(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025036345
(43)【公開日】2025-03-14
(54)【発明の名称】コイル電子部品
(51)【国際特許分類】
H01F 27/29 20060101AFI20250307BHJP
【FI】
H01F27/29 123
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024147772
(22)【出願日】2024-08-29
(31)【優先権主張番号】10-2023-0117029
(32)【優先日】2023-09-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】594023722
【氏名又は名称】サムソン エレクトロ-メカニックス カンパニーリミテッド.
(74)【代理人】
【識別番号】110000051
【氏名又は名称】弁理士法人共生国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】姜 銓 泰
(72)【発明者】
【氏名】崔 雄 煥
(72)【発明者】
【氏名】朴 一 鎭
(72)【発明者】
【氏名】許 泰 寧
(72)【発明者】
【氏名】李 席
(72)【発明者】
【氏名】金 希 珠
(72)【発明者】
【氏名】呉 善 羽
(72)【発明者】
【氏名】金 東 ヒョン
(72)【発明者】
【氏名】鞠 炳 善
【テーマコード(参考)】
5E070
【Fターム(参考)】
5E070AA01
5E070AB03
5E070BB03
5E070CB12
5E070CB17
5E070EA01
5E070EB04
(57)【要約】
【課題】 降伏電圧(BDV)が向上し、電極の平坦度を改善し十分なMUFギャップを確保したコイル電子部品を提供する。
【解決手段】本発明によるコイル電子部品は、第1方向に対向する第1面と第2面、第2方向に対向し第1面と第2面を連結する第3面と第4面、及び第3方向に対向し第1面と第2面を連結する第5面と第6面を有し、磁性物質を含む本体と、少なくとも一部分が本体に埋め込まれるコイルと、本体の第6面に配置される絶縁層と、絶縁層の一部分を覆う導電層と、導電層を覆い、コイルに連結される外部電極と、を有し、コイル電子部品は、第1方向の第1長さL1を有し、第1長さL1に対する、絶縁層、導電層、及び外部電極が重畳する領域の前記第1方向の第2長さL2の比(L2/L1)は、0.3以上0.7以下である。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コイル電子部品であって、
第1方向に対向する第1面と第2面、第2方向に対向し前記第1面と前記第2面を連結する第3面と第4面、及び第3方向に対向し前記第1面と前記第2面を連結する第5面と第6面を有し、磁性物質を含む本体と、
少なくとも一部分が前記本体に埋め込まれるコイルと、
前記本体の前記第6面に配置される絶縁層と、
前記絶縁層の一部分を覆う導電層と、
前記導電層を覆い、前記コイルに連結される外部電極と、を有し、
前記コイル電子部品は、前記第1方向の第1長さL1を有し、
前記第1長さL1に対する、前記絶縁層、前記導電層、及び前記外部電極が重畳する領域の前記第1方向の第2長さL2の比(L2/L1)は、0.3以上0.7以下であることを特徴とするコイル電子部品。
【請求項2】
前記絶縁層は、前記本体の前記第1面及び前記第2面とそれぞれ離隔されることを特徴とする請求項1に記載のコイル電子部品。
【請求項3】
前記導電層は、
前記絶縁層と前記本体の前記第1面との間の前記第6面を覆う第1導電層と、
前記絶縁層と前記本体の前記第2面との間の前記第6面を覆う第2導電層と、を含むことを特徴とする請求項2に記載のコイル電子部品。
【請求項4】
前記第1導電層と前記第2導電層は、互いに離隔され、
前記第1導電層は、前記絶縁層の前記第1面側表面を覆い、
前記第2導電層は、前記絶縁層の前記第2面側表面を覆うことを特徴とする請求項3に記載のコイル電子部品。
【請求項5】
前記外部電極は、
前記第1導電層を覆う第1外部電極と、
前記第2導電層を覆う第2外部電極と、を含むことを特徴とする請求項4に記載のコイル電子部品。
【請求項6】
前記第1外部電極は、前記本体の前記第1面まで延長され前記コイルに連結され、
前記第2外部電極は、前記本体の前記第2面まで延長され前記コイルに連結されることを特徴とする請求項5に記載のコイル電子部品。
【請求項7】
前記第2長さL2は、
前記絶縁層、前記第1導電層、及び前記第1外部電極が重畳する領域の前記第1方向の第3長さL3と、
前記絶縁層、前記第2導電層、及び前記第2外部電極が重畳する領域の前記第1方向の第4長さL4と、の合計であることを特徴とする請求項5に記載のコイル電子部品。
【請求項8】
前記コイルは、巻線型コイルであることを特徴とする請求項1に記載のコイル電子部品。
【請求項9】
前記本体の内部に配置され、互いに対向する第1支持面と第2支持面を含む支持基板をさらに有し、
前記コイルは、
前記支持基板の前記第1支持面に配置される第1コイルパターンと、
前記支持基板の前記第2支持面に配置される第2コイルパターンと、
前記第1コイルパターンと前記第2コイルパターンを連結するビアと、を含むことを特徴とする請求項1に記載のコイル電子部品。
【請求項10】
前記本体は、複数のシートが積層された積層体であり、
前記コイルは、前記複数のシートの各シートに配置され、互いに連結された複数のコイルパターンを含むことを特徴とする請求項1に記載のコイル電子部品。
【請求項11】
前記外部電極は、
前記導電層を覆う第1金属層と、
前記第1金属層を覆う第2金属層と、
前記第2金属層を覆う第3金属層と、を含むことを特徴とする請求項1に記載のコイル電子部品。
【請求項12】
前記第1金属層は、銅(Cu)を含み、
前記第2金属層は、ニッケル(Ni)を含み、
前記第3金属層は、スズ(Sn)を含むことを特徴とする請求項11に記載のコイル電子部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コイル電子部品に関し、特に、降伏電圧(BDV)が向上したコイル電子部品に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、モバイル機器の機能が多様化することにより消費電力が増加するにつれてモバイル機器内バッテリー使用時間を増やすためにパワー半導体(power management integrated circuit:PMIC)周辺に損失が少なく効率に優れたコイル電子部品が採用されている。
製品をスリム(slim)化し、部品配置の自由度を高めるために厚さの薄いインダクタ(power inductor)に対する要求が大きくなっている。
【0003】
しかしこの場合、漏洩電流(current leakage)増加現象及び降伏電圧(breakdown voltage、BDV)低下現象が発生することがある。
外部電極の表面が平坦でないか十分なMUF(molded underfill)ギャップ(gap)が確保されない場合、実装安定性を確保し難いこともある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は上記従来のコイル電子部品における課題に鑑みてなされたものであって、本発明の目的は、降伏電圧(BDV)が向上したコイル電子部品を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、電極の平坦度を改善し十分なMUFギャップを確保するコイル電子部品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するためになされた本発明によるコイル電子部品は、コイル電子部品であって、第1方向に対向する第1面と第2面、第2方向に対向し前記第1面と前記第2面を連結する第3面と第4面、及び第3方向に対向し前記第1面と前記第2面を連結する第5面と第6面を有し、磁性物質を含む本体と、少なくとも一部分が前記本体に埋め込まれるコイルと、前記本体の前記第6面に配置される絶縁層と、前記絶縁層の一部分を覆う導電層と、前記導電層を覆い、前記コイルに連結される外部電極と、を有し、前記コイル電子部品は、前記第1方向の第1長さL1を有し、前記第1長さL1に対する、前記絶縁層、前記導電層、及び前記外部電極が重畳する領域の前記第1方向の第2長さL2の比(L2/L1)は、0.3以上0.7以下であることを特徴とする。
【0006】
前記絶縁層は、前記本体の前記第1面及び前記第2面とそれぞれ離隔されることが好ましい。
前記導電層は、前記絶縁層と前記本体の前記第1面との間の前記第6面を覆う第1導電層と、前記絶縁層と前記本体の前記第2面との間の前記第6面を覆う第2導電層と、を含むことが好ましい。
前記第1導電層と前記第2導電層は、互いに離隔され、前記第1導電層は、前記絶縁層の前記第1面側表面を覆い、前記第2導電層は、前記絶縁層の前記第2面側表面を覆うことが好ましい。
前記外部電極は、前記第1導電層を覆う第1外部電極と、前記第2導電層を覆う第2外部電極と、を含むことが好ましい。
前記第1外部電極は、前記本体の前記第1面まで延長され前記コイルに連結され、前記第2外部電極は、前記本体の前記第2面まで延長され前記コイルに連結されることが好ましい。
前記第2長さL2は、前記絶縁層、前記第1導電層、及び前記第1外部電極が重畳する領域の前記第1方向の第3長さL3と、前記絶縁層、前記第2導電層、及び前記第2外部電極が重畳する領域の前記第1方向の第4長さL4と、の合計であることが好ましい。
前記コイルは、巻線型コイルであることが好ましい。
前記本体の内部に配置され、互いに対向する第1支持面と第2支持面を含む支持基板をさらに有し、前記コイルは、前記支持基板の前記第1支持面に配置される第1コイルパターンと、前記支持基板の前記第2支持面に配置される第2コイルパターンと、前記第1コイルパターンと前記第2コイルパターンを連結するビアと、を含むことが好ましい。
前記本体は、複数のシートが積層された積層体であり、前記コイルは、前記複数のシートの各シートに配置され、互いに連結された複数のコイルパターンを含むことが好ましい。
前記外部電極は、前記導電層を覆う第1金属層と、前記第1金属層を覆う第2金属層と、前記第2金属層を覆う第3金属層と、を含むことが好ましい。
前記第1金属層は、銅(Cu)を含み、前記第2金属層は、ニッケル(Ni)を含み、前記第3金属層は、スズ(Sn)を含むことが好ましい。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係るコイル電子部品の構成、構造を有することにより、降伏電圧(Break Down Voltage:BDV)が向上したコイル電子部品を提供することができる。
また、平坦度が改善された電極を有し十分なMUFギャップを確保したコイル電子部品を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の実施形態によるコイル電子部品の概略構成を示す斜視図である。
【
図2】
図1のII-II’線に沿って切断した概略断面図である。
【
図3】本発明の他の実施形態によるコイル電子部品の概略構成を示す斜視図である。
【
図4】
図3のIV-IV’線に沿って切断した概略断面図である。
【
図5】本発明の他の実施形態によるコイル電子部品の概略構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
次に、本発明に係るコイル電子部品を実施するための形態の具体例を図面を参照しながら説明する。
【0010】
以下、添付した図面を参照して本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に実施することができるように本発明の実施形態を詳しく説明する。
図面で本発明を明確に説明するために説明上不必要な部分は省略し、明細書全体にわたって同一又は類似の構成要素については同一の参照符号を付けた。
また、添付図面において一部構成要素は誇張されるか省略されるか又は概略的に示され、各構成要素の大きさは実際大きさを全的に反映するものではない。
添付した図面は、本明細書に開示した実施形態を容易に理解することができるようにするためのものに過ぎず、添付した図面によって本明細書に開示した技術的思想が制限されず、本発明の思想及び技術範囲に含まれる全ての変更、均等物ないし代替物を含むと理解されるべきである。
【0011】
第1、第2などのように序数を含む用語は多様な構成要素を説明するのに使用できるが、構成要素は用語によって限定されない。
用語は、一つの構成要素を他の構成要素から区別する目的としてのみ使用する。
また、層、膜、領域、板などの部分が他の部分“の上に”又は“上に”あるという時、これは他の部分“の直上に”ある場合だけでなく、その中間にまた他の部分がある場合も含む。
逆に、ある部分が他の部分“の直上に”あるという時は中間に他の部分がないことを意味する。
また、基準となる部分“の上に”又は“上に”あるというのは基準となる部分の上又は下に位置することであり、必ずしも重力反対方向に“の上に”又は“上に”位置することを意味するのではない。
【0012】
明細書全体で、“含む”又は“有する”などの用語は明細書上に記載された特徴、数字、段階、動作、構成要素、部品又はこれらを組み合わせたものが存在することを指定しようとするものであり、一つ又はそれ以上の他の特徴や数字、段階、動作、構成要素、部品又はこれらを組み合わせたものの存在又は付加可能性を予め排除しないものと理解されるべきである。
したがって、ある部分がある構成要素を“含む”という時、これは特に反対になる記載がない限り、他の構成要素を除くのではなく、他の構成要素をさらに含むことができるのを意味する。
また、明細書全体で、“平面上”という時、これは対象部分を上から見た時を意味し、“断面上”という時、これは対象部分を垂直に切断した断面を横から見た時を意味する。
また、明細書全体で、“連結される”という時、これは二つ以上の構成要素が直接的に連結されることのみを意味するのではなく、二つ以上の構成要素が他の構成要素を通じて間接的に連結されること、物理的に連結されることだけでなく、電気的に連結されること、又は位置や機能によって異なる名称で称されたが一体であることを意味することができる。
【0013】
図1は、本発明の実施形態によるコイル電子部品の概略構成を示す斜視図であり、
図2は、
図1のII-II’線に沿って切断した概略断面図である。
図1及び
図2を参照すると、本発明の実施形態によるコイル電子部品1000は、本体100、コイル200、支持基板300、絶縁層400、導電層500、第1外部電極700、第2外部電極800を含む。
【0014】
本体100は、大略直六面体形状に形成できるが、本実施形態がこれに限定されるのではない。
焼成(sintering)時、磁性粉末などの収縮によって、本体100は、完全な直六面体形状ではないが、実質的に直六面体形状を有し得る。
例えば、本体100は、大略直六面体形状であるが、角や頂点に該当する部分が丸い形状を有し得る。
本実施形態では、説明の便宜のために、長さ方向(L軸方向)に対向する二つの面をそれぞれ第1面S1及び第2面S2と定義し、幅方向(W軸方向)に対向する二つの面をそれぞれ第3面S3及び第4面S4と定義し、厚さ方向(T軸方向)に対向する二つの面をそれぞれ第5面S5及び第6面S6と定義する。
【0015】
コイル電子部品1000の長さは、コイル電子部品1000の幅方向(W軸方向)中央部での長さ方向(L軸方向)-厚さ方向(T軸方向)断面(cross section)に対する光学顕微鏡又はSEM(Scanning Electron Microscope)写真を基準にして、前述の断面写真に示したコイル電子部品1000の長さ方向(L軸方向)に対向する2つの最外側境界線をそれぞれ連結し、長さ方向(L軸方向)と平行な複数の線分の長さの内の最大値を意味する。
又は、コイル電子部品1000の長さは、前述の断面写真に示したコイル電子部品1000の長さ方向(L軸方向)に対向する2つの最外側境界線をそれぞれ連結し、長さ方向(L軸方向)と平行な複数の線分の長さの内の最小値を意味する。
又は、コイル電子部品1000の長さは、前述の断面写真に示したコイル電子部品1000の長さ方向(L軸方向)に対向する2つの最外側境界線をそれぞれ連結し、長さ方向(L軸方向)と平行な複数の線分の内の少なくとも2つの線分の長さの算術平均値を意味する。
【0016】
コイル電子部品1000の厚さは、コイル電子部品1000の幅方向(W軸方向)中央部での長さ方向(L軸方向)-厚さ方向(T軸方向)断面(cross section)に対する光学顕微鏡又はSEM(Scanning Electron Microscope)写真を基準にして、前述の断面写真に示したコイル電子部品1000の厚さ方向(T軸方向)に対向する2つの最外側境界線をそれぞれ連結し、厚さ方向(T軸方向)と平行な複数の線分の長さの内の最大値を意味する。
又は、コイル電子部品1000の厚さは、前述の断面写真に示したコイル電子部品1000の厚さ方向(T軸方向)に対向する2つの最外側境界線をそれぞれ連結し、厚さ方向(T軸方向)と平行な複数の線分の長さの内の最小値を意味する。
又は、コイル電子部品1000の厚さは、前述の断面写真に示したコイル電子部品1000の厚さ方向(T軸方向)に対向する2つの最外側境界線をそれぞれ連結し、厚さ方向(T軸方向)と平行な複数の線分の内の少なくとも2つの線分の長さの算術平均値を意味する。
【0017】
コイル電子部品1000の幅は、コイル電子部品1000の厚さ方向(T軸方向)中央部での長さ方向(L軸方向)-幅方向(W軸方向)断面(cross section)に対する光学顕微鏡又はSEM(Scanning Electron Microscope)写真を基準にして、前述の断面写真に示したコイル電子部品1000の幅方向(W軸方向)に対向する2つの最外側境界線をそれぞれ連結し、幅方向(W軸方向)と平行な複数の線分の長さの内の最大値を意味する。
又は、コイル電子部品1000の幅は、前述の断面写真に示したコイル電子部品1000の幅方向(W軸方向)に対向する2つの最外側境界線をそれぞれ連結し、幅方向(W軸方向)と平行な複数の線分の長さの内の最小値を意味する。
又は、コイル電子部品1000の幅は、前述の断面写真に示したコイル電子部品1000の幅方向(W軸方向)に対向する2つの最外側境界線をそれぞれ連結し、幅方向(W軸方向)と平行な複数の線分の内の少なくとも2つの線分の長さの算術平均値を意味する。
【0018】
一方、コイル電子部品1000の長さ、幅及び厚さそれぞれは、マイクロメータ(micrometer)測定法で測定することもできる。
マイクロメータ測定法は、Gage R&R(Repeatability and Reproducibility)されたマイクロメータでゼロ点を設定し、マイクロメータのチップの間に本実施形態によるコイル電子部品1000を挿入し、マイクロメータの測定レバー(lever)を回して測定する。
一方、マイクロメータ測定法でコイル電子部品1000の長さを測定する時、コイル電子部品1000の長さは1回測定された値を意味することもでき、複数回測定された値の算術平均を意味することもできる。
これは、コイル電子部品1000の幅及び厚さ測定にも同様に適用される。
【0019】
本体100は、コイル電子部品1000の外観をなし、第1外部電極700及び第2外部電極800を通じてコイル200に電流が印加される時、コイル200で誘導される磁束(magnetic flux)が通る経路である磁路(magnetic path)が形成される空間である。
本体100は、コイル200及び支持基板300を囲んで封じ合わせ(encapsulation)、磁性物質を含む。
本体100は、磁性粒子を含み、磁性粒子の間には絶縁材が介される。
【0020】
磁性物質は、第1金属磁性粉末、第1金属磁性粉末より粒径が大きい第2金属磁性粉末、及び第2金属磁性粉末より粒径が大きい第3金属磁性粉末を含む。
第1金属磁性粉末の平均粒径(D50)は、0.1μm以上0.2μm以下であり、第2金属磁性粉末の平均粒径(D50)は、1μm以上2μm以下であり、第3金属磁性粉末の平均粒径(D50)は、25μm以上30μm以下であり得る。
磁性粒子は、磁気特性を示すフェライト(ferrite)粒子や金属磁性粒子である。
フェライト粒子は、例えば、Mg-Zn系、Mn-Zn系、Mn-Mg系、Cu-Zn系、Mg-Mn-Sr系、Ni-Zn系などのスピネル型フェライト、Ba-Zn系、Ba-Mg系、Ba-Ni系、Ba-Co系、Ba-Ni-Co系などの六方晶型フェライト類、Y系などのガーネット型フェライト及びLi系フェライトの内の少なくとも一つ以上であり得る。
【0021】
金属磁性粒子は、組成が異なる2種類以上の粉末で構成され、鉄(Fe)、シリコン(Si)、クロム(Cr)、コバルト(Co)、モリブデン(Mo)、アルミニウム(Al)、ニオビウム(Nb)、銅(Cu)及びニッケル(Ni)からなる群より選択される1種以上を含み得る。
例えば、金属磁性粒子は、純鉄、Fe-Si系合金、Fe-Si-Al系合金、Fe-Ni系合金、Fe-Ni-Mo系合金、Fe-Ni-Mo-Cu系合金、Fe-Co系合金、Fe-Ni-Co系合金、Fe-Cr系合金、Fe-Cr-Si系合金、Fe-Si-Cu-Nb系合金、Fe-Ni-Cr系合金、Fe-Cr-Al系合金の内の少なくとも一つ以上であり得る。
ここで、金属磁性粒子の組成が異なるということは、含量が異なる場合を意味することもできる。
金属磁性粒子は、非晶質又は結晶質である。
例えば、金属磁性粒子は、Fe-Si-B-Cr系非晶質合金であるが、本実施形態がこれに限定されるのではない。
【0022】
金属磁性粒子は、平均粒径が、約0.1μm~30μmであるが、これに限定されるのではない。
本明細書上で、平均粒径は、D90又はD50などと表現される粒度分布を意味する。
粒度分布とは、測定対象となる粒子群の中に、どのような大きさ(粒径)の粒子がどのような割合で含まれているかを示す指標であって、通常の技術者によく知られている。
D50(粒度分布の体積累積50%に相当する粒径)は、平均粒径を示す。
金属磁性粒子は、2種類以上の異なる金属磁性粒子であってもよい。
ここで、金属磁性粒子の種類が異なるということは、金属磁性粒子が平均粒径、組成、成分比、結晶性及び形状の内の少なくとも一つで互いに区別されることを意味する。
【0023】
絶縁材は、エポキシ(epoxy)、ポリイミド(polyimide)、液晶結晶性ポリマー(Liquid Crystal Polymer)などを単独で又は混合して含むが、これに限定されるのではない。
本体100を形成する方法は、特に制限されない。
例えば、コイル200の上部及び下部に磁性材料からなるシート(sheet)を配置した後、これを圧着及び硬化して本体100を形成することができる。
【0024】
支持基板300は、本体100内部に配置され、コイル200を支持する。
支持基板300は、エポキシ樹脂のような熱硬化性絶縁樹脂、ポリイミドのような熱可塑性絶縁樹脂又は感光性絶縁樹脂を含む絶縁資材から形成されるか、このような絶縁樹脂にガラス繊維又は無機フィラー(filler)のような補強材が含浸された絶縁資材から形成される。
例えば、支持基板300は、プリプレグ(Prepreg)、ABF(Ajinomoto Build-up Film)、FR-4、BT(Bismaleimide Triazine)フィルム、PID(Photo Imagable Dielectric)フィルムなどの絶縁資材から形成されるが、本実施形態がこれに限定されるのではない。
【0025】
無機フィラーとしては、シリカ(SiO2)、アルミナ(Al2O3)、炭化ケイ素(SiC)、硫酸バリウム(BaSO4)、タルク(Talc)、泥、雲母粉、水酸化アルミニウム(Al(OH)3)、水酸化マグネシウム(Mg(OH)2)、炭酸カルシウム(CaCO3)、炭酸マグネシウム(MgCO3)、酸化マグネシウム(MgO)、窒化ホウ素(BN)、ホウ酸アルミニウム(AlBO3)、チタン酸バリウム(BaTiO3)及びジルコン酸カルシウム(CaZrO3)から構成された群より選択された少なくとも一つ以上が使用され得る。
【0026】
支持基板300の中心には貫通ホール310がある。
貫通ホール310は、本体100をなす磁性物質で満たされてコアを形成することによってコイル電子部品の性能を向上させる。
コイル200は、本体100の内部に配置されて、コイル電子部品1000の特性を発現する。
例えば、本実施形態のコイル電子部品1000がパワーインダクタとして活用される場合、コイル200に電流が印加されると、エネルギーを磁場形態に貯蔵して出力電圧を維持することによって電子機器の電源を安定させる役割を果たす。
コイル200は、支持基板300の互いに対向する第1支持面320と第2支持面330に配置される。
コイル200は、第1コイルパターン210及び第2コイルパターン220を含み、第1コイルパターン210と第2コイルパターン220は、ビア230を通じて電気的に連結(接続)される。
【0027】
第1コイルパターン210は、支持基板300の第1支持面320に配置され、第1引出部213を含む。
第1引出部213は、本体100の第1面S1から露出され、第1外部電極700に電気的に接続される。
第2コイルパターン220は、支持基板300の第2支持面330に配置され、第2引出部223を含む。
第2引出部223は、本体100の第2面S2から露出され第2外部電極800に電気的に接続される。
【0028】
一方、第1コイルパターン210、第1引出部213、及びビア230を支持基板300の第1支持面320側にメッキで形成する場合、第1コイルパターン210、第1引出部213、及びビア230は、それぞれ無電解メッキ層などのシード層と電解メッキ層を含む。
ここで、電解メッキ層は、単層構造であってもよく、多層構造であってもよい。
多層構造の電解メッキ層は、いずれか一つの電解メッキ層を他の一つの電解メッキ層がカバーするコンフォーマル(conformal)な膜構造で形成されてもよく、いずれか一つの電解メッキ層の一面にのみ他の一つの電解メッキ層が積層された形状に形成されてもよい。
第1コイルパターン210のシード層、第1引出部213のシード層、及びビア230のシード層は、一体に形成されて相互間に境界が形成されないが、本実施形態がこれに限定されるのではない。
第1コイルパターン210の電解メッキ層、第1引出部213の電解メッキ層、及びビア230の電解メッキ層は、一体に形成されて相互間に境界が形成されないが、本実施形態がこれに限定されるのではない。
以上の説明は、第2コイルパターン220、第2引出部223、及びビア230にも同様に適用される。
【0029】
コイル200及びビア230それぞれは、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、銀(Ag)、スズ(Sn)、金(Au)、ニッケル(Ni)、鉛(Pb)、チタン(Ti)、又はこれらの合金などの導電性物質から形成されるが、本実施形態がこれに限定されるのではない。
【0030】
コイル200と本体100との間には絶縁膜IFが備えられる。
絶縁膜IFは、支持基板300及びコイル200の表面に沿って形成される。
支持基板300とコイル200が外部電極(700、800)に連結される部分には絶縁膜IFは存在しない。
絶縁膜IFは、コイル200を本体100から絶縁させるためのものであって、パリレン(Parylene)など公知の絶縁物質を含み得る。
絶縁膜IFに含まれる絶縁性物質は、いずれのものでも可能であり、特別な制限はない。
例えば、絶縁膜IFは、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミドイミド樹脂であり得る。
絶縁膜IFは、気相蒸着などの方法で形成されるが、これに限定されるのではない。
例えば、絶縁フィルムを支持基板300の両面に積層することによって絶縁膜IFを形成することもできる。
【0031】
絶縁層400は、本体100の第6面S6に配置される。
絶縁層400は、本体100の第1面S1及び第2面S2とそれぞれ離隔される。
即ち、絶縁層400は、本体100の第6面S6を部分的に覆う。
絶縁層400は、ポリスチレン系、酢酸ビニル系、ポリエステル系、ポリエチレン系、ポリプロピレン系、ポリアミド系、ゴム系、アクリル系などの熱可塑性樹脂、フェノール系、エポキシ系、ウレタン系、メラミン系、アルキド系などの熱硬化性樹脂、感光性樹脂、パリレン、SiOx又はSiNxを含み得る。
絶縁層400は、スクリーン印刷(screen printing)、パッド印刷(pad printing)、ディッピング(dipping)、スプレー印刷(spray printing)などの工程を通じて形成される。
例えば、絶縁層400は、液状の絶縁樹脂を本体100の表面に塗布するか、ドライフィルム(dry filim)のような絶縁フィルムを本体100の表面に積層するか、気相蒸着などの薄膜工程を通じて形成される。
絶縁フィルムの場合、感光性絶縁樹脂を含まないABF(Ajinomoto Build-up Film)又はポリイミドフィルムなどを用いても構わない。
【0032】
絶縁層400の厚さは、3μm以上25μm以下であり得る。
絶縁層400の厚さが、3μm未満であれば絶縁性能が低下するので降伏電圧が低下することがある。
絶縁層400の厚さが、25μmを超過すれば降伏電圧上昇は制約的である反面、コイル電子部品1000の厚さが過度に厚くて実装不良が発生するか電気的特性が損失されることがある。
【0033】
導電層500は、絶縁層400の一部分を覆い、第1導電層510及び第2導電層520を含む。
第1導電層510と第2導電層520は、互いに離隔し絶縁層400の一部分を覆う。
第1導電層510は、本体100の第6面S6を部分的に覆う。
即ち、第1導電層510は、本体100の第6面S6中の絶縁層400と第1面S1との間の領域を覆う。
第1導電層510は、絶縁層400の外面中の相対的に本体100の第1面S1に近い表面を覆う。
ここで、絶縁層400の外面は、絶縁層400が本体100に接する面、即ち、内面に対向する面を指す。
絶縁層400の外面は、絶縁層400の中央部を基準にして二つの部分、即ち、本体100の第1面S1側表面と第2面S2側表面に区分される。
第1導電層510は、絶縁層400の第1面S1側表面を部分的に覆う。
【0034】
第2導電層520は、本体100の第6面S6を部分的に覆う。
即ち、第2導電層520は、本体100の第6面S6中の絶縁層400と第2面S2との間の領域を覆う。
第2導電層520は、絶縁層400の外面中の相対的に本体100の第2面S2に近い表面を覆う。
即ち、第2導電層520は、絶縁層400の第2面S2側表面を部分的に覆う。
このように絶縁層400の中央部を基準にして両側表面は、それぞれ、第1導電層510と第2導電層520によって部分的に覆われ得る。
即ち、絶縁層400の中央部は、導電層500によって覆われない。
【0035】
絶縁層400の両側縁は、それぞれ第1導電層510と第2導電層520に接する。
絶縁層400の両側縁中の本体100の第1面S1に近い縁と本体100の第1面S1との間の領域は、第1導電層510によって覆われる。
絶縁層400の両側縁中の本体100の第2面S2に近い縁と本体100の第2面S2との間の領域は、第2導電層520によって覆われる。
第1導電層510及び第2導電層520は、第1外部電極700及び第2外部電極800をメッキで形成するためのシード(seed)層として機能を果たす。
即ち、導電性金属を第1導電層510に直接メッキすることによって第1外部電極700を形成し、導電性金属を第2導電層520に直接メッキすることによって第2外部電極800を形成する。
このように第1導電層510及び第2導電層520をシード層にして導電性金属を成長させる直接メッキ法で形成した第1外部電極700及び第2外部電極800は、平坦度が高くそれによって十分なMUFギャップも確保することができる。
【0036】
第1導電層510及び第2導電層520は、スクリーン印刷(screen printing)、パッド印刷(pad printing)、ディッピング(dipping)、スプレー印刷(spray printing)などの工程を通じて形成される。
第1導電層510及び第2導電層520の厚さは、1μm以上25μm以下であり得る。
第1導電層510及び第2導電層520の厚さが1μm未満であれば、過度に薄くてシード(seed)層として十分な役割を果たすことができない。
即ち、メッキ層が形成されていない部分が発生することがあり、その部分には外部電極が十分な厚さで形成されないことがある。
第1導電層510及び第2導電層520の厚さが25μmを超過すれば、コイル電子部品1000の厚さが過度に厚くて実装不良が発生するか電気的特性が低下することがある。
【0037】
第1外部電極700及び第2外部電極800は、本体100の外部に備えられコイル200に連結される。
即ち、第1外部電極700及び第2外部電極800は、コイル200の第1引出部213及び第2引出部223とそれぞれ連結される。
第1外部電極700は、本体100の第6面S6から第1面S1の一部分まで延長されコイル200の第1引出部213と連結される。
例えば、第1外部電極700は、第1電極パッド710及び第1連結部720を含む。
【0038】
第1電極パッド710は、本体100の第6面S6に配置され、第1連結部720は、第1電極パッド710から本体100の第1面S1まで延長される。
コイル200の第1引出部213は、本体100の第1面S1に露出されて第1連結部720に接続される。
これによってコイル200が第1外部電極700に電気的に接続される。
第1電極パッド710と第1連結部720は、一体型構造体であり得る。
一例として、第1電極パッド710と第1連結部720は、メッキで形成され得る。
第2外部電極800は、本体100の第6面S6から第2面S2の一部分まで延長されコイル200の第2引出部223と連結される。
例えば、第2外部電極800は、第2電極パッド810及び第2連結部820を含む。
【0039】
第2電極パッド810は、本体100の第6面S6に配置され、第2連結部820は、第2電極パッド810から本体100の第2面S2まで延長される。
コイル200の第2引出部223は、本体100の第2面S2に露出されて第2連結部820に接続される。
これによってコイル200が第2外部電極800に電気的に接続される。
第2電極パッド810と第2連結部820は、一体型構造体であり得る。
一例として、第2電極パッド810と第2連結部820は、メッキで形成され得る。
【0040】
第1外部電極700は、第1金属層701、第2金属層702、及び第3金属層703を含む。
第1金属層701は、コイル200の第1引出部213及び本体100の外面、即ち、第1面S1に接するメッキ層として銅(Cu)を含む。
また、第1金属層701は、第1導電層510を覆う。
一方、第1金属層701は、第1導電層510を過ぎて絶縁層400の一部分に接する。
第1金属層701は、第1外部電極700の第1電極パッド710及び第1連結部720をなす。
第2金属層702は、第1金属層701を覆うメッキ層としてニッケル(Ni)を含む。
第3金属層703は、第2金属層702を覆うメッキ層としてスズ(Sn)を含む。
但し、本実施形態がこのような3層構造に限定されるのではなく、第1金属層701の上に一つの金属層のみ追加された2層構造も可能である。
【0041】
第2外部電極800は、第1金属層801、第2金属層802、及び第3金属層803を含む。
第1金属層801は、コイル200の第2引出部223及び本体100の外面、即ち、第2面S2に接するメッキ層として銅(Cu)を含む。
また、第1金属層801は、第2導電層520を覆う。
一方、第1金属層801は、第2導電層520を過ぎて絶縁層400の一部分に接する。
第1金属層801は、第2外部電極800の第2電極パッド810及び第2連結部820をなす。
第2金属層802は、第1金属層801を覆うメッキ層としてニッケル(Ni)を含む。
第3金属層803は、第2金属層802を覆うメッキ層としてスズ(Sn)を含む。
但し、本実施形態がこのような3層構造に限定されるのではなく、第1金属層801の上に一つの金属層のみ追加された2層構造も可能である。
【0042】
前述のように、絶縁層400の一部分が第1導電層510及び第2導電層520によって覆われ、第1導電層510は第1外部電極700によって覆われ、第2導電層520は第2外部電極800によって覆われる。
したがって、絶縁層400、導電層500、及び外部電極(700、800)は、3重層構造をなす。
即ち、絶縁層400、第1導電層510、及び第1外部電極700が全て重畳する第1重畳領域A1が存在し、絶縁層400、第2導電層520、及び第2外部電極800が全て重畳する第2重畳領域A2が存在する。
以下では、第1重畳領域A1と第2重畳領域A2を一度に言及する時は“重畳領域”と称することにする。
【0043】
コイル電子部品1000が第1長さL1を有する時、重畳領域は、第2長さL2を有し第1長さL1に対する第2長さL2の比は、特定範囲内にあり得る。
第1重畳領域A1は、第3長さL3を有し、第2重畳領域A2は、第4長さL4を有する。
したがって、重畳領域の第2長さL2は、第1重畳領域A1の第3長さL3と第2重畳領域A2の第4長さL4の合計である。
コイル電子部品1000の第1長さL1に対する重畳領域の第2長さL2の比(L2/L1)(以下、“重畳領域の比率”という)は、0.3以上0.7以下であり得る。
重畳領域の比率(L2/L1)が0.3未満であれば、コイルと外部電極間漏洩電流遮断効果が大きくなくて降伏電圧上昇効果が大きくないことがある。
重畳領域の比率(L2/L1)が0.7を超過すれば、第1外部電極700と第2外部電極800が互いに過度に近くなって電流漏れの可能性が大きく降伏電圧が低下することがある。
【0044】
ここで、L1は、コイル電子部品1000の幅方向(W軸方向)中央部での長さ方向(L軸方向)-厚さ方向(T軸方向)断面(cross section)に対する光学顕微鏡又は走査電子顕微鏡(SEM、Scanning Electron Microscope)写真を基準にして、前述の断面写真に示したコイル電子部品1000の長さ方向(L軸方向)に対向する2つの最外側境界線をそれぞれ連結し、長さ方向(L軸方向)と平行な複数の線分の長さの内の最大値を意味する。
L3は、前述の断面写真に示した絶縁層400、第1導電層510、及び第1外部電極700が重畳する領域の両側縁を過ぎ長さ方向(L軸方向)に垂直な二つの直線間の距離を意味する。
L4は、前述の断面写真に示した絶縁層400、第2導電層520、及び第2外部電極800が重畳する領域の両側縁を過ぎ長さ方向(L軸方向)に垂直な二つの直線間の距離を意味する。
L2は、前述のL3とL4の合計を意味する。
【0045】
前述のように本体100の第6面S6に絶縁層400が配置されるが、本体100の他の部分にも絶縁層900が配置される。
例えば、絶縁層900は、本体100の第3面S3、第4面S4、及び第5面S5に配置される。
さらに、第1外部電極700が本体100の第1面S1を部分的に覆い、第2外部電極800が本体100の第2面S2を部分的に覆う場合には、絶縁層900が第1面S1の残り部分と第2面S2の残り部分にも配置される。
このように絶縁層900は、本体100の第1面S1、第2面S2、第3面S3、第4面S4、第5面S5、及び第6面S6の内の少なくとも一部に配置されて他の電子部品と外部電極(700、800)間の電気的ショートを防止する。
絶縁層900は、電解メッキで外部電極(700、800)を形成する時にレジスト(resist)として用いることができるが、これに限定されるのではない。
【0046】
図3は、本発明の他の実施形態によるコイル電子部品の概略構成を示す斜視図であり、
図4は、
図3のIV-IV’線に沿って切断した概略断面図である。
図3及び
図4を参照すると、コイル電子部品2000は、本体1100、コイル1200、絶縁層400、導電層500、第1外部電極700、及び第2外部電極800を含む。
【0047】
コイル1200は、導線(conductive wire)の少なくとも一つのターン(turn)を含む。
例えば、コイル1200は、表面が絶縁物質で被覆された金属(例えば、銅(Cu)又は銀(Ag))線を螺旋形に巻き取った形態である。
即ち、コイル1200は、巻線型コイルである。
コイル1200は、単線に限定されず、撚線や2つ以上の線からなるものであってもよい。
コイル1200は、円形コイルであるが、これに限定されない。
例えば、コイル1200は、長方形コイルなど公知の多様なコイルであり得る。
コイル1200の個別線(wire)の断面は、四角形、円形、楕円形、三角形など公知の多様な形状を有し得る。
コイル1200は、複数の層で構成される。
【0048】
コイル1200は、第1コイル1210と第2コイル1220を含む。
第1コイル1210は、第2コイル1220と連結され第2コイル1220の上側、即ち、本体1100の第5面S5側に配置されて層をなす。
第1コイル1210のターン数と第2コイル1220のターン数は、同一であるか異なってもよい。
コイル1200は、平面螺旋形に形成されて、複数のターン(turn)を有する。
例えば、第1コイル1210は、本体1100の内側から外側に順次に最内側ターンコイルC1、少なくとも一つの中間ターンコイルC2、及び最外側ターンコイルC3を有する。
第2コイル1220も本体1100の内側から外側に順次に最内側ターンコイルC1’、少なくとも一つの中間ターンコイルC2’、及び最外側ターンコイルC3’を有する。
【0049】
コイル1200の複数のターンそれぞれの表面に沿って絶縁膜IFが備えられる。
絶縁膜IFは、第1コイル1210と第2コイル1220の複数のターンを保護し、絶縁させるためのもので、パリレン(Parylene)など公知の絶縁性物質を含み得る。
絶縁膜IFに含まれる絶縁性物質は、いずれのものでも可能であり、特別な制限はない。
例えば、絶縁膜IFは、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミドイミド樹脂であり得る。
絶縁膜IFは、気相蒸着などの方法で形成できるが、これに限定されない。
【0050】
コイル1200は、巻回部1230、第1引出部1213、及び第2引出部1223を含む。
巻回部1230は、金属線(wire)が少なくとも一つのターン(turn)をなす部分である。
第1引出部1213は、巻回部1230の一端から延長され本体1100の第1面S1に露出される。
第1引出部1213は、第1外部電極700に連結される。
第2引出部1223は、巻回部1230の他端から延長され本体1100の第2面S2に露出される。
第2引出部1223は、第2外部電極800に連結される。
以上を除いた残りの構成要素は、
図1に示すコイル電子部品の構成要素と同一なので、それに関する重複する説明は省略する。
【0051】
図5は、本発明の他の実施形態によるコイル電子部品の概略構成を示す断面図である。
図5を参照すると、コイル電子部品3000は、本体2100、コイル2200、絶縁層400、導電層500、第1外部電極700、及び第2外部電極800を含む。
本体2100は、磁性物質を含む複数のシート(sheet)が厚さ方向(T軸方向)に積層された積層体である。
コイル2200は、それぞれのシートに配置され互いに連結された複数のコイルパターン2210を含む。
【0052】
コイル2200の一端には第1引出部2213が備えられ、他端には第2引出部2223が備えられる。
第1引出部2213は、本体2100の第1面S1から露出されて第1外部電極700に連結される。
第2引出部2223は、本体2100の第2面S2から露出されて第2外部電極800に連結される。
以上を除いた残りの構成要素は、
図1に示すコイル電子部品の構成要素と同一なので、それに関する重複する説明は省略する。
【0053】
以下、本発明の具体的な実施形態を提示する。
但し、下記に記載した実施形態は、発明を具体的に例示するか説明するためのものに過ぎず、これによって発明の範囲が制限されてはならない。
【0054】
≪実施例≫
[製造例:コイル電子部品の製造]
(比較例1)
第1長さL1が2500μmであり、重畳領域の第2長さL2が0μmであるコイル電子部品を製造する。
(比較例2)
第1長さL1が2500μmであり、重畳領域の第2長さL2が250μmである点を除けば、比較例1と同一である。
(比較例3)
第1長さL1が2500μmであり、重畳領域の第2長さL2が500μmである点を除けば、比較例1と同一である。
(実施例1)
第1長さL1が2500μmであり、重畳領域の第2長さL2が750μmであるコイル電子部品を製造する。
(実施例2)
第1長さL1が2500μmであり、重畳領域の第2長さL2が1230μmである点を除けば、実施例1と同一である。
(実施例3)
第1長さL1が2500μmであり、重畳領域の第2長さL2が1700μmである点を除けば、実施例1と同一である。
(比較例4)
第1長さL1が2500μmであり、重畳領域の第2長さL2が1850μmである点を除けば、比較例1と同一である。
(比較例5)
第1長さL1が2500μmであり、重畳領域の第2長さL2が2000μmである点を除けば、比較例1と同一である。
【0055】
[実験例:コイル電子部品の降伏電圧安定性]
実施例1~3と比較例1~5のコイル電子部品をそれぞれ50個ずつ製造した後、コイル電子部品の第1長さL1に対する重畳領域の第2長さL2の比(L2/L1)と降伏電圧を測定し、最小降伏電圧(minimum breakdown voltage、BDVmin)を基準にして降伏電圧安定性を判定した。
即ち、BDVminが200V未満である場合、安定性を“不良”と判定し、BDVminが200V以上である場合、安定性を“良好”と判定した。
その結果を下記に示す表1に整理する。
【0056】
【0057】
表1を参照すると、実施例1~3で製造されたコイル電子部品では最小降伏電圧が200V以上と示され降伏電圧安定性が良好であった。
比較例1~5で製造されたコイル電子部品では、最小降伏電圧が200V未満と示され降伏電圧安定性が不良であった。
これは、コイル電子部品の第1長さL1に対する重畳領域の第2長さL2の比(L2/L1)が、0.3未満(比較例1、2)であるか、0.7を超過(比較例4、5)したためである。
【0058】
[実験例:コイル電子部品の電極平坦度及びMUFギャップ]
実施例1及び比較例1によるコイル電子部品をそれぞれ10個ずつ製造した後、外部電極の10点平均粗さ(ten point height of roughness profile、Rz)及びMUFギャップの大きさを測定した後、その結果を下記に示す表2に整理する。
10点平均粗さ(Rz)は、電極平坦度の尺度であり、その値が小さいほど電極が平坦である。
電極が平坦であれば、ランド(land)(実装用電極)との接触面積が増加するので基板実装に有利である。
【0059】
MUFギャップは、コイル電子部品を基板に実装した時、コイル電子部品の絶縁バンド部(第1外部電極と第2外部電極の間の領域)と基板との間に存在するギャップ(gap)の大きさである。
SiP(System in Package)のようにモジュール化された条件で複数の素子部品は、実装後にパッケージング工程を通じてEMC(Epoxy Molding Compound)、液状アンダーフィル(Underfill)などの封止材で封止(encapsulation)され、この時、MUFギャップの間に十分な空間(20±5μm)が確保される必要がある。
【0060】
例えば、MUFギャップが5μm以下であれば、コイル電子部品と基板との間のギャップが小さくて封止材が流れにくく、充填性が低下して空隙(void)が生成されるおそれがある。
生成された空隙は、パッケージ内に欠陥(defect)として存在し、熱的、機械的信頼性不良などの様々な不良を誘発することがある。
また、MUFギャップが0μm以下であれば、基板実装時コイル電子部品の位置が歪むか浮き上がりが発生して、コイル電子部品の一側外部電極は基板に固定される反面、他側外部電極は基板から離れて立ち上がる形態になる現象(マンハッタン効果(Manhattan effect)又はトゥームストーン欠陥(Tombstone defect))が発生するおそれがある。
【0061】
【0062】
表2を参照すると、実施例1で製造されたコイル電子部品の場合、比較例1で製造されたコイル電子部品に比べて低い水準の10点平均粗さ(Rz)を示した。
実施例1で製造されたコイル電子部品の外部電極の平坦度が改善されたことを確認することができる。
また、実施例1で製造されたコイル電子部品の場合、十分なMUFギャップが確保されたことを確認することができる。
【0063】
尚、本発明は、上述の実施形態に限られるものではない。本発明の技術的範囲から逸脱しない範囲内で多様に変更実施することが可能である。
【符号の説明】
【0064】
1000、2000、3000 コイル電子部品
100、1100、2100 本体
200、1200、2200 コイル
210 第1コイルパターン
220 第2コイルパターン
230 ビア
213、1213、2213 第1引出部
223、1223、2223 第2引出部
300 支持基板
400、900 絶縁層
500 導電層
510 第1導電層
520 第2導電層
700 第1外部電極
701、801 第1金属層
702、802 第2金属層
703、803 第3金属層
710 第1電極パッド
720 第1連結部
800 第2外部電極
810 第2電極パッド
820 第2連結部
1210 第1コイル
1220 第2コイル
1230 巻回部
2210 コイルパターン
C1、C1’ 最内側ターンコイル
C2、C2’ 中間ターンコイル
C3、C3’ 最外側ターンコイル
IF 絶縁膜