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特開2025-3589経路探索装置、経路探索システム並びに経路探索方法及び経路探索用プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025003589
(43)【公開日】2025-01-09
(54)【発明の名称】経路探索装置、経路探索システム並びに経路探索方法及び経路探索用プログラム
(51)【国際特許分類】
   G01C 21/26 20060101AFI20241226BHJP
   G01C 21/34 20060101ALI20241226BHJP
   G08G 1/005 20060101ALI20241226BHJP
   G16Y 10/40 20200101ALI20241226BHJP
   G16Y 20/20 20200101ALI20241226BHJP
   G16Y 40/60 20200101ALI20241226BHJP
【FI】
G01C21/26 P
G01C21/34
G08G1/005
G16Y10/40
G16Y20/20
G16Y40/60
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024186491
(22)【出願日】2024-10-23
(62)【分割の表示】P 2023105811の分割
【原出願日】2014-03-27
(71)【出願人】
【識別番号】000005016
【氏名又は名称】パイオニア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000958
【氏名又は名称】弁理士法人インテクト国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100120189
【弁理士】
【氏名又は名称】奥 和幸
(72)【発明者】
【氏名】東海林 孝年
(57)【要約】
【課題】複数の異質のイベントがある場合であっても、イベントに間に合うようにそれらの開催場所に移動することが可能な経路探索装置を提供する。
【解決手段】複数のイベントをそれぞれ示すイベントデータと、各イベントの開始時刻を少なくとも含む時刻データと、各イベントの開催場所をそれぞれ示す位置データと、を取得するインターフェース1と、イベントデータ等に基づいて、最も早く開始される第1イベントの開催場所までの経路を探索する第1探索部2と、イベントデータ等に基づいて、第2イベントの開始時刻までに第2イベントの開催場所に到着するように、第1イベントの開催場所から、第2イベントの開催場所までの経路を探索する第2探索部4と、第1探索部2による探索結果及び第2探索部4による探索結果を出力する出力部3と、を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のイベントをそれぞれ示すイベント識別情報と、各前記イベントの開始時刻を少なくとも含む時刻情報と、各前記イベントの開催場所をそれぞれ示す位置情報と、を取得する取得手段と、
前記取得したイベント識別情報、時刻情報及び位置情報に基づいて、最も早く開始される前記イベントである第1イベントの前記開始時刻までに当該第1イベントの前記開催場所に到着するように、当該第1イベントの当該開催場所までの経路を探索する第1探索手段と、
前記取得したイベント識別情報、時刻情報及び位置情報に基づいて、前記第1イベント以外の他の前記イベントの前記開始時刻までに当該他の前記イベントの前記開催場所に到着するように、前記第1イベントの前記開催場所から、当該他の前記イベントの前記開催場所までの経路を探索する第2探索手段と、
前記第1探索手段による探索結果及び前記第2探索手段による探索結果を出力する出力手段と、
を備えることを特徴とする経路探索装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、経路探索装置、経路探索システム並びに経路探索方法及び経路探索用プログラムの技術分野に属する。より詳細には、所望される地点又は位置までの経路を探索する経路探索装置、経路探索システム並びに経路探索方法及び当該経路探索装置用のプログラムの技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
近年、自動車等の車両、自転車、鉄道車両又は人等である移動体の目的地までの移動を案内するナビゲーション装置が広く一般化している。また従来のナビゲーション装置では、例えば上記移動体の移動の目的地までの経路を諸条件に基づいて探索し、その結果を使用者(運転者又は同乗者)に報知することが行われる。このような経路探索を行う技術を含む従来技術の一例としては、例えば下記特許文献1に記載された技術がある。
【0003】
この特許文献1に記載されている技術では、複数の場所及び複数の時間帯に開催される同質のイベントの一つに参加するべく、当該一つのイベントの開催場所への経路を探索する構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2007-148378号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1には、あくまで同質のイベントが複数開催される場合であって、そのうちのいずれか一つに行くための経路探索についての開示しか見当たらない。一方近年では、例えば比較的狭い範囲で異なる質のイベントが同時に行われる場合も多くあるが、特許文献1に開示されている技術では、このような異質のイベント間での経路探索に対応できないという問題点がある。
【0006】
そこで本願は、上記の問題点に鑑みて為されたもので、その課題の一例は、複数の異質のイベントがある場合であっても、イベントに間に合うようにそれらの開催場所に移動することが可能な経路探索装置及び経路探索方法並びに当該経路探索装置用のプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、複数のイベントをそれぞれ示すイベント識別情報と、各前記イベントの開始時刻を少なくとも含む時刻情報と、各前記イベントの開催場所をそれぞれ示す位置情報と、を取得するインターフェース等の取得手段と、前記取得したイベント識別情報、時刻情報及び位置情報に基づいて、最も早く開始される前記イベントである第1イベントの前記開始時刻までに当該第1イベントの前記開催場所に到着するように、当該第1イベントの当該開催場所までの経路を探索する第1探索部等の第1探索手段と、前記取得したイベント識別情報、時刻情報及び位置情報に基づいて、前記第1イベント以外の他の前記イベントの前記開始時刻までに当該他の前記イベントの前記開催場所に到着するように、前記第1イベントの前記開催場所から、当該他の前記イベントの前記開催場所までの経路を探索する第2探索部等の第2探索手段と、前記第1探索手段による探索結果及び前記第2探索手段による探索結果を出力する出力部等の出力手段と、を備える。
【0008】
上記の課題を解決するために、請求項8に記載の発明は、端末装置と、当該端末装置に接続されるサーバ装置と、を備える経路探索システムにおいて、前記端末装置は、複数のイベントをそれぞれ示すイベント識別情報と、各前記イベントの開始時刻を少なくとも含む時刻情報と、各前記イベントの開催場所をそれぞれ示す位置情報と、を前記サーバ装置に送信する送信手段と、前記サーバ装置から探索結果が送信されてきたとき、当該探索結果を報知する報知手段と、を備え、前記サーバ装置は、前記送信されたイベント識別情報、時刻情報及び位置情報を取得するインターフェース等の取得手段と、前記取得したイベント識別情報、時刻情報及び位置情報に基づいて、最も早く開始される前記イベントである第1イベントの前記開始時刻までに当該第1イベントの前記開催場所に到着するように、当該第1イベントの当該開催場所までの経路を探索する第1探索部等の第1探索手段と、前記取得したイベント識別情報、時刻情報及び位置情報に基づいて、前記第1イベント以外の他の前記イベントの前記開始時刻までに当該他の前記イベントの前記開催場所に到着するように、前記第1イベントの前記開催場所から、当該他の前記イベントの前記開催場所までの経路を探索する第2探索部等の第2探索手段と、前記第1探索手段による探索の結果及び前記第2探索手段による探索の結果を、前記探索結果として前記端末装置に出力する出力部等の出力手段と、を備える。
【0009】
上記の課題を解決するために、請求項9に記載の発明は、経路探索装置において実行される経路探索方法であって、複数のイベントをそれぞれ示すイベント識別情報と、各前記イベントの開始時刻を少なくとも含む時刻情報と、各前記イベントの開催場所をそれぞれ示す位置情報と、を取得する取得工程と、前記取得したイベント識別情報、時刻情報及び位置情報に基づいて、最も早く開始される前記イベントである第1イベントの前記開始時刻までに当該第1イベントの前記開催場所に到着するように、当該第1イベントの当該開催場所までの経路を探索する第1探索工程と、前記取得したイベント識別情報、時刻情報及び位置情報に基づいて、前記第1イベント以外の他の前記イベントの前記開始時刻までに当該他の前記イベントの前記開催場所に到着するように、前記第1イベントの前記開催場所から、当該他の前記イベントの前記開催場所までの経路を探索する第2探索工程と、前記第1探索工程における探索結果及び前記第2探索工程における探索結果を出力する出力工程と、を含む。
【0010】
上記の課題を解決するために、請求項10に記載の発明は、コンピュータを、複数のイベントをそれぞれ示すイベント識別情報と、各前記イベントの開始時刻を少なくとも含む時刻情報と、各前記イベントの開催場所をそれぞれ示す位置情報と、を取得する取得手段、前記取得したイベント識別情報、時刻情報及び位置情報に基づいて、最も早く開始される前記イベントである第1イベントの前記開始時刻までに当該第1イベントの前記開催場所に到着するように、当該第1イベントの当該開催場所までの経路を探索する第1探索手段、前記取得したイベント識別情報、時刻情報及び位置情報に基づいて、前記第1イベント以外の他の前記イベントの前記開始時刻までに当該他の前記イベントの前記開催場所に到着するように、前記第1イベントの前記開催場所から、当該他の前記イベントの前記開催場所までの経路を探索する第2探索手段、及び、前記第1探索手段による探索結果及び前記第2探索手段による探索結果を出力する出力手段、として機能させる。
【0011】
上記の課題を解決するために、請求項11に記載の発明は、複数のイベントの、識別情報、開始時刻を少なくとも含む時刻情報、及び開催場所の位置情報をそれぞれ取得する取得手段と、前記識別情報、前記時刻情報及び前記位置情報に基づき、第1イベントの開始時刻までに当該第1イベントの開催場所に到着する第1経路、及び当該第1イベントよりも遅い第2イベントの開始時刻までに当該第2イベントの開催場所に到着する前記第1イベントの開催場所からの第2経路を探索する探索手段と、前記第1経路及び第2経路を出力する出力手段と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施形態に係る経路探索装置の概要構成を示すブロック図である。
図2】実施例に係るナビゲーション装置の概要構成を示すブロック図である。
図3】実施例に係るイベントテーブルの内容を例示する図である。
図4】実施例に係る経路探索処理を示すフローチャートである。
図5】実施例に係るイベント選択画面を例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
次に、本願を実施するための形態について、図1を用いて説明する。なお図1は、実施形態に係る経路探索装置の概要構成を示すブロック図である。
【0014】
図1に示すように、実施形態に係る経路探索装置Sは、取得手段1と、第1探索手段2と、出力手段3と、第2探索手段4と、を備えて構成されている。
【0015】
この構成において取得手段1は、複数のイベントをそれぞれ示すイベント識別情報と、各イベントの開始時刻を少なくとも含む時刻情報と、各イベントの開催場所をそれぞれ示す位置情報と、を取得する。
【0016】
これにより第1探索手段2は、取得手段1が取得したイベント識別情報、時刻情報及び位置情報に基づいて、最も早く開始される第1イベントの開始時刻までに当該第1イベントの開催場所に到着するように、当該第1イベントの当該開催場所までの経路を探索する。
【0017】
一方第2探索手段4は、取得手段1が取得したイベント識別情報、時刻情報及び位置情報に基づいて、第1イベント以外の他のイベントの開始時刻までに当該他のイベントの開催場所に到着するように、第1イベントの開催場所から、当該他のイベントの開催場所までの経路を探索する。
【0018】
そして出力手段3は、第1探索手段2による探索結果及び第2探索手段4による探索結果を出力する。
【0019】
以上説明したように、実施形態に係る経路探索装置Sの動作によれば、複数のイベントにそれぞれ対応したイベント識別情報、時刻情報及び位置情報を取得し、最も早く開始される第1イベントの開始時刻までにその開催場所に到着するように経路を探索したのち、第1イベント以外の他のイベントの開始時刻までに当該他のイベントの開催場所に到着するように、第1イベントの開催場所から当該他のイベントの開催場所までの経路を探索し、これらの探索結果を出力する。よって、複数のイベントがある場合において、それらが異質か同質かに拘わらず、最も早く開始される第1イベントから、各イベントに間に合うようにそれらの開催場所に移動することができる。
【実施例0020】
次に、上述した実施形態に対応する具体的な実施例について、図2乃至図5を用いて説明する。なお以下に説明する実施例は、例えば車両に搭載されているナビゲーション装置における経路探索処理に対して本願を適用した場合の実施例である。
【0021】
また、図2は実施例に係るナビゲーション装置の概要構成を示すブロック図であり、図3は実施例に係るイベントテーブルの内容を例示する図である。更に、図4は実施例に係る経路探索処理を示すフローチャートであり、図5は実施例に係るイベント選択画面を例示する図である。このとき図2では、図1に示した実施形態に係る経路探索装置Sにおける各構成部材に対応する実施例の構成部材それぞれについて、当該経路探索装置Sにおける各構成部材と同一の部材番号を用いている。
【0022】
図2に示すように、実施形態に係る経路探索装置Sの一例を含む実施例に係るナビゲーション装置NVは、インターフェース1と、CPU、RAM(Random Access Memory)及びROM(Read Only Memory)等からなる処理部10と、不揮発性のHDD(Hard Disc Drive)及び揮発性のメモリ等を含む記録部11と、ナビゲーション装置NVが搭載されている車両を案内するための各種センサ(例えば、加速度センサ等の自立的位置センサ及びGPS(Global Positioning System)センサ等)を含むセンサ部12と、液晶ディスプレイ等からなるディスプレイ13と、操作ボタン及びリモコン等を含む操作部14と、により構成されている。なお記録部11には、後述する実施例に係る経路探索処理を含む上記案内に必要な地図データや音声データ等が不揮発性に記録されている。このとき当該地図データには、例えば交差点や駐車場等に対応したいわゆるノードの地理的な位置を示す緯度/経度データであるノードデータと、例えば交差点間の道路の地理的な位置や形状を示すリンクデータと、が、後述する実施例に係る経路探索処理に用いられる道路データとして含まれている。更に記録部11には、実施例に係る複数の例えばスポーツイベントについて、番号で識別しつつ、分類、出場国、出場者、開催日、開始時刻、終了時刻、会場名それぞれを示すデータ及びその会場の位置を示す緯度/経度データが、イベントテーブルTとして不揮発性に記録されている。このイベントテーブルTについては、後ほど図3を用いて詳説する。また処理部10が実施形態に係る取得手段1の一例に相当し、操作部14が本願に係る「入力手段」の一例に相当する。
【0023】
一方処理部10は、第1探索部2と、出力部3と、第2探索部4と、により構成されている。このとき第1探索部2、出力部3及び第2探索部4は、処理部10を構成するいわゆるハードウェアロジック回路により実現されるものであってもよいし、後述する本願に係る施設検索用プログラムを処理部10の上記CPUが読み込んで実行することにより、ソフトウェア的に実現されるものであってもよい。また、上記第1探索部2が実施形態に係る第1探索手段2の一例に相当し、上記第2探索部4が実施形態に係る第2探索手段4の一例に相当し、上記出力部3が実施形態に係る出力手段3の一例に相当する。
【0024】
この構成においてインターフェース1は、例えばインターネット等のネットワークからのデータ又はいわゆるVICS(Vehicle Information and Communication System)(登録商標)を介したデータとして、例えば所望のイベントの開催場所に至る経路上に発生している渋滞を示す渋滞データ等を取得して、処理部10に出力する。
【0025】
一方センサ部12は、自立的に又はGPSを用いて、ナビゲーション装置NVが搭載されている車両の現在位置を検出し、当該検出された現在位置を示す現在位置データを処理部10に出力する。
【0026】
更に操作部14では、実施例に係る経路探索処理によりそれに至る経路が探索されるべきイベントを複数選択する操作が実行され、操作部14はこの操作に対応した操作信号を生成して処理部10に出力する。この操作信号には、上記選択された複数のイベントに対応するデータとして、例えば選択された複数のイベントをそれぞれ示すイベント識別データ等が含まれている。
【0027】
これらにより処理部10の第1探索部2は先ず、上記操作信号として入力されているイベント識別データに基づいて、当該選択された複数のイベントを、記録部11に記録されているイベントテーブルT内において検索し、当該選択された複数のイベントそれぞれの開始時刻、終了時刻及び開催場所等のデータを取得する。
【0028】
ここで、実施例に係るイベントテーブルTについて、具体的に図3を用いて例示しつつ、説明する。
【0029】
図3に例示するように、実施例に係るイベントテーブルTは、複数の例えばスポーツイベントについて、番号で識別しつつ、分類、出場国、出場者、開催日、開始時刻、終了時刻、会場名それぞれを示すデータ及びその会場の位置を示す緯度/経度データを含んでいる。そして第1探索部2は、このイベントテーブルTを参照して、操作部14を用いて選択された複数のイベントのうち、最も近い開始時刻(換言すれば、最も早い開始時刻)のイベントの開催場所までの経路を探索する。なお以下の説明において、当該最も近い開始時刻のイベントを「第1イベント」と称する。また実施例に係る「イベント」とは、例えば、ある種の出来事、催し物、行事、競技(種目)又は試合等を含む概念である。
【0030】
これに対して実施例に係る第2探索部4も、上記イベントテーブルTを参照して、操作部14を用いて選択されたイベントのうち、上記第1イベント以外の他のイベントの開始時刻までに当該他のイベントの開催場所に到着するように、上記第1イベントの開催場所から、当該他のイベントの開催場所までの経路を探索する。なお第2探索部4は、三つ以上のイベントが操作部14において選択されている場合、二番目に開始されるイベントが終了した時刻から三番目に開始されるイベントの開始時刻までに当該三番目のイベントの開催場所に移動できるような経路を探索する。以降第2探索部4は、二番目以降に開始されるイベントについて、それぞれの開始時刻の時系列に沿って連続して、各イベントの開始時刻に間に合うように、それぞれの開催場所に移動するための経路を探索する。
【0031】
これらにより出力部3は、第1探索部2及び第2探索部4それぞれにおける経路の探索結果を、当該探索結果が活用されるべきタイミングで例えばディスプレイ13に出力する。なおこの「タイミング」の例としては、例えば上記第1イベントの終了時のタイミングで、当該第1イベントの次に開始される二番目のイベントの開催場所への経路が出力される。
【0032】
次に、実施例に係る経路探索処理について、より具体的に図4及び図5を用いて説明する。
【0033】
実施例に係る経路探索処理では、図4に示すように、例えば操作部14を用いて、検索されるべき経路の目的地たるイベントを検索する処理が行われる(ステップS1)。このステップS1としては、例えば「○月×日に行われるサッカーの試合とテニスの試合」といった内容の操作が行われ、これに基づいて所望のイベントが処理部10により検索される。なおこのときのイベント検索は、記録部11に記録されている上記イベントテーブルTを参照して行われる。
【0034】
ステップS1でイベントが検索されたら、次に処理部10は、検索されたイベントの中から更に所望のイベントを絞り込むべく、当該所望のイベントに対応するキーワードが操作部14において入力されたら、これを取得する(ステップS2)。そして処理部10は、ステップS2において入力されたキーワードを用いてイベントテーブルT内を更に検索し、その検索結果をディスプレイ13に例えば一覧形式で出力する(ステップS3)。これにより使用者は、自身が参加又は観覧等を希望するイベントを、例えば操作部14を介した選択操作により複数選択する(ステップS4)。
【0035】
ここで、上記ステップS2乃至ステップS4による希望イベントの選択処理について、例示しつつより具体的に説明する。
【0036】
先ず、図3に例示するイベントテーブルTが記録部11に記録されている場合に、例えばキーワードとして「日本」が入力されると(ステップS2参照)、そのキーワード「日本」を用いて図3のイベントテーブルT内が検索され、出場国に日本が入っている番号1のイベントと番号8のイベントが検索され、その検索結果がディスプレイ13上に例えば一覧表形式で表示される(ステップS3参照)。これにより、例えば操作部14を介した操作により、番号1のイベントと番号8のイベントの双方又は一方を使用者が選択する(ステップS4参照)。一方、例えばキーワードとして「テニス」と「アメリカ」が入力されると(ステップS2参照)、そのキーワード「テニス」及び「アメリカ」を用いて図3のイベントテーブルT内が検索され、出場国に「アメリカ」が入っている「テニス」のイベントである番号7のイベントと番号10のイベントが検索され、その結果がディスプレイ13上で例えば一覧表形式で表示される(ステップS3参照)。これにより、例えば操作部14を介した操作により、番号7のイベントと番号10のイベントの双方又は一方を使用者が選択する(ステップS4参照)。
【0037】
なおこのとき、上記ステップS2乃至ステップS4のように使用者にキーワードを入力させてイベントを特定する代わりに、例えば図3に例示するイベントテーブルTに対応した一覧表Gとして図5に例示するように、指定された開催日に開催されるイベントの一覧表Gを、時系列に沿ってそれぞれ選択可能にディスプレイ13に表示し、この中から使用者による例えば操作部14を用いたタッチ操作により複数選択させることで、その使用者としての希望イベントを複数特定するように構成してもよい。なお図5では、使用者の操作に係るポインタマークCが合わせて表示されている。
【0038】
次に、上記ステップS4までの操作等により使用者が希望するイベントが複数特定されると、次に第1探索部2は、希望されているイベントのうち、第1イベント、即ち最も近い開始時刻のイベントへの経路を探索する(ステップS5)。このステップS5の探索にあたっては、イベントテーブルT内の該当するイベントの会場名データ及びその位置を示す緯度/経度データ等を参照し、記録部11に記録されている地図データ中の道路データ等を用いて、当該第1イベントの開催場所への経路が探索される。そして上記ステップS5の探索の結果としては、例えば「現在位置を11:50に出発し、○○道路を経て12:30に第1イベントの開催場所に到着」といった探索結果となる。
【0039】
次に処理部10は、ステップS5で探索された経路上の時刻と現在時刻との間に重なりがあるか否か、即ち、例えば当該経路上の時刻に現在時刻が含まれていることで既に出発していないと開始時刻に間に合わない第1イベントであるか否か、或いは既に開始時刻が過ぎてしまっている第1イベントであるか否か、を判定する(ステップS6)。ステップS6の判定において、ステップS5で探索された経路上の時刻と現在時刻との間に重なりがある場合(ステップS6;NO)、第1イベントにはその開始当初からは参加できないことになるので、処理部10の出力部3は、他のイベントを選ぶ等の再検討を使用者に促す旨のメッセージ等をディスプレイ13に表示し(ステップS11)、上記ステップS4に戻る。
【0040】
一方、ステップS6の判定において、ステップS5で探索された経路上の時刻と現在時刻との間に重なりがない場合(ステップS6;YES)、処理部10の第2探索部4は、希望されているイベントのうち、二番目に近い開始時刻(換言すれば、二番目に早い開始時刻)のイベントの開催場所への、第1イベントの開催場所からの経路を探索する(ステップS7)。このステップS7の探索にあたっても、ステップS5の探索と同様に、イベントテーブルT内の該当するイベントの会場名データ及びその位置を示す緯度/経度データ等を参照し、記録部11に記録されている地図データ中の道路データ等を用いて、第1イベントの開催場所から当該二番目に近い開始時刻のイベントの開催場所への経路が探索される。なお以下の説明において、当該二番目に近い開始時刻のイベントを「第2イベント」と称する。そして上記ステップS7の探索の結果としては、例えば「第1イベントの開催場所を16:50に出発し、××道路を経て17:30に第2イベントの開催場所に到着」といった探索結果となる。
【0041】
次に処理部10は、ステップS7で探索された経路上の時刻と上記第1イベントの終了時刻との間に重なりがあるか否か、即ち、例えば第2イベントの開催場所への経路上の時刻に第1イベントの終了時刻が含まれていることで既に第1イベントの開催場所からの移動を開始していないと開始時刻に間に合わない第2イベントであるか否か、或いは既に開始時刻が過ぎて閉まっている第2イベントであるか否か、を判定する(ステップS8)。ステップS8の判定において、ステップS7で探索された経路上の時刻と第1イベントの終了時刻との間に重なりがある場合(ステップS8;NO)、第2イベントにはその開始当初からは参加できないことになるので、処理部10の出力部3は上記ステップS11の処理を行い、その後上記ステップS4に戻る。
【0042】
他方、ステップS8の判定において、ステップS7で探索された経路上の時刻と第1イベントの終了時刻との間に重なりがない場合(ステップS8;YES)、処理部10は、上記ステップS5で探索された経路(現在位置を起点とする経路)と、上記ステップS7で探索された経路(第1イベントの開催場所を起点とする経路)と、の二つをもって最終的な経路を確定させる(ステップS9)。その後処理部10は、当該確定した経路による案内を開始する等の処理を行う。そして処理部10は、例えばナビゲーション装置NVの電源がオフとされたり、或いは目的地(イベントの開催場所のいずれか)に到着した等の理由により、実施例に係る経路探索処理を終了するか否かを判定する(ステップS10)。ステップS10の判定において引き続き実施例に係る経路探索処理を継続する場合は(ステップS10;NO)上記ステップS1に戻り、当該経路探索処理を終了する場合は(ステップS10;YES)、そのまま当該経路探索処理を終了する。
【0043】
以上の図4に示す処理が行われ、その中で例えばキーワードとして「日本」が入力された結果(図4ステップS2参照)、出場国に日本が入っている番号1のイベントと番号8のイベントが検索されて選択された場合(図4ステップS3及びステップS4参照)、上記ステップS9において確定される経路としては、13時にはDDコートに到着する経路が第1探索部2により探索され(図4ステップS5参照)、その後DDコートを出発して18時にAA競技場に到着する経路が第2探索部4により探索されることとなる(図4ステップS7参照)。
【0044】
また、例えばキーワードとして「テニス」と「アメリカ」が入力された結果(図4ステップS2参照)、出場国に「アメリカ」が入っている「テニス」のイベントである番号7のイベントと番号10のイベントが検索されて選択された場合(図4ステップS3及びステップS4参照)、上記ステップS9において確定される経路としては、13時にはDDコートに到着する経路が第1探索部2により探索され(図4ステップS5参照)、その後DDコートを出発して18時にCCコートに到着する経路が第2探索部4により探索されることとなる(図4ステップS7参照)。
【0045】
なお、図5を用いて説明した一覧表から使用者が、例えば「サッカー」の「アメリカ対イタリア」のイベント(試合)と、「テニス」の「M.N.(ロシア)対A.A.(アメリカ)」のイベント(試合)を選んだ場合、上記ステップS9において確定される経路としては、15時にはAA競技場に到着する経路が第1探索部2により探索され(図4ステップS5参照)、その後AA競技場を出発して18時にCCコートに到着する経路が第2探索部4により探索されることとなる(図4ステップS7参照)。そして上記ステップS9により最終的に確定された探索の結果としては、例えば「14:15自宅出発→△△道路→14:45AA競技場到着→17:20AA競技場出発→○●道路→17:50CCコート到着→20:00CCコート出発→×○道路→20:30自宅帰着」といった探索結果となる。
【0046】
以上説明したように、実施例に係るナビゲーション装置NVにおける経路探索処理によれば、複数のイベントにそれぞれ対応したイベントデータ、時刻データ及び位置データ等を取得し、最も早く開始される第1イベントの開始時刻までに当該第1イベントの開催場所に到着するように経路を探索したのち、第2イベントの開始時刻までに当該第2イベントの開催場所に到着するように、第1イベントの開催場所から第2イベントの開催場所までの経路を探索し、これらの探索結果を報知する。よって、複数のイベントがある場合において、それらが異質か同質かに拘わらず、最も早く開始される第1イベントから、各イベントに間に合うようにそれらの開催場所に移動することができる。
【0047】
また、第1イベントの終了時刻後にその開催場所を出発し、第2イベントの開始時刻までにその開催場所に到着するように、第1イベントの開催場所から第2イベントの開催場所までの経路を探索するので、終了時刻まで考慮することで、いずれのイベントも最後まで楽しませることができる。
【0048】
更に、操作部14を用いた使用者による入力に対応したイベントデータ等を取得するので、使用者の意図に沿った経路探索が可能となる。
【0049】
なお、本願は種々の応用例への適用が可能である。
【0050】
例えば、参加又は観覧を希望するイベントが三つ以上ある場合でも、上記第2探索部4によるイベント間の経路探索及びその報知等をイベントごとに時系列に沿って順次繰り返すことで、第1イベントに参加した以降に複数のイベントに順次参加する場合でも、それぞれの開始時刻までにその開催場所に到着することができる。
【0051】
また、一のイベントの終了時刻と他のイベントの開始時刻との間に第3のイベントが開催される場合に、当該第3のイベントの開催場所に到着可能な経路を探索するように構成することもできる。この場合には、二つのイベントの間の空き時間を有効に利用して他のイベントの開催場所に移動することができる。
【0052】
更に、各イベントの開始までの属性(例えば、開始前に渋滞が発生し易い、或いは入口が狭いためイベント会場への移動に時間がかかる、といった属性)を、例えばチケットの売れ行きや普段の渋滞データ等を介して検出しておくことで、その属性に応じてそのイベントの開催場所への到着時刻を変更して(例えば前倒しして)経路を探索するように構成することもできる。この場合には、そのイベントの状態(混雑具合等)に合わせて柔軟且つ有効にイベントの開催場所に移動することができる。
【0053】
更にまた、各イベントの終了後の属性(例えば、終了後の出口までに時間がかかるといった属性)を、例えば普段のイベント時の状況から検出しておくことで、そのイベントの開催場所からの出発時刻を変更して(例えば遅らせて)経路を探索するように構成することもできる。この場合には、イベントの状態に合わせて柔軟且つ有効に次のイベントの開催場所に移動することができる。
【0054】
また、使用者があるイベントを選択したとき、経路の探索/確定前であっても、そのイベントの終了後にその開催場所を出発してから、その開始時刻に間に合う他のイベントを自動的に報知するように構成することもできる。またこの場合に、当該他のイベントを報知するに際して、最初に選択したイベントに関連があるイベント(例えば何らかの競技の試合であれば、「出場国が同じ」、或いは「競技種目が同じ」といった関連があるイベント)を報知するように構成してもよい。
【0055】
なお上述してきた実施例では、車両に搭載されたナビゲーション装置NVにおける施設検索処理に対して実施形態に係る経路探索処理を適用した場合について説明したが、これ以外に、例えば人が所持する携帯型情報端末装置による案内処理の一環としての経路探索処理を実行する場合に、実施形態に係る経路探索処理を適用することも可能である。このとき例えば、イベントの開催場所への移動手段をそれぞれ使用者に入力させ、当該入力された移動手段で到達できるイベントを検索して報知するように構成してもよい。この場合は、移動手段が入力されることで、例えば携帯型情報端末装置において経路探索を行う場合にも本願を適用することができる。また、例えば「日本は三塁側ゲート」の如く、徒歩移動の入場ゲートまで具体的に案内するように構成してもよい。
【0056】
更に、上記携帯型情報端末装置とサーバ装置との関係は、例えば地図データが記録されていないナビゲーション装置が搭載されている車両が移動すべき経路等をサーバ装置において探索するシステムに置き換えることも可能である。この場合には、当該ナビゲーション装置において検索対象たるイベントの属性等を入力し、その入力内容に基づいた実施例に係る経路探索処理をサーバ装置において実行し、その探索結果を元のナビゲーション装置に返信して探索された経路を表示させるように構成してもよい。
【0057】
更にまた、図4に示したフローチャートに相当する施設検索用プログラムを、光ディスク又はハードディスク等の記録媒体に記録しておき、或いはインターネット等のネットワークを介して取得しておき、これを汎用のマイクロコンピュータ等により読み出して実行することにより、当該マイクロコンピュータ等を実施例に係る処理部10として機能させることも可能である。
【符号の説明】
【0058】
1 取得手段(インターフェース)
2 第1探索手段(第1探索部)
3 出力手段(出力部)
4 第2探索手段(第2探索部)
10 処理部
11 記録部
13 ディスプレイ
T イベントテーブル
S 経路探索装置
NV ナビゲーション装置
図1
図2
図3
図4
図5