(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025033969
(43)【公開日】2025-03-13
(54)【発明の名称】画像取得装置、硬貨識別装置、硬貨検査装置及び硬貨処理装置
(51)【国際特許分類】
G07D 5/00 20060101AFI20250306BHJP
【FI】
G07D5/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023140052
(22)【出願日】2023-08-30
(71)【出願人】
【識別番号】000001432
【氏名又は名称】グローリー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000914
【氏名又は名称】弁理士法人WisePlus
(72)【発明者】
【氏名】前▲高▼ 剛
(72)【発明者】
【氏名】中尾 亮介
(72)【発明者】
【氏名】浅田 晃介
(72)【発明者】
【氏名】二木 涼丞
【テーマコード(参考)】
3E002
【Fターム(参考)】
3E002BD01
3E002CA01
3E002CA15
3E002CA20
(57)【要約】
【課題】硬貨画像を精度よく取得することができる画像取得装置を提供する。
【解決手段】硬貨を搬送する搬送路と、前記硬貨の一方の硬貨面に対して光を照射する発光部と、前記硬貨面より反射された光を受光し硬貨画像を取得する画像取得部と、前記発光部と前記画像取得部を収容する筐体部と、前記筐体部の開口部を覆い、前記硬貨の搬送面を有するカバー部とを備えた硬貨画像センサとを有し、前記カバー部の搬送面の少なくとも一部を前記搬送路の搬送面よりも低くし、前記カバー部に付着した汚れを除去する汚れ除去部を設けたことを特徴とする画像取得装置。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
硬貨を搬送する搬送路と、
前記硬貨の一方の硬貨面に対して光を照射する発光部と、前記硬貨面より反射された光を受光し硬貨画像を取得する画像取得部と、前記発光部と前記画像取得部を収容する筐体部と、前記筐体部の開口部を覆い、前記硬貨の搬送面を有するカバー部とを備えた硬貨画像センサとを有し、
前記カバー部の搬送面の少なくとも一部を前記搬送路の搬送面よりも低くし、前記カバー部に付着した汚れを除去する汚れ除去部を設けたことを特徴とする画像取得装置。
【請求項2】
前記汚れ除去部は、前記カバー部の搬送面に対して斜め方向から、前記カバー部の搬送面が前記搬送路の搬送面より低くなった部分に対して空気を吹き付けることを特徴とする請求項1に記載の画像取得装置。
【請求項3】
硬貨の搬送方向に沿って、硬貨を搬送するための搬送ベルトが設けられており、
前記汚れ除去部は、前記搬送ベルトを跨いで複数の空気吹き出し口を備える、請求項2に記載の画像取得装置。
【請求項4】
前記カバー部の搬送面の一部を前記搬送路の搬送面よりも低くしたことを特徴とする請求項1又は2に記載の画像取得装置。
【請求項5】
前記カバー部の搬送面の一部が凹形状部となっていることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像取得装置。
【請求項6】
前記硬貨画像センサはラインセンサであり、
前記凹形状部は、前記ラインセンサの主走査方向に沿って延びていることを特徴とする請求項5に記載の画像取得装置。
【請求項7】
前記画像取得部は、光を集光する集光レンズと、前記集光レンズによって集光された光を受光する受光センサと、を備えており、前記凹形状部は、前記集光レンズの光軸上に位置することを特徴とする請求項6に記載の画像取得装置。
【請求項8】
前記汚れ除去部は、前記凹形状部の延びる方向に沿って、前記凹形状部に空気を吹き付けることを特徴とする請求項6に記載の画像取得装置。
【請求項9】
前記カバー部上に、硬貨の搬送方向に沿って一対の搬送ガイドが設けられており、
前記凹形状部の延びる方向に沿って前記凹形状部に空気を吹き付ける際に上流側となる側の搬送ガイドには、前記凹形状部の位置に対応した箇所に空気流路が設けられていることを特徴とする、請求項8に記載の画像取得装置。
【請求項10】
前記搬送ガイドは、前記カバー部の前記搬送面に対して斜め方向に傾斜した向きに延びる、前記空気流路となる溝を備えることを特徴とする、請求項9に記載の画像取得装置。
【請求項11】
前記凹形状部の搬送方向に沿った幅は、搬送可能な最小直径の硬貨の直径よりも小さいことを特徴とする、請求項5に記載の画像取得装置。
【請求項12】
前記凹形状部の搬送方向に沿った幅は、搬送可能な最小直径の硬貨の半径よりも小さいことを特徴とする、請求項5に記載の画像取得装置。
【請求項13】
硬貨の搬送方向に沿って、硬貨を搬送するための搬送ベルトが設けられており、
前記搬送ベルトを硬貨に押し付ける押圧部が、前記凹形状部に対して搬送方向の上流側に設けられており、かつ、前記押圧部の下流側端部と前記凹形状部の下流側端部との、前記搬送方向に沿った距離が、搬送可能な最小直径の硬貨の直径よりも小さいことを特徴とする、請求項5に記載の画像取得装置。
【請求項14】
請求項1に記載の画像取得装置を備えることを特徴とする、硬貨識別装置。
【請求項15】
請求項1に記載の画像取得装置を備えることを特徴とする、硬貨検査装置。
【請求項16】
請求項14に記載の硬貨識別装置及び/又は請求項15に記載の硬貨検査装置を備えることを特徴とする、硬貨処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像取得装置、硬貨識別装置、硬貨検査装置及び硬貨処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、搬送される硬貨に対して光源から光を照射し、その反射光を受光することによって画像を取得する硬貨画像センサを備える画像取得装置があり、当該硬貨取得装置で得られた硬貨画像と予め登録された硬貨画像のテンプレートとの比較を行い、比較した結果に基づき、硬貨の識別及び検査を行う硬貨識別装置及び硬貨検査装置が知られている。硬貨の識別及び検査の例としては、例えば、金種判定や真偽判定、正損判定、製造された硬貨の検査(良品、不良品の検査)が挙げられる。
【0003】
硬貨を搬送する際には、搬送面とベルトで硬貨を挟んで搬送する押圧搬送方式が採用されているが、硬貨の表面をベルトで押圧して搬送する場合、押し付けられた硬貨と搬送面とが擦れ合うため、特に柔らかい材質である1円硬貨のようなアルミニウムで構成された硬貨は硬貨が研がれた状態となる。すると、搬送路や硬貨画像センサ上に硬貨粉が発生し、硬貨を搬送する際や硬貨画像センサで硬貨画像を取得する際に画像の不具合等を生じさせるおそれがある。
そのような硬貨粉に起因する不具合を解消するため、様々な解決策が講じられてきた。
【0004】
特許文献1には、搬送された硬貨に対して、空気吹き付け手段を用いて、硬貨粉を除去する発明が開示されている。
【0005】
特許文献2には、硬貨が搬送される搬送面にローラーを配置し、配置されたローラーにより搬送される硬貨を持ち上げることで押圧搬送時に発生する摩擦を軽減し、硬貨粉の発生を未然に防止する発明が開示されている。
【0006】
特許文献3には、搬送される硬貨を上下のブラシ付きローラーで挟んで硬貨を洗浄する発明が開示されており、硬貨を洗浄することにより硬貨粉の除去を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許4937009号公報
【特許文献2】特許3423646号公報
【特許文献3】特許6345161号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1では、空気吹き付け手段により、硬貨粉を搬送面上から一時的に除去することが可能であるが、空気により舞い上げられた硬貨粉が、硬貨画像を取得する画像取得部上に滞留する可能性がある。
【0009】
特許文献2では、ローラーを搬送路上に配置することで、一時的に摩擦を軽減することは可能であるが、ローラーが配置されていない搬送路上や画像取得部上で再び硬貨粉が発生する可能性がある。
【0010】
特許文献3では、洗浄用のローラーを配置することで装置の大型化やコストアップが懸念される。
【0011】
本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、硬貨が搬送面と擦れ合うことに生じた硬貨粉等の汚れが画像取得部上に滞留することにより取得画像に不具合が生じることが防止され、硬貨画像を精度よく取得することができる画像取得装置、並びに、当該画像取得装置を備える硬貨識別装置、硬貨検査装置及び硬貨処理装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、(1)本開示の画像取得装置は、硬貨を搬送する搬送路と、前記硬貨の一方の硬貨面に対して光を照射する発光部と、前記硬貨面より反射された光を受光し硬貨画像を取得する画像取得部と、前記発光部と前記画像取得部を収容する筐体部と、前記筐体部の開口部を覆い、前記硬貨の搬送面を有するカバー部とを備えた硬貨画像センサとを有し、前記カバー部の搬送面の少なくとも一部を前記搬送路の搬送面よりも低くし、前記カバー部に付着した汚れを除去する汚れ除去部を設けたことを特徴とする。
【0013】
(2)上記(1)に記載の画像取得装置において、前記汚れ除去部は、前記カバー部の搬送面に対して斜め方向から、前記カバー部の搬送面が前記搬送路の搬送面より低くなった部分に対して空気を吹き付けてもよい。
【0014】
(3)上記(1)又は(2)に記載の画像取得装置においては、硬貨の搬送方向に沿って、硬貨を搬送するための搬送ベルトが設けられており、前記汚れ除去部は、前記搬送ベルトを跨いで複数の空気吹き出し口を備えてもよい。
【0015】
(4)上記(1)~(3)のいずれかに記載の画像取得装置において、前記カバー部の搬送面の一部を前記搬送路の搬送面よりも低くしてもよい。
【0016】
(5)上記(1)~(4)のいずれかに記載の画像取得装置において、前記カバー部の搬送面の一部が凹形状部となっていてもよい。
【0017】
(6)上記(5)に記載の画像取得装置において、前記硬貨画像センサはラインセンサであり、前記凹形状部は、前記ラインセンサの主走査方向に沿って延びていてもよい。
【0018】
(7)上記(6)に記載の画像取得装置において、前記画像取得部は、光を集光する集光レンズと、前記集光レンズによって集光された光を受光する受光センサと、を備えており、前記凹形状部は、前記集光レンズの光軸上に位置していてもよい。
【0019】
(8)上記(5)~(7)のいずれかに記載の画像取得装置において、前記汚れ除去部は、前記凹形状部の延びる方向に沿って、前記凹形状部に空気を吹き付けてもよい。
【0020】
(9)上記(8)に記載の画像取得装置において、前記カバー部上に、硬貨の搬送方向に沿って一対の搬送ガイドが設けられており、前記凹形状部の延びる方向に沿って前記凹形状部に空気を吹き付ける際に上流側となる側の搬送ガイドには、前記凹形状部の位置に対応した箇所に空気流路が設けられていてもよい。
【0021】
(10)上記(9)に記載の画像取得装置において、前記搬送ガイドは、前記カバー部の前記搬送面に対して斜め方向に傾斜した向きに延びる、前記空気流路となる溝を備えていてもよい。
【0022】
(11)上記(5)~(10)のいずれかに記載の画像取得装置において、前記凹形状部の搬送方向に沿った幅は、搬送可能な最小直径の硬貨の直径よりも小さくてもよい。
【0023】
(12)上記(5)~(11)のいずれかに記載の画像取得装置において、前記凹形状部の搬送方向に沿った幅は、搬送可能な最小直径の硬貨の半径よりも小さくてもよい。
【0024】
(13)上記(5)~(12)のいずれかに記載の画像取得装置において、硬貨の搬送方向に沿って、硬貨を搬送するための搬送ベルトが設けられており、前記搬送ベルトを硬貨に押し付ける押圧部が、前記凹形状部に対して搬送方向の上流側に設けられており、かつ、前記押圧部の下流側端部と前記凹形状部の下流側端部との、前記搬送方向に沿った距離が、搬送可能な最小直径の硬貨の直径よりも小さくてもよい。
【0025】
(14)本開示の硬貨識別装置は、上記(1)~(13)のいずれかに記載の画像取得装置を備える。
【0026】
(15)本開示の硬貨検査装置は、上記(1)~(13)のいずれかに記載の画像取得装置を備える。
【0027】
(16)本開示の硬貨処理装置は、上記(14)に記載の硬貨識別装置及び/又は上記(15)に記載の硬貨検査装置を備える。
【発明の効果】
【0028】
本開示によれば、硬貨が搬送面と擦れ合うことに生じた硬貨粉等の汚れが画像取得部上に滞留することにより取得画像に不具合が生じることが防止され、硬貨画像を精度よく取得することができる、画像取得装置、並びに、当該画像取得装置を備える硬貨識別装置、硬貨検査装置及び硬貨処理装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】
図1は、本実施形態に係る画像取得装置の構成の一例を説明する斜視模式図である。
【
図2】
図2は、本実施形態に係る硬貨画像センサの一例を模式的に示す斜視図である。
【
図3】
図3は、画像取得装置の一例を模式的に示す断面図である。
【
図4】
図4は、汚れ除去部の構成の一例を模式的に示す一部分解斜視模式図である。
【
図5】
図5は、カバー部の搬送面と汚れ除去部から吹き付けられる風の向きを説明する断面図である。
【
図6】
図6は、凹形状部の断面形状の一例を模式的に示す拡大断面図である。
【
図7】
図7は、硬貨画像センサの一例を説明する斜視分解模式図である。
【
図8】
図8は、本実施形態に係る画像取得装置の構成の一例を説明する一部分解斜視模式図である。
【
図9】
図9は、本実施形態に係る画像取得装置の構成の一例を説明する斜視模式図である。
【
図10】
図10は、押圧部、搬送ベルト、凹形状部及び硬貨の位置関係の一例を模式的に示す断面図である。
【
図11】
図11は、本実施形態に係る画像取得装置の構成の一例を説明する一部分解斜視模式図である。
【
図12】
図12は、空気流路として搬送ガイドに貫通孔を設けた画像取得装置の構成の一例を説明する一部分解斜視模式図である。
【
図13】
図13は、画像取得装置の別の一例を模式的に示す断面図である。
【
図14】
図14は、画像取得装置のさらに別の一例を模式的に示す断面図である。
【
図15】
図15は、硬貨処理装置の一例を模式的に示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本開示に係る画像取得装置、硬貨識別装置、硬貨検査装置及び硬貨処理装置(以下、これらをまとめて画像取得装置等ともいう)の実施形態を、図面を参照しながら説明する。以下においては、貨幣としての硬貨を対象とする画像取得装置等を例として、本開示を説明するが、本開示に係る画像取得装置等の対象となる硬貨には、貨幣としての硬貨に加えて、遊技機で使用されるコインも含まれる。また、貨幣としての硬貨を製造する過程で生じる、金属板を打ち抜いた後の硬貨の形状の板である、「円形(えんぎょう)」と呼ばれる金属板も、本開示に係る画像取得装置等の対象としての硬貨に含まれる。また、バイカラークラッド貨の一部であるコア部分のみも本開示に係る画像取得装置等の対象としての硬貨に含まれる。また、貨幣としての硬貨、遊技機で使用されるコイン、円形、コア部分等の、貨幣としての硬貨と類似する形状の物体をまとめて、硬貨状物体と呼称してもよく、本開示に係る画像取得装置等の対象となる硬貨を硬貨状物体と呼称してもよい。
なお、以下の説明は、画像取得装置等の一例である。
また、本開示に係る画像取得装置等の効果は硬貨粉が生じやすい硬貨を対象とする場合に特に有効に発揮される。そのような硬貨の例としてはアルミニウム製の硬貨が挙げられ、日本国の1円硬貨が例示される。
【0031】
本開示に係る画像取得装置を備える硬貨識別装置及び硬貨検査装置が行う識別の例としては、硬貨の金種判定、真偽判定、正損判定、製造された硬貨の検査(良品、不良品の検査)等が挙げられる。
【0032】
なお、以下の説明において、同一又は同様の機能を有する構成には同一の符号を異なる実施形態及び図面間で共通して適宜用い、その構成についての繰り返しの説明は適宜省略する。また、構造を説明する図面には、互いに直交するXYZ座標系を適宜示している。
【0033】
(実施形態1)
図1を用いて、本実施形態に係る画像取得装置の構成について説明する。
図1は、本実施形態に係る画像取得装置の構成の一例を説明する斜視模式図である。
図1に示す画像取得装置1は、硬貨画像センサ10を備えている。画像取得装置1は、硬貨を搬送する搬送路30を備えている。硬貨の搬送方向は
図1のX方向であってもよい。
搬送路30は、硬貨画像センサ10に対して上流側に位置する搬送路40、硬貨画像センサ10に対して下流側に位置する搬送路50を含んでもよい。
搬送路40は搬送面45を、搬送路50は搬送面55をそれぞれ備えていてもよく、硬貨画像センサ10は搬送面15を備えていてもよい。
搬送路40の搬送面45及び搬送路50の搬送面55は板金やセラミック(ジルコニア等)で構成されていてもよく、板金で構成される搬送面には、硬貨による摩耗を防止するための表面処理が施されていてもよい。
硬貨は搬送面45、搬送面15、搬送面55の順に上流側から下流側(
図1のX方向)に向かって搬送されてもよい。搬送面45、搬送面15、搬送面55はいずれも
図1のXY平面にあってもよい。
【0034】
画像取得装置1は、汚れ除去部(クリーナー)20を備えている。汚れ除去部20は、ファン22からの空気がダクト23を通じて吹き出される空気吹き出し口21を備え、空気を吹き付ける装置(ブロワー)であってもよい。汚れ除去部の詳細については後述する。
【0035】
図2は、本実施形態に係る硬貨画像センサの一例を模式的に示す斜視図である。
図2に示す硬貨画像センサ10は、硬貨の一方の硬貨面に対して光を照射する発光部(光源)と、硬貨面より反射された光を受光し硬貨画像を取得する画像取得部(イメージャー)と、発光部と画像取得部を収容する筐体部(ケース)13と、筐体部13の開口部13bを覆い、硬貨の搬送面15を有するカバー部(カバー)14とを備えている。カバー部14の搬送面15の一部が凹形状部16となっていてもよい。
筐体部はその上面に開口部を有する略直方体形状であってもよい。
【0036】
図3は、画像取得装置の一例を模式的に示す断面図である。
図3には、硬貨画像センサ10の発光部11及び画像取得部12を示している。
発光部11から硬貨Cの硬貨面に対して光が照射され、硬貨面から反射された光を画像取得部12で受光することで硬貨画像が取得される。
発光部11と画像取得部12は筐体部13に収容されていてもよく、
図3に示す断面図における筐体部13の上面の全体が開口部13bとなっており、開口部13bはカバー部14で覆われていてもよい。
また、発光部11と画像取得部12がカバー部14で覆われているともいえる。
【0037】
カバー部14は、光を透過させて硬貨画像を得るために、光透過性の高い透明な材料であってもよく、サファイアガラス等のガラス(カバーガラス)であってもよい。
【0038】
本開示の画像取得装置では、カバー部の搬送面の少なくとも一部を搬送路の搬送面よりも低くしている。
この構成であると、カバー部の搬送面であって搬送路の搬送面よりも低い部分においては硬貨面が接触しないため、当該低い部分には硬貨が搬送面と擦れ合うことによる汚れが付着せず、摩擦による傷が生じることが防止される。
そして、カバー部の搬送面が搬送路の搬送面より低い部分を光が通過するようにして画像取得をすることにより、硬貨画像を精度よく取得できる画像取得装置とすることができる。
なお、本明細書において、搬送面とは、搬送路上及びカバー部上を硬貨が搬送される経路における搬送路の表面及びカバー部の表面を指しており、硬貨の硬貨面が接触する表面及び硬貨の硬貨面が接触しない表面のいずれも含む。
また、搬送面の位置が「低い」「高い」という用語については、搬送される硬貨の硬貨面に近い側の面を「高い」面とし、搬送される硬貨の硬貨面から遠い側の面を「低い」面とする。典型的には、搬送面であって硬貨面と接する面が「高い」面であって、搬送面であって硬貨面と接しない面が「低い」面である。
【0039】
図3には、カバー部14の搬送面15の一部(参照符号16aで示す表面)が搬送路30の搬送面(搬送面45及び搬送面55)よりも低くなっていることを示している。
図3に示すカバー部は、搬送面が高い部分と低い部分が一体化された部材であり、搬送面が高い部材と搬送面が低い部材を組み合わせたものではない。
図3に示す形態ではカバー部14の搬送面15の一部が凹形状部16となっており、凹形状部16の底面16aは搬送路30の搬送面である搬送面45及び搬送面55よりも低くなっている。
凹形状部16の底面16aは搬送路30の搬送面と平行な平坦面であってもよい。
【0040】
図2に示す凹形状部16は、搬送方向(X方向)と直交する方向(Y方向)に伸びた、所定の幅を有する溝である。
凹形状部16の幅は、搬送方向(X方向)に沿った幅として定められ、その幅が搬送可能な最小直径の硬貨の直径より小さくてもよい。また、搬送可能な最小直径の硬貨の半径より小さくてもよい。
凹形状部の幅が大きすぎると搬送される硬貨がその先端(下流側)で凹形状部に落ちて引っ掛かってしまい搬送不良を生じる可能性があるためである。
本開示の画像取得装置は直径の異なる複数種類の硬貨を搬送することができるが、画像取得装置の構成としては、画像取得装置において搬送可能な最小直径の硬貨の直径(半径)を基準として凹形状部の幅を定めるとよい。搬送可能な最小直径の硬貨よりも大きな硬貨においては、凹形状部の幅を定める効果は同様に発揮される。
【0041】
凹形状部の深さは0.05~0.20mmであってもよい。
【0042】
図4は、汚れ除去部の構成の一例を模式的に示す一部分解斜視模式図である。
図4では、汚れ除去部20について搬送方向上流側の部材のみの分解図として示している。
図4に示す汚れ除去部20は、空気吹き出し口21を4つ備えている。なお、空気吹き出し口の数は4つに限定されない。
空気吹き出し口21から風を吹き出すことで、カバー部14の搬送面15に付着した硬貨粉等の汚れを除去することができる。
【0043】
汚れ除去部においては、カバー部の搬送面に対して斜め方向から、カバー部の搬送面が搬送路の搬送面より低くなった部分に対して空気を吹き付けてもよい。
また、汚れ除去部は、凹形状部の延びる方向に沿って、凹形状部に空気を吹き付けてもよい。
図4に示す形態では、カバー部14の搬送面15が低くなった部分である凹形状部16が延びる方向に沿って、汚れ除去部20には4つの空気吹き出し口21が設けられており、それぞれの空気吹き出し口21から、凹形状部16の延びる方向に沿って空気が流れるように凹形状部16に空気を吹き付けることができる。
空気吹き出し口21から吹きつけられる空気は、
図4の右上から左下に向かって、凹形状部16の延びる方向に沿って流れる。凹形状部の延びる方向に沿って空気の流れる方向について、
図4の右上が上流側、左下が下流側になる。
【0044】
カバー部において凹形状部のように搬送面より低くなっている部位が存在すると、硬貨粉等の汚れが凹形状部等に溜まりやすくなり、取得画像に不具合が生じるおそれがある。この場合に凹形状部に空気を吹き付けることによって、凹形状部に硬貨粉が溜まることを防止し、取得画像に不具合が生じることを防止することができる。
本開示の画像取得装置における汚れ除去部は、カバー部に付着した汚れを除去するが、カバー部の搬送面が搬送路の搬送面より低くなった部分の汚れを除去してもよい。
【0045】
図5は、カバー部の搬送面と汚れ除去部から吹き付けられる風の向きを説明する断面図である。
図5は
図4のA-A線断面図でもある。
カバー部の搬送面(
図5における凹形状部16の底面16a)に対して風の向きが斜め方向となるように空気吹き出し口21の形状(角度)が定められている。カバー部の搬送面に対して汚れ除去部から吹き付けられる風の角度(
図5でθで示す角度)が30~60°となっていてもよく、40~50°となっていてもよい。
図5では当該角度を45°として図示している。
なお、風の向き(角度)に関し、カバー部の搬送面に対して空気が平行に吹き付けられる場合の角度を0°、カバー部の搬送面に対して空気が直上から(垂直に)吹き付けられる場合の角度を90°とする。
【0046】
図6は、凹形状部の断面形状の一例を模式的に示す拡大断面図である。
凹形状部は、1枚の板(ガラス板等)の一方の主面に溝加工を施すことによって形成された部分であってもよい。
凹形状部16が設けられる場合、その断面形状はその角部が面取りされた形状であってもよい。ここでいう角部には2通りあり、凹形状部16の断面形状を底面16aと2つの側面16bとしたときに、底面16aと側面16bのなす角部16cと、側面16bとカバー部の表面14aのなす角部16dを意味する。角部16cはいわゆる隅部である。
この角部16cと角部16dのいずれか、又は両方が面取りされていてもよい。
角部16cが面取りされていると硬貨粉等の汚れが角部に溜まりにくく、汚れ除去部から吹き付けられる空気による汚れの除去が容易になる。
角部16dが面取りされていると硬貨と凹形状部の角部が擦れることによる硬貨粉の発生が抑制され、カバー部に傷がつきにくくなる。
面取りはC面取りであってもR面取りであってもよい。
【0047】
(実施形態2)
本開示に係る画像取得装置が備える硬貨画像センサは、ラインセンサであってもよく、凹形状部は、ラインセンサの主走査方向に沿って延びていてもよい。
また、画像取得部は、光を集光する集光レンズと、前記集光レンズによって集光された光を受光する受光センサと、を備えており、凹形状部は、集光レンズの光軸上に位置していてもよい。
以下、上記の実施形態について説明する。
【0048】
図7は、硬貨画像センサの一例を説明する斜視分解模式図である。
図7に示す硬貨画像センサ10は、2つの発光部11a、11bと、画像取得部12を備えていてもよく、画像取得部12は、光を集光する集光レンズ12aと、集光レンズ12aによって集光された光を受光する受光センサ12bを備えていてもよい。
発光部11a、11bは、それぞれ、棒線状の導光体11cと、導光体11cの各端面に対向し、複数波長の光をそれぞれ照射する複数種の発光素子11dとを備えていてもよく、硬貨の一方の硬貨面に、複数波長の光を順次照射する構成であってもよい。各導光体11cの両端部は、それぞれホルダ11eに形成された孔に挿入されることによってホルダ11eに保持されていてもよく、各ホルダ11eに隣接して発光素子11dが実装された基板11fが配置されていてもよい。
【0049】
集光レンズ12aは、例えば、硬貨画像センサの主走査方向(Y方向)に複数のロッドレンズが配列されたロッドレンズアレイから構成されていてもよく、発光部11a及び発光部11bから出射され、硬貨の表面で反射された光を集光する構成であってもよい。これらの部材は、一方の面が開口した箱状の筐体部13内に組み込まれていてもよく、筐体部13の開口が板状のカバー部14で覆われている。
【0050】
受光センサ12bは、例えば、硬貨画像センサの主走査方向(Y方向)に複数の受光素子(受光画素)が配列されたリニアイメージセンサを備えていてもよく、各受光素子は、発光部11a及び発光部11bが照射する複数波長の光の波長帯域に感度をもつ構成であってもよい。
硬貨画像センサが備える受光センサが、硬貨画像センサの主走査方向(Y方向)に複数の受光素子(受光画素)が配列されたリニアイメージセンサであると、硬貨画像センサはラインセンサであるといえる。
【0051】
各受光素子には、例えば、少なくとも可視領域から波長1100nmの赤外領域まで感度をもつ、シリコン(Si)フォトダイオードを用いることができる。各受光素子は、筐体部13の背面側に取り付けられる基板12c上に実装されていてもよく、集光レンズ12aによって集光された光を受光して、入射光量に応じた電気信号に変換して基板12cに出力するようになっていてもよい。各受光素子は、発光部11a及び発光部11bによる各波長の光の照射タイミングに合わせて当該波長の光を受光するようになっていてもよい。基板12cは、例えば、受光素子を駆動するための駆動回路と、受光素子からの信号を処理して出力するための信号処理回路とを含んでいてもよい。基板12cは、受光センサ12b(各受光素子)の出力信号を増幅処理した後、デジタルデータにA/D変換した上で出力するようになっていてもよい。
筐体部13には空気の流通用の通気孔13aが複数形成されていてもよい。空気が流通することでカバー部14の結露を防止することができる。
【0052】
カバー部14の搬送面15の一部である凹形状部16は、ラインセンサの主走査方向(Y方向)に沿って延びていてもよい。そして、凹形状部16は集光レンズ12aの光軸上に位置していてもよい。
凹形状部16は、その表面に硬貨面が接触せず、摩擦による傷が生じにくく、油汚れが付着しにくい部位である。そのため、硬貨を多数搬送させたとしても凹形状部は透明な状態が維持されて光が透過しやすい部位となる。凹形状部を集光レンズの光軸上に位置させることで、ラインセンサによる硬貨画像の取得を精度良く行うことができる。
【0053】
(実施形態3)
本開示に係る画像取得装置では、硬貨の搬送方向に沿って、硬貨を搬送するための搬送ベルトが設けられていてもよい。
また、搬送ベルトが設けられている場合に、汚れ除去部は、搬送ベルトを跨いで複数の空気吹き出し口を備えていてもよい。
以下、上記の実施形態について説明する。
【0054】
図8は、本実施形態に係る画像取得装置の構成の一例を説明する一部分解斜視模式図である。
図8には搬送ベルト60を示している。搬送ベルト60は、搬送面15の近傍において搬送方向(X方向)の上流側から下流側に動くようになっていてもよい。搬送ベルト60が硬貨に接触することにより硬貨を搬送方向に沿って搬送する。
【0055】
汚れ除去部が空気吹き出し口を備える場合、空気吹き出し口の位置が搬送ベルトと干渉しないようにする必要がある。
そのため、
図8に示す形態では、汚れ除去部20は搬送ベルト60を跨いで複数の空気吹き出し口21を備えている。汚れ除去部20は搬送ベルト60を跨いでおり、搬送方向(X方向)と直交する方向(Y方向)に沿って、搬送ベルト60の一方側に1つ以上、例えば2つの空気吹き出し口21が設けられ、搬送ベルト60の他方側に1つ以上、例えば2つの空気吹き出し口21が設けられている。
この空気吹き出し口21は、それぞれカバー部14の搬送面15に対して斜め方向から、凹形状部16の延びる方向に沿って凹形状部16に空気を吹き付けるようになっている。
また、搬送ベルトの一方側(
図8の手前側)のみに空気吹き出し口が設けられていてもよく、搬送ベルトの他方側(
図8の奥側)のみに空気吹き出し口が設けられていてもよい。また、搬送ベルトの一方側と他方側での空気吹き出し口の数が異なっていても、同じであってもよい。
【0056】
(実施形態4)
本開示に係る画像取得装置では、硬貨の搬送方向に沿って、硬貨を搬送するための搬送ベルトが設けられていてもよく、搬送ベルトを硬貨に押し付ける押圧部が、凹形状部に対して搬送方向の上流側に設けられていてもよい。そして、押圧部の下流側端部と凹形状部の下流側端部との、搬送方向に沿った距離が、搬送可能な最小直径の硬貨の直径よりも小さくてもよい。
以下、上記の実施形態について説明する。
【0057】
図9は、本実施形態に係る画像取得装置の構成の一例を説明する斜視模式図である。
図9には、
図8に示した搬送ベルト60と、搬送ベルト60を駆動させるプーリーである駆動部72及び搬送ベルト60を硬貨に押し付けるプーリーである押圧部71を示している。駆動部72の駆動により搬送ベルト60が周回してもよい。搬送ベルト60はその周回経路として搬送面の近傍において搬送方向(X方向)の上流側から下流側に動き、搬送面から遠い位置において搬送方向(X方向)の下流側から上流側に動くようになっていてもよい。
図9において、押圧部71は凹形状部16に対して搬送方向の上流側及び下流側にそれぞれ設けられていてもよい。特に搬送方向の上流側に押圧部71が設けられていてもよい。
また、
図9には搬送ベルト60を跨ぐ複数の空気吹き出し口21を備える汚れ除去部20を示している。
【0058】
図10は、押圧部、搬送ベルト、凹形状部及び硬貨の位置関係の一例を模式的に示す断面図である。
図10には、凹形状部16に対して搬送方向の上流側に設けられた押圧部71aの下流側端部71bと、凹形状部16の下流側端部16eとの、搬送方向に沿った距離Xを両矢印で示している。また、
図10には硬貨の直径Rを両矢印で示している。
【0059】
本実施形態では、押圧部の下流側端部と凹形状部の下流側端部との、搬送方向に沿った距離Xが、硬貨の直径Rよりも小さくなっている。
押圧部71aにより搬送ベルト60が硬貨に押し付けられる。搬送ベルトが硬貨に押し付けられていると硬貨の搬送が安定し、硬貨が凹形状部に引っ掛かることが防止される。押圧部による搬送ベルトの硬貨への押し付けは、押圧部の下端で最も強くなるが、搬送ベルトがたわむために押圧部の下流側端部(上記両矢印の距離を定める際の一方端)においても搬送ベルトが硬貨へ押圧する力が加わっていると考えられる。すなわち、少なくとも押圧部71aの直径の範囲内(押圧部71a全体を搬送面上に垂直に投影した範囲)内において、搬送ベルトが硬貨へ押圧する力が加わっていると考えられる。
【0060】
上記のX<Rの関係が成り立っている場合、硬貨の下流側端部が凹形状部の下流側端部を通過する時点で、硬貨にはまだ押圧部の下流側端部において搬送ベルトが押圧する力が加わっていることになる。そのため、硬貨の下流側端部が凹形状部に落ち込んでしまうこと、及び、硬貨が凹形状部に引っ掛かってしまうことが防止される。その結果、凹形状部を設けた場合であっても硬貨の安定した搬送が達成される。
【0061】
本開示の画像取得装置は直径の異なる複数種類の硬貨を搬送することができるが、画像取得装置としては搬送可能な最小直径の硬貨の直径を硬貨の直径Rとして、上記の関係が成り立てばよい。搬送可能な最小直径の硬貨の直径よりもその直径が大きい硬貨を搬送する場合においても、硬貨の安定した搬送は達成される。
【0062】
(実施形態5)
本開示に係る画像取得装置では、カバー部上に、硬貨の搬送方向に沿って一対の搬送ガイドが設けられていてもよく、凹形状部の延びる方向に沿って凹形状部に空気を吹き付ける際に上流側となる側の搬送ガイドには、凹形状部の位置に対応した箇所に空気流路が設けられていてもよい。
また、搬送ガイドは、カバー部の搬送面に対して斜め方向に傾斜した向きに延びる、空気流路となる溝を備えていてもよい。
以下、上記の実施形態について説明する。
【0063】
図11は、本実施形態に係る画像取得装置の構成の一例を説明する一部分解斜視模式図である。
図11には、搬送ガイド80a及び搬送ガイド80bを示している。搬送ガイド80a及び搬送ガイド80bは硬貨の搬送方向に沿って設けられた一対の部材であってもよく、硬貨が搬送ガイド80a及び搬送ガイド80bの間を搬送方向に沿って搬送されてもよい。搬送ガイドが設けられることによって、搬送方向(X方向)と直交する方向(Y方向)に対する硬貨の位置ずれを防止することができる。
搬送ガイド80a及び搬送ガイド80bは、搬送路の搬送面とカバー部の搬送面の上に配置されていてもよく、搬送ガイド80a及び搬送ガイド80bと凹形状部16の底面16aの間には凹形状部16の深さの分だけ隙間が空いていてもよい。
なお、
図11には搬送ベルトを示していないが、画像取得装置には
図8に示す形態と同様に搬送ベルトが設けられていてもよい。
【0064】
搬送ガイド80a及び搬送ガイド80bの間隔は搬送する硬貨の幅(直径)によって変更することができる。図示している画像取得装置では搬送ガイド80aの位置が固定で、搬送ガイド80bの位置が可変となっていて、搬送する硬貨の種類の変更に伴い搬送ガイド80bの位置を変更して、搬送ガイド80a及び搬送ガイド80bの間隔を調整することができる。
【0065】
汚れ除去部20は、カバー部14の搬送面15に対して斜め方向から、凹形状部16の延びる方向に沿って凹形状部16に空気を吹き付けるようになっていてもよい。汚れ除去部20からの空気吹き付けにおいては、搬送ガイド80aが上流側、搬送ガイド80bが下流側となる。
上流側となる搬送ガイド80aには、凹形状部16の位置に対応した箇所(搬送方向(X方向)において同じ箇所)に空気流路となる溝81が設けられていてもよい。
溝81は空気の吹き付け方向と同様にカバー部14の搬送面15に対して斜め方向に傾斜した形状となっていてもよい。
溝81の表面に風が流れるように溝81の位置と空気吹き出し口21の位置が定められていてもよい。また、溝81は搬送ガイド80aの厚さ方向の途中までの位置に設けられていて、溝81が設けられている場所の搬送面側(凹形状部16側)は搬送ガイド80aが垂直面となっているのでこの部分により硬貨の位置ずれを防止するようになっている。
この位置に溝81が設けられていると、搬送ガイド80aと凹形状部16とでなすL字型の隅の部分に硬貨粉等の汚れが溜まることを防止することができる。
【0066】
また、空気流路の変形例として、溝の他に貫通孔を設ける態様も考えられる。
図12は、空気流路として搬送ガイドに貫通孔を設けた画像取得装置の構成の一例を説明する一部分解斜視模式図である。
図12では、搬送ガイド80aの凹形状部16の位置に対応した箇所に空気流路となる貫通孔82が設けられていてもよい。貫通孔82は
図11に示す溝81と同様に、カバー部14の搬送面15に対して斜め方向に傾斜した向きに延びる貫通孔となっていてもよい。
この場合も、搬送ガイド80aと凹形状部16とでなすL字型の隅の部分に硬貨粉等の汚れが溜まることを防止することができる。
【0067】
空気流路が溝である場合、貫通孔である場合のいずれにおいても、空気流路の搬送方向(X方向)に沿った幅は凹形状部の搬送方向(X方向)に沿った幅と同じであってもよい。
また、空気流路が凹形状部の表面(搬送面)となす角度は、カバー部の搬送面に対して汚れ除去部から吹き付けられる風の角度と同じであってもよく、30~60°であってもよく、40~50°であってもよい。
図11及び
図12では当該角度を45°として図示している。
【0068】
なお、下流側の搬送ガイド80bと凹形状部16となすL字型の隅の部分には汚れは溜まりにくいので、空気流路は設けられていなくてもよい。
【0069】
(実施形態6)
本実施形態に係る画像取得装置では、カバー部の搬送面の全体が搬送路の搬送面より低くなっていてもよい。
図13は、画像取得装置の別の一例を模式的に示す断面図である。
図13に示す画像取得装置では、カバー部14が筐体部13の上面の全体を覆っておらず、カバー部14は筐体部13の上面の一部である開口部13bを覆っている。
そして、カバー部14の搬送面15の全体が搬送路30の搬送面(搬送面45及び搬送面55)よりも低くなっている。そのため、本開示の画像取得装置の効果が発揮される。
【0070】
カバー部14の搬送面15には凹形状部は設けられていないが、搬送面45及び搬送面55との関係では搬送面15が凹形状部になっているともいえる。
【0071】
カバー部14はサファイアガラス等の透明な部材であり光を透過させることができるが、カバー部14の上流側及び下流側の搬送路40及び搬送路50を構成する部材は不透明な部材であり光が透過できない。そのため、カバー部14を設ける位置は、発光部11から硬貨Cの硬貨面に対して光が照射され、硬貨面から反射された光を画像取得部12で受光するまでの光路となる位置に定めるようにする。
【0072】
図14は、画像取得装置のさらに別の一例を模式的に示す断面図である。
図14に示す画像取得装置では、カバー部14が筐体部13の上面の全体を覆っておらず、カバー部14が筐体部13の上面の一部である開口部13bを覆っている点は、
図13に示す画像取得装置と同じである。
【0073】
図14に示す画像取得装置では、筐体部13の上面に、カバー部14の他に通路部材90が設けられており、カバー部14と通路部材90を合わせて硬貨画像センサのユニットの表面が形成されている。通路部材90の表面は硬貨画像センサの上流側の搬送路40の搬送面45及び硬貨画像センサの下流側の搬送路50の搬送面55と合わせて搬送面を構成する。
【0074】
図14に示す画像取得装置でも、カバー部14の搬送面15の全体が搬送路30の搬送面(搬送面45及び搬送面55)よりも低くなっている。そのため、本開示の画像取得装置の効果が発揮される。
【0075】
カバー部14の搬送面15には凹形状部は設けられていないが、通路部材90の表面との関係では搬送面15が凹形状部になっているともいえる。
【0076】
通路部材90は不透明な部材で構成される。
カバー部14はサファイアガラス等の透明な部材であり光を透過させることができるが、カバー部14の上流側及び下流側の通路部材90は不透明な部材であり光が透過できない。そのため、カバー部14を設ける位置は、発光部11から硬貨Cの硬貨面に対して光が照射され、硬貨面から反射された光を画像取得部12で受光するまでの光路となる位置に定めるようにする。
【0077】
(実施形態7)
本開示の画像取得装置は、硬貨識別装置又は硬貨検査装置に使用することができる。また、硬貨識別装置及び/又は硬貨検査装置は硬貨処理装置に使用することができる。
以下には、本開示の画像取得装置を備える本開示の硬貨処理装置の例について説明する。
図15は、硬貨処理装置の一例を模式的に示す斜視図である。
図15に示す硬貨処理装置100は、画像取得装置1を備え、画像取得装置1の搬送路はその上流及び下流に繋がっている。
【0078】
硬貨処理装置100は、処理する硬貨を受け入れて1枚ずつ繰り出す繰出部111、この繰出部から1枚ずつ繰り出される硬貨を搬送する搬送路30、搬送路により搬送される硬貨の画像を取得する画像取得装置1を備える。
【0079】
また、硬貨処理装置は、画像取得装置で得られた硬貨画像に基づいて硬貨の識別及び検査を行う硬貨識別装置及び/又は硬貨検査装置を有する。
硬貨識別装置及び硬貨検査装置は、画像取得装置1を備え、硬貨処理装置100の一部を構成する装置であるが、
図15では図示していない。
硬貨識別装置及び硬貨検査装置は、画像取得装置1において取得した硬貨画像を使用して、硬貨の金種、真偽、正損(汚損)、良品/不良品等を識別又は検査するための識別部及び/又は検査部と記憶部を備えていてもよい。
記憶部は、処理対象の硬貨に関する硬貨情報を格納しており、硬貨の処理に伴い、画像取得装置1で撮像された硬貨画像(識別又は検査用画像)を格納するものである。
識別部は、硬貨情報と識別用画像とを対比することにより、硬貨の種類、真偽、正損(汚損)等を識別するものである。
検査部は、硬貨情報と検査用画像とを対比することにより、硬貨の良品/不良品等を検査するものである。
【0080】
識別部及び検査部の物理的な構成としては、例えば、各種の処理を実現するためのソフトウェアプログラム、当該ソフトウェアプログラムを実行するCPU(中央処理装置)、当該CPUによって制御される各種ハードウェア(例えばFPGA(Field Programmable Gate Array))等を含むものが挙げられる。各部の動作に必要なソフトウェアプログラムやデータの保存には、記憶部や、別途専用に設けられたRAMやROM等のメモリ、ハードディスク等が利用される。
【0081】
記憶部の物理的な構成としては、例えば、揮発性又は不揮発性のメモリやハードディスク等の記憶装置が挙げられる。記憶部は、硬貨識別装置又は硬貨検査装置で行われる処理に必要な各種のデータを記憶するために利用される。
【0082】
硬貨処理装置は硬貨識別装置及び硬貨検査装置を両方備えていてよく、一方の装置だけを備えていてもよい。また、一つの装置が硬貨の識別と検査の両方を行う装置であってもよい。
【0083】
硬貨処理装置100は、硬貨識別装置又は硬貨検査装置で識別又は検査された硬貨のうち所定の硬貨以外の硬貨を搬送路30から分岐する第1の分岐部114及び第2の分岐部115、並びに搬送路30から所定の硬貨を送出する送出部116を備えている。
【0084】
繰出部111は、投入された硬貨を受け入れ1枚ずつ搬送路30に繰り出す。
搬送路30は、硬貨を搬送する搬送ベルト60、搬送ベルト60を回転駆動する駆動部72、搬送ベルト60が搬送路30上の硬貨に接触するように搬送ベルト60を押圧する押圧部71を備えている。
【0085】
搬送路30は、第1の搬送路130a、及びこの第1の搬送路130aから略直角に方向転換して延びる第2の搬送路130bを備えている。
また、第1の搬送路130aには第1の搬送路130aに沿って配置される第1の搬送ベルト60aが設けられ、第2の搬送路130bには第2の搬送路130bに沿って配置される第2の搬送ベルト60bが設けられる。第1の搬送ベルト60a及び第2の搬送ベルト60bは、無端状で、例えば断面円形の丸ベルトが用いられている。
搬送路30には、搬送路30上の硬貨の搬送位置を検知する複数の位置検知センサが配置されている。
【0086】
第1の搬送路130aでは、搬送ガイド80aが延びる方向と第1の搬送ベルト60aの張設方向との相対関係から、第1の搬送路130a上の硬貨を搬送ガイド80aに片寄せしながら搬送する。また、第2の搬送路130bでは、搬送ガイド80bが延びる方向と第2の搬送ベルト60bの張設方向との相対関係から、第2の搬送路130b上の硬貨を搬送ガイド80bに片寄せしながら搬送する。
【0087】
磁気センサ141は、搬送路30を搬送される硬貨の材質を磁気的に検知する。磁気センサ141が配置される搬送面は、磁気センサ141による磁気的な検知を可能とするために例えばジルコニアなどの非磁性材料の識別面として形成されている。なお、例えばジルコニアなどの非磁性材料の識別面の上面には、硬貨による摩耗を防止するための表面処理を施すことができない。
【0088】
磁気センサ141の下流側に、本開示の画像取得装置1が配置され、搬送路30を搬送される硬貨画像を取得する。
【0089】
汚損センサ143は、硬貨の汚損具合を検知する。
【0090】
第1の分岐部114は、硬貨識別装置又は硬貨検査装置において処理対象外や識別不能等と判断されたリジェクト硬貨を分岐する。第1の分岐部114は、搬送路の底板に開口された分岐孔151、及び搬送ガイド80b側に配置された分岐ローラ152を有している。分岐孔151は、搬送ガイド80bに沿って搬送される硬貨の両側縁が搬送路の底板上に載った状態で通過可能に設けられている。分岐ローラ152は、偏心回転する。そして、分岐ローラ152が偏心回転して搬送路30外に退避していることにより、搬送ガイド80bに沿って搬送される硬貨の両側が底板上に載った状態で分岐孔151上を通過する。分岐ローラ152が偏心回転して搬送路30内に突出することにより、搬送ガイド80bに沿って搬送される硬貨を底板上から分岐孔151に落とし込んで分岐する。
【0091】
また、第2の分岐部115は、硬貨識別装置又は硬貨検査装置において例えば処理対象金種であるが硬貨面の刻印などに異常が検知されたと判断された異常硬貨を分岐する。第2の分岐部115は、搬送路の底板に開口された分岐孔156、及び分岐孔156に配置された分岐ローラ157を有している。分岐ローラ157は偏心回転する。そして、分岐ローラ157が偏心回転して分岐孔156内に位置することにより、搬送ガイド80aに沿って搬送される硬貨の両側が底板と分岐ローラ157とに載った状態で分岐孔156上を通過する。分岐ローラ157が偏心回転して分岐孔156の下方に移動することにより、搬送ガイド80aに沿って搬送される硬貨を底板上から分岐孔156に落とし込んで分岐する。
【0092】
また、送出部116は、底板に開口された送出口159、及び搬送路30の末端に搬送される硬貨を送出口159に導く送出ガイドを有している。
【0093】
送出部116の搬送方向上流側には、送出部116から送出される硬貨をカウントするカウントセンサ部161が配置されている。
【0094】
ここまでの実施形態で説明した画像取得装置が備える硬貨画像センサはエリアセンサであってもよい。
また、ここまでの実施形態で説明した画像取得装置が備える汚れ除去部は、空気吹き付け以外の機構により汚れを除去する機構であってもよく、回転ブラシ、刷毛等であってもよい。
【0095】
以上、図面を参照しながら各実施形態を説明したが、本開示は、上記実施形態に限定されるものではない。また、各実施形態の構成は、本開示の要旨を逸脱しない範囲において適宜組み合わされてもよいし、変更されてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0096】
以上のように、本開示は、硬貨画像を精度よく取得するのに有用な技術である。
【符号の説明】
【0097】
1 画像取得装置
10 硬貨画像センサ
11、11a、11b 発光部
11c 導光体
11d 発光素子
11e ホルダ
11f 基板
12 画像取得部
12a 集光レンズ
12b 受光センサ
12c 基板
13 筐体部
13a 通気孔
13b 筐体部の開口部
14 カバー部
14a カバー部の表面15 搬送面16 凹形状部
16a 凹形状部の底面
16b 凹形状部の側面
16c 凹形状部の底面と凹形状部の側面の角部
16d 凹形状部の側面とカバー部の表面の角部
16e 凹形状部の下流側端部
20 汚れ除去部
21 空気吹き出し口
22 ファン
23 ダクト
30 搬送路
40 硬貨画像センサの上流側の搬送路
45 搬送面
50 硬貨画像センサの下流側の搬送路
55 搬送面
60 搬送ベルト
71 押圧部
71a 凹形状部に対して搬送方向の上流側に設けられた押圧部
71b 押圧部の下流側端部
72 駆動部
80a、80b 搬送ガイド
81 溝(空気流路)
82 貫通孔(空気流路)
90 通路部材
100 硬貨処理装置
111 繰出部
114 第1の分岐部
115 第2の分岐部
116 送出部
130a 第1の搬送路
130b 第2の搬送路
141 磁気センサ
143 汚損センサ
151 分岐孔
152 分岐ローラ
156 分岐孔
157 分岐ローラ
159 送出口
161 カウントセンサ部