(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025033363
(43)【公開日】2025-03-13
(54)【発明の名称】開放扉選定システム及び開放扉選定方法
(51)【国際特許分類】
F24F 7/007 20060101AFI20250306BHJP
F24F 11/64 20180101ALI20250306BHJP
F24F 11/70 20180101ALI20250306BHJP
F24F 11/30 20180101ALI20250306BHJP
E05F 15/70 20150101ALI20250306BHJP
F24F 110/70 20180101ALN20250306BHJP
【FI】
F24F7/007 B
F24F11/64
F24F11/70
F24F11/30
E05F15/70
F24F110:70
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023139048
(22)【出願日】2023-08-29
(71)【出願人】
【識別番号】000236056
【氏名又は名称】三菱電機ビルソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 嘉人
(72)【発明者】
【氏名】田沼 直樹
(72)【発明者】
【氏名】根本 武士
【テーマコード(参考)】
2E052
3L056
3L260
【Fターム(参考)】
2E052AA02
2E052BA09
2E052EB01
2E052EC05
2E052GA05
2E052GB01
3L056BD01
3L056BF06
3L260BA12
3L260BA64
3L260CA17
3L260CA19
3L260CB70
3L260EA07
3L260EA08
3L260FC08
3L260HA01
3L260HA06
3L260JA11
(57)【要約】
【課題】施設内のCO2濃度が上昇した場合に、換気を行いつつ施設内の温度への影響をできるだけ抑制可能な開放扉を選定するための開放扉選定システム及び開放扉選定方法を提供する。
【解決手段】サーバ40は、自動ドアA~Dの開閉動作を示すドア開閉データを収集して蓄積する。サーバ50は、サーバ40により収集されたドア開閉データを定時毎にサーバ40から受信し、時間帯毎の各自動ドアA~Dの開時間を集計する。そして、サーバ50は、CO2濃度がしきい値を超える高濃度地点が検知された場合に、自動ドアA~Dのうち高濃度地点から相対的に近い複数のドアを仮選定し、仮選定されたドアのうち、高濃度地点が検知された時刻を含む時間帯において開時間が最も長いドアを開放ドアとして選定する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
施設内の環境に基づいて、前記施設の複数の出入口にそれぞれ設置された複数の扉のうち、人の出入りに拘わらず開状態にする開放扉を選定する開放扉選定システムであって、
前記施設内において二酸化炭素濃度がしきい値よりも高い高濃度地点を検知する検知手段と、
プロセッサと、
前記プロセッサによって実行されるプログラムを記憶するメモリとを備え、
前記プロセッサは、前記プログラムに従って、
前記検知手段により前記高濃度地点が検知された場合に、前記高濃度地点と、前記複数の扉の各々の設置場所との距離情報に基づいて、前記開放扉を選定する、開放扉選定システム。
【請求項2】
前記プロセッサは、前記検知手段により前記高濃度地点が検知された場合に、前記複数の扉のうち前記高濃度地点から最も近い扉を前記開放扉として選定する、請求項1に記載の開放扉選定システム。
【請求項3】
前記プロセッサは、所定の時間帯毎に前記複数の扉の各々の開時間を集計し、
前記プロセッサは、前記検知手段により前記高濃度地点が検知された場合に、
前記複数の扉のうち前記高濃度地点から相対的に近い少なくとも1つの扉を仮選定し、
前記仮選定された少なくとも1つの扉のうち、前記高濃度地点が検知された時刻を含む前記所定の時間帯において、前記開時間が最も長い扉を前記開放扉として選定する、請求項1に記載の開放扉選定システム。
【請求項4】
前記プロセッサは、前記所定の時間帯毎に、当該時間帯における過去所定日数の前記開時間の平均値を前記開時間として集計する、請求項3に記載の開放扉選定システム。
【請求項5】
前記プロセッサは、前記検知手段により前記高濃度地点が検知された場合に、
前記複数の扉のうち前記高濃度地点から相対的に近い少なくとも1つの扉を仮選定し、
前記仮選定された少なくとも1つの扉の各々の大きさに基づいて、前記仮選定された少なくとも1つの扉の中から前記開放扉を選定する、請求項1に記載の開放扉選定システム。
【請求項6】
前記プロセッサは、前記仮選定された少なくとも1つの扉のうち、最も大きい扉を前記開放扉として選定する、請求項5に記載の開放扉選定システム。
【請求項7】
前記プロセッサは、前記仮選定された少なくとも1つの扉のうち、最も小さい扉を前記開放扉として選定する、請求項5に記載の開放扉選定システム。
【請求項8】
前記プロセッサは、選定された前記開放扉が開状態となるように、前記開放扉に扉の開放指令を出力する、請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の開放扉選定システム。
【請求項9】
前記プロセッサは、前記高濃度地点と前記複数の扉の各々の設置場所との直線距離に基づいて前記開放扉を選定する、請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の開放扉選定システム。
【請求項10】
前記プロセッサは、前記高濃度地点から前記複数の扉の各々の設置場所までの最短通路の距離に基づいて前記開放扉を選定する、請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の開放扉選定システム。
【請求項11】
前記検知手段は、前記施設内を巡回する職員が携帯する二酸化炭素濃度センサを含み、
前記二酸化炭素濃度センサの検出値に基づいて、前記高濃度地点が検知される、請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の開放扉選定システム。
【請求項12】
前記検知手段は、前記施設内に設置された複数の二酸化炭素濃度センサを含む、請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の開放扉選定システム。
【請求項13】
施設内の環境に基づいて、前記施設の複数の出入口にそれぞれ設置された複数の扉のうち、人の出入りに拘わらず開状態にする開放扉を選定する開放扉選定方法であって、
前記施設内において二酸化炭素濃度がしきい値よりも高い高濃度地点を検知するステップと、
前記高濃度地点が検知された場合に、前記高濃度地点と、前記複数の扉の各々の設置場所との距離情報に基づいて、前記開放扉を選定するステップとを含む、開放扉選定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、開放扉選定システム及び開放扉選定方法に関し、特に、施設内の環境に基づいて、施設の複数の出入口にそれぞれ設置された複数の扉のうち、人の出入りに拘わらず開状態にする開放扉を選定する開放扉選定システム、及び開放扉選定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特開平11-336425号公報(特許文献1)には、倉庫やビル等の出入口の開閉状況を自動的にかつ正確に記録・監視し、さらに遠隔地にてリアルタイムで開閉状況を把握可能な出入口開閉管理システムが開示されている。この管理システムでは、出入口に設けられたドア及び/又はシャッター毎に開閉が検出されて収集され、収集されたデータが開閉監視手段に送信されて記録・表示される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
商業施設等において、施設内の二酸化炭素(CO2)濃度が上昇した場合に、一部のドアを人の出入りに拘わらず開状態にして換気することが行われる場合がある。しかしながら、ドアを開放すると、施設内に外気が流入することにより、開放するドアによっては施設内の温度に大きな影響を与え得る。施設内の快適性を保つために、換気を行いつつ施設内の温度への影響をできるだけ抑えることが望まれる。特許文献1には、このような課題について、特に言及されていない。
【0005】
本開示は、かかる課題を達成するためになされたものであり、本開示の目的は、施設内のCO2濃度が上昇した場合に、換気を行いつつ施設内の温度への影響をできるだけ抑制可能な開放扉を選定するための開放扉選定システム及び開放扉選定方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の開放扉選定システムは、施設内の環境に基づいて、施設の複数の出入口にそれぞれ設置された複数の扉のうち、人の出入りに拘わらず開状態にする開放扉を選定する開放扉選定システムであって、施設内においてCO2濃度がしきい値よりも高い高濃度地点を検知する検知手段と、プロセッサと、プロセッサによって実行されるプログラムを記憶するメモリとを備える。プロセッサは、プログラムに従って、検知手段により高濃度地点が検知された場合に、高濃度地点と各扉の設置場所との距離情報に基づいて、開放扉を選定する。
【0007】
また、本開示の開放扉選定方法は、施設内の環境に基づいて、施設の複数の出入口にそれぞれ設置された複数の扉のうち、人の出入りに拘わらず開状態にする開放扉を選定する開放扉選定方法であって、施設内においてCO2濃度がしきい値よりも高い高濃度地点を検知するステップと、高濃度地点が検知された場合に、高濃度地点と各扉の設置場所との距離情報に基づいて、開放扉を選定するステップとを含む。
【0008】
上記の開放扉選定システム及び開放扉選定方法では、施設内において高濃度地点が検知された場合に、その高濃度地点と各扉の設置場所との距離情報に基づいて開放扉が選定される。これにより、高濃度地点と各扉との距離を考慮して、換気を効果的に行いつつ、扉を開放することによる施設内の温度への影響をできるだけ抑制可能な開放扉を選定することができる。
【0009】
例えば、施設に設けられる複数の扉のうち、高濃度地点から最も近い扉を開放扉として選定してもよい。或いは、上記複数の扉のうち、高濃度地点から相対的に近い少なくとも1つの扉を仮選定し、その中から、高濃度地点が検知された時刻を含む時間帯において、過去の開閉データから開時間が長いと予想される扉を開放扉として選定してもよい。
【発明の効果】
【0010】
本開示の開放扉選定システム及び開放扉選定方法によれば、施設内のCO2濃度が上昇した場合に、換気を行いつつ施設内の温度への影響をできるだけ抑制可能な開放扉を選定することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】実施の形態1に従う開放扉選定システムが適用される施設のフロアの一例を示す図である。
【
図2】実施の形態1に従う開放扉選定システムの構成の一例を示す図である。
【
図3】ドア開閉データベースのデータ構造の一例を示す図である。
【
図4】ドア開時間データベースのデータ構造の一例を示す図である。
【
図5】ドア開閉データ収集処理の一例を示すフローチャートである。
【
図6】ドア開時間集計処理の一例を示すフローチャートである。
【
図7】開放ドア選定処理の一例を示すフローチャートである。
【
図8】実施の形態2における開放ドア選定処理の一例を示すフローチャートである。
【
図9】実施の形態3における開放ドア選定処理の一例を示すフローチャートである。
【
図10】変形例における開放ドア選定処理の一例を示すフローチャートである。
【
図11】実施の形態4に従う開放扉選定システムの構成の一例を示す図である。
【
図12】実施の形態4における開放ドア選定処理の一例を示すフローチャートである。
【
図13】実施の形態5に従う開放扉選定システムの構成の一例を示す図である。
【
図14】実施の形態5における開放ドア選定処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。以下では、複数の実施の形態について説明するが、各実施の形態で説明された構成を適宜組み合わせることは出願当初から予定されている。なお、図中同一又は相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0013】
[実施の形態1]
図1は、本開示の実施の形態1に従う開放扉選定システムが適用される施設のフロアの一例を示す図である。
図1を参照して、この施設は、例えばショッピングモールのような商業施設であり、複数の出入口を備える1Fのフロアが示されている。この例では、4箇所の出入口12,14,16,18が設けられている。
【0014】
出入口12,14,16,18には、それぞれ自動ドアA,B,C,Dが設けられている。各自動ドアA~Dは、通常は、各出入口に設けられたドアセンサ(図示せず)により入館者又は退館者が検知されると、自動で開き、入館者及び退館者が所定時間検知されないと、自動で閉じるように構成されている。また、各自動ドアA~Dは、施設の管理担当者によって手動で開閉可能(開状態又は閉状態を維持)に構成されている。
【0015】
管理担当者は、端末装置20及びCO2センサ22を携帯しており、施設内を巡回してCO2センサ22により施設内のCO2濃度を計測する。なお、管理担当者に代えて、施設内を巡回する移動ロボット(例えば、監視ロボットや掃除ロボット等)に端末装置20及びCO2センサ22を備えてもよい。また、端末装置20とCO2センサ22とは、一体的に構成されていてもよい。
【0016】
管理担当者は、施設内を適宜巡回してCO2センサ22によりCO2濃度を計測し、その計測値を端末装置20に入力する。端末装置20は、施設に設けられた図示しないビーコン等と通信可能であり、施設内において端末装置20の位置を特定可能となっている。そして、CO2濃度の計測値が端末装置20に入力されると、入力された計測値を入力時の端末装置20の位置情報と対応付けることにより、CO2センサ22の計測値を端末装置20に入力した地点におけるCO2濃度を特定することができる。
【0017】
この施設では、施設内においてCO2センサ22によりCO2濃度の上昇が検出された場合に、自動ドアA~Dの一部を人の出入りに拘わらず開状態にして換気が行われる(以下では、そのような開状態にされる自動ドアを「開放ドア」と称する。)。施設内には、一般的に各所に換気扇が設けられているため、出入口に設けられた自動ドアを開放することで外気が施設内に流入し、換気を行うことができる。しかしながら、ドアを開放すると、施設内に外気が流入することにより、施設内の温度に影響を与え得る。開放ドアは、CO2濃度の低下に効果的で、かつ、通常時(換気のためのドア開放をしない場合)に対して施設内の温度変化をできるだけ抑制可能なドアが望ましい。
【0018】
そこで、本開示では、CO2センサ22により計測されたCO2濃度がしきい値よりも高い地点(以下「高濃度地点」と称する。)が検知された場合に、施設内の換気を効果的に行いつつ施設内の温度変化への影響をできるだけ抑制可能な開放ドアを選定する開放扉選定システムが示される。
【0019】
実施の形態1に従う開放扉選定システムでは、施設内で高濃度地点が検知された場合に、高濃度地点から相対的に近いいくつかの自動ドアが仮選定される。そして、仮選定された自動ドアのうち、高濃度が検知された時間帯において直近(例えば直前の数日)開時間が最も長い自動ドアが開放ドアとして選定される。これにより、高濃度地点から相対的に近い自動ドアが開放ドアとして選定されるので、施設内の換気を効果的に行うことができる。さらに、高濃度が検知された時間帯において開時間が長い自動ドアが開放ドアとして選定されるので、ドアの開放による施設内の温度変化の影響を最も抑えることができる。以下、これらを実現する開放扉選定システムについて、詳しく説明する。
【0020】
図2は、実施の形態1に従う開放扉選定システムの構成の一例を示す図である。
図2を参照して、開放扉選定システム10は、ドアセンサ32~38と、サーバ40,50と、端末装置20と、CO2センサ22とを備える。なお、サーバ40とサーバ50とは、1つのサーバで構成されてもよい。
【0021】
ドアセンサ32~38は、それぞれ出入口12,14,16,18(
図1)に設置されている。ドアセンサ32は、出入口12の自動ドアAの開閉を検知し、ドアセンサ34は、出入口14の自動ドアBの開閉を検知する。また、ドアセンサ36は、出入口16の自動ドアCの開閉を検知し、ドアセンサ38は、出入口18の自動ドアDの開閉を検知する。そして、各ドアセンサ32~38は、対応する自動ドアの開閉の検知結果を示すドア開閉データをサーバ40へ出力する。
【0022】
サーバ40は、ドアセンサ32~38からそれぞれ自動ドアA~Dの開閉動作を示すドア開閉データを受信して蓄積し、自動ドアA~Dの開閉状態を管理する。サーバ40は、CPU(Central Processing Unit)42と、メモリ44と、インターフェース(I/F)装置46と、ドア開閉データベース(DB)48とを含んで構成される。メモリ44は、RAM(Random Access Memory)と、ROM(Read Only Memory)とを含む。CPU42は、ROMに格納されているプログラムをRAMに展開して実行する。ROMに格納されているプログラムには、サーバ40において実行される各種処理が記述されている。
【0023】
I/F装置46は、ドアセンサ32~38からドア開閉データを受信するための入力部を構成する。サーバ40は、I/F装置46によってドアセンサ32~38からドア開閉データを受信すると、受信したドア開閉データに示される自動ドアの開閉動作の検知結果を、ドア開閉データの受信時刻と対応付けてドア開閉DB48に保存する。
【0024】
図3は、ドア開閉DB48のデータ構造の一例を示す図である。
図3を参照して、「時刻」は、ドア開閉データを受信した時刻を示す。「ドア」は、ドア開閉データを送信した自動ドアを示す。「状態」は、受信したドア開閉データに示される自動ドアの開閉動作の検知結果を示す。ドア開閉DB48は、ドア開閉データを送信した自動ドアと、ドア開閉データに示される自動ドアの開閉動作の検知結果とを、ドア開閉データの受信時刻と対応付けて時系列に保存する。例えば、一行目のデータについては、時刻10:00:00に自動ドアAが開状態になったことが示されている。
【0025】
なお、サーバ40においてドア開閉データの受信時刻を検知することに代えて、ドアセンサ側においてドアの開閉動作を検知した時刻を、ドアの開閉動作の検知結果とともにサーバ40へ送信するようにしてもよい。
【0026】
再び
図2を参照して、サーバ40は、ドア開閉DB48に蓄積されるデータを、定時毎にサーバ50へ送信する。定時毎とは、例えば、毎時0分の1時間毎であってもよいし、毎時0分と30分の30分毎であってもよい。また、サーバ50へ送信されるデータは、前回送信後から新たに蓄積されたデータであり、サーバ50へ送信済のデータは、所定時間後に適宜消去されてもよい。
【0027】
サーバ50は、自動ドアA~Dの開閉動作を時系列に示すデータを定時毎にサーバ40から受信し、各自動ドアA~Dの開時間を集計する。具体的には、サーバ50は、サーバ40から定時毎の上記データを受信すると、受信したデータが含まれる時間帯における各自動ドアA~Dの開時間を集計する。
【0028】
また、サーバ50は、端末装置20と通信可能に構成されており、CO2センサ22により計測され端末装置20に入力されたCO2濃度の計測値を端末装置20から受信する。そして、サーバ50は、端末装置20から受信したCO2濃度がしきい値を超えていると、その高濃度地点におけるCO2濃度を低下させるのに効果的な自動ドアを選定するための処理(開放ドア選定処理)を実行する。サーバ50の具体的な処理は、後ほど詳しく説明する。
【0029】
サーバ50は、CPU52と、メモリ54と、通信装置56と、ドア開時間DB58とを含んで構成される。メモリ54は、RAMとROMとを含む。CPU52は、ROMに格納されているプログラムをRAMに展開して実行する。ROMに格納されているプログラムには、サーバ50において実行される各種処理が記述されている。
【0030】
通信装置56は、公知の無線通信方式を用いて、端末装置20やサーバ40と各種データをやり取りするための入出力装置である。サーバ50は、サーバ40から自動ドアA~Dの開閉動作を示す定時毎のデータを受信すると、受信したデータが含まれる時間帯における各自動ドアA~Dの開時間を集計してドア開時間DB58に保存する。
【0031】
図4は、ドア開時間DB58のデータ構造の一例を示す図である。
図4を参照して、「時間帯」は、サーバ40から定時毎に受信するデータに基づいて、各自動ドアA~Dについて開時間を集計する時間帯を示す。「ドア」は、対応の時間帯において開時間が集計される自動ドアを示す。「平均開時間」は、対応の自動ドアが対応の時間帯において開いていた時間(開時間)の過去の平均時間を示す。この平均開時間は、サーバ40から定時毎に受信するデータに基づいて算出され、例えば、直近の所定期間(例えば直近の数日)の同時間帯における開時間の移動平均である。
【0032】
例えば一行目のデータについて詳しく説明すると、ある日の10時台における各ドアの開閉データがサーバ40からサーバ50へ送信されると、10時台における自動ドアAの開時間が集計される。このような各時間帯における各自動ドアA~Dの開時間が毎日集計されており、今回集計された10時台における自動ドアAの開時間のデータと、過去の同データとから、過去の所定期間(例えば数日)の移動平均が算出され、10時台の自動ドアAの平均開時間としてドア開時間DB58に保存される。
【0033】
再び
図2を参照して、サーバ50は、端末装置20から受信したCO2濃度がしきい値を超えていると、ドア開時間DB58のデータを用いて、開放ドア選定処理を実行する。具体的には、CO2濃度がしきい値を超えた地点(高濃度地点)が検知されると、サーバ50は、その高濃度地点から相対的に近い複数(例えば2つや3つ)の自動ドアを仮選定する。そして、サーバ50は、ドア開時間DB58を参照し、高濃度地点が検知された時間帯において、仮選定されたドアのうち平均開時間が最も長い自動ドアを開放ドアとして選定する。
【0034】
例えば、11時台に高濃度地点が検知されたとすると、サーバ50は、その高濃度地点から相対的に近い自動ドア(例えば自動ドアA,C,D)を仮選定する。そして、サーバ50は、ドア開時間DB58を参照し、仮選定された自動ドアA,C,Dのうち11時台において平均開時間が最も長い自動ドアAを開放ドアとして選定する。自動ドアAは、もともと11時台の開時間が長いため、自動ドアAを開放ドアとして選定した場合に施設内の温度変化への影響を最も抑制することができる。そして、自動ドアAは、高濃度地点から相対的に近いドアでもあるため、高濃度地点におけるCO2濃度を低下させるための換気を効果的に行うことができる。
【0035】
なお、上記の例示では、3つの自動ドアが仮選定されるものとしたが、仮選定のドア数は、2つでもよいし、自動ドアの数によって適宜決定してもよい。また、上記では、開放ドアは1つとしたが、開放ドアは、平均開時間が長い上位複数のドアであってもよい。上記の例示では、自動ドアAと自動ドアBを開放ドアとして選定してもよい。
【0036】
以下、サーバ40及びサーバ50において実行される各処理の具体的なフローについて詳細に説明する。
【0037】
図5は、サーバ40において実行されるドア開閉データ収集処理の一例を示すフローチャートである。このフローチャートは、ドアセンサ32~38のいずれかから自動ドアの開閉動作の検知結果を示すドア開閉データを受信すると開始される。
【0038】
図5を参照して、サーバ40は、ドアセンサ32~38のいずれかからドア開閉データを受信すると、受信したドア開閉データをそのデータの受信時刻と対応付けてドア開閉DB48(
図3)に保存する(ステップS10)。サーバ40は、ドアセンサ32~38からドア開閉データを受信する度に、受信したドア開閉データを受信時刻と対応付けてドア開閉DB48に保存する。
【0039】
そして、サーバ40は、ドア開閉DB48に蓄積されたデータを定時毎にサーバ50へ送信する(ステップS20)。例えば、サーバ40は、毎時0分に、その前の時間帯にドア開閉DB48に蓄積されたデータをサーバ50へ纏めて送信する。一例として、サーバ40は、午前11時0分に、直前の10時台にドア開閉DB48に蓄積されたデータをサーバ50へ纏めて送信する。
【0040】
なお、上記では、毎時0分にデータを送信するものとしたが、その他の時刻にデータを送信してもよい。また、定時毎とは、1時間毎に限定されるものではなく、例えば30分毎であってもよい。
【0041】
図6は、サーバ50において実行されるドア開時間集計処理の一例を示すフローチャートである。このフローチャートは、定時毎にサーバ40からドア開閉DB48のデータを受信すると開始される。
【0042】
図6を参照して、サーバ50は、サーバ40からドア開閉DB48のデータを受信すると、ドア毎に、受信した各データの収集時間帯におけるドア開時間を集計し、当該時間帯における過去N日間(例えば数日から1週間)のドア開時間の平均値(移動平均)を算出する(ステップS110)。
【0043】
例えば、サーバ50は、10時台にドア開閉DB48に蓄積された各ドアの開閉データを午前11時0分にサーバ40から受信すると、自動ドアAの10時台の開時間を集計し、自動ドアAについての10時台における過去N日間のドア開時間の移動平均を算出する。サーバ50は、他の自動ドアB~Dについても、同様に、10時台における過去N日間のドア開時間の移動平均を算出する。
【0044】
そして、サーバ50は、当該時間帯(上記の例では10時台)における各自動ドアA~Dの平均開時間をドア開時間DB58(
図4)に保存する(ステップS120)。
【0045】
なお、上記では、ドア毎に、直近N日間のドア開時間の移動平均を算出するものとしたが、施設内のCO2濃度の上昇が見られるのが特定の日(例えば休日及び祝日)であれば、ドア毎に、直近N日分の休日及び祝日のドア開時間の移動平均を算出するようにしてもよい。
【0046】
図7は、サーバ50において実行される開放ドア選定処理の一例を示すフローチャートである。このフローチャートは、CO2センサ22により計測されたCO2濃度のデータを端末装置20から受信すると開始される。
【0047】
図7を参照して、サーバ50は、CO2濃度の計測データを端末装置20から受信すると、計測されたCO2濃度がしきい値よりも高いか否かを判定する(ステップS210)。このしきい値は、施設内の換気が必要なCO2濃度レベルとして適宜設定される。なお、上述のように、サーバ50は、端末装置20においてCO2濃度の計測データが入力されたときの端末装置20の位置についても取得する。
【0048】
ステップS210においてCO2濃度がしきい値以下であると判定されたときは(ステップS210においてNO)、以降の一連の処理は実行されずにリターンへ処理が移行される。
【0049】
ステップS210においてCO2濃度がしきい値よりも高いと判定されると(ステップS210においてYES)、サーバ50は、自動ドアA~Dのうち、端末装置20の位置(高濃度地点)から距離の近い順に複数のドアを仮選定する(ステップS220)。
【0050】
端末装置20の位置(高濃度地点)からドアまでの距離については、端末装置20からの直線距離であってもよいし、通路に沿った距離であってもよい。また、施設の上下階が吹き抜け構造となっており、直上や直下のフロアにも自動ドアが設置されているような場合には、それらの自動ドアまでの直線距離に基づいて、上下階の自動ドアも仮選定の候補に入れてもよい。
【0051】
次いで、サーバ50は、仮選定された各ドアについて、端末装置20においてCO2濃度の計測データが入力された時刻を含む時間帯における平均開時間をドア開時間DB58にて検索し、平均開時間が最も長い自動ドアを「開放ドア」として選定する(ステップS230)。なお、選定する開放ドアは、1つに限らず、平均開時間が長い上位複数(例えば2つ)のドアであってもよい。
【0052】
なお、開放ドアとして選定された自動ドアの開放については、施設の管理担当者が当該自動ドアの設置場所に移動して手動でドアを開放させることができる。また、ドアの開放時間については、特に説明していないが、予め定められた規定時間であってもよいし、高濃度地点において管理担当者が再度CO2濃度を計測して、規定値を下回ったことを確認できるまでとしてもよい。
【0053】
以上のように、この実施の形態1においては、施設内において高濃度地点が検知された場合に、自動ドアA~Dのうち高濃度地点から相対的に近い複数のドアが仮選定される。そして、仮選定されたドアのうち、高濃度地点が検知された時刻を含む時間帯において、開時間が最も長いドアが開放ドアとして選定される。したがって、この実施の形態1によれば、施設内の換気を効果的に行いつつ、ドアを開放することによる施設内の温度への影響をできるだけ抑制することができる。
【0054】
また、この実施の形態1においては、時間帯毎に、当該時間帯における過去N日間のドア開時間の平均値が集計され、この平均開時間が最も長いドアが開放ドアとして選定される。これにより、過去の自動ドアA~Dの動作状況(開時間の状況)をより正確に反映して、換気を効果的に行いつつ、ドアを開放することによる施設内の温度への影響を効果的に抑制することができる。
【0055】
[実施の形態2]
実施の形態1では、施設内で高濃度地点が検知された場合に、高濃度地点から相対的に近いいくつかの自動ドアが仮選定され、仮選定された自動ドアのうち、高濃度が検知された時間帯において直近(例えば直近の数日)で開時間が最も長い自動ドアが開放ドアとして選定されるものとした。
【0056】
この実施の形態2では、施設内で高濃度地点が検知された場合に、高濃度地点から最も近い自動ドアが開放ドアとして選定される。
【0057】
実施の形態2に従う開放扉選定システムの構成は、
図2に示した実施の形態1に従う開放扉選定システム10と同じである。そして、実施の形態2においても、実施の形態1と同様に、サーバ40においてドア開閉データ収集処理(
図5)が実行され、サーバ50においてドア開時間集計処理(
図6)が実行される。
【0058】
図8は、実施の形態2のサーバ50において実行される開放ドア選定処理の一例を示すフローチャートである。このフローチャートは、実施の形態1における
図7のフローチャートに対応するものである。このフローチャートも、CO2センサ22により計測されたCO2濃度のデータを端末装置20から受信すると開始される。
【0059】
図8を参照して、サーバ50は、CO2濃度の計測データを端末装置20から受信すると、計測されたCO2濃度がしきい値よりも高いか否かを判定する(ステップS310)。そして、CO2濃度がしきい値よりも高いと判定されると(ステップS310においてYES)、サーバ50は、自動ドアA~Dのうち、端末装置20の位置(高濃度地点)から距離が最も近い自動ドアを「開放ドア」として選定する(ステップS320)。
【0060】
この実施の形態2によれば、より効果的に換気を行うことができる。
【0061】
[実施の形態3]
施設内で高濃度地点が検知された場合の開放ドアの選定方法は、自動ドアの大きさに基づいて決定してもよい。実施の形態3でも、実施の形態1と同様に、施設内で高濃度地点が検知された場合に、高濃度地点から相対的に近いいくつかの自動ドアが仮選定される。そして、この実施の形態3では、ドアを開放することによる施設内のCO2濃度低下と温度への影響とのうち、前者を優先して、仮選定された自動ドアのうち最も大きいドアが開放ドアとして選定される。
【0062】
実施の形態3に従う開放扉選定システムの全体構成も、
図2に示した実施の形態1に従う開放扉選定システム10と同じである。そして、実施の形態3においても、実施の形態1と同様に、サーバ40においてドア開閉データ収集処理(
図5)が実行され、サーバ50においてドア開時間集計処理(
図6)が実行される。
【0063】
図9は、実施の形態3のサーバ50において実行される開放ドア選定処理の一例を示すフローチャートである。このフローチャートも、実施の形態1における
図7のフローチャートに対応するものである。そして、このフローチャートも、CO2センサ22により計測されたCO2濃度のデータを端末装置20から受信すると開始される。
【0064】
図9を参照して、ステップS410,S420は、実施の形態1における
図7のフローチャートのステップS210,S220とそれぞれ同じである。そして、ステップS420において複数の自動ドアが仮選定されると、サーバ50は、仮選定された自動ドアのうち最も大きいドアを「開放ドア」として選定する(ステップS430)。
【0065】
以上のように、この実施の形態3では、ドアを開放することによる施設内のCO2濃度低下と温度への影響とのうち、前者を優先して、仮選定されたドアのうち最も大きいドアが開放ドアとして選定される。これにより、施設内のCO2濃度を効果的に低下させることができる。
【0066】
[変形例]
実施の形態3では、ドアを開放することによる施設内のCO2濃度低下と温度への影響とのうち、前者を優先して、仮選定された自動ドアのうち最も大きいドアが開放ドアとして選定されるものとしたが、後者を優先して、仮選定された自動ドアのうち最も小さいドアを開放ドアとして選定してもよい。
【0067】
図10は、この変形例のサーバ50において実行される開放ドア選定処理の一例を示すフローチャートである。このフローチャートは、
図9のフローチャートにおいて、ステップS430に代えてステップS440を含む。
【0068】
すなわち、ステップS420において複数の自動ドアが仮選定されると、サーバ50は、仮選定された自動ドアのうち最も小さいドアを「開放ドア」として選定する(ステップS440)。
【0069】
この変形例では、ドアを開放することによる施設内のCO2濃度低下と温度への影響とのうち、後者を優先して、仮選定されたドアのうち最も小さいドアが開放ドアとして選定される。これにより、ドアを開放することによる施設内の温度への影響をできるだけ抑えることができる。
【0070】
[実施の形態4]
上記の各実施の形態においては、施設の管理担当者が施設内を適宜巡回してCO2センサ22によりCO2濃度を計測し、その計測値を端末装置20に入力する。そして、計測されたCO2濃度がしきい値よりも高い場合に、計測が行われた地点(高濃度地点)と自動ドアとの距離情報に基づいて、開放ドアが選定される。
【0071】
実施の形態4では、複数のCO2センサが施設内に適宜予め設置される。そして、いずれかのCO2センサにおいてしきい値を超えるCO2濃度が計測された場合に、そのCO2センサの設置場所と自動ドアとの距離情報に基づいて、開放ドアが選定される。
【0072】
図11は、実施の形態4に従う開放扉選定システムの構成の一例を示す図である。
図11を参照して、開放扉選定システム10Aは、ドアセンサ32~38と、サーバ40,50Aと、CO2センサ22-1~22-5とを備える。
【0073】
CO2センサ22-1~22-5は、施設内において互いに適宜間隔を空けて予め設置され、CO2濃度を計測する。なお、この例では、CO2センサは5つ設置されるものとしているが、設置されるCO2センサの数は、これに限定されるものではない。
【0074】
サーバ50Aは、CO2センサ22-1~22-5の各々からCO2濃度の計測値を受信する。そして、サーバ50Aは、しきい値を超えるCO2濃度が計測された場合に、そのCO2濃度を計測したCO2センサの設置位置(高濃度地点)におけるCO2濃度を低下させるのに効果的な自動ドアを選定するための開放ドア選定処理を実行する。
【0075】
なお、この実施の形態4においても、実施の形態1と同様に、サーバ40においてドア開閉データ収集処理(
図5)が実行され、サーバ50Aにおいてドア開時間集計処理(
図6)が実行される。
【0076】
図12は、実施の形態4のサーバ50Aにおいて実行される開放ドア選定処理の一例を示すフローチャートである。このフローチャートは、実施の形態1における
図7のフローチャートに対応するものである。このフローチャートは、所定の周期で繰り返し実行される。
【0077】
図12を参照して、サーバ50Aは、各CO2センサ22-1~22-5からCO2濃度の計測データを受信する(ステップS510)。なお、サーバ50Aは、各CO2センサ22-1~22-5からの計測データの受信時刻も取得する。
【0078】
そして、サーバ50Aは、受信した計測データに基づいて、CO2濃度がしきい値よりも高いCO2センサが有るか否かを判定する(ステップS520)。CO2濃度がしきい値よりも高いCO2センサが無ければ(ステップS520においてNO)、以降の一連の処理は実行されずにリターンへ処理が移行される。
【0079】
ステップS520においてCO2濃度がしきい値よりも高いCO2センサが有ると判定されると(ステップS520においてYES)、サーバ50Aは、自動ドアA~Dのうち、そのCO2センサの設置位置(高濃度地点)から距離の近い順に複数のドアを仮選定する(ステップS530)。
【0080】
そして、サーバ50Aは、仮選定された各ドアについて、上記の高濃度CO2の測定時刻(そのCO2濃度の計測データの受信時刻)を含む時間帯における平均開時間をドア開時間DB58にて検索し、平均開時間が最も長い自動ドアを「開放ドア」として選定する(ステップS540)。なお、選定される開放ドアは、1つに限らず、平均開時間が長い上位複数(例えば2つ)のドアであってもよい。
【0081】
この実施の形態4によれば、CO2センサが施設内に適宜予め設置されているので、設備管理者が施設内を巡回してCO2濃度を計測する作業を省略することができる。
【0082】
[実施の形態5]
上記の各実施の形態では、開放ドアとして選定された自動ドアの開放については、施設の管理担当者が当該自動ドアの設置場所に移動して手動でドアを開放させるものとしたが、サーバからドアの開放指令を当該自動ドア(開放ドア)に出力して、自動でドアを開放させるようにしてもよい。
【0083】
図13は、実施の形態5に従う開放扉選定システムの構成の一例を示す図である。
図13を参照して、開放扉選定システム10Bは、ドアセンサ32~38と、サーバ40,50Bと、端末装置20と、CO2センサ22と、ドアシステム70とを備える。
【0084】
ドアシステム70は、自動ドアA~Dを含む。各自動ドアA~Dは、対応のドアセンサの検知結果に拘わらず、サーバ50Bからの指令に従って開閉可能に構成されている。
【0085】
サーバ50Bは、上記のサーバ50と同様に開放ドア選定処理により開放ドアを選定すると、開放ドアとして選定された自動ドアを開放させるためのドア開放指令をドアシステム70へ出力する。そして、ドアシステム70では、サーバ50Bからの開放指令に従って、開放ドアとして選定された自動ドアが常時開放状態となる。
【0086】
図14は、実施の形態5のサーバ50Bにおいて実行される開放ドア選定処理の一例を示すフローチャートである。このフローチャートは、実施の形態1における
図7のフローチャートに対応するものである。このフローチャートも、CO2センサ22により計測されたCO2濃度のデータを端末装置20から受信すると開始される。
【0087】
図14を参照して、ステップS610~S630は、実施の形態1における
図7のフローチャートのステップS210~S230とそれぞれ同じである。そして、ステップS630において開放ドアが選定されると、サーバ50Bは、開放ドアとして選定された自動ドアへドア開放指令を出力する(ステップS640)。
【0088】
なお、上記では、サーバ50Bからドアシステム70へドア開放指令を出力するものとしたが、自動ドアA~Dの開閉動作を管理するサーバ40からドアシステム70へドア開放指令を出力するようにしてもよい。
【0089】
また、上記では、実施の形態1に対して、選択された開放ドアへドア開放指令をさらに出力する例について説明したが、他の実施の形態に対しても同様に、選択された開放ドアへドア開放指令を出力するようにしてもよい。
【0090】
この実施の形態5によれば、選定された開放ドアを施設管理者が手動で開放させる作業をなくすことができる。
【0091】
[付記]
上述した各実施の形態は、以下の付記の具体例である。
【0092】
(付記1)
開放扉選定システムは、施設内の環境に基づいて、前記施設の複数の出入口にそれぞれ設置された複数の扉のうち、人の出入りに拘わらず開状態にする開放扉を選定する開放扉選定システムであって、
前記施設内においてCO2濃度がしきい値よりも高い高濃度地点を検知する検知手段と、
プロセッサと、
前記プロセッサによって実行されるプログラムを記憶するメモリとを備え、
前記プロセッサは、前記プログラムに従って、
前記検知手段により前記高濃度地点が検知された場合に、前記高濃度地点と、前記複数の扉の各々の設置場所との距離情報に基づいて、前記開放扉を選定する。
【0093】
(付記2)
付記1の開放扉選定システムにおいて、
前記プロセッサは、前記検知手段により前記高濃度地点が検知された場合に、前記複数の扉のうち前記高濃度地点から最も近い扉を前記開放扉として選定する。
【0094】
(付記3)
付記1の開放扉選定システムにおいて、
前記プロセッサは、所定の時間帯毎に前記複数の扉の各々の開時間を集計し、
前記プロセッサは、前記検知手段により前記高濃度地点が検知された場合に、
前記複数の扉のうち前記高濃度地点から相対的に近い少なくとも1つの扉を仮選定し、
前記仮選定された少なくとも1つの扉のうち、前記高濃度地点が検知された時刻を含む前記所定の時間帯において、前記開時間が最も長い扉を前記開放扉として選定する。
【0095】
上記の開放扉選定システムでは、施設内において高濃度地点が検知された場合に、その高濃度地点と各扉の設置場所との距離情報に基づいて開放扉が選定される。これにより、高濃度地点と各扉との距離を考慮して、換気を効果的に行いつつ、扉を開放することによる施設内の温度への影響をできるだけ抑制可能な開放扉を選定することができる。
【0096】
(付記4)
付記3の開放扉選定システムにおいて、
前記プロセッサは、前記所定の時間帯毎に、当該時間帯における過去所定日数の前記開時間の平均値を前記開時間として集計する。
【0097】
これにより、過去の扉の動作状況(開時間の状況)をより正確に反映して、換気を効果的に行いつつ、扉を開放することによる施設内の温度への影響を効果的に抑制することができる。
【0098】
(付記5)
付記1の開放扉選定システムにおいて、
前記プロセッサは、前記検知手段により前記高濃度地点が検知された場合に、
前記複数の扉のうち前記高濃度地点から相対的に近い少なくとも1つの扉を仮選定し、
前記仮選定された少なくとも1つの扉の各々の大きさに基づいて、前記仮選定された少なくとも1つの扉の中から前記開放扉を選定する。
【0099】
(付記6)
付記5の開放扉選定システムにおいて、
前記プロセッサは、前記仮選定された少なくとも1つの扉のうち、最も大きい扉を前記開放扉として選定する。
【0100】
この開放扉選定システムでは、扉を開放することによる施設内のCO2濃度低下と温度への影響とのうち、前者を優先して、仮選定された扉のうち最も大きい扉が開放扉として選定される。これにより、施設内のCO2濃度を効果的に低下させることができる。
【0101】
(付記7)
付記5の開放扉選定システムにおいて、
前記プロセッサは、前記仮選定された少なくとも1つの扉のうち、最も小さい扉を前記開放扉として選定する。
【0102】
この開放扉選定システムでは、扉を開放することによる施設内のCO2濃度低下と温度への影響とのうち、後者を優先して、仮選定された扉のうち最も小さい扉が開放扉として選定される。これにより、扉を開放することによる施設内の温度への影響をできるだけ抑えることができる。
【0103】
(付記8)
付記1から付記7にいずれかに記載の開放扉選定システムにおいて、
前記プロセッサは、選定された前記開放扉が開状態となるように、前記開放扉に扉の開放指令を出力する。
【0104】
これにより、選定された開放扉を施設管理者が手動で開放させる作業をなくすことができる。
【0105】
(付記9)
付記1から付記8にいずれかに記載の開放扉選定システムにおいて、
前記プロセッサは、前記高濃度地点と前記複数の扉の各々の設置場所との直線距離に基づいて前記開放扉を選定する。
【0106】
(付記10)
付記1から付記8にいずれかに記載の開放扉選定システムにおいて、
前記プロセッサは、前記高濃度地点から前記複数の扉の各々の設置場所までの最短通路の距離に基づいて前記開放扉を選定する。
【0107】
(付記11)
付記1から付記10にいずれかに記載の開放扉選定システムにおいて、
前記検知手段は、前記施設内を巡回する職員が携帯するCO2濃度センサを含み、
前記CO2濃度センサの検出値に基づいて、前記高濃度地点が検知される。
【0108】
これにより、高濃度地点をより的確に検知して、速やかに換気を行うことができる。
【0109】
(付記12)
付記1から付記10にいずれかに記載の開放扉選定システムにおいて、
前記検知手段は、前記施設内に設置された複数のCO2濃度センサを含む。
【0110】
これにより、設備管理者が施設内を巡回してCO2濃度を計測する作業を省略することができる。
【0111】
(付記13)
開放扉選定方法は、施設内の環境に基づいて、前記施設の複数の出入口にそれぞれ設置された複数の扉のうち、人の出入りに拘わらず開状態にする開放扉を選定する開放扉選定方法であって、
前記施設内においてCO2濃度がしきい値よりも高い高濃度地点を検知するステップと、
前記高濃度地点が検知された場合に、前記高濃度地点と、前記複数の扉の各々の設置場所との距離情報に基づいて、前記開放扉を選定するステップとを含む。
【0112】
この開放扉選定方法では、施設内において高濃度地点が検知された場合に、その高濃度地点と各扉の設置場所との距離情報に基づいて開放扉が選定される。これにより、高濃度地点と開放扉との距離を考慮して、換気を効果的に行いつつ、扉を開放することによる施設内の温度への影響をできるだけ抑制可能な扉を選定することができる。
【0113】
今回開示された各実施の形態は、技術的に矛盾しない範囲で適宜組み合わせて実施することも予定されている。そして、今回開示された実施の形態は、全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本開示により示される技術的範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0114】
10,10A,10B 開放扉選定システム、12~18 出入口、20 端末装置、22,22-1~22-5 CO2センサ、32~38 ドアセンサ、40,50,50A,50B サーバ、42,52 CPU、44,54 メモリ、46 I/F装置、48 ドア開閉DB、56 通信装置、58 ドア開時間DB、70 ドアシステム、A~D 自動ドア。