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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025003604
(43)【公開日】2025-01-09
(54)【発明の名称】同軸コネクタ
(51)【国際特許分類】
   H01R 24/38 20110101AFI20241226BHJP
   H01R 12/91 20110101ALI20241226BHJP
   H01R 13/6582 20110101ALI20241226BHJP
【FI】
H01R24/38
H01R12/91
H01R13/6582
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024186744
(22)【出願日】2024-10-23
(62)【分割の表示】P 2021080514の分割
【原出願日】2021-05-11
(71)【出願人】
【識別番号】000194918
【氏名又は名称】ホシデン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】河西 孝英
(57)【要約】
【課題】プラグとレセプタクルとの位置ずれがあっても電気的な接続を安定的に担保できる同軸コネクタを提供する。
【解決手段】互いに電気的に接続されるプラグ10BとレセプタクルAとを備えた同軸コネクタであって、プラグ10Bは、第一コンタクト1と、ホルダ2と、第一筒状シェル3と、シールド部材7と、を備え、レセプタクルAは、第二コンタクト5と、ケース9と、第二筒状シェル8と、を備え、第二コンタクト5は、底部51と、一対の立設部52と、延出体53と、を有しており、一対の立設部52は、第一コンタクト1の端部12を挟持可能な幅広形状で構成された接点部52b2を含んでおり、延出体53は、基板102に固定される先端部53aと、ケース9に保持される保持部53bと、弾性変形可能な弾性部53cと、を含んでおり、弾性部53cは、接点部52b2の延在方向に対して直交する方向に弾性変形可能である。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに電気的に接続されるプラグとレセプタクルとを備えた同軸コネクタであって、
前記プラグは、棒状に形成された導電性の第一コンタクトと、前記第一コンタクトを内挿して支持する絶縁性のホルダと、前記ホルダの外側を覆う導電性の第一筒状シェルと、前記第一筒状シェルと接触して外部の電磁波を遮断する導電性のシールド部材と、を備え、
前記レセプタクルは、基板に電気的に接続されると共に前記第一コンタクトと同軸上で電気的に接続可能な導電性の第二コンタクトと、前記第二コンタクトを収容する絶縁性のケースと、前記ケースの外側を覆う導電性の第二筒状シェルと、を備え、
前記第二コンタクトは、前記基板に対向する底部と、当該底部から互いに近接するように板状に立設した一対の立設部と、一方の前記立設部よりも外側に向かって前記底部から逆U字状に延出した延出体と、を有しており、
一対の前記立設部は、前記第一コンタクトの端部を挟持可能な幅広形状で構成された接点部を含んでおり、
前記延出体は、前記基板に固定される先端部と、前記ケースに保持される保持部と、弾性変形可能な弾性部と、を含んでおり、
前記弾性部は、前記接点部の延在方向に対して直交する方向に弾性変形可能である同軸コネクタ。
【請求項2】
前記弾性部の一部は、前記一方の前記立設部を切り欠いて形成された切り欠きに入り込んでいる請求項1に記載の同軸コネクタ。
【請求項3】
前記第二コンタクトの前記底部のうち前記基板に対向する底面は、前記延出体の前記先端部のうち前記基板に固定される固定面と同一平面上に位置している請求項1又は2に記載の同軸コネクタ。
【請求項4】
前記第二コンタクトの前記底部の前記底面には、半球状突起が形成されている請求項3に記載の同軸コネクタ。
【請求項5】
前記シールド部材は、外側に湾曲した弾性変形可能な第一湾曲部と、当該第一湾曲部から内側に湾曲し前記第二筒状シェルと電気的に接続可能な第二湾曲部とを有している請求項1から4の何れか一項に記載の同軸コネクタ。
【請求項6】
前記シールド部材は、前記第一筒状シェルに接触する円筒部を有しており、
前記第一湾曲部は、前記円筒部から切片状に複数延出している請求項5に記載の同軸コネクタ。
【請求項7】
前記第二湾曲部は、複数の前記第一湾曲部の夫々と連続した切片で構成されており、
複数の前記切片の最も内側にある部位を周方向に接続した仮想円の直径は、前記円筒部の外径よりも小さい請求項6に記載の同軸コネクタ。
【請求項8】
全ての前記第二湾曲部は、前記第二筒状シェルと常時電気的に接続されている請求項7に記載の同軸コネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、互いに電気的に接続されるプラグとレセプタクルとを備えた同軸コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、基板に電気的に接続されるレセプタクルと、このレセプタクルに同軸上で電気的に接続されるプラグとを備えた同軸コネクタが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載の同軸コネクタにおけるプラグは、プラグ側中心コンタクトと、プラグ側中心コンタクトを内挿して支持するプラグ側絶縁体と、プラグ側絶縁体の外側を覆う導電性のプラグ側シェルとを備えている。また、この同軸コネクタにおけるレセプタクル(文献ではソケット)は、ソケット側中心コンタクトと、ソケット側中心コンタクトを収容する絶縁性のハウジング基部及びハウジング可動部と、ハウジング基部の外側を覆う導電性のソケット側シェルとを備えている。これらプラグとレセプタクルとが相対的に位置ずれした状態で接続されたとき、ハウジング可動部がソケット側中心コンタクトと共に移動し、ソケット側シェルがプラグ側シェルに片当たりした状態で接触する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2021-18948号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の同軸コネクタは、プラグとレセプタクルとが相対的に位置ずれしている場合、ソケット側シェルがプラグ側シェルに片当たりしているため、コンタクトを伝播する高周波信号が漏れやすく信号品質が低下する。また、ハウジング可動部が移動したときにソケット側中心コンタクトが捩じれるおそれがあり、捩じれた場合にはプラグ側中心コンタクト及びソケット側中心コンタクトの接点荷重が低下して電気的な接続を担保し難い。
【0006】
そこで、プラグとレセプタクルとの位置ずれがあっても電気的な接続を安定的に担保できる同軸コネクタが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る同軸コネクタの特徴構成は、互いに電気的に接続されるプラグとレセプタクルとを備えた同軸コネクタであって、前記プラグは、棒状に形成された導電性の第一コンタクトと、前記第一コンタクトを内挿して支持する絶縁性のホルダと、前記ホルダの外側を覆う導電性の第一筒状シェルと、前記第一筒状シェルと接触して外部の電磁波を遮断する導電性のシールド部材と、を備え、前記レセプタクルは、基板に電気的に接続されると共に前記第一コンタクトと同軸上で電気的に接続可能な導電性の第二コンタクトと、前記第二コンタクトを収容する絶縁性のケースと、前記ケースの外側を覆う導電性の第二筒状シェルと、を備え、前記第二コンタクトは、前記基板に対向する底部と、当該底部から互いに近接するように板状に立設した一対の立設部と、一方の前記立設部よりも外側に向かって前記底部から逆U字状に延出した延出体と、を有しており、一対の前記立設部は、前記第一コンタクトの端部を挟持可能な幅広形状で構成された接点部を含んでおり、前記延出体は、前記基板に固定される先端部と、前記ケースに保持される保持部と、弾性変形
可能な弾性部と、を含んでおり、前記弾性部は、前記接点部の延在方向に対して直交する方向に弾性変形可能である点にある。
【0008】
本構成のように、第二コンタクトの一対の立設部に形成された接点部を、第一コンタクトの端部を挟持可能な幅広形状とすれば、プラグとレセプタクルとが接点部の延在方向に対して相対的に位置ずれした場合においても、第一コンタクトと第二コンタクトとの電気的な接続を担保できる。また、本構成における弾性部は、接点部の延在方向に対して直交する方向に弾性変形可能であるため、プラグとレセプタクルとが接点部の延在方向と直交する方向に相対的に位置ずれした場合においても、弾性部が弾性変形して第一コンタクトと第二コンタクトとの電気的な接続を担保できる。よって、プラグとレセプタクルとが様々な方向に位置ずれしたとしても、第一コンタクトと第二コンタクトとの電気的な接続を確実に担保できる。
【0009】
このように、接点部の延在方向に対しては幅広形状により位置ずれを吸収し、該延在方向と直交する方向に対しては弾性部により位置ずれを吸収するため、第二コンタクトが捩れ難く、接点荷重を安定的に確保できる。この接点荷重の確保は、第二コンタクトの形状により実現されるため、第一筒状シェルとシールド部材との接触性能を低下させることが無く、高周波信号が漏れ難い。よって、プラグとレセプタクルとの位置ずれがあっても電気的な接続が安定的に担保できる同軸コネクタを提供できた。
【0010】
他の特徴構成として、前記弾性部の一部は、前記一方の前記立設部を切り欠いて形成された切り欠きに入り込んでいる点にある。
【0011】
本構成のように、弾性部の一部が、一方の立設部を切り欠いて形成された切り欠きに入り込んでいるため、同軸コネクタをコンパクトにすることができる。
【0012】
他の特徴構成として、前記第二コンタクトの前記底部のうち前記基板に対向する底面は、前記延出体の前記先端部のうち前記基板に固定される固定面と同一平面上に位置している点にある。
【0013】
本構成のように、第二コンタクトの底部の底面と延出体の先端部の固定面とが同一平面上に位置していれば、弾性部が変形しても第二コンタクトの底部が基板に当接し、基板に固定される延出体の先端部に応力がかかり難い。よって、プラグとレセプタクルとの位置ずれがあっても電気的な接続を安定的に担保できる。
【0014】
他の特徴構成として、前記第二コンタクトの前記底部の前記底面には、半球状突起が形成されている点にある。
【0015】
本構成のように、第二コンタクトの底部の底面に半球状突起を設ければ、弾性部が弾性変形したときに半球状突起が基板を滑らかに摺動して、プラグとレセプタクルとの位置ずれに伴って発生する応力を緩和することができる。
【0016】
他の特徴構成として、前記シールド部材は、外側に湾曲した弾性変形可能な第一湾曲部と、当該第一湾曲部から内側に湾曲し前記第二筒状シェルと電気的に接続可能な第二湾曲部とを有している点にある。
【0017】
本構成では、レセプタクルの第二筒状シェルと接触するプラグのシールド部材に、外側に湾曲した弾性変形可能な第一湾曲部と、第一湾曲部から内側に湾曲し第二筒状シェルと電気的に接続可能な第二湾曲部とを設けている。このため、プラグとレセプタクルとが相対的に位置ずれした状態で第一コンタクトと第二コンタクトとが電気的に接続されたとき
、第一湾曲部が柔軟に変形し、第二湾曲部が第二筒状シェルに対して全体的に当接した状態を維持する。よって、高いシールド性が確保されるので、コンタクトを伝播する高周波信号が漏れて信号品質が低下するといった不都合がない。
【0018】
他の特徴構成として、前記シールド部材は、前記第一筒状シェルに接触する円筒部を有しており、前記第一湾曲部は、前記円筒部から切片状に複数延出している点にある。
【0019】
本構成のように、第一筒状シェルとシールド部材の円筒部とを接触させ、第一湾曲部を円筒部から切片状に複数延出させれば、第一湾曲部がより柔軟に変形するので、シールド部材と第二筒状シェルとの接触抵抗が均一なものとなり耐久性を高めることができる。
【0020】
他の特徴構成として、前記第二湾曲部は、複数の前記第一湾曲部の夫々と連続した切片で構成されており、複数の前記切片の最も内側にある部位を周方向に接続した仮想円の直径は、前記円筒部の外径よりも小さい点にある。
【0021】
本構成のように、第二湾曲部も第一湾曲部と連続した複数の切片で構成すれば、第一湾曲部の変形に追従して第二湾曲部を移動させて、シールド部材と第二筒状シェルとの接点をより多く確保することができる。しかも、複数の切片の最も内側にある部位を周方向に接続した仮想円の直径は、円筒部の外径よりも小さいため、同軸コネクタをコンパクトにしつつ接点荷重を適正に確保することができる。
【0022】
他の特徴構成として、全ての前記第二湾曲部は、前記第二筒状シェルと常時電気的に接続されている点にある。
【0023】
本構成のように、プラグとレセプタクルとが相対的に位置ずれした状態においても、全ての第二湾曲部が第二筒状シェルと常時電気的に接続していれば、同軸コネクタのシールド性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】カメラユニット(車載カメラ)の構成を模式的に示す図である。
図2】同軸コネクタの断面図である。
図3】同軸コネクタを底側から見た斜視図である。
図4】プラグの分解斜視図である。
図5】レセプタクルの分解斜視図である。
図6】シールド部材の斜視図である。
図7】第二コンタクトの斜視図である。
図8】レセプタクルがプラグに対して左方向及び下方向に位置ずれした状態を示す図である。
図9】レセプタクルがプラグに対して右方向及び上方向に位置ずれした状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下に、本発明に係る同軸コネクタの実施形態について、図面に基づいて説明する。図1に模式的に示すように、車両に搭載されるカメラユニット100(車載カメラ)は、プラグ10Bを有するプラグユニット10とレセプタクルAを有するカメラモジュール110とを備えている。本実施形態における同軸コネクタは、プラグ10BとレセプタクルAとを備えている。ただし、以下の実施形態に限定されることなく、その要旨を逸脱しない範囲内で種々の変形が可能である。
【0026】
[全体概要]
図1に示すように、カメラユニット100は、レセプタクルAを含むカメラモジュール110と、プラグユニット10と、カメラモジュール110を収容する樹脂等で構成される絶縁性の本体ケース90と、を備えている。カメラモジュール110は、少なくとも撮像素子101と、撮像素子101を駆動制御すると共に撮像素子101から出力された映像信号を処理する電子回路が実装された基板102と、撮像素子101へ集光するレンズ103を備えた光学系104とを有する。このカメラユニット100は、車載以外の用途にも用いることができる(例えば、自転車、ドローン(drone)等に搭載されてもよい)
【0027】
カメラユニット100は、同軸ケーブル120により画像処理装置(不図示)やモニタ装置(不図示)に電気的に接続される。同軸ケーブル120は、内部導体と外部導体とが誘電体(絶縁体)を挟んで同軸上に配置された構造のケーブルである。内部導体は、信号を伝達し、外部導体は電磁波による内部導体への影響を抑制するシールドとして機能する。本実施形態において、内部導体は、画像処理装置やモニタ装置からカメラユニット100の撮像素子101や基板102の電子回路に対して電力を供給すると共に、撮像素子101及び基板102の電子回路から出力される映像信号を画像処理装置やモニタ装置に出力する。
【0028】
カメラモジュール110の撮像素子101は、CCD(Charge Coupled Device)セン
サやCIS(CMOS Image Sensor)である。レンズ103は、1枚に限らず、複数枚であ
ってもよい。基板102の電子回路は、撮像素子101を駆動するクロックドライバや、撮像素子101から出力されたアナログ信号をデジタル信号に変換するA/Dコンバータ等を含んでいる。
【0029】
基板102は、1枚又は複数枚のプリント基板に電子部品が実装された回路基板として構成されている。複数の回路基板を有する場合には、回路基板間の電気的接続にフレキシブル基板が用いられてもよい。電子回路が形成された基板102にはレセプタクルAが実装されている。プラグユニット10は、レセプタクルAに電気的に接続されると共に、同軸ケーブル120にも電気的に接続されて、基板102の電子回路と同軸ケーブル120とを電気的に接続する。
【0030】
[基本構成]
図2には、同軸コネクタの断面図が示されており、図3には、同軸コネクタの斜視図が示されており、図4図5には、プラグユニット10及びレセプタクルAの分解斜視図が示されている。図6には、シールド部材7の斜視図が示されており、図7には、第二コンタクト5の斜視図が示されている。図2に示すように、同軸コネクタは、プラグ10BとレセプタクルAとを備えている。
【0031】
プラグユニット10は、プラグケース10Aと、プラグケース10Aに内挿されるプラグ10Bと、を備えている。プラグケース10Aと本体ケース90(図1参照)とは、複数のボルト(不図示)やレーザー溶着等により固定される。図2及び図4に示すように、プラグ10Bは、端子モジュール30と、外部シール部材6と、シールド部材7と、を有している。端子モジュール30は、第一コンタクト1と、ホルダ2と、第一筒状シェル3と、内部シール部材4とを有している。端子モジュール30は、同軸ケーブル120と同様の機能を有している。第一コンタクト1は同軸ケーブル120の内部導体に対応し、ホルダ2は同軸ケーブル120の誘電体(絶縁体)に対応し、第一筒状シェル3は同軸ケーブル120の外部導体に対応する。
【0032】
プラグケース10Aは、プラグ10Bを収容するケースである。図1に示すように、プラグケース10Aは、カメラユニット100の中では、カメラモジュール110に対して
後方に位置することになるので、リアケースと称される場合がある。本体ケース90は、カメラユニット100の中では、リアケースに対してフロントケースと称される場合がある。プラグケース10Aと本体ケース90とは、複数のボルトやレーザー溶着等により互いに連結され、内部に端子モジュール30、外部シール部材6、シールド部材7及びレセプタクルAの収容空間が形成される。
【0033】
シールド部材7は、シールド部材7の外部空間を伝搬する電磁波からシールド部材7の内部空間を遮蔽する。シールド部材7は、カメラモジュール110のレセプタクルAの少なくとも一部を覆って、電磁ノイズ等の電磁波から基板102の電子回路を遮蔽する。このシールド部材7は、基板102のグランドに接続されている。上述の同軸ケーブル120の外部導体は、端子モジュール30の第一筒状シェル3に電気的に接続されている。また、後述するようにシールド部材7と端子モジュール30の第一筒状シェル3とは電気的に接続されている。従って、シールド部材7が基板102のグランドに電気的に接続されているとき、第一筒状シェル3及び同軸ケーブル120の外部導体も、基板102のグランドに電気的に接続されている。
【0034】
以下、図2図4及び図6を用いて、プラグユニット10について、詳細に説明する。
【0035】
上述したようにプラグユニット10は、プラグケース10Aと、プラグ10Bと、を備えている。プラグ10Bは、端子モジュール30と、外部シール部材6と、シールド部材7と、を有している。また、端子モジュール30は、第一コンタクト1と、ホルダ2と、第一筒状シェル3と、内部シール部材4と、を有している。
【0036】
図2及び図4に示すように、第一コンタクト1は、信号を伝送する棒状に形成された導体である。本実施形態では、第一コンタクト1は、直線状部1aのみで構成されており、以下では第一コンタクト1の延伸方向を第1方向Lと称して説明する。また、第1方向Lに直交する方向を径方向と称し、径方向において第一コンタクト1へ向かう方向を径方向内側R1、第一コンタクト1から離れる方向を径方向外側R2と称する。
【0037】
ホルダ2は、円柱形の絶縁体の中心に、第一コンタクト1が貫通する貫通孔23を有した円筒状部材であり、第一コンタクト1を内挿して支持する。ホルダ2は、第一コンタクト1を外部から絶縁するために、樹脂などの絶縁性(非導電性)材料によって形成されている。ホルダ2の第1方向Lにおける長さは、第一コンタクト1より短い。従って、ホルダ2は、第一コンタクト1の第1方向Lにおける中央部14を覆って第一コンタクト1を支持する。つまり、第一コンタクト1の両端は、ホルダ2に覆われず、露出して第1端子部11及び第2端子部12となる。第1端子部11が同軸ケーブル120の側に配置され、第2端子部12がレセプタクルAの側に配置される。図4では便宜的に分解斜視図を示しているが、第一コンタクト1は、ホルダ2にインサート成形されている。ホルダ2に覆われる中央部14の両端部には、径方向外側R2に突出した第一環状突出部14a及び第二環状突出部14bが形成されている。このように第一コンタクト1の中央部14の両端部に環状突出部14a,14bを形成し、この中央部14をホルダ2にインサート成形することによって一体化すれば、第一コンタクト1がホルダ2から脱落することが確実に防止される。このように、第一コンタクト1の直線状部1aは、第1端子部11,第2端子部12及び中央部14によって構成されている。
【0038】
ホルダ2は、第1端子部11の側の第一本体部21と、第一本体部21よりも拡径した第2端子部12の側の第二本体部22と、第二本体部22の端部を縮径させて形成された環状段差部24とを有する円筒状部材である。図2に示すように、ホルダ2を第一筒状シェル3に内挿した後、第一筒状シェル3の一部を径方向内側R1に押し潰して形成された係止突起34aに、環状段差部24と隣接する第二本体部22の下端面が当接して、ホル
ダ2が第一筒状シェル3から脱落することが防止される。
【0039】
第一筒状シェル3は、ホルダ2の径方向外側R2を覆う円筒状の導電性部材であり、プラグケース10Aから露出した筒状端部34を有している。この筒状端部34の内周面には、複数の係止突起34aが形成されており、これら係止突起34aがホルダ2の第二本体部22の下端面に当接する。第一筒状シェル3には、第1端子部11の側の一部分に、内周面から径方向内側R1に環状に延出した環状延出部33が形成されている。また、第一筒状シェル3には、第2端子部12の側の一部分に、内周面から径方向外側R2に環状に引退(拡径)した引退段部31が形成されている。この引退段部31にホルダ2の第二本体部22の上端面が当接し、複数の係止突起34aが第二本体部22の下端面に当接することにより、第一筒状シェル3にホルダ2が固定される。本実施形態における引退段部31は、第一筒状シェル3の内周面を切削加工することによって形成されている。また、第一筒状シェル3は、第一筒状シェル3をプラグケース10Aに内挿した後、第一筒状シェル3の一部を径方向外側R2に押し潰して形成された複数(本実施形態では4つ)の係止リブ32を有している。この係止リブ32とプラグケース10Aの環状凸部10Aaとが係合することにより、第一筒状シェル3がプラグケース10Aから脱落することが防止される。さらに、第一筒状シェル3の筒状端部34には、外周面から径方向内側R1に環状に窪んだ環状凹部34bが形成されており、この環状凹部34bよりも外部シール部材6の側に隣接して環状部35cが径方向外側R2に突出形成されている。
【0040】
内部シール部材4は、端子モジュール30内に、液体などが浸入しないように封止する。内部シール部材4は、弾性力を有する円環状の部材(弾性部材)である。内部シール部材4は、第1方向Lにおける一方側の面が環状延出部33によって係止され、他方の面がホルダ2の第1方向Lにおける端面によって係止されて、端子モジュール30に設置されている。
【0041】
このように、端子モジュール30は、環状延出部33に内部シール部材4の一方側を当接させ、第一コンタクト1を支持したホルダ2を内部シール部材4の他方側に当接させ、ホルダ2を第一筒状シェル3の引退段部31と係止突起34aとの間に挟んでいる。換言すれば、端子モジュール30において、内部シール部材4とホルダ2とは、第一筒状シェル3の環状延出部33及び係止突起34aによって挟まれた状態で第1方向Lに沿った方向における規定位置に配置されている。このようにして形成された端子モジュール30は、プラグケース10Aの円筒空間に挿入した後、第一筒状シェル3の一部を径方向外側R2に押し潰して形成された係止リブ32がプラグケース10Aの環状凸部10Aaと係合することにより、プラグケース10Aに取り付けられる。
【0042】
プラグケース10Aは、端子モジュール30及び外部シール部材6を収納するケースであり、端子モジュール30(第一筒状シェル3)を内挿して支持する。端子モジュール30の外面は導電性の第一筒状シェル3であるため、第一筒状シェル3をプラグユニット10の外部から絶縁するために、プラグケース10Aは、カメラモジュール110内部の熱を発散可能な金属材料又は樹脂などの絶縁性(非導電性)材料によって形成されている。
【0043】
プラグケース10Aは、円筒状の筒状部10A1と、筒状部10A1から径方向外側R2に平面視矩形状に突出したブロック部10A2と、を有している。筒状部10A1の内周面には、径方向内側R1に突出した円環状の環状凸部10Aaが設けられている。上述したように、環状凸部10Aaが、第一筒状シェル3の係止リブ32と係合している。
【0044】
ブロック部10A2の内周面には、外部シール部材6が装着されるシール凹部10Abが形成されている。この外部シール部材6は、第1方向Lにおいてプラグケース10Aの底部となるシール凹部10Abと第一筒状シェル3の環状部35cとの間に挟まれて配置
されている。外部シール部材6も、内部シール部材4と同様に、弾性力を有する円環状の部材(弾性部材)である。
【0045】
上述した内部シール部材4は、第一筒状シェル3の内周面及び第一コンタクト1の外周面に接触し、外部シール部材6は、プラグケース10Aの内周面及び第一筒状シェル3の外周面に接触し、プラグケース10Aの円筒空間への液体の浸入を抑制する。本実施形態のように、プラグユニット10が車載カメラとしてのカメラユニット100に利用される場合、内部シール部材4や外部シール部材6等を用いた封止は有効である。車載カメラとしてのカメラユニット100は、例えば、運転支援や、走行状態の記録のために用いられることも多い。この際、カメラユニット100は、バンパーやドア等、車両の外装に設置されることが多い。車両の外装は、雨や雪、路上の水たまりなどからの水滴等を浴びやすい。従って、上述したような封止を施すことによって、プラグユニット10に防水性を付与すると好適である。
【0046】
図2から図4及び図6に示すように、シールド部材7は、第一筒状シェル3と接触する円筒部71と、円筒部71から径方向外側R2に湾曲した弾性変形可能な第一湾曲部72と、第一湾曲部72から径方向内側R1に湾曲した第二湾曲部73とを有している。シールド部材7は、シールド部材7の外部空間に存在する電磁波、例えば、第一コンタクト1によって伝送される信号やカメラモジュール110の基板102の電子回路などに影響を与える電磁ノイズなどの電磁波からシールド部材7の内部空間を遮蔽する。このため、シールド部材7も金属などの導電性材料によって形成されている。
【0047】
図2に示すように、円筒部71は、第一筒状シェル3の筒状端部34の環状凹部34bに当接する円筒本体71aと、円筒本体71aの一端から径方向外側R2に屈曲した複数(本実施形態では8つ)の屈曲片71bとを有している。円筒本体71aには、筒状端部34の環状凹部34bの外周面に接触するように径方向内側R1にプレス加工で押し出された複数(本実施形態では8つ)の押出凸部71a1が形成されている。これら複数の押出凸部71a1は、複数の屈曲片71bと対応するように周方向に等間隔に並んでいる。図3に示すように、複数の屈曲片71bの端部は、金属製のプラグケース10Aにおけるブロック部10A2の開口側内端面に接触している。なお、プラグケース10Aが樹脂製の場合は、複数の屈曲片71bを短くして、屈曲片71bの先端を第一筒状シェル3の環状部35cの露出面35c1に接触させる。
【0048】
円筒本体71a及び屈曲片71bの接続部位71b1と円筒本体71aの他端とが、筒状端部34の外面に密着し、複数の屈曲片71bの端部がプラグケース10Aの開口側内端面に接触して、シールド部材7が第一筒状シェル3に係止されている(図2も参照)。このとき、複数の押出凸部71a1が筒状端部34の環状凹部34bの外周面に接触することにより、シールド部材7の脱落が防止される。このように、複数の屈曲片71bがプラグケース10Aに接触すると共に、複数の押出凸部71a1を含む円筒本体71aが筒状端部34の外面に接触することにより、プラグケース10Aと第一筒状シェル3とシールド部材7とが互いに係合した状態で電気的に接続されている。
【0049】
図6に示すように、第一湾曲部72は、円筒本体71aの他端から径方向外側R2に湾曲するように、切片状に複数(本実施形態では、8つ)延出しており、第二湾曲部73は、第一湾曲部72と連続した複数(本実施形態では、8つ)の切片で構成されている。第一湾曲部72は、円筒部71から径方向外側R2に延出した第一傾斜部72aと、第一傾斜部72aから径方向内側R1に延出した第二傾斜部72bと、第一傾斜部72a及び第二傾斜部72bの境界となる凸状湾曲部位72cとを有している。第二湾曲部73は、第二傾斜部72bと、第二傾斜部72bから径方向外側R2に延出した第三傾斜部73aと、第二傾斜部72b及び第三傾斜部73aの境界となる凹状湾曲部位73bとを有してい
る。複数の凹状湾曲部位73b(複数の切片の最も内側にある部位)を周方向に接続した仮想円の直径は、円筒本体71a(円筒部71)の外径よりも小さい。
【0050】
これらの構成より、第二湾曲部73の凹状湾曲部位73bが、後述するレセプタクルAの第二筒状シェル8の外周面に接触し、シールド部材7と第二筒状シェル8とが電気的に接続される(図3も参照)。このとき、第一湾曲部72によりシールド部材7の複数の切片が拡げられるように弾性変形可能に構成されているため、全ての第二湾曲部73は、第二筒状シェル8と常時電気的に接続されている。
【0051】
図2及び図5に示すように、レセプタクルAは、基板102に電気的に接続されると共に第一コンタクト1と同軸(第1方向L)上で電気的に接続可能な第二コンタクト5と、第二コンタクト5を収容する絶縁性のケース9と、ケース9の外側を覆う導電性の第二筒状シェル8とを備えている。なお、基板102を含めてレセプタクルAとしても良い。
【0052】
第二コンタクト5は、基板102に対向する底部51と、底部51から互いに近接するように板状に立設した一対の立設部52と、一方の立設部52よりも外側に向かって底部51から逆U字状に延出した延出体53とを有している。
【0053】
図7に示すように、底部51は、長板矩形状の板状本体51aと、板状本体51aの両端を内側に折り曲げた一対の折り曲げ部51bとの2重構造となっている。板状本体51aには、一対の側辺を折り曲げて一対の立設部52が形成されており、夫々の立設部52には、コの字状の切り欠き52aが形成されていることから、一対の側辺の両端から夫々の立設部52が立設している。一方の折り曲げ部51bの端部には、立設部52と同じ方向に折り曲げて延出体53が立設している。一対の折り曲げ部51bの底面51b1が基板102と対向しており、一対の底面51b1には、夫々半球状突起51b2が形成されている。なお、半球状突起51b2は、外面が円弧状であればどの様な形状であっても良い。
【0054】
一対の立設部52は、板状本体51aから対称形状で、互いに近接するように板状に立設している。夫々の立設部52は、板状本体51aの側辺の両端から延出する一対の腕部52bと、一対の腕部52bの接続端部52b1から外側に屈曲した屈曲部52cとを含んでいる。一対の接続端部52b1の内面には、第一コンタクト1が接触可能な接点部52b2が形成されており、これら接点部52b2は、第一コンタクト1の第2端子部12(端部)を挟持可能な幅広形状で構成されている。なお、接点部52b2の幅は、プラグ10BとレセプタクルAとの相対的な位置ずれの許容範囲内で、第一コンタクト1との電気的な接続が確保できるように設定されている。
【0055】
夫々の立設部52において、一対の腕部52bの間に、コの字状の切り欠き52aが形成されている。一方の立設部52の切り欠き52aには、延出体53の一部が入り込んでいる。なお、他方の立設部52の切り欠き52aに入り込むように延出体53を設けても良いし、両方の立設部52の切り欠き52aに入り込むように一対の延出体53を設けても良い。
【0056】
延出体53は、基板102に固定される先端部53aと、ケース9に保持される保持部53bと、弾性変形可能な弾性部53cとを含んでいる。
【0057】
先端部53aは、保持部53bから外側に屈曲して形成されており、基板102の信号用電極102aに対してハンダ付け等により固定される固定面53a1を含んでいる(図5も参照)。保持部53bは、弾性部53cから基板102に向かって屈曲した直線部53b1と、直線部53b1の先端部53a側の幅を拡げた拡幅部53b2とを含んでいる
。この拡幅部53b2がケース9に圧入嵌合することにより、延出体53がケース9に保持される(図3も参照)。第二コンタクト5の底部51の一対の底面51b1に形成された一対の半球状突起51b2の突出端は、先端部53aのうち基板102に固定される固定面53a1と同一平面上に位置している(図2も参照)。
【0058】
弾性部53cは、接点部52b2の延在方向に対して直交する方向に弾性変形可能である。この弾性部53cは、一方の折り曲げ部51bから立設部52の立設方向に沿って延出する延出部53c1と、延出部53c1から折り返された折返部53c2とを含んでおり、この折返部53c2が直線部53b1と接続されている。延出部53c1が傾斜しており、折返部53c2がR形状となっていることから、延出体53が逆U字状に構成されている。延出部53c1は、一方の立設部52の切り欠き52aに入り込んでいる。
【0059】
図5に示すように、ケース9は、円筒状部91と、円筒状部91の端部から円環状に外側に突出した環状フランジ92とを含んでいる。円筒状部91のうち、延出体53に対向する内壁には、内側にL字状に突出した一対の保持壁91aが形成されている。この保持壁91aに保持部53bの拡幅部53b2が圧入嵌合されることにより、ケース9に延出体53が保持される。保持部53bが保持壁91aに嵌合された状態では、先端部53a及び保持部53bが位置固定されており、弾性部53cが、接点部52b2の延在方向に対して直交する方向に弾性変形可能となっている。環状フランジ92は、第二筒状シェル8の上端が当接することにより、第二筒状シェル8の移動を阻止する(図2参照)。
【0060】
第二筒状シェル8は、円筒状の筒状本体81と、筒状本体81の下端から外側に折り曲げられた複数(本実施形態では4つ)の折曲片82とを含んでいる。筒状本体81は、ケース9の円筒状部91を覆っており、上端が環状フランジ92に当接している。筒状本体81の外周面が、シールド部材7の第二湾曲部73と接触することにより、シールド部材7と第二筒状シェル8とが電気的に接続されている(図2も参照)。複数の折曲片82は、夫々、基板102のグランド用電極102bにはんだ付け等により固定されている。これらの構成から、シールド部材7が第二筒状シェル8を介して基板102のグランドに電気的に接続されて、第一筒状シェル3及び同軸ケーブル120の外部導体も、基板102のグランドに電気的に接続されることとなる(図1図2も参照)。その結果、第一コンタクト1及び第二コンタクト5によって伝送される信号やカメラモジュール110の基板102の電子回路などに影響を与える電磁ノイズなどの電磁波から第二筒状シェル8の内部空間を遮蔽する。
【0061】
上述した端子モジュール30及びシールド部材7が、プラグケース10Aに収容されて固定されたプラグユニット10と、プラグユニット10に電気的に接続されるレセプタクルAと、を同軸コネクタとしても良い。また、プラグユニット10及びレセプタクルAにさらに、基板102及び本体ケース90を含めて同軸コネクタと称してもよい。但し、本体ケース90を含める場合には、本体ケース90にカメラモジュール110が収容されている可能性がある。この場合、同軸コネクタは、カメラユニット100とほぼ同義となる。従って、プラグケース10Aに収容された端子モジュール30及びレセプタクルAの組み立て品、さらに本体ケース90を含めた中間組み立て品、さらにカメラモジュール110を収容したカメラユニット100の何れも、同軸コネクタに対応させることができる。
【0062】
[組み立て手順]
図4に示すように、プラグケース10Aのブロック部10A2の開口側から外部シール部材6、端子モジュール30、シールド部材7をこの順に組付けて、プラグユニット10を作製する。この組付けに際し、端子モジュール30をプラグケース10Aに内挿した後、第一筒状シェル3の一部を径方向外側R2に押し潰して形成された複数の係止リブ32がプラグケース10Aの環状凸部10Aaに係合し、外部シール部材6が第一筒状シェル
3の環状部35cに当接して係止される(図2も参照)。このとき、複数の押出凸部71a1が筒状端部34の環状凹部34bの外周面に接触することにより、第一筒状シェル3に対するシールド部材7の脱落が防止される。このように、プラグユニット10の組み付けが極めて簡便に構成されている。
【0063】
図5に示すように、第二筒状シェル8をケース9に装着した後、ケース9の保持壁91aに、第二コンタクト5の保持部53bの拡幅部53b2を圧入嵌合させて、ケース9に第二コンタクト5を収容する。そして、第二コンタクト5の先端部53aを基板102に固定するとともに、第二筒状シェル8の複数の折曲片82を基板102に固定する。このように、レセプタクルAの組み付けが極めて簡便に構成されている。
【0064】
図8図9には、レセプタクルAとプラグユニット10とを電気的に接続する形態が示されている。図8には、レセプタクルAがプラグユニット10に対して、下方向及び左方向に0.5mm位置ずれした状態で接続された状態が示されている。図9には、レセプタクルAがプラグユニット10に対して、上方向及び右方向に0.5mm位置ずれした状態で接続された状態が示されている。
【0065】
図8の状態では、第一コンタクト1の第2端子部12により、一対の立設部52を右側に移動させる力が第二コンタクト5に作用する。このとき、弾性部53cが保持部53bから離間する方向に弾性変形しながら、一対の立設部52が右側に傾く。弾性部53cが変形しても第二コンタクト5の底部51の半球状突起51b2が基板102を滑らかに摺動して、基板102に固定される延出体53の先端部53aに基板102から引き剥がされる応力がかかり難い。また、シールド部材7の第一湾曲部72が柔軟に変形し、第二湾曲部73が第二筒状シェル8に対して全体的に当接した状態となるため、コンタクト1,5を伝播する高周波信号が漏れて信号品質が低下すること無く、高いシールド性が確保される。一方、下方向の移動に際しては、第二コンタクト5の底部51の半球状突起51b2が基板102に当接して第二コンタクト5が下方に逃げることなく、第二コンタクト5の一対の立設部52に形成された接点部52b2により第一コンタクト1の第2端子部12を確実に挟持することができる。また、図示しないが、接点部52b2の延在方向の移動に際しては、幅広形状の接点部52b2により第一コンタクト1の第2端子部12を確実に挟持することができる。
【0066】
図9の状態では、第一コンタクト1の第2端子部12により、一対の立設部52を左側に移動させる力が第二コンタクト5に作用する。このとき、弾性部53cが保持部53bに近接する方向に弾性変形しながら、一対の立設部52が左側に傾く。第二コンタクト5の底部51が基板102から離間する方向に弾性部53cが柔軟に変形し、基板102に固定される延出体53の先端部53aから引き剥がされる応力がかかり難い。また、シールド部材7の第一湾曲部72が柔軟に変形し、第二湾曲部73が第二筒状シェル8に対して全体的に当接した状態となるため、コンタクト1,5を伝播する高周波信号が漏れて信号品質が低下すること無く、高いシールド性が確保される。一方、上方向の移動に際しては、第二コンタクト5の一対の立設部52に形成された接点部52b2により第一コンタクト1の第2端子部12を確実に挟持した状態で追従することができる。また、図示しないが、接点部52b2の延在方向の移動に際しては、幅広形状の接点部52b2により第一コンタクト1の第2端子部12を確実に挟持することができる。
【0067】
本実施形態では、第二コンタクト5の一対の立設部52に形成された接点部52b2を、第一コンタクト1の第2端子部12(端部)を挟持可能な幅広形状としているので、プラグ10BとレセプタクルAとが接点部52b2の延在方向に対して相対的に位置ずれした場合においても、第一コンタクト1と第二コンタクト5との電気的な接続を担保できる。また、本実施形態における弾性部53cは、接点部52b2の延在方向に対して直交す
る方向に弾性変形可能であるため、プラグ10BとレセプタクルAとが接点部52b2の延在方向と直交する方向に相対的に位置ずれした場合においても、弾性部53cが弾性変形して第一コンタクト1と第二コンタクト5との電気的な接続を担保できる。よって、プラグ10BとレセプタクルAとが様々な方向に位置ずれしたとしても、第一コンタクト1と第二コンタクト5との電気的な接続を確実に担保できる。
【0068】
このように、接点部52b2の延在方向に対しては幅広形状により位置ずれを吸収し、該延在方向と直交する方向に対しては弾性部53cにより位置ずれを吸収するため、第二コンタクト5が捩れ難く、接点荷重を安定的に確保できる。この接点荷重の確保は、第二コンタクト5の形状により実現されるため、第一筒状シェル3とシールド部材7との接触性能を低下させることが無く、高周波信号が漏れ難い。よって、プラグ10BとレセプタクルAとの位置ずれがあっても電気的な接続が安定的に担保できる同軸コネクタを提供できる。また、弾性部53cの一部が、一方の立設部52を切り欠いて形成された切り欠き52aに入り込んでいるため、同軸コネクタをコンパクトにすることができる。
【0069】
さらに、第二コンタクト5の底部51の底面51b1に形成された一対の半球状突起51b2の突出端と延出体53の先端部53aの固定面53a1とが同一平面上に位置しているので、弾性部53cが変形しても第二コンタクト5の底部51が基板102に当接し、基板102に固定される延出体53の先端部53aに応力がかかり難く、第一コンタクト1の第2端子部12を接点部52b2で確実に挟持することができる。よって、プラグ10BとレセプタクルAとの位置ずれがあっても電気的な接続を安定的に担保できる。この第二コンタクト5の底部51の底面51b1に半球状突起51b2を設けているので、弾性部53cが弾性変形したときに半球状突起51b2が基板102を滑らかに摺動して、プラグ10BとレセプタクルAとの位置ずれに伴って発生する応力を緩和することができる。
【0070】
本実施形態では、レセプタクルAの第二筒状シェル8と接触するプラグ10Bのシールド部材7に、外側に湾曲した弾性変形可能な第一湾曲部72と、第一湾曲部72から内側に湾曲し第二筒状シェル8と電気的に接続可能な第二湾曲部73とを設けている。このため、プラグ10BとレセプタクルAとが相対的に位置ずれした状態で第一コンタクト1と第二コンタクト5とが電気的に接続されたときでも、第一湾曲部72が柔軟に変形し、第二湾曲部73が第二筒状シェル8に対して全体的に当接した状態を維持する。よって、高いシールド性が確保されるので、コンタクト1,5を伝播する高周波信号が漏れて信号品質が低下するといった不都合がない。
【0071】
また、第一筒状シェル3とシールド部材7の円筒部71とを接触させ、第一湾曲部72を円筒部71から切片状に複数延出させているにより、第一湾曲部72がより柔軟に変形するので、シールド部材7と第二筒状シェル8との接触抵抗が均一なものとなり耐久性を高めることができる。第二湾曲部73も第一湾曲部72と連続した複数の切片で構成しているので、第一湾曲部72の変形に追従して第二湾曲部73を移動させて、シールド部材7と第二筒状シェル8との接点をより多く確保することができる。しかも、複数の切片の最も内側にある部位を周方向に接続した仮想円の直径は、円筒部71の外径よりも小さいため、同軸コネクタをコンパクトにしつつ接点荷重を適正に確保することができる。このように、プラグ10BとレセプタクルAとが相対的に位置ずれした状態においても、全ての第二湾曲部73が第二筒状シェル8と常時電気的に接続していれば、同軸コネクタのシールド性を高めることができる。
【0072】
[その他の実施形態]
(1)上述した実施形態では、弾性部53cの一部を、一方の立設部52を切り欠いて形成された切り欠き52aに入り込こませたが、弾性部53cは、一対の立設部52から弾
性変形可能な範囲で離間させても良い。
【0073】
(2)上述した実施形態では、第二コンタクト5の底部51の底面51b1と延出体53の先端部53aの固定面53a1とが同一平面上に位置したが、第二コンタクト5の底部51の底面51b1を先端部53aの固定面53a1よりも上側(基板102から離間する側)に配置しても良い。
【0074】
(3)上述した実施形態では、レセプタクルAの第二筒状シェル8と接触するプラグ10Bのシールド部材7に、外側に湾曲した弾性変形可能な第一湾曲部72と、第一湾曲部72から内側に湾曲し第二筒状シェル8と電気的に接続可能な第二湾曲部73とを設けた。これに変えて、第一湾曲部72及び第二湾曲部73の少なくとも一方を直線状に形成しても良い。
【0075】
(4)上述した実施形態では、第一筒状シェル3とシールド部材7の円筒部71とを接触させ、第一湾曲部72を円筒部71から切片状に複数延出させたが、第一湾曲部72を円筒状に形成しても良い。また、第二湾曲部73も第一湾曲部72と連続した複数の切片で構成したが、同様に第二湾曲部73を円筒状に形成しても良い。
【0076】
(5)上述したプラグケース10Aの筒状部10A1を円筒状に構成したが、断面多角形状の角筒状に構成しても良い。また、プラグケース10Aのブロック部10A2を平面視矩形状に構成したが、平面視円環状や矩形以外の多角形状に構成しても良い。
【産業上の利用可能性】
【0077】
本発明は、車載カメラ等に用いられる同軸コネクタに利用可能である。
【符号の説明】
【0078】
1 :第一コンタクト
2 :ホルダ
3 :第一筒状シェル
5 :第二コンタクト
7 :シールド部材
8 :第二筒状シェル
9 :ケース
10B :プラグ
12 :第2端子部(端部)
51 :底部
51b1 :底面
51b2 :半球状突起
52 :立設部
52a :切り欠き
52b2 :接点部
53 :延出体
53a :先端部
53a1 :固定面
53b :保持部
53c :弾性部
71 :円筒部
72 :第一湾曲部
73 :第二湾曲部
102 :基板
A :レセプタクル
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【手続補正書】
【提出日】2024-11-13
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに電気的に接続されるプラグとレセプタクルとを備えた同軸コネクタであって、
前記プラグは、棒状に形成された導電性の第一コンタクトと、前記第一コンタクトを内挿して支持する絶縁性のホルダと、前記ホルダの外側を覆う導電性の第一筒状シェルと、前記第一筒状シェルと接触して外部の電磁波を遮断する導電性のシールド部材と、を備え、
前記レセプタクルは、基板に電気的に接続されると共に前記第一コンタクトと同軸上で電気的に接続可能な導電性の第二コンタクトと、前記第二コンタクトを収容する絶縁性のケースと、前記ケースの外側を覆う導電性の第二筒状シェルと、を備え、
前記第二コンタクトは、前記基板に対向する底部と、当該底部から互いに近接するように板状に立設した一対の立設部と、一方の前記立設部よりも外側に向かって前記底部から逆U字状に延出した延出体と、を有しており、
一対の前記立設部は、前記第一コンタクトの端部を挟持可能な幅広形状で構成された接点部を含んでおり、
前記延出体は、前記基板に固定される先端部と、前記ケースに保持される保持部と、弾性変形可能な弾性部と、を含んでおり、
前記弾性部は、前記接点部の幅の延在方向に対して直交する方向に弾性変形可能である同軸コネクタ。
【請求項2】
前記第二コンタクトの前記底部のうち前記基板に対向する底面は、前記延出体の前記先端部のうち前記基板に固定される固定面と同一平面上に位置している請求項1に記載の同軸コネクタ。
【請求項3】
前記第二コンタクトの前記底部の前記底面には、半球状突起が形成されている請求項に記載の同軸コネクタ。
【請求項4】
前記シールド部材は、外側に湾曲した弾性変形可能な第一湾曲部と、当該第一湾曲部から内側に湾曲し前記第二筒状シェルと電気的に接続可能な第二湾曲部とを有している請求項1からの何れか一項に記載の同軸コネクタ。
【請求項5】
前記シールド部材は、前記第一筒状シェルに接触する円筒部を有しており、
前記第一湾曲部は、前記円筒部から切片状に複数延出している請求項に記載の同軸コネクタ。
【請求項6】
前記第二湾曲部は、複数の前記第一湾曲部の夫々と連続した切片で構成されており、
複数の前記切片の最も内側にある部位を周方向に接続した仮想円の直径は、前記円筒部の外径よりも小さい請求項に記載の同軸コネクタ。
【請求項7】
全ての前記第二湾曲部は、前記第二筒状シェルと常時電気的に接続されている請求項に記載の同軸コネクタ。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0007】
本発明に係る同軸コネクタの特徴構成は、互いに電気的に接続されるプラグとレセプタクルとを備えた同軸コネクタであって、前記プラグは、棒状に形成された導電性の第一コンタクトと、前記第一コンタクトを内挿して支持する絶縁性のホルダと、前記ホルダの外側を覆う導電性の第一筒状シェルと、前記第一筒状シェルと接触して外部の電磁波を遮断する導電性のシールド部材と、を備え、前記レセプタクルは、基板に電気的に接続されると共に前記第一コンタクトと同軸上で電気的に接続可能な導電性の第二コンタクトと、前記第二コンタクトを収容する絶縁性のケースと、前記ケースの外側を覆う導電性の第二筒状シェルと、を備え、前記第二コンタクトは、前記基板に対向する底部と、当該底部から互いに近接するように板状に立設した一対の立設部と、一方の前記立設部よりも外側に向かって前記底部から逆U字状に延出した延出体と、を有しており、一対の前記立設部は、前記第一コンタクトの端部を挟持可能な幅広形状で構成された接点部を含んでおり、前記延出体は、前記基板に固定される先端部と、前記ケースに保持される保持部と、弾性変形可能な弾性部と、を含んでおり、前記弾性部は、前記接点部の幅の延在方向に対して直交する方向に弾性変形可能である点にある。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0008】
本構成のように、第二コンタクトの一対の立設部に形成された接点部を、第一コンタクトの端部を挟持可能な幅広形状とすれば、プラグとレセプタクルとが接点部の幅の延在方向に対して相対的に位置ずれした場合においても、第一コンタクトと第二コンタクトとの電気的な接続を担保できる。また、本構成における弾性部は、接点部の幅の延在方向に対して直交する方向に弾性変形可能であるため、プラグとレセプタクルとが接点部の幅の延在方向と直交する方向に相対的に位置ずれした場合においても、弾性部が弾性変形して第一コンタクトと第二コンタクトとの電気的な接続を担保できる。よって、プラグとレセプタクルとが様々な方向に位置ずれしたとしても、第一コンタクトと第二コンタクトとの電気的な接続を確実に担保できる。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0009】
このように、接点部の幅の延在方向に対しては幅広形状により位置ずれを吸収し、幅の該延在方向と直交する方向に対しては弾性部により位置ずれを吸収するため、第二コンタクトが捩れ難く、接点荷重を安定的に確保できる。この接点荷重の確保は、第二コンタクトの形状により実現されるため、第一筒状シェルとシールド部材との接触性能を低下させることが無く、高周波信号が漏れ難い。よって、プラグとレセプタクルとの位置ずれがあっても電気的な接続が安定的に担保できる同軸コネクタを提供できた。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0011
【補正方法】削除
【補正の内容】