(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025035669
(43)【公開日】2025-03-14
(54)【発明の名称】充電制御装置
(51)【国際特許分類】
H02J 7/00 20060101AFI20250307BHJP
【FI】
H02J7/00 S
H02J7/00 Y
H02J7/00 P
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023142873
(22)【出願日】2023-09-04
(71)【出願人】
【識別番号】000000170
【氏名又は名称】いすゞ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】古川 貴幸
【テーマコード(参考)】
5G503
【Fターム(参考)】
5G503AA07
5G503BA04
5G503BB01
5G503EA08
5G503FA06
5G503FA19
5G503GD06
(57)【要約】
【課題】回生電力の充電によるバッテリの劣化を抑制する充電制御装置を提供する。
【解決手段】充電制御装置は、車両を駆動するモータに電気的に接続され、前記モータの回生電力を充電する駆動用バッテリと、前記駆動用バッテリの充電情報を検出する検出部と、前記充電情報に基づいて前記駆動用バッテリの劣化が所定値より促進するか否かを判定し、前記駆動用バッテリの劣化が促進すると判定された場合には、前記回生電力による前記駆動用バッテリの充電を停止する制御部と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両を駆動するモータに電気的に接続され、前記モータの回生電力を充電する駆動用バッテリと、
前記駆動用バッテリの充電情報を検出する検出部と、
前記充電情報に基づいて前記駆動用バッテリの劣化が充電により促進するか否かを判定し、前記駆動用バッテリの劣化が促進すると判定された場合には、前記回生電力による前記駆動用バッテリの充電を停止する制御部と、を備える充電制御装置。
【請求項2】
前記モータとの電気的な接続を、前記駆動用バッテリと電力消費部との間で切り換える切換部をさらに有し、
前記制御部は、前記駆動用バッテリの劣化が促進すると判定された場合、前記モータを前記電力消費部に接続するように前記切換部を切り換えることにより前記駆動用バッテリの充電を停止する請求項1に記載の充電制御装置。
【請求項3】
前記電力消費部は、電力消費機器に電力を供給する消費用バッテリを含み、
前記制御部は、前記モータを前記消費用バッテリに接続するように前記切換部を切り換える請求項2に記載の充電制御装置。
【請求項4】
前記電力消費部は、所定値以上の消費電力量を有する電力消費機器を含み、
前記制御部は、前記電力消費機器が駆動している場合に、前記モータを前記電力消費機器に接続するように前記切換部を切り換える請求項2に記載の充電制御装置。
【請求項5】
前記検出部は、前記駆動用バッテリの充放電の頻度を検出し、
前記制御部は、前記充放電の頻度が所定の閾値より高い場合に、前記駆動用バッテリの劣化が促進すると判定する請求項1に記載の充電制御装置。
【請求項6】
車両を駆動するモータに電力を供給する第1バッテリと、
前記モータと異なる電気的な負荷に電力を供給する第2バッテリと、
前記第1バッテリの温度を検出する検出部と、
前記モータが回生電力を発生させ且つ前記第1バッテリの温度が所定の閾値より高い場合に前記回生電力を前記第2バッテリに供給し、前記モータが回生電力を発生させ且つ前記第1バッテリの温度が所定の閾値以下である場合に前記回生電力を前記第1バッテリに供給する制御部と、を備える充電制御装置。
【請求項7】
車両を駆動するモータに電力を供給する第1バッテリと、
前記モータと異なる電気的な負荷に電力を供給する第2バッテリと、
前記第1バッテリの満充電状態の維持時間を検出する検出部と、
前記モータが回生電力を発生させ且つ前記第1バッテリの満充電状態の維持時間が所定の閾値より高い場合に前記回生電力を前記第2バッテリに供給し、前記モータが回生電力を発生させ且つ前記第1バッテリの満充電状態の維持時間が所定の閾値以下である場合に前記回生電力を前記第1バッテリに供給する制御部と、を備える充電制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、充電制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、モータを駆動して走行する電気自動車またはハイブリッド自動車などの電動車両において、バッテリの充電を制御する充電制御装置が提案されている。ここで、バッテリは、その充電状況に応じて劣化が大きく進行するおそれがある。例えば、リチウムイオン電池は、充放電を繰り返すことで電極構造が変化し、充電容量が低下するおそれがある。このため、充電制御装置は、バッテリの劣化を抑制するように充電を制御することが求められる。
【0003】
そこで、バッテリの劣化を抑制する技術として、例えば、特許文献1には、充電中のバッテリに過電圧が印加されるのを抑制してバッテリを保護する充電制御装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の充電制御装置は、外部電源で充電するときのバッテリの劣化を抑制するものである。例えば、車両の走行中には、モータで生じた回生電力がバッテリに順次充電されており、バッテリの劣化を抑制するように回生電力を充電することが困難であった。
【0006】
本開示は、回生電力の充電によるバッテリの劣化を抑制する充電制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示に係る充電制御装置は、車両を駆動するモータに電気的に接続され、前記モータの回生電力を充電する駆動用バッテリと、前記駆動用バッテリの充電情報を検出する検出部と、前記充電情報に基づいて前記駆動用バッテリの劣化が充電により促進するか否かを判定し、前記駆動用バッテリの劣化が促進すると判定された場合には、前記回生電力による前記駆動用バッテリの充電を停止する制御部と、を備えるものである。
【0008】
本開示に係る充電制御装置は、車両を駆動するモータに電力を供給する第1バッテリと、前記モータと異なる電気的な負荷に電力を供給する第2バッテリと、前記第1バッテリの温度を検出する検出部と、前記モータが回生電力を発生させ且つ前記第1バッテリの温度が所定の閾値より高い場合に前記回生電力を前記第2バッテリに供給し、前記モータが回生電力を発生させ且つ前記第1バッテリの温度が所定の閾値以下である場合に前記回生電力を前記第1バッテリに供給する制御部と、を備えるものである。
【0009】
本開示に係る充電制御装置は、車両を駆動するモータに電力を供給する第1バッテリと、前記モータと異なる電気的な負荷に電力を供給する第2バッテリと、前記第1バッテリの満充電状態の維持時間を検出する検出部と、前記モータが回生電力を発生させ且つ前記第1バッテリの満充電状態の維持時間が所定の閾値より高い場合に前記回生電力を前記第2バッテリに供給し、前記モータが回生電力を発生させ且つ前記第1バッテリの満充電状態の維持時間が所定の閾値以下である場合に前記回生電力を前記第1バッテリに供給する制御部と、を備えるものである。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、回生電力の充電によるバッテリの劣化を抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本開示の一実施形態に係る充電制御装置を備えた車両の構成を示す図である。
【
図2】一実施形態の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本開示に係る実施形態を添付図面に基づいて説明する。
【0013】
図1に、本開示の実施形態に係る充電制御装置を備えた車両の構成を示す。この車両は、ハイブリッド電気自動車であり、エンジン1と、トランスミッション2と、モータ3と、インバータ4と、制御装置5と、電力消費部6とを有する。なお、車両は、モータで駆動する電動車両であればよく、ハイブリッド電気自動車に限定されるものではない。また、車両としては、例えば、商用車(例えばトラック)などが挙げられる。
【0014】
エンジン1は、燃料を燃焼して車両を走行するための駆動力を発生させるもので、出力軸を介して、その駆動力をトランスミッション2に出力する。エンジン1は、例えば、吸気行程、圧縮行程、膨張行程および排気行程の4つの行程を繰り返す、いわゆる4ストローク機関から構成される。エンジン1としては、例えば、ディーゼルエンジンなどが挙げられる。
【0015】
トランスミッション2は、エンジン1の出力軸から出力された回転速度を変速してプロペラシャフトなどに出力する。これにより、エンジン1の駆動力が車輪に伝達されることになる。
【0016】
モータ3は、トランスミッション2を介してプロペラシャフトなどに接続され、制御装置5からインバータ4を介して供給される電力により回転して、その駆動力をプロペラシャフトに出力する。また、モータ3は、車両の減速に応じて回生発電して、その電力をインバータ4を介して制御装置5に供給する。モータ3は、例えば、モータジェネレータから構成されてもよい。
【0017】
インバータ4は、モータ3と制御装置5にそれぞれ電気的に接続され、制御装置5から供給される直流電力を交流電力に変換してモータ3に供給する。また、インバータ4は、モータ3で回生発電された交流電力を直流電力に変換して制御装置5に供給する。
【0018】
制御装置5は、本開示の充電制御装置を構成するもので、切換部7と、駆動用バッテリ8と、検出部9と、制御部10とを有する。制御装置5は、駆動用バッテリ8からモータ3へ電力を供給するための放電、および、モータ3もしくは不図示の外部電力受付部を介して供給された電力による駆動用バッテリ8の充電、を制御する。
【0019】
切換部7は、インバータ4、駆動用バッテリ8および電力消費部6にそれぞれ電気的に接続され、モータ3との電気的な接続を、駆動用バッテリ8と電力消費部6との間で切り換える。
【0020】
駆動用バッテリ8は、インバータ4および切換部7を介してモータ3に接続され、蓄電した電力をモータ3に供給する。また、駆動用バッテリ8は、モータ3で回生発電された電力を充電する。駆動用バッテリ8は、例えば、リチウムイオンバッテリまたはニッケル水素バッテリなどから構成されてもよい。なお、駆動用バッテリ8は、本開示の第1バッテリを構成する。
【0021】
検出部9は、駆動用バッテリ8の充電情報を検出するもので、駆動用バッテリ8に対応して配置される。また、検出部9は、制御部10に電気的に接続され、検出した充電情報を制御部10に出力する。ここで、充電情報は、駆動用バッテリ8の劣化(例えば蓄電容量の低下)を引き起こす充電状況または充電環境などに関する情報である。具体的には、充電情報は、充電状態(SOC:State Of Charge)、満充電状態(蓄電量が所定値以上)の維持時間、駆動用バッテリ8の温度(例えば冷えまたは発熱など)、駆動用バッテリ8の環境温度、駆動用バッテリの充放電の頻度などを含んでもよい。検出部9は、例えば、電圧計、電流計、タイマ、温度計、アクセル開度センサ、ブレーキ操作センサ、車速センサなどのセンサから構成してもよい。
【0022】
制御部10は、検出部9で検出される充電情報に基づいて、駆動用バッテリ8の劣化が充電により促進するか否かを判定する。そして、制御部10は、駆動用バッテリ8の劣化が促進すると判定された場合には、回生電力による駆動用バッテリ8の充電を停止する。具体的には、制御部10は、切換部7に接続されており、駆動用バッテリ8の劣化が促進すると判定された場合、モータ3を電力消費部6に接続するように切換部7を切り換えることにより駆動用バッテリ8の充電を停止する。
【0023】
電力消費部6は、電力消費機器11と、消費用バッテリ12とを有する。ここで、切換部7は、消費用バッテリ12に接続されてもよいし、電力消費機器11に接続されてもよい。
【0024】
電力消費機器11は、車両に搭載された電力を消費する機器から構成され、例えば、電気加熱式触媒装置(EHC:Electrically Heated Catalyst)13と、空気調和装置14とを有してもよい。電力消費機器11は、モータ3と異なる電気的な負荷である。電気加熱式触媒装置13は、エンジン1に連結された排気管に配置されて、排気ガスを触媒の作用により浄化する後処理装置である。電気加熱式触媒装置13には、所定値以上の比較的大きな消費電力量を有するヒータが設けられている。例えば、電気加熱式触媒装置13は、ヒータを加熱して触媒を活性化し、その触媒の作用により排気ガスを浄化することができる。空気調和装置14は、車内の温度または湿度などを調整するもので、例えばエアコンディショナーなどから構成されてもよい。空気調和装置14は、所定値以上の消費電力量を有する。例えば、空気調和装置14は、所定値以上の比較的大きな電力を消費する圧縮機などを有し、それらの機器を駆動して冷房サイクルまたは暖房サイクルを構成する。
【0025】
消費用バッテリ12は、電力消費機器11に接続され、蓄電した電力を電力消費機器11に供給する。例えば、消費用バッテリ12は、駆動用バッテリ8から供給される電力を蓄電し、その電力を電気加熱式触媒装置13または空気調和装置14に供給する。消費用バッテリ12は、例えば、リチウムイオンバッテリおよびニッケル水素バッテリなどから構成されてもよい。なお、消費用バッテリ12は、本開示の第2バッテリを構成する。
【0026】
なお、制御装置5は1以上のプロセッサで構成されていてもよく、制御装置の機能は、コンピュータプログラムを1以上のプロセッサが実行することにより実現させることもできる。例えば、コンピュータの読取装置が、制御装置5の機能を実現するためのプログラムを記録した記録媒体からそのプログラムを読み取り、記憶装置に記憶させる。そして、CPU(Central Processing Unit)が、記憶装置に記憶されたプログラムをRAM(Random Access Memory)にコピーし、そのプログラムに含まれる命令をRAMから順次読み出して実行することにより、制御装置5の機能を実現することができる。
【0027】
次に、本実施形態の動作について、
図2のフローチャートを参照して説明する。
【0028】
まず、
図1に示すように、エンジン1およびモータ3が駆動されて、車両が走行される。そして、ステップS1で、制御装置5の検出部9が、駆動用バッテリ8の充電情報を検出する。このとき、検出部9は、充電状態、満充電状態の維持時間、駆動用バッテリ8の温度、駆動用バッテリ8の環境温度、および駆動用バッテリの充放電の頻度のうち、少なくとも1つの充電情報を検出してもよい。検出部9は、検出された駆動用バッテリ8の充電情報を制御部10に出力する。
【0029】
また、検出部9は、モータ3における回生電力の発生を示す回生情報を検出してもよい。回生情報は、例えば、アクセル開度、ブレーキ操作の有無、車両速度の変化、駆動用バッテリ8の蓄電量の変化、または駆動用バッテリ8に供給される電力量などを含んでもよい。検出部9は、回生情報を検出すると、その回生情報を制御部10に出力する。
【0030】
制御部10は、検出部9から回生情報を入力すると、ステップS2で、回生情報に基づいてモータ3において回生電力が発生しているか否か、すなわち駆動用バッテリ8に回生電力が充電されているか否かを判定する。例えば、制御部10は、アクセル開度が所定値以下で、ブレーキ操作があり、さらにブレーキシステムおよびハイブリッドシステムに異常がない場合に、回生電力が発生していると判定してもよい。制御部10は、回生電力が発生していないと判定した場合、処理を終了する。
【0031】
一方、制御部10は、回生電力が発生していると判定した場合、ステップS3で、検出部9から入力される充電情報に基づいて、駆動用バッテリ8の劣化が充電により促進するか否かを判定する。ここで、制御部10は、充電状態、満充電状態の維持時間、駆動用バッテリ8の温度、駆動用バッテリ8の環境温度、または駆動用バッテリ8の充放電の頻度などの充電情報について、駆動用バッテリ8の劣化が促進する閾値を予め設定してもよい。
【0032】
例えば、制御部10は、駆動用バッテリ8の充電状態が所定の閾値より高いか否かを判定し、所定の閾値より高い場合に、駆動用バッテリ8の劣化が促進すると判定してもよい。また、制御部10は、駆動用バッテリ8の満充電状態の維持時間が所定の閾値より長いか否かを判定し、所定の閾値より長い場合に、駆動用バッテリ8の劣化が促進すると判定してもよい。また、制御部10は、駆動用バッテリ8の温度が所定の閾値より高いか否かを判定し、所定の閾値より高い場合に、駆動用バッテリ8の劣化が促進すると判定してもよい。また、制御部10は、駆動用バッテリ8の環境温度が所定の閾値より高いか否かを判定し、所定の閾値より高い場合に、駆動用バッテリ8の劣化が促進すると判定してもよい。また、制御部10は、駆動用バッテリ8の充放電の頻度が所定の閾値より高いか否かを判定し、所定の閾値より高い場合に、駆動用バッテリ8の劣化が促進すると判定してもよい。
【0033】
制御部10は、駆動用バッテリ8の劣化が促進しないと判定された場合、ステップS4に進んで、モータ3から供給される回生電力を駆動用バッテリ8に充電させる。すなわち、制御部10は、モータ3を駆動用バッテリ8に接続するように切換部7を切り換える。これにより、モータ3で発生した回生電力は、インバータ4および切換部7を介して駆動用バッテリ8に供給される。そして、駆動用バッテリ8には、回生電力が順次充電されることになる。
【0034】
一方、制御部10は、駆動用バッテリ8の劣化が促進すると判定された場合、ステップS5に進んで、駆動用バッテリ8の充電を停止させる。すなわち、制御部10は、モータ3を電力消費部6に接続するように切換部7を切り換える。例えば、制御部10は、モータ3を消費用バッテリ12に接続するように切換部7を切り換えてもよい。これにより、モータ3で発生した回生電力は、インバータ4および切換部7を介して消費用バッテリ12に供給される。そして、消費用バッテリ12には、回生電力が順次充電されることになる。
【0035】
このように、制御部10は、駆動用バッテリ8の劣化が促進すると判定された場合には、回生電力による駆動用バッテリ8の充電を停止する。これにより、制御装置5は、回生電力の充電による駆動用バッテリ8の劣化を抑制し、駆動用バッテリ8を長期間にわたって使用することができる。そして、制御装置5は、駆動用バッテリ8の性能劣化による車両の燃費の低下を抑制し、車両の性能を維持するコストを抑制することができる。
【0036】
また、制御部10は、駆動用バッテリ8の劣化が促進すると判定された場合、モータ3を消費用バッテリ12に接続するように切換部7を切り換える。これにより、制御装置5は、駆動用バッテリ8の劣化を抑制しつつ車両の回生ブレーキを維持することができる。そして、制御装置5は、車両の燃費の低下を大きく抑制することができる。
【0037】
また、制御部10は、モータ3を電力消費機器11に接続するように切換部7を切り換えてもよい。例えば、制御部10は、所定値以上の消費電力量を有する電気加熱式触媒装置13または空気調和装置14に接続するように切換部7を切り換えてもよい。このとき、制御部10は、電力消費機器11の駆動情報を取得し、電力消費機器11が駆動している場合に、その電力消費機器11にモータ3が接続されるように切換部7を切り換えてもよい。これにより、制御装置5は、モータ3で生じた回生電力を電力消費機器11で確実に消費することができる。このため、制御装置5は、駆動用バッテリ8の劣化を抑制しつつ車両の回生ブレーキを維持することができる。そして、制御装置5は、車両の燃費の低下を大きく抑制することができる。なお、制御部10は、電力消費機器11が駆動していない場合、モータ3を電力消費機器11に接続せずに、モータ3と駆動用バッテリ8との接続を単に切り離してもよい。また、制御部10は、駆動用バッテリ8が満充電の場合も同様に、モータ3と駆動用バッテリ8との接続を切り離してよい。
【0038】
また、制御部10は、複数の電力消費機器11のうち、所定値以上の消費電力量を有する電気加熱式触媒装置13または空気調和装置14が優先的にモータ3に接続されるように切換部7を切り換えてもよい。これにより、制御装置5は、モータ3で生じた回生電力をより確実に消費することができる。
【0039】
また、制御部10は、上記のように駆動用バッテリ8の充放電の頻度が所定の閾値より高い場合に、駆動用バッテリ8の劣化が促進すると判定する。一般的に、回生電力の発生頻度は、道路状況などに応じて大きく増加する場合がある。回生電力の発生頻度が増加すると、駆動用バッテリ8において充放電が高頻度で発生するため、駆動用バッテリ8の劣化が大きく促進するおそれがあった。そこで、制御部10は、駆動用バッテリ8の充放電の頻度が所定の閾値より高い場合に、回生電力による駆動用バッテリ8の充電を停止する。これにより、制御装置5は、駆動用バッテリ8の劣化を確実に抑制することができる。
【0040】
本実施形態によれば、駆動用バッテリ8が、車両を駆動するモータ3に電気的に接続され、そのモータ3の回生電力を充電する。また、検出部9が、駆動用バッテリ8の充電情報を検出する。そして、制御部10が、充電情報に基づいて駆動用バッテリ8の劣化が充電により促進するか否かを判定し、駆動用バッテリ8の劣化が促進すると判定された場合には、回生電力による駆動用バッテリ8の充電を停止する。このため、制御装置5は、回生電力の充電による駆動用バッテリ8の劣化を抑制することができる。
【0041】
なお、上記の実施形態では、制御部10は、モータ3を電力消費部6に接続するように切換部7を切り換えたが、回生電力による駆動用バッテリ8の充電を停止すればよく、これに限定されない。例えば、制御部10は、モータ3と駆動用バッテリ8との電気的な接続を切断してもよい。また、制御部10は、モータ3とトランスミッション2との物理的な接続を切断してもよい。
【0042】
また、上記の実施形態では、制御部10は、ステップS2およびS3において判定したが、モータ3が回生電力を発生させ且つ駆動用バッテリ8の劣化が充電により促進する場合に回生電力による駆動用バッテリ8の充電を停止すればよく、これに限定されない。例えば、制御部10は、モータ3が回生電力を発生させ且つ駆動用バッテリ8の温度が所定の閾値より高い場合に回生電力を消費用バッテリ12に供給し、モータ3が回生電力を発生させ且つ駆動用バッテリ8の温度が所定の閾値以下である場合に回生電力を駆動用バッテリ8に供給してもよい。また、制御部10は、モータ3が回生電力を発生させ且つ駆動用バッテリ8の満充電状態の維持時間が所定の閾値より高い場合に回生電力を消費用バッテリ12に供給し、モータ3が回生電力を発生させ且つ駆動用バッテリ8の満充電状態の維持時間が所定の閾値以下である場合に回生電力を駆動用バッテリ8に供給してもよい。
【0043】
その他、上記の実施形態は、何れも本発明の実施をするにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその要旨、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。例えば、上記の実施形態で説明した各部の形状や個数などについての開示はあくまで例示であり、適宜変更して実施することができる。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本開示に係る充電制御装置は、車両を駆動するモータの回生電力を充電する装置に利用できる。
【符号の説明】
【0045】
1 エンジン
2 トランスミッション
3 モータ
4 インバータ
5 制御装置
6 電力消費部
7 切換部
8 駆動用バッテリ
9 検出部
10 制御部
11 電力消費機器
12 消費用バッテリ
13 電気加熱式触媒装置
14 空気調和装置
【手続補正書】
【提出日】2024-10-21
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両を駆動するモータに電気的に接続され、前記モータの回生電力を充電する駆動用バッテリと、
前記駆動用バッテリの充電情報を検出する検出部と、
前記モータとの電気的な接続を、前記駆動用バッテリと電力消費部との間で切り換える切換部と、
前記充電情報に基づいて前記駆動用バッテリの劣化が充電により促進するか否かを判定し、前記駆動用バッテリの劣化が促進すると判定された場合には、前記回生電力による前記駆動用バッテリの充電を停止する制御部と、を備え、
前記電力消費部は、所定値以上の消費電力量を有する電力消費機器と、前記電力消費機器に電力を供給する消費用バッテリと、を含み、
前記制御部は、前記駆動用バッテリの劣化が促進すると判定された場合において、さらに前記電力消費機器が駆動している場合には、前記モータを前記電力消費機器に接続するように前記切換部を切り換え、前記電力消費機器が駆動していない場合には、前記モータを前記消費用バッテリに接続するように前記切換部を切り換えることにより前記駆動用バッテリの充電を停止する、
充電制御装置。
【請求項2】
前記検出部は、前記駆動用バッテリの充放電の頻度を検出し、
前記制御部は、前記充放電の頻度が所定の閾値より高い場合に、前記駆動用バッテリの劣化が促進すると判定する請求項1に記載の充電制御装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、充電制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、モータを駆動して走行する電気自動車またはハイブリッド自動車などの電動車両において、バッテリの充電を制御する充電制御装置が提案されている。ここで、バッテリは、その充電状況に応じて劣化が大きく進行するおそれがある。例えば、リチウムイオン電池は、充放電を繰り返すことで電極構造が変化し、充電容量が低下するおそれがある。このため、充電制御装置は、バッテリの劣化を抑制するように充電を制御することが求められる。
【0003】
そこで、バッテリの劣化を抑制する技術として、例えば、特許文献1には、充電中のバッテリに過電圧が印加されるのを抑制してバッテリを保護する充電制御装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の充電制御装置は、外部電源で充電するときのバッテリの劣化を抑制するものである。例えば、車両の走行中には、モータで生じた回生電力がバッテリに順次充電されており、バッテリの劣化を抑制するように回生電力を充電することが困難であった。
【0006】
本開示は、回生電力の充電によるバッテリの劣化を抑制する充電制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示に係る充電制御装置は、車両を駆動するモータに電気的に接続され、前記モータの回生電力を充電する駆動用バッテリと、前記駆動用バッテリの充電情報を検出する検出部と、前記モータとの電気的な接続を、前記駆動用バッテリと電力消費部との間で切り換える切換部と、前記充電情報に基づいて前記駆動用バッテリの劣化が充電により促進するか否かを判定し、前記駆動用バッテリの劣化が促進すると判定された場合には、前記回生電力による前記駆動用バッテリの充電を停止する制御部と、を備え、前記電力消費部は、所定値以上の消費電力量を有する電力消費機器と、前記電力消費機器に電力を供給する消費用バッテリと、を含み、前記制御部は、前記駆動用バッテリの劣化が促進すると判定された場合において、さらに前記電力消費機器が駆動している場合には、前記モータを前記電力消費機器に接続するように前記切換部を切り換え、前記電力消費機器が駆動していない場合には、前記モータを前記消費用バッテリに接続するように前記切換部を切り換えることにより前記駆動用バッテリの充電を停止するものである。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、回生電力の充電によるバッテリの劣化を抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本開示の一実施形態に係る充電制御装置を備えた車両の構成を示す図である。
【
図2】一実施形態の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示に係る実施形態を添付図面に基づいて説明する。
【0011】
図1に、本開示の実施形態に係る充電制御装置を備えた車両の構成を示す。この車両は、ハイブリッド電気自動車であり、エンジン1と、トランスミッション2と、モータ3と、インバータ4と、制御装置5と、電力消費部6とを有する。なお、車両は、モータで駆動する電動車両であればよく、ハイブリッド電気自動車に限定されるものではない。また、車両としては、例えば、商用車(例えばトラック)などが挙げられる。
【0012】
エンジン1は、燃料を燃焼して車両を走行するための駆動力を発生させるもので、出力軸を介して、その駆動力をトランスミッション2に出力する。エンジン1は、例えば、吸気行程、圧縮行程、膨張行程および排気行程の4つの行程を繰り返す、いわゆる4ストローク機関から構成される。エンジン1としては、例えば、ディーゼルエンジンなどが挙げられる。
【0013】
トランスミッション2は、エンジン1の出力軸から出力された回転速度を変速してプロペラシャフトなどに出力する。これにより、エンジン1の駆動力が車輪に伝達されることになる。
【0014】
モータ3は、トランスミッション2を介してプロペラシャフトなどに接続され、制御装置5からインバータ4を介して供給される電力により回転して、その駆動力をプロペラシャフトに出力する。また、モータ3は、車両の減速に応じて回生発電して、その電力をインバータ4を介して制御装置5に供給する。モータ3は、例えば、モータジェネレータから構成されてもよい。
【0015】
インバータ4は、モータ3と制御装置5にそれぞれ電気的に接続され、制御装置5から供給される直流電力を交流電力に変換してモータ3に供給する。また、インバータ4は、モータ3で回生発電された交流電力を直流電力に変換して制御装置5に供給する。
【0016】
制御装置5は、本開示の充電制御装置を構成するもので、切換部7と、駆動用バッテリ8と、検出部9と、制御部10とを有する。制御装置5は、駆動用バッテリ8からモータ3へ電力を供給するための放電、および、モータ3もしくは不図示の外部電力受付部を介して供給された電力による駆動用バッテリ8の充電、を制御する。
【0017】
切換部7は、インバータ4、駆動用バッテリ8および電力消費部6にそれぞれ電気的に接続され、モータ3との電気的な接続を、駆動用バッテリ8と電力消費部6との間で切り換える。
【0018】
駆動用バッテリ8は、インバータ4および切換部7を介してモータ3に接続され、蓄電した電力をモータ3に供給する。また、駆動用バッテリ8は、モータ3で回生発電された電力を充電する。駆動用バッテリ8は、例えば、リチウムイオンバッテリまたはニッケル水素バッテリなどから構成されてもよい。なお、駆動用バッテリ8は、本開示の第1バッテリを構成する。
【0019】
検出部9は、駆動用バッテリ8の充電情報を検出するもので、駆動用バッテリ8に対応して配置される。また、検出部9は、制御部10に電気的に接続され、検出した充電情報を制御部10に出力する。ここで、充電情報は、駆動用バッテリ8の劣化(例えば蓄電容量の低下)を引き起こす充電状況または充電環境などに関する情報である。具体的には、充電情報は、充電状態(SOC:State Of Charge)、満充電状態(蓄電量が所定値以上)の維持時間、駆動用バッテリ8の温度(例えば冷えまたは発熱など)、駆動用バッテリ8の環境温度、駆動用バッテリの充放電の頻度などを含んでもよい。検出部9は、例えば、電圧計、電流計、タイマ、温度計、アクセル開度センサ、ブレーキ操作センサ、車速センサなどのセンサから構成してもよい。
【0020】
制御部10は、検出部9で検出される充電情報に基づいて、駆動用バッテリ8の劣化が充電により促進するか否かを判定する。そして、制御部10は、駆動用バッテリ8の劣化が促進すると判定された場合には、回生電力による駆動用バッテリ8の充電を停止する。具体的には、制御部10は、切換部7に接続されており、駆動用バッテリ8の劣化が促進すると判定された場合、モータ3を電力消費部6に接続するように切換部7を切り換えることにより駆動用バッテリ8の充電を停止する。
【0021】
電力消費部6は、電力消費機器11と、消費用バッテリ12とを有する。ここで、切換部7は、消費用バッテリ12に接続されてもよいし、電力消費機器11に接続されてもよい。
【0022】
電力消費機器11は、車両に搭載された電力を消費する機器から構成され、例えば、電気加熱式触媒装置(EHC:Electrically Heated Catalyst)13と、空気調和装置14とを有してもよい。電力消費機器11は、モータ3と異なる電気的な負荷である。電気加熱式触媒装置13は、エンジン1に連結された排気管に配置されて、排気ガスを触媒の作用により浄化する後処理装置である。電気加熱式触媒装置13には、所定値以上の比較的大きな消費電力量を有するヒータが設けられている。例えば、電気加熱式触媒装置13は、ヒータを加熱して触媒を活性化し、その触媒の作用により排気ガスを浄化することができる。空気調和装置14は、車内の温度または湿度などを調整するもので、例えばエアコンディショナーなどから構成されてもよい。空気調和装置14は、所定値以上の消費電力量を有する。例えば、空気調和装置14は、所定値以上の比較的大きな電力を消費する圧縮機などを有し、それらの機器を駆動して冷房サイクルまたは暖房サイクルを構成する。
【0023】
消費用バッテリ12は、電力消費機器11に接続され、蓄電した電力を電力消費機器11に供給する。例えば、消費用バッテリ12は、駆動用バッテリ8から供給される電力を蓄電し、その電力を電気加熱式触媒装置13または空気調和装置14に供給する。消費用バッテリ12は、例えば、リチウムイオンバッテリおよびニッケル水素バッテリなどから構成されてもよい。なお、消費用バッテリ12は、本開示の第2バッテリを構成する。
【0024】
なお、制御装置5は1以上のプロセッサで構成されていてもよく、制御装置の機能は、コンピュータプログラムを1以上のプロセッサが実行することにより実現させることもできる。例えば、コンピュータの読取装置が、制御装置5の機能を実現するためのプログラムを記録した記録媒体からそのプログラムを読み取り、記憶装置に記憶させる。そして、CPU(Central Processing Unit)が、記憶装置に記憶されたプログラムをRAM(Random Access Memory)にコピーし、そのプログラムに含まれる命令をRAMから順次読み出して実行することにより、制御装置5の機能を実現することができる。
【0025】
次に、本実施形態の動作について、
図2のフローチャートを参照して説明する。
【0026】
まず、
図1に示すように、エンジン1およびモータ3が駆動されて、車両が走行される。そして、ステップS1で、制御装置5の検出部9が、駆動用バッテリ8の充電情報を検出する。このとき、検出部9は、充電状態、満充電状態の維持時間、駆動用バッテリ8の温度、駆動用バッテリ8の環境温度、および駆動用バッテリの充放電の頻度のうち、少なくとも1つの充電情報を検出してもよい。検出部9は、検出された駆動用バッテリ8の充電情報を制御部10に出力する。
【0027】
また、検出部9は、モータ3における回生電力の発生を示す回生情報を検出してもよい。回生情報は、例えば、アクセル開度、ブレーキ操作の有無、車両速度の変化、駆動用バッテリ8の蓄電量の変化、または駆動用バッテリ8に供給される電力量などを含んでもよい。検出部9は、回生情報を検出すると、その回生情報を制御部10に出力する。
【0028】
制御部10は、検出部9から回生情報を入力すると、ステップS2で、回生情報に基づいてモータ3において回生電力が発生しているか否か、すなわち駆動用バッテリ8に回生電力が充電されているか否かを判定する。例えば、制御部10は、アクセル開度が所定値以下で、ブレーキ操作があり、さらにブレーキシステムおよびハイブリッドシステムに異常がない場合に、回生電力が発生していると判定してもよい。制御部10は、回生電力が発生していないと判定した場合、処理を終了する。
【0029】
一方、制御部10は、回生電力が発生していると判定した場合、ステップS3で、検出部9から入力される充電情報に基づいて、駆動用バッテリ8の劣化が充電により促進するか否かを判定する。ここで、制御部10は、充電状態、満充電状態の維持時間、駆動用バッテリ8の温度、駆動用バッテリ8の環境温度、または駆動用バッテリ8の充放電の頻度などの充電情報について、駆動用バッテリ8の劣化が促進する閾値を予め設定してもよい。
【0030】
例えば、制御部10は、駆動用バッテリ8の充電状態が所定の閾値より高いか否かを判定し、所定の閾値より高い場合に、駆動用バッテリ8の劣化が促進すると判定してもよい。また、制御部10は、駆動用バッテリ8の満充電状態の維持時間が所定の閾値より長いか否かを判定し、所定の閾値より長い場合に、駆動用バッテリ8の劣化が促進すると判定してもよい。また、制御部10は、駆動用バッテリ8の温度が所定の閾値より高いか否かを判定し、所定の閾値より高い場合に、駆動用バッテリ8の劣化が促進すると判定してもよい。また、制御部10は、駆動用バッテリ8の環境温度が所定の閾値より高いか否かを判定し、所定の閾値より高い場合に、駆動用バッテリ8の劣化が促進すると判定してもよい。また、制御部10は、駆動用バッテリ8の充放電の頻度が所定の閾値より高いか否かを判定し、所定の閾値より高い場合に、駆動用バッテリ8の劣化が促進すると判定してもよい。
【0031】
制御部10は、駆動用バッテリ8の劣化が促進しないと判定された場合、ステップS4に進んで、モータ3から供給される回生電力を駆動用バッテリ8に充電させる。すなわち、制御部10は、モータ3を駆動用バッテリ8に接続するように切換部7を切り換える。これにより、モータ3で発生した回生電力は、インバータ4および切換部7を介して駆動用バッテリ8に供給される。そして、駆動用バッテリ8には、回生電力が順次充電されることになる。
【0032】
一方、制御部10は、駆動用バッテリ8の劣化が促進すると判定された場合、ステップS5に進んで、駆動用バッテリ8の充電を停止させる。すなわち、制御部10は、モータ3を電力消費部6に接続するように切換部7を切り換える。例えば、制御部10は、モータ3を消費用バッテリ12に接続するように切換部7を切り換えてもよい。これにより、モータ3で発生した回生電力は、インバータ4および切換部7を介して消費用バッテリ12に供給される。そして、消費用バッテリ12には、回生電力が順次充電されることになる。
【0033】
このように、制御部10は、駆動用バッテリ8の劣化が促進すると判定された場合には、回生電力による駆動用バッテリ8の充電を停止する。これにより、制御装置5は、回生電力の充電による駆動用バッテリ8の劣化を抑制し、駆動用バッテリ8を長期間にわたって使用することができる。そして、制御装置5は、駆動用バッテリ8の性能劣化による車両の燃費の低下を抑制し、車両の性能を維持するコストを抑制することができる。
【0034】
また、制御部10は、駆動用バッテリ8の劣化が促進すると判定された場合、モータ3を消費用バッテリ12に接続するように切換部7を切り換える。これにより、制御装置5は、駆動用バッテリ8の劣化を抑制しつつ車両の回生ブレーキを維持することができる。そして、制御装置5は、車両の燃費の低下を大きく抑制することができる。
【0035】
また、制御部10は、モータ3を電力消費機器11に接続するように切換部7を切り換えてもよい。例えば、制御部10は、所定値以上の消費電力量を有する電気加熱式触媒装置13または空気調和装置14に接続するように切換部7を切り換えてもよい。このとき、制御部10は、電力消費機器11の駆動情報を取得し、電力消費機器11が駆動している場合に、その電力消費機器11にモータ3が接続されるように切換部7を切り換えてもよい。これにより、制御装置5は、モータ3で生じた回生電力を電力消費機器11で確実に消費することができる。このため、制御装置5は、駆動用バッテリ8の劣化を抑制しつつ車両の回生ブレーキを維持することができる。そして、制御装置5は、車両の燃費の低下を大きく抑制することができる。なお、制御部10は、電力消費機器11が駆動していない場合、モータ3を電力消費機器11に接続せずに、モータ3と駆動用バッテリ8との接続を単に切り離してもよい。また、制御部10は、駆動用バッテリ8が満充電の場合も同様に、モータ3と駆動用バッテリ8との接続を切り離してよい。
【0036】
また、制御部10は、複数の電力消費機器11のうち、所定値以上の消費電力量を有する電気加熱式触媒装置13または空気調和装置14が優先的にモータ3に接続されるように切換部7を切り換えてもよい。これにより、制御装置5は、モータ3で生じた回生電力をより確実に消費することができる。
【0037】
また、制御部10は、上記のように駆動用バッテリ8の充放電の頻度が所定の閾値より高い場合に、駆動用バッテリ8の劣化が促進すると判定する。一般的に、回生電力の発生頻度は、道路状況などに応じて大きく増加する場合がある。回生電力の発生頻度が増加すると、駆動用バッテリ8において充放電が高頻度で発生するため、駆動用バッテリ8の劣化が大きく促進するおそれがあった。そこで、制御部10は、駆動用バッテリ8の充放電の頻度が所定の閾値より高い場合に、回生電力による駆動用バッテリ8の充電を停止する。これにより、制御装置5は、駆動用バッテリ8の劣化を確実に抑制することができる。
【0038】
本実施形態によれば、駆動用バッテリ8が、車両を駆動するモータ3に電気的に接続され、そのモータ3の回生電力を充電する。また、検出部9が、駆動用バッテリ8の充電情報を検出する。そして、制御部10が、充電情報に基づいて駆動用バッテリ8の劣化が充電により促進するか否かを判定し、駆動用バッテリ8の劣化が促進すると判定された場合には、回生電力による駆動用バッテリ8の充電を停止する。このため、制御装置5は、回生電力の充電による駆動用バッテリ8の劣化を抑制することができる。
【0039】
なお、上記の実施形態では、制御部10は、モータ3を電力消費部6に接続するように切換部7を切り換えたが、回生電力による駆動用バッテリ8の充電を停止すればよく、これに限定されない。例えば、制御部10は、モータ3と駆動用バッテリ8との電気的な接続を切断してもよい。また、制御部10は、モータ3とトランスミッション2との物理的な接続を切断してもよい。
【0040】
また、上記の実施形態では、制御部10は、ステップS2およびS3において判定したが、モータ3が回生電力を発生させ且つ駆動用バッテリ8の劣化が充電により促進する場合に回生電力による駆動用バッテリ8の充電を停止すればよく、これに限定されない。例えば、制御部10は、モータ3が回生電力を発生させ且つ駆動用バッテリ8の温度が所定の閾値より高い場合に回生電力を消費用バッテリ12に供給し、モータ3が回生電力を発生させ且つ駆動用バッテリ8の温度が所定の閾値以下である場合に回生電力を駆動用バッテリ8に供給してもよい。また、制御部10は、モータ3が回生電力を発生させ且つ駆動用バッテリ8の満充電状態の維持時間が所定の閾値より高い場合に回生電力を消費用バッテリ12に供給し、モータ3が回生電力を発生させ且つ駆動用バッテリ8の満充電状態の維持時間が所定の閾値以下である場合に回生電力を駆動用バッテリ8に供給してもよい。
【0041】
その他、上記の実施形態は、何れも本発明の実施をするにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその要旨、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。例えば、上記の実施形態で説明した各部の形状や個数などについての開示はあくまで例示であり、適宜変更して実施することができる。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本開示に係る充電制御装置は、車両を駆動するモータの回生電力を充電する装置に利用できる。
【符号の説明】
【0043】
1 エンジン
2 トランスミッション
3 モータ
4 インバータ
5 制御装置
6 電力消費部
7 切換部
8 駆動用バッテリ
9 検出部
10 制御部
11 電力消費機器
12 消費用バッテリ
13 電気加熱式触媒装置
14 空気調和装置