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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025035664
(43)【公開日】2025-03-14
(54)【発明の名称】ロック解除方法
(51)【国際特許分類】
   B60L 53/80 20190101AFI20250307BHJP
   B60L 50/60 20190101ALI20250307BHJP
   B60K 1/04 20190101ALI20250307BHJP
【FI】
B60L53/80
B60L50/60
B60K1/04 A
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023142868
(22)【出願日】2023-09-04
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-10-02
(71)【出願人】
【識別番号】000000170
【氏名又は名称】いすゞ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大沢 宗之
(72)【発明者】
【氏名】天間 勇樹
(72)【発明者】
【氏名】深谷 聖
【テーマコード(参考)】
3D235
5H125
【Fターム(参考)】
3D235AA06
3D235AA26
3D235BB01
3D235BB24
3D235CC14
3D235DD37
3D235EE67
3D235FF02
3D235HH09
3D235HH12
3D235HH63
5H125AA01
5H125AA20
5H125AC13
5H125CC04
5H125DD01
5H125FF06
(57)【要約】
【課題】ロック解除時に、作業者の意図しないタイミングでバッテリーが移動することを抑制することが可能なロック解除方法を提供する。
【解決手段】ロック解除方法は、本体部と、本体部に移動可能に支持されるアーム部とを有する交換装置によるバッテリーのロック解除方法であって、アーム部の先端部が車両のバッテリーの搭載位置の下方の位置に位置するように、アーム部を水平方向に移動させるステップと、バッテリーが先端部に載置するように、先端部を上方に移動させるステップと、先端部にバッテリーが載置された後、車両におけるバッテリーのロックを解除するステップと、を有する。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体部と、前記本体部に移動可能に支持されるアーム部とを有する交換装置によるバッテリーのロック解除方法であって、
前記アーム部の先端部が車両のバッテリーの搭載位置の下方の位置に位置するように、前記アーム部を水平方向に移動させるステップと、
前記バッテリーが前記先端部に載置するように、前記先端部を上方に移動させるステップと、
前記先端部に前記バッテリーが載置された後、前記車両における前記バッテリーのロックを解除するステップと、
を有するロック解除方法。
【請求項2】
前記水平方向に移動させるステップは、前記アーム部に設けられたバッテリー検出センサで前記バッテリーを検知するステップを含む、
請求項1に記載のロック解除方法。
【請求項3】
前記水平方向に移動させるステップは、
前記アーム部を移動させる前に、前記車両が停止状態であるか否かを前記車両側に確認するステップと、
前記確認するステップの後、前記車両が停止状態であることを前記交換装置側に通知するステップと、
を含む、
請求項1に記載のロック解除方法。
【請求項4】
前記ロックを解除するステップは、ロックを解除した後、前記バッテリーのロック解除の完了通知を前記交換装置側に通知するステップを含む、
請求項1に記載のロック解除方法。
【請求項5】
前記先端部は、前記バッテリーを把持可能な把持部を有し、
前記上方に移動させるステップは、前記把持部が前記バッテリーを把持するステップを含む、
請求項1に記載のロック解除方法。
【請求項6】
前記車両は、
車体の側面において前記バッテリーをロック可能なロック機構と、
前記車体における前記ロック機構に対応する位置から前記水平方向に延び、前記水平方向に前記バッテリーを移動可能に支持するスライド部と、
前記車体における、前記バッテリーの搭載部分の上方に設けられる架装部と、
を備える、
請求項1に記載のロック解除方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ロック解除方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電気自動車、ハイブリッド車両等、バッテリーを備える車両においては、車両の内側でバッテリーが車体にロックされる。例えば、特許文献1には、車両に設けられたレール部材(スライド部)を介して引き出されたバッテリーケースを着脱可能な交換装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015-174476号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、バッテリーを交換するために、車体におけるバッテリーのロックを解除すると、車両の停車時の傾斜状態等に起因して、作業者の意図しないタイミングで、車体の搭載位置からバッテリーが移動するおそれがあった。また、バッテリーが移動しないように、車体側のロック機構とは別のロック機構を設けると、別のロック機構を解除する機構等を設ける必要が生じる等、全体として機構が複雑化するので、交換時間の増大、コスト増加のおそれがあった。
【0005】
本開示の目的は、ロック解除時に、作業者の意図しないタイミングでバッテリーが移動することを抑制することが可能なロック解除方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係るロック解除方法は、
本体部と、前記本体部に移動可能に支持されるアーム部とを有する交換装置によるバッテリーのロック解除方法であって、
前記アーム部の先端部が車両のバッテリーの搭載位置の下方の位置に位置するように、前記アーム部を水平方向に移動させるステップと、
前記バッテリーが前記先端部に載置するように、前記先端部を上方に移動させるステップと、
前記先端部に前記バッテリーが載置された後、前記車両における前記バッテリーのロックを解除するステップと、
を有する。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、ロック解除時に、作業者の意図しないタイミングでバッテリーが移動することを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本開示の実施の形態に係るロック解除方法を実行可能な交換装置が適用される取付装置を備えた車両を示す図である。
図2】取付装置をX方向から見た図である。
図3A】スライド部を介したバッテリーの移動を説明するための図である。
図3B】スライド部を介したバッテリーの移動を説明するための図である。
図4A】交換装置の構成を示す図である。
図4B】交換装置の構成を示す図である。
図5】本実施の形態における各装置が実行する処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図6】交換装置によるバッテリーの取り外しについて説明するための図である。
図7】交換装置によるバッテリーの取り外しについて説明するための図である。
図8】交換装置によるバッテリーの取り外しについて説明するための図である。
図9】交換装置によるバッテリーの取り外しについて説明するための図である。
図10】交換装置によるバッテリーの取り外しについて説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。図1は、本開示の実施の形態に係るロック解除方法を実行可能な交換装置が適用される取付装置を備えた車両を示す図である。
【0010】
交換装置に関する構造を説明するにあたり、直交座標系(X,Y,Z)を使用する。後述する図においても共通の直交座標系(X,Y,Z)で示している。X方向は、交換装置が搭載される車両1の左右方向を示し、Y方向は車両1の前後方向を示し、Z方向は車両1の上下方向を示す。
【0011】
図1に示すように、車両1は、電気自動車、ハイブリッド車両等、バッテリー2で走行可能な車両である。また、車両1は、トラック等の大型車両であり、荷台1Aを搭載している。また、車両1における、荷台1Aが搭載された車体1Bには、バッテリー2を取り付けるための取付装置10が設けられている。
【0012】
バッテリー2は、取付装置10により車両1の内側の搭載位置で車体1Bにロックされている。バッテリー2を交換する際には、交換装置20が用いられる。
【0013】
また、車両1には、制御部1Cが設けられている。制御部1Cは、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)および入出力回路(不図示)を備えており、例えば、車両1に関する制御を行う。また、制御部1Cは、外部の装置(例えば、交換装置20)と通信可能であり、例えば、外部の装置の指示に基づいて、バッテリー2の車体1Bにおけるロック/ロック解除の制御を行っても良い。
【0014】
以下の説明では、本実施の形態に係る交換装置20の詳細説明の前に、まず、交換装置20が適用される取付装置10の構成について説明する。
【0015】
図2に示すように、取付装置10は、本体部11と、スライド部12と、載置部13とを備える。
【0016】
本体部11は、荷台1Aの下方(Z方向の-側)に対応する位置に配置され、壁部111および支持部112を有する。
【0017】
壁部111は、Z方向に沿って配置される壁であり、例えば、車体1Bの側面(X方向の+側)に固定される。壁部111には、バッテリー2の側面に設けられるストライカ2Aと係合するラッチ111Aが設けられる(図3B参照)。ラッチ111Aとストライカ2Aとが係合することで、バッテリー2が車両1にロックされる。
【0018】
なお、ラッチ111Aおよびストライカ2Aにおけるロックおよびロック解除は、車両1側の制御部1Cによって切替制御される。
【0019】
支持部112は、壁部111のZ方向の-側の端部からX方向の+側に向かって延びる部材であり、Y方向に並んで2つ設けられる。支持部112は、車両1にバッテリー2が固定された際に、載置部13およびバッテリー2をZ方向の-側から支持するように配置される。
【0020】
スライド部12は、バッテリー2を車両1の内側と外側との間を移動させるための伸縮式のスライドレールである。スライド部12は、例えば、支持部112に固定されている。
【0021】
図3Aに示すように、スライド部12は、最も縮んだ状態である場合、X方向において、車両1の内側の範囲に位置する。上記の内側の範囲の位置は、例えば、荷台1Aの下方の位置であり、車体1Bへのバッテリー2(載置部13)の搭載位置であっても良い。
【0022】
図3Bに示すように、スライド部12は、最も伸ばした状態である場合、先端部が荷台1AよりもX方向の+側、つまり、車両1の外側の範囲に位置する。上記の外側の範囲の位置は、X方向において車両1より外側であって載置部13からバッテリー2が着脱可能な位置であり、例えば、スライド部12が最も伸びた状態のときのバッテリー2(載置部13)の位置であっても良い。
【0023】
載置部13は、バッテリー2を載置する部分であり、スライド部12に取り付けられている。また、載置部13のZ方向の+側の面およびバッテリー2の底面には、バッテリー2と載置部13とをロックするためのロック機構が設けられていても良い。
【0024】
また、図2に示すように、載置部13のY方向の幅は、バッテリー2のY方向の幅よりも狭くなっている。そのため、交換装置20の後述する一対のアーム221にバッテリー2が載置された際に、2つのアーム221の間に載置部13が位置するようになっている。
【0025】
次に、交換装置20の詳細について説明する。
【0026】
図1に示すように、交換装置20は、バッテリー2を交換するために、取付装置10上のバッテリー2を搬出入可能な装置である。交換装置20は、本体部21と、アーム部22と、バッテリー検出センサ23(図4A等参照)とを有する。なお、以下の説明における各部の方向は、車両1のX方向の+側の側面に対向して配置された交換装置20を基準としている。
【0027】
本体部21は、交換装置20の本体部分であり、アーム部22をZ方向に移動可能に支持する。例えば、本体部21には、制御部21Aが設けられている。制御部21Aは、CPU、ROM、RAMおよび入出力回路(不図示)を備えており、アーム部22の移動を制御する。なお、制御部21Aは、本体部21の外部に設けられ、遠隔操作によりアーム部22の移動を制御しても良い。
【0028】
図4Aおよび図4Bに示すように、アーム部22は、バッテリー2を載置可能に構成されている。アーム部22は、一対のアーム221と、架橋部222とを有する。
【0029】
一対のアーム221は、Z方向に移動可能に本体部21に支持されており、X方向に延びている。アーム221は、先端部221Aと、支持部221Bとを有する。
【0030】
先端部221Aは、バッテリー2を載置する部分であり、支持部221Bに支持されている。支持部221Bは、本体部21に支持される部分である。支持部221Bは、X方向に延びるレール形状に構成されており、先端部221AをX方向に移動可能に支持する。
【0031】
一対のアーム221の先端部221Aには、バッテリー2を把持するための把持部221Cが設けられている。把持部221Cは、各アーム221に2つずつ、合計4つ設けられている。4つの把持部221Cは、例えば、直方体状のバッテリー2の各角部に対応する位置にそれぞれ位置している。
【0032】
図4Bに示すように、把持部221Cは、第1部C1と、第2部C2とを有する。第1部C1は、先端部221AのZ方向の+側の面に固定される部分である。第2部C2は、第1部C1からZ方向の+側に延びており、把持されたバッテリー2の側面に沿う部分である。4つの把持部221Cの各第2部C2がバッテリー2を囲むように位置することで、把持部221Cがバッテリー2を把持する。
【0033】
架橋部222は、一対のアーム221の先端部221Aを架橋する部分であり、先端部221Aにおける、把持部221CよりもX方向の+側に設けられる。架橋部222の中央部分には、バッテリー検出センサ23が設けられる。
【0034】
バッテリー検出センサ23は、バッテリー2を検出するためのセンサであり、例えば、公知の接触式のセンサであっても良い。
【0035】
また、一対のアーム221の初期位置は、車両1にロックされたバッテリー2よりも、Z方向の-側に対応する位置である。また、バッテリー検出センサ23の高さは、アーム221の位置が初期位置である場合、Z方向において、車両1にロックされたバッテリー2の高さに対応する位置である。
【0036】
次に、交換装置20の動作について説明する。図5は、本実施の形態における各装置が実行する処理の流れの一例を示すフローチャートである。左側から順に、交換装置20の制御部21Aが実行する処理、車両1の制御部1Cが実行する処理の一例をそれぞれ示している。なお、図5のフローチャートは、交換装置20が移動可能な領域内に進入して停車状態となっている車両1が存在していることを前提としている。交換装置20が移動可能な領域は、例えば、交換装置20が管理されている領域であり、例えば、交換ステーション等、満充電状態のバッテリー2が保管されている場所であっても良い。
【0037】
図5に示すように、交換装置20の制御部21Aは、車両1の側方におけるバッテリー2と対向する位置に交換装置20が配置されるように交換装置20を移動させる(ステップS101)。
【0038】
具体的には、交換装置20の制御部21Aは、交換装置20に設けられた車両検知センサ(不図示)によって、車両1を探索し、車両検知センサの検出情報に基づいて、交換装置20の移動を制御しても良い。また、交換装置20の制御部21Aは、車両1の制御部1Cまたは外部の装置と通信して、車両1の位置情報を取得し、その位置情報に基づいて、交換装置20の移動を制御しても良い。
【0039】
ステップS101において、図6に示すように、交換装置20が、車両1におけるバッテリー2と対向する位置に配置される。
【0040】
次に、交換装置20の制御部21Aは、車両1が停止状態であるか否かを車両1側に確認する(ステップS102)。具体的には、交換装置20の制御部21Aは、ギヤをパーキングポジションにする指示、キーOFFにする指示(バッテリー2のリレーをオープン状態にする指示)等、車両1を停止状態にするための指示を車両1の制御部1Cに送信する。
【0041】
ステップS102の後、車両1の制御部1Cは、車両1が停止状態であるかを確認し、車両1が停止状態であることを交換装置20側に通知する(ステップS201)。
【0042】
例えば、車両1の制御部1Cは、ギヤがパーキングポジションであるか、バッテリー2のリレーがオープンであるかを確認する。車両1の制御部1Cは、ギヤがパーキングポジションでない場合、例えば車両1の運転者に、ギヤをパーキングポジションにすることを促すための報知を行っても良いし、自動でギヤをパーキングポジションにしても良い。また、車両1の制御部1Cは、バッテリー2のリレーがオープンでない場合、例えば車両1の運転者に、キーOFFにすることを促すための報知を行っても良いし、自動でキーOFFにしても良い。
【0043】
車両1が停止状態であることを確認後、車両1の制御部1Cは、車両1が停止状態であることを交換装置20側に通知する。
【0044】
ステップS201の後、交換装置20の制御部21Aは、アーム221を水平方向(X方向の-側)に移動させる(ステップS103)。具体的には、図7に示すように、交換装置20の制御部21Aは、本体部21をX方向の-側に移動させることでアーム221を移動させる。そして、交換装置20の制御部21Aは、バッテリー検出センサ23がバッテリー2を検出したら、本体部21の移動を停止する。これにより、アーム221の先端部221Aが車両1のバッテリー2の搭載位置の下方の位置に位置する。
【0045】
ステップS103の後、交換装置20の制御部21Aは、アーム221をZ方向の+側(上方)に移動させる(ステップS104)。具体的には、図8に示すように、交換装置20の制御部21Aは、バッテリー2の高さまで、アーム221を上昇させる。これにより、バッテリー2がアーム221の先端部221Aに載置される、つまり、把持部221Cに把持される。なお、この場合における、先端部221Aへのバッテリー2の載置は、バッテリー2の全荷重が、先端部221Aにかかっている状態であっても良いし、先端部221Aがバッテリー2の底面に接触しているものの、バッテリー2の荷重が先端部221Aにかかっていない状態であっても良い。また、ロック解除後のバッテリー2の先端部221A上の位置が確実に決まる状態である場合(例えば、把持部221Cの範囲にバッテリー2が確実に位置した状態等)、先端部221Aとバッテリー2とが接触してない状態が、先端部221Aへのバッテリー2の載置の状態に含まれても良い。
【0046】
ステップS104の後、交換装置20の制御部21Aは、バッテリー2が把持部221Cに把持された後、バッテリー2のロック解除を車両1側に指示する(ステップS105)。ステップS105の後、車両1の制御部1Cは、車両1におけるバッテリー2のロックを解除する(ステップS202)。
【0047】
ステップS202の後、車両1の制御部1Cは、バッテリー2のロック解除を完了したことを交換装置20側に通知する(ステップS203)。
【0048】
ステップS203の後、交換装置20の制御部21Aは、本体部21をX方向の+側に移動させる(ステップS106)。これにより、図9に示すように、スライド部12を介してバッテリー2が引き出される。
【0049】
ステップS106の後、交換装置20の制御部21Aは、アーム221をさらにZ方向の+側に移動させる(ステップS107)。これにより、図10に示すように、バッテリー2が載置部13から持ち上げられて、取付装置10から取り外される。ステップS107の後、本制御は終了する。
【0050】
また、本制御の後、満充電状態のバッテリー2をアーム221に載置した交換装置20により、取付制御が行われる。具体的には、交換装置20が車両1の側方におけるバッテリー2と対向する位置に配置され、アーム221をZ方向の-側に移動させることにより、載置部13にバッテリー2が載置される。そして、本体部21がX方向の-側に移動することで、バッテリー2をスライド部12を介して、搭載位置に押し戻す。
【0051】
バッテリー2が搭載位置に移動したら、交換装置20の制御部21Aが車両1の制御部1Cにバッテリー2のロックを指示する。車両1の制御部1Cは、バッテリー2のロックが完了したら、ロック完了通知を交換装置20側に通知する。また、搭載位置で外力によりバッテリー2がロックされる構成の場合は、交換装置20のアーム221がバッテリー2を搭載位置に向けて押し込むことで、車両1にバッテリー2がロックされても良い。
【0052】
その後、交換装置20は、アーム221をZ方向の-側に移動させて初期位置に戻した後、車両1から離れる方向に移動する。これにより、バッテリー2の交換が完了する。
【0053】
以上のように構成された本実施の形態によれば、アーム221の先端部221Aが、バッテリー2の搭載位置の下方の位置に位置するように、アーム221を水平方向に移動させた後、バッテリー2が先端部221Aに載置するように先端部221Aを上方に移動させた後、車両1におけるバッテリー2のロックを解除する。
【0054】
そのため、バッテリー2のロック解除時には、交換装置20のアーム221にバッテリー2が載置された状態となっている。つまり、バッテリー2のロック解除前に、バッテリー2を搬送可能な状態とし、その後に、バッテリー2のロックを解除する。
【0055】
例えば、交換装置20のような装置がない状態で、バッテリー2のロックが解除されると、車両1の停車時の傾斜状態等に起因して、作業者の意図しないタイミングで、車体1Bの搭載位置からバッテリー2が移動するおそれがあった。特に、荷台1Aを有する車両1のように、スライド部12によってバッテリー2を引き出す構成であると、車両1の停車時の傾斜状態等に起因してバッテリー2とともにスライド部12も引き出されてしまうので、スライド部12等の取付装置10が破損するおそれがあった。
【0056】
それに対し、本実施の形態では、ロック解除時に、作業者の意図しないタイミングでバッテリー2が移動することを抑制することができる。その結果、バッテリー2を安全に交換することができる。
【0057】
また、交換装置20のような装置がない状態で、バッテリー2が移動しないように、車体1B側のロック機構とは別のロック機構を設けることがある。別のロック機構は、例えば、車両1側で解除できないロック機構であり、作業者の操作等によって解除可能なロック機構であっても良い。この場合、別のロック機構を解除する機構等を設ける必要が生じる等、全体として機構が複雑化するので、交換時間の増大、コスト増加のおそれがあった。
【0058】
それに対し、本実施の形態では、上記のような別のロック機構を設けることなく、バッテリー2を安全に交換することができるので、全体として機構を簡素化することができ、ひいては交換時間の短縮、コスト低減に寄与することができる。
【0059】
また、アーム221を水平方向に移動させる際に、アーム221に設けられたバッテリー検出センサ23でバッテリー2を検知するので、アーム221の先端部221Aの水平方向の位置をバッテリー2に対応する位置に合わせやすくすることができる。
【0060】
また、アーム221を移動させる前に、車両1が停止状態であるか否かを車両1側に確認し、その後、車両1が停止状態であることが交換装置20側に通知されるので、車両1が停止状態であることをもって、アーム221の移動が開始される。そのため、アーム221の移動中に、車両1が動き出すことがないので、車両1とアーム221とが衝突することを防止することができる。
【0061】
また、ロックを解除した後、バッテリー2のロック解除の完了通知を交換装置20側に通知するので、ロック解除されたことを認識した上で、交換装置20がバッテリー2を回収することができる。
【0062】
また、アーム221の先端部221Aがバッテリー2を把持可能な把持部221Cを有するので、バッテリー2を把持した状態で、交換装置20がバッテリー2を搬送することができる。その結果、交換装置20により、バッテリー2を安定して搬送することができる。
【0063】
なお、上記実施の形態では、交換装置20が自動で車両1の側方に移動していたが、本開示はこれに限定されず、作業者が車両1の側方に交換装置20を配置しても良い。
【0064】
また、上記実施の形態では、交換装置のアームの移動が自動で行われていたが(例えば、図5のステップS103、ステップS104等)、本開示はこれに限定されず、作業者が交換装置のアームを移動させても良い。
【0065】
また、上記実施の形態では、交換装置の制御部が、車両が停止状態であるかを確認していたが、本開示はこれに限定されない。例えば、予め、車両を停止状態としたことを作業者または交換装置の制御部が認識した後に、交換装置による、バッテリーの交換を開始する場合、交換装置が、車両が停止状態であることを確認しなくても良い。また、この場合、車両の制御部が、車両が停止状態であることを交換装置側に通知しなくても良い。
【0066】
また、上記実施の形態では、車両の制御部が、バッテリーのロック解除の完了通知を交換装置側に通知していたが、本開示はこれに限定されず、完了通知を交換装置側に通知しなくても良い。
【0067】
また、上記実施の形態では、交換装置のアームが把持部を有していたが、本開示はこれに限定されず、把持部を有していなくても良い。
【0068】
また、上記実施の形態では、交換装置がバッテリー検出センサを有していたが、本開示はこれに限定されず、バッテリー検出センサを有していなくても良い。
【0069】
また、上記実施の形態では、アーム部が一対のアームを有する構成であったが、本開示はこれに限定されず、バッテリーを載置可能である限り、アーム部は、どのような形状であっても良い。
【0070】
また、上記実施の形態では、車両の取付装置にスライド部が設けられていたが、本開示はこれに限定されず、スライド部が設けられていなくても良い。
【0071】
その他、上記実施の形態は、何れも本開示を実施するにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これらによって本開示の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本開示はその要旨、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【産業上の利用可能性】
【0072】
本開示の交換装置は、ロック解除時に、作業者の意図しないタイミングでバッテリーが移動することを抑制することが可能なロック解除方法として有用である。
【符号の説明】
【0073】
1 車両
1A 荷台
1B 車体
2 バッテリー
2A ストライカ
10 取付装置
11 本体部
12 スライド部
13 載置部
20 交換装置
21 本体部
22 アーム部
23 バッテリー検出センサ
111 壁部
111A ラッチ
112 支持部
221 アーム
221A 先端部
221B 支持部
221C 把持部
222 架橋部
図1
図2
図3A
図3B
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【手続補正書】
【提出日】2024-05-08
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体部と、前記本体部に移動可能に支持されるアーム部とを有する交換装置によるバッテリーのロック解除方法であって、
前記アーム部の先端部が車両のバッテリーの搭載位置の下方の位置に位置するように、前記アーム部を水平方向に移動させるステップと、
前記バッテリーが前記先端部に載置するように、前記先端部を上方に移動させるステップと、
前記先端部に前記バッテリーが載置された後、前記車両における前記バッテリーのロックを解除するステップと、
を有し、
前記水平方向に移動させるステップは、
前記アーム部に設けられたバッテリー検出センサで前記車両に搭載されたバッテリーを検知するステップと、
前記バッテリー検出センサが前記バッテリーを検出したことに応じて、前記アーム部の移動を停止するステップと、
を含む、
ロック解除方法。
【請求項2】
前記水平方向に移動させるステップは、
前記アーム部を移動させる前に、前記車両が停止状態であるか否かを前記車両側に確認するステップと、
前記確認するステップの後、前記車両が停止状態であることを前記交換装置側に通知するステップと、
を含む、
請求項1に記載のロック解除方法。
【請求項3】
前記ロックを解除するステップは、ロックを解除した後、前記バッテリーのロック解除の完了通知を前記交換装置側に通知するステップを含む、
請求項1に記載のロック解除方法。
【請求項4】
前記先端部は、前記バッテリーを把持可能な把持部を有し、
前記上方に移動させるステップは、前記把持部が前記バッテリーを把持するステップを含む、
請求項1に記載のロック解除方法。
【請求項5】
前記車両は、
車体の側面において前記バッテリーをロック可能なロック機構と、
前記車体における前記ロック機構に対応する位置から前記水平方向に延び、前記水平方向に前記バッテリーを移動可能に支持するスライド部と、
前記車体における、前記バッテリーの搭載部分の上方に設けられる架装部と、
を備える、
請求項1に記載のロック解除方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0006】
本開示に係るロック解除方法は、
本体部と、前記本体部に移動可能に支持されるアーム部とを有する交換装置によるバッテリーのロック解除方法であって、
前記アーム部の先端部が車両のバッテリーの搭載位置の下方の位置に位置するように、前記アーム部を水平方向に移動させるステップと、
前記バッテリーが前記先端部に載置するように、前記先端部を上方に移動させるステップと、
前記先端部に前記バッテリーが載置された後、前記車両における前記バッテリーのロックを解除するステップと、
を有し、
前記水平方向に移動させるステップは、
前記アーム部に設けられたバッテリー検出センサで前記車両に搭載されたバッテリーを検知するステップと、
前記バッテリー検出センサが前記バッテリーを検出したことに応じて、前記アーム部の移動を停止するステップと、
を含む