(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025034988
(43)【公開日】2025-03-13
(54)【発明の名称】小型電動車両
(51)【国際特許分類】
B62K 7/02 20060101AFI20250306BHJP
【FI】
B62K7/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023141706
(22)【出願日】2023-08-31
(71)【出願人】
【識別番号】000002082
【氏名又は名称】スズキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100125380
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 綾子
(74)【代理人】
【識別番号】100142996
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 聡二
(74)【代理人】
【識別番号】100166268
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 祐
(74)【代理人】
【識別番号】100217076
【弁理士】
【氏名又は名称】宅間 邦俊
(74)【代理人】
【識別番号】100169018
【弁理士】
【氏名又は名称】網屋 美湖
(72)【発明者】
【氏名】松浦 漠
(57)【要約】
【課題】多様な荷物を効率良く収納可能であり、かつ、高い走行安定性を確保できる小型電動車両を提供する。
【解決手段】小型電動車両1は、フレーム2に支持されたフロア3の上方に座席6が配置され、後輪5の上方に荷台7が配置されている。フレーム2は、フロア3の車幅方向両側部に沿って延び、フロア3を支持するフロアフレーム21と、フロアフレーム21の後部から後方斜め上方に延びる下側フレーム22と、下側フレーム22の後部に連続する屈曲部23Aを介して前方斜め上方に延びる上側フレーム23と、左右の上側フレーム23の各前部を連結し、座席6を支持するクロスフレーム24と、を含む。フロア3は、荷物を載置可能な平坦面31を有し、荷台7は、左右の屈曲部23Aに跨って固定され、クロスフレーム24の後端部24Bは、フロア3の平坦面31の後端部31Aよりも前方側に配置されている。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレームに支持されたフロアと、
前記フロアの車両前方に配置された左右一対の前輪と、
前記フロアの車両後方に配置された左右一対の後輪と、
前記フロアの車両上方に配置され、乗員が着座する座席と、
前記後輪の車両上方に配置され、荷物を載置する荷台と、
を備える小型電動車両であって、
前記フレームは、
前記フロアの車幅方向両側部に沿って延び、前記フロアを支持する左右一対のフロアフレームと、
前記フロアフレームの後部から車両後方斜め上方に延びる左右一対の下側フレームと、
前記下側フレームの後部に連続する屈曲部を介して車両前方斜め上方に延びる左右一対の上側フレームと、
車幅方向に延び、左右の前記上側フレームの各前部を連結し、前記座席を支持するクロスフレームと、を含み、
前記フロアは、車両前後方向および車幅方向に広がり荷物を載置可能な平坦面を有し、
前記荷台は、前記下側フレームおよび前記上側フレームの間にある左右の前記屈曲部に跨って固定され、
前記クロスフレームの後端部は、前記フロアにおける前記平坦面の後端部よりも車両前方側に配置されていることを特徴とする小型電動車両。
【請求項2】
前記平坦面の後端部は、前記荷台の前端部よりも車両後方側に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の小型電動車両。
【請求項3】
前記荷台の下面の前部から車両前方斜め下方に延び、前記平坦面に載置される荷物の車両後方への移動を規制する規制部を備えることを特徴とする請求項2に記載の小型電動車両。
【請求項4】
前記フレームは、中空断面が長手方向に連続するパイプ材を屈曲させて形成されていることを特徴とする請求項1に記載の小型電動車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、小型電動車両に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、近距離を移動する手段として小型電動車両が用いられており、該小型電動車両は、歩道を歩行者と同程度の速度で走行可能とされている。小型電動車両は、規格により車両寸法が定められているため、運転者の膝の前方にかごを設けるなどして荷物用の収納空間を確保しようとする場合、運転者の乗車姿勢が窮屈になってしまうという課題がある。
【0003】
このような課題に対して、例えば、特許文献1には、左右一対の後輪の間に荷台を設け、荷台の前部上方に座席を配置することで、車両の前後長を増加させることなく、座席と荷台との間に荷物の収納空間を確保できるようした小型電動車両が開示されている。また、特許文献2には、電池ユニットを効率よく配置することで広いフラット面を有するフロアを実現し、乗員の足元にユーティリティスペースを確保するとともに、左右一対の後輪の間の空間に箱状もしくは籠状の荷物収納装置が装架された小型電動車両が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第6780280号公報
【特許文献2】特許第4019727号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のような従来の小型電動車両は、左右の後輪の間の荷台等とフロアのフラット面とに荷物を載置して収納することが可能である。しかし、後輪間の荷物収納空間およびフロア上の荷物収納空間はそれぞれ独立して確保されているため、各々の荷物収納空間を超えるような比較的大きな荷物を安定して収納することが難しかった。また、後輪間の荷台や荷物収納装置に重い荷物を載せた場合、車両の重心位置から離れた場所に重量物が配置された状態になる。このような状態では小型電動車両の走行安定性が低下してしまう可能性があり、改善の余地があった。
【0006】
本発明は上記の点に着目してなされたもので、多様な荷物を効率良く収納可能であり、かつ、高い走行安定性を確保できる小型電動車両を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するため本発明の一態様は、フレームに支持されたフロアと、前記フロアの車両前方に配置された左右一対の前輪と、前記フロアの車両後方に配置された左右一対の後輪と、前記フロアの車両上方に配置され、乗員が着座する座席と、前記後輪の車両上方に配置され、荷物を載置する荷台と、を備える小型電動車両を提供する。この小型電動車両における前記フレームは、前記フロアの車幅方向両側部に沿って延び、前記フロアを支持する左右一対のフロアフレームと、前記フロアフレームの後部から車両後方斜め上方に延びる左右一対の下側フレームと、前記下側フレームの後部に連続する屈曲部を介して車両前方斜め上方に延びる左右一対の上側フレームと、車幅方向に延び、左右の前記上側フレームの各前部を連結し、前記座席を支持するクロスフレームと、を含み、前記フロアは、車両前後方向および車幅方向に広がり荷物を載置可能な平坦面を有し、前記荷台は、前記下側フレームおよび前記上側フレームの間にある左右の前記屈曲部に跨って固定され、前記クロスフレームの後端部は、前記フロアにおける前記平坦面の後端部よりも車両前方側に配置されている。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る小型電動車両によれば、多様な荷物を効率良く収納可能であり、かつ、高い走行安定性を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の一実施形態に係る小型電動車両を前方左側から見た斜視図である。
【
図2】上記実施形態の小型電動車両を後方左側から見た斜視図である。
【
図3】上記実施形態の小型電動車両を左方から見た側面図である。
【
図4】上記実施形態の小型電動車両を下方左側から見た斜視図である。
【
図5】上記実施形態においてフロアおよび荷台の両方に荷物を搭載した状態の一例を示す側面図である。
【
図6】上記実施形態においてフロアおよび荷台に跨って荷物を搭載した状態の一例を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について添付図面を参照しながら詳細に説明する。
図1~
図4は、本発明一実施形態に係る小型電動車両を、前方左側から見た斜視図、後方左側から見た斜視図、左方から見た側面図、および、下方左側から見た斜視図である。なお、以下で説明する各図において、矢印F方向は車両前後方向で前方を示し、矢印U方向は車両上下方向で上方を示し、矢印R方向および矢印L方向は、シートに着座する乗員が車両前方を見たときの右方および左方(車幅方向)を示している。
【0011】
図1~
図4において、本実施形態の小型電動車両1は、例えば、フレーム2に支持されたフロア3と、前輪4および後輪5と、乗員が着座する座席6と、荷物を載置する荷台7と、座席6に着座する乗員によって操作されるハンドル8と、を備えている。本実施形態において、前輪4は、フロア3の車両前方に左右一対で配置され、後輪5は、フロア3の車両後方に左右一対で配置されている。また、座席6は、フロア3の車両上方に配置され、荷台7は、左右の後輪5の車両上方に配置され、ハンドル8は、座席6の車両前方に配置されている。以下、小型電動車両1の各部の構成例について具体的に説明する。
【0012】
フレーム2は、左右一対のフロアフレーム21と、左右一対の下側フレーム22と、左右一対の上側フレーム23と、クロスフレーム24と、を含んでいる。本実施形態におけるフレーム2は、例えば、丸型の中空断面が長手方向に連続する1本のパイプ材からなり、該パイプ材を所定の位置で屈曲させることで、フロアフレーム21、下側フレーム22、上側フレーム23およびクロスフレーム24の各部位が一体的に形成されている。ただし、フレーム2は上記一例に限らず、複数本のパイプ材を溶接等により接合して形成されていてもよい。また、パイプ材の中空断面形状は、丸型以外にも角型などの任意の形状とすることが可能である。
【0013】
左右一対のフロアフレーム21は、フロア3の車幅方向両側部に沿って延び、フロア3を支持している。具体的に、フロアフレーム21の後部および車両前後方向の中間部は、概ね水平に前後方向に真っ直ぐ延びている。フロアフレーム21の前部は、車両前方に向かうに従って、車幅方向内側に傾斜して延びた後に、車両上方に傾斜して延びている(
図1~
図4)。
【0014】
フロアフレーム21の前部における車幅方向内側に傾斜した部分は、概ね水平に延びており、フロアフレーム21の後部および車幅方向の中間部とともに、フロア3を車両側方側から支持している(
図3および
図4)。つまり、フロア3は、左右のフロアフレーム21の略水平部分によって挟持されている。各フロアフレーム21の前部における車両上方に傾斜した部分には、車幅方向外側に突き出たフットレスト25が溶接等により固定されている(
図2および
図3)。フットレスト25は、座席6に着座した乗員が足を置くことができるように構成されている。
【0015】
左右のフロアフレーム21の各前端部には、フットレスト25の上部の車幅方向に延びる直線部分が挿通される孔がそれぞれ形成されている(
図2)。フロアフレーム21の先端の孔に挿通されたフットレスト25の直線部分の内側端は、後述するステアリングフレーム81等を覆うフロントシールド83の車幅方向中央下部83Aの側壁に固定されている。
【0016】
下側フレーム22は、フロアフレーム21の後部から車両後方斜め上方に延びている。本実施形態における下側フレーム22は、フロアフレーム21の後部に連続する屈曲部22Aを介して、車両後方に向かうに従い車両上方に傾斜しながら真っ直ぐ延びている。つまり、下側フレーム22は、鉛直方向に対して後傾するように形成されている。左右の下側フレーム22の後部には、左右の上側フレーム23が連続している。
【0017】
上側フレーム23は、下側フレーム22の後部に連続する屈曲部23A(
図1~
図4の破線部分)を介して車両前方斜め上方に延びている。換言すると、上側フレーム23は、下側フレーム22の後部から車両前方側に屈曲した後に、車両前方に向かうに従い車両上方に傾斜しながら真っ直ぐ延びている。つまり、上側フレーム23は、鉛直方向に対して前傾するように形成されている。したがって、フレーム2における下側フレーム22および上側フレーム23に対応した部位は、車両側方から見て、車両後方に突出するく字状(L字状)に形成されている(
図3)。
【0018】
下側フレーム22および上側フレーム23を繋ぐ左右の屈曲部23Aには、荷台7が跨って固定されている。本実施形態では、左右の屈曲部23Aの下側部分に荷台フレーム26が溶接等により固定されており(
図4)、該荷台フレーム26上に荷台7が取り付けられている。荷台フレーム26は、車両上下方向から見て、車両前方に開放したコ字状(U字状)の形状を有し、長手方向の両端部が左右の屈曲部23Aの下側部分にそれぞれ固定されている。なお、左右の屈曲部23Aの上側部分は、荷台7の車幅方向側部の前側部分を貫通している(
図1~
図4)。
【0019】
左右の上側フレーム23の前部は、車幅方向に延びるクロスフレーム24を介して互いに連結されている。本実施形態では、左右の上側フレーム23の前部が、各々に連続する屈曲部24Aを介して、クロスフレーム24の車幅方向(長手方向)の両端部に連結されている。クロスフレーム24の車幅方向中央部には、座席6の後述する固定部63が取り付けられており、クロスフレーム24は、座席6を車両下方側から支持している(
図1~
図3)。
【0020】
上記のようなフロアフレーム21、下側フレーム22、上側フレーム23およびクロスフレーム24は、前述したように1本のパイプ材を所定位置で屈曲させて一体的に形成されるのが好ましい。これにより、フレーム2を構成する各要素の継目がなくなり、フレーム2の全体で高い剛性を確保することができる。また、本実施形態では、1本のパイプ材の両端部(左右のフロアフレーム21の前端部)が、フットレスト25の上部の直線部分を介してフロントシールド83の車幅方向中央下部83Aの側壁部分に固定されているので、フレーム2の剛性が更に高められている。
【0021】
フレーム2のフロアフレーム21に支持されているフロア3は、車両前後方向および車幅方向に広がり荷物を載置可能な平坦面31(上面)を有している。本実施形態におけるフロア3の平坦面31は、平面視で、車両前後方向に長い略矩形の形状を有している。ここでは、平坦面31の前縁および後縁が緩やかな円弧状に形成されている(
図1および
図2)。フロア3の平坦面31上には、荷物の他、座席6に着座した乗員が足を置くことも可能である。
【0022】
このようなフロア3における平坦面31の後端部31Aに対して、前述したクロスフレーム24の後端部24Bは、車両前方側に配置されている。本実施形態では
図3に示すように、クロスフレーム24の後端部24Bが、フロア3の平坦面31の後端部31Aに対して距離Dだけ車両前方側に離れた位置に設けられている。距離Dは、フロア3の平坦面31の形状(広さ)と下側フレーム22および上側フレーム23の傾斜形状とに応じて決まり、車両の重心位置や乗員の着座姿勢などを考慮して事前に設計(最適化)されている。
【0023】
フロア3における平坦面31の下方にはバッテリ搭載部32が形成されている。バッテリ搭載部32は、後輪5(または前輪4)を駆動するための電動モータを含むパワーユニット51等に電力を供給するための車載バッテリ(図示せず)を複数台収納可能に構成されている。また、フロア3の右側面および左側面には、車幅方向外側に突出したフック33が前後方向に間隔を空けて複数個設けられている。各フック33は、平坦面31上に載置される荷物の移動を抑えるためのコードやネット等をフロア3に固定する際に利用される。
【0024】
左右の前輪4は、サスペンション機構41によって回転自在に支持されている(
図1)。前輪4は、乗員によるハンドル8の操作に応じて左右に操舵される。ハンドル8は、ステアリングフレーム81によって回転可能に支持されるステアリングシャフト82の上端に接続されている(
図2および
図3)。ステアリングシャフト82の下端は、ラックアンドピニオン機構などを含む操舵機構(図示せず)を介して前輪4に連結されている。ステアリングフレーム81およびステアリングシャフト82の一部は、フロントシールド83によって覆われている。また、左右の前輪4の上方は、フロントフェンダ42によってそれぞれ覆われている。
【0025】
ハンドル8には、アクセルグリップまたはアクセルレバーなどのアクセル操作部84と、ブレーキレバー85とが設置されている(
図1~
図3)。乗員は、アクセル操作部84とブレーキレバー85を操作することにより、小型電動車両1の速度調整を行うことができる。小型電動車両1の走行状態に関する情報は、メータパネル86に表示される。なお、小型電動車両1の最高速度は所定値(例えば20km/h等)に制限されている。
【0026】
フロントシールド83の上部後側には、飲料ボトル等を収納可能なボックス83Bが形成されている(
図2および
図3)。また、フロントシールド83の前方には、前照灯87およびホルダ88が設置されている(
図1および
図3)。ホルダ88は、例えばキャリヤケースなどのアタッチメントを取付けることができるように構成されている。
【0027】
左右の後輪5は、サスペンション機構52によって回転自在に支持されている(
図1~
図4)。後輪5は、フロア3のバッテリ搭載部32に収納された車載バッテリからの電力が供給されるパワーユニット51により駆動される。パワーユニット51は、左右の後輪5の間で荷台7の前部下方に搭載されている。
【0028】
座席6は、座部61、背もたれ部62および固定部63を有している(
図1~
図3)。座部61は、乗員が着座する部分であり、着座面を形成している。背もたれ部62は、座部61の後部から上方に延びている部分であり、座部61に着座した乗員の腰部周辺を支持するように構成されている。固定部63は、座部61の下面部に取り付けられており、車幅方向に貫通した孔63Aが形成されている。固定部63は、孔63Aに挿通されたクロスフレーム24をボルト等で締め付けることで、クロスフレーム24の所定位置に座席6を固定している。
【0029】
荷台7は、前述したように荷台フレーム26上に取り付けられ、下側フレーム22および上側フレーム23の間にある左右の屈曲部23Aに跨るように固定されている。荷台7は、荷物が載置される平坦な底面部71を有している。底面部71は、車両前後方向および車幅方向に広がっており、平面視で略矩形に形成されている。荷台7の前端部7A(底面部71の前縁部分)に対して、前述したフロア3の平坦面31の後端部31Aは、車両後方側に配置されている(
図3)。換言すると、車両上下方向から見て、フロア3の平坦面31および荷台7は重なり合っている。つまり、フロア3の平坦面31は、荷台7の下方まで入り込んでいる。
【0030】
また、荷台7は、底面部71の前縁を除く周縁部分に、車両上方側に延出した周壁部72を有している(
図1~
図3)。周壁部72は、底面部71の平坦面(上面)に対して概ね垂直に延びる内壁面と、該内壁面の車両外側に対向配置される外壁面とを有している。周壁部72の外壁面は、車両上方に向かうに従って内壁面側に近づく傾斜面となっている。周壁部72の左右両側部分には、車両前後方向に延び車幅方向に貫通した長穴72Aが形成されている。また、周壁部72の後側部分には、車幅方向に延び車両前後方向に貫通した2つの長穴72Bが車幅方向に間隔を空けて形成されている。これらの長穴72A,72Bは、荷台7に荷物を固定する際に用いられるコードやネット等の係止に利用可能である。
【0031】
荷台7の前部下方には、フロア3の平坦面31に載置された荷物の車両後方への移動を規制する規制部73が設けられている(
図1)。規制部73は、荷台7の下面の前部から車両前方斜め下方に向けてフロア3の平坦面31の手前まで延びている。規制部73は、車幅方向に所定幅で形成され、フロア3の平坦面31の車幅方向中央と重なり、かつ、前述したパワーユニット51よりも車両前方に配置されている。また、荷台7の後部下方には、制動灯や方向指示器などの灯火類74が取り付けられている(
図1~
図4)。
【0032】
次に、本実施形態の小型電動車両1においてフロア3の平坦面31および荷台7に荷物を搭載した状態について幾つかの具体例を示しながら詳しく説明する。
【0033】
図5は、フロア3の平坦面31および荷台7の両方に荷物9A,9Bを搭載した状態の一例を示す側面図である。
本実施形態の小型電動車両1では、フロア3の平坦面31上の荷物収納空間と荷台7上の荷物収容空間とが車両上下方向に重なるように形成されるので、
図5に示すように、フロア3の平坦面31および荷台7の両方に、車両前後方向および/または車幅方向の寸法が比較的大きな荷物9A,9Bを積載することができる。
【0034】
図5の例では、フロア3の平坦面31上に、平置き可能なバッグなどの荷物9Aが載置され、荷台7の底面部71上に、買い物に利用される汎用バスケットなどの箱型の荷物9Bが載置されている。荷物9Aは、車幅方向の長さがフロア3の平坦面31の幅と同程度で、車両前後方向に長く(ただし、平坦面31の全長より短い)、車両上下方向の高さがフロア3と荷台7の段差よりも低くなっている。荷物9Bは、車幅方向幅の長さが左右の上側フレーム23の間の距離よりも短く、車両上下方向の高さが、荷台7の底面からクロスフレーム24の下端部までの高さよりも高く、かつ、荷台7の底面から座席6の座部61の下面までの高さよりも低くなっている。なお、
図5に示す二点鎖線は、座席6の座部61に着座した乗員の下半身の概略位置を示している。
【0035】
具体的に、フロア3側の荷物9Aは、乗員の足元スペースが確保されるように、平坦面31の後端側に寄せて載置されている。この荷物9Aは、フロア3の右側面および左側面にそれぞれ設けられている複数個のフック33およびコード91を利用して、フロア3の平坦面31上に縛り付けられている。このコード91により、荷物9Aの車両上方および車幅方向の移動が抑止される。また、荷物9Aの後端部は、荷台7の前部下方に設けられている規制部73の前端または荷台7の底面部71の前縁に近接或いは当接しており、荷物9Aの車両後方への移動が抑止される。これにより、荷物9Aとパワーユニット51の衝突を回避することができる。なお、荷物9Aの前後方向の移動は、コード91の縛る力を高めることでも抑えることが可能である。
【0036】
荷台7側の荷物9Bは、底面部71の前側に寄せて載置されている。荷物9Bの前面上部は、クロスフレーム24の後端部24Bまたは座席6の固定部63の後端部分に近接或いは当接しており、荷物9Bの車両前方への移動が抑止される。荷物9Bの底面前部は、荷台7の前端部7A(底面部71の前縁部分)よりも車両前方側に位置しており、フロア3側の荷物9Aの後部に被さっている。また、荷物9Bの右側面前部および右側面前部は、左右の上側フレーム23の車幅方向内側端部に近接或いは当接しており、荷物9Bの車幅方向への移動が抑止される。なお、荷物9Bの車両後方および車幅方向への各移動は、荷台7の周壁部72の内壁面によっても抑止される。また、荷台7の周壁部72に設けられている長穴72A,72Bとコードやネット等(図示せず)とを利用して、荷物9Bを荷台7に縛り付けることで、荷物9Bの各方向への移動を抑えることも可能である。
【0037】
上記のようにフロア3および荷台7の両方に荷物9A,9Bが積載された小型電動車両1の走行安定性について説明すると、典型的な小型電動車両の設計では、走行安定性のために、車両の重心が車両前後方向の中心付近に配置される。本実施形態の小型電動車両1における重心は、車両前後方向で、座席6の真下付近に位置するように設計されている。このように重心位置が設計された小型電動車両1において、
図5に例示したようにフロア3側の荷物9Aと荷台7側の荷物9Bとが車両上下方向に重なるように搭載された状態では、各々の荷物9A,9Bが重量物であっても、それらの重量物が車両の重心位置付近に配置されるため、高い走行安定性を確保することができる。
【0038】
すなわち、本実施形態の小型電動車両1では、クロスフレーム24の後端部24Bが、フロア3の平坦面31の後端部31Aよりも車両前方側に配置されている。このような配置により、フロア3側の荷物収納空間と荷台7側の荷物収納空間とが、クロスフレーム24の後端部24Bと平坦面31の後端部31Aとの間で車両上下方向に重なり合うようになる。このため、フロア3および荷台7の両方に、
図5に示す荷物9A,9Bのような配置で重量物をそれぞれ搭載した場合でも、それらの重量物を含めた車両の重心は座席6の真下付近に位置する。これにより、荷物9A,9Bを効率良く積載しつつ、高い走行安定性を確保することが可能になる。
【0039】
図6は、フロア3の平坦面31および荷台7に跨って荷物9Cを搭載した状態の一例を示す側面図である。
本実施形態の小型電動車両1では、フロア3の平坦面31上の荷物収納空間と荷台7上の荷物収容空間とが連通しているので、
図6に示すように多様な荷姿の荷物9Cを搭載することが可能である。
【0040】
図6の例では、ゴルフバック等の長尺な荷物9Cが、左右の上側フレーム23並びにクロスフレーム24および荷台7の間を通して、フロア3の平坦面31上に載置されている。荷物9Cの長手方向の全長は、フロア3の平坦面31の前後方向の長さまたは荷台7の底面部71の前後方向の長さよりも長くなっている。また、荷物9Cの横断面は、左右の上側フレーム23、クロスフレーム24および荷台7の前端部7Aにより画定される空間よりも狭くなっている。なお、
図6に示す二点鎖線は、座席6の座部61に着座した乗員の下半身の概略位置を示している。
【0041】
上記のような長尺の荷物9Cを小型電動車両1に搭載する際には、荷物9Cの長手方向を車両前後方向に合わせ、荷物9Cの前部が荷台7の上方に位置するように持ち上げる。そして、荷物9Cの前端部が左右の上側フレーム23並びにクロスフレーム24および荷台7の間を通過するように、荷物9Cを車両前方斜め下方に移動させて、荷物9Cの前端部がフロア3の平坦面31に当接するとともに、荷物9Cの長手方向の中央下部が荷台7の前端部7Aに当接した状態に置く。この状態において、荷物9Cの長手方向の中央側部は、左右の上側フレーム23の車幅方向内側端部に近接或いは当接しており、荷物9Cの車幅方向への移動が抑止される。また、荷物9Cの長手方向の中央上部は、クロスフレーム24または座席6の固定部63に近接或いは当接しており、荷物9Cの車両前方および上方への移動が抑止される。なお、フロア3の左右側面のフック33および/または荷台7の周壁部72の長穴72A,72Bとコードやネット等(図示せず)とを利用して、荷物9Cをフロア3および/または荷台7に縛り付けることで、荷物9Cの各方向への移動を抑えることも可能である。
【0042】
上記のように長尺な荷物9Cをフロア3の平坦面31および荷台7に跨って搭載した状態においても、前述の
図5に示した荷物9A,9Bを積載する場合と同様に、荷物9Cを含めた車両の重心は座席6の真下付近に位置するようになる。したがって、本実施形態の小型電動車両1によれば、多様な荷姿の荷物を効率良く収納可能であり、かつ、高い走行安定性を確保することができる。
【0043】
また、本実施形態の小型電動車両1では、フロア3の平坦面31の後端部31Aが、荷台7の前端部7Aよりも車両後方側に配置されている。このような配置によれば、フロア3の平坦面31上の荷物収納空間として、荷台7の下方のスペースも活用できるため、荷物の収容効率を更に高めることが可能になる。この際、荷台7の下面に規制部73を設けておけば、フロア3の平坦面31に載置された荷物の車両後方への移動が規制されるため、荷物とパワーユニット51の衝突を回避することが可能になり、小型電動車両1の信頼性を高めることができる。
【0044】
さらに、本実施形態の小型電動車両1では、フレーム2がパイプ材を屈曲させて形成されている。このようなフレーム2を使用することによって、フレーム2を構成する各要素の継目がなくなるため、フレーム2の全体で高い剛性を確保することができる。これにより、小型電動車両1が悪路等を走行した際の乗員および積載物からの上下方向の荷重が走行状態に与える影響を軽減することが可能になるので、走行安定性を更に高めることができる。
【0045】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想に基づいて各種の変形および変更が可能である。例えば、上述した実施形態では、フロア3の平坦面31の後端部31Aが、荷台7の前端部7Aよりも車両後方側に配置されている一例を説明した。しかし、フロア3の平坦面31の後端部31Aが、荷台7の前端部7Aよりも車両前方側に配置されていても、クロスフレーム24の後端部24Bよりも車両後方側に平坦面31の後端部31Aが配置されていれば、フロア3側の荷物収容空間と荷台7側の荷物収容空間とが上下方向に重なるようになり、本発明は有効である。
【符号の説明】
【0046】
1…小型電動車両
2…フレーム
21…フロアフレーム
22…下側フレーム
22A,23A,24A…屈曲部
23…上側フレーム
24…クロスフレーム
24B…後端部
25…フットレスト
26…荷台フレーム
3…フロア
31…平坦面
31A…後端部
32…バッテリ搭載部
33…フック
4…前輪
41…サスペンション機構
42…フロントフェンダ
5…後輪
51…パワーユニット
52…サスペンション機構
6…座席
61…座部
62…背もたれ部
63…固定部
7…荷台
71…底面部
72…周壁部
73…規制部
74…灯火類
8…ハンドル
81…ステアリングフレーム
82…ステアリングシャフト
83…フロントシールド
9A,9B,9C…荷物