(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025035831
(43)【公開日】2025-03-14
(54)【発明の名称】トイレ開閉機構および個室トイレ
(51)【国際特許分類】
E06B 3/36 20060101AFI20250307BHJP
E06B 1/18 20060101ALI20250307BHJP
E06B 1/52 20060101ALI20250307BHJP
A47K 17/00 20060101ALI20250307BHJP
E05F 5/00 20170101ALI20250307BHJP
E05D 3/08 20060101ALI20250307BHJP
【FI】
E06B3/36
E06B1/18 Z
E06B1/52
A47K17/00
E05F5/00 C
E05D3/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023143127
(22)【出願日】2023-09-04
(71)【出願人】
【識別番号】000105693
【氏名又は名称】コマニー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000844
【氏名又は名称】弁理士法人クレイア特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中島 渉
(72)【発明者】
【氏名】和田 浩
【テーマコード(参考)】
2D037
2E011
2E014
【Fターム(参考)】
2D037EA01
2E011ED01
2E014AA02
2E014DA07
2E014DB02
2E014DB03
(57)【要約】 (修正有)
【課題】使用時には内開きであり、非常時には外開きを可能とするトイレ開閉機構および個室トイレを提供することである。
【解決手段】トイレ開閉機構100は、ドア200と、トイレの内側に設けられ、ドアの開閉を軸支しドア200をトイレの内側に回動可能にするヒンジ部400と、ドア200の側方に戸当たりが形成された内枠300と、ドア200の上側および側方に設けられた外枠500と、内枠300および外枠500を連結するため、ヒンジ部400が設けられた一方側のヒンジ部材と、内枠300および外枠500を連結するため、側方の他方側に設けられた他方側のヒンジ部材と、他方側のヒンジ部材の回動解放用のピンとを含み、ピンにより他方側のヒンジ部材を回動させ内枠300の一部をトイレの外側に回動させドア200を一方側のヒンジ部材によりトイレの外側へ回動可能にするものである。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トイレの出入りを行うためのドアと、
前記トイレの内側に設けられ、前記ドアの開閉を軸支し前記ドアを前記トイレの内側に回動可能にするドアヒンジと、
前記ドアの少なくとも側方に戸当たりが形成された内枠と、
前記ドアの下側以外の上側および両側方に設けられた外枠と、
前記内枠および前記外枠を連結するため、前記ドアヒンジが設けられた一方側に設けられた一方側のヒンジと、
前記内枠および前記外枠を連結するため、前記側方の他方側に設けられた他方側のヒンジと、
前記他方側のヒンジの回動解放用の他方側解放部と、を含み、
前記他方側解放部により前記他方側のヒンジを回動させて前記内枠の一部を前記トイレの外側に回動させて、前記一方側のヒンジにより前記ドアを前記トイレの外側へ回動可能にする、トイレ開閉機構。
【請求項2】
前記内枠は、前記一方側の一方枠および前記他方側の他方枠からなり、
前記一方側のヒンジの回動解放用の一方側解放部をさらに含む、請求項1記載のトイレ開閉機構。
【請求項3】
前記内枠は、前記一方側および上方側が一体になった二枠および、前記他方側の他方枠からなる、請求項1記載のトイレ開閉機構。
【請求項4】
前記内枠は、前記一方側、前記他方側および上方側が一体になった三枠からなる、請求項1記載のトイレ開閉機構。
【請求項5】
前記ドアに内蔵された突出部材と、
前記外枠に設けられた当接部材と、
前記当接部材と接触する接触部材と、を含み、
前記接触部材が前記当接部材により押圧されることにより前記ドアの内部に設けられた前記突出部材が突出される、請求項1乃至4のいずれか1項に記載のトイレ開閉機構。
【請求項6】
前記突出部材は、前記ドアの上方、両側方、下方の少なくとも1、または複数、または全部に設けられた、請求項5記載のトイレ開閉機構。
【請求項7】
トイレの出入りを行うためのドアと、
前記ドアに内蔵された突出部材と、
前記トイレの内側に設けられ、前記ドアの開閉を軸支し前記ドアを前記トイレの内側に回動可能にするドアヒンジと、
前記ドアの少なくとも側方に戸当たりが形成された内枠と、
前記ドアの下側以外の上側および/または側方に設けられた外枠と、を含み、
前記突出部材と連動した接触部材と、前記外枠または前記外枠に取付けられた当接部材とが接触して押圧されることにより前記ドアの内部に設けられた前記突出部材が突出される、トイレ開閉機構。
【請求項8】
請求項1に記載のトイレ開閉機構が設けられた、個室トイレ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トイレ開閉機構および個室トイレに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1(特許第6674505号公報)には、扉と扉枠の隙間を確実に遮蔽できる非常時外開き扉の遮蔽構造について開示されている。
【0003】
特許文献1に記載の非常時外開き扉の遮蔽構造は、扉が扉枠に対して通常時は内開き、非常時は外開き可能に取り付けられており、扉の戸先と扉枠の戸先框の隙間を遮蔽するための非常時外開き扉の遮蔽構造において、凹部を有しており水平面内で回転可能に支持される可動部と、凹部に収まる凸部を有する固定部を備えており、戸先と戸先框のいずれか一方に可動部、他方に固定部が取り付けられ扉を閉じた状態で、外力の作用により可動部の外側の端部を隙間が拡がる方向に移動させた場合に、可動部の内側の端部は隙間を塞ぐ方向に移動するものである。
【0004】
特許文献2(特開2013-124485号公報)には、扉を開閉する際に、吊元側の仕切パネルと扉縁の間にある蝶番の部分など、および戸先側の仕切パネルと扉縁の間にある隙間などで、仕切パネルと扉縁の間に指が挟まれたとしても、重篤な怪我などをしないようにし、全体として極めて安全に構成されたトイレブースまたはシャワーブース用扉の開閉構造が開示されている。
【0005】
特許文献2に記載のトイレブースまたはシャワーブース用扉の開閉構造は、扉吊元部と戸先部のそれぞれにおいて袖壁エッジ部材、扉エッジ部材を付設してなるトイレブースまたはシャワーブース用扉の開閉構造において、扉吊元部と戸先部のそれぞれで、対面する袖壁エッジ部材と扉エッジ部材のいずれか一方または双方を、袖壁または扉の上端から下端まで連続的に、弾性材料で形成するとともに、その内部に上端から下端まで延在する空洞部を形成し、外力によって弾性変形が可能な構造に構成してなることを特徴とするものである。
【0006】
特許文献3(特開2022-14144号公報)には、内開き式のドアを緊急時に円滑かつ迅速に外開きすることができる戸当り装置が開示されている。
【0007】
特許文献3に記載の戸当り装置は、ブースの出入口を画成するドア枠の一方の縦枠部に回動可能に取り付けられたドアに対して、出入口を閉じる閉じ位置からブース内への回動を許容し、ブース外への回動を禁じる戸当り装置において、ドア枠における上枠部または他方の縦枠部に固定されたベースと、ドアの回動軌跡と干渉する規制位置とドアの回動軌跡と干渉しない退避位置との間で回動可能にしてベースに連結された戸当り部材と、戸当り部材を規制位置でベースにロックするとともに、このロック状態を解除する解除操作部を有するロック機構と、を備えたものである。
【0008】
特許文献4(特開2004-346565号公報)には、可動戸当り部材を備える戸当り装置において、戸当り解除操作を容易にすると共に、迅速な戸当り解除操作を可能にすることが開示されている。
【0009】
特許文献4に記載の戸当たり装置は、内開き式のドアに取り付けられる戸当り装置であって、ドアの外開きを規制する外開き規制位置と、ドアの外開きを許容する外開き許容位置とに動作可能な可動戸当り部材を備え、通常時は、可動戸当り部材を外開き規制位置に保持すると共に、非常時は、ドアの貫通孔を介して室外側に臨む押ボタンの操作に応じて、可動戸当り部材を外開き許容位置に動作させることを特徴とするものである。
【0010】
特許文献5(特開2014-141871号公報)には、非常時に容易に内開き戸が外開きとなり、かつ破損しにくい非常開錠機構、開き戸装置、及び個室ユニットが開示されている。
【0011】
特許文献5に記載の非常開錠機構は、部屋の出入り口を構成するパネルに取り付けられた開き戸の戸先に固定されたドアエッジと、パネルに対する開き戸の回転中心と平行な軸回りにドアエッジに対して回転するようにドアエッジに保持された自在ピンと、開き戸の戸先側に取り付けられた錠部と、を備え、自在ピンは、回転軸と、回転軸の径方向外側へ張り出して回転軸に設けられ、開き戸の戸先とパネルとの隙間を覆う羽部と、を有し、錠部は、開き戸に設けられた錠本体と、パネルに設けられ錠本体と係合する受け部材と、を有し、錠本体は、受け部材に対して係合可能となる通常状態と、受け部材に対する係合状態を解除する非常開錠状態とを有し、通常状態においては、パネルの外面のうち部屋の内側に向けられた面に羽部の少なくとも一部が当接するように自在ピンを保持することにより開き戸の動作を内開きのみに規制し、非常開錠状態においては、羽部とパネルとが接触しない位置まで自在ピンが移動することを許容して開き戸の動作を両開きにすることを特徴とするものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特許第6674505号公報
【特許文献2】特開2013-124485号公報
【特許文献3】特開2022-14144号公報
【特許文献4】特開2004-346565号公報
【特許文献5】特開2014-141871号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
一般的に、トイレなどにおいては、通路側のスペースが妨げられないように、内側へ開閉する開き戸が用いられている。この内側へ開閉する開き戸により男女ともにトイレにおける省スペースを実現することができる。また、トイレでの排泄音の遮音性または/および盗撮などの犯罪を防止するため、戸当たり付き戸を使用することが多い。
また、近年、オールジェンダートイレの認知度が上がり始め、設置の要望が高まりつつある。特に、性別に関係なく利用できるオールジェンダートイレの開発が求められている。しかしながら、遮音性および/または盗撮防止の面から戸当たり付きの開き戸が使用されており、戸当たり付きの開き戸では、非常時には出られない、または救出し難い仕様となっている点が問題となっている。
【0014】
非常時にトイレの利用者が、ドアに寄りかかり倒れることを想定して、非常時には外側に開けられることが一般的である。しかし、ドアが外側に開く動線上に戸当りがあるため、非常時に外側へ開くことができず、問題となる。
【0015】
特許文献1記載の非常時外開き扉の遮蔽構造においては、他人が外側から隙間を拡げて内側を覗き見することを防止できるというメリットはあるものの、性別に関係なく利用できるオールジェンダートイレの開発に関する遮音性を高めることが難しい。
また、特許文献2記載のトイレブースまたはシャワーブース用扉の開閉構造、特許文献3記載の戸当り装置、特許文献4記載の戸当たり装置および特許文献5記載の非常開錠機構においても、性別に関係なく利用できるオールジェンダートイレの開発に関する遮音性を高めることが難しく、かつ非常時にのみ外側へ開かれる、というトイレ利用者への安心感の供与がなされていない。
【0016】
本発明の目的は、使用時には内開きであり、非常時には外開きを可能とするトイレ開閉機構および個室トイレを提供することである。
本発明の他の目的は、遮音性を高く維持するとともに、使用時には内開きであり、非常時には外開きを可能とするトイレ開閉機構および個室トイレを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
(1)
一局面に従うトイレ開閉機構は、トイレの出入りを行うためのドアと、トイレの内側に設けられ、ドアの開閉を軸支しドアをトイレの内側に回動可能にするドアヒンジと、ドアの少なくとも側方に戸当たりが形成された内枠と、ドアの下側以外の上側および側方に設けられた外枠と、内枠および外枠を連結するため、ドアヒンジが設けられた一方側に設けられた一方側のヒンジと、内枠および外枠を連結するため、側方の他方側に設けられた他方側のヒンジと、他方側のヒンジの回動解放用の他方側解放部と、を含み、他方側解放部により他方側のヒンジを回動させて内枠の一部をトイレ外側に回動させて、一方側のヒンジによりドアをトイレの外側へ回動可能にするものである。
【0018】
この場合、他方解放部により他方側のヒンジを回動させて内枠の一部をトイレの外側に回動させて、ドアを一方側のヒンジによりドアをトイレの外側へ回動させることができる。すなわち、通常使用時には、ドアをトイレ内側に回動することができ、非常時または緊急の場合に、他方解放部によりドアをトイレの外側へ回動することができる。
その結果、トイレ内の要救助者等を容易に救助することができる。すなわち、内側に回動するドアの場合、便器とドアとの間に要救助者が挟まり、ドアが完全に開かず、要救助者を助けられないという問題があったが、ドアを外側に回動させることができるため、容易に要救助者を助けることができる。
【0019】
(2)
第2の発明に係るトイレ開閉機構は、一局面の発明に係るトイレ開閉機構であって、内枠は、一方側の一方枠および他方側の他方枠からなり、一方側のヒンジの回動解放用の一方側解放部をさらに含んでもよい。
【0020】
この場合、内枠が、一方枠と、他方枠とからなるので、一方枠と、他方枠とをそれぞれ解放させることで、大きな空間でドアを外側に開くことができる。その結果、要救助者を円滑に救助することができる。また、一方枠と、他方枠とからなるので内枠の強度を高めることができる。また、一方側解放部および他方側解放部を、ボルトまたは一部螺子形状を有するボルトで、上下左右のうち、2か所または4か所に設けることで容易に内枠を解放させることができる。
【0021】
(3)
第3の発明に係るトイレ開閉機構は、一局面の発明に係るトイレ開閉機構であって、内枠は、一方側および上方側が一体になった二枠および、他方側の他方枠からなってもよい。
【0022】
この場合、他方枠を回動させることで、ドアを外側に開くことができる。その結果、要救助者を円滑に救助することができる。この場合、一方側および上方側が一体になった二枠をドアと一体に開くことで、一方側解放部を設ける必要がなくなるため、部材点数を削減することができる。
【0023】
(4)
第4の発明に係るトイレ開閉機構は、一局面の発明に係るトイレ開閉機構であって、内枠は、一方側、他方側および上方側が一体になった三枠からなってもよい。
【0024】
この場合、ドアと共に三枠を外側に開くことができる。その結果、要救助者を円滑に救助することができる。この場合、三方枠をドアと一体に開くことで、一方側解放部を設ける必要がなくなるため、部材点数を削減することができる。
【0025】
(5)
第5の発明に係るフレーム構造体は、一局面から第4の発明のいずれかに係るトイレ開閉機構であって、ドアに内蔵された突出部材と、外枠に設けられた当接部材と、当接部材と接触する接触部材と、を含み、接触部材が当接部材により押圧されることによりドア内部に設けられた突出部材が突出されてもよい。
【0026】
この場合、接触部材が当接部材により押圧されることによりドア内部に設けられた突出部材が突出されるので、ドアと床との隙間、ドアと天井との隙間を閉塞することができる。
【0027】
(6)
第6の発明に係るトイレ開閉機構は、第5の発明に係るトイレ開閉機構であって、突出部材は、ドアの上方、両側方、下方の少なくとも1、または複数、または全部に設けられてもよい。
【0028】
この場合、突出部材は、ドアの上方、両側方、下方の少なくとも1、または複数、または全部に設けられるため、遮音性を高めることができる。
なお、突出部材は、ドアの上下方向にのみ設け、ドアの左右側においては、遮蔽部を設けることにより対応してもよい。
【0029】
(7)
他の発明に係るトイレ開閉機構は、トイレの出入りを行うためのドアと、ドアに内蔵された突出部材と、トイレの内側に設けられ、ドアの開閉を軸支しドアをトイレの内側に回動可能にするドアヒンジと、ドアの少なくとも側方に戸当たりが形成された内枠と、ドアの下側以外の上側および/または側方に設けられた外枠と、を含み、突出部材と連動した接触部材と、外枠または外枠に取付けられた当接部材とが接触して押圧されることによりドアの内部に設けられた突出部材が突出されるものである。
【0030】
この場合、突出部材は、ドアの上方、両側方、下方の少なくとも1、または複数、または全部に設けられるため、遮音性を高めることができる。
なお、突出部材は、ドアの上下方向にのみ設け、ドアの左右側においては、遮蔽部を設けることにより対応してもよい。
その結果、ドアが閉塞される場合に、突出部材が突出して遮音性を高めることができ、ドアが開かれる場合、または非常時に、突出部材が収納されてドアの開く方向への動作を円滑にすることができる。
【0031】
(8)
さらに他の局面に係る個室トイレは、一局面に従うトイレ開閉機構が設けられたものである。
【0032】
この場合、他方解放部により他方側のヒンジを回動させて内枠の一部をトイレの外側に回動させて、ドアを一方側のヒンジによりドアをトイレの外側へ回動させることができる。すなわち、通常使用時には、ドアをトイレ内側に回動することができ、非常時または緊急の場合に、他方解放部によりドアをトイレの外側へ回動することができる。
その結果、トイレ内の要救助者等を容易に救助することができる。すなわち、内側に回動するドアの場合、便器とドアとの間に要救助者が挟まり、ドアが完全に開かず、要救助者を助けられないという問題があったが、ドアを外側に回動させることができるため、容易に要救助者を助けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1】本実施の形態にかかるトイレ開閉機構の一例を示す模式的平面図である。
【
図2】
図1のA-A断面(横断面)の一例を示す模式的断面図である。
【
図3】
図1のB-B断面(縦断面)の一例を示す模式的断面図である。
【
図4】通常使用の場合のトイレ開閉機構の動作の一例を示す模式的横断面図である。
【
図5】通常使用の場合のトイレ開閉機構の動作の一例を示す模式的縦断面図である。
【
図6】非常使用の場合のトイレ開閉機構の動作の一例を示す模式的横断面図である。
【
図7】非常使用の場合のトイレ開閉機構の動作の一例を示す模式的横断面図である。
【
図8】非常使用の場合のトイレ開閉機構の動作の一例を示す模式的横断面図である。
【
図9】非常使用の場合のトイレ開閉機構の動作の一例を示す模式的斜視図である。
【
図10】第2の実施の形態にかかるトイレ開閉機構の一例を示す模式的平面図である。
【
図11】
図10のA-A断面(横断面)の一例を示す模式的断面図である。
【
図12】
図10のB-B断面(縦断面)の一例を示す模式的断面図である。
【
図13】通常使用の場合のトイレ開閉機構の動作の一例を示す模式的横断面図である。
【
図14】非常使用の場合のトイレ開閉機構の動作の一例を示す模式的横断面図である。
【
図15】非常使用の場合のトイレ開閉機構の動作の一例を示す模式的斜視図である。
【
図16】第3の実施の形態にかかるトイレ開閉機構の一例を示す模式的平面図である。
【
図17】
図16のA-A断面(横断面)の一例を示す模式的断面図である。
【
図18】
図16のB-B断面(縦断面)の一例を示す模式的断面図である。
【
図19】通常使用の場合のトイレ開閉機構の動作の一例を示す模式的横断面図である。
【
図20】非常使用の場合のトイレ開閉機構の動作の一例を示す模式的横断面図である。
【
図21】非常使用の場合のトイレ開閉機構の動作の一例を示す模式的横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。以下の説明においては、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰り返さない。
【0035】
(トイレ開閉機構100)
図1は、本実施の形態にかかるトイレ開閉機構100の一例を示す模式的平面図であり、
図2は、
図1のA-A断面(横断面)の一例を示す模式的断面図であり、
図3は、
図1のB-B断面(縦断面)の一例を示す模式的断面図である。
【0036】
図1に示すように、天井CE、床FLおよび壁に対して外枠500が設けられている。
外枠500は、壁に接する左右のそれぞれ側部、および天井CEに接する上側部に略コ字状に配置されている。また、内枠300は、外枠500の内部に、左右の側部にそれぞれ配置されている。そして、ドア200は、内枠300の内部に設けられている。ドア200の上側は、外枠500に対向し、左右の側部は、内枠300に対向して設けられる。
なお、本実施の形態においては、内枠300は、主に鉄からなり、ドア200は、主に鉄からなり、外枠500は、主に鉄からなる。なお、ドア200、内枠300、外枠500の素材は、上記に限定されることなく、アルミニウム等、任意の素材を用いてもよい。
【0037】
(外枠500の説明)
次に、
図2に示す断面を用いてトイレ開閉機構100について説明する。
図2に示すように、図中上側が、トイレの外側であり図中下側がトイレの内側と規定する。
外枠500の左側に、左側外枠510が設けられ、外枠500の右側に、右側外枠520が設けられる。なお、外枠500は、一体で形成されているが、説明のため左側外枠510、右側外枠520、上側外枠530の名称を付与している。なお、外枠500が、左側外枠510、右側外枠520、上側外枠530それぞれ別体、または一部別体で形成されていてもよい。
【0038】
(左側外枠510の説明)
また、
図2に示すように、左側外枠510には、後述する左側内枠310がヒンジ部材410(例えば、平蝶番等の構成部材)により回動可能なスペース511が形成されている。
【0039】
(左側内枠310)
次に、
図2に示すように、左側外枠510の内側には、左側内枠310が設けられており、左側外枠510と左側内枠310との間には、上述したヒンジ部材410が設けられている。
左側内枠310には、磁石を有する遮蔽部330および左側内枠310を左側外枠510に固定するピン350が設けられている。
【0040】
(右側外枠520)
さらに、
図2に示すように、右側外枠520には、後述する右側内枠320がヒンジ部材420(例えば、長蝶番等の構成部材)により回動可能なスペース521が形成されている。また、右側外枠520には、ハット形状からなる当接部材550が内側から突出するように形成されている。
【0041】
(右側内枠320)
また、
図2に示すように、右側外枠520の内側には、右側内枠320が設けられており、右側外枠520と右側内枠320との間には、ヒンジ部材420が設けられている。
右側内枠320には、磁石を有する遮蔽部340が設けられている。また右側内枠320の内側には、トイレの通常使用時に回動するヒンジ部400(グレビティヒンジ等の構成部材)が設けられている。
また、右側内枠320には、右側内枠320を右側外枠520の当接部材550に固定するピン360が設けられている。
なお、ピン360は、上下に設置され合計4か所に設けられている。なお、ピン360は、ボルトネジの構造であってもよく、一部のみ螺子構造を有する構造であってもよい。一部のみ螺子構造である場合には、ボルトを少ない回転数でピン360を取り外すことができる。
【0042】
(ドア200)
図2のドア200には、接触部材250が設けられている。また、ドア200の右側(一端側、戸尻側)には、ヒンジ部400に固定されている。
また、
図2に示すように、ドア200の戸尻側外側(一方側、右側部)は、遮蔽部340の磁石により遮蔽されており、ドア200の戸先側外側(他方側、左側部)は、遮蔽部330の磁石により遮蔽されている。遮蔽部330の磁石は、ドア200の素材がスチール等で形成されているため、磁力で引力が働き密閉を実現することができる。
さらに、
図2に示すように、ドア200の戸尻側(一方側、右側部)には、接触部材250が形成されている。当該接触部材250は、ドア200が閉塞状態にある場合、当接部材550と当接するように形成されている。当該接触部材250および当接部材550の詳細については、後述する。
【0043】
次に、
図3に示すように、ドア200の上部には、上側外枠530が設けられている。
また、ドア200の上端部および下端部の一部または全てにおいて、接触部材250と連動して伸縮動作を行う突出部材260が設けられている。
【0044】
(通常使用の場合のトイレ開閉機構100)
次に、
図4は、通常使用の場合のトイレ開閉機構100の動作の一例を示す模式的横断面図であり、
図5は、通常使用の場合のトイレ開閉機構100の動作の一例を示す模式的縦断面図である。
図5(a)は、ドア200の解放時の一例を示し、
図5(b)は、ドア200の閉塞時の一例を示す。
【0045】
図2に示す状態から
図4に示すように、トイレの使用者は、ドア200を、ヒンジ部400を軸中心に、矢印INの方向に回動させる。その結果、使用者はトイレへ容易に入室することができる。
この場合、
図5(a)に示すように、突出部材260は、ドア200内に収容されている。そして、使用者は、トイレのドア200を矢印INの方向と逆方向に回転させて閉塞する。この場合、
図4に示す状態から
図2に示す状態に移行する。そして、ドア200の戸尻側に設けられた接触部材250が、当接部材550と接触し、接触部材250がドア200内に収納される方向へ移動する。すなわち、接触部材250および/または当接部材550は、右側内枠320に形成された切り欠き、または孔により直接接触するように形成されている。
すなわち、接触部材250が、内枠320に接触して押圧され、突出部材260が下方に突出し床FLと接触する構成の場合、内枠320とドア200とが一緒に解放された場合にも床FLと接触した状態が維持される。この状態が維持されることを防止する為に、内枠320に切欠きまたは孔を形成することより、内枠320と接触部材250とが直接接触しない構成にすることができる。つまり接触部材250と外枠500とに取付けられた当接部材550が接触することとなり、ドア200の閉塞時は突出部材260が突出し、解放時は突出部材260の突出を格納する状態となり、ドア250の容易な開閉が可能となる。
【0046】
その結果、
図5(b)に示すように、突出部材260が上下それぞれの方向へ突出する。具体的には、ドア200の上方に設けられた突出部材260が上側外枠530の下側に接触し、ドア200の下方に設けられた突出部材260が床FLに接触する。これにより、使用者に対する音の遮蔽および盗撮等の問題を解消することができる。
接触部材250は、ドア200の側面から突出して形成されており、ドア200の上下端部からそれぞれ30mm程度のところに設けられている。一般的には、ドアボトム構造とも呼ばれる。
なお、突出部材260は、ドア200の短辺全域に設けられている。
【0047】
具体的に、突出部材260の移動量は、10mm程度のであることが好ましい。また、突出部材260は、ゴムなどの弾性部材からなることが好ましい。なお、使用者はトイレ入室した後、鍵を施錠する。本図においては、鍵は省略している。
【0048】
(非常使用の場合のトイレ開閉機構100)
次いで、
図6、
図7、
図8は、非常使用の場合のトイレ開閉機構100の動作の一例を示す模式的横断面図であり、
図9は、非常使用の場合のトイレ開閉機構100の動作の一例を示す模式的斜視図である。
【0049】
図6および
図9に示すように、非常使用の場合、トイレ開閉機構100のピン350を外す。この場合、ピン350により固定されていた左側内枠310を、ヒンジ部材410に軸支させつつ矢印E1の方向へ回動することができる。
【0050】
次いで、
図7に示すように、トイレ開閉機構100のピン360を外す。この場合、ピン360により固定されていた右側内枠320が右側外枠520の当接部材550から離間可能となる。この場合、
図8および
図9に示すように、右側内枠320をヒンジ部材420に軸支させつつ矢印OPの方向にドア200を開くことができる。
この場合においても、ドア200の戸尻側(一方側、右側部)に設けられた接触部材250が、当接部材550から離間するため、突出部材260がドア200内に収容されるため、容易にドア200を開閉することができる。
【0051】
(第2の実施の形態)
次に、
図10は、第2の実施の形態にかかるトイレ開閉機構100の一例を示す模式的平面図であり、
図11は、
図10のA-A断面(横断面)の一例を示す模式的断面図であり、
図12は、
図10のB-B断面(縦断面)の一例を示す模式的断面図である。以下、第2の実施の形態において、上述した実施の形態と異なる点について説明を行う。
【0052】
図10、
図11、
図12に示すように、第2の実施の形態にかかるトイレ開閉機構100においては、内枠300の構造が、左側内枠310および右側内枠320の代わりに、左側内枠310と、上側内枠および右側内枠320とが設けられている。上側内枠および右側内枠320は、一体の部材として形成されている。
なお、本実施の形態においては、上側内枠および右側内枠320は、別体で形成されてボルト等で螺子締結されて一体の部材として形成されていてもよい。
【0053】
(通常使用の場合のトイレ開閉機構100)
次に、
図13は、通常使用の場合のトイレ開閉機構100の動作の一例を示す模式的横断面図である。
【0054】
図11および
図13に示すように、ドア200を矢印OPの方向へ回動させることにより使用者がトイレ内に入室することができる。
また、この場合、上側内枠および右側内枠320は、ドア200の矢印OPの方向への動きとは、連動しない。
【0055】
(非常使用の場合のトイレ開閉機構100)
次に、
図14は、非常使用の場合のトイレ開閉機構100の動作の一例を示す模式的横断面図であり、
図15は、非常使用の場合のトイレ開閉機構100の動作の一例を示す模式的斜視図である。
【0056】
図14および
図15に示すように、ピン350を取り外すことにより、上側内枠および右側内枠320は、ドア200と共に、外側へ開かれる。
この場合、トイレ内の使用者を的確に救助することができる。また、外側へドア200が開かれることにより要救助者と便座との影響を考慮する必要がなくなる。
【0057】
(第3の実施の形態)
次に、
図16は、第3の実施の形態にかかるトイレ開閉機構100の一例を示す模式的平面図であり、
図17は、
図16のA-A断面(横断面)の一例を示す模式的断面図であり、
図18は、
図16のB-B断面(縦断面)の一例を示す模式的断面図である。以下、第3の実施の形態において、上述した実施の形態および第2の実施の形態と異なる点について説明を行う。
【0058】
図16、
図17、
図18に示すように、第3の実施の形態にかかるトイレ開閉機構100においては、内枠300の構造が、上側内枠、左側内枠310および右側内枠320が一体の部材として形成されている。
なお、本実施の形態においては、上側内枠、左側内枠310および右側内枠320は、別体で形成されてボルト等で螺子締結されて一体の部材として形成されていてもよい。
【0059】
(通常使用の場合のトイレ開閉機構100)
次に、
図19は、通常使用の場合のトイレ開閉機構100の動作の一例を示す模式的横断面図である。
【0060】
図17および
図19に示すように、ドア200を矢印OPの方向へ回動させることにより使用者がトイレ内に入室することができる。
また、この場合、上側内枠、左側内枠310および右側内枠320は、ドア200の矢印OPの方向への動きとは、連動しない。
【0061】
(非常使用の場合のトイレ開閉機構100)
次に、
図20および
図21は、非常使用の場合のトイレ開閉機構100の動作の一例を示す模式的横断面図である。
【0062】
図20および
図21に示すように、ピン350を取り外すことにより、上側内枠、左側内枠310および右側内枠320は、ドア200と共に、外側へ開かれる。
この場合、トイレ内の使用者を的確に救助することができる。また、外側へドア200が開かれることにより要救助者と便座との影響を考慮する必要がなくなる。
【0063】
以上のように、本発明に係るトイレ開閉機構100においては、ドア200が通常使用時において内側への開き戸であるため、省スペースを実現することができる。また、非常時においては、トイレの内部で使用者がドア200によりかかり倒れることを想定しているが、本実施の形態においては、ドア200を外開きにすることで救助等を容易に行うことができる。
また、本実施の形態においては、床上に戸当たりが設けられていないため、清掃を楽に実施することができる。さらに、本実施の形態においては、ドア200の閉塞時には、突出部材260により密閉を実現することができる。その結果、遮音性および防犯性を高く維持することが容易に可能となる。
【0064】
本発明においては、トイレ開閉機構100が「トイレ開閉機構」に相当し、ドア200が「ドア」に相当し、ヒンジ部400が「ドアヒンジ」に相当し、内枠300が「内枠」に相当し、外枠500が「外枠」に相当し、ヒンジ部材420が「一方側のヒンジ」に相当し、ヒンジ部材410が「他方側のヒンジ」に相当し、ピン350が「他方側解放部」に相当し、右側内枠320が、「一方枠」に相当し、左側内枠310が「他方枠」に相当し、ピン360が「一方側解放部」に相当し、突出部材260が「突出部材」に相当し、当接部材550が「当接部材」に相当し、接触部材250が「接触部材」に相当する。
【0065】
本発明の好ましい一実施の形態は上記の通りであるが、本発明はそれだけに制限されない。本発明の精神と範囲から逸脱することのない様々な実施形態が他になされることは理解されよう。さらに、本実施形態において、本発明の構成による作用および効果を述べているが、これら作用および効果は、一例であり、本発明を限定するものではない。
【符号の説明】
【0066】
100 トイレ開閉機構
200 ドア
250 接触部材
260 突出部材
300 内枠
310 左側内枠
320 右側内枠
330 遮蔽部
340 遮蔽部
350 ピン
360 ピン
400 ヒンジ部
410 ヒンジ部材
420 ヒンジ部材
500 外枠
510 左側外枠
511 スペース
520 右側外枠
521 スペース
530 上側外枠
550 当接部材