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2025-34019防曇材料、硬化体、積層体、光学物品、レンズ、及び眼鏡
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  • -防曇材料、硬化体、積層体、光学物品、レンズ、及び眼鏡 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025034019
(43)【公開日】2025-03-13
(54)【発明の名称】防曇材料、硬化体、積層体、光学物品、レンズ、及び眼鏡
(51)【国際特許分類】
   C08G 77/26 20060101AFI20250306BHJP
   G02B 1/12 20060101ALI20250306BHJP
   G02C 7/00 20060101ALI20250306BHJP
   C09K 3/18 20060101ALI20250306BHJP
   C07F 7/18 20060101ALI20250306BHJP
【FI】
C08G77/26
G02B1/12
G02C7/00
C09K3/18 104
C07F7/18 L
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023140137
(22)【出願日】2023-08-30
(71)【出願人】
【識別番号】000003182
【氏名又は名称】株式会社トクヤマ
(71)【出願人】
【識別番号】504136568
【氏名又は名称】国立大学法人広島大学
(74)【代理人】
【識別番号】100145713
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 竜太
(74)【代理人】
【識別番号】100136939
【弁理士】
【氏名又は名称】岸武 弘樹
(74)【代理人】
【識別番号】100087893
【弁理士】
【氏名又は名称】中馬 典嗣
(72)【発明者】
【氏名】大下 浄治
(72)【発明者】
【氏名】清水 康智
(72)【発明者】
【氏名】服部 有輝
(72)【発明者】
【氏名】森 力宏
【テーマコード(参考)】
2H006
2K009
4H020
4H049
4J246
【Fターム(参考)】
2H006BA03
2K009CC42
2K009EE02
4H020AA06
4H020AB02
4H020BA34
4H049VN01
4H049VP01
4H049VQ16
4H049VQ21
4H049VQ38
4H049VR21
4H049VR43
4H049VU25
4H049VU27
4J246AA03
4J246BA12X
4J246BB022
4J246BB02X
4J246CA53X
4J246CA76X
4J246CA79X
4J246FA061
4J246FA131
4J246FA421
4J246FA431
4J246FA441
4J246FA461
4J246FD09
4J246GB02
4J246GC03
4J246GC48
4J246GD08
4J246HA25
(57)【要約】
【課題】本発明の目的は、防曇性に優れ、かつ、高い硬度を有する硬化体を実現可能な防曇材料と、この硬化体、積層体、光学物品、レンズ、及び眼鏡とを提供することにある。
【解決手段】実施形態によると、防曇材料が提供される。防曇材料は、ウレア結合を有するアルコキシシランを含む。他の実施形態によると、硬化体が提供される。この硬化体は、実施形態に係る防曇材料の硬化体である。他の実施形態によると、積層体が提供される。積層体は、光学基材と防曇コート層とを含む。防曇コート層は、実施形態に係る硬化体を含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウレア結合を有するアルコキシシランを含む、防曇材料。
【請求項2】
前記アルコキシシランは、下記式(I)に表されるトリアルコキシシラン基を有する、請求項1に記載の防曇材料:
【化1】
前記式(I)において、
及びRは、それぞれ独立に、炭素数1以上10以下の直鎖状若しくは分岐状のアルキレン基であり、
は、炭素数1以上5以下の直鎖状アルキル基であり、
aは、0又は1である。
【請求項3】
前記アルコキシシランは、下記式(II)に表されるトリアルコキシシランを含む、請求項2に記載の防曇材料:
【化2】
前記式(II)において、
、R、R、及びaは、前記式(I)のものと同義であり、
及びRは、それぞれ独立に、炭素数1以上10以下の直鎖状若しくは分岐状のアルキレン基であり、
は、-Si(OR、又は、ヒドロキシ基であり、
bは、0又は1である。
【請求項4】
前記アルコキシシランは、下記式(III)に表されるトリアルコキシシランを含む、請求項2に記載の防曇材料:
【化3】
前記式(III)において、
Xは、前記式(I)に表されるトリアルコキシシラン基であり、複数あるXは、互いに同一の基であってもよく、異なる基であってもよく、
Yは、窒素、炭素数1以上10以下の直鎖状若しくは分岐状のアルキレン基、炭素数4以上10以下のシクロアルキレン基、又は、炭素数4以上8以下のアリーレン基であり、
は、炭素数1以上10以下の直鎖状若しくは分岐状のアルキレン基であり、Rが複数存在する場合、複数のRは、互いに同一の基であってもよく、異なる基であってもよく、
cは、0又は1であり、
dは、Yが窒素である場合には3であり、Yが窒素以外の基である場合には2である。
【請求項5】
前記アルコキシシランの含有量は、10質量%以上99質量%以下である、請求項1に記載の防曇材料。
【請求項6】
シリカ粒子を更に含む、請求項1に記載の防曇材料。
【請求項7】
炭素数1以上5以下の有機溶媒、水、又はこれらの混合溶媒を更に含む、請求項1に記載の防曇材料。
【請求項8】
請求項1に記載の防曇材料の硬化体。
【請求項9】
光学基材と、
前記光学基材の表面上に位置し、請求項8に記載の硬化体を含む防曇コート層と、
を含む、積層体。
【請求項10】
請求項8に記載の硬化体を含む光学物品。
【請求項11】
請求項10に記載の光学物品を含むレンズ。
【請求項12】
請求項11に記載のレンズを含む眼鏡。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、防曇材料、硬化体、積層体、光学物品、レンズ、及び眼鏡に関する。
【背景技術】
【0002】
眼鏡用レンズとして、プラスチック若しくはガラス製のレンズが知られている。これらレンズの表面には、防曇コートが施されることがある。防曇コート用の材料としては、例えば、有機無機複合材料であるシロキサンが用いられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2018-528289号公報
【特許文献2】特開2022-71754号公報
【特許文献3】特開2022-152981号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、防曇性に優れ、かつ、高い硬度を有する硬化体を実現可能な防曇材料と、この硬化体、積層体、光学物品、レンズ、及び眼鏡とを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、防曇材料に関する。防曇材料は、ウレア結合を有するアルコキシシランを含む。
【0006】
本開示は、硬化体に関する。この硬化体は、本開示に係る防曇材料の硬化体である。
【0007】
本開示は、積層体に関する。積層体は、光学基材と防曇コート層とを含む。防曇コート層は、本開示に係る硬化体を含む。
【0008】
本開示は、光学物品に関する。光学物品は、本開示に係る硬化体を含む。
【0009】
本開示は、レンズに関する。レンズは、本開示に係る光学物品を含む。
【0010】
本開示は、眼鏡に関する。眼鏡は、本開示に係るレンズを含む。
【発明の効果】
【0011】
本発明によると、防曇性に優れ、かつ、高い硬度を有する硬化体を実現可能な防曇材料と、この硬化体、積層体、光学物品、レンズ、及び眼鏡とが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施形態に係る積層体の一例を概略的に示す断面図。
図2】実施形態に係る眼鏡の一例を概略的に示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
実施形態によると、防曇材料が提供される。防曇材料は、ウレア結合を有するアルコキシシランを含む。このアルコキシシランは、ウレア結合を有するため、防曇性に優れ、かつ、高い硬度を有する硬化体を実現できる。また、プラスチック基材への密着性も高められると考えられる。
【0014】
以下、実施形態に係る防曇材料について、詳述する。
【0015】
[防曇材料]
実施形態に係る防曇材料は、ウレア結合を有するアルコキシシランを含む。実施形態に係る防曇材料は、ウレア結合を有するアルコキシシランのみで構成されていてもよく、ウレア結合を有するアルコキシシラン以外の成分を含んでいてもよい。すなわち、実施形態に係る防曇材料は、防曇コート形成用の硬化性組成物であってもよい。
【0016】
アルコキシシランは、下記式(I)に表されるトリアルコキシシラン基を有することが好ましい。
【0017】
【化1】
【0018】
式(I)において、R及びRは、それぞれ独立に、炭素数1以上10以下の直鎖状若しくは分岐状のアルキレン基である。R及びRは、それぞれ独立に、炭素数1以上5以下の直鎖状アルキレン基であることが好ましく、メチレン基、エチレン基、又はプロピレン基であることがより好ましい。
【0019】
は、炭素数1以上5以下の直鎖状アルキル基である。Rは、炭素数1以上3以下のアルキル基であることが好ましく、メチル基又はエチル基であることがより好ましい。
aは、0又は1である。
【0020】
式(I)に表されるトリアルコキシシラン基を有する化合物としては、例えば、下記式(Ia)に表される3-ウレイドプロピルトリエトキシシランと式(Ib)に表されるN,N’-ビス(トリエトキシシリルプロピル)ウレアが挙げられる。
【0021】
【化2】
【0022】
【化3】
【0023】
アルコキシシランは、下記式(II)に表されるトリアルコキシシランを含むことが好ましい。
【0024】
【化4】
【0025】
式(II)において、R、R、及びRは、式(I)のものと同義である。
及びRは、それぞれ独立に、炭素数1以上10以下の直鎖状若しくは分岐状のアルキレン基である。R及びRは、それぞれ独立に、炭素数1以上5以下の直鎖状アルキレン基であることが好ましく、メチレン基、エチレン基、又はプロピレン基であることがより好ましい。
【0026】
は、-Si(OR、又は、ヒドロキシ基である。Rは、-Si(ORであることが好ましい。
bは、0又は1である。
【0027】
式(II)に表されるトリアルコキシシランとしては、例えば、下記式(IIa)に表されるN-(2-ヒドロキシエチル)-N’-[3-(トリエトキシシリル)プロピル]ウレア(HETESPU)、下記式(IIb)に表されるN-[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-N’-(3-トリエトキシシリルプロピルアミノエチル)ウレア(BTESAU)が挙げられる。
【0028】
【化5】
【0029】
【化6】
【0030】
式(II)に表されるトリアルコキシシランは、公知の方法で合成できる。
アルコキシシランは、下記式(III)に表されるトリアルコキシシランを含んでいてもよい。
【0031】
【化7】
【0032】
式(III)において、Xは、式(I)に表されるトリアルコキシシラン基である。複数あるXは、互いに同一の基であってもよく、異なる基であってもよい。
【0033】
Yは、窒素、炭素数1以上10以下の直鎖状若しくは分岐状のアルキレン基、炭素数4以上10以下のシクロアルキレン基、又は、炭素数4以上8以下のアリーレン基である。Yは、窒素、又は、フェニレン基であることが好ましい。
【0034】
は、炭素数1以上10以下の直鎖状若しくは分岐状のアルキレン基である。Rが複数存在する場合、複数のRは、互いに同一の基であってもよく、異なる基であってもよい。
cは、0又は1である。
【0035】
dは、Yが窒素である場合には3であり、Yが窒素以外の基である場合には2である。
式(III)に表されるトリアルコキシシランとしては、例えば、下記式(IIIa)に表されるトリス[(トリエトキシシリルプロピルアミノカルボニルアミノ)エチル]アミン(TTESAU)、下記式(IIIb)に表されるN,N’-ビス[(トリエトキシシリル)プロピル]アミノカルボニル-m-キシレンジアミン(BTESUmX)が挙げられる。
【0036】
【化8】
【0037】
【化9】
【0038】
式(III)に表されるトリアルコキシシランは、公知の方法で合成できる。
【0039】
防曇材料において、ウレア結合を有するアルコキシシランの含有量は、例えば、10質量%以上99質量%以下である。ウレア結合を有するアルコキシシランの含有量は、15質量%以上90質量%以下であることが好ましく、20質量%以上80質量%以下であることがより好ましい。
【0040】
防曇材料は、シリカゾルを更に含んでいてもよい。シリカゾルを含むと、硬度の向上が期待できる。シリカゾルのシリカ粒子の動的光散乱法による平均粒径は、例えば、10nm以上200nm以下である。シリカゾルにおいて、有機溶媒が占める割合は、例えば、10質量%以上50質量%以下である。有機溶媒としては、例えば、メタノール、メチルエチルケトン等を用い得る。
【0041】
防曇材料において、シリカゾルが占める割合は、例えば、0.1質量%以上10質量%以下であり、好ましくは、1質量%以上5質量%以下である。
【0042】
防曇材料は、他のアルコキシシランを含んでいてもよい。他のアルコキシシランは、典型的には、ウレア結合を有さない。他のアルコキシシランは、エポキシ基、グリシジル基、アミノ基、ヒドロキシ基等の官能基を含むことが好ましく、エポキシ基又はグリシジル基を有することがより好ましい。
【0043】
シランカップリング剤としては、ビス[3-(トリメトキシシリル)プロピル]アミン(BTESPA)、3-アミノプロピルトリエトキシシラン(APTES)、3-グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン(TEGPS)、ヒドロキシメチルトリエトキシシラン等を用い得る。
【0044】
防曇材料において、他のアルコキシシランが占める割合は、例えば、0質量%以上50質量%以下であり、好ましくは、0質量%以上20質量%以下である。
【0045】
防曇材料は、溶媒を更に含んでいてもよい。溶媒としては、炭素数1以上5以下の有機溶媒、水、又はこれらの混合溶媒を用い得る。炭素数1以上5以下の有機溶媒としては、メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、THF、アセトン、エチルメチルケトン又はこれらの混合物を用いることが好ましい。
【0046】
防曇材料において、溶媒が占める割合は、例えば、0質量%以上10質量%以下であり、好ましくは、0質量%以上5質量%以下である。
【0047】
防曇材料は、シリカ粒子を更に含んでいてもよい。シリカ粒子を含むと、硬度の向上が期待できる。シリカ粒子の動的光散乱法による平均粒径は、例えば、10nm以上200nm以下である。防曇材料は、上述したウレア結合を有するアルコキシシランと、シリカ粒子との複合体ポリマーであり得る。この複合体ポリマーにおいて、ウレア結合を有するアルコキシシランの質量M1と、シリカ粒子の質量M2との比M2/M1は、例えば、0.001以上0.10以下であり、好ましくは、0.005以上0.05以下である。
【0048】
この複合体ポリマーを、上述した溶媒に溶解させた硬化性組成物を、防曇材料として用いてもよい。
【0049】
[積層体]
実施形態に係る積層体は、光学基材と、実施形態に係る防曇材料の硬化体を含む防曇コート層とを含む。防曇コート層は、光学基材の表面上に位置する。防曇コート層と光学基材との間には、その他の機能層が含まれていてもよい。その他の機能層としては、例えば、フォトクロミック層、接着層、ハードコート層、反射防止膜、防汚コート、撥水コート等が挙げられる。実施形態に係る積層体は、光学基材、接着層、ハードコート層、反射防止膜、及び防曇コート層の順に積層された積層体であり得る。
【0050】
図1は、実施形態に係る積層体の一例を概略的に示す断面図である。図1に示す積層体10は、光学基材11と防曇コート層1とを含む。積層体10は、凹凸レンズ形状を有している。積層体1は、レンズの形状に沿った曲面を有している。
【0051】
光学基材は、樹脂を含んでいてもよく、ガラス等の無機材料を含んでいてもよい。光学基材は、ガラスレンズ基材又はプラスチックレンズ基材であり得る。
【0052】
光学基材の厚みは、例えば、0.1mm以上20mm以下であり、好ましくは、0.5m以上10m以下である。
【0053】
光学基材の樹脂としては、アリルジグリコールカーボネート、ウレタン系樹脂、メタクリル樹脂、ジアリルカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート樹脂、チオオウレタン系樹脂、エピスルフィド系樹脂、ウレタンメタクリレート、エポキシメタクリレート、及びジアリルフタレート系樹脂からなる群より選択される少なくとも1種の樹脂を用い得る。
【0054】
防曇コート層の厚みは、例えば、1μm以上50μm以下であり、好ましくは、3μm以上20μm以下である。
【0055】
防曇コート層の鉛筆硬度は、例えば、3H以上9H以下であり、他の例によると、4H以上6H以下である。
【0056】
防曇コート層は、例えば、実施形態に係る防曇材料を、光学基材の表面上に塗布し、得られた塗膜を乾燥した後、乾燥塗膜を加熱することにより形成される。乾燥温度は、例えば、80℃以上120℃以下とする。加熱温度は、例えば、80℃以上200℃以下とし、加熱時間は、例えば、1時間以上24時間以下とする。該乾燥時間を含まず、加熱時間のみでもよい。
【0057】
[光学物品]
実施形態に係る光学物品は、実施形態に係る硬化体を含む。光学物品は、実施形態に係る積層体を含んでいてもよい。
【0058】
光学物品としては、バインダーシート、レンズ、眼鏡、家屋や自動車の窓材、液晶ディスプレイ、サンバイザー、時計等が挙げられる。レンズは、セミフィニッシュドレンズ及びフィニッシュドレンズを含む。
【0059】
図2は、実施形態に係る眼鏡の一例を概略的に示す断面図である。図2に示す眼鏡100は、レンズ101と、このレンズ101を支持するフレーム102とを含む。レンズ101は、実施形態に係る光学物品を含む。
【実施例0060】
以下に例示するいくつかの実施例によって、本発明をさらに詳しく説明する。これらの実施例は、単に、本発明を説明するためのものであり、本発明の精神及び範囲は、これら実施例に限定されるものではない。
【0061】
(実施例1)
1.1955gのHETESPUと1.4040gのTHFを氷浴下で10分間撹拌させた後、1.0533gのイオン交換水と0.077gのメタノールシリカゾル(30wt%、シリカ成分0.023g)を加え、さらに氷浴下で10分間撹拌した後、室温で10分間、さらに70℃で3時間撹拌した。撹拌終了後、減圧留去と熱真空乾燥によって溶媒を除去し、粘性のある液体として0.8267gのポリマーを得た。0.0556gのポリマーを0.2232gの水に溶解させて硬化性組成物を得た。
【0062】
(実施例2~13)
表1に記載のとおり組成を変更した以外は、実施例1と同様の方法で硬化性組成物を調製した。
【0063】
(実施例14)
0.8gのBTESEAU、7mLのTHF、30μLの水を70℃で反応させて硬化性組成物を得た。
【0064】
(実施例15)
0.8gのBTESEAU、7mLのTHF、0.035gのメタノールシリカゾル(30wt%、シリカ成分0.010g)、30μLの水を70℃で反応させて硬化性組成物を得た。
【0065】
<評価試験>
1.防曇コートレンズの製造
実施例で得られた硬化性組成物を、レンズ基材に塗布し、乾燥させて、約20μmの厚みの乾燥膜を得た。レンズ基材としては、プラスチックレンズまたはガラスを用いた。乾燥条件は室温とした。乾燥膜を加熱し、防曇コートが形成された試験用レンズを得た。加熱条件は、120~140℃で30~90分とした。
【0066】
比較例1としては、防曇コートを施していないレンズ基材を用いた。
【0067】
2.防曇性評価
上記で得られた試験用レンズについて、防曇性を評価した。具体的には、50℃の温水の上2cmに試験用レンズを置き、曇り始めるまでの時間を測定した。この結果を表1に示す。なお、実施例14の曇り時間は2.5秒であり、実施例15の曇り時間は2.5秒であった。
【0068】
3.硬度
上記で得られた試験用レンズについて、硬度を評価した。具体的には、鉛筆硬度試験を行った。この結果を表1に示す。なお、実施例14の硬度は6Hであり、実施例15の硬度は6Hであった。
【0069】
【表1】
【0070】
以下に、本発明の好ましい態様を付記する。
【0071】
[1] ウレア結合を有するアルコキシシランを含む、防曇材料。
【0072】
[2] 前記アルコキシシランは、下記式(I)に表されるトリアルコキシシラン基を有する、[1]に記載の防曇材料:
【0073】
【化10】
【0074】
前記式(I)において、
及びRは、それぞれ独立に、炭素数1以上10以下の直鎖状若しくは分岐状のアルキレン基であり、
は、炭素数1以上5以下の直鎖状アルキル基であり、
aは、0又は1である。
【0075】
[3] 前記アルコキシシランは、下記式(II)に表されるトリアルコキシシランを含む、[2]に記載の防曇材料:
【0076】
【化11】
【0077】
前記式(II)において、
、R、R、及びaは、前記式(I)のものと同義であり、
及びRは、それぞれ独立に、炭素数1以上10以下の直鎖状若しくは分岐状のアルキレン基であり、
は、-Si(OR、又は、ヒドロキシ基であり、
bは、0又は1である。
【0078】
[4] 前記アルコキシシランは、下記式(III)に表されるトリアルコキシシランを含む、[2]に記載の防曇材料:
【0079】
【化12】
【0080】
前記式(III)において、
Xは、前記式(I)に表されるトリアルコキシシラン基であり、複数あるXは、互いに同一の基であってもよく、異なる基であってもよく、
Yは、窒素、炭素数1以上10以下の直鎖状若しくは分岐状のアルキレン基、炭素数4以上10以下のシクロアルキレン基、又は、炭素数4以上8以下のアリーレン基であり、
は、炭素数1以上10以下の直鎖状若しくは分岐状のアルキレン基であり、Rが複数存在する場合、複数のRは、互いに同一の基であってもよく、異なる基であってもよく、
cは、0又は1であり、
dは、Yが窒素である場合には3であり、Yが窒素以外の基である場合には2である。
【0081】
[5] 前記アルコキシシランの含有量は、10質量%以上99質量%以下である、[1]乃至[4]の何れかに記載の防曇材料。
【0082】
[6] シリカ粒子を更に含む、[1]乃至[5]の何れかに記載の防曇材料。
【0083】
[7] 炭素数1以上5以下の有機溶媒、水、又はこれらの混合溶媒を更に含む、[1]乃至[6]の何れかに記載の防曇材料。
【0084】
[8] [1]乃至[7]の何れかに記載の防曇材料の硬化体。
【0085】
[9] 光学基材と、
前記光学基材の表面上に位置し、[8]に記載の硬化体を含む防曇コート層と、
を含む、積層体。
【0086】
[10] [8]に記載の硬化体を含む光学物品。
【0087】
[11] [10]に記載の光学物品を含むレンズ。
【0088】
[12] [11]に記載のレンズを含む眼鏡。
図1
図2