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特開2025-3388ハードディスクドライブ装置のヘッドジンバルアセンブリ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025003388
(43)【公開日】2025-01-09
(54)【発明の名称】ハードディスクドライブ装置のヘッドジンバルアセンブリ
(51)【国際特許分類】
   G11B 21/21 20060101AFI20241226BHJP
   G11B 21/10 20060101ALI20241226BHJP
   G11B 5/60 20060101ALI20241226BHJP
【FI】
G11B21/21 D
G11B21/10 N
G11B5/60 P
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024099256
(22)【出願日】2024-06-20
(31)【優先権主張番号】18/212,586
(32)【優先日】2023-06-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】517151084
【氏名又は名称】マグネコンプ コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】MAGNECOMPCORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】クエン チー イー
(57)【要約】
【課題】ヘッドジンバルアセンブリを提供すること。
【解決手段】ジンバルはネック部によって結合されたベース部および舌部を有する。ベース部は舌部から離れる方向を向く第1の近位縁部を含む。回路はジンバルに取り付けられて、第1の近位縁部を越えて延びる回路延長領域を有する、ベース部に取り付けられた部分を含む。回路延長領域は舌部から離れる方向を向く第2の近位縁部を含む。スライダは舌部に取り付けられるとともに、回路に電気的に接続されていてもよい。第1および第2のPZTアクチュエータは、ヘッドジンバルアセンブリに取り付けられるとともに、回路に電気的に接続される。回路延長領域は、第1の近位縁部の最も遠くに延びる部分および第2の近位縁部の最も遠くに延びる部分に対して、舌部から離れる方向に測定して少なくとも0.1mmの回路延長領域幅Wを有する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヘッドジンバルアセンブリであって、
ネック部によって結合されたベース部および舌部を有するジンバルであって、ベース部は、舌部から離れる方向を向く第1の近位縁部を含む、ジンバルと、
前記ジンバルに取り付けられた回路であって、前記ベース部の第1の近位縁部を越えて延びる回路延長領域を含む、前記ベース部に取り付けられた部分を含み、回路延長領域は、前記舌部から離れる方向を向く第2の近位縁部を含む、回路と、
ヘッドジンバルアセンブリに取り付けられるとともに、前記回路に電気的に接続されて、前記ベース部に対して前記舌部を変位させる第1のPZTアクチュエータおよび第2のPZTアクチュエータと、を備えており、
前記回路延長領域は、前記舌部から離れる方向に延びる第1の近位縁部の最も遠くに延びる部分および前記舌部から離れる方向に延びる第2の近位縁部の最も遠くに延びる部分に対して、前記舌部から離れる方向に測定して少なくとも0.1mmの回路延長領域幅Wを有している、ヘッドジンバルアセンブリ。
【請求項2】
前記回路が、電気トレースおよび絶縁材料を含み、前記回路の回路延長領域が、電気トレースのない絶縁材料を含んでいる、請求項1に記載のヘッドジンバルアセンブリ。
【請求項3】
前記第1のPZTアクチュエータが、前記回路の第1の接合部位に取り付けられた近位端と、前記回路の第2の接合部位に取り付けられた遠位端と、を有しており、
前記第2のPZTアクチュエータが、前記回路の第3の接合部位に取り付けられた近位端と、前記回路の第4の接合部位に取り付けられた遠位端と、を有している、請求項1に記載のヘッドジンバルアセンブリ。
【請求項4】
前記第1の接合部位および前記第3の接合部位が、前記ベース部に隣接しており、前記第2の接合部位および前記第4の接合部位が、前記舌部に隣接している、請求項3に記載のヘッドジンバルアセンブリ。
【請求項5】
前記舌部に取り付けられるとともに、前記回路に電気的に接続されたスライダをさらに備えている、請求項1に記載のヘッドジンバルアセンブリ。
【請求項6】
前記回路が、前記スライダと前記舌部との間に配置されている、請求項5に記載のヘッドジンバルアセンブリ。
【請求項7】
サスペンションアセンブリであって、
ベースプレートと、
ヒンジによって前記ベースプレートに接続されたロードビームと、
前記ロードビームに取り付けられたジンバルであって、ネック部によって結合されたベース部および舌部を備えており、ベース部は舌部から離れる方向を向く第1の近位縁部を含んでいる、ジンバルと、
前記ジンバルに取り付けられた回路であって、前記ベース部の第1の近位縁部を越えて延びる回路延長領域を含む、前記ベース部に取り付けられた部分を含んでおり、回路延長領域は、前記舌部から離れる方向を向く第2の近位縁部を含んでいる、回路と、
サスペンションアセンブリに取り付けられるとともに、前記回路に電気的に接続されて、前記ベース部に対して前記舌部を変位させる第1のPZTアクチュエータおよび第2のPZTアクチュエータと、を備えており、
前記回路延長領域は、前記舌部から離れる方向に延びる第1の近位縁部の最も遠くに延びる部分および前記舌部から離れる方向に延びる第2の近位縁部の最も遠くに延びる部分に対して、前記舌部から離れる方向に測定して少なくとも0.1mmの回路延長領域幅Wを有している、サスペンションアセンブリ。
【請求項8】
前記回路が、電気トレースおよび絶縁材料を含み、前記回路の回路延長領域が、電気トレースのない絶縁材料を含んでいる、請求項7に記載のサスペンションアセンブリ。
【請求項9】
前記第1のPZTアクチュエータが、前記回路の第1の接合部位に取り付けられた近位端と、前記回路の第2の接合部位に取り付けられた遠位端と、を有しており、
前記第2のPZTアクチュエータが、前記回路の第3の接合部位に取り付けられた近位端と、前記回路の第4の接合部位に取り付けられた遠位端と、を有している、請求項7に記載のサスペンションアセンブリ。
【請求項10】
前記第1の接合部位および前記第3の接合部位が、前記ベース部に隣接しており、前記第2の接合部位および前記第4の接合部位が、前記舌部に隣接している、請求項9に記載のサスペンションアセンブリ。
【請求項11】
前記舌部に取り付けられるとともに、前記回路に電気的に接続されたスライダをさらに備えている、請求項7に記載のサスペンションアセンブリ。
【請求項12】
前記回路が、前記スライダと前記舌部との間に配置されている、請求項11に記載のサスペンションアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2023年6月21日に出願された米国特許出願第18/212,586号の優先権を主張するものであり、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、ハードディスクドライブに関し、より詳細には、ハードディスクドライブ用のヘッドジンバルアセンブリおよびサスペンションアセンブリに関する。
【背景技術】
【0003】
ハードディスクドライブ(HDD)は、磁気表面を有する1つまたは複数の円形ディスク上にデジタル符号化データを記憶する不揮発性記憶装置である。動作中、各ディスクは高速で回転する。データは、ヘッドスタックアセンブリに一体化されたボイスコイルモータまたはアクチュエータによって回転させられるヘッドスタックアセンブリのアームに取り付けられたサスペンションアセンブリによって、ディスク表面上の特定のデータトラックまたは位置に配置される読み書きヘッドを使用して、ディスクから読み取られ、ディスクに書き込まれる。読み書きヘッドを安定させて、ディスク表面上の目標とするデータトラックと位置合わせすることは、ハードディスクドライブ動作中のサスペンションアセンブリの主な機能を定義する。サスペンションアセンブリの設計および製造を最適化することで、ハードディスクドライブの性能を低下させる可能性のある機械的、熱的、および他のオフトラック障害の影響を最小限に抑えることができる。サスペンションアセンブリは、ロードビームを含む。動作中、アクチュエータは、ロードビームの遠位端をディスクの所望の部分(例えば、ディスク表面の円形トラックのうちの1つ)上に位置させる。ロードビームの遠位端には、ジンバルアセンブリ(フレクシャとも呼ばれる)が取り付けられている。ジンバルアセンブリは、読み書きヘッドを含むスライダ、および(アクチュエータによるスライダのより粗い位置決めとは対照的に)スライダの微細な位置決めのためにジンバルアセンブリの一部を回転させるマイクロアクチュエータデバイス(圧電素子(piezoelectric device)、本明細書ではPZTとも呼ばれる)などの構成要素を含むことができる。スライダと回転するディスクとの間の空気粘性による圧力で、スライダはディスクの表面上で(ディスクに極めて接近して)ホバリングする。ロードビームは特に横軸において比較的剛性であるが、ジンバルアセンブリはより可撓性であるので、スライダは、ディスク表面のすぐ上でその動作距離を維持するために、ディスク表面上を浮遊しながらピッチとロールができるようになっている。
【0004】
図1は、従来のヘッドスタックアセンブリ2の一部を示しており、図2および3は、ヘッドスタックアセンブリ2の従来のヘッドジンバルアセンブリ10を示している。ヘッドスタックアセンブリ2は、ベースプレート8に接続されたヒンジ6を有する近位端で終端するロードビーム4を備えたサスペンションアセンブリ3を含む。ロードビームの遠位端には、ヘッドジンバルアセンブリ10が取り付けられている。ベースプレート8は、ヘッドスタックアセンブリ2のアクチュエータアーム12に接続されており、アクチュエータアーム12は一体型アクチュエータ(図示せず)によって回転する。
【0005】
図2および3に最もよく示されているように、ヘッドジンバルアセンブリ10は、板金(例えば、ステンレス鋼)の薄い部品のジンバル14と、導電性トレース(例えば、銅)および絶縁材料(例えば、ポリイミド)を含む回路16と、ジンバル14に(例えば、接着剤によって)取り付けられた読取り/書込みヘッドを有するスライダ18と、ジンバル14のスライダ18と同じ側に取り付けられたPZTアクチュエータ20とを備える。回路16はロードビーム4とヘッドジンバルアセンブリ10に沿って延び、スライダ18の読取り/書込みヘッドとPZTアクチュエータ20に電気信号を伝達する。回路16の導電性トレースは、回路16の絶縁材料によってジンバル14から電気的に絶縁されている。
【0006】
ジンバル14はベース部14aおよび舌部14bを含み、これらはネック部14cによって互いに接続されている。舌部14bは、(スライダ18の微細な位置制御のために)ネック部14cを中心にして回転するように構成されている。スライダ18は舌部14bに取り付けられている。PZTアクチュエータ20は、舌部14bとベース部14aとの間に取り付けられており、回路16から供給される電気信号に応答してPZTアクチュエータ20が伸縮するときに、ネック部14を中心にして舌部14bを回転させるようになっており、これにより、動作中にディスクトラックに対するスライダ18の微細な移動制御が行われる。この例では、PZTアクチュエータ20は、ジンバル14に間接的に取り付けられている。つまり、PZTアクチュエータ20は回路16に取り付けられており、回路16はジンバル14に取り付けられている。
【0007】
PZTアクチュエータ20は、圧電材料の多層デバイスであってもよい。圧電材料の一般的な例としては、チタン酸ジルコン酸鉛を挙げることができるが、他の圧電材料も使用されかつ知られており、電子信号に反応して伸縮する。PZT材料は脆いことがある。サスペンションアセンブリ3は、使用されていないときは、非動作時の衝撃事象(例えば、HDDが乱暴に扱われたり、落とされたりしたときに生じる)によって引き起こされる可能性のある有害な動きから保護するのに役立つように、傾斜面(ramp)に置くことができる。しかしながら、非動作時の衝撃事象では、ヘッドジンバルアセンブリ10が損傷を受ける可能性がある(例えば、PZT材料に亀裂が入る可能性があり、および/または回路16に永久変形が生じる可能性がある)。ベース部14aがピッチ方向に大きく動くと破損が生じる場合があり、これは、ベース部14aの近位端がロードビーム4に接触して、PZTアクチュエータ20に過度な応力がかかるためである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
非動作時の衝撃事象による損傷を受けにくいヘッドジンバルアセンブリの設計が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前述の問題および必要性は、ネック部によって結合された(joined together)ベース部および舌部を有するジンバルを含むヘッドジンバルアセンブリによって対処される。ベース部は、舌部から離れる方向を向く第1の近位縁部を含み、回路はジンバルに取り付けられている。回路は、ベース部に取り付けられた部分であって、ベース部の第1の近位縁部を越えて延びる回路延長領域を有する部分を含む。回路延長領域は、舌部から離れる方向を向く第2の近位縁部を含む。第1のPZTアクチュエータおよび第2のPZTアクチュエータは、ヘッドジンバルアセンブリに取り付けられるとともに、回路に電気的に接続されて、ベース部に対して舌部を変位させる(displace)。ヘッドジンバルアセンブリはまた、舌部に取り付けられるとともに、回路に電気的に接続されたスライダを含むことができる。回路延長領域は、舌部から離れる方向に延びる第1の近位縁部の最も遠くに延びる部分および舌部から離れる方向に延びる第2の近位縁部の最も遠くに延びる部分に対して、舌部から離れる方向に測定して少なくとも0.1mmの回路延長領域幅Wを有する。
【0010】
他の実施形態では、概して、ベースプレートと、ヒンジによってベースプレートに接続されたロードビームと、ロードビームに取り付けられるジンバルとを備える、サスペンションアセンブリが提供され、ジンバルは、ネック部によって結合されるベース部および舌部を備えており、ベース部は、舌部から離れる方向を向く第1の近位縁部を含む。回路はジンバルに取り付けられている。回路は、ベース部に取り付けられた部分であって、ベース部の第1の近位縁部を越えて延びる回路延長領域を有する部分を含む。回路延長領域は、舌部から離れる方向を向く第2の近位縁部を含む。第1のPZTアクチュエータおよび第2のPZTアクチュエータは、サスペンションアセンブリに取り付けられるとともに、回路に電気的に接続されて、ベース部に対して舌部を変位させる。回路延長領域は、舌部から離れる方向に延びる第1の近位縁部の最も遠くに延びる部分および舌部から離れる方向に延びる第2の近位縁部の最も遠くに延びる部分に対して、舌部から離れる方向に測定して少なくとも0.1mmの回路延長領域幅Wを有する。
【0011】
本開示の他の目的および特徴は、明細書、特許請求の範囲、および添付の図面を検討することによって明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】従来のヘッドサスペンションアセンブリの部分斜視図である。
図2】従来のヘッドサスペンションアセンブリの底面図である。
図3】従来のヘッドサスペンションアセンブリの上面図である。
図4】本開示のいくつかの実施形態によるヘッドジンバルアセンブリの一例の上面図である。
図5】本開示のいくつかの実施形態によるヘッドジンバルアセンブリの一例の底面図である。
図6図4および5のヘッドジンバルアセンブリの回路延長領域幅Wの関数としてのPZT最大応力のグラフ表示である。
図7】本開示のいくつかの実施形態によるヘッドジンバルアセンブリの第2の例の上面図である。
図8】本開示のいくつかの実施形態によるヘッドジンバルアセンブリの第3の例の上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明者らは、ジンバルのベース部の近位縁部を越えて少なくとも一定の幅寸法だけ回路を延長する回路延長領域を設けることによって、非動作時の衝撃事象においてPZTアクチュエータにかかる応力が大幅に低減されることを発見した。このようなジンバルは、図1に示すヘッドスタックアセンブリ2とともに使用することができる。
【0014】
図4および5は、一実施例によるヘッドジンバルアセンブリ30の上面図および底面図をそれぞれ示しており、このアセンブリは、上述したヘッドスタックアセンブリ2およびサスペンションアセンブリ3と互換性がある(すなわち、ヘッドジンバルアセンブリ30は、図1に関して上述したロードビーム4に取り付けることができる)。ヘッドジンバルアセンブリ30は、板金の薄い部品を形成するジンバル32を含む。ジンバル32は、ステンレス鋼で形成することができる。回路34は、ジンバル32に搭載されるか、または他の方法で取り付けられるとともに、導電性トレースおよび絶縁材料を含む。導電性トレースは銅とすることができ、絶縁材料はポリイミドとすることができる。スライダ36は、ジンバル32に取り付けられるとともに、読取り/書込みヘッドを含む。スライダ36は、接着剤によってジンバル32に取り付けることができる。
【0015】
ジンバル32はベース部32aおよび舌部32bを含み、これらはネック部32cによって結合されている。スライダ36は、舌部32bに(舌部に対して直接的に、または、回路34がスライダ36と舌部32bとの間に配置されるように、スライダ36が回路34に直接取り付けられ、かつ、回路34が舌部32bに直接取り付けられた状態で舌部に対して間接的に)取り付けられる。舌部32bは、動作中のスライダ36の微細な位置制御のためにスライダ36の比較的小さな動きを提供するために、ネック部32cを中心にベース部32aに対して回転するか、または他の方法で変位するように構成されている。PZTアクチュエータ38は、舌部32bとベース部32aとの間に取り付けられており、回路34から供給される電気信号に応答してPZTアクチュエータ38が伸縮するときに、舌部32b(および舌部32bに取り付けられたスライダ36)を、ネック部32cを中心としてベース部32aに対して回転またはその他の方法で変位させる(動作中にディスクトラックに対するスライダ36の微細な位置決め制御を行うため)。
【0016】
回路34、スライダ36、およびPZTアクチュエータ38はすべて、ジンバル32の同じ側(すなわち、第1の側または底側)に取り付けることができる。あるいは、図4および5に示すように、PZTアクチュエータ38をジンバル32の反対側(すなわち、第2の側または上側)に取り付ける一方、回路34およびスライダ36をジンバル32の第1の側に取り付けることができる。この例では、PZTアクチュエータ38はジンバル32に間接的に取り付けられている。つまり、PZTアクチュエータ38は回路34の接合部位(bonding site)34a/34bに取り付けられ、回路34はジンバル32に取り付けられている。具体的には、接合部位34aは、PZTアクチュエータ38の近位端が(ベース部32aに隣接して)取り付けられる回路34の部分であり、接合部位34bは、PZTアクチュエータ38の遠位端が(舌部32bに隣接して)取り付けられる回路34の部分である。したがって、舌部32bを変位させるために使用されるPZTアクチュエータ38の伸縮力は、回路34を介してベース部32aおよび舌部32bに伝達される。
【0017】
回路34は、ジンバル32に沿って延びるとともに、ジンバル32に取り付けられており、スライダ36の読取り/書込みヘッドとの間で電気信号を伝達し、かつ、スライダ36の微細な位置決め制御のためにPZTアクチュエータ38に電気信号を伝達する。したがって、回路34は、PZTアクチュエータ38の電極(PZTアクチュエータを伸縮させる信号を供給するため)およびスライダ36(スライダ36との間で信号を伝達して読み書きなどの動作を行うため)に電気的に接続されている。
【0018】
本発明者らは、ベース部32aに取り付けられた回路34の部分に、ベース部32aの第1の近位縁部40を越えて延びる回路34の部分である回路延長領域34cを含ませて、回路延長領域34cが少なくとも0.1mmの回路延長領域幅Wを有することによって、非動作時の衝撃事象において、PZTアクチュエータ38およびヘッドジンバルアセンブリ30の残りの部分にかかる最大応力の大幅な低減を達成することができることを発見した。回路延長領域幅Wは、(舌部32bから離れる方向において)ベース部32aの第1の近位縁部40の最も遠くに延びる部分、および(舌部32bから離れる方向において)回路延長領域34cの第2の近位縁部42の最も遠くに延びる部分に対する(舌部32bから離れる方向に測定された)回路延長領域34cの幅である。第1の近位縁部40および第2の近位縁部42の両方は、舌部32bから離れる方向を向く。回路延長領域34cは、回路34の絶縁材料を含むが、回路34の電気トレースは含まない。回路延長領域34cがより可撓性の絶縁材料のみを含み、より剛性の電気トレースを含まないようにすることにより、より良好な性能が提供される。
【0019】
図6は、非動作時の衝撃によるPZTアクチュエータへの最大応力と回路延長領域幅Wとの関係を示しており、本発明者らは、回路延長領域幅Wが少なくとも0.1mmに達すると、最大応力が著しく予想外に低下することを発見した。この最大応力の低下は、回路34の絶縁材料がジンバル32よりも可撓性であるという事実に起因し、そのため、回路延長領域幅Wが十分に大きければ、回路34の絶縁材料が十分にあるので、非動作時の衝撃事象においてロードビームと接触し、かつ、ジンバルアセンブリ30とロードビーム4との間の衝突エネルギーを吸収して、PZTアクチュエータ38に生じる応力を大幅に低減することができる。回路延長領域幅Wが0.1mm以上であれば、大幅な衝撃低減の利点が得られる。したがって、ベース部32aに取り付けられた回路34の部分が、少なくとも0.1mmの回路延長領域幅Wを有する回路延長領域34cを含むことにより、非動作時の衝撃事象による最大応力を大幅に低減することができ、PZTアクチュエータおよび/またはヘッドジンバルアセンブリ30の損傷を回避することができる。
【0020】
図6の例では、ベース部32aの近位縁部40は直線状ではないが、回路延長領域34cの近位縁部42は実質的に直線状である。しかしながら、回路延長領域34cの近位縁部42は、実質的に直線状である必要はない。図7は、ヘッドジンバルアセンブリ30の第2の例であり、回路延長領域34cの近位縁部42は直線状ではなく、代わりに切欠き44を含み、切欠き44は、ロードビーム4の位置合わせ機能を妨げないようにするために望ましい。図8は、ヘッドジンバルアセンブリの第3の例であり、ベース部32aの第1の近位縁部40の最も遠くに延びる部分(舌部32bから離れる方向において)は、回路延長領域34cの第2の近位縁部42の最も遠くに延びる部分(舌部32bから離れる方向において)からオフセットされる。
【0021】
本開示は、上述し、かつ本明細書に例示した実施例に限定されるものではなく、任意の請求項の範囲に属する任意のおよび全ての変形例を包含することを理解されたい。例えば、本明細書における本発明、実施形態または例への言及は、任意の請求項または請求項の用語の範囲を限定することを意図するものではなく、その代わりに、請求項のうちの1つまたは複数によってカバーされ得る1つまたは複数の特徴に言及することを意図するものである。上述した材料、プロセス、および数値例は例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものとみなされるべきではない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【外国語明細書】