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特開2025-3348電気供給経路構造体及び電気供給システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025003348
(43)【公開日】2025-01-09
(54)【発明の名称】電気供給経路構造体及び電気供給システム
(51)【国際特許分類】
   H02B 1/40 20060101AFI20241226BHJP
【FI】
H02B1/40 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024088930
(22)【出願日】2024-05-31
(31)【優先権主張番号】P 2023101849
(32)【優先日】2023-06-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000227401
【氏名又は名称】日東工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001977
【氏名又は名称】弁理士法人クスノキ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】川井 暉斗
【テーマコード(参考)】
5G211
【Fターム(参考)】
5G211AA12
5G211CC03
5G211DD01
5G211DD04
5G211DD11
5G211DD39
(57)【要約】
【課題】受電接続部と入力プラグを嵌合接続することで、外部電源と分電盤を電気的に接続できるようにすること。
【解決手段】電気供給経路構造体1に関し、壁面に取り付けられる分電盤2の筐体21と、筐体21の内部に位置する分岐ブレーカ22と、外部電源と分電盤2の接続に用いられる入力プラグが挿入される開口51を有する受電接続部50と、を備え、受電接続部50から分岐ブレーカ22への給電が可能となるようにする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
壁面に取り付けられる分電盤の筐体と、
筐体の内部に位置する分岐ブレーカと、
外部電源と分電盤の接続に用いられる入力プラグが挿入される開口を有する受電接続部と、
を備え、
受電接続部から分岐ブレーカへの給電を可能とする電気供給経路構造体。
【請求項2】
接続先を切り替えるために用いることが可能な切替開閉器を備え、
前記切替開閉器は、受電接続部を介して外部電源と接続され、かつ、系統電源と接続され、
分岐ブレーカに給電する電源を、系統電源と外部電源とで切り替え可能である請求項1に記載の電気供給経路構造体。
【請求項3】
受電接続部と分岐ブレーカの間を電気的に接続可能な主幹ブレーカが、受電接続部と切替開閉器との間を電気的に接続する請求項2に記載の電気供給経路構造体。
【請求項4】
受電接続部と分岐ブレーカの間を電気的に接続可能な主幹ブレーカが、切替開閉器と分岐ブレーカとの間を電気的に接続する請求項2に記載の電気供給経路構造体。
【請求項5】
受電接続部を介して外部電源から供給される電気を利用可能なことを検知可能な検知部と、切替開閉器の切替スイッチを自動で切り替え可能な自動切替部と、を備え、
検知部が外部電源から供給される電気を利用可能なことを検知したことにより、自動切替部を用いて分岐ブレーカに電気を供給する電源を系統電源から外部電源に切り替えることが可能となる請求項2から4の何れかに記載の電気供給経路構造体。
【請求項6】
受電接続部が筐体に設けられ、入力プラグを真下方向もしくは斜め下方向から挿入可能なように、真下方向もしくは斜め下方向に向いた開口が設けられる請求項1に記載の電気供給経路構造体。
【請求項7】
受電接続部が、筐体の正面側若しくは下面側若しくは右側面側若しくは左側面側に設けられる請求項1に記載の電気供給経路構造体。
【請求項8】
筐体の正面側に前面パネルを備え、
前記前面パネルに、分岐ブレーカの操作部を露出させる第一の窓部と、受電接続部を露出させる第二の窓部と、を備えた請求項1に記載の電気供給経路構造体。
【請求項9】
筐体の正面側に、第二の窓部から背面側に向けて凹むように形成した凹み部を備え、
入力プラグが挿入される開口を第二の窓部より背面側に備えた請求項4に記載の電気供給経路構造体。
【請求項10】
外部電源から通電されている電気の状態を表示可能である表示部を備える請求項1に記載の電気供給経路構造体。
【請求項11】
分岐ブレーカを備える分電盤と、
外部電源と分電盤の接続に用いられる入力プラグが挿入される開口を有する受電接続部と、
受電接続部を介して外部電源と接続され、かつ、系統電源と接続され、分岐ブレーカに給電する電源を、系統電源と外部電源とで切り替え可能である切替部と、
を備える電気供給システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気供給経路構造体及び電気供給システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載されているように、分電盤に対して蓄電池などの外部電源を接続することが行われている。壁面に取り付けた分電盤に対して蓄電池などの外部電源から給電できるようにする場合、一般的に、壁面に設けられた開口と、分電盤の筐体の背面に大きく形成された配線孔と、を通した電線を、筐体の内部に備えられた端子台などにねじで固定することが行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-182350号公報
【0004】
ところで、このような作業が必要な分電盤の筐体が壁面などに固定されていて、この分電盤に対して外部電源を接続する場合、筐体を壁面から取り外して、外部電源に繋がる電線を壁面に設けられた開口を通す作業をし、筐体を再び取り付け、電線を端子台にねじで固定するということが行われていた。しかし、このような作業は手間であった。また、そのような作業は資格を有するものが行う必要があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本件の発明者は、この点について鋭意検討することにより解決を試みた。本発明が解決しようとする課題は、受電接続部と入力プラグを嵌合接続することで、外部電源と分電盤を電気的に接続できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、壁面に取り付けられる分電盤の筐体と、筐体の内部に位置する分岐ブレーカと、外部電源と分電盤の接続に用いられる入力プラグが挿入される開口を有する受電接続部と、を備え、受電接続部から分岐ブレーカへの給電を可能とする電気供給経路構造体とする。
【0007】
また、接続先を切り替えるために用いることが可能な切替開閉器を備え、前記切替開閉器は、受電接続部を介して外部電源と接続され、かつ、系統電源と接続され、分岐ブレーカに給電する電源を、系統電源と外部電源とで切り替え可能である構成とするのが好ましい。
【0008】
また、受電接続部と分岐ブレーカの間を電気的に接続可能な主幹ブレーカが、受電接続部と切替開閉器との間を電気的に接続する構成とするのが好ましい。
【0009】
また、受電接続部と分岐ブレーカの間を電気的に接続可能な主幹ブレーカが、切替開閉器と分岐ブレーカとの間を電気的に接続する構成とするのが好ましい。
【0010】
また、受電接続部を介して外部電源から供給される電気を利用可能なことを検知可能な検知部と、切替開閉器の切替スイッチを自動で切り替え可能な自動切替部と、を備え、検知部が外部電源から供給される電気を利用可能なことを検知したことにより、自動切替部を用いて分岐ブレーカに電気を供給する電源を系統電源から外部電源に切り替えることが可能となる構成とすることが好ましい。
【0011】
また、受電接続部が筐体に設けられ、入力プラグを真下方向もしくは斜め下方向から挿入可能なように、真下方向もしくは斜め下方向に向いた開口が設けられる構成とすることが好ましい。
【0012】
また、受電接続部が、筐体の正面側若しくは下面側若しくは右側面側若しくは左側面側に設けられる構成とすることが好ましい。
【0013】
また、筐体の正面側に前面パネルを備え、前記前面パネルに、分岐ブレーカの操作部を露出させる第一の窓部と、受電接続部を露出させる第二の窓部と、を備えた構成とすることが好ましい。
【0014】
また、筐体の正面側に、第二の窓部から背面側に向けて凹むように形成した凹み部を備え、入力プラグが挿入される開口を第二の窓部より背面側に備えた構成とすることが好ましい。
【0015】
また、外部電源から通電されている電気の状態を表示可能である表示部を備える構成とすることが好ましい。
【0016】
また、分岐ブレーカを備える分電盤と、外部電源と分電盤の接続に用いられる入力プラグが挿入される開口を有する受電接続部と、受電接続部を介して外部電源と接続され、かつ、系統電源と接続され、分岐ブレーカに給電する電源を、系統電源と外部電源とで切り替え可能である切替部と、を備える電気供給システムとするのが好ましい。
【発明の効果】
【0017】
本発明では、受電接続部と入力プラグを嵌合接続することで、外部電源と分電盤を電気的に接続することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】受電接続部を備えた分電盤の例の斜視図である。
図2図1に示す分電盤のカバーを外した状態を示す正面図である。
図3図1に示す分電盤のカバーを外した状態を示す斜視図である。ただし、一部の電線は省略している。
図4】系統電源に二つの分電盤が直列的に繋がっており、下流側の分電盤に外部電源が接続されている例を示す概略図である。
図5】受電接続部に入力プラグを接続した例を示す断面図である。ただし、正面側に設けた受電接続部に対して入力プラグを斜め上方に移動させて受電接続部に入力プラグを接続した例を示している。
図6】板材で正面側から背面側に凹んだ凹み部を構成した例における分電盤の斜視図である。ただし、カバーを外した状態であり、各電線は省略している。
図7図6に示す構成から、板材を取付部から外した分解斜視図である。
図8図1に示す分電盤に対して負荷機器などが接続された例を示した概略図である。ただし、系統電源が分岐ブレーカに接続されており、受電接続部は分岐ブレーカに接続されていない状態である。
図9図1に示す分電盤に対して負荷機器などが接続された例を示した概略図である。ただし、系統電源が分岐ブレーカに接続されておらず、受電接続部が分岐ブレーカに接続されている状態である。
図10】受電接続部を覆うことが可能な扉を備えた分電盤の例を示す斜視図である。ただし、扉は閉じた状態である。
図11】受電接続部を覆うことが可能な扉を備えた分電盤の例を示す斜視図である。ただし、扉は開いた状態である。
図12】メイン主幹ブレーカと外部電源用主幹ブレーカと電源接続部を備えた分電盤の例を示す斜視図である。
図13】分電盤と離れた位置に受電接続部を備えた構成とした例を示すイメージ図である。
図14】受電接続部に対して入力プラグを水平方向に差し込んだ例を示す図である。
図15図14に示す分電盤の内部の構成例を示す図である。
図16図15に示す構成の斜視図である。
図17】受電接続部と分岐ブレーカの間を電気的に接続可能な主幹ブレーカ(外部電源用主幹ブレーカ)が、切替開閉器と分岐ブレーカとの間を電気的に接続する構成とした例を示す図である。
図18】切替部や外部電源用主幹ブレーカや受電接続部を第一の分電盤及び第二の分電盤以外に設けた例を示す図である。
図19】切替部や外部電源用主幹ブレーカや受電接続部を備えたユニットである外部接続切替盤の例を示す斜視図である。
図20】外部接続切替盤の利用例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に発明を実施するための形態を示す。図1乃至図3に示されていることから理解されるように、本実施形態の電気供給経路構造体1は、壁面91に取り付けられる分電盤2の筐体21と、筐体21の内部に位置する分岐ブレーカ22と、外部電源7と分電盤2の接続に用いられる入力プラグ71が挿入される開口51を有する受電接続部50と、を備え、受電接続部50から分岐ブレーカ22への給電を可能とする。このため、受電接続部50と入力プラグ71を嵌合接続することで、外部電源7と分電盤2を電気的に接続することが可能となる。
【0020】
ここで、電気供給経路構造体1について説明をする。電気供給経路構造体1は分電盤2を備えている。また分電盤2は、内部に分岐ブレーカ22を備える筐体21を備えている。図1に示す筐体21は、壁面91に対向するように取り付けられるベース21aと、ベース21aに重ねるカバー21bを備えている。また、枠状のカバー21bの前面側に設けられた矩形状の開口部と対向するように前面パネル21cが配置されている。実施形態の前面パネル21cはカバー21bに取り付けられており、カバー21bと前面パネル21cを一体的に動かすことができる。
【0021】
この分岐ブレーカ22に対して外部電源7から電気を供給することを可能とするため、電気供給経路構造体1には受電接続部50が備えられている。この受電接続部50は、入力プラグ71が挿入される開口51を備えたものであり、入力プラグ71を差し込むことで、受電接続部50と入力プラグ71の電気的な接続をすることができる。また、受電接続部50から入力プラグ71を引き抜くことで、受電接続部50と入力プラグ71の電気的な接続を解除することができる。
【0022】
分電盤2に接続される外部電源7は、分電盤2の筐体21の外側に位置する電源である。外部電源7は、蓄電池、太陽発電システム、燃料電池などの分散電源であってもよいし、分電盤2の筐体21の外側に位置するコンセントに電気を供給する系統電源であってもよい。例えば、キャンプ場のテントサイトに備えられたコンセントに入力プラグ71を備えた外部電源ケーブル73を接続し、その入力プラグ71と受電接続部50を接続して、分電盤2に電気を供給可能にする場合は後者に該当する。
【0023】
分電盤2に必須な構成ではないが、分電盤2に切替開閉器26を備えるようにしてもよい。切替開閉器26と受電接続部50を備えた分電盤2を電気供給経路構造体1に備える場合、この分電盤2は、電気が利用できなくなることを極力避けたい重要機器にのみ電気を供給するように構成するのが好ましい。また、その場合、主となる分電盤2と副となる分電盤2を構成する電気供給経路構造体1とするのが好ましい。この場合、いずれかの分電盤2からは重要機器にのみ電気を供給するようにし、それ以外の分電盤2からはそれ以外の機器に電気を供給するようにすればよい。
【0024】
図4に示す例では、系統電源8が接続された第一の分電盤2Aとその二次側に位置する第二の分電盤2Bを備える電気供給経路構造体1としている。また、この電気供給経路構造体1は、第二の分電盤2Bに外部電源7を接続するとともに、系統電源8若しくは外部電源7から重要負荷ILO(非常時における電気の確保が重要な負荷機器)に電気を供給するように構成されている。第一の分電盤2Aには外部電源7は接続されておらず、重要負荷ILOよりも電気供給の必要性の程度が低い一般負荷OLO(非常時における電気の確保がそれほど重要とされていない負荷機器)に対して電気を供給するように構成されている。
【0025】
外部電源7と分岐ブレーカ22が電気的に接続できるようにするために、電気供給経路構造体1は受電接続部50を備えている。受電接続部50は入力プラグ71が挿入されることで接続可能なインレット端子が例示できる。実施形態の入力プラグ71は凹部を備えた雌端子であり、受電接続部50は凸部52を備えた雄端子である。なお、実施形態の凸部52は板状の刃である。ただし、凸部52は使用できる構成であれば、どのようなものであってもよい。例えばピン状の凸部52を備えた雄端子であってもよい。
【0026】
分電盤2に受電接続部50を備える場合、受電接続部50は筐体21の上面側、下面側、右側面側、左側面側、正面側のいずれに設けてもよいが筐体21の背面には設けないようにするのが好ましい。つまり、分電盤2に受電接続部50を備える場合、筐体21の背面以外に受電接続部50を備える構成とするのが好ましい。筐体21の背面は壁面91などと対向することになる部分であり、筐体21を設置した後には受電接続部50にアクセスするのが困難となる可能性が高いからである。ただし、受電接続部50へのアクセスのしやすさを確保できる場合や、アクセスのしやすさを考慮しなくても良い場合には、受電接続部50を筐体21の背面に設けるようにしてもよい。
【0027】
また、受電接続部50は、入力プラグ71を真下方向もしくは斜め下方向から挿入可能なように、真下方向もしくは斜め下方向に向いた開口51が設けられているように構成することが好ましい。このようにすれば、天井に近い位置など、高めの位置に受電接続部50が位置する場合であっても、受電接続部50に入力プラグ71を接続する作業がしにくくなることを抑制することができる。
【0028】
分電盤2は建物の床面から高い位置に配置されることが多いため、受電接続部50が分電盤2に備えられている場合は、上記構成とするのがより好ましい。図5に示す例では、入力プラグ71を斜め下方向から挿入可能なように、斜め下方向に向いた開口51が設けられている。なお、受電接続部50に備えられた凸部52は、入力プラグ71に挿入されることになる先端が、凸部52の下部に位置している。
【0029】
また、受電接続部50が分電盤2に備えられている場合は、受電接続部50が、筐体21の正面側若しくは下面側若しくは右側面側若しくは左側面側に設けられている構成とするのが好ましい。筐体21が高いところに配置された場合、上面側と背面側以外に受電接続部50を設ける方が、作業がしやすいからである。ただし、受電接続部50が、筐体21の正面側若しくは下面側に設けられている構成とするのがより好ましい。分電盤2の筐体21は何れか一方の側面が壁面91に隣接して対向するように配置される可能性が高いが、正面側や下面側は、通常、壁面91に覆われることがない。このため、上記構成とすれば、筐体21の設置場所の自由度を高めることが可能となる。
【0030】
図1に示す例では、筐体21の正面側に前面パネル21cを備えている。前面パネル21cは分岐ブレーカ22の操作部221などの操作を可能としつつ、筐体21の内部に配置された電気機器などに接触して利用者が電気的な事故に遭遇することを抑制する機能を発揮させることができるように構成されている。このため、前面パネル21cには、分岐ブレーカ22の操作部221を露出させる窓部21caを備えている。また、実施形態の前面パネル21cには、受電接続部50を露出させる窓部21cbを備えている。つまり、分岐ブレーカ22の操作部221の操作と受電接続部50への入力プラグ71の接続操作を同じ面側から行うことができる。
【0031】
なお、図1に示す例においては、分電盤2に切替開閉器26を備えており、この切替開閉器26の操作部261を操作可能とする窓部も前面パネル21cに備えている。また、分電盤2に外部電源用主幹ブレーカ27を備えており、この外部電源用主幹ブレーカ27の操作部271を操作可能とする窓部も前面パネル21cに備えている。
【0032】
前面パネル21cは一つの部材により構成されてもよいが、複数の部材を組み合わせて前面パネル21cを構成するようにしてもよい。図1に示す例では、二つの板状の部材を組み合わせて前面パネル21cを構成するようにしている。三つ以上の部材を組み合わせて前面パネル21cを構成してもよいが、複数の部材を組み合わせて前面パネル21cを構成する場合は、それらの部材が左右方向に並ぶように配置するのが好ましい。また、正面視における分電盤2の筐体21の縦の長さと横の長さが異なる場合、縦と横のうち、長さが長い方向に並ぶように部材を組み合わせるようにしてもよい。
【0033】
いずれにせよ、電気供給経路構造体1は、筐体21の正面側に前面パネル21cを備え、前記前面パネル21cに、分岐ブレーカ22の操作部221を露出させる第一の窓部21caと、受電接続部50を露出させる第二の窓部21cbと、を備えた構成とするのが好ましい。このようにすれば、分岐ブレーカ22の操作部221の操作と受電接続部50への入力プラグ71の接続操作の双方を正面側から行うことができる。
【0034】
また、受電接続に入力プラグ71を接続した場合に、入力プラグ71が前面パネル21cの前側に突出する量を抑制するために、筐体21の正面側に、第二の窓部21cb(受電接続部50を露出させる窓部)から背面側に向けて凹むように形成した凹み部60を備える構成としている。また、入力プラグ71が挿入される開口51を第二の窓部21cbより背面側に備えた構成としている(図1及び図5参照)。
【0035】
凹み部60は、前面パネル21cの一部に凹んだ箇所を設けて構成してもよいし、前面パネル21cとは異なる部材を用いて構成してもよい。凹み部60を前面パネル21cと異なる部材を用いて構成する場合、第二の窓部21cbから背面側に向けて凹むような部分となる部材を金属板などの板材41を用いて構成し、分電盤2の内部に備えた取付部42にこの部材を取り付けるようにしてもよい(図6及び図7参照)。
【0036】
ところで、受電接続部50以外からも分岐ブレーカ22に電気を入力することができるようにする場合、図1から図3図8及び図9に示すことから理解されるように、分電盤2に切替開閉器26を備えるように構成することが好ましい。分電盤2に切替開閉器26を備えるように構成すれば、分岐ブレーカ22を介して負荷機器LOに電気を供給する電源を切り替えることが可能な電気供給経路構造体1とすることができる。
【0037】
つまり、電気供給経路構造体1としては、接続先を切り替えるために用いることが可能な切替開閉器26を備え、前記切替開閉器26は、外部電源用主幹ブレーカ27を介して受電接続部50と接続され、かつ、系統電源8と接続され、分岐ブレーカ22に給電する電源を、系統電源8と外部電源7とで切り替え可能である構成とすることが好ましい。
【0038】
図2に示す例では、系統電源8と接続される系統用電線81は筐体21の背面側を通すように配策されている。系統用電線81は常に分電盤2に接続されるものとして扱われるため、従来通りの配線がなされているからである。
【0039】
また、電気供給経路構造体1は外部電源7からの通電状態を表示できる構成とするのが好ましい。より具体的には、外部電源7からの通電状態を表示可能な表示部31を備える電気供給経路構造体1とすることが好ましい。例えば、受電接続部50を経由して電気を筐体21の内部に配置された電気機器に供給可能な状態であることなどを表示部31で表示できるようにすればよい。図1に示す例では、表示部31は前面パネル21cに備えられている。また、表示部31は、受電接続部50に隣接するように配置されている。ただし、表示部31の配置はこのような例に限る必要はない。
【0040】
実施形態では、外部電源7が受電接続部50に接続され、切替開閉器26が外部電源7側に切り替わると、表示部31が点灯する。ただし、表示部31の表示のタイミングや表示態様などはこのようなものに限る必要はない。例えば、外部電源7が受電接続部50に接続されたことにより表示部31が点灯してもよい。また、状況にあわせて点灯する色の種類などを変化させるようにしてもよいし、状況にあわせて点灯と点滅を切り替えたり、点滅の間隔を変えたりしてもよい。
【0041】
いずれにせよ、これらの記載から理解されるように、電気供給経路構造体1は、外部電源7から通電されている電気の状態を表示可能である表示部31を備える構成とすることが好ましい。
【0042】
また、受電接続部50を介して外部電源7から電気を供給することが可能な状態であることを検知可能な検知部32を備えるようにしてもよい。検知部32を利用すれば、外部電源7から電気を供給することが可能な状態であるか否かを検知することができる。この結果を表示部31で表示するようにしてもよいし、表示部31では表示しないようにしてもよい。
【0043】
検知部32及び切替開閉器26を備える構成とする場合、検知部32で検知された結果を利用して、系統電源8と外部電源7の切り替えを行うようにしてもよい。例えば、受電接続部50を介して外部電源7から供給される電気を利用可能なことを検知可能な検知部32と、切替開閉器26の切替スイッチ262を自動で切り替え可能な自動切替部(図示せず)と、を備え、検知部32が外部電源7から供給される電気を利用可能なことを検知したことにより、自動切替部を用いて分岐ブレーカ22に電気を供給する電源を系統電源8から外部電源7に切り替えることが可能となる構成とするのが好ましい。
【0044】
電源の切り替えにおいては、例えば、所定の条件の電気を供給可能な外部電源7が受電接続部50に接続されたことを検知すると瞬時に自動で切替開閉器26を切り替えるようにしてもよい。この場合、外部電源7の利用開始時期を早くすることができる。
【0045】
また、所定の条件の電気を供給可能な外部電源7が受電接続部50に接続されたことを検知してから所定の時間が経過した後(例えば数秒後)に、切替開閉器26を自動で切り替えるようにしてもよい。この場合、入力プラグ71と受電接続部50の接続が一定程度継続することが確認されてから切替開閉器26を切り替えることになるため、瞬間的に入力プラグ71と受電接続部50の接続がなされても、切替開閉器26が切り替わることはない。したがって、入力プラグ71と受電接続部50の接続作業時などに、切替開閉器26の切り替えが連続して行われるような事態が発生することを抑制することができる。
【0046】
また、所定の条件の電気を供給可能な外部電源7が受電接続部50に接続されたことを検知して系統電源8側の回路を自動で切り離してから、所定時間経過後(例えば数秒経過後)に外部電源7側の回路に切り替えるようにしてもよい。系統電源8にも外部電源7にも接続されていないニュートラルな状態をしばらく続けることで、外部電源7と系統電源8の切り替え時に切替開閉器26に電気が流れていない時間を十分に確保することが可能となる。したがって、外部電源7から流れてきた電気が系統電源8側に流れることを回避する可能性を高めることができ得る。
【0047】
これらは検知部32が外部電源7を利用可能なことを検知した場合に行い得る制御の例であるが、外部電源7が利用できなくなったことを検知部32で検知した場合も自動制御がなされるようにするのが好ましい。この場合、例えば、自動で外部電源7側から系統電源8側に切り替えるように制御するのが好ましい。
【0048】
ところで、受電接続部50を覆うことが可能な扉21dを分電盤2に備えるようにしてもよい(図10及び図11参照)。受電接続部50を備える分電盤2に扉21dを備えるようにすれば、例えば、受電接続部50を利用しない場合は扉21dを閉じて、受電接続部50を覆うことができる。この扉21dは受電接続部50に加えて切替開閉器26や分岐ブレーカ22などの操作部を覆うことができるような構成とするのが好ましい。なお、受電接続部50を入力プラグ71と接続していても扉21dを閉じることができるように構成してもよいし、受電接続部50などを覆うことができるように構成してもよい。
【0049】
ここまでの例では、切替開閉器26と受電接続部50を備える分電盤2は、外部電源用主幹ブレーカ27以外の主幹ブレーカを備えない分電盤2であったが、外部電源用主幹ブレーカ27以外の主幹ブレーカも備える分電盤2としてもよい。このような構成とする場合、例えば、一つの分電盤2の中で、重要負荷ILOに接続させる分岐ブレーカ22と一般負荷OLOに接続させる分岐ブレーカ23を備えるようにしてもよい。
【0050】
図12に示す例では、メイン主幹ブレーカ29と切替開閉器26の間に配置した分岐ブレーカ23については、メイン主幹ブレーカ29を介して系統電源8と接続されるが、受電接続部50を介して電気を供給する外部電源7とは接続されない。このため、これらの分岐ブレーカ23は一般負荷OLOに接続させるものとして用いることができる。一方、切替開閉器26の真下に位置する分岐ブレーカ22については、切替開閉器26と接続されており、メイン主幹ブレーカ29の上流側に位置する系統電源8と、受電接続部50を介して電気を供給する外部電源7と、を切り替えて接続することができる。このため、これらの分岐ブレーカ22は重要負荷ILOに接続させるものとして用いることができる。
【0051】
ところで、受電接続部50は分電盤2に備えていなくてもよい。例えば、受電接続部50を分電盤2から離した位置に配置すれば、外部電源7との接続が容易になる場合がある。図13に示す例では分電盤2は、建物の床面から離れた高い位置に配置されている。分電盤2は通常、天井付近など、やや高めの位置に配置されるため、分電盤2に受電接続部50が備えられていると、入力プラグ71の接続も高い位置で行うことになる。このような状況を回避するために、受電接続部50を分電盤2よりも床面に近い位置に配置し、その受電接続部50と分電盤2を電線で接続する構成としている。
【0052】
例えば壁の床面付近の部分に受電接続部50を備えるように構成し、壁の裏側に受電接続部50と分電盤2を繋ぐ電線を配策するようにすれば、見た目をすっきりとさせることも可能となる。また、分岐ブレーカ22が収納される分電盤2が配置される部屋と、受電接続部50が配置される部屋を異なるようにしてもよい。分岐ブレーカ22が収納される分電盤2が配置される階と、受電接続部50が配置される階を異なるようにしてもよい。
【0053】
また、受電接続部50については、入力プラグ71を水平方向から挿入可能なようにしてもよい(図14から図16参照)。この場合、受電接続部50が床面付近に配置されていたり、受電接続部50や分電盤2の真下に設置物が存在していたりしても、受電接続部50への入力プラグ71の差し込みを容易に行うことができる。
【0054】
なお、図14から図16に示す例では、受電接続部50は取付部材54を用いて筐体21に取り付けられている。取付部材54はハット曲げ形状となっており、受電接続部50を筐体21の取付面から浮かせるように取り付けることができる。取付部材54のハット曲げにより形成される受電接続部50と分電盤2の取付面との間の空間を電線56を通すことができる配線空間としている。
【0055】
図2図15に示す例では、受電接続部50と切替開閉器26の間に外部電源用主幹ブレーカ27が配置されている。このようにすれば、外部電源用主幹ブレーカ27の能力は、外部電源7だけを基に定めることができる。このため、外部電源用主幹ブレーカ27の能力が系統電源8に左右されなくてすむ。このようなことが可能となることから、受電接続部50と分岐ブレーカ22の間を電気的に接続可能な主幹ブレーカが、受電接続部50と切替開閉器26との間を電気的に接続する構成とするのが好ましい。
【0056】
ただし、受電接続部50から分岐ブレーカ22に流れる電流の遮断は、この位置で行われなくてもよい。例えば、分岐ブレーカ22と切替開閉器26の間に外部電源用主幹ブレーカ27が配置されるようにしてもよい(図17参照)。この場合、系統電源8と外部電源7の双方に対応した主幹ブレーカとすることができるので、機器点数を抑制することが可能となる。このようなことが可能となることから、受電接続部50と分岐ブレーカ22の間を電気的に接続可能な主幹ブレーカが、切替開閉器26と分岐ブレーカ22との間を電気的に接続する構成とするのが好ましい。
【0057】
なお、外部電源用主幹ブレーカ27は、受電接続部50の上流側に配置することも可能であるため、受電接続部50と分岐ブレーカ22の間に外部電源用主幹ブレーカ27が介在している構成としないことも考えられる。この場合でも、切替開閉器26で切り替えをすることに支障はない。
【0058】
いずれにせよ、電気供給経路構造体1は、接続先を切り替えるために用いることが可能な切替開閉器26を備え、前記切替開閉器26は、受電接続部50を介して外部電源7と接続され、かつ、系統電源8と接続され、分岐ブレーカ22に給電する電源を、系統電源8と外部電源7とで切り替え可能である構成とするのが好ましい。なお、手動による切り替えをしなくてもよいようにするため、切替開閉器26を自動的に切り替え可能である構成とするのが好ましい。
【0059】
この場合、切替開閉器26に流れる電気の大きさなどに基づいて切り替えが行われるようにするのが好ましい。例えば、系統電源から送られる電気の電流値が所定値未満となったら切り替えるようなことである。なお、切替開閉器26を切り替える信号を別の機器から送るようにしてもよい。
【0060】
ところで、切り替え操作を行うために用いられる切替部25は切替開閉器26を用いて構成しなくてもよい。例えば、スイッチやリレーなどを用いて切替部25を構成するようにしてもよい。
【0061】
このため、分岐ブレーカ22を備える分電盤2と、外部電源7と分電盤2の接続に用いられる入力プラグ71が挿入される開口51を有する受電接続部50と、受電接続部50を介して外部電源7と接続され、かつ、系統電源8と接続され、分岐ブレーカ22に給電する電源を、系統電源8と外部電源7とで切り替え可能である切替部25と、を備える電気供給システムとしてもよい。
【0062】
また、分電盤2を経由して提供される系統電源8と、外部電源7と、を切り替えることが可能な切替部25(例えば切替開閉器26)は、分電盤2の内部に備えるようにしてもよいし(図17参照)、分電盤2の外部に備えるようにしてもよい(図18参照)。また、外部電源7に接続される受電接続部50から分電盤2内の分岐ブレーカ22を繋ぐ経路上に設ける主幹ブレーカを分電盤2の外部に備えるようにしてもよい。更には、受電接続部50を分電盤2の外部に備えるようにしてもよい。
【0063】
また、第一の分電盤2A及び第二の分電盤2Bとは別に接続切替盤を設けるようにしてもよい。図19では、受電接続部50と、受電接続部50と電気的な接続がなされる外部電源用主幹ブレーカ27と、切替開閉器26を備えた外部接続切替盤49を接続切替盤の例として示している。この例では表示部31を備えるようにしているが、表示部31を備えない接続切替盤としてもよい。また、切替開閉器26のような機能をスイッチやリレーを用いて発揮できるようにしてもよい。
【0064】
つまり、外部接続切替盤49は、受電接続部50と、受電接続部50と電気的な接続がなされる主幹ブレーカと、切替部25を備えた構成とすればよい。そして、外部接続切替盤49を第一の分電盤2A及び第二の分電盤2Bとは別に設けるようにすることで、第一の分電盤2A及び第二の分電盤2Bを建築物の床面から比較的離れた位置となる高い位置に配置しつつ、受電接続部50を備えた外部接続切替盤49を建築物の床面と比較的近い位置に配置することが可能となる(図20参照)。なお、外部接続切替盤49は、建築物の壁面91に固定できるようにするのが好ましいが、建築物の床面に固定できるようにしてもよい。
【0065】
以上、実施形態を例に挙げて本発明について説明してきたが、本発明は上記実施形態に限定されることはなく、各種の態様とすることが可能である。例えば、系統電源よりも外部電源を優先して利用することと外部電源よりも系統電源を優先して利用することを切り替えるように制御可能な構成としてもよい。
【符号の説明】
【0066】
1 電気供給経路構造体
2 分電盤
7 外部電源
8 系統電源
21 筐体
21c 前面パネル
21ca 第一の窓部
21cb 第二の窓部
22 分岐ブレーカ
221 操作部
25 切替部
26 切替開閉器
262 切替スイッチ
31 表示部
32 検知部
50 受電接続部
51 開口
60 凹み部
71 入力プラグ
91 壁面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
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図10
図11
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