rmによって設定される。
【0041】
図5は、実施の形態1に係る入退管理システム1において設定される判定エリアの第3の例を示す図である。
【0042】
判定エリアは、例えば、鉛直方向を軸方向とし、底面が扇形である柱体状の領域に設定される。柱体状の領域の軸は、例えば、通行判定装置6を通る鉛直線上に設定される。この例において、柱体状の領域の軸は、底面の扇型の中心を通る。扇型の中心は、弧の両端を通り扇型の外周をなす2本の線分が交わる点である。判定エリアは、例えば、通行判定装置6からの水平距離の最大値rm、および方位角φの範囲を表す区間[φ1,φ2]によって設定される。
【0043】
判定部13は、無線通信機器4の三次元位置から求めた無線通信機器4の水平面内の位置に基づいて、無線通信機器4が判定エリア内にあるか否かを判定する。判定部13は、例えば、通行判定装置6および無線通信機器4の間の水平距離rhが距離rm以下であり、かつ、無線通信機器4の三次元位置の方位角φが区間[φ1,φ2]に含まれるときに、無線通信機器4が判定エリア内にあると判定する。なお、判定部13は、方位角φが区間[φ1,φ2]に含まれない場合に、水平距離rhによる判定を行わずに、無線通信機器4が判定エリア内にないと判定してもよい。このとき、判定部13は、測距による情報を用いずに、無線通信機器4が判定エリア内にないと判定できる。同様に、判定部13は、水平距離rhが距離rmを超える場合に、方位角φによる判定を行わずに、無線通信機器4が判定エリア内にないと判定してもよい。なお、柱体状の領域は、底面の扇型の中心角が180°である半円柱状の領域であってもよい。また、柱体状の領域において、底面の扇型の中心角は、180°より大きくてもよいし、180°より小さくてもよい。また、柱体状の領域である判定エリアの軸は、通行判定装置6の位置を通らないように設定されてもよい。このとき、判定エリアは、例えば、軸の水平面内の位置、軸からの水平距離の最大値rm、および方位角φの範囲によって設定される。
【0044】
図6は、実施の形態1に係る入退管理システム1において設定される判定エリアの第4の例を示す図である。
【0045】
判定エリアは、例えば、球状の領域に設定される。球状の領域の中心は、例えば、通行判定装置6の位置に設定される。判定エリアは、例えば、通行判定装置6からの直線距離の最大値rsによって設定される。
【0046】
判定部13は、無線通信機器4の三次元位置に基づいて、無線通信機器4が判定エリア内にあるか否かを判定する。判定部13は、例えば、通行判定装置6および無線通信機器4の間の直線距離rpが距離rs以下であるときに、無線通信機器4が判定エリア内にあると判定する。
【0047】
なお、判定エリアは、例えば、管理領域の外側などの半球状の領域であってもよい。このとき、判定部13は、通行判定装置6および無線通信機器4の間の直線距離rpが距離rs以下であり、かつ、無線通信機器4が管理領域の外側にあるときに、無線通信機器4が判定エリア内にあると判定する。無線通信機器4が管理領域の外側にあるか否かの判定は、例えば、無線通信機器4の三次元位置の方位角φまたはy座標の座標値ypなどに基づいて行われる。また、球状の領域である判定エリアの中心は、通行判定装置6の位置以外に設定されてもよい。このとき、判定エリアは、例えば、中心の位置および中心からの直線距離の最大値rsによって設定される。
【0048】
続いて、図7を用いて、入退管理システム1の動作の例を説明する。
図7は、実施の形態1に係る入退管理システム1の動作の例を示すフローチャートである。
【0049】
ステップS11において、通行判定装置6は、受信機10が無線通信機器4からの無線信号を受信したかを判定する。受信機10が無線信号を受信した場合に、通行判定装置6の処理は、ステップS12に進む。一方、受信機10が無線信号を受信していない場合に、通行判定装置6は、ふたたびステップS11の処理を行う。
【0050】
ステップS12において、算出部12は、受信機10によって受信した無線信号を用いる測距および測角によって、無線通信機器4の三次元位置を算出する。その後、通行判定装置6の処理は、ステップS13に進む。
【0051】
ステップS13において、判定部13は、算出部12が算出した無線通信機器4の三次元位置に基づいて、無線通信機器4が判定エリア内にあるかを判定する。無線通信機器4が判定エリア内にあると判定部13が判定する場合に、通行判定装置6の処理は、ステップS14に進む。一方、無線通信機器4が判定エリア内にあると判定部13が判定しない場合に、通行判定装置6の処理は、終了する。
【0052】
ステップS14において、通信部14は、受信機10によって受信した無線信号に含まれる識別情報を、入退管理装置5の認証部8に送信する。その後、通行判定装置6の処理は、終了する。
【0053】
ステップS21において、入退管理装置5は、無線通信機器4から発信された識別情報を通行判定装置6から受信したかを判定する。識別情報を受信した場合に、入退管理装置5の処理は、ステップS22に進む。一方、識別情報を受信していない場合に、入退管理装置5は、ふたたびステップS21の処理を行う。
【0054】
ステップS22において、認証部8は、受信した識別情報の認証可否を判定する。識別情報が認証可である場合に、入退管理装置5の処理は、ステップS23に進む。一方、識別情報が認証可でない場合に、入退管理装置5の処理は、終了する。
【0055】
ステップS23において、錠制御部9は、電気錠2を解錠させる指令を出力する。錠制御部9からの指令によって、扉3において、電気錠2が解錠される。その後、入退管理装置5の処理は、終了する。
【0056】
以上に説明したように、実施の形態1に係る入退管理システム1は、無線通信機器4と、入退管理装置5と、通行判定装置6と、を備える。無線通信機器4は、利用者の通行とともに移動する。無線通信機器4は、記憶している識別情報を含む無線信号を発信する。入退管理装置5は、受信する識別情報に基づいて認証処理を行う。通行判定装置6は、受信機10と、算出部12と、判定部13と、通信部14と、を備える。受信機10は、管理領域の境界のうちの一箇所に設けられる。受信機10は、無線通信機器4から発信され当該無線通信機器4が記憶する識別情報を含む無線信号を受信する。算出部12は、受信機10が受信した無線信号を用いる測距および測角によって、当該無線信号を発信した無線通信機器4の三次元位置を算出する。判定部13は、算出部12が算出した無線通信機器4の三次元位置に基づいて、当該無線通信機器4が判定エリア内にあるかを判定する。通信部14は、無線通信機器4が判定エリア内にあると判定部13が判定する場合に、当該無線通信機器4から発信された識別情報を入退管理装置5に送信する。
【0057】
このような構成により、管理領域の境界の全体を囲うように受信機10を設ける必要がないため、判定エリアの新設、移設、および調整などの管理がより容易に行えるようになる。また、無線信号に基づいて算出された三次元位置に基づいて無線通信機器4が判定エリア内にあるか否かの判定が行われるため、判定エリアの範囲、および形状などの調整が容易に行えるようになる。このため、管理領域の運用などに応じて判定エリアの調整が必要になる場合であっても、通行判定装置6の設定などによって容易に調整を行うことができるようになる。また、管理領域の境界の一箇所に通行判定装置6を設ければ足りるため、設置場所の環境などによらずにより簡易に判定エリアの設定ができるようになる。また、利用者は無線通信機器4とともに判定エリア内に移動することでハンズフリーで認証が行われるようになるため、利用者の利便性がより高められる。
【0058】
また、判定エリアは、例えば、鉛直方向を軸方向とする柱体状の領域である。このとき、判定部13は、無線通信機器4の水平面内の位置に基づいて、当該無線通信機器4が判定エリア内にあるかを判定する。
また、判定エリアは、例えば、鉛直方向を軸方向とし、軸が受信機10を通る円柱状の領域である。このとき、判定部13は、円柱状の領域の軸からの無線通信機器4の水平距離に基づいて、当該無線通信機器4が判定エリア内にあるかを判定する。
また、判定エリアは、例えば、鉛直方向を軸方向とし、軸が受信機10を通り、軸上に中心のある扇形を底面とする柱体状の領域である。このとき、判定部13は、柱体状の領域の軸の周りの無線通信機器4の位置の方位角および柱体状の領域の軸からの当該無線通信機器4の水平距離に基づいて、当該無線通信機器4が判定エリア内にあるかを判定する。
【0059】
このような構成により、判定エリアの形状が高さに依らないので、無線通信機器4の高さに影響を受けずに認証処理が行われるようになる。これにより、利用者が無線通信機器4を所持する高さなどによって認証処理が行われる範囲が変わらないので、利用者の利便性がより高められるようになる。また、判定エリアの設定において、高さを考慮する必要がないため、判定エリアの調整などの管理がより容易になる。また、判定エリアとして円柱状の領域を採用する場合に、水平方向の半径のみを設定すればよいため、判定エリアの設定がより簡便になる。また、無線通信機器4が判定エリア内にあるか否かの判定を水平面内の距離との比較のみによって行うことができるので、判定処理をより軽量なものにできる。また、判定エリアとして底面が扇形の柱体状の領域を採用する場合に、管理領域への入退域の動線が複雑な場合においても、当該動線に対応した判定エリアを容易に設定できるようになる。また、測角値である方位角のみによって無線通信機器4が判定エリア外にあることを判定できる場合があるので、判定処理をより軽量なものにできる。
【0060】
なお、入退管理システム1において、強制認証距離が予め設定されていてもよい。このとき、算出部12は、受信機10が受信した無線信号を用いる測距によって、受信機10および無線通信機器4の間の直線距離を測角によらずに算出する。判定部13は、算出部12が算出する当該直線距離が強制認証距離より短いかを判定する。通信部14は、算出された直線距離が強制認証距離より短いと判定部13が判定する場合に、無線通信機器4から発信された識別情報を、当該無線通信機器4が判定エリア内にあるか否かに関わらず入退管理装置5の認証部8に送信する。この場合に、判定部13は、無線通信機器4が判定エリア内にあるか否かの判定を省略してもよい。例えば、通行判定装置6の配置および周辺環境などによって、測角が困難な死角などが生じうる。この場合においても、無線通信機器4が強制認証距離より近くに接近することで認証処理に必要な識別情報が入退管理装置5の認証部8に送信されるので、利用者の利便性などがより高められるようになる。
【0061】
また、通行判定装置6は、壁面に設けられていなくてもよい。例えば、通行判定装置6は、管理領域に隣接する空間の天井などに設けられていてもよい。このとき、通行判定装置6は、壁面に設置されている場合から座標系を回転することで、壁面に設置される場合と同様に判定エリアの設定および判定エリアへの進入の判定などの処理を行うことができる。また、通行判定装置6は、例えば、セキュリティゲートの付近に立てられたポール上などに設けられていてもよい。
【0062】
また、入退管理システム1は、施設における複数の管理領域についての通行を管理してもよい。入退管理システム1は、複数の通行判定装置6を含んでもよい。入退管理システム1において、単一の管理領域に対して、例えば当該管理領域の複数の出入口などに対応する複数の通行判定装置6が設けられていてもよい。
【0063】
また、入退管理システム1において、入退管理装置5の機能の一部または全部は、通行判定装置6に搭載されていてもよい。通行判定装置6の機能の一部は、入退管理装置5に搭載されていてもよい。
【0064】
続いて、図8を用いて、入退管理システム1のハードウェア構成の例について説明する。
図8は、実施の形態1に係る入退管理システム1の主要部のハードウェア構成図である。
【0065】
入退管理システム1の各機能は、処理回路により実現し得る。処理回路は、少なくとも1つのプロセッサ100aと少なくとも1つのメモリ100bとを備える。処理回路は、プロセッサ100aおよびメモリ100bと共に、あるいはそれらの代用として、少なくとも1つの専用ハードウェア200を備えてもよい。処理回路は、例えば、入退管理システム1を構成する機器または装置などに搭載される。
【0066】
処理回路がプロセッサ100aとメモリ100bとを備える場合、入退管理システム1の各機能は、ソフトウェア、ファームウェア、またはソフトウェアとファームウェアとの組み合わせで実現される。ソフトウェアおよびファームウェアの少なくとも一方は、プログラムとして記述される。そのプログラムはメモリ100bに格納される。プロセッサ100aは、メモリ100bに記憶されたプログラムを読み出して実行することにより、入退管理システム1の各機能を実現する。入退管理システム1の各機能を実現するプログラムは、複数のコンピュータなどにそれぞれ適用される複数のソフトウェアを含む、ソフトウェアパッケージなどであってもよい。
【0067】
プロセッサ100aは、CPU(Central Processing Unit)、処理装置、演算装置、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、DSPともいう。メモリ100bは、例えば、RAM、ROM、フラッシュメモリ、EPROM、EEPROMなどの、不揮発性または揮発性の半導体メモリなどにより構成される。
【0068】
処理回路が専用ハードウェア200を備える場合、処理回路は、例えば、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ASIC、FPGA、またはこれらの組み合わせで実現される。
【0069】
入退管理システム1の各機能は、それぞれ処理回路で実現することができる。あるいは、入退管理システム1の各機能は、まとめて処理回路で実現することもできる。入退管理システム1の各機能について、一部を専用ハードウェア200で実現し、他部をソフトウェアまたはファームウェアで実現してもよい。このように、処理回路は、専用ハードウェア200、ソフトウェア、ファームウェア、またはこれらの組み合わせで入退管理システム1の各機能を実現する。
【0070】
実施の形態2.
実施の形態2において、実施の形態1で開示される例と相違する点について特に詳しく説明する。実施の形態2で説明しない特徴については、実施の形態1で開示される例のいずれの特徴が採用されてもよい。
【0071】
図9は、実施の形態2に係る入退管理システム1において設定される判定エリアの例を示す図である。
【0072】
判定エリアは、複数の内部エリアを含む。各々の内部エリアは、例えば、三次元位置の範囲などによって記憶部11において予め設定される。この例において、判定エリアは、内部エリアとして解錠判定エリアと、入退判定エリアと、を含む。判定エリアの全体は、例えば、管理領域外の直方体状の形状の領域に設定される。判定エリアは、内部または境界に管理領域の出入口を含む。入退判定エリアは、管理領域に通じるエリアである。入退判定エリアは、管理領域の出入口を境界に含む。入退判定エリアは、例えば、直方体状の形状の領域に設定される。解錠判定エリアは、管理領域外において入退判定エリアを囲むように設定される。解錠判定エリアは、判定エリアの全体から入退判定エリアを除いた領域に設定される。解錠判定エリアは、水平方向において、管理領域の外部に面し、かつ、管理領域の内部に面しない。解錠判定エリアは、第1エリアの例である。入退判定エリアは、水平方向において、管理領域の内部に面し、かつ、管理領域の外部に面しない。入退判定エリアは、第2エリアの例である。
【0073】
判定部13は、無線通信機器4とともに移動する利用者の、複数の内部エリアおよび判定エリア外における移動履歴を判定する。例えば、管理領域に入域する利用者は、判定エリア外、解錠判定エリア、入退判定エリア、判定エリア外の順に通行する。このため、判定部13は、無線通信機器4が判定エリア外から解錠判定エリアに入り、かつ、無線通信機器4が入退判定エリアから判定エリア外に出た場合に、当該無線通信機器4とともに通行する利用者が管理領域に入域したものとして、当該利用者の移動履歴を判定する。また、例えば、管理領域から退域する利用者は、判定エリア外、入退判定エリア、解錠判定エリア、判定エリア外の順に通行する。このため、判定部13は、無線通信機器4が判定エリア外から入退判定エリアに入り、かつ、無線通信機器4が解錠判定エリアから判定エリア外に出た場合に、当該無線通信機器4とともに通行する利用者が管理領域から退域したものとして、当該利用者の移動履歴を判定する。また、例えば、管理領域に入域せずに管理領域の周囲を素通りする利用者は、判定エリア外、解錠判定エリア、判定エリア外の順に通行する。このため、判定部13は、無線通信機器4が判定エリア外から解錠判定エリアに入り、かつ、無線通信機器4が解錠判定エリアから判定エリア外に出た場合に、当該無線通信機器4とともに通行する利用者が管理領域に入域せず素通りしたものとして、当該利用者の移動履歴を判定する。
【0074】
通信部14は、利用者について判定部13が判定した移動履歴を、当該利用者とともに移動する無線通信装置から発信された識別情報に対応づけて、入退管理装置5に送信する。
【0075】
入退管理装置5は、通行判定装置6から受信した移動履歴を、識別情報とともに記憶する。これにより、管理領域への入退域が利用者に関する識別情報とともに管理される。このとき、入退管理装置5は、受信した移動履歴が素通りを判定したものである場合に、当該移動履歴を記憶してもよいし、記憶しなくてもよい。また、入退管理装置5は、通行判定装置6から受信した移動履歴を、電気錠2の施錠管理に用いてもよい。例えば、錠制御部9は、受信した移動履歴が入域または退域を判定したものである場合に、利用者の入域または退域の際に開いた扉3が閉まった後に、電気錠2を施錠させる指令を出力する。また、錠制御部9は、受信した移動履歴が素通りを判定したものである場合に、扉3が開く前に、電気錠2を施錠させる指令を出力する。このとき、錠制御部9は、移動履歴の受信後、速やかに施錠の指令を電気錠2に出力する。錠制御部9からの施錠の指令によって、扉3において、電気錠2が施錠される。利用者の素通り後速やかに電気錠2が施錠されるので、管理領域におけるセキュリティ性がより高められる。
【0076】
なお、判定エリアに含まれる内部エリアは、直方体状の形状に限定されない。各内部エリアの形状は、鉛直方向を軸方向とする柱体状の領域であってもよいし、球状の領域であってもよいし、その他の形状の領域であってもよい。
【0077】
以上の説明をまとめると、本開示に係る技術の取りうる構成は、以下に付記として示す各構成などを含む。
(付記1)
利用者の通行が管理される管理領域の境界の一箇所に設けられ、利用者の通行とともに移動する無線通信機器から発信され前記無線通信機器が記憶する識別情報を含む無線信号を受信する受信機と、
前記受信機が受信した前記無線信号を用いる測距および測角によって、前記無線通信機器の三次元位置を算出する算出部と、
前記算出部が算出した前記無線通信機器の三次元位置に基づいて、前記無線通信機器が予め設定された判定エリア内にあるかを判定する判定部と、
前記無線通信機器が前記判定エリア内にあると前記判定部が判定する場合に、前記無線通信機器から発信された識別情報を、受信する識別情報に基づいて認証処理を行う入退管理装置に送信する通信部と、
を備える、通行判定装置。
(付記2)
前記判定エリアは、鉛直方向を軸方向とする柱体状の領域であり、
前記判定部は、前記無線通信機器の水平面内の位置に基づいて、前記無線通信機器が前記判定エリア内にあるかを判定する、
付記1に記載の通行判定装置。
(付記3)
前記判定エリアは、鉛直方向を軸方向とし、軸が前記受信機を通る円柱状の領域であり、
前記判定部は、前記円柱状の領域の軸からの前記無線通信機器の水平距離に基づいて、前記無線通信機器が前記判定エリア内にあるかを判定する、
付記2に記載の通行判定装置。
(付記4)
前記判定エリアは、鉛直方向を軸方向とし、軸が前記受信機を通り、軸上に中心のある扇形を底面とする柱体状の領域であり、
前記判定部は、前記柱体状の領域の軸の周りの前記無線通信機器の位置の方位角および前記柱体状の領域の軸からの前記無線通信機器の水平距離に基づいて、前記無線通信機器が前記判定エリア内にあるかを判定する、
付記2に記載の通行判定装置。
(付記5)
前記判定エリアは、複数の内部エリアを含み、
前記判定部は、前記無線通信機器とともに移動する利用者の、前記複数の内部エリアおよび前記判定エリア外における移動履歴を判定し、
前記通信部は、前記無線通信機器とともに移動する利用者について前記判定部が判定した移動履歴を、前記無線通信機器から発信された識別情報に対応付けて前記入退管理装置に送信する、
付記1から付記4のいずれか一項に記載の通行判定装置。
(付記6)
前記複数の内部エリアは、水平方向において前記管理領域外に面し前記管理領域内に面しない第1エリア、および水平方向において前記管理領域内に面し前記管理領域外に面しない第2エリアを含み、
前記判定部は、前記無線通信機器が前記判定エリア外から前記第1エリアに入り、前記無線通信機器が前記第2エリアから前記判定エリア外に出た場合に、前記無線通信機器とともに通行する利用者が前記管理領域に入域したものとして、当該利用者の移動履歴を判定する、
付記5に記載の通行判定装置。
(付記7)
前記複数の内部エリアは、水平方向において前記管理領域外に面し前記管理領域内に面しない第1エリア、および水平方向において前記管理領域内に面し前記管理領域外に面しない第2エリアを含み、
前記判定部は、前記無線通信機器が前記判定エリア外から前記第2エリアに入り、前記無線通信機器が前記第1エリアから前記判定エリア外に出た場合に、前記無線通信機器とともに通行する利用者が前記管理領域から退域したものとして、当該利用者の移動履歴を判定する、
付記5に記載の通行判定装置。
(付記8)
前記複数の内部エリアは、水平方向において前記管理領域外に面し前記管理領域内に面しない第1エリア、および水平方向において前記管理領域内に面し前記管理領域外に面しない第2エリアを含み、
前記判定部は、前記無線通信機器が前記判定エリア外から前記第1エリアに入り、前記無線通信機器が前記第1エリアから前記判定エリア外に出た場合に、前記無線通信機器とともに通行する利用者が前記管理領域の周囲を素通りしたものとして、当該利用者の移動履歴を判定する、
付記5に記載の通行判定装置。
(付記9)
前記算出部は、前記受信機が受信した前記無線信号を用いる測距によって、前記受信機および前記無線通信機器の間の直線距離を測角によらずに算出し、
前記判定部は、前記算出部が算出する前記受信機および前記無線通信機器の間の直線距離が予め設定された強制認証距離より短いかを判定し、
前記通信部は、前記受信機および前記無線通信機器の間の直線距離が前記強制認証距離より短いと前記判定部が判定する場合に、前記無線通信機器から発信された識別情報を前記入退管理装置に送信する、
付記1から付記8のいずれか一項に記載の通行判定装置。
(付記10)
利用者の通行とともに移動し、記憶している識別情報を含む無線信号を発信する無線通信機器と、
受信する識別情報に基づいて認証処理を行う入退管理装置と、
利用者の通行が管理される管理領域の境界の一箇所に設けられ、前記無線通信機器が発信する前記無線信号を受信する受信機と、
前記受信機が受信した前記無線信号を用いる測距および測角によって、前記無線通信機器の三次元位置を算出する算出部と、
前記算出部が算出した前記無線通信機器の三次元位置に基づいて、前記無線通信機器が予め設定された判定エリア内にあるかを判定する判定部と、
前記無線通信機器が前記判定エリア内にあると前記判定部が判定する場合に、前記無線通信機器から発信された識別情報を前記入退管理装置に送信する通信部と、
を備える、入退管理システム。
(付記11)
コンピュータまたはコンピュータシステムが、
利用者の通行とともに移動する無線通信機器から発信され、前記無線通信機器が記憶する識別情報を含み、利用者の通行が管理される管理領域の境界の一箇所に設けられた受信機によって受信される無線信号を用いる測距および測角によって、前記無線通信機器の三次元位置を算出することと、
算出した前記無線通信機器の三次元位置に基づいて、前記無線通信機器が予め設定された判定エリア内にあるかを判定することと、
前記無線通信機器が前記判定エリア内にあると判定する場合に、前記無線通信機器から発信された識別情報を、受信する識別情報に基づいて認証処理を行う入退管理装置に送信することと、
を実行する、通行判定方法。
(付記12)
コンピュータまたはコンピュータシステムが、
利用者の通行とともに移動する無線通信機器から発信され、前記無線通信機器が記憶する識別情報を含み、利用者の通行が管理される管理領域の境界の一箇所に設けられた受信機によって受信される無線信号を用いる測距および測角によって、前記無線通信機器の三次元位置を算出することと、
算出した前記無線通信機器の三次元位置に基づいて、前記無線通信機器が予め設定された判定エリア内にあるかを判定することと、
前記無線通信機器が前記判定エリア内にあると判定する場合に、前記無線通信機器から発信された識別情報に基づいて認証処理を行うことと、
を実行する、入退管理方法。
(付記13)
コンピュータまたはコンピュータシステムに、
利用者の通行とともに移動する無線通信機器から発信され、前記無線通信機器が記憶する識別情報を含み、利用者の通行が管理される管理領域の境界の一箇所に設けられた受信機によって受信される無線信号を用いる測距および測角によって、前記無線通信機器の三次元位置を算出することと、
算出した前記無線通信機器の三次元位置に基づいて、前記無線通信機器が予め設定された判定エリア内にあるかを判定することと、
前記無線通信機器が前記判定エリア内にあると判定する場合に、前記無線通信機器から発信された識別情報を、受信する識別情報に基づいて認証処理を行う入退管理装置に送信することと、
を実行させる、通行判定プログラム。
(付記14)
コンピュータまたはコンピュータシステムに、
利用者の通行とともに移動する無線通信機器から発信され、前記無線通信機器が記憶する識別情報を含み、利用者の通行が管理される管理領域の境界の一箇所に設けられた受信機によって受信される無線信号を用いる測距および測角によって、前記無線通信機器の三次元位置を算出することと、
算出した前記無線通信機器の三次元位置に基づいて、前記無線通信機器が予め設定された判定エリア内にあるかを判定することと、
前記無線通信機器が前記判定エリア内にあると判定する場合に、前記無線通信機器から発信された識別情報に基づいて認証処理を行うことと、
を実行させる、入退管理プログラム。
【符号の説明】
【0078】
1 入退管理システム、 2 電気錠、 3 扉、 4 無線通信機器、 5 入退管理装置、 6 通行判定装置、 7 通信ネットワーク、 8 認証部、 9 錠制御部、 10 受信機、 11 記憶部、 12 算出部、 13 判定部、 14 通信部、 100a プロセッサ、 100b メモリ、 200 専用ハードウェア
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【手続補正書】
【提出日】2024-06-13
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者の通行が管理される管理領域の境界の一箇所に設けられ、利用者の通行とともに移動する無線通信機器から発信され前記無線通信機器が記憶する識別情報を含む無線信号を受信する受信機と、
前記受信機が受信した前記無線信号を用いる測距および測角によって、前記無線通信機器の三次元位置を水平面内の位置を表す成分を含むように算出する算出部と、
前記算出部が算出した前記無線通信機器の三次元位置のうち水平面内の位置を表す成分に基づいて、前記無線通信機器が鉛直方向を軸方向とする柱体状の領域である予め設定された判定エリア内にあるかを判定する判定部と、
前記無線通信機器が前記判定エリア内にあると前記判定部が判定する場合に、前記無線通信機器から発信された識別情報を、受信する識別情報に基づいて認証処理を行う入退管理装置に送信する通信部と、
を備える、通行判定装置。
【請求項2】
前記判定エリアは、鉛直方向を軸方向とし、軸が前記受信機を通る円柱状の領域であり、
前記判定部は、前記円柱状の領域の軸からの前記無線通信機器の水平距離に基づいて、前記無線通信機器が前記判定エリア内にあるかを判定する、
請求項1に記載の通行判定装置。
【請求項3】
前記判定エリアは、鉛直方向を軸方向とし、軸が前記受信機を通り、軸上に中心のある扇形を底面とする柱体状の領域であり、
前記判定部は、前記柱体状の領域の軸の周りの前記無線通信機器の位置の方位角および前記柱体状の領域の軸からの前記無線通信機器の水平距離に基づいて、前記無線通信機器が前記判定エリア内にあるかを判定する、
請求項1に記載の通行判定装置。
【請求項4】
前記判定エリアは、複数の内部エリアを含み、
前記判定部は、前記無線通信機器とともに移動する利用者の、前記複数の内部エリアおよび前記判定エリア外における移動履歴を判定し、
前記通信部は、前記無線通信機器とともに移動する利用者について前記判定部が判定した移動履歴を、前記無線通信機器から発信された識別情報に対応付けて前記入退管理装置に送信する、
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の通行判定装置。
【請求項5】
前記複数の内部エリアは、水平方向において前記管理領域外に面し前記管理領域内に面しない第1エリア、および水平方向において前記管理領域内に面し前記管理領域外に面しない第2エリアを含み、
前記判定部は、前記無線通信機器が前記判定エリア外から前記第1エリアに入り、前記無線通信機器が前記第2エリアから前記判定エリア外に出た場合に、前記無線通信機器とともに通行する利用者が前記管理領域に入域したものとして、当該利用者の移動履歴を判定する、
請求項4に記載の通行判定装置。
【請求項6】
前記複数の内部エリアは、水平方向において前記管理領域外に面し前記管理領域内に面しない第1エリア、および水平方向において前記管理領域内に面し前記管理領域外に面しない第2エリアを含み、
前記判定部は、前記無線通信機器が前記判定エリア外から前記第2エリアに入り、前記無線通信機器が前記第1エリアから前記判定エリア外に出た場合に、前記無線通信機器とともに通行する利用者が前記管理領域から退域したものとして、当該利用者の移動履歴を判定する、
請求項4に記載の通行判定装置。
【請求項7】
前記複数の内部エリアは、水平方向において前記管理領域外に面し前記管理領域内に面しない第1エリア、および水平方向において前記管理領域内に面し前記管理領域外に面しない第2エリアを含み、
前記判定部は、前記無線通信機器が前記判定エリア外から前記第1エリアに入り、前記無線通信機器が前記第1エリアから前記判定エリア外に出た場合に、前記無線通信機器とともに通行する利用者が前記管理領域の周囲を素通りしたものとして、当該利用者の移動履歴を判定する、
請求項4に記載の通行判定装置。
【請求項8】
前記算出部は、前記受信機が受信した前記無線信号を用いる測距によって、前記受信機および前記無線通信機器の間の直線距離を測角によらずに算出し、
前記判定部は、前記算出部が算出する前記受信機および前記無線通信機器の間の直線距離が予め設定された強制認証距離より短いかを判定し、
前記通信部は、前記受信機および前記無線通信機器の間の直線距離が前記強制認証距離より短いと前記判定部が判定する場合に、前記無線通信機器から発信された識別情報を前記入退管理装置に送信する、
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の通行判定装置。
【請求項9】
利用者の通行とともに移動し、記憶している識別情報を含む無線信号を発信する無線通信機器と、
受信する識別情報に基づいて認証処理を行う入退管理装置と、
利用者の通行が管理される管理領域の境界の一箇所に設けられ、前記無線通信機器が発信する前記無線信号を受信する受信機と、
前記受信機が受信した前記無線信号を用いる測距および測角によって、前記無線通信機器の三次元位置を水平面内の位置を表す成分を含むように算出する算出部と、
前記算出部が算出した前記無線通信機器の三次元位置のうち水平面内の位置を表す成分に基づいて、前記無線通信機器が鉛直方向を軸方向とする柱体状の領域である予め設定された判定エリア内にあるかを判定する判定部と、
前記無線通信機器が前記判定エリア内にあると前記判定部が判定する場合に、前記無線通信機器から発信された識別情報を前記入退管理装置に送信する通信部と、
を備える、入退管理システム。
【請求項10】
コンピュータまたはコンピュータシステムが、
利用者の通行とともに移動する無線通信機器から発信され、前記無線通信機器が記憶する識別情報を含み、利用者の通行が管理される管理領域の境界の一箇所に設けられた受信機によって受信される無線信号を用いる測距および測角によって、前記無線通信機器の三次元位置を水平面内の位置を表す成分を含むように算出することと、
算出した前記無線通信機器の三次元位置のうち水平面内の位置を表す成分に基づいて、前記無線通信機器が鉛直方向を軸方向とする柱体状の領域である予め設定された判定エリア内にあるかを判定することと、
前記無線通信機器が前記判定エリア内にあると判定する場合に、前記無線通信機器から発信された識別情報を、受信する識別情報に基づいて認証処理を行う入退管理装置に送信することと、
を実行する、通行判定方法。
【請求項11】
コンピュータまたはコンピュータシステムが、
利用者の通行とともに移動する無線通信機器から発信され、前記無線通信機器が記憶する識別情報を含み、利用者の通行が管理される管理領域の境界の一箇所に設けられた受信機によって受信される無線信号を用いる測距および測角によって、前記無線通信機器の三次元位置を水平面内の位置を表す成分を含むように算出することと、
算出した前記無線通信機器の三次元位置のうち水平面内の位置を表す成分に基づいて、前記無線通信機器が鉛直方向を軸方向とする柱体状の領域である予め設定された判定エリア内にあるかを判定することと、
前記無線通信機器が前記判定エリア内にあると判定する場合に、前記無線通信機器から発信された識別情報に基づいて認証処理を行うことと、
を実行する、入退管理方法。
【請求項12】
コンピュータまたはコンピュータシステムに、
利用者の通行とともに移動する無線通信機器から発信され、前記無線通信機器が記憶する識別情報を含み、利用者の通行が管理される管理領域の境界の一箇所に設けられた受信機によって受信される無線信号を用いる測距および測角によって、前記無線通信機器の三次元位置を水平面内の位置を表す成分を含むように算出することと、
算出した前記無線通信機器の三次元位置のうち水平面内の位置を表す成分に基づいて、前記無線通信機器が鉛直方向を軸方向とする柱体状の領域である予め設定された判定エリア内にあるかを判定することと、
前記無線通信機器が前記判定エリア内にあると判定する場合に、前記無線通信機器から発信された識別情報を、受信する識別情報に基づいて認証処理を行う入退管理装置に送信することと、
を実行させる、通行判定プログラム。
【請求項13】
コンピュータまたはコンピュータシステムに、
利用者の通行とともに移動する無線通信機器から発信され、前記無線通信機器が記憶する識別情報を含み、利用者の通行が管理される管理領域の境界の一箇所に設けられた受信機によって受信される無線信号を用いる測距および測角によって、前記無線通信機器の三次元位置を水平面内の位置を表す成分を含むように算出することと、
算出した前記無線通信機器の三次元位置のうち水平面内の位置を表す成分に基づいて、前記無線通信機器が鉛直方向を軸方向とする柱体状の領域である予め設定された判定エリア内にあるかを判定することと、
前記無線通信機器が前記判定エリア内にあると判定する場合に、前記無線通信機器から発信された識別情報に基づいて認証処理を行うことと、
を実行させる、入退管理プログラム。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0006】
本開示に係る通行判定装置は、利用者の通行が管理される管理領域の境界の一箇所に設けられ、利用者の通行とともに移動する無線通信機器から発信され前記無線通信機器が記憶する識別情報を含む無線信号を受信する受信機と、前記受信機が受信した前記無線信号を用いる測距および測角によって、前記無線通信機器の三次元位置を水平面内の位置を表す成分を含むように算出する算出部と、前記算出部が算出した前記無線通信機器の三次元位置のうち水平面内の位置を表す成分に基づいて、前記無線通信機器が鉛直方向を軸方向とする柱体状の領域である予め設定された判定エリア内にあるかを判定する判定部と、前記無線通信機器が前記判定エリア内にあると前記判定部が判定する場合に、前記無線通信機器から発信された識別情報を、受信する識別情報に基づいて認証処理を行う入退管理装置に送信する通信部と、を備える。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0007】
本開示に係る入退管理システムは、利用者の通行とともに移動し、記憶している識別情報を含む無線信号を発信する無線通信機器と、受信する識別情報に基づいて認証処理を行う入退管理装置と、利用者の通行が管理される管理領域の境界の一箇所に設けられ、前記無線通信機器が発信する前記無線信号を受信する受信機と、前記受信機が受信した前記無線信号を用いる測距および測角によって、前記無線通信機器の三次元位置を水平面内の位置を表す成分を含むように算出する算出部と、前記算出部が算出した前記無線通信機器の三次元位置のうち水平面内の位置を表す成分に基づいて、前記無線通信機器が鉛直方向を軸方向とする柱体状の領域である予め設定された判定エリア内にあるかを判定する判定部と、前記無線通信機器が前記判定エリア内にあると前記判定部が判定する場合に、前記無線通信機器から発信された識別情報を前記入退管理装置に送信する通信部と、を備える。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0008】
本開示に係る通行判定方法は、コンピュータまたはコンピュータシステムが、利用者の通行とともに移動する無線通信機器から発信され、前記無線通信機器が記憶する識別情報を含み、利用者の通行が管理される管理領域の境界の一箇所に設けられた受信機によって受信される無線信号を用いる測距および測角によって、前記無線通信機器の三次元位置を水平面内の位置を表す成分を含むように算出することと、算出した前記無線通信機器の三次元位置のうち水平面内の位置を表す成分に基づいて、前記無線通信機器が鉛直方向を軸方向とする柱体状の領域である予め設定された判定エリア内にあるかを判定することと、前記無線通信機器が前記判定エリア内にあると判定する場合に、前記無線通信機器から発信された識別情報を、受信する識別情報に基づいて認証処理を行う入退管理装置に送信することと、を実行する方法である。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0009】
本開示に係る入退管理方法は、コンピュータまたはコンピュータシステムが、利用者の通行とともに移動する無線通信機器から発信され、前記無線通信機器が記憶する識別情報を含み、利用者の通行が管理される管理領域の境界の一箇所に設けられた受信機によって受信される無線信号を用いる測距および測角によって、前記無線通信機器の三次元位置を水平面内の位置を表す成分を含むように算出することと、算出した前記無線通信機器の三次元位置のうち水平面内の位置を表す成分に基づいて、前記無線通信機器が鉛直方向を軸方向とする柱体状の領域である予め設定された判定エリア内にあるかを判定することと、前記無線通信機器が前記判定エリア内にあると判定する場合に、前記無線通信機器から発信された識別情報に基づいて認証処理を行うことと、を実行する方法である。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0010】
本開示に係る通行判定プログラムは、コンピュータまたはコンピュータシステムに、利用者の通行とともに移動する無線通信機器から発信され、前記無線通信機器が記憶する識別情報を含み、利用者の通行が管理される管理領域の境界の一箇所に設けられた受信機によって受信される無線信号を用いる測距および測角によって、前記無線通信機器の三次元位置を水平面内の位置を表す成分を含むように算出することと、算出した前記無線通信機器の三次元位置のうち水平面内の位置を表す成分に基づいて、前記無線通信機器が鉛直方向を軸方向とする柱体状の領域である予め設定された判定エリア内にあるかを判定することと、前記無線通信機器が前記判定エリア内にあると判定する場合に、前記無線通信機器から発信された識別情報を、受信する識別情報に基づいて認証処理を行う入退管理装置に送信することと、を実行させる。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0011
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0011】
本開示に係る入退管理プログラムは、コンピュータまたはコンピュータシステムに、利用者の通行とともに移動する無線通信機器から発信され、前記無線通信機器が記憶する識別情報を含み、利用者の通行が管理される管理領域の境界の一箇所に設けられた受信機によって受信される無線信号を用いる測距および測角によって、前記無線通信機器の三次元位置を水平面内の位置を表す成分を含むように算出することと、算出した前記無線通信機器の三次元位置のうち水平面内の位置を表す成分に基づいて、前記無線通信機器が鉛直方向を軸方向とする柱体状の領域である予め設定された判定エリア内にあるかを判定することと、前記無線通信機器が前記判定エリア内にあると判定する場合に、前記無線通信機器から発信された識別情報に基づいて認証処理を行うことと、を実行させる。