IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ イーライ リリー アンド カンパニーの特許一覧

特開2025-3404血液脳関門を通過するグラニュリンの送達のための化合物
<>
  • 特開-血液脳関門を通過するグラニュリンの送達のための化合物 図1
  • 特開-血液脳関門を通過するグラニュリンの送達のための化合物 図2
  • 特開-血液脳関門を通過するグラニュリンの送達のための化合物 図3
  • 特開-血液脳関門を通過するグラニュリンの送達のための化合物 図4
  • 特開-血液脳関門を通過するグラニュリンの送達のための化合物 図5
  • 特開-血液脳関門を通過するグラニュリンの送達のための化合物 図6
  • 特開-血液脳関門を通過するグラニュリンの送達のための化合物 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025003404
(43)【公開日】2025-01-09
(54)【発明の名称】血液脳関門を通過するグラニュリンの送達のための化合物
(51)【国際特許分類】
   C07K 19/00 20060101AFI20241226BHJP
   C07K 16/28 20060101ALI20241226BHJP
   C07K 14/435 20060101ALI20241226BHJP
   C07K 16/18 20060101ALI20241226BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20241226BHJP
   A61P 25/28 20060101ALI20241226BHJP
   A61P 25/16 20060101ALI20241226BHJP
   A61P 21/00 20060101ALI20241226BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20241226BHJP
   A61K 47/68 20170101ALI20241226BHJP
   A61K 38/17 20060101ALI20241226BHJP
   C12N 15/12 20060101ALN20241226BHJP
   C12N 15/13 20060101ALN20241226BHJP
   C12N 15/62 20060101ALN20241226BHJP
【FI】
C07K19/00 ZNA
C07K16/28
C07K14/435
C07K16/18
A61P25/00
A61P25/28
A61P25/16
A61P21/00
A61K39/395 N
A61K47/68
A61K38/17
A61K39/395 L
C07K19/00
C12N15/12
C12N15/13
C12N15/62 Z
【審査請求】有
【請求項の数】39
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024100045
(22)【出願日】2024-06-21
(31)【優先権主張番号】63/509,352
(32)【優先日】2023-06-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】594197872
【氏名又は名称】イーライ リリー アンド カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100103182
【弁理士】
【氏名又は名称】日野 真美
(74)【代理人】
【識別番号】100131990
【弁理士】
【氏名又は名称】大野 玲恵
(72)【発明者】
【氏名】アルベルト アルヴァラド
(72)【発明者】
【氏名】フォレスト エイチ. アンドリュース
(72)【発明者】
【氏名】デイヴィッド アルベルト ドライバー
(72)【発明者】
【氏名】ロス エドワード フェローズ
(72)【発明者】
【氏名】カレン ジーン フロニング
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル スコット ギラルド
(72)【発明者】
【氏名】ペトラ ヴェルディノ
(72)【発明者】
【氏名】ヤミング ワン
【テーマコード(参考)】
4C076
4C084
4C085
4H045
【Fターム(参考)】
4C076AA95
4C076CC01
4C076CC41
4C076EE41
4C076EE59
4C084AA02
4C084BA01
4C084BA04
4C084BA08
4C084BA22
4C084BA23
4C084BA41
4C084DC50
4C084NA13
4C084NA14
4C084ZA02
4C084ZA15
4C084ZA16
4C084ZA20
4C084ZA22
4C085AA14
4C085AA21
4C085AA22
4C085AA23
4C085AA24
4C085BB31
4C085CC23
4C085EE01
4H045AA10
4H045AA11
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA10
4H045BA41
4H045CA40
4H045DA76
4H045EA20
4H045FA72
4H045FA74
(57)【要約】      (修正有)
【課題】プログラニュリン、プログラニュリン断片、及び/又は少なくとも1つのグラニュリンタンパク質サブユニットを、血液脳関門を通過して送達するための化合物を提供する。
【解決手段】プログラニュリン、プログラニュリン断片、及び/又は少なくとも1つのグラニュリンタンパク質サブユニットを、血液脳関門を通過して送達するための化合物であって、プログラニュリンドメインと、TfR1結合ドメインと、任意選択的にアルブミン結合ドメインと、を含む、化合物とする。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)プログラニュリンドメインと、
(b)トランスフェリン受容体1(TfR1)結合ドメインであって、重鎖可変領域(VH)及び軽鎖可変領域(VL)を含み、前記VHが、重鎖相補性決定領域(HCDR)HCDR1、HCDR2及びHCDR3を含み、前記VLが、軽鎖相補性決定領域(LCDR)LCDR1、LCDR2及びLCDR3を含む、TfR1結合ドメインと、
を含む、化合物であって、
HCDR1のアミノ酸配列が、配列番号45であり、
HCDR2のアミノ酸配列が、配列番号46であり、
HCDR3のアミノ酸配列が、配列番号47であり、
LCDR1のアミノ酸配列が、配列番号48であり、
LCDR2のアミノ酸配列が、配列番号49であり、
LCDR3のアミノ酸配列が、配列番号50である、化合物。
【請求項2】
前記化合物が、アルブミン結合ドメインを更に含み、前記アルブミン結合ドメインが、相補性決定領域(CDR)CDR1、CDR2、及びCDR3を含み、
CDR1のアミノ酸配列が、配列番号51であり、
CDR2のアミノ酸配列が、配列番号52であり、
CDR3のアミノ酸配列が、配列番号53である、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
前記TfR1結合ドメインが、第1のリンカーを用いて前記プログラニュリンドメインに連結され、前記アルブミン結合ドメインが、第2のリンカーを用いて前記プログラニュリンドメイン又は前記TfR1結合ドメインに連結されている、請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
前記化合物が、式:
Y-L-X-L-Z又はZ-L-Y-L-Xの化合物であり、
式中、Xが、前記プログラニュリンドメインであり、
Yが、前記TfR1結合ドメインであり、
Zが、前記アルブミン結合ドメインであり、
が、前記第1のリンカーであり
が、前記第2のリンカーである、請求項2又は3に記載の化合物。
【請求項5】
前記化合物が、式:
Y-L-X-L-Zの化合物であり、
前記TfR1結合ドメインが、前記プログラニュリンドメインのN末端で前記プログラニュリンドメインに連結され、前記アルブミン結合ドメインが、前記プログラニュリンドメインのC末端で前記プログラニュリンに連結されている、請求項4に記載の化合物。
【請求項6】
前記TfR1結合ドメイン及び前記アルブミン結合ドメインが、二量体を形成していない、請求項2~5のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項7】
前記TfR1結合ドメインが、Fab領域であり、前記第1のリンカーが、前記TfR1結合ドメインの重鎖又は前記TfR1結合ドメインの軽鎖に結合している、請求項3~6のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項8】
前記TfR1結合ドメインが、ヒトTfR1受容体に対して約1nM~約100nM、約5nM~20nM未満、又は約10nMの親和性を有する、請求項1~7のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項9】
前記TfR1結合ドメインが、
(a)重鎖であって、前記重鎖のアミノ酸配列が、配列番号15、配列番号16、配列番号17、又は配列番号18である、重鎖、及び
(b)軽鎖であって、前記軽鎖のアミノ酸配列が、配列番号19、配列番号20、配列番号21、又は配列番号22である、軽鎖、を含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項10】
前記TfR1結合ドメインが、重鎖(HC)及び軽鎖(LC)を含み、前記HCのアミノ酸配列が、配列番号15であり、前記LCのアミノ酸配列が、配列番号19である、請求項1~9のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項11】
前記アルブミン結合ドメインが、VH抗体断片である、請求項2~10のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項12】
前記アルブミン結合ドメインが、Lを介して前記プログラニュリンドメインの前記C末端に結合している、請求項3~11のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項13】
前記アルブミン結合ドメインのアミノ酸配列が、配列番号23又は配列番号24である、請求項1~22のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項14】
及びLが、独立して、共有結合、ペプチドリンカー、PEGリンカー、ジスルフィド結合、チオアセタール結合、又はチオエステル結合から選択される、請求項3~13のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項15】
及びLが、同一である、請求項3~14のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項16】
及びLのアミノ酸配列が、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、又は配列番号14であり、好ましくは、L及びLのアミノ酸配列が、配列番号7である、請求項3~15のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項17】
前記プログラニュリンドメインが、天然に存在する配列である、請求項1~16のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項18】
前記プログラニュリンドメインが、プログラニュリンの断片を含み、前記プログラニュリンの断片のアミノ酸配列が、配列番号2である、請求項1~17のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項19】
前記プログラニュリンドメインのアミノ酸配列が、配列番号1である、請求項1~18のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項20】
前記化合物が、配列番号25、配列番号26、又は配列番号29によって与えられるアミノ酸配列に対して少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有する重鎖を含む、請求項1~19のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項21】
前記化合物が、配列番号19、配列番号32、又は配列番号33によって与えられるアミノ酸配列に対して少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有する軽鎖を含む、請求項1~20のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項22】
前記化合物が、
(a)重鎖であって、前記重鎖のアミノ酸配列が、配列番号25、配列番号26、又は配列番号29である、重鎖、及び
(b)軽鎖であって、前記軽鎖のアミノ酸配列が、配列番号19、配列番号32、又は配列番号33である、軽鎖、を含む、請求項1~22のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項23】
前記化合物が、重鎖(HC)及び軽鎖(LC)を含み、前記HCのアミノ酸配列が、配列番号25であり、前記LCのアミノ酸配列が、配列番号19である、請求項1~22のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項24】
前記化合物が、重鎖(HC)及び軽鎖(LC)を含み、前記HCのアミノ酸配列が、配列番号26であり、前記LCのアミノ酸配列が、配列番号19である、請求項1~23のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項25】
前記化合物が、重鎖(HC)及び軽鎖(LC)を含み、前記HCのアミノ酸配列が、配列番号29であり、前記LCのアミノ酸配列が、配列番号32である、請求項1~24のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項26】
前記化合物が、重鎖(HC)及び軽鎖(LC)を含み、前記HCのアミノ酸配列が、配列番号29であり、前記LCのアミノ酸配列が、配列番号33である、請求項1~25のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項27】
配列番号25によって与えられるアミノ酸配列に対して少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む化合物であって、好ましくは、配列番号25によって与えられるアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、化合物。
【請求項28】
前記化合物が、重鎖(HC)及び軽鎖(LC)を含み、前記HCのアミノ酸配列が、配列番号25であり、前記LCのアミノ酸配列が、配列番号19である、請求項27に記載の化合物。
【請求項29】
配列番号26によって与えられるアミノ酸配列に対して少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む化合物であって、好ましくは、配列番号26によって与えられるアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、化合物。
【請求項30】
前記化合物が、重鎖(HC)及び軽鎖(LC)を含み、前記HCのアミノ酸配列が、配列番号26であり、前記LCのアミノ酸配列が、配列番号19である、請求項29に記載の化合物。
【請求項31】
プログラニュリン断片を含む化合物であって、前記プログラニュリン断片のアミノ酸配列が、配列番号2である、化合物。
【請求項32】
前記プログラニュリン断片が、100残基~500残基の長さである、請求項31に記載の化合物。
【請求項33】
11型神経系セロイドリポフスチン症、前頭側頭型認知症、アルツハイマー疾患、パーキンソン疾患、筋萎縮性側索硬化症、又はそれらの組み合わせの治療に使用するための、請求項1~32のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項34】
障害を治療する方法であって、請求項1~32のいずれか一項に記載の化合物を、それを必要とする患者に投与することを含む、方法。
【請求項35】
前記障害が、11型神経系セロイドリポフスチン症、前頭側頭型認知症、アルツハイマー疾患、パーキンソン疾患、筋萎縮性側索硬化症、又はそれらの組み合わせである、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
治療法で使用するための、請求項1~32のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項37】
11型神経系セロイドリポフスチン症、前頭側頭型認知症、アルツハイマー疾患、パーキンソン疾患、筋萎縮性側索硬化症、又はそれらの組み合わせの治療に使用するための、請求項1~32のいずれか一項に記載の化合物を含む医薬組成物。
【請求項38】
11型神経系セロイドリポフスチン症、前頭側頭型認知症、アルツハイマー疾患、パーキンソン疾患、筋萎縮性側索硬化症、又はそれらの組み合わせの治療のための医薬の製造における、請求項1~32のいずれか一項に記載の化合物の使用。
【請求項39】
請求項1~32のいずれか一項に記載の化合物と、薬学的に許容される担体と、を含む組成物。
【請求項40】
11型神経系セロイドリポフスチン症、前頭側頭型認知症、アルツハイマー疾患、パーキンソン疾患、筋萎縮性側索硬化症、又はそれらの組み合わせの治療のための、請求項1~32のいずれか一項に記載の化合物の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(配列表への参照)
本出願は、ST.26XML形式の配列表とともに、提出されている。配列表は、2023年6月19日に作成された「30330」という表題のファイルとして提供され、サイズは66キロバイトである。ST.26XML形式の配列表情報は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、血液脳関門を通過してプログラニュリン又はその断片を送達するための新規化合物に関する。本発明はまた、プログラニュリンドメイン、トランスフェリン受容体1(transferrin receptor 1、TfR1)結合ドメイン、及びアルブミン結合ドメインを含む新規化合物に関する。
【背景技術】
【0003】
593アミノ酸タンパク質であるプログラニュリンは、ヒトにおいてGRN遺伝子によってコードされる前駆体タンパク質である。個々のグラニュリンタンパク質は、プログラニュリンから切断される。天然に存在するプログラニュリンは、パラグラニュリン(p)によって表され、7グラニュリンタンパク質構造G-F-B-A-C-D-Eに結合されたプロタンパク質を含み、ここで、グラニュリンタンパク質のそれぞれは大文字によって表される。全体として、天然に存在するプログラニュリンは、p-G-F-B-A-C-D-Eの構造を有する。
【0004】
とりわけ、11型神経系セロイドリポフスチン症、前頭側頭型認知症、アルツハイマー疾患、パーキンソン疾患、筋萎縮性側索硬化症(amyotrophic lateral sclerosis、ALS)などの様々な神経変性病態は、脳又は脳脊髄液(cerebrospinal fluid、CSF)中のプログラニュリンの欠乏と関連付けられている。プログラニュリン欠乏は、早発性神経変性疾患である前頭側頭型認知症(frontotemporal dementia、FTD)の全ての遺伝性形態のおよそ25パーセントを占める。プログラニュリンは、増加したプログラニュリンレベルを有するいくつかの疾患モデルにおいて保護的に作用し、虚血からの行動回復を加速し(Tao,J et al.,(2012)Brain Res 1436,130-136;Egashira,Y.et al.,(2013).J Neuroinflammation 10,105)、パーキンソン疾患モデルにおける運動欠損を抑制し(Van Kampen,J.M et al.(2014).PLoS One 9,e97032)、筋萎縮性側索硬化症のモデル(Laird,A.S et al.,(2010).PLoS One 5,e13368.)、及び関節炎(Tang,W et al.,(2011).Science 332,478-484)において病状を減衰させ、アルツハイマー疾患モデルにおける記憶障害の予防を行う(Minami,S.S et al.,(2014).Nat Med 20,1157-1164)。
【0005】
したがって、プログラニュリン機能の喪失又はプログラニュリンレベルの低下によって引き起こされる障害に対処することができる療法を開発する必要がある。残念ながら、血液脳関門(Blood Brain Barrier、BBB)を通過してプログラニュリンを送達すること、及び/又はプログラニュリン欠乏を有する患者の脳及び/又はCSF中で持続するのに十分長い半減期を有するプログラニュリンを提供することは困難であり得る。したがって、BBBを通過するプログラニュリン又は少なくとも1つのグラニュリンタンパク質の有効な送達を提供することができる化合物が必要とされている。更に、脳及び/又はCSF中で持続するのに十分長い半減期を有するプログラニュリンを提供することができる化合物も必要とされている。
【0006】
プログラニュリン変異体をBBBを通過して送達するように設計された化合物が、米国特許出願第2022/0213155号などで知られているが、これらの化合物には、(1)天然に存在する配列ではなく、ソルチリンと相互作用するように設計されたプログラニュリン変異体、及び(2)トランスフェリン受容体1(TfR1)結合ドメインとしてのFc二量体が含まれる。それぞれについて本明細書で説明する。
【発明の概要】
【0007】
本明細書で提供されるのは、プログラニュリンの欠乏を有する患者に治療的利益を提供するのに十分長い半減期で、天然プログラニュリン又は天然プログラニュリンの断片をBBBを通過して送達するための化合物である。
【0008】
プログラニュリンをBBBを通過して送達しようとする以前の試みにおいて、プログラニュリンは、プログラニュリンタンパク質のC末端クリッピングを低減し、ソルチリン(配列番号4)に特異的に結合するように、残基574~576を置換することによって修飾されている。
【0009】
しかしながら、予想外にも、野生型プログラニュリンのC末端にアルブミン結合ドメインを代わりに結合させることによって、クリッピング(プログラニュリンペプチドの部分の意図しない分離)を更に低減できることが発見された。更に、図3に示すように、プログラニュリンを改変してソルリチンとの二次相互作用を誘導しても、BBBを通過する輸送が改善されないことも予想外に発見された。図4に示すように、アルブミン結合ドメインの使用は、プログラニュリンドメインの半減期の延長及び/又はBBBを通過して送達されるプログラニュリンバリアントの量の増加をもたらした。
【0010】
更に、BBBを通過してプログラニュリンを送達しようとする以前の試みにおいて、Fc二量体がTfR1結合ドメインとして使用されている。しかしながら、図3に示すように、ヒトTfR1受容体に対してより高い結合親和性を有するFab領域を含むTfR1結合ドメインが、BBBを通過する送達の増加をもたらすことが予想外に見出された。
【0011】
全体として、プログラニュリンドメインと、BBBを通過するプログラニュリン又はプログラニュリン断片の送達を改善することができるトランスフェリン受容体1(TfR1)結合ドメインとを含む化合物が本明細書に開示される。
【0012】
BBBを通過するプログラニュリン又は少なくとも1つのグラニュリンタンパク質の送達を改善することができ、改善された半減期を有するプログラニュリンドメイン、TfR1結合ドメイン、及びアルブミン結合ドメインも本明細書で提供される。
【0013】
また、本明細書では、プログラニュリンドメイン及びTfR1結合ドメインが提供され、TfR1結合ドメインは、重鎖可変領域(VH)及び軽鎖可変領域(VL)を含み、VHは、重鎖相補性決定領域(heavy chain complementarity determining region、HCDR)HCDR1、HCDR2、及びHCDR3を含み、VLは、軽鎖相補性決定領域(light chain complementarity determining region、LCDR)LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含み、
HCDR1のアミノ酸配列は、配列番号45であり、
HCDR2のアミノ酸配列は、配列番号46であり、
HCDR3のアミノ酸配列は、配列番号47であり、
LCDR1のアミノ酸配列は、配列番号48であり、
LCDR2のアミノ酸配列は、配列番号49であり、
LCDR3のアミノ酸配列は、配列番号50である。
【0014】
プログラニュリン断片を含む化合物であって、プログラニュリン断片のアミノ酸配列が、配列番号2である化合物も本明細書で提供される。プログラニュリン断片は、100残基~500残基の長さであり得る。
【0015】
また、本明細書では、(a)プログラニュリンドメインXと、(b)第1のリンカーLでXに連結されたTfR1結合ドメインYと、(c)第2のリンカーLでX又はYに連結されたアルブミン結合ドメインZと、を含む化合物も提供される。
【0016】
また、本明細書では、(a)プログラニュリンドメインと、(b)第1のリンカーでプログラニュリンドメインに連結されたTfR1結合ドメインと、(c)第2のリンカーでプログラニュリンドメイン又はTfR1結合ドメインに連結されたアルブミン結合ドメインと、を含む化合物も提供される。
【0017】
また、本明細書では、H09 Fab-PGRN-C90.43の重鎖である、配列番号25によって与えられるアミノ酸配列に対して少なくとも90%又は少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む化合物も提供される。
【0018】
また、本明細書では、(a)配列番号25によって与えられるアミノ酸配列に対して少なくとも90%又は少なくとも95%の配列同一性を有する重鎖と、(b)配列番号19によって与えられるアミノ酸配列に対して少なくとも90%又は少なくとも95%の配列同一性を有する軽鎖と、を含む化合物も提供される。
【0019】
また、本明細書では、(a)配列番号25によって与えられるアミノ酸配列を有する重鎖と、(b)配列番号19によって与えられるアミノ酸配列を有する軽鎖と、を含む化合物も提供される。
【0020】
また、本明細書では、H09 Fab-PGRNΔpGF-C90.43の重鎖である、配列番号26によって与えられるアミノ酸配列に対して少なくとも90%又は少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む化合物も提供される。
【0021】
また、本明細書では、(a)配列番号26によって与えられるアミノ酸配列に対して少なくとも90%又は少なくとも95%の配列同一性を有する重鎖と、(b)配列番号19によって与えられるアミノ酸配列に対して少なくとも90%又は少なくとも95%の配列同一性を有する軽鎖と、を含む化合物も提供される。
【0022】
また、本明細書では、(a)配列番号26によって与えられるアミノ酸配列を有する重鎖と、(b)配列番号19によって与えられるアミノ酸配列を有する軽鎖と、を含む化合物も提供される。
【0023】
また、本明細書では、重鎖可変領域(VH)及び軽鎖可変領域(VL)を含む化合物が提供され、VHは、重鎖相補性決定領域(HCDR)HCDR1、HCDR2、及びHCDR3を含み、VLは、軽鎖相補性決定領域(LCDR)LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含み、HCDR1は、配列番号45を含み、HCDR2は、配列番号46を含み、HCDR3は、配列番号47を含み、LCDR1は、配列番号48を含み、LCDR2は、配列番号49を含み、LCDR3は、配列番号50を含む。
【0024】
また、本明細書では、(a)プログラニュリンドメインのアミノ酸配列が配列番号1又は配列番号2である、プログラニュリンドメインと、(b)第1のリンカーでプログラニュリンドメインに連結されたトランスフェリン受容体1(TfR1)結合ドメインであって、重鎖可変領域(VH)及び軽鎖可変領域(VL)を含み、VHが重鎖相補性決定領域(HCDR)HCDR1、HCDR2、及びHCDR3を含み、VLが軽鎖相補性決定領域(LCDR)LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含み、HCDR1のアミノ酸配列が配列番号45であり、HCDR2のアミノ酸配列が配列番号46であり、HCDR3のアミノ酸配列が配列番号47であり、LCDR1のアミノ酸配列が配列番号48であり、LCDR2のアミノ酸配列が配列番号49であり、LCDR3のアミノ酸配列が配列番号50である、TfR1結合ドメインと、(c)第2のリンカーでプログラニュリンドメイン又はTfR1結合ドメインに連結されたアルブミン結合ドメインと、を含む化合物も提供される。
【0025】
また、本明細書では、障害を治療する方法であって、開示された化合物のいずれかを、それを必要とする患者に投与することを含み、好ましくは、障害が、11型神経系セロイドリポフスチン症、前頭側頭型認知症、アルツハイマー疾患、パーキンソン疾患、筋萎縮性側索硬化症、又はそれらの組み合わせである、方法が提供される。
【0026】
また、本明細書では、11型神経系セロイドリポフスチン症、前頭側頭型認知症、アルツハイマー疾患、パーキンソン疾患、筋萎縮性側索硬化症、又はそれらの組み合わせの治療に使用するための化合物が提供される。
【0027】
また、本明細書では、11型神経系セロイドリポフスチン症、前頭側頭型認知症、アルツハイマー疾患、パーキンソン疾患、筋萎縮性側索硬化症、又はそれらの組み合わせの治療に使用するための開示された化合物のいずれかを含む医薬組成物が提供される。
【0028】
また、本明細書では、11型神経系セロイドリポフスチン症、前頭側頭型認知症、アルツハイマー疾患、パーキンソン疾患、筋萎縮性側索硬化症、又はそれらの組み合わせの治療のための薬剤の製造における、開示された化合物のいずれかの使用が提供される。
【0029】
また、本明細書では、開示された化合物のいずれか1つ及び薬学的に許容される担体を含む組成物が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】プログラニュリン断片を有する構築物が、全長プログラニュリンペプチドを有する構築物と比較して延長された耐久性を有したことを示す。
図2】タウターンオーバーに対するプログラニュリンの長さの影響を示す。
図3】BBBを通過するPGRN送達に対するTfRシャトルのアーキテクチャの影響を示す。
図4】BBBを通過する構築物の送達に対するTfRシャトルの親和性の影響を示す。
図5】TfR結合ドメインが、ソルチリン結合ドメインの代わりにプログラニュリンをニューロンに送達する、好適なプログラニュリンシャトルであり得ることを示す。
図6】hTfR KIマウスにおける、サンドイッチ例2のCNS曝露を示す。
図7】Grn KOマウスにおけるリポフスチン病理、ニューロン損傷、神経炎症及びリソソーム機能に対するBBB通過PGRNの影響を示す。
【発明を実施するための形態】
【0031】
化合物
開示される化合物は、プログラニュリン、プログラニュリンの断片、及び/又は少なくとも1つのグラニュリンタンパク質を、脳及び/又はCSF中で持続するのに十分長い半減期で、BBBを通過して送達する。開示される化合物は、プログラニュリンドメイン、TfR1結合ドメイン、及び任意選択的にアルブミン結合ドメインを含む。開示される化合物はまた、プログラニュリンドメインXと、第1のリンカーLでXに連結されたTfR1結合ドメインYと、第2のリンカーLでX又はYに連結されたアルブミンドメインZと、を含み、式I、II、又はIIIに示されるようなものである。
Y-L-X-L-Z
式I.
【0032】
いくつかの実施形態では、化合物は、式Iによって表すことができる。TfR1結合ドメインYは、第1のリンカーLでプログラニュリンドメインXに連結することができる。TfR1結合ドメインは、プログラニュリンドメインのN末端又はC末端でプログラニュリンドメインに結合することができる。アルブミン結合ドメインZは、プログラニュリンドメインのN末端又はC末端で、第2のリンカーLでプログラニュリンドメインに連結することができる。TfR1結合ドメイン及びアルブミン結合ドメインは、プログラニュリンドメインの反対端で連結することができる。例えば、TfR1結合ドメインは、プログラニュリンドメインのN末端で、若しくはその5アミノ酸内で連結することができる一方で、アルブミン結合ドメインは、プログラニュリンドメインのC末端で、若しくはその5アミノ酸内で連結することができるか、又は、TfR1結合ドメインは、プログラニュリンドメインのC末端で、若しくはその5アミノ酸内で連結することができる一方で、アルブミン結合ドメインは、プログラニュリンドメインのN末端、若しくはその5アミノ酸内で連結することができる。
Z-L-Y-L-X
式II.化合物
【0033】
いくつかの実施形態では、化合物は、式IIによって表すことができる。プログラニュリンドメインXは、第1のリンカーLでTfR1結合ドメインに連結することができる。プログラニュリンドメインは、TfR1結合ドメインのN末端又はC末端でTfR1結合ドメインに結合することができる。アルブミン結合ドメインZは、プログラニュリンドメインのN末端又はC末端で、第2のリンカーLを用いてTfR1結合ドメインに連結することができる。プログラニュリンドメイン及びアルブミン結合ドメインは、TfR1結合ドメインの反対側の末端で連結することができる。例えば、プログラニュリンドメインは、TfR1結合ドメインのN末端で、若しくはその5アミノ酸内で連結することができる一方で、アルブミン結合ドメインは、TfR1結合ドメインのC末端で、若しくはその5アミノ酸内で連結することができるか、又は、プログラニュリンドメインは、TfR1結合ドメインのC末端で、若しくはその5アミノ酸内で連結することができる一方で、アルブミン結合ドメインは、TfR1結合ドメインのN末端で、若しくはその5アミノ酸内で連結することができる。
【0034】
いくつかの実施形態では、プログラニュリンドメイン及びアルブミン結合ドメインは、TfR1結合ドメインの同じ末端又は反対の末端のいずれかで連結することができる。
【0035】
いくつかの実施形態では、プログラニュリンドメインXは、第1のリンカーLでTfR1結合ドメインに連結することができる。プログラニュリンドメインは、TfR1結合ドメインのN末端又はC末端でTfR1結合ドメインに結合することができる。アルブミン結合ドメインZは、プログラニュリンドメインのN末端又はC末端で、第2のリンカーLを用いてTfR1結合ドメインに連結することができる。プログラニュリンドメイン及びアルブミン結合ドメインは、TfR1結合ドメインの同じ末端で連結することができる。例えば、プログラニュリンドメイン及びアルブミン結合ドメインは、TfR1結合ドメインのN末端若しくはC末端で、又はその5アミノ酸内で連結することができる。
【0036】
いくつかの実施形態では、プログラニュリンドメインは、TfR1結合ドメインの重鎖又は軽鎖に連結することができる。
【0037】
いくつかの実施形態では、化合物は、1つ以上のポリペプチド及び/又はタンパク質配列から作製される。したがって、いくつかの実施形態では、化合物は融合タンパク質とすることができる。いくつかの実施形態は、化合物は、ポリペプチド、タンパク質、及び/又は融合タンパク質である。
【0038】
いくつかの実施形態では、プログラニュリンドメイン、TfR1結合ドメイン、及び/又はアルブミン結合ドメインのいずれか2つは、二量体を形成していない。例えば、いくつかの実施形態では、TfR1結合ドメイン及びアルブミン結合ドメインがプログラニュリンドメインの同じ末端にある場合であっても、それらは相互作用してTfR1結合ドメイン-アルブミン結合ドメイン二量体を形成していない。二量体は、Fcヘテロ二量体などのヘテロ二量体であり得る。
【0039】
いくつかの実施形態では、化合物は、配列番号25、配列番号26、及び/又は配列番号29を含む重鎖を含む。いくつかの実施形態では、化合物は、配列番号19、配列番号32、及び/又は配列番号33を含む軽鎖を含む。
【0040】
いくつかの実施形態では、化合物は、配列番号25を含む重鎖を含む。いくつかの実施形態では、化合物は、配列番号19を含む軽鎖を含む。
【0041】
いくつかの実施形態では、化合物は、配列番号26を含む重鎖を含む。いくつかの実施形態では、化合物は、配列番号19を含む軽鎖を含む。
【0042】
いくつかの実施形態では、化合物は、配列番号29を含む重鎖を含む。いくつかの実施形態では、化合物は、配列番号32を含む軽鎖を含む。
【0043】
いくつかの実施形態では、化合物は、配列番号29を含む重鎖を含む。いくつかの実施形態では、化合物は、配列番号33を含む軽鎖を含む。
【0044】
いくつかの実施形態では、化合物は、配列番号25、配列番号26、及び/又は配列番号29によって与えられるアミノ酸配列に対して少なくとも90%、95%、及び/又は99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有する重鎖を含む。
【0045】
いくつかの実施形態では、化合物は、配列番号19、配列番号32、及び/又は配列番号33によって与えられるアミノ酸配列に対して少なくとも90%、95%、及び/又は99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有する軽鎖を含む。
【0046】
プログラニュリンドメイン
開示される化合物は、プログラニュリンドメインを含む。プログラニュリンドメインは、少なくとも1つの改変されていない、天然に存在する、及び/又は野生型のグラニュリンタンパク質を表すアミノ酸配列を含む開示された化合物の部分である。プログラニュリンは、全長プログラニュリン前駆体から切断されるグラニュリンタンパク質の前駆体タンパク質である。プログラニュリンは、プロタンパク質(p)、続いて7つのグラニュリンタンパク質配列:G-F-B-A-C-D-Eを含む。
【0047】
プログラニュリンドメインは、少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、又は7つ全ての未改変グラニュリンタンパク質を含むことができる。
【0048】
プログラニュリンドメインは、プロタンパク質及び7つ全てのグラニュリンタンパク質:p-G-F-B-A-C-D-Eを含む全長未改変プログラニュリン配列を含むことができ、それは配列番号1で表される。
【0049】
プログラニュリンドメインは、プログラニュリンの全長配列の断片を含むことができる。例えば、プログラニュリンドメインは、B-A-C-D-E又はPGRNΔpGFとして知られるプログラニュリン断片を含むことができ、それは配列番号2で表される。プログラニュリンドメインはまた、プログラニュリンの他の断片(例えば、とりわけ、p-G-F、G-F-B-A-C-D-Eなど)を含むことができる。
【0050】
プログラニュリンドメインは、未改変、野生型、及び/又は天然のプログラニュリン配列又はその断片を含むことができる。いくつかの実施形態では、プログラニュリンドメインは、天然に存在しない修飾されたグラニュリンタンパク質配列を含まず(not include)、かつ/又は含まない(free of)。
【0051】
プログラニュリンドメインが、プログラニュリンの断片、すなわち配列番号2で表されるプログラニュリン断片又はPGRNΔpGFを含む場合、化合物は、プログラニュリンドメインが全長プログラニュリン配列を含む場合よりも長く安定したままであることが、予想外にも見出された。理論に束縛されるものではないが、全長プログラニュリンの断片であるPGRNΔpGFは、より小さなプログラニュリンドメインに存在するクリッピングの減少により、より長い安定性を有すると考えられる。
【0052】
プログラニュリン断片は、550残基未満、500残基未満、100残基~500残基、350残基~450残基、400残基~425残基、又は414残基の長さを有することができる。
【0053】
TfR1結合ドメイン
開示される化合物は、トランスフェリン受容体1(TfR1)結合ドメインも含むことができる。TfR1結合ドメインは、TfR1受容体及び/又はヒトTfR1受容体に特異的に結合する化合物の一部である。TfR1受容体は、ニューロン及びグリア細胞に見出され、したがって、理論に束縛されるものではないが、TfR1受容体に対する高い結合親和性を有するTfR1結合ドメインをプログラニュリンドメインに結合させると、血液脳関門(BBB)を通過する透過が、TfR1結合ドメインに結合していないプログラニュリン配列と比較して増強されると考えられる。更に、BBBを通過するプログラニュリンドメインの送達が増強される場合、プログラニュリンが欠乏している患者への末梢投与を可能にすることができると考えられる。
【0054】
TfR1結合ドメインは、ペプチド、タンパク質、抗体、抗体の断片、Fc領域、Fab領域、単一ドメイン抗体、又はそれらの組み合わせであり得る。TfR1結合ドメインは、Fab領域を含むことができる。TfR1結合ドメインはまた、Fc領域を含まなくてもよく(not include)、及び/又は含まなくてもよい(free of)。
【0055】
TfR1結合ドメインは、TfR1受容体に対するその親和性によっても説明することができる。TfR1結合ドメインは、ヒトTfR1受容体に対して、約1nM~約100nM、約1nM~約50nM、100nM未満、1nM超~20nM未満、約5nM~20nM未満、約5nM~約20nM、約10nM、又は10nMの親和性を有することができる。好ましくは、TfR1結合ドメインの親和性は、約10nM又は10nMであり得る。通常、BBBを通過する輸送は、TfR1結合ドメインの親和性濃度が減少するにつれて最大化されると予想される。予期せぬことに、BBBを通過する輸送は、親和性が20nM未満であるが、1nM又は約10nMを超える場合に最大化されることが見出された。
【0056】
いくつかの実施形態では、TfR1結合ドメインは、配列番号15、配列番号16、配列番号17、及び/又は配列番号18を含む重鎖を有することができる。いくつかの実施形態では、TfR1結合ドメインは、配列番号19、配列番号20、配列番号21、及び/又は配列番号22を含む軽鎖を有することができる。
【0057】
いくつかの実施形態では、TfR1結合ドメインは、配列番号15を含む重鎖と、配列番号19を含む軽鎖と、を含む。
【0058】
いくつかの実施形態では、TfR1結合ドメインは、配列番号16を含む重鎖と、配列番号20を含む軽鎖と、を含む。
【0059】
いくつかの実施形態では、TfR1結合ドメインは、配列番号17を含む重鎖と、配列番号21を含む軽鎖と、を含む。
【0060】
いくつかの実施形態では、TfR1結合ドメインは、配列番号18を含む重鎖と、配列番号22を含む軽鎖と、を含む。
【0061】
いくつかの実施形態では、TfR1結合ドメインは、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号19、配列番号20、配列番号21、及び/又は配列番号22によって与えられるアミノ酸配列に対して少なくとも90%、95%、及び/又は99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むことができる。
【0062】
いくつかの実施形態では、好適なTfR1結合ドメインは、TfR1受容体と相互作用すると考えられるドメインの領域である、その相補性決定領域(complementary determining region、CDR)によって定義することができる。TfR1結合ドメインの重鎖に好適なCDRは、配列番号45、配列番号46、及び/又は配列番号47を含むことができる。TfR1結合ドメインの軽鎖に好適なCDRは、配列番号48、配列番号49、及び/又は配列番号50を含むことができる。
【0063】
いくつかの実施形態では、TfR1結合ドメインは、配列番号45~50の1つ以上を含む。
【0064】
いくつかの実施形態では、TfR1結合ドメインは、配列番号45、配列番号46、配列番号47、配列番号48、配列番号49及び配列番号50を含む。
【0065】
いくつかの実施形態では、好適なTfR1結合ドメインは、表Aに記載のCDRを含むことができる。
【0066】
【表1】

表AのCDRは、Kabat.(Kabat,et al.,Ann.NY Acad.Sci.190:382-93(1971)、Kabat et al.,Sequences of Proteins of Immunological Interest,Fifth Edition,U.S.Department of Health and Human Services,NIH Publication No.91-3242(1991))、及びNorth番号付け法(North et al.,A New Clustering of Antibody CDR Loop Conformations,Journal of Molecular Biology,406:228-256(2011))に記載されるように定義されるHCDR2を除いて、Northに記載されるように定義される。
【0067】
【表2】

表A-1のCDRは、Kabat(Kabat et al.,「Sequences of Proteins of Immunological Interest,」National Institutes of Health,Bethesda,Md.(1991))、Chothia(Chothia et al.,「Canonical structures for the hypervariable regions of immunoglobulins」,Journal of Molecular Biology,196,901-917(1987)、Al-Lazikani et al.,「Standard conformations for the canonical structures of immunoglobulins」,Journal of Molecular Biology,273,927-948(1997))、North(North et al.,「A New Clustering of Antibody CDR Loop Conformations」,Journal of Molecular Biology,406,228-256(2011))、又はIMGT(www.imgt.orgで利用可能なthe international ImMunoGeneTics database;Lefranc et al.,Nucleic Acids Res.1999;27:209-212を参照されたい)に記載されるものなどの、当業者に周知の方法に従って定義される。
【0068】
アルブミン結合ドメイン
開示される化合物はまた、アルブミン結合ドメインを含むことができる。アルブミン結合ドメインは、アルブミン及び/又はヒト血清アルブミンに特異的に結合する化合物の一部である。一部の実施形態では、アルブミン結合ドメインは、ヒト血清アルブミンに結合するが、マウス、ラット、及びカニクイザルなどであるがこれらに限定されない他の種の血清アルブミンにも結合する。
【0069】
プログラニュリンドメインのC末端にアルブミン結合ドメインを結合させることによって、プログラニュリンドメインの半減期が改善され、かつ/又はプログラニュリンドメインのBBBを通過する輸送が改善されることが予想通りに見出された。理論に束縛されるものではないが、プログラニュリンドメインのC末端におけるアルブミン結合ドメインの結合がプログラニュリンドメインのC末端クリッピングを防止し、かつ/又はプログラニュリンがアルブミンターンオーバープロセスを通じて再利用されることを可能にするため、プログラニュリンドメインの半減期が改善されると考えられる。
【0070】
いくつかの実施形態では、アルブミン結合ドメインは、L又はLなどのリンカーを介してプログラニュリンドメインのC末端に結合している。
【0071】
アルブミン結合ドメインは、ペプチド、タンパク質、抗体、抗体の断片、Fc領域、Fab領域、単一ドメイン抗体、又はそれらの組み合わせであり得る。好ましくは、アルブミン結合ドメインは、VHなどの単一ドメイン抗体であり得る。
【0072】
いくつかの実施形態では、アルブミン結合ドメインは、配列番号23又は配列番号24によって表すことができる。
【0073】
いくつかの実施形態では、アルブミン結合ドメインは、配列番号23又は配列番号24によって与えられるアミノ酸配列に対して少なくとも90%、95%、及び/又は99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むことができる。
【0074】
いくつかの実施形態では、好適なアルブミン結合ドメインは、アルブミンと相互作用すると考えられるドメインの領域である、その相補性決定領域(CDR)によって定義され得る。アルブミン結合ドメインに好適なCDRは、配列番号51、配列番号52、及び/又は配列番号53を含むことができる。
【0075】
いくつかの実施形態では、TfR1結合ドメインは、配列番号51、配列番号52、及び配列番号53を含む。
【0076】
いくつかの実施形態では、好適なアルブミン結合ドメインは、表Bに記載されるCDRを含むことができる。
【0077】
【表3】

CDRは、Kabat.(Kabat,et al.,Ann.NY Acad.Sci.190:382-93(1971)、Kabat et al.,Sequences of Proteins of Immunological Interest,Fifth Edition,U.S.Department of Health and Human Services,NIH Publication No.91-3242(1991))、及びNorth番号付け法(North et al.,A New Clustering of Antibody CDR Loop Conformations,Journal of Molecular Biology,406:228-256(2011))に記載されるように定義されるCDR2を除いて、Northに記載されるように定義される。
【0078】
リンカー
開示される化合物は、1つ以上のリンカーL、L、Lなどを含む。リンカーは、プログラニュリンドメイン、TfR1結合ドメイン、及びアルブミン結合ドメインを互いに接続するために使用される。いくつかの実施形態では、開示される化合物は、1つのリンカー、2つのリンカー、3つのリンカー、又は1~3つのリンカーを有する。
【0079】
いくつかの実施形態では、第1のリンカーLは、TfR1結合ドメインYをプログラニュリンドメインXに接続する。いくつかの実施形態では、第2のリンカーLは、アルブミン結合ドメインZをプログラニュリンドメインX又はTfR1結合ドメインYに接続する。いくつかの実施形態では、L及びLは同一である。いくつかの実施形態では、L及びLは同一ではない。
【0080】
リンカーは、独立して、共有結合、ペプチドリンカー、PEGリンカー、ジスルフィド結合、チオアセタール結合、又はチオエステル結合を含むことができる。リンカーは、独立して、共有結合、ペプチドリンカー、PEGリンカー、ジスルフィド結合、チオアセタール結合、及びチオエステル結合から選択され得る。
【0081】
いくつかの実施形態では、リンカーは、ペプチドリンカーである。好適なペプチドリンカーとしては、2~50アミノ酸長のペプチドが挙げられる。他の好適なペプチドリンカーとしては、(GU)が挙げられ、式中、Uは任意の好適なアミノ酸であり、nは1~10の整数である。Uによって表され得る好適なアミノ酸としては、とりわけ、グルタミン(Q)、セリン(S)、アスパラギン(N)、アラニン(A)が挙げられる。好ましくは、リンカーは、(G4Q)又は(G4S)であり、式中、nは3~5である。
【0082】
いくつかの実施形態では、リンカーは、配列番号5~14のうちの1つ以上によって表され得る。
【0083】
一部の実施形態では、第1のリンカー及び第2のリンカーは、配列番号7によって表すことができる。
【0084】
いくつかの実施形態では、リンカーは、PEGリンカーである。好適なPEGリンカーとしては、式IIIによって表されるものが挙げられ、式中、nは1~10の整数である。
【0085】
【化1】

【0086】
他の好適なペプチドリンカーとしては、DKT(GU)が挙げられ、式中、Uは任意の好適なアミノ酸であり、nは1~10の整数である。Uによって表され得る好適なアミノ酸としては、とりわけ、グルタミン(Q)、セリン(S)、アスパラギン(N)、アラニン(A)が挙げられる。いくつかの実施形態では、リンカーは、DKT(G4Q)又はDKT(G4S)であり、式中、nは3~5である。
【0087】
組成物及び投与経路
本発明の化合物は、様々な経路によって投与される、ヒトの医療における医薬として使用することができる。最も好ましくは、そのような組成物は、非経口投与用である。そのような医薬組成物は、当該技術分野で周知の方法(例えば、Remington:The Science and Practice of Pharmacy,19th ed.(1995),A.Gennaro et al.,Mack Publishing Co.を参照)によって調製することができ、本明細書に開示される化合物と、薬学的に許容される担体、希釈剤又は賦形剤とを含む。
【0088】
治療方法
本開示の化合物は、患者の治療を補助するのに、特に、11型神経系セロイドリポフスチン症、前頭側頭型認知症、アルツハイマー疾患、パーキンソン疾患、筋萎縮性側索硬化症(ALS)などの神経変性疾患を含むCNS疾患の治療を補助するのに使用することができる。治療は、血液脳関門を横切ってプログラニュリンドメインを送達して患者における低レベルのプログラニュリンの影響を軽減することによる利益を得るヒトにおける、CNS疾患又は状態の治療のための本開示の化合物の投与を含む。
【0089】
定義
本明細書で使用される場合、「抗体」という用語は、抗原に結合する免疫グロブリン分子を指す。抗体の実施形態には、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、ヒト抗体、ヒト化抗体、キメラ抗体、二重特異性若しくは多重特異性抗体、又はコンジュゲート抗体が含まれる。抗体は、任意のクラス(例えば、IgG、IgE、IgM、IgD、IgA)、及び任意のサブクラス(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4)であってもよい。
【0090】
本開示の例示的な抗体は、4つのポリペプチド鎖:鎖間ジスルフィド結合を介して架橋される2つの重鎖(heavy chain、HC)及び2つの軽鎖(light chain、LC)から構成された、免疫グロブリンG(immunoglobulin G、IgG)型抗体である。4つのポリペプチド鎖の各々のアミノ末端部分は、抗原認識に主に関与する約100~125個以上のアミノ酸の可変領域を含む。4つのポリペプチド鎖の各々のカルボキシ末端部分は、エフェクター機能に主に関与する定常領域を含有する。各重鎖は、重鎖可変領域(VH)及び重鎖定常領域から構成される。各軽鎖は、軽鎖可変領域(VL)及び軽鎖定常領域から構成される。IgGアイソタイプは、サブクラス(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、及びIgG4)に更に分割され得る。
【0091】
VH及びVL領域は、フレームワーク領域(framework region、FR)と呼ばれる、より保存されている領域が散在する、相補性決定領域(CDR)と呼ばれる、超可変領域に更に細分され得る。CDRはタンパク質の表面上に露出しており、抗原結合特異性のための抗体の重要な領域である。各VH及びVLは、3つのCDR及び4つのFRから構成されており、FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、FR4の順序でアミノ末端からカルボキシ末端へと配置される。本明細書では、重鎖の3つのCDRを「HCDR1、HCDR2、及びHCDR3」と称し、軽鎖の3つのCDRを「LCDR1、LCDR2、及びLCDR3」と称する。CDRは、抗原との特異的相互作用を形成する残基の大部分を含有する。アミノ酸残基のCDRへの割り当ては、Kabat(Kabat et al.,「Sequences of Proteins of Immunological Interest,」National Institutes of Health,Bethesda,Md.(1991))、Chothia(Chothia et al.,「Canonical structures for the hypervariable regions of immunoglobulins」,Journal of Molecular Biology,196,901-917(1987)、Al-Lazikani et al.,「Standard conformations for the canonical structures of immunoglobulins」,Journal of Molecular Biology,273,927-948(1997))、North(North et al.,「A New Clustering of Antibody CDR Loop Conformations」,Journal of Molecular Biology,406,228-256(2011))、又はIMGT(the international ImMunoGeneTics database、www.imgt.orgで利用可能、Lefranc et al.,Nucleic Acids Res.1999;27:209-212を参照されたい)に記載されるものを含む、周知のスキームに従って行うことができる。
【0092】
本開示の実施形態にはまた、本明細書で使用される場合、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fv断片、scFv抗体断片、scFab、ジスルフィド結合Fv(sdFv)、Fd断片などの、抗原又は抗原のエピトープと特異的に相互作用する能力を保持する抗体の少なくとも一部を含む、抗体断片又は抗原結合断片が含まれる。
【0093】
本明細書で使用される場合、「結合する(bind)」及び「結合する(binds)」という用語は、別段示されない限り、化学結合又は別のタンパク質若しくは分子との引力相互作用を形成する、化合物の結合ドメインの能力を意味し、当該技術分野で既知の一般的な方法によって決定されるように、2つのタンパク質又は分子の密接な近接をもたらす。
【0094】
「プログラニュリンドメイン」という用語は、少なくとも1つの未改変又は野生型グラニュリンタンパク質を表すアミノ酸配列を含む本開示の化合物又はポリペプチド配列の一部を指す。いくつかの実施形態では、プログラニュリンドメインは、7つまでのグラニュリンタンパク質及びプログラニュリンに天然に含まれるプロタンパク質を表すアミノ酸配列を含むことができる。いくつかの実施形態では、プログラニュリンドメインは、2つ以上であるが7つ未満のグラニュリンタンパク質を表すアミノ酸配列、及びプログラニュリンに天然に含まれるプロタンパク質すなわち、プログラニュリン断片を含むことができる。1つの非限定的な例では、プログラニュリンドメインは、配列番号1、配列番号2及び/又は配列番号3に対応するアミノ酸配列によって表される。別の非限定的な例では、プログラニュリンドメインは配列番号4を含まない。
【0095】
「TfR1結合ドメイン」という用語は、トランスフェリン受容体、すなわちTfR1、に結合する抗体、抗体の一部、化合物の一部、又はポリペプチド配列を指す。
【0096】
「アルブミン結合ドメイン」という用語は、アルブミンに結合する抗体、抗体の一部、化合物の一部、又はポリペプチド配列を指す。1つの非限定的な例では、アルブミン結合ドメインは、ヒト血清アルブミンに結合する本開示の化合物の一部を指す。
【0097】
本明細書で互換的に使用される場合、「患者」、「対象」、及び「個体」という用語は、ヒトを指す。特定の実施形態では、患者は更にCNS疾患、障害、又は状態(例えば、CNS神経変性疾患)を特徴とする。いくつかの実施形態では、患者は更に、CNS障害、疾患、又は状態を発症するリスクがあるとして特徴付けられ得る。
【0098】
本明細書で使用される場合、「Fab」は、抗体の断片抗原結合領域を意味する。更に、本明細書で使用される場合、Fab領域は、リンカー、プログラニュリンドメイン、TfR1結合ドメイン、及び/又はアルブミン結合ドメインなどの開示された化合物の別の部分に連結される重鎖を含む。Fab領域はまた、重鎖に共有結合している軽鎖を含む。
【0099】
本明細書で使用される場合、「単一ドメイン抗体」は、単一の単量体可変抗体鎖からなる抗体断片である。単一ドメイン抗体は、抗原結合領域を含む。
【0100】
本明細書で使用される場合、「VH断片」は、ラクダ科動物において見出される重鎖抗体から操作された単一ドメイン抗体である。
【0101】
本明細書で使用される場合、「ペプチド」又は「ペプチド鎖」という用語は、一般に、ペプチド結合を介して連結された2つ以上のアミノ酸及び/又はアミノ酸誘導体を含むポリマーを指す。ペプチドの実施形態は、リン酸化、ヒドロキシル化、スルホン化、パルミトイル化、グリコシル化、及びジスルフィド形成などの翻訳後修飾を含む、修飾又はアミノ酸誘導体を含み得る。
【0102】
本明細書で使用される場合、「に連結された」又は「と連結された」という用語は、第1のヌクレオチド(又はポリヌクレオチド)又はペプチドが、第2のヌクレオチド(又はポリヌクレオチド)又はペプチドに会合、結合、接続、又は他の方法で接合されていることを指す。例えば、第1のポリヌクレオチドは、配列が翻訳される場合に融合ペプチド又はタンパク質を形成するように、第2のポリヌクレオチド配列に連結されることができる。同様に、第1のペプチド配列は、共有結合又は非共有結合相互作用を介して第2のペプチド配列に連結されて、多量体ペプチドを形成することができる。代替的に、「に連結された」又は「と連結された」とは、非ヌクレオチド又は非ペプチド部分に会合、接続又は接合されたヌクレオチド(又はポリヌクレオチド配列)又はペプチドを指す。例えば、ペプチドは、脂肪酸部分に連結されて(すなわち、アシル化されて)、コンジュゲートペプチドを形成し得る。
【0103】
「コンジュゲート基」という用語は、本明細書で使用される場合、ペプチドに結合又は連結される基を指す。コンジュゲート基は、コンジュゲート部分及びコンジュゲート部分をペプチドに結合又は連結するためのコンジュゲートリンカーを含むことができる。
【0104】
本明細書で使用される「コンジュゲートリンカー」という用語は、コンジュゲート部分を本明細書のペプチドに結合又は連結する少なくとも1つの結合を含む原子、原子群、分子又は化合物(アミノ酸又はアミノ酸群など)を指す。
【0105】
本明細書で使用される「コンジュゲート部分」という用語は、直接又はコンジュゲートリンカーを介して本明細書のペプチドに結合又は連結された分子又は化合物、特に非ペプチド分子又は化合物を意味する。
【実施例0106】
実施例1-開示される化合物の発現
本発明の化合物は、基本的に次のように発現させることができる。適切な宿主細胞、例えば、HEK293又はCHOは、最適な所定のHC:LCベクター比(1:3、1:2又は1:1など)を使用して抗体を分泌するための発現系、又はHC及びLCの両方をコードする単一のベクター系で、一時的に又は安定的にのいずれかでトランスフェクトされ得る。
【0107】
カッパ設計の精製
CIプールの精製特性を評価するために、CIを含有する1LのsCHO上清を、3カラムプロセスを使用して精製した。上清を、20mM Tris(pH 7.0)で予め平衡化した約60mLの予め充填したCaptoL樹脂カラムに適用した。続いて、上清をロードしたカラムを5カラム体積の20mM Tris(pH 7.0)で洗浄した。5カラム体積の混合酸溶出緩衝液(20mM酢酸、5mMクエン酸)を適用することによって、CaptoL樹脂からmAbを溶出した。CaptoL溶出プールを0.5M Tris塩基でpH 5に中和し、遠心分離し、0.22ミクロン滅菌フィルターに適用した。このCaptoL精製物質を、PrismA樹脂アフィニティー精製によって更に精製した。CaptoLプールを、1M Tris pH7.5を使用してpH約7に調整し、50mM Tris(pH8.0)中で予め平衡化した58mL PrismAプレパックカラムに適用し、5カラム体積の平衡化緩衝液で洗浄し、5カラム体積の混合酸溶出緩衝液(20mM酢酸、5mMクエン酸)で溶出した。PrismAプールを、0.5M Tris塩基を用いてpH約5に中和した。陽イオン交換クロマトグラフィー(Cation Exchange、CEX)を用いて、プールを更に精製した。CaptoLプールを、20mM酢酸、pH5で平衡化した70mLプレパックPoros HS50 CEXカラムにロードし、1M NaClを補充した同じ緩衝液を用いて、15カラム体積にわたって5~60%線形勾配で溶出した。続いて、単量体を含有する溶出画分をプールし、滅菌濾過し、PBS中に4℃で一晩透析した。透析後、タンパク質を滅菌濾過し、計算された吸光係数を使用してA280でタンパク質濃度/収率を決定した。このsCHO材料を用いて、全ての開発可能性及びHCPタンパク質の分析を行った。
【0108】
【表4】
【0109】
サンドイッチ設計の精製
CIプールの精製特性を評価するために、CIを含有する3LのsCHO上清を、3カラムプロセスを使用して精製した。上清を、50mM Tris(pH 8.0)で予め平衡化した約138mLの予め充填したPrismA樹脂カラムに適用した。続いて、上清をロードしたカラムを5カラム体積の50mM Tris(pH 8.0)で洗浄した。5カラム体積の混合酸溶出緩衝液(20mM酢酸、5mMクエン酸)を適用することによって、PrismA樹脂からmAbを溶出した。PrismA溶出プールを0.5M Tris塩基でpH 5に中和し、遠心分離し、0.22ミクロン滅菌フィルターに適用した。このPrismA精製物質をCaptoL樹脂アフィニティー精製により更に精製した。PrismAプールを、1M Tris pH7.5を使用してpH約7に調整し、20mM Tris(pH7)中で予め平衡化した120mL CaptoLプレパックカラムに適用し、5カラム体積の平衡化緩衝液で洗浄し、5カラム体積の混合酸溶出緩衝液(20mM酢酸、5mMクエン酸)で溶出した。CaptoLプールを、0.5M Tris塩基を用いてpH約5に中和した。陽イオン交換クロマトグラフィー(CEX)を用いて、プールを更に精製した。CaptoLプールを、20mM酢酸、pH5で平衡化した70mLプレパックPoros HS50 CEXカラムにロードし、1M NaClを補充した同じ緩衝液を用いて、15カラム体積にわたって5~60%線形勾配で溶出した。続いて、単量体を含有する溶出画分をプールし、滅菌濾過し、PBS中に4℃で一晩透析した。透析後、タンパク質を滅菌濾過し、計算された吸光係数を使用してA280でタンパク質濃度/収率を決定した。このsCHO材料を用いて、全ての開発可能性及びHCPタンパク質の分析を行った。
【0110】
【表5】

TfR1結合ドメイン//プログラニュリンドメイン及びプログラニュリンドメイン//アルブミン結合ドメイン、の間の連結に用いられるリンカー
【0111】
比較例1の発現及び精製
比較例1を発現させ、国際公開第2019246071(A1)号に記載されているように精製した(国際公開第2019246071(A1)号中の配列番号227及び291)。
【0112】
【表6】
【0113】
実施例2-H09結合ドメインのトランスフェリン受容体1(TfR1)結合
ヒトTfR1(human TfR1、hTfR1)、ヒトTfR2(human TfR2、hTfR2)及びカニクイザルTfR1に対する、H09-PGRN及びBACDEの結合動態及び親和性を決定するために、抗原に対する抗体の結合親和性及び動態を、BIACORE(登録商標)T200機器を使用して決定した。BIAcore(登録商標)T200(GE Healthcare,Piscataway,N.J.)などの表面プラズモン共鳴バイオセンサーを使用して、ヒトTfR1 ECDに対する抗体H09-PGRN及びBACDEの結合動態及び親和性を決定した。簡単に説明すると、BIAcore(登録商標)T200装置を使用して、サンドイッチ例1(H09-PGRN-C90.43)及びサンドイッチ例2(H09-PGRNΔpGF-C90.43)の、25℃での表面プラズモン共鳴(surface plasmon resonance、SPR)による、hTfR1、hTfR2及びcyno Tfr1に対する結合動態を測定する。試料を1×HBS-EP+ランニング緩衝液(Teknovaカタログ番号H802)に溶解させ、hTfR1、hTfR2、及びcyno TfRのHisタグ付きECDを、Cytiva CM3 Series Sセンサーチップにアミンカップリングした。
【0114】
ヘキサヒスチジンタグを有するヒトTfR1 ECDタンパク質を作製し、293細胞で発現させ、ニッケルチャージしたIMAC、続いてサイズ排除クロマトグラフィーによって精製した。hTfR2及びカニクイザルTfR ECDはSYNGENEから購入した。
【0115】
結合は、複数の分析サイクルを使用して評価する。各サイクルは、リガンドの結合及び解離について50μl/分の流速で、25℃で行う。各動態サイクルは、以下のステップからなる:サンドイッチ例1(H09-PGRN-C90.43)及びサンドイッチ例2(H09-PGRNΔpGF-C90.43)を、4つのフローセル全てにわたって(125nMで開始し、各サイクルについて2倍連続希釈を使用して)240秒間注入し、続いて解離相を900秒間、及び3M MgCl塩酸塩を使用して30秒間の接触時間で再生させた。それぞれの結合速度(すなわち、kon)及び解離速度(すなわち、koff)は、標準的な二重参照を使用して評価し、バッチモードでのBiaEvaluationソフトウェアにおける「1:1(Langmuir)結合」モデルにフィットさせる。親和性(KD)を、関係式K)=Koff/Konに従って結合動態から算出する。
【0116】
記載されるように実施された実験において、本発明のタンパク質構築物は、表4に示されるTfR1リガンドに対する以下の親和性を示した。表4に示すように、サンドイッチ例1及びサンドイッチ例2の両方が、1:1結合を示した。
【0117】
【表7】
【0118】
実施例3-Grn KOマウスにおけるPD耐久性
ビス(モノアシルグリセロ)ホスフェート(Bis(monoacylglycero)phosphate、BMP)は、リソソームタンパク質膜のドッキングに重要な構造脂質であり、機能は、リソソーム機能不全の重要なバイオマーカーとして提案されている。PGRNは、リソソームにおけるBMPレベルの維持に決定的に関与する(Logan et al,Cell,2021、Boland et al,Nat Comm,2022)。BMP欠損のレスキューに対するPGRN変異体の影響を評価するために、3~4ヶ月齢のGrn KOマウスを10E10カッパPGRN(カッパ例5、HC:配列番号34及びLC:配列番号35)又は10E10カッパPGRNΔpGF(カッパ例6、HC:配列番号34及びLC:配列番号36)を1.5、5及び15mg/kgで静脈内(i.v.)投与により処置した。処置していない野生型同腹仔及びGrn KOマウスを、それぞれ陽性対照及び陰性対照として使用した。脳のBMP 22:6レベルを、処置後1、4、7、14、21、35及び63日目に評価した。
【0119】
【表8】
【0120】
表5及び図1は、プログラニュリン断片を有する構築物(PGRNΔpGF、すなわちプログラニュリン断片は、pプロタンパク質、Gグラニュリン、及びFグラニュリンを含まない)が、全長プログラニュリンペプチドを有する構築物と比較して、Grn KOマウスにおいて薬理学的応答を誘導する際に延長されたPD効果及び延長された耐久性を有することを示す。理論に束縛されるものではないが、PGRNΔpGFを含む構築物は、PGRNを含む構築物と比較して長期の耐久性を有すると考えられる。
【0121】
実施例4-タウターンオーバー
タウターンオーバーに対するBBB通過PGRNの影響を評価するために、野生型マウスをカッパH09 PGRN(カッパ例3)及びカッパH09 PGRNΔpGF(カッパ例4)の5mg/kg静脈内投与により処置した。可溶性タウタンパク質のレベルを、ELISAを使用して処置の7日後に試験した。統計的有意性は、多重比較のための補正を伴う一元配置ANOVAを使用して決定した。
【0122】
表7及び図2は、両方の構築物(全長PGRN及びPGRNΔpGF)が、タウターンオーバーを減少させたことを示す。タウターンオーバーは、両方の構築物が野生型マウスにおいてBBBを通過してプログラニュリンを送達していることを示すバイオマーカーである。
【0123】
【表9】
【0124】
実施例5-TfRシャトルは、BBBを通過してPGRNを送達する
BBB通過PGRNがGrn KOマウスにおけるリポフスチン蓄積をレスキューすることができるかどうかを調査するために、8ヶ月齢のGrn KOマウスを、様々な用量及び投与間隔でKapp PGRN又はカッパPGRNΔpGFで処置した。脳の組織及びCSFを、初回投与の12週間後に採取した。試験物品に対する任意の免疫原性を回避するために、CD4 T細胞を、GK1.5抗CD4モノクローナル抗体を使用して枯渇させた。リポフスチン蓄積、ミクログリア及びアストロサイトの活性化並びにCSF神経フィラメント軽鎖(neurofilament light chain、NfL)レベルに対するBBB通過PGRNの影響を、処置後1、6、10、24、48、72、及び168時間で評価した。間質液及び脳の細胞内区画におけるPGRN曝露を推定するために、リン酸緩衝生理食塩水(phosphate-buffered saline、PBS)緩衝液可溶性タンパク質及びRIPA緩衝液(細胞質、膜、核、及びミトコンドリアタンパク質の単離を容易にするため、細胞及び組織の溶解に使用される緩衝液)可溶性タンパク質を連続的に抽出した。PBS、脳組織のRIPA画分、及び脳脊髄液(CSF)中のPGRNレベルを、酵素結合免疫測定法(enzyme-linked immunoassay、ELISA)を使用して測定した。PTV11(比較例1)を、また参照化合物として評価した。
【0125】
表8は、サンドイッチ例1による処置後最大168時間後にBBBを通過して脳及び/又はCSFに送達されたプログラニュリンのレベルを示す。表9は、カッパ例3による処置の最大168時間後にBBBを通過して脳及び/又はCSFに送達されたプログラニュリンのレベルを示す。サンドイッチ例1及びカッパ例3は、同じコンポーネント、すなわち(G4Q)ペプチドリンカーで全長プログラニュリンに連結されたH09 Fab及びC90.43 VHHを有する。しかしながら、サンドイッチ例1においては、配列番号25に示すように、H09 Fab抗体部分の重鎖がプログラニュリン配列のN末端に連結され、C90.43 VHがプログラニュリン配列のC末端に連結されている。カッパ例3においては、H09 Fab抗体部分の重鎖がC90.43 V VHHに連結され、H09 Fab抗体部分の軽鎖がプログラニュリン配列のN末端に連結されている。表8及び図3に示されるように、サンドイッチ例1の投与は、カッパ例3と比較して、脳及びCSFにおけるPGRNレベルの増加をもたらした。この結果は、処置後168時間までの全処置後期間を通して一貫していた。
【0126】
表10は、比較例1による処置後最大168時間後にBBBを通過して脳及び/又はCSFに送達されたプログラニュリンのレベルを示す。比較例1は、米国特許出願公開第2021/0284702号に開示された文献化合物である。表10及び図3に示されるように、両方の本発明の構築物、すなわちサンドイッチ例1及びカッパ例3の投与は、比較例1での投与と比較して、脳及びCSFにおいてより高いレベルのプログラニュリンをもたらした。この結果は、処置後168時間までの全処置後期間を通して一貫していた。したがって、本明細書に開示される構築物は、BBBを通過する脳及びCSFへのPGRNの送達を改善すると考えられる。
【0127】
【表10】
【0128】
【表11】
【0129】
【表12】
【0130】
【表13】
【0131】
図6は、hTfR KIマウスにおけるサンドイッチ例2のCNS曝露を示し、図7は、Grn KOマウスにおけるリポフスチン病理、ニューロン損傷、神経炎症及びリソソーム機能に対するBBB通過PGRNの影響を示す。
【0132】
実施例6-PGRN CNS送達に対するTfR1シャトル親和性の評価
BBBを通過してPGRNを送達する際のTfR1シャトルの親和性の要件をよりよく理解するために、Grn-/-マウスを、10nM(カッパ例6)、300nM(カッパ例7)、及び1000nM(カッパ例8)のTfR結合を有する3つの10E10-PGRN変異体を5mg/kgで処置した。脳BMP 22:6レベルを、処置後7日目に評価した。処置していない野生型同腹仔及びGrn-/-マウスを、それぞれ陽性対照及び陰性対照として使用した。Hisタグ付きPGRN(SYNGENE、配列番号55)も対照として評価した。
【0133】
表11は、野生型マウスが0.74±0.07の脳BMP 22:6レベルを有し、Grn-/-マウスが0.39±0.02の脳BMP 22:6レベルを有したことを示す。Hisタグ付きPGRN(His-PGRN)の末梢用量は、Grn-/-マウスにおける脳BMP 22:6レベルを改善しなかった。1000nMのTfR1親和性を有するTfR結合ドメインを含む構築物(カッパ例8)は、0.65±0.09の脳BMP 22:6レベルをもたらし、これは、この構築物が、脳内のPGRNのレベルを、PGRN単独又は処置なしよりも良好に改善したが、改善は、野生型マウスにおいて見られるPGRNの量に近づかなかったことを示した。予期せぬことに、より強い親和性(300nM)を有するTfR1結合ドメインを有する構築物(カッパ例7)は、Grn-/-マウスで見られたPGRNの量を改善しなかった。代わりに、300nMシャトルを有する構築物(カッパ例7)は、Grn-/-マウスにおけるPGRNのレベルは、未処置のGrn-/-マウス又はTfR1結合ドメインを含まないPGRNで処置したGrn-/-マウスで見られたPGRNのレベルと同等のレベルをもたらした。
【0134】
予期せぬことに、TfR1に対して10nMの親和性を有するTfR1結合ドメインを有する構築物(カッパ例6)は、Grn-/-マウスで見られたPGRNの量を改善した。実際に、10nMのTfR1結合ドメインを含む構築物で処置したGrn-/-マウスで見られたPGRNのレベルは、陽性対照(野生型マウス)と同様であった。表11及び図4のデータは、約10nMの親和性を有するTfR1結合ドメインを有する構築物が、結合したプログラニュリンドメインのBBBを通過する輸送をもたらし、Grn-/-マウスにおいて見られるPGRNレベルの欠乏を改善することを実証する。
【0135】
【表14】
【0136】
実施例7-TfRは、ソルチリン結合の非存在下でPGRN内部移行を媒介し、インビトロでカテプシンD代謝を促進した
PGRN欠損は、PGRN FTDにおけるカテプシンD調節不全をもたらすことが報告されている(Gotzl et al,Acta Neuropathol,2014)。したがって、HEK293細胞を、100ng/mLのヒトTfR又はソルチリン受容体に結合するか又は結合しないPGRN-TfR融合タンパク質で24時間処理した。細胞溶解物中の成熟カテプシンDレベルをELISAによって評価した。
【0137】
表12及び図5に示されるように、TfRは、ソルチリン結合の非存在下でPGRN内在化を媒介し、インビトロでカテプシンD代謝を促進した。図5に示すように、比較例2は、PGRNをHEK293細胞にシャトルすることができた。比較例2は、ソルチリンに結合することができるが、TfRには結合しない。しかしながら、8D3-PGRN-C90.43は、ソルリチン又はTfRに結合することができないため、PGRNをHEK293細胞にシャトルすることができなかった。予期せぬことに、8D3 Fab部分がH3.03で置換された場合、PGRNがHEK293細胞に効果的にシャトルされ得ることが見出された。1つの違いは、図5に示すように、H3.03がソルリチンではなくTfRに結合できることである。理論に束縛されることを望まないが、表12及び図5に示されるデータは、TfR結合が、BBBを通過してPGRNを輸送するためのソルチリン結合の有効な代替物であり得ることを実証すると考えられる。
【0138】
【表15】
【0139】
実施例8-タンパク質の品質に対するリンカーの影響
プログラニュリンリンカー変異体の精製特性を評価するために、リンカー変異体を含有する100mLのtCHO上清を、1カラムプロセスを使用して精製した。上清を、3カラム体積の3M Tris(pH 8.0)で予め平衡化した5mLの予め充填したHiTrap PrismA樹脂カラムに適用した。続いて、上清をロードしたカラムを、2.5カラム体積の20mM Tris(pH 7)、2.5カラム体積の20mM Tris、1M NaCl(pH 7)、及び2.5カラム体積の20mM Tris(pH 7)で洗浄した。5カラム体積の混合酸溶出緩衝液(20mM酢酸、5mMクエン酸)を適用することによって、融合タンパク質をPrismA樹脂から溶出した。PrismA溶出プールを1M Tris(pH 8)でpH 5に中和し、遠心分離し、0.22ミクロン滅菌フィルターに適用した。タンパク質濃度/収率を、計算された吸光係数を使用してA280で決定した。純度は、50mMリン酸、300mM NaCl(pH 7)緩衝液中の定組成溶離を用いるTSKgel UP-SW3000カラムでの分析用サイズ排除クロマトグラフィーで評価した。
【0140】
表13に示されるように、リンカーの長さが、(G4Q)~(G4Q)~(G4Q)に増加した場合、タンパク質の質及び純度は、両方の構築物の場合において増加した。
【0141】
【表16】
【0142】
配列表
プログラニュリン配列
配列番号1-ヒトプログラニュリン
TRCPDGQFCPVACCLDPGGASYSCCRPLLDKWPTTLSRHLGGPCQVDAHCSAGHSCIFTVSGTSSCCPFPEAVACGDGHHCCPRGFHCSADGRSCFQRSGNNSVGAIQCPDSQFECPDFSTCCVMVDGSWGCCPMPQASCCEDRVHCCPHGAFCDLVHTRCITPTGTHPLAKKLPAQRTNRAVALSSSVMCPDARSRCPDGSTCCELPSGKYGCCPMPNATCCSDHLHCCPQDTVCDLIQSKCLSKENATTDLLTKLPAHTVGDVKCDMEVSCPDGYTCCRLQSGAWGCCPFTQAVCCEDHIHCCPAGFTCDTQKGTCEQGPHQVPWMEKAPAHLSLPDPQALKRDVPCDNVSSCPSSDTCCQLTSGEWGCCPIPEAVCCSDHQHCCPQGYTCVAEGQCQRGSEIVAGLEKMPARRASLSHPRDIGCDQHTSCPVGQTCCPSLGGSWACCQLPHAVCCEDRQHCCPAGYTCNVKARSCEKEVVSAQPATFLARSPHVGVKDVECGEGHFCHDNQTCCRDNRQGWACCPYRQGVCCADRRHCCPAGFRCAARGTKCLRREAPRWDAPLRDPALRQLL
【0143】
配列番号2-ヒトプログラニュリンΔPGF
TPTGTHPLAKKLPAQRTNRAVALSSSVMCPDARSRCPDGSTCCELPSGKYGCCPMPNATCCSDHLHCCPQDTVCDLIQSKCLSKENATTDLLTKLPAHTVGDVKCDMEVSCPDGYTCCRLQSGAWGCCPFTQAVCCEDHIHCCPAGFTCDTQKGTCEQGPHQVPWMEKAPAHLSLPDPQALKRDVPCDNVSSCPSSDTCCQLTSGEWGCCPIPEAVCCSDHQHCCPQGYTCVAEGQCQRGSEIVAGLEKMPARRASLSHPRDIGCDQHTSCPVGQTCCPSLGGSWACCQLPHAVCCEDRQHCCPAGYTCNVKARSCEKEVVSAQPATFLARSPHVGVKDVECGEGHFCHDNQTCCRDNRQGWACCPYRQGVCCADRRHCCPAGFRCAARGTKCLRREAPRWDAPLRDPALRQLL
【0144】
配列番号3-PGRNdesQLL
TRCPDGQFCPVACCLDPGGASYSCCRPLLDKWPTTLSRHLGGPCQVDAHCSAGHSCIFTVSGTSSCCPFPEAVACGDGHHCCPRGFHCSADGRSCFQRSGNNSVGAIQCPDSQFECPDFSTCCVMVDGSWGCCPMPQASCCEDRVHCCPHGAFCDLVHTRCITPTGTHPLAKKLPAQRTNRAVALSSSVMCPDARSRCPDGSTCCELPSGKYGCCPMPNATCCSDHLHCCPQDTVCDLIQSKCLSKENATTDLLTKLPAHTVGDVKCDMEVSCPDGYTCCRLQSGAWGCCPFTQAVCCEDHIHCCPAGFTCDTQKGTCEQGPHQVPWMEKAPAHLSLPDPQALKRDVPCDNVSSCPSSDTCCQLTSGEWGCCPIPEAVCCSDHQHCCPQGYTCVAEGQCQRGSEIVAGLEKMPARRASLSHPRDIGCDQHTSCPVGQTCCPSLGGSWACCQLPHAVCCEDRQHCCPAGYTCNVKARSCEKEVVSAQPATFLARSPHVGVKDVECGEGHFCHDNQTCCRDNRQGWACCPYRQGVCCADRRHCCPAGFRCAARGTKCLRREAPRWDAPLQDPALR
【0145】
配列番号4-アミノ酸残基番号574~576でQLLがPILに変更されたヒトプログラニュリン
TRCPDGQFCPVACCLDPGGASYSCCRPLLDKWPTTLSRHLGGPCQVDAHCSAGHSCIFTVSGTSSCCPFPEAVACGDGHHCCPRGFHCSADGRSCFQRSGNNSVGAIQCPDSQFECPDFSTCCVMVDGSWGCCPMPQASCCEDRVHCCPHGAFCDLVHTRCITPTGTHPLAKKLPAQRTNRAVALSSSVMCPDARSRCPDGSTCCELPSGKYGCCPMPNATCCSDHLHCCPQDTVCDLIQSKCLSKENATTDLLTKLPAHTVGDVKCDMEVSCPDGYTCCRLQSGAWGCCPFTQAVCCEDHIHCCPAGFTCDTQKGTCEQGPHQVPWMEKAPAHLSLPDPQALKRDVPCDNVSSCPSSDTCCQLTSGEWGCCPIPEAVCCSDHQHCCPQGYTCVAEGQCQRGSEIVAGLEKMPARRASLSHPRDIGCDQHTSCPVGQTCCPSLGGSWACCQLPHAVCCEDRQHCCPAGYTCNVKARSCEKEVVSAQPATFLARSPHVGVKDVECGEGHFCHDNQTCCRDNRQGWACCPYRQGVCCADRRHCCPAGFRCAARGTKCLRREAPRWDAPLRDPALRPIL
【0146】
ペプチドリンカー
配列番号5-(G4Q)
GGGGQ
配列番号6-(G4Q)
GGGGQGGGGQ
配列番号7-(G4Q)
GGGGQGGGGQGGGGQ
配列番号8-(G4Q)
GGGGQGGGGQGGGGQGGGGQ
配列番号9-(G4Q)
GGGGQGGGGQGGGGQGGGGQGGGGQ
配列番号10-(G4S)
GGGGS
配列番号11-(G4S)
GGGGSGGGGS
配列番号12-(G4S)
GGGGSGGGGSGGGGS
配列番号13-(G4S)
GGGGSGGGGSGGGGSGGGGS
配列番号14-(G4S)
GGGGSGGGGSGGGGSGGGGSGGGGS
【0147】
TfR1結合ドメインとしてのFabの重鎖
配列番号15-H09 Fab重鎖
EVQLVESGGGLVKPGGSLRLSCVASGFTFSSYSMNWVRQAPGKGLEWVSSISSSSSYIYYADSVKGRFTISRDNAKNSLYLQMNSLRAEDTAVYYCARRHGYSNSDAFDNWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHT
配列番号16-H3.03 Fab重鎖
EVQLVESGGGLVKPGGSLRLSCVASGFTFSSYSMNWVRQAPGKGLEWVSSISRSSSYIYYADSVKGRFTISRDNAKNSLYLQMNSLRAEDTAVYYCARIHGYSNSDAFDKWGQGTLVTVSSASTKGPCVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHT
配列番号17-8d3 Fab重鎖
EVQLVESGGGLVQPGNSLTLSCVASGFTFSNYGMHWIRQAPKKGLEWIAMIYYDSSKMNYADTVKGRFTISRDNSKNTLYLEMNSLRSEDTAMYYCAVPTSHYVVDVWGQGVSVTVSSASTKGPCVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHT
配列番号18-10E10 Fab重鎖
QSLEESGGDLVKPEGSLTLTCTASGFSFSGSYWICWVRQAPGKGLEWIGCIYSTSGGRTYYASWVKGRFTISKTSSTTVTLQMTSLTAADTATYFCARGDDSISDAYFDLWGPGTLVTVSSASTKGPCVFPLAPCSRSTSESTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTKTYTCNVDHKPSNTKVDKRVESKYGPP
【0148】
TfR1結合ドメインとしてのFabの軽鎖
配列番号19-H09 Fab軽鎖
DIQMTQSPSAMSASVGDRVTITCRASQGISHYLVWFQQKPGKVPKRLIYAASSLQSGVPSRFSGSGSGTEFTLTISSLQPEDFATYYCLQHNSYPWTFGQGTKVEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC
配列番号20-8D3 Fab軽鎖
DIQMTQSPASLSASLEEIVTITCQASQDIGNWLAWYQQKPGKSPQLLIYGATSLADGVPSRFSGSRSGTQFSLKISRVQVEDIGIYYCLQAYNTPWTFGGGTKLELKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC
配列番号21-H3.03 Fab軽鎖
DIQMTQSPSAMSASVGDRVTITCRASQGISNYLAWFQQKPGKVPKRLIYAASSLQSGVPSRFSGSGSGTEFTLTISSLQPEDFATYYCLQHNSYPRTFGQGTKVEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC
配列番号22-10E10 Fab軽鎖
ALDMTQTASPVSAAVGGTVTINCQSSQSVYNNNRLAWYQQKPGQPPKLLIYDASTLASGVPSRFKGSGSGTQFTLTISGVQSDDSATYYCQGTYFSSGWSWAFGGGTEVVVKRADAAPTVSIFPPSSEQLTSGGASVVCFLNNFYPKDINVKWKIDGSERQNGVLNSWTDQDSKDSTYSMSSTLTLTKDEYERHNSYTCEATHKTSTSPIVKSFNRNEC
アルブミン結合ドメインとしてのV
配列番号23-C90.43 V
EVQLLESGGGLVQPGGSLRLSCAASGRYIDETAVAWFRQAPGKGREFVAGIGGGVDITYYADSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRPEDTAVYYCGARPGRPLITSKVADLYPYWGQGTLVTVSSPP
配列番号24-C80.43 V
EVQLLESGGGLVQPGGSLRLSCAASGRYIDETAVAWFRQAPGKGREFVAGIGGGVDITYYADSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRPEDTAVYYCAARPGRPLITSKVADLYPYWGQGTLVTVSSPP
【0149】
サンドイッチPGRNペイロード
配列番号25-H09 Fab-PGRN-C90.43重鎖
EVQLVESGGGLVKPGGSLRLSCVASGFTFSSYSMNWVRQAPGKGLEWVSSISSSSSYIYYADSVKGRFTISRDNAKNSLYLQMNSLRAEDTAVYYCARRHGYSNSDAFDNWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTGGGGQGGGGQGGGGQTRCPDGQFCPVACCLDPGGASYSCCRPLLDKWPTTLSRHLGGPCQVDAHCSAGHSCIFTVSGTSSCCPFPEAVACGDGHHCCPRGFHCSADGRSCFQRSGNNSVGAIQCPDSQFECPDFSTCCVMVDGSWGCCPMPQASCCEDRVHCCPHGAFCDLVHTRCITPTGTHPLAKKLPAQRTNRAVALSSSVMCPDARSRCPDGSTCCELPSGKYGCCPMPNATCCSDHLHCCPQDTVCDLIQSKCLSKENATTDLLTKLPAHTVGDVKCDMEVSCPDGYTCCRLQSGAWGCCPFTQAVCCEDHIHCCPAGFTCDTQKGTCEQGPHQVPWMEKAPAHLSLPDPQALKRDVPCDNVSSCPSSDTCCQLTSGEWGCCPIPEAVCCSDHQHCCPQGYTCVAEGQCQRGSEIVAGLEKMPARRASLSHPRDIGCDQHTSCPVGQTCCPSLGGSWACCQLPHAVCCEDRQHCCPAGYTCNVKARSCEKEVVSAQPATFLARSPHVGVKDVECGEGHFCHDNQTCCRDNRQGWACCPYRQGVCCADRRHCCPAGFRCAARGTKCLRREAPRWDAPLRDPALRQLLGGGGQGGGGQGGGGQEVQLLESGGGLVQPGGSLRLSCAASGRYIDETAVAWFRQAPGKGREFVAGIGGGVDITYYADSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRPEDTAVYYCGARPGRPLITSKVADLYPYWGQGTLVTVSSPP
配列番号26-H09 Fab-PGRNΔpGF-C90.43重鎖
EVQLVESGGGLVKPGGSLRLSCVASGFTFSSYSMNWVRQAPGKGLEWVSSISSSSSYIYYADSVKGRFTISRDNAKNSLYLQMNSLRAEDTAVYYCARRHGYSNSDAFDNWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTGGGGQGGGGQGGGGQTPTGTHPLAKKLPAQRTNRAVALSSSVMCPDARSRCPDGSTCCELPSGKYGCCPMPNATCCSDHLHCCPQDTVCDLIQSKCLSKENATTDLLTKLPAHTVGDVKCDMEVSCPDGYTCCRLQSGAWGCCPFTQAVCCEDHIHCCPAGFTCDTQKGTCEQGPHQVPWMEKAPAHLSLPDPQALKRDVPCDNVSSCPSSDTCCQLTSGEWGCCPIPEAVCCSDHQHCCPQGYTCVAEGQCQRGSEIVAGLEKMPARRASLSHPRDIGCDQHTSCPVGQTCCPSLGGSWACCQLPHAVCCEDRQHCCPAGYTCNVKARSCEKEVVSAQPATFLARSPHVGVKDVECGEGHFCHDNQTCCRDNRQGWACCPYRQGVCCADRRHCCPAGFRCAARGTKCLRREAPRWDAPLRDPALRQLLGGGGQGGGGQGGGGQEVQLLESGGGLVQPGGSLRLSCAASGRYIDETAVAWFRQAPGKGREFVAGIGGGVDITYYADSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRPEDTAVYYCGARPGRPLITSKVADLYPYWGQGTLVTVSSPP
配列番号27-8D3-PGRN-C90.43重鎖
EVQLVESGGGLVQPGNSLTLSCVASGFTFSNYGMHWIRQAPKKGLEWIAMIYYDSSKMNYADTVKGRFTISRDNSKNTLYLEMNSLRSEDTAMYYCAVPTSHYVVDVWGQGVSVTVSSASTKGPCVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTGGGGQGGGGQGGGGQTRCPDGQFCPVACCLDPGGASYSCCRPLLDKWPTTLSRHLGGPCQVDAHCSAGHSCIFTVSGTSSCCPFPEAVACGDGHHCCPRGFHCSADGRSCFQRSGNNSVGAIQCPDSQFECPDFSTCCVMVDGSWGCCPMPQASCCEDRVHCCPHGAFCDLVHTRCITPTGTHPLAKKLPAQRTNRAVALSSSVMCPDARSRCPDGSTCCELPSGKYGCCPMPNATCCSDHLHCCPQDTVCDLIQSKCLSKENATTDLLTKLPAHTVGDVKCDMEVSCPDGYTCCRLQSGAWGCCPFTQAVCCEDHIHCCPAGFTCDTQKGTCEQGPHQVPWMEKAPAHLSLPDPQALKRDVPCDNVSSCPSSDTCCQLTSGEWGCCPIPEAVCCSDHQHCCPQGYTCVAEGQCQRGSEIVAGLEKMPARRASLSHPRDIGCDQHTSCPVGQTCCPSLGGSWACCQLPHAVCCEDRQHCCPAGYTCNVKARSCEKEVVSAQPATFLARSPHVGVKDVECGEGHFCHDNQTCCRDNRQGWACCPYRQGVCCADRRHCCPAGFRCAARGTKCLRREAPRWDAPLRDPALRQLLGGGGQGGGGQGGGGQEVQLLESGGGLVQPGGSLRLSCAASGRYIDETAVAWFRQAPGKGREFVAGIGGGVDITYYADSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRPEDTAVYYCGARPGRPLITSKVADLYPYWGQGTLVTVSSPP
配列番号28-H3.03-PGRN-C90.43重鎖
EVQLVESGGGLVKPGGSLRLSCVASGFTFSSYSMNWVRQAPGKGLEWVSSISRSSSYIYYADSVKGRFTISRDNAKNSLYLQMNSLRAEDTAVYYCARIHGYSNSDAFDKWGQGTLVTVSSASTKGPCVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTGGGGQGGGGQGGGGQTRCPDGQFCPVACCLDPGGASYSCCRPLLDKWPTTLSRHLGGPCQVDAHCSAGHSCIFTVSGTSSCCPFPEAVACGDGHHCCPRGFHCSADGRSCFQRSGNNSVGAIQCPDSQFECPDFSTCCVMVDGSWGCCPMPQASCCEDRVHCCPHGAFCDLVHTRCITPTGTHPLAKKLPAQRTNRAVALSSSVMCPDARSRCPDGSTCCELPSGKYGCCPMPNATCCSDHLHCCPQDTVCDLIQSKCLSKENATTDLLTKLPAHTVGDVKCDMEVSCPDGYTCCRLQSGAWGCCPFTQAVCCEDHIHCCPAGFTCDTQKGTCEQGPHQVPWMEKAPAHLSLPDPQALKRDVPCDNVSSCPSSDTCCQLTSGEWGCCPIPEAVCCSDHQHCCPQGYTCVAEGQCQRGSEIVAGLEKMPARRASLSHPRDIGCDQHTSCPVGQTCCPSLGGSWACCQLPHAVCCEDRQHCCPAGYTCNVKARSCEKEVVSAQPATFLARSPHVGVKDVECGEGHFCHDNQTCCRDNRQGWACCPYRQGVCCADRRHCCPAGFRCAARGTKCLRREAPRWDAPLRDPALRQLLGGGGQGGGGQGGGGQEVQLLESGGGLVQPGGSLRLSCAASGRYIDETAVAWFRQAPGKGREFVAGIGGGVDITYYADSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRPEDTAVYYCGARPGRPLITSKVADLYPYWGQGTLVTVSSPP
【0150】
カッパPGRNペイロード
配列番号29-H09-C90.43重鎖
EVQLVESGGGLVKPGGSLRLSCVASGFTFSSYSMNWVRQAPGKGLEWVSSISSSSSYIYYADSVKGRFTISRDNAKNSLYLQMNSLRAEDTAVYYCARRHGYSNSDAFDNWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTGGGGQGGGGQGGGGQGGGGQGGGGQEVQLLESGGGLVQPGGSLRLSCAASGRYIDETAVAWFRQAPGKGREFVAGIGGGVDITYYADSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRPEDTAVYYCGARPGRPLITSKVADLYPYWGQGTLVTVSSPP
配列番号30-H09 PGRNdesQLL軽鎖
DIQMTQSPSAMSASVGDRVTITCRASQGISHYLVWFQQKPGKVPKRLIYAASSLQSGVPSRFSGSGSGTEFTLTISSLQPEDFATYYCLQHNSYPWTFGQGTKVEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGECGGGGQGGGGQGGGGQGGGGQGGGGQTRCPDGQFCPVACCLDPGGASYSCCRPLLDKWPTTLSRHLGGPCQVDAHCSAGHSCIFTVSGTSSCCPFPEAVACGDGHHCCPRGFHCSADGRSCFQRSGNNSVGAIQCPDSQFECPDFSTCCVMVDGSWGCCPMPQASCCEDRVHCCPHGAFCDLVHTRCITPTGTHPLAKKLPAQRTNRAVALSSSVMCPDARSRCPDGSTCCELPSGKYGCCPMPNATCCSDHLHCCPQDTVCDLIQSKCLSKENATTDLLTKLPAHTVGDVKCDMEVSCPDGYTCCRLQSGAWGCCPFTQAVCCEDHIHCCPAGFTCDTQKGTCEQGPHQVPWMEKAPAHLSLPDPQALKRDVPCDNVSSCPSSDTCCQLTSGEWGCCPIPEAVCCSDHQHCCPQGYTCVAEGQCQRGSEIVAGLEKMPARRASLSHPRDIGCDQHTSCPVGQTCCPSLGGSWACCQLPHAVCCEDRQHCCPAGYTCNVKARSCEKEVVSAQPATFLARSPHVGVKDVECGEGHFCHDNQTCCRDNRQGWACCPYRQGVCCADRRHCCPAGFRCAARGTKCLRREAPRWDAPLQDPALR
配列番号31-H09 PGRNΔpGF desQLL軽鎖
DIQMTQSPSAMSASVGDRVTITCRASQGISHYLVWFQQKPGKVPKRLIYAASSLQSGVPSRFSGSGSGTEFTLTISSLQPEDFATYYCLQHNSYPWTFGQGTKVEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGECGGGGQGGGGQGGGGQGGGGQGGGGQTPTGTHPLAKKLPAQRTNRAVALSSSVMCPDARSRCPDGSTCCELPSGKYGCCPMPNATCCSDHLHCCPQDTVCDLIQSKCLSKENATTDLLTKLPAHTVGDVKCDMEVSCPDGYTCCRLQSGAWGCCPFTQAVCCEDHIHCCPAGFTCDTQKGTCEQGPHQVPWMEKAPAHLSLPDPQALKRDVPCDNVSSCPSSDTCCQLTSGEWGCCPIPEAVCCSDHQHCCPQGYTCVAEGQCQRGSEIVAGLEKMPARRASLSHPRDIGCDQHTSCPVGQTCCPSLGGSWACCQLPHAVCCEDRQHCCPAGYTCNVKARSCEKEVVSAQPATFLARSPHVGVKDVECGEGHFCHDNQTCCRDNRQGWACCPYRQGVCCADRRHCCPAGFRCAARGTKCLRREAPRWDAPLRDPALR
配列番号32-H09 PGRN軽鎖
DIQMTQSPSAMSASVGDRVTITCRASQGISHYLVWFQQKPGKVPKRLIYAASSLQSGVPSRFSGSGSGTEFTLTISSLQPEDFATYYCLQHNSYPWTFGQGTKVEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGECGGGGQGGGGQGGGGQGGGGQGGGGQTRCPDGQFCPVACCLDPGGASYSCCRPLLDKWPTTLSRHLGGPCQVDAHCSAGHSCIFTVSGTSSCCPFPEAVACGDGHHCCPRGFHCSADGRSCFQRSGNNSVGAIQCPDSQFECPDFSTCCVMVDGSWGCCPMPQASCCEDRVHCCPHGAFCDLVHTRCITPTGTHPLAKKLPAQRTNRAVALSSSVMCPDARSRCPDGSTCCELPSGKYGCCPMPNATCCSDHLHCCPQDTVCDLIQSKCLSKENATTDLLTKLPAHTVGDVKCDMEVSCPDGYTCCRLQSGAWGCCPFTQAVCCEDHIHCCPAGFTCDTQKGTCEQGPHQVPWMEKAPAHLSLPDPQALKRDVPCDNVSSCPSSDTCCQLTSGEWGCCPIPEAVCCSDHQHCCPQGYTCVAEGQCQRGSEIVAGLEKMPARRASLSHPRDIGCDQHTSCPVGQTCCPSLGGSWACCQLPHAVCCEDRQHCCPAGYTCNVKARSCEKEVVSAQPATFLARSPHVGVKDVECGEGHFCHDNQTCCRDNRQGWACCPYRQGVCCADRRHCCPAGFRCAARGTKCLRREAPRWDAPLQDPALRQLL
配列番号33-H09 PGRNΔpGF軽鎖
DIQMTQSPSAMSASVGDRVTITCRASQGISHYLVWFQQKPGKVPKRLIYAASSLQSGVPSRFSGSGSGTEFTLTISSLQPEDFATYYCLQHNSYPWTFGQGTKVEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGECGGGGQGGGGQGGGGQGGGGQGGGGQTPTGTHPLAKKLPAQRTNRAVALSSSVMCPDARSRCPDGSTCCELPSGKYGCCPMPNATCCSDHLHCCPQDTVCDLIQSKCLSKENATTDLLTKLPAHTVGDVKCDMEVSCPDGYTCCRLQSGAWGCCPFTQAVCCEDHIHCCPAGFTCDTQKGTCEQGPHQVPWMEKAPAHLSLPDPQALKRDVPCDNVSSCPSSDTCCQLTSGEWGCCPIPEAVCCSDHQHCCPQGYTCVAEGQCQRGSEIVAGLEKMPARRASLSHPRDIGCDQHTSCPVGQTCCPSLGGSWACCQLPHAVCCEDRQHCCPAGYTCNVKARSCEKEVVSAQPATFLARSPHVGVKDVECGEGHFCHDNQTCCRDNRQGWACCPYRQGVCCADRRHCCPAGFRCAARGTKCLRREAPRWDAPLRDPALRQLL
配列番号34-10E10-C80.43重鎖
QSLEESGGDLVKPEGSLTLTCTASGFSFSGSYWICWVRQAPGKGLEWIGCIYSTSGGRTYYASWVKGRFTISKTSSTTVTLQMTSLTAADTATYFCARGDDSISDAYFDLWGPGTLVTVSSASTKGPCVFPLAPCSRSTSESTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTKTYTCNVDHKPSNTKVDKRVESKYGPPGGGGQGGGGQGGGGQGGGGQGGGGQEVQLLESGGGLVQPGGSLRLSCAASGRYIDETAVAWFRQAPGKGREFVAGIGGGVDITYYADSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRPEDTAVYYCAARPGRPLITSKVADLYPYWGQGTLVTVSSPP
配列番号35-10E10 PGRN軽鎖
ALDMTQTASPVSAAVGGTVTINCQSSQSVYNNNRLAWYQQKPGQPPKLLIYDASTLASGVPSRFKGSGSGTQFTLTISGVQSDDSATYYCQGTYFSSGWSWAFGGGTEVVVKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGECGGGGQGGGGQGGGGQGGGGQGGGGQTRCPDGQFCPVACCLDPGGASYSCCRPLLDKWPTTLSRHLGGPCQVDAHCSAGHSCIFTVSGTSSCCPFPEAVACGDGHHCCPRGFHCSADGRSCFQRSGNNSVGAIQCPDSQFECPDFSTCCVMVDGSWGCCPMPQASCCEDRVHCCPHGAFCDLVHTRCITPTGTHPLAKKLPAQRTNRAVALSSSVMCPDARSRCPDGSTCCELPSGKYGCCPMPNATCCSDHLHCCPQDTVCDLIQSKCLSKENATTDLLTKLPAHTVGDVKCDMEVSCPDGYTCCRLQSGAWGCCPFTQAVCCEDHIHCCPAGFTCDTQKGTCEQGPHQVPWMEKAPAHLSLPDPQALKRDVPCDNVSSCPSSDTCCQLTSGEWGCCPIPEAVCCSDHQHCCPQGYTCVAEGQCQRGSEIVAGLEKMPARRASLSHPRDIGCDQHTSCPVGQTCCPSLGGSWACCQLPHAVCCEDRQHCCPAGYTCNVKARSCEKEVVSAQPATFLARSPHVGVKDVECGEGHFCHDNQTCCRDNRQGWACCPYRQGVCCADRRHCCPAGFRCAARGTKCLRREAPRWDAPLRDPALRQLL
配列番号36-10E10 PGRNΔpGF軽鎖
ALDMTQTASPVSAAVGGTVTINCQSSQSVYNNNRLAWYQQKPGQPPKLLIYDASTLASGVPSRFKGSGSGTQFTLTISGVQSDDSATYYCQGTYFSSGWSWAFGGGTEVVVKRADAAPTVSIFPPSSEQLTSGGASVVCFLNNFYPKDINVKWKIDGSERQNGVLNSWTDQDSKDSTYSMSSTLTLTKDEYERHNSYTCEATHKTSTSPIVKSFNRNECGGGGQGGGGQGGGGQGGGGQGGGGQTPTGTHPLAKKLPAQRTNRAVALSSSVMCPDARSRCPDGSTCCELPSGKYGCCPMPNATCCSDHLHCCPQDTVCDLIQSKCLSKENATTDLLTKLPAHTVGDVKCDMEVSCPDGYTCCRLQSGAWGCCPFTQAVCCEDHIHCCPAGFTCDTQKGTCEQGPHQVPWMEKAPAHLSLPDPQALKRDVPCDNVSSCPSSDTCCQLTSGEWGCCPIPEAVCCSDHQHCCPQGYTCVAEGQCQRGSEIVAGLEKMPARRASLSHPRDIGCDQHTSCPVGQTCCPSLGGSWACCQLPHAVCCEDRQHCCPAGYTCNVKARSCEKEVVSAQPATFLARSPHVGVKDVECGEGHFCHDNQTCCRDNRQGWACCPYRQGVCCADRRHCCPAGFRCAARGTKCLRREAPRWDAPLRDPALRQLL
配列番号37-10E10 R32W(300nM)PGRN軽鎖
ALDMTQTASPVSAAVGGTVTINCQSSQSVYNNNWLAWYQQKPGQPPKLLIYDASTLASGVPSRFKGSGSGTQFTLTISGVQSDDSATYYCQGTYFSSGWSWAFGGGTEVVVKRADAAPTVSIFPPSSEQLTSGGASVVCFLNNFYPKDINVKWKIDGSERQNGVLNSWTDQDSKDSTYSMSSTLTLTKDEYERHNSYTCEATHKTSTSPIVKSFNRNECGGGGQGGGGQGGGGQGGGGQGGGGQTRCPDGQFCPVACCLDPGGASYSCCRPLLDKWPTTLSRHLGGPCQVDAHCSAGHSCIFTVSGTSSCCPFPEAVACGDGHHCCPRGFHCSADGRSCFQRSGNNSVGAIQCPDSQFECPDFSTCCVMVDGSWGCCPMPQASCCEDRVHCCPHGAFCDLVHTRCITPTGTHPLAKKLPAQRTNRAVALSSSVMCPDARSRCPDGSTCCELPSGKYGCCPMPNATCCSDHLHCCPQDTVCDLIQSKCLSKENATTDLLTKLPAHTVGDVKCDMEVSCPDGYTCCRLQSGAWGCCPFTQAVCCEDHIHCCPAGFTCDTQKGTCEQGPHQVPWMEKAPAHLSLPDPQALKRDVPCDNVSSCPSSDTCCQLTSGEWGCCPIPEAVCCSDHQHCCPQGYTCVAEGQCQRGSEIVAGLEKMPARRASLSHPRDIGCDQHTSCPVGQTCCPSLGGSWACCQLPHAVCCEDRQHCCPAGYTCNVKARSCEKEVVSAQPATFLARSPHVGVKDVECGEGHFCHDNQTCCRDNRQGWACCPYRQGVCCADRRHCCPAGFRCAARGTKCLRREAPRWDAPLRDPALRQLL
配列番号38-10E10 T52G PGRN軽鎖(1000nM)
AIDMTQTASPVSAAVGGTVTINCQSSQSVYNNNRLAWYQQKPGQPPKLLIYGASTLASGVPSRFKGSGSGTQFTLTISGVQCDDSATYYCQGTYFSSGWSWAFGGGTEVVVKRADAAPTVSIFPPSSEQLTSGGASVVCFLNNFYPKDINVKWKIDGSERQNGVLNSWTDQDSKDSTYSMSSTLTLTKDEYERHNSYTCEATHKTSTSPIVKSFNRNECGGGGQGGGGQGGGGQGGGGQGGGGQTRCPDGQFCPVACCLDPGGASYSCCRPLLDKWPTTLSRHLGGPCQVDAHCSAGHSCIFTVSGTSSCCPFPEAVACGDGHHCCPRGFHCSADGRSCFQRSGNNSVGAIQCPDSQFECPDFSTCCVMVDGSWGCCPMPQASCCEDRVHCCPHGAFCDLVHTRCITPTGTHPLAKKLPAQRTNRAVALSSSVMCPDARSRCPDGSTCCELPSGKYGCCPMPNATCCSDHLHCCPQDTVCDLIQSKCLSKENATTDLLTKLPAHTVGDVKCDMEVSCPDGYTCCRLQSGAWGCCPFTQAVCCEDHIHCCPAGFTCDTQKGTCEQGPHQVPWMEKAPAHLSLPDPQALKRDVPCDNVSSCPSSDTCCQLTSGEWGCCPIPEAVCCSDHQHCCPQGYTCVAEGQCQRGSEIVAGLEKMPARRASLSHPRDIGCDQHTSCPVGQTCCPSLGGSWACCQLPHAVCCEDRQHCCPAGYTCNVKARSCEKEVVSAQPATFLARSPHVGVKDVECGEGHFCHDNQTCCRDNRQGWACCPYRQGVCCADRRHCCPAGFRCAARGTKCLRREAPRWDAPLRDPALRQLL
【0151】
ノブ及びホール
配列番号39-scFv 8D3-hIgG1-LALAノブ
EVQLVESGGGLVQPGNSLTLSCVASGFTFSNYGMHWIRQAPKKCLEWIAMIYYDSSKMNYADTVKGRFTISRDNSKNTLYLEMNSLRSEDTAMYYCAVPTSHYVVDVWGQGVSVTVSSGGGGSGGGGSGGGGSGGGGSGGGGSDIQMTQSPASLSASLEEIVTITCQASQDIGNWLAWYQQKPGKSPQLLIYGATSLADGVPSRFSGSRSGTQFSLKISRVQVEDIGIYYCLQAYNTPWTFGCGTKLELKGGGGQGGGGQGGGGQDKTHTCPPCPAPEAAGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLWCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK
配列番号40-hIgG1 LALAホール-PGRN
DKTHTCPPCPAPEAAGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLSCAVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLVSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGKGGGGSGGGGSTRCPDGQFCPVACCLDPGGASYSCCRPLLDKWPTTLSRHLGGPCQVDAHCSAGHSCIFTVSGTSSCCPFPEAVACGDGHHCCPRGFHCSADGRSCFQRSGNNSVGAIQCPDSQFECPDFSTCCVMVDGSWGCCPMPQASCCEDRVHCCPHGAFCDLVHTRCITPTGTHPLAKKLPAQRTNRAVALSSSVMCPDARSRCPDGSTCCELPSGKYGCCPMPNATCCSDHLHCCPQDTVCDLIQSKCLSKENATTDLLTKLPAHTVGDVKCDMEVSCPDGYTCCRLQSGAWGCCPFTQAVCCEDHIHCCPAGFTCDTQKGTCEQGPHQVPWMEKAPAHLSLPDPQALKRDVPCDNVSSCPSSDTCCQLTSGEWGCCPIPEAVCCSDHQHCCPQGYTCVAEGQCQRGSEIVAGLEKMPARRASLSHPRDIGCDQHTSCPVGQTCCPSLGGSWACCQLPHAVCCEDRQHCCPAGYTCNVKARSCEKEVVSAQPATFLARSPHVGVKDVECGEGHFCHDNQTCCRDNRQGWACCPYRQGVCCADRRHCCPAGFRCAARGTKCLRREAPRWDAPLRDPALRQLL
配列番号41-3F5軽鎖
AEVVMTQTPSSVSAAVGGTVTIKCQASQNINSWLSWYQQKPGQRPKLLIYSASTLASGVPSRFEGSGSGTEYTLTISDLECDDAATYYCQSSYGSSYDFGGGTEVVVKGDLVAPTVLIFPPAADQVATGTVTIVCVANKYFPDVTVTWEVDGTTQTTGIENSKTPQNSADCTYNLSSTLTLTSTQYNSHKEYTCKVTQGTTSVVQSFNRGDC
配列番号42-3F5 hIgG1 LALAノブ
QVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCTASGFSFSSGYWICWVRQAPGQGLEWMGCIHSVRSHMTYYAQKFQGRVTITADKSTSTAYMELSSLRSEDTAVYYCARDASGVWNYFTLWGQGTLVTVSSASTKGPCVFPLAPCSRSTSESTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTKTYTCNVDHKPSNTKVDKRVESKYCPPCPAPEAAGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLWCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK
配列番号43-断端hIgG1 TV LALAノブ
TRCPDGQFCPVACCLDPGGASYSCCRPLLDKWPTTLSRHLGGPCQVDAHCSAGHSCIFTVSGTSSCCPFPEAVACGDGHHCCPRGFHCSADGRSCFQRSGNNSVGAIQCPDSQFECPDFSTCCVMVDGSWGCCPMPQASCCEDRVHCCPHGAFCDLVHTRCITPTGTHPLAKKLPAQRTNRAVALSSSVMCPDARSRCPDGSTCCELPSGKYGCCPMPNATCCSDHLHCCPQDTVCDLIQSKCLSKENATTDLLTKLPAHTVGDVKCDMEVSCPDGYTCCRLQSGAWGCCPFTQAVCCEDHIHCCPAGFTCDTQKGTCEQGPHQVPWMEKAPAHLSLPDPQALKRDVPCDNVSSCPSSDTCCQLTSGEWGCCPIPEAVCCSDHQHCCPQGYTCVAEGQCQRGSEIVAGLEKMPARRASLSHPRDIGCDQHTSCPVGQTCCPSLGGSWACCQLPHAVCCEDRQHCCPAGYTCNVKARSCEKEVVSAQPATFLARSPHVGVKDVECGEGHFCHDNQTCCRDNRQGWACCPYRQGVCCADRRHCCPAGFRCAARGTKCLRREAPRWDAPLRDPALRQLLGGGGSGGGGSDKTHTCPPCPAPEAAGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLSCAVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLVSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK
配列番号44-断端hIgG1 LALAノブ
DKTHTCPPCPAPEAAGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKAPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLWCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK
【0152】
TfR1結合ドメイン相補性決定領域
配列番号45-重鎖VH CDR1-North
VASGFTFSSYSMN
配列番号46-重鎖VH CDR2-Kabat
SISSSSSYIYYADSVKG
配列番号47-重鎖VH CDR3-North
ARRHGYSNSDAFDN
配列番号48-軽鎖カッパCDR1-North
RASQGISHYLV
配列番号49-軽鎖カッパCDR2-North
YAASSLQS
配列番号50-軽鎖カッパCDR3-North
LQHNSYPWT
【0153】
アルブミン結合ドメイン相補性決定領域
配列番号51-C90.43 CDR1
AASGRYIDETAVA
配列番号52-C90.43 CDR2
GIGGGVDITYYADSVKG
配列番号53-C90.43 CDR3
GARPGRPLITSKVADLYPY
【0154】
TfR1結合ドメイン可変重鎖(V
配列番号54-H09 Fab V(HCVR)
EVQLVESGGGLVKPGGSLRLSCVASGFTFSSYSMNWVRQAPGKGLEWVSSISSSSSYIYYADSVKGRFTISRDNAKNSLYLQMNSLRAEDTAVYYCARRHGYSNSDAFDNWGQGTLVTVSS
【0155】
他の配列
配列番号55-Hisタグ付きPGRN
HHHHHHGGGGQGGGGQGGGGQENLYFQSGGGGQTRCPDGQFCPVACCLDPGGASYSCCRPLLDKWPTTLSRHLGGPCQVDAHCSAGHSCIFTVSGTSSCCPFPEAVACGDGHHCCPRGFHCSADGRSCFQRSGNNSVGAIQCPDSQFECPDFSTCCVMVDGSWGCCPMPQASCCEDRVHCCPHGAFCDLVHTRCITPTGTHPLAKKLPAQRTNRAVALSSSVMCPDARSRCPDGSTCCELPSGKYGCCPMPNATCCSDHLHCCPQDTVCDLIQSKCLSKENATTDLLTKLPAHTVGDVKCDMEVSCPDGYTCCRLQSGAWGCCPFTQAVCCEDHIHCCPAGFTCDTQKGTCEQGPHQVPWMEKAPAHLSLPDPQALKRDVPCDNVSSCPSSDTCCQLTSGEWGCCPIPEAVCCSDHQHCCPQGYTCVAEGQCQRGSEIVAGLEKMPARRASLSHPRDIGCDQHTSCPVGQTCCPSLGGSWACCQLPHAVCCEDRQHCCPAGYTCNVKARSCEKEVVSAQPATFLARSPHVGVKDVECGEGHFCHDNQTCCRDNRQGWACCPYRQGVCCADRRHCCPAGFRCAARGTKCLRREAPRWDAPLRDPALRQLL
【0156】
TfR1結合ドメイン相補性決定領域
配列番号56-重鎖VH CDR2-North
SISSSSSYIY
配列番号57-重鎖VH CDR1-Kabat
SYSMN
配列番号58-重鎖VH CDR3-Kabat
RHGYSNSDAFDN
配列番号59-軽鎖カッパCDR1-Kabat
RASQGISHYLV
配列番号60-軽鎖カッパCDR2-Kabat
AASSLQS
配列番号61-軽鎖カッパCDR3-Kabat
LQHNSYPWT
配列番号62-重鎖VH CDR1-IMGT
GFTFSSYS
配列番号63-重鎖VH CDR2-IMGT
ISSSSSYI
配列番号64-重鎖VH CDR3-IMGT
ARRHGYSNSDAFDN
配列番号65-軽鎖カッパ鎖CDR1-IMGT
QGISHY
配列番号66-軽鎖カッパ鎖CDR2-IMGT
AAS
配列番号67-軽鎖カッパ鎖CDR3-IMGT
LQHNSYPWT
配列番号68-重鎖VH CDR1-Chothia
GFTFSSY
配列番号69-重鎖VH CDR2-Chothia
SSSSSY
配列番号70-重鎖VH CDR3-Chothia
RHGYSNSDAFDN
配列番号71-軽鎖カッパCDR1-Chothia
RASQGISHYLV
配列番号72-軽鎖カッパCDR2-Chothia
AASSLQS
配列番号73-軽鎖カッパCDR3-Chothia
LQHNSYPWT
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【配列表】
2025003404000001.xml
【手続補正書】
【提出日】2024-10-11
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)プログラニュリンドメインと、
(b)トランスフェリン受容体1(TfR1)結合ドメインであって、重鎖可変領域(VH)及び軽鎖可変領域(VL)を含み、前記VHが、重鎖相補性決定領域(HCDR)HCDR1、HCDR2及びHCDR3を含み、前記VLが、軽鎖相補性決定領域(LCDR)LCDR1、LCDR2及びLCDR3を含む、TfR1結合ドメインと、
を含む、化合物であって、
HCDR1のアミノ酸配列が、配列番号45であり、
HCDR2のアミノ酸配列が、配列番号46であり、
HCDR3のアミノ酸配列が、配列番号47であり、
LCDR1のアミノ酸配列が、配列番号48であり、
LCDR2のアミノ酸配列が、配列番号49であり、
LCDR3のアミノ酸配列が、配列番号50である、化合物。
【請求項2】
前記化合物が、アルブミン結合ドメインを更に含み、前記アルブミン結合ドメインが、相補性決定領域(CDR)CDR1、CDR2、及びCDR3を含み、
CDR1のアミノ酸配列が、配列番号51であり、
CDR2のアミノ酸配列が、配列番号52であり、
CDR3のアミノ酸配列が、配列番号53である、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
前記TfR1結合ドメインが、第1のリンカーを用いて前記プログラニュリンドメインに連結され、前記アルブミン結合ドメインが、第2のリンカーを用いて前記プログラニュリンドメイン又は前記TfR1結合ドメインに連結されている、請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
前記化合物が、式:
Y-L-X-L-Z又はZ-L-Y-L-Xの化合物であり、
式中、Xが、前記プログラニュリンドメインであり、
Yが、前記TfR1結合ドメインであり、
Zが、前記アルブミン結合ドメインであり、
が、前記第1のリンカーであり
が、前記第2のリンカーである、請求項2又は3に記載の化合物。
【請求項5】
前記化合物が、式:
Y-L-X-L-Zの化合物であり、
前記TfR1結合ドメインが、前記プログラニュリンドメインのN末端で前記プログラニュリンドメインに連結され、前記アルブミン結合ドメインが、前記プログラニュリンドメインのC末端で前記プログラニュリンに連結されている、請求項4に記載の化合物。
【請求項6】
前記TfR1結合ドメイン及び前記アルブミン結合ドメインが、二量体を形成していない、請求項2~5のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項7】
前記TfR1結合ドメインが、Fab領域であり、前記第1のリンカーが、前記TfR1結合ドメインの重鎖又は前記TfR1結合ドメインの軽鎖に結合している、請求項3~6のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項8】
前記TfR1結合ドメインが、ヒトTfR1受容体に対して約1nM~約100nM、約5nM~20nM未満、又は約10nMの親和性を有する、請求項1~7のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項9】
前記TfR1結合ドメインが、
(a)重鎖であって、前記重鎖のアミノ酸配列が、配列番号15、配列番号16、配列番号17、又は配列番号18である、重鎖、及び
(b)軽鎖であって、前記軽鎖のアミノ酸配列が、配列番号19、配列番号20、配列番号21、又は配列番号22である、軽鎖、を含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項10】
前記TfR1結合ドメインが、重鎖(HC)及び軽鎖(LC)を含み、前記HCのアミノ酸配列が、配列番号15であり、前記LCのアミノ酸配列が、配列番号19である、請求項1~9のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項11】
前記アルブミン結合ドメインが、VH抗体断片である、請求項2~10のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項12】
前記アルブミン結合ドメインが、Lを介して前記プログラニュリンドメインの前記C末端に結合している、請求項3~11のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項13】
前記アルブミン結合ドメインのアミノ酸配列が、配列番号23又は配列番号24である、請求項1~22のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項14】
及びLが、独立して、共有結合、ペプチドリンカー、PEGリンカー、ジスルフィド結合、チオアセタール結合、又はチオエステル結合から選択される、請求項3~13のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項15】
及びLが、同一である、請求項3~14のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項16】
及びLのアミノ酸配列が、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、又は配列番号14であり、好ましくは、L及びLのアミノ酸配列が、配列番号7である、請求項3~15のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項17】
前記プログラニュリンドメインが、天然に存在する配列である、請求項1~16のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項18】
前記プログラニュリンドメインが、プログラニュリンの断片を含み、前記プログラニュリンの断片のアミノ酸配列が、配列番号2である、請求項1~17のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項19】
前記プログラニュリンドメインのアミノ酸配列が、配列番号1である、請求項1~18のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項20】
前記化合物が、配列番号25、配列番号26、又は配列番号29によって与えられるアミノ酸配列に対して少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有する重鎖を含む、請求項1~19のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項21】
前記化合物が、配列番号19、配列番号32、又は配列番号33によって与えられるアミノ酸配列に対して少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有する軽鎖を含む、請求項1~20のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項22】
前記化合物が、
(a)重鎖であって、前記重鎖のアミノ酸配列が、配列番号25、配列番号26、又は配列番号29である、重鎖、及び
(b)軽鎖であって、前記軽鎖のアミノ酸配列が、配列番号19、配列番号32、又は配列番号33である、軽鎖、を含む、請求項1~21のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項23】
前記化合物が、重鎖(HC)及び軽鎖(LC)を含み、前記HCのアミノ酸配列が、配列番号25であり、前記LCのアミノ酸配列が、配列番号19である、請求項1~22のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項24】
前記化合物が、重鎖(HC)及び軽鎖(LC)を含み、前記HCのアミノ酸配列が、配列番号26であり、前記LCのアミノ酸配列が、配列番号19である、請求項1~23のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項25】
前記化合物が、重鎖(HC)及び軽鎖(LC)を含み、前記HCのアミノ酸配列が、配列番号29であり、前記LCのアミノ酸配列が、配列番号32である、請求項1~24のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項26】
前記化合物が、重鎖(HC)及び軽鎖(LC)を含み、前記HCのアミノ酸配列が、配列番号29であり、前記LCのアミノ酸配列が、配列番号33である、請求項1~25のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項27】
配列番号25によって与えられるアミノ酸配列に対して少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む化合物であって、好ましくは、配列番号25によって与えられるアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、化合物。
【請求項28】
前記化合物が、重鎖(HC)及び軽鎖(LC)を含み、前記HCのアミノ酸配列が、配列番号25であり、前記LCのアミノ酸配列が、配列番号19である、請求項27に記載の化合物。
【請求項29】
配列番号26によって与えられるアミノ酸配列に対して少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む化合物であって、好ましくは、配列番号26によって与えられるアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、化合物。
【請求項30】
前記化合物が、重鎖(HC)及び軽鎖(LC)を含み、前記HCのアミノ酸配列が、配列番号26であり、前記LCのアミノ酸配列が、配列番号19である、請求項29に記載の化合物。
【請求項31】
プログラニュリン断片を含む化合物であって、前記プログラニュリン断片のアミノ酸配列が、配列番号2である、化合物。
【請求項32】
前記プログラニュリン断片が、100残基~500残基の長さである、請求項31に記載の化合物。
【請求項33】
11型神経系セロイドリポフスチン症、前頭側頭型認知症、アルツハイマー疾患、パーキンソン疾患、筋萎縮性側索硬化症、又はそれらの組み合わせの治療に使用するための、請求項1~32のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項34】
障害を治療する方法に用いるための医薬組成物であって、
前記方法が、請求項1~32のいずれか一項に記載の化合物を、それを必要とする患者に投与することを含
前記医薬組成物が、請求項1~32のいずれか一項に記載の化合物を含む、医薬組成物
【請求項35】
前記障害が、11型神経系セロイドリポフスチン症、前頭側頭型認知症、アルツハイマー疾患、パーキンソン疾患、筋萎縮性側索硬化症、又はそれらの組み合わせである、請求項34に記載の医薬組成物
【請求項36】
治療使用するための、請求項1~32のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項37】
11型神経系セロイドリポフスチン症、前頭側頭型認知症、アルツハイマー疾患、パーキンソン疾患、筋萎縮性側索硬化症、又はそれらの組み合わせの治療に使用するための、請求項1~32のいずれか一項に記載の化合物を含む医薬組成物。
【請求項38】
11型神経系セロイドリポフスチン症、前頭側頭型認知症、アルツハイマー疾患、パーキンソン疾患、筋萎縮性側索硬化症、又はそれらの組み合わせの治療のための医薬の製造における、請求項1~32のいずれか一項に記載の化合物の使用。
【請求項39】
請求項1~32のいずれか一項に記載の化合物と、薬学的に許容される担体と、を含む医薬組成物。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0156
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0156】
TfR1結合ドメイン相補性決定領域
配列番号56-重鎖VH CDR2-North
SISSSSSYIY
配列番号57-重鎖VH CDR1-Kabat
SYSMN
配列番号58-重鎖VH CDR3-Kabat
RHGYSNSDAFDN
配列番号59-軽鎖カッパCDR1-Kabat
RASQGISHYLV
配列番号60-軽鎖カッパCDR2-Kabat
AASSLQS
配列番号61-軽鎖カッパCDR3-Kabat
LQHNSYPWT
配列番号62-重鎖VH CDR1-IMGT
GFTFSSYS
配列番号63-重鎖VH CDR2-IMGT
ISSSSSYI
配列番号64-重鎖VH CDR3-IMGT
ARRHGYSNSDAFDN
配列番号65-軽鎖カッパ鎖CDR1-IMGT
QGISHY
配列番号66-軽鎖カッパ鎖CDR2-IMGT
AAS
配列番号67-軽鎖カッパ鎖CDR3-IMGT
LQHNSYPWT
配列番号68-重鎖VH CDR1-Chothia
GFTFSSY
配列番号69-重鎖VH CDR2-Chothia
SSSSSY
配列番号70-重鎖VH CDR3-Chothia
RHGYSNSDAFDN
配列番号71-軽鎖カッパCDR1-Chothia
RASQGISHYLV
配列番号72-軽鎖カッパCDR2-Chothia
AASSLQS
配列番号73-軽鎖カッパCDR3-Chothia
LQHNSYPWT

本発明は、以下の態様を含む。
<1>
(a)プログラニュリンドメインと、
(b)トランスフェリン受容体1(TfR1)結合ドメインであって、重鎖可変領域(VH)及び軽鎖可変領域(VL)を含み、前記VHが、重鎖相補性決定領域(HCDR)HCDR1、HCDR2及びHCDR3を含み、前記VLが、軽鎖相補性決定領域(LCDR)LCDR1、LCDR2及びLCDR3を含む、TfR1結合ドメインと、
を含む、化合物であって、
HCDR1のアミノ酸配列が、配列番号45であり、
HCDR2のアミノ酸配列が、配列番号46であり、
HCDR3のアミノ酸配列が、配列番号47であり、
LCDR1のアミノ酸配列が、配列番号48であり、
LCDR2のアミノ酸配列が、配列番号49であり、
LCDR3のアミノ酸配列が、配列番号50である、化合物。
<2>
前記化合物が、アルブミン結合ドメインを更に含み、前記アルブミン結合ドメインが、相補性決定領域(CDR)CDR1、CDR2、及びCDR3を含み、
CDR1のアミノ酸配列が、配列番号51であり、
CDR2のアミノ酸配列が、配列番号52であり、
CDR3のアミノ酸配列が、配列番号53である、<1>に記載の化合物。
<3>
前記TfR1結合ドメインが、第1のリンカーを用いて前記プログラニュリンドメインに連結され、前記アルブミン結合ドメインが、第2のリンカーを用いて前記プログラニュリンドメイン又は前記TfR1結合ドメインに連結されている、<2>に記載の化合物。
<4>
前記化合物が、式:
Y-L -X-L -Z又はZ-L -Y-L -Xの化合物であり、
式中、Xが、前記プログラニュリンドメインであり、
Yが、前記TfR1結合ドメインであり、
Zが、前記アルブミン結合ドメインであり、
が、前記第1のリンカーであり
が、前記第2のリンカーである、<2>又は<3>に記載の化合物。
<5>
前記化合物が、式:
Y-L -X-L -Zの化合物であり、
前記TfR1結合ドメインが、前記プログラニュリンドメインのN末端で前記プログラニュリンドメインに連結され、前記アルブミン結合ドメインが、前記プログラニュリンドメインのC末端で前記プログラニュリンに連結されている、<4>に記載の化合物。
<6>
前記TfR1結合ドメイン及び前記アルブミン結合ドメインが、二量体を形成していない、<2>~<5>のいずれかに記載の化合物。
<7>
前記TfR1結合ドメインが、Fab領域であり、前記第1のリンカーが、前記TfR1結合ドメインの重鎖又は前記TfR1結合ドメインの軽鎖に結合している、<3>~<6>のいずれかに記載の化合物。
<8>
前記TfR1結合ドメインが、ヒトTfR1受容体に対して約1nM~約100nM、約5nM~20nM未満、又は約10nMの親和性を有する、<1>~<7>のいずれかに記載の化合物。
<9>
前記TfR1結合ドメインが、
(a)重鎖であって、前記重鎖のアミノ酸配列が、配列番号15、配列番号16、配列番号17、又は配列番号18である、重鎖、及び
(b)軽鎖であって、前記軽鎖のアミノ酸配列が、配列番号19、配列番号20、配列番号21、又は配列番号22である、軽鎖、を含む、<1>~<8>のいずれかに記載の化合物。
<10>
前記TfR1結合ドメインが、重鎖(HC)及び軽鎖(LC)を含み、前記HCのアミノ酸配列が、配列番号15であり、前記LCのアミノ酸配列が、配列番号19である、<1>~<9>のいずれかに記載の化合物。
<11>
前記アルブミン結合ドメインが、V H抗体断片である、<2>~<10>のいずれかに記載の化合物。
<12>
前記アルブミン結合ドメインが、L を介して前記プログラニュリンドメインの前記C末端に結合している、<3>~<11>のいずれかに記載の化合物。
<13>
前記アルブミン結合ドメインのアミノ酸配列が、配列番号23又は配列番号24である、<1>~<22>のいずれかに記載の化合物。
<14>
及びL が、独立して、共有結合、ペプチドリンカー、PEGリンカー、ジスルフィド結合、チオアセタール結合、又はチオエステル結合から選択される、<3>~<13>のいずれかに記載の化合物。
<15>
及びL が、同一である、<3>~<14>のいずれかに記載の化合物。
<16>
及びL のアミノ酸配列が、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、又は配列番号14であり、好ましくは、L 及びL のアミノ酸配列が、配列番号7である、<3>~<15>のいずれかに記載の化合物。
<17>
前記プログラニュリンドメインが、天然に存在する配列である、<1>~<16>のいずれかに記載の化合物。
<18>
前記プログラニュリンドメインが、プログラニュリンの断片を含み、前記プログラニュリンの断片のアミノ酸配列が、配列番号2である、<1>~<17>のいずれかに記載の化合物。
<19>
前記プログラニュリンドメインのアミノ酸配列が、配列番号1である、<1>~<18>のいずれかに記載の化合物。
<20>
前記化合物が、配列番号25、配列番号26、又は配列番号29によって与えられるアミノ酸配列に対して少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有する重鎖を含む、<1>~<19>のいずれかに記載の化合物。
<21>
前記化合物が、配列番号19、配列番号32、又は配列番号33によって与えられるアミノ酸配列に対して少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有する軽鎖を含む、<1>~<20>のいずれかに記載の化合物。
<22>
前記化合物が、
(a)重鎖であって、前記重鎖のアミノ酸配列が、配列番号25、配列番号26、又は配列番号29である、重鎖、及び
(b)軽鎖であって、前記軽鎖のアミノ酸配列が、配列番号19、配列番号32、又は配列番号33である、軽鎖、を含む、<1>~<21>のいずれかに記載の化合物。
<23>
前記化合物が、重鎖(HC)及び軽鎖(LC)を含み、前記HCのアミノ酸配列が、配列番号25であり、前記LCのアミノ酸配列が、配列番号19である、<1>~<22>のいずれかに記載の化合物。
<24>
前記化合物が、重鎖(HC)及び軽鎖(LC)を含み、前記HCのアミノ酸配列が、配列番号26であり、前記LCのアミノ酸配列が、配列番号19である、<1>~<23>のいずれかに記載の化合物。
<25>
前記化合物が、重鎖(HC)及び軽鎖(LC)を含み、前記HCのアミノ酸配列が、配列番号29であり、前記LCのアミノ酸配列が、配列番号32である、<1>~<24>のいずれかに記載の化合物。
<26>
前記化合物が、重鎖(HC)及び軽鎖(LC)を含み、前記HCのアミノ酸配列が、配列番号29であり、前記LCのアミノ酸配列が、配列番号33である、<1>~<25>のいずれかに記載の化合物。
<27>
配列番号25によって与えられるアミノ酸配列に対して少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む化合物であって、好ましくは、配列番号25によって与えられるアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、化合物。
<28>
前記化合物が、重鎖(HC)及び軽鎖(LC)を含み、前記HCのアミノ酸配列が、配列番号25であり、前記LCのアミノ酸配列が、配列番号19である、<27>に記載の化合物。
<29>
配列番号26によって与えられるアミノ酸配列に対して少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む化合物であって、好ましくは、配列番号26によって与えられるアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、化合物。
<30>
前記化合物が、重鎖(HC)及び軽鎖(LC)を含み、前記HCのアミノ酸配列が、配列番号26であり、前記LCのアミノ酸配列が、配列番号19である、<29>に記載の化合物。
<31>
プログラニュリン断片を含む化合物であって、前記プログラニュリン断片のアミノ酸配列が、配列番号2である、化合物。
<32>
前記プログラニュリン断片が、100残基~500残基の長さである、<31>に記載の化合物。
<33>
11型神経系セロイドリポフスチン症、前頭側頭型認知症、アルツハイマー疾患、パーキンソン疾患、筋萎縮性側索硬化症、又はそれらの組み合わせの治療に使用するための、<1>~<32>のいずれかに記載の化合物。
<34>
障害を治療する方法であって、<1>~<32>のいずれかに記載の化合物を、それを必要とする患者に投与することを含む、方法。
<35>
前記障害が、11型神経系セロイドリポフスチン症、前頭側頭型認知症、アルツハイマー疾患、パーキンソン疾患、筋萎縮性側索硬化症、又はそれらの組み合わせである、<34>に記載の方法。
<36>
治療で使用するための、<1>~<32>のいずれかに記載の化合物。
<37>
11型神経系セロイドリポフスチン症、前頭側頭型認知症、アルツハイマー疾患、パーキンソン疾患、筋萎縮性側索硬化症、又はそれらの組み合わせの治療に使用するための、<1>~<32>のいずれかに記載の化合物を含む医薬組成物。
<38>
11型神経系セロイドリポフスチン症、前頭側頭型認知症、アルツハイマー疾患、パーキンソン疾患、筋萎縮性側索硬化症、又はそれらの組み合わせの治療のための医薬の製造における、<1>~<32>のいずれかに記載の化合物の使用。
<39>
<1>~<32>のいずれかに記載の化合物と、薬学的に許容される担体と、を含む組成物。
<40>
11型神経系セロイドリポフスチン症、前頭側頭型認知症、アルツハイマー疾患、パーキンソン疾患、筋萎縮性側索硬化症、又はそれらの組み合わせの治療のための、<1>~<32>のいずれかに記載の化合物の使用。
【外国語明細書】