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特開2025-3641撮像システム、検査装置、及び撮像方法
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  • 特開-撮像システム、検査装置、及び撮像方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025003641
(43)【公開日】2025-01-09
(54)【発明の名称】撮像システム、検査装置、及び撮像方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/956 20060101AFI20241226BHJP
【FI】
G01N21/956 A
【審査請求】有
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024187787
(22)【出願日】2024-10-24
(62)【分割の表示】P 2021015033の分割
【原出願日】2021-02-02
(71)【出願人】
【識別番号】000115902
【氏名又は名称】レーザーテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】権平 皓
(72)【発明者】
【氏名】篠田 雅文
(57)【要約】
【課題】撮像システム、検査装置、及び撮像方法を提供する。
【解決手段】本実施形態にかかる撮像システムは、試料Sを照明する照明光を発生する光源11と、試料Sからの反射光を第1の露光時間で検出するようにライン状に配列された複数の受光画素を備え、第1の波長帯域の反射光を検出する第1ラインセンサ31と、試料Sからの反射光を第2の露光時間で検出するようにライン状に配列された複数の受光画素を備え、第2の波長帯域の反射光を検出する第2ラインセンサ32と、試料Sに対する第1及び第2ラインセンサの検出位置を相対的に移動させる走査機構と、走査機構で走査したときの第1ラインセンサ31の検出結果と第2ラインセンサ32の検出結果に応じて、試料Sの画像を生成する処理部50と、を備えている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料を照明する照明光を発生する光源と、
前記試料からの反射光を第1の露光時間で検出するようにライン状に配列された複数の受光画素を備え、第1の波長帯域の反射光を検出する第1ラインセンサと、
前記試料からの反射光を前記第1の露光時間と異なる第2の露光時間で検出するようにライン状に配列された複数の受光画素を備え、第2の波長帯域の反射光を検出する第2ラインセンサと、
前記試料に対する第1及び第2ラインセンサの検出位置を相対的に移動させる走査機構と、
前記走査機構で走査したときの前記第1ラインセンサの検出結果と前記第2ラインセンサの検出結果に応じて、前記試料の画像を生成する処理部と、を備え、
前記第1ラインセンサで撮像された第1画像は、第1画素サイズを有しており、かつ、第1の画素数を有する2次元画像であり
前記第2ラインセンサで撮像された第2画像は、前記第1画素サイズと異なる第2画素サイズを有しており、かつ、前記第1の画素数と異なる第2の画素数の2次元画像であり、
前記処理部は、前記試料の同じ領域についての前記第1画像及び前記第2画像を生成する、撮像システム。
【請求項2】
前記試料からの反射光を波長に応じて3つに分岐する分岐する分岐手段と、
前記分岐手段で分岐された第3の波長帯域の反射光を前記第1及び第2の露光時間と異なる第3の露光時間で検出するようにライン状に配列された複数の受光画素を備えた第3ラインセンサと、をさらに備え、
前記第1ラインセンサが前記分岐手段で分岐された前記第1の波長帯域の反射光を検出し、
前記第2ラインセンサが前記分岐手段で分岐された前記第2の波長帯域の反射光を検出し、
前記第1画像は前記第1の露光時間に応じた前記第1画素サイズを有しており、
前記第2画像は前記第2の露光時間に応じた前記第2画素サイズを有しており、
前記第3ラインセンサで撮像された第3画像は、前記第3の露光時間に応じた第3画素サイズを有しており、かつ、前記第1の画素数及び第2の画素数とは異なる第3の画素数の2次元画像であり、
前記処理部は、前記走査機構で走査したときの前記第1ラインセンサの検出結果と前記第2ラインセンサの検出結果と第3ラインセンサの検出結果に応じて、前記試料のカラー画像を生成する請求項1に記載の撮像システム。
【請求項3】
前記分岐手段で分岐された第1の波長帯域の反射光を集光して、前記試料の照明領域を第1ラインセンサの受光面に結像する第1レンズと、
前記分岐手段で分岐された第2の波長帯域の反射光を集光して、前記試料の照明領域を第2ラインセンサの受光面に結像する第2レンズと、
前記分岐手段で分岐された第3の波長帯域の反射光を集光して、前記試料の照明領域を第3ラインセンサの受光面に結像する第3レンズと、をさらに備え、
前記処理部は、前記第1画像、前記第2画像及び第3画像の検出信号を合成して、前記試料のカラー画像を生成する請求項2に記載の撮像システム。
【請求項4】
前記第1ラインセンサと前記第2ラインセンサと前記第3ラインセンサとは、モノクロセンサである請求項2、又は3に記載の撮像システム。
【請求項5】
前記第1の波長帯域が赤色の波長帯域であり、
前記第2の波長帯域が緑色の波長帯域であり
前記第3の波長帯域が青色の波長帯域である請求項2~4のいずれか1項に記載の撮像システム。
【請求項6】
前記試料において、前記第1の波長帯域の光の反射率が前記第2の波長帯域の光の反射率よりも低くなっており、前記第1の露光時間が前記第2の露光時間よりも長くなっている請求項1~5のいずれか1項に記載の撮像システム。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1項の撮像システムを備え、
前記撮像システムで撮像された前記試料の画像に基づいて、前記試料を検査する検査装置。
【請求項8】
試料を照明する照明光を発生するステップと、
前記試料に対する前記照明光の相対的な照明位置を走査するステップと、
前記試料からの反射光を第1の露光時間で検出するようにライン状に配列された複数の受光画素を備えた第1ラインセンサによって、第1の波長帯域の反射光を検出するステップと、
前記試料からの反射光を前記第1の露光時間と異なる第2の露光時間で検出するようにライン状に配列された複数の受光画素を備えた第2ラインセンサによって、第2の波長帯域の反射光を検出するステップと、
前記走査を行ったときの前記第1ラインセンサの検出結果と前記第2ラインセンサの検出結果に応じて、前記試料の同じ領域についての第1画像及び第2画像を生成するステップと、を備え、
前記第1ラインセンサで撮像された第1画像は、第1画素サイズを有しており、かつ、第1の画素数を有する2次元画像であり、
前記第2ラインセンサで撮像された第2画像は、前記第1画素サイズと異なる第2画素サイズを有しており、かつ、前記第1の画素数と異なる第2の画素数の2次元画像である、撮像方法。
【請求項9】
分岐手段が、前記試料からの反射光を波長に応じて分岐し、
前記分岐手段で分岐された第3の波長帯域の反射光を前記第1及び第2の露光時間と異なる第3の露光時間で検出するようにライン状に配列された複数の受光画素を備えた第3ラインセンサによって、前記第3の波長帯域の反射光を検出し、
前記第1ラインセンサが前記分岐手段で分岐された前記第1の波長帯域の反射光を検出し、
前記第2ラインセンサが前記分岐手段で分岐された前記第2の波長帯域の反射光を検出し、
前記第1画像は前記第1の露光時間に応じた前記第1画素サイズを有しており、
前記第2画像は前記第2の露光時間に応じた前記第2画素サイズを有しており、
前記第3ラインセンサで撮像された第3画像は、前記第3の露光時間に応じた第3画素サイズを有しており、かつ、前記第1の画素数及び第2の画素数とは異なる第3の画素数の2次元画像であり、
前記走査を行った時の前記第1ラインセンサの検出結果と前記第2ラインセンサの検出結果と第3ラインセンサの検出結果に応じて、前記試料のカラー画像を生成する請求項8に記載の撮像方法。
【請求項10】
前記分岐手段で分岐された第1の波長帯域の反射光を集光して、前記試料の照明領域を第1ラインセンサの受光面に結像する第1レンズと、
前記分岐手段で分岐された第2の波長帯域の反射光を集光して、前記試料の照明領域を第2ラインセンサの受光面に結像する第2レンズと、
前記分岐手段で分岐された第3の波長帯域の反射光を集光して、前記試料の照明領域を第3ラインセンサの受光面に結像する第3レンズと、をさらに備え、
前記第1画像、前記第2画像及び第3画像の検出信号を合成して、前記試料のカラー画像を生成する請求項9に記載の撮像方法。
【請求項11】
前記第1ラインセンサと前記第2ラインセンサと前記第3ラインセンサとは、モノクロセンサである請求項9、又は10に記載の撮像方法。
【請求項12】
前記第1の波長帯域が赤色の波長帯域であり、
前記第2の波長帯域が緑色の波長帯域であり
前記第3の波長帯域が青色の波長帯域である請求項9~11のいずれか1項に記載の撮像方法。
【請求項13】
前記試料において、前記第1の波長帯域の光の反射率が前記第2の波長帯域の光の反射率よりも低くなっており、前記第1の露光時間が前記第2の露光時間よりも長くなっている請求項8~12のいずれか1項に記載の撮像方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像システム、検査装置、及び撮像方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1にはラインセンサを用いて、圧延材を検査する検査装置が開示されている。この検査装置では、圧延材の搬送速度に応じて、ラインセンサのラインレートを変えている。特許文献2では、複数のラインカメラを用いた撮像装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008-292345号公報
【特許文献2】特開2008-5370号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1、2では、ラインセンサを用いて試料を撮像している。例えば、移動中の試料からの光をラインセンサで検出することで、試料の2次元画像を撮像することができる。
【0005】
波長によって試料の反射率が異なることがある。特に半導体装置で用いられる薄膜の検査の場合、膜による波長依存性が大きい。そのため、第1の波長帯域では試料Sの反射率が高く、第2の波長帯域では試料Sの反射率が低い場合がある。このような場合、異なる波長帯域の画像を適切に撮像することが困難となる。
【0006】
本開示は、このような問題点を鑑みてなされたものであり、試料を適切に撮像することができる撮像システム、検査装置、及び撮像方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本実施形態の一態様にかかる撮像システムは、試料を照明する照明光を発生する光源と、前記試料からの反射光を第1の露光時間で検出するようにライン状に配列された複数の受光画素を備え、第1の波長帯域の反射光を検出する第1ラインセンサと、前記試料からの反射光を第2の露光時間で検出するようにライン状に配列された複数の受光画素を備え、第2の波長帯域の反射光を検出する第2ラインセンサと、前記試料に対する第1及び第2ラインセンサの検出位置を相対的に移動させる走査機構と、前記走査機構で走査したときの前記第1ラインセンサの検出結果と前記第2ラインセンサの検出結果に応じて、前記試料の画像を生成する処理部と、を備えている。
【0008】
上記の撮像システムにおいて、前記第1ラインセンサと前記第2ラインセンサとは、モノクロセンサであってもよい。
【0009】
上記の撮像システムにおいて、前記試料において、前記第1の波長帯域の光の反射率が前記第2の波長帯域の光の反射率よりも低くなっており、前記第1の露光時間が前記第2の露光時間よりも長くなっていてもよい。
【0010】
上記の撮像システムにおいて、前記試料からの反射光を第3の露光時間で検出するようにライン状に配列された複数の画素を備え、第3の波長帯域の反射光を検出する第3のラインセンサをさらに備えていてもよい。
【0011】
上記の撮像システムにおいて、前記第1の波長帯域が赤色の波長帯域であり、前記第2の波長帯域が緑色の波長帯域であり、前記第3の波長帯域が青色の波長帯域であってもよい。
【0012】
本実施形態の一態様にかかる検査装置は、上記の撮像システムを備え、前記撮像システムで撮像された前記試料の画像に基づいて、前記試料を検査するものである。
【0013】
本実施形態の一態様にかかる撮像方法は、試料を照明する照明光を発生するステップと、前記試料に対する前記照明光の相対的な照明位置を走査するステップと、前記試料からの反射光を第1の露光時間で検出するようにライン状に配列された複数の受光画素を備えた第1ラインセンサによって、第1の波長帯域の反射光を検出するステップと、前記試料からの反射光を第2の露光時間で検出するようにライン状に配列された複数の受光画素を備えた第2ラインセンサによって、第2の波長帯域の反射光を検出するステップと、前記走査を行ったときの前記第1ラインセンサの検出結果と前記第2ラインセンサの検出結果に応じて、前記試料の画像を生成するステップと、を備えている。
【0014】
上記の撮像方法において、前記第2ラインセンサと前記第2ラインセンサとは、検出波長帯域の異なるモノクロセンサであってもよい。
【0015】
上記の撮像方法において、前記試料において、前記第1の波長帯域の光の反射率が前記第2の波長帯域の光の反射率よりも低くなっており、前記第1の露光時間が前記第2の露光時間よりも長くなっていてもよい。
【0016】
上記の撮像方法において、前記試料からの反射光を第3の露光時間で検出するようにライン状に配列された複数の画素を備えた第3ラインセンサによって、第3の波長帯域の反射光を検出するようにしてもよい。
【0017】
上記の撮像方法において、前記第1の波長帯域が赤色の波長帯域であり、前記第2の波長帯域が緑色の波長帯域であり、前記第3の波長帯域が青色の波長帯域であってもよい。
【発明の効果】
【0018】
本開示によれば、ラインセンサを用いて試料を適切に撮像することができる撮像システム、検査装置、及び撮像方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本実施の形態にかかる撮像システムを用いた検査装置を示す模式図である。
図2】ラインセンサで撮像した試料画像の画素サイズを示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の実施の形態について以下に図面を参照して説明する。以下の説明は、本発明の好適な実施形態を示すものであって、本発明の範囲が以下の実施形態に限定されるものではない。以下の説明において、同一の符号が付されたものは実質的に同様の内容を示している。
【0021】
実施の形態に係る撮像システムを用いた検査装置について、図1を参照して説明する。図1は、実施の形態に係る検査装置100の構成を示す図である。図1に示すように、検査装置100は、光源11、ビームスプリッタ12,対物レンズ13、ダイクロイックミラー15、ダイクロイックミラー16、及び駆動ステージ40を備えている。さらに、検査装置100は、レンズ21,レンズ22,レンズ23,第1ラインセンサ31、第2ラインセンサ32、第3ラインセンサ33、及び処理部50を備えている。
【0022】
第1ラインセンサ31、第2ラインセンサ32、第3ラインセンサ33のそれぞれは、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の光を検出する。なお、図1では、XYZ3次元直交座標系を用いて説明を行う。XY平面は、試料Sの表面(撮像面)に平行な方向である。Z方向は、試料Sの表面と直交する方向であり、対物レンズ13の光軸方向となる。また、Y方向は第1ラインセンサ31、第2ラインセンサ32、第3ラインセンサ33における受光画素の配列方向に対応している。X方向は、試料Sのスキャン方向(走査方向)に対応している。
【0023】
駆動ステージ40がX方向に試料Sを走査する。X方向の走査中に第1ラインセンサ31、第2ラインセンサ32、第3ラインセンサ33が試料Sからの反射光を検出する。第1ラインセンサ31、第2ラインセンサ32、第3ラインセンサ33のそれぞれは、Y方向に沿って1列に配列された複数の受光画素を有している。これにより、XYの2次元画像を撮像することができる。
【0024】
まず、試料Sを照明する照明光学系について説明する。光源11は、試料Sを照明するための照明光L1を発生する。光源11は、ランプ光源、LED(Light Emitting Diode)、レーザ光源などの種々の光源を用いることが可能である。光源11は、ライン光源であってもよい。あるいは、スリットやシリンドリカルレンズを用いることで、ライン状の照明光L1を生成することも可能である。また、照明光L1は、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の光を含む白色光源であることが好ましい。あるいは、光源11は、複数色の単色光源を組み合わせて構成されていてもよい。例えば、R、G、Bのそれぞれの単色光源の光を合成することで、照明光L1が形成されていても良い。
【0025】
光源11からの照明光L1は、ビームスプリッタ12を介して、対物レンズ13に入射する。ビームスプリッタ12は、例えば、ハーフミラーであり、入射した光のほぼ反分を透過し、残りの半分を反射する。したがって、光源11からの照明光L1のほぼ反分がビームスプリッタ12を透過して、対物レンズ13に入射する。
【0026】
対物レンズ13は、照明光L1を試料Sに集光する。Y方向を長手方向とするライン状の照明領域が試料Sに形成される。つまり、試料Sのライン状の領域が照明光L1で照明される。
【0027】
試料Sは駆動ステージ40の上に載置されている。駆動ステージ40は、例えば、XYZの3次元駆動ステージとなっている。駆動ステージ40は、X方向をスキャン方向として、試料Sを走査する。これにより、試料Sにおけるライン状の照明領域の位置を変えることができる。つまり、試料S上において、Y方向を長手方向とする照明領域がX方向に相対移動するため、XY画像(二次元画像)を撮像することができる。
【0028】
試料Sで反射した反射光L2は、対物レンズ13を介して、ビームスプリッタ12に入射する。ビームスプリッタ12は、入射した反射光L2のほぼ半分を反射する。ビームスプリッタ12で反射した反射光L2は、ダイクロイックミラー15に入射する。
【0029】
ダイクロイックミラー15は、波長に応じて反射光L2を分岐する。反射光L2のうち、ダイクロイックミラー15を透過した光を反射光L3とし、ダイクロイックミラー15で反射した光を反射光L13とする。ダイクロイックミラー15は、青色の波長帯域の光を反射し、緑色、及び赤色の波長帯域の光を透過する。よって、ダイクロイックミラー15を透過した反射光L3は、赤色の波長帯域の光と緑色の波長帯域の光を含んでいる。換言すると、ダイクロイックミラー15を透過した反射光L3は、青色の波長帯域の光を含んでいない。
【0030】
ダイクロイックミラー15を透過した反射光L3は、ダイクロイックミラー16に入射する。ダイクロイックミラー16は、波長に応じて反射光L3を分岐する。ダイクロイックミラー16を透過した反射光L3を反射光L11とし、ダイクロイックミラー16で反射した反射光L3を反射光L12とする。ダイクロイックミラー16は、緑色の波長帯域の光を反射し、赤色の波長帯域の光を透過する。よって、ダイクロイックミラー16を透過した反射光L11は、赤色の波長帯域の光を含んでいる。換言すると、ダイクロイックミラー16を透過した反射光L11は、青色及び緑色の波長帯域の光を含んでいない。
【0031】
ダイクロイックミラー16を透過した反射光L11は、レンズ21で屈折されて、第1ラインセンサ31に入射する。レンズ21は、結像レンズで有り、第1ラインセンサ31の受光面に反射光L11を集光する。従って、試料Sの照明領域が第1ラインセンサ31の受光面に結像される。
【0032】
第1ラインセンサ31は、試料Sの照明領域の撮像することができる。第1ラインセンサ31は、試料Sで反射した反射光L2のうち、赤色の光を検出する。なお、第1ラインセンサ31は赤色の波長帯域の光を透過するカラーフィルタなどを有していてもよい。
【0033】
ダイクロイックミラー16で反射した反射光L12は、緑色の波長帯域の光を含んでいる。換言すると、反射光L12は、青色及び赤色の波長帯域の光を含んでいない。ダイクロイックミラー16で反射した反射光L12は、レンズ22で屈折されて、第2ラインセンサ32に入射する。レンズ22は、結像レンズで有り、第2ラインセンサ32の受光面に反射光L12を集光する。従って、試料Sの照明領域が第2ラインセンサ32の受光面に結像される。
【0034】
第2ラインセンサ32は、試料Sの照明領域の撮像することができる。第2ラインセンサ32は、試料Sで反射した反射光L2のうち、緑色の光を検出する。なお、第2ラインセンサ32は緑色の波長帯域の光を透過するカラーフィルタなどを有していてもよい。
【0035】
ダイクロイックミラー15で反射した反射光L13は青色の波長帯域の光を含んでいる。つまり、反射光L13は赤色と緑色の波長帯域の光を含んでいない。ダイクロイックミラー15で反射した反射光L13は、レンズ23で屈折されて、第3ラインセンサ33に入射する。レンズ23は、結像レンズで有り、第3ラインセンサ33の受光面に反射光L13を集光する。従って、試料Sの照明領域が第3ラインセンサ33の受光面に結像される。
【0036】
第3ラインセンサ33は、試料Sの照明領域の撮像することができる。第3ラインセンサ33は、試料Sで反射した反射光L2のうち、青色の光を検出する。なお、第3ラインセンサ33は青色の波長帯域の光を透過するカラーフィルタなどを有していてもよい。第1ラインセンサ31~第3ラインセンサ33はモノクロセンサである。第1ラインセンサ31~第3ラインセンサ33は検出波長帯域が異なっていても良い。例えば、センサの受光面や光路中にカラーフィルタを設けることで検出波長帯域を設定することができる。
【0037】
このように、第1ラインセンサ31がRの反射光L11を検出している。第2ラインセンサ32がGの反射光L12を検出し、第3ラインセンサ33がBの反射光L13を検出している。また、ダイクロイックミラー15、及びダイクロイックミラー16におって反射光を分岐しているため、第1ラインセンサ31~第3ラインセンサ33は、RGBの光をそれぞれ同時に検出することができる。第1ラインセンサ31~第3ラインセンサ33の受光画素は、検出光量に応じた階調値を示す信号を出力する。第1ラインセンサ31~第3ラインセンサ33は、検出光量に応じた検出信号を処理部50に出力する。
【0038】
例えば、処理部50は、プロセッサ、及びメモリなどを備えたコンピュータである。処理部50は、コンピュータプログラムによって、撮像及び検査を行うための処理を実施する。すなわち、処理部50は、プログラムを格納するメモリ、及び、CPUなどのプロセッサ等を備えている。プロセッサが検査用のプログラムを実行することによって、以下に示す処理、及び欠陥検出処理が行われてもよい。
【0039】
処理部50は、第1ラインセンサ31~第3ラインセンサ33の検出信号をメモリなどに格納する。また、処理部50は、駆動ステージ40を制御している。よって、処理部50は、駆動ステージ40の走査位置に対応付けて、検出信号を記憶する。反射光の検出光量がXY座標に対応付けられている。よって処理部50が試料SのXY画像(二次元画像)を生成することができる。
【0040】
処理部50は、第1ラインセンサ31の検出信号に基づいて、試料SのRの画像を生成する。処理部50は、第2ラインセンサ32の検出信号に基づいて、試料SのGの画像を生成する。処理部50は、第3ラインセンサ33の検出信号に基づいて、試料SのBの画像を生成する。各ラインセンサからの検出信号に基づいて、処理部50は、異なる波長帯域の画像を生成する。さらに、処理部50は、RGBのそれぞれの検出信号を合成することがカラー画像を生成しても良い。
【0041】
波長によって試料Sの反射率が異なることがある。特に半導体装置で用いられる薄膜の検査の場合、膜による波長依存性が大きい。そこで、本実施の形態では、第1ラインセンサ31~第3ラインセンサ33毎に露光時間を変えている。つまり、第1ラインセンサ31~第3ラインセンサ33はそれぞれ異なる露光時間で反射光を検出している。
【0042】
図2を用いて、露光時間の違いによる画素サイズについて、説明する。図2は、RGBのそれぞれの画像の画素サイズを模式的に示す図である。図2では、横方向が駆動ステージ40によるスキャン方向であり、縦方向がラインセンサのライン方向となっている。スキャン方向は図1のX方向に対応している。ライン方向は画素の配列方向になっており、図1のY方向に対応している。図2では上から順に、RGBの画像を示している。
【0043】
第1ラインセンサ31の露光時間をT1とし、第2ラインセンサ32の露光時間をT2とし、第3ラインセンサ33の露光時間をT3とする。試料Sの反射率はBが最も高く、Rが最も低いとする。反射率の低いRの露光時間T1が最も大きく、反射率の高いBの露光時間T3が最も小さくなっている。Gの露光時間T2は、Rの露光時間T1よりも小さく、Bの露光時間T3よりも大きい。
【0044】
スキャン方向において、試料S上での画素サイズは、ラインセンサの露光時間と駆動ステージのスキャン速度との積に比例する。試料S上において、露光時間が最も長い第1ラインセンサ31の画素Prの画素サイズが最も大きくなる。露光時間が最も短い第3ラインセンサ33の画素Pbの画素サイズが最も小さくなる。第2ラインセンサ32の画素Pgの画素サイズは、画素Prの画素サイズよりも小さく、画素Pbの画素サイズよりも大きくなる。よって、試料Sの全体又は同じ領域の画像を撮像した場合、RGBの画像で画素数(画像サイズ)が異なることになる。なお、ライン方向における画素サイズは同じとなっている。
【0045】
露光時間が長くなるほど、受光画素に蓄積される検出光量は多くなるが、解像度は下がる。色毎にラインセンサのラインレートを変えることで、RGBのそれぞれで感度が高くなる露光時間に合わせることができる。例えば、低反射率のRでは、第1ラインセンサ31が高感度での検出を行うことができる。高反射率のBでは、第3ラインセンサ33が高感度かつ高分解能での検出を行うことができる。
【0046】
また、第1ラインセンサ31~第3ラインセンサ33が同時に照明領域からの反射光を検出している。よって、RGBの3つの画像を同時に撮像することができ、撮像時間を短縮することができる。色毎に適切な分解能を保ちつつ、高速な撮像が可能となる。よって、短時間で検査を行うことができる。
【0047】
処理部50は、RGBの画像毎に検査を行う。複数色の撮像画像に基づいて試料Sを検査することができるため、精度の高い検査が可能となる。撮像画像を用いた検査については特に限定されるものではない。つまり、試料Sの検査については、既知の手法、アルゴリズムを用いることができる。例えば、処理部50は、撮像画像を参照画像と比較することで欠陥検査等を行う。あるいは、処理部50は、同一パターンの撮像画像同士を比較することで欠陥検査を行う。このようにすることで、パターン欠陥や異物検査などを行うことができる。
【0048】
また、多層の膜が積層されている試料Sにおいて、特定の膜のみの膜剥がれを検出することが可能となる。つまり、膜毎に反射率が異なるため、複数色の撮像画像を用いることで、膜毎に剥がれを検出することができる。本実施の形態にかかる検査装置100は、複数の薄膜が積層されている半導体装置の検査に好適である。
【0049】
また、欠陥検査のアルゴリズムとして、ディープラーニングなどの機械学習を用いることができる。処理部50は、撮像画像に画像解析用のフィルタを用いてもよい。処理部50は、色毎に異なるフィルタを用意して検査を行うことができる。処理部50は、色毎に異なるフィルタを適用して学習させる。よって、色毎に画像サイズが異なっていても、それぞれの撮像画像に基づいて、高い精度で検査することができる。
【0050】
第1ラインセンサ31~第3ラインセンサ33の露光時間は、試料Sの反射率に応じて予め設定しておけばよい。また、第1ラインセンサ31~第3ラインセンサ33の少なくとも一つは、露光時間が固定されているラインセンサを用いても良い。この場合、試料Sの反射率に応じて適した露光時間を有するラインセンサを用いれば良い。あるいは、露光時間が可変のラインセンサを用いてもよい。この場合、処理部50等が試料Sに応じた露光時間に変更することができる。あるいは、ユーザが露光時間を調整してもよい。
【0051】
なお、上記の実施の形態では、RGBの3つ画像を撮像したが、撮像する画像は2つ以上であればよい。つまり、第1の波長帯域の反射光を検出する第1ラインセンサの検出結果に応じて第1の撮像画像を撮像し、第2の波長帯域の反射光を検出する第2ラインセンサの検出結果に応じて第2の撮像画像を撮像すればよい。また、第1の波長帯域の光の反射率が第2の波長帯域の光の反射率よりも低くなっているとすると、第1の露光時間が前記第2の露光時間よりも長くなるようにする。これにより、異なる波長帯域での撮像画像を適切な検出感度で撮像することができる。なお、第1の波長帯域と第2の波長帯域は、完全に異なる波長帯域に限らず、一部重複していてもよい。あるいは、第1の波長帯域の全て又は一部が第2の波長帯域に含まれていてもよい。
【0052】
高反射率の色は、露光時間が短くなり、低反射率の色は、露光時間が長くなる。2つラインセンサにおいて、露光周期(ラインレート)が異なっている。高反射率の色は、高ラインレートで分解能が高くなる。低反射率の色は、低ラインレートで分解能が低くなる。よって、反射率に応じて露光時間を設定すればよい。また、ラインセンサ毎に検出帯域幅が異なっていてもよい。この場合、検出帯域幅に応じて露光時間を設定しても良い。
【0053】
また、3つの波長帯域に限らず、4つ以上の波長帯域の画像を撮像してもよい。例えば、第1~第4の波長帯域を検出するように4つのラインセンサを設けても良い。また、RGB以外の色の画像を撮像しても良い。
【0054】
なお、上記の説明では、ダイクロイックミラー15、及びダイクロイックミラー16により、反射光L2を分岐したが、これ以外の方法で分岐しても良い。例えば、ハーフミラー、各種ビームスプリッタやプリズムで反射光を分岐しても良い。この場合、分岐された反射光の光路にカラーフィルタなどを配置すれば良い。第1ラインセンサ31~第3ラインセンサ33は、一体的に形成された3ラインカメラであってもよい。
【0055】
なお、図1では、試料Sに対する第1ラインセンサ31及び第2ラインセンサ32の検出位置を相対的に移動させる走査機構として駆動ステージ40を用いている。しかしながら、駆動ステージ40以外の走査機構により操作を行ってもよい。例えば、光源11、ビームスプリッタ12、及び対物レンズ13を含む光学系を駆動する駆動手段を走査機構としてもよい。
【0056】
さらに、センサのビニング動作よりも、柔軟に画素サイズを設定することができる、つまり、センサのビニング動作では、異なる画像の画素サイズが整数倍に限定されてしまう。これに対して、本実施形態では、露光時間は整数倍以外の値を設定することができるため、異なる画像の画素サイズは整数倍に限られない。
【0057】
また、異なる周期の画像を組み合わせることで、パターンのモアレの影響を低減することができる。さらに、位相のずれた画像が得られるため、超解像技術に応用することができる。
【0058】
処理部50の処理のうちの一部又は全部は、コンピュータプログラムによって実行されてもよい。上述したプログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)を用いて格納され、コンピュータに供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記録媒体(tangible storage medium)を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記録媒体(例えばフレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ)、光磁気記録媒体(例えば光磁気ディスク)、CD-ROM(Read Only Memory)、CD-R、CD-R/W、半導体メモリ(例えば、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM、RAM(Random Access Memory))を含む。また、プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体(transitory computer readable medium)によってコンピュータに供給されてもよい。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号、光信号、及び電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線及び光ファイバ等の有線通信路、又は無線通信路を介して、プログラムをコンピュータに供給できる。
【0059】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明はその目的と利点を損なうことのない適宜の変形を含み、更に、上記の実施形態による限定は受けない。
【符号の説明】
【0060】
100 検査装置
11 光源
12 ビームスプリッタ
13 対物レンズ
15 ダイクロイックミラー
16 ダイクロイックミラー
21 レンズ
22 レンズ
23 レンズ
31 第1ラインセンサ
32 第2ラインセンサ
33 第3ラインセンサ
40 駆動ステージ
50 処理部
Pr Rの画素
Pg Gの画素
Pb Bの画素
S 試料
図1
図2
【手続補正書】
【提出日】2024-12-04
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0040
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0040】
処理部50は、第1ラインセンサ31の検出信号に基づいて、試料SのRの画像を生成する。処理部50は、第2ラインセンサ32の検出信号に基づいて、試料SのGの画像を生成する。処理部50は、第3ラインセンサ33の検出信号に基づいて、試料SのBの画像を生成する。各ラインセンサからの検出信号に基づいて、処理部50は、異なる波長帯域の画像を生成する。さらに、処理部50は、RGBのそれぞれの検出信号を合成することカラー画像を生成しても良い。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0055
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0055】
なお、図1では、試料Sに対する第1ラインセンサ31及び第2ラインセンサ32の検出位置を相対的に移動させる走査機構として駆動ステージ40を用いている。しかしながら、駆動ステージ40以外の走査機構により走査を行ってもよい。例えば、光源11、ビームスプリッタ12、及び対物レンズ13を含む光学系を駆動する駆動手段を走査機構としてもよい。