(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025035471
(43)【公開日】2025-03-13
(54)【発明の名称】コンデンサ、および製造方法
(51)【国際特許分類】
H01G 4/32 20060101AFI20250306BHJP
H01G 2/10 20060101ALI20250306BHJP
【FI】
H01G4/32 540
H01G2/10 600
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023142526
(22)【出願日】2023-09-01
(71)【出願人】
【識別番号】000003942
【氏名又は名称】日新電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】松下 拓未
(72)【発明者】
【氏名】松村 紀明
【テーマコード(参考)】
5E082
【Fターム(参考)】
5E082EE07
5E082FF05
5E082FG06
5E082HH28
(57)【要約】
【課題】容量素子の位置を固定することができ、十分な絶縁性能を確保する。
【解決手段】コンデンサ(1)は、一対の外部端子(13)と、前記一対の電極間に位置する巻回体(11)とを含む容量素子(10)と、外装容器(30)と、容量素子が中に配置され、容量素子と外装容器との間に位置する樹脂製の内装容器(50)と、内装容器および外装容器の中に充填された第2樹脂(40)と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンデンサであって、
一対の電極と、前記一対の電極間に位置する誘電体とを含む容量素子と、
外装容器と、
前記容量素子が中に配置され、前記容量素子と前記外装容器との間に位置する樹脂製の内装容器と、
前記内装容器および前記外装容器の中に充填された充填樹脂と、を備えるコンデンサ。
【請求項2】
前記容量素子を覆い、フィラーを含まない被覆樹脂をさらに備える、請求項1に記載のコンデンサ。
【請求項3】
前記容量素子と前記内装容器との間において、前記被覆樹脂のみが存在する部分がある、請求項2に記載のコンデンサ。
【請求項4】
前記充填樹脂は、フィラーを含む樹脂である、請求項1から3のいずれか1項に記載のコンデンサ。
【請求項5】
コンデンサの製造方法であって、
一対の電極と、前記一対の電極に位置する誘電体とによって容量素子を形成する工程と、
前記容量素子を樹脂製の内装容器に収容する工程と、
前記内装容器を外装容器に収容する工程と、
前記内装容器および前記外装容器の中に充填樹脂を充填する工程と、
前記充填樹脂を硬化させる工程と、を含む製造方法。
【請求項6】
前記容量素子を前記内装容器に収容する前に、前記容量素子に対しフィラーを含まない被覆樹脂で被覆する工程、をさらに含む、請求項5に記載の製造方法。
【請求項7】
前記容量素子を前記内装容器に収容した後に、前記被覆樹脂を硬化させる工程、をさらに含む、請求項6に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はコンデンサに関する。
【背景技術】
【0002】
コンデンサでは、水蒸気および酸素が容量素子に接触することによって、容量素子の性能が劣化することが知られている。そのため、性能劣化を防ぐために、コンデンサでは、容量素子を樹脂モールドすることが行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、耐湿性を担保するために、フィラーを含まない樹脂にて容量素子を被覆し硬化した後に、フィラーを含む樹脂にてコンデンサの形状に樹脂モールドしている。ただし、コンデンサの容器に対する容量素子の位置に応じて、コンデンサとしての絶縁性能が変化する。そのため、樹脂の注液に伴い、絶縁性能が変化することがある。
【0005】
本発明の一態様は、コンデンサに対して、十分な絶縁性能を有するように容量素子を配置することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明に係るコンデンサは、一対の電極と、前記一対の電極間に位置する誘電体とを含む容量素子と、外装容器と、前記容量素子が中に配置され、前記容量素子と前記外装容器との間に位置する樹脂製の内装容器と、前記内装容器および前記外装容器の中に充填された充填樹脂と、を備える。
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明に係るコンデンサの製造方法は、一対の電極と、前記一対の電極に位置する誘電体とによって容量素子を形成する工程と、前記容量素子を樹脂製の内装容器に収容する工程と、前記内装容器を外装容器に収容する工程と、前記内装容器および前記外装容器の中に充填樹脂を充填する工程と、前記充填樹脂を硬化させる工程と、を含む。
【発明の効果】
【0008】
コンデンサにおける容量素子の位置を固定することができ、十分な絶縁性能を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施形態1に係るコンデンサを示す模式図である。
【
図2】実施形態1に係るコンデンサの製造工程を示すモデル図である。
【
図3】実施形態2に係るコンデンサの製造工程を示すモデル図である。
【
図4】実施形態3に係るコンデンサの製造工程を示すモデル図である。
【
図5】実施形態4に係るコンデンサの製造工程を示すモデル図である。
【
図6】比較例に係るコンデンサを示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
〔比較例〕
実施形態の説明に先立ち、比較例となるコンデンサ100に関してまず説明する。
図6は、比較例に係るコンデンサ100を示す模式図である。コンデンサ100は、容量素子10と、第1樹脂20(被覆樹脂)と、外装容器30と、第2樹脂40(充填樹脂)と、を備える。
【0011】
容量素子10は、コンデンサとして機能する素子である。容量素子10としては、一対の金属化フィルムを巻回して形成した巻回体11の両端面にメタリコン電極12を形成し、このメタリコン電極12に外部端子13を取り付けたものである。なお、金属化フィルムは、誘電体のフィルムに対し、金属を形成したものである。容量素子10は、金属化フィルムを巻回することに限定されず、金属化フィルムを積層したものであってもよい。
【0012】
メタリコン電極12は、金属を溶射して形成したものであるため、金属が緻密に充填された構造ではなく、多くの隙間を有した多孔質のものである。そのため、メタリコン電極12の隙間から、巻回体11に対して酸素および水蒸気が侵入することで、容量素子10の性能は劣化する。
【0013】
第1樹脂20は、フィラーを含まない樹脂である。容量素子10に対し第1樹脂20を含侵し、容量素子10の外周を第1樹脂にて覆って被覆する。第1樹脂20がフィラーを含まないことによって、容量素子10の内部まで隙間なく第1樹脂20が入り込み、メタリコン電極12における隙間も塞がる。そのため、容量素子10に対する酸素および水蒸気等の侵入を抑制することができる。第1樹脂20によって容量素子10を覆った後、硬化させる。第1樹脂20としては例えばエポキシ樹脂などが挙げられる。
【0014】
外装容器30は、一面のみが開口となった、金属製の容器である。外装容器30は、第1樹脂20で被覆した容量素子10を内部に収容する。その後、外装容器30の中に第2樹脂40を充填し封止することで、コンデンサ100が製造される。
【0015】
ここで、第2樹脂40の比重に対して、第1樹脂20で被覆した容量素子10の比重が小さいために、第2樹脂40を注液している際に、第1樹脂20で被覆した容量素子10は、第2樹脂40に対して浮いてくることになる。
【0016】
そのため、外装容器30に対する容量素子10の位置は定まらず、場合によっては十分な絶縁性能を得ることができない場合もある。例えば、容量素子10におけるメタリコン電極12が、外装容器30に接触し、短絡することなどが起こり得る。また、容量素子10には内部に空洞が多い関係で、第2樹脂40よりも比重が軽い場合がある。結果として、第2樹脂を注液している際に、容量素子10が浮いてくる可能性が高い。
【0017】
なお、第2樹脂40はフィラーを含んでいる。そのため、第1樹脂20なしに、第2樹脂40のみで封止した場合、容量素子10に対する酸素および水蒸気等の侵入を抑制することができない。ただし、第2樹脂40がフィラーを含んでいるために、硬化する際に発生する熱が少なく、容量素子10を傷める可能性が低い。第2樹脂40としては例えばウレタン樹脂などが挙げられる。
【0018】
〔実施形態1〕
以下、本発明の一側面に係る実施の形態(以下、「本実施形態」とも表記する)を、図面に基づいて説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0019】
(コンデンサ1の概要)
次に、本実施形態1に係るコンデンサ1に関して説明する。
図1は、実施形態1に係るコンデンサ1を示す模式図である。コンデンサ1は、容量素子10と、第1樹脂20と、外装容器30と、第2樹脂40と、内装容器50と、を備える。
【0020】
内装容器50は、一面のみが開口となった、樹脂製の容器である。内装容器50は、硬化していない状態の第1樹脂20で被覆した容量素子10を内部に収容する。その後、第1樹脂20を硬化させる。結果的に、内装容器50と容量素子10とは結合される。つまり、容量素子10と内装容器50との間において、第1樹脂20のみが存在する部分があり、そこで両者が結合している。
【0021】
その後、容量素子10と結合された、内装容器50を外装容器30に収容し、内装容器50および外装容器30の中に第2樹脂40を充填し封止することで、コンデンサ1が製造される。つまり、内装容器50は、容量素子10が中に配置され、容量素子10と外装容器30との間に位置する樹脂製の容器である。
【0022】
すなわち、コンデンサ100では、容量素子10のみ第1樹脂20が硬化されるのに対し、コンデンサ1では、容量素子10と内装容器50とを結合するように第1樹脂20が硬化される。なおコンデンサ1でも、コンデンサ100と同様に、容量素子10は第1樹脂20で覆われているために、酸素および水蒸気による容量素子10の劣化を防ぐことができる。
【0023】
(容量素子10に対する絶縁)
コンデンサ1では、容量素子10は、内装容器50と結合されている。また、容量素子10は、樹脂製の内装容器50に収容されるために、外装容器30と直接接触することはない。そのため、容量素子10の絶縁性を担保することが容易である。
【0024】
また、内装容器50に容量素子10が結合されているため、外装容器30に対して、内装容器50を配置することによって、容量素子10の位置を決定することができる。さらに、内装容器50は側面も樹脂で覆われているために、容量素子10の位置決めを厳密に行わなくても、容量素子10は十分な絶縁距離を確保することが容易となる。
【0025】
(酸化防止および耐湿性)
容量素子10は、フィラーを含まない第1樹脂20によって覆われており、この第1樹脂20は、容量素子10の内部にまで入り込む。そのため、容量素子10が直接的に空気と接触している部位がなくなるために、酸素および水蒸気の侵入を防止することができる。すなわち、容量素子10の酸化防止および耐湿性向上の効果がある。なお、容量素子10に対する第1樹脂20の含侵を減圧状態の環境下で行うことで、容量素子10内の脱泡を行うことができる。
【0026】
(コンデンサ1の製造工程)
実施形態1に係るコンデンサ1の製造工程に関して説明する。
図2は、実施形態1に係るコンデンサ1の製造工程を示すモデル図である。
【0027】
容量素子10をまず構成する(工程61)。その後、容量素子10を、第1樹脂20が満たされた液槽に漬け込み引き上げることで、容量素子10を第1樹脂20で被覆する(工程62)。第1樹脂20で被覆した容量素子10を内装容器50に収容する(工程63)。その後、内装容器50および容量素子10ごと、第1樹脂20を硬化させ、内装容器50と容量素子10とを結合する(工程64)。
【0028】
結合した内装容器50を外装容器30に収容する(工程65)。第2樹脂40を、まず内装容器50に対して注液し、外装容器30には注液しない(工程66)。第2樹脂40の注液を続けると、内装容器50は一杯になり、内装容器50の上端の縁から溢れて外装容器30に入っていく(工程67)。
【0029】
外装容器30に第2樹脂40が注液されていくことになるが、既に内装容器50は一杯まで第2樹脂40が注液されているため、内装容器50側の重量は十分に重くなっている。外装容器30の第2樹脂40の液面までの高さにおける内装容器50側の比重と第2樹脂40の比重とでは、内装容器50側の比重の方が十分に大きい。そのため、容量素子10と結合した内装容器50は外装容器30に対して浮き上がることなく、第2樹脂40を最後まで注液することができる(工程68)。その後で外装容器30ごと第2樹脂40を硬化させる(工程69)ことで、コンデンサ1を製造する。
【0030】
〔実施形態2〕
本発明の他の実施形態について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0031】
実施形態2では、実施形態1とコンデンサ1の製造工程における、第2樹脂40の注液の処理が異なる。
図3は、実施形態2に係るコンデンサ1の製造工程を示すモデル図である。実施形態2に係るコンデンサ1の製造工程では、工程61から工程65までは、実施形態1と同様である。
【0032】
第2樹脂40は、内装容器50と外装容器30との液面の高さが同一になるように、注液していく(工程71)。例えば、内装容器50に開口または切り込みがあり、そこから、内装容器50と外装容器30との間で第2樹脂40が移動し、互いの液面の平衡がとれてもよい。
【0033】
第2樹脂40の注液を続け、規定の液面高さまで注液を行う(工程72)。なお、このときに、内装容器50の重量が十分に重たいために、内装容器50および容量素子10が浮くことはない。その後で、外装容器30ごと第2樹脂40を硬化させる(工程73)ことで、コンデンサ1を製造する。
【0034】
〔実施形態3〕
本発明の他の実施形態について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0035】
実施形態3では、実施形態1に係るコンデンサ1の製造工程における、第2樹脂40の注液の処理が、実施形態1とは異なる。
図4は、実施形態3に係るコンデンサ1の製造工程を示すモデル図である。実施形態3に係るコンデンサ1の製造工程では、工程61から工程64までは、実施形態1と同様である。
【0036】
第1樹脂によって内装容器50および容量素子10を結合した後に、結合した内装容器50を外装容器30に収容し、内装容器50と外装容器30とをクリップ80で仮固定する(工程81)。
【0037】
第2樹脂40は、まず外装容器30に対して注液し、内装容器50には注液しない(工程82)。第2樹脂40の注液を続けると、外装容器30の液面高さが内装容器50の上縁の高さよりも高くなり、内装容器50の上縁から第2樹脂40が内装容器50の中に入っていく(工程83)。なお、このときに、クリップ80によって、内装容器50と外装容器30とが仮固定されているために、内装容器50側の比重と、第2樹脂40との比重に関係なく、内装容器50および容量素子10が浮くことはない。
【0038】
第2樹脂40の注液を続け、規定の液面高さまで注液を行う(工程84)。その後で、クリップ80を取り外した上で、外装容器30ごと第2樹脂40を硬化させる(工程85)ことで、コンデンサ1を製造する。
【0039】
なお、他の実施形態においても、クリップ80によって内装容器50と外装容器30とを固定することによって、内装容器50および容量素子10の浮き上がりを防止することは有効である。そのため、コンデンサ1における容量素子10の位置を高精度に管理することができ、高い絶縁性能を有したコンデンサとすることができる。
【0040】
〔実施形態4〕
本発明の他の実施形態について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0041】
実施形態4では、実施形態1から3のコンデンサ1の製造工程における、第1樹脂の硬化タイミングが異なる。
図5は、実施形態4に係るコンデンサ1の製造工程を示すモデル図である。実施形態4に係るコンデンサ1の製造工程では、工程61から工程63までは、実施形態1と同様である。
【0042】
外装容器30の中に、第1樹脂20を小量注液し、その後、第1樹脂20で被覆した容量素子10を収容した内装容器50を、外装容器30の中に収容する(工程91)。その後、外装容器30、内装容器50および容量素子10ごと、第1樹脂20を硬化させ、外装容器30と内装容器50と容量素子10とを結合する(工程92)。
【0043】
第2樹脂40を実施形態1から3のいずれかの方法で外装容器30および/または内装容器50に注液する(工程93)。第2樹脂40の注液を続け、規定の液面高さまで注液を行う(工程94)。なお、このときに、工程92によって外装容器30、内装容器50および容量素子10が結合しているため、容量素子10が浮き上がることがない。
【0044】
その後で、外装容器30ごと第2樹脂40を硬化させる(工程95)ことで、コンデンサ1を製造する。
【0045】
〔変形例〕
実施形態1から3のいずれも、第1樹脂20で硬化、第2樹脂40で硬化の二回硬化でコンデンサ1を製作しているが、硬化回数を増やしてもよい。具体的には、実施形態1では工程67の段階で、実施形態2では工程71の段階で、実施形態3では工程82の段階で、第2樹脂40を一次硬化しても構わない。この場合、クリップ80を用いず、また軽い内装容器50を用いても、容量素子10が浮き上がることを防止することができる。
【0046】
実施形態4において、内装容器50に代えて、樹脂製の内装底を有していてもよい。この場合、容量素子10と外装容器30の底面との接触箇所は、内装底によって防止され、外装容器30に対する容量素子10の位置は、第1樹脂との結合によって位置決めされる。そのため、内装容器50のように、容量素子10に対して5面を囲う必要はなく、底面の一面のみを覆う、内装底であってもよい。
【0047】
〔まとめ〕
本発明の態様1に係るコンデンサは、一対の電極と、前記一対の電極間に位置する誘電体とを含む容量素子と、外装容器と、前記容量素子が中に配置され、前記容量素子と前記外装容器との間に位置する樹脂製の内装容器と、前記内装容器および前記外装容器の中に充填された充填樹脂と、を備える。
【0048】
上記の構成によれば、容量素子と外装容器との間に樹脂製の内装容器があるために、容量素子の十分な絶縁が確保できる。
【0049】
本発明の態様2に係るコンデンサは、上記の態様1において、前記容量素子を覆い、フィラーを含まない被覆樹脂をさらに備える構成としてもよい。
【0050】
上記の構成によれば、容量素子が被覆樹脂によって覆われているため、コンデンサ内部に酸素および水蒸気が入ることをふせぐことができ、コンデンサとしての性能劣化を防ぐことができる。
【0051】
本発明の態様3に係るコンデンサは、上記の態様2において、前記容量素子と前記内装容器との間において、前記被覆樹脂のみが存在する部分がある構成としてもよい。
【0052】
上記の構成によれば、容量素子と内装容器とが被覆樹脂によって結合されることになる。そのため、充填樹脂を注液することによる、容量素子の位置ずれまたは浮き上がりを防ぐことができる。
【0053】
本発明の態様4に係るコンデンサは、上記の態様1から3のいずれかにおいて、前記充填樹脂は、フィラーを含む樹脂である構成としてもよい。
【0054】
上記の構成によれば、大量に樹脂を硬化させる必要がある充填樹脂の硬化時に、発熱を少なくすることができるため、容量素子を傷めない。
【0055】
本発明の態様5に係るコンデンサの製造方法は、一対の電極と、前記一対の電極に位置する誘電体とによって容量素子を形成する工程と、前記容量素子を樹脂製の内装容器に収容する工程と、前記内装容器を外装容器に収容する工程と、前記内装容器および前記外装容器の中に充填樹脂を充填する工程と、前記充填樹脂を硬化させる工程と、を含む。
【0056】
上記の構成によれば、容量素子と外装容器との間に樹脂製の内装容器があるために、容量素子の十分な絶縁が確保できる。
【0057】
本発明の態様6に係るコンデンサの製造方法は、上記の態様5において、前記容量素子を前記内装容器に収容する前に、前記容量素子に対しフィラーを含まない被覆樹脂で被覆する工程、をさらに含んでもよい。
【0058】
上記の構成によれば、容量素子が被覆樹脂によって覆われているため、コンデンサ内部に酸素および水蒸気が入ることを防ぐことができ、コンデンサとしての性能劣化を防ぐことができる。
【0059】
本発明の態様7に係るコンデンサの製造方法は、上記の態様5または6において、前記容量素子を前記内装容器に収容した後に、前記被覆樹脂を硬化させる工程、をさらに含んでもよい。
【0060】
上記の構成によれば、容量素子と内装容器とが被覆樹脂によって結合されることになる。そのため、充填樹脂を注液することによる、容量素子の位置ずれまたは浮き上がりを防ぐことができる。
【0061】
〔付記事項〕
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0062】
1、100 コンデンサ
10 容量素子
11 巻回体
12 メタリコン電極
13 外部端子
20 第1樹脂(被覆樹脂)
30 外装容器
40 第2樹脂(充填樹脂)
50 内装容器