(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025035705
(43)【公開日】2025-03-14
(54)【発明の名称】タイムライン提示システム
(51)【国際特許分類】
G16H 20/00 20180101AFI20250307BHJP
G16H 50/20 20180101ALI20250307BHJP
【FI】
G16H20/00
G16H50/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023142928
(22)【出願日】2023-09-04
(71)【出願人】
【識別番号】307010166
【氏名又は名称】第一三共株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100139066
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】藤田 浩行
(72)【発明者】
【氏名】西窪 祐一
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA01
5L099AA04
5L099AA21
(57)【要約】
【課題】患者の治療を支援する。
【解決手段】本開示の一実施形態に係るプログラムは、コンピュータ70を、患者の治療方針の決定に用いられる患者背景情報を取得する取得手段100と、患者背景情報に基づいて、患者の治療と関連性が高いと推定される治療関連コンテンツを決定する第1決定手段104aと、患者背景情報に基づいて生成されたタイムラインが、患者の端末装置3aにおいて表示されるように制御する第1表示制御手段108aであって、タイムラインは、治療関連コンテンツを含む、第1表示制御手段108aと、として機能させる。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータを、
患者の治療方針の決定に用いられる患者背景情報を取得する取得手段と、
前記患者背景情報に基づいて、前記患者の治療と関連性が高いと推定される治療関連コンテンツを決定する第1決定手段と、
前記患者背景情報に基づいて生成されたタイムラインが前記患者の端末装置において表示されるように制御する第1表示制御手段であって、前記タイムラインは、前記治療関連コンテンツを含む、第1表示制御手段と、
として機能させる、プログラム。
【請求項2】
前記患者は、がん、白血病、肉腫、骨髄腫、脳卒中、心筋梗塞、高血圧性疾患、糖尿病、肝硬変、慢性腎不全及びうつ病、統合失調症及び認知症の少なくともいずれかを含む慢性疾患を罹患している者である、請求項1に記載のプログラム。
【請求項3】
前記患者は、がん患者である、請求項2に記載のプログラム。
【請求項4】
前記患者背景情報は、前記患者の、がんのタイプ、がんのステージ、がんの症状、診断時の状況、身体の状態及び精神の状態の少なくともいずれかに関する疾患背景情報を含む、請求項3に記載のプログラム。
【請求項5】
前記患者背景情報は、前記患者の、治療スケジュール、治療歴、補助治療歴、治療に関する価値観、治療上の関心又は悩みの少なくともいずれかに関する治療背景情報を含む、請求項1に記載のプログラム。
【請求項6】
前記患者背景情報は、前記患者の治療以外のイベントに関するイベント情報をさらに含み、
前記第1表示制御手段は、前記タイムラインを、前記治療スケジュール及び前記イベントを識別可能な態様で表示させるように制御する、請求項5に記載のプログラム。
【請求項7】
コンピュータを、
少なくとも前記イベント情報に基づいて、前記患者に関連性が高いと推定されるイベント関連コンテンツを決定する第2決定手段、としてさらに機能させ、
前記タイムラインは、前記イベント関連コンテンツをさらに含む、請求項6に記載のプログラム。
【請求項8】
前記治療背景情報は、前記患者の治療に関する第1スケジュール及び第2スケジュールに関する情報を含み、
前記治療関連コンテンツは、前記第1スケジュールに関連する第1コンテンツと、前記第2スケジュールに関連する第2コンテンツとを含み、
前記第1表示制御手段は、前記タイムラインにおいて、前記第1スケジュールに対して前記第1コンテンツが関連付けて表示されるように制御するとともに、前記第2スケジュールに対して前記第2コンテンツが関連付けて表示されるように制御する、請求項5に記載のプログラム。
【請求項9】
前記第1決定手段は、前記治療スケジュールに関連付けられた時点までの残り期間に基づいて、前記治療関連コンテンツを決定する、請求項5に記載のプログラム。
【請求項10】
前記コンピュータを、
前記患者の疾患又は治療に関する質問が前記患者の端末装置において表示されるように制御する第2表示制御手段と、
前記質問に対する回答を受け付ける受付手段と、
としてさらに機能させ、
前記患者背景情報は、前記回答に関する情報をさらに含む、請求項1に記載のプログラム。
【請求項11】
前記患者背景情報は、前記患者の年齢、家族構成及び生活上の関心又は悩みの少なくともいずれかに関する情報を含む、請求項1に記載のプログラム。
【請求項12】
前記第1決定手段は、内容の信頼性に関する認定を受けた複数のコンテンツから前記治療関連コンテンツを決定する、請求項1から請求項9のいずれか一項に記載のプログラム。
【請求項13】
患者の治療方針の決定に用いられる患者背景情報を取得する取得部と、
前記患者背景情報に基づいて、前記患者の治療に関連性が高いと推定される治療関連コンテンツを決定する第1決定部と、
前記患者背景情報に基づいて生成されたタイムラインが前記患者の端末装置において表示されるように制御する第1表示制御部であって、前記タイムラインは、前記治療関連コンテンツを含む、第1表示制御部と、
を備える、情報処理装置。
【請求項14】
コンピュータに、
患者の治療方針の決定に用いられる患者背景情報を取得するステップと、
前記患者背景情報に基づいて、前記患者の治療に関連性が高いと推定される治療関連コンテンツを決定するステップと、
前記患者背景情報に基づいて生成されたタイムラインが前記患者の端末装置において表示されるように制御するステップであって、前記タイムラインは、前記治療関連コンテンツを含む、ステップと、
を実行させる、情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タイムライン提示システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ユーザの健康に関する情報を端末装置上に表示する技術が知られている。例えば、特許文献1には、ユーザの健康状態を考慮してユーザにカスタマイズされた健康情報を提供することができ、ユーザの生活習慣情報を収集及び分析することで、ユーザに対して生活習慣分析情報を提供することができるタイムラインベースでのスマートケアシステムが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】韓国公開特許第2020―0031269号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1によっては、患者の治療を十分に支援することができない。例えば、表示される情報の種類に関して、検討の余地がある。
【0005】
そこで、本発明は、上記課題に鑑み、患者の治療を支援することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一実施形態に係るプログラムは、コンピュータを、患者の治療方針の決定に用いられる患者背景情報を取得する取得手段と、患者背景情報に基づいて、患者の治療と関連性が高いと推定される治療関連コンテンツを決定する第1決定手段と、患者背景情報に基づいて生成されたタイムラインが患者の端末装置において表示されるように制御する第1表示制御手段であって、タイムラインは、治療関連コンテンツを含む、第1表示制御手段と、として機能させる。
【0007】
本開示の他の一実施形態に係る情報処理装置は、患者の治療方針の決定に用いられる患者背景情報を取得する取得部と、患者背景情報に基づいて、患者の治療に関連性が高いと推定される治療関連コンテンツを決定する第1決定部と、患者背景情報に基づいて生成されたタイムラインが患者の端末装置において表示されるように制御する第1表示制御部であって、タイムラインは、治療関連コンテンツを含む、第1表示制御部と、を備える。
【0008】
本開示の他の一実施形態に係る情報処理方法は、コンピュータに、患者の治療方針の決定に用いられる患者背景情報を取得するステップと、患者背景情報に基づいて、患者の治療に関連性が高いと推定される治療関連コンテンツを決定するステップと、患者背景情報に基づいて生成されたタイムラインが患者の端末装置において表示されるように制御するステップであって、タイムラインは、治療関連コンテンツを含む、ステップと、を実行させる。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、患者の治療を支援することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図2】情報処理装置2の動作を説明するためのフローチャートである。
【
図3】患者背景情報の一例について説明するための図である。
【
図4】情報処理装置2の動作を説明するための図である。
【
図5】端末装置3の表示画面例について説明するための図である。
【
図6】患者背景情報の一例について説明するための図である。
【
図7】情報処理装置2の動作を説明するための図である。
【
図8】端末装置3の表示画面例について説明するための図である。
【
図9】情報処理装置2のハードウェア構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
添付図面を参照して、本開示の好適な実施形態について説明する。なお、各図において、同一の符号を付したものは、同一又は同様の構成を有する。
【0012】
本開示において、「部」や「手段」、「装置」、「システム」とは、単に物理的手段を意味するものではなく、その「部」や「手段」、「装置」、「システム」が有する機能をソフトウェアによって実現する場合も含む。また、1つの「部」や「手段」、「装置」、「システム」が有する機能が2つ以上の物理的手段や装置、ソフトウェアにより実現されても、2つ以上の「部」や「手段」、「装置」、「システム」の機能が1つの物理的手段や装置、ソフトウェアにより実現されてもよい。
【0013】
<1.システム1の概要>
図1を参照して、本開示に係るシステム1(以下、単に「システム1」と称する)の概要について説明する。システム1によれば、がん患者の背景情報に基づいて生成されたタイムラインを、このがん患者に対して提示することができる。さらに、タイムラインは、がん患者に関連性が高いと推定される治療関連コンテンツを含む。
【0014】
患者は、疾患を罹患していると診断された直後から、インターネット等によりさまざまな情報を検索し得る。しかしながら、インターネットにより得られる情報量は膨大であり、その中には信頼性が低い情報も多数ある。また、患者自身が欲している情報にたどり着けない場合がある。そのため、患者が自力で正確な情報を必要十分なだけ集めることは困難である。
【0015】
また、患者がインターネット上の悲観的な情報(例えば、がんによる心身への影響を過度に煽るような記事)に対して過剰に接触し続けた場合には、うつ病等の精神疾患が誘発されるリスクが高まり得る。疾患の種類によっては、患者は、身体のみならず精神にも多大な影響を受け得る。そのため、そのような疾患を罹患している患者は、悲観的な情報に接触することにより精神疾患が誘発されるリスクが健常者と比較して高いと考えられる。
【0016】
システム1によれば、患者が自身に必要十分な情報を取得することを支援することができる。これにより、システム1は、患者の無用な混乱を抑制し、患者に対して精神的な余裕をもたせることができる。結果として、患者は、治療に対して前向きに取り組むことができるようになる。
【0017】
本開示において、患者は、例えば、がん(肺がん、乳がん、胃がん、大腸がん、子宮がん及び卵巣がん等を含む)、白血病、肉腫、骨髄腫、脳卒中、心筋梗塞、高血圧性疾患、糖尿病、肝硬変、慢性腎不全及び精神疾患(うつ病、統合失調症及び認知症を含む)等の慢性疾患を罹患している者であるとする。以下の実施形態では、患者は、乳がんを罹患している者(以下、「がん患者」と称する)であるとして説明するが、本開示の適用範囲はこれに限定されない。
【0018】
<2.システム1の機能構成>
図1を参照して、システム1の構成の一例について説明する。システム1は、情報処理装置2、患者用端末装置3a、家族用端末装置3b、医師用端末装置3c及び通信ネットワーク5を含む。以下、患者用端末装置3a、家族用端末装置3b及び医師用端末装置3cを特に区別しないときは、これらをまとめて「端末装置3」と称する。情報処理装置2及び端末装置3は、通信ネットワーク5を介して互いに通信可能に構成されている。以下では、各装置の詳細について説明する。
【0019】
[情報処理装置2]
情報処理装置2は、端末装置3をクライアント装置とするサーバ装置である。情報処理装置2は、典型的には、webサーバ装置である。
【0020】
情報処理装置2は、制御部10、記憶部14、ネットワークインタフェース部16及びバス18を含む。制御部10、記憶部14及びネットワークインタフェース部16は、バス18を介して互いに電気的に接続されている。
【0021】
―記憶部14―
記憶部14は、情報処理装置2が動作するために必要となる各種情報を記憶する。記憶部14は、後述する制御部10が実行する各種プログラムを記憶する。また、記憶部14は、がん患者の疾患及び治療等の背景に関する患者背景情報を記憶する。患者背景情報は、疾患背景情報、治療背景情報、イベント情報、回答情報及びがん患者に関するその他の情報を含む。
【0022】
(疾患背景情報)
疾患背景情報は、がん患者の疾患の状態に関する情報である。疾患背景情報は、がん患者の、がんのタイプ、がんのステージ、診断時の状況、がんの症状、身体の状態及び精神の状態の少なくともいずれかに関する情報を含む。
【0023】
本開示において、がんのタイプは、がんに関連するたんぱく質の種類、がんの腫瘍の形状及び成長パターン、及び、遺伝による影響の有無等に基づいて特定される。例えば、がんが乳がんである場合には、がんに関連するたんぱく質の種類に基づいて特定されるがんのタイプとして、ホルモン受容体陽性乳がん、HER2(human epidermal growth factor receptor 2)陽性乳がん及び三重陰性乳がん(いわゆるトリプルネガティブ)等がある。また、がんの腫瘍の形状及び成長パターンに基づいて特定されるがんのタイプとして、浸潤性乳管癌(IDC:invasive ductal carcinoma)、非浸潤性乳管癌(DCIS:ductal carcinoma in situ)、浸潤性小葉癌(ILC:invasive lobular carcinoma)、非浸潤性小葉癌(LCIS:lobular carcinoma in situ)及び乳頭癌等がある。がんのタイプは、がんの治療方針を決定するにあたって重要となる。
【0024】
本開示において、がんのステージは、がんが体内でどの程度広がっているか、及び、各部位においてはどの程度進行しているかを評価するため指標を示す。一実施形態において、がんのステージは、ステージ0~ステージ4(又は、ステージ1~ステージ4)により表現される。この場合、ステージ0(又は、ステージ1)は他のステージと比較して最も軽度な状態を示し、ステージ4は他のステージと比較して最も重篤な状態を示す。また、一実施形態において、がんのステージは、TNM分類に基づいて決定される。この場合、がんのステージは、腫瘍の大きさ(T:Tumor)、リンパ節の転移(N:Node)及び他の臓器への転移(M:Metastasis)により決定される。
【0025】
本開示において、診断時の状況は、診断時において、がん患者が初発であるか再発であるかを示す。がん患者の初発であるか再発であるかによって、身体的又は精神的に必要となる支援は異なり得るため、がんの治療方針を決定するにあたって重要となる。
【0026】
本開示において、がんの症状は、がんが、がん患者の心身に与えている影響を示す。がんの症状には、例えば、体重減少、疲労、眠気、皮膚や眼の色の変化、痛み、食欲不振、吐き気、発熱、しこり、及び咳や息切れ等がある。
【0027】
本開示において、身体の状態は、例えば、がん患者の身体に関する主訴、がんによる身体的な影響の強度、及び、がんによる身体的な症状が出ている期間の長さ等に関する情報を含む。なお、がんによる身体的な影響の強度は、例えば、スケール評価及び点数等により表現される。
【0028】
本開示において、精神の状態は、例えば、がん患者の精神に関する主訴、精神的な落ち込み具合の強度、及び、精神的に落ち込んでいる期間の長さ等に関する情報を含む。なお、精神的な落ち込み具合の強度は、例えば、スケール評価及び点数等により表現される。
【0029】
また、精神の状態は、例えば、治療の先行きの不透明感による不安感、自身の生命が危機にさらされることによる抑うつ感、治療の副作用や経済的な問題によるストレス、一般社会から一時的に隔離されることによる孤独感、及び、治療の過程で失われた身体の機能や特徴の喪失による喪失感等により表現される。
【0030】
(治療背景情報)
治療背景情報は、がん患者の治療の進捗及び方針に関する情報である。治療背景情報は、がん患者の、治療スケジュール、治療歴、補助治療歴、治療に関する価値観(以下、単に「価値観」と称する)及び治療上の関心又は悩み等に関する情報を含む。
【0031】
治療スケジュールは、がん患者の治療の予定である。一実施形態において、治療スケジュールは、治療の内容と、その治療が行われる時点との組み合わせである。また、本開示において、治療は、がん患者の身体の状態又は精神の状態を改善し得る行為を含むものとする。治療は、例えば、手術(腫瘍の切除及び乳房再建等を含む)、入院、退院、通院、投薬、リハビリ、運動、療養、食事及びカウンセリング等である。
【0032】
本開示において、治療歴は、がん患者が過去に行った、がんの腫瘍を除去するため又は縮小させるための治療の履歴であるとする。このような治療の一例は、腫瘍の切除手術、化学療法、ホルモン療法、放射線治療、免疫療法、凍結療法及び焼灼療法等である。
【0033】
本開示において、補助治療歴は、がん患者の身体の状態又は精神の状態を改善し得る治療(ただし、がんの腫瘍を除去等する治療を除く)の履歴であるとする。このような治療は、例えば、乳房再建、運動療法、食事療法及びカウンセリング等を含む。
【0034】
本開示において、価値観は、がん患者がどのようにがんを治療したいかという意志に関する。価値観は、例えば、各治療方法(例えば、手術、投薬及び放射線等)のメリット及びデメリットに対する考え方、治療と日常生活とのバランスに対する考え方、許容可能な副作用や痛みに対する考え方、及び、治療にかけられる時間的又は金銭的なコストに対する考え方等である。がんが乳がんである場合には、価値観は、リスクを受容して乳房を可能な限り残すか、又は、乳房を比較的大きく切除してリスクを可能な限り排除するかという意向を含む。がんは、他の疾患と比較して治療に長期間を要し、がん患者に様々な負担を強いる。そのため、がんの治療方針を決定するにあたって、がん患者の価値観は重要である。
【0035】
(イベント情報)
イベント情報は、がん患者の治療以外のイベントに関する情報である。一実施形態において、イベントは、イベントの内容と、そのイベントに関連付けられた時点(例えば、イベントが行われる時点及びイベントの期限等)との組み合わせである。一実施形態において、イベントは、保険に関するイベント、公的制度に関するイベント及びライフイベントを含む。
【0036】
保険に関するイベントは、保険金の請求に係る手続、及び、保険金の受け取り等を含む。保険は、例えば、医療保険、がん保険、介護保険、所得補償保険及び就業不能保険等である。
【0037】
公的制度に関するイベントは、生活費の助成の申請に係る手続、及び、障害手当の申請に係る手続、就業支援の申請に係る手続等を含む。
【0038】
本開示において、ライフイベントは、がん患者本人又はがん患者の家族の生活上の様々な出来事を示す。ライフイベントは、例えば、本人や家族の、誕生、就学、進学、就職、結婚、出産、教育及び退職等である。
【0039】
がんは、他の疾患と比較して治療に長期間を要する。そのため、がん患者は、治療と、治療以外のイベントとを同時並行的に進行させる必要がある場合がある。すなわち、がん患者の治療方針を決定するにあたっては、がん患者の疾患等に関する情報だけではなく、がん患者の治療以外のイベントについても考慮する必要がある。
【0040】
(回答情報)
回答情報は、がん患者の疾患又は治療に関する質問に対する回答に関する情報である。一実施形態において、患者用端末装置3aは、がん患者の入力に基づいて回答情報を生成する。情報処理装置2は、生成された回答情報を患者用端末装置3aから取得する。
【0041】
がん患者の疾患に関する質問は、例えば、がんのタイプに関する質問、がんのステージに関する質問、診断時の状況に関する質問、がんの症状に関する質問、身体の状態に関する質問、及び、精神の状態に関する質問等である。一実施形態において、これらの質問に対する回答は、回答情報として扱われ、かつ、疾患背景情報としても扱われる。
【0042】
がん患者の治療に関する質問は、例えば、治療スケジュールの希望に関する質問、治療歴の有無に関する質問、補助治療歴の有無に関する質問、価値観に関する質問、及び、治療上の関心又は悩みに関する質問等である。一実施形態において、これらの質問に対する回答は、回答情報として扱われ、かつ、治療背景情報としても扱われる。
【0043】
また、回答情報は、がん患者のイベントに関する質問に対する回答を含んでもよい。がん患者のイベントに関する質問は、例えば、がん患者が加入している民間保険に関する質問、公的制度を受ける意志に関する質問、及び、ライフイベントに関する質問等である。
【0044】
(がん患者に関するその他の情報)
がん患者に関するその他の情報は、例えば、がん患者の、年齢、家族構成、世帯所得、医療費、生活上の関心又は悩み、目標、性別等である。
【0045】
これらの情報も、治療を支援するために有用である場合がある。一般的に、がん患者の年齢が若いほどがんの進行が早いため、年齢に応じて手術の時期を決定することができる。また、家族構成によって、がん患者が選択し得る治療の方針に制限がある場合があると考えられる。また、がん患者の世帯所得によっては、高額な費用がかかる治療(例えば、公的医療保険の対象外となる先進医療等)を行うこと関して制限がある場合があると考えられる。また、がん患者の所得に基づいて、高額療養費制度の適用の可否及びその金額を決定し、がん患者に提示することができる。
【0046】
(コンテンツ情報)
また、一実施形態において、記憶部14は、複数のコンテンツに関するコンテンツ情報を記憶する。一実施形態において、複数のコンテンツのそれぞれは、テキスト、画像、動画、webリンク等により構成される。
【0047】
一実施形態において、複数のコンテンツは、治療関連コンテンツ及びイベント関連コンテンツを含む。
【0048】
治療関連コンテンツは、例えば、がんの基礎知識、がんの検査方法、がんの種類及び特性、がんの治療方法(例えば、病期と治療選択、手術、薬物療法、転移・再発時の治療、セカンドオピニオン、放射線治療、緩和ケア・支持療法等)、がんによる身体的な症状の対応方法、がんによるネガティブな感情の対応方法、がん患者に推奨される食事、医療者とのコミュニケーションの取り方、療養のしかた、臨床試験に関する情報、及び、がん患者が注意すべき感染症や災害等について説明するものである。
【0049】
イベント関連コンテンツは、例えば、保険金の請求の手続、高額療養費制度の適用条件、所得の低下に対する生活費助成、及び、公的制度に基づく就職支援等について説明するものである。
【0050】
なお、複数のコンテンツの少なくとも一部は、治療関連コンテンツであり、かつ、イベント関連コンテンツであり得る。このようなコンテンツの一例は、治療と仕事の両立のしかた、退院後における周囲の人とのコミュニケーションの留意事項、及び、治療中の妊孕性に関する留意事項等である。
【0051】
以下、治療関連コンテンツ及びイベント関連コンテンツを特に区別しないとき、これらをまとめて「関連コンテンツ」と称する。
【0052】
―制御部10―
制御部10は、記憶部14に記憶された各種プログラムを実行することにより、取得手段100、受付手段102、決定手段104、生成手段106及び表示制御手段108として機能する。
【0053】
(取得手段100)
取得手段100は、患者背景情報を取得する。一実施形態において、取得手段100は、端末装置3から患者背景情報を取得する。また、一実施形態において、取得手段100は、他のシステム(例えば、電子カルテに関するシステム、及び、行政機関のシステム等)から患者背景情報を取得する。
【0054】
なお、本開示において、情報を取得することは、当該情報を制御部10において処理可能な状態にすることであるとする。情報を取得することは、他の装置から通信ネットワーク5を介して当該情報を受信すること、及び、記憶部14から当該情報を読み出すことを含む。
【0055】
(受付手段102)
受付手段102は、がん患者の疾患又は治療に関する質問に対する回答を受け付ける。一実施形態において、回答を受け付けることは、回答情報を取得することである。
【0056】
(決定手段104)
決定手段104は、第1決定手段104a及び第2決定手段104bを含む。
【0057】
第1決定手段104aは、患者背景情報に基づいて、がん患者の治療と関連性が高いと推定される治療関連コンテンツを決定する。第1決定手段104aは、疾患背景情報に基づいて、がん患者の疾患について説明する治療関連コンテンツを決定してよい。また、第1決定手段104aは、治療背景情報に基づいて、がん患者の治療について説明する治療関連コンテンツを決定してよい。
【0058】
第2決定手段104bは、少なくともイベント情報に基づいて、がん患者に関連性が高いと推定されるイベント関連コンテンツを決定する。
【0059】
一実施形態において、決定手段104は、ルールベースで関連コンテンツを決定する。具体的には、決定手段104は、複数のコンテンツのそれぞれに関連付けられた条件を参照し、患者背景情報がいずれかのコンテンツに関連付けられた条件を満たしている場合、そのコンテンツを関連コンテンツとして決定する。例えば、「腫瘍切除手術の流れ」というコンテンツに対して、「腫瘍切除手術を1週間以内に行うがん患者であること」という条件が関連付けられている場合、決定手段104は、がんの切除手術を1週間以内行う予定があるがん患者に対して、「腫瘍切除手術の流れ」というコンテンツを治療関連コンテンツとして決定する。
【0060】
他の一実施形態において、決定手段104は、コンテンツの関連度を算出することにより関連コンテンツを決定する。具体的には、決定手段104は、がん患者の患者背景情報に対して、記憶部14に記憶された複数のコンテンツのそれぞれとの関連度を算出し、関連度が高いコンテンツを関連コンテンツとして決定する。
【0061】
「関連度が高いコンテンツ」は、複数のコンテンツのうち、例えば、患者背景情報との関連度が上位の所定数のコンテンツ、患者背景情報との関連度が所定の閾値以上のコンテンツ、及び、患者背景情報との関連度が最も高いコンテンツ等である。
【0062】
一実施形態において、決定手段104は、患者背景情報及びコンテンツの特徴量に基づいて、関連度を算出する。具体的には、患者背景情報と、複数のコンテンツに含まれる所定のコンテンツとの関連度は、患者背景情報に基づいて生成される第1特徴量と、この所定のコンテンツに含まれるテキスト等に基づいて生成される第2特徴量とを比較することによって算出される。この場合、第1特徴量及び第2特徴量の類似度が高いコンテンツに対して、高い関連度が算出される。
【0063】
他の一実施形態において、決定手段104は、予め定義されたリストを参照することにより、患者背景情報及びコンテンツの関連度を算出する。本開示におけるリストは、例えば、患者背景情報に含まれる項目が取り得る値のそれぞれに対して、コンテンツの当該値に応じた関連度が関連付けられた情報である。すなわち、決定手段104は、このリストを参照することにより、患者背景情報のいずれの項目がいずれの値であるかに基づいて、コンテンツの関連度を算出することができる。
【0064】
なお、患者背景情報の項目は、患者背景情報に含まれる情報の属性ということもでき、例えば、「がんのタイプ」、「精神の状態」及び「家族構成」等である。これに対して、項目の値は、項目の具体的な設定値である。例えば、「がんのタイプ」という項目が取り得る値は、「ホルモン受容体陽性乳がん」、「HER2陽性乳がん」及び「三重陰性乳がん」等である。また、「精神の状態」という項目が取り得る値は、「不安感が強い」、「少しストレスを感じる」及び「安心感がある」等である。
【0065】
他の一実施形態において、決定手段104は、機械学習により生成した学習モデルに基づいて関連コンテンツを決定する。この学習モデルは、例えば、複数のがん患者のそれぞれの患者背景情報と、当該複数のがん患者により閲覧されたコンテンツとの関係を学習することにより生成される。この学習モデルに対して患者背景情報を入力することで、当該患者背景情報が関連付けられたがん患者が閲覧する傾向が高いコンテンツがいずれであるかを出力として得ることができる。
【0066】
また、決定手段104は、内容の信頼性に関する認定を受けた複数のコンテンツから関連コンテンツを決定してよい。内容の信頼性に関する認定は、例えば、専門家(例えば、医療者や学者)による監修、所定のガイドラインに基づく審査、及び、自然言語処理技術を利用したAIによる審査等を含む。
【0067】
また、決定手段104は、治療スケジュールに関連付けられた時点までの残り期間に基づいて、治療関連コンテンツを決定してよい。
【0068】
一実施形態において、決定手段104は、治療スケジュールに関連付けられた時点までの残り期間が所定の閾値を下回っている場合、当該治療スケジュールに対応するコンテンツを治療関連コンテンツとして決定する。決定手段104は、例えば、腫瘍切除手術のスケジュールまでの残り期間が1週間(所定の閾値の一例)未満である場合に、「腫瘍切除手術の流れ」というコンテンツ(腫瘍切除手術のスケジュールに対応するコンテンツの一例)を治療関連コンテンツとして決定してよい。
【0069】
他の一実施形態において、決定手段104は、治療スケジュールに関連付けられた時点までの残り期間に応じて、当該治療スケジュールに対応するコンテンツの関連度を算出する。決定手段104は、例えば、腫瘍切除手術のスケジュールが半年後に設定されている場合には「腫瘍切除手術の流れ」というコンテンツの関連度を低く算出し、腫瘍切除手術のスケジュールが1週間後である場合には「腫瘍切除手術の流れ」というコンテンツの関連度を高く算出してよい。
【0070】
(生成手段106)
生成手段106は、患者背景情報に基づいて、関連コンテンツを含むタイムラインを生成する。一実施形態において、タイムラインは、複数の要素(例えば、治療スケジュール及びイベント等)を時系列にしたがって整列させた情報を含む。タイムラインを生成することは、タイムラインを表示するための情報を生成することを含む。
【0071】
なお、「関連コンテンツを含むタイムライン」は、「関連コンテンツが関連付けられたタイムライン」及び「関連コンテンツを閲覧可能に設定されたタイムライン」等と読み替えることができる。すなわち、「関連コンテンツを含むタイムラインを表示すること」は、タイムライン上に関連コンテンツを表示することに限られない。
【0072】
(表示制御手段108)
表示制御手段108は、端末装置3において表示される情報を制御する。表示制御手段108は、第1表示制御手段108a及び第2表示制御手段108bを含む。
【0073】
第1表示制御手段108aは、生成手段106によって生成されたタイムラインが、患者用端末装置3aにおいて表示されるように制御する。タイムラインが患者用端末装置3aにおいて表示されるように制御することは、タイムラインを表示するための情報を患者用端末装置3aに対して送信することを含む。
【0074】
一実施形態において、第1表示制御手段108aは、タイムラインを、治療スケジュール及びイベントを識別可能な態様で表示させる。第1表示制御手段108aは、治療スケジュールと、イベントとのそれぞれを、例えば、異なるマークや色が関連付けられた状態で表示させる。
【0075】
一実施形態において、タイムラインは、複数の治療スケジュールのそれぞれに対して、当該治療スケジュールと関連度が高い治療関連コンテンツが関連付けられた状態で表示される。より具体的には、治療背景情報が、がん患者の治療に関する第1スケジュール及び第2スケジュールに関する情報を含み、かつ、治療関連コンテンツが、第1スケジュールに関連する第1コンテンツと、第2スケジュールに関連する第2コンテンツとを含む場合、第1表示制御手段108aは、タイムラインにおいて、第1スケジュールに対して第1コンテンツが関連付けて表示されるように制御するとともに、第2スケジュールに対して第2コンテンツが関連付けて表示されるように制御する。
【0076】
第2表示制御手段108bは、がん患者の疾患又は治療に関する質問が、患者用端末装置3aにおいて表示されるように制御する。がん患者の疾患又は治療に関する質問の例については、上述のとおりである。
【0077】
[端末装置3]
端末装置3は、ユーザが使用する装置である。ユーザは、例えば、がん患者、がん患者の家族及びがん患者を治療する医師等である。端末装置3は、例えば、スマートフォン、スマートウォッチ、タブレット端末及びパーソナルコンピュータ等の電子機器である。本開示では、端末装置3はスマートフォンであるとして説明する。ユーザは、端末装置3が備えるタッチパネルディスプレイに触れることによって、端末装置3を操作することができる。端末装置3は、webブラウザ又はアプリケーションソフトウェア等を機能させることができる。
【0078】
ユーザは、端末装置3が備える入力インタフェースにより、各種情報(例えば、患者背景情報)を入力することができる。各種情報の入力は、チャットボット形式で入力してもよいし、テキストボックスへの自由記述形式で入力してもよいし、チェックボックスの選択形式で入力してもよいし、音声入力であってもよい。テキストボックスへの自由記述形式による入力である場合は、キーワードを抽出し、入力として受け付けるようにしてもよい。チェックボックスの選択形式による入力である場合は、所定の情報の各項目について、トピックス及び当該トピックスに紐づいてより詳細化したサブトピックスのチェックボックスを設けておき、ユーザによりチェックボックスにチェックが入ることにより各種情報の入力として受け付けるようにしてもよい。
【0079】
患者用端末装置3aは、第2表示制御手段108bにより表示された質問に対する回答の入力をがん患者から受け付ける。また、患者用端末装置3aは、第1表示制御手段108aによる制御に基づいて、関連コンテンツを含むタイムラインを表示する。
【0080】
<3.情報処理装置2の動作>
―第1実施形態―
図2―
図5を参照して、情報処理装置2の動作の一例について説明する。
図2は、情報処理装置2の動作を説明するためのフローチャートである。
図3は、患者背景情報の一例について説明するための図である。
図4は、患者背景情報に基づいて関連コンテンツを決定する方法について説明するための図である。
図5は、患者用端末装置3aにおける表示画面例について説明するための図である。なお、第1実施形態では、がん患者が、1週間後に腫瘍切除手術を予定している時点(以下、「第1時点」と称する)における情報処理装置2の動作について説明する。
【0081】
(患者背景情報の取得)
まず、情報処理装置2は、第1時点における患者背景情報を取得する(S100)。
図3に、第1時点において情報処理装置2が取得した患者背景情報を示す。患者背景情報は、疾患背景情報、治療背景情報及びイベント情報を含む。
【0082】
疾患背景情報は、「乳がんのタイプ」、「診断時の状況」、「身体の状態」及び「精神の状態」という項目を含む。また、それぞれの項目に対して、「遺伝性」、「再発」、「痛みあり」及び「不安」という値が関連付けられている。
【0083】
治療背景情報は、「治療歴」、「治療スケジュール」及び「価値観」という項目を含む。また、それぞれの項目に対して、「化学療法」、「がん切除手術時期:1週間後、退院時期:3週間後、通院時期:4週間後」及び「早く治したい」という値が関連付けられている。
【0084】
イベント情報は、「保険金請求期限」及び「子どもの卒業式」という項目を含む。また、いずれの項目に対しても「2週間後」という値が関連付けられている。
【0085】
(関連コンテンツの決定)
図2に戻り、次に、情報処理装置2は、第1時点における患者背景情報に基づいて、関連コンテンツを決定する(S102)。
図4を参照して、コンテンツを決定する方法の一例について説明する。この例では、情報処理装置2は、S100において取得した患者背景情報と、コンテンツA(「腫瘍切除手術の流れ」)、コンテンツB(「乳房再建手術の流れ」)、コンテンツC(「手術後のリハビリ」)、コンテンツD(「がんに伴う鬱」)、コンテンツE(「一時退院の注意事項」)及びコンテンツF(「公的制度や保険」)との関連度を算出し、算出結果に基づいて関連コンテンツを決定する。なお、本開示において示す関連度の具体的な数値はあくまで一例である。
【0086】
図4によると、「乳がんのタイプ」の項目の値が「遺伝性」である場合、コンテンツA~コンテンツFの関連度は、それぞれ「0」、「5」、「0」、「5」、「0」及び「10」であると算出される。すなわち、コンテンツB(「乳房再建手術の流れ」)、コンテンツD(「がんに伴う鬱」)及びコンテンツF(「公的制度や保険」)に関して、比較的高い関連性が算出される。
【0087】
また、「診断時の状況」の項目の値が「再発」である場合、コンテンツA~コンテンツFの関連度は、それぞれ「10」、「5」、「0」、「10」、「0」及び「0」であると算出される。すなわち、コンテンツA(「腫瘍切除手術の流れ」)、コンテンツB(「乳房再建手術の流れ」)及びコンテンツD(「がんに伴う鬱」)に関して、比較的高い関連性が算出される。
【0088】
また、「身体の状態」の項目の値が「痛みあり」である場合、コンテンツA~コンテンツFの関連度は、それぞれ「0」、「0」、「0」、「5」、「0」及び「0」であると算出される。すなわち、コンテンツD(「がんに伴う鬱」)に関して、比較的高い関連性が算出される。
【0089】
また、「精神の状態」の項目の値が「不安」である場合、コンテンツA~コンテンツFの関連度は、それぞれ「0」、「0」、「0」、「10」、「0」及び「5」であると算出される。すなわち、コンテンツD(「がんに伴う鬱」)及びコンテンツF(「公的制度や保険」)に関して、比較的高い関連性が算出される。
【0090】
また、「治療歴」の項目の値が「化学療法」である場合、コンテンツA~コンテンツFの関連度は、それぞれ「0」、「0」、「0」、「5」、「0」及び「0」であると算出される。すなわち、コンテンツD(「がんに伴う鬱」)に関して、比較的高い関連性が算出される。
【0091】
また、「治療スケジュール」の項目の第1の値が「腫瘍切除手術時期:1週間後」である場合、コンテンツA~コンテンツFの関連度は、それぞれ「20」、「10」、「10」、「0」、「0」及び「0」であると算出される。すなわち、コンテンツA(「腫瘍切除手術の流れ」)、コンテンツB(「乳房再建手術の流れ」)及びコンテンツC(「手術後のリハビリ」)に関して、比較的高い関連性が算出される。
【0092】
また、「治療スケジュール」の項目の第2の値が「退院時期:3週間後」である場合、コンテンツA~コンテンツFの関連度は、それぞれ「0」、「20」、「10」、「0」、「10」及び「0」であると算出される。すなわち、コンテンツB(「乳房再建手術の流れ」)、コンテンツC(「手術後のリハビリ」)及びコンテンツE(「一時退院の注意事項」)に関して、比較的高い関連性が算出される。
【0093】
また、「治療スケジュール」の項目の第3の値が「通院時期:4週間後」である場合、コンテンツA~コンテンツFの関連度は、それぞれ「0」、「0」、「5」、「0」、「0」及び「5」であると算出される。すなわち、コンテンツC(「手術後のリハビリ」)及びコンテンツF(「公的制度や保険」)に関して、比較的高い関連性が算出される。
【0094】
また、「価値観」の項目の値が「早く治したい」である場合、コンテンツA~コンテンツFの関連度は、それぞれ「20」、「5」、「10」、「0」、「0」及び「0」であると算出される。すなわち、コンテンツA(「腫瘍切除手術の流れ」)、コンテンツB(「乳房再建手術の流れ」)及びコンテンツC(「手術後のリハビリ」)に関して、比較的高い関連性が算出される。
【0095】
また、「保険金請求期限」の項目の値が「2週間後」である場合、コンテンツA~コンテンツFの関連度は、それぞれ「0」、「0」、「0」、「0」、「0」及び「15」であると算出される。すなわち、コンテンツF(「公的制度や保険」)に関して、比較的高い関連性が算出される。
【0096】
また、「子どもの卒業式」の項目の値が「2週間後」である場合、コンテンツA~コンテンツFの関連度は、それぞれ「0」、「0」、「0」、「0」、「5」及び「0」であると算出される。すなわち、コンテンツE(「一時退院の注意事項」)に関して、比較的高い関連性が算出される。
【0097】
以上の算出結果によると、コンテンツA~コンテンツFの関連度の合計は、それぞれ「50」、「45」、「35」、「35」、「15」及び「40」であると算出される。この例では、情報処理装置2は、関連度の合計が「40」以上であるコンテンツを関連コンテンツとして決定するものとする。すなわち、コンテンツA(「腫瘍切除手術の流れ」)、コンテンツB(「乳房再建手術の流れ」)及びコンテンツF(「公的制度や保険」)が関連コンテンツとして決定される。
【0098】
(タイムラインの表示)
図2に戻り、次に、情報処理装置2は、患者用端末装置3aにおいてタイムラインが表示されるように制御する(S104)。
図5を参照して、第1時点の患者用端末装置3aにおける表示画面例について説明する。
【0099】
図5の表示画面例には、タイトルd10、時間軸d100、現在時点d102、治療スケジュールd104、イベントd106、イベントd108、治療スケジュールd110、治療スケジュールd112、治療関連コンテンツd204、イベント関連コンテンツd206及び治療関連コンテンツd210が表示されている。
【0100】
なお、この例では、治療関連コンテンツd204、イベント関連コンテンツd206及び治療関連コンテンツd210はいずれもwebリンクであり、がん患者は、このwebリンクを押下することにより、コンテンツに係るテキスト等を表示するwebページにアクセスすることができる。
【0101】
タイトルd10は、表示画面の題名を示す要素である。
図5では、「タイムライン」と表示されている。時間軸d100は、タイムラインの視認性を向上させるための装飾的な要素である。現在時点d102は、現在の時点と、治療スケジュール又はイベントとの時間的な前後関係を示すための要素である。
【0102】
治療スケジュールd104、治療スケジュールd110及び治療スケジュールd112は、患者背景情報の「治療スケジュール」の項目に基づいて表示されている要素である。
図5では、治療スケジュールd104、治療スケジュールd110及び治療スケジュールd112のそれぞれにおいて、「1週間後 腫瘍切除手術(入院)」、「3週間後 退院予定」及び「4週間後 通院」と表示されている。
【0103】
イベントd106及びイベントd108は、患者背景情報の「保険金請求期限」及び「子どもの卒業式」の項目に基づいて表示されている要素である。
図5では、イベントd106及びイベントd108のそれぞれにおいて、「2週間後 保険金請求」及び「2週間後 子どもの卒業式」と表示されている。
【0104】
治療関連コンテンツd204及び治療関連コンテンツd210は、患者背景情報に基づいて決定された関連コンテンツのうち、治療に関するものである。
図5では、治療関連コンテンツd204及び治療関連コンテンツd210のそれぞれにおいて、「腫瘍切除手術の流れ」(
図4 コンテンツA参照)及び「乳房再建手術の流れ」(
図4 コンテンツB参照)と表示されている。
【0105】
治療関連コンテンツd204(コンテンツA 「腫瘍切除手術の流れ」)は治療スケジュールd104(「腫瘍切除手術(入院)」)に対して関連付けて表示されている。同様に、治療関連コンテンツd210(コンテンツB 「乳房再建手術の流れ」)は治療スケジュールd110(「退院予定」)に対して関連付けて表示されている。このように、治療関連コンテンツは、典型的には、最も関連度が高い治療スケジュールに関連付けて表示される。
【0106】
イベント関連コンテンツd206は、患者背景情報に基づいて決定された関連コンテンツのうち、イベントに関するものである。
図5では、イベント関連コンテンツd206において、「公的制度や保険」(
図4 コンテンツF参照)と表示されている。
【0107】
―第2実施形態―
図2及び
図6―
図8を参照して、情報処理装置2の動作の他の一例について説明する。第2実施形態では、がん患者が、前日に腫瘍切除手術を終えた時点(すなわち、第1実施形態の1週間後であり、以下、「第2時点」と称する)における情報処理装置2の動作について説明する。
【0108】
(患者背景情報の取得)
図6に、第2時点において情報処理装置2が取得した患者背景情報を示す。患者背景情報は、疾患背景情報、治療背景情報及びイベント情報を含む。
【0109】
疾患背景情報は、「乳がんのタイプ」、「診断時の状況」、「身体の状態」及び「精神の状態」という項目を含む。また、それぞれの項目に対して、「遺伝性」、「再発」、「手術痕の痛み」及び「喪失感」という値が関連付けられている。
【0110】
治療背景情報は、「治療歴」、「治療スケジュール」及び「価値観」という項目を含む。また、それぞれの項目に対して、「化学療法、手術」、「がん切除手術時期:前日に終了、退院時期:2週間後、通院時期:3週間後」及び「早く治したい」という値が関連付けられている。
【0111】
イベント情報は、「保険金請求期限」及び「子どもの卒業式」という項目を含む。また、いずれの項目に対しても「1週間後」という値が関連付けられている。
【0112】
患者背景情報に含まれる少なくとも一部の項目の値については、時間経過又は治療の進行によって変化し得る(
図3参照)。そのため、がん患者に対して提供すべき関連コンテンツも変化し得る。
【0113】
(関連コンテンツの決定)
図7を参照して、第2時点における患者背景情報に基づいてコンテンツを決定する方法の一例について説明する。なお、第1時点から値が変わらなかった項目(すなわち、「乳がんのタイプ」、「診断時の状況」及び「価値観」)に関しては、説明を省略する。
【0114】
図7によると、「身体の状態」の項目の値が「手術痕の痛み」である場合、コンテンツA~コンテンツFの関連度は、それぞれ「0」、「0」、「10」、「5」、「0」及び「0」であると算出される。すなわち、コンテンツC(「手術後のリハビリ」)及びコンテンツD(「がんに伴う鬱」)に関して、比較的高い関連性が算出される。
【0115】
また、「精神の状態」の項目の値が「喪失感」である場合、コンテンツA~コンテンツFの関連度は、それぞれ「0」、「10」、「0」、「20」、「0」及び「5」であると算出される。すなわち、コンテンツB(「乳房再建手術の流れ」)、コンテンツD(「がんに伴う鬱」)及びコンテンツF(「公的制度や保険」)に関して、比較的高い関連性が算出される。
【0116】
また、「治療歴」の項目の値が「化学療法、手術」である場合、コンテンツA~コンテンツFの関連度は、それぞれ「0」、「0」、「5」、「5」、「0」及び「0」であると算出される。すなわち、コンテンツC(「手術後のリハビリ」)及びコンテンツD(「がんに伴う鬱」)に関して、比較的高い関連性が算出される。
【0117】
また、「治療スケジュール」の項目の第1の値が「腫瘍切除手術時期:前日」である場合、コンテンツA~コンテンツFの関連度は、それぞれ「0」、「15」、「10」、「5」、「0」及び「0」であると算出される。すなわち、コンテンツB(「乳房再建手術の流れ」)、コンテンツC(「手術後のリハビリ」)おコンテンツD(「がんに伴う鬱」)に関して、比較的高い関連性が算出される。
【0118】
また、「治療スケジュール」の項目の第2の値が「退院時期:2週間後」である場合、コンテンツA~コンテンツFの関連度は、それぞれ「0」、「25」、「10」、「0」、「10」及び「0」であると算出される。すなわち、コンテンツB(「乳房再建手術の流れ」)、コンテンツC(「手術後のリハビリ」)及びコンテンツE(「一時退院の注意事項」)に関して、比較的高い関連性が算出される。
【0119】
また、「治療スケジュール」の項目の第3の値が「通院時期:3週間後」である場合、コンテンツA~コンテンツFの関連度は、それぞれ「0」、「0」、「15」、「0」、「0」及び「5」であると算出される。すなわち、コンテンツC(「手術後のリハビリ」)及びコンテンツF(「公的制度や保険」)に関して、比較的高い関連性が算出される。
【0120】
また、「保険金請求期限」の項目の値が「1週間後」である場合、コンテンツA~コンテンツFの関連度は、それぞれ「0」、「0」、「0」、「0」、「0」及び「15」であると算出される。すなわち、コンテンツF(「公的制度や保険」)に関して、比較的高い関連性が算出される。
【0121】
また、「子どもの卒業式」の項目の値が「1週間後」である場合、コンテンツA~コンテンツFの関連度は、それぞれ「0」、「0」、「0」、「0」、「30」及び「0」であると算出される。すなわち、コンテンツE(「一時退院の注意事項」)に関して、比較的高い関連性が算出される。
【0122】
以上の算出結果によると、コンテンツA~コンテンツFの関連度の合計は、それぞれ「30」、「65」、「60」、「50」、「40」及び「35」であると算出される。この例では、情報処理装置2は、第1実施形態と同様に、関連度の合計が「40」以上であるコンテンツを関連コンテンツとして決定するものとする。すなわち、コンテンツB(「乳房再建手術の流れ」)、コンテンツC(「手術後のリハビリ」)、コンテンツD(「がんに伴う鬱」)及びコンテンツE(「一時退院の注意事項」)が関連コンテンツとして決定される。
【0123】
(タイムラインの表示)
図8を参照して、第2時点の患者用端末装置3aにおける表示画面例について説明する。
【0124】
図8の表示画面例には、タイトルd30、時間軸d300、現在時点d302、治療スケジュールd304、イベントd306、イベントd308、治療スケジュールd310、治療スケジュールd312、治療関連コンテンツd404、イベント関連コンテンツd408、治療関連コンテンツd410及び治療関連コンテンツd412が表示されている。なお、タイトルd30、時間軸d300及び現在時点d302については、それぞれ、
図5を参照して説明したタイトルd10、時間軸d100及び現在時点d102と同様であるため、以下では説明を省略する。
【0125】
なお、この例では、治療関連コンテンツd404、イベント関連コンテンツd408、治療関連コンテンツd410及び治療関連コンテンツd412はいずれもwebリンクであり、がん患者は、このwebリンクを押下することにより、コンテンツに係るテキスト等を表示するwebページにアクセスすることができる。
【0126】
治療スケジュールd304、治療スケジュールd310及び治療スケジュールd312は、患者背景情報の「治療スケジュール」の項目に基づいて表示されている要素である。
図8では、治療スケジュールd304、治療スケジュールd310及び治療スケジュールd312のそれぞれにおいて、「昨日 腫瘍切除手術(入院)」、「2週間後 退院予定」及び「3週間後 通院」と表示されている。
【0127】
イベントd306及びイベントd308は、第2時点における患者背景情報の「保険金請求期限」及び「子どもの卒業式」の項目に基づいて表示されている要素である。
図8では、イベントd306及びイベントd308のそれぞれにおいて、「1週間後 保険金請求」及び「1週間後 子どもの卒業式」と表示されている。
【0128】
治療関連コンテンツd404、治療関連コンテンツd410及び治療関連コンテンツd412は、第2時点における患者背景情報に基づいて決定された関連コンテンツのうち、治療に関するものである。
図8では、治療関連コンテンツd404、治療関連コンテンツd410及び治療関連コンテンツd412のそれぞれにおいて、「がんに伴う鬱」(
図7 コンテンツD参照)、「乳房再建の流れ」(
図7 コンテンツB参照)及び「手術後のリハビリ」(
図7 コンテンツC参照)と表示されている。
【0129】
治療関連コンテンツd404(コンテンツD 「がんに伴う鬱」)は、治療スケジュールd304(「腫瘍切除手術(入院)」)に対して関連付けて表示されている。また、治療関連コンテンツd410(コンテンツB 「乳房再建手術の流れ」)は、治療スケジュールd312(「退院予定」)に対して関連付けられている。また、治療関連コンテンツd412(コンテンツC 「手術後のリハビリ」)は、治療スケジュールd312(「通院」)に対して関連付けられている。このように、治療関連コンテンツは、典型的には、最も関連度が高い治療スケジュールに関連付けて表示される。
【0130】
イベント関連コンテンツd408は、第2時点における患者背景情報に基づいて決定された関連コンテンツのうち、イベントに関するものである。
図8では、イベント関連コンテンツd408において、「一時退院の注意事項」(
図7 コンテンツE参照)と表示されている。
【0131】
<4.情報処理装置2による効果>
以上のとおり、本開示の一実施形態に係るプログラムは、情報処理装置2のコンピュータ70(後述)を、患者の治療方針の決定に用いられる患者背景情報を取得する取得手段100と、患者背景情報に基づいて、患者の治療と関連性が高いと推定される治療関連コンテンツを決定する第1決定手段104aと、患者背景情報に基づいて生成されたタイムラインが、患者の端末装置3aにおいて表示されるように制御する第1表示制御手段108aであって、タイムラインは、治療関連コンテンツを含む、第1表示制御手段108aと、として機能させる。
【0132】
上述したとおり、患者は、特に診断直後においては混乱している傾向にあり、不要な情報を過剰に集める傾向にある。また、患者自身が欲している情報にたどり着けない場合がある。これに対して、情報処理装置2によれば、患者が自身に必要十分な情報を短期間で効率よく取得することを支援することができる。具体的には、情報処理装置2は、患者ごとに異なる情報である患者背景情報に基づいて生成されたタイムラインを患者用端末装置3aに表示させる。また、タイムラインは、患者背景情報に基づいて決定された治療関連コンテンツを含む。これにより、患者は、自身の治療に関する見通しを立てることができるようになる。また、患者は、治療関連コンテンツにより、自身の治療に関して詳細な情報を収集することができるようになる。
【0133】
また、患者背景情報は時間の経過及び治療の進行に応じて変化する場合がある(
図3及び
図6参照)。このような場合であっても、情報処理装置2によれば、適切なタイミングで適切な情報を患者に対して提供することができる。例えば、上述の第1時点(すなわち、腫瘍切除手術前の時点)では、タイムラインには「腫瘍切除手術の流れ」及び「公的制度や保険」といった、診断を受けた患者が直ちに必要とし得る情報が表示される(
図5参照)。一方で、上述の第2時点(すなわち、腫瘍切除手術後の時点)では、タイムラインには「手術後のリハビリ」及び「乳房再建の流れ」といった、手術後の患者が必要とし得る情報が表示される(
図8参照)。
【0134】
一実施形態において、患者は、がん、白血病、肉腫、骨髄腫、脳卒中、心筋梗塞、高血圧性疾患、糖尿病、肝硬変、慢性腎不全及びうつ病、統合失調症及び認知症の少なくともいずれかを含む慢性疾患を罹患している者である。また、一実施形態において、患者は、がん患者である。
【0135】
がん等の慢性疾患は患者に対する精神的な負荷が特に大きく、診断直後の混乱が大きいため、情報処理装置2により患者に対して治療関連コンテンツを推奨することの必要性が特に大きい。さらに、慢性疾患は治療のためには長い期間を要するため、情報処理装置2により患者の状態の変化に応じて適切な情報を提供することの必要性も特に大きい。
【0136】
一実施形態において、患者背景情報は、患者の、がんのタイプ、がんのステージ、がんの症状、診断時の状況、身体の状態及び精神の状態の少なくともいずれかに関する疾患背景情報を含む。
【0137】
疾患背景情報は、患者が自身の疾患について知るための情報を決定するうえで、有用性が特に高い。すなわち、この構成によれば、情報処理装置2は、患者が自身の疾患について知ることを、より効率的に支援することができる。これにより、患者が過剰に不安を抱くことを抑制し、前向きに治療を行うことを支援することができる。
【0138】
一実施形態において、患者背景情報は、患者の、治療スケジュール、治療歴、補助治療歴、治療に関する価値観、治療上の関心又は悩みの少なくともいずれかに関する治療背景情報を含む。
【0139】
治療背景情報は、患者が自身の治療方針について検討するための情報を決定するうえで、有用性が特に高い。すなわち、この構成によれば、情報処理装置2は、患者が自身の治療方針について検討することを、より効率的に支援することができる。これにより、がん患者が納得できる治療方針を選択することを支援することができる。
【0140】
一実施形態において、患者背景情報は、患者の治療以外のイベントに関するイベント情報をさらに含んでよく、第1表示制御手段108aは、タイムラインを、治療スケジュール及びイベントを識別可能な態様で表示させるように制御する。
【0141】
この構成によれば、治療スケジュールとイベント(例えば、各種ライフイベント)との関係が理解しやすい態様で表示されるため、がん患者が治療及び生活に関する見通しを立てることを、より効率的に支援することができる。
【0142】
一実施形態において、本開示のプログラムは、情報処理装置2のコンピュータ70を、少なくともイベント情報に基づいて、患者に関連性が高いと推定されるイベント関連コンテンツを決定する第2決定手段104b、としてさらに機能させ、タイムラインは、イベント関連コンテンツをさらに含む。
【0143】
患者は、疾患の診断直後は混乱している傾向にあり、保険や公的制度について、何からどのように調べればよいかわからなくなってしまう場合がある。この構成によれば、治療以外の情報に関しても患者に対して適切に提供することができるようになる。
【0144】
なお、患者が必要とし得る保険等に関する情報は、患者の疾患や治療方針等によっても異なり得る。そのため、イベント関連コンテンツを決定するにあたっては、患者背景情報に含まれるイベント情報以外の情報についても有用である。
【0145】
一実施形態において、治療背景情報は、患者の治療に関する第1スケジュール及び第2スケジュールに関する情報を含み、治療関連コンテンツは、第1スケジュールに関連する第1コンテンツと、第2スケジュールに関連する第2コンテンツとを含んでよく、第1表示制御手段108aは、タイムラインにおいて、第1スケジュールに対して第1コンテンツが関連付けて表示されるように制御するとともに、第2スケジュールに対して第2コンテンツが関連付けて表示されるように制御する。
【0146】
この構成によれば、タイムラインの視認性をさらに向上させることができる。具体的には、この構成によれば、治療スケジュール毎に、当該治療スケジュールとの関連性が特に高い治療関連コンテンツが関連付けて表示されるため、患者としては、治療スケジュールと、治療関連コンテンツとをセットで認識することができるようになる。
【0147】
一実施形態において、第1決定手段104aは、治療スケジュールに関連付けられた時点までの残り期間に基づいて、治療関連コンテンツを決定する。
【0148】
患者に対するコンテンツの関連性は、時間の経過に応じて変化し得る。例えば、腫瘍切除手術を半年後に控えている場合より、この手術を1週間後に控えている場合のほうが、患者に対する「腫瘍切除手術の流れ」というコンテンツの関連性は高い。すなわち、患者に対するコンテンツの関連性は、治療スケジュールまでの残り期間に応じて異なる。この構成によれば、治療関連コンテンツを決定するためのパラメータとして治療スケジュールまでの残り時間が含まれるようになるため、情報処理装置2は、治療関連コンテンツを患者に対してより適切なタイミングで提供することができるようになる。
【0149】
一実施形態において、本開示のプログラムは、情報処理装置2のコンピュータ70を、患者の疾患又は治療に関する質問が、患者の端末装置3aにおいて表示されるように制御する第2表示制御手段108bと、質問に対する回答を受け付ける受付手段102と、としてさらに機能させ、患者背景情報は、回答に関する情報をさらに含む。
【0150】
この構成によれば、患者からの回答に基づいて関連コンテンツを決定することができるようになる。そのため、情報処理装置2は、患者が必要としている情報をより高い精度で提供することができるようになる。
【0151】
一実施形態において、患者背景情報は、患者の年齢、家族構成及び生活上の関心又は悩みの少なくともいずれかに関する情報を含む。
【0152】
患者に対して提供すべき情報は、患者の疾患及び治療に関する情報だけではなく、患者の年齢、家族構成及び生活上の関心又は悩み等に応じて異なり得る。この構成によれば、情報処理装置2は、患者が必要としている情報をより高い精度で提供することができるようになる。
【0153】
一実施形態において、第1決定手段104aは、内容の信頼性に関する認定を受けた複数のコンテンツから治療関連コンテンツを決定する。
【0154】
インターネット上の情報には、信頼性が低い情報が少なからず含まれる。この構成によれば、情報処理装置2は、内容の信頼性に関する認定を受けた情報を患者に対して提供することができるようになる。結果として、患者が誤った情報を得て混乱することを抑制することができる。
【0155】
以上のとおり説明した情報処理装置2の効果は一例にすぎず、これら本開示の適用範囲を限定するものではない。
【0156】
<5.ハードウェア構成>
図9を参照して、上述してきた情報処理装置2及び端末装置3をコンピュータ70により実現する場合のハードウェア構成の一例を説明する。なお、それぞれの装置の機能は、複数台の装置に分けて実現することもできる。
【0157】
図9に示すように、コンピュータ70は、プロセッサ700と、記憶装置702と、入力I/F704と、データI/F706と、通信I/F708、及び表示装置710を含む。
【0158】
プロセッサ700は、記憶装置702に記憶されているプログラムを実行することによりコンピュータ70における様々な処理を制御する。例えば、情報処理装置2及び端末装置3の制御部が備える各機能部等は、記憶装置702に記憶されたプログラムを、プロセッサ700が実行することにより実現可能である。
【0159】
記憶装置702は、例えばRAM(Random Access Memory)などの記憶媒体である。RAMは、プロセッサ700によって実行されるプログラムのプログラムコードや、プログラムの実行時に必要となるデータを一時的に記憶する。
【0160】
記憶装置702は、他にも、例えばハードディスクドライブ(HDD)やフラッシュメモリなどの不揮発性の記憶媒体である。記憶装置702は、オペレーティングシステムや、上記各構成を実現するための各種プログラムを記憶する。当該各種プログラムを格納した記憶媒体は、コンピュータ読み取り可能な非一時的な記憶媒体(Non-transitory computer readable medium)であってもよい。この他、記憶装置702は、各種情報を登録するテーブルと、当該テーブルを管理するDBを記憶することも可能である。このようなプログラムやデータは、必要に応じて記憶装置702にロードされることにより、プロセッサ700から参照される。
【0161】
入力I/F704は、ユーザからの入力を受け付けるためのデバイスである。入力I/F704の具体例としては、カメラ、ボタン、マイク、キーボード、マウス、タッチパネル、各種センサ、ウェアラブル・デバイスなどが挙げられる。入力I/F704は、例えばUSB(Universal Serial Bus)などのインタフェースを介してコンピュータ70に接続されてもよい。
【0162】
データI/F706は、コンピュータ70の外部からデータを入力するためのデバイスである。データI/F706の具体例としては、各種記憶媒体に記憶されているデータを読み取るためのドライブ装置などがある。データI/F706は、コンピュータ70の外部に設けられることも考えられる。その場合、データI/F706は、例えばUSBなどのインタフェースを介してコンピュータ70へと接続される。
【0163】
通信I/F708は、コンピュータ70の外部の装置と有線または無線により、通信ネットワーク5を介したデータ通信を行うためのデバイスである。通信I/F708は、コンピュータ70の外部に設けられることも考えられる。その場合、通信I/F708は、例えばUSBなどのインタフェースを介してコンピュータ70に接続される。
【0164】
表示装置710は、各種情報を表示するためのデバイスである。表示装置710の具体例としては、例えば液晶ディスプレイや有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイ、ウェアラブル・デバイスのディスプレイなどが挙げられる。表示装置710は、コンピュータ70の外部に設けられてもよい。その場合、表示装置710は、例えばディスプレイケーブルなどを介してコンピュータ70に接続される。また、入力I/F704としてタッチパネルが採用される場合には、表示装置710は、入力I/F704と一体化して構成することが可能である。
【0165】
また、上記実施形態で記載された情報処理装置2及び端末装置3が備える構成要素は、記憶装置702に格納されたプログラムがプロセッサ700によって実行されることで、定められた処理が他のハードウェアと協働して実現されるものとする。また、言い換えれば、これらの構成要素は、ソフトウェアまたはファームウェアとしても、それと対応するハードウェアとしても想定され、その双方の概念において、「機能」、「手段」、「部」、「処理回路」、「ユニット」、または「モジュール」などとも記載され、またそれぞれに読み替えることができる。
【0166】
<6.変形例>
情報処理装置2は、がん患者から、関連コンテンツに関するフィードバックや閲覧履歴に関する情報を取得し、当該フィードバックや閲覧履歴に基づいて関連コンテンツの決定方法を変更してもよい。
【0167】
上記実施形態では、タイムラインは患者用端末装置3aにおいて表示されるものとして説明したが、これに限られない。タイムラインは、家族用端末装置3b及び医師用端末装置3cにおいて表示されてもよい。
【0168】
上記実施形態では、タイムラインは治療スケジュール及びイベント等の簡易的な表示がされるものとして説明したが、それぞれの治療スケジュール及びイベント等の詳細(例えば、時間、場所及び担当医等)がタイムラインに表示されてもよい。また、簡易的な表示と詳細な表示をがん患者の操作に応じて切り替えることができてもよい。
【0169】
情報処理装置2は、少なくとも回答情報に基づいて、医療費控除及び高額療養費制度の適用を支援することができてもよい。
【0170】
上記実施形態において、本開示に係るプログラムは情報処理装置2で動作するとして説明したが、これに限られない。本開示に係るプログラムは、端末装置3で動作してもよい。
【0171】
上記実施形態において、関連コンテンツはタイムライン上に表示される例を説明したが、これに限られない。関連コンテンツは、タイムラインとは分けて(例えば、タイムラインの下部又は上部等)に表示されてもよい。
【0172】
上記実施形態において、関連コンテンツはwebリンクであり、そのタイトルが表示される例について説明したが、これに限られない。関連コンテンツは、例えば、「詳細を確認」と表示されたリンクであってもよい。すなわち、タイムラインに表示される関連コンテンツは(実質的な内容(例えば、治療について説明するテキスト及び画像等)を含まず)内容を確認するための指示又は方法であってもよい。
【0173】
上記実施形態において、患者用端末装置3aの表示画面例について示したが、表示画面はこれに限られない。例えば、がん患者の操作に応じてスクロールをすることができてよい。この場合、上記実施形態で説明した予定より未来の予定を確認することができてよい。なお、がん患者が過剰に情報に触れることにより混乱することを防ぐために、がん患者が閲覧可能な予定の数又は種類には所定の制限が設けられてもよい。例えば、がん患者は、2か月以上先の予定をタイムラインで表示することができなくてもよい。
【0174】
<7.その他の実施形態>
以下のような態様も、本開示の範囲に含まれる。
【0175】
[付記1]
本開示の一実施形態に係るプログラムは、コンピュータ70を、患者の治療方針の決定に用いられる患者背景情報を取得する取得手段100と、患者背景情報に基づいて、患者の治療と関連性が高いと推定される治療関連コンテンツを決定する第1決定手段104aと、患者背景情報に基づいて生成されたタイムラインが、患者の端末装置3aにおいて表示されるように制御する第1表示制御手段108aであって、タイムラインは、治療関連コンテンツを含む、第1表示制御手段108aと、として機能させる。
[付記2]
付記1に記載のプログラムにおいて、患者は、がん、白血病、肉腫、骨髄腫、脳卒中、心筋梗塞、高血圧性疾患、糖尿病、肝硬変、慢性腎不全及びうつ病、統合失調症及び認知症の少なくともいずれかを含む慢性疾患を罹患している者であってよい。
[付記3]
付記2に記載のプログラムにおいて、患者は、がん患者であってよい。
【0176】
[付記4]
付記3に記載のプログラムにおいて、患者背景情報は、患者の、がんのタイプ、がんのステージ、がんの症状、身体の状態及び精神の状態の少なくともいずれかに関する疾患背景情報を含んでよい。
【0177】
[付記5]
付記1から付記4のいずれか一つに記載のプログラムにおいて、患者背景情報は、患者の、治療スケジュール、治療歴、補助治療歴、治療に関する価値観、治療上の関心又は悩みの少なくともいずれかに関する治療背景情報を含んでよい。
【0178】
[付記6]
付記5に記載のプログラムにおいて、患者背景情報は、患者の治療以外のイベントに関するイベント情報をさらに含んでよく、第1表示制御手段108aは、タイムラインを、治療スケジュール及びイベントを識別可能な態様で表示させるように制御してよい。
【0179】
[付記7]
付記6に記載のプログラムは、コンピュータ70を、少なくともイベント情報に基づいて、患者に関連性が高いと推定されるイベント関連コンテンツを決定する第2決定手段104b、としてさらに機能させてよく、タイムラインは、イベント関連コンテンツをさらに含んでよい。
【0180】
[付記8]
付記5から付記7のいずれか一つに記載のプログラムにおいて、治療背景情報は、患者の治療に関する第1スケジュール及び第2スケジュールに関する情報を含んでよく、治療関連コンテンツは、第1スケジュールに関連する第1コンテンツと、第2スケジュールに関連する第2コンテンツとを含んでよく、第1表示制御手段108aは、タイムラインにおいて、第1スケジュールに対して第1コンテンツが関連付けて表示されるように制御するとともに、第2スケジュールに対して第2コンテンツが関連付けて表示されるように制御してよい。
【0181】
[付記9]
付記5から付記8のいずれか一つに記載のプログラムにおいて、第1決定手段104aは、治療スケジュールに関連付けられた時点までの残り期間に基づいて、治療関連コンテンツを決定してよい。
【0182】
[付記10]
付記1から付記9のいずれか一つに記載のプログラムは、コンピュータ70を、患者の疾患又は治療に関する質問が、患者の端末装置3aにおいて表示されるように制御する第2表示制御手段108bと、質問に対する回答を受け付ける受付手段102と、としてさらに機能させてよく、患者背景情報は、回答に関する情報をさらに含んでよい。
【0183】
[付記11]
付記1から付記10のいずれか一つに記載のプログラムにおいて、患者背景情報は、患者の年齢、家族構成及び生活上の関心又は悩みの少なくともいずれかに関する情報を含んでよい。
【0184】
[付記12]
付記1から付記11のいずれか一つに記載のプログラムにおいて、第1決定手段104aは、内容の信頼性に関する認定を受けた複数のコンテンツから治療関連コンテンツを決定してよい。
【0185】
[付記13]
本開示の他の一実施形態に係る情報処理装置2は、患者の治療方針の決定に用いられる患者背景情報を取得する取得部と、患者背景情報に基づいて、患者の治療に関連性が高いと推定される治療関連コンテンツを決定する第1決定部と、患者背景情報に基づいて生成されたタイムラインが患者の端末装置3aにおいて表示されるように制御する第1表示制御部であって、タイムラインは、治療関連コンテンツを含む、第1表示制御部と、を備える。
【0186】
[付記14]
本開示の他の一実施形態に係る情報処理方法は、コンピュータ70に、患者の治療方針の決定に用いられる患者背景情報を取得するステップと、患者背景情報に基づいて、患者の治療に関連性が高いと推定される治療関連コンテンツを決定するステップと、患者背景情報に基づいて生成されたタイムラインが患者の端末装置3aにおいて表示されるように制御するステップであって、タイムラインは、治療関連コンテンツを含む、ステップと、を実行させる。
【符号の説明】
【0187】
1…システム、2…情報処理装置、3…端末装置、3a…患者用端末装置、5…通信ネットワーク、10…制御部、14…記憶部、100…取得手段、102…受付手段、104…決定手段、104a…第1決定手段、104b…第2決定手段、106…生成手段、108…表示制御手段、108a…第1表示制御手段、108b…第2表示制御手段