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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025036193
(43)【公開日】2025-03-14
(54)【発明の名称】ネイル売買システム及び管理システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/10 20120101AFI20250306BHJP
   G06Q 30/0601 20230101ALI20250306BHJP
   G06Q 30/0241 20230101ALI20250306BHJP
【FI】
G06Q50/10
G06Q30/0601
G06Q30/0241
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024137727
(22)【出願日】2024-08-19
(31)【優先権主張番号】P 2023139226
(32)【優先日】2023-08-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】523329703
【氏名又は名称】柴阪 祐馬
(74)【代理人】
【識別番号】110001885
【氏名又は名称】弁理士法人IPRコンサルタント
(72)【発明者】
【氏名】柴阪 祐馬
【テーマコード(参考)】
5L030
5L050
【Fターム(参考)】
5L030BB08
5L030BB22
5L050CC11
(57)【要約】      (修正有)
【課題】ユーザがネイルサロンに出向かなくても、ユーザの爪にフィットし、かつ、所望のデザインをあしらったネイルチップを得ることができ、関係者へ適正な報酬を付与するネイル売買システム及び管理システムを提供する。
【解決手段】ネイル売買システムにおいて、管理システムは、複数のネイルデザインを創作者と関連付けて非代替性トークンとして管理し、ユーザが選択したネイルデザインをユーザが指定した施工者にのみ閲覧を許可するデザイン管理部、所定の報酬分配規則に基づいて報酬を支払う決済部、ユーザの指先又はユーザの指先が型取りされた印象材からスキャンデータを生成する3Dスキャナ及びスキャンデータに基づいて指模型を造形する3Dプリンタを含み、造形された指模型を用いて指定されたネイルサロンにおいて選択されたネイルデザインがネイルチップに施されると、選択されたネイルデザインの創作者及び指定された施工者に対し報酬を支払う。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のネイルデザインのそれぞれを創作者と関連付けて非代替性トークンとして管理し、前記複数のネイルデザインの中からユーザによって選択されたネイルデザインをユーザによって指定された施工者にのみ閲覧を許可するデザイン管理部、及び、所定の報酬分配規則に基づいて報酬を支払う決済部を含む管理システムと、
ユーザの指先又はユーザの指先が型取りされた印象材をスキャンしてスキャンデータを生成する3Dスキャナと、
前記スキャンデータに基づいて指模型を造形する3Dプリンタと、を含み、
造形された指模型を用いて前記指定されたネイルサロンにおいて前記選択されたネイルデザインがネイルチップに施されると、前記決済部が、前記選択されたネイルデザインの創作者及び前記指定された施工者に対し前記所定の報酬分配規則に従って報酬を支払うこと、
を特徴とするネイル売買システム。
【請求項2】
前記デザイン管理部が、前記所定の報酬分配規則を規定するプログラムを含むブロックチェーンにより前記複数のネイルデザインを管理すること、
を特徴とする請求項1に記載のネイル売買システム。
【請求項3】
前記管理システムが、前記ユーザによる選択のために前記複数のネイルデザインの全部又は一部分をユーザ端末に表示させる表示部を更に含むこと、
を特徴とする請求項1に記載のネイル売買システム。
【請求項4】
前記決済部が、前記ユーザによって選択された成果報酬型広告の出稿者に対しても報酬を支払うこと、
を特徴とする請求項1に記載のネイル売買システム。
【請求項5】
複数のネイルデザインのそれぞれを創作者と関連付けて非代替性トークンとして管理し、前記複数のネイルデザインの中からユーザによって選択されたネイルデザインをユーザによって指定された施工者にのみ閲覧を許可するデザイン管理部と、
所定の報酬分配規則に基づいて報酬を支払う決済部と、
ユーザの指先又はユーザの指先が型取りされた印象材をスキャンすることで生成されたスキャンデータを取得する指データ取得部と、
指模型を造形する3Dプリンタに前記スキャンデータを送信する出力部と、を含み、
造形された指模型を用いて前記選択されたネイルデザインがネイルチップに施されると、前記選択されたネイルデザインの創作者及び前記施工者に対して前記所定の報酬分配規則に従って報酬を支払うこと、
を特徴とする管理システム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネイル売買システム及び管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1(特開2021-137515号公報)は、個人の自爪形状に合わせた完全オーダーメイドのネイルチップの製作方法と、その受注システムを開示している。
すなわち、プラスチック容器に樹脂粘土などの人体に無害で湯で熱可塑性加工できる型取り用樹脂をセットした型取りキットを用いて指先の爪形状の型取りを行い、モデル用樹脂を流し込んで爪形状のモデルを製作して、離れた場所にいる人の爪形状にぴったりフィットしたネイルチップ用モデルを製作する。また、型取りキットを用いて爪形状のモデルを製作し、その上にネイルチップのベースとなる樹脂を塗って硬化させて、ベースの上にネイル施術して、爪形状にぴったりフィットしたネイルチップを製作する。
顧客(依頼者)と製作者(受注者)は、顧客が希望するデザインで爪形状にぴったりフィットしたジェルネイルチップを、ホームページやメール、LINE、電話、カタログ等のやり取りと、型取りキットやネイルチップの宅配便等での送付と受取りで、発注依頼から爪形状の型取り、商品発送まで行うことが出来、顧客は直接ネイルサロンに出向く必要もないため、近くにネイルサロンがない遠隔地でもネイルを入手できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-137515号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、粘土等を用いた指型の型取りではユーザの指の移動により型が変形するために正確性を欠き、したがってユーザの爪に十分にフィットする指模型が得られるかどうか疑問が残る。また、例えばネイルデザインの無許可複製によりそのネイルデザインの創作者には本来あるべき利益配分を得られない。すなわち、関係者への適正な報酬の付与について適切に考慮されておらず、ネイル売買システムとしては未だ十分とは言い難い。
【0005】
そこで、本発明の目的は、顧客(ユーザ)がネイルサロンに出向かなくても、ユーザの爪にフィットし、かつ所望のデザインをあしらったネイルチップを得ることができるとともに、ネイルデザインの創作者などの関係者への適正な報酬の付与に十分に配慮したネイル売買システム及び管理システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決すべく、本発明は、
複数のネイルデザインのそれぞれを創作者と関連付けて非代替性トークンとして管理し、前記複数のネイルデザインの中からユーザによって選択されたネイルデザインをユーザによって指定された施工者(例えばネイリスト又は当該ネイリストの所属するネイルサロン等)にのみ閲覧を許可するデザイン管理部、及び、所定の報酬分配規則に基づいて報酬を支払う決済部を含む管理システムと、
ユーザの指先又はユーザの指先が型取りされた印象材をスキャンしてスキャンデータを生成する3Dスキャナと、
前記スキャンデータに基づいて指模型を造形する3Dプリンタと、を含み、
造形された指模型を用いて前記指定されたネイルサロンにおいて前記選択されたネイルデザインがネイルチップに施されると、前記決済部が、前記選択されたネイルデザインの創作者及び前記指定された施工者に対し前記所定の報酬分配規則に従って報酬を支払うこと、
を特徴とするネイル売買システム、を提供する。
【0007】
本発明のネイル売買システムにおいては、前記デザイン管理部が、前記所定の報酬分配規則を規定するプログラムを含むブロックチェーンにより前記複数のネイルデザインを管理すること、が好ましい。
【0008】
また、本発明のネイル売買システムにおいては、前記管理システムが、前記ユーザによる選択のために前記複数のネイルデザインの全部又は一部分をユーザ端末に表示させる表示部を更に含むこと、が好ましい。
【0009】
また、本発明のネイル売買システムにおいては、前記決済部が、前記ユーザによって選択された成果報酬型広告の出稿者に対しても報酬を支払うこと、が好ましい。
【0010】
また、本発明は、
複数のネイルデザインのそれぞれを創作者と関連付けて非代替性トークンとして管理し、前記複数のネイルデザインの中からユーザによって選択されたネイルデザインをユーザによって指定された施工者にのみ閲覧を許可するデザイン管理部と、
所定の報酬分配規則に基づいて報酬を支払う決済部と、
ユーザの指先又はユーザの指先が型取りされた印象材をスキャンすることで生成されたスキャンデータを取得する指データ取得部と、
指模型を造形する3Dプリンタに前記スキャンデータを送信する出力部と、を含み、
造形された指模型を用いて前記選択されたネイルデザインがネイルチップに施されると、前記選択されたネイルデザインの創作者及び前記施工者に対して前記所定の報酬分配規則に従って報酬を支払うこと、
を特徴とする管理システム、をも提供する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、ユーザがネイルサロンに出向かなくても、ユーザの爪にフィットし、かつ所望のデザインをあしらったネイルチップを得ることができるとともに、ネイルデザインの創作者などの関係者への適正な報酬の付与に十分に配慮したネイル売買システム及び管理システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本実施形態に係るネイル売買システム1の全体構成を示すブロック図である。
図2】管理システム10の機能構成を示すブロック図である。
図3】ネイル売買システム1の利用の流れを示す図である。
図4】3Dスキャナ22により読み取られた指Fのスキャンデータ71の一例を示す図である。
図5】3Dプリンタ32により造形された指模型72の一例を示す図である。
図6】指模型72及びその上に載置されたネイルチップ73の一例を示す図である。
図7】ユーザの指Fに取り付けられたネイルチップ73の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係るネイル売買システム及び管理システムの代表的な実施形態について、図を参照しながら詳細に説明するが、本発明は図示されるものに限られない。また、各図面は本発明を概念的に説明するためのものであるから、理解容易のために、必要に応じて寸法、比又は数を誇張又は簡略化して表している場合もある。更に、以下の説明では、同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明は省略することもある。
【0014】
1.ネイル売買システム1の構成
ネイル売買システム1は、ネイルサロン40、スキャンポイント20、デザイン募集・評価などの要素を組み合わせることで構成される(図1参照)。ネイル売買システム1は、通信可能に接続された端末及びサーバを含むコンピュータシステムとして構成することができる。
ここでは、あるユーザ60がユーザ端末61を介して所望のデザインのネイルチップ73を注文するケースを想定して、ネイル売買システム1の説明を行うこととする。ただし、本システムは足指のネイルの注文にも対応可能であり、また、自身の指の模型の注文にも利用可能である。
【0015】
ここで、ユーザ端末61は、ネイルチップ73のユーザ60により利用される端末である。ユーザ端末61は、デスクトップコンピュータ、ラップトップコンピュータ、及び携帯情報端末(スマートフォン、タブレット端末及びウェアラブル端末を含む)を含む。
ユーザ端末61は、管理システム10によって提供されるウェブサイトを閲覧するためのブラウザ、及び、管理システム10にアクセスするためのアプリケーションのうち少なくとも一方を含む。また、ユーザ端末61はディスプレイを備える。
【0016】
ユーザ60は、ユーザ端末61を介して、管理システム10及び管理システム10によって提供されるウェブサイトにアクセスし、会員登録、サブスクリプション登録、デザイン及びネイリストの選定を行い、また支払手段を登録することができる。
【0017】
ここで、会員登録は、例えばユーザ60の氏名、住所(商品の送付先)、電話番号、電子メールアドレス、決済手段(クレジットカード情報など)、ユーザID、パスワードといったユーザ情報を管理システム10に登録することで行われる。ユーザ情報は、ユーザ60の注文履歴を含んでもよい。
サブスクリプション登録は、例えば、同じデザインのネイルの定期的な購入、又は、同じネイリストにより創作されたデザインのネイルの継続的な購入である。
【0018】
ユーザ60は、スキャンポイント20を訪問する(図3参照)。ここでは実店舗への来店を想定している。スキャンポイント20としては、例えば、3Dスキャナ22が設置された店舗などの施設であり、ネイルサロン40の店舗でもよい。
【0019】
1-1.店舗端末21及び3Dスキャナ22
スキャンポイント20には店舗端末21が設置されている。店舗端末21は、好適にはデスクトップコンピュータ又はラップトップコンピュータとして構成されるが、携帯情報端末(スマートフォン、タブレット端末及びウェアラブル端末を含む)でもよい。スキャンポイント20の各店舗には少なくとも1台の店舗端末21が設置されることが好ましい。
【0020】
店舗端末21は、3Dスキャナ22からスキャンデータ71を受信する。店舗端末21は、スキャンデータ71にデータ抜けやノイズの修正などの加工を行ってもよい。店舗端末21は、スキャンデータ71をユーザ情報(例えばユーザID)と関連付けて管理システム10に送信することができる。あるいは、店舗端末21は、スキャンデータ71及びユーザ情報を造形場所端末31に送信してもよい。
【0021】
店舗端末21には3Dスキャナ22が接続される。3Dスキャナ22は、ユーザ60の指先の形状をスキャンし、スキャンデータ71を生成する。3Dスキャナ22は生成したスキャンデータ71を例えば生成日時とともに店舗端末21に送信する。なお、スキャンされるユーザ60の指先は当然に爪(少なくとも爪の付け根の部分)を含んでいる。
【0022】
3Dスキャナ22は、接触式及び非接触式のいずれでも可能であれば、非接触式であることが好ましい。すなわち、3Dスキャナ22は、レーザなどの光源からの光を対象物(ユーザ60の指先)に照射し、反射する時間差や照射角度を解析することで、ユーザ60の指先の3次元形状を取得することが好ましい。
なお、3Dスキャナ22は、指先の3次元形状を十分に捉えるための性能を備える限り、ユーザ60の管理下にあるカメラ及び携帯情報端末の撮像機能でもよいものとする。
【0023】
具体的には、3Dスキャナ22から得られるのは点群データである。かかるデータには、適宜、不要な部分の削除、ノイズ除去(平滑化)、欠損部の穴埋め、データの合成、位置合わせといった処理が施され、STLデータやポリゴンデータなどのメッシュデータへ変換され、更に、必要に応じて追加の処理が施されることで、スキャンデータ71が得られる。かかる作業は、3Dスキャナ22に付属するソフトウェア上で処理されてもよいし、別のソフトウェアで処理されてもよい。スキャンデータ71の一例を図4に示す。
【0024】
スキャンの精度は、20μm~50μmであることが好適である。すなわち、20μm未満の高精細であると、設置コスト及びスキャンデータ71がかさむ。また、50μmよりも大きい低精細であると、ユーザ60の指先の形状を充分に再現することができない。
【0025】
1-2.造形場所端末31及び3Dプリンタ32
造形場所30は、スキャンデータ71に基づいて指模型72を製作する場所であり、工場を含む。造形場所30は、スキャンポイント20及びネイルサロン40内に設置されてもよい。
【0026】
造形場所30には造形場所端末31が設置される。造形場所端末31は、好適にはデスクトップコンピュータ又はラップトップコンピュータとして構成されるが、携帯情報端末(スマートフォン、タブレット端末及びウェアラブル端末を含む)でもよい。各造形場所30には少なくとも1台の造形場所端末31が設置され、店舗端末21又は管理システム10からスキャンデータ71を受領することができる。造形場所端末31は、店舗端末21及びサロン端末41で兼ねてもよい。
【0027】
造形場所端末31には3Dプリンタ32が接続されている。3Dプリンタ32はスキャンデータ71に基づいて指模型72を造形する。3Dプリンタ32は、例えば粉末焼結積層造形方式、インクジェット方式、熱溶解積層方式、光造形方式などの既知の造形方式を利用することができる。本実施形態では、紫外線を当てることにより液体の光硬化性樹脂を硬化させ、一層ずつ積層することで目的の立体物を製作する光造形方式を好適に用いることができ、なかでも、光硬化性の液体樹脂(レジン液)にプロジェクター光を照射して、樹脂を固め造形していくDLP(Digital Light Processing)方式が更に好ましい。
造形された指模型72の一例を図5に示す。
【0028】
造形された指模型72は、ネイルチップ73の製作のためにネイルサロン40に送付される。あるいは、ユーザ60の依頼に基づき、セルフネイル用にユーザ60に販売されてもよい。
【0029】
1-3.サロン端末41
ネイルサロン40では、ネイリストなどの創作者によってネイルデザインが創作される。
また、ネイルサロン40では、指模型72及び選択されたネイルデザインに基づいて、ネイリストによってネイルチップ73が製作される。製作されたネイルチップ73の一例を図6に示す。製作されたネイルチップ73はユーザ60に送付(販売)され、ユーザ60の指Fに貼り付けられる。ユーザ60の指Fに貼り付けられたネイルチップ73の一例を図7に示す。
【0030】
ネイリストは、ネイルサロン40において又はそれ以外の場所で、ネイルデザインを作成したり、ネイルデザインをネイルチップ73に施したりする。また、ネイリストは、ネイルデザインの制作過程を撮影してもよい。
ネイリストのプロフィールは例えば後述のサロン端末41を介して管理システム10に登録されている。プロフィールは、例えば、そのネイリストの氏名、ペンネーム、経歴、代表作などを含み、ID、住所、電話番号、電子メールアドレス、報酬受領方法(銀行口座など)といった情報と関連付けられている。
【0031】
ここでは、自らのネイルデザインがユーザ60により採用されたネイリストをデザイン採用ネイリストと呼び、採用されたデザインに基づいてネイルチップ73を作製するネイリストを製作ネイリストと呼ぶこととする。デザイン採用ネイリストと製作ネイリストは同一人物でもよいし、別人物でもよい。
【0032】
ネイルサロン40にはサロン端末41が設置されている。サロン端末41は、好適にはデスクトップコンピュータ又はラップトップコンピュータとして構成されるが、携帯情報端末(スマートフォン、タブレット端末及びウェアラブル端末を含む)でもよい。各サロンには少なくとも1台のサロン端末41が設置されることが好ましい。
【0033】
ネイリストは、サロン端末41を介して管理システム10にアクセスし、会員登録、サブスクリプション登録だけでなく、ネイリストとしてのプロフィール及びネイルデザイン(すなわち画像データ)を登録することができる。また、ネイリストは、該当するネイルデザインの制作過程の動画データを管理システム10に登録することができる。
また、ネイリストは、サロン端末41を介して管理システム10からネイルチップ73の製作依頼を受信することができる。
デザイン採用ネイリストは、サロン端末41を介して管理システム10からデザイン報酬を受領することができる。製作ネイリストは、サロン端末41を介して管理システム10から製作報酬を受領することができる。
【0034】
1-4.管理システム10
管理システム10は、ユーザ情報、スキャンデータ71、ネイリスト情報、ネイルデザインなどの各種データを管理するコンピュータである。管理システム10は、例えばサーバコンピュータであり、1台又は複数台のコンピュータから構成されてよい。管理システム10は、クラウドコンピューティングにより各種サービスを提供してもよい。
【0035】
図2に示すように、管理システム10は、デザイン管理部11,決済部12,表示部13,指データ取得部14及び出力部15といった機能部を含んでもよい。以下、各機能部について説明する。
【0036】
デザイン管理部11は、ネイルデザイン(画像データ)を、それを創作したネイリスト(すなわちデザイン採用ネイリスト、あるいは創作者)と関連付けて登録する。ネイルデザインは、好ましくは、JPG、PNGといったファイル形式で作製され、300dpi以上の解像度、及び、一辺8.9cmの大きさを有するが、これに限られるものではない。
【0037】
具体的には、ネイルデザイン及びネイリスト情報(例えばID)は非代替性トークン(NFT)として管理される。すなわち、ネイルデザインは、ブロックチェーンを基盤にして作成された代替不可能なデジタルデータである。したがって、ネイルデザインは代替不可能な存在であり、オリジナルとコピーの明確な判別が可能であるから、資産的価値を有し、マーケットプレイスで取引が可能である。また、ブロックチェーンでは記録の改ざんが事実上不可能であるから、NFTは完全に管理される。
【0038】
ただし、ネイルチップ73にデザインを施すネイリスト(すなわち製作ネイリスト)によって利用される端末、例えばサロン端末41に対しては、デザイン管理部11はネイルデザインの閲覧を許可する。かかる閲覧許可は、該当する端末に対して一時的な閲覧権限を付与するものであり、例えば、購入代金の決済完了後に所定の権限が付与され、ユーザ60による商品の受領後に権限が剥奪される。
【0039】
本実施形態では、基盤とするブロックチェーンとしては、例えばイーサリアムなどのプログラマビリティを有する分散型台帳を想定しているが、これに限られない。それゆえ、あらかじめ「販売ごとに売り上げの一部をデザイン採用ネイリストに支払う」というプログラムをNFTに付与することができ、これによりそのデザイン採用ネイリストは販売が成立するたびに所定の報酬を受け取ることが可能になる。
【0040】
加えて、デザイン管理部11は、登録されたネイルデザインの制作過程を撮影した動画を、そのネイルデザインと関連付けて登録することができる。動画はMP4やAVI、MOVなどの既知のファイル形式で作製されてよいが、これらに限られるものではない。動画は、ブロックチェーンに組み込まれてもよいし、組み込まれなくてもよい。
【0041】
次いで、決済部12は、ユーザ60の支払額を決定し、ユーザ60に対して課金を実行し、ユーザ60の支払いを確認及び記録する。決済部12はまた、ネイリスト(デザイン採用ネイリスト及び製作ネイリスト)及び後述する広告アフィリエイト50を含む関係者に対する報酬及び手数料を決定し、支払いを実行及び記録する。むろん、決済部12は、ユーザ60から支払われた金額から一部分を取扱手数料ないし管理費として差し引いた金額に基づいて、ネイリスト等への報酬を決定してもよい。
【0042】
表示部13は、ユーザ60による選択のために複数のネイルデザインの全部又は一部分をユーザ端末61に表示させる。すなわち、表示部13は、ユーザ端末61(ブラウザ)の要求に応じてユーザ端末61のディスプレイに複数のネイルデザインを表示させるウェブサーバである。あるいは、表示部13は、ユーザ端末61にインストールされたアプリケーションの要求に応じてユーザ端末61に複数のネイルデザインのデータを送信してもよい。
また、表示部13は、登録されたネイリストをユーザ端末61のディスプレイに表示させて、ネイルデザインをネイルチップ73に施すネイリスト(すなわち製作ネイリスト)をユーザ60に選択させる。なお、製作ネイリストの選択は、個人のネイリストでもよいし、ネイルサロン単位での選択でもよい。
【0043】
表示部13は、デザイン管理部11に登録されているネイルデザインよりも解像度及び大きさを小さくした画像データをユーザ端末61に送信してもよい。また、表示部13は、デザイン管理部11に登録されているネイルデザインに電子透かし(著作権者、使用許諾先、ロゴ、コンテンツのID、コピーの可否や回数、課金情報などの、人が知覚できない任意の情報)又は「複製禁止」等の表示を埋め込み、電子透かし付きのネイルデザインをユーザ端末61に送信してもよい。これにより、ネイルデザインの不正利用を抑制することができる。
【0044】
表示部13は、ユーザにより選択されたネイルデザイン及び製作ネイリストをデザイン管理部11に通知する。これにより、デザイン管理部11が、製作ネイリストの使用する端末(例えばサロン端末41)に対して、選択されたネイルデザインの閲覧を許可することが可能になる。
【0045】
指データ取得部14は、店舗端末21からスキャンデータ71を取得し、これをユーザ60と関連付けて登録する。管理システム10は更に、スキャンデータ71をその生成日時と関連付けて登録してもよい。すなわち、指データ取得部14は、スキャンデータ71、ユーザ60及びその他のデータを含むデータベースとして構成することができる。
【0046】
出力部15は、指模型72を造形する3Dプリンタ32にスキャンデータ71を出力する。あるいは、出力部15は、3Dプリンタ32に接続された造形場所端末31にスキャンデータ71を送信してもよい。
【0047】
更に、管理システム10は、造形場所30からユーザ60又は製作ネイリストへの模型の発送、製作ネイリストからユーザ60への商品(ネイルチップ73)の発送を管理及び記録することができる。
【0048】
その他に、ネイル売買システム1は、広告アフィリエイト50により利用されるアフィリエイト端末(図示せず)を含んでもよい。広告アフィリエイト50は、自己又は他社のウェブサイト上に成果報酬型広告を掲載する者である。ユーザ60が例えばアフィリエイト広告を経由して模型又は商品の購入に至った場合には、そのアフィリエイト広告を掲載した者に対して手数料が支払われる。
【0049】
1-5.店舗端末21、造形場所端末31、サロン端末41及び管理システム10を構成するコンピュータ
店舗端末21、造形場所端末31、サロン端末41及び管理システム10を構成するコンピュータは、演算装置、記憶装置、及び通信インターフェイス(I/F)を含み、更に入力装置及び出力装置を含んでいてもよい(いずれも図示せず)。コンピュータは、1台のコンピュータから構成されてもよいし、複数台のコンピュータで構成されてもよい。
【0050】
演算装置は、各種プログラム及びデータを記憶装置に読み出して実行することで、上述した各種機能を実現する。演算装置は、中央演算装置(CPU)、グラフィックス・プロセシング・ユニット(GPU)、マイクロプロセッサなどの半導体集積回路で構成されてよい。
【0051】
記憶装置は、各種のデータやプログラムを記憶する、ランダム・アクセス・メモリ(RAM)及びリード・オンリー・メモリ(ROM)を含む。記憶装置は、例えばハードディスクドライブやソリッドステートドライブ、フラッシュメモリを含んでもよい。
【0052】
入力装置は、各種データを入力する、例えばキーボード、マウス、タッチパネル、ボタン、マイクロフォンなどである。3Dスキャナ22を入力装置に含めてもよい。
また、出力装置は、各種データを出力する、例えばディスプレイ、プリンタ、スピーカなどである。3Dプリンタ32を出力装置に含めてもよい。
【0053】
通信インターフェイスは、有線及び無線の通信ネットワークに接続するためのインターフェイスであり、例えばイーサネット(登録商標)に接続するためのアダプタ、公衆電話回線網に接続するためのモデム、無線通信を行うための無線通信機、シリアル通信のためのUSB(Universal Serial Bus)コネクタやRS232Cコネクタなどである。
【0054】
2.ネイル売買システム1の処理手順
主として図3を参照して、ネイル売買システム1の処理手順を説明する。
【0055】
ユーザ60はユーザ端末61を介して、ネイル売買システム1の提供するウェブサイト(ユーザ端末61にインストールされたアプリケーションを含む。)から会員登録を済ませておく。
また、ネイルデザインを行うネイリストは、例えばサロン端末41を介して、会員登録を行い、自己のプロフィール及びネイルデザインを登録しておく。登録されたネイルデザイン(画像、及び、当該ネイルデザインの制作過程を撮影した動画)は、NFTとして厳重に管理される。
【0056】
ユーザ60は、スキャンポイント20(ネイルサロン40などの店舗を含む。)を訪問する。スキャンポイント20において、ユーザ60の指型が3Dスキャナ22で写し取られ、スキャンデータ71が生成される(図4参照)。スキャンデータ71は、3Dスキャナ22から直接又は店舗端末21を介して管理システム10に送信され保存される。スキャンデータ71は、管理システム10から造形場所端末31に送信される。
【0057】
造形場所30では、スキャンデータ71に基づいて3Dプリンタ32で指模型72が造形される(図5参照)。造形された指模型72は、ネイルチップ73の製作のために製作ネイリストの元(ネイルサロン40など)に送付される。造形された指模型72は、セルフネイル用にユーザ60に送付されてもよい。
【0058】
併せて、ユーザ60はユーザ端末61(ブラウザ)を介して、ネイル売買システム1の提供するウェブサイト上でネイルデザイン及び製作ネイリストを選定し、決済を済ませる。あるいは、ユーザ60はユーザ端末61にインストールされたアプリケーションを介して、デザイン及びネイリストを選定し、決済を済ませてもよい。
このとき、ユーザ60がアフィリエイト広告を経由して商品購入に至った場合には、アフィリエイト広告の掲載者に所定の手数料が支払われる。また、選定されたデザインを創作したネイリストには所定の報酬が支払われる。
【0059】
管理システム10は、製作ネイリストないしその使用する端末に、選択されたネイルデザインの閲覧権限を付与する。閲覧権限は、ネイルチップ73の製作の完了まで一時的に付与されていればよい。無論、権限のない者にはネイルデザインの閲覧は許可されないから、ネイルデザインの無許可複製はできず、ネイルデザインの資産価値が保たれる。
【0060】
製作ネイリストは、自らの使用する端末(例えばサロン端末41)から、選定されたデザインを閲覧する。そして、製作ネイリストは、届けられた指模型72及び選定されたデザインを用いてネイルチップ73にデザインを施す。
【0061】
具体的には、製作ネイリストは指模型72を設置する。また製作ネイリストはネイルデザインを画面に表示し又は印刷する。次いで、製作ネイリストは、ネイルデザイン及び指模型72に適合したネイルチップ73を選択し、指模型72に乗せ、ネイルデザインにしたがってネイルチップ73に描画する(図6参照)。
このとき、指模型72の爪先端に少し厚みのあるテープを貼ってから施工すると、完成したネイルチップ73の内面に凹部ないしは窪みが出来る。かかる凹部があることで、ユーザ60が爪へネイルチップ73を取り付けたとき、爪とネイルチップ73の間に隙間ができる。その隙間を利用することで、ユーザ60は、てこの原理により容易にネイルチップ73を爪から剥離できる。
あるいは、指模型72の爪先端に凸部が形成されるように修正されたスキャンデータ71が生成されてもよい。
【0062】
デザインが施されたネイルチップ73がユーザ60の元に送付され、ユーザ60の指に装着される(図7参照)。併せて製作ネイリストに所定の報酬が支払われる。
【0063】
3.本実施形態の効果
本実施形態によれば、様々なネイルデザインがユーザ端末61上に表示されるから、ユーザ60は好みのデザインを選択することができる。ネイルデザインはNFTとして管理され、無許可複製は不可能であるから、ユーザにとってほぼ固有の、価値の高いデザインである。
また、ユーザ60の指先が正確にスキャンされることで得られたスキャンデータ71に基づき、指模型が造形されるので、その指模型はユーザ60の指先を忠実に再現している。かかる指模型を用いてデザインを施されたネイルチップは、ユーザ60の指先の形状に十分に適合している。
したがって、ユーザがネイルサロンに出向かなくても、ユーザの爪にフィットし、かつ所望のデザインをあしらったネイルチップを得ることができる。
【0064】
また、ユーザ60が選択したネイルデザインの創作者、当該ネイルデザインをネイルチップに施した施工者、及び、ユーザ60が商品を購入するにあたってクリック(選択)したアフィリエイト広告の出向者には、規則に沿って報酬ないし手数料が支払われる。
したがって、ネイルデザインの創作者などの関係者への適正な報酬の付与に十分に配慮したネイル売買システムを提供することができる。
【0065】
以上、本発明の一実施形態について図面を参照しつつ説明してきたが、本発明は、これらの実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載の精神及び教示を逸脱しない範囲でその他の改良例や変形例が存在する。そして、かかる改良例や変形例は全て本発明の技術的範囲に含まれることは、当業者にとっては容易に理解されるところである。
【0066】
例えば、上記実施形態においては、ユーザ60の指先をスキャンする場合について説明したが、あらかじめユーザの指先が型取りされた印象材をスキャンしてもよい。このような印象材としては従来公知のものを使用でき、例えばシリコーン樹脂製の印象材等が挙げられる。
【0067】
印象材を使用して指先の印象を取れるセットをキット化し、ユーザへ郵送等で送れば、ユーザ自身で指先の印象を取ることができる。そして、その印象をスキャンし3Dプリンタにて反転出力して模型を作製することができる。このように指先の印象をユーザ自身が取ることができれば、ユーザがスキャンポイントへ行くことなく全て郵送での対応が可能となる。
【0068】
また、別の実施形態として、ユーザの指先又はユーザの指先が型取りされた印象材のスキャンデータを使用し、ソフトウェアを使用して、専用ネイルチップの土台となる物(いわば前駆体)を作製し、透明な素材で3Dプリントしてもよい。
【0069】
透明な素材で形成された前駆体があれば、ネイリスト個人の技術が必要になる長さ出しの手間を省くことができ、色付け、デザイン及び形成の調整等の機械的な作業だけでネイルチップを作製することができる。したがって、長さ出しを得意としないネイリストであっても、ユーザの要望に応じて長さのある専用ネイルチップの販売をすることができ、本発明に係るネイル販売システムをより効果的に活用することができる。
【符号の説明】
【0070】
1 ネイル売買システム
10 管理システム
11 デザイン管理部
12 決済部
13 表示部
14 指データ取得部
15 出力部
20 スキャンポイント
21 店舗端末
22 3Dスキャナ
30 造形場所
31 造形場所端末
32 3Dプリンタ
40 ネイルサロン
41 サロン端末
60 ユーザ
61 ユーザ端末
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7