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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025035115
(43)【公開日】2025-03-13
(54)【発明の名称】自然開口用アクセス器具
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/02 20060101AFI20250306BHJP
【FI】
A61B17/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023141942
(22)【出願日】2023-09-01
(71)【出願人】
【識別番号】000153823
【氏名又は名称】株式会社八光
(72)【発明者】
【氏名】内山 周
(72)【発明者】
【氏名】吉田 和奈絵
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160AA12
4C160KL02
(57)【要約】
【課題】自然開口部内に挿入する長さを短く成形しても安定した固定が可能な自然開口用アクセス器具を提供する。
【解決手段】自然開口用アクセス器具1は、自然開口部内に配置される筒状体20と、筒状体20の近位端に形成され体表に当接するフランジ部30と、筒状体20の外周面に互いに並列する2つのリング部より構成し、2つのリング部の内周と外周は偏心しており、それぞれの内周の軸は常に同軸で、それぞれの外周の軸は軸間距離を拡縮可能に形成される。また、2つのリング部のうち一方は筒状体20に固定される固定リング部40で、他方は筒状体20の外周面を回動可能な可動リング部50であることが好ましく、さらに、筒状体20及び可動リング部50には回動範囲制限手段を備え、回動範囲の始点で軸間距離が最小となり、回動範囲の終点で軸間距離が最大となる構成とすることが好ましい。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
人体の自然開口部に挿着し手術経路を確保する自然開口用アクセス器具であって、自然開口部内に配置される筒状体と、
前記筒状体の近位端に形成され、体表に当接するフランジ部と、
前記筒状体の外周面に互いに並列する2つのリング部を備え、前記リング部の内周と外周は偏心しており、前記2つのリング部は、それぞれの内周の軸が常に同軸であり、それぞれの外周の軸は軸間距離を拡縮可能としたことを特徴とする自然開口用アクセス器具。
【請求項2】
前記2つのリング部は、一方は前記筒状体に固定される固定リング部であり、他方は前記筒状体の外周面を回動可能な可動リング部である請求項1の自然開口用アクセス器具。
【請求項3】
前記筒状体には、前記可動リング部の回動を案内するガイドを備え、前記可動リング部には、前記ガイドに係合するガイド係合部を備える請求項2の自然開口用アクセス器具。
【請求項4】
前記筒状体および前記可動リング部に回動範囲制限手段を備え、回動範囲の始点において前記軸間距離を最小とし、回動範囲の終点において前記軸間距離を最大とする請求項2の自然開口用アクセス器具。
【請求項5】
前記回動範囲制限手段は、前記筒状体に設けるガイドと、前記可動リング部に設ける回転止め突起により、前記筒状体と前記可動リング部との一方方向への回動を係止する請求項4の自然開口用アクセス器具。
【請求項6】
前記軸間距離を拡縮する前記可動リング部に対する前記筒状体の回動方向が、前記フランジ部に設ける回動方向表示手段により表示される請求項4の自然開口用アクセス器具。
【請求項7】
前記固定リング部は前記筒状体と一体に形成される請求項2の自然開口用アクセス器具。
【請求項8】
前記2つのリング部の少なくとも一方は、近位端へ向かって外径を拡大してなる請求項1乃至7のいずれかの自然開口用アクセス器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人体の自然開口部に挿着し、手術経路を確保するための自然開口用アクセス器具に関する。
【背景技術】
【0002】
内視鏡下外科手術において、内視鏡や鉗子等の手術器具の挿入や、切除した組織の取り出しを人体の自然開口部を介して、例えば、経腟や経肛門的に行う場合がある。この手技によると、体表を切開する場合に比べて術後の回復が早く、また、傷が目立たず整容性に優れるといったメリットがある。
【0003】
このように自然開口部からアクセスを行うさい、自然開口部内に挿着され、手術経路を拡開状態に保持するアクセス器具が提案されている(特許文献1)。特許文献1のアクセス器具は、自然開口部内に配置される筒状体の周面に、機械式バルーン(円筒状の両端からの圧し潰しにより半径方向に径を拡大する、軸方向に並ぶ複数の弾性板からなる構造体(特許文献1の図6G参照))を備え、機械式バルーン近位端のリングを回動させる操作により、該バルーンが軸方向に伸縮し、半径方向に拡縮可能な構成としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2017-523874号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の機械式バルーンを有するアクセス器具によると、該バルーンの展開により自然開口部内壁に対する押圧を高め、開口部からのアクセス器具の滑脱を抑制することができる。しかし、アクセス器具を安定的に固定できる幅まで機械式バルーンを展開するには、弾性板の軸方向の長さを長くする必要があり、前記筒状体を短尺に形成することが困難である。そのため、手術部位が自然開口部の入口付近である場合、アクセス器具が目的部位を覆ってしまい手術ができないという問題がある。
【0006】
そこで本発明は、自然開口部内に挿入する長さを短く成形しても安定した固定が可能な自然開口用アクセス器具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の自然開口用アクセス器具は、自然開口部内に配置される筒状体と、前記筒状体の近位端に形成され体表に当接するフランジ部と、前記筒状体の外周面に互いに並列する2つのリング部より構成し、前記2つのリング部の内周と外周は偏心しており、それぞれの内周の軸は常に同軸で、それぞれの外周の軸は軸間距離を拡縮可能に形成される。
【0008】
前記自然開口用アクセス器具は次のように構成あるいは形成されることが好ましい。
・前記2つのリング部は、一方は前記筒状体に固定される固定リング部であり、他方は前記筒状体の外周面に対して回動する可動リング部である。
・前記筒状体には、前記可動リング部の回動を案内するガイドを備え、前記可動リング部には、前記ガイドに係合するガイド係合部を備える。
・前記筒状体および前記可動リング部に回動範囲制限手段を備え、回動範囲の始点で前記軸間距離が最小となり、回動範囲の終点で前記軸間距離が最大となる構成とする。
・前記回動範囲制限手段は、前記筒状体に設けるガイドと、前記可動リング部に設ける回転止め突起により、筒状体と可動リング部との一方方向への回動を係止するように形成される。
・前記軸間距離の拡縮に対応する前記筒状体の回動方向が、前記フランジ部に設ける回動方向表示手段により表示される。
・前記固定リング部は前記筒状体と一体に形成される。
・前記2つのリング部の少なくとも一方は、近位端へ向かって外径を拡大して形成される。
【0009】
(作用)
前記手段の自然開口用アクセス器具によれば、筒状体の外周面に設けた並列する2つのリング部の内周は同軸で、外周の軸間距離が拡縮可能であることにより、軸方向視で2つのリング部が重複しない範囲であるリング部不一致面を変化させることができる。すなわち、軸間距離が小さい状態では、リング部不一致面が小さく、自然開口部内壁への引っ掛かりが抑制される。一方、軸間距離が大きい状態では、リング部不一致面が大きく、それぞれのリング部が筒状体に対して異方向に段差を形成するため、自然開口部内壁への引っ掛かりが大きくなる。
【0010】
また、前記の通り、筒状体の軸方向に2つのリングを並列に設けるだけの構成のため、筒状体の軸方向への寸法を大きくする必要がない。
【0011】
さらに、筒状体及び可動リング部に回動範囲制限手段を備え、回動範囲の始点において2つのリング部それぞれの外周の軸間距離が最小となり、回動範囲の終点において軸間距離が最大となる構成とすることで、始点と終点の間で軸間距離を調整し、リング部不一致面を変化させることができる。
加えて、フランジ部に、軸間距離の拡縮に対応する回動方向表示手段を備えることで、自然開口用アクセス器具が自然開口部内に挿着された状態で、回動方向表示手段に従ってフランジ部を周方向に回転させることにより、リング部不一致面を拡縮させることができる。
【発明の効果】
【0012】
前記手段によると、自然開口部内に挿入する長さを短く成形しても安定した固定が可能な自然開口用アクセス器具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施の形態における自然開口用アクセス器具の斜視図。
図2】前記形態の自然開口用アクセス器具の側面図。
図3】前記形態の自然開口用アクセス器具の側面断面図。
図4】前記形態の自然開口用アクセス器具の筒状体及びフランジ部の斜視図。
図5】前記形態の自然開口用アクセス器具の固定リング部の正面図及び側面断面図。
図6】前記形態の自然開口用アクセス器具の可動リング部が回動始点位置にある状態の側面図及びリング周方向断面図。
図7】前記形態の自然開口用アクセス器具の可動リング部が回動終点位置にある状態の側面図及びリング周方向断面図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の自然開口用アクセス器具の実施の形態について図面を参考に詳細に説明する。
図1は本実施の形態の自然開口用アクセス器具の斜視図であり、図2は側面図、図3は側面断面図(図2中のx-x断面図)である。
【0015】
図1から図3に示すように、本形態の自然開口用アクセス器具1は、自然開口部に挿入可能な径及び長さを備えた筒状体20と、筒状体20の近位端より半径方向に形成され、装着したさい体表に当接するフランジ部30と、筒状体20の外周面近位側に固定する固定リング部40と、筒状体20の外周面遠位側に、該筒状体20と回動可能に接続する可動リング部50により構成される。
【0016】
筒状体20は、肉薄の円筒形状に形成される。また、自然開口部への挿入、拡開状態の維持、及び、手術器具接触時の耐久性が考慮され剛性があって割れにくい樹脂材料が選択される。さらに、好ましくはポリカーボネートやアクリルのような透明性の樹脂を選択すると、筒状体20に近接する自然開口部内壁を、筒状体20の内側より透過して視認でき、手術中に操作者が該内壁の出血等の状態を把握することが可能である。
筒状体20のサイズは、膣、肛門、あるいは口腔など、対象となる自然開口部及び患者の体形に適合したものが選択されれば良いが、本例においては、膣への適用を想定し外径54mm、内径50mm、長さ50mmに設定された。
【0017】
また、図4に示すように、筒状体20の外周面には、後述する固定リング部40及び可動リング部50を取り付けるためのガイド21が、軸方向に並列して2箇所、また、周方向に略等間隔に4箇所設けられ、各々のガイド21は、リング部を挟持するように上側ガイド211と下側ガイド212が軸方向に間隔をあけ対向して形成される。なお、軸方向遠位側のガイド21のうち対向する2箇所については、下側ガイド212のみが設けられる。
さらに、近位側の上側ガイド211の周方向近傍には固定リング部40の回動を止める固定爪22が形成される。
本例では、ガイド21の周方向の長さを4mm、軸方向の長さを5mmとし、上側ガイド211と下側ガイド212の間隔及び上側ガイド211と固定爪22の間隔を3.2mmとした。
【0018】
フランジ部30は、筒状体20の近位端よりラッパ状に広がって立設され、筒状体20と一体に形成される。フランジ部30の外径は、フランジ部30が体表に当接して自然開口部内への入り込みを防ぐよう、該自然開口部に挿入困難なサイズ(本例においては外径97mm)に形成される。また、フランジ部30の表面には、後記する可動リング部50に対する回動方向を示すマーカー31が設けられる。マーカー31は、文字や図形がフランジ部30の成形時に凹凸形状に刻印されるか、フランジ部30成形品への塗装、または、シール貼付等の手段により形成される。
【0019】
固定リング部40は、図5に示す環状体で、筒状体20の外周面近位側に取り付けられる。また、圧入によって筒状体のガイド21へ取り付け可能な弾性材料が選択され、例えば、スチレン系熱可塑性エラストマーのような樹脂により形成される。
また、固定リング部40は、曲面状の外周面を含むリング部本体となる円環部41と、円環部41から内周方向へ立設して内周面を含むリブ42により構成し、円環部41とリブ42の少なくとも一方の半径方向の幅を不均一に形成して、固定リング部40を内周と外周が偏心した形状としている。そして、リブ42が筒状体20の外周面に対向配置されるガイド21に挟持されるガイド係合部となって、筒状体の軸方向に固定される。
さらに、リブ42には軸方向に突出する回転止め突起43を設け、前記筒状体のガイド21と固定爪22との間に挟持されて筒状体の周方向に固定される。このように筒状体20の外周面に固定リング部40が取り付けられることにより、筒状体20と偏心した不均一な段差が形成される。
【0020】
本例において固定リング部40は内径54mm、外径70mm、内周と外周の中心点距離Dは5mmに設定された。さらに、円環部41は厚さ16mm、リブ42は厚さ3.0mmとし、筒状体のガイド21の溝幅(本例では3.2mm)に適合させた。
【0021】
本形態の可動リング部50は、材料、形状及びサイズ等固定リング40と同一なものが用いられ、筒状体20の外周面遠位側のガイド21に圧入により取り付けられる。筒状体20の遠位側には固定爪22が無いため、可動リング部50は固定されずに回動が可能となる。
また、可動リング部50を回動させると、可動リング部50の回転止め突起53が筒状体20の上側ガイド211に当接して回動が係止される。前述の通り、筒状体20の外周面遠位側に4箇所設けられるガイド21のうち、上側ガイド211は対向する2箇所にのみ配置されるため、回動範囲が約180度に制限される。
【0022】
このように固定リング部40及び可動リング部50の材料及び形状を同一に形成することで、筒状体を単純な形状としつつ、自然開口用アクセス器具1を形成する部品の種類を少なくでき、製造コストを抑えることができる。
なお、2つのリング部の筒状体との段差をより大きく設定したい場合には、固定リング部40や可動リング部50の外周方向の寸法のみを大きく変更すれば良く、筒状体20の軸方向の寸法を大きくする必要がないため、自然開口部内に配置される筒状体20を短尺に成形することができる。これにより、手術部位が自然開口部の入口付近であっても、自然開口用アクセス器具1が手術部位を覆うことがなく、自然開口部の入口付近まで手術対象を広げることができる。
【0023】
なお、固定リング部40は、必ずしも前記構成でなくとも、固定リング部40の内周と外周とが偏心した形状を形成できれば良く、例えば、筒状体20と固定リング部40を一体に成形しても良い。
また、軸方向視で2つのリング部が重複しない範囲であるリング部不一致面が形成される範囲であれば、固定リング部40と可動リング部50を異なる外径に設定しても良い。
なお、筒状体20と2つのリング部との接触部は、筒状体20に対して2つのリング部を固定または回動可能な構成であれば良く、例えば、本例とは逆に、筒状体20のガイドをリブ形状とし、2つのリング部のガイド係合部が該リブを挟持する溝形状としても良い。
【0024】
また、2つのリング部は、近位端へ向かって外径を拡大するよう形成されてもよい。これにより、自然開口用アクセス器具1が自然開口部に挿入されるさい、固定リング部40、または/及び、可動リング部50の細径側を先頭に挿入されるため、自然開口部内壁への引っ掛かりが少なく、挿入抵抗が軽減される。一方、自然開口用アクセス器具1が抜去方向に移動するさいには、太径側が自然開口部内壁に引っ掛かり係止するため、挿入状態の自然開口用アクセス器具1が体外へ脱落することを抑制できる。
【0025】
次に、本実施の形態の自然開口用アクセス器具の2つのリング部の位置関係について説明する。
図6は、本実施の形態の自然開口用アクセス器具の可動リング部が回動始点位置にある状態の説明図で、Aが側面図、Bがリング周方向断面図(図6A中のx-x断面図)をそれぞれ示している。
回動始点位置の可動リング部50は、回転止め突起53が筒状体の上側ガイド211のうち始点係止部211aに当接した位置にあり、2つのリング部それぞれの外周が同軸で、軸方向視で2つのリング部の外周が完全に重なり合って配置され、リング部不一致面がない状態となる。この状態では、自然開口部に対し自然開口用アクセス器具1を挿入または抜去するさいの挿抜抵抗を軽減できる。
【0026】
一方、図7は、本実施の形態の自然開口用アクセス器具の可動リング部が回動終点位置にある状態の説明図で、Aが側面図、Bがリング周方向断面図(図7A中のx-x断面図)をそれぞれ示している。
回動終点位置の可動リング部50は、回転止め突起53が筒状体の上側ガイド211のうち終点係止部211bに当接した位置にあり、回動始点位置から180度回動した位置をとる。このとき、2つのリング部それぞれの外周の軸が最も離れた状態に配置され、リング部不一致面が最大となる。この状態では、それぞれのリング部が180度反対方向に段差を形成するため、該段差が自然開口部内壁に引っ掛かることにより自然開口用アクセス器具1の固定力が強くなる。
【0027】
なお、回動始点位置から回動終点位置の間の任意の位置で回動を止め、所望の固定力を得るよう調節しても良い。
以上の構成から、リング部不一致面の拡縮と可動リング部の回動方向とが対応付けられることで、操作者が盲目的に回動操作を行った場合でも、リング部不一致面が最小または最大の状態で回動操作が停止される。
【0028】
次に、本実施の形態の自然開口用アクセス器具の使用方法について手順に従い説明する。
1.可動リング部50と、筒状体20またはフランジ部30を体外で操作し、回動始点位置(リング部不一致面がない状態)に設定する。
2.自然開口用アクセス器具1を筒状体20の遠位端より自然開口部へ挿入する。
3.固定リング部40が自然開口部内に完全に挿入された状態で、フランジ部30をマーカー31が示す拡大方向に回転させてリング部不一致面を拡大し、自然開口部内に器具1を固定する。
ここで、自然開口用アクセス器具1が自然開口部内に挿着された状態で体外のフランジ部30を周方向に回転させると、可動リング部50は筒状体20と回動可能に取り付けられているためフランジ部30の回転に追従しない。一方、固定リング部40は筒状体20とともに回転する。
4.筒状体20及びフランジ部30の内部を介して手術操作を行う。
5.手術操作完了後、フランジ部30をマーカー31が示す縮小方向に回転させ、自然開口用アクセス器具1を回動始点位置に戻す。
6.フランジ部30を把持して自然開口用アクセス器具1を自然開口部より抜去する。
【0029】
本実施の形態の自然開口用アクセス器具1によれば、フランジ部30の回動操作により、着脱操作時の抵抗が小さい(リング部不一致面が小さい)状態と、自然開口部内壁への引っ掛かりが強く滑脱しにくい(リング部不一致面が大きい)状態とに変化させることができる。
また、自然開口用アクセス器具1は、筒状体20の軸方向に2つのリングを並列に設けるだけの構成で自然開口部からの滑脱がしにくい構造となるため、筒状体の軸方向への寸法を大きくする必要がなく、自然開口部内に配置される筒状体20を短尺に成形することができる。これにより、手術部位が自然開口部の入口付近であっても、自然開口用アクセス器具1が手術部位を覆うことがなく、自然開口部の入口付近まで手術対象を広げることができる。
【0030】
さらに、筒状体20及び可動リング部50に回動範囲制限手段を備え、回動範囲の始点において2つのリング部それぞれの外周の軸間距離が最小となり、回動範囲の終点において軸間距離が最大となる構成とすることで、始点と終点の間で軸間距離を調整することができる。
さらに、自然開口用アクセス器具1が自然開口部内に挿着された状態では、マーカー31に従ってフランジ部30を周方向に回転させることにより、リング部不一致面を拡縮させることができるため、挿着状態で2つのリング部の位置関係を視認できない状態であっても、所望の拡縮操作を行うことができる。
【0031】
加えて、2つのリング部を近位端へ向かって外径を拡大するよう形成されてもよく、これにより、自然開口部への挿入時にはリング部の引っ掛かりが少なく、また、抜去方向に移動するさいにはリング部の太径側が自然開口部内壁に引っ掛かり係止されるため、挿入状態の自然開口用アクセス器具1が体外へ脱落することを抑制できる。
以上により、自然開口部内に挿入する長さを短く成形しても安定した固定が可能な自然開口用アクセス器具が提供される。
【符号の説明】
【0032】
1 自然開口用アクセス器具
20 筒状体
21 ガイド
211 上側ガイド
211a 始点係止部
211b 終点係止部
212 下側ガイド
22 固定爪
30 フランジ部
31 マーカー
40 固定リング部
41 円環部
42 リブ
43 回転止め突起
50 可動リング部
53 回転止め突起
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7