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特開2025-3412中空柱状物の生産性に優れた高強度補強材
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025003412
(43)【公開日】2025-01-09
(54)【発明の名称】中空柱状物の生産性に優れた高強度補強材
(51)【国際特許分類】
   E04G 23/02 20060101AFI20241226BHJP
【FI】
E04G23/02 F
【審査請求】有
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024100314
(22)【出願日】2024-06-21
(31)【優先権主張番号】P 2023102290
(32)【優先日】2023-06-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】515179358
【氏名又は名称】衛藤 武志
(71)【出願人】
【識別番号】305035093
【氏名又は名称】株式会社ビルドランド
(74)【代理人】
【識別番号】110003476
【氏名又は名称】弁理士法人瑛彩知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】衛藤 武志
【テーマコード(参考)】
2E176
【Fターム(参考)】
2E176AA01
2E176AA13
2E176BB12
2E176BB15
2E176BB18
(57)【要約】
【課題】少ない部品点数で中空柱状物を補強する仕組みを提供する。
【解決手段】中空柱状物の補強部材であって、中空柱状をなす袋状シートと、前記袋状シートを前記中空柱状物の内部に挿通させるための押込棒と、前記袋状シートと前記押込棒の先端とを着脱可能に連結する連結部材と、を備え、前記袋状シートは、その内部に所定量の流動性硬化材が供給された場合に長手方向に自立可能な構成を有している、中空柱状物用補強部材とする。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
中空柱状物の補強部材であって、
中空柱状をなす袋状シートと、
前記袋状シートを前記中空柱状物の内部に挿通させるための押込棒と、
前記袋状シートと前記押込棒の先端とを着脱可能に連結する連結部材と、
を備え、
前記袋状シートは、その内部に所定量の流動性硬化材が供給された場合に長手方向に自立可能な構成を有している、中空柱状物用補強部材。
【請求項2】
前記袋状シートは、引張弾性率が353cN/dtex以上の高弾性率繊維から構成されている、
請求項1に記載の中空柱状物用補強部材。
【請求項3】
前記袋状シートは、折り目が前記長手方向に沿うように折り畳まれている、
請求項1に記載の中空柱状物用補強部材。
【請求項4】
前記袋状シートは、フィラメント糸を束ねた無撚または有撚の繊維束を緯糸で連結した織物を含む、
請求項1に記載の中空柱状物用補強部材。
【請求項5】
前記袋状シートは、前記織物に樹脂が含浸されて硬化されることにより構成されている、
請求項4に記載の中空柱状物用補強部材。
【請求項6】
前記押込棒は、可撓性を有する樹脂材料または金属材料から構成されている、
請求項1に記載の中空柱状物用補強部材。
【請求項7】
前記押込棒は、長手方向について複数の部分に分割可能に構成されている、
請求項1に記載の中空柱状物用補強部材。
【請求項8】
前記中空柱状物に対して前記押込棒を、鉛直方向について所定の位置に固定する固定機構をさらに備える、
請求項1に記載の中空柱状物用補強部材。
【請求項9】
前記固定機構は、
前記押込棒の下端を支持する支持部と、
前記中空柱状物の所定の位置に装着される固定部材と、
前記支持部と前記固定部材との間を無段階の距離で連結する連結ベルトと、
を備える、請求項8に記載の中空柱状物用補強部材。
【請求項10】
前記袋状シートに備えられた流動性硬化材を注入するための注入管部材をさらに備える、請求項1に記載の中空柱状物用補強部材。
【請求項11】
前記注入管部材は、前記袋状シートの内部と外部を連通する第1の流路と、前記第1の流路に連通し前記袋状シートの長手方向に沿って前記連結部材に連結される側に延びる第2の流路と、他方の側に延びる第3の流路と、からなるT字型の流路を有し、
前記第3の流路は、前記袋状シートが前記中空柱状物の中空内部に挿入された場合に、前記中空柱状物の中空の底部近傍に至る長さとされている、
請求項10に記載の中空柱状物用補強部材。
【請求項12】
中空柱状物を補強するための補強キットであって、
中空柱状の袋状シートと、
前記袋状シートと、前記袋状シートを前記中空柱状物の内部に挿通させるための押込棒の先端と、を着脱可能に連結する連結部材と、
を備える、中空柱状物用補強キット。
【請求項13】
中空柱状物の補強部材であって、
中空柱状の袋状シートと、
前記袋状シートを前記中空柱状物の内部に挿通させるための押込棒と、
前記袋状シートと前記押込棒の先端とを着脱可能に連結している連結部材と、
を備える、中空柱状物用補強部材を用意する工程、
前記中空柱状物に設けられた外部と中空部とを連通する孔部を介して、前記中空部内に、前記中空柱状物用補強部材を挿入する工程、
前記孔部から、前記袋状シートに、第1の量の流動性硬化材を注入する工程、
前記中空柱状物用補強部材から、前記押込棒を脱離させて前記中空部から回収する工程、および
前記孔部から、前記袋状シートに、第2の量の流動性硬化材を注入する工程、
を含む、中空柱状物の補強方法。
【請求項14】
前記中空柱状物用補強部材を挿入する工程において、前記中空柱状物用補強部材を前記中空部内に挿入したのちに、前記中空柱状物に対して前記押込棒の鉛直方向についての位置を固定する、
請求項13に記載の中空柱状物の補強方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
ここに開示する発明は、中空柱状物の生産性に優れた高強度補強材に関する。
【背景技術】
【0002】
中空柱状物の補強方法では、特許文献1の補強方法がある。特許文献1には、「補強材1を中空パイプ4で下から押し上げて電柱100内に配置し、中空パイプ4に充填材を供給して下から順に貫通孔10を使用して電柱100内に充填材を注入する」ことが開示されている(要約参照)。
【0003】
特許文献2に開示された中空状構造物の補強方法では、搬入風船1段目を中空筒状構造物の頭頂部で膨張して保持した後に連結している滑車で補強詰め合わせ体を吊り上げその補強体を膨張させた後にその頭頂部にある搬入風船部2段目を膨張して保持した後に連結された滑車を介し吊り上げロープで硬化材注入ホースを吊り上げホースから硬化材を注入して膨張して補強する方法が開示されている。
【0004】
特許文献3に開示された中空状構造物の補強方法では、中空柱状物内壁で斜め下向きの固定刃を当てて筒状の補強材を保持する押上固定装置に押上棒がネジで嵌合されその直近の押上棒に補強材をベルトでは巻付けて保持する補強材の設置方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2021-4546号公報
【特許文献2】特開2016-37807号公報
【特許文献3】特開2022-81605号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の補強方法では、補強シートの保持を膨張材でおこなうから施工時間と部品点数が増える。特許文献2の補強方法では、補強シートの吊り上げと硬化材注入ホースの吊り上げに個別の風船を計2体使っており、部品点数が増え作業性も悪い。特許文献3の設置方法では、押上棒の先端にある固定刃を中空柱状物の内壁に保持する押上固定装置が必要であり、部品点数が増える。
【0007】
本発明は、少ない部品数で中空柱状物を補強する仕組みを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、例えば特許請求の範囲に記載の構成を採用する。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、少ない部品点数で中空柱状物を補強する仕組みが提供される。
上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】一実施形態に係る中空柱状物の補強方法の挿入工程を例示する概略図である。
図2】一実施形態に係る中空柱状物の補強方法の固定工程を例示する概略図である。
図3】一実施形態に係る中空柱状物の補強方法の充填工程を例示する概略図である。
図4】挿入工程における中空柱状物用補強部材を部分的に詳細に例示する部分概略図である。
図5】固定工程における中空柱状物用補強部材を部分的に詳細に例示する部分概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、適宜図面を参照し、本開示に係る中空柱状物の補強方法および中空柱状物用補強部材について説明する。本開示では、中空柱状物を、中空柱状物用補強部材を用いて補強する。中空柱状物としては、これに限定されるものではないが、例えば、コンクリート製の配線用ポール(電信柱、通信柱などを含む概念である。)、支持ポール(照明・カメラ・ネット等の支持用ポール)、煙突、中空橋脚等の大口径中空柱状物等の中空コンクリート柱を対象とすることができる。
【0012】
図1~3は、一実施形態に係る中空柱状物用補強部材20を用いた中空柱状物1の補強方法における挿入工程、固定工程、充填工程の様子をそれぞれ例示する概要図である。図4は、挿入工程における中空柱状物用補強部材20を部分的に詳細に示す部分概略図である。図5は、充填工程における中空柱状物用補強部材20を部分的に詳細に示す部分概略図である。各図では、中空柱状物用補強部材20の構成および動作を理解するために、中空柱状物1および中空柱状物用補強部材20の一部を透視図として示している。
【0013】
本開示に係る中空柱状物1の補強方法は、概して、(1)中空柱状物用補強部材20を用意する工程、(2)中空柱状物用補強部材20を中空柱状物1の中空部に挿入する工程、(3)第1の量の流動性硬化材を注入する工程、(4)押込棒4を回収する工程、および(5)第2の量の流動性硬化材を注入する工程、を含む。
【0014】
本発明に係る中空柱状物1の生産性に優れた高強度補強材は、高ヤング率のシートを筒状に成形してその上下端を封止した袋状シート3であってシートの長辺方向に沿って二つ折りに畳まれておりシートには流動性硬化材5の注入管6が連通して配設されその吐出口にはビニルホース7が接続され袋状シート3の底部にかけて延伸して配設してある。袋状シート3の頭頂部には中空柱状物1内に袋状シート3を挿入する押込棒4の連結部材11を備えシートの保持は押込棒4を介してベルト巻取固定機構12(固定機構の一例)で固定された後に袋状シート3は流動性硬化材5の自重の内圧により中空柱状物1の内壁に押し付けられて中空柱状物1の下部に保持された後に押込棒4は連結部材11より分離して中空柱状物1の外に引き抜かれ中空柱状物1ないに補強材以外の残留物がないことを特徴とする。
【0015】
前記袋状シート3は、高ヤング率のフィラメント糸を所定の本数に束ねた無撚または有撚の繊維束を、緯糸で連結した織物に一定量の熱硬化性樹脂または熱可塑性樹脂を繊維に含侵して編成したシートからなる。前記袋状シート3は、織物シートを筒状に成形して、その上下端を封止した袋状であり、シート3の長辺方向に沿って二つ折りに畳まれて格納されている。
【0016】
前記袋状シート3の、頭頂部には中空柱状物1の所定の位置にシートを挿入するための押込棒4の連結部材11が配設されている。連結部材11の先端キャップのなかで、前記袋状シート3は、連結部材11と、プラスチックベルト、金属ベルト、接着材あるいはその両方により係合または嵌合されて取りついている。
【0017】
前記袋状シート3には、流動性硬化材5を充填するためのT字の注入管6が前記袋状シートを連通して配設されプラスチックベルト、金属ベルト、接着材あるいはその両方により前記袋状シート3に係合されている。また、前記注入管6のT字の一方の吐出口には、ビニルホース7がプラスチックベルト、金属ベルト、接着材あるいはその両方により係合され前記袋状シート3の底部にかけて延伸して配設されている。
【0018】
前記押込棒4は、前記袋状シート3の表面の長辺方向に沿わして、挿入の長さに応じて前記押込棒4の分割部を係合して、延伸できその先端は、雄ネジあるいは雌ネジが形成され、前記連結部材11には雌ネジあるいは雄ネジが形成され、連結時にネジは互い違いに使用する。挿入時は押込棒4を正回転で係合して使用する。前記袋状シート3が所定の位置にきたら、前記押込棒4の延伸が停止して、前記袋状シート3が停止する。
【0019】
前記袋状シート3は、所定の位置で延伸が止まるとベルト巻取固定機構12(固定機構の一例)に巻取られた前記繊維ベルト13(連結ベルトの一例)の先端に接続してある、前記押込棒4よりひと廻り大きな径のさや管15(支持部の一例)の中に、押込棒4を入れ前記ベルト巻取固定機構12により繊維ベルト13を巻取ることで、押込棒4を介して袋状シート3が中空柱状物1の中で吊り下げ保持される。
【0020】
前記注入管6から流動性硬化材5を充填すると、T字のビニルホース7の吐出口より前記袋状シート3の底部に前記流動性硬化材5は分離せずに充填され前記注入管6の高さに流動性硬化材5が到達したら、注入を停止する。袋状シート3は流動性硬化材5の自重の内圧により前記中空柱状物1の内壁に押し付けられて中空柱状物1の下部に保持される。
【0021】
前記押込棒4を逆回転させて、前記連結部材11から押込棒4が分離して吊り下げ保持が解除される。前記中空柱状物1の外へ押込棒4が引き抜かれた後に流動性硬化材5が前記袋状シート3を満たしたら充填を止めて補強が完了する。
【0022】
前記押込棒4は、前記中空柱状物1の削孔2の巾よりも細い径の、可撓性の樹脂棒あるいは金属棒が使われ、断面欠損がない形状で、前記流動性硬化材5の所定の質量で座屈しない強度で編成されている。
【0023】
特許文献1の補強方法では、中空柱状物の地際より筒状に成形してある補強シートの中空部に配設した可撓性の中空パイプを使い補強シートを挿入し押し上げて所定の位置に配置した後に補強シートの最上部の内側にある膨張材で補強シートと中空パイプとを中空柱状物内壁に押圧して固定した後に中空パイプの貫通孔からモルタルを補強シート内に注入して充填する方法が開示されている。また、特許文献2に開示された中空状構造物の補強方法では、搬入風船1段目を中空筒状構造物の頭頂部で膨張して保持した後に連結している滑車で補強詰め合わせ体を吊り上げその補強体を膨張させた後にその頭頂部にある搬入風船部2段目を膨張して保持した後に連結された滑車を介し吊り上げロープで硬化材注入ホースを吊り上げホースから硬化材を注入して膨張して補強する方法が開示されている。特許文献3に開示された中空状構造物の補強方法では、中空柱状物内壁で斜め下向きの固定刃を当てて筒状の補強材を保持する押上固定装置に押上棒がネジで嵌合されその直近の押上棒に補強材をベルトでは巻付けて保持する補強材の設置方法が開示されている。
【0024】
しかしながら、特許文献1の補強方法では補強シートの保持を膨張材でおこうから施工時間と部品点数が増える。更に、モルタルの中には中空パイプと膨張材が異物として残留するのでモルタルの強度の低下も発生する。特許文献2の補強方法では補強シートの吊り上げと硬化材注入ホースの吊り上げに個別の風船を計2体、使っており部品点数が増え作業性も悪い。特許文献3の設置方法だと押上棒の先端にある固定刃を中空柱状物の内壁に保持する押上固定装置が必要で部品点数が増える。更に、固定刃は大径管の保持には固定刃の羽が長くなり充填物の吊り荷重で座屈するから小径管の範囲に限られる。
【0025】
これに対し、本発明に係る中空柱状物1の生産性に優れた高強度補強材は、高ヤング率の袋状シート3であって、注入管6に連結されたビニルホース7は流動性硬化材5の分離を防止して強度を安定させ、押込棒4の連結作業は、袋状シート3の外ででき、押込棒4には断面欠損がなく強度が高いから挿入作業が楽にできて、袋状シート3の保持は、押込棒4を介しベルト巻取固定機構12で簡便に固定できて作業時間の短縮になり、中空柱状物1ないに補強材以外の残留物を残さない強度に優れた中空柱状物1の生産性に優れた高強度補強材を提供する。
【0026】
本発明に関する中空柱状物1の生産性に優れた高強度補強材の実施形態について、図1~3に中空柱状物1の補強手順図を挿入工程と固定工程と充填工程とで示す。
【0027】
本発明に関する中空柱状物1の生産性に優れた高強度補強材の実施形態について、図1の挿入工程では、袋状シート3の表面の長辺方向に押込棒4を沿わせ、中空柱状物1の削孔2から挿入する形態を示す。
【0028】
本発明に関する中空柱状物1の生産性に優れた高強度補強材の実施形態について、図2の固定工程では、袋状シート3は、所定の位置で延伸が止まると、繊維ベルト13を巻取ることで押込棒4を介して袋状シート3が中空柱状物1の中で吊り下げ保持された形態と注入管6から流動性硬化材5を充填すると注入管6の高さに流動性硬化材5が到達したら注入を停止する。袋状シート3は流動性硬化材5の自重の内圧により中空柱状物1の内壁に押し付けられて下部に保持される。
【0029】
本発明に関する中空柱状物1の生産性に優れた高強度補強材の実施形態について、図3の充填工程では、押込棒4が中空柱状物1の外に引き抜かれ、袋状シート3に流動性硬化材5が満充填された形態を示す。
【0030】
本発明に関する中空柱状物1の生産性に優れた高強度補強材の実施形態について、図4の挿入工程と固定工程の詳細では、連結部材11のネジ部と押込棒4のネジ部を正回転させて係合して連結した後に、中空柱状物1の削孔2より袋状シート3の表面の長辺方向に押込棒4を沿わして、挿入する。延伸長さに応じて、追加する押込棒4の先端を押込棒の下端ネジ部に正回転させて係合して連結した後に延伸している形態を示す。
【0031】
本発明に関する中空柱状物1の生産性に優れた高強度補強材の実施形態について、図4の挿入工程と固定工程の詳細では、袋状シート3が所定の位置で延伸が止まると、ベルト巻取固定機構12に巻取られた繊維ベルト13の先端に接続してある押込棒4よりひと廻り大きな径のさや管15の中に押込棒4を入れベルト巻取固定機構12により繊維ベルト13を巻取ることで押込棒4を介して袋状シート3が中空柱状物1の中で吊り下げ保持された形態を示す。
【0032】
本発明に関する中空柱状物1の生産性に優れた高強度補強材の実施形態について、図5の充填工程の詳細では、注入管6から流動性硬化材5を充填すると、T字のビニルホース7の吐出口より袋状シート3の底部に、流動性硬化材5は分離せずに充填され、注入管6の高さに流動性硬化材5が到達したら注入を停止する。袋状シート3は流動性硬化材5の自重の内圧により中空柱状物1の内壁に押し付けられて、中空柱状物1の下部が保持される。押込棒4を逆回転させて、連結部材11ら押込棒4が分離して、吊り下げ保持が解除される。中空柱状物1の外へ押込棒4が引き抜かれた後に、流動性硬化材5が袋状シート3を満たしたら、充填を止めて補強が完了する形態を示す。
【0033】
図1~5を参照しつつ、中空柱状物用補強部材20について改めて説明する。
本開示に係る中空柱状物用補強部材20は、例えば図1に示すように、概して、袋状シート3と、押込棒4と、連結部材11と、注入管6(注入管部材の一例)と、固定機構と、を備える。
【0034】
袋状シート3は、補強対象である中空柱状物1を補強する要素である。袋状シート3は、例えば、中空柱状物1に対し、曲げモーメントに対する抗力や水平荷重に対する抗力を付与する。袋状シート3は、概して、中空柱状物1の中空形状に対応した中空柱状の袋状をなしている。袋状シート3を中空柱状物1の内表面に一体的に固定することで、中空柱状物1が補強される。なお、袋状シート3を中空柱状物1の内表面に一体的に固定するための固定材には、流動性硬化材5が用いられる。
【0035】
袋状シート3は、高ヤング率のシートから構成されている。袋状シート3は、例えば、このシートを筒状に成形し、その上下端を封止することで構成されている。袋状シート3の上端および/または下端は、接着剤やミシン縫製等によって封止されていてもよい。
【0036】
本明細書において「高ヤング率」とは、袋状シート3の少なくとも長手方向の弾性率(引張弾性率)が、補修対象の中空柱状物1の軸方向の弾性率(引張弾性率)よりも高いことをいう。袋状シート3の弾性率は、中空柱状物1に求められる弾性率よりも高いことが好ましく、例えば、製造当初の中空柱状物1の弾性率と同程度あるいはそれよりも高いことが好ましい。なお、参考までに、コンクリート構造物の引張弾性率は、一般に、圧縮弾性率と同等ないしは幾分小さいと見積もられる。そして、鉄筋コンクリートの圧縮弾性率(ヤング率)は設計基準強度等によって様々に規定されているものの、設計基準強度80において3.80×104N/mm2以上、PHC杭において4.00×104N/mm2以上である。
【0037】
袋状シート3は、例えば、高弾性率繊維によって構成することができる。袋状シート3は、好ましくは、高弾性率繊維からなる織物である。高弾性率繊維からなる織物は、例えば、高弾性率の繊維(例えば、フィラメント糸)を所定の本数に束ねた無撚または有撚の繊維束(経糸)を緯糸で連結した織物である。高弾性率繊維からなる織物は、必須ではないものの、さらに樹脂材料(例えば、熱硬化性樹脂または熱可塑性樹脂)を含侵させて硬化させたものであってもよい。なお、本明細書において、高弾性率繊維とは、引張強度20g/d(17.7cN/dtex)以上、引張弾性率400g/d(50GPa、凡そ353cN/dtex)以上のものをいう。これに限定されるものではないが、高弾性率繊維は、引張弾性率が500cN/dtex以上、700cN/dtex以上、700cN/dtex以上、1000cN/dtex以上、1200cN/dtex以上であることがより好ましい。また、織物を構成する繊維束は、例えば、10,000本以上とすることが挙げられる。このような高弾性率繊維としては、例えば、アラミド繊維、炭素繊維、高密度ポリエチレン繊維、ポリベンズアゾール系繊維等が挙げられる。
【0038】
袋状シート3は、施工の前の段階において、略筒状のものを扁平な略2次元の帯状に潰して畳み、これを折り目(折部10)が長手方向(例えば筒軸)に沿うようにより細い帯状に折り畳まれていることが好ましい。袋状シート3は、例えば、縦に(折り目が長手方向に沿うように)二つ折りにされていてもよいし、屏風のように多重折りにされていてもよい。袋状シート3は、例えば、細い帯状に折り畳まれた状態で、上端および下端を封止しておくとよい。このように細く折り畳まれていることで、施工時の挿入工程において、中空柱状物1の中空に中空柱状物用補強部材20を容易に挿入することができる。また、展開容易な形態で折り畳まれていることで、中空柱状物1の中空に第1の量の流動性硬化材5を供給した場合に、袋状シート3の下端側は流動性硬化材5によって中空柱状物1の内壁に押し付けられて広がるとともに、流動性硬化材5よりも上方で袋状シート3の上端から裾までが徐々に(例えば、略円錐状ないしは扇子状に)広がることができ、袋状シート3の自立を支援することができる。さらに、細い帯状に折り畳まれた袋状シート3は、収納・保管・運搬等に便利なように、巻き取られたり、長さ方向について折りたたまれたりしていてもよい。
【0039】
注入管6は、袋状シート3に流動性硬化材5を注入するための流路を提供する要素である。注入管6は、付加的な要素であって、例えば、補強対象の中空柱状物1に補強作業用の削孔2を設け、中空柱状物1の中空に袋状シート3を挿入した場合に、袋状シート3の削孔2に対応する位置に装着される。注入管6は、任意のタイミングで、袋状シート3に装着される。例えば、注入管6は、施工時に、あるいは施工よりも前(中空柱状物用補強部材20の製造時を含む)に、あるいは注入工程において、袋状シート3に装着される。
【0040】
注入管6は、袋状シート3の内部と外部を連通する第1の流路と、この第1の流路に連通し袋状シート3の長手方向に沿って上端の側に延びる第2の流路と、下端の側に延びる第3の流路と、からなるT字型の流路を有する。本実施形態の注入管6は、T字管である。T字管からなる注入管6の第3の流路には、ビニルホース7が接続されている。ビニルホース7は、補強対象の中空柱状物1の中空に袋状シート3を挿入した場合に、中空柱状物1の中空底部(袋状シート3の底部であってもよい)にまで配設可能な寸法である。
【0041】
押込棒4は、袋状シート3を中空柱状物1の内部に挿通させるための要素である。押込棒4は、可撓性を有する材料(例えば、樹脂材料または金属材料)から構成される棒状体である。押込棒4は、これに限定されるものではないが、例えば、直径は30ミリ以上40ミリ以下程度であるとよい。施工に際しては、押込棒4の先端に、連結部材11を用いて袋状シート3の上端が連結される。本実施形態の押込棒4は、長手方向について複数の部分に分割可能に構成されている。図2に示す例では、押込棒4は、長手方向について3つの部材から構成されている。それぞれの部材は、例えばねじ構造によって、着脱可能に構成されている。押込棒4は、先端が中空柱状物1の内部の中空の上端に到達した場合に、下端が削孔2から外部に留まる程度の長さとされる。
【0042】
連結部材11は、袋状シート3と押込棒4の先端とを連結する要素である。連結部材11は、例えば図4等に示すように、キャップ形状を有し、袋状シート3の上端を固定する。また、連結部材11は、例えば、押込棒4の先端を着脱可能に連結する。これにより、後述するように中空柱状物1の内部で袋状シート3が自立した後に、袋状シート3からの押込棒4の脱離が可能とされる。なお、押込棒4と連結部材11の間の連結構造は、例えば、ねじ構造であってよい。ここで、押込棒4と連結部材11の間のねじ構造は、例えば、分割可能な押込棒4の各部分間に設けられるねじ構造と比較して、より小さい力で脱離できる構成(例えば、締め付けトルクおよび/または呼び径がより小さい等)であるか、ねじ切り方向が逆の逆ねじ構造であってもよい。
【0043】
固定機構12は、中空柱状物1に対して押込棒4(延いては、中空柱状物用補強部材20)を、鉛直方向について所定の位置に固定する要素である。固定機構12としては、後述する第1の量の流動性硬化材5を入れた袋状シート3を吊り下げた状態の押込棒4を、所定の高さ位置に保持するために十分な使用耐荷重、強度等を備えるものであるとよい。本実施形態の固定機構12は、例えば、支持部と、固定部材と、連結ベルトと、を備えるベルト巻取固定機構によって構成されている。
【0044】
支持部は、押込棒4の下端を支持して固定する。支持部は、押込棒4の下端を安定して支持できる強度および構成を備えていれば特に制限されず、例えば、押込棒4よりひと廻り大きな径の有底筒状の金属部材で構成することができる。本実施形態における支持部は、例えば、押込棒4よりひと廻り大きな径の刀の鞘形状を有する金属製のさや管15である。
【0045】
固定部材は、中空柱状物1に対して固定機構12の位置を位置決めをするために、中空柱状物1の所定の位置に装着される要素である。固定部材としては、これに限定されるものではないが、例えば、中空柱状物1の周囲に巻き付けて緊結することが可能な、緊結バンドや締結バンド等の固定部材を使用することができる。本実施形態の固定部材は、例えば、金属製のベルトからなる金属ベルト14である。
【0046】
連結ベルトは、支持部と固定部材とを連結する要素である。連結ベルトは、例えば、支持部と固定部材との間の距離を無段階に調整できるものであることが好ましい。連結ベルトは、例えば、支持部に固定される長尺の距離調整ベルトと、距離調整ベルトの巻き取りおよび固定を行うバックルと、バックルを固定部材に固定するバックル固定部と、を備えることができる。バックルの構成はカム式、ラチェット式、オーバーセンター式などであってよい。本実施形態の連結ベルトは、例えば、バックルがラチェット式の繊維ベルト13である。繊維ベルト13としては、これに限定されるものではないが、例えば、ラッシングベルト(一例として、使用荷重:約750kg、破断荷重:約1500kgのもの)を好ましく用いることができる。支持部と固定部材との間をこのような繊維ベルト13で連結することで、支持部と固定部材との間の距離、延いては中空柱状物用補強部材20の高さ位置を、例えば数cm単位で簡便に調整することができる。
【0047】
次に、中空柱状物用補強部材20を用いた中空柱状物1の補強方法の、各工程について説明する。なお、予め、(2)挿入工程よりも前に、中空柱状物1に対し、作業用の穴部(削孔2)を設けておく。削孔2は、例えば、作業性が良好な位置であってよく、例えば、地上50cm~1m程度の位置とすることができる。
【0048】
(1)中空柱状物用補強部材20を用意する工程では、上述の中空柱状物用補強部材20を組み立てる(図1図4参照)。すなわち、押込棒4の先端に、連結部材11の先端キャップをねじ連結する。また、袋状シート3の上端を、連結部材11の先端キャップに固定する。なお、押込棒4が分割式である場合は、一番先端側の分割部のみを連結部材11に装着すればよい。また、必要に応じて、袋状シート3の削孔2に対応する位置に、ビニルホース7を連結した注入管6を装着してもよい。
【0049】
(2)中空柱状物用補強部材20を中空柱状物1の中空部に挿入する工程では、組み立てた中空柱状物用補強部材20を先端から、すなわち、連結部材11の先端キャップから、削孔2を介して中空柱状物1の中空上方に向けて挿入する(図1参照)。このとき、押込棒4の分割部の全長が挿入される前に次の分割部を継ぎ足すことで、中空柱状物1の内部に所定の長さの押込棒4を作業性良く構築することができる。押込棒4が挿入されるにつれて、袋状シート3の上端が中空柱状物1の上方に吊り上げられる。袋状シート3の下端側は、適切なタイミングで、中空柱状物1の内部に挿入してもよい。連結部材11の先端キャップが中空柱状物1の中空の所定の位置(例えば、足場釘を基準とした所定の位置)に到達すると、挿入工程は完了する。
【0050】
なお、ここで、押込棒4を上記所定の位置にまで挿入した場合に、固定機構12を用いて中空柱状物1に対する押込棒4(延いては、中空柱状物用補強部材20)の高さ位置を固定するとよい。例えば、図4等に示すように、固定機構12のさや管15を繊維ベルト13によって金属ベルト14に連結し、この金属ベルト14を削孔2よりも高い所定の位置で中空柱状物1に装着する。そして、押込棒4の下端をさや管15に挿入することで、さや管15によって押込棒4を下方から支持し、押込棒4を所定の高さに保持することができる。ここで、例えば、さや管15と金属ベルト14との間の距離は、後述する流動性硬化材5を袋状シート3に注入した後に袋状シート3が所定の位置に配置されるように、繊維ベルト13の長さを調整することで適切に設定することができる。
【0051】
(3)次いで、第1の量の流動性硬化材を注入する工程では、袋状シート3に第1の量の流動性硬化材5を注入する(第1の注入工程)。ここでは、袋状シート3の下端側に流動性硬化材5を注入することで、畳まれていた袋状シート3の下端側を中空柱状物1の内壁に押し当てて展開させる。流動性硬化材5は高いフロー特性を有しているため、袋状シート3の内部で中空柱状物1の内壁に向けて水平方向に速やかに広がり、内壁を押圧する。本発明者らの検討によると、中空柱状物1の中空部の径にもよるが、例えば、電信柱などにおいては、袋状シート3の下端から凡そ50cm程度の高さまで流動性硬化材5を供給した場合、流動性硬化材5が中空柱状物1の内壁を水平方向に押圧する力によって、中空柱状物1の内部で袋状シート3がそれ以上、下方に移動することがなくなり、垂直方向の位置が固定されるようになる。
【0052】
したがって、第1の注入工程における流動性硬化材5の注入量、すなわち第1の量は、例えば、袋状シート3に供給された流動性硬化材5の作用によって、袋状シート3が垂直方向の位置を維持できる程度の量あるいはそれ以上の量とすることができる。なお、袋状シート3の垂直方向の位置が固定されるときの流動性硬化材5の供給高さは、通常、削孔2の下端よりも十分低い位置となる。例えば、流動性硬化材5の第1の量の供給高さは、削孔2から下方を目視した場合に、凡そ人の目でようやく視認できる程度の距離となり得る。したがって、第1の量の上限は、袋状シート3に供給された流動性硬化材5が削孔2の下端を超えない量とすることができる。
【0053】
このような流動性硬化材5の第1の量の供給によって、押込棒4の先端には袋状シート3おおよび流動性硬化材5の荷重が加わり、押込棒4は撓む。折り畳まれていた袋状シート3の下端側が内壁に向けて展開され、略円錐状ないしは扇子状の形態となる。これにより、次工程で押込棒4の吊り下げによる張力が解消された場合に、袋状シート3の自立が可能とされる。
【0054】
なお、流動性硬化材5は、例えば、注入管6およびビニルホース7を介して、袋状シート3の下端に供給される。流動性硬化材5としては、例えば、モルタルやコンクリートを採用することができる。ビニルホース7は、削孔2より下方の中空柱状物1の中空底部までの流路を提供する。これにより、削孔2よりも下方のレベルに流動性硬化材5を安定して供給することができる。特に、流動性硬化材5がモルタルやコンクリートである場合は、落下による骨材の分離を抑制しながら袋状シート3に流動性硬化材5を供給することができる。
【0055】
(4)押込棒4を回収する工程では、連結部材11から押込棒4を脱離させて回収する。例えば、まず、繊維ベルト13を緩めることで押込棒4を下方に移動させて、押込棒4を中空柱状物1の削孔2から引き出す。第1の量の流動性硬化材5によって袋状シート3および流動性硬化材5は所定の高さに保持されているため、押込棒4の撓みは解消される。そこで、例えば、押込棒4の下端を回転させることで、連結部材11から押込棒4を脱離させる。その後、削孔2から押込棒4を抜き出すことで、押込棒4を回収することができる。押込棒4は、適宜分割して回収することができる。
【0056】
(5)第2の量の流動性硬化材5を注入する工程では、袋状シート3に、第1の注入工程に引き続き、流動性硬化材5を注入する(第2の注入工程)。流動性硬化材5は、必要に応じて、注入管6およびビニルホース7を介して供給することができる。削孔2よりも上方には、骨材の分離なく袋状シート3に流動性硬化材5を供給することができる。第2の量は、例えば、中空柱状物1の補強に必要な充填量(例えば、地際から所定の高さとなる量)に基づいて定めることができる。流動性硬化材5の自重によって、袋状シート3は中空柱状物1の内壁に押し付けられ、かかる状態で流動性硬化材5は硬化する。これにより、中空柱状物1の内部を、袋状シート3で強化された硬化物(例えば、繊維強化コンクリート/モルタル)で補強することができる。なお、流動性硬化材5が硬化する前に、注入管6およびビニルホース7の少なくとも一方を回収してもよい。
【0057】
上記構成によると、袋状シート3は、施工当初は押込棒4によって吊り下げ支持されているものの、第1の量の流動性硬化材5を供給することで、中空柱状物1の内部で自立させることができる。これにより、例えば、袋状シート3を支持する部材(例えば、風船)を別途用意する必要がなく、少ない部品点数で中空柱状物1を補強することができる。また例えば、中空柱状物1の内部に袋状シート3を吊り下げ支持するための部材(例えば、風船や押込棒4)を残すことなく、中空柱状物1を補強することができる。
【0058】
上記構成において、押込棒4は袋状シート3の外に配置される。そのため、施工時に袋状シート3の下端からその内部に押込棒4を挿通させる必要がなく、また、押込棒4に分割部材を継ぎ足す場合も袋状シート3を挿通させる必要がない。したがって、中空柱状物1を作業性よく補修することができる。また、押込棒4は、施工後に流動性硬化材5(延いてはその硬化物)の内部に残存せず、押込棒4の介在とその劣化や体積変形に伴う硬化物の強度(例えば、圧縮強度および引張強度)の低下を抑制することができる。さらに、押込棒4は中空柱状物1の内部から回収されるため、強度等に問題がない範囲で、繰り返し使用することができる。したがって、コスト面においても有利である。
【0059】
なお、本開示の中空柱状物1の補強方法においては、押込棒4と、必要に応じて注入管6およびビニルホース7の少なくとも一方と、を回収して繰り返し使用できる。したがって、本開示は、中空柱状物用補強部材20の消耗品として、例えば、袋状シート3と、連結部材11と、を備える、中空柱状物用補強キットを提供することができる。
【0060】
なお、本開示は上記した実施形態に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施形態は本開示を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。また、各実施形態の構成の一部について、他の構成を追加・削除・置換することが可能である。
【0061】
本開示は、以下の構成1~9のいずれか1つまたは2つ以上の組み合わせを開示する。
[構成1]
本発明に係る中空柱状物1の生産性に優れた高強度補強材は、高ヤング率のシートを筒状に成形してその上下端を封止した袋状シート3であってシートの長辺方向に沿って二つ折りに畳まれておりシートには流動性硬化材5の注入管6が連通して配設されその吐出口にはビニルホース7が接続され袋状シート3の底部にかけて延伸して配設してある。袋状シート3の頭頂部には中空柱状物1内に袋状シート3を挿入する押込棒4の連結部材11を備えシート3の保持は押込棒4を介してベルト巻取固定機構12で簡便に固定できる。押込棒4は連結部材11より分離して中空柱状物1の外に引き抜かれ且つ、中空柱状物1ないに補強材以外の残留物がないことを特徴とする中空柱状物1の生産性に優れた高強度補強材
[構成2]
前記袋状シート3は、高ヤング率のフィラメント糸を所定の本数に束ねた無撚または有撚の繊維束を緯糸で連結した織物に一定量の熱硬化性樹脂または熱可塑性樹脂を繊維に含侵して編成したシート3で上記構成1に記載の中空柱状物1の生産性に優れた高強度補強材
[構成3]
前記袋状シート3はシート3の長辺方向に沿って均等に二つ折りにされて畳まれて格納する折部10とをもつ上記構成1または2に記載の中空柱状物1の生産性に優れた高強度補強材
[構成4]
前記袋状シート3の頭頂部の表面に中空柱状物1の所定の位置に挿入するための押込棒4の連結部材11が配設されている上記構成1~3のいずれか1つに記載の中空柱状物1の生産性に優れた高強度補強材
[構成5]
前記押込棒4は袋状シート3の表面の長辺方向に沿わし挿入の長さに応じて押込棒4の分割部を係合して延伸できその先端は雄ネジあるいは雌ネジが形成され連結部材11には雌ネジあるいは雄ネジが形成され連結時にネジは互い違いに使用する。挿入時は押込棒4を正回転で係合して使用して所定の位置で押込棒4を逆回転させて連結部材11から押込棒4が分離して中空柱状物1の外へ押込棒4が引き抜かれる上記構成1~4のいずれか1つに記載の中空柱状物1の生産性に優れた高強度補強材
[構成6]
前記袋状シート3に流動性硬化材5を充填するためのT字の注入管6が袋状シート3を連通して配設されプラスチックベルト、金属ベルト14、接着材あるいはその両方により袋状シート3に係合されて注入管6のT字の一方の吐出口にはビニルホース7がプラスチックベルト、金属ベルト14、接着材あるいはその両方で係合され袋状シート3の底部にかけて延伸して配設されている上記構成1~5のいずれか1つに記載の中空柱状物1の生産性に優れた高強度補強材
[構成7]
前記ベルト巻取固定機構12に巻取られた繊維ベルト13の先端に接続してある押込棒4よりひと廻り大きな径のさや管15の中に押込棒4を入れベルト巻取固定機構12により繊維ベルト13を巻取ることで押込棒を介して袋状シート3が中空柱状物1の中で吊り下げ保持される上記構成1~6のいずれか1つに記載の中空柱状物1の生産性に優れた高強度補強材
[構成8]
前記注入管6から流動性硬化材5を充填するとT字のビニルホース7の吐出口より袋状シート3の底部に流動性硬化材5は充填され注入管6の高さに流動性硬化材5が到達すると袋状シート3は流動性硬化材5の内圧により中空柱状物1の内壁に押し付けられて中空柱状物1の下部に保持される上記構成1~7のいずれか1つに記載の中空柱状物1の生産性に優れた高強度補強材
[構成9]
前記押込棒4は前記中空柱状物1の削孔2の巾より細い径の可撓性の樹脂棒あるいは金属棒が使われ断面欠損がない形状で流動性硬化材5の所定の質量で座屈しない強度で編成されている上記構成1~8のいずれか1つに記載の中空柱状物1の生産性に優れた高強度補強材
【符号の説明】
【0062】
1 中空柱状物
2 削孔
3 袋状シート
4 押込棒
5 流動性硬化材
6 注入管
7 ビニルホース
10 折部
11 連結部材
12 ベルト巻取固定機構
13 繊維ベルト(連結ベルト)
14 金属ベルト(固定部材)
15 さや管(支持部)
図1
図2
図3
図4
図5