(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025035495
(43)【公開日】2025-03-13
(54)【発明の名称】排水ポンプ
(51)【国際特許分類】
F04D 29/42 20060101AFI20250306BHJP
F04D 1/14 20060101ALI20250306BHJP
【FI】
F04D29/42 A
F04D29/42 E
F04D1/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023142562
(22)【出願日】2023-09-01
(71)【出願人】
【識別番号】391002166
【氏名又は名称】株式会社不二工機
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】加藤 友也
(72)【発明者】
【氏名】東家 友也
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 良樹
【テーマコード(参考)】
3H130
【Fターム(参考)】
3H130AA03
3H130AB13
3H130AB22
3H130AB47
3H130AC12
3H130BA52A
3H130BA88A
3H130BA97A
3H130CA21
3H130CA27
3H130DC00X
3H130DD01X
3H130DG03X
3H130EA08A
3H130EB04A
(57)【要約】
【課題】大型化の程度を抑制しつつ、逆流したドレン水がモータに当たり難い排水ポンプを提供する。
【解決手段】排水ポンプは、ドレン水を吸い込む吸込口、ドレン水を吐出する吐出口、及び吸込口と吐出口とに連通し、回転羽根が収納されたポンプ室を内部に備え、吐出口がポンプ室の側部に設けられて上部が開口したポンプ本体と、ポンプ本体の上方に設けられ回転羽根を回転させるモータと、ポンプ本体と前記モータとの間に設けられ、ポンプ本体の開口を覆いモータの回転力を回転羽根に伝達する回転軸が貫通する貫通孔が中心部に形成された蓋部、及び蓋部の上面に設けられモータを上部に支持する筒状の外壁を備え、内部にモータと蓋部と外壁とで囲まれた空間を形成するモータ受け部材と、を備え、外壁には、第一壁部と、第一壁部に比較して貫通孔の中心からの径方向の距離が長い第二壁部とを有し、第二壁部が、中心部を挟んで吐出口とは反対側に設けられている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドレン水を吸い込む吸込口、前記ドレン水を吐出する吐出口、及び前記吸込口と前記吐出口とに連通し、回転羽根が収納されたポンプ室を内部に備え、前記吐出口が前記ポンプ室の側部に設けられて上部が開口したポンプ本体と、
前記ポンプ本体の上方に設けられ前記回転羽根を回転させるモータと、
前記ポンプ本体と前記モータとの間に設けられ、前記ポンプ本体の前記開口を覆い前記モータの回転力を前記回転羽根に伝達する回転軸が貫通する貫通孔が中心部に形成された蓋部、及び前記蓋部の上面に設けられ前記モータを上部に支持する筒状の外壁を備え、内部に前記モータと前記蓋部と前記外壁とで囲まれた空間を形成するモータ受け部材と、
を備え、
前記外壁には、第一壁部と、前記第一壁部に比較して前記貫通孔の中心からの径方向の距離が長い第二壁部とを有し、
前記第二壁部が、前記中心部を挟んで前記吐出口とは反対側に設けられている、
排水ポンプ。
【請求項2】
前記第二壁部の下端と前記蓋部の外周縁との間に、前記空間内の前記ドレン水を外部に排出する下部排水口が設けられている、
請求項1に記載の排水ポンプ。
【請求項3】
前記外壁には、前記空間内の前記ドレン水を外部に排出する外壁排水口が設けられている、
請求項1に記載の排水ポンプ。
【請求項4】
前記第二壁部に、前記外壁排水口が設けられている、
請求項3に記載の排水ポンプ。
【請求項5】
前記蓋部は、上面が前記貫通孔から径方向外側に向けて下がるように傾斜している、
請求項2または請求項3に記載の排水ポンプ。
【請求項6】
前記ポンプ本体、及び前記モータ受け部材の何れか一方に設けられる係止部と、前記ポンプ本体、及び前記モータ受け部材の何れか他方に設けられ、前記係止部と係合する被係止部とを備え、
前記第二壁部が、前記中心部を挟んで前記吐出口側とは反対側と前記吐出口側の両方に設けられ、
前記係止部、及び前記被係止部は、前記中心部を挟んで両側で、かつ前記吐出口に対して周方向に90°の位置に設けられている、
請求項1に記載の排水ポンプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水を吸い上げて吐出する排水ポンプに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、建物の天井に取り付けられる空気調和機の室内ユニットは、運転時に生じるドレン水をドレンパンに溜め、その水を排水ポンプで吸い上げて室外へ向けて吐出するようにしている。
【0003】
下記の特許文献1には、この種の排水ポンプの一例が開示されている。この排水ポンプは、吸込口、吐出口及びそれらに連通するポンプ室を有する上部が開口したポンプ本体と、ポンプ室内に配設される回転羽根と、ポンプ室の上方に配置され回転羽根を回転させるモータと、モータとポンプ室との間に配置され、ポンプ本体の開口部を塞ぐ底部を備えた中空のケースとを含んで構成されている。また、ケースの底部には、モータと回転羽根とを連結する軸が貫通する貫通孔が形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した室内ユニットにおいて、吐出管に配管を接続し、配管を介して外部にドレン水を排出する構成をとる場合、排水ポンプの駆動を停止すると、配管内のドレン水が排水ポンプに逆流する場合がある。
このようにして排水ポンプにドレン水が逆流すると、該ドレン水が、ポンプ室を介して貫通孔から吐出口とは反対方向に向けて略水平に噴出し、貫通孔から噴出したドレン水が、ケースの外壁の内面に当たって内面伝いに上昇し、上昇した排水がモータの下面に当たる場合がある。この為、外壁の高さを、モータが被水ことすることがない高さに設定すること等が考えられるが、排水ポンプが大型化する。
【0006】
本発明の目的は、大型化の程度を抑制しつつ、逆流したドレン水がモータに当たり難い排水ポンプを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の態様に係る排水ポンプは、ドレン水を吸い込む吸込口、前記ドレン水を吐出する吐出口、及び前記吸込口と前記吐出口とに連通し、回転羽根が収納されたポンプ室を内部に備え、前記吐出口が前記ポンプ室の側部に設けられて上部が開口したポンプ本体と、前記ポンプ本体の上方に設けられ前記回転羽根を回転させるモータと、前記ポンプ本体と前記モータとの間に設けられ、前記ポンプ本体の前記開口を覆い前記モータの回転力を前記回転羽根に伝達する回転軸が貫通する貫通孔が中心部に形成された蓋部、及び前記蓋部の上面に設けられ前記モータを上部に支持する筒状の外壁を備え、内部に前記モータと前記蓋部と前記外壁とで囲まれた空間を形成するモータ受け部材と、を備え、前記外壁には、第一壁部と、前記第一壁部に比較して前記貫通孔の中心からの径方向の距離が長い第二壁部とを有し、前記第二壁部が、前記中心部を挟んで前記吐出口とは反対側に設けられている。
【0008】
第1の態様に係る排水ポンプでは、ポンプ室内に配置された回転羽根をモータで回転させることで、吸込口から吸い込んだドレン水を吐出口から排出する。
【0009】
モータの回転が停止すると、吐出口の下流側のドレン水がポンプ室内に逆流し、貫通孔を介してモータ受け部材の空間内に噴出する場合がある。
この際、貫通孔から空間内に噴出する排水の向きは、吐出口側とは反対側となるが、外壁の第二壁部は貫通孔の中心からの距離が長いので、第二壁部に当たるドレン水の勢いは減少し、その結果、第二壁部当たって第二壁部伝いに上昇するドレン水の高さは低くなり、ドレン水はモータの下面に到達し難くなる。
【0010】
第2の態様に係る排水ポンプは、第1の態様に係る排水ポンプにおいて、前記第二壁部の下端と前記蓋部の外周縁との間に、前記空間内の前記ドレン水を外部に排出する下部排水口が設けられている。
【0011】
第2の態様に係る排水ポンプでは、第二壁部の下端と蓋部の外周縁との間に設けられた下部排水口から、モータ受け部材の空間内のドレン水を外部に排出することができる。
【0012】
第3の態様に係る排水ポンプは、第1の態様に係る排水ポンプにおいて、前記外壁には、前記空間内の前記ドレン水を外部に排出する外壁排水口が設けられている。
【0013】
第3の態様に係る排水ポンプでは、モータ受け部材の外壁に設けられた外壁排水口から、モータ受け部材の空間内の水を外部に排出することができる。
【0014】
第4の態様に係る排水ポンプは、第3の態様に係る排水ポンプにおいて、前記第二壁部に、前記外壁排水口が設けられている。
【0015】
第4の態様に係る排水ポンプでは、第二壁部に設けられた外壁排水口から、モータ受け部材の空間内の水を外部に排出することができる。
【0016】
第5の態様に係る排水ポンプは、第2の態様~第4の態様の何れか一つの態様に係る排水ポンプにおいて、前記蓋部は、上面が前記貫通孔から径方向外側に向けて下がるように傾斜している。
【0017】
第5の態様に係る排水ポンプでは、蓋部の上面が、貫通孔から径方向外側に向けて下がるように傾斜しているため、蓋部の上面のドレン水を、排水口に向けて流すことができる。
【0018】
第6の態様に係る排水ポンプは、第1の態様~第5の態様の何れか一つの態様に係る排水ポンプにおいて、前記ポンプ本体、及び前記モータ受け部材の何れか一方に設けられる係止部と、前記ポンプ本体、及び前記モータ受け部材の何れか他方に設けられ、前記係止部と係合する被係止部とを備え、前記第二壁部が、前記中心部を挟んで前記吐出口側とは反対側と前記吐出口側の両方に設けられ、前記係止部、及び前記被係止部は、前記中心部を挟んで両側で、かつ前記吐出口に対して周方向に90°の位置に設けられている。
【0019】
第6の態様に係る排水ポンプは、係止部と被係止部とを係合することで、ポンプ本体と前記モータ受け部材とを互いに連結することができる。
係止部と被係止部は、蓋部の中心部を挟んで両側で、かつ吐出口に対して周方向に90°の位置に設けられているため、第1の方向に吐出口を向けたポンプ本体を180°回転して、吐出口を第1の方向とは反対方向に向けてモータ受け部材に連結することができる。
言い換えれば、モータ受け部材の向きを変えずに、吐出口を第1の方向、または第1の方向とは反対方向に向けることができ、反対向きに付け替えても同様の効果が得られる。
【発明の効果】
【0020】
本発明の排水ポンプによれば、逆流したドレン水がモータに当たり難くなる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の第1の実施形態に係る排水ポンプを示す一部を断面にした正面図である。
【
図2】本発明の第1の実施形態に係る排水ポンプを示す斜め上から見た斜視図である。
【
図3】本発明の第1の実施形態に係る排水ポンプを示す下面図である。
【
図4】
図1に示す排水ポンプの4-4線断面図である。
【
図5】従来例に係る排水ポンプを示す一部を断面にした正面図である。
【
図6】
図5に示す排水ポンプの6-6線断面図である。
【
図8】本発明の第1の実施形態に係る排水ポンプを示す一部を断面にした正面図である。
【
図9】第2の実施形態に係る排水ポンプの一部を断面にした正面図である。
【
図10】
図9に示す排水ポンプの10-10線断面図である。
【
図11】第3の実施形態に係る排水ポンプの一部を断面にした正面図である。
【
図12】第4の実施形態に係る排水ポンプの一部を断面にした正面図である。
【
図13】第5の実施形態に係る排水ポンプの一部を断面にした正面図である。
【
図14】第6の実施形態に係る排水ポンプの一部を断面にした正面図である。
【
図15】第7の実施形態に係る排水ポンプの一部を断面にした正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
[第1の実施形態]
本開示を実施するための形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0023】
図1~
図3に示すように、 排水ポンプ8は合成樹脂製のポンプ本体の一例としてのポンプハウジング10を有し、ポンプハウジング10のポンプ室10b内には回転羽根200が収容されている。
【0024】
図1に示すように、ポンプハウジング10の上部にはOリング30を介して合成樹脂製の下カバー(ハウジングカバーともいう)40が取り付けられている。
【0025】
図2、及び
図3に示すように、下カバー40は、ポンプハウジング10に設けられる係止部の一例としてのスナップフィット式の係止爪14、及び下カバー40に設けられる被係止部15を利用してスナップフィット機能によりポンプハウジング10に着脱自在に取り付けられている。
即ち、ここのスナップフィット機能は、係止爪(保持部)14を、材料の弾性を利用して受け手側の被係止部15に引っ掛けることにより、機械的に固定するものであり、一般的な構成のスナップフィット機能である。
【0026】
下カバー40の上部にはモータ100が設けられており、モータ100は合成樹脂製の上カバー(モータカバーともいう)50により覆われている。なお、上カバー50の上部には相手部材(図示せず)への取付部52が設けられている。
【0027】
上カバー50は、スナップフィット式の係止爪54を有し、下カバー40に対して合成樹脂の弾性を利用したスナップフィット機能により取り付けられる。
即ち、スナップフィット機能は、上カバー50に設けた係止爪(保持部)54を、材料の弾性を利用して下カバー40に設けられた受け手側の被係止部55に引っ掛けることにより、機械的に固定するものであり、一般的な構成のスナップフィット機能である。
【0028】
(ポンプハウジング)
ポンプハウジング10は、ドレンパン(不図示)に溜まったドレン水を吸い上げて室外に排水するためのものであり、
図1に示すように、有底円筒状に形成され、回転羽根200を収容するポンプ室10bと、ポンプ室10bの下部に設けられポンプ室10bから下方に向けて延びる吸込口10cと、ポンプ室10bから水平方向外側に延びる吐出口10dとを備えている。
【0029】
吐出口10dには、上方に向けて延びる立上がり管16が接続されている。
【0030】
(回転羽根)
回転羽根200は、合成樹脂によって成形され、円盤200aと、円盤200aの中心軸に沿って延びる円柱状の軸部200bと、円盤200aの上面に形成され径方向に沿って延びる複数の大径羽根200cと、円盤200aの下面に形成され、ポンプハウジング10の吸込口10c内に挿入され径方向に沿って延びる複数の小径羽根200dとを備えている。
【0031】
軸部200bの上端は、モータ100の、本開示の回転軸の一例としてのロータ中心体100aに接続されており、ロータ中心体100aが回転することで、回転羽根200が回転する。
【0032】
回転羽根200は、大径羽根200cが吐出口10dと対向するように、言い換えれば、大径羽根200cの径方向外側に吐出口10dが位置するようポンプハウジング10の内部に配置されている。
【0033】
(上カバー)
上カバー50は、合成樹脂によって有蓋円筒状に成形されている。上カバー50の内部には、モータ100が収容されている。モータ100からは、ポンプハウジング10内の回転羽根200と連結されるロータ中心体100aが下方に向けて突出している。
【0034】
(下カバー)
下カバー40は、モータ100に外部から水が付着するのを防止するために備えられ、上カバー50と同様に、合成樹脂によって成形されている。
【0035】
図1、及び
図2に示すように、下カバー40は、本開示の外壁の一例としての筒状の外壁40aと、回転羽根200の軸部200bが貫通する貫通孔40cが中心部に穿設された円板状の底部40dとを備えている。貫通孔40cの平面形状は、円である。
底部40dは、ポンプハウジング10の上部開口を塞いている。なお、貫通孔40cを貫通する回転羽根200の軸部200bは、本開示の回転軸の一例である。また、貫通孔40cを貫通する本開示の回転軸としては、ロータ中心体100a、及び軸部200b以外の別部材であってもよく、少なくとも、モータ100の回転力を、回転羽根200に伝達する軸状の部材であればよい。
【0036】
なお、貫通孔40cと回転羽根200との間には、ドレン水、及び空気を行き来可能とする環状の隙間Gが設けられている。また、ロータ中心体100aの下端と貫通孔40cの開口端との間にも、ドレン水、及び空気を行き来可能とする環状の隙間G2が設けられている。
【0037】
図4の断面図で示すように、筒状の外壁40aは、第一壁部の一例としての一対の円弧部40aa、第二壁部の一例としての一対の突出部40ab、及び円弧部40aaと突出部40abとを連結する直線部40acを備えている。円弧部40aaは、筒状の外壁40aの中心軸線を曲率半径の中心として内面の半径が一定とされている。
【0038】
外壁40aは、
図4に示すように平面視の状態において、底部40dの中心部に形成された円形の貫通孔40cの中心からの径方向の距離が短い部分と長い部分とを有し、貫通孔40cの中心からの径方向の距離が短い部分が円弧部40aaであり、円弧部40aaよりも貫通孔40cの中心からの径方向の距離が長い部分が突出部40abである。
【0039】
本実施形態の外壁40aは、下端から上端まで、一定の断面形状である。したがって、円弧部40aa、突出部40ab、及び直線部40acは、筒状の外壁40aの中心軸線と平行である。外壁40aの中心軸線は、貫通孔40の中心を通る。換言すると、貫通孔40cの中心軸線からの径方向の距離が短い部分と長い部分とを有し、貫通孔40cの中心軸線からの径方向の距離が短い部分が円弧部40aaであり、円弧部40aaよりも貫通孔40cの中心軸線からの径方向の距離が長い部分が突出部40abである。
【0040】
突出部40abは、外壁40aの中心軸線に対して吐出口10dとは反対側と、該中心軸線に対して吐出口10d側とに設けられている。本実施形態の突出部40abは、本開示の第二壁部の一例である。
【0041】
円弧部40aaの内面の半径R1は、底部40dの半径R2よりも小さい。
【0042】
突出部40abは、円弧部40aa、及び底部40dよりも径方向外側に突出しており、かつその内面が、底部40dの外周縁よりも径方向外側に位置している。このため、下カバー40には、突出部40abの内周部の下端と底部40dの外周縁との間に、下カバー40の内外を連通する下部排水口の一例としての排水口18が開口している。この排水口18は、下カバー40内に溜まった水を排出したり、下カバー40内が負圧となるのを防ぐことができる。
【0043】
図2に示すように、なお、突出部40abは、上カバー50よりも径方向外側に突出しており、かつその内面が、上カバー50よりも径方向外側に位置している。このため、下カバー40には、突出部40abの内周部の上端と上カバー50の外周縁との間に、下カバー40の内外を連通する通気口19が開口している。
【0044】
図1に示すように、底部40dの上面は、中心部から径方向外側に向けて下がるように、若干傾斜している。言い換えれば、底部40dの上に溜まった排水が排水口18に向けて流れるように、底部40dの上面が傾斜している。
なお、本実施形態の排水ポンプ8は、本開示の回転軸の一例であるロータ中心体100a、及び軸部200bが、鉛直方向に沿う姿勢で設置されて使用されるものである。
【0045】
(作用、効果)
次に、本実施形態の排水ポンプ8の作用、効果を説明する。
排水ポンプ8は、一例として、ドレンパン(不図示)の上方に配置されて使用される。排水ポンプ8は、モータ100で回転羽根200を回転させることで、ドレンパンに溜まったドレン水を吸込口10cで吸い上げ、吸い上げたドレン水を吐出口10d、及び吐出口10dに接続された立上がり管16を介して室外に排水することができる。
【0046】
モータ100の回転を停止すると、立上がり管16等に溜まったドレン水がポンプ室10bに逆流し、ポンプ室10bに逆流したドレン水は、一部が吸込口10cから下方へ排出され、残りの一部が貫通孔40cを介して下カバー40の内部に噴出する。
【0047】
吐出口10dからは、図面矢印L方向に向けてドレン水が噴出するため、貫通孔40cから下カバー40内に噴出するドレン水は、
図1に示すように、主として矢印W方向(略矢印L方向)に向けて噴出する。即ち、貫通孔40cから下カバー40内に噴出されたドレン水は、貫通孔40cを挟んで吐出口10dと反対側に位置する矢印L方向側の突出部40abに向けて噴出することになる。
【0048】
次に、
図5、及び
図6に示す比較例のポンプ108と対比して本実施形態の排水ポンプ8の作用効果を説明する。なお、比較例のポンプ108において、本実施形態の排水ポンプ8と同一構成には同一符号を付し、その説明は省略する。
【0049】
図5、及び
図6に示すように、比較例のポンプ108の下カバー140は、下端から上端まで一定径の円筒形状であり、その円筒形状の内面半径R1は、本実施形態の下カバー40の円弧部40aaの内面の半径R1と同様である。
【0050】
図7には、吐出口10d(
図7では図示せず)とは反対側(矢印L方向側)に位置する本実施形態の下カバー40の突出部40ab伝いに上昇するドレン水W1、及び比較例の下カバー140の外周壁140a伝いに上昇するドレン水W2とが示されている。
【0051】
ここで、比較例のポンプ108において、外周壁140a伝いに上昇したドレン水の上端の高さをH、実施形態の排水ポンプ8において、突出部40ab伝いに上昇したドレン水の上端の高さをhとすると、h<Hとなり、本実施形態では、比較例に比較して壁伝いに上昇するドレン水の高さを低く抑えることができる。
【0052】
これは、本実施形態の貫通孔40cから突出部40abまでの距離が、比較例の貫通孔40cから外周壁140aに対して長くなっているため、外壁内面に当たるドレン水の勢いが弱くなるためである。
【0053】
したがって、本実施形態の排水ポンプ8では、比較例のポンプ108に比較して、外周壁伝いに上昇したドレン水がモータ100に到達し難くなり、モータ100にドレン水が当たることで生じるモータ100の不具合を抑制可能となる。
【0054】
なお、下カバー40の内部に進入したドレン水は、排水口18を介して、排水ポンプ8の下方に配置されたドレンパンへ排出される。
【0055】
また、底部40dの上面が中心部から排水口18に向けて下がるように傾斜しているため、下カバー40の内部に進入したドレン水は排水口18に向けて流れ、ドレン水が下カバー40の内部に滞留することが抑制される。
【0056】
本実施形態の排水ポンプ8では、ポンプハウジング10を下カバー40に取り付ける係止爪14と、吐出口10dとが、ポンプハウジング10及び下カバー40の軸線回りに90°の位置関係にある。したがって、
図8に示すように、第1実施形態とは上カバー50の向きを変えずに、言い換えれば、排水ポンプ8の取り付けの向きを変えずに、吐出口10dの向きを180°換えてポンプハウジング10を下カバー40に装着することができる。これにより、立上がり管16の取り付けの自由度が増える。
【0057】
[第2の実施形態]
次に、本開示の第2の実施形態に係る排水ポンプ8を説明する。なお、第1の実施形態と同一構成には同一符号を付し、その説明は省略する。
【0058】
図9、及び
図10に示すように、本実施形態の下カバー40は、底部40dの一部が径方向外側に突出して、突出部40abの下端に接続されている。したがって、第1の実施形態の下カバー40に設けられていた排水口18が塞がれている形態である。
【0059】
本実施形態の下カバー40では、突出部40abに、下カバー40の軸線方向に沿って延びるスリット状の外壁排水口の一例としての排水口20が、底部40dから離れる方向(言い換えると、下カバー40から上カバー50へ向かう方向)に形成されている。
【0060】
したがって、本実施形態の排水ポンプ8では、下カバー40の内部に進入したドレン水が、突出部40abに形成された排水口20を介して外部に排出することができる。
【0061】
[第3の実施形態]
次に、本開示の第3の実施形態に係る排水ポンプ8を説明する。なお、第1の実施形態と同一構成には同一符号を付し、その説明は省略する。
図11に示すように、本実施形態の下カバー40では、突出部40abが、下カバー40の下側(下半分)に設けられており、突出部40abよりも上側(第一壁部の一例)は、円筒状に形成されている。
【0062】
本実施形態の下カバー40も、第1の実施形態の下カバー40と同様に、突出部40abの内面伝いに上昇するドレン水の高さを抑制することができる。
【0063】
また、本実施形態の下カバー40では、突出部40abと円筒部分との境界部分に段差42が形成されているため、突出部40abの内面伝いに上昇するドレン水が障壁となる段差42に当たるため、ドレン水の上昇を段差42で抑制することができ、第1の実施形態の下カバー40に比較してモータ100にドレン水が当たり難くなる。
【0064】
[第4の実施形態]
次に、本開示の第4の実施形態に係る排水ポンプ8を説明する。なお、第1の実施形態と同一構成には同一符号を付し、その説明は省略する。
【0065】
図12に示すように、本実施形態の下カバー40では、第二壁部の一例としての傾斜した突出部44adが、下カバー40の下側(下半分)に設けられており、突出部44adよりも上側(第一壁部の一例)は、円筒状に形成されているとなっている。
本実施形態の突出部44adは、上部から下部に向けて貫通孔40cからの距離が長くなるように傾斜している。
【0066】
本実施形態の下カバー40では、突出部44abが傾斜しているため、傾斜していない場合に比較して、突出部44ad伝いにドレン水が上昇し難くなり、第1の実施形態の下カバー40に比較してモータ100にドレン水が当たり難くなる。
【0067】
[第5の実施形態]
次に、本開示の第5の実施形態に係る排水ポンプ8を説明する。なお、第1の実施形態と同一構成には同一符号を付し、その説明は省略する。
図13に示すように、本実施形態の下カバー40では、突出部40abの上下方向中間部に、内側に突出する障壁44が設けられている。
【0068】
本実施形態の下カバー40では、突出部40abの上下方向中間部に障壁44が設けられているため、突出部40abの内面伝いに上昇するドレン水が障壁44に当たるため、ドレン水の上昇を障壁44で抑制することができ、第1の実施形態の下カバー40に比較してモータ100にドレン水が当たり難くなる。
【0069】
[第6の実施形態]
次に、本開示の第6の実施形態に係る排水ポンプ8を説明する。なお、第1の実施形態と同一構成には同一符号を付し、その説明は省略する。
図14に示すように、本実施形態では、下カバー40の外壁40aに、同一サイズ、同一形状の10個の第二壁部の一例としての突出部40aeが周方向に間隔を開けて設けられており、その内の1個の突出部40aeが、貫通孔40cに対して吐出口10dの反対側に設けられており、別の1個の突出部40aeが吐出口10d側に設けられている。
なお、本実施形態の突出部40aeの断面形状は、略台形である。
本実施形態の排水ポンプ8においても、吐出口10dの反対側に突出部40aeが設けられているため、突出部40aeの内面伝いに上昇するドレン水の高さを抑制することができる。
【0070】
[第7の実施形態]
次に、本開示の第7の実施形態に係る排水ポンプ8を説明する。なお、第1の実施形態と同一構成には同一符号を付し、その説明は省略する。
【0071】
図15に示すように、本実施形態では、下カバー40の外壁40aに、他の突出部40aeよりも周方向の寸法が長い2個の幅広の突出部40ae’が、貫通孔40cに対して吐出口10d側とは反対側と、吐出口10d側の両方に設けられている。
【0072】
本実施形態の排水ポンプ8においても、第6の実施形態と同様に、吐出口10dの反対側に突出部40ae’が設けられているため、突出部40ae’の内面伝いに上昇するドレン水の高さを抑制することができる。
【0073】
(その他の実施形態)
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上記に限定されるものでなく、上記以外にも、その主旨を逸脱しない範囲内において種々変形して実施可能であることは勿論である。
【0074】
なお、回転羽根200は、
図1に示す形状に限らず、例えば、大径羽根200cの外周側に、大径羽根200cを囲む環状の壁部を設けてもよい。
【符号の説明】
【0075】
8 排水ポンプ
10 ポンプハウジング(ポンプ本体)
10c 吸込口
10d 吐出口
10b ポンプ室
14 係止爪(係止部)
15 被係止部
18 排水口(下部排水口)
20 排水口(外壁排水口)
40 下カバー(モータ受け部材)
40a 外壁
40c 貫通孔
40d 蓋部
40aa 円弧部(第一壁部)
40ab 突出部(第二壁部)
40ad 突出部(第二壁部)
40ae 突出部(第二壁部)
100 モータ
100a ロータ中心体(回転軸)
200 回転羽根