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特開2025-33968紙葉類磁気検出装置、紙葉類識別装置、紙葉類処理装置及びブラシローラ
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025033968
(43)【公開日】2025-03-13
(54)【発明の名称】紙葉類磁気検出装置、紙葉類識別装置、紙葉類処理装置及びブラシローラ
(51)【国際特許分類】
   G07D 7/04 20160101AFI20250306BHJP
   G07D 7/00 20160101ALI20250306BHJP
【FI】
G07D7/04
G07D7/00 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023140051
(22)【出願日】2023-08-30
(71)【出願人】
【識別番号】000001432
【氏名又は名称】グローリー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000914
【氏名又は名称】弁理士法人WisePlus
(72)【発明者】
【氏名】松本 英司
(72)【発明者】
【氏名】前▲高▼ 剛
(72)【発明者】
【氏名】古山 晃大
(72)【発明者】
【氏名】二木 涼丞
【テーマコード(参考)】
3E041
【Fターム(参考)】
3E041AA02
3E041BB07
3E041EA05
(57)【要約】
【課題】長さ、形状、角度、配列等のパイルの態様が意図的に制御されたブラシローラ、当該ブラシローラを備える紙葉類磁気検出装置、紙葉類識別装置及び紙葉類処理装置を提供する。
【解決手段】紙葉類の磁気特徴を検出する磁気センサと、上記磁気センサの磁気検出面に対向配置され、紙葉類を上記磁気検出面に対して押し付けて搬送するブラシローラと、を有する紙葉類磁気検出装置であって、上記ブラシローラは、ローラ本体部と、上記ローラ本体部の周面に配置されたブラシ部とを備え、上記ブラシ部は、上記ローラ本体部の周面上に配置され、経糸及び緯糸から構成される基布と、上記基布から突出し、かつ、上記経糸及び上記緯糸により形成される基布の隙間に織り込まれた複数のパイルとを含むことを特徴とする紙葉類磁気検出装置である。
【選択図】図2B

【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙葉類の磁気特徴を検出する磁気センサと、前記磁気センサの磁気検出面に対向配置され、紙葉類を前記磁気検出面に対して押し付けて搬送するブラシローラと、を有する紙葉類磁気検出装置であって、
前記ブラシローラは、ローラ本体部と、前記ローラ本体部の周面に配置されたブラシ部とを備え、
前記ブラシ部は、前記ローラ本体部の周面上に配置され、経糸及び緯糸から構成される基布と、
前記基布から突出し、かつ、前記経糸及び前記緯糸により形成される基布の隙間に織り込まれた複数のパイルとを含むことを特徴とする紙葉類磁気検出装置。
【請求項2】
前記パイルは、種類が異なる第1パイルと第2パイルとを含む請求項1に記載の紙葉類磁気検出装置。
【請求項3】
前記ブラシローラを、回転軸の軸方向から見た際に、
前記第1パイル上の前記回転軸から最も離れた点から、前記回転軸までの距離L1が、
前記第2パイル上の前記回転軸から最も離れた点から、前記回転軸までの距離L2よりも短い請求項2に記載の紙葉類磁気検出装置。
【請求項4】
前記第1パイルと、前記第2パイルとは互いに形状が異なる請求項2又は3に記載の紙葉類磁気検出装置。
【請求項5】
前記第1パイルは、捲縮された形状を有し、
前記第2パイルは、ストレート形状を有する請求項4に記載の紙葉類磁気検出装置。
【請求項6】
前記第1パイルは、ストレート形状を有し、
前記第2パイルは、捲縮された形状を有する請求項4に記載の紙葉類磁気検出装置。
【請求項7】
前記第1パイルと、前記第2パイルとは、互いに長さが異なる請求項2又は3に記載の紙葉類磁気検出装置。
【請求項8】
前記ブラシローラを、回転軸の軸方向から見た際に、
前記第1パイルは、前記第1パイルの根本部分及び前記回転軸を通る直線に対して重なるように配置されており、
前記第2パイルは、前記第2パイルの根本部分及び前記回転軸を通る直線に対して重なるように配置されている請求項7に記載の紙葉類磁気検出装置。
【請求項9】
前記ブラシローラを、回転軸の軸方向から見た際に、
前記第1パイルは、前記第1パイルの根本部分及び前記回転軸を通る直線に対して斜めに形成されている請求項2又は3に記載の紙葉類磁気検出装置。
【請求項10】
前記第1パイル及び前記第2パイルは、前記基布に規則的に配置されている請求項2又は3に記載の紙葉類磁気検出装置。
【請求項11】
前記第1パイル及び前記第2パイルは、前記ブラシローラの回転方向に規則的に配置されている請求項10に記載の紙葉類磁気検出装置。
【請求項12】
前記ブラシ部は、第1端部及び前記第1端部と反対側の第2端部を有する糸状の第1連続パイル、及び、第3端部及び前記第3端部と反対側の第4端部を有する糸状の第2連続パイルを含み、
前記第1連続パイルは、前記第1端部及び前記第2端部が互いに異なる前記基布の隙間を通り、前記基布から突出することで2本の前記第1パイルを形成し、
前記第2連続パイルは、前記第3端部及び前記第4端部が互いに異なる前記基布の隙間を通り、前記基布から突出することで2本の前記第2パイルを形成している請求項2又は3に記載の紙葉類磁気検出装置。
【請求項13】
前記ブラシローラを、回転軸の軸方向から見た際に、
前記第1端部から前記回転軸までの距離及び前記第2端部から前記回転軸までの距離は、同じ距離L1であり、
前記第3端部から前記回転軸までの距離及び前記第4端部から前記回転軸までの距離は、同じ距離L2であり、
前記距離L1が、前記距離L2よりも短く、
前記第1連続パイル及び前記第2連続パイルは、前記ブラシローラの回転方向に配列されている請求項12に記載の紙葉類磁気検出装置。
【請求項14】
前記第1連続パイル及び前記第2連続パイルは、前記ブラシローラの回転方向に交互に配置されている請求項12に記載の紙葉類磁気検出装置。
【請求項15】
請求項1又は2に記載の紙葉類磁気検出装置を備えた紙葉類識別装置。
【請求項16】
請求項15に記載の紙葉類識別装置を備えた紙葉類処理装置。
【請求項17】
紙葉類の磁気特徴を検出する磁気センサの磁気検出面に対向配置され、紙葉類を前記磁気検出面に対して押し付けて搬送するために用いるブラシローラであって、
前記ブラシローラは、ローラ本体部と、前記ローラ本体部の周面に配置されたブラシ部とを備え、
前記ブラシ部は、前記ローラ本体部の周面上に配置され、経糸及び緯糸から構成される基布と、
前記基布から突出し、かつ、前記経糸及び前記緯糸により形成される基布の隙間に織り込まれた複数のパイルとを含むことを特徴とするブラシローラ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、紙葉類磁気検出装置、紙葉類識別装置、紙葉類処理装置及びブラシローラに関する。
【背景技術】
【0002】
紙葉類の磁気的特徴を検出する紙葉類磁気検出装置としては、紙葉類の磁気的特徴を検出する磁気センサと、この磁気センサの磁気検出面に対向配置され、回転することで紙葉類を磁気センサの磁気検出面に押し付けながら搬送するブラシローラとを有する構造のものが一般に用いられている。
【0003】
このような紙葉類磁気検出装置として、特許文献1には、搬送される紙葉類の搬送面に設けられる磁気ヘッドにより磁気情報を読み取り紙葉類を識別するようにした紙葉類識別機の磁気ヘッド装置において、前記搬送面を挟んで磁気ヘッドに対向する位置に設けられた第1回転体と、該第1回転体の外周面に植毛され、先端が前記磁気ヘッドに接触する長さを有する弾性材料からなる毛と、前記第1回転体と同軸上に設けられ、第1回転体の直径より大きく、かつ前記磁気ヘッドに接触しない直径を有する第2回転体とを具備することを特徴とする紙葉類識別機の磁気ヘッド装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9-138877号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載されたような従来の紙葉類磁気検出装置(磁気ヘッド装置)では、ブラシローラのローラ本体部(第1回転体)にパイル(毛)が植毛されているが、その植毛は静電植毛(電着植毛)の方法で行われることが一般的である。
【0006】
静電植毛(電着植毛)を行う場合は、まず、ローラ本体部の表面に接着剤層を配置する。
その後、パイルがローラ本体部に配置された接着剤層に刺さるように、パイルを静電気により射出する。
そして、接着剤層を硬化させることによりローラ本体部の表面にパイルが形成されたブラシローラを作製することができる。
【0007】
このように静電植毛(電着植毛)を行う場合、個々のパイルが接着剤層に突き刺さる深さを均一に制御することができず、ローラ本体部から突出する部分のパイルの長さを均一にすることは難しかった。つまり、静電植毛(電着植毛)の方法では、パイルの長さを意図的に制御することは難しいという問題がある。
それにパイルの長さを意図的に制御できないと、ローラ本体部から突出する部分のパイルの長さにばらつきが生じるので、ブラシローラ毎の品質が安定しないという問題が生じる。ブラシローラを用いた紙葉類磁気検出装置では、磁気センサとブラシロートとの間のクリアランスを設定するが、上記のように静電植毛(電着植毛)により作製したブラシローラを用いると、ブラシローラ毎に品質が安定しないため、当該クリアランスを一様に設定することができず個々に設定の微調整を行う必要がある。そのため、磁気センサとブラシロートとの間のクリアランスの設定が煩雑になるという問題がある。
【0008】
本開示は、上記問題を鑑みてなされたものであり、本開示の目的は、長さ、形状、角度、配列等のパイルの態様が意図的に制御されたブラシローラ、当該ブラシローラを備える紙葉類磁気検出装置、紙葉類識別装置及び紙葉類処理装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、(1)本開示に係る紙葉類磁気検出装置は、紙葉類の磁気特徴を検出する磁気センサと、上記磁気センサの磁気検出面に対向配置され、紙葉類を上記磁気検出面に対して押し付けて搬送するブラシローラと、を有する紙葉類磁気検出装置であって、上記ブラシローラは、ローラ本体部と、上記ローラ本体部の周面に配置されたブラシ部とを備え、上記ブラシ部は、上記ローラ本体部の周面上に配置され、経糸及び緯糸から構成される基布と、上記基布から突出し、かつ、上記経糸及び上記緯糸により形成される基布の隙間に織り込まれた複数のパイルとを含むことを特徴とする。
【0010】
(2)上記(1)に記載の紙葉類磁気検出装置において、上記パイルは、種類が異なる第1パイルと第2パイルとを含んでいてもよい。
【0011】
(3)上記(1)又は(2)に記載の紙葉類磁気検出装置において、上記ブラシローラを、回転軸の軸方向から見た際に、上記第1パイル上の上記回転軸から最も離れた点から、上記回転軸までの距離L1が、上記第2パイル上の上記回転軸から最も離れた点から、上記回転軸までの距離L2よりも短くてもよい。
【0012】
(4)上記(2)又は(3)に記載の紙葉類磁気検出装置において、上記第1パイルと、上記第2パイルとは互いに形状が異なっていてもよい。
【0013】
(5)上記(2)~(4)のいずれかに記載の紙葉類磁気検出装置において、上記第1パイルは、捲縮された形状を有し、上記第2パイルは、ストレート形状を有していてもよい。
【0014】
(6)上記(2)~(4)のいずれかに記載の紙葉類磁気検出装置において、上記第1パイルは、ストレート形状を有し、上記第2パイルは、捲縮された形状を有していてもよい。
【0015】
(7)上記(2)~(6)のいずれかに記載の紙葉類磁気検出装置において、上記第1パイルと、上記第2パイルとは、互いに長さが異なっていてもよい。
【0016】
(8)上記(2)~(7)のいずれかに記載の紙葉類磁気検出装置において、上記ブラシローラを、回転軸の軸方向から見た際に、上記第1パイルは、上記第1パイルの根本部分及び上記回転軸を通る直線に対して重なるように配置されており、上記第2パイルは、上記第2パイルの根本部分及び上記回転軸を通る直線に対して重なるように配置されていてもよい。
【0017】
(9)上記(2)~(7)のいずれかに記載の紙葉類磁気検出装置において、上記ブラシローラを、回転軸の軸方向から見た際に、上記第1パイルは、上記第1パイルの根本部分及び上記回転軸を通る直線に対して斜めに形成されていてもよい。
【0018】
(10)上記(2)~(9)のいずれかに記載の紙葉類磁気検出装置において、上記第1パイル及び上記第2パイルは、上記基布に規則的に配置されていてもよい。
【0019】
(11)上記(10)に記載の紙葉類磁気検出装置において、上記第1パイル及び上記第2パイルは、上記ブラシローラの回転方向に規則的に配置されていてもよい。
【0020】
(12)上記(2)~(11)のいずれかに記載の紙葉類磁気検出装置において、上記ブラシ部は、第1端部及び上記第1端部と反対側の第2端部を有する糸状の第1連続パイル、及び、第3端部及び上記第3端部と反対側の第4端部を有する糸状の第2連続パイルを含み、上記第1連続パイルは、上記第1端部及び上記第2端部が互いに異なる上記基布の隙間を通り、上記基布から突出することで2本の上記第1パイルを形成し、上記第2連続パイルは、上記第3端部及び上記第4端部が互いに異なる上記基布の隙間を通り、上記基布から突出することで2本の上記第2パイルを形成していてもよい。
【0021】
(13)上記(12)に記載の紙葉類磁気検出装置において、上記ブラシローラを、回転軸の軸方向から見た際に、上記第1端部から上記回転軸までの距離及び上記第2端部から上記回転軸までの距離は、同じ距離L1であり、上記第3端部から上記回転軸までの距離及び上記第4端部から上記回転軸までの距離は、同じ距離L2であり、上記距離L1が、上記距離L2よりも短く、上記第1連続パイル及び上記第2連続パイルは、上記ブラシローラの回転方向に配列されていてもよい。
【0022】
(14)上記(12)又は(13)に記載の紙葉類磁気検出装置において、上記第1連続パイル及び上記第2連続パイルは、上記ブラシローラの回転方向に交互に配置されていてもよい。
【0023】
(15)本開示に係る紙葉類識別装置は、上記(1)~(14)のいずれかに記載の紙葉類磁気検出装置を備えている。
【0024】
(16)本開示に係る紙葉類処理装置は、上記(15)に記載の紙葉類識別装置を備えている。
【0025】
(17)本開示の第4の態様に係るブラシローラは、紙葉類の磁気特徴を検出する磁気センサの磁気検出面に対向配置され、紙葉類を上記磁気検出面に対して押し付けて搬送するために用いるブラシローラであって、上記ブラシローラは、ローラ本体部と、上記ローラ本体部の周面に配置されたブラシ部とを備え、上記ブラシ部は、上記ローラ本体部の周面上に配置され、経糸及び緯糸から構成される基布と、上記基布から突出し、かつ、上記経糸及び上記緯糸により形成される基布の隙間に織り込まれた複数のパイルとを含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0026】
本開示によれば、長さ、形状、角度、配列等のパイルの態様が意図的に制御されたブラシローラ、当該ブラシローラを備える紙葉類磁気検出装置、紙葉類識別装置及び紙葉類処理装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1A図1Aは、本開示の実施形態1に係る紙葉類磁気検出装置の一例を模式的に示す側面図である。
図1B図1Bは、図1Aに示す紙葉類磁気検出装置の正面図である。
図2A図2Aは、本開示の実施形態1に係るブラシローラの一例を模式的に示すブラシローラの回転軸に垂直な断面の模式図である。
図2B図2Bは、図2Aの破線部の拡大図である。
図3図3は、本開示の実施形態1に係るブラシローラに含まれる基布を展開した平面図である。
図4A図4Aは、本開示の実施形態1に係るブラシローラにおけるパイルの織り込みの別の態様を示す模式図である。
図4B図4Bは、本開示の実施形態1に係るブラシローラにおけるパイルの織り込みの別の態様を示す模式図である。
図5A図5Aは、本開示の実施形態1に係るブラシローラにおける連続パイルの別の態様を示す模式図である。
図5B図5Bは、本開示の実施形態1に係るブラシローラにおける連続パイルの別の態様を示す模式図である。
図6A図6Aは、本開示の実施形態1に係るブラシローラの変形例1の一例を示すブラシローラの回転軸に垂直な断面の模式図である。
図6B図6Bは、図6Aに示すブラシローラの1本の第1パイル及び第2パイルに着目した模式図である。
図7A図7Aは、ブラシローラの回転軸から各パイルの先端までの距離が等しい本開示の実施形態1の紙葉類磁気検出装置において、位置調整時のブラシローラの状態を連続的に示す模式図である。
図7B図7Bは、ブラシローラの回転軸から各パイルの先端までの距離が等しい本開示の実施形態1の紙葉類磁気検出装置におけるブラシローラの位置と、磁気検出面にかかる圧力との関係を示すグラフである。
図8A図8Aは、ブラシローラの回転軸から第1パイルの先端までの距離L1がブラシローラの回転軸から第1パイルの先端までの距離L2よりも短い本開示の実施形態1の紙葉類磁気検出装置において、位置調整時のブラシローラの状態を連続的に示す模式図である。
図8B図8Bは、変形例1のブラシローラを備える実施形態1の紙葉類磁気検出装置におけるブラシローラの位置と、磁気検出面にかかる圧力との関係を示すグラフである。
図9A図9Aは、本開示の実施形態1に係るブラシローラの変形例1において、基布を展開した際の第1パイル及び第2パイルの配置位置の一例を模式的に示す平面図である。
図9B図9Bは、本開示の実施形態1に係るブラシローラの変形例1において、基布を展開した際の第1パイル及び第2パイルの配置位置の一例を模式的に示す平面図である。
図10図10は、本開示の実施形態1に係るブラシローラの変形例2の一例を示すブラシローラの回転軸に垂直な断面の模式図である。
図11図11は、本開示の実施形態1に係るブラシローラの変形例3の一例を示すブラシローラの回転軸に垂直な断面の模式図である。
図12図12は、本開示の実施形態1に係るブラシローラの変形例4の一例を示すブラシローラの回転軸に垂直な断面の模式図である。
図13A図13Aは、本開示の実施形態1に係るブラシローラの変形例5の一例を示すブラシローラの回転軸に垂直な断面の模式図である。
図13B図13Bは、図13Aの破線部の拡大図である。
図14A図14Aは、本開示の実施形態2に係る紙葉類識別装置の一例を模式的に示す断面図である。
図14B図14Bは、図14Aに示す紙幣識別装置の上側のユニットを下から見た平面図である。
図15A図15Aは、本開示の実施形態3に係る紙葉類処理装置の一例を模式的に示す斜視図である。
図15B図15Bは、図15Aに示す紙葉類処理装置の内部構造の一例を模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本開示に係る磁気検出装置、紙葉類識別装置及び紙葉類処理装置の実施形態を、図面を参照しながら説明する。以下においては、紙幣を対象とする紙葉類処理装置と、紙葉類処理装置に内蔵される紙葉類識別装置と、紙葉類識別装置に使用される紙葉類磁気検出装置を例として本開示について説明する。
なお、本開示の紙葉類処理装置、紙葉類識別装置及び紙葉類磁気検出装置の対象は、磁気的特徴を有する紙葉類であれば、紙幣に限られない。紙幣以外の紙葉類としては例えば、小切手、商品券、手形、帳票、有価証券、カード状媒体等が挙げられる。
【0029】
(実施形態1)
図1Aは、本開示の実施形態1に係る紙葉類磁気検出装置の一例を模式的に示す側面図である。
図1Bは、図1Aに示す紙葉類磁気検出装置の正面図である。
図1A及び図1Bに示す紙葉類磁気検出装置1は、磁気検出面2aを有し、紙幣に含まれる磁気情報や磁気パターン等の紙葉類の磁気的特徴を検出する磁気センサ2と、磁気センサ2の磁気検出面2aに対向配置され、紙幣を磁気検出面2aに対して押し付けて搬送するブラシローラ50とを備える。
また、図1A及び図1Bに示す紙葉類磁気検出装置1では、軸3がローラ本体部51の中心に配置されていてもよい。さらに、図1Bに示すように、紙葉類磁気検出装置1では、複数のブラシローラ50が軸3の長手方向に連続して配置されていてもよい。
ブラシローラ50は、回転することにより、紙幣を磁気検出面2aに押し付けると共に、紙幣を所定の方向に搬送する。
なお、ブラシローラ50は、本開示のブラシローラの一態様でもある。
【0030】
磁気センサ2としては、例えば、主走査方向に磁気検出素子を複数備える磁気ラインセンサが挙げられる。
磁気検出素子としては、被検出対象の磁束密度の変化を信号として出力するもの(微分型磁気検出素子)を用いることができ、具体的には、磁気抵抗素子(MR素子)、フラックスゲート(FG素子)、磁気インピーダンス(MI素子)等が挙げられる。
【0031】
次に、ブラシローラ50について詳述する。
図2Aは、本開示の実施形態1に係るブラシローラの一例を模式的に示すブラシローラの回転軸に垂直な断面の模式図である。
図2Bは、図2Aの破線部の拡大図である。
なお、図2Aでは、説明の便宜上、軸3が配置される空間を記載しないようにしている(つまり、軸3が配置される空間が埋まっているように記載している)。
図2Aに示すブラシローラ50は、ローラ本体部51と、ローラ本体部51の周面に配置されたブラシ部52とを備える。
なお、図2Aにおいて、ブラシローラ50の回転方向を符号「r」で示す。
また、ブラシローラ50の回転の中心となる回転軸を符号「O」で示す。なお、本明細書において「回転軸」とは、ブラシローラの回転の中心となる仮想軸を意味する。
図2Bに示すように、ブラシ部52は、ローラ本体部51の周面上に配置され、経糸53a及び緯糸53bから構成される基布53と、基布53から突出し、かつ、経糸53a及び緯糸53bにより形成される基布53の隙間Sに織り込まれた複数のパイル54とを含む。
【0032】
また、図2Bに示すように、隣り合う2つのパイル54は、連続した糸状の連続パイル55により構成されてもよい。
つまり、糸状の連続パイル55は、第1端部55e及び第1端部55eと反対側の第2端部55eを有し、連続パイル55は、第1端部55e及び第2端部55eが互いに異なる基布53の隙間Sを通り、基布53から突出することで2本のパイル54を形成していてもよい。
【0033】
ブラシローラ50では、基布53にパイル54を織り込むことによりブラシ部52が形成されているので、パイル54の長さ(図2B中、符号「L54」で示す長さ)を一定にすることができる。
つまり、パイル54の長さを意図的に制御することができる。
そのため、ブラシローラ50を製造する際に、個々のブラシローラに差が生じにくく、ブラシローラの品質を安定させることができる。
そのため、紙葉類磁気検出装置1において、あらかじめ設定された範囲に設定するだけで、磁気センサとブラシロートとの間のクリアランスが最適な範囲となりやすい。
そのため、磁気センサとブラシロートとの間のクリアランスを設定する際のブラシローラ毎の微調整が容易になる。
なお、本明細書において、「パイルの長さ」とは、基布から突出するパイルの根本部分からパイルの先端までの直線距離のことを意味する。
【0034】
基布53を構成する経糸53a及び緯糸53bの形態は特に限定されないが、1本の糸、撚糸等であってもよい。
【0035】
経糸53a及び緯糸53bの材料は、ナイロン、レーヨン、ポリエステル等の非導電性繊維等であってもよい。
【0036】
なお、経糸53a及び緯糸53bは、同じ種類の糸であってもよく、異なる種類の糸であってもよい。
【0037】
パイル54の態様は特に限定されないが、一本の糸、撚糸等であってもよい。
【0038】
パイル54の材料は、ナイロン、レーヨン、ポリエステル等の非導電性繊維等であってもよい。
【0039】
パイル54は、単一の種類のパイルであってもよく、種類が異なる複数のパイルから構成されていてもよい。
なお、本明細書において、「種類が異なる」とは、パイルの材料、パイルの形成方法(押出成形法、紡糸法等)の違いだけでなく、パイルの長さ、パイルの太さ、後述するパイルの形状、パイルの表面状態等の態様の何か1つでも異なることを意味する。
【0040】
パイル54の長さL54は、ブラシローラ50の大きさ等に合わせ適宜設定することができるが、例えば、2~6mmであってもよく、2~4mmであってもよく、4~6mmであってもよい。
【0041】
パイル54の太さは、例えば、0.5~100D(デニール)であってもよく、15~25D(デニール)であってもよい。
【0042】
図2A及び図2Bに示すパイル54の形状は、ストレート形状であるが、パイル54の形状は、カーブ形状であってもよく、捲縮された形状であってもよい。
ストレート形状とは、直線状であり曲がっていない形状を意味する。
カーブ形状とは、弧状の形状を意味する。なお、曲率は一定であってもよく、部分的に変化をしていてもよい。
捲縮された形状とは、細かく波打ち縮れた形状を意味する。
【0043】
パイル54の表面形状は、平滑であってもよく、凹凸であってもよい。
【0044】
図3は、本開示の実施形態1に係るブラシローラに含まれる基布を展開した平面図である。
図3中の矢印rは、ブラシローラ50の回転方向を示している。
図3に示すようにブラシローラ50に含まれる基布53では、パイル54が規則的に配置されている。より具体的には、展開した基布53を平面視した際、パイル54は、長方形格子の頂点に位置するように均等に配置されていてもよい。
このようにパイル54が規則的に配置されていると、紙幣40を磁気検出面2aに対して押し付けて搬送する際の圧力を一定にすることができる。
なお、本開示のブラシローラでは、展開した基布を平面視した際、パイルは、正方形格子の頂点に位置するように均等に配置されていてもよい。
また、本開示のブラシローラでは、展開した基布を平面視した際、パイルは、回転方向rに対して斜め方向に配列されていてもよい。
また、本開示のブラシローラでは、展開した基布を平面視した際、パイルは、ランダムに配置されていてもよい。
【0045】
ブラシローラ50において、基布53は、平織り、多重平織り、たてよろけ平織り、空羽平織り、綾織り、多重綾織り等により形成されていてもよい。
【0046】
図3に示す基布53では、連続パイル55が回転方向rに沿って配置されており、1つの連続パイル55により構成される2つのパイル54の先端を結ぶ線は、回転方向rと一致していた。
しかし本開示のブラシローラでは、連続パイル55が回転方向rと垂直な方向に沿って配置されており、1つの連続パイル55により構成される2つのパイル54の先端を結ぶ線は、回転方向rと垂直な方向と一致していてもよい。
また、1つの連続パイル55により構成される2つのパイル54の先端を結ぶ線は、回転方向rに対し斜めになっていてもよい。
【0047】
ブラシローラ50では、基布53に形成されたパイル54の密度は、1万~4万本/inchであってもよい。
【0048】
ブラシローラ50では、最近接の2つのパイル54の間の間隔は、0.005~0.01inch(0.127~0.254mm)であってもよい。
【0049】
上記図2Bに示すように、ブラシローラ50では、連続パイル55は、1本の経糸53aの下側(ローラ本体部51側)を通るように、1本の経糸53aと交差していたが、本開示のブラシローラでは、連続パイル55は、2本以上の経糸53aと交差していてもよい。このような態様を以下に説明する。
図4A及び図4Bは、本開示の実施形態1に係るブラシローラにおけるパイルの織り込みの別の態様を示す模式図である。
【0050】
図4Aに示すように、ブラシローラ50aでは、連続パイル55が、隣り合う2本の経糸53aの下側(ローラ本体部51側)を通り、経糸53aの横に形成された隙間S1及び隙間S2から第1端部55e及び第2端部55eが突出することにより2本のパイル54を形成していてもよい。
なお、本開示のブラシローラでは、連続パイルが2本以上の経糸の下側(ローラ本体部51側)を通り、パイルを形成していてもよい。
【0051】
図4Bに示すように、ブラシローラ50bでは、連続パイル55が、順に配置された3本の経糸53aの上下を伝うように配置されパイル54を形成していてもよい。
この態様をより詳しく説明する。
図4Bでは、連続パイル55と交差する経糸53aが左から順に、経糸53a、経糸53a及び経糸53aが配置されている。
連続パイル55は、経糸53aの下部、経糸53aの上部、経糸53aの下部と接触し、経糸53aの左の隙間S1、及び、経糸53aの右の隙間S2から、それぞれ、第1端部55e及び第2端部55eが突出することにより2本のパイル54を形成している。
なお、本開示のブラシローラでは、連続パイルが3本以上の経糸の上部及び下部を交互に接触するように配置されパイルを形成していてもよい。
【0052】
上記図2Bに示すように、ブラシローラ50では、パイル54の先端と、連続パイル55の端部は一致していたが、本開示のブラシローラでは、パイルの先端はループ状であってもよい。
このような態様を以下に説明する。
図5A及び図5Bは、本開示の実施形態1に係るブラシローラにおける連続パイルの別の態様を示す模式図である。
【0053】
図5Aに示すように、ブラシローラ50cでは、連続パイル55aは、基布53の1つの隙間から突出し、先端がループするループパイル56を形成していてもよい。
より詳しく説明すると、1つのループパイル56の2本の根本部分57は、基布53に形成された同一の隙間Sから突出していてもよい。
【0054】
図5Bに示すように、ブラシローラ50dでは、連続パイル55bは、基布53の2つの隙間から突出し、先端がループするループパイル58を形成していてもよい。
より詳しく説明すると、1つのループパイル58の2本の根本部分59a及び根本部分59bは、基布53に形成された別々の隙間S1及び隙間S2から突出し、その先端がループしていてもよい。
【0055】
上記図2Bに示すように、ブラシローラ50では、連続パイル55が2本のパイル54を形成していたが、本開示のブラシローラでは、各パイルは、単独で構成されていてもよい。
このような態様は、例えば、単独のパイルを基布の経糸及び/又は緯糸に結ぶように配置することにより形成することができる。
各パイルが、単独で構成されている場合、各パイルは、規則的に配置されていてもよい。
例えば、長方形格子や、正方形格子の頂点に各パイルが位置するように各パイルが配置されていてもよい。
また、各パイルがランダムに配置されていてもよい。
【0056】
本開示のブラシローラでは、連続パイルにより構成されたパイル、ループパイル、単独で構成されたパイル等、複数種類のパイルが混在していてもよい。
【0057】
本開示の実施形態1に係るブラシローラを製造する方法は、ローラ本体部の周面に、パイルが形成された基布を配置し、接着剤等により固定する方法が挙げられる。
【0058】
パイルが形成された基布は、例えば以下の方法で作製することができる。
まず、経糸及び緯糸から構成される基布を準備する。
次に、パイル前駆糸を、基布に縫い込み、基布から突出し、先端がループするパイル状物を形成する。
この際、パイル前駆糸がほつれてしまうことを防ぐために、接着剤等によりパイル前駆糸を固定してもよく、補強糸によりパイル前駆糸を固定してもよい。
そして、パイル状物のループしている部分を切断し、突出部を所定の長さにすることでパイルを形成することができる。
なお、切断を行わず、先端がループするパイル状物をそのままループパイルとしてもよい。
このようにしてパイルが形成された基布を形成することができる。
【0059】
また、2枚の基布を上下に配置し、パイル前駆糸を上下の基布に順に縫い込み、上下の基布の中間部分でパイル前駆糸を切断することで、パイルが形成された基布を一度に2枚作製する方法も採用できる。
【0060】
次に、本開示の実施形態1に係るブラシローラの変形例1について説明する。
本開示の実施形態1に係るブラシローラの変形例1は、ブラシローラを構成するパイルが、種類が異なる第1パイルと第2パイルとを含み、ブラシローラを、回転軸の軸方向から見た際に、第1パイル上の回転軸から最も離れた点から、回転軸までの距離L1が、第2パイル上の回転軸から最も離れた点から、回転軸までの距離L2よりも短いことが、ブラシローラ50と異なる。
【0061】
図6Aは、本開示の実施形態1に係るブラシローラの変形例1の一例を示すブラシローラの回転軸に垂直な断面の模式図である。
なお、図6Aでは説明の便宜上、軸が配置される空間を記載しないようにしている(つまり、軸は配置される空間が埋まっているように記載している)。
図6Aに示すブラシローラ150は、ローラ本体部151と、ローラ本体部151の周面に配置されたブラシ部152とを備える。
ブラシ部152は、ローラ本体部151の周面上に配置され、経糸及び緯糸から構成される基布153と、基布153から突出し、かつ、経糸及び緯糸により形成される基布153の隙間に織り込まれた複数のパイル154とを含んでいてもよい。
また、パイル154は、種類の異なる第1パイル161及び第2パイル162を含む。
【0062】
図6Bは、図6Aに示すブラシローラの1本の第1パイル及び第2パイルに着目した模式図である。
図6Bに示すように、ブラシローラ150を、その回転軸Oの軸方向から見た際に、第1パイル161は、第1パイル161の根本部分163及び回転軸Oを通る直線αに対して重なるように配置されていてもよく、第2パイル162は、第2パイル162の根本部分164及び回転軸Oを通る直線βに対して重なるように配置されていてもよい。なお、本明細書にて、パイルの根本部分及び回転軸を通る直線とは、いずれも仮想線である。
また、図6Bに示すブラシローラ150では、第1パイル161の長さL161は、第2パイル162の長さL162よりも短い。
そのため、第1パイル161上の回転軸Oから最も離れた点P161から、回転軸Oまでの距離L1が、第2パイル162上の回転軸Oから最も離れた点P162から、回転軸Oまでの距離L2よりも短い。
【0063】
上記の通り、基布53にパイル54を織り込むことによりブラシ部52が形成されたブラシローラ50を備える紙葉類磁気検出装置1では、ブラシローラの回転軸から各パイルの先端までの距離が等しくても、磁気センサとブラシロートとの間のクリアランスを設定する際のブラシローラ毎の微調整が容易になる。
さらに、距離L1が距離L2よりも短いブラシローラ150を備える紙葉類磁気検出装置では、磁気センサとブラシロートとの間のクリアランスを設定する際のブラシローラ毎の微調整がより容易になる。
【0064】
ブラシローラ150を備える紙葉類磁気検出装置において、磁気センサとブラシロートとの間のクリアランスを設定する際のブラシローラ毎の微調整が容易になる理由を説明する前に、パイルの長さが一定であるブラシローラ50を備える紙葉類磁気検出装置1におけるブラシローラ50の位置調整と、磁気検出面にかかる圧力との関係について説明する。
【0065】
図7Aは、ブラシローラの回転軸から各パイルの先端までの距離が等しい本開示の実施形態1の紙葉類磁気検出装置において、位置調整時のブラシローラの状態を連続的に示す模式図である。
図7Aにおいて、符号「D」で示す距離は、ブラシローラ50の回転軸Oからパイル54の先端までの距離を意味する。
図7Aにおいて、符号「d」で示す距離は、パイル54から磁気検出面2aまでの距離、又は、ブラシローラ50のパイル54が磁気検出面2aに接した状態を基準にそこから押し付けられた距離を意味する。
【0066】
図7Aの(a)は、紙葉類磁気検出装置1において、ブラシローラ50のパイル54が、磁気検出面2aに接触していない状態を示している。この場合におけるブラシローラ50の回転軸Oから磁気検出面2aまでの距離はD+dである。
図7Aの(b)は、紙葉類磁気検出装置1において、ブラシローラ50のパイル54が、磁気検出面2aに丁度接する状態を示している。この場合におけるブラシローラ50の回転軸Oから磁気検出面2aまでの距離はDである。
図7Aの(c)は、紙葉類磁気検出装置1において、ブラシローラ50のパイル54が、磁気検出面2aに接し、さらに押し付けられている状態を示している。この場合におけるブラシローラ50の回転軸Oから磁気検出面2aまでの距離はD-dである。
紙葉類磁気検出装置1では、図7Aの(a)~(c)に示すように、ブラシローラ50を、磁気検出面2a側に移動させ、ブラシローラ50の位置調整を行う。
【0067】
ここで、図7Aの(a)、(b)、(c)の順にブラシローラ50を移動させる場合の磁気検出面にかかる圧力の変化について説明する。
図7Bは、ブラシローラの回転軸から各パイルの先端までの距離が等しい本開示の実施形態1の紙葉類磁気検出装置におけるブラシローラの位置と、磁気検出面にかかる圧力との関係を示すグラフである。
【0068】
図7Bでは、縦軸がブラシローラの回転軸と磁気検出面との距離、横軸が磁気検出面にかかる圧力を示している。
なお、ブラシローラの回転軸と磁気検出面との距離とは、図7Aの(b)の状態の距離Dを基準とした場合の相対的な距離を示している。
【0069】
まず、ブラシローラ50が、図7Aの(a)の位置にある場合は、ブラシローラ50の回転軸Oと磁気検出面2aとの距離はD+dであり(図7Bの(a)で示す領域)であり、パイル54と磁気検出面2aは接触していないため、磁気検出面2aにかかる圧力は0である。
【0070】
次に、ブラシローラが、図7Aの(b)の位置にある場合、ブラシローラ50の回転軸Oと磁気検出面2aとの距離はDであり、複数のパイル54が一様に磁気検出面2aに接触するので、磁気検出面2aにかかる圧力はP1-1となる。
【0071】
次に、ブラシローラ50が、図7Aの(c)の位置にある場合は、ブラシローラ50の回転軸Oと磁気検出面2aとの距離はD-dであり(図7Bの(c)で示す領域)であり、パイル54は磁気検出面2aに押し付けられ、磁気検出面にかかる圧力は、ブラシローラ50の回転軸Oと磁気検出面2aとの距離が短くなるにつれ急激に大きくなる。
【0072】
ブラシローラ50の位置合わせは、上記-dを調整することにより行われるが、-dを調整する際、磁気検出面2aにかかる圧力が急激に変化するので位置調整しにくい場合がある。
【0073】
次に、第1パイル161及び第2パイル162を含むブラシローラ150を備える紙葉類磁気検出装置におけるブラシローラ150の位置調整と、磁気検出面にかかる圧力との関係について説明する。
【0074】
図8Aは、ブラシローラの回転軸から第1パイルの先端までの距離L1がブラシローラの回転軸から第2パイルの先端までの距離L2よりも短い本開示の実施形態1の紙葉類磁気検出装置において、位置調整時のブラシローラの状態を連続的に示す模式図である。
図8Aにおいて、符号「D」で示す距離は、ブラシローラ150の回転軸Oから第2パイル162の先端までの距離である。
図8Aにおいて、符号「d」で示す距離は、第2パイル162から磁気検出面2aまでの距離を意味する。
図8Aにおいて、符号「d」及び「d」で示す距離は、ブラシローラ150の第2パイル162が磁気検出面2aに接した状態を基準にそこから押し付けられた距離を意味する。
【0075】
図8Aの(a)は、紙葉類磁気検出装置101において、ブラシローラ150の第1パイル161及び第2パイル162が、磁気検出面2aに接触していない状態を示している。この場合におけるブラシローラ150の回転軸Oから磁気検出面2aまでの距離はD+dである。
図8Aの(b)は、紙葉類磁気検出装置101において、ブラシローラ150の第1パイル161が磁気検出面2aに接触しておらず、第2パイル162が磁気検出面2aに丁度接する状態を示している。この場合におけるブラシローラ150の回転軸Oから磁気検出面2aまでの距離はDである。
図8Aの(c)は、紙葉類磁気検出装置101において、ブラシローラ150の第1パイル161が磁気検出面2aに丁度接する状態を示している。なお、第2パイル162が磁気検出面2aに押し付けられるように接触している。
この場合におけるブラシローラ150の回転軸Oから磁気検出面2aまでの距離はD-dである。
図8Aの(d)は、紙葉類磁気検出装置101において、ブラシローラ150の第1パイル161及び第2パイル162が磁気検出面2aに接し、さらに押し付けられている状態を示している。この場合におけるブラシローラ150の回転軸Oから磁気検出面2aまでの距離はD-dである。
紙葉類磁気検出装置101では、図8Aの(a)~(d)に示すように、ブラシローラ150を、磁気検出面2a側に移動させ、ブラシローラ150の位置調整を行う。
【0076】
ここで、図8Aの(a)、(b)、(c)、(d)の順にブラシローラ150を移動させる場合の磁気検出面にかかる圧力の変化について説明する。
図8Bは、変形例1のブラシローラを備える実施形態1の紙葉類磁気検出装置におけるブラシローラの位置と、磁気検出面にかかる圧力との関係を示すグラフである。
【0077】
図8Bでは、縦軸がブラシローラの回転軸と磁気検出面との距離、横軸が磁気検出面にかかる圧力を示している。
なお、ブラシローラの回転軸と磁気検出面との距離とは、図8Aの(b)の状態の距離Dを基準とした場合の相対的な距離を示している。
【0078】
まず、ブラシローラ150が、図8Aの(a)の位置にある場合は、ブラシローラ150の回転軸Oと磁気検出面2aとの距離はD+dであり(図8Bの(a)で示す領域)であり、パイル54と磁気検出面2aは接触していないため、磁気検出面にかかる圧力は0である。
【0079】
次に、ブラシローラ150が、図8Aの(b)の位置にある場合、ブラシローラ150の回転軸Oと磁気検出面2aとの距離はDであり、第2パイル162が磁気検出面2aに接触するので、磁気検出面2aにかかる圧力はP2-1となる。
【0080】
なお、ブラシローラ150が、図8Aの(b)の位置にある場合、第2パイル162のみが磁気検出面2aに接触するので、この際の圧力P2-1は、パイルの長さが一定であるブラシローラのパイルが磁気検出面に接触する場合(すなわち、図7Bの(b)の状態)の圧力(すなわち、P1-1)よりも低くなる。
【0081】
次に、ブラシローラ150が、図8Aの(c)の位置にある場合、ブラシローラ150の回転軸Oと磁気検出面2aとの距離はD-dであり(図8Aの(c)の領域)、第1パイル161及び第2パイル162が磁気検出面2aに接触するので、磁気検出面2aにかかる圧力はP2-2となる。
距離Dから距離D-dまでの間、磁気検出面2aに圧力をかけるのは第2パイル162のみであるので、圧力P2-1から圧力P2-2までの変化は緩やかである。
【0082】
次に、ブラシローラ150が、図8Aの(d)の位置にある場合、ブラシローラ150の回転軸Oと磁気検出面2aとの距離はD-dであり(図8Aの(d)の領域)、第1パイル161及び第2パイル162が磁気検出面2aに接触し、押し付けられるので、磁気検出面2aにかかる圧力は急激に高くなる。
【0083】
ブラシローラ150の位置合わせは、上記-d又は-dを調整することにより行われるが、-dを調整する場合、磁気検出面2aにかかる圧力が緩やかに変化するので、位置調整しやすい。
このような理由から、ブラシローラ150を備える紙葉類磁気検出装置101では、磁気センサとブラシロートとの間のクリアランスを設定する際のブラシローラ毎の微調整がより容易になる。
【0084】
次に、ブラシローラ150を備える紙葉類磁気検出装置101において、搬送抵抗を低減しつつ、磁気センサの出力低下を防ぐことができる理由を説明する。
例えば、ブラシローラに配置されたパイルが均一な長さであると、ブラシローラで紙幣を磁気センサの磁気検出面に押し付ける際の圧力が均一になるものの、紙幣がブラシローラと磁気検出面との間を搬送される際の搬送抵抗が高くなりやすい。
これを防ぐために、パイルの長さを一様に短くする方法も考えられるが、この場合、紙幣を磁気検出面に押し付ける圧力が低くなり、磁気センサの出力低下につながる。
【0085】
しかし、ブラシローラ150は、長さが異なる第1パイル161及び第2パイル162を含むので、ブラシローラ150で紙幣40を磁気センサ2の磁気検出面2aに押し付ける際の圧力が低くなる。そのため、紙幣がブラシローラと磁気検出面との間を搬送される際の搬送抵抗が低減できる。
【0086】
なお、搬送抵抗を低減する方法として、パイルの密度を低くする方法も考えられるが、この場合、パイルが倒れ込みやすくなったり、紙幣がパイル間へ潜り込みやすくなる。
しかし、第1パイル161及び第2パイル162により紙幣40を搬送する場合、第1パイル161が支えとなり、第2パイル162が倒れ込むことを防ぐことができる。また、紙幣40が第2パイル162間に潜り込むことを防ぐことができる。
これらの理由から、紙葉類磁気検出装置101では、しっかりと紙幣を磁気検出面に押し付けることができ、磁気センサの出力低下を防ぐことができる。
【0087】
距離L1及び距離L2は、紙葉類磁気検出装置101の大きさや、ブラシローラ150の大きさ等に応じて適宜決定すればよく、例えば、距離L1は約17.5mm、距離L2は約18.0mmであってもよい。
【0088】
第1パイル161及び第2パイル162は、基布153に規則的に配置されていてもよい。
また、第1パイル161及び第2パイル162は、ブラシローラ150の回転方向rに規則的に配置されていてもよい。
なお、「第1パイル及び第2パイルが、ブラシローラの回転方向に規則的に配置されている」とは、ブラシローラの回転方向にN本の第1パイルとM本の第2パイルとが交互に配置されていることを意味する。
Nは1以上の自然数であり、Mは1以上の自然数である。NとMは同じであってもよく、N及びMは1であってもよい。
例えば、N及びMが2以上の場合、複数の第1パイルが連続して配置される領域と、複数の第2パイルが連続して配置される領域とがブラシローラの回転方向に交互に配置されることになる。
また、N及びMが1である場合、1本の第1パイルと、1本の第2パイルとがブラシローラの回転方向に交互に配置されることになる。
このように配置されているとい、第2パイルの偏在を防ぐことができる。
例えば、第2パイルが偏在していると、その領域において、紙幣がブラシローラと磁気検出面との間を搬送される際の搬送抵抗が高くなりやすい。しかし、第1パイル及び第2パイルが、ブラシローラの回転方向に規則的に配置されていると、上記搬送抵抗をより偏りなく低減することができる。
なお、本開示のブラシローラでは、第1パイル及び第2パイルはランダムに配置されていてもよい。
【0089】
第1パイル及び第2パイルの配置の例について以下に図面を用いて説明する。
図9A及び図9Bは、本開示の実施形態1に係るブラシローラの変形例1において、基布を展開した際の第1パイル及び第2パイルの配置位置の一例を模式的に示す平面図である。
【0090】
図9Aに示すように、ブラシローラ150では、基布153を展開した際に、ブラシローラ150の回転方向rにおいて、第1パイル161と第2パイル162とが交互に等間隔で配置され、ブラシローラ150の回転方向rに垂直な方向に、第1パイル161が一列に等間隔で配置され、かつ、ブラシローラ150の回転方向rに垂直な方向に、第2パイル162が一列に等間隔で配置されていてもよい。
つまり、ブラシローラ150の回転方向rにおいて、第1パイル161の列と、第2パイル162の列とが交互に等間隔で配置されていてもよい。
第1パイル161及び第2パイル162がこのように配置されていると、紙幣40を磁気検出面2aに押し付ける際の圧力に斑がより生じにくい。
【0091】
なお、本開示のブラシローラでは、図9Aに示すような第1パイル161の列と、第2パイル162の列が、回転方向rに対し斜めになるように配置されていてもよい。
【0092】
また、本開示のブラシローラでは、基布153を構成する経糸が、回転方向rに対し垂直に形成されていてもよく、平行に形成されていてもよく、斜めに形成されていてもよい。基布153を構成する緯糸も同様である。
【0093】
図9Bに示すように、ブラシローラ150では、基布153を展開した際に、ブラシローラ150の回転方向rにおいて、第1パイル161と第2パイル162とが交互に等間隔で配置され、ブラシローラ150の回転方向rに垂直な方向に、第1パイル161と第2パイル162とが交互に等間隔に配置されていてもよい、
つまり、第1パイル161と第2パイル162は、長方形格子の頂点に位置するように、交互に配置されていてもよい。なお、第1パイル161と第2パイル162は、正方形格子の頂点に位置するように、交互に配置されていてもよい。
第1パイル161及び第2パイル162がこのように配置されていると、紙幣40を磁気検出面2aに押し付ける際の圧力に斑がより生じにくい。
【0094】
図9Bに示すブラシローラ150では、第1パイル161及び第2パイル162は長方形格子の頂点に位置するように、交互に配置されており、長方形格子の辺は、回転方向rに垂直又は平行であったが、当該長方形格子の辺が回転方向rに対し斜めになるように、第1パイル161及び第2パイル162が配置されていてもよい。
【0095】
このようなブラシローラ150の製造方法としては、ローラ本体部の周面に、第1パイル及び第2パイルが形成された基布を配置し、接着剤等により固定する方法が挙げられる。
第1パイル及び第2パイルを基布に形成する方法としては、例えば以下の方法が挙げられる。
まず、長さが短い第1パイルを製造するための第1パイル前駆糸を基布に縫い込み、第1パイル前駆糸を所定の位置で切断し、第1パイルを形成する。
次に、長さが長い第2パイルを製造するための第2パイル前駆糸を基布に縫い込み、第2パイル前駆糸を所定の位置で切断し、第2パイルを形成する。
このような方法で、第1パイル及び第2パイルが形成された基布を製造することができる。
【0096】
なお、本開示の実施形態1に係るブラシローラの変形例1では、ブラシローラを構成するパイルが、種類が異なる第1パイルと第2パイルとを含み、ブラシローラを、回転軸の軸方向から見た際に、第1パイル上の回転軸から最も離れた点から、回転軸までの距離L1が、第2パイル上の回転軸から最も離れた点から、回転軸までの距離L2よりも短ければ、上記構成に限られない。
以下、本開示の実施形態1に係るブラシローラの別の態様を説明する。
【0097】
図10は、本開示の実施形態1に係るブラシローラの変形例2の一例を示すブラシローラの回転軸に垂直な断面の模式図である。
なお、図10では、説明の便宜上、第1パイル及び第2パイルをそれぞれ1つだけ記載している。
図10に示すように、ブラシローラ150aでは、第1パイル161aが捲縮された形状であり、第2パイル162aがストレート形状であってもよい。
【0098】
また、ブラシローラ150aを、その回転軸Oの軸方向から見た際に、第1パイル161aは、第1パイル161aの根本部分163a及び回転軸Oを通る直線αに対して重なるように配置されており、第2パイル162aは、第2パイル162aの根本部分164a及び回転軸Oを通る直線βに対して重なるように配置されていてもよい。
また、第1パイル161aの長さL161aは、第2パイル162aの長さL162aよりも短くてもよい。
この場合、第1パイル161a上の回転軸Oから最も離れた点P161aから、回転軸Oまでの距離L1が、第2パイル162a上の回転軸Oから最も離れた点P162aから、回転軸Oまでの距離L2よりも短くなる。
【0099】
第1パイル161aは、捲縮するように癖付けされた第1パイル前駆糸を基布に縫い込み、第1パイル前駆糸を所定の位置で切断することにより形成することができる。
【0100】
図11は、本開示の実施形態1に係るブラシローラの変形例3の一例を示すブラシローラの回転軸に垂直な断面の模式図である。
図11に示すように、ブラシローラ150bは、第1パイル161bがストレート形状であり、第2パイル162bが捲縮された形状であってもよい。
なお、図11では、説明の便宜上、第1パイル及び第2パイルをそれぞれ1つだけ記載している。
【0101】
また、ブラシローラ150bを、その回転軸Oの軸方向から見た際に、第1パイル161bは、第1パイル161bの根本部分163b及び回転軸Oを通る直線αに対して重なるように配置されており、第2パイル162bは、第2パイル162bの根本部分164b及び回転軸Oを通る直線βに対して重なるように配置されていてもよい。
また、第1パイル161bの長さL161bは、第2パイル162bの長さL162bよりも短くてもよい。
この場合、第1パイル161b上の回転軸Oから最も離れた点P161bから、回転軸Oまでの距離L1が、第2パイル162b上の回転軸Oから最も離れた点P162bから、回転軸Oまでの距離L2よりも短くなる。
【0102】
第2パイル162bは、捲縮するように癖付けされた第2パイル前駆糸を基布に縫い込み、第2パイル前駆糸を所定の位置で切断することにより形成することができる。
【0103】
図12は、本開示の実施形態1に係るブラシローラの変形例4の一例を示すブラシローラの回転軸に垂直な断面の模式図である。
なお、図12では、説明の便宜上、第1パイル及び第2パイルをそれぞれ1つだけ記載している。
【0104】
図12に示すように、ブラシローラ150cでは、ブラシローラ150cを、その回転軸Oの軸方向から見た際に、第1パイル161cは、第1パイル161cの根本部分163c及び回転軸Oを通る直線αに対して斜めに形成されていてもよい。
また、第2パイル162cは、第2パイル162cの根本部分164c及び回転軸Oを通る直線βに対して重なるように配置されていてもよい。
第1パイル161cの長さL161cは、第2パイル162cの長さL162cと同じ長さであってもよい。
【0105】
図12に示すブラシローラ150cでは、第1パイル161cの長さL161cは、第2パイル162cの長さL162cと同じである。この場合、ブラシローラ150cでは、第1パイル161cは、直線αに対して斜めに形成されているので、第1パイル161c上の回転軸Oから最も離れた点P161cから、回転軸Oまでの距離L1は、第2パイル162c上の回転軸Oから最も離れた点P162cから、回転軸Oまでの距離L2よりも短くなる。
【0106】
ブラシローラ150cでは、点P161cと回転軸Oとを通る直線が、紙幣の搬送方向と直交する際、第1パイル161cと磁気検出面との距離が最も近くなる。
つまり、第1パイル161cと磁気検出面との距離は、長さL161cではなく距離L1に依存する。
従って、第1パイル161cの長さL161cと、第2パイル162cの長さL162cとが同じ長さであっても、距離L1を距離L2よりも短くすることができる。
【0107】
なお、距離L1は、直線αと第1パイル161cとが形成する角の角度、及び、長さL161cを調整することにより所望の距離にすることができる。
【0108】
このような態様のブラシローラ150cであっても、クリアランスを設定する際のブラシローラ毎の微調整がより容易になり、加えて、紙幣の搬送抵抗を低減しつつ、磁気センサの出力低下を防ぐことができるという効果を得ることができる。
【0109】
ブラシローラ150cでは、第1パイル161c及び第2パイル162cのいずれか一方が捲縮された形状であってもよく、両方が捲縮された形状であってもよい。
【0110】
なお、ブラシローラ150cでは、距離L1が距離L2よりも短ければ、第1パイル161cの長さL161cは、第2パイル162cの長さL162cよりも短くてもよく、長くてもよい。
【0111】
また、ブラシローラ150cでは、距離L1が距離L2よりも短ければ、第2パイル162cは、直線βに対して斜めに形成されていてもよい。
【0112】
直線αに対して斜めに形成されている第1パイル161cは、直線αに対し斜めになるように癖付けされた第1パイル前駆糸を基布に縫い込み、第1パイル前駆糸を所定の位置で切断することにより形成することができる。
直線βに対して斜めに形成されている第2パイル162cを形成する場合も同様である。
【0113】
次に、本開示の実施形態1に係るブラシローラの変形例5、及び、当該ブラシローラを備える紙葉類磁気検出装置について説明する。
変形例5に係るブラシローラを備える紙葉類磁気検出装置では、ブラシローラを構成するパイルが、種類が異なる第1パイルと第2パイルとを含み、ブラシローラを構成するブラシ部が、第1端部及び第1端部と反対側の第2端部を有する糸状の第1連続パイル、及び、第3端部及び第3端部と反対側の第4端部を有する糸状の第2連続パイルを含み、第1連続パイルは、第1端部及び第2端部が互いに異なる基布の隙間を通り、基布から突出することで2本の第1パイルを形成し、第2連続パイルは、第3端部及び第4端部が互いに異なる基布の隙間を通り、基布から突出することで2本の前記第2パイルを形成していてもよい。
【0114】
図13Aは、本開示の実施形態1に係るブラシローラの変形例5の一例を示すブラシローラの回転軸に垂直な断面の模式図である。
図13Bは、図13Aの破線部の拡大図である。
なお、図13A及び図13Bでは、説明の便宜上、第1パイルを形成する第1連続パイル及び第2パイルを形成する第2連続パイルをそれぞれ1つだけ記載している。
【0115】
図13A及び図13Bに示すブラシローラ250は、ローラ本体部251と、ローラ本体部251の周面に配置されたブラシ部252とを備える。
ブラシ部252は、ローラ本体部251の周面上に配置され、経糸253a及び緯糸253bから構成される基布253と、第1端部265e及び第1端部265eと反対側の第2端部265eを有する糸状の第1連続パイル265、並びに、第3端部266e及び第3端部266eと反対側の第4端部266eを有する糸状の第2連続パイル266を含んでいてもよい。
第1連続パイル265は、第1端部265e及び第2端部265eが互いに異なる基布253の隙間S1を通り、基布253から突出することで2本の第1パイル261を形成していてもよい。
第2連続パイル266は、第3端部266e及び第4端部266eが互いに異なる基布253の隙間S2を通り、基布253から突出することで2本の前記第2パイル262を形成していてもよい。
【0116】
ブラシローラ250を、その回転軸Oの軸方向から見た際に、第1端部265eから回転軸Oまでの距離及び第2端部265eから回転軸Oまでの距離は、同じ距離L1であってもよい。
また、第3端部266eから回転軸Oまでの距離及び第4端部266eから回転軸Oまでの距離は、同じ距離L2であってもよい。
そして、距離L1は距離L2よりも短くてもよい。
【0117】
ブラシローラ250において、距離L1が距離L2よりも短い場合、ブラシローラ250を備える紙葉類磁気検出装置では、クリアランスを設定する際のブラシローラ毎の微調整がより容易になり、加えて、搬送抵抗を低減しつつ、磁気センサの出力低下を防ぐことができる。
【0118】
ブラシローラ250では、第1連続パイル265及び第2連続パイル266は、ブラシローラ250の回転方向rに交互に配列されていてもよい。
このように第1連続パイル265及び第2連続パイル266が配置されていると、第1パイル261及び第2パイル262も規則的に配置されるので、紙幣を磁気検出面に押し付ける際の圧力に斑が生じにくい。
【0119】
第1パイル261及び第2パイル262を作製する方法としては、上記本開示の実施形態1に係るブラシローラ50においてパイル54を作製する方法を採用することができる。
【0120】
なお、本開示のブラシローラが第1パイル及び第2パイルを含む場合、距離L1が距離L2よりも短ければ、第1パイルと、第2パイルとは同じ材料から構成されていてもよく、異なる材料から構成されていてもよい。
また、本開示のブラシローラでは、これまで説明した種々の第1パイル及び第2パイルの態様が混在されていてもよい。
【0121】
本開示のブラシローラの変形例1~変形例5では、ブラシローラが第1パイル及び第2パイルの2種が含まれていたが、本開示のブラシローラでは、さらに別の種類のパイルを含んでいてもよい。
【0122】
本開示のブラシローラの変形例1~変形例5では、第1パイル及び第2パイルに係る距離L1及び距離L2のみに着目して効果を説明していた。本開示のブラシローラでは、距離L2よりも長い距離L3を構成する第3パイルを含んでいてもよく、さらに長い距離Lnを構成する第nパイルを含んでいてもよい。
この場合、本開示のブラシローラでは、ブラシローラの回転方向に沿って、第1パイル、第2パイル、第3パイル、・・・、第nパイルが順に配列されていてもよい。
このようなブラシローラでは、ブラシローラの回転方向に沿って、ブラシローラの回転軸から、各パイルの端部までの距離が徐々に変化する。
このような構成であると、クリアランスを設定する際のブラシローラ毎の微調整がさらに容易になる。
【0123】
(実施形態2)
次に、本開示の実施形態1に係る紙葉類磁気検出装置を備える実施形態2に係る紙葉類処理装置について説明する。
【0124】
図14Aは、本開示の実施形態2に係る紙葉類識別装置の一例を模式的に示す断面図である。
図14Bは、図14Aに示す紙幣識別装置の上側のユニットを下から見た平面図である。
図14A及び図14Bに示すように、本開示の実施形態2に係る紙葉類識別装置10は、紙幣40が搬送される搬送路32を挟んだ上側のユニットと下側のユニットとから構成されていてもよい。
紙葉類識別装置10は、紙幣40の搬送路32に沿って、紙葉類識別装置10に順次搬送されてくる紙幣40を検出し、紙葉類識別装置10における紙幣40の検出開始のタイミングを決定するための紙幣検出信号を生成するフォトセンサ11aと、CCD、CMOS等の撮像素子をライン状に並べた画像センサ、及び光源やレンズ等の撮像光学系で構成され、搬送路32を搬送される紙幣40の画像データを検出する光学ラインセンサ(密着イメージセンサ)12と、搬送路32を挟んで対向するローラの一方における紙幣40通過時の変位量をセンサによって検出することによって紙幣40の厚みを検出する厚み検出センサ13と、搬送路32を搬送される紙幣40に含まれる磁気情報や磁気パターン等の紙葉類の磁気的特徴を検出する磁気センサ2と、紙幣40が通過したことを検出するフォトセンサ11bとが並んで配置された構成を有していてもよい。
【0125】
光学ラインセンサ12、厚み検出センサ13及び磁気センサ2は、搬送路32の幅に対して充分に長く、紙幣40の全面を検出できる。また、紙葉類識別装置10には、搬送路32内を紙幣40が移動できるように、搬送機構14が設けられていてもよい。搬送機構14としては特に限定されず、例えば、ローラ、ベルト等をモータ等の駆動装置で駆動するものが用いられる。更に、磁気センサ2の下方には、磁気センサ2の磁気検出面2aに対向配置され、紙幣40を磁気検出面2aに対して押し付けて搬送するブラシローラ50が配置されていてもよい。
なお、磁気センサ2及びブラシローラ50とからなる紙幣の磁気を検出する機構は、上記本開示の実施形態1に係る紙葉類磁気検出装置1である。
【0126】
紙葉類識別装置10は、これらのセンサによって取得されたデータを利用して紙幣40の識別処理を行う。識別処理の内容は特に限定されず、例えば、紙幣の場合は金種の識別、紙幣の真偽や正損の判定といった各種機能が挙げられる。
【0127】
(実施形態3)
次に、本開示の実施形態2に係る紙葉類識別装置を備える本開示の実施形態3に係る紙葉類処理装置について説明する。
【0128】
図15Aは、本開示の実施形態3に係る紙葉類処理装置の一例を模式的に示す斜視図である。
図15Bは、図15Aに示す紙葉類処理装置の内部構造の一例を模式的に示す断面図である。
図15A及び図15Bに示す紙葉類処理装置20は、複数の紙幣を載置可能なホッパ30と、ホッパ30に載置された紙幣を1枚ずつ繰り出す繰出部31と、繰出部31から繰り出された紙幣を搬送する搬送路32と、紙幣の識別処理を行う紙葉類識別装置10と、紙葉類識別装置10で識別された正常な紙幣を集積する集積部33と、所定条件を満たさない異常な紙幣を集積するリジェクト部34と、紙葉類処理装置20に入力された情報や、処理された結果等を表示する表示部35と、紙幣を搬送路32に沿って1枚ずつ搬送する搬送部(図示せず)と、を備えていてもよい。搬送部は、複数のローラ等の搬送手段と、搬送手段を駆動する、モータ等の駆動装置とを有していてもよい。紙葉類処理装置20は更に、装置内における紙幣の搬送状態を検知するため、図中の三角印で示される各位置に透過型又は反射型の光学センサを備えていてもよい。これらの光学センサの検知結果から、紙幣の形状と斜行状態を推定してもよい。紙葉類識別装置10をこのような紙葉類処理装置20に内蔵して利用することにより、ホッパ30に載置された複数の紙幣を連続して処理し、偽券、損券又は真偽不確定券と判定された紙幣をリジェクト部34に返却し、分別することができる。
なお、紙幣の識別処理を行う紙葉類識別装置は、上記本開示の実施形態2に係る紙葉類識別装置10である。
【0129】
(その他の実施形態)
本開示のブラシローラが、複数の種類のパイルを含む場合において、ブラシローラを、回転軸の軸方向から見た際に、各パイル上の回転軸から最も離れた点から回転軸までの距離が等しくてもよい。
例えば、本開示のブラシローラが、長いパイルと、短いパイルを含む場合において、ブラシローラを、回転軸の軸方向から見た際に、長いパイルが、長いパイルの根本部分及び回転軸を通る直線に対して斜めに形成されることにより、各パイル上の回転軸から最も離れた点から回転軸までの距離が等しくなっていてもよい。
【0130】
図1A及び図1Bに示すように、本開示の実施形態1に係る紙葉類磁気検出装置では、複数のブラシローラ50が軸3の長手方向に連続して配置されており、個々のブラシローラ50に着目すると、図2A及び図2Bに示すように、ローラ本体部は外径が一定の円柱状であった。
しかし、本開示のブラシローラでは、1つのブラシローラに着目した際に、外径が異なる複数の円柱状のユニットが、軸の長手方向に並べられ、1つのローラ本体部を構成していてもよい。すなわち、軸の長手方向においてローラ本体部の外径に段差があってもよい。また、当該ユニットが一体成型されローラ本体部を構成していてもよい。
軸の長手方向においてローラ本体部に段差があっても、本開示のブラシローラでは、パイルの長さ、形状、角度、配列等の態様を意図的に制御することができるので、ブラシローラ毎の品質が安定させることができる。
なお、製造コストの面からは、ローラ本体部は外径が一定の円柱状であるブラシローラの方が、ローラ本体部の外径に段差があるブラシローラよりも有利である。
【産業上の利用可能性】
【0131】
以上のように、本開示は、紙葉類処理装置を構成するブラシローラに形成されたパイルの長さ、形状、角度、配列等の態様を意図的に制御するのに有用な技術である。
【符号の説明】
【0132】
1、101 紙葉類磁気検出装置
2 磁気センサ
2a 磁気検出面
3 軸
10 紙葉類識別装置
11a、11b フォトセンサ
12 光学ラインセンサ
13 厚み検出センサ
14 搬送機構
20 紙葉類処理装置
30 ホッパ
31 繰出部
32 搬送路
33 集積部
34 リジェクト部
35 表示部
40 紙幣
50、50a、50b、50c、50d、150、150a、150b、150c、250 ブラシローラ
51、151、251 ローラ本体部
52、152、252 ブラシ部
53、153、253 基布
53a、53a、53a、53a、253a 経糸
53b、253b 緯糸
54、154 パイル
55、55a、55b 連続パイル
55e、265e 第1端部
55e、265e 第2端部
56、58 ループパイル
57、59a、59b、163、163a、163b、163c、164、164a、164b、164c 根本部分
161、161a、161b、161c、261 第1パイル
162、162a、162b、162c、262 第2パイル
265 第1連続パイル
266 第2連続パイル
266e 第3端部
266e 第4端部
S、S1、S2 隙間

図1A
図1B
図2A
図2B
図3
図4A
図4B
図5A
図5B
図6A
図6B
図7A
図7B
図8A
図8B
図9A
図9B
図10
図11
図12
図13A
図13B
図14A
図14B
図15A
図15B