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特開2025-33403貨幣処理システム、及び、貨幣処理プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025033403
(43)【公開日】2025-03-13
(54)【発明の名称】貨幣処理システム、及び、貨幣処理プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 40/02 20230101AFI20250306BHJP
【FI】
G06Q40/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023139107
(22)【出願日】2023-08-29
(71)【出願人】
【識別番号】000001432
【氏名又は名称】グローリー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】才木 天斗
【テーマコード(参考)】
5L040
5L055
【Fターム(参考)】
5L040BB02
5L040BB27
5L055BB02
5L055BB27
(57)【要約】
【課題】顧客が操作する貨幣処理装置において、導入コストの低減と、係員の対応負担の軽減と、を両立する。
【解決手段】顧客に操作される貨幣処理装置1と、顧客への応対を行うための窓口に配置されてテラーに操作されるとともに貨幣処理装置1と通信可能な管理端末装置5と、貨幣処理装置1に設けられ、顧客から貨幣の取引の操作を受け付ける処理装置側受付部12と、貨幣処理装置1に設けられ、処理装置側受付部12が受け付けた操作に基づいて取引処理を実行する取引処理部13と、取引処理部13が実行した取引処理に対応するキューを登録するキュー登録部53Aと、管理端末装置5に設けられ、キュー登録部53Aが登録したキューに対応する出力情報を出力する出力部55と、が備えられている。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
顧客に操作される貨幣処理装置と、
前記顧客への応対を行うための窓口に配置されてテラーに操作されるとともに前記貨幣処理装置と通信可能な管理端末装置と、
前記貨幣処理装置に設けられ、前記顧客から貨幣の取引の操作を受け付ける処理装置側受付部と、
前記貨幣処理装置に設けられ、前記処理装置側受付部が受け付けた操作に基づいて取引処理を実行する取引処理部と、
前記取引処理部が実行した前記取引処理に対応するキューを登録するキュー登録部と、
前記管理端末装置に設けられ、前記キュー登録部が登録した前記キューに対応する出力情報を出力する出力部と、が備えられている貨幣処理システム。
【請求項2】
前記処理装置側受付部は、前記顧客の操作に基づいて、前記顧客を特定する情報を受け付けるように構成され、
前記キュー登録部は、前記処理装置側受付部が受け付けた前記情報を含む形態で前記キューを登録するように構成されている請求項1に記載の貨幣処理システム。
【請求項3】
前記管理端末装置に設けられ、処理すべき前記キューを選択する前記テラーの操作を受け付ける端末側受付部と、
前記端末側受付部が受け付けた操作によって選択された前記キューの状態を処理済みに変更する状態変更部と、が備えられている請求項1に記載の貨幣処理システム。
【請求項4】
前記出力部は、前記端末側受付部が受け付けた操作によって選択された前記キューに対応する前記出力情報を出力するように構成されている請求項3に記載の貨幣処理システム。
【請求項5】
前記管理端末装置に、勘定系処理装置から入金に関する前記キューの処理の開始の指示を受け付ける端末側受付部が備えられ、
前記出力部は、入金の完了及び入金額を示す前記出力情報を前記勘定系処理装置へ出力するように構成されている請求項1に記載の貨幣処理システム。
【請求項6】
顧客に操作される貨幣処理装置と、
前記顧客への応対を行うための窓口に配置されてテラーに操作されるとともに前記貨幣処理装置と通信可能な管理端末装置と、
前記管理端末装置に設けられ、前記テラーからの入力に基づいて、前記顧客が所望する貨幣の取引の内容を示す取引情報を受け付ける端末側受付部と、
前記端末側受付部が受け付けた前記取引情報に対応するキューを登録するキュー登録部と、
前記貨幣処理装置に設けられ、前記顧客から操作を受け付ける処理装置側受付部と、
前記貨幣処理装置に設けられ、前記キュー登録部が登録した前記キューと前記処理装置側受付部が受け付けた操作との両方に基づいて取引処理を実行する取引処理部と、が備えられている貨幣処理システム。
【請求項7】
前記端末側受付部は、前記顧客を特定する第一顧客情報を前記取引情報とともに受け付けるように構成され、
前記キュー登録部は、前記取引情報と前記第一顧客情報との両方に対応する前記キューを登録するように構成されている請求項6に記載の貨幣処理システム。
【請求項8】
前記処理装置側受付部は、前記顧客の操作に基づいて、前記顧客を特定する第二顧客情報を受け付けるように構成され、
前記キューに対応する前記第一顧客情報と、前記処理装置側受付部が受け付けた前記第二顧客情報と、を照合する照合部が備えられ、
前記取引処理部は、前記第一顧客情報と前記第二顧客情報とが一致すると前記照合部が判定した場合に前記取引処理を実行し、前記第一顧客情報と前記第二顧客情報とが一致しないと前記照合部が判定した場合に前記取引処理を実行しないように構成されている請求項7に記載の貨幣処理システム。
【請求項9】
前記貨幣処理装置に設けられ、前記取引処理が完了すると、前記取引処理が完了したことを示す完了情報を送信する処理装置側通信部と、
前記処理装置側通信部が送信した前記完了情報に対応する前記キューの状態を処理済みに変更する状態変更部と、が備えられている請求項6に記載の貨幣処理システム。
【請求項10】
前記端末側受付部は、前記取引情報を勘定系処理装置から受け付けるように構成され、
前記管理端末装置に設けられ、前記キューの登録に応じて出力情報を前記勘定系処理装置へ出力する出力部が備えられている請求項6から9の何れか一項に記載の貨幣処理システム。
【請求項11】
顧客に操作される貨幣処理装置に実装され、前記顧客から貨幣の取引の操作を受け付ける処理装置側受付機能と、
前記貨幣処理装置に実装され、前記処理装置側受付機能が受け付けた操作に基づいて取引処理を実行する取引処理機能と、
前記貨幣処理装置に実装され、前記取引処理機能が実行した前記取引処理の内容を示す取引情報を送信する処理装置側通信機能と、
前記処理装置側通信機能が送信した前記取引情報に対応するキューを登録するキュー登録機能と、
前記顧客への応対を行うための窓口に配置されてテラーに操作されるとともに前記貨幣処理装置と通信可能な管理端末装置に実装され、前記キュー登録機能が登録した前記キューに対応する出力情報を出力する出力機能と、をコンピュータに実現させるための貨幣処理プログラム。
【請求項12】
顧客への応対を行うための窓口に配置されてテラーに操作されるとともに前記顧客に操作される貨幣処理装置と通信可能な管理端末装置に実装され、前記テラーからの入力に基づいて、前記顧客が所望する貨幣の取引の内容を示す取引情報を受け付ける端末側受付機能と、
前記端末側受付機能が受け付けた前記取引情報に対応するキューを登録するキュー登録機能と、
前記貨幣処理装置に実装され、前記顧客から操作を受け付ける処理装置側受付機能と、
前記貨幣処理装置に実装され、前記キュー登録機能が登録した前記キューと前記処理装置側受付機能が受け付けた操作との両方に基づいて取引処理を実行する取引処理機能と、をコンピュータに実現させるための貨幣処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、貨幣処理システム、及び、貨幣処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、銀行等の金融機関の店舗では、店舗内の貨幣等を管理するための、特許文献1に示されるような貨幣処理装置が利用される。一般的に貨幣処理装置は、店舗のテラー等によって操作される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-206309号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年の銀行においては、労働力不足、働き方改革、低収益構造等の要因によって、店舗の省人化が進んでいる。このため、テラー等の作業においても、作業の効率化、作業時間の短縮等の必要性が高まってきた。そこで、従来はテラー等が操作していた貨幣処理装置を顧客自身が操作し、その間にテラー等が他の業務に専念することによって、顧客一人当たりにおけるテラーの作業時間を短縮することが図られている。ただ、従来はテラーが操作していた貨幣処理装置を顧客が操作する方式に変更したうえで、その貨幣処理装置を他の機器と行内ネットワークで連携させると、他の機器におけるソフトウェアの変更と、それに伴う行内ネットワーク全体の動作確認と、を含むシステム全体の改修等も必要になる。つまり、顧客に操作される貨幣処理装置を他の機器と行内ネットワークで連携させることは、導入コストの増大に繋るため、容易ではない。
【0005】
本開示の目的は、顧客が操作する貨幣処理装置において、導入コストの低減と、係員の対応負担の軽減と、を両立する手段を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決する手段として、本開示の第1の態様に係る貨幣処理システムは、顧客に操作される貨幣処理装置と、前記顧客への応対を行うための窓口に配置されてテラーに操作されるとともに前記貨幣処理装置と通信可能な管理端末装置と、前記貨幣処理装置に設けられ、前記顧客から貨幣の取引の操作を受け付ける処理装置側受付部と、前記貨幣処理装置に設けられ、前記処理装置側受付部が受け付けた操作に基づいて取引処理を実行する取引処理部と、前記取引処理部が実行した前記取引処理に対応するキューを登録するキュー登録部と、前記管理端末装置に設けられ、前記キュー登録部が登録した前記キューに対応する出力情報を出力する出力部と、を具備する。
【0007】
上記第1の態様に係る貨幣処理システムにおいて、前記処理装置側受付部は、前記顧客の操作に基づいて、前記顧客を特定する情報を受け付けるように構成され、前記キュー登録部は、前記処理装置側受付部が受け付けた前記情報を含む形態で前記キューを登録するように構成されていると好ましい。
【0008】
上記第1の態様に係る貨幣処理システムにおいて、前記管理端末装置に設けられ、処理すべき前記キューを選択する前記テラーの操作を受け付ける端末側受付部と、前記端末側受付部が受け付けた操作によって選択された前記キューの状態を処理済みに変更する状態変更部と、を具備すると好ましい。
【0009】
上記第1の態様に係る貨幣処理システムにおいて、前記出力部は、前記端末側受付部が受け付けた操作によって選択された前記キューに対応する前記出力情報を出力するように構成されていると好ましい。
【0010】
上記第1の態様に係る貨幣処理システムにおいて、前記管理端末装置に、勘定系処理装置から入金に関する前記キューの処理の開始の指示を受け付ける端末側受付部が備えられ、前記出力部は、入金の完了及び入金額を示す前記出力情報を前記勘定系処理装置へ出力するように構成されていると好ましい。
【0011】
上述した課題を解決する手段として、本開示の第2の態様に係る貨幣処理システムは、顧客に操作される貨幣処理装置と、前記顧客への応対を行うための窓口に配置されてテラーに操作されるとともに前記貨幣処理装置と通信可能な管理端末装置と、前記管理端末装置に設けられ、前記テラーからの入力に基づいて、前記顧客が所望する貨幣の取引の内容を示す取引情報を受け付ける端末側受付部と、前記端末側受付部が受け付けた前記取引情報に対応するキューを登録するキュー登録部と、前記貨幣処理装置に設けられ、前記顧客から操作を受け付ける処理装置側受付部と、前記貨幣処理装置に設けられ、前記キュー登録部が登録した前記キューと前記処理装置側受付部が受け付けた操作との両方に基づいて取引処理を実行する取引処理部と、を具備する。
【0012】
上記第2の態様に係る貨幣処理システムにおいて、前記端末側受付部は、前記顧客を特定する第一顧客情報を前記取引情報とともに受け付けるように構成され、前記キュー登録部は、前記取引情報と前記第一顧客情報との両方に対応する前記キューを登録するように構成されていると好ましい。
【0013】
上記第2の態様に係る貨幣処理システムにおいて、前記処理装置側受付部は、前記顧客の操作に基づいて、前記顧客を特定する第二顧客情報を受け付けるように構成され、前記キューに対応する前記第一顧客情報と、前記処理装置側受付部が受け付けた前記第二顧客情報と、を照合する照合部が備えられ、前記取引処理部は、前記第一顧客情報と前記第二顧客情報とが一致すると前記照合部が判定した場合に前記取引処理を実行し、前記第一顧客情報と前記第二顧客情報とが一致しないと前記照合部が判定した場合に前記取引処理を実行しないように構成されていると好ましい。
【0014】
上記第2の態様に係る貨幣処理システムにおいて、前記貨幣処理装置に設けられ、前記取引処理が完了すると、前記取引処理が完了したことを示す完了情報を送信する処理装置側通信部と、前記処理装置側通信部が送信した前記完了情報に対応する前記キューの状態を処理済みに変更する状態変更部と、が備えられていると好ましい。
【0015】
上記第2の態様に係る貨幣処理システムにおいて、前記端末側受付部は、前記取引情報を勘定系処理装置から受け付けるように構成され、前記管理端末装置に設けられ、前記キューの登録に応じて出力情報を前記勘定系処理装置へ出力する出力部が備えられていると好ましい。
【0016】
上述した課題を解決する手段として、本開示の第3の態様に係る貨幣処理プログラムは、顧客に操作される貨幣処理装置に実装され、前記顧客から貨幣の取引の操作を受け付ける処理装置側受付機能と、前記貨幣処理装置に実装され、前記処理装置側受付機能が受け付けた操作に基づいて取引処理を実行する取引処理機能と、前記貨幣処理装置に実装され、前記取引処理機能が実行した前記取引処理の内容を示す取引情報を送信する処理装置側通信機能と、前記処理装置側通信機能が送信した前記取引情報に対応するキューを登録するキュー登録機能と、前記顧客への応対を行うための窓口に配置されてテラーに操作されるとともに前記貨幣処理装置と通信可能な管理端末装置に実装され、前記キュー登録機能が登録した前記キューに対応する出力情報を出力する出力機能と、をコンピュータに実現させる。
【0017】
上述した課題を解決する手段として、本開示の第4の態様に係る貨幣処理プログラムは、顧客への応対を行うための窓口に配置されてテラーに操作されるとともに前記顧客に操作される貨幣処理装置と通信可能な管理端末装置に実装され、前記テラーからの入力に基づいて、前記顧客が所望する貨幣の取引の内容を示す取引情報を受け付ける端末側受付機能と、前記端末側受付機能が受け付けた前記取引情報に対応するキューを登録するキュー登録機能と、前記貨幣処理装置に実装され、前記顧客から操作を受け付ける処理装置側受付機能と、前記貨幣処理装置に実装され、前記キュー登録機能が登録した前記キューと前記処理装置側受付機能が受け付けた操作との両方に基づいて取引処理を実行する取引処理機能と、をコンピュータに実現させる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】店舗における貨幣処理システムを示す模式図である。
図2】従来の入金手続きの流れを示す図である。
図3】従来の出金手続きの流れを示す図である。
図4】貨幣処理システムの制御構成を示すブロック図である。
図5】キュー管理端末のモニタ表示によるキューの一覧の例を示す図である。
図6】貨幣処理装置で入金する流れを示す図である。
図7】入金キューの登録を示すフローチャート図である。
図8】貨幣処理装置での入金後に窓口で入金手続きを行う流れを示す図である。
図9】テラーの操作に基づく入金キューの状態変更を示すフローチャート図である。
図10】窓口で出金手続きを行う流れを示す図である。
図11】出金キューの登録を示すフローチャート図である。
図12】窓口での出金手続き後に貨幣処理装置で出金する流れを示す図である。
図13】出金する際のキュー管理端末における照合処理、及び、貨幣処理装置における出金処理を示すフローチャート図である。
図14】勘定系窓口端末と簡易接続した貨幣処理システムの制御構成を示すブロック図である。
図15】勘定系窓口端末と簡易接続した貨幣処理システムにおいて、貨幣処理装置での入金後に窓口で入金手続きを行う流れを示す図である。
図16】勘定系窓口端末と簡易接続した貨幣処理システムにおいて、テラーの操作に基づく入金キューの状態変更を示すフローチャート図である。
図17】勘定系窓口端末と簡易接続した貨幣処理システムにおいて、窓口で出金手続きを行う流れを示す図である。
図18】勘定系窓口端末と簡易接続した貨幣処理システムにおいて、出金キューの登録を示すフローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本開示に係る貨幣処理システムについて、図面に基づいて説明する。なお、本開示は、以下の実施形態に限定されることなく、その要旨を逸脱しない範囲内で種々の変形が可能である。
【0020】
〔貨幣処理システムの概要〕
本実施形態における貨幣処理システムについて説明する。図1には、例えば銀行の支店や出張所等の店舗内に配置されている貨幣処理システムを示している。図1に例示する銀行では、顧客への対応を行うための窓口Aと、自動取引ブースBと、相談ブースCと、セルフ入出金ブースDと、が設けられている。
【0021】
窓口Aには、勘定系の取引処理を担当するテラーが常駐する。窓口Aに、勘定系窓口端末4と、キュー管理端末5と、印字装置8と、が配置されている。勘定系窓口端末4は、特許請求の範囲に記載の『勘定系処理装置』に相当する。キュー管理端末5は、特許請求の範囲に記載の『管理端末装置』に相当する。
【0022】
勘定系窓口端末4は、テラーに操作されるとともに顧客の口座を管理する端末である。勘定系窓口端末4は、WAN(ワイド・エリア・ネットワーク)等の行内ネットワーク(図4参照)を介して勘定系サーバ6と接続されている。勘定系サーバ6は、例えば遠隔地にある本部やデータセンター等に配置され、勘定処理に関する情報を一括的に管理する。また、勘定系窓口端末4は、専用のローカル通信線を介して、不図示の貨幣入出金機と接続可能に構成されている。公知であるため詳述はしないが、不図示の貨幣入出金機は、勘定系窓口端末4に付随して使用され、テラーが勘定系窓口端末4を操作することに応じて出力されるコマンドに応じて、貨幣を入金したり出金したりできる。
【0023】
キュー管理端末5は、勘定系窓口端末4の隣に配置されている。詳細に関しては後述するが、キュー管理端末5は、例えばタブレットコンピュータであって、テラーに操作されるとともに、貨幣処理装置1で実行される取引処理に関する情報に関するキューを管理するように構成されている。なお、キュー管理端末5は行内ネットワークと接続されていないが、行内ネットワークと接続され、かつ、勘定系窓口端末4や勘定系サーバ6等を含む他機器と連携しない構成であっても良い。キュー管理端末5では、勘定系窓口端末4で処理されるような勘定処理は行われないが、テラーが勘定処理を行うときに、勘定系窓口端末4と一緒に用いられる。
【0024】
自動取引ブースBに、複数台の貨幣自動預払機2が配置されている。貨幣自動預払機2は、個人の顧客が現金を預金口座に預け入れたり、預金口座から引き下ろしたりする際に用いられる。貨幣自動預払機2は、行内ネットワークを介して勘定系サーバ6と接続されている。貨幣自動預払機2で現金の預け払いが行われると、勘定更新処理も自動的に行われる。
【0025】
相談ブースCは、例えば顧客の融資に関する相談を行うスペースである。相談ブースCに遠隔相談端末3が配置されている。
【0026】
遠隔相談端末3は、行内ネットワークを介して、例えば本部に居る接客員とネットワークを介して接続される。遠隔相談端末3のモニタには当該接客員が表示される。当該本部の接客員と顧客とが、遠隔相談端末3を介して、例えば金融投資等の高度な相談内容に関する対話を可能である。このことから、銀行等は、高度なファイナンシャルリテラシーを有する接客員を所望の拠点だけに配置すれば良い。これにより、末端店舗における人員確保の負担が軽減され、各店舗における接客品質にバラツキが生じ難くなる。遠隔相談端末3は、据え置き式の端末であっても良いし、タブレット端末であっても良い。
【0027】
セルフ入出金ブースDに、貨幣処理装置1が配置されている。貨幣処理装置1は、例えば法人顧客等が大口現金取引を行ったり現金の両替を行ったりするために用いられる。
【0028】
貨幣処理装置1は、紙幣及び硬貨を識別及び計数し、種類別に分類をした上で、所定枚数毎に区分して内部に収納する。また、貨幣処理装置1は、紙幣の種別毎に所定枚数毎(例えば100枚ごと)の帯封紙幣を内部に収納し、かつ、硬貨の種別毎に所定枚数毎(例えば50枚ごと)の包装硬貨を内部に収納する。包装硬貨とは、同一種別の硬貨が紙やフィルム等の包装媒体に巻かれたものであって、いわゆる棒金と呼ばれるものである。このため、貨幣処理装置1は、大量の紙幣や大量の硬貨の入出金処理や両替処理を可能である。
【0029】
従来の店舗では、貨幣処理装置1は、顧客が立ち入れないバックヤード等に配置され、テラー等の従業員によって操作されていた。貨幣処理装置1は勘定系窓口端末4や勘定系サーバ6と連携しておらず、行内ネットワークから切り離されてスタンドアローンで運用されるケースもあった。このようなケースでは、例えば図2及び図3に示すように、テラー等が貨幣処理装置1を操作して入金または出金を行うと、勘定系窓口端末4を操作して勘定更新処理も行っていた。
【0030】
図2は、従来の店舗における入金処理の流れを示している。顧客が窓口Aで入金申請を行うと(行動#01)、テラーは顧客から通帳、伝票、及び、貨幣を受け取り(行動#02)、伝票を確認する(行動#03)。伝票の確認が完了すると、テラーは、貨幣処理装置1へ貨幣を投入し(行動#04)、勘定系窓口端末4で勘定処理を行う(行動#05)。勘定系窓口端末4で行われる勘定処理とは、勘定系サーバ6に記憶されている顧客の口座情報を更新する処理であって、勘定系サーバ6に記憶された口座の情報に口座の入金履歴が追加され、口座残高の情報が更新される。また、通帳に入金履歴と口座残高が記帳される。そしてテラーは、通帳を顧客へ返却し(行動#06)、顧客は通帳を受け取る(行動#07)。
【0031】
図3は、従来の店舗における出金処理の流れを示している。顧客が窓口Aで出金申請を行うと(行動#11)、テラーは顧客から通帳、伝票、本人確認書類を受け取り(行動#12)、伝票確認及び本人確認を行う(行動#13)。本人確認書類とは、例えば行政機関で発行された身分証明書(パスポート、運転免許証、健康保険証、等)である。伝票確認及び本人確認が完了すると、テラーは、貨幣処理装置1から貨幣を引き出し(行動#14)、勘定系窓口端末4で勘定処理を行う(行動#15)。このとき、勘定系サーバ6に記憶された口座の情報に口座の出金履歴が追加され、口座残高の情報が更新される。また、通帳に出金履歴と口座残高が記帳される。そしてテラーは、通帳及び本人確認書類を顧客へ返却するとともに貨幣を顧客へ引き渡し(行動#16)、顧客は通帳、本人確認書類、及び、貨幣を受け取る(行動#17)。
【0032】
しかし、昨今の労働力人口の減少や働き方改革等の影響によって、テラー等は、限られた人員、かつ、限られた労働時間内に多岐に亘る対応を求められがちとなる。このため、テラー等の作業においても、作業の効率化、作業時間の短縮等の必要性が高まってきた。具体的な手段としては、従来はテラー等が操作していた業務用機器を、顧客自身が操作することによって、顧客一人当たりにおけるテラーの作業時間を短縮し、顧客の待機時間を短縮することが図られている。例えば、従来はテラーが操作していた貨幣処理装置1を顧客が直接操作すれば、顧客が貨幣処理装置1で入金や出金をしている間に、テラー等は別の作業に専念できる。
【0033】
ただ、貨幣処理装置1は貨幣自動預払機2よりも高額の貨幣を処理するため、正規の顧客になりすました者に貨幣処理装置1を悪用されると、顧客や銀行等は莫大な損害を被る可能性が考えられる。このため、貨幣処理装置1が顧客によって使用される際には、テラー等による本人確認が行われる。
【0034】
ただ、貨幣処理装置1が行内ネットワークから切り離されてスタンドアローンで運用されているケースでは、貨幣処理装置1を勘定系窓口端末4や勘定系サーバ6と連携させる必要性が考えられる。しかし、実際には貨幣処理装置1と勘定系窓口端末4との通信規格が異なっている等が原因で、既存の状態では連携をできない場合が多く、勘定系窓口端末4や勘定系サーバ6におけるソフトウェアの変更と、それに伴う行内ネットワーク全体の動作確認と、等も必要になる。このため、スタンドアローンで運用されている貨幣処理装置1を既存の他機器と連携させることは、開発コストの増大に繋って容易ではない。
【0035】
本実施形態では、貨幣処理装置1と連携するためのキュー管理端末5が備えられている。キュー管理端末5は、顧客への応対を行うための窓口Aに配置されてテラーに操作されるとともに、貨幣処理装置1と通信可能なように構成されている。このため、窓口Aのテラーは、セルフ入出金ブースDに配置された貨幣処理装置1において処理される入金、出金、及び、両替等を、キュー管理端末5で確認できる。また、キュー管理端末5に印字装置8が接続されている。この構成であれば、キュー管理端末5及び印字装置8のみを新たに用意し、かつ、既存の貨幣処理装置1のソフトウェアをキュー管理端末5との通信に対応するように更新するだけで良い。このため、貨幣処理装置1を行内ネットワークに接続して既存の他機器と連携させるようにシステムを改修する場合と比較して、開発コストが安価になる。
【0036】
〔貨幣処理システムの構成〕
図4に示すように、本実施形態の貨幣処理システムでは、貨幣処理装置1に通信部11が備えられ、キュー管理端末5に通信部51が備えられている。通信部11と通信部51とが通信可能に構成されている。通信方式は、無線通信であっても良いし、有線通信であっても良い。なお、通信部11と通信部51との通信は、通信部11と通信部51との間だけで行われる通信であって、勘定系窓口端末4や勘定系サーバ6に対する通信は行われない。換言すると、貨幣処理装置1とキュー管理端末5とは行内ネットワークに接続されておらず、貨幣処理装置1とキュー管理端末5との間だけで通信可能なように構成されている。通信部11は、特許請求の範囲に記載の『処理装置側通信部』に相当する。
【0037】
貨幣処理装置1に装置側受付部12と取引処理部13と印字部14とが備えられている。装置側受付部12に、例えば操作ボタンと、操作用タッチパネルモニタと、テラー等の遠隔操作を受信する受信モジュールと、が含まれる。装置側受付部12は、顧客から貨幣の取引の操作を受け付ける。顧客による装置側受付部12の操作に応じて、取引処理部13は、取引処理を実行する。取引処理に、入金処理、出金処理、及び、両替処理等が含まれる。印字部14は、取引処理部13による取引処理に応じて取引に関する情報を紙に印字して当該紙を利用者へ提供する。印字部14が紙に印字する情報に、取引番号、取引金額、取引時の時刻等が含まれる。装置側受付部12は、特許請求の範囲に記載の『処理装置側受付部』に相当する。
【0038】
キュー管理端末5に、端末側受付部52と、キュー管理部53と、照合部54と、出力部55と、操作用タッチパネルモニタ56と、が備えられている。
【0039】
端末側受付部52に、例えば操作ボタンと、操作用タッチパネルモニタ56からの入力モジュールと、テラーによって操作される他機器(勘定系窓口端末4を含む)からの信号等を受信するモジュールと、が含まれる。
【0040】
キュー管理部53は、貨幣処理装置1における取引処理毎の案件をキューとして管理する。このキューは、貨幣処理装置1における取引処理の案件が発生する都度に登録され、キュー管理端末5の記憶媒体(揮発性メモリ、不揮発性メモリを含む)に記憶される。キューには、取引のカテゴリー(入金、出金、両替等)、取引金額、顧客情報、キューの状態等の情報が紐付けられる。キューの状態に、『未処理』、『処理中』、及び、『処理済み』が含まれる。キューはキュー管理端末5のモニタ56Bに一覧表示される。テラーは、キュー毎に、カテゴリー、取引金額、状態等の情報をキュー管理端末5のモニタ56Bで確認できる。本実施形態では、カテゴリーが入金であるキューを『入金キュー』、カテゴリーが出金であるキューを『出金キュー』、カテゴリーが両替であるキューを『両替キュー』と称する。詳細に関しては後述するが、キュー管理部53にキュー登録部53Aと状態変更部53Bとが備えられている。
【0041】
詳細に関しては後述するが、照合部54は、貨幣処理装置1において取引を開始する際に、キューの顧客情報を検索し、貨幣処理装置1の利用を開始する顧客の情報がキューの顧客情報にヒットするか否かを照合する。
【0042】
操作用タッチパネルモニタ56に、タッチパネル56A及びモニタ56Bが備えられている。モニタ56Bは出力部55の出力に応じてキューに対応する出力情報を表示する。タッチパネル56Aは、例えば静電容量式のものであって、テラーによる操作に基づいて、モニタ56Bの画面上の座標に対応した入力を受け付ける。
【0043】
出力部55は、例えば情報を出力するモジュールであって、キューに対応する出力情報を、例えば操作用タッチパネルモニタ56のモニタ56B等へ出力する。モニタ56Bには、出力情報として、例えば図5に示す画面が表示される。
【0044】
キュー管理端末5のモニタ56Bに一覧表示されるキュー毎のカテゴリー、取引番号、取引金額、状態等の情報も、出力情報に含まれる。図5に『入金』として示されたキューが入金キューであり、図5に『出金』として示されたキューが出金キューである。窓口Aのテラーは、例えば操作用タッチパネルモニタ56を操作して入金キューと出金キューとの夫々を新たに登録できる。また、入金キューは、貨幣処理装置1において入金処理が実行された際に自動的に登録される。
【0045】
〔貨幣処理システムにおける入金処理〕
本実施形態における貨幣処理システムにおける入金処理の流れを、図6図9に基づいて説明する。図2に示す従来の形態であると貨幣処理装置1はテラーに操作されるのに対し、図6図9に示す実施形態では貨幣処理装置1は顧客に操作される。顧客はまず、貨幣処理装置1で入金の操作を行う(行動#21)。そして顧客は、貨幣処理装置1へ貨幣を投入する(行動#22)。
【0046】
図7のフローチャートで説明すると、顧客が装置側受付部12で入金指定の操作をして、更に装置側受付部12で連絡先電話番号を入力する(ステップ#01)。換言すると装置側受付部12は、顧客の操作に基づいて、顧客を特定する連絡先電話番号の情報を受け付ける。この顧客の操作が行われると、貨幣処理装置1の状態が入金処理を可能な状態に移行して、貨幣処理装置1の取引処理部13は、貨幣が貨幣処理装置1の投入口へ投入されたか否かを判定する(ステップ#02)。顧客が、貨幣処理装置1へ貨幣を投入していない間、ステップ#02の判定はNoとなって、ステップ#02の判定が繰り返される。顧客が貨幣処理装置1へ貨幣を投入すると(ステップ#02:Yes)、図6に示す自動処理#01として、ステップ#03~ステップ#06の処理が自動的に実行される。入金処理は、特許請求の範囲に記載の『取引処理』の一例である。
【0047】
具体的には、装置側受付部12が受け付けた顧客の操作に基づいて取引処理部13が入金処理を実行し(ステップ#03)、印字部14が取引番号票を印字する(ステップ#04)。そして、取引処理部13が実行した入金処理の内容を示す入金情報を、通信部11がキュー管理端末5へ送信する(ステップ#05)。このとき、通信部11は、顧客を特定する連絡先電話番号の情報と入金情報ともにキュー管理端末5へ送信する。入金情報は、特許請求の範囲に記載の『取引情報』の一例である。
【0048】
キュー管理端末5の通信部51は、通信部11から入金情報を受信する。そして、キュー管理部53におけるキュー登録部53Aは、当該入金情報に対応する入金キューを登録する(ステップ#06)。入金キューには、取引番号、入金金額、連絡先電話番号等が紐付けられる。このとき、キュー登録部53Aは、装置側受付部12が受け付けた顧客の連絡先電話番号を含む形態で入金キューを登録する。
【0049】
顧客が図6に示す行動#22を終えた後の入金手続きの流れを、図8に基づいて説明する。顧客が窓口Aで入金申請を行うと(行動#23)、テラーは顧客から通帳、伝票、及び、取引番号票を受け取り(行動#24)、伝票を確認する(行動#25)。
【0050】
キュー管理端末5のモニタ56Bには、図5に示すような入金キュー及び出金キューの一覧が表示される。入金キューの欄には、取引番号、入金額、連絡先電話番号、処理状況(状態)等が表示される。入金キューの状態に、『受付中』と『処理済』とが含まれる。『受付中』は、テラーが確認を行っていない状態を示す。『処理済』は、テラーが確認を行った状態を示す。
【0051】
伝票の確認が完了すると、テラーは、取引番号票に記載された取引番号を確認しながら、当該取引番号と一致する入金キューの欄における処理状況のタッチボタンを押して、入金キューの状態を『処理済』に変更する(行動#26)。
【0052】
行動#26を図9のフローチャートに基づいて説明すると、テラーが操作用タッチパネルモニタ56のタッチパネル56Aを操作して、入金キューの状態を処理済みの操作を行うと(ステップ#11)、キュー管理部53における状態変更部53Bは、選択された入金キューの状態を処理済みに変更する(ステップ#12)。換言すると、テラーが処理すべき入金キューを選択する際のテラーによる操作用タッチパネルモニタ56の操作を端末側受付部52が受け付けると、状態変更部53Bは、端末側受付部52が受け付けた操作によって選択された入金キューの状態を処理済みに変更する。
【0053】
そして出力部55は、端末側受付部52が受け付けた操作によって選択された入金キューに対応する出力情報として、『処理済』の表示をモニタ56Bに出力する。なお、テラーが入金キューを選択し間違えた場合には、処理済みに変更する入金キューを選択し直して訂正することも可能である。
【0054】
テラーが、取引番号票に記載された取引番号に対応する入金キューの状態を処理済に変更すると、テラーは勘定系窓口端末4で勘定処理を行う(行動#27)。これにより、勘定系サーバ6に記憶された口座の情報に口座の入金履歴が追加され、口座残高の情報が更新される。また、顧客の通帳に入金履歴及び口座残高が記帳される。そしてテラーは、通帳を顧客へ返却し(行動#28)、顧客は通帳を受け取る(行動#29)。
【0055】
なお、顧客が図6に示す行動#22を終えた後に、そのまま店舗から立ち去った場合には、入金キューの状態が『受付中』のまま残される。この状態のまま、あらかじめ設定された時間が経過した場合には、例えばモニタ56Bにアラームが表示されたり、ブザーや音声アラームが鳴ったりする構成であっても良い。この場合、例えばテラーや係員が、顧客に対して電話で確認する。
【0056】
〔貨幣処理システムにおける出金処理〕
本実施形態における貨幣処理システムにおける出金処理の流れを、図10図13に基づいて説明する。図3に示す従来の形態であると貨幣処理装置1はテラーに操作されるのに対し、図10図13に示す実施形態では貨幣処理装置1が顧客に操作される。
【0057】
顧客が窓口Aで出金申請を行うと(行動#31)、テラーは顧客から通帳、伝票、本人確認書類を受け取り(行動#32)、伝票確認及び本人確認を行う(行動#33)。伝票確認及び本人確認が完了すると、テラーは、勘定系窓口端末4で勘定処理を行う(行動#34)。このとき、勘定系サーバ6に記憶された口座の情報に口座の出金履歴が追加され、口座残高の情報が更新される。また、顧客の通帳に出金履歴及び口座残高が記帳される。
【0058】
また、テラーは、操作用タッチパネルモニタ56のタッチパネル56Aを操作して出金情報を入力し、出金キューを登録する(行動#35)。このとき、印字装置8から取引番号票が印字される。そしてテラーは、通帳及び本人確認書類を顧客へ返却するとともに取引番号票を顧客へ引き渡し(行動#36)、顧客は通帳、本人確認書類、及び、取引番号票を受け取る(行動#37)。出金情報は、特許請求の範囲に記載の『取引情報』の一例である。
【0059】
テラーが出金キューを登録する行動#35について、図11に基づいて説明する。テラーが出金情報の入力を行うとき、テラーが図5に示す『出金キューの発行』のタッチボタンを押すと、図11に示す画面がモニタ56Bに表示される。そしてテラーは、金額、金種指定の有無、伝票に記載された電話番号等を入力する。伝票に記載された電話番号を、以下、『第一電話番号』と称する。このとき、端末側受付部52は、顧客を特定する第一電話番号等を出金情報とともに受け付ける。このように、端末側受付部52は、顧客が所望する貨幣の出金の内容を示す出金情報を受け付ける。
【0060】
キュー登録部53Aは、端末側受付部52が受け付けた出金情報に対応する出金キューを登録する。テラーが操作用タッチパネルモニタ56のタッチパネル56Aを操作して出金情報の入力を確定させると(ステップ#21)、キュー登録部53Aが出金キューを登録する(ステップ#22)。このとき、キュー登録部53Aは、出金情報と第一電話番号との両方に対応する出金キューを登録する。出金キューには、取引番号、出金金額、金種指定、第一電話番号等が紐付けられる。また、通信部51が印字装置8に対して取引番号票の印字出力を行う(ステップ#23)。取引番号票に取引番号等が記載されている。特許請求の範囲に記載の『第一顧客情報』に、出金キューに対応する第一電話番号が含まれる。
【0061】
顧客が図10に示す行動#37を終えた後の出金手続きの流れを、図12及び図13に基づいて説明する。顧客は、貨幣処理装置1の配置場所へ移動して、貨幣処理装置1で出金の操作を行う(行動#38)。図13のフローチャートで説明すると、顧客が装置側受付部12で出金指定の操作をして、更に、装置側受付部12で、取引番号票に記載された取引番号と、電話番号と、を入力する(ステップ#31)。なお、このときに入力される電話番号は、貨幣処理装置1を操作する人物が窓口Aで出金申請を行った顧客と同一である場合には、伝票に記載された第一電話番号と同じものとなる筈である。装置側受付部12が顧客の操作によって受け付ける電話番号を、以下、『第二電話番号』と称する。換言すると、装置側受付部12は、顧客の操作に基づいて、顧客を特定する取引番号及び第二電話番号を受け付ける。この顧客の操作が行われると、貨幣処理装置1とキュー管理端末5との夫々において、図12に示す自動処理#02として、図13のステップ#32~ステップ#42に示す処理が自動的に実行される。特許請求の範囲に記載の『第二顧客情報』に、装置側受付部12が受け付けた第二電話番号が含まれる。
【0062】
装置側受付部12が、取引番号票に記載された取引番号、及び、第二電話番号の入力を受け付けると(ステップ#31)、通信部11は取引番号及び第二電話番号をキュー管理端末5へ送信し(ステップ#32)、通信部51は通信部11から取引番号及び第二電話番号を受信する(ステップ#33)。
【0063】
キュー管理端末5の通信部51が通信部11から取引番号及び第二電話番号を受信すると、照合部54は、出金待ち状態の出金キューを検索し、通信部51が通信部11から受信した取引番号と同じ取引番号を有する出金キューがヒットするか否かを照合する(ステップ#34)。照合部54による照合は、出金待ちの状態の全ての出金キューを対象に実行される。通信部51が通信部11から受信した取引番号と同じ取引番号を有する出金キューがヒットしなければ(ステップ#34:No)、照合部54は、出金待ちの状態の全ての出金キューとの照合が完了したか否かを判定する(ステップ#35)。出金待ちの状態の全ての出金キューとの照合が完了していなければ(ステップ#35:No)、ステップ#34の判定が繰り返される。即ち、照合部54は、出金キューに対応する取引番号と、通信部51が通信部11から受信した取引番号と、が一致するか否かを照合する。
【0064】
通信部51が通信部11から受信した取引番号と同じ取引番号を有する出金キューがヒットすると(ステップ#34:Yes)、照合部54は、その出金キューに対応する第一電話番号と、通信部51が通信部11から受信した第二電話番号と、が一致するか否かを判定する(ステップ#36)。第一電話番号と第二電話番号とが一致すれば(ステップ#36:Yes)、通信部51は、キュー登録部53Aが登録した出金キューのうち、ヒットした出金キューに対応する取引情報、即ち出金情報を貨幣処理装置1の通信部11へ送信する(ステップ#37)。つまり、通信部51は、顧客が貨幣処理装置1の装置側受付部12で入力した取引番号及び第二電話番号と、出金キューに対応する取引番号及び第一電話番号と、が一致すると、当該取引番号及び第一電話番号に対応する出金情報を貨幣処理装置1へ送信する。
【0065】
一方、通信部51が通信部11から受信した取引番号と同じ取引番号を有する出金キューがヒットせず(ステップ#34:No)、かつ、出金待ちの状態の全ての出金キューとの照合が完了していれば(ステップ#35:Yes)、通信部51は、照合失敗の情報を貨幣処理装置1の通信部11へ送信する(ステップ#38)。また、通信部51が通信部11から受信した取引番号と同じ取引番号を有する出金キューがヒットしても(ステップ#34:Yes)、第一電話番号と第二電話番号とが一致していなければ(ステップ#36:No)、通信部51は、照合失敗の情報を貨幣処理装置1の通信部11へ送信する(ステップ#38)。
【0066】
貨幣処理装置1の通信部11がステップ#32の処理で取引番号及び第二電話番号をキュー管理端末5へ送信した後、貨幣処理装置1は、通信部11がキュー管理端末5から取引情報、即ち出金情報を受信したか否かを判定する(ステップ#39)。なお、ステップ#39では、通信部11がキュー管理端末5から照合失敗の情報を受信したか否かについても判定される。出金情報と照合失敗の情報との何れも受信されていなければ(ステップ#39:No)、ステップ#39の判定が繰り返される。このとき、貨幣処理装置1はキュー管理端末5からのレスポンス待ちの状態となる。
【0067】
通信部11がキュー管理端末5から出金情報を受信したと判定されると(ステップ#39:Yes)、取引処理部13が出金処理を実行する(ステップ#40)。出金処理が完了すると、貨幣処理装置1から貨幣が引き出され、図12の行動#39に示すように、顧客は貨幣処理装置1で貨幣を受け取る。出金処理は、特許請求の範囲に記載の『取引処理』の一例である。
【0068】
一方、通信部11がキュー管理端末5から照合失敗の情報を受信したり、キュー管理端末5からのレスポンス待ちがタイムアウトになったりすると(ステップ#39:照合失敗、タイムアウト)、貨幣処理装置1の出金処理は行われない。このとき、貨幣処理装置1の表示装置(不図示)に、取引失敗のメッセージや、最初から操作をやり直すように促すメッセージ等が表示される。また、貨幣処理装置1から係員へ報知する処理が行われても良い。
【0069】
つまり、取引処理部13は、第一顧客情報(出金キューに対応する第一電話番号)と第二顧客情報(装置側受付部12が受け付けた第二電話番号)とが一致すると照合部54が判定した場合に出金処理を実行し、第一顧客情報と第二顧客情報とが一致しないと照合部54が判定した場合に出金処理を実行しないように構成されている。
【0070】
出金処理が完了すると、通信部11は、出金処理が完了したことを示す完了情報をキュー管理端末5へ送信する(ステップ#41)。キュー管理端末5の通信部51は、当該完了情報を通信部11から受信する。そして状態変更部53Bは、通信部51が受信した完了情報に対応する出金キューの状態を処理済みに変更する(ステップ#42)。また、出力部55は処、理済みに変更された出金キューの情報をモニタ56Bへ出力し、モニタ56Bに、当該出金キューの状態表示として『出金済』が表示される。
【0071】
このように、貨幣処理装置1の取引処理部13は、通信部11が受信した取引情報と、装置側受付部12が受け付けた操作と、の両方に基づいて出金処理を実行する。
【0072】
なお、顧客が図10に示す行動#37を終えた後に、そのまま店舗から立ち去った場合には、出金キューの状態が『出金待』のまま残される。この状態のまま、あらかじめ設定された時間が経過した場合には、例えばモニタ56Bにアラームが表示されたり、ブザーや音声アラームが鳴ったりする構成であっても良い。この場合、例えばテラーや係員が、顧客に対して電話で確認する。
【0073】
〔勘定系窓口端末と簡易接続した貨幣処理システムの構成〕
図14に示す貨幣処理システムについて説明する。図14に示す勘定系窓口端末4は、上述した不図示の貨幣入出金機を接続対象とするローカル通信線と同一のローカル通信線を介してキュー管理端末5と接続される。なお、この構成においても、貨幣処理装置1及びキュー管理端末5は行内ネットワークに接続されていないが、行内ネットワークと接続され、かつ、勘定系窓口端末4や勘定系サーバ6等を含む他機器と連携しない構成であっても良い。キュー管理端末5は、勘定系窓口端末4に付随して使用される貨幣入出金機を模倣するエミュレータとしての機能を有し、勘定系窓口端末4とローカル通信線を介して通信可能に構成されている。
【0074】
テラーが勘定系窓口端末4を操作すると、勘定系窓口端末4から出金指令や入金指令のコマンドが送出される。キュー管理端末5の端末側受付部52は、勘定系窓口端末4から出金指令や入金指令のコマンドを受け付ける。この出金指令や入金指令のコマンドは、勘定系窓口端末4が付随の貨幣入出金機へ送信するコマンドと同じであって、通信プロトコルも同じである。つまり、端末側受付部52キューの処理または登録に関するテラーの操作を勘定系窓口端末4から受け付ける。
【0075】
キュー管理端末5の出力部55は、勘定系窓口端末4から送られた出金指令や入金指令のコマンドに対する返信情報を勘定系窓口端末4へ出力する。この返信情報は、勘定系窓口端末4に付随して使用される貨幣入出金機が勘定系窓口端末4へ送信する情報と同じであって、通信プロトコルにも変更は無い。つまり、出力部55は、口座の情報を更新する出力情報を勘定系窓口端末4へ出力する。
【0076】
即ち、図14に示すキュー管理端末5は、勘定系窓口端末4に付随して使用される貨幣入出金機を模倣するエミュレータとしても兼用される。このため、勘定系窓口端末4は、貨幣入出金機に対して送信するコマンドと同じコマンドを送信し、かつ、貨幣入出金機から受信する情報と同じ情報を受信すれば良く、勘定系窓口端末4のソフトウェアを変更する必要が無い。
【0077】
キュー管理端末5における通信部51、キュー管理部53、照合部54、及び、操作用タッチパネルモニタ56の構成は、図4に基づいて上述した通りである。また、貨幣処理装置1及び印字装置8の構成も、図4に基づいて上述した通りである。
【0078】
〔勘定系窓口端末と簡易接続した貨幣処理システムにおける入金処理〕
本実施形態における貨幣処理システムにおける入金処理の流れを説明する。顧客はまず、図6に基づいて上述した通りの入金操作を行う。そして、図7に基づいて上述した通り、入金キューが登録される。
【0079】
顧客が図6に示す行動#22を終えた後の入金手続きの流れを、図15及び図16に基づいて説明する。顧客が窓口Aで入金申請を行うと(行動#41)、テラーは顧客から通帳、伝票、及び、取引番号票を受け取り(行動#42)、伝票を確認する(行動#43)。
【0080】
キュー管理端末5のモニタ56Bには、図5に示すような入金キュー及び出金キューの一覧が表示される。入金キューの欄には、取引番号、入金額、処理状況(状態)等が表示される。入金キューの状態に、『受付中』と『処理済』とが含まれる。『受付中』は、テラーが確認を行っていない状態を示す。『処理済』は、テラーが確認を行った状態を示す。
【0081】
伝票の確認が完了すると、テラーは、勘定系窓口端末4で勘定処理、具体的には入金操作を行う(行動#44)。テラーの入金操作によって、勘定系窓口端末4からキュー管理端末5へ入金指令のコマンドが送信される。
【0082】
入金指令のコマンドが勘定系窓口端末4からキュー管理端末5へ送信されると、図15に示す自動処理#03として、図16に示すステップ#52~ステップ#55の処理が実行される。
【0083】
図16のフローチャートに基づいて説明すると、端末側受付部52が勘定系窓口端末4から入金指令のコマンドを受け付けると(ステップ#51)、出力部55はモニタ56Bに、受付中状態の入金キューの一覧を表示する(ステップ#52)。これにより、テラーは、処理するべき入金キューをモニタ56Bで容易に見つけられる。そして、図16の行動#45に示すように、テラーは、取引番号票に記載された取引番号を確認しながら、当該取引番号と一致する入金キューの欄における処理状況のタッチボタンを押して、入金キューの状態を『処理済』に変更する。
【0084】
行動#45を図16のフローチャートに基づいて説明すると、テラーが操作用タッチパネルモニタ56を操作して処理済みの操作を行ったか否かが判定される(ステップ#53)。換言すると、端末側受付部52が操作用タッチパネルモニタ56の操作を受け付けたか否かが判定される。端末側受付部52が操作用タッチパネルモニタ56の操作を受け付けていなければ(ステップ#53:No)、ステップ#53の判定が繰り返される。
【0085】
テラーが操作用タッチパネルモニタ56のタッチパネル56Aを操作して、入金キューの状態を処理済みに変更する操作を行うと(ステップ#53:Yes)、キュー管理部53における状態変更部53Bは、選択された入金キューの状態を処理済みに変更する(ステップ#54)。入金キューには貨幣処理装置1が受け付けた入金金額が紐付けられている。このため、出力部55は、端末側受付部52がテラーから受け付けた操作によって選択された入金キューに対応する入金金額の情報を勘定系窓口端末4へ送信する(ステップ#55)。ステップ#55の処理は、キュー管理端末5が、勘定系窓口端末4に付随して使用される貨幣入出金機と同じように振る舞っている疑似的な通信処理である。キュー管理端末5は、勘定系窓口端末4に付随して使用される貨幣入出金機を模倣するエミュレータとして機能する。このため、勘定系窓口端末4は、出力部55から入金情報を受け取ることによって、貨幣入出金機が入金処理を完了したものと認識する。これにより、テラーが勘定系窓口端末4に入金金額を手入力しなくても、取引口座の入金金額が自動的に勘定系窓口端末4に入力される。
【0086】
また、出力部55は、端末側受付部52が受け付けた操作によって選択された入金キューに対応する出力情報として、当該入金キューの状態を『処理済』に表示するようにモニタ56Bに出力する。なお、テラーが入金キューを選択し間違えた場合には、処理済みに変更する入金キューを選択し直して訂正することも可能である。
【0087】
テラーが、取引番号票に記載された取引番号に対応する入金キューの状態を処理済に変更し、入金金額が自動的に勘定系窓口端末4に入力されると、勘定系サーバ6に記憶された口座の情報に口座の入金履歴が追加され、口座残高の情報が更新される。そしてテラーは勘定系窓口端末4で勘定処理を行って、顧客の通帳に入金履歴及び口座残高を記帳する(行動#46)。そしてテラーは、通帳を顧客へ返却し(行動#47)、顧客は通帳を受け取る(行動#48)。
【0088】
〔勘定系窓口端末と簡易接続した貨幣処理システムにおける出金処理〕
本実施形態における貨幣処理システムにおける出金処理の流れを、図17及び図18に基づいて説明する。顧客が窓口Aで出金申請を行うと(行動#51)、テラーは顧客から通帳、伝票、本人確認書類を受け取り(行動#52)、伝票確認及び本人確認を行う(行動#53)。伝票確認及び本人確認が完了すると、テラーは、勘定系窓口端末4で勘定処理を行う(行動#54)。
【0089】
図17の行動#54で示す勘定処理はテラーの出金操作であって、テラーの出金操作が行われると、勘定系窓口端末4からキュー管理端末5へ出金指令のコマンドが送信される。勘定系窓口端末4からキュー管理端末5へ出金指令のコマンドが送信されると、図17に示す自動処理#04として、図18に示すステップ#61~ステップ#64の処理が実行される。
【0090】
図18のフローチャートに基づいて説明すると、キュー管理端末5の端末側受付部52が勘定系窓口端末4から出金指令のコマンドを受け付けると(ステップ#61)、出金指令のコマンドの他に、勘定系窓口端末4から端末側受付部52へ出金金額、金種、金種指定の有無、等が送信される。
【0091】
端末側受付部52が勘定系窓口端末4から出金指令のコマンドとともに一通りの必要な情報を受け付けると、キュー登録部53Aが出金キューを登録する(ステップ#62)。また、テラーは、操作用タッチパネルモニタ56のタッチパネル56Aを操作して、当該自動登録が実行された出金キューを選択し、伝票に記載された電話番号(上述の第一電話番号)を追加で入力する。なお、第一電話番号は、勘定系窓口端末4から端末側受付部52へ出金金額等と一緒に送信される構成であっても良い。そして、通信部51が印字装置8に対して取引番号票の印字出力を行う(ステップ#63)。取引番号票に取引番号等が記載されている。このように、図17の行動#54で示す勘定処理が行われると、キュー管理端末5において出金キューの自動登録が実行される。そして、出金キューには、取引番号、出金金額、金種指定、第一電話番号等が紐付けられる。
【0092】
キュー管理端末5において出金キューの自動登録が実行されると、出力部55は、勘定系窓口端末4へ出金処理完了の情報を自動的に送信する(ステップ#64)。ステップ#64の処理は、キュー管理端末5が、勘定系窓口端末4に付随して使用される貨幣入出金機と同じように振る舞っている疑似的な通信処理である。キュー管理端末5は、勘定系窓口端末4に付随して使用される貨幣入出金機を模倣するエミュレータとして機能する。このため、勘定系窓口端末4は、出力部55から出金処理完了の情報を受け取ることによって、貨幣入出金機が出金処理を完了したものと認識して、出金処理を正常に完了する。このとき、勘定系サーバ6に記憶された口座の情報に口座の出金履歴が追加され、口座残高の情報が更新される。また、顧客の通帳に出金履歴及び口座残高が追記される。
【0093】
キュー管理端末5において出金キューの自動登録が実行されると、印字装置8から取引番号票が印字される。そしてテラーは、通帳及び本人確認書類を顧客へ返却するとともに取引番号票を顧客へ引き渡し(行動#55)、顧客は通帳、本人確認書類、及び、取引番号票を受け取る(行動#56)。
【0094】
顧客が図17に示す行動#56を終えた後の出金手続きの流れは、図12及び図13に基づいて上述した通りである。
【0095】
〔実施形態の作用効果〕
本開示では、顧客に操作される貨幣処理装置1と、顧客への応対を行うための窓口Aに配置されてテラーに操作されるとともに貨幣処理装置1と通信可能なキュー管理端末5と、が備えられている。また、貨幣処理装置1に、顧客から貨幣の取引の操作を受け付ける装置側受付部12と、装置側受付部12が受け付けた操作に基づいて取引処理を実行する取引処理部13と、が備えられている。更に、取引処理部13が実行した取引処理に対応するキューを登録するキュー登録部53Aと、キュー管理端末5に設けられ、キュー登録部53Aが登録したキューに対応する出力情報を出力する出力部55と、が備えられている。
【0096】
上記構成であれば、顧客が操作に基づいて貨幣処理装置1で取引処理が実行され、当該取引処理に対応するキューが出力情報としてキュー管理端末5で出力される。このため、貨幣処理装置1が、行内ネットワークで他の機器と連携していなくてもキュー管理端末5と連携していれば、テラーは、貨幣処理装置1でどのような取引が処理されたのかを当該出力情報に基づいて確認し、事後処理を適切に行える。また、顧客の操作によって貨幣処理装置1で取引処理が実行されている間に、テラーは他の作業に専念できる。これにより、顧客が操作する貨幣処理装置1において、導入コストの低減と、係員の対応負担の軽減と、を両立できる。
【0097】
本開示では、装置側受付部12は、顧客の操作に基づいて、顧客を特定する情報を受け付けるように構成され、キュー登録部53Aは、装置側受付部12が受け付けた情報を含む形態でキューを登録するように構成されている。
【0098】
上記構成によって、キューに顧客の特定情報が紐付けられ、テラーは容易に本人確認を行える。また、貨幣処理装置1における顧客の操作に不都合が判明した場合、テラーは顧客に対して容易に連絡できる。
【0099】
本開示では、キュー管理端末5に、処理すべきキューを選択するテラーの操作を受け付ける端末側受付部52が設けられ、端末側受付部52が受け付けた操作によって選択されたキューの状態を処理済みに変更する状態変更部53Bが備えられている。
【0100】
上記構成であれば、窓口Aのテラーが、貨幣処理装置1で実行された取引処理に対する事後処理を済ませたら、当該取引処理に対応するキューを、そのまま処理済みに変更できる。このため、窓口Aのテラーが一層円滑に作業を進められる。
【0101】
本開示では、出力部55は、端末側受付部52が受け付けた操作によって選択されたキューに対応する出力情報を出力するように構成されている。
【0102】
上記構成であれば、複数のキューが存在する場合であっても、テラーによって選択されたキューの出力情報が出力される。このため、テラーは処理済みに変更されたキューを容易に確認できる。
【0103】
本開示では、キュー管理端末5に、勘定系窓口端末4から入金に関するキューの処理の開始の指示を受け付ける端末側受付部52が備えられ、出力部55は、入金の完了及び入金額を示す出力情報を勘定系窓口端末4へ出力するように構成されている。
【0104】
上記構成であれば、キュー管理端末5が勘定系窓口端末4から入金指示を受け付けて、出力部55が入金額を示す出力情報を勘定系窓口端末4へ出力する。この構成であれば、貨幣処理装置1と勘定系窓口端末4との間にキュー管理端末5が介在するため、テラーは勘定系窓口端末4を操作すれば容易に入金処理の手続きを行える。これにより、窓口Aのテラーが一層円滑に入金手続きを進められる。
【0105】
本開示では、顧客に操作される貨幣処理装置1と、顧客への応対を行うための窓口Aに配置されてテラーに操作されるとともに貨幣処理装置1と通信可能なキュー管理端末5と、が備えられている。また、キュー管理端末5に、テラーからの入力に基づいて、顧客が所望する貨幣の取引の内容を示す取引情報を受け付ける端末側受付部52が設けられ、端末側受付部52が受け付けた取引情報に対応するキューを登録するキュー登録部53Aが備えられている。更に、貨幣処理装置1に、顧客から操作を受け付ける装置側受付部12と、キュー登録部53Aが登録したキューと装置側受付部12が受け付けた操作との両方に基づいて取引処理を実行する取引処理部13と、が備えられている。
【0106】
上記構成であれば、貨幣処理装置1が顧客に操作される前に、テラーの操作に基づいてキューが登録される。そして、キュー登録部53Aが登録したキューと装置側受付部12が受け付けた操作との両方に基づいて取引処理が実行される。このため、貨幣処理装置1が、行内ネットワークで他の機器と連携していなくてもキュー管理端末5と連携していれば、テラーが事前に本人確認や勘定処理を行ったうえで、顧客に操作される貨幣処理装置1での取引処理を許可することが可能となる。また、顧客の操作によって貨幣処理装置1で取引処理が実行されている間に、テラーは他の作業に専念できる。これにより、顧客が操作する貨幣処理装置1において、導入コストの低減と、係員の対応負担の軽減と、を両立できる。
【0107】
本開示では、端末側受付部52は、顧客を特定する第一顧客情報を取引情報とともに受け付けるように構成され、キュー登録部53Aは、取引情報と第一顧客情報との両方に対応するキューを登録するように構成されている。
【0108】
上記構成であれば、キューに顧客を特定する第一顧客情報が紐付けられる。このため、取引処理部13が、キューと装置側受付部12が受け付けた操作との両方に基づいて取引処理を実行する際に、顧客の情報を容易に取得できる。これにより、貨幣処理装置1の不正使用に対する抑止力が一層高まる。
【0109】
本開示では、装置側受付部12は、顧客の操作に基づいて、顧客を特定する第二顧客情報を受け付けるように構成され、キューに対応する第一顧客情報と、装置側受付部12が受け付けた第二顧客情報と、を照合する照合部54が備えられ、取引処理部13は、第一顧客情報と第二顧客情報とが一致すると照合部54が判定した場合に取引処理を実行し、第一顧客情報と第二顧客情報とが一致しないと照合部54が判定した場合に取引処理を実行しないように構成されている。
【0110】
上記構成であれば、第一顧客情報と第二顧客情報とが一致する場合のみに取引処理が実行される。このため、顧客の操作の間違いによる不意な取引処理が実行されずに済む。また、貨幣処理装置1の不正使用に対する抑止力が一層高まる。
【0111】
本開示では、取引処理が完了すると、取引処理が完了したことを示す完了情報を送信する通信部11が貨幣処理装置1に設けられ、通信部11が送信した完了情報に対応するキューの状態を処理済みに変更する状態変更部53Bがキュー管理端末5に設けられている。
【0112】
上記構成であれば、貨幣処理装置1の取引処理が完了したことを示す完了情報に基づいて、キューの状態が処理済みに変更される。これにより、テラーは当該キューに対応する取引の完了を容易に確認できる。
【0113】
本開示では、端末側受付部52は、取引情報を勘定系窓口端末4から受け付けるように構成され、キューの登録に応じて出力情報を勘定系窓口端末4へ出力する出力部55がキュー管理端末5に設けられている。
【0114】
上記構成であれば、キュー管理端末5が勘定系窓口端末4から取引情報を受け付けて、出力部55がキューの登録に応じて出力情報を勘定系窓口端末4へ出力する。この構成であれば、貨幣処理装置1と勘定系窓口端末4との間にキュー管理端末5が介在するため、テラーは勘定系窓口端末4を操作すれば容易に、貨幣処理装置1の取引処理のためのキューを登録できる。これにより、窓口Aのテラーが一層円滑に作業を進められる。
【0115】
〔別実施形態〕
本開示は、上述の実施形態に例示された構成に限定されるものではなく、以下、本開示の代表的な別実施形態を例示する。
【0116】
(1)上述の貨幣処理装置1は、入金処理と出金処理との両方を可能に構成されている。この実施形態に限定されず、貨幣処理装置1は、入金専用の装置であっても良いし、出金専用の装置であっても良い。また、入金専用の貨幣処理装置1と、出金専用の貨幣処理装置1と、両替専用の貨幣処理装置1と、の夫々が、キュー管理端末5と接続されている構成であっても良い。
【0117】
(2)図10図14図17、及び、図18に基づいて上述した実施形態では、出金手続きの場合を例示しているが、例えば両替手続きや指定入金手続きであっても良い。顧客が両替手続きを行う場合には、両替キューが登録され、貨幣処理装置1は両替キューに基づいて両替処理(取引処理)を実行する構成であっても良い。指定入金とは、例えばローンの返済手続きや他口座への送金手続きを行う際に、口座に指定金額の入金を行うことである。この場合にも、指定入金キューが登録され、貨幣処理装置1は指定入金キューに基づいて入金処理(取引処理)を実行する構成であっても良い。
【0118】
(3)図6及び図7に示す実施形態では、顧客が貨幣処理装置1に入金する際に、装置側受付部12は、顧客を特定する情報として、連絡先電話番号の入力を受け付ける。この実施形態に限定されず、貨幣処理装置1に通帳リーダやキャッシュカードリーダが備えられ、顧客が貨幣処理装置1で入金する際に、通帳またはキャッシュカードをリーダに読み込ませる構成であっても良い。この場合、装置側受付部12は、顧客を特定する情報として、通帳またはキャッシュカードの情報を受け付ける構成となる。また、キューに、通帳またはキャッシュカードの情報が紐付けられる構成であっても良い。更に、貨幣処理装置1に指紋センサや顔認証用のカメラ等が備えられ、顧客が貨幣処理装置1で入金する際に、指紋認証や顔認証を受ける構成であっても良い。この場合、装置側受付部12は、顧客を特定する情報として、指紋と顔との少なくとも一つの情報を受け付ける構成となる。また、キューに、指紋情報や顔情報が紐付けられる構成であっても良い。
【0119】
(4)上述の実施形態では、第一顧客情報は、出金キューに対応する第一電話番号であって、第二顧客情報は装置側受付部12が受け付けた第二電話番号である。この実施形態に限定されず、例えば、第一顧客情報は、出金キューに対応する所有物情報(顧客の通帳やキャッシュカードの情報)、知識情報(顧客の電話番号やパスワード等)または生体情報(顧客の指紋情報や顔情報等)であって、第二顧客情報は、装置側受付部12が受け付ける所有物情報、知識情報、または生体情報であっても良い。貨幣処理装置1及び窓口Aには、照合に用いられる情報の種別に対応する、情報を取得するための装置(文字等の入力装置、通帳等の読取装置、生体情報の読取装置)が備えられる。なお、照合に複数の種別の情報(例えば、所有物情報と知識情報、知識情報と生体情報など)が用いられるように、貨幣処理システムが構成されても良い。
【0120】
(5)上述の実施形態では、取引番号票に取引番号等が記載される。取引番号の記載の形態は任意であり、数字等の文字列であっても良いし、バーコードや2次元コード等であっても良い。貨幣処理装置1には、取引番号の記載の形態に対応する入力装置(文字列の入力装置、バーコードや2次元コード等の読取装置など)が備えられる。
【0121】
(6)上述の実施形態では、キュー管理部53、及び、照合部54がキュー管理端末5に備えられているが、この実施形態に限定されない。例えば、キュー管理部53と照合部54との少なくとも一つが、別途専用の端末に備えられ、当該専用の端末とキュー管理端末5とが通信する構成であっても良い。また、キュー管理部53と照合部54との少なくとも一つが、例えばクラウドに備えられたり、貨幣処理装置1に備えられたりしても良い。更に、複数のキュー管理端末5が備えられ、複数のキュー管理端末5の一つがマスター端末として構成され、当該マスター端末のみにキュー管理部53、及び、照合部54が備えられる構成であっても良い。この場合、キュー管理部53を備えない複数のキュー管理端末5の夫々が、当該マスター端末のキュー登録部53Aにアクセスして、アクセスして出金キューや入金キューや両替キュー等を登録する構成であっても良い。また、この場合、キュー管理部53を備えない複数のキュー管理端末5の夫々が、当該マスター端末の状態変更部53Bにアクセスして、処理すべき入金キューの状態を処理済みに変更する構成であっても良い。
【0122】
(7)上述の貨幣処理システムでは、貨幣処理プログラムが実行される。図7のステップ#01に示すように、顧客に操作される貨幣処理装置1に実装され、顧客から貨幣の取引の操作を受け付ける装置側受付部12の機能は、特許請求の範囲に記載の『処理装置側受付機能』に相当する。図7のステップ#03に示すように、貨幣処理装置1に実装され、処理装置側受付機能が受け付けた操作に基づいて取引処理を実行する取引処理部13の機能は、特許請求の範囲に記載の『取引処理機能』に相当する。図7のステップ#05に示すように、貨幣処理装置1に実装され、取引処理機能が実行した取引処理の内容を示す取引情報を送信する通信部11の機能は、特許請求の範囲に記載の『処理装置側通信機能』に相当する。図7のステップ#06に示すように、処理装置側通信機能が送信した取引情報に対応するキューを登録するキュー登録部53Aの機能は、特許請求の範囲に記載の『キュー登録機能』に相当する。図4及び図5に示すように、キュー管理端末5に実装され、キュー登録機能が登録したキューに対応する出力情報を出力する出力部55の機能は、特許請求の範囲に記載の『出力機能』に相当する。
【0123】
(8)上述の貨幣処理システムでは、貨幣処理プログラムが実行される。図11のステップ#21、及び、図18のステップ#61に示すように、キュー管理端末5に実装され、テラーからの入力に基づいて、顧客が所望する貨幣の取引の内容を示す取引情報を受け付ける端末側受付部52の機能は、特許請求の範囲に記載の『端末側受付機能』に相当する。図11のステップ#22、及び、図18のステップ#62に示すように、端末側受付機能が受け付けた取引情報に対応するキューを登録するキュー登録部53Aの機能は、特許請求の範囲に記載の『キュー登録機能』に相当する。図13のステップ#31に示すように、貨幣処理装置1に実装され、顧客から操作を受け付ける装置側受付部12の機能は、特許請求の範囲に記載の『処理装置側受付機能』に相当する。図13のステップ#40に示すように、貨幣処理装置1に実装され、キュー登録機能が登録したキューと処理装置側受付機能が受け付けた操作との両方に基づいて取引処理を実行する取引処理部13の機能は、特許請求の範囲に記載の『取引処理機能』に相当する。
【0124】
なお、上述の実施形態(別実施形態を含む、以下同じ)で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用することが可能である。また、本明細書において開示された実施形態は例示であって、本開示の実施形態はこれに限定されず、本開示の目的を逸脱しない範囲内で適宜改変することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0125】
本開示は、貨幣処理システム、及び、貨幣処理プログラムに適用できる。
【符号の説明】
【0126】
1 :貨幣処理装置
4 :勘定系窓口端末(勘定系処理装置)
5 :キュー管理端末(管理端末装置)
11 :通信部(処理装置側通信部)
12 :装置側受付部(処理装置側受付部)
13 :取引処理部
52 :端末側受付部
53A :キュー登録部
53B :状態変更部
54 :照合部
55 :出力部
A :窓口
図1
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