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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025036086
(43)【公開日】2025-03-14
(54)【発明の名称】積層セラミックキャパシタ
(51)【国際特許分類】
   H01G 4/30 20060101AFI20250306BHJP
【FI】
H01G4/30 512
H01G4/30 513
H01G4/30 515
H01G4/30 201K
H01G4/30 201L
H01G4/30 201F
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024089176
(22)【出願日】2024-05-31
(31)【優先権主張番号】10-2023-0116379
(32)【優先日】2023-09-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】594023722
【氏名又は名称】サムソン エレクトロ-メカニックス カンパニーリミテッド.
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】姜 熙相
(72)【発明者】
【氏名】李 秀珍
【テーマコード(参考)】
5E001
5E082
【Fターム(参考)】
5E001AB03
5E001AC03
5E001AF06
5E001AG00
5E082AA01
5E082AB03
5E082BC19
5E082EE04
5E082FF05
5E082FG04
5E082FG26
5E082GG10
5E082HH26
5E082HH43
5E082PP02
(57)【要約】
【課題】セラミック本体内部への水分浸透を抑制し、耐湿信頼性を向上させる積層セラミックキャパシタを提供しようことを目的とする。
【解決手段】開示された積層セラミックキャパシタは、第1方向に対向する第1面と第2面、第2方向に対向し、前記第1面と前記第2面を接続する第3面と第4面、第3方向に対向し、前記第1面と前記第2面を接続する第5面と第6面を含むセラミック本体と、前記セラミック本体の内部に配置される内部電極と、前記セラミック本体の前記第3面および前記第4面上に配置される保護層と、前記保護層を覆う接続電極と、を含み、前記保護層は、前記第3面上に配置される第1保護層と、前記第4面上に配置される第2保護層を含み、前記第3面および前記第4面上に位置する開口部を有する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向に対向する第1面と第2面、第2方向に対向し、前記第1面と前記第2面を接続する第3面と第4面、第3方向に対向し、前記第1面と前記第2面を接続する第5面と第6面を含むセラミック本体と、
前記セラミック本体の内部に配置される内部電極と、
前記セラミック本体の前記第3面および前記第4面上に配置される保護層と、
前記保護層を覆う接続電極と、を含み、
前記保護層は、前記第3面上に配置される第1保護層と、前記第4面上に配置される第2保護層を含み、前記第3面および前記第4面上に位置する開口部を有する、積層セラミックキャパシタ。
【請求項2】
前記第1保護層および前記第2保護層は、前記第1面および前記第2面に延びる部分をそれぞれ含む、請求項1に記載の積層セラミックキャパシタ。
【請求項3】
前記内部電極は、前記開口部を通して前記接続電極と接続する、請求項1に記載の積層セラミックキャパシタ。
【請求項4】
前記保護層は、ケイ素(Si)酸化物を含む、請求項1に記載の積層セラミックキャパシタ。
【請求項5】
前記保護層は、電気伝導性が10-7S/cmより小さい、請求項1に記載の積層セラミックキャパシタ。
【請求項6】
前記保護層は、酸化ナトリウム(NaO)を含む、請求項4に記載の積層セラミックキャパシタ。
【請求項7】
前記保護層は、酸化銅(II)(CuO)を含む、請求項4に記載の積層セラミックキャパシタ。
【請求項8】
前記接続電極は、前記保護層と同じ素材の粒子を含む、請求項4に記載の積層セラミックキャパシタ。
【請求項9】
前記接続電極は、前記第1保護層を少なくとも部分的に覆う第1接続電極と、前記第2保護層を少なくとも部分的に覆う第2接続電極を含み、
前記第1保護層は、前記セラミック本体の前記第1面および前記第2面上において、前記第4面方向に前記第1接続電極よりも突出される部分を有し、
前記第2保護層は、前記セラミック本体の前記第1面および前記第2面上において、前記第3面方向に前記第2接続電極よりも突出される部分を有する、請求項2に記載の積層セラミックキャパシタ。
【請求項10】
前記第1接続電極を少なくとも部分的に覆う第1メッキ電極および前記第2接続電極を少なくとも部分的に覆う第2メッキ電極をさらに含み、
前記第1保護層は、前記セラミック本体の前記第1面および前記第2面上において、前記第4面方向に前記第1メッキ電極よりも突出される部分を有し、
前記第2保護層は、前記セラミック本体の前記第1面および前記第2面上において、前記第3面方向に前記第2メッキ電極よりも突出される部分を有する、請求項9に記載の積層セラミックキャパシタ。
【請求項11】
前記第1保護層および前記第2保護層は、前記セラミック本体に接触される部分を有する、請求項1に記載の積層セラミックキャパシタ。
【請求項12】
第1方向に対向する第1面と第2面、第2方向に対向し、前記第1面と前記第2面を接続する第3面と第4面、第3方向に対向し、前記第1面と前記第2面を接続する第5面と第6面を含むセラミック本体と、
前記セラミック本体の内部に配置される内部電極と、
前記セラミック本体の前記第3面上の一部および前記第4面上の一部に配置される保護層と、
前記保護層を覆う接続電極と、を含み、
前記接続電極は、前記セラミック本体の前記第3面および前記第4面上において、前記保護層が位置しない部分を通して前記内部電極と接触する部分を含む、積層セラミックキャパシタ。
【請求項13】
前記保護層は、前記第1面および前記第2面上に延びる部分を含む、請求項12に記載の積層セラミックキャパシタ。
【請求項14】
前記セラミック本体の前記第3面および前記第4面上において、前記保護層が位置する部分には開口部が形成され、
前記保護層は、前記第1面または前記第2面上の端部から前記開口部の一側に位置する他の端部まで連続的に延びる部分を有する、請求項13に記載の積層セラミックキャパシタ。
【請求項15】
前記保護層は、前記第1面、前記第3面、および前記第2面に沿って延びる第1保護層と、前記第1面、前記第4面、および前記第2面に沿って延びる第2保護層を含み、
前記接続電極は、前記第1保護層を覆う第1接続電極と前記第2保護層を覆う第2接続電極を含み、
前記第1保護層は、前記第1面および前記第2面上において、前記第1接続電極より前記第4面方向にさらに突出される部分を有し、
前記第2保護層は、前記第1面および前記第2面上において、前記第2接続電極より前記第3面方向にさらに突出される部分を有する、請求項13に記載の積層セラミックキャパシタ。
【請求項16】
前記第1接続電極を覆う第1メッキ電極と、前記第2接続電極を覆う第2メッキ電極をさらに含み、
前記第1保護層は、前記第1面および前記第2面上において、前記第1メッキ電極より前記第4面方向にさらに突出される部分を有し、
前記第2保護層は、前記第1面および前記第2面上において、前記第2メッキ電極より前記第3面方向にさらに突出される部分を有する、請求項15に記載の積層セラミックキャパシタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、積層セラミックキャパシタに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子製品の小型化傾向に伴い、積層セラミックキャパシタも小型化、大容量化が求められている。積層セラミックキャパシタの小型化及び大容量化の要求に伴い、積層セラミックキャパシタの外部電極も薄層化されている。
【0003】
外部電極を形成するペーストは、主材料として銅(Cu)などの導電性金属を使用し、セラミック本体との密閉性および電気的接続性を確保する。また、補助材料としてガラスを使用し、導電性金属の焼結収縮時の空隙を満たすとともに、外部電極とセラミック本体との結合力を付与する役割を果たす。
【0004】
積層セラミックキャパシタは、その長さと幅を基準に分類される。したがって、同じ長さや幅を持つ積層セラミックキャパシタでも、外部電極の厚さによってセラミック本体の大きさが変わることがあり、それによって静電容量が変わることがある。したがって、長さと幅を維持しながら静電容量を増加させるためには、外部電極を薄く製造する必要があるが、外部電極が薄くなると、セラミック本体の内部に水分が浸透する危険性が高まる可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
実施例の一側面は、セラミック本体内部への水分浸透を抑制し、耐湿信頼性を向上させる積層セラミックキャパシタを提供しようことを目的とする。
【0006】
しかし、本発明の実施例が解決しようとする課題は、上述した課題に限定されず、本発明に含まれている技術的な思想の範囲で様々に拡張される。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一実施例による積層セラミックキャパシタは、第1方向に対向する第1面と第2面、第2方向に対向し、前記第1面と前記第2面を接続する第3面と第4面、第3方向に対向し、前記第1面と前記第2面を接続する第5面と第6面を含むセラミック本体と、前記セラミック本体の内部に配置される内部電極と、前記セラミック本体の前記第3面および前記第4面上に配置される保護層と、前記保護層を覆う接続電極と、を含み、前記保護層は、前記第3面上に配置される第1保護層と前記第4面上に配置される第2保護層を含み、前記第3面および前記第4面上に位置する開口部を有する。
【0008】
前記第1保護層および前記第2保護層は、前記第1面および前記第2面に延びる部分をそれぞれ含むことができる。
【0009】
前記内部電極は、前記開口部を介して前記接続電極と接続することができる。
【0010】
前記保護層は、ケイ素(Si)酸化物を含むことができる。
【0011】
前記保護層は、電気伝導性が10-7S/cmより小さいことができる。
【0012】
前記保護層は、酸化ナトリウム(NaO)を含むことができる。
【0013】
前記保護層は、酸化銅(II)(CuO)を含むことができる。
【0014】
前記接続電極は、前記保護層と同じ素材の粒子を含むことができる。
【0015】
前記接続電極は、前記第1保護層を少なくとも部分的に覆う第1接続電極と、前記第2保護層を少なくとも部分的に覆う第2接続電極を含み、前記第1保護層は、前記セラミック本体の前記第1面および前記第2面上において、前記第4面方向に前記第1接続電極よりも突出する部分を有し、前記第2保護層は、前記セラミック本体の前記第1面および前記第2面上において、前記第3面方向に前記第2接続電極よりも突出する部分を有することができる。
【0016】
前記積層セラミックキャパシタは、前記第1接続電極を少なくとも部分的に覆う第1メッキ電極および前記第2接続電極を少なくとも部分的に覆う第2メッキ電極をさらに含み、前記第1保護層は、前記セラミック本体の前記第1面および前記第2面上において、前記第4面方向に前記第1メッキ電極よりも突出する部分を有し、前記第2保護層は、前記セラミック本体の前記第1面および前記第2面上において、前記第3面方向に前記第2メッキ電極よりも突出する部分を有することができる。
【0017】
前記第1保護層および前記第2保護層は、前記セラミック本体に接触される部分を有することができる。
【0018】
他の実施例による積層セラミックキャパシタは、第1方向に対向する第1面と第2面、第2方向に対向し、前記第1面と前記第2面を接続する第3面と第4面、第3方向に対向し、前記第1面と前記第2面を接続する第5面と第6面を含むセラミック本体と、前記セラミック本体の内部に配置される内部電極と、前記セラミック本体の前記第3面上の一部および前記第4面上の一部に配置される保護層と、前記保護層を覆う接続電極と、を含み、前記接続電極は、前記セラミック本体の前記第3面および前記第4面上で、前記保護層が位置しない部分を介して前記内部電極と接触する部分を含む。
【0019】
前記保護層は、前記第1面および前記第2面上に延びる部分を含むことができる。
【0020】
前記セラミック本体の前記第3面および前記第4面上において前記保護層が位置しない部分には開口部が形成され、前記保護層は、前記第1面または前記第2面上の端部から前記開口部の一側に位置する他の端部まで連続的に延びる部分を有することができる。
【0021】
前記保護層は、前記第1面、前記第3面、および前記第2面に沿って延びる第1保護層と前記第1面、前記第4面、および前記第2面に沿って延びる第2保護層を含み、前記接続電極は、前記第1保護層を覆う第1接続電極と、前記第2保護層を覆う第2接続電極を含み、前記第1保護層は、前記第1面および前記第2面上において前記第1接続電極より前記第4面方向にさらに突出される部分を有し、前記第2保護層は、前記第1面および前記第2面上において前記第2接続電極より前記第3面方向にさらに突出される部分を有することができる。
【0022】
前記第1接続電極を覆う第1メッキ電極と前記第2接続電極を覆う第2メッキ電極をさらに含み、前記第1保護層は、前記第1面および前記第2面上において前記第1メッキ電極より前記第4面方向にさらに突出される部分を有し、前記第2保護層は、前記第1面および前記第2面上において前記第2メッキ電極より前記第3面方向にさらに突出される部分を有することができる。
【発明の効果】
【0023】
実施例による積層セラミックキャパシタによれば、外部電極を薄く形成する時にも、セラミック本体に水分が浸透することを抑制することができる。
【0024】
また、外部電極焼成の時に外部電極が脱落する不良およびメッキ電極形成の時にセラミック本体の不要な部位にメッキが滲む不良を改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】一実施例による積層セラミックキャパシタの斜視図である。
図2図1のII-II’線に沿った断面図である。
図3図1のIII-III’線に沿った断面図である。
図4図2のA部分を拡大した部分断面図である。
図5図2のB部分を拡大した部分断面図である。
図6】一実施例による積層セラミックキャパシタの製造方法を示したダイヤグラムである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、添付の図面を参照して、本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者が容易に実施できるように、本発明の実施例を詳細に説明する。図面において、本発明を明確に説明するために説明と関係のない部分は省略し、明細書全体を通じて同一または類似の構成要素については同一の参照符号を付した。また、添付図面において、一部の構成要素は誇張されたり、省略されたり、または概略的に示されており、各構成要素の大きさは実際の大きさを完全に反映するものではない。
【0027】
添付図面は、本明細書に開示された実施例を容易に理解できるようにするためのものであり、添付図面によって本明細書に開示された技術思想が限定されるものではなく、本発明の思想及び技術範囲に含まれるすべての変更、均など物又は代替物を含むものと理解されるべきである。
【0028】
第1、第2などのように序数を含む用語は、様々な構成要素を説明するために使用することができるが、前記構成要素は、前記用語によって限定されない。前記用語は、一つの構成要素を他の構成要素から区別する目的でのみ使用される。
【0029】
また、層、膜、領域、プレートなどの部分が他の部分の「上に」または「の上に」ある場合、これは他の部分の「直上に」ある場合だけでなく、その間に別の部分がある場合も含む。逆に、ある部分が他の部分の「直上に」にあると言うときは、真ん中に他の部分がないことを意味する。また、基準となる部分の「上に」または「の上に」あるというのは、基準となる部分の上または下に位置することであり、必ずしも重力反対方向に向かって「上に」または「の上に」位置することを意味するものではない。
【0030】
明細書全体において、「含む」または「有する」などの用語は、明細書上に記載された特徴、数値、段階、動作、構成要素、部品、またはこれらを組み合わせたものが存在することを指定するものであって、一つまたはそれ以上の他の特徴や数値、段階、動作、構成要素、部品、またはこれらを組み合わせたものの存在または付加の可能性を予め排除しないものと理解されるべきである。したがって、ある部分がある構成要素を「含む」とするとき、これは、特に反対の記載がない限り、他の構成要素を除外するのではなく、他の構成要素をさらに含むことができることを意味する。
【0031】
また、明細書全体において、「平面上」とは、対象部分を上から見たときのことを意味し、「断面上」とは、対象部分を垂直に切った断面を横から見たときのことを意味する。
【0032】
また、明細書全体において、「接続される」という場合、これは二つ以上の構成要素が直接的に接続されることだけを意味するのではなく、二つ以上の構成要素が他の構成要素を通じて間接的に接続されること、物理的に接続されるだけでなく、電気的に接続されること、または位置や機能に応じて異なる名称で呼ばれているが一体であることを意味することができる。
【0033】
図1は、一実施例による積層セラミックキャパシタを概略的に示した斜視図であり、図2は、図1のII-II’線に沿った断面図であり、図3は、図1のIII-III’線に沿った断面図である。
【0034】
図1図3を参照すると、本実施例による積層セラミックキャパシタ1000は、セラミック本体10、複数の内部電極150、160、保護層210、310、第1外部電極20、および第2外部電極30を含む。
【0035】
まず、本実施例を明確に説明するために方向を定義すると、図面に表示されたL軸、W軸、T軸は、それぞれ積層セラミックキャパシタ1000の長さ方向、幅方向、および厚さ方向を示す軸を示す。
【0036】
厚さ方向(T軸方向)は、シート(sheet)形状を有する構成要素の広い面(周面)に垂直な方向であることができる。一例として、厚さ方向(T軸方向)は、誘電体層140が積層される方向と同じ方向に使用することができる。
【0037】
長さ方向(L軸方向)は、シート形状を有する構成要素の広い面(主面)に平行な方向として、厚さ方向(T軸方向)と交差または垂直な方向であることができる。一例として、長さ方向(L軸方向)は、第1外部電極20と第2外部電極30が互いに対向する方向であることができる。
【0038】
幅方向(W軸方向)は、シート形状を有する構成要素の広い面(周面)に平行な方向として、厚さ方向(T軸方向)および長さ方向(L軸方向)と同時に交差または垂直な方向であることができる。
【0039】
セラミック本体10は、おおよそ六面体形状で構成することができるが、本実施例がこれに限定されるものではない。焼成(sintering)時の収縮により、セラミック本体10は、完全な六面体形状ではないが、実質的に六面体形状を有することができる。一例として、セラミック本体10は、おおよそ直六面体形状であるが、角部や頂点に該当する部分が丸い形状を有することができる。
【0040】
説明の便宜上、本実施例では厚さ方向(T軸方向)で互いに対向する面を第1面11および第2面12と定義し、長さ方向(L軸方向)で互いに対向して第1面11と第2面12を接続する面を第3面13および第4面14と定義し、幅方向(W軸方向)で互いに対向して第3および第4面13、14と交差する面を第5面15および第6面16と定義することにする。
【0041】
従って、第1面11と第2面12が対向する方向の第1方向は、高さ方向(T軸方向)とすることができ、第1方向に垂直で互いに垂直な第2方向および第3方向は、それぞれ長さ方向(L軸方向)および幅方向(W軸方向)、または幅方向(W軸方向)および長さ方向(L軸方向)とすることができる。
【0042】
セラミック本体10の長さは、セラミック本体10の幅方向(W軸方向)中央部における長さ方向(L軸方向)-厚さ方向(T軸方向)の断面(cross-section)に対する光学顕微鏡または走査電子顕微鏡(SEM、Scanning Electron Microscope)写真を基準に、前述した断面写真に示されたセラミック本体10の長さ方向(L軸方向)に対向する2つの最外側境界線をそれぞれ接続し、長さ方向(L軸方向)と平行な複数の線分の長さのうち最大値を意味することができる。一方、セラミック本体10の長さは、前述した断面写真に示されたセラミック本体10の長さ方向(L軸方向)に対向する2つの最外側境界線をそれぞれ接続し、長さ方向(L軸方向)に対向する2つの最外側境界線をそれぞれ接続し、長さ方向(L軸方向)と平行な複数の線分の長さのうち最小値を意味することができる。他の一方、セラミック本体10の長さは、前述した断面写真に示されたセラミック本体10の長さ方向(L軸方向)に対向する2つの最外側境界線をそれぞれ接続し、長さ方向(L軸方向)と平行な複数の線分のうち少なくとも2つの線分の長さの算術平均値を意味することができる。
【0043】
セラミック本体10の厚さは、セラミック本体10の幅方向(W軸方向)中央部における長さ方向(L軸方向)-厚さ方向(T軸方向)の断面(cross-section)に対する光学顕微鏡または走査電子顕微鏡(SEM、Scanning Electron Microscope)写真を基準に、前述した断面写真に示されたセラミック本体10の厚さ方向(T軸方向)に対向する2つの最外側境界線をそれぞれ接続し、厚さ方向(T軸方向)と平行な複数の線分の長さのうち最大値を意味することができる。一方、セラミック本体10の厚さは、前述した断面写真に示されたセラミック本体10の厚さ方向(T軸方向)に対向する2つの最外側境界線をそれぞれ接続し、厚さ方向(T軸方向)と平行な複数の線分の長さのうち最小値を意味することができる。他の一方、セラミック本体10の厚さは、前述した断面写真に示されたセラミック本体10の厚さ方向(T軸方向)に対向する2つの最外側境界線をそれぞれ接続し、厚さ方向(T軸方向)と平行な複数の線分のうち少なくとも2つの線分の長さの算術平均値を意味することができる。
【0044】
セラミック本体10の幅は、セラミック本体10の厚さ方向(T軸方向)中央部における長さ方向(L軸方向)-幅方向(W軸方向)の断面(cross-section)に対する光学顕微鏡または走査電子顕微鏡(SEM、Scanning Electron Microscope)写真を基準に、前述した断面写真に示されたセラミック本体10の幅方向(W軸方向)に対向する2つの最外側境界線をそれぞれ接続し、幅方向(W軸方向)と平行な複数の線分の長さのうち最大値を意味することができる。一方、セラミック本体10の幅は、前述した断面写真に示されたセラミック本体10の幅方向(W軸方向)に対向する2つの最外側境界線をそれぞれ接続して幅方向(W軸方向)と平行な複数の線分の長さのうち最小値を意味することができる。他の一方、セラミック本体10の幅は、前述した断面写真に示されたセラミック本体10の幅方向(W軸方向)に対向する2つの最外側境界線をそれぞれ接続し、幅方向(W軸方向)と平行な複数の線分のうち少なくとも2つの線分の長さの算術平均値を意味することができる。
【0045】
セラミック本体10は、複数の誘電体層140を厚さ方向(T軸方向)に積層した後、焼成して形成することができる。ここで、セラミック本体10の互いに隣接する複数の誘電体層140のそれぞれは、互いに境界が不明確な状態で一体化することができる。即ち、セラミック本体10の互いに隣接するそれぞれの誘電体層140の間の境界は、走査電子顕微鏡(SEM、Scanning Electron Microscope)を利用しなければ確認が困るほど一体化することができる。
【0046】
内部電極150、160は、互いに異なる極性を有する第1内部電極150および第2内部電極160を含む。複数の第1および第2内部電極150、160は、セラミック本体10内で誘電体層140を間において厚さ方向(T軸方向)に交互に配置されることができる。互いに隣接する第1内部電極150と第2内部電極160は、その間に配置された誘電体層140によって互いに電気的に絶縁されることができる。
【0047】
複数の第1および第2内部電極150、160は、誘電体層140を間において互いに長さ方向(L軸方向)にずれるように配置することができる。複数の第1内部電極150の端部は、セラミック本体10の第3面13を通して露出され、複数の第2内部電極160の端部は、セラミック本体10の第4面14を通して露出することができる。セラミック本体10の第3および第4面13、14を通じて交互に露出された複数の第1および第2内部電極150、160の端部は、セラミック本体10の第3および第4面13、14で第1および第2外部電極20、30の第1および第2接続部21、31とそれぞれ接続されて電気的に接続することができる。
【0048】
第1および第2内部電極150、160は、導電性金属を含む導電性ペーストを誘電体層140表面に印刷して形成することができる。一例として、ニッケル(Ni)またはニッケル(Ni)合金を含む導電性ペーストをスクリーン印刷法(screen printing)やグラビア印刷法(gravure printing)で誘電体層表面に印刷して内部電極を形成することができる。但し、本実施例がこれに限定されるものではない。
【0049】
一例として、第1および第2内部電極150、160は、平均厚さがおおよそ0.1μm以上2μm以下であることができる。
【0050】
前記のような構成により、第1および第2外部電極20、30に電圧を印加すると、互いに対向する第1および第2内部電極150、160の間に電荷が蓄積される。積層セラミックキャパシタ1000の静電容量は、厚さ方向(T軸方向)に沿って互いに重なる第1および第2内部電極150、160の重なった面積に比例する。
【0051】
積層セラミックキャパシタ1000は、アクティブ(active)領域とマージン(margin)領域を含む。アクティブ領域は、複数の第1および第2内部電極150、160が厚さ方向(T軸方向)に沿って重なる領域であり、マージン領域は、アクティブ領域とセラミック本体10の第3および第4面13、14の間の領域である。
【0052】
セラミック本体10内で厚さ方向(T軸方向)に沿って複数の第1および第2内部電極150、160外側に両側に第1および第2カバー層143、145がそれぞれ配置されることができる。即ち、セラミック本体10内で最下部にある内部電極の下部に第1カバー層143が備えられ、最上部にある内部電極の上部に第2カバー層145が備えられることができる。第1および第2カバー層143、145は、誘電体層140と同じ組成を有することができ、内部電極を含まない誘電体層をセラミック本体10の最下部の内部電極の下部と最上部の内部電極の上部にそれぞれ1つ以上積層して形成することができる。第1および第2カバー層143、145は、物理的または化学的ストレスによって発生できる第1および第2内部電極150、160の損傷を防止する役割を果たすことができる。
【0053】
誘電体層140は、高誘電率のセラミック材料を含むことができる。一例として、セラミック材料は、BaTiO、CaTiO、SrTiO、またはCaZrOなどの成分を含む誘電体セラミックを含むことができる。また、これら成分にMn化合物、Fe化合物、Cr化合物、Co化合物、Ni化合物などの補助成分をさらに含むことができる。一例として、誘電体層は、BaTiOにCa(カルシウム)、Zr(ジルコニウム)などが一部固溶された(Ba1-xCa)TiO、Ba(Ti1-yCa)O、(Ba1-xCa)(Ti1-yZr)OまたはBa(Ti1-yZr)Oなどを含むことができるが、本発明がこれに限定されるものではない。
【0054】
また、誘電体層140には、セラミック添加剤、有機溶剤、可塑剤、結合剤、および分散剤のうち一つ以上がさらに含むことができる。セラミック添加剤には、例えば、遷移金属酸化物または炭化物、希土類元素、マグネシウム(Mg)、またはアルミニウム(Al)などを含むことができる。
【0055】
一例として、誘電体層140の平均厚さは、0.1μm~10μmであることができるが、本実施例がこれに限定されるものではない。
【0056】
外部電極20、30は、セラミック本体10の外部に備えられ、第1外部電極20および第2外部電極30を含む。第1および第2外部電極20、30は、セラミック本体10の長さ方向(L軸方向)の第3および第4面13、14に配置され、セラミック本体10の第1面11、第2面12、第5面15、および第6面16まで延びることができる。他の実施例で、第1および第2外部電極20、30は、第1面11と第2面12のうちいずれか一面の一部まで延びることができる。
【0057】
第1および第2外部電極20、30は、第1および第2接続部21、31、第1および第2バンド部23、33、ならびに第1および第2角部分25、35をそれぞれ含む。
【0058】
第1接続部21は、セラミック本体10の第3面13を覆い、複数の第1または第2内部電極150、160の露出した端部と接続されて電気的に接続される部分である。第2接続部31は、セラミック本体10の第4面14を覆い、複数の第1または第2内部電極150、160の露出した端部と接続されて電気的に接続される部分である。他の実施例で、第1接続部と第2接続部21、31は、第3面13と第4面14の一部分を覆うことができる。
【0059】
第1および第2バンド部23、33は、第1および第2接続部21、31から延びて、セラミック本体10の第1面11、第2面12、第5面15、第6面16の少なくとも一部を覆う。第1および第2バンド部23、33は、第1および第2外部電極20、30をセラミック本体10にさらに強く固着させることができる。
【0060】
第1バンド部23は、第1接続部21から延び、セラミック本体10の第1面11、第2面12、第5面15、および第6面16の少なくとも一部を覆うことができる。第2バンド部33は、第2接続部31から延び、セラミック本体10の第1面11、第2面12、第5面15、および第6面16の少なくとも一部を覆うことができる。
【0061】
第1および第2角部分25、35は、第1および第2接続部21、31と第1および第2バンド部23、33を接続する部分であってもよい。
【0062】
積層セラミックキャパシタ1000の幅方向(W軸方向)中央部における長さ方向(L軸方向)-厚さ方向(T軸方向)の断面(cross-section)に対する光学顕微鏡または走査電子顕微鏡(SEM、Scanning Electron Microscope)写真を基準として、前述した断面写真に示された積層セラミックキャパシタ1000において、第1および第2接続部21、31は概ね厚さ方向(T軸方向)に平行な形状を有することができ、第1および第2バンド部23、33は概ね長さ方向(L軸方向)に平行な形状を有することができ、第1および第2角部分25、35は曲線形状を有することができる。前述した曲線形状は、厚さ方向(T軸方向)に平行な方向に長さ方向(L軸方向)に平行な方向に(またはその反対方向に)傾斜が変わる接線(tangent)を有する曲線形状であってもよい。
【0063】
外部電極20、30は、接続電極230、330およびメッキ電極250、350を含むことができる。接続電極230、330およびメッキ電極250、350は、それぞれ第1および第2接続部21、31、第1および第2バンド部23、33、ならびに第1および第2角部分25、35の少なくとも一部に位置することができる。第1外部電極20は、第1接続電極230および第1メッキ電極250を含むことができ、第2外部電極30は、第2接続電極330および第2メッキ電極350を含むことができる。
【0064】
接続電極230、330は、銅(Cu)を含むことができる。また、接続電極230、330は、銅(Cu)を主成分として含有し、ニッケル(Ni)、スズ(Sn)、パラジウム(Pd)、白金(Pt)、金(Au)、銀(Ag)、タングステン(W)、チタニウム(Ti)、鉛(Pb)、またはこれらの合金のうち一つ以上の物質を含むことができる。
【0065】
接続電極230、330は、保護粒子235、335を含むことができる。保護粒子235、335は、酸化物が混合された組成のガラス成分を含むことができ、ケイ素酸化物と共にホウ素酸化物、アルミニウム酸化物、遷移金属酸化物、アルカリ金属酸化物、およびアルカリ土類金属酸化物で構成される群から選択される一つ以上を含むことができる。一例として、保護粒子235、335は、二酸化ケイ素(SiO)と共に酸化バリウム(BaO)、酸化カルシウム(CaO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化アルミニウム(Al)、酸化ホウ素(B)、酸化ナトリウム(NaO)、酸化銅(II)(CuO)のうち一つ以上を含むことができるが、これに限定されるものではない。また、保護粒子235、335は、酸化ナトリウム(NaO)を10mol%以上含有することができ、酸化銅(II)(CuO)を4mol%以上含有することができるが、これに限定されるものではない。保護粒子235、335は、ガラス素材の粒子であってもよく、後述する保護層210、310と同じ素材の粒子であってもよい。
【0066】
一例として、接続電極230、330の形成方法は、導電性金属およびガラスを含む導電性ペーストにセラミック本体10をディッピングして形成したり、導電性ペーストをセラミック本体10表面にスクリーン印刷法またはグラビア印刷法などで印刷したり、導電性ペーストをセラミック本体10の表面に塗布して形成することができる。
【0067】
接続電極230、330は、セラミック本体10の第3面13上に配置される第1接続電極230および第4面14上に配置される第2接続電極330を含むことができる。第1接続電極230は、第1接続部21に配置され、第1角部分25および第1バンド部23に延びることができる。第2接続電極330は、第2接続部31に配置され、第2角部分35および第2バンド部33に延びることができる。
【0068】
メッキ電極250、350は、ニッケル(Ni)を主成分として含有することができ、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、スズ(Sn)、パラジウム(Pd)、白金(Pt)、金(Au)、銀(Ag)、タングステン(W)、チタニウム(Ti)、または鉛(Pb)などの単独またはこれらの合金をさらに含むことができるが、本実施例がこれに限定されるものではない。一例として、メッキ電極250、350は、スパッタまたは電解メッキ(Electric Deposition)によって形成することができる。
【0069】
メッキ電極250、350は、第1接続電極230を少なくとも部分的に覆う第1メッキ電極250および第2接続電極230を少なくとも部分的に覆う第2メッキ電極350を含むことができる。第1メッキ電極250は、第1接続部21に配置され、第1角部分25および第1バンド部23に延びることができる。第2メッキ電極350は、第2接続部31に配置され、第2角部分35および第2バンド部33に延びることができる。
【0070】
図4は、図2のA部分を拡大した部分断面図であり、図5は、図2のB部分を拡大した部分断面図である。
【0071】
図4および図5を参照すると、セラミック本体10の第3面13および第4面14上に保護層210、310が配置されることができる。保護層210、310は、接続電極230、330によって少なくとも部分的に覆われることができる。保護層210、310は、セラミック本体10の第3面13上に配置される第1保護層210およびセラミック本体10の第4面14上に配置される第2保護層310を含むことができる。
【0072】
第1保護層210は、セラミック本体10の第3面13上から第1面11および第2面12上に延びる部分を含むことができる。また第1保護層210は、セラミック本体10の第3面13上から第5面15および第6面16上に延びる部分を含むことができる。第1保護層210は、第1接続電極230によって少なくとも部分的に覆われることができる。第1保護層210は、セラミック本体10と第1接続電極230との間に位置する部分を有し、セラミック本体10と接触することができる。第1保護層210は、セラミック本体10と第1接続電極230を接着する役割を果たすことができる。
【0073】
第1保護層210は、セラミック本体10の第3面13上に形成される第1開口部217を有することができる。第1開口部217は、第1保護層210が部分的に配置されない部分である。即ち、第1保護層210は、セラミック本体10の第3面13上の一部に配置されることができる。第1開口部217は、セラミック本体10の第3面13を通して露出する第1または第2内部電極150、160と重なることができ、第1開口部217を通じて第1接続電極230と第1または第2内部電極150、160が接触することができる。
【0074】
第1保護層210は、第1下部連続領域211、第1上部連続領域213、および第1断続(intermittent)領域215を含むことができる。
【0075】
第1下部連続領域211は、第1保護層210がセラミック本体10の第1面11上から第1角部分25の内側を通ってセラミック本体10の第3面13上の一部にまで延びる部分である。第1下部連続領域211の一端部は、セラミック本体10の第1面11上に位置し、他の一端部は、セラミック本体10の第3面13上に位置することができる。セラミック本体10の第3面13上に位置する第1下部連続領域211の一端部は、第1開口部217の一側に位置することができ、この第1開口部217は、セラミック本体10の第1面11に最も近く位置する第1開口部217であることができる。第1下部連続領域211は、セラミック本体10の第1面11上の一端部からセラミック本体10の第3面13上の一端部まで切れることなく連続的に延びることができ、開口部が形成されていない場合がある。
【0076】
第1上部連続領域213は、第1保護層210がセラミック本体10の第2面12上から第1角部分25の内側を通ってセラミック本体10の第3面13上の一部にまで延びる部分である。第1上部連続領域213の一端部は、セラミック本体10の第2面12上に位置し、他の一端部は、セラミック本体10の第3面13上に位置することができる。セラミック本体10の第3面13上に位置する第1上部連続領域213の一端部は、第1開口部217の一側に位置し、この第1開口部217は、セラミック本体10の第2面12に最も近く位置する第1開口部217であることができる。第1上部連続領域213は、セラミック本体10の第2面12上の一端部からセラミック本体10の第3面13上の一端部まで切れることなく、連続的に延びることができ、開口部が形成されていない場合がある。
【0077】
第1断続領域215は、第1下部連続領域211と第1上部連続領域213との間に位置する領域である。即ち、第1断続領域215は、セラミック本体10の第1面11に最も近く位置する第1開口部217とセラミック本体10の第2面12に最も近く位置する第1開口部217との間に位置することができる。第1断続領域215には、第1開口部217が形成することができる。
【0078】
第1保護層210は、セラミック本体10の第1面11、第2面12、第5面15、および第6面16上において、第1接続電極230よりセラミック本体10の第4面14に向く方向にさらに突出することができる。また、第1保護層210は、セラミック本体10の第1面11、第2面12、第5面15、および第6面16上において、第1メッキ電極250よりセラミック本体10の第4面14に向く方向にさらに突出することができる。
【0079】
第2保護層310は、セラミック本体10の第4面14上から第1面11および第2面12上に延びる部分を含むことができる。また第2保護層310は、セラミック本体10の第4面14上から第5面15および第6面16上に延びる部分を含むことができる。第2保護層310は、第2接続電極330によって少なくとも部分的に覆われることができる。第2保護層310は、セラミック本体10と第2接続電極330との間に位置する部分を有し、セラミック本体10と接触することができる。第2保護層310は、セラミック本体10と第2接続電極330を接着する役割を果たすことができる。
【0080】
第2保護層310は、セラミック本体10の第4面14上に形成される第2開口部317を有することができる。第2開口部317は、第2保護層310が部分的に配置されない部分である。即ち、第2保護層310は、セラミック本体10の第4面14上の一部に配置することができる。第2開口部317は、セラミック本体10の第4面14を通して露出する第1または第2内部電極150、160と重なることができ、第2開口部317を通して第2接続電極330と第1または第2内部電極150、160が接触することができる。
【0081】
第2保護層310は、第2下部連続領域311、第2上部連続領域313、および第2断続領域315を含むことができる。
【0082】
第2下部連続領域311は、第2保護層310がセラミック本体10の第1面11上から第2角部分35の内側を通ってセラミック本体10の第4面14上の一部にまで延びる部分である。第2下部連続領域311の一端部は、セラミック本体10の第1面11上に位置し、他の一端部は、セラミック本体10の第4面14上に位置することができる。セラミック本体10の第4面14上に位置する第2下部連続領域311の一端部は、第2開口部317の一側に位置することができ、この第2開口部317は、セラミック本体10の第1面11に最も近く位置する第2開口部317であることができる。第2下部連続領域311は、セラミック本体10の第1面11上の一端部からセラミック本体10の第4面14上の一端部まで切れることなく、連続的に延びることができ、開口部が形成されていない場合がある。
【0083】
第2上部連続領域313は、第2保護層310がセラミック本体10の第2面12上から第2角部分35の内側を通ってセラミック本体10の第4面14上の一部にまで延びる部分である。第2上部連続領域313の一端部は、セラミック本体10の第2面12上に位置し、他の一端部は、セラミック本体10の第4面14上に位置することができる。セラミック本体10の第4面14上に位置する第2上部連続領域313の一端部は、第2開口部317の一側に位置することができ、この第2開口部317は、セラミック本体10の第2面12に最も近く位置する第2開口部317であることができる。第2上部連続領域313は、セラミック本体10の第2面12上の一端部からセラミック本体10の第4面14上の一端部まで切れることなく、連続的に延びることができ、開口部が形成されていない場合がある。
【0084】
第2断続領域315は、第2下部連続領域311と第2上部連続領域313との間に位置する領域である。即ち、第2断続領域315は、セラミック本体10の第1面11に最も近く位置する第2開口部217とセラミック本体10の第2面12に最も近く位置する第2開口部217との間に位置することができる。第2断続領域315には、第2開口部317を形成することができる。
【0085】
第2保護層310は、セラミック本体10の第1面11および第2面12、第5面15、および第6面16上において、第2接続電極330よりセラミック本体10の第3面13に向く方向にさらに突出することができる。また、第2保護層310は、セラミック本体10の第1面11および第2面12、第5面15、および第6面16上において、第2メッキ電極350よりセラミック本体10の第3面13に向く方向にさらに突出することができる。
【0086】
一例として、保護層210、310の平均厚さは、おおよそ0.1μm~10μmであってもよいが、本実施例がこれに限定されるものではない。
【0087】
保護層210、310は、酸化物が混合された組成のガラス成分を含むことができ、ケイ素酸化物と共にホウ素酸化物、アルミニウム酸化物、遷移金属酸化物、アルカリ金属酸化物、およびアルカリ土類金属酸化物で構成される群から選択される一つ以上を含むことができる。一例として、保護層210、310は、二酸化ケイ素(SiO)と共に酸化バリウム(BaO)、酸化カルシウム(CaO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化アルミニウム(Al)、酸化ホウ素(B)、酸化ナトリウム(NaO)、酸化銅(II)(CuO)のうち一つ以上を含むことができるが、これに限定されるものではない。また保護層210、310は、ケイ素酸化物と共に酸化ナトリウム(NaO)を5mol%以上含有することができ、酸化銅(II)(CuO)を2mol%以上含有することができるが、これに限定されるものではない。一例として、保護層210、310は、ケイ素酸化物と共に酸化ナトリウム(NaO)を7.5mol%以上含有することができ、他の例として、保護層210、310は、ケイ素酸化物と共に酸化ナトリウム(NaO)を10mol%以上含有することができる。また一例として、保護層210、310は、ケイ素酸化物と共に酸化銅(II)(CuO)を3mol%以上含有することができ、他の例として、保護層210、310は、ケイ素酸化物と共に酸化銅(II)(CuO)を4mol%以上含有することができる。酸化ナトリウム(NaO)および/または酸化銅(II)(CuO)が含まれると、保護層210、310の濡れ性(Wettability)が向上し、セラミック本体10と接続電極230、330の間に保護層210、310が連続的に形成されやすくなる。
【0088】
第1および第2接続部21、31と第1および第2バンド部23、33に比べて、第1および第2角部分25、35に応力がより集中することができる。従って、第1および第2角部分25、35に亀裂が発生した場合、破損したり亀裂が発生した部分は水分が浸透する経路となる可能性がある。本実施例による保護層210、310は、セラミック本体10と接続電極230、330の接着力を高めてくれるため、第1および第2角部分25、35に発生しやすい外部電極の脱落危険を減少することができる。
【0089】
一例として、大きさが小さいガラス粒子が含まれている導電性ペーストにセラミック本体を部分的にディッピング(dipping)して溶液の希釈程度に応じて塗布した後、200℃下で熱乾燥した後、導電性ペーストを焼成する過程で保護層210、310を形成することができる。
【0090】
積層セラミックキャパシタ1000は、その長さと幅を基準に分類される。従って、同じ長さや幅を有する積層セラミックキャパシタでも、外部電極の厚さによってセラミック本体の大きさが変わる場合がある。即ち、より薄い外部電極を有する積層セラミックキャパシタは、より厚い外部電極を有する積層セラミックキャパシタに比べて、より大きいセラミック本体を有することができる。セラミック本体がより大きいということは、前述したアクティブ領域がより大きいということを意味し、さらに静電容量がより大きいということを意味することができる。結局、積層セラミックキャパシタの外部電極が薄くなるほど静電容量が大きくなる可能性がある。しかし、外部電極の厚さが薄くなると、セラミック本体内部に水分が浸透しやすくなり、積層セラミックキャパシタの耐湿信頼性を低下させる可能性がある。本実施例では、セラミック本体と接続電極の間に保護層を形成することにより、外部電極を薄く形成する場合でも、セラミック本体に水分が浸透することを抑制することができる。
【0091】
保護層210、310は、電気伝導性が低いことができる。一例として、保護層210、310は、電気伝導性が10-7S/cmより小さいことができる。前記のように構成される保護層210、310は、メッキ電極250、350形成時にメッキ滲みを防止することができる。即ち、絶縁性素材で構成される第1および第2保護層210、310が第1および第2接続電極230、330より突出すると、メッキ電極250、350の形成過程でメッキ成分が突出した接続電極230、330の上に滲むことを阻止することができる。従って、メッキ電極250、350が保護層210、310を越えてセラミック本体10の意図しない領域に形成されることを防止することができる。
【0092】
以下、図6を参照して一実施例による積層セラミックキャパシタの製造方法を説明する。
【0093】
図6は一実施例による積層セラミックキャパシタの製造方法を示したダイヤグラムである。
【0094】
図6を参照すると、本実施例による積層セラミックキャパシタの製造方法は、まず、セラミック本体を形成する(S100)。セラミック本体10の形成のために、まず、複数の誘電体グリーンシートを準備する。誘電体グリーンシートは、焼成後、セラミック本体10の誘電体層140とすることができる。
【0095】
誘電体グリーンシートは、セラミック粉末、セラミック添加剤、有機溶剤、可塑剤、結合剤、および分散剤などを混合してペーストを製造し、このペーストをドクターブレードまたはスクリーン印刷法などの方法を通して、数μmの厚さのシート形状に製造することができる。
【0096】
一例として、セラミック粉末は、BaTiO、CaTiO、SrTiO、またはCaZrOなどの成分を含む誘電体セラミックを含むことができる。また、これら成分にMn化合物、Fe化合物、Cr化合物、Co化合物、Ni化合物などの補助成分をさらに含むことができる。例えば、BaTiO系誘電体セラミックにCa、Zrなどが一部固溶された(Ba1-xCa)TiO、Ba(Ti1-yCa)O、(Ba1-xCa)(Ti1-yZr)OまたはBa(Ti1-yZr)Oなどを含むことができる。
【0097】
セラミック添加剤に、例えば遷移金属酸化物または遷移金属炭化物、希土類元素、マグネシウム(Mg)またはアルミニウム(Al)などを使用することができる。
【0098】
誘電体グリーンシート表面に導電性ペースト層を形成する。導電性ペースト層は、焼成後、第1および第2内部電極150、160になることができる。
【0099】
導電性ペースト層は、導電性金属を含む導電性ペーストを誘電体グリーンシート表面にドクターブレードまたはスクリーン印刷法などの方法を利用して塗布することによって形成することができる。
【0100】
一例として、第1導電性ペースト層を第1パターンで第1誘電体グリーンシート表面に塗布し、第2導電性ペースト層を第2パターンで第2誘電体グリーンシート表面に塗布することができる。第1パターンと第2パターンは、第1および第2誘電体グリーンシートを交互に積層時に、第1および第2導電性ペースト層の一部は重なり、一部は重ならないように整列することができる。
【0101】
第1および第2誘電体グリーンシートを積層して、誘電体グリーンシート積層体を製造する。第1および第2誘電体グリーンシートは、第1および第2導電性ペースト層が重なり、少なくとも一部は重ならないように積層される。選択的に、誘電体グリーンシート積層体を圧着する。
【0102】
誘電体グリーンシート積層体は、第1および第2導電性ペースト層が両側端部面を通してそれぞれ露出するように切断することができる。第1および第2内部電極150、160の内部電極のそれぞれにおいて、その端部が前記誘電体グリーンシート積層体の両端部面のいずれかに露出することができる。
【0103】
誘電体グリーンシート積層体を高温で焼成して、セラミック本体10を製造する。焼成後、誘電体グリーンシートは、誘電体層140を形成する。誘電体グリーンシート表面に形成された導電性ペースト層は、焼成によって第1および第2内部電極150、160を形成し、一つの誘電体層140を間において交互に配置することができる。第1および第2内部電極150、160は、誘電体層140によって電気的に絶縁されることができる。
【0104】
セラミック本体10の第1および第2内部電極150、160がそれぞれ露出する両側断面に液状の導電性ペースト層を形成する(S200)。液状の導電性ペースト層は、導電性金属およびガラス粉末を含む導電性ペーストにセラミック本体10をディッピングして形成することができる。他の例として、液状の導電性ペースト層は、前述した導電性ペーストをセラミック本体10の表面にスクリーン印刷法またはグラビア印刷法などで印刷したり、または前述した導電性ペーストをセラミック本体10の表面に塗布して形成することができる。
【0105】
続いて、液状の導電性ペースト層を乾燥する(S300)。液状の導電性ペースト層は、200℃下で乾燥することができる。乾燥後外、部電極の形状が形成され、外部電極がセラミック本体10に臨時的に固定されることができる。
【0106】
続いて、導電性ペースト層を焼成し(S400)、固定された外部電極を形成し、内部電極と外部電極を接続することができる。導電性ペースト層を焼成することは、脱バインディング(S410)、内部電極と外部電極接続(S420)、および保護層形成(S430)を含むことができる。
【0107】
導電性ペースト層で脱バインディングを行うことができる(S410)。脱バインディングは、導電性ペースト層内のバインダーのような有機物を除去することを含む。脱バインディングは、600℃下で行うことができる。脱バインディングにより、導電性ペースト層内部に空隙が形成されることができる。
【0108】
続いて、内部電極と外部電極を接続することができる(S420)。この段階では、500℃~800℃環境で隣接する金属粉末をネッキング(Necking)し、溶融金属を成長(Growth)させることができる。この時、溶融金属が流動しながら前述した脱バインディングで形成された空隙を満たすことができる。また、セラミック本体10の界面に溶融金属が流動し、外部電極の接続電極と内部電極が接続する部分が形成されることができる。
【0109】
続いて、保護層を形成することができる(S430)。この段階では550℃~800℃環境で隣接するガラス粉末をネッキングして溶融ガラスを成長させることができる。この時、溶融ガラスが流動しながら外部電極内部の空隙を満たし、セラミック本体10の表面にガラス膜を形成することができる。形成されたガラス膜は、保護層210、310となることができる。ガラス粉末は、連続的に互いに接続して、セラミック本体10の表面を覆うことができ、前述した外部電極の接続電極と内部電極が接続する部分には開口部217、317が形成されることができる。開口部217、317は、ガラス膜が形成されない部分であり、開口部217、317を介して内部電極150、160が接続電極230、330と接続することができる。溶融金属と溶融ガラスが脱バインディングの結果として形成された空隙を満たすことにより、外部電極がより緻密になることができる。
【0110】
以下、本発明の実施例と比較例を対照した実験例を提示する。但し、以下に記載された実施例および実験例は、本発明を具体的に例示または説明するためのものに過ぎず、これによって本発明の範囲が限定されるものではない。
【0111】
[比較例、実施例および判断方法]
(実施例)
焼成された1005サイズのセラミック本体を複数個準備し、内部電極が露出した積層体の両端部に導電性金属およびガラス粉末を含む液状の導電性ペースト層を形成した。導電性ペースト層を乾燥および焼成して、ガラス膜と接続電極が形成された外部電極を形成する。その後、焼結された外部電極上にメッキ電極を形成した。
【0112】
(比較例)
焼成された1005サイズのセラミック本体を複数個準備し、内部電極が露出した積層体の両端部に導電性金属を含む液状の導電性ペースト層を形成した。導電性ペースト層を乾燥および焼成して、外部電極を形成した。その後、焼結された外部電極上にメッキ電極を形成した。
【0113】
(判断方法)
ガラス膜形成の有無は、積層セラミックキャパシタをSEM(Scanning Electron Microscope)に測定したイメージの明暗差で判断したり、エネルギー分散型X線分光器(EDX、Energy-Dispersive X-raySpectroscopy)または電子ビーム微細分析法(EPMA:Electron Probe Micro-Analyzer)を利用してガラスの構成成分、例えば、Si成分が検出されるかどうかを調べることによって判断することができる。
【0114】
[実験例:積層セラミックキャパシタの性能]
実施例および比較例で製造された積層セラミックキャパシタの外部電極脱落(Blister)不良、メッキ滲み不良、および耐湿劣化発生を測定した。
【0115】
1)外部電極の脱落測定
実施例および比較例の積層セラミックキャパシタをそれぞれ100個ずつ準備した。本実施例の積層セラミックキャパシタの効果を確認するために、強還元雰囲気下で比較例と実施例の外部電極を焼成した。そして、焼成された外部電極にメッキ電極を形成した。
【0116】
【表1】
【0117】
(表1)に示すように、比較例では100個のサンプルのうち15個のサンプルで外部電極が脱落する不良が発生し、実施例のサンプルではこのような不良が発生しなかった。これはガラス膜がセラミック本体と接続電極との間で接着役割を果たし、接続電極をより強く固定させているためである。
【0118】
2)メッキ滲み不良
実施例および比較例の積層セラミックキャパシタをそれぞれ100個ずつ準備した。実施例ではガラス膜が接続電極よりセラミック本体の中心方向に突出されるように外部電極を形成した。そして焼成された外部電極にメッキ電極を形成した。
【0119】
【表2】
【0120】
(表2)に示すように、比較例では100個のサンプルのうち14個のサンプルで外部電極が形成されないセラミック本体の表面でメッキ滲み不良が観察された。実施例ではこのようなメッキ滲み不良が発生しなかった。これはガラス膜によって、メッキ電極がガラス膜を超えて拡散することが防止されているためである。
【0121】
3)耐湿劣化測定
実施例および比較例の積層セラミックキャパシタをそれぞれ20チャンネルずつ準備した。一つのチャンネルは、積層セラミックキャパシタを20個ずつ直列に接続したものである。このように準備した総20チャンネルの実施例および比較例に対して、85℃および85%RH環境下で、各チャンネルに1.5Vrの電圧を12時間印加した。
【0122】
【表3】
【0123】
(表3)に示すように、20チャンネルのサンプルのうち3チャンネルで耐湿劣化が発生し、実施例のサンプルでは耐湿劣化が発生しなかった。これはセラミック本体表面に形成されたガラス膜がセラミック本体内部への水分浸透を抑制したためである。
【0124】
以上、本発明の好ましい実施例について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、請求の範囲と発明の説明及び添付した図面の範囲内で種々の変形を加えて実施することが可能であり、これも本発明の範囲に属することは当然である。
【符号の説明】
【0125】
1000 積層セラミックキャパシタ
10 セラミック本体
140 誘電体層
150 第1内部電極
160 第2内部電極
20 第1外部電極
210 第1保護層
230 第1接続電極
250 第1メッキ電極
30 第2外部電極
310 第2保護層
330 第2接続電極
350 第2メッキ電極
図1
図2
図3
図4
図5
図6