(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025003410
(43)【公開日】2025-01-09
(54)【発明の名称】マイクロホンアレイ内のマイクロホンカプセルのブラインド感度マッチングのためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
H04R 3/00 20060101AFI20241226BHJP
H04R 29/00 20060101ALI20241226BHJP
H04R 1/40 20060101ALI20241226BHJP
【FI】
H04R3/00 320
H04R29/00 320
H04R1/40 320Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024100229
(22)【出願日】2024-06-21
(31)【優先権主張番号】18/213,163
(32)【優先日】2023-06-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】523131140
【氏名又は名称】ヴァレオ、テレマティック、ウント、アクスティック、ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】Valeo Telematik und Akustik GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100137523
【弁理士】
【氏名又は名称】出口 智也
(72)【発明者】
【氏名】ブランドン、エス、フック
【テーマコード(参考)】
5D220
【Fターム(参考)】
5D220BA06
5D220BC08
(57)【要約】 (修正有)
【課題】マイクロホンアレイ内のマイクロホンカプセルのブラインド感度マッチングのためのシステム及び方法を提供する。
【解決手段】方法は、マイクロホンアレイ内の少なくとも2つのマイクロホンカプセルについて、平均生音暴露振幅値を決定すること、少なくとも2つのマイクロホンカプセルの平均誤差値を、平均生音暴露振幅値と少なくとも2つのマイクロホンカプセルの各マイクロホンカプセルのそれぞれの感度調整暴露値とに基づいて、平均誤差値を計算すること、平均誤差値に基づいて、少なくとも1つのマイクロホンカプセルに対する第1のゲインステップ値を決定すること、最小ゲイン値および最大ゲイン値に基づいて、少なくとも1つのマイクロホンカプセルの各マイクロホンカプセルに対する第2のゲインステップ値を決定すること並びに第2のゲインステップ値に基づいて、少なくとも1つのマイクロホンカプセルのゲインを調整することを含む。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マイクロホンアレイ内のマイクロホンカプセルの感度マッチングのための方法であって、
マイクロホンアレイ内の少なくとも2つのマイクロホンカプセルについて、平均生音暴露振幅値を決定すること、
前記少なくとも2つのマイクロホンカプセルの平均誤差値を、前記平均生音暴露振幅値と前記少なくとも2つのマイクロホンカプセルの各マイクロホンカプセルのそれぞれの感度調整暴露値とに基づいて計算すること、
前記平均誤差値に基づいて、前記少なくとも2つのマイクロホンカプセルのうちの少なくとも1つのマイクロホンカプセルに対する第1のゲインステップ値を決定すること、
最小ゲイン値および最大ゲイン値に基づいて、前記少なくとも2つのマイクロホンカプセルのうちの前記少なくとも1つのマイクロホンカプセルの各マイクロホンカプセルに対する第2のゲインステップ値を決定すること、ならびに、
前記第2のゲインステップ値に基づいて、前記少なくとも1つのマイクロホンカプセルのゲインを調整すること、
を含む、方法。
【請求項2】
前記マイクロホンアレイ内の前記少なくとも2つのマイクロホンカプセルについて、前記平均生音暴露振幅値を決定することは、
前記少なくとも2つのマイクロホンカプセルの各々について、マイクロホン入力信号を受信すること、
各マイクロホン入力信号の絶対値を決定すること、および、
各マイクロホン入力信号の前記絶対値に基づいて、前記平均生音暴露振幅値を決定することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記平均誤差値に基づいて、前記少なくとも2つのマイクロホンカプセルのうちの前記少なくとも1つのマイクロホンカプセルの前記第1のゲインステップ値を決定することは、前記平均誤差値が誤差閾値未満であるかを決定することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記平均誤差値が前記誤差閾値未満であるという決定に応答して、前記第1のゲインステップ値は、以前に計算された所定数の平均誤差値の平均を第1の分母値で割った値を計算することによって決定される、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
以前に計算された平均誤差値の前記所定数は、10個の以前に計算された平均誤差値であり、前記第1の分母値は10,000である、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記平均誤差値が前記誤差閾値以上という決定に応答して、前記第1のゲインステップ値は、以前に計算された所定数の平均誤差値の平均を第2の分母値で割った値を計算することによって決定される、請求項3に記載の方法。
【請求項7】
以前に計算された平均誤差値の前記所定数は、10個の以前に計算された平均誤差値であり、前記第2の分母値は500である、請求項6記載の方法。
【請求項8】
前記最小ゲイン値および前記最大ゲイン値に関連する制御値を設定することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
起動段階中に前記制御値を第1の制御値に設定し、前記起動段階後に前記制御値を第2の制御値に設定することをさらに含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記第1の制御値が0であり、前記第2の制御値が0.25である、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記最小ゲイン値は、1から前記制御値を引いた値である、請求項8に記載の方法。
【請求項12】
前記最大ゲイン値は、1に前記制御値を加えた値である、請求項8に記載の方法。
【請求項13】
一時停止フラグが設定されているかを決定することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記一時停止フラグが設定されているという決定に応答して、前記第2のゲインステップ値を0に設定することをさらに含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記一時停止フラグが設定されていないという決定に応答して、正のステップ値を1に前記第2のゲインステップ値を加えた値に設定し、負のステップ値を1から前記第2のゲインステップ値を引いた値に設定することをさらに含む、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記少なくとも1つのマイクロホンカプセルの前記ゲインを調整することは、前記正のステップ値と前記負のステップ値とにさらに基づく、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記マイクロホンアレイは車両に関連する、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
マイクロホンアレイ内のマイクロホンカプセルの感度マッチングのためのシステムであって、
プロセッサ、および、
命令を含むメモリであって、前記命令は、前記プロセッサによって実行されると、前記プロセッサに
マイクロホンアレイ内の少なくとも2つのマイクロホンカプセルについて、平均生音暴露振幅値を決定すること、
前記少なくとも2つのマイクロホンカプセルの平均誤差値を、前記平均生音暴露振幅値と前記少なくとも2つのマイクロホンカプセルの各マイクロホンカプセルのそれぞれの感度調整暴露値とに基づいて計算すること、
前記平均誤差値に基づいて、前記少なくとも2つのマイクロホンカプセルのうちの少なくとも1つのマイクロホンカプセルに対する第1のゲインステップ値を決定すること、
最小ゲイン値および最大ゲイン値に基づいて、前記少なくとも2つのマイクロホンカプセルのうちの前記少なくとも1つのマイクロホンカプセルの各マイクロホンカプセルに対する第2のゲインステップ値を決定すること、ならびに、
前記第2のゲインステップ値に基づいて、前記少なくとも1つのマイクロホンカプセルのゲインを調整すること、
を実行させるメモリを含む、システム。
【請求項19】
前記命令は、前記プロセッサに、前記マイクロホンアレイ内の前記少なくとも2つのマイクロホンカプセルについて、
前記少なくとも2つのマイクロホンカプセルのそれぞれについて、マイクロホン入力信号を受信すること、
各マイクロホン入力信号の絶対値を決定すること、および、
各マイクロホン入力信号の前記絶対値に基づいて、前記平均生音暴露振幅値を決定することによって前記平均生音暴露振幅値を決定させること、
をさらに含む、請求項18に記載のシステム。
【請求項20】
マイクロホンアレイ内のマイクロホンカプセルの感度マッチングのための装置であって、前記装置は、
マイクロホンアレイの少なくとも2つのマイクロホンカプセルの各マイクロホンカプセルについて、マイクロホン入力信号を受信し、
各マイクロホン入力信号の絶対値を決定し、
各マイクロホン入力信号の前記絶対値に基づいて、前記少なくとも2つのマイクロホンカプセルについて、前記平均生音暴露振幅値を決定し、
前記少なくとも2つのマイクロホンカプセルの平均誤差値を、前記平均生音暴露振幅値と前記少なくとも2つのマイクロホンカプセルの各マイクロホンカプセルのそれぞれの感度調整暴露値とに基づいて計算し、前記それぞれの感度調整暴露値は、前記少なくとも2つのマイクロホンカプセルのそれぞれの前記マイクロホン入力信号に基づき、
前記平均誤差値に基づいて、前記少なくとも2つのマイクロホンカプセルのうちの少なくとも1つのマイクロホンカプセルに対する第1のゲインステップ値を決定し、
最小ゲイン値および最大ゲイン値に基づいて、前記少なくとも2つのマイクロホンカプセルのうちの前記少なくとも1つのマイクロホンカプセルの各マイクロホンカプセルに対する第2のゲインステップ値を決定し、ならびに、
前記第2のゲインステップ値に基づいて、前記少なくとも1つのマイクロホンカプセルのゲインを調整するように構成された車両コントローラを含む、装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はマイクロホンカプセルに関し、特にマイクロホンアレイ内のマイクロホンカプセルのブラインド感度マッチングのためのシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車、トラック、スポーツ用多目的車、クロスオーバー車、ミニバン、全地形対応車、RV車、船艇、航空機車両、またはその他の適切な車両などの車両は、音声検出などの音検出のために、マイクロホンカプセルおよび/またはマイクロホンアレイを利用するようになってきている。このようなマイクロホンカプセルは、車両の外部および/または内部に配置されることがあり、(例えば、マイクロホンアレイ内のマイクロホンカプセルの物理的配置、および/または、マイクロホンカプセル間の物理的および/または電気的特性のばらつきに部分的に起因する)音波暴露のばらつき、および/または、風などのノイズの影響を受けやすい可能性がある。
【発明の概要】
【0003】
開示された実施形態の一側面は、マイクロホンアレイ内のマイクロホンカプセルの感度マッチングのための方法を含む。方法は、マイクロホンアレイ内の少なくとも2つのマイクロホンカプセルについて、平均生音暴露振幅値を決定すること、少なくとも2つのマイクロホンカプセルの平均誤差値を、平均生音暴露振幅値と少なくとも2つのマイクロホンカプセルの各マイクロホンカプセルのそれぞれの暴露値とに基づいて計算すること、平均誤差値を、個々のカプセルの暴露値とすべてのカプセルの平均暴露値の差の絶対値の合計として計算すること、平均誤差値に基づいて、少なくとも2つのマイクロホンカプセルのうちの少なくとも1つのマイクロホンカプセルに対する第1のゲインステップ値を決定すること、平均誤差値、最小ゲイン値、および最大ゲイン値のうちの少なくとも1つに基づいて、少なくとも2つのマイクロホンカプセルのうちの少なくとも1つのマイクロホンカプセルの各マイクロホンカプセルに対する第2のゲインステップ値を決定すること、ならびに、第2のゲインステップ値に基づいて、少なくとも1つのマイクロホンカプセルのゲインを調整することを含む。
【0004】
開示された実施形態の別の一側面は、マイクロホンアレイ内のマイクロホンカプセルの感度マッチングのためのシステムを含む。システムは、プロセッサとメモリを含む。メモリは、プロセッサによって実行されると、プロセッサに、マイクロホンアレイ内の少なくとも2つのマイクロホンカプセルについて、平均生音暴露振幅値を決定すること、平均生音暴露振幅値と、少なくとも2つのマイクロホンカプセルの各マイクロホンカプセルのそれぞれの暴露値とに基づいて、少なくとも2つのマイクロホンカプセルの平均誤差値を計算すること、平均誤差値に基づいて、少なくとも2つのマイクロホンカプセルのうちの少なくとも1つのマイクロホンカプセルに対する第1のゲインステップ値を決定すること、最小ゲイン値と最大ゲイン値に基づいて、少なくとも2つのマイクロホンカプセルのうちの少なくとも1つのマイクロホンカプセルの各マイクロホンカプセルに対する第2のゲインステップ値を決定すること、および、第2のゲインステップ値に基づいて、少なくとも1つのマイクロホンカプセルのゲインを調整することを実行させる命令を含む。
【0005】
開示された実施形態の別の一側面は、マイクロホンアレイ内のマイクロホンカプセルの感度マッチングのための装置を含む。装置は、マイクロホンアレイの少なくとも2つのマイクロホンカプセルの各マイクロホンカプセルについて、マイクロホン入力信号を受信し、各マイクロホン入力信号の絶対値を決定し、各マイクロホン入力信号の絶対値に基づいて、少なくとも2つのマイクロホンカプセルについて、平均生音暴露振幅値を決定し、少なくとも2つのマイクロホンカプセルの平均誤差値を、平均生音暴露振幅値と少なくとも2つのマイクロホンカプセルの各マイクロホンカプセルのそれぞれの暴露値とに基づいて計算し、それぞれの暴露値は、少なくとも2つのマイクロホンカプセルのそれぞれのマイクロホン入力信号に基づき、平均誤差値に基づいて、少なくとも2つのマイクロホンカプセルのうちの少なくとも1つのマイクロホンカプセルに対する第1のゲインステップ値を決定し、最小ゲイン値および最大ゲイン値に基づいて、少なくとも2つのマイクロホンカプセルのうちの少なくとも1つのマイクロホンカプセルの各マイクロホンカプセルに対する第2のゲインステップ値を決定し、および、第2のゲインステップ値に基づいて、少なくとも1つのマイクロホンカプセルのゲインを調整するように構成された車両コントローラを含む。
【0006】
本開示のこれらおよびその他の側面は、以下の実施形態の詳細な説明、添付の特許請求の範囲、および、添付の図に開示される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
本開示は、添付の図面と併せて読むことにより、以下の詳細な説明から最もよく理解される。一般的な慣行に従い、図面の様々な特徴は、縮尺ではないことに留意されたい。むしろ、様々な特徴の寸法は、明確化のため、任意に拡大または縮小されている。
【0008】
【
図1】
図1は、本開示の原理に係わる車両を概略的に示す。
【0009】
【
図2】
図2は、本開示の原理に係わる車両コントローラを概略的に示す。
【0010】
【
図3】
図3は、本開示の原理に係わる指向性指数の例を概略的に示す。
【0011】
【
図4A】
図4Aは、本開示の原理に係わるブラインド感度マッチング方法のフロー図を概略的に示す。
【
図4B】
図4Bは、本開示の原理に係わるブラインド感度マッチング方法のフロー図を概略的に示す。
【
図4C】
図4Cは、本開示の原理に係わるブラインド感度マッチング方法のフロー図を概略的に示す。
【
図4D】
図4Dは、本開示の原理に係わるブラインド感度マッチング方法のフロー図を概略的に示す。
【
図4E】
図4Eは、本開示の原理に係わるブラインド感度マッチング方法のフロー図を概略的に示す。
【0012】
【
図5】
図5は、本開示の原理に係わる代替ブラインド感度マッチング方法のフロー図を概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本開示の実施形態を以下に説明する。しかしながら、開示された実施形態は単なる例示であり、他の実施形態では様々な代替形態を取り得ることを理解されたい。図は必ずしも縮尺通りではなく、特定の構成要素の詳細を示すために、一部の特徴は誇張または最小化され得る。したがって、本明細書に開示された特定の構造的および機能的な詳細は、限定的なものとして解釈されるものではなく、単に、当業者が実施形態を様々に採用することを教示するための代表的な基準として解釈されるものである。当業者であれば理解できるように、いずれか1つの図を参照して図示および説明した様々な特徴を、1つまたは複数の他の図に図示した特徴と組み合わせて、明示的に図示または説明されていない実施形態を作り出すことができる。図示された特徴の組み合わせは、典型的な用途のための代表的な実施形態を提供する。しかしながら、本開示の教示に合致する特徴の様々な組み合わせおよび改変が、特定の用途または実施で所望され得る。
【0014】
上述したように、自動車、トラック、スポーツ用多目的車、クロスオーバー車、ミニバン、全地形対応車、RV車、船艇、航空機車両、またはその他の適切な車両などの車両は、音声検出などの音検出のために、マイクロホンカプセルおよび/またはマイクロホンアレイを利用するようになってきている。このようなマイクロホンカプセルは、車両の外部および/または内部に配置されることがあり、(例えば、マイクロホンアレイ内のマイクロホンカプセルの物理的配置、および/または、マイクロホンカプセル間の物理的および/または電気的特性のばらつきに部分的に起因する)音波暴露のばらつき、および/または、風などのノイズの影響を受けやすい可能性がある。加えて、または代替的に、マイクロホンカプセルは、関心のある最小波長に対して、音の暴露の類似性を最大にするように取り付けることができる。
【0015】
通常、このようなマイクロホンアレイの使用は、ノイズ環境からのクリーンな音声信号の抽出、ノイズの低減、ある話者と別の話者の分離など、様々な課題を有する。キャンセレーションアルゴリズムは、マイクロホンに風が当たったり、および/または、マイクロホンアレイ内のマイクロホンカプセル間で音波の暴露が異なる(例えば、無相関である)場合、従来は音質に支障を呈していた。
【0016】
指向性マイクロホンカプセルを使用することで、高度な音声信号処理を行う前に、OMNIマイクロホンと比較して信号雑音比(SNR)が向上する可能性がある。典型的な指向性マイクロホン(例えば、カージオイドと呼ばれることがある)は、実際に拡散性のノイズ源に対して2~3デシベル(dB)のSNR向上を提供し、指向性マイクロホンカプセルのヌル角度に偶然到達したノイズに対しては15dB以上のSNR向上を提供し得る。
【0017】
従来のノイズリダクションおよび/またはキャンセル技術は、周波数領域でノイズの推定値を作成し、最終的にリアルタイムでキャプチャされたスペクトル(例えば、音声に加えて様々なノイズを含む可能性がある)から推定スペクトルを除去する。これは、走行ノイズ(例えば、タイヤ、路面、一定のエンジンなど)のような定常性ノイズに対して効果的であり、多くのアーチファクトを発生させることなく10dB以上低減することができる。しかし、このようなノイズ低減アルゴリズムでは、風切り音や他の種類の無相関ノイズを除去するのが困難である。
【0018】
定常性ノイズに対して有効なノイズ推定は、通常、比較的大きなサンプルのバッファで動作する。マイクロホンカプセルに衝突する突風は、非常に短い(例えば、ほとんどディラックの)時間イベントから、比較的長いものまで、継続時間が変化する可能性があり、そのほとんどが低周波エネルギーとして現れる。定常性ノイズに対しては堅牢な通常のノイズ推定法は、突風のカオス的な非定常性に対して困難を呈し得る。
【0019】
無指向性マイクロホンカプセルの集合をアレイとして構成し、高い指向性を持たせることで、主要な設計軸の感度を最大にし、一定の角度から到来する音を最大限遮断することができる。比較的小さなマイクロホンアレイは、同じ指向性により高い感度を持つ。カプセルの間隔を2倍にすると、ポストフィルタが左1オクターブ移動し、空間エイリアシングによって使用可能な高周波域が減少するが、元の間隔に比べて低周波域の風感度も減少する。より積極的な指向性(例えば、追加のカプセルを使用することによる)は、風のような無相関音源に対する感度を劇的に増加させる。このようなマイクロホンアレイでは、総ノイズ項は以下のように記述される。
【数1】
【0020】
ここで、NTは総ノイズ項、Hpはビームフォーマのポストフィルタ応答、Lはビームフォーマのレイヤ数(例えば、差動の順序)、Mはビームフォーマの設計におけるマイクロホンカプセルの数、Neはビームフォーマを構成する単一のオムニカプセルの電気ノイズスペクトル(例えば、マイクロホンアレイ内のすべてのマイクロホンカプセルが同じ種類で同じ型番であると仮定した場合)、Naは音響ノイズスペクトル、DIは指向性指数(例えば、オムニカプセルと比較した拡散ノイズ低減量を表す)である。無相関信号は二乗平均平方根(RMS)プロセスによって加算されるため、電気項と音響項は二乗され、平方根の下で加算される。
【0021】
通常、ビームフォーマの高指向性ダイナミックレンジは、特に差動ビームフォーミングの場合、ポストフィルタリングによって影響を受ける。加えて、高指向性設計の欠点として、風感度の増加や電気ノイズの増幅の可能性がある(例えば、フットプリントの小さい設計ではより顕著になり得る)。
【0022】
高い指向性(例えば、ビームフォーミング)を作り出すために加工されたマイクロホンアレイは、必然的にマイクロホンカプセルの感度の不整合に対して非常に脆弱である。脆弱性は、間隔に比べて相対的に大きい波長を有する信号に対して最も高く、わずかにでも感度を低くすることは、指向性指数の実質的な低下の原因となる。
図3は、周波数の関数としてのマイクロホンカプセルの感度不整合の関数としての指向性指数の例を示すチャート300を概略的に示す(例えば、カプセルの感度不整合が周波数の関数として指向性指数にどのように影響するかを示す)。
【0023】
そこで、マイクロホンアレイのマイクロホンカプセルに対してブラインド感度マッチングを提供するように構成された、本明細書に記載されるシステムおよび方法のようなシステムおよび方法が所望され得る。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のシステムおよび方法は、マイクロホンアレイのマイクロホンカプセルの感度マッチングを提供するために、マイクロホンアレイの各マイクロホンカプセルのゲイン値を調整するように構成され得る。1つのマイクロホンカプセルが基準として使用され、そのマイクロホンカプセルが経時的に劣化する場合、関連するマイクロホンカプセルも基準マイクロホンカプセルと共に強制的にドリフトする。「ターゲット」の統計量を生成する際に使用するマイクロホンカプセルの数が多ければ多いほど、絶対感度が向上し、意図したターゲットと一致する可能性がある(例えば、感度許容差のガウス分布を仮定した場合、参照統計量として8つのカプセルを使用すると、300mV/Pa+/-1dBが300mV/Pa+/-0.37dBになる可能性がある)。
【0024】
したがって、いくつかの実施形態では、本明細書に記載のシステムおよび方法は、誤差に比例した適応時間でマイクロホンカプセルの高い不整合を調整するように構成されてもよく、これにより、不整合が低減され、最終的に調整されたゲイン値のターゲットに収束する。本明細書に記載のシステムおよび方法は、(i)音声が存在すること、(ii)周囲の音響ノイズの長期平均が閾値未満であること、(iii)風が検出されること、および/または(iv)マイクロホンアレイが生産環境にあることに応答して、以前に適用された調整されたゲイン値を更新しない適応一時停止機能を提供するように構成され得る。
【0025】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載のシステムおよび方法は、電源投入または起動モード中に、調整されたゲイン値を1(例えば、0dB)に設定するように構成されてもよく、これにより、マイクロホンアレイに関連するシステムに電力が循環されるとき、カプセル感度の不整合は、各マイクロホンカプセルの製造差異に限定される。本明細書に記載のシステムおよび方法は、可能なすべての条件下で、マイクロホンカプセルに適用される調整されたゲインの合計値が、(例えば)ブーストx以下、(例えば)減衰y以下になるように制御されるように、最小ゲイン制限および最大ゲイン制限を提供するように構成され得る。
【0026】
本明細書に記載のシステムおよび方法は、低周波数であっても、また精度の低いマイクロホンカプセルを利用する場合であっても、指向特性図が最大化されるように、ビームフォーミング設計の理想的な条件を作り出すように構成され得る。
【0027】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載されるシステムおよび方法は、記載されるように、マイクロホンアレイ内のマイクロホンカプセルの感度マッチングを提供するように構成され得る。本明細書に記載されるシステムおよび方法は、マイクロホンアレイ内の少なくとも2つのマイクロホンカプセルについて、平均生音暴露振幅値を決定するように構成され得る。例えば、本明細書に記載のシステムおよび方法は、少なくとも2つのマイクロホンカプセルの各々について、マイクロホン入力信号を受信するように構成され得る。本明細書に記載のシステムおよび方法は、各マイクロホン入力信号の絶対値を決定するように構成され得る。本明細書に記載のシステムおよび方法は、各マイクロホン入力信号の時間平均の(例えば、ローパスフィルタ処理された)絶対値に基づいて、平均生音暴露振幅値を決定するように構成され得る。
【0028】
本明細書に記載のシステムおよび方法は、少なくとも2つのマイクロホンカプセルの各マイクロホンカプセルの平均生音暴露振幅値とそれぞれの暴露値とに基づいて、以前に計算されたゲインが適用された後に少なくとも2つのマイクロホンカプセルの平均誤差値を計算するように構成され得る(例えば、個々のカプセルの暴露値はゲイン後に計算され、すべてのカプセルの平均暴露値はゲイン調整前に無修正で計算される)。本明細書に記載のシステムおよび方法は、平均誤差値に基づいて、少なくとも2つのマイクロホンカプセルのうちの少なくとも1つのマイクロホンカプセルに対する第1のゲインステップ値を決定するよう構成され得る。例えば、本明細書に記載のシステムおよび方法は、平均誤差値に基づいて、平均誤差値が誤差閾値未満であるかを決定することによって、少なくとも2つのマイクロホンカプセルのうちの少なくとも1つのマイクロホンカプセルに対する第1のゲインステップ値を決定するよう構成され得る。本明細書に記載のシステムおよび方法は、平均誤差値が誤差閾値未満であるという決定に応答して、以前に計算された所定数の平均誤差値の平均を第1の分母値で割った値を計算することによって、第1のゲインステップ値を決定するよう構成され得る。以前に計算された平均誤差値の所定数は、10個の以前に計算された平均誤差値または任意の他の適切な数の以前に計算された平均誤差値であってよく、第1の分母値は10,000または任意の他の適切な数であってよく、分母値は、個々の暴露誤差値の絶対値の合計(例えば、または平均値)に反比例して増加する。
【0029】
あるいは、本明細書に記載のシステムおよび方法は、平均誤差値が誤差閾値以上であるという決定に応答して、以前に計算された所定数の平均誤差値の平均を第2の分母値で割った値を計算することによって、第1のゲインステップ値を決定するよう構成され得る。以前に計算された平均誤差値の所定数は、10個の以前に計算された平均誤差値または任意の他の適切な数の以前に計算された平均誤差値であってよく、第2の分母値は500または任意の他の適切な数であってもよい。加えて、または上述したように代替的に、分母値は平均誤差値に反比例して増加してもよい。
【0030】
本明細書に記載のシステムおよび方法は、最小ゲイン値および最大ゲイン値に基づいて、少なくとも2つのマイクロホンカプセルのうちの少なくとも1つのマイクロホンカプセルの各マイクロホンカプセルの第2のゲインステップ値を決定するように構成され得る。本明細書に記載のシステムおよび方法は、第2のゲインステップ値に基づいて、少なくとも1つのマイクロホンカプセルのゲインを調整するよう構成され得る。
【0031】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載のシステムおよび方法は、最小ゲイン値および最大ゲイン値に関連する制御値を設定するよう構成され得る。例えば、本明細書に記載のシステムおよび方法は、起動段階中に制御値を第1の制御値に設定するように構成され得る。第1の制御値は、0(例えば、または、ほぼ0)または任意の他の適切な値であってよい。本明細書に記載のシステムおよび方法は、起動段階後に制御値を第2の制御値に設定するように構成され得る。第2の制御値は、0.25(例えば、または約0.25、約+2/-2.5dBに等しい)または任意の他の適切な値であってよい。本明細書に記載のシステムおよび方法は、最小ゲイン値を1から制御値を引いた値、または任意の他の適切な値に設定するように構成され得る。本明細書に記載のシステムおよび方法は、最大ゲイン値を1に制御値を加えた値、または任意の他の適切な値に設定するように構成され得る。例えば、いくつかの実施形態において、本明細書に記載のシステムおよび方法は、最小ゲイン値および最大ゲイン値を1に等しく設定するように構成され、マイクロホン信号にゲイン調整が適用されないようにすることができる(例えば、起動中にそのように設定され得る)。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のシステムおよび方法は、例えば、最小ゲインを-2.5dBに、最大ゲインを+2.0dBに設定するように構成され得る。
【0032】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のシステムおよび方法は、一時停止フラグが設定されているかを決定するように構成され得る。一時停止フラグは、適応一時停止機能が開始されたことを示す表示を含み得る。例えば、一時停止フラグは、関連するメモリ内のビット、関連するメモリに格納された値、および/または適応一時停止機能が開始されたことを示す他の任意の適切な指標を含み得る。いくつかの実施形態において、本明細書に記載のシステムおよび方法は、(i)音声が存在すること、(ii)周囲の音響ノイズの長期平均が閾値未満であること、および/または、(ii)マイクロホンアレイが生産環境にあることに応答して、一時停止フラグを設定するかを決定するよう構成され得る。アレイ内のすべてのカプセルによってすべての方向から均等に音が拾われるとは限らないため、音声が存在する場合に適応を一時停止することは有用である。音声は既知の指向性音源であり、マイクロホンの構造や仕組み上、各カプセルに均等に届くとは限らない。暴露の差がカプセル感度の差を示すとは限らないため、発話中、および/または、振幅閾値未満の長期的なノイズに曝されている間、適応が一時停止されてもよい。一定の閾値未満の場合、各カプセルの個々の電気的な自己雑音が、特に低周波数において、信号構成の大部分を占める可能性がある。自己雑音はマイクロホンの音響感度の関数ではないため、長期的な環境ノイズがそのような閾値未満の場合、適応を一時停止することが有用となり得る。
【0033】
本明細書に記載のシステムおよび方法は、一時停止フラグが設定されているという決定に応答して、第2のゲインステップ値を0または他の任意の適切な値に設定するように構成され得る。本明細書に記載のシステムおよび方法は、一時停止フラグが設定されていないという決定に応答して、正のステップ値を1に第2のゲインステップ値を加えた値または他の適切な値に設定し、負のステップ値を1から第2のゲインステップ値を引いた値または他の適切な値に設定するように構成され得る。本明細書に記載のシステムおよび方法は、正のステップ値および負のステップ値にさらに基づいて、少なくとも1つのマイクロホンカプセルの感度(例えば、ゲイン)を調整するよう構成され得る。
【0034】
図1は、本開示の原理に係わる車両10を概略的に示す。車両10は、自動車、トラック、スポーツ用多目的車、ミニバン、クロスオーバー、任意の他の乗用車、任意の適切な商用車、または任意の他の適切な車両などの、任意の適切な車両を含み得る。車両10は、車輪22を有し、道路上で使用される乗用車として図示されているが、本開示の原理は、飛行機、ボート、列車、ドローン、または他の適切な車両などの他の車両に適用することができる。車両10は、任意のレベルの自動化を含むことができる。例えば、車両10は自動化なしで構成されてもよいし、半自律車両または自律車両で構成されてもよい。車両は、本明細書に記載されるシステムおよび方法の例示的な適用として提供されるが、本明細書に記載されるシステムおよび方法は、バーチャルアシスタント、ホームオートメーションシステムなどを含むが、これらに限定されない、任意の適切な用途に適用され得ることが理解されるべきである。
【0035】
車両10は、車両本体12、ボンネット14、および、車両本体12によって少なくとも部分的に画定された乗客コンパートメント18を含む。ボンネット14は、ボンネット14がエンジンコンパートメント20へのアクセスを提供するように、車両本体12の一部に移動可能に取り付けられてもよい。いくつかの実施形態では、エンジンコンパートメント20は、概略的に図示されているよりも車両10の後方部分に配置されてもよい。
【0036】
乗客コンパートメント18は、エンジンコンパートメント20の後方に配置されてもよいが、エンジンコンパートメント20が車両10の後方部分に配置される実施形態では、エンジンコンパートメント20の前方に配置されてもよい。車両10は、内燃機関、1つまたは複数の電気モータ(例えば、電気自動車)、1つまたは複数の燃料電池、内燃機関、1つまたは複数の電気モータ、および/または任意の他の適切な推進システムとの組み合わせからなるハイブリッド(例えば、ハイブリッド車)推進システム、を含む任意の適切な推進システム(例えば、エンジンコンパートメント20内に少なくとも部分的に収容される)を含み得る。
【0037】
いくつかの実施形態では、車両10は、火花点火エンジンなどのガソリンまたはガソリン燃料エンジンを含み得る。いくつかの実施形態では、車両10は、圧縮点火エンジンなどのディーゼル燃料エンジンを含み得る。加えて、または代替的に、アクセルアクチュエータ(例えば、アクセルペダル)、ブレーキアクチュエータ(例えば、ブレーキペダル)、ステアリングホイール、および他のそのような構成要素などの推進制御装置が、乗客コンパートメント18に配置される。推進制御装置は、車両10の運転者によって作動または制御され、それぞれ、スロットル、ブレーキ、車軸、車両トランスミッションなどの推進システムの対応する構成要素に直接接続されてもよい。
【0038】
いくつかの実施形態では、車両10は、マニュアルトランスミッション、オートマチックトランスミッションなどを含み得るトランスミッションを含む。車両10は、内燃機関またはハイブリッド車両の場合、1つまたは複数のピストンを含む可能性があり、このピストンは、クランクシャフトと協働して力を発生させ、この力がトランスミッションを介して1つまたは複数の車軸に伝達され、車輪22を回転させる。車両10が1つまたは複数の電気モータを含む場合、1つまたは複数の車両バッテリーおよび/または1つまたは複数の燃料電池が、車輪22を回転させるためのエネルギーを電気モータに供給する。
【0039】
いくつかの実施形態では、車両10は、例えば、車両内外のセンサから、例えば、車両内外の様々なプロセッサまたはコントローラに様々な情報を通信するために、CANバスまたは他の適切なネットワークまたは通信システムまたはそれらの組み合わせからなるコントローラエリアネットワーク(CAN)などの適切な通信ネットワークを含み得る。車両10は、本明細書において概略的に図示および/または開示される機能に比べて追加的な機能または少ない機能を含み得る。
【0040】
いくつかの実施形態では、ステアリングシステムは、
図2に概略的に示されているように、コントローラ100などのコントローラを含み得る。コントローラ100は、任意の適切なコントローラを含み得る。コントローラ100は、例えば、本明細書に記載された車両システムの様々な機能を制御するように構成され得る。コントローラ100は、プロセッサ102およびメモリ104を含み得る。プロセッサ102は、本明細書に記載されたような任意の適切なプロセッサを含み得る。加えて、または代替的に、コントローラ100は、プロセッサ102に加えてまたはプロセッサ102以外に、任意の適切な数のプロセッサを含み得る。メモリ104は、単一のディスクまたは複数のディスク(例えば、ハードドライブ)を含んでもよく、メモリ104内の1つまたは複数のパーティションを管理するストレージ管理モジュールを含み得る。いくつかの実施形態では、メモリ104は、フラッシュメモリ、半導体(ソリッドステート)メモリなどを含み得る。メモリ104は、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み出し専用メモリ(ROM)、またはそれらの組み合わせを含み得る。メモリ104は、プロセッサ102によって実行されると、プロセッサ102に、少なくとも、ステアリングシステムの様々な機能、および/または、本明細書に記載されるシステムおよび方法の機能を含む他の任意の適切な機能を制御させる命令を含み得る。
【0041】
コントローラ100は、様々な測定装置またはセンサ106から車両10の感知または測定された特性を示す1つまたは複数の信号を受信し得る。センサ106は、任意の適切なセンサ、測定装置、および/または他の適切な機構を含んでもよい。例えば、センサ106は、1つまたは複数のモータ位置センサ若しくは装置、1つまたは複数の画像取り込みセンサ若しくは装置、1つまたは複数の音声取り込みセンサ若しくは装置、他の適切なセンサ若しくは装置、またはそれらの組み合わせを含んでもよい。1つまたは複数の信号は、車速、車両10の環境に対応する画像データ、車両10の環境若しくは他の側面に関連する音声データ、他の適切な情報、またはそれらの組み合わせを示し得る。
【0042】
いくつかの実施形態では、コントローラ100は、1つまたは複数のマイクロホンカプセル110を含むマイクロホンアレイ108と通信することができる。マイクロホンアレイ108は、車両10の内部に配置されてもよいし、車両10の外部に配置されてもよい。マイクロホンアレイ108は、車両10の任意の適切な側面または特徴と関連付けることができる。マイクロホンアレイ108は、任意の適切な数のマイクロホンカプセル110(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、または任意の他の適切な数のマイクロホンカプセル110)を含み得る。マイクロホンアレイ108のマイクロホンカプセル110は、任意の適切な形状で配置されてもよい。各マイクロホンカプセル110は、本明細書に記載されるものに加えて、またはその代わりに、任意の適切なマイクロホンカプセルを含み得る。
【0043】
上述したように、マイクロホンカプセル110は、製造プロセス、材料科学、および/または両方(例えば、および/または他の任意の適切な理由)に属する測定値の不確実性の関数として、感度不整合の影響を受けやすい可能性がある。したがって、いくつかの実施形態では、コントローラ100は、マイクロホンカプセル110の感度マッチングを提供するように構成され得る。コントローラ100は、マイクロホンカプセル110について、平均生音暴露振幅値を決定し得る。例えば、コントローラ100は、マイクロホンカプセル110の各々について、マイクロホン入力信号を受信し得る。コントローラ100は、各マイクロホン入力信号の絶対値を決定し得る。コントローラ100は、各マイクロホン入力信号の絶対値に基づいて、平均生音暴露振幅値を決定し得る。
【0044】
コントローラ100は、各マイクロホンカプセル110からの平均生音暴露振幅値と、各マイクロホンカプセル110のそれぞれの補正後ゲイン適用暴露値とに基づいて、マイクロホンカプセル110の平均誤差値を計算し得る。コントローラ100は、平均誤差値に基づいて、少なくとも1つのマイクロホンカプセル110の第1のゲインステップ値を決定し得る。例えば、コントローラ100は、平均誤差値に基づいて、平均誤差値が誤差閾値未満であるかを決定することによって、少なくとも1つのマイクロホンカプセル110の第1のゲインステップ値を決定するよう構成され得る。コントローラ100は、平均誤差値が誤差閾値未満であるという決定に応答して、以前に計算された所定数の平均誤差値の平均を第1の分母値で割った値を計算することによって、第1のゲインステップ値を決定し得る。以前に計算された平均誤差値の所定数は、10個の以前に計算された平均誤差値または任意の他の適切な数の以前に計算された平均誤差値であってよく、第1の分母値は10,000または任意の他の適切な数であってもよい。
【0045】
あるいは、コントローラ100は、平均誤差値が誤差閾値以上であるという決定に応答して、以前に計算された所定数の平均誤差値の平均を第2の分母値で割った値を計算することによって、第1のゲインステップ値を決定し得る。以前に計算された平均誤差値の所定数は、10個の以前に計算された平均誤差値または任意の他の適切な数の以前に計算された平均誤差値であってよく、第2の分母値は500または任意の他の適切な数であってもよい。コントローラ100(例えば、および/または本明細書に記載されるシステムおよび方法のいずれか)は、記載されるように、平均誤差値を再帰的に決定するように構成され得ることを理解されたい。
【0046】
コントローラ100は、最小ゲイン値および最大ゲイン値に基づいて、各マイクロホンカプセル110の第2のゲインステップ値を決定し得る。コントローラ100は、第2のゲインステップ値に基づいて、少なくとも1つのマイクロホンカプセル110のゲインを調整し得る。コントローラ100(例えば、および/または本明細書に記載されるシステムおよび方法のいずれか)は、各マイクロホンカプセル110および/またはすべてのマイクロホンカプセル110のゲインを調整するように構成され得ることを理解されたい。加えて、または代替的に、コントローラ100(例えば、および/または本明細書に記載されるシステムおよび方法のいずれか)は、各マイクロホンカプセル110および/またはすべてのマイクロホンカプセル110のゲインを再帰的に調整するように構成され得る。
【0047】
いくつかの実施形態において、コントローラ100は、最小ゲイン値および最大ゲイン値に関連した制御値を設定し得る。例えば、コントローラ100は、起動段階において、制御値を第1の制御値に設定してもよい。第1の制御値は、0(例えば、または、ほぼ0)または任意の他の適切な値であってよい。コントローラ100は、起動段階の後に、制御値を第2の制御値に設定し得る。第2の制御値は、0.25(例えば、または、ほぼ0.25)または任意の他の適切な値であってよい。コントローラ100は、最小ゲイン値を1から制御値を引いた値または任意の他の適切な値に設定し得る。コントローラ100は、最大ゲイン値を1に制御値を加えた値または他の適切な値に設定し得る。
【0048】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のシステムおよび方法は、一時停止フラグが設定されているかを決定するように構成され得る。一時停止フラグは、適応一時停止機能が開始されたことを示す表示を含み得る。例えば、一時停止フラグは、関連するメモリ内のビット、関連するメモリに格納された値、および/または適応一時停止機能が開始されたことを示す他の任意の適切な指標を含み得る。いくつかの実施形態において、コントローラ100は、(i)音声が存在すること、(ii)周囲の音響ノイズの長期平均が閾値未満であること、および/または、(ii)マイクロホンアレイ108が生産環境にあることに応答して、一時停止フラグを設定するかを決定し得る。
【0049】
コントローラ100は、一時停止フラグが設定されているという決定に応答して、第2のゲインステップ値を0または他の任意の適切な値に設定し得る。コントローラ100は、一時停止フラグが設定されていないという決定に応答して、正のステップ値を1に第2のゲインステップ値を加えた値または他の適切な値に設定し、負のステップ値を1から第2のゲインステップ値を引いた値または他の適切な値に設定し得る。コントローラ100は、正のステップ値および負のステップ値に基づいて、少なくとも1つのマイクロホンカプセルのゲインをさらに調整し得る。
【0050】
いくつかの実施形態では、コントローラ100は、本明細書に記載の方法を実行し得る。しかしながら、コントローラ100によって実行される本明細書に記載の方法は、限定を意味するものではなく、コントローラまたはプロセッサ上で実行される任意の種類のソフトウェアが、本開示の範囲から逸脱することなく、本明細書に記載の方法を実行することができる。例えば、コンピューティングデバイス内でソフトウェアを実行するプロセッサなどのコントローラが、本明細書に記載の方法を実行することができる。
【0051】
図4A~4Eは、本開示の原理に係わるブラインド感度マッチング方法400を概略的に示す流れ図である。402において、方法400は、各マイクロホンカプセルについて、マイクロホン入力信号を受信する。例えば、コントローラ100は、各マイクロホンカプセル110について、マイクロホン入力信号(例えば、x1[n]~x8[n]と称され得る)を受信し得る。
【0052】
404において、方法400は、各マイクロホン入力信号x1[n]~x8[n]の絶対値を決定する。例えば、コントローラ100は、各マイクロホン入力信号の絶対値を決定し得る。
【0053】
406において、方法400は、Fc<2ヘルツ(Hz)の実効コーナー周波数(例えば、他の適切な周波数)を有する1次の再帰的ローパスフィルタ(LPF)を、マイクロホン入力信号の絶対値に適用する。例えば、コントローラ100は、マイクロホン入力信号の絶対値にLPFを適用し得る。
【0054】
408において、方法400は、すべてのマイクロホンカプセル110にわたる平均生音暴露振幅(例えば、Ref_condと称される)を決定する。平均生音暴露振幅は、各マイクロホン入力信号の各絶対値に対するLPFの出力の合計をマイクロホンカプセル110の総数(例えば、8または他の総数)で除算した値である。例えば、コントローラ100は、平均生音暴露振幅を決定し得る。
【0055】
410において、方法400は、各マイクロホンカプセル110について、1つ前のサンプルから以前に計算されたゲイン項を適用する。方法400は、各マイクロホンカプセル110の出力(例えば、X1_out[n]、X2_out[n]などと呼ばれる)を決定し得る。例えば、コントローラ100は、以前に計算されたゲイン項を適用して、各マイクロホンカプセル110の出力を決定し得る。それぞれのマイクロホンカプセル110の感度調整出力418は、それぞれのマイクロホンカプセル110の現在の入力信号に、それぞれのマイクロホンカプセル110について以前に計算されたゲイン項を乗算することによって計算され得る。
【0056】
412において、方法400は、各マイクロホンカプセル110について、各感度調整出力418の絶対値を決定する。例えば、コントローラ100は、各マイクロホンカプセル110の各出力の絶対値を決定し得る。
【0057】
414において、方法400は、各マイクロホンカプセル110の出力の絶対値に対して、Fc<2ヘルツ(Hz)の実効コーナー周波数(例えば、周波数が406のLPFと等しいかまたは実質的に等しくなるような他の適切な周波数)を有する1次の再帰的ローパスフィルタ(LPF)を適用する。例えば、コントローラ100は、各マイクロホンカプセル110の感度調整出力418の絶対値にLPFを適用し得る。LPFの出力は、第1のマイクロホンカプセル110に対してX1_cond[n]と呼ばれてもよく、その後も同様である。
【0058】
416において、方法400は、マイクロホンカプセル110の平均誤差(例えば、Avg_ERROR[n]と呼ばれる)を決定する。例えば、コントローラ100は、各マイクロホンカプセル110について、414で計算されたLPFの出力と、418で計算された平均生音暴露振幅との差を決定し得る。コントローラ100は、各マイクロホンカプセル110について、414で計算されたLPFの差と408で計算された平均生音暴露振幅との和を決定することによって、平均誤差を決定し得る。
【0059】
418において、方法400は、出力信号X1_out[n]、X2_out[n]・・・X8_out[n]などを出力する。例えば、コントローラ100が、出力信号を出力し得る。
【0060】
420において、方法400は、ゲインステップ値を決定する。例えば、コントローラ100が、ゲインステップ値を決定し得る。コントローラ100は、平均誤差が誤差閾値未満であるかを決定し得る。コントローラ100が、平均誤差値が誤差閾値未満であると決定した場合、コントローラ100は、ゲインステップ値を、以前に計算された10個の平均誤差値の平均を10000で割った値に等しく設定する。あるいは、コントローラ100が、平均誤差値が誤差閾値以上であると決定した場合、コントローラ100は、ゲインステップ値を、以前に計算された10個の平均誤差値の平均を500で割った値に等しく設定する(例えば、Avg_ERRORの値が大きい場合、ゲインステップ値は比較的大きくなり、その逆も同様である)。
【0061】
方法400は、最小ゲイン値と最大ゲイン値を決定し得る。例えば、422において、方法400は、起動中に、制御値(例えば、g)を0に設定し、起動後に0.25に設定する。例えば、コントローラ100は、起動中に、制御値を0に設定し、起動後に0.25に設定し得る。
【0062】
424において、方法400は、50Hz(例えば、または他の適切な値)2次バターワース(例えば、または他の適切なタイプ)LPFを制御値に適用する。例えば、コントローラ100は、2次LPFを制御値に適用し得る(例えば、このようにして、LPF設計時定数によって決定される時間長の後、制御値は、意図された設計値に到達する)。
【0063】
426において、方法400は、最小ゲイン値を1からフィルタリングされた制御値を引いた値に設定し、最大ゲイン値を1にフィルタリングされた制御値を加えた値に設定する。例えば、コントローラ100は、最小ゲイン値を1からフィルタリングされた制御値を引いた値に設定し、最大ゲイン値を1にフィルタリングされた制御値を加えた値に設定し得る。
【0064】
方法400は、正のステップゲイン値と負のステップゲイン値とを決定し得る。例えば、428において、方法400は、適応一時停止フラグが真に設定されているかを決定する。例えば、コントローラ100が、適応一時停止フラグが真に設定されているかを決定し得る。コントローラ100が、適応一時停止フラグが真に設定されていると決定した場合、コントローラ100は、ゲインステップを0に設定する。あるいは、コントローラ100が、適応一時停止フラグが真に設定されていないと決定した場合、コントローラ100は、正のステップゲイン値を1にゲインステップを加えた値に設定し、負のステップゲイン値を1からゲインステップを引いた値に設定する。ゲインステップは、最小ゲイン値と最大ゲイン値によって制限される。
【0065】
430において、方法400は、適応一時停止フラグを設定するかを決定する。例えば、コントローラ100が、適応一時停止フラグを設定するかを決定し得る。コントローラ100は、ノイズレベルが最小ノイズ閾値未満である、または風が検出されたという決定に応答して、適応一時停止フラグを真に設定してもよい。コントローラ100は、ノイズレベルが最小閾値と最大閾値との間であり、音声が検出されたという決定に応答して、適応一時停止フラグを真に設定してもよい。あるいは、コントローラ100は、ノイズレベルが最大閾値以上であることに応答して、適応一時停止フラグを偽に設定してもよい。
【0066】
方法400は、マイクロホンカプセル110に存在するノイズレベルを計算し得る。例えば、432において、方法400は、マイクロホン入力信号を受信する。例えば、コントローラ100が、マイクロホン入力信号を受信する。
【0067】
434において、方法400は、すべてのチャンネルにゲインを適用する。例えば、コントローラ100は、すべてのマイクロホンカプセル110のチャンネルにゲインを適用する。ゲインは、30dBまたは他の適切な値とすることができる。
【0068】
436において、方法400は、500Hzまたは他の適切な値のコーナー周波数を有するハイパスフィルタを適用する。例えば、コントローラ100が、マイクロホン入力信号にハイパスフィルタを適用し得る。
【0069】
438において、方法400は、3500Hzまたは他の適切な値のコーナー周波数を有するローパスフィルタを適用する。例えば、コントローラ100が、マイクロホン入力信号にローパスフィルタを適用し得る。
【0070】
440において、方法400は、フィルタリングされたマイクロホン入力信号の絶対値を決定する。例えば、コントローラ100が、フィルタリングされたマイクロホン入力信号の絶対値を決定し得る。
【0071】
442において、方法400は、絶対値の合計を決定する。例えば、コントローラ100が、絶対値の合計を決定する。
【0072】
444において、方法400は、50Hz未満のコーナー周波数または他の適切な値を有するローパスフィルタを適用する。例えば、コントローラ100は、絶対値の合計にローパスフィルタを適用し得る。
【0073】
446において、方法400は、ノイズレベルを決定する。例えば、コントローラ100は、絶対値のフィルタリングされた合計に等しいノイズレベルを設定する。
【0074】
448において、方法400は、各マイクロホンカプセル110について特異なゲイン項を計算する。例えば、コントローラ100が、ゲイン項を計算する。コントローラ100は、第1のマイクロホンカプセル110について、X1_cond[n]がRef_cond[n]未満かを決定し得る。コントローラ100が、X1_cond[n]がRef_cond[n]未満であると決定した場合、コントローラ100は、第1のマイクロホンカプセル110のゲインを、以前のゲインに正のステップゲイン値を乗算した値に設定する。あるいは、コントローラ100が、X1_cond[n]がRef_cond[n]以上であると決定した場合、コントローラ100は、第1のマイクロホンカプセル110のゲインを、以前のゲインに負のステップゲイン値を乗算した値に設定する。コントローラ100は、第1のマイクロホンカプセル110に対して設定されたゲイン値が最小ゲイン値以下であるかを決定し得る。コントローラ100が、第1のマイクロホンカプセル110に対して設定されたゲイン値が最小ゲイン値以下であると決定した場合、コントローラ100は、ゲイン値を最小ゲイン値に等しく設定する。加えて、または代替的に、ゲイン値が最大ゲイン値以上であることに応答して、コントローラ100は、ゲイン値を最大ゲイン値に等しく設定する。
【0075】
図5は、本開示の原理に係わる代替ブラインド感度マッチング方法500を概略的に示すフロー図である。502において、方法500は、マイクロホンアレイ内の少なくとも2つのマイクロホンカプセルについて、平均生音暴露振幅値を決定する。例えば、コントローラ100が、マイクロホンアレイ108内の少なくとも2つのマイクロホンカプセル110について、平均生音暴露振幅値を決定し得る。
【0076】
504において、方法500は、少なくとも2つのマイクロホンカプセルの平均誤差値を、平均生音暴露振幅値と、少なくとも2つのマイクロホンカプセルの各マイクロホンカプセルのそれぞれの感度調整暴露値とに基づいて計算する。例えば、コントローラ100が、少なくとも2つのマイクロホンカプセル110の平均誤差値を、平均生音暴露振幅値と、少なくとも2つのマイクロホンカプセル110の各マイクロホンカプセル110のそれぞれの感度調整暴露値とに基づいて計算し得る。
【0077】
506において、方法500は、平均誤差値に基づいて、少なくとも2つのマイクロホンカプセルのうちの少なくとも1つのマイクロホンカプセルに対する第1のゲインステップ値を決定する。例えば、コントローラ100が、平均誤差値に基づいて、少なくとも2つのマイクロホンカプセル110のうちの少なくとも1つのマイクロホンカプセル110に対する第1のゲインステップ値を決定し得る。
【0078】
508において、方法500は、最小ゲイン値および最大ゲイン値に基づいて、少なくとも2つのマイクロホンカプセルのうちの少なくとも1つのマイクロホンカプセルの各マイクロホンカプセルに対する第2のゲインステップ値を決定する。例えば、コントローラ100が、最小ゲイン値および最大ゲイン値に基づいて、少なくとも2つのマイクロホンカプセル110のうちの少なくとも1つのマイクロホンカプセル110の各マイクロホンカプセル110に対する第2のゲインステップ値を決定し得る。
【0079】
510において、方法500は、第2のゲインステップ値に基づいて、少なくとも1つのマイクロホンカプセルのゲインを調整する。例えば、コントローラ100は、第2のゲインステップ値に基づいて、少なくとも1つのマイクロホンカプセル110のゲインを調整し得る。
【0080】
第1項。マイクロホンアレイ内のマイクロホンカプセルの感度マッチングのための方法であって、方法は、マイクロホンアレイ内の少なくとも2つのマイクロホンカプセルについて、平均生音暴露振幅値を決定すること、平均生音暴露振幅値と、少なくとも2つのマイクロホンカプセルの各マイクロホンカプセルのそれぞれの感度調整暴露値とに基づいて、少なくとも2つのマイクロホンカプセルの平均誤差値を計算すること、平均誤差値に基づいて、少なくとも2つのマイクロホンカプセルのうちの少なくとも1つのマイクロホンカプセルに対する第1のゲインステップ値を決定すること、最小ゲイン値と最大ゲイン値に基づいて、少なくとも2つのマイクロホンカプセルのうちの少なくとも1つのマイクロホンカプセルの各マイクロホンカプセルに対する第2のゲインステップ値を決定すること、および、第2のゲインステップ値に基づいて、少なくとも1つのマイクロホンカプセルのゲインを調整することによって感度校正値を適用することを含む。
【0081】
第2項。マイクロホンアレイ内の少なくとも2つのマイクロホンカプセルについて、平均生音暴露振幅値を決定することは、少なくとも2つのマイクロホンカプセルのそれぞれについて、マイクロホン入力信号を受信すること、各マイクロホン入力信号の絶対値を決定すること、および、各マイクロホン入力信号の絶対値に基づいて、平均生音暴露振幅値を決定することを含む、本明細書中のいずれかの項に記載の方法。
【0082】
第3項。平均誤差値に基づいて、少なくとも2つのマイクロホンカプセルのうちの少なくとも1つのマイクロホンカプセルの第1のゲインステップ値を決定することは、平均誤差値が誤差閾値未満であるかを決定することを含む、本明細書中のいずれかの項に記載の方法。
【0083】
第4項。平均誤差値が誤差閾値未満であるという決定に応答して、第1のゲインステップ値は、以前に計算された所定数の平均誤差値の平均を第1の分母値で割った値を計算することによって決定される、本明細書中のいずれかの項に記載の方法。
【0084】
第5項。以前に計算された平均誤差値の所定数は、10個の以前に計算された平均誤差値であり、第1の分母値は10,000である、本明細書中のいずれかの項に記載の方法。
【0085】
第6項。平均誤差値が誤差閾値以上であるという決定に応答して、第1のゲインステップ値は、以前に計算された所定数の平均誤差値の平均を第2の分母値で割った値を計算することによって決定される、本明細書中のいずれかの項に記載の方法。
【0086】
第7項。以前に計算された平均誤差値の所定数は、10個の以前に計算された平均誤差値であり、第2の分母値は500である、本明細書中のいずれかの項に記載の方法。
【0087】
第8項。最小ゲイン値および最大ゲイン値に関連する制御値を設定することをさらに含む、本明細書中のいずれかの項に記載の方法。
【0088】
第9項。起動段階中に制御値を第1の制御値に設定し、起動段階後に制御値を第2の制御値に設定することをさらに含む、本明細書中のいずれかの項に記載の方法。
【0089】
第10項。第1の制御値が0であり、第2の制御値が0.25である、本明細書中のいずれかの項に記載の方法。
【0090】
第11項。最小ゲイン値は、1から制御値を引いた値である、本明細書中のいずれかの項に記載の方法。
【0091】
第12項。最大ゲイン値は、1に制御値を加えた値である、本明細書中のいずれかの項に記載の方法。
【0092】
第13項。一時停止フラグが設定されているかを決定することをさらに含む、本明細書中のいずれかの項に記載の方法。
【0093】
第14項。一時停止フラグが設定されているという決定に応答して、第2のゲインステップ値を0に設定することをさらに含む、本明細書中のいずれかの項に記載の方法。
【0094】
第15項。一時停止フラグが設定されていないという決定に応答して、正のステップ値を1に第2のゲインステップ値を加えた値に設定し、負のステップ値を1から第2のゲインステップ値を引いた値に設定することをさらに含む、本明細書中のいずれかの項に記載の方法。
【0095】
第16項。少なくとも1つのマイクロホンカプセルのゲインを調整することは、正のステップ値と負のステップ値とにさらに基づく、本明細書中のいずれかの項に記載の方法。
【0096】
第17項。マイクロホンアレイは車両に関連する、本明細書中のいずれかの項に記載の方法。
【0097】
第18項。マイクロホンアレイ内のマイクロホンカプセルの感度マッチングのためのシステムであって、プロセッサ、および、命令を含むメモリであって、命令は、プロセッサによって実行されると、プロセッサに、マイクロホンアレイ内の少なくとも2つのマイクロホンカプセルについて、平均生音暴露振幅値を決定すること、平均生音暴露振幅値と、少なくとも2つのマイクロホンカプセルの各マイクロホンカプセルのそれぞれの暴露値とに基づいて、少なくとも2つのマイクロホンカプセルの平均誤差値を計算すること、平均誤差値に基づいて、少なくとも2つのマイクロホンカプセルのうちの少なくとも1つのマイクロホンカプセルに対する第1のゲインステップ値を決定すること、最小ゲイン値と最大ゲイン値に基づいて、少なくとも2つのマイクロホンカプセルのうちの少なくとも1つのマイクロホンカプセルの各マイクロホンカプセルに対する第2のゲインステップ値を決定すること、および、第2のゲインステップ値に基づいて、少なくとも1つのマイクロホンカプセルのゲインを調整することを実行させるメモリを含むシステム。
【0098】
第19項。命令は、プロセッサに、マイクロホンアレイ内の少なくとも2つのマイクロホンカプセルについて、少なくとも2つのマイクロホンカプセルのそれぞれについて、マイクロホン入力信号を受信すること、各マイクロホン入力信号の絶対値を決定すること、および、各マイクロホン入力信号の絶対値に基づいて、平均生音暴露振幅値を決定することによって、平均生音暴露振幅値を決定させることをさらに含む、本明細書中のいずれかの項に記載のシステム。
【0099】
第20項。マイクロホンアレイ内のマイクロホンカプセルの感度マッチングのための装置であって、マイクロホンアレイの少なくとも2つのマイクロホンカプセルの各マイクロホンカプセルについて、マイクロホン入力信号を受信し、各マイクロホン入力信号の絶対値を決定し、各マイクロホン入力信号の絶対値に基づいて、 少なくとも2つのマイクロホンカプセルについて、平均生音暴露振幅値を決定し、少なくとも2つのマイクロホンカプセルの平均誤差値を、平均生音暴露振幅値と少なくとも2つのマイクロホンカプセルの各マイクロホンカプセルのそれぞれの暴露値とに基づいて計算し、それぞれの暴露値は、少なくとも2つのマイクロホンカプセルのそれぞれのマイクロホン入力信号に基づき、平均誤差値に基づいて、少なくとも2つのマイクロホンカプセルのうちの少なくとも1つのマイクロホンカプセルに対する第1のゲインステップ値を決定し、最小ゲイン値および最大ゲイン値に基づいて、少なくとも2つのマイクロホンカプセルのうちの少なくとも1つのマイクロホンカプセルの各マイクロホンカプセルに対する第2のゲインステップ値を決定し、および、第2のゲインステップ値に基づいて、少なくとも1つのマイクロホンカプセルのゲインを調整するように構成された車両コントローラを含む装置。
【0100】
以上の議論は、本発明の原理および様々な実施形態を例示するためのものである。上記の開示を充分に理解することで、当業者には多数の変形および修正が明らかになるであろう。以下の特許請求の範囲は、すべてのそのような変形および修正を包含するように解釈されることが意図される。
【0101】
本明細書において「例」という語は、実施例、実例、または例示の機能を果たすことを意味する。本明細書において「例」として説明される側面または設計は、必ずしも他の側面または設計よりも好ましいまたは有利であると解釈されるものではない。むしろ、「例」という語の使用は、本概念を具体的な方法で提示することを意図している。本出願で使用される場合、用語「または」は、排他的な「または」ではなく、包括的な「または」を意味することが意図される。すなわち、別段の指定がない限り、または文脈から明らかでない限り、「XはAまたはBを含む」とは、自然な包括的順列のいずれかを意味することを意図している。すなわち、XがAを含む場合、XがBを含む場合、またはXがAとBの両方を含む場合、前述のいずれの場合も「XがAまたはBを含む」は満たされる。加えて、本出願および添付の特許請求の範囲で使用される冠詞「a」および「an」は、別段の指定がない限り、または文脈から単数形に関することが明らかでない限り、一般に「1つまたは複数」を意味すると解釈されるべきである。さらに、全体を通して「an implementation」または「one implementation」という用語の使用は、そのように記載されない限り、同じ実施形態または実施態様を意味することを意図しない。
【0102】
本明細書に記載のシステム、アルゴリズム、方法、命令などの態様は、ハードウェア、ソフトウェア、またはそれらの任意の組み合わせで実現することができる。ハードウェアは、例えば、コンピュータ、知的財産(IP)コア、特定用途向け集積回路(ASIC)、プログラマブルロジックアレイ、光プロセッサ、プログラマブルロジックコントローラ、マイクロコード、マイクロコントローラ、サーバ、マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ、または任意の他の適切な回路を含み得る。特許請求の範囲において、「プロセッサ」という用語は、単独でまたは組み合わせて、前述のハードウェアのいずれかを包含すると理解されるべきである。「信号」および「データ」という用語は、入れ替え可能に使用される。
【0103】
本明細書で使用される場合、モジュールという用語は、他のコンポーネントと共に使用するように設計されたパッケージ化された機能ハードウェアユニット、コントローラ(例えば、ソフトウェアまたはファームウェアを実行するプロセッサ)によって実行可能な命令のセット、特定の機能を実行するように構成された処理回路、および大規模なシステムとインタフェースする自己完結型のハードウェアまたはソフトウェアコンポーネントを含み得る。例えば、モジュールは、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、回路、デジタル論理回路、アナログ回路、若しくは、ディスクリート回路、ゲート、および他の種類のハードウェアの組み合わせ、またはそれらの組み合わせを含み得る。他の実施形態では、モジュールは、モジュールの機能を実装するためにコントローラによって実行可能な命令を記憶するメモリを含み得る。
【0104】
さらに、1つの側面において、例えば、本明細書に記載されるシステムは、実行されると、本明細書に記載されるそれぞれの方法、アルゴリズム、および/または命令のいずれかを実施するコンピュータプログラムを有する汎用コンピュータまたは汎用プロセッサを使用して実施することができる。加えて、または代替的に、例えば、本明細書に記載される方法、アルゴリズム、または命令のいずれかを実施するための他のハードウェアを含み得る特殊用途コンピュータ/プロセッサを利用することができる。
【0105】
さらに、本開示の実施態様の全部または一部は、例えば、コンピュータ使用可能媒体またはコンピュータ読み取り可能媒体からアクセス可能なコンピュータプログラム製品の形態をとることができる。コンピュータ使用可能媒体またはコンピュータ読取可能媒体は、例えば、任意のプロセッサによって、または任意のプロセッサに関連して使用するためのプログラムを接触可能に格納、記憶、通信、または輸送することができる任意の装置であってもよい。媒体は、例えば、電子、磁気、光学、電磁気、または半導体デバイスとすることができる。他の適切な媒体も利用可能である。
【0106】
上述した実施形態、実施態様、および側面は、本発明を容易に理解できるように記載されたものであり、本発明を限定するものではない。むしろ、本発明は、添付の特許請求の範囲内に含まれる様々な変更および等価な配置をカバーすることを意図しており、この範囲は、特許法の下で許容されるすべてのそのような変更および等価な構造を包含するように、最も広い解釈が与えられるものである。
【外国語明細書】