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  • 特開-抗疲労剤 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025036531
(43)【公開日】2025-03-14
(54)【発明の名称】抗疲労剤
(51)【国際特許分類】
   A23L 33/175 20160101AFI20250306BHJP
   A23L 33/105 20160101ALI20250306BHJP
   A61K 31/198 20060101ALI20250306BHJP
   A61P 3/02 20060101ALI20250306BHJP
【FI】
A23L33/175
A23L33/105
A61K31/198
A61P3/02
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024228198
(22)【出願日】2024-12-25
(62)【分割の表示】P 2021503654の分割
【原出願日】2020-03-05
(31)【優先権主張番号】P 2019040335
(32)【優先日】2019-03-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】391007356
【氏名又は名称】備前化成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100124431
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 順也
(74)【代理人】
【識別番号】100174160
【弁理士】
【氏名又は名称】水谷 馨也
(74)【代理人】
【識別番号】100175651
【弁理士】
【氏名又は名称】迫田 恭子
(72)【発明者】
【氏名】高柳 勝彦
(57)【要約】
【課題】疲労回復促進効果を簡便且つ十分に享受し得る抗疲労剤を提供する。
【解決手段】S-アリルシステインを有効成分とする、抗疲労剤。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
S-アリルシステインを有効成分とする、抗疲労剤。
【請求項2】
前記S-アリルシステインがアリウム属植物に由来する、請求項1に記載の抗疲労剤。
【請求項3】
日常生活で生じる疲労の回復を促進する、請求項1又は2に記載の抗疲労剤。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載の抗疲労剤を含む、抗疲労用飲食品。
【請求項5】
請求項1~3のいずれか1項に記載の抗疲労剤を含む、抗疲労用医薬品。
【請求項6】
請求項1~3のいずれか1項に記載の抗疲労剤を含む、食品添加物又は調味料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抗疲労剤に関する。また、本発明は、当該抗疲労剤を利用した、抗疲労用飲食品、抗疲労用医薬品、食品添加物又は調味料に関する。
【背景技術】
【0002】
厚生労働省が平成14年度に実施した労働者健康状況調査によると、「普段の仕事で疲れる」とする労働者は72.2%にのぼり、日本において多くの労働者が疲労を自覚していることが確認され、平成31年の現在においてもこの状況は変わっていない。疲労は作業能率の減退状態と定義されることからも、疲労に起因した社会的損失は大きく、疲労に効果のある食品を開発することの意義は非常に大きい。
【0003】
抗疲労作用のある食品成分としては、古くから、カフェインには抗疲労効果があるといわれ、ドリンク剤等に配合されている(特許文献1)。しかしカフェインの抗疲労効果は興奮作用によるものであり、根本的に疲労を回復させるものではない。またその興奮作用から、過剰な摂取に対する注意が必要という欠点がある。
【0004】
また、近年ではイミダゾールジペプチドに抗疲労効果が発見され、例えば鯨肉由来のイミダゾールジペプチドの抗疲労効果が報告されている(非特許文献1)。しかし本報告では抗疲労効果を発揮する摂取量は400mgと記載されており、サプリメント等から摂取するには困難な量である。
【0005】
抗疲労や滋養強壮効果のある食品としては、にんにくが知られており、にんにく抽出液の抗疲労効果を報告している(非特許文献2)。この報告では抽出液に含まれる成分として糖類、アミノ酸類、硫黄化合物などを記載しているが、どの成分が抗疲労に寄与しているかは明らかになっていなかった。
【0006】
また、近年、にんにくを加熱熟成させた黒にんにくが健康食品として認知を拡げており、高麗人参と併用した抗疲労食品が報告されている(特許文献2)。しかしながら、この報告での摂取期間は2日であり、長期に渡って抗疲労効果を発揮しうるものかは確認されていない。
【0007】
また、にんにくを独自の方法で加熱熟成させたものに疲労感の蓄積予防効果が報告されている(特許文献3)。しかしながら、本報告では抗疲労効果を発揮する摂取量は、加熱熟成ニンニクエキスとして1日5gと記載されており、毎日、簡便に摂取することは困難である。また、本報告では、疲労感の蓄積予防効果が報告されているに過ぎず、加熱熟成ニンニクエキスについて、疲労からの回復させる効果があることについて評価されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平09-059161号公報
【特許文献2】特許第5601747号
【特許文献3】特開2018-70602号公報
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】薬理と治療,41,p879
【非特許文献2】基礎と臨床 20(16) 111-127
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
前記の通り、従来、にんにくなどの抗疲労効果が報告されているが、具体的にどの成分が抗疲労効果を発揮しているのかが明らかではなく、また、抗疲労効果の中でも特に疲労回復促進効果を簡便且つ十分に享受することはできなかった。
【0011】
本発明は、疲労回復促進効果を簡便且つ十分に享受し得る抗疲労剤を提供することを主な目的とする。また、本発明は、当該抗疲労剤を利用した、抗疲労用飲食品、抗疲労用医薬品、食品添加物又は調味料を提供することも目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者等は、にんにくに由来する抗疲労成分について鋭意検討を重ねたところ、熟成にんにく中に含まれるS-アリルシステインが、優れた疲労回復促進効果を発揮することを見出した。本発明は、これらの知見に基づいて、さらに検討を重ねることにより完成された発明である。
【0013】
すなわち、本発明は、下記に掲げる態様の発明を提供する。
項1. S-アリルシステインを有効成分とする、抗疲労剤。
項2. 前記S-アリルシステインがアリウム属植物に由来する、項1に記載の抗疲労剤。
項3. 日常生活で生じる疲労の回復を促進する、項1又は2に記載の抗疲労剤。
項4. 項1~3のいずれか1項に記載の抗疲労剤を含む、抗疲労用飲食品。
項5. 項1~3のいずれか1項に記載の抗疲労剤を含む、抗疲労用医薬品。
項6. 項1~3のいずれか1項に記載の抗疲労剤を含む、食品添加物又は調味料。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、疲労回復促進効果を簡便且つ十分に享受し得る抗疲労剤を提供することができる。また、本発明は、当該抗疲労剤を利用した、抗疲労用飲食品、抗疲労用医薬品、食品添加物又は調味料を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】試験例1におけるビジュアルアナログスケール(VAS)の評価結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の抗疲労剤は、S-アリルシステインを有効成分とすることを特徴とする。本発明の抗疲労剤は、疲労回復促進効果を発揮することができる。以下、本発明の抗疲労剤について説明する。
【0017】
前述の通り、古くから、ニンニク等のアリウム属の植物には、疲労回復効果や精力向上効果があることなどが知られていたが、ニンニク等のアリウム属の植物に含まれるS-アリルシステインの含有量はごく微量である。これに対して、本発明の抗疲労剤は、S-アリルシステインを有効成分として含んでおり、これを摂取することで疲労回復促進効果を簡便且つ十分に享受し得る。本発明の抗疲労剤は、疲労回復を促進する抗疲労剤として特に有効である。
【0018】
S-アリルシステイン
S-アリルシステインの天然物は、一般に、下記一般式で示される構造を有する。
【化1】
【0019】
本発明の抗疲労剤に含まれるS-アリルシステインは、上記構造を有するS-アリルシステインの他、これの光学異性体であってもよいし、各光学異性体の混合物であってもよい。
【0020】
本発明の抗疲労剤に含まれるS-アリルシステインは、アリウム属の植物等に由来するものであってもよいし、化学合成されたものであってもよい。
【0021】
アリウム属の植物としては、特に制限されないが、S-アリルシステインの原料となるアリインなどの含硫アミノ酸の含有量が多いことから、ニンニク、タマネギ、ギョウジャニンニク、ヒメニラ、ニラ、カンケイニラ、イトラッキョウ、キイイトラッキョウ、ミヤマラッキョウ、ノビル、ヤマラッキョウ、アサツキ、エゾネギ、ヒメエゾネギ、シブツアサツキ、シロウマアサツキ、イズアサツキ、ツリーオニオン、ネギ、ワケギ、リーキ、ラッキョウ、シマラッキョウ、エシャロット、青ネギ、チャイブ、ヤグラネギ、白ネギなどが挙げられる。これらの中でも、アリインなどの含硫アミノ酸を高濃度に含む観点から、ニンニク(Allium sativum L.)、タマネギ(Allium cepa L.)、アサツキ(Allium schoenoprasum L.)、ラッキョウ(Allium chinense G.Don)、ギョウジャニンニク(Allium victorialis subsp. platyphyllum)などが好ましく、ニンニク(Allium sativum L.)がより好ましい。S-アリルシステインは、1種類単独のアリウム属の植物に由来していてもよいし、2種類以上のアリウム属の植物に由来していてもよい。
【0022】
前述の通り、アリウム属の植物自体には、S-アリルシステインはほとんど含まれていないため、S-アリルシステインを増加させる処理を施していないアリウム属の植物は、本発明の抗疲労剤とすることはできない。また、加熱熟成ニンニクエキスでは、S-アリルシステインが増加されているが、優れた疲労回復促進効果を発揮するためには、加熱熟成ニンニクエキスを多量に摂取する必要があり、疲労回復促進効果を簡便且つ十分に享受することは困難である。
【0023】
アリウム属の植物に含まれるS-アリルシステインの含有量を増加させる方法としては、特に制限されず、公知の方法を採用することができる。例えばアリウム属の植物に含まれるアリインにシステインを作用させることでS-アリルシステインの含有量を効率的に増加させることができる(特許第5612786号)。またアリシンと、L-シスチンとを、アルカリ土類金属水酸化物及びアルカリ土類金属酸化物と共存させることでもS-アリルシステインを増加させることができる。このような方法によりS-アリルシステインの含有量が増加されたアリウム属の植物は、S-アリルシステインを有効成分とする優れた抗疲労剤とすることができる。
【0024】
原料となるアリインまたはアリシンとは、含硫アミノ酸の一種であり、例えば、ニンニク、タマネギなどのアリウム属の植物に広く含まれている。アリインまたはアリシンとしては化学合成物を原料として用いてもよいし、アリインまたはアリシンを含む素材の抽出物、精製物といった工業的加工物などを原料として用いてもよい。さらに、アリインまたはアリシンを含む素材の粉砕物、ペーストなどの一次加工物を用いてもよい。
【0025】
アリインまたはアリシンを含む素材としては、特に制限されないが、アリインまたはアリシンの含有量が多いことから、好ましくはアリウム属の植物、アリウム属の植物の搾汁、及びアリウム属の植物の抽出物などが挙げられる。なお、アリウム属の植物、アリウム属の植物の搾汁、及びアリウム属の植物の抽出物は、後述の通り、内在するアリイナーゼ活性が維持されたもの用いることが望ましい。すなわち、本発明の製造方法において、アリインを含む素材を用いる場合、内在するアリイナーゼが維持された、アリウム属の植物、アリウム属の植物の搾汁、アリウム属の植物の抽出物などを用いることが好ましい。またアリイナーゼが不活化されたアリイン含有素材用いる場合には、アリイナー活性有する素材と混合することが好ましい。アリウム属の植物としては、700種類以上が知られており、アリインまたはアリシンを含むものであればいずれを素材として用いてもよい。アリウム属の植物の具体例としては、ニンニク、タマネギ、ギョウジャニンニク、ヒメニラ、ニラ、カンケイニラ、イトラッキョウ、キイイトラッキョウ、ミヤマラッキョウ、ノビル、ヤマラッキョウ、アサツキ、エゾネギ、ヒメエゾネギ、シブツアサツキ、シロウマアサツキ、イズアサツキ、ツリーオニオン、ネギ、ワケギ、リーキ、ラッキョウ、シマラッキョウ、エシャロット、青ネギ、チャイブ、ヤグラネギ、白ネギなどが挙げられる。これらの中でも、アリインまたはアリシンなどの含硫アミノ酸を高濃度に含む観点から、ニンニク(Allium sativum L.)、タマネギ(Allium cepa L.)、アサツキ(Allium schoenoprasum L.)、ラッキョウ(Allium chinense G.Don)、ギョウジャニンニク(Allium victorialis subsp. platyphyllum)などが好ましく、ニンニク(Allium sativum L.)がより好ましい。
【0026】
アリウム属の植物は、S-アリルシステインの生成を促進することなどを目的として、切断、破砕、磨砕等の処理をしてから、次工程に供してもよい。アリウム属の植物の切断物、破砕物、磨砕物は、例えば、当該植物をクラッシャー、ミキサー、フードプロセッサー、パルパーフィッシャーなどを用いて切断、破砕、磨砕することによって得られる。また、アリウム属の植物の搾汁は、例えばフィルタープレス、ジューサーミキサーなどを用いて調製することができる。搾汁は、上記磨砕物を、濾布などを用いて濾過することによっても調製することができる。アリウム属の植物の切断物、破砕物、磨砕物、及び搾汁は、希釈物または濃縮物であってもよい。希釈物としては、例えば、当該植物の切断物、破砕物、磨砕物、搾汁などを水で1~50倍程度に希釈したものが挙げられる。また、濃縮物としては、例えば、当該植物の切断物、破砕物、磨砕物、搾汁などを凍結濃縮、減圧濃縮などの手段によって1~100倍に濃縮したものなどが挙げられる。アリウム属の植物の切断物、破砕物、磨砕物、搾汁は、冷凍したものであってもよい。アリウム属の植物の抽出物は、前述のアリウム属の植物や当該切断物等を、例えば水などの溶媒により抽出することにより得ることができる。
【0027】
上記のアリウム属の植物およびその加工物は、アルカリ性条件化で温度20℃~75℃の環境下に1時間以上置く(インキュベート工程)ことで、アリインからS-アリルシステインへの変換反応が進行し、S-アリルシステインの含有量を増加させることができる。
【0028】
インキュベート工程において、S-アリルシステインの生成をより一層向上させる観点から、pHを8以上にすることが好ましく、更に好ましくは10以上、より好ましくは11以上とすることが挙げられる。
【0029】
pHを調整する方法としては特に制限されないが、例えば、酸成分またはアルカリ成分を、アリイナーゼを失活させたアリウム属の植物に添加する方法などが挙げられる。酸成分としては、特に制限されず、塩酸などが挙げられる。また、アルカリ成分としては、特に制限されず、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ性液体が挙げられる。またアルカリ土類金属水酸化物及びアルカリ土類金属酸化物などの固形物を用いてもよい。酸成分及びアルカリ成分は、それぞれ、1種類単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
【0030】
また、インキュベート工程における温度としては、好ましくは20℃~75℃程度、より好ましくは25℃~65℃程度、さらに好ましくは30℃~60℃程度が挙げられる。また、前述のインキュベート工程の環境下に置く時間としては、使用する原料の種類、量などによっても異なるが、好ましく0.1時間~48時間程度、より好ましくは0.2時間~24時間、更に好ましくは0.5時間から12時間程度が挙げられる。S-アリルシステインの生成は、攪拌しながら行ってもよいし、静置して行ってもよい。攪拌方法としては、特に制限されず、例えば、攪拌羽、ミキサー、スターラーなどを用いて攪拌する方法が挙げられる。
【0031】
さらに、インキュベート工程の前、工程中、工程後に、S-アリルシステインの生成を促進する酵素や添加剤を混合してよい。またS-アリルシステインの生成や生成したS-アリルシステインの安定性を損なわない範囲において、反応物の物性や取扱い性の改善を目的とした酵素や添加剤を混合してもよい。
【0032】
酵素としては、S-アリルシステインの生成を促進するものであれば特に限定されず、好ましくは、プロテアーゼ活性、ラクターゼ活性、ペプチダーゼ活性、マセレーション活性、グルタミナーゼ活性、γ-グルタミルトランスペプチダーゼ活性を有する酵素が挙げられる。これらの中でも、グルタミナーゼ活性またはγ-グルタミルトランスペプチダーゼ活性を主たる活性とする酵素は、S-アリルシステインの生成を促進する効果が特に高いため好ましい。
【0033】
酵素の具体例としては、天野エンザイム製「ビオラクタFN5」、「ビオラクタN5」、「プロレザーFG-F」、「プロチンSD-PC10F」、「プロチンSD-AY10」、「プロチンSD-NY10」、「プロテアーゼM」、「ペプチダーゼR」、「ペクチナーゼA」、「ニューラーゼF3G」、「パンクレアチンF」、「プロテアーゼA」、「リパーゼR」、「リパーゼA」、「プロテアーゼP」、「プロテアーゼN」、「プロテアーゼS」、「プロチンAC10F」、「グルタミナーゼ」、キッコーマン製「ペクトリアーゼ」、協和化成製「セルラーゼTP2協和」、合同酒精製「GODO AGI-EC」、三菱化学フーズ製「コクラーゼ」、シイベルヘグナー製「Rapidase」、新日本化学工業製「スミチームAGS-L」、「スミチームAC-L」、「スミチームCTS」、「スミチームCM-G」、「スミチームKDC」、「スミチームC6000」、「スミチームAP」、「スミチームFP」、「スミチームLPL」、「スミチームLP50」、「スミチームBGT」、「スミチームRP」、「スミチームGML」、「スミチームTG」、エイチ・ビイ・アイ製「オリエンターゼ22BF」、「セルロシンAC40」、「セルロシンHC100」、「セルロシンTP25」、「セルロシンHC」、「オリエンターゼ20A」、「オリエンターゼ5BL」、(株)日本生物.科学研究所製「納豆菌培養エキスNSK-SD」、ノボザイム製「ガマナーゼ」、ペプチド研究所製「WSCDHCL」、ヤクルト薬品工業製「ペクチナーゼHL」、「セルラーゼY-NC」、「セルラーゼオノヅカRS」、「セルラーゼオノヅカR-10」、「マセロチームR-10」などが挙げられる。酵素は、1種類単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
【0034】
また、添加剤としては、S-アリルシステインの生成活性を有するものであれば特に限定されず、好ましくは、システイン、シスチン、グルタチオンなどが挙げられる。
【0035】
システインとは含硫アミノ酸の一種であり、2-アミノ-3-スルファニルプロピオン酸である。システインとしてはシステインを含む素材、システインを含む素材から抽出したシステインの抽出物若しくは精製物を用いてもよい。天然に存在するシステインとしては、L体が広く存在するが、L体の他、これの光学異性体(D体)であってもよいし、各光学異性体の混合物であってもよい。また、化学合成されたシステインを用いてもよいし、後述するシスチンを還元したものを用いてもよい。
【0036】
上記システインのうち、入手容易性の観点から、試薬、医薬品成分、食品成分などとして市販されているシステインの精製物を用いることが好ましい。なお、システインを含む素材としては、システインを含むものであれば特に制限されないが、例えば、オート麦、小麦胚芽、芽キャベツ、ブロッコリーなどが挙げられる。
【0037】
また、シスチンは、2分子のシステインがチオール基(-SH)の酸化によって生成するジスルフィド結合(-S-S-)を介してつながった構造を有することから、該シスチンを還元することにより得られたシステインを用いてもよい。また、シスチンは、シスチン(L体)の他、これの光学異性体(D体)であってもよいし、各光学異性体の混合物であってもよい。
【0038】
L-シスチンは、一般的に、試薬、医薬品成分、食品成分などに使用可能な精製物が容易に入手可能であり好ましい。
【0039】
シスチンは、酸化還元電位を下げるような化合物や還元作用を有する化合物と共存させることにより還元されてシステインに変換される。酸化還元電位を下げるような化合物としてはアルカリ土類金属水酸化物やアルカリ土類金属酸化物などが、還元作用を有する化合物としてはグルタチオンなどがあげられる。
【0040】
グルタチオンは、グルタミン酸、システイン、グリシンの3つのアミノ酸からなるトリペプチドである。グルタチオンを多量に含有する食品としては、牛レバー、豚バラ肉、牛乳、カキ、イワシ、マダラ、シャケ、赤貝、トマト、ホウレンソウ、ブロッコリー、エンドウマメ、芽キャベツ、生キャベツ、キウイフルーツ、アボカド、米胚芽、小麦粉、パン酵母、酵母などがあり、グルタチオン自体だけでなく、グルタチオンを含む上記食品すべてを用いることができる。中でも、グルタチオンを高濃度に含むという観点から、酵母が好ましい。グルタチオンの形態としては、グルタチオンを含む素材をそのまま用いても良いし、さらにグルタチオンの濃度を高めるために、水抽出、熱水抽出、精製などの工程を経たものでもよい。
【0041】
グルタチオンには、還元型と酸化型(還元型グルタチオン2分子がジスルフィド結合したもの)があり、いずれも用いることができるが、反応性の観点から、還元型が好ましい。
【0042】
以上例示された酵素または添加剤を用いる場合、それぞれ単独で用いてもよいし、これらを併用してもよい。
【0043】
本発明においては、S-アリルシステインを増加させた反応生成物をそのまま抗疲労剤とすることもできるし、反応生成物に対して、さらに、濾過、遠心分離、濃縮、抽出、乾燥等のうち少なくとも1つの工程を行って、S-アリルシステインの含有量をさらに高める工程を行い、抗疲労剤としてもよい。また、抗疲労剤中のS-アリルシステインの純度を高めるために、カラムクロマトグラフィー、再結晶等の通常の精製操作によって、S-アリルシステインを精製する精製工程を行うこともできる。さらに、反応生成物を、フリーズドライ、スプレードライなどの公知の乾燥手段によって乾燥させて固形物(粉末、顆粒など)とすることもできる。本発明の抗疲労剤は、S-アリルシステインを含む反応混合物や、S-アリルシステインの精製物を、医薬品、医薬部外品、飲食品、飼料、健康食品などの抗疲労剤として好適に使用することができる。
【0044】
また、本発明において、S-アリルシステインを有効成分として含む抗疲労剤は、S-アリルシステインを有効成分として含む身体機能回復剤等としても、好適に使用することができる。
【0045】
S-アリルシステインの含有量、適用量、摂取するタイミング
本発明の抗疲労剤に含まれるS-アリルシステインの含有量としては、優れた疲労回復促進効果を発揮する観点から、好ましくは0.0001g/100g以上、より好ましくは0.01g/100g以上、さらに好ましくは0.10g/100g以上が挙げられる。なお、本発明の抗疲労剤に含まれるS-アリルシステインの含有量の上限値としては、特に制限されないが、通常、10g/100g程度が挙げられる。
【0046】
また、本発明の抗疲労剤の適用量については、使用される製品の種類、用途、期待される効果、適用形態等に応じて適宜設定すればよい。例えば、S-アリルシステインの成人1日当たりの摂取又は投与量が0.0001~3g、好ましくは0.0005~2g、さらに好ましくは0.001~1gとなるように設定すればよい。S-アリルシステインの成人1日当たりの摂取又は投与量がこのような範囲になるようにして、好ましくは0.0001g/100g以上、より好ましくは0.01g/100g以上、さらに好ましくは0.10g/100g以上のS-アリルシステインの含有量が含まれる本発明の抗疲労剤を摂取又は投与することが好ましい。
【0047】
また、本発明の抗疲労剤を摂取するタイミングについては、優れた疲労回復促進効果を発揮する観点から、疲労を生じさせる行動の前(例えば、運動前)の摂取が好ましい。
【0048】
抗疲労剤の用途
本発明の抗疲労剤は、S-アリルシステインの作用によって、自律神経機能を正常な状態に調整することができるので、疲労からの回復に好適に使用される。本発明の抗疲労剤は、日常生活で生じる疲労の回復を促進することができ、例えば健常者の疲労を好適に改善することができる。
【0049】
抗疲労剤の使用形態
本発明の抗疲労剤の適用形態については、特に制限されないが、例えば、経口、経皮、経腸、経粘膜、経静脈、経動脈、皮下、筋肉内等の任意の適用形態で使用できるが、抗疲労作用をより簡便かつ有効に発揮させるという観点から、好ましくは、経口適用が挙げられる。
【0050】
本発明の抗疲労剤は、任意の適用形態で使用して抗疲労作用を発揮できるので、飲食品、医薬品、食品添加物、調味料、飼料、ペットフード等の各種製品に配合して使用することができる。なお、前記の通り、特許文献3に記載されたような、加熱熟成ニンニクエキスを、毎日5gも摂取することは困難であるため、本発明の抗疲労剤には加熱熟成ニンニクエキスは包含されないことが好ましく、また、本発明の抗疲労剤を含む飲食品などにも、加熱熟成ニンニクエキスは包含されないことが好ましい。
【0051】
また、本発明の抗疲労剤が配合される製品の剤型は、固形状、半固形状、液状等のいずれであってもよく、当該製品の種類や用途に応じて適宜設定される。本発明の抗疲労剤が配合される製品には、その形態等に応じて、本発明の効果を損なわない範囲内で、水、油脂類、ロウ類、炭化水素類、脂肪酸類、高級アルコール類、エステル類、植物抽出エキス類、水溶性高分子、界面活性剤、金属石鹸、アルコール、多価アルコール、pH調整剤、酸化防止剤、紫外線防止剤、防腐剤、香料、粉体、増粘剤、色素、キレート剤等の添加剤を含有しても良い。また、本発明の抗疲労剤が配合される製品には、その形態や用途等に応じて、本発明の効果を損なわない範囲で、他の成分を配合しても良い。他の成分としては、例えば、スクワラン、ナイアシン、ナイアシンアミド、長鎖ヒアルロン酸、プラセンタエキス、ソルビトール、キチン、キトサン、各種植物抽出物、クエン酸、ビタミンA,C,E,P、カロテノイド類(アスタキサンチン、β-クリプトキサンチン、リコペンなど)、カテキン類(エビガロカテキンガレートなど)、ポリフェノール類(アントシアニン、カカオポリフェノールなど)、ペプチド類(イミダゾールジペプチド、BCAAなど)、CoQ10、α-リポ酸の他、アミノレブリン酸・GABA・テアニンなど、単純アミノ酸でないアミノ酸類等が挙げられる。これらの配合量については、本発明の効果を損なわない限り限定されない。
【0052】
本発明の抗疲労剤を飲食品に使用する場合、S-アリルシステインを、そのまま又は他の食品素材や添加成分と組み合わせて所望の形態に調整して、前記所望の効果を奏する抗疲労用飲食品として提供される。このような飲食品としては、一般の飲食品の他、特定保健用食品、栄養補助食品、機能性食品、病者用食品等が挙げられる。また、本発明の抗疲労剤を含む、疲労回復用や疲労感の低減用の飲食品などとすることもできる。これらの飲食品の形態として、特に制限されないが、具体的にはパン類、麺類等の主菜;チーズ、ハム、ウインナー、魚介加工品等の副菜;果汁飲料、炭酸飲料、乳酸飲料等の飲料;クッキー、ケーキ、ゼリー、アイス、プリン、キャンディー、ヨーグルト等の嗜好品;錠剤、顆粒、粉剤、カプセル、ソフトカプセル、栄養ドリンク等のサプリメント等が例示される。これらの飲食品は、前述する用途に供することが出来る。また、前記病者用食品は、疲労の治療が必要とされる患者用として提供される。
【0053】
本発明の抗疲労剤を飲食品に使用する場合、飲食品に対する該抗疲労剤の配合量については、飲食品の形態等に応じて異なるが、例えば、S-アリルシステインが0.0001~10質量%、好ましくは0.005~5質量%、更に好ましくは0.001~1質量%となる範囲が挙げられる。
【0054】
更に、本発明の抗疲労剤を飲食品の分野で使用する場合、本発明の抗疲労剤を単独で、又は他の成分と組み合わせて、抗疲労用の食品添加物や調味料など(以下、食品添加物等)として提供することもできる。本発明の抗疲労剤を食品添加物等として使用する場合、当該食品添加物等中のS-アリルシステインの含有量、飲食品に対する当該食品添加物等の添加量等は、添加対象となる飲食品中でS-アリルシステインが前述する含有量を充足できるように適宜設定すればよい。
【0055】
また、本発明の抗疲労剤を医薬品に使用する場合、本発明の抗疲労剤を単独で、又は他の薬理活性成分、薬学的に許容される基剤や添加成分等と組み合わせて所望の形態に調整して、前記所望の効果を奏する抗疲労用医薬品として提供される。このような医薬品の形態としては、特に制限されないが、具体的には、錠剤、顆粒剤、粉剤、カプセル剤、ソフトカプセル剤、シロップ剤等の経口投与製剤;液剤、軟膏剤、クリーム剤、ゲル剤、噴霧剤、貼付剤、吸入剤、坐剤等の経皮又は経粘膜投与製剤;注射剤等が挙げられる。
【0056】
本発明の抗疲労剤を医薬品として使用する場合、医薬品に対する該抗疲労剤の配合割合については、医薬品の形態等に応じて異なるが、例えば、経口投与製剤又は注射剤の場合であれば、S-アリルシステインが0.0001~10質量%、好ましくは0.0005~5質量%、更に好ましくは0.001~1質量%となる範囲が挙げられ、経皮又は経粘膜投与製剤の場合であれば、S-アリルシステインが0.0000001~10質量%、好ましくは0.00001~10質量%、更に好ましくは0.0001~10質量%となる範囲が挙げられる。
【0057】
また本発明の抗疲労剤を飼料又はペットフードに使用する場合、本発明の抗疲労剤を単独で又は他の飼料成分と組み合わせて所望の形態に調整して、前記所望の効果を奏する飼料又はペットフードとして提供される。該飼料又はペットフードに使用される飼料成分としては、例えば、トウモロコシ、小麦、大麦、ライ麦等の穀類;ふすま、米ぬか等のぬか類;コーングルテンミール、コーンジャムミール等の粕類;脱脂粉乳、ホエー、魚粉、骨粉等の動物性飼料類;ビール酵母等の酵母類;リン酸カルシウム、炭酸カルシウム等のカルシウム類;ビタミン類;アミノ酸類;糖類等が挙げられる。
【0058】
本発明の抗疲労剤を飼料又はペットフードとして使用する場合、飼料又はペットフードに対する該抗疲労剤の配合割合については、飼料又はペットフードの形態等に応じて異なるが、例えば、S-アリルシステインが0.000001~10質量%、好ましくは0.0001~5質量%、更に好ましくは0.001~1質量%となる範囲が挙げられる。
【実施例0059】
以下に、実施例及び比較例を示して本発明を詳細に説明する。ただし、本発明は、実施例に限定されない。実施例及び比較例中の測定方法は次の通りである。
【0060】
(HPLC分析条件)
カラム:Unison US-C18 5μm (250mm×4.6mm) インタクト株式会社製
カラム温度:45℃
移動相:[A液]10mM りん酸2水素カリウム緩衝液(pH2.5/りん酸)、[B液]アセトニトリル
流速:1mL/min
測定波長:210nm
【0061】
(実施例1)
皮をむいて台座を除去し、鱗片に分けたにんにく(品種名:福地ホワイト)250gに、等重量のイオン交換水を加えて市販の家庭用ジューサー(SUNVIGOR ジュースミキサー,SML-G22)で摩砕し、にんにくペーストを得た。にんにくペースト100質量部に対して、酸化マグネシウム(ナカライテスク製)6質量部と、L-シスチン(プロテインケミカル製)4質量部を、それぞれ添加し、更にイオン交換水をにんにく重量に対して2倍量を添加し、50~55℃に加温して攪拌した。酸化マグネシウム及びL-シスチン添加から6時間目にサンプリングを行い、サンプリング液中のS-アリルシステインの含有量をHPLC法で分析したところ、1.00g/kgのS-アリルシステイン(SAC)が生成していた。上記ペーストをろ過した後、ろ液に38gのマルトデキストリン(松谷化学工業株式会社)を添加して噴霧乾燥し、140gの粉末を得た。この粉末のS-アリルシステイン含有量を測定したところ、0.68g/100gであった。
【0062】
(実施例2)
実施例1で製造した粉末を用い、表1の被験食の組成を有するS-アリルシステイン含有ソフトカプセルを製造した。ソフトカプセルから内容物を回収し、回収物中のSAC含有量を測定した結果、1粒当たり、S-アリルシステインが1.0mg(2粒合計で2.0mg)含有されていた。なお、カプセル1粒の重量は、632mgである。
【0063】
(比較例1)
表1のプラセボの組成を有するS-アリルシステイン非含有ソフトカプセルを製造した。ソフトカプセルから内容物を回収し、回収物中のS-アリルシステイン含有量を測定した結果、S-アリルシステインは検出されなかった。
【0064】
【表1】
【0065】
(試験例1)
表1に示された各試験食(1日摂取量2粒の被験食及びプラセボ)を用いて、S-アリルシステインの疲労回復促進効果を評価した。具体的には、ヒト試験を、ランダム化二重盲検クロスオーバー試験として実施した。試験食摂取期間は4週間とし、2度の試験期間の間に4週間のウォッシュアウト期間を設けた。また季節効果を排除するため、試験食を先に摂取するグループとプラセボを先に摂取するグループの2群を設定した。
【0066】
本試験では30歳以上60歳以下の健常な男女24名を被験者とし、ランダムに2グループに割り付けた。2グループの性別、年齢、スクリーニング時のVAS(疲労感)スコア、身体作業負荷における負荷強度(Watt)は2グループ間で有意差はみられなかった。
【0067】
本試験は、株式会社総合医科学研究所に委託し、同社の倫理委員会承認を得て専門家の指導・監督下で実施された。摂取4週間後検査日には身体作業負荷を実施した。身体作業負荷は予め自転車エルゴメーターの漸増負荷により無酸素性作業閾値(AT: Anaerobic Threshold)を測定し、AT時心拍数の80%を目標心拍数とした4時間の自転車エルゴメーター漕ぎを実施し、負荷終了後には4時間の回復期間を設定した。
【0068】
なお、運動の強さと量に関し、厚生労働省「健康づくりのための運動指針2006」では、運動の強さを「メッツ」、メッツに時間を乗じたものを運動量「エクササイズ(Ex)」として簡易的に定量化し、強度4メッツ以上の活発な身体活動(運動・生活活動)を週23Ex以上実施することを推奨している。本試験では、運動量は、軽い自転車漕ぎであり、強度は3.0~4.0メッツに相当する。また、運動量は、4時間の運動であることから12~16Exとなる。これはゴルフの1ラウンドや、草むしり、犬の散歩の合計で2.5~3時間程度に相当する運動量であり、誰もが日常的に経験する程度の運動量である。
【0069】
疲労回復促進効果は、疲労感及び自律神経機能について評価した。疲労感は、ビジュアルアナログスケール(VAS)で評価し、スクリーニング時、運動負荷試験の負荷前、負荷2時間後、負荷4時間後、回復2時間後、回復4時間後に測定した。また、自律神経機能評価は、負荷前、負荷2時間後、負荷4時間後、回復2時間後および回復4時間後に、アルテットCDN((株)ユメディカ)を用いて加速度脈波を測定しa-a間隔の周波数解析により自律神経機能を評価した。
【0070】
<結果1:評価対象者>
24名のうち、自己都合脱落1名、身体作業負荷中の体調不良による試験中止1名、身体作業負荷4時間の前後でVASの疲労感の上昇がみられなかった1名、抗疲労の関与成分であるS-アリルシステインの血中レベルの上昇がみられなかった1名の4名を有効性評価の解析から除外し、20名を有効性評価の解析対象者とした。
【0071】
<結果2:ビジュアルアナログスケール(VAS)による疲労感の評価>
摂取4週間後検査日の負荷試験において、負荷開始前からのVAS変化を比較したところ、被験食群はプラセボ群と比較して、回復2時間後の疲労感が有意に低値であった(図1)。
【0072】
<結果3:自律神経機能>
自律神経機能評価において、被験食群はプラセボ群と比較して、LF-MEM、LF-FFTが負荷4時間後で有意な高値、HF-MEM、HF-FFTが回復4時間後で有意な低値であった(下表2:自律神経機能評価(加速度脈波a-a間隔の周波数解析)絶対値、下表3:自律神経機能評価(加速度脈波a-a間隔の周波数解析) 摂取4週間後来院時からの変化)。また負荷4時間後からの変化においてもLF/HF-FFTが回復2時間後で有意な低下、HF%-FFTが回復4時間後で有意な上昇がみられた(下表4:自律神経機能評価(加速度脈波a-a間隔の周波数解析)摂取4週間後検査日負荷4時間後からの変化)。
【0073】
LFは主に交感神経活動、HFは副交感神経活動を反映し、疲労状態では休息期にあっても副交感神経活動が上昇しないことによる交感神経活動優位な状態となることが報告されている。被験食群は、負荷4時間後で活動期に有利な交感神経活動優位な状態にあり、さらに回復期には休息期に有利は副交感神経活動優位な状態にあることから、被験食摂取によりそれぞれの状況に適した自律神経機能の状態に調節されていると考えられる。また、VASで認められた回復期における疲労感の回復促進は、自律神経機能の調節作用が関連していると考えられる。
【0074】
【表2】
【0075】
【表3】
【0076】
【表4】
図1