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<図1>
  • 特開-熱システムためのサイクロン 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025003389
(43)【公開日】2025-01-09
(54)【発明の名称】熱システムためのサイクロン
(51)【国際特許分類】
   B04C 5/22 20060101AFI20241226BHJP
   B04C 5/04 20060101ALI20241226BHJP
   F23C 10/10 20060101ALI20241226BHJP
   F27D 17/22 20250101ALI20241226BHJP
【FI】
B04C5/22
B04C5/04
F23C10/10
F27D17/00 105A
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024099373
(22)【出願日】2024-06-20
(31)【優先権主張番号】20235700
(32)【優先日】2023-06-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FI
(71)【出願人】
【識別番号】515183610
【氏名又は名称】バルメット テクノロジーズ オサケユキチュア
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100229448
【弁理士】
【氏名又は名称】中槇 利明
(72)【発明者】
【氏名】ユハ ヒルヤネン
(72)【発明者】
【氏名】ペッカ レフトネン
【テーマコード(参考)】
3K064
4D053
4K056
【Fターム(参考)】
3K064AA20
3K064AB01
3K064AD05
3K064BA07
3K064BA17
4D053AA03
4D053AB01
4D053BA01
4D053BB01
4D053BC01
4D053BD04
4D053CA02
4D053CE05
4D053CE09
4D053DA06
4K056AA14
4K056AA19
4K056DB13
(57)【要約】      (修正有)
【課題】入口チャネルでの堆積物形成を低減又は防止するサイクロンを提供する。
【解決手段】固体物質Sと気体物質Gとの混合物Mから固体物質Sを分離するサイクロン120であって、第1の下向き方向Szに中心軸を有する円筒体122及び入口チャネル200を含み、固体物質Sが第1の方向Szに出るようにするよう構成され、入口チャネル200の内部は、入口チャネル200の底部210に向かって第1の方向Szにテーパー状になっており、サイクロンは、入口チャネル200の底部210に配置されたノズル220を含み、ノズル220は、入口チャネル200の底部210における固体物質Sの流れを高めるために入口チャネル200に気体Gを供給するように構成されている、熱システムのためのサイクロン。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
固体物質と気体物質との混合物から該固体物質を分離するためのサイクロンであって、当該サイクロンは、
第1の方向に中心軸を有する円筒体と、
入口チャネルであって、該入口チャネルは、前記混合物が前記円筒体に入るようにするよう構成されている、入口チャネルと、
を含み、
前記サイクロンは、前記円筒体から前記固体物質が前記第1の方向に出るようにするよう構成され、
前記入口チャネルの内部は、前記入口チャネルの底部に向かって前記第1の方向にテーパーされ、
前記サイクロンは前記入口チャネルの底部に配置されるノズルを含み、該ノズルは、前記入口チャネルの底部における前記固体物質の流れを高めるために、前記入口チャネルに気体を供給するように構成されている、サイクロン。
【請求項2】
前記サイクロンの前記入口チャネルは、
前記入口チャネルの内部を制限する壁であって、該壁のうちの少なくとも第1の壁は、
前記第1の壁の表面の少なくとも一部の第1の法線と前記第1の方向との間の第1の角度が110~160°であり、
前記第1の法線が前記内部に面する、
ように前記入口チャネルの底部から延びる、請求項1に記載のサイクロン。
【請求項3】
前記入口チャネルは、少なくとも、前記第1の方向に対して垂直な第2の方向に前記混合物を前記円筒体内へと供給するように延在し且つ構成され、第3の方向は、前記第1の方向及び該第2の方向に対して垂直であり、
前記底部の幅は、最大で、前記入口チャネルの内部の幅の50%であり、
前記幅は前記第3の方向に画定され、

前記入口チャネルの底部は、前記入口チャネルの内部に面する第2の法線を有し、前記第3の方向に成分を有さない部分を含み、
前記底部の幅は、前記底部の、前記第2の法線を有する部分の幅である、請求項1に記載のサイクロン。
【請求項4】
前記入口チャネルは、少なくとも、前記第1の方向に対して垂直な第2の方向に前記混合物を前記円筒体内へと供給するように延在し且つ構成され、第3の方向は前記第1の方向及び前記第2の方向に対して垂直であり、
前記入口チャネルの底部は、前記入口チャネルの内部に面する第2の法線を有し、第3の方向に成分を含まない部分を含み、
前記ノズルは、前記底部の、前記第2の法線を有する部分に設けられる、請求項1に記載のサイクロン。
【請求項5】
前記入口チャネルは前記混合物を受け入れるための入口と、前記円筒体の内部に開口する出口とを有し、
前記入口チャネルの底部の少なくとも一部は、前記円筒体に向かって前記底部に沿って移動する物質が、前記第1の方向に正の成分を有する方向に移動するように傾斜し、
好ましくは、
前記入口チャネルの底部は、前記入口チャネルの内部に面する第3の法線を有する部分を含み、
前記第3の法線は、前記第1の方向に第1の成分を有し、前記第2の方向に第2の成分を有し、
前記第1の成分及び前記第2の成分によって画定されるベクトルは、135~178°の第2の角度を形成する、請求項1に記載のサイクロン。
【請求項6】
前記ノズルは、前記気体の供給が前記サイクロンの円筒体の内部に向かう前記入口チャネルの底部上の物質の流れを促進するように、前記入口チャネルに気体を供給するように構成されている、請求項1に記載のサイクロン。
【請求項7】
前記第1の法線を有する、前記第1の壁の少なくとも一部に設けられる補助ノズルを含む、請求項2に記載のサイクロン。
【請求項8】
前記入口チャネルは、第2の方向に延在し、少なくとも前記第2の方向に前記混合物を前記円筒体へと供給するように構成され、前記第2の方向は前記第1の方向に対して垂直であり、
前記入口チャネルは、前記円筒体の内部に開口する出口を有し、該出口は、前記第2の方向が前記円筒体の接線方向と最大で45°の第3の角度を形成する位置に配置され、該接線方向は前記出口の位置で画定される、請求項1に記載のサイクロン。
【請求項9】
前記入口チャネルの内部を制限する壁であって、該壁のうちの少なくとも第2の壁は前記円筒体に取り付けられる、壁を含み、
前記第2の壁の、前記円筒体に取り付けられる部分は第4の法線を有し、
前記円筒体は、前記第2の壁が前記円筒体に取り付けられる位置に接平面を画定し、
前記接平面は前記第4の法線を有し、
好ましくは、さらに、
前記入口チャネルは、前記円筒体の内部に開口する出口を含み、該出口は前記底部の一部を含み、前記出口は、前記底部の、前記出口によって構成される部分と前記接平面との間の距離が、前記底部の、前記出口によって構成される部分と、前記接平面に平行で且つ前記円筒体の中心軸を含む平面との間の距離より小さくなる位置に配置される、請求項1に記載のサイクロン。
【請求項10】
前記入口チャネルは、前記第1の方向に対して垂直な第2の方向に前記混合物を前記円筒体へと供給するように延在し且つかつ構成され、第3の方向は前記第1の方向及び前記第2の方向に対して垂直であり、
前記入口チャネルの底部は、前記第3の方向において前記入口チャネルの実質的な中心にある、請求項3に記載のサイクロン。
【請求項11】
前記入口チャネルの底部はモルタルで覆われた伝熱管を含み、
好ましくは、
少なくとも一部が前記第1の法線を有する前記壁がモルタルで覆われた伝熱管を含む、請求項1に記載のサイクロン。
【請求項12】
請求項1乃至11のいずれか一項に記載のサイクロンと、
前記固体物質と前記気体物質との前記混合物を生成するように構成された反応器と、
を含む熱システムであって、
前記反応器は、循環流動床ボイラーの炉、熱分解反応器、気体化反応器及びバブリング流動床ボイラーの炉のうちの1つを含み、
当該熱システムは、前記混合物を前記サイクロンの前記入口チャネルに導くように構成されている、熱システム。
【請求項13】
前記熱システムの反応器に気体を供給するための第1の供給チャネルであって、該第1の供給チャネルは第1の分岐を含む、第1の供給チャネルと、
前記第1の分岐から前記ノズルに気体を搬送するための第1のパイプラインと、
を含み、
好ましくは、
前記反応器は循環流動床ボイラーの炉であり、
前記第1の供給チャネルは燃焼用空気を前記炉に供給するように構成され、
前記燃焼用空気の一部は前記第1の分岐及び前記第1のパイプラインを介して前記ノズルに供給されるように構成されている、請求項12に記載の熱システム。
【請求項14】
前記サイクロンによって分離された前記気体物質の一部を前記ノズルに供給するように構成された第2のパイプラインを含む、請求項12に記載の熱システム。
【請求項15】
前記サイクロンは、前記第1の方向が下向きになるように用いられる、請求項1乃至11のいずれか一項に記載のサイクロンの使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱分解反応器、気体化反応器、循環流動床ボイラー及びバブリング流動床ボイラーを含むボイラー等の熱システムに関する。本発明は、そのようなシステムに適したサイクロンに関する。本発明は、固体物質と気体物質との混合物から固体物質を分離するのに適したサイクロンに関する。
【背景技術】
【0002】
サイクロンは、固体物質と気体物質との混合物から固体物質を分離するために一般的に用いられている。サイクロンは、循環流動床ボイラー等の熱システムで用いられ得る。一例として、特許文献1の図3には、とりわけ炉及びサイクロンを含む循環流動床ボイラーが開示されている。炉110及びサイクロン120を含む特許文献1の図3の要点は、本明細書の図1として再現されている。炉110内に存在する混合物Mは、入口チャネル200を通ってサイクロン120に入り、サイクロン120内で固体物質Sと気体物質Gの両方が混合物Mから分離される。一般に、図1に示すように、重い固体(すなわち固体物質S)は遠心力によってサイクロン120の壁に集められ、重力によって下方に落下する。対照的に、気体物質Gはサイクロン120の上部から排出できる。
【0003】
入口チャネル200の底部には、図1に示すように、固体物質Sの一部を含む堆積物(heap)990がしばしば蓄積されることがわかった。堆積物990にはいくつかのデメリットがある。先ず、システムの適切な機能を確保するために、堆積物990を時々除去する必要がある。堆積物990は非常に大きいことがあり(数立方メートル)、使用時には非常に高温(数百℃)になり得るため、堆積物990の除去は複雑な作業である。そのため、堆積物990を除去するには冷却する必要があり、これには数日かかり得る。さらに、冷却時に、堆積物990の材料は除去が困難な一体化した固体片に焼結され得る。次に、堆積物990の固体物質の密度は砂の密度と同程度、例えば、約2トン/立方メートルになり得る。堆積物990のサイズが数立方メートルである場合、堆積物990の形成によるシステムの重量増加に耐えるようにシステムを設計する際には、堆積物990の重量を考慮する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】欧州特許第1831604号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
少なくともこれらの理由から、とりわけ熱システムにおいてサイクロン120の入口チャネル200で堆積物990が形成される傾向を低減する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、サイクロン120の入口チャネル200に堆積物990が形成される傾向は、入口チャネル200の底部210での固体物質Sの流れを高めるために入口チャネル200に気体を供給するように構成された1つ以上のノズル220を入口チャネル200の底部210に設けることによって低減できることを見出した。加えて、入口チャネルの形状は、入口チャネル200の底部210に向かって先細りになるように設計され、入口チャネルは、それによって固体物質をノズル220に集める。
【0007】
ノズルは、サイクロンの内部に向かう固体の流れを高めるように空気又は他の気体を吹き付けるように構成され得る。入口チャネル200の底部210は、サイクロンの内部に向かう固体の流れを高めるように傾斜され得る。
【0008】
本発明は、請求項1においてより具体的な用語で記載されている。好ましい実施形態は従属請求項に開示されている。これらの及び他の実施形態は明細書及び図面で説明されている。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は従来技術の循環流動床ボイラーを示す。
図2a図2aはサイクロンの第1の実施形態を示す。
図2b図2bはサイクロンの第2の実施形態を示す。
図2c図2cはサイクロンの第1の実施形態及びいくつかの方向を詳細に示す。
図3a図3aは、第1の実施形態に係るサイクロンの入口チャネルの第1の断面を示す。
図3b図3bは、第2の実施形態に係るサイクロンの入口チャネルの第1の断面を示す。
図4a図4aは、図3aの一部の方向及び寸法をより詳細に示す。
図4b図4bは、図3bの一部の方向及び寸法をより詳細に示す。
図5図5a及び図5bは、実施形態、例えば第1の実施形態又は第2の実施形態に係るサイクロンの入口チャネルの断面を示し、断面は第1の断面に対して垂直である。
図6図6a~図6cは、実施形態、例えば第1の実施形態又は第2の実施形態に係るサイクロンの入口チャネルの断面を示し、断面は第1の断面に対して垂直である。
図7a図7aは、サイクロンの入口チャネルの第1の断面を示し、入口チャネルは、壁にもノズルが設けられており、それ以外は図3aの第1の実施形態と実質的に同様である。
図7b図7bは、サイクロンの入口チャネルの第1の断面を示し、入口チャネルは、壁にもノズルが設けられており、それ以外は図3bの第1の実施形態と実質的に同様である。
図8図8は、実施形態、例えば第1の実施形態又は第2の実施形態に係るサイクロンの入口チャネルの断面を示し、断面は第1の断面に対して垂直であり、角度はより詳細である。
図9図9a~図9dは、実施形態に係るサイクロンの入口チャネルの断面を示し、入口チャネルの壁はモルタルで覆われた伝熱管を含む。
図10図10はサイクロンの入口チャネルを含むサイクロンの断面を示し、断面は実質的に水平である。
図11図11は熱システムを示し、同じ気体(例えば空気)を反応器(例えば炉)及びサイクロンの入口チャネルのノズルの両方に供給する。
図12図12は熱システムを示し、リサイクルされた気体をサイクロンの入口チャネルのノズルに供給する。リサイクルされた気体は、サイクロン内で混合物から分離されている。
【0010】
図面において、方向Szは、典型的な使用において、下方に配置され、SxはSzに対して垂直であり、典型的な使用において水平であり、入口チャネル内の混合物Mの流れの方向に実質的に平行であり、Syは、Sx及びSzの双方に対して垂直である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図2a~図10はサイクロン120の実施形態を示す。サイクロン120は、固体物質Sを混合物Mから分離するのに適しており、そのように構成されている。混合物は、固体物質S及び気体物質Gの両方を含み、これにより、固体物質Sと気体物質Gの混合物Mとなる。サイクロンの動作原理はサイクロン分離であり、当業者には周知であり、教科書から読むことができる。
【0012】
図2a~図2cを参照して、サイクロン120は、第1の方向Szに中心軸を有する円筒体122を含む。典型的な使用において、第1の方向Szは重力と同じ方向、すなわち下向きに向けられる。「円筒体122」という用語は、本体122の壁の外面が異なる形状を有する場合であっても、実質的に円形の内部123を有する本体のことをいう。サイクロン120は入口チャネル200を含む。入口チャネル200は、混合物Mを円筒体122内に入れるように構成されている。とりわけ、入口チャネル200は混合物Mを円筒体122の内部123内に入れるように構成されている。入口チャネル200は、混合物Mを受容するための入口201と、円筒体122の内部123に開口する出口202とを有する。入口201及び出口202は少なくとも図5a~図6bに示されている。
【0013】
入口チャネル200は第2の方向Sxに延び、第2の方向Sxは第1の方向Szに対して垂直である。さらに、入口チャネル200は、第2の方向Sxとほぼ平行な方向に混合物Mを円筒体122内に供給するように構成されている。より正確には、入口チャネル200は、供給方向(FD、図10参照)に混合物Mを円筒体122内に供給するように構成されており、第1の方向Szに法線を有する平面上への供給方向FDの垂直投影(normal projection)は第2の方向Sxに平行である(図10参照)。しかしながら、図5a~図6bを参照して、供給方向FDは、固体物質が底部210に沿って移動する方向DTによって明らかなように、第1の方向Szにも成分を有し得る。上述したように、一実施形態では、第1の方向Szは下向き垂直である。そのため、この実施形態では、第2の方向Sxは、供給方向FDの方向の垂直投影に平行であり、垂直投影は水平面上にある。上記において、供給方向は、使用中の混合物Mの平均的な方向であり、使用中の混合物Mは入口チャネル200を入口201から出口202に流れる。
【0014】
これに伴い、出口202は入口201から少なくとも第2の方向Sxに配置されている。出口202は、正の第2の方向Sxに配置されるのに加えて、例えば、入口201の下方に配置され得る。そのような実施形態では、出口202は入口201から第1の方向Szにも配置され得る。より正確には、出口202は、第1の方向Sz及び第2の方向Sxに正の成分を有するように入口201からの方向に配置される。一例として、入口チャネルの底部210は円筒体122の内部123に向かって傾斜されてもよく(図5a~図6b参照)、入口チャネル200の天井は底部210と同様に傾斜され得る(図示せず)。
【0015】
上記で定義したように、第1の方向Sz及び第2の方向Sxは、Sz及びSxの双方に対して垂直な第3の方向Syも定義する。図面(例えば、2a)において、方向は通常の右手の法則:Sz=Sx×Syに従い、×は2つの方向(すなわちベクトル)Sx及びSyのベクトル積を示す。
【0016】
堆積物990が形成される傾向を低減する目的で、入口チャネル200の底部にノズル220又はノズル220が設けられている。そのため、サイクロンは、入口チャネル200の底部210に配置されたノズル220又はいくつかのノズル220を含む。ノズル220は、入口チャネル200の底部210で固体物質Sの流れを促進するために、入口チャネル200に気体を供給するように構成されている。空気又は他の気体がノズル220を介して入口チャネル200に供給されると、固体物質Sの流れが促進され、堆積物990が形成される傾向が低減される。ノズル220を介して供給される気体によって提供される流動化効果のために、堆積物990が形成される代わりに、固体物質は入口チャネル200内の混合物Mとともに円筒体122の内部123に流れる。
【0017】
しかしながら、入口チャネル200の底部210のノズル220の影響を受けない領域に小さな堆積物又は複数の小さな堆積物が形成され得る。したがって、入口チャネル200の形状は、入口チャネル200の内部239が入口チャネル200の底部210に向かって第1の方向Szにテーパー状になるように設計されている。そのため、入口チャネル200のテーパー形状は入口チャネル200の底部210に固体物質を集める漏斗を形成し、そこにノズル220が設けられる。図2a、図2b、図3a及び図3bを参照する。図7a及び7bを参照して、形状は入口チャネルの全高にわたって(底部210の近くにさえ)テーパー状である必要はない。図7a及び7bに示すように、ノズル220は、実質的に垂直な部分を含む壁によって区切られた底部チャネルに設けられ得る。図9a及び図9cを参照して、入口チャネル200の外面は第1の方向Szにおいてテーパー状である必要はない。
【0018】
このように、固体物質は、円筒体122の内部123に直接流れない場合、重力により入口チャネル200の底部210に向かって落ち、固体物質は、ノズル220によって供給される気体のために流動状態にあり、少なくとも底部210に沿って内部123に導かれる。さらに、入口チャネルの内部239のテーパー形状は固体をノズル220に集める。一例として、図5a及び図5bは、固体物質が底部210に沿って移動する方向DTを示す。
【0019】
底部210での固体物質の収集を強化するために、入口チャネル200の形状、とりわけ、その内部239の形状は底部210に向かって適度に急激にテーパー状であるべきである。しかし、それと同時に、考慮すべき2つの他の設計要素がある。第1に、入口チャネル200の底部210の高さで測定される幅は、底部210上のノズル220の横の堆積物の形成を防止するために大きすぎてはならない。加えて、好ましくは、入口チャネル200の下部のみの形状は底部210に向かってテーパー状であるべきである。反対に、入口チャネル200の上部は実質的に一定の幅を有することが好ましい。これは、入口チャネル200のスループットの観点から好ましい。しかしながら、図7a及び図7bを参照して、内部239の最下部はテーパー状である必要はない。
【0020】
これらの理由により及び図3A及び図3bを参照して、一実施形態では、サイクロン120の入口チャネル200は入口チャネル200の内部239を制限する壁230、231を含む。壁230、231は、上述したように、テーパー状を形成するように設計されている。そのため、壁230、231のうちの少なくとも1つ、すなわち第1の壁231、図3a及び図3bにおいて参照符号231で示す第1の壁は、内部239に面する壁231の表面が傾斜するように、入口チャネル200の底部210から延びる。そのため、第1の壁231の少なくとも一部は傾斜して延びる。壁231は、(i)入口チャネル200の底部210から延びる第1の壁231の表面の少なくとも一部の第1の法線N1と、(ii)第1の方向Szとの間の第1の角度αが110°~160°になるように、入口チャネル200の底部210から延びる。ここで、壁231の表面は、入口チャネル200の内部239を制限する表面のことをいう。そのため、第1の法線N1は入口チャネル200の内部239の方に面する。図3a及び図3bに入口チャネル200の断面を示し、断面は平面Px上にあり、図2cに示される平面Px上にある。図3a及び図3bに示すように、第1の壁231の傾斜部は、一実施形態では、底部210から延びる。しかしながら、図7a及び7bに示すように、第1の壁231の傾斜部は、一実施形態では、底部210から延びる垂直部から延びる。
【0021】
そのため、図3aに示すように、一実施形態では、第1の方向Szが下向きであり、第1の法線N1と水平面との間の角度は、例えば20°~70°であり得る。この角度の最小値(及び第1の角度α)は、固体物質が底部210で収集されることを確かなものにし、この角度の最大値(及び第1の角度α)は、入口チャネル200の底部の適切な幅及び/又はテーパー部の適切な高さを確かなものにする。
【0022】
図3aを参照して、一実施形態では、入口チャネル200は、(i)入口チャネル200の底部210から延びる対向壁231のうちの第1の壁の表面の少なくとも一部の第1の法線N1と、(ii)第1の方向Szとの間の第1の角度αが上記で開示された上限及び下限内にあり、(i)入口チャネル200の底部210から延びる対向壁231のうちの第2の壁の表面の少なくとも一部の法線と、(ii)第1の方向Szとの間の角度が上記で開示された上限及び下限内にあるように、2つの対向壁231を備える。図3aの実施形態では、入口チャネル200の底部210は、第3の方向Syにおける入口チャネル200の実質的に中心にあり得る。例えば、底部210は、底部210の第1の側に配置された入口チャネル200の第1の部分の幅が、底部210の第2の側に配置された入口チャネル200の第2の部分の幅の75%~125%になるような位置に配置されてもよく、これらの部分の幅は第3の方向Syに画定される。ここで、底部210の第1及び第2の側は入口チャネル200の中心線の両側に配置され、中心線は第3の方向Syの中心にある。
【0023】
このような場合、対向壁231は、図7aに示すように、入口チャネルの中心面に対して実質的に対称であり得る。しかしながら、図3a及び図4aに示されるように、壁はそのような形で対称である必要はない。
【0024】
図3bを参照して、一実施形態では、入口チャネル200は、(i)入口チャネル200の底部210から延びる対向壁231のうちの第1の壁の表面の少なくとも一部の第1の法線N1と、(ii)第1の方向Szとの間の角度αが上記で開示した上限及び下限内にあるような壁231を1つだけ含む。対向壁は、図3bに示されるように、例えば、実質的に垂直であり得る。
【0025】
壁231の表面の傾斜の目的は、固体物質を入口チャネル200の底部210に導くことである。第1の角度αの大きさに関係なく、入口チャネル200の壁230、231上の固体物質の蓄積は、壁230,231上に1つ以上の補助ノズル222を設けて固体物質をさらに流動化させ、材料の流れを促進することによって防止又は少なくとも低減できる。したがって、一実施形態では、サイクロン120は、第1の法線N1を有する壁の少なくとも一部に設けられた1つ以上の補助ノズル222を含む。そのような補助ノズル222を図7a及び図7bに示す。補助ノズル222は、入口チャネル200内の固体物質Sの流れを促進するために入口チャネル200に気体を供給するように構成されている。とりわけ、補助ノズル222は、入口チャネル200の形状が入口チャネル200の底部210に向かって第1の方向Szにテーパー状になっている入口チャネル200の位置において、入口チャネル200内の固体物質Sの流れを促進するために入口チャネル200に気体を供給するように構成されている。第1の角度αが上記の範囲の下限から選択されるか又はそれよりも小さいと、補助ノズル222が設けられていない場合に固体物質が壁231に堆積するリスクが増加する。
【0026】
底部210の適正な幅に関し、図4a及び図4bは底部210の幅W210を示す。ここで、幅W210は、上記で定義した第3の方向Syに定義されている。「底部」という用語について、一実施形態では、入口チャネル200の底部210は、入口チャネル200の内部239に面する第2の法線N2を有し、第3の方向Syの成分を有しない部分を含む。ここで、部分とは表面を指す。そのため、入口チャネル200の底部210は、その表面が入口チャネル200の内部239に面する第2の法線N2を有し、第3の方向Syに成分を有さないような部分を含む。そのため、その部分の表面は、円筒体122の内部123に対して水平又は傾斜し得る。
【0027】
第2の法線N2は第3の方向Syに成分を有しないという表現について、周知のように、座標系においては、任意のベクトル(方向ベクトルを含む)は、その成分の組み合わせによって表現できる。この場合、座標系はその基底ベクトルによって定義され、任意のベクトルは基底ベクトルの線形結合として表現できる。そのため、任意のベクトルはその成分に分解できる。本説明内では、第1、第2及び第3の方向(Sz、Sx、及びSy)が座標系を定義する。第2の法線N2が第3の方向Syに成分を有さず、第2の法線N2がSz、Sx、Syによって定義される座標系の成分に分解される場合、Syに対応する成分は0となる。しかしながら、入口チャネル200の底部210は、入口チャネル200の内部239に面する第2の法線N2を有し、第3の方向Syに成分を有さない部分を含む必要はない。
【0028】
同様に、別の方向(例えば、DT)が、座標系の基底ベクトル(Sz、Sx及びSy)の方向のうちの1つである特定の方向に正の成分を有する場合、特定の方向に関連する成分は0ではなく正になる。
【0029】
底部210の幅Wに関して、一実施形態では、底部210の幅W、例えば、第2の法線N2を有する底部210の部分の幅Wは、最大で、入口チャネル200の内部239の幅W239の50%である。ここで、幅W210は第3の方向Syに定義される。さらに、入口チャネル200の内部239の幅W239は第3の方向Syに定義される。図4a及び図4bに示すように、入口チャネル200の内部239の幅W239は、入口チャネル200の上部で測定される幅を指す。内部239の幅W239は、第3の方向Syにおける内部239の最大幅であり得る。
【0030】
図3a及び図4bに示すように、とりわけ、底部210の幅W210が大きい場合、例えば、内部239の幅W239の50%に近いか又は最大で50%の場合、ノズル220の側面に堆積物が形成されるのを避けるために、底部210に複数のノズル220を、例えば(第3の方向Syに)並んで設けることが必要になり得る。
【0031】
実施形態では、底部210の幅W210は、最大で、入口チャネル200の内部239の幅W239の35%である。底部210の幅W210は、例えば、入口チャネル200の内部239の幅W239の少なくとも5%であり得る。
【0032】
図4a及び図4bを参照して、一実施形態では、ノズル220の少なくとも出口は底部210の上方に、例えば、底部210の、第2の法線N2を有する部分の上方に配置されている。そのため、一実施形態では、は、底部210の、第2の法線N2を有する少なくとも一部にノズル220が設けられる(又は複数のノズル220が設けられる)。もちろん、サイクロン120がノズル220を備えていても、底部210は、上記で定義した第2の法線N2を有する表面を有する部分を含んでいる必要はない。
【0033】
壁230、231を形成する場合、壁230、231は入口チャネル200から熱を回収するための伝熱管242を含むことが好ましい。伝熱管242を図9a~図9dに示す。しかしながら、流動する固体物質は入口チャネル200の壁230、231を侵食する傾向があるため、入口チャネル200内の環境は厳しい。そのため、伝熱管242自体が流動する固体物質にさらされると、急速に侵食される。侵食を防止するために、一実施形態では、壁230、231の伝熱管242は、少なくとも入口チャネルの内部239に面する側でモルタル244に覆われている。
【0034】
そのため、一実施形態では、入口チャネル200の底部210は、モルタル244に覆われた伝熱管242を含む。さらに、好ましくは、少なくとも一部が第1の法線N1を有する壁231はモルタル244に覆われた伝熱管242を含む。
【0035】
モルタル244の厚さは一定である必要はない。一例として、図9a及び図9bは、底部210が第3の方向Syにおいて入口チャネル200の実質的に中心にある実施形態を示す。図9a及び図9bを参照して、一実施形態では、壁230、231はモルタル244に覆われた伝熱管242を含み、モルタル244は、伝熱管242を侵食から保護するために、少なくとも入口チャネルの内部239と伝熱管242との間に配置されている。
【0036】
侵食に対する妥当な保護を有するために、伝熱管242上のモルタル244の厚さは少なくとも40mm等の少なくとも20mmであり得る。
【0037】
図9aに詳述されているように、一実施形態では、モルタル244の厚さは、壁231によって構成される伝熱管242の長手方向が第1方向Szと平行であっても、壁231の傾斜面が形成されるように適合される。これは、入口チャネルの底部210近くのモルタル244の厚い層を用い、反対に、底部210の上のモルタル244の薄い層を用いることにより得られる。
【0038】
図9bに詳述されているように、一実施形態では、モルタル244の厚さは実質的に一定であり得る。そのため、図9bに示すように、壁231の傾斜面は伝熱管242の屈曲点によって形成され、伝熱管242を覆うために、実質的に一定の厚さのモルタル244を用いることにより伝熱管242が覆われる。
【0039】
モルタル244の厚さに関して述べたことは、図9c及び図9dに示すように、底部210は第3の方向Syにおいて入口チャネル200の一方の側に配置される一部の実施形態に該当する。例えば、図9cに示すように、伝熱管242は、壁231の表面が傾斜していても、第1の方向Szに延び得る(すなわち、長手方向を有し得る)。別の例として、図9dに示すように、伝熱管242は、モルタル244の厚さが実質的に一定であっても、壁231の表面が傾斜するように屈曲部を含み得る。
【0040】
図5a、図5b、図6a、図6b、図6c及び図8を参照して、底部210も、サイクロン120の円筒体122の内部123に向かって傾斜し得る。そのため、一実施形態では、入口チャネル200の底部210の少なくとも一部は、底部210に沿って円筒体122の方に移動する材料が、第1の方向Szに正の成分を有する(定義上、第2の方向Sxにある成分も)方向DTに移動するように傾斜している。そのため、典型的な使用及び一実施形態では、材料は出口202の方に且つ同時に少なくともわずかに下方に移動する。円筒体122に向かって底部210に沿って移動する材料は、入口201から出口202に移動する(図5a~図6b参照)。図5a~図6bには入口チャネル200の断面が示され、断面は平面Py上にあり、平面Pyは図2cに示されている。
【0041】
図5aの実施形態では、底部210全体が上述のように傾斜している。そのため、入口201から円筒体122の方に(すなわち、その内部123の方に)移動する材料は、正の第1の方向Szにも移動する。これに沿って、底部210上の材料が移動する方向DTは、第1の方向Szに正の成分を有する。座標系においてベクトルをその成分に分離されることについて上述した内容が該当する。
【0042】
図5bの実施形態では、円筒体122に近い底部210の部分のみが、上述した形で傾斜している。しかしながら、反応器810に近い底部210の部分(例えば、炉110)は反対方向に傾斜し得る。そのため、入口チャネルの底部210の反応器810の側部に蓄積する傾向があり得る材料は、底部210に沿って反応器810に戻る。
【0043】
底部210の傾斜の大きさに関しては、図8を参照されたい。そのため、一実施形態では、入口チャネル200の底部210は、入口チャネル200の内部239に面する第3の法線N3を有する部分を含む。第3の法線N3は、第1の方向Szに第1の成分を、第2の方向Sxに第2成分を有する。第3の法線N3は第3の方向Syにも成分を有し得る。
【0044】
底部の傾斜により、第3の法線N3は、負の第2の方向-Sxよりも正の第2の方向Sxとのより小さな角度を形成する。正/負の第2の方向-Sx、-Sxとの角度が参照符号で示されていなくても、図8を参照する。
【0045】
傾斜に関して、ノズル220によって供給される気体により固体物質を内部に送り込むことができるため、この種の傾斜は不要である。
【0046】
しかしながら、一実施形態では、(第3の法線N3の)第1の成分及び(第3の法線N3の)第2の成分によって定義されるベクトルは、135~180°の第2の角度βを形成する。そのため、水平に対して、底部210の表面の角度は0~45°であり得る。図8を参照する。しかしながら、底部210は少なくともわずかに傾斜し得る。そのため、一実施形態では、第2の角度βは135~178°である。そのため、水平に対して、底部210の表面の角度は2~45°であり得る。第2の角度βを図8に示す。この定義では、第2の角度を上記で定義した第3の法線N3の2つの成分のみで定義することによって、第3の方向Syにおける底部210の可能な傾斜が除外される。例えば、入口チャネルの壁231(図3a又は図7a参照)が底部210に延びて、実質的にゼロの幅W210を有する鋭いV字状を形成する場合、第3の方向Syにおける底部210の傾斜も明らかであるが、材料を内部123の方にガイドすることに必ずしも影響しない。これらの理由から、第3の法線N3の方向Syに対応する第3の成分は上記の定義から省略される。
【0047】
傾斜については、底部の表面をモルタルで形成してもよく、モルタルの厚さは一定である必要はない。そのため、底部210がモルタルに覆われたチューブで形成されも、チューブ自体は、チューブ自体によって形成される表面の入口201への傾斜がないように又はいくらかの傾斜さえあるように配置することができる。その後、モルタルによって形成される表面の傾斜が上記で開示した上限及び下限内になるように、出口202の近くにより薄い層のモルタルが適用され、入口201の近くにより厚い層のモルタルが適用され得る。底部210でのモルタルの厚さの変化は示していない。しかしながら、図9a~図9dで壁について示されるように、同じ原理が底部210に該当する。
【0048】
上記で詳述したように、ノズル220の目的は、円筒体122の内部123への固体物質の移動を改善するために、底部210上の固体物質を流動化することである。さらに、上記で詳述したように、内部123の方に傾斜するように底部210を配置することによって、移動がさらに改善され得る。
【0049】
さらに、図5a~図6c及び図8に示すように、一実施形態は、底部210に複数のノズル220を含み、複数のノズル220は少なくとも第2方向Sxに連続して配置されている。これは、第2の角度βの大きさに関係なく適用され、第2の角度βは、上記で詳述したように、この実施形態では例えば180度以下であり得る。複数のノズル220は底部210、実質的には底部210全体における固体物質の流動化も助ける。ノズル220は、第1の方向Szにおいて異なる高さに配置され得る。ノズル220は固体物質を導く必要はないが、固体物質を内部123に向けて導くように方向付けることができる。
【0050】
そのため、底部210上の材料の流れは、固体物質を内部123の方に移動させるようにノズル220を方向付けることにより、ノズル200によってさらに促進され得る。例えば、一実施形態では、ノズル220は、第2の方向Sxと最大で60°(例えば、最大で45°)の角度を形成する方向に気体を供給するように構成されている。そのため、一実施形態では、ノズル220は、気体の供給がサイクロン120の円筒体122の内部123に向かって入口チャネル200の底部210上の材料の流れを促進するように入口チャネル200に気体を供給するよう構成されている。
【0051】
図6a~図6cは、ノズル220が、ノズル220によって供給される気体が固体物質を内部123の方に導くような形状を有する実施形態を示す。図6a~図6cに示すように、ノズル220を出る気体の方向は、固体物質を内部123の方に導くために第2の方向Sxと小さい角度を形成する。この小さな角度は、上記で開示した範囲内にある。
【0052】
さらに、図6b及び図6cを参照して、一実施形態はいくつかのノズル220を含む。さらに、ノズルの高さは、円筒体122の内部123に近いノズルも、正の第1方向+Sz、すなわち通常の使用でさらに下に位置するように、互いに相対的に配置される。同様に、反応器810に近いノズルも、負の第1の方向-Sz、すなわち通常の使用ではさらに上に位置する。これは、内部123からさらに離れたノズルが、内部に閉じられたノズルの上に流動化気体及び固体物質を吹き付ける効果を有する。そのため、ノズル自体は材料の流れに対する障害物を形成せず、それにより、入口チャネルにおける固体の移動を改善する。さらに、ノズルの侵食が低減され得る。
【0053】
サイクロン120は熱システムの一部として配置されることが好ましい。熱システムの例としては、流動床ボイラー、気体化反応器及び熱分解反応器が挙げられる。そのため、本発明の一実施形態は、サイクロン120を含む熱システムである。熱システムの例を図11及び図12に示す。熱システムは、固体物質Sと気体物質Gの混合物Mを生成するように構成された反応器810を含む。熱システムは、混合物Mを反応器810からサイクロン120の入口チャネル200に導くように構成されている。
【0054】
一実施形態では、反応器810は、循環流動床ボイラー100の炉110、熱分解反応器、気体化反応器及びバブリング流動床ボイラーの炉のうちの1つを含む。図11は、反応器810が循環流動床ボイラー100の炉110を含む例を示す。そのような実施形態では、サイクロンの主な機能は、層材料と煙道気体とをそれらの混合物から分離することである。図12は、反応器810が循環流動床タイプの熱分解反応器を含む例を示す。図示されていないが、サイクロンの実施形態は、例えば、煙道気体から飛灰を分離するために用いられ、煙道気体は、例えば、バブリング流動床ボイラーによって生成される。そのような実施形態では、サイクロンの主な機能は煙道気体から灰(例えば、フライアッシュ)を分離することである。
【0055】
周知のように、サイクロンは、サイクロン分離に基づいて機能する。したがって、サイクロンでは、回転効果及び重力を用いて混合物Mから固体物質S及び気体物質Gを分離する。回転効果を高め、それによりサイクロン分離を改善するために、入口チャネル200は、混合物Mが入口チャネル200を出て、円筒体122の内部123に入るときに、混合物Mの移動方向がその位置で少なくともある程度接線方向になるように、円筒体122に対して配置されることが好ましい。接線方向という用語は、円筒体122の内部123の接線面のことをいう。図10を参照する。図10において、第1の方向Szは、図に示される平面に垂直であり、紙面から離れている。それに対応して、図10は、上述したように、供給方向FD、第2の方向Sx及び第3の方向Syを示す。より正確には、図10の図のために、図面は、上記で詳述したように、第2の方向Sxを規定する図10の平面上への供給方向FDの投影のみを示す。なお、図10では、内部123に対する入口チャネル200の異なる位置のために、渦は内部123内において、図2a及び図2cの実施形態とは異なる方向(例えば、上から見て反時計回り)に形成されることに留意されたい(渦は、上から見たときに時計回りの渦である)。
【0056】
図10を参照して、一実施形態では、入口チャネル200は第2の方向Sxに延び、供給方向FDに混合物Mを円筒体122内へと供給するように構成されている。上記で詳述したように、供給方向FDは第2の方向Sxに成分を有し、第1の方向Szに成分を有し得る。しかしながら、第2の方向Sx(上記参照)の定義により、供給方向FDは第3の方向Syに成分を有しない。そのため、入口チャネル200は、少なくとも第2の方向Sxに、混合物Mを円筒体122内へと供給するように構成されている。
【0057】
入口チャネル200は、混合物Mを受け入れる入口201と、円筒体122の内部123に開口して混合物Mを内部123に入れる出口202とを有する。入口201に対する出口202の位置に関して上述したことが該当する。円筒体122内の回転効果を高めるために、一実施形態では、出口202は、第2の方向Sxが、円筒体122の接線方向Dtanと最大で45°の第3の角度γを形成するような位置に配置されている。接線方向Dtanは内部123内の出口202の位置で定義されている。ここでは、接線方向Dtanは、円筒体122の内部123の接線方向であって、第1の方向Szに成分を有しない方向をいう(すなわち、円筒状の内部123の表面の軸方向を考慮しない)。出口202の位置における接線方向Dtanを図10に示す。当然のことながら、円筒体122の接平面は第1の方向に成分を有さない2つのそのような方向を定義する。これらの方向のうちの1つを、図10で参照符号Dtanによって示し、これらの方向の他方はその方向の逆である。上で述べたことに沿って、すなわち、ある実施形態においては、角度γは最大45度であるため、第2の方向Sxと他の接線方向との間の角度(図示せず)は、図10において、記号Sx及びγの近くの破線によって示されるように、これらの角度は隣接する角度であるため、少なくとも135°であり得る。
【0058】
出口202及び円筒体122の相対位置を、第3の角度γについて上記で説明したこと組み合わせ可能な代替的な言い方で明確にするために、図10を依然参照して、一実施形態で、熱システムの一部であり得るサイクロン120は入口チャネル200の内部239を制限する壁230、231、232を含む。これらの壁のうちの1つは第2の壁232と呼ぶことができる。図10を参照して、第2の壁232は円筒体122に取り付けられている。なお、そのような第2の壁232は、少なくとも図3a、図3b、図4a、図4b及び図9a~図9dにも示されている。
【0059】
第2の壁232は、円筒体122に取り付けられている第2の壁232の部分が第4の法線N4を有するように円筒体122に取り付けられている。図10を参照されたい。ここで、第4の法線N4は、とりわけ、内部に面する第2の壁の部分のことをいう。
【0060】
図10において、円筒体122と第2の壁232との間の取り付け点は、円筒体の円筒形状が第2の壁232の平面形状に変化する点である。しかしながら、第2の壁232は例えば、円筒体122の半径よりも大きい曲率半径を有する湾曲形状を有する。
【0061】
図10を参照して、円筒体122、とりわけ、その内部123は、第2の壁232が円筒体122に取り付けられる位置で接平面Ptを画定する。さらに、第2の壁232は、接平面Ptが第4の法線N4を有するように円筒体に対して配置されている。すなわち、接平面Ptの法線は第4の法線N4、すなわち、円筒体に取り付けられる第2の壁232の部分の法線と平行である。これは、円筒体の内部123内の渦の生成も改善する。何故ならこれは、内部123に入る材料の少なくとも一部が実質的に接線方向を有する速度で内部に入ることを可能にするからである。
【0062】
より好ましくは、円筒体の内部123内の渦の生成をさらに改善するために、少なくとも底部210は第2の壁232に相対的に近接して配置されている。
【0063】
より具体的には、入口チャネル200は、円筒体122の内部123に開口する出口202を含む。出口202は入口チャネルの底部210の一部を含む。例えば、図10は、底部210を画定する線L210を示す。線は、例えば、傾斜壁が底部210から延びる入口チャネル210の部分であり得る。図3aには、このような点も参照符号L210によって示されている。
【0064】
とりわけ、出口202によって構成される底部210の部分は、一実施形態では、第2の壁232に相対的に近接して配置されている。より具体的には、一実施形態では、出口202は、
・出口202によって構成される底部210の部分と第2の壁232との間に一次距離Laが配置され、
・出口202によって構成される底部210の部分と、第4の法線N4を有し、円筒体122の中心軸Oを含む平面Pto(例えば、平面であり得る第2の壁232に平行な)平面Ptoとの間に二次距離Lbが配置され、
・一次距離Laは二次距離Lbよりも小さい(La<Lb)、
位置に配置される。
【0065】
一次距離La及び二次距離Lbを図10に示す。
【0066】
出口202のこの位置も第3の角度γを適度に低く保つのに役立ち、それにより円筒体122の内部123における渦の形成が改善される。
【0067】
これに沿って、例えば、図3の入口チャネル。図3a、図3b、図4a、図4b、図9c及び図9dは、図2a~図2cのサイクロンの入口チャネルとしてとりわけ適している。何故なら、そこでは、第2の壁232が第3の方向Syにおいて小さな座標値を有するように配置されているからである。対照的に、図10では、第2の壁232は第3の方向Syにおいて大きな座標値を有する。しかしながら、図10の実施形態では、例えば、図3a、図3b、図4a、図4b、図9c及び図9dのいずれか1つの入口チャネルのミラーイメージの形状を有する入口チャネルが好ましい場合がある。何故なら、図10では、第2の壁232は第3の方向Syにおいて大きな座標値を有するべきであり、底部210は、上記で詳述したように、第2の壁232に近いことが好ましいからである。ここで、ミラーイメージとは、第3の方向Syに垂直な対称面を有する平面対称像のことをいう。
【0068】
ノズル220の動作に関して、入口で固体物質を流動化する気体は連続的に供給することができるか又は気体供給をパルス化(pulsed)できる。
【0069】
一般に、ノズル220に供給される気体の種類は必要に応じて選択され得る。これは、例えばサイクロンによって分離される気体物質Gが後に燃料の役割を果たす場合、酸素含有量の低い気体を用いることを含意する。例としては熱分解及び気体化が挙げられる。しかしながら、燃焼プロセスでは、空気等の酸素含有量の高い気体を用いることができる。さらに、とりわけ流動床ボイラーでは、加圧空気が燃焼空気として用いられるため、加圧空気が自然に利用可能である。
【0070】
そのため、混合物Mを生成する反応器810が流動床ボイラーの炉110である用途では、同じ空気が燃焼空気として炉110に、また、サイクロン120の入口チャネル200内の材料を流動化するためにノズル220に供給され得る。
【0071】
これに従って且つ図11を参照して、熱システムの一実施形態は、熱システムの反応器810に気体を供給するための第1の供給チャネル820を含む。熱システムは循環流動床ボイラーであり得る。反応器810は炉110であり得る。この実施形態では、第1の供給チャネル820は第1の分岐825を含む。分岐825の目的は気体を、反応器810のための第1の部分と、入口チャネル200のための第2の部分という2つの部分に分けることである。そのため、熱システムは、気体の第2の部分を第1の分岐825からノズル220に搬送するための第1のパイプライン830を含む。上記で詳述したように、第1の供給チャネル820は気体の第1の部分を反応器810に供給するためのものである。熱システムが流動床ボイラーである実施形態では、第1の供給チャネル820は、燃焼空気(の第1の部分)を流動床ボイラーの炉110に供給するように構成され、燃焼空気(の第2の)部分は、第1の分岐825及び第1のパイプライン830を介してノズル220に供給されるように構成されている。
【0072】
上記で詳述したように、反応器810が燃料として使用可能な気体物質Gを生成する用途では、ノズル220に供給される気体は多くの酸素を含むべきではない。そのような実施形態では、気体物質Gの一部は、ノズル220に供給される流動化気体として用いるためにリサイクルされ得る。これに従い且つ図12を参照して、熱システムの実施形態は、サイクロン120によって分離された気体物質Gの一部をノズル220に供給するように構成された第2のパイプライン840を含む。
【0073】
当然のことながら、熱システムが流動床ボイラーであり、空気が炉110に供給される場合でも、サイクロン120によって分離された気体物質Gの一部は、図12の実施形態に従って入口チャネル内の材料を流動化するために用いられ得る。しかしながら、典型的には、図12の実施形態は、サイクロン120によって分離された気体物質Gの一部をノズル220にリサイクルするためのポンプ又はファンを必要とする。ノズル220においても燃焼空気を用いることにより別のポンプは必要にならない。
【0074】
上述したように、一実施形態において、第1の方向Szは下向き垂直である。そのため、本発明は、第1の方向Szが下向きになるように、上記及び/又は添付の特許請求の範囲に開示されたサイクロン120の使用にも関する。加えて、本発明は、第1の方向Szが下向きになるように、上記及び/又は特許請求の範囲に開示された熱システムの使用にも関する。
図1
図2a
図2b
図2c
図3a
図3b
図4a
図4b
図5
図6
図7a
図7b
図8
図9
図10
図11
図12
【外国語明細書】