(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025033458
(43)【公開日】2025-03-13
(54)【発明の名称】額縁及び額縁セット
(51)【国際特許分類】
A47G 1/06 20060101AFI20250306BHJP
【FI】
A47G1/06 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023139183
(22)【出願日】2023-08-29
(71)【出願人】
【識別番号】323009760
【氏名又は名称】古賀 伸二
(74)【代理人】
【識別番号】100156959
【弁理士】
【氏名又は名称】原 信海
(72)【発明者】
【氏名】古賀 伸二
【テーマコード(参考)】
3B111
【Fターム(参考)】
3B111BA03
3B111BC01
3B111BC02
3B111BD01
3B111BE03
(57)【要約】
【課題】 対象物の入れ替え又は配置位置の変更作業を円滑に実施することができ、更に、複数の対象物を配置する場合であっても位置ずれの発生を防止することができる額縁セットに適用する額縁、及び該額縁を備える額縁セットを提供する。
【解決手段】 周縁部に立設された縁壁部31の内側の保持領域33に、磁性体をシート状又は板状に成形してなる支持部材が取り付けてあり、対象物Mを保護する透明な保護部材4が縁壁部31に着脱可能に内嵌されている。この保護部材4の縁部には、支持部材6に磁着させる第1磁着体を設けてなるフレーム部材5,5,…が取り付けてある。また、対象物Mの裏面に固着され、支持部材に着脱可能に磁着させる第2磁着体を備えている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
周縁部に縁壁部が立設してあり、該縁壁部の内側を、対象物を保持するための保持領域になした額縁本体と、前記縁壁部に内嵌されて、保持領域内の対象物を保護する透明な保護部材とを有し、前記対象物及び保護部材を着脱可能になした額縁セットに適用される額縁であって、
前記保持領域の底部に、磁性体をシート状又は板状に成形してなる支持部材が取り付けてあり、
前記保護部材の縁部には、前記支持部材に磁着させる第1磁着体、並びに該第1磁着体及び前記縁部を覆うフレーム部材が取り付けてある
ことを特徴とする額縁。
【請求項2】
前記フレーム部材は端面視がコ字状をなしており、コ字状を形成する両側壁の内の他方の側壁の内面側に前記第1磁着体が固定してある請求項1記載の額縁。
【請求項3】
前記第1磁着体は帯状に成形してある請求項2記載の額縁。
【請求項4】
前記他方の側壁には1又は複数の凹部が設けてあり、当該凹部内に前記第1磁着体が嵌合固定してある請求項2記載の額縁。
【請求項5】
前記保護部材の縁部から、当該保護部材を縁壁部から引き出すための引出し部材が延設してある請求項1から4のいずれかに記載の額縁。
【請求項6】
周縁部に縁壁部が立設してあり、該縁壁部の内側を、対象物を保持するための保持領域になした額縁本体と、前記縁壁部に内嵌されて、保持領域内の対象物を保護する透明な保護部材とを有する額縁を備え、前記対象物及び保護部材を着脱可能になした額縁セットであって、
請求項1から4のいずれかに記載の額縁と、
前記対象物の裏面に貼着され、前記支持部材に着脱可能に磁着させる第2磁着体と
を備えることを特徴とする額縁セット。
【請求項7】
前記第2磁着体の厚さ寸法は、少なくともフレーム部材の前記他方の側壁の厚さ寸法より小さくしてある請求項6記載の額縁セット。
【請求項8】
前記第2磁着体は、前記支持部材に着脱可能に磁着させる磁着本体と、帯状のシート部材とを具備し、
前記磁着本体の一面には、前記対象物に貼着させるための貼着層が設けてあり、
該磁着本体の他面には、前記シート部材の一端側の部分が固着してあり、
該シート部材は、それを屈折させて、当該シート部材の他端側の部分を前記貼着層に着脱可能に貼着させるように構成してある
請求項7記載の額縁セット。
【請求項9】
前記第2磁着体は、前記支持部材に着脱可能に磁着させる磁着本体と、帯状のシート部材とを具備し、
前記シート部材の一端側の部分は磁着本体に固着してあり、シート部材の一端側の部分の磁着本体に固着させた面とは反対側の面には、前記対象物に貼着させるための貼着層が設けてあり、
該シート部材は、それを屈折させて、当該シート部材の他端側の部分を前記貼着層に着脱可能に貼着させるように構成してある
請求項7記載の額縁セット。
【請求項10】
前記シート部材は、当該シート部材の他端側の部分を前記貼着層に貼着させたとき、シート部材の他端部が磁着本体の縁から延出するように構成してある請求項8記載の額縁セット。
【請求項11】
前記シート部材は、当該シート部材の他端側の部分を前記貼着層に貼着させたとき、シート部材の他端部が、当該シート部材の一端部の縁から延出するように構成してある請求項9記載の額縁セット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、写真、賞状又は切り抜き等の対象物を保持するための額縁、及び該額縁を備える額縁セットに関する。
【背景技術】
【0002】
額縁は、適宜の厚さを有する環状の額縁本体を具備してなり、額縁本体の開口部であって、当該額縁本体の前面側には、ガラス製又は樹脂製の透明な保護部材が固着してある。また、額縁本体の開口部であって、当該額縁本体の後面側には、裏板が着脱可能に嵌合してあり、該裏板は、額縁本体の後面に、当該額縁本体の開口部に臨ませて回動可能に取り付けられたトンボと称される複数の押さえ部材によって固定されている。
【0003】
このような額縁にあっては、各押さえ部材を回動させて、裏板を額縁本体の開口から取り外し、その状態で保護部材上の適宜位置に、写真、賞状又は切り抜き等の対象物を配置した後、裏板を額縁本体の開口に嵌合させることによって裏板と保護部材との間に前記対象物を挟持させ、再び各押さえ部材を回動させて、裏板を固定していた。
【0004】
しかし、かかる額縁において対象物の入れ替え又は配置位置の変更を行う場合、複数の押さえ部材をそれぞれ回動させて裏板を額縁本体の開口から取り外し、保護部材上に配置された対象物の入れ替え又は配置位置の変更を行った後、裏板を額縁本体の開口に嵌合させ、再び各押さえ部材を回動させて裏板を固定しなければならず、対象物の入れ替え又は配置位置の変更作業が煩雑であった。また、裏板を額縁本体の開口から取り外した状態にあっては、保護部材上の対象物はその裏面が表側になっているため、例えば複数の対象物の中の特定の対象物を入れ替え又は配置位置を変更する場合、どの対象物が特定の対象物であるかを判別し難いという問題もあった。
【0005】
そのため後記する特許文献1には次のような額縁が開示されている。
図9は特許文献1に開示された額縁の分解正面図であり、図中、130は所定の厚さを有する板状の額縁本体である。
【0006】
正面視が縦長長方形状の額縁本体130の正面であって、矩形環状の縁壁部133を除く中央側の領域は、縁壁部133の厚さより薄くなして、対象物を保持する凹状の保持領域134が形成してあり、この保持領域134の四隅にはそれぞれ、第1磁石131~131が埋設してある。また、保持領域134の適宜位置には該保持領域134の底面を貫通する貫通孔139が開設してある。
【0007】
一方、かかる額縁は、保持領域134の内寸と略同じ外寸になしてあり、保持領域134に保持された対象物を保護するガラス製の保護部材140を備えており、この保護部材140は、額縁本体130の前記保持領域134に内嵌させるようになっている。保護部材140の保持領域134に対向させる側の面であって、当該保護部材140の四隅にはそれぞれ第2磁石142~142が、前記第1磁石131~131に対向するように固定してある。
【0008】
このような額縁にあっては、対象物の表面を表側にして、当該対象物を保持領域134の底面の適宜位置に配置した後、保護部材140を保持領域134に内嵌させる。前述した如く、保持領域134の四隅に第1磁石131~131が埋設してあり、また、保護部材140の四隅に第2磁石142~142が、前記第1磁石131~131に対向するように固定してあるため、保護部材140の第2磁石142~142が、それらに対向する第1磁石131~131にそれぞれ磁着し、保護部材140が額縁本体130にワンタッチで固定されるとともに、保持領域134の底面に配置された対象物が、当該底面と保護部材140との間に挟持される。
【0009】
このとき、対象物を額縁本体130の保持領域134の底面の適宜位置に配置するに当たって、前述した如く対象物の表面を表側にして作業することができるため、例えば複数の対象物の中の特定の対象物を入れ替え又は配置位置を変更する場合、どの対象物が特定の対象物であるかを容易に判別することができる。
【0010】
一方、対象物の入れ替え又は配置位置の変更を行う場合、額縁本体130の底面に設けた貫通孔139内へ指を挿入して保護部材140に押圧を印加し、額縁本体130の保持領域134に埋設された第1磁石131~131から保護部材140の第2磁石142~142を脱離させることによって、額縁本体130の保持領域134から保護部材140をワンタッチで抜出させる。
【0011】
このように、額縁本体130に保護部材140を固定させる操作、及び額縁本体130から保護部材140を抜出させる操作をワンタッチで行うことができるため、対象物の入れ替え又は配置位置の変更作業を円滑に実施することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかしながら、特許文献1に開示された額縁にあっては、保護部材140の四隅に固定された第2磁石142~142と当該保護部材140とは面一ではなく、第2磁石142~142が保護部材140から突出しているため、保護部材140と額縁本体130の保持領域134の底面との間には間隙が生じており、従って、額縁を傾け又は回動等させた際に、保護部材140と保持領域134の底面との間に挟持された対象物の位置がずれるという問題があった。かかる問題は、保持領域134の底面上に複数の対象物を配置する場合により顕著に生じていた。
【0014】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであって、対象物の入れ替え又は配置位置の変更作業を円滑に実施することができ、更に、複数の対象物を配置する場合であっても位置ずれの発生を防止することができる額縁セットに適用する額縁、及び該額縁を備える額縁セットを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0015】
(1)本発明に係る額縁は、周縁部に縁壁部が立設してあり、該縁壁部の内側を、対象物を保持するための保持領域になした額縁本体と、前記縁壁部に内嵌されて、保持領域内の対象物を保護する透明な保護部材とを有し、前記対象物及び保護部材を着脱可能になした額縁セットに適用される額縁であって、前記保持領域の底部に、磁性体をシート状又は板状に成形してなる支持部材が取り付けてあり、前記保護部材の縁部には、前記支持部材に磁着させる第1磁着体、並びに該第1磁着体及び前記縁部を覆うフレーム部材が取り付けてあることを特徴とする。
【0016】
本発明の額縁にあっては、周縁部に縁壁部が立設してあり、該縁壁部の内側を、対象物を保持するための保持領域になした額縁本体と、前記縁壁部に内嵌されて、保持領域内の対象物を保護する透明な保護部材とを有する。
【0017】
前述した保持領域の底部には、磁性体をシート状又は板状に成形してなる支持部材が取り付けてある。一方、前述した保護部材の縁部には、支持部材に磁着させる第1磁着体、並びに該第1磁着体及び前記縁部を覆うフレーム部材が取り付けてあり、これによって、保護部材は支持部材に着脱可能に支持される。ここで、本発明において着脱可能とは、額縁本体の縁壁部に内嵌された保護部材を額縁本体から脱離結合させ得ること、及び、保護部材を額縁本体に対して開閉させ得ることの両方を含むものとする。
【0018】
後述するように本発明に係る額縁セットは、支持部材の裏面には第2磁着体が固着されるようになっており、対象物を着脱可能に支持部材に支持させるようになっているが、保護部材の縁部にフレーム部材が取り付けてあるため、支持部材と保護部材との間に間隙が形成される。この間隙によって第2磁着体の厚さが相殺され、保護部材を支持部材に支持させる作業を円滑に行うことが担保される。
【0019】
また、対象物を保持領域の支持部材上に配置する場合、裏面に第2磁着体を固着させた対象物の表側を表にして、当該作業を実施することができるため、使用者は対象物の表示内容を正確に判別することができるのに加え、額縁本体に対する対象物の配置位置を見極めながら、当該対象物を適切な位置に配置固定することができ、また、対象物はそれに固定した第2磁着体によって保持領域に取り付けられた支持部材に磁着されているため、支持部材上に固定された対象物を当該支持部材から容易に脱離させることができ、従って当該対象物の配置位置を容易に変更することが担保される。加えて、保護部材の縁部に取り付けたフレーム部材に設けた第1磁着体、又は保護部材の縁部に取り付けた第1磁着体が支持部材に磁着するため、保護部材を支持部材への着脱をワンタッチで行うことができる。このように、対象物の入れ替え又は配置位置の変更作業を円滑に実施することができる。
【0020】
一方、保護部材の縁部にフレーム部材が取り付けてあるため、保護部材を額縁本体から取り外した際に、保護部材の縁部によって使用者の手指等を損傷することを防止することができる。
【0021】
ところで、保持領域に支持部材が取り付けられているため、保持領域に複数の対象物を配置する場合であっても、各対象物に固着させた第2磁着体が支持部材に磁着して、各対象物に位置ずれの発生防止が担保される。
【0022】
(2)本発明に係る額縁は、前記フレーム部材は端面視がコ字状をなしており、コ字状を形成する両側壁の内の他方の側壁の内面側に前記第1磁着体が固定してあることを特徴とする。
【0023】
本発明の額縁にあっては、フレーム部材は端面視がコ字状をなしており、コ字状を形成する両側壁の間に保護部材の縁部を嵌入させることによって、フレーム部材を保護部材の縁部に固定することができる。かかるフレーム部材の両側壁の内の他方の側壁の内面側に、第1磁着体が固定してあり、保護部材を支持部材に支持させる場合、第1磁着体が固定してある側の側壁を支持部材に当接させることによって、第1磁着体を支持部材に磁着させ、保護部材をワンタッチで取り付けることができる。
【0024】
一方、第1磁着体を固定したフレーム部材を保護部材の縁部に取り付けるだけで、第1磁着体を保護部材に固定させることができるため、保護部材への第1磁着体の取付作業を容易かつ確実に実施することができる。
【0025】
(3)本発明に係る額縁は、前記第1磁着体は帯状に成形してあることを特徴とする。
【0026】
本発明の額縁にあっては、第1磁着体は帯状に成形してあり、これによって、フレーム部材の他の側壁の内面を加工することなく、当該内面に第1磁着体を容易かつ確実に取り付けることができる。
【0027】
(4)本発明に係る額縁は、前記他方の側壁には1又は複数の凹部が設けてあり、当該凹部内に前記第1磁着体が嵌合固定してあることを特徴とする。
【0028】
本発明の額縁にあっては、他方の側壁には1又は複数の凹部が設けてあり、この凹部内に第1磁着体が嵌合固定してある。このようにフレーム部材の側壁に設けた凹部内に、第1磁着体を嵌合させることによって、第1磁着体をフレーム部材に固定することができるため、フレーム部材の他の側壁の内面への第1磁着体の固定作業を、更に容易かつ確実に実施することができる。
【0029】
(5)本発明に係る額縁は、前記保護部材の縁部から、当該保護部材を縁壁部から引き出すための引出し部材が延設してあることを特徴とする。
【0030】
本発明の額縁にあっては、前述した保護部材の縁部から、当該保護部材を縁壁部から引き出すための引出し部材が延設してあり、使用者は、引出し部材を摘まんで当該引出し部材を手前側へ引っ張ることによって、額縁本体の縁壁部に内嵌された保護部材を、当該縁壁部から容易に引き出すことができる。
【0031】
(6)本発明に係る額縁セットは、周縁部に縁壁部が立設してあり、該縁壁部の内側を、対象物を保持するための保持領域になした額縁本体と、前記縁壁部に内嵌されて、保持領域内の対象物を保護する透明な保護部材とを有する額縁を備え、前記対象物及び保護部材を着脱可能になした額縁セットであって、(1)から(4)のいずれかに記載の額縁と、前記対象物の裏面に貼着され、前記支持部材に着脱可能に磁着させる第2磁着体とを備えることを特徴とする。
【0032】
本発明の額縁セットにあっては、周縁部に縁壁部が立設してあり、該縁壁部の内側を、対象物を保持するための保持領域になした額縁本体と、前記縁壁部に内嵌されて、保持領域内の対象物を保護する透明な保護部材とを有する額縁を備えて構成されている。この額縁は前述した(1)から(4)のいずれかに記載された構成になしてあり、従って(1)から(4)の額縁と同様の作用効果を奏する。
【0033】
更に、本発明の額縁セットにあっては、支持部材に着脱可能に磁着させる第2磁着体を備えており、この第2磁着体を対象物の裏面に貼着させて、対象物を着脱可能に支持部材に支持させる。
【0034】
対象物を保持領域に配置する場合、裏面に第2磁着体を固着させた対象物の表側を表にして、当該作業を実施することができるため、使用者は対象物の表示内容を正確に判別することができるのに加え、額縁本体に対する対象物の配置位置を見極めながら、当該対象物を適切な位置に配置固定することができ、また、対象物はそれに固定した第2磁着体によって保持領域に取り付けられた支持部材に磁着されているため、支持部材上に固定された対象物を当該支持部材から容易に脱離させることができ、従って当該対象物の配置位置を容易に変更することができる。
【0035】
また前述したように保護部材の縁部に取り付けたフレーム部材に設けた第1磁着体が支持部材に磁着することによって、保護部材を支持部材への着脱をワンタッチで行うことができることと併せて、対象物の入れ替え又は配置位置の変更作業を円滑に実施することができる。
【0036】
一方、保持領域に複数の対象物を配置する場合であっても、各対象物に貼着させた第2磁着体が保持領域に取り付けられた支持部材に磁着するため、各対象物に位置ずれが発生しない。
【0037】
(7)本発明に係る額縁セットは、前記第2磁着体の厚さ寸法は、少なくともフレーム部材の前記他方の側壁の厚さ寸法より小さくしてあることを特徴とする。
【0038】
本発明の額縁セットにあっては、前記第2磁着体の厚さ寸法は、少なくともフレーム部材の前記他方の側壁、即ち、フレーム部材の支持部材に当接させられる側の側壁の厚さ寸法より小さくしてあるため、対象物が保護部材に当接して、保護部材に膨らみといった変形の発生、又は保護部材の一部若しくは全部の支持部材からの脱離等を回避することができる。
【0039】
(8)本発明に係る額縁セットは、前記第2磁着体は、前記支持部材に着脱可能に磁着させる磁着本体と、帯状のシート部材とを具備し、前記磁着本体の一面には、前記対象物に貼着させるための貼着層が設けてあり、該磁着本体の他面には、前記シート部材の一端側の部分が固着してあり、該シート部材は、それを屈折させて、当該シート部材の他端側の部分を前記貼着層に着脱可能に貼着させるように構成してあることを特徴とする。
【0040】
本発明の額縁セットにあっては、前述した第2磁着体は、額縁に設けられた支持部材に着脱可能に磁着させる磁着本体と、帯状のシート部材とを具備している。この磁着本体の一面には貼着層が設けてあり、貼着層によって磁着本体は対象物に貼着されるようになっている。
【0041】
一方、磁着本体の他面には、前述した帯状のシート部材の一端側の部分が固着してあり、シート部材は、長手方向の中途位置で屈折させて、当該シート部材の他端側の部分を磁着本体の一面に設けた貼着層に着脱可能に貼着させるように構成してある。
【0042】
このような第2磁着体にあっては、繰り返し使用が可能である。即ち、未使用時には、シート部材の他端側の部分にて磁着本体の貼着層を被覆させ、貼着層にゴミ等が付着して貼着層の貼着機能が低下することを防止する。また、使用時には、シート部材の他端側縁部を摘まんで、シート部材の他端側の部分を磁着本体の貼着層から脱離させて、二つ折りしたシート部材を展開させ、この状態で、磁着本体の貼着層を対象物の裏面に対向当接させて、第2磁着体を対象物の裏面に貼着させる。
【0043】
一方、展開したシート部材の他端側の部分を摘まんで引き上げることによって、第2磁着体を対象物から容易に脱離させることができ、これによって対象物の変更を容易に行うことができる。
【0044】
(9)本発明に係る額縁セットは、前記第2磁着体は、前記支持部材に着脱可能に磁着させる磁着本体と、帯状のシート部材とを具備し、前記シート部材の一端側の部分は磁着本体に固着してあり、シート部材の一端側の部分の磁着本体に固着させた面とは反対側の面には、前記対象物に貼着させるための貼着層が設けてあり、該シート部材は、それを屈折させて、当該シート部材の他端側の部分を前記貼着層に着脱可能に貼着させるように構成してあることを特徴とする。
【0045】
本発明の額縁セットにあっては、未使用時には、シート部材を二つ折りにして、シート部材の一端側の部分に設けた貼着層を、シート部材の他端側の部分にて被覆させることによって、貼着層にゴミ等が付着して貼着層の貼着機能が低下することを防止する。また、使用時には、シート部材の他端側の部分を貼着層から脱離させて、二つ折りしたシート部材を展開させ、この状態で、貼着層を対象物の裏面に対向当接させて、第2磁着体を対象物の裏面に貼着させる。
【0046】
一方、展開したシート部材の他端側の部分を摘まんで引き上げることによって、第2磁着体を対象物から容易に脱離させることができ、これによって対象物の変更を容易に行うことができる。
【0047】
(10)本発明に係る額縁セットは、前記シート部材は、当該シート部材の他端側の部分を前記貼着層に貼着させたとき、シート部材の他端部が磁着本体の縁から延出するように構成してあることを特徴とする。
【0048】
本発明の額縁セットにあっては、(8)に係るシート部材は、当該シート部材の他端側の部分を磁着本体の貼着層に貼着させたとき、シート部材の他端部が磁着本体の縁から延出するように構成してあるため、シート部材の磁着本体から延出した他端部を摘まんで、シート部材の他端側の部分を磁着本体の貼着層から容易に脱離させることができる。
【0049】
(11)本発明に係る額縁セットは、前記シート部材は、当該シート部材の他端側の部分を前記貼着層に貼着させたとき、シート部材の他端部が、当該シート部材の一端部の縁から延出するように構成してあることを特徴とする。
【0050】
本発明の額縁セットにあっては、(9)に係るシート部材は、当該シート部材の他端側の部分を前記貼着層に貼着させたとき、シート部材の他端部が、当該シート部材の一端部の縁から延出するように構成してあるため、シート部材の貼着層から延出した他端部を摘まんで、シート部材の他端側の部分を貼着層から容易に脱離させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【
図1】本発明に係る額縁セット及び当該額縁セットに適用する額縁の一例を示す正面図である。
【
図2】
図1に示した額縁セットのII-II線による断面図である。
【
図5】
図4に示した対象物のV-V線による断面図である。
【
図6】
図1及び
図3に示したフレーム部材の一例を示す一部省略斜視図である。
【
図7】本発明に係る額縁セットに適用する他のフレーム部材の斜視図である。
【
図8】本発明に係る額縁セットに適用する他の第2磁着体を示す斜視図である。
【
図9】特許文献1に開示された額縁の分解正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0052】
本発明に係る額縁及び額縁セットを図面に基づいて詳述する。
なお、本実施の形態で説明する額縁及び額縁セットは、本発明の趣旨を説明する一例であり、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲での変形や改造を含むことはいうまでもない。
【0053】
(発明を実施するための第1の形態)
図1は本発明に係る額縁セット及び当該額縁セットに適用する額縁の一例を示す正面図であり、図中、3は額縁本体、また4は樹脂又はガラス等の透明な材料を板状に成形してなり、後述する対象物を保護する保護部材である。また、
図2は
図1に示した額縁セットのII-II線による断面図であり、
図3は
図1に示した保護部材4の斜視図である。なお、
図2にあっては、厚さ方向を強調して示してある。また、
図1~
図3中、それぞれ対応する部分には同じ番号が付してある。
【0054】
図1及び
図2に示したように、本発明に係る額縁セット1にあっては、適宜厚さを有する例えば長方形状の額縁本体3を具備してなり、額縁本体3の正面側周縁部には、適宜幅で環状になした縁壁部31が立設してある。額縁本体3の正面側であって前記縁壁部31より内側の領域は、写真又は切り抜き等、1又は複数(
図1にあっては4つ)の対象物M,M,M,Mを保持するための凹状の保持領域33になしてある。この保持領域33の底面には鉄といった磁性体をシート状又は板状に成形してなり、前記保護部材4を支持する支持部材6が固着してあり、前記縁壁部31に前記保護部材4が着脱可能に内嵌してある。
【0055】
なお、額縁本体3は、縁壁部31と保持領域33の底面とを一体的に構成しても良いし、縁壁部31と保持領域33の底面とを各別になして、両者を結合固定して構成しても良い。また、額縁本体3は、適宜面積の平板の周縁部上に縁壁部31を固定して構成しても良い。
【0056】
図4は
図1に示した対象物Mの裏面図であり、
図5は
図4に示した対象物MのV-V線による断面図である。
【0057】
図4及び
図5に示したように、対象物Mは印画紙程度の厚さを有しており、その裏面に、磁石といった薄板状の第2磁着体12が固着してある。これによって対象物Mは、前記額縁本体3の支持部材6上の適宜位置に、当該対象物Mの表面側を表にして、着脱自在に磁着させることができる。
【0058】
ここで、本発明に係る額縁セットにあっては、以下に詳述する額縁2と、第2磁着体12とにて構成され、前述した対象物Mは含まれない。なお、第2磁着体12としては、可撓性の有無は問わない。また、第2磁着体12の裏面に予め接着剤又は粘着剤等の貼着剤を塗布しておき、当該磁着体をワンタッチで対象物Mの裏面に貼着させるように構成してもよいし、第2磁着体12の裏面には予め貼着剤を塗布することなく、第2磁着体12を対象物Mの裏面に貼着させる際に、両面テープといった貼着剤を介在させるように構成してもよい。
【0059】
一方、
図3は
図1に示した保護部材4の斜視図であり、厚さ方向を強調して示してある。
保護部材4は、
図1に示した額縁本体3の縁壁部31の内寸より少し小さい外寸になるように、樹脂又はガラス等の透明な材料を平板状に成型してなり、保護部材4の四辺には後述するフレーム部材5,5,5,5がそれぞれ外嵌固定してある。
【0060】
図6は、
図1及び
図3に示したフレーム部材5の一例を示す一部省略斜視図である。
フレーム部材5は、端面視が略コ字状をなしており、一方の側壁51の高さは他方の側壁51の高さより少し大きくして、前述した保護部材4(
図3参照)の縁部を両側壁51,51間に挟持させるように構成してある。また、少なくとも一方の側壁51は、その基部から先端に向かうに連れて、両側壁51,51間の中央位置に近づく方向へ傾斜させてあり、これによって、両側壁51,51間に挟持した保護部材4(
図3参照)の縁部から、当該フレーム部材5が抜出することが防止されている。
【0061】
かかるフレーム部材5の他方の側壁51の内面には、当該他方の側壁51の高さ寸法より大きい幅寸法になした帯板状の第1磁着体11が、その一側縁を他方の側壁51から突出させた様態で固着してある。
【0062】
図6に示したように、保護部材4(
図3参照)の四辺の長さに応じた長さ寸法になした4本のフレーム部材5,5,5,5を準備しておき、各フレーム部材5,5,5,5を構成する側壁51,51、51,51、51,51、51,51の間に、保護部材4の対応する辺部を挿入・挟持させ、
図3に示したように、保護部材4の四辺にそれぞれフレーム部材5,5,5,5が外嵌固定してある。かかる保護部材4にあっては、
図2に示したように、その縁部に取り付けられたフレーム部材5の第1磁着体11が固着された他方の側壁51側が、裏面である。
【0063】
ここで、本実施の形態にあっては、前述した第2磁着体12の厚さ寸法は、第1磁着体11の厚さ寸法、又は、フレーム部材5の第1磁着体11が固着された他方の側壁51の厚さ寸法より薄くなしてある。
【0064】
一方、
図1及び
図3に示したように、保護部材4の裏面側の縁部には、当該保護部材4を額縁本体3の保持領域33から引き出すべく、可撓性を有する帯状の引出し部材9の一端が固定してあり、引出し部材9の他端側は、当該縁部に外嵌されたフレーム部材5を超えて、保護部材4の前面から離隔する方向へ延設してある。
【0065】
このような額縁セット1にあっては、
図1に示したように、額縁本体3の保持領域33に保護部材4が内嵌されている。このとき、
図2に示したように、フレーム部材5,5,…の第1磁着体11,11,…が固着された他方の側壁51,51,…側である裏面が、保持領域33に固定された支持部材6と対向させてあり、第1磁着体11,11,…が支持部材6に磁着することによって、保護部材4が支持部材6に支持されている。
【0066】
使用者は、引出し部材9を摘まんで当該引出し部材9を手前側へ引っ張ることによって、額縁本体3の保持領域33に内嵌された保護部材4を、当該保持領域33から引き出す。このとき、前述したように、フレーム部材5,5,…の第1磁着体11,11,…が支持部材6に磁着することによって、保護部材4が支持部材6に支持されているため、保護部材4を保持領域33から容易に引き出すことができる。
【0067】
保護部材4を保持領域33から引き出す作業に前後して、使用者は、対象物Mの裏面の適宜位置に、1又は複数の第2磁着体12を貼着する。次に、使用者は、第2磁着体12を貼着した対象物Mの表側を表にして、額縁本体3の支持部材6上の適宜位置に配置し、そこに磁着させる。このとき、対象物Mの写真等が表示された表側を表にして、額縁本体3の支持部材6上の適宜位置に配置するため、使用者は対象物Mの表示内容を正確に判別することができるのに加え、額縁本体3に対する対象物Mの配置位置を見極めながら、当該対象物Mを適切な位置に配置固定することができる。また、対象物Mはそれに固定した第2磁着体12によって支持部材6に磁着されているため、支持部材6上に固定された対象物Mを当該支持部材6から容易に脱離させることができ、従って当該対象物Mの配置位置を容易に変更することができる。
【0068】
所要枚数の対象物M(M,M,…)を支持部材6上の適宜位置に配置固定した後、使用者は、保護部材4をその裏面を支持部材6に対向させて額縁本体3の保持領域33に内嵌させる。このとき、保護部材4のフレーム部材5,5,…にそれぞれ設けた第1磁着体11,11,…が支持部材6に磁着するため、保護部材4を支持部材6にワンタッチで固定することができる。
【0069】
前述したように第2磁着体12の厚さ寸法は、第1磁着体11の厚さ寸法、又は、フレーム部材5の第1磁着体11が固着された他方の側壁51の厚さ寸法より薄くなしてあるため、対象物Mが保護部材4に当接して、保護部材4に膨らみといった変形の発生、又は保護部材4の一部若しくは全部の支持部材6からの脱離等を回避することができる。
【0070】
なお、対象物Mの厚さ寸法が無視できない場合、第1磁着体11の厚さ寸法、又は、フレーム部材5の第1磁着体11が固着された他方の側壁51の厚さ寸法は、当該対象物Mの厚さ寸法及び第2磁着体12の厚さ寸法の両者を考慮して定めておく。
【0071】
このように本発明に係る額縁セット1にあっては、前述したように対象物Mの入れ替え又は配置位置の変更作業を円滑に実施することができる。また、複数の対象物M,M,…を配置する場合であっても、各対象物M,M,…に固定した第2磁着体12,12,…が支持部材6に磁着するため、各対象物M,M,…に位置ずれが発生しない。
【0072】
一方、保護部材4の四辺にそれぞれフレーム部材5,5,…を外嵌させて構成してあるため、保護部材4を額縁本体3から取り外した際に、保護部材4の外縁によって使用者の手指等を損傷することを防止することができる。
【0073】
なお、本実施の形態では、第1磁着体11が、その一側縁を他方の側壁51から突出させた様態で固着してある場合について示したが、本発明はこれに限らず、他方の側壁51の高さ寸法以下の幅寸法になした帯板状の第1磁着体11を用い、当該第1磁着体11の一側縁が他方の側壁51から突出しない様態で固着してもよい。この場合、第2磁着体12の厚さ寸法は、第1磁着体11の厚さ寸法と他方の側壁51の厚さ寸法とを合わせた値以下とすればよい。
【0074】
また、第1磁着体11は一方の側壁51の内面に固着してもよいし、一方の側壁51の内面又は他方の側壁51の内面に、複数の第1磁着体11,11,…を適宜の間隔で取り付けてもよい。また、第1磁着体11は、保護部材4のフレーム部材5に対向する縁部に取り付けてもよい。一方、フレーム部材5は、一方の側壁51の高さ寸法と、他方の側壁51の高さ寸法とを同じ値になしてもよいことは言うまでもない。
【0075】
ところで、本実施の形態では、可撓性を有する帯状の引出し部材9を設けた場合について説明したが、本発明はこれに限らず、保護部材4の表面側縁部又はフレーム部材5の表面側の適宜位置に、摘まみ形状の引出し部材を取り付けてもよい。
【0076】
なお、本実施の形態では、額縁本体3から保護部材4を引き出すように構成した場合について説明したが、本発明はこれに限らず、保護部材4の縦方向又は横方向の一側側と額縁本体3との間にヒンジ部を介装させて、保護部材4を開閉可能に構成してもよい。
【0077】
(発明を実施するための第2の形態)
図7は本発明に係る額縁セットに適用する他のフレーム部材の斜視図であり、磁着体を容易に取り付け得るように構成してある。なお、
図7にあっては、厚さ方向を強調して示してある。また、
図7中、
図6に示したフレーム部材5に対応する部分には同じ番号が付してある。
【0078】
図7に示したように、前同様、他のフレーム部材5aも端面視がコ字状をなしており、一方の側壁51aの高さ寸法は、他方の側壁51aの高さ寸法より小さくしてある。また、少なくとも一方の側壁51aは、その基部から先端に向かうに連れて、両側壁51a,51a間の中央位置に近づく方向へ傾斜させてあり、これによって、両側壁51a,51a間に挟持した保護部材4(
図3参照)の縁部から、当該他のフレーム部材5aが抜出することが防止されている。
【0079】
一方、他のフレーム部材5aでは、他方の側壁51aの厚さ寸法は一方の側壁51aの厚さ寸法より少し大きくしてあり、他方の側壁51aの内面であって、長手方向の適宜位置には、1又は複数(
図7にあっては2つ)の凹部52a,52aが設けてある。そして、各凹部52a,52a内にそれぞれ、前記第1磁着体11(
図6参照)とは異なる他の第1磁着体11a,11aが嵌入固定してある。他の第1磁着体11a,11aの厚さ寸法は対応する凹部52a,52aの深さ寸法以下にしてあり、嵌入した他の第1磁着体11a,11aが凹部52a,52aから突出しないようになっている。
【0080】
かかる他のフレーム部材5aは、前述したフレーム部材5と同様、保護部材4の周縁に外嵌固定されるようになしてある。
【0081】
このような他のフレーム部材5aにあっては、他の第1磁着体11aを取り付ける場合、他のフレーム部材5aの他方の側壁51aに予め設けられた凹部52a内に、他の第1磁着体11aを嵌入させるだけで、当該他の第1磁着体11aを他のフレーム部材5aの所定位置に取り付けることができるため、経験が浅い作業者であっても、他の第1磁着体11aを他のフレーム部材5aの所定位置に容易かつ正確に配設することができる。
【0082】
なお、本実施の形態では、相対的に高さ寸法が大きい他方の側壁51aに他の第1磁着体11a,11aを配設する場合について示したが、本発明はこれに限らず、相対的に高さ寸法が小さい一方の側壁51aに他の第1磁着体11a,11aを配設するように構成してもよいことは言うまでもない。
【0083】
(発明を実施するための第3の形態)
図8は、本発明に係る額縁セットに適用する他の第2磁着体を示す斜視図であり、複数の対象物に対して繰り返し使用し得るようになしてある。なお、
図8中(a)は使用時の他の第2磁着体12aの様態を、又は(b)は未使用時の他の第2磁着体12aの様態をそれぞれ示している。なお、
図8にあっては、厚さ方向を強調して示してある。
【0084】
図8(a)に示したように、他の第2磁着体12aは、板状の磁着本体120aを具備してなり、磁着本体120aの一面には、当該他の第2磁着体12aを対象物M(
図4及び
図5参照)に貼着させるための貼着層121aが設けてある。かかる貼着層121aとしては、例えば市販の粘着剤を適用することができ、例えばポストイットに適用される粘着剤と同様、対象物Mの裏面に磁着本体120aを貼着させることができるが、対象物Mの裏面から磁着本体120aを容易に脱離させることができる程度の貼着力を有している。
【0085】
一方、
図8(a)に示したように、磁着本体120aの他面には、適当な樹脂製シートを帯状に成形してなるシート部材125aの一端側の部分が固着してある。このシート部材125aの他端側の部分は、磁着本体120aの他面に固着させたシート部材125aの一端側の部分の長さ寸法より少し長くしてあり、これによって
図8(b)に示したように、シート部材125aをその長手方向の中央付近にて二つ折りにして、シート部材125aの他端側の部分を磁着本体120aの貼着層121aに貼着させた際に、貼着層121aの全面がシート部材125aの他端側の部分で覆われるようになしてある。
【0086】
このような他の第2磁着体12aにあっては、未使用時には、
図8(b)に示したように、シート部材125aをその長手方向の中央付近にて二つ折りにして、シート部材125aの他端側の部分にて磁着本体120aの貼着層121aを被覆させ、貼着層121aにゴミ等が付着して貼着層121aの貼着機能が低下することを防止する。このとき、シート部材125aの他端側縁部は、磁着本体120aから少し延出するようになしてあり、後述するようにこの延出したシート部材125aの他端側縁部を使用者が摘まんで、シート部材125aの他端側の部分を磁着本体120aの貼着層121aから容易に脱離させ得るようになっている。
【0087】
一方、かかる様態であれば、
図1に示した額縁2に設けられた支持部材6の対象物M,M,…が磁着されていない適宜の箇所に、複数の他の第2磁着体12a,12a,…を磁着させておくことができ、これによって、未使用の他の第2磁着体12a,12a,…の保管管理を容易になすことができる。このとき、他の第2磁着体12aを構成するシート部材125aの色と、額縁2に設けられた支持部材6の色とを同じ又は同系になしておくことによって、支持部材6上の他の第2磁着体12a,12a,…を目立たなくさせることができるため、好適である。
【0088】
これに対して、使用時には、前述したように、磁着本体120aから延出したシート部材125aの他端側縁部を使用者が摘まんで、シート部材125aの他端側の部分を磁着本体120aの貼着層121aから脱離させて、
図8(a)に示したように、二つ折りしたシート部材125aを展開させ、この状態で、磁着本体120aの貼着層121aを対象物の裏面に対向当接させて、他の第2磁着体12aを対象物の裏面に貼着させる。
【0089】
このように他の第2磁着体12aを貼着させた後に、対象物を変更する場合、
図8(a)に示したように、展開したシート部材125aの他端側の部分を使用者が摘まんで、磁着本体120aを対象物から脱離させる。このとき、貼着層121aの貼着力は前述したようになしてあり、磁着本体120aを対象物から容易に脱離させることができるため、対象物の一部が対象物から剥がれて貼着層121aの表面に残存するといったことが回避され、粘着層121aの繰り返し使用が担保される。
【0090】
このように対象物から他の第2磁着体12aを脱離させると、前同様、当該他の第2磁着体12aの貼着層121aを別の対象物の裏面に対向当接させて、他の第2磁着体12aを対象物の裏面に貼着させる。そして、前同様、裏面に他の第2磁着体12aが貼着された対象物Mを、その表側を表にして、額縁本体3の支持部材6(いずれも
図1参照。)上の適宜位置に配置し、そこに磁着させる。
【0091】
このように、他の第2磁着体12aを構成するシート部材125aにあっては、未使用時には前述した貼着層121aを保護する保護部材として機能する一方、使用時には対象物Mの裏面から磁着本体120aを脱離させるべく使用者が摘まむための摘まみ部材として機能する。
【0092】
このような他の第2磁着体12aにあっては、前述したように繰り返し使用が可能であり、また、それを貼着させる対象物の変更も容易に行うことができるため、使用者はそのときの状況に応じた対象物を自在に額縁に飾ることができる。
【0093】
なお、本実施の形態では、磁着本体120aに貼着層121aを設けた他の第2磁着体12aについて説明したが、本発明はこれに限らず、磁着本体120aには貼着層121aを設けることなく、シート部材125aの磁着本体120aに固着させた一端側の部分であって、磁着本体120aに当接させた側の面とは反対側の面に貼着層121aを設けておいてもよい。即ち、シート部材125aの一端側の部分にあっては、両面テープのように、その両面にそれぞれ貼着層121aを設けておき、その一面を磁着本体120aに貼着させて、シート部材125aを磁着本体120aに固定するのである。
【0094】
これによって、磁着本体120aに貼着層121aを設ける場合に比べて、製造コストを廉価にすることができる。
【0095】
このような他の第2磁着体12aにあっては、未使用時には、シート部材125aをその長手方向の中央付近にて二つ折りにして、シート部材125aの一端側の部分に設けた貼着層121aを、シート部材125aの他端側の部分にて被覆させることによって、貼着層121aにゴミ等が付着して貼着層121aの貼着機能が低下することを防止する。このとき、シート部材125aの他端側縁部は、シート部材125aの一端側の部分から少し延出するようになすことによって、この延出したシート部材125aの他端側縁部を使用者が摘まんで、シート部材125aの他端側の部分を、シート部材125aの一端側の部分に設けた貼着層121aから容易に脱離させ得るようになすとよい。
【0096】
また、使用時には、シート部材125aの他端側の部分を貼着層121aから脱離させて、二つ折りしたシート部材125aを展開させ、この状態で、貼着層121aを対象物の裏面に対向当接させて、他の第2磁着体12aを対象物の裏面に貼着させる。
【符号の説明】
【0097】
1 額縁セット
2 額縁
3 額縁本体
4 保護部材
5 フレーム部材
5a 他のフレーム部材
6 支持部材
9 引出し部材
11 第1磁着体
11a 他の第1磁着体
12 第2磁着体
12a 他の第2磁着体
31 縁壁部
51 側壁
51a 側壁
52a 凹部
M 対象物