(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025033700
(43)【公開日】2025-03-13
(54)【発明の名称】洗浄剤
(51)【国際特許分類】
A61K 8/37 20060101AFI20250306BHJP
C09K 3/00 20060101ALI20250306BHJP
C11D 1/68 20060101ALI20250306BHJP
C11D 1/74 20060101ALI20250306BHJP
A61Q 5/02 20060101ALI20250306BHJP
A61Q 19/10 20060101ALI20250306BHJP
【FI】
A61K8/37
C09K3/00 103H
C11D1/68
C11D1/74
A61Q5/02
A61Q19/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023139608
(22)【出願日】2023-08-30
(71)【出願人】
【識別番号】000226437
【氏名又は名称】日光ケミカルズ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】安田 美里
【テーマコード(参考)】
4C083
4H003
【Fターム(参考)】
4C083AC112
4C083AC122
4C083AC232
4C083AC302
4C083AC312
4C083AC391
4C083AC392
4C083AC421
4C083AC422
4C083AC532
4C083AC662
4C083AC712
4C083AC782
4C083AC792
4C083AD132
4C083AD202
4C083BB60
4C083CC23
4C083CC38
4C083DD23
4C083DD27
4C083EE07
4H003AB09
4H003AC03
4H003AC12
4H003AD04
4H003BA12
4H003DA02
4H003DA17
4H003EB04
4H003EB08
4H003ED02
4H003ED28
4H003FA30
(57)【要約】
【課題】本発明は、洗浄用組成物に洗浄剤用増粘剤を添加することで、優れた増粘効果を付与することができる洗浄剤を提供することを課題とする。
【解決手段】下記(A)と(B)とを必須成分として含有することで、上記課題を解決した。
(A)脂肪酸の炭素数が12~14であり、かつポリグリセリンの平均重合度が3~6であるポリグリセリン脂肪酸エステル
(B)プロピレングリコールモノラウリン酸エステル
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗浄剤用増粘剤として下記成分(A)および(B)を含有することを特徴とする洗浄剤。
成分(A)脂肪酸の炭素数が12~14であり、かつポリグリセリンの平均重合度が3~6であるポリグリセリン脂肪酸エステル
成分(B)プロピレングリコールモノラウリン酸エステル
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、優れた増粘効果を付与することができる洗浄剤用増粘剤を含有する洗浄剤に関する。
【背景技術】
【0002】
シャンプー、ボディシャンプー、洗顔フォームやハンドソープ、あるいは台所用液体洗剤といった洗浄剤全般には、性能およびハンドリング性向上のため、一般的に増粘剤が配合されている。特許文献1では、アルキル硫酸塩やアルキルスルホン酸塩等のアニオン性界面活性剤を主な洗浄成分とする場合に、特定のプロピレングリコールモノラウリン酸エステルを添加することで増粘効果を示すことが報告されている。
【0003】
一方で、近年、刺激性緩和の目的でアシルアミノ酸系界面活性剤が用いられることが多く、これらの界面活性剤を含む洗浄剤ではさらに粘度を形成することが困難であることが知られている。特許文献2では、N-長鎖アシル酸性アミノ酸及び/又はその塩に両親媒性物質、無機塩、水を特定の割合で配合することで程よい増粘性を付与できることが報告されている。しかしながら、上記技術だけでは十分な粘度を得ることができず、実際の処方例ではコカミドDEAといった他の増粘剤も併用しており、課題が残されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特公平6-31409号公報
【特許文献2】特許第3922299号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、上記従来技術の課題に鑑みてなされたものであり、例えば、アシルアミノ酸系界面活性剤を主洗浄成分とする洗浄剤においても、優れた増粘効果を付与することができる洗浄剤を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者等が鋭意研究を重ねた結果、(A)脂肪酸の炭素数が12~14であり、かつポリグリセリンの平均重合度が3~6であるポリグリセリン脂肪酸エステルと、(B)プロピレングリコールモノラウリン酸エステルを合わせて配合することで、優れた増粘効果を付与することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
【発明の効果】
【0007】
本発明は洗浄剤用増粘剤を用いることにより、低粘度になりやすいアシルアミノ酸系の界面活性剤を主洗浄成分に用いた場合にも十分な粘度を付与することができ、性能およびハンドリング性の良好な洗浄剤を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明を実施するための形態をより詳細に説明する。
本発明に用いる(A)ポリグリセリン脂肪酸エステルは炭素数が12~14のアルキル基を有し、かつポリグリセリンの平均重合度が3~6であることを特徴とする。
【0009】
本発明に係る(A)としては、特に限定されるものではないが、例えば、ラウリン酸トリグリセリル、ラウリン酸テトラグリセリル、ラウリン酸ヘキサグリセリル、ミリスチン酸トリグリセリル、ミリスチン酸テトラグリセリル、ミリスチン酸ヘキサグリセリルである。市販品としては、「NIKKOL Triglyn 1-L」(日光ケミカルズ社製)、「NIKKOL Hexaglyn 1-L」(日光ケミカルズ社製)、「NIKKOL Hexaglyn 1-M」(日光ケミカルズ社製)等が挙げられる。
【0010】
本発明に係る(B)としては、特に限定されるものではなく、市販品としては、「Type BP」(理研ビタミン社製)、「ユニセーフPGML」(日油社製)等が挙げられる。
【0011】
本発明に用いる(A)ポリグリセリン脂肪酸エステルの配合量は、洗浄剤全量中0.1~10質量%、より好ましくは0.1~5質量%、更に好ましくは0.5~3質量%である。
【0012】
本発明に用いる(B)プロピレングリコールモノラウリン酸エステルの配合量は、洗浄剤全量中0.1~5質量%、より好ましくは0.5~3質量%である。
【0013】
本発明における洗浄剤としては、特に限定されるものではなく、水系及び乳化系を問わず、ヘアシャンプー、ボディシャンプー、洗顔フォーム、クレンジング剤、ハンドソープ、台所用液体洗剤などの製品群が挙げられる。
【0014】
以下に本発明の実施例を挙げて、本発明についてさらに詳しく説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、以下の例において、配合量の記載は特に断りがない限り、質量%を意味する。
【実施例0015】
本発明品を用いて、洗浄剤における増粘性能を評価した。
1.調製方法
表1および表2に示す洗浄剤配合成分をそれぞれ測りとり均一混合することで、基準品、発明品1~9および比較品1~5を調製した。
2.増粘性能の評価
25℃における粘度を、B型粘度計を用いて測定した。条件は、ローターNo.3、回転数30rpmで30秒後の粘度とした。
表1および表2に記載した増粘性能の評価結果は、基準品の粘度と比較した際の粘度変化であり、それぞれの増粘の度合いから以下の通り表記した。
<増粘性能の評価における表記>
-:基準品と比較して、粘度低下または粘度変化が認められなかった。
+:基準品と比較して、粘性増加(~200mPa・s)が認められた。
++:基準品と比較して、粘性が大きく増加した。(200~1000mPa・s)
+++:基準品と比較して、著しく粘度が増加した。(1000mPa・s以上)
【0016】
【0017】
【0018】
以下に、洗浄剤用増粘剤を含有した実施例を示す。実施例1から4はいずれも本発明品中の(A)ポリグリセリン脂肪酸エステルに該当する成分を含有しなかった場合と比較して、優れた増粘効果が認められた。
【0019】
実施例1:シャンプー
ココイルメチルタウリンNa 4.50(質量%)
ラウロイルメチルアラニンNa 1.50
コカミドプロピルベタイン 4.50
ラウリルベタイン 1.75
ポリクオタニウム-10 0.40
(カプリリル/カプリル)グルコシド 0.52
グリセリン 1.00
1,3-ブチレングリコール 1.00
ラウリン酸プロピレングリコール 2.00
ラウリン酸トリグリセリル 2.00
クエン酸 適量
クエン酸Na 適量
防腐剤 適量
精製水 残部
全量 100.00
(調製方法)全ての成分を均一混合する。
(結果)実施例1は、実施例と同様の方法で粘度測定を行ったところ4000mPa・s以上の粘度を示した。実施例1からラウリン酸トリグリセリルを抜去した場合、粘度は2900mPa・sであったことから、本発明の増粘効果が確認された。
【0020】
実施例2:ハンドソープ
ラウロイルメチルアラニンNa 4.50(質量%)
コカミドプロピルベタイン 4.50
(カプリリル/カプリル)グルコシド 2.60
グリセリン 2.00
プロパンジオール 3.00
ラウリン酸プロピレングリコール 1.50
ラウリン酸テトラグリセリル 2.00
クエン酸 適量
クエン酸Na 適量
防腐剤 適量
精製水 残部
全量 100.00
(調製方法)全ての成分を均一混合する。
(結果)実施例2は、実施例と同様の方法で粘度測定を行ったところ2700mPa・sの粘度を示した。実施例2からラウリン酸テトラグリセリルを抜去した場合、粘度は735mPa・sであったことから、本発明の増粘効果が確認された。
【0021】
実施例3:ボディシャンプー
ココイルグルタミン酸TEA 9.00(質量%)
トリデセス-4カルボン酸Na 5.00
ココアンホ酢酸Na 4.00
1,3-ブチレングリコール 5.00
ラウリン酸プロピレングリコール 2.00
ミリスチン酸トリグリセリル 0.80
EDTA-2Na 適量
防腐剤 適量
精製水 残部
全量 100.00
(調製方法)全ての成分を均一混合する。
(結果)実施例3は、実施例と同様の方法で粘度測定を行ったところ4000mPa・s以上の粘度を示した。実施例3からミリスチン酸トリグリセリルを抜去した場合、粘度は3100mPa・sであったことから、本発明の増粘効果が確認された。
【0022】
実施例4:シャンプー
ラウレス硫酸Na 5.40(質量%)
ラウリル硫酸TEA 4.20
ラウロアンホ酢酸Na 2.90
ポリクオタニウム-10 0.30
1,3-ブチレングリコール 3.00
ラウリン酸プロピレングリコール 1.00
ミリスチン酸ヘキサグリセリル 1.00
EDTA-2Na 適量
安息香酸Na 適量
クエン酸 適量
防腐剤 適量
精製水 残部
全量 100.00
(調製方法)全ての成分を均一混合する。
(結果)実施例4は、実施例と同様の方法で粘度測定を行ったところ3000mPa・sの粘度を示した。実施例4からミリスチン酸ヘキサグリセリルを抜去した場合、粘度は1230mPa・sであったことから、本発明の増粘効果が確認された。