(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025035462
(43)【公開日】2025-03-13
(54)【発明の名称】カテーテル
(51)【国際特許分類】
A61M 25/098 20060101AFI20250306BHJP
A61M 25/10 20130101ALI20250306BHJP
【FI】
A61M25/098
A61M25/10 550
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023142515
(22)【出願日】2023-09-01
(71)【出願人】
【識別番号】000000941
【氏名又は名称】株式会社カネカ
(74)【代理人】
【識別番号】110002837
【氏名又は名称】弁理士法人アスフィ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】北 荘一郎
(72)【発明者】
【氏名】藤澤 翔
(72)【発明者】
【氏名】佐古 千菜美
(72)【発明者】
【氏名】夫馬 豊
(72)【発明者】
【氏名】藤本 充千
【テーマコード(参考)】
4C267
【Fターム(参考)】
4C267AA07
4C267BB02
4C267BB06
4C267BB10
4C267BB11
4C267BB12
4C267BB27
4C267BB40
4C267BB43
4C267CC09
4C267DD01
4C267EE03
4C267GG34
4C267HH08
4C267HH11
(57)【要約】
【課題】X線透視下においてX線不透過マーカーが配置されている部分の状態を確認することができ、低侵襲であるカテーテルを提供する。
【解決手段】長手方向x1を有している外側樹脂チューブ11と、外側樹脂チューブ11の内腔に配置されている内側樹脂チューブ12と、X線不透過の第1マーカー41、第2マーカー42、および第3マーカー43と、を有しており、第1マーカー41、第2マーカー42、および第3マーカー43は、長手方向x1に垂直な断面における外形が長軸および短軸を有し、第1マーカー41、第2マーカー42、および第3マーカー43は、長手方向x1に垂直な断面におけるそれぞれの外形の長軸の向きが揃っているカテーテル1。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向を有している外側樹脂チューブと、
前記外側樹脂チューブの内腔に配置されている内側樹脂チューブと、
X線不透過の第1マーカー、第2マーカー、および第3マーカーと、を有しており、
前記第1マーカー、前記第2マーカー、および前記第3マーカーは、前記長手方向に垂直な断面における外形が長軸および短軸を有し、
前記第1マーカー、前記第2マーカー、および前記第3マーカーは、前記長手方向に垂直な断面におけるそれぞれの外形の長軸の向きが揃っているカテーテル。
【請求項2】
前記外側樹脂チューブの遠位部に配置されている拡張部材をさらに有している請求項1に記載のカテーテル。
【請求項3】
前記第1マーカー、前記第2マーカー、および前記第3マーカーは、前記拡張部材の内方であって前記内側樹脂チューブの外側に配置されている請求項2に記載のカテーテル。
【請求項4】
前記内側樹脂チューブは、第1内側樹脂チューブおよび第2内側樹脂チューブを有しており、
前記第1内側樹脂チューブの内腔は、前記第2内側樹脂チューブの内腔と平行に配置されている請求項1に記載のカテーテル。
【請求項5】
前記長手方向に垂直な断面における前記第1マーカー、前記第2マーカー、および前記第3マーカーのそれぞれの外形での長軸の長さに対する短軸の長さの比(短軸の長さ/長軸の長さ)は、0.6以上1.0未満である請求項1に記載のカテーテル。
【請求項6】
前記長手方向に垂直な断面における前記第1マーカー、前記第2マーカー、および前記第3マーカーのそれぞれの外形での長軸の長さの差は、前記第1マーカー、前記第2マーカー、および前記第3マーカーのそれぞれの外形での長軸の長さの平均値の50%以下である請求項1に記載のカテーテル。
【請求項7】
前記拡張部材は、拡張および収縮が可能であるバルーンであり、
前記バルーンは、直管部と、前記直管部よりも近位側に位置する近位側テーパー部と、前記直管部よりも遠位側に位置する遠位側テーパー部とを有し、
前記直管部は、前記長手方向における前記直管部の長さを3等分した領域であって、最も遠位側に位置している遠位領域と、最も近位側に位置している近位領域と、前記遠位領域よりも近位側かつ前記近位領域よりも遠位側に位置している中央領域と、を有しており、
前記第1マーカーは、前記遠位領域に配置され、
前記第2マーカーは、前記近位領域に配置され、
前記第3マーカーは、前記中央領域に配置されている請求項2に記載のカテーテル。
【請求項8】
前記第1マーカーは、前記直管部の遠位端が位置している場所に配置されており、
前記第2マーカーは、前記直管部の近位端が位置している場所に配置されている請求項7に記載のカテーテル。
【請求項9】
前記第3マーカーは、前記長手方向における前記バルーンの長さの中点よりも遠位側に位置している請求項7に記載のカテーテル。
【請求項10】
X線不透過の第4マーカーをさらに含んでおり、
前記第4マーカーは、前記長手方向に垂直な断面における外形が長軸および短軸を有し、
前記第4マーカーの前記長手方向に垂直な断面における外形の長軸の向きは、前記第1マーカー、前記第2マーカー、および前記第3マーカーの前記長手方向に垂直な断面におけるそれぞれの外形の長軸の向きと揃っている請求項1に記載のカテーテル。
【請求項11】
前記外側樹脂チューブの遠位部に配置されている拡張部材をさらに有しており、
前記拡張部材は、拡張および収縮が可能であるバルーンであり、
前記バルーンは、直管部と、前記直管部よりも近位側に位置する近位側テーパー部と、前記直管部よりも遠位側に位置する遠位側テーパー部とを有し、
前記直管部は、前記長手方向における前記直管部の長さを3等分した領域であって、最も遠位側に位置している遠位領域と、最も近位側に位置している近位領域と、前記遠位領域よりも近位側かつ前記近位領域よりも遠位側に位置している中央領域と、を有しており、
前記第4マーカーは、前記中央領域に配置されている請求項10に記載のカテーテル。
【請求項12】
前記長手方向に垂直な断面における前記第4マーカーの外形での長軸の長さに対する短軸の長さの比(短軸の長さ/長軸の長さ)は、0.6以上1.0未満である請求項10に記載のカテーテル。
【請求項13】
前記第4マーカーの前記長手方向に垂直な断面における外形の長軸の長さは、前記第1マーカー、前記第2マーカー、および前記第3マーカーの前記長手方向に垂直な断面における外形の長軸の長さの平均値の50%以上150%以下である請求項10に記載のカテーテル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カテーテルに関する。
【背景技術】
【0002】
血管や臓器の病変に対し開腹手術を伴わずに行う低侵襲な治療法として、カテーテルを四肢や鼠径部等の血管、胆管等の消化管といった生体内管腔から挿入して病変部まで送達し、狭窄病変の治療や血管内に造影剤や薬剤を投与する処置や検査を行うカテーテル治療が広く行われている。
【0003】
体内で血液が循環するための流路である血管に狭窄が生じ、血液の循環が滞ることにより、様々な疾患が発生することが知られている。特に心臓に血液を供給する冠状動脈に狭窄が生じると、狭心症、心筋梗塞等の重篤な疾病をもたらすおそれがある。このような血管の狭窄部を治療する方法の一つとして、バルーンカテーテルやステントを用いて狭窄部を拡張させる血管形成術(PTA、PTCA等)がある。血管形成術は、バイパス手術のような開胸術を必要としない低侵襲療法である。また、血管形成術は、透析のためのシャント部に発生した狭窄の治療等にも用いられる。
【0004】
また、胆石や腫瘍等によって胆管が閉塞することや、胆管内で胆汁の流れが阻害されることにより、胆汁が胆管内に停滞し、細菌感染を引き起こす場合がある。胆汁の細菌感染は胆管炎を招き、さらに細菌を含んだ胆汁が肝臓を通って全身の血液中に流入すると敗血症を引き起こすおそれがある。このような場合、胆管内から胆汁を排出する処置が必要となり、胆管内にカテーテルを挿入し、経皮経肝胆道ドレナージ(PTCD)や内視鏡的胆管ドレナージ(ERBD)等が行われる。
【0005】
特許文献1には、近位側から伝えられる押込力を遠位側まで伝達できるバルーンカテーテルについて記載されている。該バルーンカテーテルは、バルーンと、前記バルーンを拡張するための流体を供給する拡張ルーメンを構成する筒状のアウターシャフトと、前記拡張ルーメンと連通する制御孔を有する開口制御部と、前記開口制御部の前記制御孔と当接可能な押圧部を有するコアワイヤと、ガイドワイヤを挿通させるためのガイドワイヤルーメンを内部に有するインナーシャフトと、前記インナーシャフトの遠位端に形成された先端側ガイドワイヤポートと、前記インナーシャフトの近位端に形成された後端側ガイドワイヤポートと、を備え、前記後端側ガイドワイヤポートは、前記アウターシャフトの前記開口制御部に形成されていることが開示されている。
【0006】
特許文献2には、使用中に位置の特定または識別を行うことができるバルーンカテーテルについて記載されている。該バルーンカテーテルは、シャフトと、前記シャフトに取り付けられるとともに内部を有する膨張可能なバルーンと、前記バルーンの前記内部において前記カテーテルの長手方向軸線に沿って間隔が隔てられた少なくとも3つのX線不透過性マーキングとを備え、第1のX線不透過性マーキングを隣接する第2のX線不透過性マーキングから離間させる第1の距離は、前記第2のX線不透過性マーキングを隣接する第3のX線不透過性マーキングから離間させる第2の距離とは異なっていることが開示されている。
【0007】
特許文献3には、プッシャビリティに優れ、キンクを防止することができるバルーンカテーテルについて記載されている。該バルーンカテーテルは、アウターシャフトと、前記アウターシャフトの先端に接続されたバルーンと、前記アウターシャフトの後端に接続されたハブと、ガイドワイヤルーメンを形成する樹脂チューブであって、前記アウターシャフトの側面においてその後端がガイドワイヤポートとして開口し、前記バルーンの先端部にその先端部が固定されて、その先端が開口するインナーチューブと、ストレート部と縮径部とを有するコアワイヤとを備えてなり、前記コアワイヤは、前記アウターシャフトの内周面に固着されているとともに、前記コアワイヤのストレート部が前記アウターシャフトの内周面と前記インナーチューブの外周面との間に圧入されており、前記コアワイヤのストレート部が圧入されている部分における前記アウターシャフトの横断面が楕円形状に変形していることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2015-013207号公報
【特許文献2】特表2015-527123号公報
【特許文献3】特開2016-083279号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1~3に記載されているような従来のカテーテルは、カテーテルが有しているバルーンやバスケット、ステント等の処置を行う処置部にX線不透過のマーカーが設けられていることにより、X線撮像装置を用いたX線透視下において生体内管腔での処置部の位置等を確認することが可能である。生体内管腔において、バルーン等の処置部にねじれが発生することがあるが、従来のカテーテルでは処置部のねじれの有無等、生体内管腔での処置部の詳細な状態を確認することは困難であった。カテーテルの処置部にねじれが発生した状態では、手技の進行状況の確認や、手技が成功あるいは失敗したかの判断ができないおそれがある。具体例としては、バルーンにねじれが発生すると、バルーンが十分に拡張せずに狭窄部等の病変部への拡張が不十分となることや、バルーンがねじれた状態であるためにバルーンが十分に拡張していないにもかかわらず拡張圧が不足していると誤認して必要以上に拡張流体をバルーンに送り込んで過拡張となり患者への負担が増大してしまうことがあるという問題があった。
【0010】
また、従来のカテーテルではX線での透視によってカテーテルの処置部の詳細な状態を確認することは困難であるため、処置の進捗や状況を確認するために血管内超音波検査(IVUS)や光干渉断層法(OCT:Optical Coherence Tomography)の検査を並行して行い、生体内管腔の管壁の状態を確認することもある。しかし、IVUSやOCTの検査を行うためには、処置を行うカテーテルとは別に検査用のカテーテル等の器具を追加で用いる必要があり、手技時間や手技の手間が増えて術者や患者の負担が増大してしまうという問題もあった。
【0011】
本発明は上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、X線透視下においてX線不透過マーカーが配置されている部分の状態を確認することができ、低侵襲であるカテーテルを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決し得た本発明の実施形態に係るカテーテルは、以下の通りである。
[1]長手方向を有している外側樹脂チューブと、
前記外側樹脂チューブの内腔に配置されている内側樹脂チューブと、
X線不透過の第1マーカー、第2マーカー、および第3マーカーと、を有しており、
前記第1マーカー、前記第2マーカー、および前記第3マーカーは、前記長手方向に垂直な断面における外形が長軸および短軸を有し、
前記第1マーカー、前記第2マーカー、および前記第3マーカーは、前記長手方向に垂直な断面におけるそれぞれの外形の長軸の向きが揃っているカテーテル。
[2]前記外側樹脂チューブの遠位部に配置されている拡張部材をさらに有している[1]に記載のカテーテル。
[3]前記第1マーカー、前記第2マーカー、および前記第3マーカーは、前記拡張部材の内方であって前記内側樹脂チューブの外側に配置されている[2]に記載のカテーテル。
[4]前記内側樹脂チューブは、第1内側樹脂チューブおよび第2内側樹脂チューブを有しており、
前記第1内側樹脂チューブの内腔は、前記第2内側樹脂チューブの内腔と平行に配置されている[1]~[3]のいずれかに記載のカテーテル。
[5]前記長手方向に垂直な断面における前記第1マーカー、前記第2マーカー、および前記第3マーカーのそれぞれの外形での長軸の長さに対する短軸の長さの比(短軸の長さ/長軸の長さ)は、0.6以上1.0未満である[1]~[4]のいずれかに記載のカテーテル。
[6]前記長手方向に垂直な断面における前記第1マーカー、前記第2マーカー、および前記第3マーカーのそれぞれの外形での長軸の長さの差は、前記第1マーカー、前記第2マーカー、および前記第3マーカーのそれぞれの外形での長軸の長さの平均値の50%以下である[1]~[5]のいずれかに記載のカテーテル。
[7]前記拡張部材は、拡張および収縮が可能であるバルーンであり、
前記バルーンは、直管部と、前記直管部よりも近位側に位置する近位側テーパー部と、前記直管部よりも遠位側に位置する遠位側テーパー部とを有し、
前記直管部は、前記長手方向における前記直管部の長さを3等分した領域であって、最も遠位側に位置している遠位領域と、最も近位側に位置している近位領域と、前記遠位領域よりも近位側かつ前記近位領域よりも遠位側に位置している中央領域と、を有しており、
前記第1マーカーは、前記遠位領域に配置され、
前記第2マーカーは、前記近位領域に配置され、
前記第3マーカーは、前記中央領域に配置されている[2]または[3]に記載のカテーテル。
[8]前記第1マーカーは、前記直管部の遠位端が位置している場所に配置されており、
前記第2マーカーは、前記直管部の近位端が位置している場所に配置されている[7]に記載のカテーテル。
[9]前記第3マーカーは、前記長手方向における前記バルーンの長さの中点よりも遠位側に位置している[7]または[8]に記載のカテーテル。
[10]X線不透過の第4マーカーをさらに含んでおり、
前記第4マーカーは、前記長手方向に垂直な断面における外形が長軸および短軸を有し、
前記第4マーカーの前記長手方向に垂直な断面における外形の長軸の向きは、前記第1マーカー、前記第2マーカー、および前記第3マーカーの前記長手方向に垂直な断面におけるそれぞれの外形の長軸の向きと揃っている[1]~[9]のいずれかに記載のカテーテル。
[11]前記外側樹脂チューブの遠位部に配置されている拡張部材をさらに有しており、
前記拡張部材は、拡張および収縮が可能であるバルーンであり、
前記バルーンは、直管部と、前記直管部よりも近位側に位置する近位側テーパー部と、前記直管部よりも遠位側に位置する遠位側テーパー部とを有し、
前記直管部は、前記長手方向における前記直管部の長さを3等分した領域であって、最も遠位側に位置している遠位領域と、最も近位側に位置している近位領域と、前記遠位領域よりも近位側かつ前記近位領域よりも遠位側に位置している中央領域と、を有しており、
前記第4マーカーは、前記中央領域に配置されている[10]に記載のカテーテル。
[12]前記長手方向に垂直な断面における前記第4マーカーの外形での長軸の長さに対する短軸の長さの比(短軸の長さ/長軸の長さ)は、0.6以上1.0未満である[10]または[11]に記載のカテーテル。
[13]前記第4マーカーの前記長手方向に垂直な断面における外形の長軸の長さは、前記第1マーカー、前記第2マーカー、および前記第3マーカーの前記長手方向に垂直な断面における外形の長軸の長さの平均値の50%以上150%以下である[10]~[12]のいずれかに記載のカテーテル。
【発明の効果】
【0013】
上記カテーテルによれば、X線不透過の第1マーカー、第2マーカー、および第3マーカーは長手方向に垂直な断面における外形が長軸および短軸を有し、第1マーカー、第2マーカー、および第3マーカーは長手方向に垂直な断面におけるそれぞれの外形の長軸の向きが揃っていることにより、X線透視下において、マーカーの大きさや形状が異なっている場合にはカテーテルの第1マーカー、第2マーカー、および第3マーカーが配置されている部分にねじれが生じていると判断することが可能となる。その結果、X線透視によってカテーテルのマーカーが配置されている部分の状態を確認することができ、低侵襲なカテーテルとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の一実施形態に係るカテーテルの側面図を表す。
【
図2】
図1に示したカテーテルの長手方向に沿った断面図を表す。
【
図3】
図1に示したカテーテルの遠位部の拡大図を表す。
【
図4】
図1に示したカテーテルのIV-IV断面図を表す。
【
図5】
図1に示したカテーテルのV-V断面図を表す。
【
図6】
図1に示したカテーテルのVI-VI断面図を表す。
【
図7】本発明の他の実施形態に係る芯材の長手方向に沿った断面図を表す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、実施の形態に基づき本発明を説明するが、本発明はもとより下記実施の形態によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。なお、各図面において、便宜上、ハッチングや部材符号等を省略する場合もあるが、かかる場合、明細書や他の図面を参照するものとする。また、図面における種々部材の寸法は、本発明の特徴の理解に資することを優先しているため、実際の寸法とは異なる場合がある。
【0016】
本発明の実施形態に係るカテーテルは、長手方向を有している外側樹脂チューブと、外側樹脂チューブの内腔に配置されている内側樹脂チューブと、X線不透過の第1マーカー、第2マーカー、および第3マーカーと、を有しており、第1マーカー、第2マーカー、および第3マーカーは、長手方向に垂直な断面における外形が長軸および短軸を有し、第1マーカー、第2マーカー、および第3マーカーは、長手方向に垂直な断面におけるそれぞれの外形の長軸の向きが揃っている。
【0017】
以下、
図1~
図6を参照しつつ、本発明の実施形態に係るバルーンカテーテルについて説明する。
図1は本発明の一実施形態に係るカテーテルの側面図であり、
図2はカテーテルの長手方向に沿った断面図であり、
図3はカテーテルの遠位部の拡大図であって、カテーテルの遠位部を拡大した側面図である。
図4はカテーテルのIV-IV断面図であって、第1マーカーが配置されている部分での長手方向に垂直な断面図である。
図5はカテーテルのV-V断面図であって、第2マーカーが配置されている部分での長手方向に垂直な断面図である。
図6はカテーテルのVI-VI断面図であって、第3マーカーが配置されている部分での長手方向に垂直な断面図である。
【0018】
図1~
図3に示すように、カテーテル1は、長手方向x1を有している外側樹脂チューブ11と、外側樹脂チューブ11の内腔に配置されている内側樹脂チューブ12と、X線不透過の第1マーカー41、第2マーカー42、および第3マーカー43と、を有している。
【0019】
外側樹脂チューブ11は、長手方向x1と、長手方向x1に垂直な断面において外側樹脂チューブ11の外縁の図心と外縁上の点とを結ぶ径方向y1と、長手方向x1に垂直な断面において外側樹脂チューブ11の外周に沿う周方向z1を有する。本明細書において、カテーテル1の使用者の手元側の方向を近位側と称し、近位側とは反対側、即ち処置対象者側の方向を遠位側と称する。また、外側樹脂チューブ11の近位側から遠位側への方向を長手方向x1と称する。
【0020】
外側樹脂チューブ11以外の部材や部分も、それぞれ長手方向、径方向、および周方向を有し、それらは外側樹脂チューブ11の長手方向x1、径方向y1、および周方向z1と同じである場合もあり異なる場合もあるが、本明細書においては理解のしやすさのために全ての部材や部分が外側樹脂チューブ11の長手方向x1、径方向y1、および周方向z1と同じ長手方向、径方向、および周方向を有していることとして説明する。
【0021】
外側樹脂チューブ11は、長手方向x1を有している。また、外側樹脂チューブ11は、長手方向x1に延在している内腔を備えている。
【0022】
外側樹脂チューブ11は、長手方向x1に遠位端11dと近位端11pを有している。外側樹脂チューブ11には、遠位端11dと近位端11pの少なくとも一方に開口を有していてもよい。外側樹脂チューブ11の遠位端11dが開口を有している場合、外側樹脂チューブ11の遠位端11dの開口は、外側樹脂チューブ11の内腔と連通していることが好ましい。また、外側樹脂チューブ11の近位端11pが開口を有している場合、外側樹脂チューブ11の近位端11pの開口は、外側樹脂チューブ11の内腔と連通していることが好ましい。
【0023】
外側樹脂チューブ11を構成する材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ナイロン等のポリアミド系樹脂、PET等のポリエステル系樹脂、PEEK等の芳香族ポリエーテルケトン系樹脂、ポリエーテルポリアミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリイミド系樹脂、PTFE、PFA、ETFE等のフッ素系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂等の合成樹脂等が挙げられる。中でも、外側樹脂チューブ11を構成する材料は、ポリアミド系樹脂であることが好ましく、ポリアミドエラストマーであることがより好ましい。外側樹脂チューブ11を構成する材料がポリアミドエラストマーであることにより、外側樹脂チューブ11の外表面の滑り性がよく、また、外側樹脂チューブ11が適度な剛性を有するものとなる。そのため、血管への挿通性がよいカテーテル1とすることができる。
【0024】
外側樹脂チューブ11は、単層構造であってもよく、複層構造であってもよい。外側樹脂チューブ11が複層構造である場合、例えば、外側樹脂チューブ11を構成する樹脂チューブの中間層として、ステンレス鋼、炭素鋼、ニッケルチタン合金等の金属編組を用いた構造とすることができる。
【0025】
内側樹脂チューブ12は、外側樹脂チューブ11の内腔に配置されている。また、内側樹脂チューブ12は、長手方向x1に延在している内腔を備えている。以下、外側樹脂チューブ11と内側樹脂チューブ12を合わせて「シャフト10」と称することがある。
【0026】
内側樹脂チューブ12は、長手方向x1に遠位端12dと近位端12pを有している。内側樹脂チューブ12には、遠位端12dと近位端12pの少なくとも一方に開口を有していてもよい。内側樹脂チューブ12の遠位端12dが開口を有している場合、内側樹脂チューブ12の遠位端12dの開口は、内側樹脂チューブ12の内腔と連通していることが好ましい。また、内側樹脂チューブ12の近位端12pが開口を有している場合、内側樹脂チューブ12の近位端12pの開口は、内側樹脂チューブ12の内腔と連通していることが好ましい。
【0027】
内側樹脂チューブ12を構成する材料としては、前述の外側樹脂チューブ11を構成する材料として挙げた合成樹脂等が挙げられる。中でも、内側樹脂チューブ12を構成する材料は、ポリアミド系樹脂であることが好ましく、ポリアミドエラストマーであることがより好ましい。内側樹脂チューブ12を構成する材料がポリアミドエラストマーであることにより、内側樹脂チューブ12の表面の滑り性を高め、さらに内側樹脂チューブ12に適度な剛性を付与することができる。その結果、内側樹脂チューブ12にガイドワイヤ等の物品を挿入しやすく、また、カテーテル1を血管へ挿通しやすくすることができる。
【0028】
内側樹脂チューブ12は、単層構造であってもよく、複層構造であってもよい。内側樹脂チューブ12が複層構造である場合、例えば、前述の外側樹脂チューブ11を構成する材料として挙げた合成樹脂等から構成される層を複数組み合わせた構造とすることができる。さらに内側樹脂チューブ12を構成する樹脂チューブの中間層として、ステンレス鋼、炭素鋼、ニッケルチタン合金等の金属編組を用いた構造とすることができる。
【0029】
内側樹脂チューブ12を構成する材料は、外側樹脂チューブ11を構成する材料と異なるものであってもよいが、同じものであることが好ましい。内側樹脂チューブ12を構成する材料と外側樹脂チューブ11を構成する材料とが同じものであることにより、外側樹脂チューブ11の内腔に内側樹脂チューブ12を配置して外側樹脂チューブ11と内側樹脂チューブ12とを固定した際に、外側樹脂チューブ11と内側樹脂チューブ12との接合強度を高めやすくなる。
【0030】
外側樹脂チューブ11と内側樹脂チューブ12とを接合する方法としては、例えば、接着剤による接着、溶着、外側樹脂チューブ11と内側樹脂チューブ12とが重なっている箇所にリング状部材を取り付けてかしめること等が挙げられる。中でも、外側樹脂チューブ11と内側樹脂チューブ12とは、溶着により接合されていることが好ましい。外側樹脂チューブ11と内側樹脂チューブ12とが溶着によって接合されていることにより、外側樹脂チューブ11と内側樹脂チューブ12との接合強度が高まりやすく、外側樹脂チューブ11および内側樹脂チューブ12の接合を解除されにくくすることができる。
【0031】
図1に示すように、シャフト10の近位側にはハブ5が設けられていてもよい。また、シャフト10の内腔に流体を供給する場合、ハブ5には、シャフト10の内腔に供給される流体の流路と連通している流体注入部6が設けられていてもよい。
【0032】
シャフト10とハブ5との接合は、例えば、接着剤による接着、溶着等が挙げられる。中でも、シャフト10とハブ5とは、接着により接合されていることが好ましい。シャフト10とハブ5とが接着によって接合されていることにより、例えば、シャフト10は柔軟性の高い材料から構成され、ハブ5は剛性の高い材料から構成されている等、シャフト10を構成する材料とハブ5を構成する材料とが異なっている場合に、シャフト10とハブ5の接合強度を高めてカテーテル1の耐久性を向上させることができる。
【0033】
カテーテル1は、X線不透過の第1マーカー41、第2マーカー42、および第3マーカー43を有している。第1マーカー41、第2マーカー42、および第3マーカー43は、X線透視下において確認することができる。カテーテル1は、第1マーカー41、第2マーカー42、および第3マーカー43とは異なるX線不透過マーカー40をさらに有していてもよい。
【0034】
第1マーカー41、第2マーカー42、および第3マーカー43を含むX線不透過マーカー40の形状は、筒状が好ましく、円筒状、多角筒状、筒に切れ込みが入った断面C字状の形状、線材を巻回したコイル形状等が挙げられる。X線不透過マーカー40を構成する材料は、例えば、鉛、バリウム、ヨウ素、タングステン、金、白金、イリジウム、ステンレス、チタン、コバルトクロム合金等のX線不透過物質を用いることができる。
【0035】
図4~
図6に示すように、第1マーカー41、第2マーカー42、および第3マーカー43は、長手方向x1に垂直な断面における外形が長軸A1a、A2a、A3aおよび短軸A1b、A2b、A3bを有し、第1マーカー41、第2マーカー42、および第3マーカー43は、長手方向x1に垂直な断面におけるそれぞれの外形の長軸A1a、A2a、A3aの向きが揃っている。
【0036】
長手方向x1に垂直な断面におけるマーカーの外形の長軸は、マーカーの外形の図心を通り、マーカーの外形の外縁上の任意の2点を結ぶ線分のうち、その長さが最長のものである。長手方向x1に垂直な断面におけるマーカーの外形の短軸は、マーカーの外形の図心を通り、マーカーの外形の外縁上の任意の2点を結ぶ線分のうち、その長さが最短のものである。
【0037】
長手方向x1に垂直な断面における第1マーカー41、第2マーカー42、および第3マーカー43のそれぞれの外形の長軸A1a、A2a、A3aの向きが揃っていることは、第1マーカー41、第2マーカー42、および第3マーカー43のうちの2つのX線不透過マーカー40において、長手方向x1に垂直な断面におけるそれぞれのX線不透過マーカー40の外形の長軸A1a、A2a、A3aがなす角度が30度以下である場合に、外形の長軸A1a、A2a、A3aの向きが揃っていることとする。具体的には、例えば、長手方向x1に垂直な断面における第1マーカー41の外形の長軸A1aと、長手方向x1に垂直な断面における第2マーカー42の外形の長軸A2aと、がなす角度が30度以下である場合、第1マーカー41および第2マーカー42のそれぞれの外形の長軸A1a、A2aの向きが揃っていると判断する。
【0038】
つまり、長手方向x1に垂直な断面における第1マーカー41、第2マーカー42、および第3マーカー43のそれぞれの外形の長軸A1a、A2a、A3aの向きが揃っていることは、
図4~
図6に示すように、長手方向x1に垂直な断面において、第1マーカー41の外形の長軸A1aと第2マーカー42の外形の長軸A2aとがなす角度、第1マーカー41の外形の長軸A1aと第3マーカー43の外形の長軸A3aとがなす角度、第2マーカー42の外形の長軸A2aと第3マーカー43の外形の長軸A3aとがなす角度、のいずれにおいても角度が30度以下であることを意味する。
【0039】
第1マーカー41、第2マーカー42、および第3マーカー43は、長手方向x1に垂直な断面におけるそれぞれの外形の長軸A1a、A2a、A3aの向きが揃っている構成であることにより、X線透視下において、第1マーカー41、第2マーカー42、および第3マーカー43の大きさや形状が異なっている場合には、カテーテル1の第1マーカー41、第2マーカー42、および第3マーカー43が設けられている部分にねじれが発生していると判断することができる。カテーテル1にねじれが発生した状態であると、X線透視下において手技の進行状況の確認や、手技が成功したか否かの判断ができないおそれがある。X線透視下において、カテーテル1の第1マーカー41、第2マーカー42、および第3マーカー43が設けられている部分のねじれの有無を判断できることにより、生体内管腔でのカテーテル1の状態を判断するためのIVUSやOCTの検査を行うための器具を別途用いる必要がなく、手技時間を短縮や手技にかかる手間を軽減することができ、低侵襲なカテーテル1とすることができる。
【0040】
なお、外形の長軸A1a、A2a、A3aの向きが揃っていることを、第1マーカー41、第2マーカー42、および第3マーカー43のうちの2つのX線不透過マーカー40において、長手方向x1に垂直な断面におけるそれぞれのX線不透過マーカー40の外形の長軸A1a、A2a、A3aがなす角度が45度以下である場合としても、X線透視下において、第1マーカー41、第2マーカー42、および第3マーカー43の大きさや形状が異なっている場合にカテーテル1の第1マーカー41、第2マーカー42、および第3マーカー43が設けられている部分に大きなねじれが発生しているか否かを判断することが可能である。カテーテル1の第1マーカー41、第2マーカー42、および第3マーカー43が設けられている部分に小さなねじれであっても発見するためには、第1マーカー41、第2マーカー42、および第3マーカー43のうちの2つのX線不透過マーカー40において、長手方向x1に垂直な断面におけるそれぞれのX線不透過マーカー40の外形の長軸A1a、A2a、A3aがなす角度が30度以下である場合を外形の長軸A1a、A2a、A3aの向きが揃っていることとすることが好ましい。
【0041】
図1および
図2には、シャフト10の遠位側から近位側に至る途中にガイドワイヤポートである開口部13を有し、開口部13からシャフト10の遠位側までガイドワイヤ挿通路を有する、所謂ラピッドエクスチェンジ型のカテーテル1を示している。ラピッドエクスチェンジ型の場合、外側樹脂チューブ11は、遠位側チューブ11aと近位側チューブ11bを有していることが好ましく、遠位側チューブ11aと近位側チューブ11bは別部材であってもよい。遠位側チューブ11aと近位側チューブ11bが別部材である場合、近位側チューブ11bは樹脂で構成されていてもよく金属で構成されていてもよい。
【0042】
或いは、図示していないが、本発明はシャフト10の遠位側から近位側にわたってガイドワイヤの挿通路を有している、所謂オーバーザワイヤ型のカテーテル1にも適用できる。
【0043】
ラピッドエクスチェンジ型のカテーテル1の場合、遠位側チューブ11aと近位側チューブ11bの少なくとも一方の外壁に適宜コーティングが施されていることが好ましく、遠位側チューブ11aと近位側チューブ11bの両方の外壁にコーティングが施されていることがより好ましい。オーバーザワイヤ型のカテーテル1の場合は、外側樹脂チューブ11の外壁に適宜コーティングが施されていることが好ましい。
【0044】
コーティングは、目的に応じて親水性コーティングまたは疎水性コーティングとすることができ、シャフト10を親水性コーティング剤または疎水性コーティング剤に浸漬することや、シャフト10の外壁に親水性コーティング剤または疎水性コーティング剤を塗布すること、シャフト10の外壁を親水性コーティング剤または疎水性コーティング剤で被覆することによって施すことができる。コーティング剤は、薬剤や添加剤を含んでいてもよい。
【0045】
親水性コーティング剤としては、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン、メチルビニルエーテル無水マレイン酸共重合体等の親水性ポリマー、またはそれらの任意の組み合わせで作られた親水性コーティング剤等が挙げられる。
【0046】
疎水性コーティング剤としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、フッ化エチレンプロピレン(FEP)、パーフルオロアルコキシアルカン(PFA)、シリコーンオイル、疎水性ウレタン樹脂、カーボンコート、ダイヤモンドコート、ダイヤモンドライクカーボン(DLC)コート、セラミックコート、アルキル基やパーフルオロアルキル基で終端された表面自由エネルギーが小さい物質等が挙げられる。
【0047】
カテーテル1は、外側樹脂チューブ11の遠位部に配置されている処置部を有していることが好ましい。処置部は、生体内管腔での病変部等の目的部位に対して処置を行うものである。処置部としては、例えば、バルーン、ステント、バスケット等の拡張部材、心内電位の測定や高周波電流を流す電極、薬剤を放出する薬剤保持部等が挙げられる。
【0048】
中でも、カテーテル1は、外側樹脂チューブ11の遠位部に配置されている拡張部材30をさらに有していることが好ましい。拡張部材30としては、バルーン、ステント、バスケット等が挙げられる。拡張部材30を有するカテーテル1を用いた手技において、拡張部材30にねじれが発生すると、拡張部材30が十分に拡張せずに病変部の拡張が不十分となってしまうことや、拡張部材30がねじれているために十分に拡張できないにもかかわらず拡張圧が不足していると誤認して必要以上の拡張流体を送り込む等して過拡張となってしまうおそれがある。本発明のカテーテル1が拡張部材30を有していることにより、拡張部材30のねじれの有無をX線透視下において確認することができるため、拡張部材30による拡張が不十分となってしまうことや過拡張を防止することが可能となる。
【0049】
拡張部材30は、長尺物であることが好ましい。具体的には、拡張部材30の長手方向x1における長さは、10cm以上であることが好ましく、15cm以上であることがより好ましく、20cm以上であることがさらに好ましく、25cm以上であることがよりさらに好ましい。拡張部材30が長尺物であることにより、ねじれが発生しやすい長尺物の拡張部材30であっても、本発明のカテーテル1ではねじれの有無をX線透視下において確認することができるため、低侵襲である手技を確実に行いやすくなる。拡張部材30の長手方向x1における長さの上限値は特に限定されないが、例えば、50cm以下、40cm以下、30cm以下とすることができる。
【0050】
拡張部材30は、バルーン31であることがより好ましい。つまり、カテーテル1は、外側樹脂チューブ11の遠位部に配置されているバルーン31を有していることが好ましい。拡張部材30がバルーン31であることにより、病変部等の目的部位の拡張を効率的に行いやすくすることができる。
【0051】
バルーン31は、長手方向x1に対して、直管部34と、直管部34よりも近位側に位置している近位側テーパー部33と、直管部34よりも遠位側に位置している遠位側テーパー部35を有していることが好ましい。直管部34は、長手方向x1に延びる略円筒形に形成され、バルーン31において径方向y1の長さ(外径)が最も大きく形成されることが好ましい。直管部34は、長手方向x1においておよそ同じ径を有していることが好ましいが、長手方向x1において異なる径を有していてもよい。近位側テーパー部33は、直管部34の近位側に位置し、直管部34の近位端に接続する。遠位側テーパー部35は、直管部34の遠位側に位置し、直管部34の遠位端に接続する。近位側テーパー部33および遠位側テーパー部35は、直管部34から離れるにしたがって外径が小さく縮径して略円錐状または円錐台状に形成されていることが好ましい。
【0052】
バルーン31はさらに、近位側テーパー部33よりも近位側に位置している近位側スリーブ部32と、遠位側テーパー部35よりも遠位側に位置している遠位側スリーブ部36を有していることが好ましい。近位側スリーブ部32は、近位側テーパー部33の近位側に位置し、近位側テーパー部33の近位端に接続する。遠位側スリーブ部36は、遠位側テーパー部35の遠位側に位置し、遠位側テーパー部35の遠位端に接続する。近位側スリーブ部32および遠位側スリーブ部36は、略円筒形に形成されていることが好ましい。
【0053】
バルーン31に流体を導入した際に、近位側テーパー部33、直管部34、および遠位側テーパー部35が拡張する部分であるのに対し、近位側スリーブ部32および遠位側スリーブ部36は拡張しないことが好ましい。近位側スリーブ部32および遠位側スリーブ部36が拡張しないことにより、近位側スリーブ部32の少なくとも一部を外側樹脂チューブ11の遠位端部に固定し、遠位側スリーブ部36の少なくとも一部を内側樹脂チューブ12に固定する構成とすることができる。
【0054】
バルーン31は樹脂から構成されていることが好ましく、熱可塑性樹脂から構成されていることがより好ましい。バルーン31が樹脂から構成されていることにより、成形によってバルーン31を製造することが容易になる。
【0055】
バルーン31を構成する樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-プロピレン共重合体等のポリオレフィン樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリエステルエラストマー等のポリエステル樹脂、ポリウレタン、ポリウレタンエラストマー等のポリウレタン樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリアミド、ポリアミドエラストマー等のポリアミド樹脂、フッ素系樹脂、シリコーン樹脂、ラテックスゴム等の天然ゴム等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。中でも、バルーン31を構成する樹脂は、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂が好適に用いられる。特に、バルーン31の薄膜化や柔軟性の点から、バルーン31を構成する樹脂としてエラストマー樹脂を用いることが好ましい。例えば、ポリアミド樹脂の中でバルーン31を構成する好適な材料としては、ナイロン12、ナイロン11等が挙げられ、ブロー成形する際に比較的容易に成形可能である点から、ナイロン12が好適に用いられる。また、バルーン31の薄膜化や柔軟性の点から、ポリエーテルエステルアミドエラストマー、ポリアミドエーテルエラストマー等のポリアミドエラストマーがバルーン31を構成する樹脂として好ましく用いられる。中でも、降伏強度が高く、バルーン31の寸法安定性が良好な点から、バルーン31を構成する樹脂としてポリエーテルエステルアミドエラストマーが好ましく用いられる。
【0056】
カテーテル1がバルーン31を有している場合、カテーテル1は、シャフト10を通じてバルーン31の内腔に流体が供給されるように構成され、インデフレーター(バルーン用加減圧器)を用いてバルーン31の拡張および収縮を制御することができる。流体は、ポンプ等により加圧された加圧流体であってもよい。以下、バルーン31の内腔に供給される流体を「バルーン拡張流体」と称することがある。
【0057】
カテーテル1がオーバーザワイヤ型のバルーンカテーテルである場合、インフレーションルーメンおよびガイドワイヤルーメンが手元側に配置されるハブ5まで延在しており、各ルーメンの近位側の開口が二叉構造のハブ5に設けられていることが好ましい。
【0058】
カテーテル1がバルーン31を有している場合、図示していないが、カテーテル1の遠位端部には先端部材が設けられていることが好ましい。先端部材は、内側樹脂チューブ12とは別部材としてバルーン31の遠位端部に接続されることでバルーンカテーテルの遠位端部に設けられていてもよいし、内側樹脂チューブ12がバルーン31の遠位端よりも遠位側まで延在することにより内側樹脂チューブ12の遠位端部が先端部材として機能してもよい。
【0059】
芯材20は、シャフト10の内腔に配置されている。芯材20がシャフト10の内腔に配置されていることにより、シャフト10の剛性を高めることができ、カテーテル1の挿通性を向上することが可能となる。また、カテーテル1の近位側からシャフト10に加えられた力を、芯材20を通してシャフト10の遠位側へ伝えやすくなり、カテーテル1の操作性を向上することができる。
【0060】
芯材20は、中空構造を有していてもよく、筒状構造を有するチューブ、パイプ、一または複数の線材がらせん状に巻回されて形成されたコイル、あるいはこれらの組み合わせであることが好ましい。芯材20が中空構造を有する構成であることにより、シャフト10の剛性を高めつつ適度な柔軟性も確保できるため、屈曲した血管等の生体内管腔であってもカテーテル1を治療対象部位へ送達することが容易になる。また、芯材20は、線材等のような中実構造を有していてもよい。芯材20が中実構造を有する構成であることにより、シャフト10の剛性を高めることができ、血管等の生体内管腔に容易に挿通することが可能となる。
【0061】
芯材20は単線または撚線の線状部材であることが好ましい。芯材20としては、ステンレス鋼、炭素鋼、ニッケルチタン合金等の金属線材や、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ナイロン等のポリアミド系樹脂、PET等のポリエステル系樹脂、PEEK等の芳香族ポリエーテルケトン系樹脂、ポリエーテルポリアミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリイミド系樹脂、PTFE、PFA、ETFE等のフッ素系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂等の合成樹脂から形成された糸条を用いることができる。芯材20は、金属材料と合成樹脂材料を組み合わせた構造であってもよく、例えば、金属の線材と合成樹脂の線材を編んだもの、金属線材に樹脂被覆をしたものを用いることができる。芯材20を構成する材料は、中でも、金属線材であることが好ましく、ステンレス鋼であることがさらに好ましい。芯材20が金属線材であることにより、芯材20の強度が高まり、芯材20を繰り返し屈曲させても芯材20の破損や変形を起こりにくくすることができる。
【0062】
芯材20は、可撓性を有していることが好ましい。芯材20が可撓性を有していることにより、血管等の生体内の管の形状に沿って芯材20を変形させることが可能となり、湾曲した生体内管腔の形状に沿ってカテーテル1も変形することができる。また、芯材20の形状を保持するため、芯材20は弾性を有していることが好ましい。
【0063】
カテーテル1の遠位側において変形しやすくするため、芯材20は近位側から遠位側に向かって剛性が小さくなっている部分を有することが好ましく、芯材20の長手方向における少なくとも一部が近位側から遠位側に向かって連続的に剛性が小さくなっていることがより好ましい。
【0064】
芯材20は、芯材20の外径、即ち芯材20の太さが近位側から遠位側に向かって細くなっている部分を少なくとも一部に有していることが好ましい。芯材20が、芯材20の太さが近位側から遠位側に向かって細くなっている部分を少なくとも一部に有していることにより、カテーテル1の近位側からシャフト10に加えられた力がシャフト10の遠位側まで伝わりやすくなり、カテーテル1の挿通性を高めることができる。また、芯材20の太さが細くなっている部分を有していることにより、シャフト10の内腔において芯材20が占める断面積を減らすことができ、シャフト10の細径化やシャフト10の内腔の広さを確保することが可能となる。
【0065】
図2に示すように、芯材20は、遠位側に芯材20の太さが太い大径部と、近位側に芯材20の太さが細い小径部と、を有し、大径部と小径部の間に、芯材20の太さが近位側から遠位側に向かってテーパー状に細くなっているテーパー部を有していることがより好ましい。芯材20が大径部、小径部およびテーパー部を有する構成であることにより、芯材20の長手方向における剛性の差が大きくなりにくくなる。その結果、シャフト10において剛性段差を低減し、キンクを防止することが可能となる。
【0066】
図7は他の実施の形態における芯材20の長手方向に沿った断面図である。
図7に示すように、芯材20は、遠位側に芯材20の太さが太い大径部と、近位側に芯材20の太さが細い小径部と、大径部と小径部の間に遷移部とを有しており、長手方向x1に沿った断面図において、遷移部は、芯材20の延在方向に延びる中心軸を境界とした一方側がテーパー形状であり、該中心軸を境界とした他方側が芯材20の延在方向と平行である構成であることも好ましい。つまり、長手方向x1に沿った断面図において、芯材20が有する遷移部が所謂片テーパー形状であることが好ましい。芯材20が大径部、小径部および遷移部を有する構成であることにより、カテーテル1の手元側に加えられた力が芯材20によって先端側に伝わりやすくなる。また、芯材20が、一方側がテーパー形状であって他方側が芯材20の延在方向と平行である構成の遷移部を有する構成であることにより、シャフト10の内腔において芯材20の遠位端部が占める体積を減らすことができ、シャフト10の内腔に他のチューブ等の物品を配置する空間を確保することができる。
【0067】
芯材20の断面形状は、例えば、円形状、長円形状、多角形状、星状形状、三日月形状、扇状形状、またはこれらを組み合わせた形状等にすることができる。なお、長円形状には楕円形状、卵形状、角丸長方形状が含まれる。芯材20の断面形状は、芯材20が直線状態である時の長手方向に垂直な断面での形状をいう。
【0068】
芯材20の近位端20pは、外側樹脂チューブ11の近位端11pよりも近位側にあることが好ましい。芯材20の近位端20pが外側樹脂チューブ11の近位端11pよりも近位側にあることにより、カテーテル1の近位側においてシャフト10の剛性を高めることができる。
【0069】
芯材20の近位端部は、ハブ5に固定されていることが好ましい。芯材20の近位端部がハブ5に固定されていることにより、芯材20の固定強度が高まり、シャフト10が湾曲した状態となっても芯材20が長手方向x1に移動しにくくなる。芯材20の近位端部をハブ5に固定する方法としては、例えば、接着剤による接着、嵌合等が挙げられる。
【0070】
第1マーカー41、第2マーカー42、および第3マーカー43は、拡張部材30の内方であって内側樹脂チューブ12の外側に配置されていることが好ましい。第1マーカー41、第2マーカー42、および第3マーカー43が拡張部材30の内方であって内側樹脂チューブ12の外側に配置されていることにより、拡張部材30にねじれが発生しているか否かをX線透視下において確認することができ、また、拡張部材30の拡張を妨げにくくすることができる。
【0071】
図示していないが、内側樹脂チューブ12は、第1内側樹脂チューブおよび第2内側樹脂チューブを有しており、第1内側樹脂チューブの内腔は、第2内側樹脂チューブの内腔と平行に配置されていてもよい。
【0072】
長手方向x1に垂直な断面における第1マーカー41、第2マーカー42、および第3マーカー43のそれぞれの外形での長軸A1a、A2a、A3aの長さLA1a、LA2a、LA3aに対する短軸A1b、A2b、A3bの長さLA1b、LA2b、LA3bの比(短軸A2の長さ/長軸A1の長さ)は、0.6以上1.0未満であることが好ましい。つまり、第1マーカー41、第2マーカー42、および第3マーカー43のいずれにおいても、長手方向x1に垂直な断面におけるそれぞれのX線不透過マーカー40の外形での長軸A1a、A2a、A3aの長さLA1a、LA2a、LA3aに対する短軸A1b、A2b、A3bの長さLA1b、LA2b、LA3bの比が0.6以上1.0未満であることが好ましい。第1マーカー41、第2マーカー42、および第3マーカー43のそれぞれの外形での長軸A1a、A2a、A3aの長さLA1a、LA2a、LA3aに対する短軸A1b、A2b、A3bの長さLA1b、LA2b、LA3bの比が0.6以上1.0未満であることにより、カテーテル1の第1マーカー41、第2マーカー42、および第3マーカー43が配置されている部分の内腔の広さを確保しやすくなる。そのため、第1マーカー41、第2マーカー42、および第3マーカー43が配置されている部分の内方において、ガイドワイヤ等の物品や流体を送り込みやすくすることができる。
【0073】
長手方向x1に垂直な断面における第1マーカー41、第2マーカー42、および第3マーカー43のそれぞれの外形での長軸A1a、A2a、A3aの長さLA1a、LA2a、LA3aに対する短軸A1b、A2b、A3bの長さLA1b、LA2b、LA3bの比は、0.55以上であることが好ましく、0.60以上であることがより好ましく、0.65以上であることがさらに好ましく、0.70以上であることがよりさらに好ましい。それぞれのX線不透過マーカー40の長軸A1a、A2a、A3aの長さLA1a、LA2a、LA3aに対する短軸A1b、A2b、A3bの長さLA1b、LA2b、LA3bの比の下限値を上記の範囲に設定することにより、X線不透過マーカー40の内腔の広さを大きく確保しやすくなる。また、長手方向x1に垂直な断面における第1マーカー41、第2マーカー42、および第3マーカー43のそれぞれの外形での長軸A1a、A2a、A3aの長さLA1a、LA2a、LA3aに対する短軸A1b、A2b、A3bの長さLA1b、LA2b、LA3bの比は、1.0未満であることが好ましく、0.95以下であることがより好ましく、0.90以下であることがさらに好ましい。それぞれのX線不透過マーカー40の長軸A1a、A2a、A3aの長さLA1a、LA2a、LA3aに対する短軸A1b、A2b、A3bの長さLA1b、LA2b、LA3bの比の上限値を上記の範囲に設定することにより、X線透視下において、X線不透過マーカー40が設けられている部分にねじれが発生しているか否かを判断しやすくすることができる。
【0074】
長手方向x1に垂直な断面における第1マーカー41、第2マーカー42、および第3マーカー43のそれぞれの外形での長軸A1a、A2a、A3aの長さLA1a、LA2a、LA3aの差は、長手方向x1に垂直な断面における第1マーカー41、第2マーカー42、および第3マーカー43のそれぞれの外形での長軸A1a、A2a、A3aの長さLA1a、LA2a、LA3aの平均値の50%以下であることが好ましい。つまり、長手方向x1に垂直な断面における第1マーカー41の外形での長軸A1aの長さLA1aと第2マーカー42の外形での長軸A2aの長さLA2aの差、第1マーカー41の外形での長軸A1aの長さLA1aと第3マーカー43の外形での長軸A3aの長さLA3aの差、および、第2マーカー42の外形での長軸A2aの長さLA2aと第3マーカー43の外形での長軸A3aの長さLA3aの差のいずれにおいても、その値が長手方向x1に垂直な断面における第1マーカー41、第2マーカー42、および第3マーカー43のそれぞれの外形での長軸A1a、A2a、A3aの長さLA1a、LA2a、LA3aの平均値の50%以下であることが好ましい。第1マーカー41、第2マーカー42、および第3マーカー43のそれぞれの外形での長軸A1a、A2a、A3aの長さLA1a、LA2a、LA3aの差が、第1マーカー41、第2マーカー42、および第3マーカー43のそれぞれの外形での長軸A1a、A2a、A3aの長さLA1a、LA2a、LA3aの平均値の50%以下であることにより、第1マーカー41、第2マーカー42、および第3マーカー43の大きさが同程度となる。その結果、X線透視下において、それぞれのX線不透過マーカー40の大きさを比較することによるカテーテル1のねじれの有無を判別しやすくすることができる。
【0075】
長手方向x1に垂直な断面における第1マーカー41、第2マーカー42、および第3マーカー43のそれぞれの外形での長軸A1a、A2a、A3aの長さLA1a、LA2a、LA3aの差は、長手方向x1に垂直な断面における第1マーカー41、第2マーカー42、および第3マーカー43のそれぞれの外形での長軸A1a、A2a、A3aの長さLA1a、LA2a、LA3aの平均値の50%以下であることが好ましく、45%以下であることがより好ましく、40%以下であることがさらに好ましい。第1マーカー41、第2マーカー42、および第3マーカー43のそれぞれの外形での長軸A1a、A2a、A3aの長さLA1a、LA2a、LA3aの差と、第1マーカー41、第2マーカー42、および第3マーカー43のそれぞれの外形での長軸A1a、A2a、A3aの長さLA1a、LA2a、LA3aの平均値との比率の上限値を上記の範囲に設定することにより、第1マーカー41、第2マーカー42、および第3マーカー43の大きさが近いものとなりやすくなる。なお、第1マーカー41、第2マーカー42、および第3マーカー43のそれぞれの外形での長軸A1a、A2a、A3aの長さLA1a、LA2a、LA3aの差と、第1マーカー41、第2マーカー42、および第3マーカー43のそれぞれの外形での長軸A1a、A2a、A3aの長さLA1a、LA2a、LA3aの平均値との比率の下限値は特に限定されないが、例えば、0%以上とすることができる。
【0076】
カテーテル1が拡張部材30を有している場合、拡張部材30は、拡張および収縮が可能であるバルーン31であり、バルーン31は、直管部34と、直管部34よりも近位側に位置している近位側テーパー部33と、直管部34よりも遠位側に位置している遠位側テーパー部35とを有し、直管部34は、長手方向x1における直管部34の長さL34を3等分した領域であって、最も遠位側に位置している遠位領域Rdと、最も近位側に位置している近位領域Rpと、遠位領域Rdよりも近位側かつ近位領域Rpよりも遠位側に位置している中央領域Rcと、を有しており、第1マーカー41は遠位領域Rdに配置され、第2マーカー42は近位領域Rpに配置され、第3マーカー43は中央領域Rcに配置されていることが好ましい。第1マーカー41が遠位領域Rdに、第2マーカー42が近位領域Rpに、第3マーカー43が中央領域Rcにそれぞれ配置されていることにより、X線透視下においてバルーン31の直管部34の遠位領域Rd、中央領域Rc、および近位領域Rpを確認することができ、それぞれの領域でのバルーン31のねじれの有無を判断することが可能となる。
【0077】
第1マーカー41は、直管部34の遠位端34dが位置している場所に配置されており、第2マーカー42は、直管部34の近位端34pが位置している場所に配置されていることが好ましい。第1マーカー41が直管部34の遠位端34dが位置している場所に、第2マーカー42が直管部34の近位端34pが位置している場所にそれぞれ配置されていることにより、X線透視下においてバルーン31の直管部34の遠位端34dおよび近位端34pの位置を確認することができ、バルーン31に生じたねじれの位置を詳細に把握しやすくすることができる。
【0078】
第3マーカー43は、長手方向x1におけるバルーン31の長さL31の中点P1よりも遠位側に位置していることが好ましい。バルーン31の長さL31は、バルーン31に流体を導入した際に拡張する部分の長手方向x1における長さを指す。つまり、バルーン31が近位側テーパー部33、直管部34、および遠位側テーパー部35を有している場合、バルーン31の長さL31は、近位側テーパー部33の近位端から遠位側テーパー部35の遠位端までの長さを指す。第3マーカー43がバルーン31の長さL31の中点P1よりも遠位側に位置していることにより、バルーン31の長さL31の中点P1よりも遠位側の状態をX線透視下によって確認することが可能となる。バルーン31の遠位部は、バルーン31の近位部よりもカテーテル1の手元側からより離れているため、バルーン31の近位部よりもねじれやすい傾向にある。バルーン31の長さL31の中点P1よりも遠位側に第3マーカー43を配置することにより、ねじれやすいバルーン31の遠位部におけるねじれを判断しやすくすることができる。
【0079】
長手方向x1におけるバルーン31の長さL31の中点P1と第3マーカー43との距離DP3は、長手方向x1におけるバルーン31の直管部34の遠位端34dと第3マーカー43との距離D343よりも小さいことが好ましい。長手方向x1におけるバルーン31の長さL31の中点P1と第3マーカー43との距離DP3は、バルーン31の長さL31の中点P1から、バルーン31の長さL31の中点P1に近い側の第3マーカー43の端部までの最短距離である。長手方向x1におけるバルーン31の直管部34の遠位端34dと第3マーカー43との距離D343は、バルーン31の直管部34の遠位端34dから、バルーン31の直管部34の遠位端34dに近い側の第3マーカー43の端部までの最短距離である。
図3に示すカテーテル1では、長手方向x1において、バルーン31の長さL31の中点P1から第3マーカー43の近位端までの距離DP3は、バルーン31の直管部34の遠位端34dから第3マーカー43の遠位端までの距離D343よりも小さいことが好ましい。長手方向x1において、バルーン31の中点P1と第3マーカー43との距離DP3が、直管部34の遠位端34dと第3マーカー43との距離D343よりも小さいことにより、第3マーカー43がバルーン31の遠位側に寄りつつもバルーン31の中央付近に配置される。その結果、X線透視下においてバルーン31の中央部の状態等も確認することができる。
【0080】
長手方向x1におけるバルーン31の長さL31の中点P1と第3マーカー43との距離DP3は、長手方向x1におけるバルーン31の直管部34の遠位端34dと第3マーカー43との距離D343の70%以下であることが好ましく、60%以下であることがより好ましく、50%以下であることがさらに好ましい。長手方向x1におけるバルーン31の中点P1から第3マーカー43までの距離DP3と、直管部34の遠位端34dから第3マーカー43までの距離D343との比率の上限値を上記の範囲に設定することにより、第3マーカー43がバルーン31の中央部に配置されることとなり、X線透視下において第3マーカー43を確認することにより、バルーン31の中央部の状態等を確認しやすくすることができる。また、長手方向x1におけるバルーン31の長さL31の中点P1と第3マーカー43との距離DP3は、長手方向x1におけるバルーン31の直管部34の遠位端34dと第3マーカー43との距離D343の2%以上であることが好ましく、4%以上であることがより好ましく、8%以上であることがさらに好ましく、12%以上であることがよりさらに好ましい。長手方向x1におけるバルーン31の中点P1から第3マーカー43までの距離DP3と、直管部34の遠位端34dから第3マーカー43までの距離D343との比率の下限値を上記の範囲に設定することにより、第3マーカー43をバルーン31の長さL31の中点P1から離すことができ、X線撮像装置50の撮像視野に第3マーカー43が映っている場合にバルーン31の遠位側を視認していると判断しやすくすることができる。
【0081】
長手方向x1におけるバルーン31の長さL31の中点P1と第3マーカー43との距離DP3は、長手方向x1における第1マーカー41と第3マーカー43との距離D13よりも小さいことが好ましい。長手方向x1における第1マーカー41と第3マーカー43との距離D13は、第3マーカー43に近い側の第1マーカー41の端部から、第1マーカー41に近い側の第3マーカー43の端部までの最短距離である。
図3に示すバルーンカテーテル1では、長手方向x1において、バルーン31の長さL31の中点P1から第3マーカー43の近位端までの距離DP3は、第1マーカー41の近位端から第3マーカー43の遠位端までの距離D13よりも小さいことが好ましい。長手方向x1において、バルーン31の中点P1と第3マーカー43との距離DP3が、第1マーカー41と第3マーカー43との距離D13よりも小さいことにより、第3マーカー43が配置されている場所がバルーン31の長さL31の中点P1に近くなる。そのため、X線透視下において、バルーン31の中央部でのバルーン31や生体内管腔の状態等を把握することが可能となる。
【0082】
長手方向x1におけるバルーン31の長さL31の中点P1と第3マーカー43との距離DP3は、長手方向x1における第1マーカー41と第3マーカー43との距離D13の70%以下であることが好ましく、60%以下であることがより好ましく、50%以下であることがさらに好ましい。長手方向x1におけるバルーン31の中点P1から第3マーカー43までの距離DP3と、第1マーカー41と第3マーカー43との距離D13との比率の上限値を上記の範囲に設定することにより、第3マーカー43がバルーン31の長さL31の中点P1に近い位置に設けられることとなり、X線透視下において第3マーカー43を確認することによってバルーン31の中央部の状況等を確認しやすくなる。また、長手方向x1におけるバルーン31の長さL31の中点P1と第3マーカー43との距離DP3は、長手方向x1における第1マーカー41と第3マーカー43との距離D13の3%以上であることが好ましく、6%以上であることがより好ましく、10%以上であることがさらに好ましく、14%以上であることがよりさらに好ましい。長手方向x1におけるバルーン31の中点P1から第3マーカー43までの距離DP3と、第1マーカー41と第3マーカー43との距離D13との比率の下限値を上記の範囲に設定することにより、第3マーカー43とバルーン31の長さL31の中点P1との距離を離すことができ、X線撮像装置50の撮像視野に第3マーカー43が映っている場合にバルーン31の遠位側を視認していると判断しやすくすることが可能となる。
【0083】
バルーン31の直管部34の長さL34が200mm以上であって400mm以下である場合、長手方向x1におけるバルーン31の中点P1から第3マーカー43までの距離DP3は、10mm以上であって60mm以下であり、かつ、長手方向x1における第1マーカー41から第3マーカー43までの距離D13は、80mm以上であって180mm以下であることが好ましい。バルーン31の中点P1から第3マーカー43までの距離DP3と第1マーカー41から第3マーカー43までの距離D13のそれぞれを上記の範囲に設定することにより、X線透視下においてバルーン31のどの部分を視認しているかを判別しやすくなる。
【0084】
長手方向x1における第1マーカー41と第3マーカー43との距離D13は、長手方向x1における第2マーカー42と第3マーカー43との距離D23よりも小さいことが好ましい。長手方向x1における第2マーカー42と第3マーカー43との距離D23は、第3マーカー43に近い側の第2マーカー42の端部から、第2マーカー42に近い側の第3マーカー43の端部までの最短距離である。長手方向x1において、第1マーカー41と第3マーカー43との距離D13が、第2マーカー42と第3マーカー43との距離D23よりも小さいことにより、X線透視下においてバルーン31のどの部分を視認しているのかを判別しやすくすることができる。
【0085】
長手方向x1における第1マーカー41と第3マーカー43との距離D13は、長手方向x1における第2マーカー42と第3マーカー43との距離D23の90%以下であることが好ましく、85%以下であることがより好ましく、80%以下であることがさらに好ましく、75%以下であることがよりさらに好ましい。長手方向x1における第1マーカー41と第3マーカー43との距離D13と、第2マーカー42と第3マーカー43との距離D23との比率の上限値を上記の範囲に設定することにより、X線透視下においてバルーン31のどの部分を視認しているのかの判別をつきやすくすることができる。また、長手方向x1における第1マーカー41と第3マーカー43との距離D13は、長手方向x1における第2マーカー42と第3マーカー43との距離D23の10%以上であることが好ましく、20%以上であることがより好ましく、30%以上であることがさらに好ましい。長手方向x1における第1マーカー41と第3マーカー43との距離D13と、第2マーカー42と第3マーカー43との距離D23との比率の下限値を上記の範囲に設定することにより、第1マーカー41と第3マーカー43との間の距離を十分にあけやすく、X線透視下において第1マーカー41と第3マーカー43との区別をつきやすくすることができる。
【0086】
バルーン31の直管部34の長さL34が200mm以上であって400mm以下である場合、長手方向x1における第1マーカー41から第3マーカー43までの距離D13は、50mm以上であって190mm以下であり、かつ、長手方向x1における第2マーカー42から第3マーカー43までの距離D23は、60mm以上であって240mm以下であることが好ましい。第1マーカー41から第3マーカー43までの距離D13と第2マーカー42から第3マーカー43までの距離D23のそれぞれを上記の範囲に設定することにより、X線透視下によってバルーン31のどの部分を視認しているのかが判別しやすくなる。
【0087】
カテーテル1は、X線不透過の第4マーカー44をさらに含んでおり、第4マーカー44は、長手方向x1に垂直な断面における外形が長軸および短軸を有し、第4マーカー44の長手方向x1に垂直な断面における外形の長軸の向きは、第1マーカー41、第2マーカー42、および第3マーカー43の長手方向x1に垂直な断面におけるそれぞれの外形の長軸A1a、A2a、A3aの向きと揃っていることが好ましい。
【0088】
第4マーカー44の長手方向x1に垂直な断面における外形の長軸の向きが、第1マーカー41、第2マーカー42、および第3マーカー43の長手方向x1に垂直な断面におけるそれぞれの外形の長軸A1a、A2a、A3aの向きと揃っていることは、第4マーカー44と第1マーカー41、第4マーカー44と第2マーカー42、および第4マーカー44と第3マーカー43において、長手方向x1に垂直な断面におけるそれぞれのX線不透過マーカー40の外形の長軸がなす角度が30度以下である場合に、外形の長軸の向きが揃っていることとする。つまり、長手方向x1に垂直な断面における第4マーカー44の外形の長軸の向きが、第1マーカー41、第2マーカー42、および第3マーカー43のそれぞれの外形の長軸A1a、A2a、A3aの向きと揃っていることは、長手方向x1に垂直な断面において、第4マーカー44の外形の長軸と第1マーカー41の外形の長軸A1aとがなす角度、第4マーカー44の外形の長軸と第2マーカー42の外形の長軸A2aとがなす角度、第4マーカー44の外形の長軸と第3マーカー43の外形の長軸A3aとがなす角度、のいずれにおいても角度が30度以下であることを意味する。
【0089】
第4マーカー44の長手方向x1に垂直な断面における外形の長軸の向きが、第1マーカー41、第2マーカー42、および第3マーカー43の長手方向x1に垂直な断面におけるそれぞれの外形の長軸A1a、A2a、A3aの向きと揃っていることにより、X線透視下において、カテーテル1の第4マーカー44が配置されている場所についてもねじれの有無を判断することが可能となり、生体内管腔におけるカテーテル1の状態を確認しやすくすることができる。
【0090】
なお、前述の第1マーカー41、第2マーカー42、および第3マーカー43と同じく、長手方向x1に垂直な断面における第4マーカー44の外形の長軸と、長手方向x1に垂直な断面における第1マーカー41、第2マーカー42、および第3マーカー43の外形の長軸A1a、A2a、A3aと、がなす角度が45度以下である場合に外形の長軸の向きが揃っていることとしても、X線透視下においてカテーテル1の大きなねじれの有無を判断することが可能である。
【0091】
第4マーカー44の形状としては、第1マーカー41、第2マーカー42、および第3マーカー43を含むX線不透過マーカー40の形状として挙げたものと同様の形状とすることができる。また、第4マーカー44を構成する材料としては、X線不透過マーカー40を構成する材料として挙げたものと同様のX線不透過物質を用いることができる。
【0092】
カテーテル1がバルーン31を有している場合、第4マーカー44は、バルーン31の直管部34の中央領域Rcに配置されていることが好ましい。第4マーカー44が中央領域Rcに配置されていることにより、X線透視下において第4マーカー44を確認することにより、バルーン31の直管部34の中央領域Rcでのねじれの有無を確認しやすくすることができる。
【0093】
カテーテル1がバルーン31を有している場合、第1マーカー41はバルーン31の直管部34の遠位領域Rdに配置され、第2マーカー42はバルーン31の直管部34の近位領域Rpに配置され、第3マーカー43および第4マーカー44はバルーン31の直管部34の中央領域Rcに配置されていることが好ましい。第1マーカー41が遠位領域Rdに、第2マーカー42が近位領域Rpに、第3マーカー43および第4マーカー44が中央領域Rcにそれぞれ配置されていることにより、X線透視下においてバルーン31の直管部34のどの部分にねじれが生じているかを正確に把握しやすく、手技を行いやすくすることができる。
【0094】
長手方向x1に垂直な断面における第4マーカー44の外形での長軸の長さに対する短軸の長さの比(短軸の長さ/長軸の長さ)は、0.6以上1.0未満であることが好ましい。第4マーカー44の外形での長軸の長さに対する短軸の長さの比が0.6以上1.0未満であることにより、第4マーカー44の内腔を広く確保しやすくなる。そのため、第4マーカー44が配置されている部分の内方において、ガイドワイヤ等の物品や流体を通過させやすくすることが可能となる。
【0095】
長手方向x1に垂直な断面における第4マーカー44の外形での長軸の長さに対する短軸の長さの比は、0.55以上であることが好ましく、0.60以上であることがより好ましく、0.65以上であることがさらに好ましく、0.70以上であることがよりさらに好ましい。第4マーカー44の外形での長軸の長さに対する短軸の長さの比の下限値を上記の範囲に設定することにより、第4マーカー44の内腔を広く確保しやすくすることができる。また、長手方向x1に垂直な断面における第4マーカー44の外形での長軸の長さに対する短軸の長さの比は、1.0未満であることが好ましく、0.95以下であることがより好ましく、0.90以下であることがさらに好ましい。第4マーカー44の外形での長軸の長さに対する短軸の長さの比の上限値を上記の範囲に設定することにより、X線透視下において、第4マーカー44が設けられている部分でのねじれの有無を判断しやすくすることができる。
【0096】
第4マーカー44の長手方向x1に垂直な断面における外形の長軸の長さは、第1マーカー41、第2マーカー42、および第3マーカー43の長手方向x1に垂直な断面における外形の長軸A1a、A2a、A3aの長さLA1a、LA2a、LA3aの平均値の50%以上150%以下であることが好ましい。また、第1マーカー41の長手方向x1に垂直な断面における外形の長軸A1aの長さLA1a、第2マーカー42の長手方向x1に垂直な断面における外形の長軸A2aの長さLA2a、および第3マーカー43の長手方向x1に垂直な断面における外形の長軸A3aの長さLA3aのいずれに対しても、長手方向x1に垂直な断面における第4マーカー44の外形の長軸の長さが50%以上150%以下であることがより好ましい。長手方向x1に垂直な断面における第4マーカー44の外形の長軸の長さが、第1マーカー41、第2マーカー42、および第3マーカー43の外形の長軸A1a、A2a、A3aの長さLA1a、LA2a、LA3aの平均値の50%以上150%以下であることにより、第4マーカー44の大きさが第1マーカー41、第2マーカー42、および第3マーカー43の大きさと同程度となる。そのため、X線透視下において、それぞれのX線不透過マーカー40の大きさを比較することによってカテーテル1にねじれが生じているか否かを判別することを行いやすくすることができる。
【0097】
第4マーカー44の長手方向x1に垂直な断面における外形の長軸の長さは、第1マーカー41、第2マーカー42、および第3マーカー43の長手方向x1に垂直な断面における外形の長軸A1a、A2a、A3aの長さLA1a、LA2a、LA3aの平均値の50%以上であることが好ましく、55%以上であることがより好ましく、60%以上であることがさらに好ましい。また、第4マーカー44の長手方向x1に垂直な断面における外形の長軸の長さは、第1マーカー41、第2マーカー42、および第3マーカー43の長手方向x1に垂直な断面における外形の長軸A1a、A2a、A3aの長さLA1a、LA2a、LA3aの平均値の150%以下であることが好ましく、145%以下であることがより好ましく、140%以下であることがさらに好ましい。第4マーカー44の外形の長軸の長さと、第1マーカー41、第2マーカー42、および第3マーカー43のそれぞれの外形での長軸A1a、A2a、A3aの長さLA1a、LA2a、LA3aの平均値との比率の下限値および上限値を上記の範囲に設定することにより、第4マーカー44の大きさが第1マーカー41、第2マーカー42、および第3マーカー43の大きさと近いものとなりやすくなる。
【0098】
長手方向x1における第3マーカー43と第4マーカー44との距離D34は、長手方向x1における第1マーカー41と第3マーカー43との距離D13よりも小さいことが好ましい。長手方向x1における第3マーカー43と第4マーカー44との距離D34は、第4マーカー44に近い側の第3マーカー43の端部から、第3マーカー43に近い側の第4マーカー44の端部までの最短距離である。長手方向x1において、第3マーカー43と第4マーカー44との距離D34が、第1マーカー41と第3マーカー43との距離D13よりも小さいことにより、X線透視下でのX線撮像装置50の撮像視野に第1マーカー41と第3マーカー43との距離D13よりも距離が近い2つのX線不透過マーカー40が映っていることによって、X線撮像装置50により第3マーカー43および第4マーカー44を撮像していると判断することができる。X線撮像装置50の撮像視野に第3マーカー43および第4マーカー44が映っていることにより、バルーン31の中央部を視認していると判断することができ、X線撮像装置50でのX線透視下においてバルーン31のどの部分を視認しているかを把握しやすくすることができる。
【0099】
長手方向x1における第3マーカー43と第4マーカー44との距離D34は、長手方向x1における第1マーカー41と第3マーカー43との距離D13の45%以下であることが好ましく、40%以下であることがより好ましく、35%以下であることがさらに好ましい。長手方向x1における第3マーカー43と第4マーカー44との距離D34と、第1マーカー41と第3マーカー43との距離D13との比率の上限値を上記の範囲に設定することにより、第3マーカー43と第4マーカー44との距離D34を、第1マーカー41と第3マーカー43との距離D13よりも十分に小さくしやすく、X線透視下においてバルーン31のどの部分を視認しているのかの判断を行いやすくすることができる。また、長手方向x1における第3マーカー43と第4マーカー44との距離D34は、長手方向x1における第1マーカー41と第3マーカー43との距離D13の2%以上であることが好ましく、4%以上であることがより好ましく、6%以上であることがさらに好ましい。長手方向x1における第3マーカー43と第4マーカー44との距離D34と、第1マーカー41と第3マーカー43との距離D13との比率の下限値を上記の範囲に設定することにより、第3マーカー43と第4マーカー44との間に空間があきやすく、X線透視下において視認しているのが1つのX線不透過マーカー40ではなく、第3マーカー43および第4マーカー44という2つのX線不透過マーカー40であることが分かりやすくなる。
【0100】
バルーン31の直管部34の長さL34が200mm以上であって400mm以下である場合、長手方向x1における第3マーカー43から第4マーカー44までの距離D34は、5mm以上であって50mm以下であり、かつ、第1マーカー41から第3マーカー43までの距離D13は、50mm以上であって190mm以下であることが好ましい。第3マーカー43から第4マーカー44までの距離D34と第1マーカー41から第3マーカー43までの距離D13のそれぞれを上記の範囲に設定することにより、X線透視下においてバルーン31のどの部分を視認しているかを判別しやすくすることができる。
【0101】
長手方向x1における第1マーカー41と第3マーカー43との距離D13は、長手方向x1における第1マーカー41と第4マーカー44との距離D14よりも大きいことが好ましい。長手方向x1における第1マーカー41と第4マーカー44との距離D14は、第4マーカー44に近い側の第1マーカー41の端部から、第1マーカー41に近い側の第4マーカー44の端部までの最短距離である。長手方向x1において、第1マーカー41と第3マーカー43との距離D13が、第1マーカー41と第4マーカー44との距離D14よりも大きいことにより、第1マーカー41と第4マーカー44とを近づけることができ、X線透視下において視認しているバルーン31の部分を判別しやすくすることができる。
【0102】
長手方向x1における第1マーカー41と第3マーカー43との距離D13は、長手方向x1における第1マーカー41と第4マーカー44との距離D14の1.025倍以上であることが好ましく、1.050倍以上であることがより好ましく、1.075倍以上であることがさらに好ましい。第1マーカー41と第3マーカー43との距離D13と、第1マーカー41と第4マーカー44との距離D14との比率の下限値を上記の範囲に設定することにより、第3マーカー43と第4マーカー44との距離を離すことができ、X線透視下において第3マーカー43と第4マーカー44との区別がつきやすく、2つのX線不透過マーカー40であると認識しやすくなる。また、長手方向x1における第1マーカー41と第3マーカー43との距離D13は、長手方向x1における第1マーカー41と第4マーカー44との距離D14の1.5倍以下であることが好ましく、1.4倍以下であることがより好ましく、1.3倍以下であることがさらに好ましい。第1マーカー41と第3マーカー43との距離D13と、第1マーカー41と第4マーカー44との距離D14との比率の上限値を上記の範囲に設定することにより、第3マーカー43を第1マーカー41および第4マーカー44に近づけることができ、X線透視下においてバルーン31のどの部分を視認しているのかの判断がつきやすくなる。
【0103】
バルーン31の直管部34の長さL34が200mm以上であって400mm以下である場合、長手方向x1における第1マーカー41から第3マーカー43までの距離D13は、50mm以上であって190mm以下であり、かつ、第1マーカー41から第4マーカー44までの距離D14は、45mm以上であって185mm以下であることが好ましい。第1マーカー41から第3マーカー43までの距離D13と第1マーカー41から第4マーカー44までの距離D14のそれぞれを上記の範囲に設定することにより、X線透視下においてバルーン31のどの部分を視認しているのかが判別しやすくなる。
【0104】
長手方向x1における第1マーカー41と第4マーカー44との距離D14は、長手方向x1における第2マーカー42と第4マーカー44との距離D24よりも小さいことが好ましい。長手方向x1における第2マーカー42と第4マーカー44との距離D24は、第4マーカー44に近い側の第2マーカー42の端部から、第2マーカー42に近い側の第4マーカー44の端部までの最短距離である。長手方向x1において、第1マーカー41と第4マーカー44との距離D14が、第2マーカー42と第4マーカー44との距離D24よりも小さいことにより、第4マーカー44が第2マーカー42よりも第1マーカー41に近くなる。その結果、X線透視下においてバルーン31のどの部分を視認しているのか判別しやすくすることが可能となる。
【0105】
長手方向x1における第1マーカー41と第4マーカー44との距離D14は、長手方向x1における第2マーカー42と第4マーカー44との距離D24の90%以下であることが好ましく、85%以下であることがより好ましく、80%以下であることがさらに好ましい。第1マーカー41と第4マーカー44との距離D14と、第2マーカー42と第4マーカー44との距離D24との比率の上限値を上記の範囲に設定することにより、第4マーカー44を第1マーカー41に近づけることができる。また、長手方向x1における第1マーカー41と第4マーカー44との距離D14は、長手方向x1における第2マーカー42と第4マーカー44との距離D24の30%以上であることが好ましく、40%以上であることがより好ましく、50%以上であることがさらに好ましい。第1マーカー41と第4マーカー44との距離D14と、第2マーカー42と第4マーカー44との距離D24との比率の下限値を上記の範囲に設定することにより、第4マーカー44の配置されている位置がバルーン31の中央部となりやすく、X線透視下においてバルーン31のどの部分を視認しているのかを判別しやすくすることができる。
【0106】
バルーン31の直管部34の長さL34が200mm以上であって400mm以下である場合、長手方向x1における第1マーカー41から第4マーカー44までの距離D14は、30mm以上であって190mm以下であり、かつ、第2マーカー42から第4マーカー44までの距離D24は、40mm以上であって200mm以下であることが好ましい。第1マーカー41から第4マーカー44までの距離D14と第2マーカー42から第4マーカー44までの距離D24のそれぞれを上記の範囲に設定することにより、X線透視下においてバルーン31のどの部分を視認しているのかが判別しやすくなる。
【0107】
カテーテル1が体腔内に挿通されている長さを確認するため、シャフト10に位置マーカー60が設けられていてもよい。シャフト10に位置マーカー60を設ける方法としては、例えば、外側樹脂チューブ11や内側樹脂チューブ12にマーカーを配置することや、外側樹脂チューブ11や内側樹脂チューブ12の外面を部分的に着色すること、外側樹脂チューブ11や内側樹脂チューブ12の外面に施されているコーティングを部分的に剥離させること等が挙げられる。シャフト10に設けられている位置マーカー60は、複数であってもよい。
【符号の説明】
【0108】
1:カテーテル
5:ハブ
6:流体注入部
10:シャフト
11:外側樹脂チューブ
11d:外側樹脂チューブの遠位端
11p:外側樹脂チューブの近位端
11a:遠位側チューブ
11b:近位側チューブ
12:内側樹脂チューブ
12d:内側樹脂チューブの遠位端
12p:内側樹脂チューブの近位端
13:開口部
20:芯材
20d:芯材の遠位端
20p:芯材の近位端
30:拡張部材
31:バルーン
32:近位側スリーブ部
33:近位側テーパー部
34:直管部
34d:直管部の遠位端
34p:直管部の近位端
35:遠位側テーパー部
36:遠位側スリーブ部
40:X線不透過マーカー
41:第1マーカー
42:第2マーカー
43:第3マーカー
44:第4マーカー
60:位置マーカー
A1a:第1マーカーの外形の長軸
A1b:第1マーカーの外形の短軸
A2a:第2マーカーの外形の長軸
A2b:第2マーカーの外形の短軸
A3a:第3マーカーの外形の長軸
A3b:第3マーカーの外形の短軸
Rd:遠位領域
Rc:中央領域
Rp:近位領域
LA1a:第1マーカーの外形の長軸の長さ
LA1b:第1マーカーの外形の短軸の長さ
LA2a:第2マーカーの外形の長軸の長さ
LA2b:第2マーカーの外形の短軸の長さ
LA3a:第3マーカーの外形の長軸の長さ
LA3b:第3マーカーの外形の短軸の長さ
L31:バルーンの長さ
L34:直管部の長さ
P1:バルーンの長さの中点
DP3:バルーンの長さの中点と第3マーカーとの距離
D13:第1マーカーと第3マーカーとの距離
D14:第1マーカーと第4マーカーとの距離
D23:第2マーカーと第3マーカーとの距離
D24:第2マーカーと第4マーカーとの距離
D34:第3マーカーと第4マーカーとの距離
D343:直管部の遠位端と第3マーカーとの距離