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2025-33324入退管理装置、入退管理システム、入退管理方法、および入退管理プログラム
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  • -入退管理装置、入退管理システム、入退管理方法、および入退管理プログラム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025033324
(43)【公開日】2025-03-13
(54)【発明の名称】入退管理装置、入退管理システム、入退管理方法、および入退管理プログラム
(51)【国際特許分類】
   G08B 21/22 20060101AFI20250306BHJP
   G08B 21/00 20060101ALI20250306BHJP
   G01S 5/12 20060101ALI20250306BHJP
   E05F 15/77 20150101ALI20250306BHJP
【FI】
G08B21/22
G08B21/00 A
G01S5/12
E05F15/77
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023138969
(22)【出願日】2023-08-29
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-05-10
(71)【出願人】
【識別番号】000236056
【氏名又は名称】三菱電機ビルソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003199
【氏名又は名称】弁理士法人高田・高橋国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】神澤 孝啓
【テーマコード(参考)】
2E052
5C086
5J062
【Fターム(参考)】
2E052AA02
2E052BA04
2E052EC01
2E052GA05
2E052GB01
5C086AA22
5C086AA52
5C086CA06
5C086CA25
5C086CB27
5C086FA06
5C086FA20
5J062BB05
5J062CC14
5J062CC18
(57)【要約】      (修正有)
【課題】施設を通行する利用者同士の衝突が生じる可能性をより抑えられる入退管理装置、入退管理システム、入退管理方法、および入退管理プログラムを提供する。
【解決手段】入退管理システム1において、入退管理装置5の検出部12は、利用者の無線通信機器3から発信され識別情報を含む無線信号に基づいて、判定エリアにいる利用者を識別して検出する。判定エリアは、管理領域の外側において出入口を囲む外側エリアおよびそれに含まれ出入口に面する外側内部エリア、ならびに管理領域の内側において同様に設定される内側エリアおよび内側内部エリアを含む。利用者aが外側エリアで、他の利用者bが内側エリアで検出されるときに、報知部13は第1警報を発報する。第1警報の発報後に利用者aが外側内部エリアで、利用者bが内側内部エリアで検出されるときに、報知部13は、第1警報とは異なる第2警報を発報する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
施設における領域の出入口の一方側を第1側とし、前記出入口の他方側を第2側として、利用者の通行とともに移動する無線通信機器から発信される無線信号に基づいて、前記第1側において前記出入口を囲む第1エリア、前記第1側において前記第1エリアに含まれ前記出入口に面する第1内部エリア、前記第2側において前記出入口を囲む第2エリア、および、前記第2側において前記第2エリアに含まれ前記出入口に面する第2内部エリア、の少なくともいずれかのエリアにいる利用者を、前記無線信号に含まれる識別情報を用いて識別して検出する検出部と、
前記第1エリアにいる第1利用者および前記第2エリアにいる第2利用者を前記検出部が検出するときに、前記第1利用者および前記第2利用者の少なくとも一方に第1警報を発報し、前記第1内部エリアにいる前記第1利用者および前記第2内部エリアにいる前記第2利用者を前記検出部が前記第1警報の発報後に検出するときに、前記第1利用者および前記第2利用者の少なくとも一方に前記第1警報と異なる第2警報を発報する報知部と、
を備える、入退管理装置。
【請求項2】
前記報知部は、前記第1警報の発報後に前記第1利用者が前記出入口を通行せず素通りする場合に、前記第2利用者に通行可能を通知する追加報知を発報し、前記第1警報の発報後に前記第2利用者が前記出入口を通行せず素通りする場合に、前記第1利用者に通行可能を通知する追加報知を発報する、
請求項1に記載の入退管理装置。
【請求項3】
前記報知部は、前記検出部に識別された利用者の情報に基づいて、前記第1警報の内容または対象者の少なくとも一方を変更する、
請求項1または請求項2に記載の入退管理装置。
【請求項4】
前記報知部は、前記第1利用者が優先設定されており前記第2利用者が優先設定されていない場合に、前記第1警報を前記第2利用者に対して発報し、前記第2利用者が優先設定されており前記第1利用者が優先設定されていない場合に、前記第1警報を前記第1利用者に対して発報する、
請求項3に記載の入退管理装置。
【請求項5】
前記報知部は、前記検出部に識別された利用者とともに移動する無線通信機器に搭載されたスピーカが発する音声によって発報を行う、
請求項1または請求項2に記載の入退管理装置。
【請求項6】
前記報知部は、前記検出部に識別された利用者とともに移動する無線通信機器に搭載されたバイブレータの振動によって発報を行う、
請求項1または請求項2に記載の入退管理装置。
【請求項7】
対応する利用者の通行とともに移動し、当該利用者についての識別情報を含む無線信号を発信する複数の無線通信機器と、
施設における領域の出入口の一方側を第1側とし、前記出入口の他方側を第2側として、利用者の通行とともに移動する無線通信機器から発信される無線信号に基づいて、前記第1側において前記出入口を囲む第1エリア、前記第1側において前記第1エリアに含まれ前記出入口に面する第1内部エリア、前記第2側において前記出入口を囲む第2エリア、および、前記第2側において前記第2エリアに含まれ前記出入口に面する第2内部エリア、の少なくともいずれかのエリアにいる利用者を、前記無線信号に含まれる識別情報を用いて識別して検出する検出部と、
前記第1エリアにいる第1利用者および前記第2エリアにいる第2利用者を前記検出部が検出するときに、前記第1利用者および前記第2利用者の少なくとも一方に第1警報を発報し、前記第1内部エリアにいる前記第1利用者および前記第2内部エリアにいる前記第2利用者を前記検出部が前記第1警報の発報後に検出するときに、前記第1利用者および前記第2利用者の少なくとも一方に前記第1警報と異なる第2警報を発報する報知部と、
を備える、入退管理システム。
【請求項8】
コンピュータまたはコンピュータシステムが、
施設における領域の出入口の一方側を第1側とし、前記出入口の他方側を第2側として、利用者の通行とともに移動する無線通信機器から発信される無線信号に基づいて、前記第1側において前記出入口を囲む第1エリア、前記第1側において前記第1エリアに含まれ前記出入口に面する第1内部エリア、前記第2側において前記出入口を囲む第2エリア、および、前記第2側において前記第2エリアに含まれ前記出入口に面する第2内部エリア、の少なくともいずれかのエリアにいる利用者を、前記無線信号に含まれる識別情報を用いて識別して検出することと、
前記第1エリアにいる第1利用者および前記第2エリアにいる第2利用者を検出するときに、前記第1利用者および前記第2利用者の少なくとも一方に第1警報を発報し、前記第1内部エリアにいる前記第1利用者および前記第2内部エリアにいる前記第2利用者を前記第1警報の発報後に検出するときに、前記第1利用者および前記第2利用者の少なくとも一方に前記第1警報と異なる第2警報を発報することと、
を実行する、入退管理方法。
【請求項9】
コンピュータまたはコンピュータシステムに、
施設における領域の出入口の一方側を第1側とし、前記出入口の他方側を第2側として、利用者の通行とともに移動する無線通信機器から発信される無線信号に基づいて、前記第1側において前記出入口を囲む第1エリア、前記第1側において前記第1エリアに含まれ前記出入口に面する第1内部エリア、前記第2側において前記出入口を囲む第2エリア、および、前記第2側において前記第2エリアに含まれ前記出入口に面する第2内部エリア、の少なくともいずれかのエリアにいる利用者を、前記無線信号に含まれる識別情報を用いて識別して検出することと、
前記第1エリアにいる第1利用者および前記第2エリアにいる第2利用者を検出するときに、前記第1利用者および前記第2利用者の少なくとも一方に第1警報を発報し、前記第1内部エリアにいる前記第1利用者および前記第2内部エリアにいる前記第2利用者を前記第1警報の発報後に検出するときに、前記第1利用者および前記第2利用者の少なくとも一方に前記第1警報と異なる第2警報を発報することと、
を実行させる、入退管理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、入退管理装置、入退管理システム、入退管理方法、および入退管理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、衝突防止装置の例を開示する。衝突防止装置は、距離センサと、報知具と、制御部と、を備える。距離センサおよび報知具は、室内外を仕切る開閉自在の扉の両面に設けられる。距離センサは、扉に利用者が近接したことを検知する。報知具は、警告を報知する。制御部は、二つの距離センサから受信する信号のデータを比較し、いずれも所定の範囲内に近接しているときに、距離が近い面の報知具には扉を開ける際の注意を喚起し、距離が遠い面の報知具には扉から離れる旨の注意を喚起するよう出力する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-142110号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の衝突防止装置による注意喚起は、一段階のみで行われる。このため、施設における領域の出入口を通行する利用者が一段階の注意喚起に気が付かない場合などに、利用者同士の衝突が生じる可能性がある。
【0005】
本開示は、このような課題の解決に係るものである。本開示は、施設を通行する利用者同士の衝突が生じる可能性をより抑えられる入退管理装置、入退管理システム、入退管理方法、および入退管理プログラムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る入退管理装置は、施設における領域の出入口の一方側を第1側とし、前記出入口の他方側を第2側として、利用者の通行とともに移動する無線通信機器から発信される無線信号に基づいて、前記第1側において前記出入口を囲む第1エリア、前記第1側において前記第1エリアに含まれ前記出入口に面する第1内部エリア、前記第2側において前記出入口を囲む第2エリア、および、前記第2側において前記第2エリアに含まれ前記出入口に面する第2内部エリア、の少なくともいずれかのエリアにいる利用者を、前記無線信号に含まれる識別情報を用いて識別して検出する検出部と、前記第1エリアにいる第1利用者および前記第2エリアにいる第2利用者を前記検出部が検出するときに、前記第1利用者および前記第2利用者の少なくとも一方に第1警報を発報し、前記第1内部エリアにいる前記第1利用者および前記第2内部エリアにいる前記第2利用者を前記検出部が前記第1警報の発報後に検出するときに、前記第1利用者および前記第2利用者の少なくとも一方に前記第1警報と異なる第2警報を発報する報知部と、を備える。
【0007】
本開示に係る入退管理システムは、対応する利用者の通行とともに移動し、当該利用者についての識別情報を含む無線信号を発信する複数の無線通信機器と、施設における領域の出入口の一方側を第1側とし、前記出入口の他方側を第2側として、利用者の通行とともに移動する無線通信機器から発信される無線信号に基づいて、前記第1側において前記出入口を囲む第1エリア、前記第1側において前記第1エリアに含まれ前記出入口に面する第1内部エリア、前記第2側において前記出入口を囲む第2エリア、および、前記第2側において前記第2エリアに含まれ前記出入口に面する第2内部エリア、の少なくともいずれかのエリアにいる利用者を、前記無線信号に含まれる識別情報を用いて識別して検出する検出部と、前記第1エリアにいる第1利用者および前記第2エリアにいる第2利用者を前記検出部が検出するときに、前記第1利用者および前記第2利用者の少なくとも一方に第1警報を発報し、前記第1内部エリアにいる前記第1利用者および前記第2内部エリアにいる前記第2利用者を前記検出部が前記第1警報の発報後に検出するときに、前記第1利用者および前記第2利用者の少なくとも一方に前記第1警報と異なる第2警報を発報する報知部と、を備える。
【0008】
本開示に係る入退管理方法は、コンピュータまたはコンピュータシステムが、施設における領域の出入口の一方側を第1側とし、前記出入口の他方側を第2側として、利用者の通行とともに移動する無線通信機器から発信される無線信号に基づいて、前記第1側において前記出入口を囲む第1エリア、前記第1側において前記第1エリアに含まれ前記出入口に面する第1内部エリア、前記第2側において前記出入口を囲む第2エリア、および、前記第2側において前記第2エリアに含まれ前記出入口に面する第2内部エリア、の少なくともいずれかのエリアにいる利用者を、前記無線信号に含まれる識別情報を用いて識別して検出することと、前記第1エリアにいる第1利用者および前記第2エリアにいる第2利用者を検出するときに、前記第1利用者および前記第2利用者の少なくとも一方に第1警報を発報し、前記第1内部エリアにいる前記第1利用者および前記第2内部エリアにいる前記第2利用者を前記第1警報の発報後に検出するときに、前記第1利用者および前記第2利用者の少なくとも一方に前記第1警報と異なる第2警報を発報することと、を実行する方法である。
【0009】
本開示に係る入退管理プログラムは、コンピュータまたはコンピュータシステムに、施設における領域の出入口の一方側を第1側とし、前記出入口の他方側を第2側として、利用者の通行とともに移動する無線通信機器から発信される無線信号に基づいて、前記第1側において前記出入口を囲む第1エリア、前記第1側において前記第1エリアに含まれ前記出入口に面する第1内部エリア、前記第2側において前記出入口を囲む第2エリア、および、前記第2側において前記第2エリアに含まれ前記出入口に面する第2内部エリア、の少なくともいずれかのエリアにいる利用者を、前記無線信号に含まれる識別情報を用いて識別して検出することと、前記第1エリアにいる第1利用者および前記第2エリアにいる第2利用者を検出するときに、前記第1利用者および前記第2利用者の少なくとも一方に第1警報を発報し、前記第1内部エリアにいる前記第1利用者および前記第2内部エリアにいる前記第2利用者を前記第1警報の発報後に検出するときに、前記第1利用者および前記第2利用者の少なくとも一方に前記第1警報と異なる第2警報を発報することと、を実行させる。
【発明の効果】
【0010】
本開示に係る入退管理装置、入退管理システム、入退管理方法、または入退管理プログラムによれば、施設を通行する利用者同士の衝突が生じる可能性がより抑えられるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施の形態1に係る入退管理システムの構成図である。
図2】実施の形態1に係る入退管理システムの動作の例を示す状態遷移表である。
図3】実施の形態1に係る入退管理システムの主要部のハードウェア構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本開示の対象を実施するための形態について添付の図面を参照しながら説明する。各図において、同一または相当する部分には同一の符号を付して、重複する説明は適宜に簡略化または省略する。なお、本開示の対象は以下の実施の形態に限定されることなく、本開示の趣旨を逸脱しない範囲において、実施の形態の任意の構成要素の変形、または実施の形態の任意の構成要素の省略が可能である。
【0013】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係る入退管理システム1の構成図である。
【0014】
入退管理システム1は、施設に適用される。施設は、例えば、屋内施設もしくは屋外施設、またはこれらを複合した施設などである。施設は、例えば、1つまたは複数の建物などからなる。施設は、例えば、建物などの一部であってもよい。施設において、管理領域が設定される。管理領域は、施設の内部または外部の予め設定された領域である。管理領域は、施設における領域の例である。入退管理システム1は、管理領域などへの利用者の入退域を管理するシステムである。
【0015】
この例の入退管理システム1において、扉2が管理領域の境界上の出入口に設けられる。管理領域の境界は、管理領域の周縁部の空間および管理領域に隣接する空間などの境界領域を含んでもよい。扉2は、例えば建物の玄関、または建物の内部の部屋の出入口などに設けられる。入退管理システム1において、扉2に代えて、または扉2と共に、セキュリティゲートなどが管理領域の境界上の出入口に設けられていてもよい。
【0016】
管理領域の境界を通行する入退管理システム1の利用者は、例えば無線通信機器3を所持して施設を通行する。管理領域の境界を通行可能な利用者は、例えば管理領域への入退域が許可されている人物または自律移動体などである。無線通信機器3は、例えば、当該無線通信機器3を所持する利用者などに対応する。無線通信機器3は、対応する利用者の通行とともに施設内を移動する。無線通信機器3は、例えば、利用者が所持するスマートフォンまたは利用者が装着するスマートウォッチなどの可搬な汎用の情報処理機器などであってもよいし、利用者が所持する無線タグなどの入退管理システム1の専用機器であってもよい。無線通信機器3は、例えば利用者が自律移動体である場合などに、自律移動体に内蔵される無線通信モジュールなどであってもよい。無線通信機器3は、無線信号を通信する機能を搭載する。無線通信機器3は、自身を識別する識別情報または自身とともに通行する利用者などを識別する識別情報を記憶する。識別情報は、例えば、入退管理システム1において無線通信機器3または利用者などに付与される固有のID(IDentifier)などである。無線通信機器3は、記憶している識別情報を含む無線信号を発信する。無線信号は、例えば、UWB(Ultra Wide Band)、またはその他の規格などの信号である。
【0017】
入退管理システム1は、1つ以上の通行判定装置4と、入退管理装置5と、を備える。各々の通行判定装置4および入退管理装置5は、通信ネットワーク6を通じて通信しうるように接続される。通信ネットワーク6は、例えば、施設内のLAN(Local Area Network)などの局所的なネットワークであってもよいし、インターネットまたは電話回線網などの広域なネットワークであってもよい。
【0018】
各々の通行判定装置4は、管理領域の境界に設けられる。この例において、入退管理システム1は、管理領域の出入口に対して2つの通行判定装置4を備える。一方の通行判定装置4は、管理領域の内部および外部を隔てる壁面において、管理領域の外側で当該出入口に隣接するように設けられる。他方の通行判定装置4は、当該壁面において、管理領域の内側で当該出入口に隣接するように設けられる。各々の通行判定装置4は、例えば、UWBアンカーなどである。各々の通行判定装置4は、受信機7と、記憶部8と、算出部9と、判定部10と、通信部11と、を備える。
【0019】
受信機7は、通行判定装置4に内蔵される。受信機7は、無線通信機器3が発信する無線信号を受信する機能を搭載する。単一の受信機7は、管理領域の境界の一箇所に、通行判定装置4の内部装置として設けられる。受信機7は、1つ以上のアンテナを含む。この例において、受信機7は、複数のアンテナを含む。
【0020】
記憶部8は、情報を記憶する機能を搭載する部分である。記憶部8は、例えば、判定エリアの情報などを記憶する。判定エリアは、利用者の通行が検出されたかを判定する予め設定された領域である。判定エリアは、例えば、管理領域の出入口に対して設定される。この例において、判定エリアは、三次元的な領域である。判定エリアは、例えば、通行判定装置4が隣接するように設けられた管理領域の出入口に通じる領域である。判定エリアは、例えば、通行判定装置4を基準とする相対的な位置などによって設定される。判定エリアの形状は、例えば、複数種類の形状から選択することによって設定されるものであってもよい。
【0021】
判定エリアは、複数のエリアを含んでもよい。この例において、管理領域の外側に設けられた通行判定装置4の記憶部8は、判定エリアの情報として外側エリアおよび外側内部エリアの情報を記憶する。また、管理領域の内側に設けられた通行判定装置4の記憶部8は、判定エリアの情報として内側エリアおよび内側内部エリアの情報を記憶する。外側エリアは、管理領域の外側において出入口を囲うエリアである。外側内部エリアは、管理領域の外側において外側エリアに含まれ出入口に面するエリアである。内側エリアは、管理領域の内側において出入口を囲うエリアである。内側内部エリアは、管理領域の内側において内側エリアに含まれ出入口に面するエリアである。この例において、外側エリア、外側内部エリア、内側エリア、および内側内部エリアを含む各々のエリアの形状は、例えば、鉛直方向を軸方向とする柱体状に設定される。各々のエリアの形状は、例えば直方体、すなわち底面が矩形状である四角柱状に設定されてもよい。各々のエリアの形状は、例えば底面が円形状または扇形状である柱体状に設定されてもよい。各々のエリアの形状は、例えば球体状または半球体状などに設定されてもよい。この例において、各々のエリアの形状は、直方体状に設定される。外側エリアおよび内側エリアの幅または奥行きは、例えば、2mから4m程度に設定される。外側内部エリアおよび内側内部エリアの幅または奥行きは、例えば、1m程度に設定される。
【0022】
ここで、管理領域の外側および内側の一方は、出入口の第1側の例である。管理領域の外側および内側の他方は、出入口の第2側の例である。外側エリアおよび内側エリアのうち、第1側に設定されるエリアは、第1エリアの例である。外側エリアおよび内側エリアのうち、第2側に設定されるエリアは、第2エリアの例である。外側内部エリアおよび内側内部エリアのうち、第1側に設定されるエリアは、第1内部エリアの例である。外側内部エリアおよび内側内部エリアのうち、第2側に設定されるエリアは、第2内部エリアの例である。
【0023】
算出部9は、無線通信機器3の三次元位置を算出する機能を搭載する部分である。算出部9は、例えば、受信機7が受信した無線信号を用いる測距および測角によって、当該無線信号を発信した無線通信機器3の三次元位置を算出する。無線通信機器3の三次元位置は、例えば、通行判定装置4を基準とした相対座標などによって表される。この例において、無線通信機器3の三次元位置は、例えば、デカルト座標系などの三次元直交座標系の座標(x,y,z)などによって表される。なお、無線通信機器3の三次元位置は、例えば、極座標系などの三次元直交曲線座標系の座標(r,θ,φ)などによって表されてもよい。
【0024】
算出部9は、例えば、受信機7が受信した無線信号の信号強度を用いる測距の手法などに基づいて、当該無線信号を発信した無線通信機器3と通行判定装置4との間の距離情報を取得する。信号強度は、例えばRSSI値(RSSI:Received Signal Strength Indicator)などである。あるいは、算出部9は、例えばToF法(ToF:Time of Flight)などの測距の手法によって、無線信号を発信した無線通信機器3と通行判定装置4との間の距離情報を取得してもよい。このとき、算出部9は、無線通信機器3と時刻同期を取ることで無線信号の片道の伝播時間を用いて測距を行ってもよいし、無線通信機器3と無線信号を送受信することで往復に要する無線信号の伝播時間を用いて測距を行ってもよい。ここで、無線通信機器3が発信する無線信号は、例えば、通行判定装置4が無線信号により管理領域の出入口の周辺に発信する質問信号に対する応答信号などであってもよい。
【0025】
算出部9は、例えば、受信機7が受信した無線信号を用いる測角の手法などに基づいて、当該無線信号を発信した無線通信機器3の通行判定装置4を基準とした角度情報を取得する。算出部9は、例えばPDoA法(PDoA:Phase Difference of Arrival)などの測角の手法によって、無線通信機器3からの無線信号の到来方向、すなわち無線通信機器3の角度情報を取得してもよい。算出部9は、受信機7に搭載された複数のアンテナで受信する無線信号の位相差によって、当該無線信号の到来方向を取得する。なお、例えば無線通信機器3が複数のアンテナから複数の無線信号を同時に発信する場合などに、算出部9は、受信機7に搭載された単一のアンテナで受信する複数の無線信号の間の位相差などによって、当該複数の無線信号の到来方向を取得してもよい。
【0026】
判定部10は、無線通信機器3が判定エリア内にあるか否かを判定する機能を搭載する部分である。判定部10は、例えば、算出部9が算出した無線通信機器3の三次元位置に基づいて、記憶部8が記憶する判定エリアの情報との比較などによって当該判定を行う。この例において、管理領域の外側に設けられた通行判定装置4の判定部10は、無線通信機器3が外側エリアおよび外側内部エリアにあるか否かを判定する。また、管理領域の内側に設けられた通行判定装置4の判定部10は、無線通信機器3が内側エリアおよび内側内部エリアにあるか否かを判定する。
【0027】
通信部11は、無線通信機器3から発信された識別情報を、通信ネットワーク6などを通じて入退管理装置5に送信する機能を搭載する部分である。通信部11は、無線通信機器3が判定エリア内にあるか否かの判定部10による判定結果に基づいて、識別情報の入退管理装置5への送信を制御する。この例において、管理領域の外側に設けられた通行判定装置4の通信部11は、無線通信機器3が外側エリアまたは外側内部エリア内にあると判定している間、当該無線通信機器3から発信された識別情報を入退管理装置5に継続して送信する。また、管理領域の内側に設けられた通行判定装置4の通信部11は、無線通信機器3が内側エリアまたは内側内部エリア内にあると判定している間、当該無線通信機器3から発信された識別情報を入退管理装置5に継続して送信する。通信部11は、識別情報とともに無線通信機器3の三次元位置の情報を入退管理装置5に送信してもよい。また、通信部11は、識別情報とともに、無線通信機器3の三次元位置が含まれると判定された判定エリアを特定する情報を入退管理装置5に送信してもよい。判定エリアを特定する情報は、例えば、外側エリア、外側内部エリア、内側エリア、および内側内部エリアのいずれに無線通信機器3があるかを特定する情報などを含む。一方、通信部11は、無線通信機器3がいずれの判定エリア内にもないと判定される場合に、当該無線通信機器3から発信された識別情報を入退管理装置5に送信しなくてもよい。
【0028】
入退管理装置5は、管理領域の境界の通行を試みる利用者の入退域の管理を行う装置である。利用者の入退域の管理は、例えば、当該利用者の識別情報または当該利用者とともに移動する無線通信機器3の識別情報などに基づいて行われる。入退管理装置5は、入退管理システム1において、上位の制御装置として機能する。入退管理装置5は、例えば1つまたは複数のサーバコンピュータなどによって構成される。入退管理装置5の一部または全部は、施設に設けられていてもよいし、施設外に設けられていてもよい。入退管理装置5の一部または全部の機能は、クラウドサービス上の処理または記憶のリソースなどによって実装されていてもよい。入退管理装置5は、検出部12と、報知部13と、を備える。
【0029】
検出部12は、いずれかの判定エリアにいる利用者を識別して検出する部分である。検出部12は、通行判定装置4の判定部10による判定結果を用いて、判定エリアにいる利用者を識別して検出する。すなわち、検出部12による利用者の検出は、無線通信機器3が発信する無線信号に基づいて行われる。検出部12は、例えば、外側エリア、外側内部エリア、内側エリア、および内側内部エリアの少なくともいずれかにいる利用者を、当該利用者とともに移動する無線通信機器3が発信する無線信号に基づいて識別して検出する。検出部12による利用者の識別は、当該無線信号に含まれる識別情報に基づいて行われる。
【0030】
報知部13は、利用者に対する発報の処理を行う部分である。報知部13は、例えば、利用者に対して報知を行う報知器に発報内容を表す情報を出力することにより、当該報知器を通じて利用者への発報を行う。報知器は、例えば、利用者とともに移動する無線通信機器3に搭載される。報知部13は、例えば、検出部12が識別した識別情報などに基づいて、報知内容を出力する報知器を特定する。報知器は、例えば、無線通信機器3に搭載され音声によって報知を行うスピーカなどである。または、報知機は、例えば、無線通信機器3に搭載され振動によって報知を行うバイブレータなどである。
【0031】
報知部13は、外側エリアにいる利用者である入域者および内側エリアにいる利用者である退域者を検出部12が検出するときに、入域者および退域者の少なくとも一方に第1警報を発報する。第1警報は、例えば、出入口の通行を待機するように注意喚起する警報などである。報知部13は、第1警報の発報後、外側内部エリアにいる入域者および内側内部エリアにいる退域者を検出部12が検出するときに、入域者および退域者の少なくとも一方に第2警報を発報する。第2警報は、第1警報とは異なる内容または態様の警報である。例えば、第1警報が音声または振動の一方による警報であるときに、第2警報は、音声または振動の他方による警報であってもよいし、音声または振動の両方による警報であってもよい。また、第1警報および第2警報は、ともに音声による警報であってもよい。このとき、第1警報の音声および第2警報の音声は、互いに異なる内容を表すものであってもよい。また、第1警報および第2警報は、ともに振動による警報であってもよい。このとき、第1警報の振動および第2警報の振動は、互いに異なる振動パターンなどであってもよい。
【0032】
報知部13は、検出部12に識別された利用者の情報に基づいて、第1警報の内容または対象者の少なくとも一方を変更する。この例において、入退管理システム1において、一部の利用者に対して出入口を優先して通行できる優先設定が予め適用される。優先設定は、例えば、利用者の識別情報、所属、または属性などに基づいて適用される。例えば、入退管理システム1において、優先されるべき特定の利用者に対して、当該利用者の識別情報に基づいて優先設定が適用される。例えば、入退管理システム1において、優先されるべき特定の組織またはVIP(Very Important Person)などのグループに含まれる利用者に対して、当該利用者の所属に基づいて優先設定が適用される。例えば、入退管理システム1において、車椅子を使用する利用者に対して、「車椅子使用者」などの当該利用者の属性に基づいて優先設定が適用される。報知部13は、例えば、利用者の識別情報、所属、または属性などに基づいて、検出された利用者が優先設定されているかを判定する。報知部13は、例えば、入域者および退域者のうちいずれか一方のみが優先設定されている場合に、優先設定されている利用者の通行を優先させるように、優先設定されていない利用者を対象者として第1警報を発報する。このとき、報知部13は、第1警報の対象者となる一方の利用者に対して、他方の利用者に優先設定されている旨を通知するように第1警報の内容を変更してもよい。なお、入退管理システム1において、優先設定されている利用者の間で優先度の強弱が設定されていてもよい。このとき、報知部13は、より強い優先度の優先設定が適用された利用者の通行がより優先されるように、第1警報の内容または対象者の少なくとも一方を変更する。
【0033】
続いて、図2を用いて、入退管理システム1の動作の例を説明する。
図2は、実施の形態1に係る入退管理システム1の動作の例を示す状態遷移表である。
【0034】
入退管理装置5は、状態A、状態B、状態C、状態D、状態E、状態F、および状態Gを含む複数の状態の間を遷移する。状態Aは、いずれの判定エリアにおいても利用者が検出されていない初期状態を表す。状態Bは、管理領域の内側の判定エリアにおいて退域者が検出された状態を表す。状態Cは、管理領域の外側の判定エリアにおいて入域者が検出された状態を表す。状態Dは、退域者を対象者として第1警報が発報された後の状態を表す。状態Eは、入域者を対象者として第1警報が発報された後の状態を表す。状態Fは、退域者が扉2に接近した状態を表す。状態Gは、入域者が扉2に接近した状態を表す。状態遷移表において、記号「-」は、何も動作しないことを表す。状態遷移表において、各状態で斜線が引かれたイベントは、当該状態において発生しないイベントを表す。
【0035】
第1の例として、優先設定されていない入域者が外側エリアから出入口に向かって管理領域に入域しようとするときに、優先設定されていない退域者が入域者の検出の後に内側エリアで検出される場合の入退管理システム1の動作を説明する。
【0036】
初期状態である状態Aにおいて、検出部12は、外側エリアで入域者を検出する。その後、入退管理システム1の状態は、状態Cに遷移する。
【0037】
状態Cにおいて、検出部12は、内側エリアで退域者を検出する。報知部13は、検出部12に識別された入域者および退域者の情報に基づいて、退域者に優先設定されており、かつ、入域者に優先設定がされていない条件が満たされるかを判定する。この例において、入域者および退域者のいずれにも優先設定は適用されていないので、報知部13は、入域者より後に検出された退域者を対象者とし、第1警報を発報する。第1警報を受けた退域者は、出入口に接近せずに、扉2が開いて入域者が通過するまで待機する。警報を受けていない入域者は、管理領域の出入口に向かう。その後、入退管理システム1の状態は、状態Dに遷移する。
【0038】
状態Dにおいて、検出部12は、外側内部エリアで入域者を検出する。その後、入退管理システム1の状態は、状態Gに遷移する。
【0039】
入退管理システム1の状態が状態Gにあるときに、入域者は、外側内部エリアから出入口を通行して管理領域に入域する。入域者が出入口を通行して管理領域に入域した後、検出部12は、入域者を検出しない。検出部12が入域者を不検出としたときに、入退管理システム1の状態は、状態Bに遷移する。
【0040】
入退管理システム1の状態が状態Bにあるときに、退域者は、内側内部エリアから出入口を通行して管理領域から退域する。退域者が出入口を通行して管理領域から退域した後、検出部12は、退域者を検出しない。検出部12が退域者を不検出としたときに、入退管理システム1の状態は、状態Aに遷移する。
【0041】
第2の例として、優先設定されていない入域者が外側内部エリアから管理領域に入域するように出入口を通行しているときに、優先設定されていない退域者が入域者の検出の後に内側エリアで検出される場合の入退管理システム1の動作を説明する。
【0042】
初期状態である状態Aにおいて、検出部12は、外側エリアで入域者を検出する。その後、入退管理システム1の状態は、状態Cに遷移する。
【0043】
状態Cにおいて、検出部12は、外側内部エリアで入域者を検出する。その後、検出部12は、内側エリアで退域者を検出する。報知部13は、検出部12に識別された入域者および退域者の情報に基づいて、退域者に優先設定されており、かつ、入域者に優先設定がされていない条件が満たされるかを判定する。この例において、入域者および退域者のいずれにも優先設定は適用されていないので、報知部13は、入域者より後に検出された退域者を対象者とし、第1警報を発報する。第1警報を受けた退域者は、出入口に接近せずに、扉2が開いて入域者が通過するまで待機する。警報を受けていない入域者は、出入口の通行を継続する。その後、入退管理システム1の状態は、状態Dに遷移する。
【0044】
入退管理システム1の状態が状態Dにあるときに、入域者は、外側内部エリアから出入口を通行して管理領域に入域する。入域者が出入口を通行して管理領域に入域した後、検出部12は、入域者を検出しない。検出部12が入域者を不検出としたときに、報知部13は、退域者を対象者とし、通行可能を通知する追加報知を発報する。追加報知は、例えば退域者とともに移動する無線通信機器3を通じて、音声または振動などによって報知される。その後、入退管理システム1の状態は、状態Bに遷移する。
【0045】
入退管理システム1の状態が状態Bにあるときに、退域者は、内側内部エリアから出入口を通行して管理領域から退域する。退域者が出入口を通行して管理領域から退域した後、検出部12は、退域者を検出しない。検出部12が退域者を不検出としたときに、入退管理システム1の状態は、状態Aに遷移する。
【0046】
第3の例として、優先設定されていない入域者が外側エリアから出入口に向かって管理領域に入域しようとするときに、優先設定された退域者が入域者の検出の後に内側エリアで検出される場合の入退管理システム1の動作を説明する。
【0047】
初期状態である状態Aにおいて、検出部12は、外側エリアで入域者を検出する。その後、入退管理システム1の状態は、状態Cに遷移する。
【0048】
状態Cにおいて、検出部12は、内側エリアで退域者を検出する。報知部13は、検出部12に識別された入域者および退域者の情報に基づいて、退域者に優先設定されており、かつ、入域者に優先設定がされていない条件が満たされるかを判定する。この例において、退域者にのみ優先設定が適用されているので退域者を優先しうるように、報知部13は、入域者を対象者とし第1警報を発報する。第1警報を受けた入域者は、出入口に接近せずに、扉2が開いて退域者が通過するまで待機する。警報を受けていない退域者は、管理領域の出入口に向かう。その後、入退管理システム1の状態は、状態Eに遷移する。
【0049】
状態Eにおいて、検出部12は、内側内部エリアで退域者を検出する。その後、入退管理システム1の状態は、状態Fに遷移する。
【0050】
入退管理システム1の状態が状態Fにあるときに、退域者は、内側内部エリアから出入口を通行して管理領域から退域する。退域者が出入口を通行して管理領域から退域した後、検出部12は、退域者を検出しない。検出部12が退域者を不検出としたときに、入退管理システム1の状態は、状態Cに遷移する。
【0051】
入退管理システム1の状態が状態Cにあるときに、入域者は、外側内部エリアから出入口を通行して管理領域に入域する。入域者が出入口を通行して管理領域に入域した後、検出部12は、入域者を検出しない。検出部12が入域者を不検出としたときに、入退管理システム1の状態は、状態Aに遷移する。
【0052】
第4の例として、優先設定されていない退域者に第1警報が発報された後、優先設定されていない入域者および退域者の双方が出入口を通行しようとする場合の入退管理システム1の動作を説明する。
【0053】
初期状態である状態Aにおいて、検出部12は、外側エリアで入域者を検出する。その後、入退管理システム1の状態は、状態Cに遷移する。
【0054】
状態Cにおいて、検出部12は、内側エリアで退域者を検出する。報知部13は、検出部12に識別された入域者および退域者の情報に基づいて、退域者に優先設定されており、かつ、入域者に優先設定がされていない条件が満たされるかを判定する。この例において、入域者および退域者のいずれにも優先設定は適用されていないので、報知部13は、入域者より後に検出された退域者を対象者とし、第1警報を発報する。警報を受けていない入域者は、管理領域の出入口に向かう。例えば警報に気づかなかった場合などに、退域者は、第1警報を受けたにも関わらず、待機せずに管理領域の出入口に向かう。その後、入退管理システム1の状態は、状態Dに遷移する。
【0055】
状態Dにおいて、検出部12は、外側内部エリアで入域者を検出する。その後、入退管理システム1の状態は、状態Gに遷移する。
【0056】
状態Gにおいて、検出部12は、内側内部エリアで退域者を検出する。このように、外側内部エリアで入域者が検出され、かつ、内側内部エリアで退域者が検出される場合に、報知部13は、入域者および退域者の双方を対象者として第2警報を発報する。このとき、報知部13は、第2警報が発報済であるか否かを判定した上で、未発報の場合に第2警報を発報してもよい。報知部13は、外側内部エリアで入域者が検出され、かつ、内側内部エリアで退域者が検出される条件が解消されるまで、第2警報の発報を継続してもよい。
【0057】
第5の例として、管理領域の外側で優先設定されていない利用者が出入口の前を素通りするように外側エリアを通行しているときに、当該利用者の検出の後に優先設定されていない退域者が内側エリアで検出される場合の入退管理システム1の動作を説明する。
【0058】
初期状態である状態Aにおいて、検出部12は、外側エリアを素通りする利用者を入域者とみなして検出する。その後、入退管理システム1の状態は、状態Cに遷移する。
【0059】
状態Cにおいて、検出部12は、内側エリアで退域者を検出する。報知部13は、検出部12に識別された入域者および退域者の情報に基づいて、退域者に優先設定されており、かつ、入域者に優先設定がされていない条件が満たされるかを判定する。この例において、入域者および退域者のいずれにも優先設定は適用されていないので、報知部13は、入域者より後に検出された退域者を対象者とし、第1警報を発報する。第1警報を受けた退域者は、出入口に接近せずに、扉2が開いて入域者が通過するまで待機する。入域者とみなされた利用者は、外側エリアを通行して出入口の素通りを継続する。その後、入退管理システム1の状態は、状態Dに遷移する。
【0060】
入退管理システム1の状態が状態Dにあるときに、入域者とみなされた利用者が出入口を素通りして外側エリアから出た後、検出部12は、当該利用者を検出しない。検出部12が入域者とみなされた利用者を不検出としたときに、報知部13は、退域者を対象者とし、通行可能を通知する追加報知を発報する。追加報知は、例えば退域者とともに移動する無線通信機器3を通じて、音声または振動などによって報知される。その後、入退管理システム1の状態は、状態Bに遷移する。
【0061】
入退管理システム1の状態が状態Bにあるときに、退域者は、内側内部エリアから出入口を通行して管理領域から退域する。退域者が出入口を通行して管理領域から退域した後、検出部12は、退域者を検出しない。検出部12が退域者を不検出としたときに、入退管理システム1の状態は、状態Aに遷移する。
【0062】
なお、以上の例で入域者および退域者の通行順などが逆の場合においても、入退管理システム1は図2の状態遷移表に従って同様に動作する。
【0063】
以上に説明したように、実施の形態1に係る入退管理システム1は、複数の無線通信機器3と、入退管理装置5と、を備える。各々の無線通信機器3は、対応する利用者の通行とともに移動する。各々の無線通信機器3は、対応する利用者についての識別情報を含む無線信号を発信する。入退管理装置5は、検出部12と、報知部13と、を備える。検出部12は、無線通信機器3から発信される無線信号に基づいて、いずれかの判定エリアにいる利用者を、無線信号に含まれる識別情報を用いて識別して検出する。判定エリアは、管理領域の出入口の外側において出入口を囲む外側エリア、出入口の外側において外側エリアに含まれ出入口に面する外側内部エリア、管理領域の出入口の内側において出入口を囲む内側エリア、および出入口の内側において内側エリアに含まれ出入口に面する内側内部エリアを含む。ある利用者aを外側エリアで、かつ、他の利用者bを内側エリアで検出部12が検出するときに、報知部13は、少なくとも一方の利用者に第1警報を発報する。当該利用者aを外側内部エリアで、かつ、当該利用者bを内側内部エリアで検出部12が第1警報の発報後に検出するときに、報知部13は、少なくとも一方の利用者に第1警報とは異なる第2警報を発報する。
【0064】
このような構成により、出入口の両側を通行する利用者に対して二段階で警報が報知されるため、利用者同士の衝突が生じる可能性をより抑えられるようになる。また、個々の利用者は識別情報によって識別されているため、出入口に面する外側内部エリアおよび内側内部エリアでの検出によって、出入口への接近および出入口の通行がより精度よく判定される。これにより、警報の発報がより適切なタイミングで行われるようになる。
【0065】
また、報知部13は、第1警報の発報後に、出入口の一方側で検出された利用者が出入口を通行せず素通りする場合に、出入口の他方側の利用者に通行可能を通知する追加報知を発報する。これにより、第1警報を受けて待機していた利用者は、他の利用者が出入口の前を素通りしたと判定された時点で出入口を通行できるようになる。これにより、利用者の不要な待ち時間が削減され、利用者の利便性がより高められる。
【0066】
また、報知部13は、検出部12に識別された利用者の情報に基づいて、第1警報の内容または対象者の少なくとも一方を変更する。これにより、通行する利用者に応じて、より適切な方法で警報が行われるようになる。報知部13は、例えば、利用者の情報に基づいて、第1警報の言語などを変更してもよい。
【0067】
また、報知部13は、出入口の一方側で検出された利用者が優先設定されており、出入口の他方側で検出された利用者が優先設定されていない場合に、優先設定されていない方の利用者を対象者として第1警報を発報する。これにより、通行される利用者の属性その他の情報などによって、優先されるべき利用者を優先させて通行させることができるようになる。これにより、利用者の利便性がより高められる。
【0068】
また、報知部13は、検出部12に識別された利用者とともに移動する無線通信機器3に搭載されたスピーカが発する音声によって発報を行う。また、報知部13は、検出部12に識別された利用者とともに移動する無線通信機器3に搭載されたバイブレータの振動によって発報を行う。これにより、出入口の周囲にスピーカなどを設ける必要がないため、入退管理システム1の導入などがより容易になる。また、利用者自身が所持などする無線通信機器3を通じて報知が行われるため、警報の対象者がより明確になる。これにより、利用者が警報に気づきやすくなる。
【0069】
なお、入退管理システム1において、無線通信機器3の三次元位置は、測距および測角の一方のみを用いて算出されてもよい。例えば、出入口の一方側において複数のUWBアンカーが設けられる場合などに、当該複数のUWBアンカーで取得された測距の情報などによって無線通信機器3の三次元位置が算出されてもよい。入退管理システム1において、無線通信機器3の三次元位置は、その他の方法によって算出されてもよい。
【0070】
また、通行判定装置4は、壁面に設けられていなくてもよい。例えば、通行判定装置4は、管理領域に隣接する空間の天井などに設けられていてもよい。また、通行判定装置4は、例えば、セキュリティゲートの付近に立てられたポール上などに設けられていてもよい。
【0071】
また、入退管理システム1は、施設における複数の管理領域についての入退域を管理してもよい。入退管理システム1において、単一の管理領域に対して、例えば当該管理領域の複数の出入口などに対応する複数の通行判定装置4が設けられていてもよい。
【0072】
また、入退管理システム1において、入退管理装置5の機能の一部または全部は、通行判定装置4に搭載されていてもよい。通行判定装置4の機能の一部は、入退管理装置5に搭載されていてもよい。
【0073】
続いて、図3を用いて、入退管理システム1のハードウェア構成の例について説明する。
図3は、実施の形態1に係る入退管理システム1の主要部のハードウェア構成図である。
【0074】
入退管理システム1の各機能は、処理回路により実現し得る。処理回路は、少なくとも1つのプロセッサ100aと少なくとも1つのメモリ100bとを備える。処理回路は、プロセッサ100aおよびメモリ100bと共に、あるいはそれらの代用として、少なくとも1つの専用ハードウェア200を備えてもよい。処理回路は、例えば、入退管理システム1を構成する機器または装置などに搭載される。
【0075】
処理回路がプロセッサ100aとメモリ100bとを備える場合、入退管理システム1の各機能は、ソフトウェア、ファームウェア、またはソフトウェアとファームウェアとの組み合わせで実現される。ソフトウェアおよびファームウェアの少なくとも一方は、プログラムとして記述される。そのプログラムはメモリ100bに格納される。プロセッサ100aは、メモリ100bに記憶されたプログラムを読み出して実行することにより、入退管理システム1の各機能を実現する。入退管理システム1の各機能を実現するプログラムは、複数のコンピュータなどにそれぞれ適用される複数のソフトウェアを含む、ソフトウェアパッケージなどであってもよい。
【0076】
プロセッサ100aは、CPU(Central Processing Unit)、処理装置、演算装置、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、DSPともいう。メモリ100bは、例えば、RAM、ROM、フラッシュメモリ、EPROM、EEPROMなどの、不揮発性または揮発性の半導体メモリなどにより構成される。
【0077】
処理回路が専用ハードウェア200を備える場合、処理回路は、例えば、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ASIC、FPGA、またはこれらの組み合わせで実現される。
【0078】
入退管理システム1の各機能は、それぞれ処理回路で実現することができる。あるいは、入退管理システム1の各機能は、まとめて処理回路で実現することもできる。入退管理システム1の各機能について、一部を専用ハードウェア200で実現し、他部をソフトウェアまたはファームウェアで実現してもよい。このように、処理回路は、専用ハードウェア200、ソフトウェア、ファームウェア、またはこれらの組み合わせで入退管理システム1の各機能を実現する。
【0079】
以上の説明をまとめると、本開示に係る技術の取りうる構成は、以下に付記として示す各構成などを含む。
(付記1)
施設における領域の出入口の一方側を第1側とし、前記出入口の他方側を第2側として、利用者の通行とともに移動する無線通信機器から発信される無線信号に基づいて、前記第1側において前記出入口を囲む第1エリア、前記第1側において前記第1エリアに含まれ前記出入口に面する第1内部エリア、前記第2側において前記出入口を囲む第2エリア、および、前記第2側において前記第2エリアに含まれ前記出入口に面する第2内部エリア、の少なくともいずれかのエリアにいる利用者を、前記無線信号に含まれる識別情報を用いて識別して検出する検出部と、
前記第1エリアにいる第1利用者および前記第2エリアにいる第2利用者を前記検出部が検出するときに、前記第1利用者および前記第2利用者の少なくとも一方に第1警報を発報し、前記第1内部エリアにいる前記第1利用者および前記第2内部エリアにいる前記第2利用者を前記検出部が前記第1警報の発報後に検出するときに、前記第1利用者および前記第2利用者の少なくとも一方に前記第1警報と異なる第2警報を発報する報知部と、
を備える、入退管理装置。
(付記2)
前記報知部は、前記第1警報の発報後に前記第1利用者が前記出入口を通行せず素通りする場合に、前記第2利用者に通行可能を通知する追加報知を発報し、前記第1警報の発報後に前記第2利用者が前記出入口を通行せず素通りする場合に、前記第1利用者に通行可能を通知する追加報知を発報する、
付記1に記載の入退管理装置。
(付記3)
前記報知部は、前記検出部に識別された利用者の情報に基づいて、前記第1警報の内容または対象者の少なくとも一方を変更する、
付記1または付記2に記載の入退管理装置。
(付記4)
前記報知部は、前記第1利用者が優先設定されており前記第2利用者が優先設定されていない場合に、前記第1警報を前記第2利用者に対して発報し、前記第2利用者が優先設定されており前記第1利用者が優先設定されていない場合に、前記第1警報を前記第1利用者に対して発報する、
付記3に記載の入退管理装置。
(付記5)
前記報知部は、前記検出部に識別された利用者とともに移動する無線通信機器に搭載されたスピーカが発する音声によって発報を行う、
付記1から付記4のいずれか一項に記載の入退管理装置。
(付記6)
前記報知部は、前記検出部に識別された利用者とともに移動する無線通信機器に搭載されたバイブレータの振動によって発報を行う、
付記1から付記4のいずれか一項に記載の入退管理装置。
(付記7)
対応する利用者の通行とともに移動し、当該利用者についての識別情報を含む無線信号を発信する複数の無線通信機器と、
施設における領域の出入口の一方側を第1側とし、前記出入口の他方側を第2側として、利用者の通行とともに移動する無線通信機器から発信される無線信号に基づいて、前記第1側において前記出入口を囲む第1エリア、前記第1側において前記第1エリアに含まれ前記出入口に面する第1内部エリア、前記第2側において前記出入口を囲む第2エリア、および、前記第2側において前記第2エリアに含まれ前記出入口に面する第2内部エリア、の少なくともいずれかのエリアにいる利用者を、前記無線信号に含まれる識別情報を用いて識別して検出する検出部と、
前記第1エリアにいる第1利用者および前記第2エリアにいる第2利用者を前記検出部が検出するときに、前記第1利用者および前記第2利用者の少なくとも一方に第1警報を発報し、前記第1内部エリアにいる前記第1利用者および前記第2内部エリアにいる前記第2利用者を前記検出部が前記第1警報の発報後に検出するときに、前記第1利用者および前記第2利用者の少なくとも一方に前記第1警報と異なる第2警報を発報する報知部と、
を備える、入退管理システム。
(付記8)
コンピュータまたはコンピュータシステムが、
施設における領域の出入口の一方側を第1側とし、前記出入口の他方側を第2側として、利用者の通行とともに移動する無線通信機器から発信される無線信号に基づいて、前記第1側において前記出入口を囲む第1エリア、前記第1側において前記第1エリアに含まれ前記出入口に面する第1内部エリア、前記第2側において前記出入口を囲む第2エリア、および、前記第2側において前記第2エリアに含まれ前記出入口に面する第2内部エリア、の少なくともいずれかのエリアにいる利用者を、前記無線信号に含まれる識別情報を用いて識別して検出することと、
前記第1エリアにいる第1利用者および前記第2エリアにいる第2利用者を検出するときに、前記第1利用者および前記第2利用者の少なくとも一方に第1警報を発報し、前記第1内部エリアにいる前記第1利用者および前記第2内部エリアにいる前記第2利用者を前記第1警報の発報後に検出するときに、前記第1利用者および前記第2利用者の少なくとも一方に前記第1警報と異なる第2警報を発報することと、
を実行する、入退管理方法。
(付記9)
コンピュータまたはコンピュータシステムに、
施設における領域の出入口の一方側を第1側とし、前記出入口の他方側を第2側として、利用者の通行とともに移動する無線通信機器から発信される無線信号に基づいて、前記第1側において前記出入口を囲む第1エリア、前記第1側において前記第1エリアに含まれ前記出入口に面する第1内部エリア、前記第2側において前記出入口を囲む第2エリア、および、前記第2側において前記第2エリアに含まれ前記出入口に面する第2内部エリア、の少なくともいずれかのエリアにいる利用者を、前記無線信号に含まれる識別情報を用いて識別して検出することと、
前記第1エリアにいる第1利用者および前記第2エリアにいる第2利用者を検出するときに、前記第1利用者および前記第2利用者の少なくとも一方に第1警報を発報し、前記第1内部エリアにいる前記第1利用者および前記第2内部エリアにいる前記第2利用者を前記第1警報の発報後に検出するときに、前記第1利用者および前記第2利用者の少なくとも一方に前記第1警報と異なる第2警報を発報することと、
を実行させる、入退管理プログラム。
【符号の説明】
【0080】
1 入退管理システム、 2 扉、 3 無線通信機器、 4 通行判定装置、 5 入退管理装置、 6 通信ネットワーク、 7 受信機、 8 記憶部、 9 算出部、 10 判定部、 11 通信部、 12 検出部、 13 報知部、 100a プロセッサ、 100b メモリ、 200 専用ハードウェア
図1
図2
図3