(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025034644
(43)【公開日】2025-03-13
(54)【発明の名称】環境負荷判定システム
(51)【国際特許分類】
G01M 99/00 20110101AFI20250306BHJP
G05B 23/02 20060101ALI20250306BHJP
【FI】
G01M99/00 Z
G05B23/02 301N
G05B23/02 V
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023141145
(22)【出願日】2023-08-31
(71)【出願人】
【識別番号】000006666
【氏名又は名称】アズビル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】小松 雅弘
【テーマコード(参考)】
2G024
3C223
【Fターム(参考)】
2G024AD01
2G024BA11
2G024CA13
2G024FA06
2G024FA15
3C223AA01
3C223AA21
3C223BA03
3C223CC03
3C223DD02
3C223EA04
3C223EB02
3C223FF15
3C223FF27
3C223FF35
3C223GG01
3C223HH02
(57)【要約】
【課題】手間をかけることなく、フィールド機器が受けている環境負荷を判定する。
【解決手段】携帯端末101のセンサ102が、自装置をフィールド機器121に接触または接近することでフィールド機器121の環境負荷を測定し、読出回路103が、フィールド機器121の属性を含めたフィールド機器121を識別するための機器情報をフィールド機器121より読み出し、読出回路103が読み出した機器情報をサーバ110に送信することで受信した環境負荷許容値と環境負荷測定値を判定回路106が比較することで、フィールド機器121が受けている環境負荷の影響の程度を判定する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィールド機器が設置されている現場から受ける環境負荷を測定して前記フィールド機器が受けている影響を判定する環境負荷判定システムであって、
携帯端末とサーバとを備え、
前記携帯端末は、
自装置を前記フィールド機器に接触または接近することで前記フィールド機器の環境負荷を測定するように構成されたセンサと、
前記フィールド機器の属性を含めた前記フィールド機器を識別するための機器情報を前記フィールド機器より読み出すように構成された読出回路と、
前記読出回路が読み出した前記機器情報を前記サーバに送信するように構成された端末送信回路と、
前記サーバより送信された環境負荷許容値を受信するように構成された端末受信回路と、
前記センサが測定した環境負荷測定値と前記端末受信回路が受信した前記環境負荷許容値とを比較することで、前記フィールド機器が受けている環境負荷の影響の程度を判定するように構成された判定回路と
を備え、
前記サーバは、
前記フィールド機器に応じた環境負荷に対する許容値を保存するように構成された記憶装置と、
前記携帯端末より送信された前記機器情報を受信するように構成されたサーバ受信回路と、
前記サーバ受信回路が受信した前記機器情報に対応する前記環境負荷許容値を前記記憶装置より取り出すように構成された取出回路と、
前記取出回路が取り出した前記環境負荷許容値を前記携帯端末に送信するように構成されたサーバ送信回路と
を備える環境負荷判定システム。
【請求項2】
請求項1記載の環境負荷判定システムにおいて、
前記センサは、前記フィールド機器の振動を測定するセンサであることを特徴とする環境負荷判定システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、環境負荷判定システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、建築物に付帯している各設備の監視制御や、プラントなどの制御には制御システムが用いられ、さらに機器管理装置が用いられている(特許文献1)。例えば、機器管理装置は、フィールドバスなどのネットワークにより接続している現場に設置されたプロセス機器や各種センサなどのフィールド機器との間で信号をやりとりし、例えば、パラメータ設定により較正を行い、また、フィールド機器の動作状態に関する診断結果を表示している。
【0003】
一方、フィールド機器は、設置されている環境より様々な影響を受けており、この影響を把握することは、フィールド機器を管理する上で重要である。このような管理を実施するためには、フィールド機器が受けている環境負荷を測定して判定することが重要となる。例えば、環境から受けるフィールド機器の振動が許容値を超える場合、フィールド機器が正常に動作していないと判定することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上述した判定においては、対象となるフィールド機器における環境負荷の許容値に関する情報が必要となる。この種の情報は、機器管理装置などに保存(記憶)されており、フィールド機器が設置されている現場においては、機器管理装置と通信を確立して情報を取得することになる。一方、振動を測定する計器には、一般に、機器管理装置との通信を確立する機能がない。このため、現場においてフィールド機器に対してエンジニアリング作業を実施する設定装置を用いて環境負荷の許容値を取得し、人手により計器で測定した測定結果と照合することで判定を実施していた。このように、従来、フィールド機器が受けている環境負荷の判定に手間がかかるという問題があった。
【0006】
本発明は、以上のような問題点を解消するためになされたものであり、手間をかけることなく、フィールド機器が受けている環境負荷が判定できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る環境負荷判定システムは、フィールド機器が設置されている現場から受ける環境負荷を測定してフィールド機器が受けている影響を判定する環境負荷判定システムであって、携帯端末とサーバとを備え、携帯端末は、自装置をフィールド機器に接触するまたは接近することでフィールド機器の環境負荷を測定するように構成されたセンサと、フィールド機器の属性を含めたフィールド機器を識別するための機器情報をフィールド機器より読み出すように構成された読出回路と、読出回路が読み出した機器情報をサーバに送信するように構成された端末送信回路と、サーバより送信された環境負荷許容値を受信するように構成された端末受信回路と、センサが測定した環境負荷測定値と端末受信回路が受信した環境負荷許容値とを比較することで、フィールド機器が受けている環境負荷の影響の程度を判定するように構成された判定回路と、サーバは、フィールド機器に応じた環境負荷に対する許容値を保存するように構成された記憶装置と、携帯端末より送信された機器情報を受信するように構成されたサーバ受信回路と、サーバ受信回路が受信した機器情報に対応する環境負荷許容値を記憶装置より取り出すように構成された取出回路と、取出回路が取り出した環境負荷許容値を携帯端末に送信するように構成されたサーバ送信回路とを備える。
【0008】
上記環境負荷判定システムの一構成例において、センサは、フィールド機器の振動を測定する。
【発明の効果】
【0009】
以上説明したように、本発明によれば、携帯端末のセンサでフィールド機器の環境負荷を測定し、測定した環境負荷測定値と受信した環境負荷許容値とを比較することで、フィールド機器が受けている環境負荷の影響の程度を判定するので、手間をかけることなく、フィールド機器が受けている環境負荷が判定できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、本発明の実施の形態に係る環境負荷判定システムの構成を示す構成図である。
【
図2】
図2は、本発明の実施の形態に係る環境負荷判定システムの動作例を説明するためのタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態に係る環境負荷判定システムについて
図1を参照して説明する。この環境負荷判定システムは、フィールド機器121が設置されている現場から受ける環境負荷を測定してフィールド機器121が受けている影響を判定するシステムであり、携帯端末101とサーバ110とを備える。
【0012】
携帯端末101は、センサ102、読出回路103、端末送信回路104、端末受信回路105、判定回路106、メモリ107、入力部108、および表示部109を備える。
【0013】
センサ102は、自装置をフィールド機器121に接触することでフィールド機器121の環境負荷を測定する。センサ102は、例えば、フィールド機器121の振動を測定する。例えば、携帯端末101を所持している担当者の操作により、携帯端末101を対象のフィールド機器121に接触させ、さらに、センサ102を動作させることで、フィールド機器121の振動を測定することができる。なお、センサ102は、加速度、傾き(水平)、電磁波強度、音波・超音波、照度、温度、湿度、放射線量などの各種物理量を測定するセンサとすることができる。なお、測定する物理量がフィールド機器121に接近されれば測定できるものであれば、その物理量を測定するセンサを内蔵する携帯端末101をフィールド機器121に接触させずとも接近させればよい。
【0014】
読出回路103は、フィールド機器121の属性を含めたフィールド機器121を識別するための機器情報をフィールド機器121より読み出す。例えば、所定の接続ケーブルで携帯端末101とフィールド機器121とを電気的に接続した状態で、担当者による入力部108の操作により読出回路103を動作させることで、読出回路103は、フィールド機器121より機器情報を読み出す。
【0015】
また、よく知られた近距離無線通信(Near field radio communication;NFC)により、携帯端末101とフィールド機器121とを電気的に接続し、読出回路103により、フィールド機器121より機器情報を読み出すことができる。例えば、携帯端末101およびフィールド機器121の各々が、近距離無線通信を行うNFC機能部を備え、携帯端末101のNFC機能部におけるNFC通信による接続要求を、フィールド機器121のNFC機能部で受け付けることで、両者の近距離無線通信が確立できる。このように近距離無線通信を確立した後、読出回路103は、フィールド機器121より機器情報を読み出す。
【0016】
端末送信回路104は、読出回路103が読み出した機器情報をサーバ110に送信する。端末受信回路105は、サーバ110より送信された環境負荷許容値を受信する。受信した環境負荷許容値は、例えば、メモリ107に一時記憶される。
【0017】
例えば、携帯端末101は、無線通信により接続している基地局141を介してインターネット網131に接続し、インターネット網131に接続しているサーバ110と通信可能とされている。
【0018】
判定回路106は、センサ102が測定した環境負荷測定値と端末受信回路105が受信した環境負荷許容値とを比較することで、フィールド機器121が受けている環境負荷の影響の程度を判定する。判定回路106は、例えば、メモリ107に一時記憶されている環境負荷許容値を読み出して、環境負荷測定値と比較する。判定回路106による判定結果は、例えば、表示部109に表示される。なお、入力部108および表示部109は、タッチパネルとすることができる。
【0019】
サーバ110は、記憶装置111、サーバ受信回路112、取出回路113、サーバ送信回路114を備える。
【0020】
記憶装置111は、フィールド機器121に応じた環境負荷に対する許容値を保存する。記憶装置111は、例えば、固定磁気ディスク装置(Hard Disk Drive:HDD)とすることができる。また、記憶装置111は、SSD(Solid State Drive)とすることができる。
【0021】
サーバ受信回路112は、携帯端末101より送信された機器情報を受信する。取出回路113は、サーバ受信回路112が受信した機器情報に対応する環境負荷許容値を記憶装置111より取り出す。サーバ送信回路114は、取出回路113が取り出した環境負荷許容値を携帯端末101に送信する。
【0022】
次に、環境負荷判定システムの動作例について、
図2のタイミングチャートを用いて説明する。
【0023】
まず、T101で、担当者の操作により携帯端末101をフィールド機器121に接触させる。さらに、担当者による入力部108の操作でセンサ102を動作させることで、フィールド機器121の振動を測定する。判定アプリの起動によりセンサ102でフィールド機器121の振動を測定したら、担当者の操作により携帯端末101をフィールド機器121に電気的に接続し、読出回路103を動作させることで、フィールド機器121より機器情報を読み出す。
【0024】
フィールド機器121より機器情報が読み出されると、T103で、端末送信回路104が、読出回路103が読み出した機器情報をサーバ110に送信する。サーバ110に送信された機器情報は、サーバ受信回路112により受信される。
【0025】
サーバ受信回路112により機器情報が受信されると、T104で、取出回路113が、サーバ受信回路112が受信した機器情報に対応する環境負荷許容値を記憶装置111より取り出す。取出回路113が、環境負荷許容値を記憶装置111より取り出すと、T105で、サーバ送信回路114が、取出回路113により取り出された環境負荷許容値を携帯端末101に送信する。携帯端末101に送信された環境負荷許容値は、端末受信回路105で受信される。
【0026】
環境負荷許容値が端末受信回路105で受信されると、T106で、判定回路106が、センサ102が測定した環境負荷測定値と端末受信回路105が受信した環境負荷許容値とを比較することで、フィールド機器121が受けている環境負荷の影響の程度を判定する。判定回路106による判定結果は、表示部109に表示される。
【0027】
なお、上述した実施の形態に係る携帯端末は、CPU(Central Processing Unit;中央演算処理装置)により動作するコンピュータ機器であり、メモリに展開されたプログラムによりCPUが動作する(プログラムを実行する)ことで、上述した各回路の機能が実現される。
【0028】
以上に説明したように、本発明によれば、携帯端末のセンサでフィールド機器の環境負荷を測定し、測定した環境負荷測定値と受信した環境負荷許容値とを比較することで、フィールド機器が受けている環境負荷の影響の程度を判定するので、手間をかけることなく、フィールド機器が受けている環境負荷が判定できるようになる。
【0029】
なお、本発明は以上に説明した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想内で、当分野において通常の知識を有する者により、多くの変形および組み合わせが実施可能であることは明白である。
【符号の説明】
【0030】
101…携帯端末、102…センサ、103…読出回路、104…端末受信回路、105…端末受信回路、106…判定回路、107…メモリ、108…入力部、109…表示部表示部、110…サーバ、111…記憶装置、112…サーバ受信回路、113…取出回路、114…サーバ送信回路、121…フィールド機器、131…インターネット網、141…基地局。