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特開2025-3671脳機能改善促進装置、脳機能改善促進システム、脳機能改善促進方法、脳機能改善促進プログラムおよび記録媒体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025003671
(43)【公開日】2025-01-09
(54)【発明の名称】脳機能改善促進装置、脳機能改善促進システム、脳機能改善促進方法、脳機能改善促進プログラムおよび記録媒体
(51)【国際特許分類】
   G16H 20/00 20180101AFI20241226BHJP
   A61B 10/00 20060101ALI20241226BHJP
   A61B 5/11 20060101ALI20241226BHJP
【FI】
G16H20/00
A61B10/00 H
A61B5/11 200
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024188938
(22)【出願日】2024-10-28
(62)【分割の表示】P 2024536023の分割
【原出願日】2024-03-08
(31)【優先権主張番号】P 2023040576
(32)【優先日】2023-03-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】520070806
【氏名又は名称】株式会社CogSmart
(74)【代理人】
【識別番号】100136098
【弁理士】
【氏名又は名称】北野 修平
(74)【代理人】
【識別番号】100137246
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 勝也
(74)【代理人】
【識別番号】100158861
【弁理士】
【氏名又は名称】南部 史
(74)【代理人】
【識別番号】100194674
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 覚史
(72)【発明者】
【氏名】瀧 靖之
(72)【発明者】
【氏名】樋口 彰
(72)【発明者】
【氏名】イマンクロヴァ アイジャン
(72)【発明者】
【氏名】片岡 洋樹
(72)【発明者】
【氏名】小林 恒輝
(57)【要約】
【課題】ユーザにとって適切な脳機能の低下抑制や改善を容易に促進することができる脳機能改善促進装置を提供する。
【解決手段】脳機能改善促進装置は、脳機能改善寄与運動強度計測部と、目標脳機能改善寄与運動強度算出部と、計測されたユーザの脳機能改善寄与運動強度が目標脳機能改善寄与運動強度以上となったか否かを判断する第1判断部と、ユーザの脳機能改善寄与運動強度が目標脳機能改善寄与運動強度以上となったと判断されれば、目標脳機能改善寄与運動強度以上となっている時間である継続時間を計測するよう制御する継続時間計測制御部と、継続時間の総計が目標時間に到達したと判断されれば、目標脳機能改善寄与運動強度算出部により算出された目標脳機能改善寄与運動強度、実際の関連するデータおよび時間と、表示データ生成部により生成された表示データを表示画面に表示するよう制御する表示制御部と、を含む。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの身体に装着可能であり、前記ユーザの脳機能の改善を促進する脳機能改善促進装置であって、
データを記憶する記憶部と、
データを表示する表示画面と、
時間を計測する時間計測部と、
前記ユーザの脳機能の改善に寄与する運動強度である脳機能改善寄与運動強度を経時的に計測する脳機能改善寄与運動強度計測部と、
前記ユーザにとって脳機能の改善を促進するために必要な目標運動強度として設定される目標脳機能改善寄与運動強度および所定の期限内に到達すべき目標時間を算出する目標脳機能改善寄与運動強度算出部と、
前記目標脳機能改善寄与運動強度算出部により算出された前記目標脳機能改善寄与運動強度および前記目標時間を設定する設定部と、
前記脳機能改善寄与運動強度計測部により計測された前記ユーザの脳機能改善寄与運動強度が前記設定部により設定された前記目標脳機能改善寄与運動強度以上となったか否かを判断する第1判断部と、
前記第1判断部により前記ユーザの脳機能改善寄与運動強度が前記目標脳機能改善寄与運動強度以上となったと判断されれば、前記時間計測部により前記目標脳機能改善寄与運動強度以上となっている時間である継続時間を計測するよう制御する継続時間計測制御部と、
前記所定の期限内に計測された前記継続時間の総計が前記設定部により設定された前記目標時間に到達したか否かを判断する第2判断部と、
前記第2判断部により前記継続時間の総計が前記目標時間に到達したと判断されれば、前記継続時間の総計が前記目標時間に達した旨を前記記憶部に記憶するよう制御する記憶制御部と、
前記第2判断部により前記継続時間の総計が前記目標時間に到達したと判断されれば、前記目標時間への到達に基づくデータを前記表示画面に表示する表示データを生成する表示データ生成部と、
前記目標脳機能改善寄与運動強度算出部により算出された前記目標脳機能改善寄与運動強度、実際の関連するデータおよび時間と、前記表示データ生成部により生成された前記表示データのうちの少なくともいずれか一方を前記表示画面に表示するよう制御する表示制御部と、を含む、脳機能改善促進装置。
【請求項2】
前記第2判断部は、前記継続時間が前記目標時間に到達したと判断されなければ、前記継続時間が前記目標時間よりも短い第1設定時間に到達したか否かを判断し、
前記記憶制御部は、前記第2判断部により前記継続時間が前記第1設定時間に到達したと判断されれば、前記第1設定時間に到達した旨を前記記憶部に記憶するよう制御し、
前記表示データ生成部は、前記第2判断部により前記継続時間が前記第1設定時間に到達したと判断されれば、前記第1設定時間への到達に基づくデータを前記表示画面に表示する表示データを生成する、請求項1に記載の脳機能改善促進装置。
【請求項3】
前記記憶制御部は、前記第2判断部により前記継続時間が前記第1設定時間に到達したと判断されれば、前記継続時間のデータを前記記憶部に記憶するよう制御する、請求項2に記載の脳機能改善促進装置。
【請求項4】
前記脳機能の改善は、認知症の進行の抑制、脳形態の負の変化を含む脳形態の萎縮の抑制および脳健康スコアの改善のうちの少なくともいずれか一つを含む、請求項1または請求項2に記載の脳機能改善促進装置。
【請求項5】
前記表示データ生成部は、前記時間計測部により計測された時間が所定のタイミングから一定期間内において、前記脳機能改善寄与運動強度計測部により計測された前記ユーザの脳機能改善寄与運動強度が、前記第1判断部により前記目標脳機能改善寄与運動強度以上となったと判断されなければ、その旨を表示する表示データを生成する、請求項1または請求項2に記載の脳機能改善促進装置。
【請求項6】
前記第1判断部による判断は、所定のタイミング毎にリフレッシュされる、請求項1または請求項2に記載の脳機能改善促進装置。
【請求項7】
前記目標脳機能改善寄与運動強度算出部は、Rule-basedモデル、機械学習モデルおよび深層学習モデルのうちの少なくともいずれか一つの手法を利用して前記目標脳機能改善寄与運動強度を算出する、請求項1または請求項2に記載の脳機能改善促進装置。
【請求項8】
前記目標脳機能改善寄与運動強度算出部は、引き続きまたは間断なく運動を行うという条件を満たしながら可能な限りの高い脳機能改善寄与運動強度である最適化目標脳機能改善寄与運動強度を前記目標脳機能改善寄与運動強度として算出する、請求項1または請求項2に記載の脳機能改善促進装置。
【請求項9】
前記脳機能改善寄与運動強度は、酸素摂取量、消費カロリー、歩数、自覚的運動強度およびレペティション・マキシマムのうちの少なくともいずれか1つを含む、請求項1または請求項2に記載の脳機能改善促進装置。
【請求項10】
ユーザの脳機能の改善を促進する脳機能改善促進システムであって、
前記ユーザの身体に装着可能であり、前記ユーザの脳機能の改善に寄与する運動強度である脳機能改善寄与運動強度を経時的に計測する脳機能改善寄与運動強度計測部を含む計測センサと、前記計測センサと通信可能な端末装置と、を含み、
前記端末装置は、
データを記憶する記憶部と、
データを表示する表示画面と、
時間を計測する時間計測部と、
前記ユーザにとって脳機能の改善を促進するために必要な目標運動強度として設定される目標脳機能改善寄与運動強度および所定の期限内に到達すべき目標時間を算出する目標脳機能改善寄与運動強度算出部と、
前記目標脳機能改善寄与運動強度算出部により算出された前記目標脳機能改善寄与運動強度および前記目標時間を設定する設定部と、
前記脳機能改善寄与運動強度計測部により計測された前記ユーザの脳機能改善寄与運動強度が前記設定部により設定された前記目標脳機能改善寄与運動強度以上となったか否かを判断する第1判断部と、
前記第1判断部により前記ユーザの脳機能改善寄与運動強度が前記目標脳機能改善寄与運動強度以上となったと判断されれば、前記時間計測部により前記目標脳機能改善寄与運動強度以上となっている時間である継続時間を計測するよう制御する継続時間計測制御部と、
前記所定の期限内に計測された前記継続時間の総計が前記設定部により設定された前記目標時間に到達したか否かを判断する第2判断部と、
前記第2判断部により前記継続時間が前記目標時間に到達したと判断されれば、前記継続時間が前記目標時間に達した旨を前記記憶部に記憶するよう制御する記憶制御部と、
前記第2判断部により前記継続時間の総計が前記目標時間に到達したと判断されれば、前記目標時間への到達に基づくデータを前記表示画面に表示する表示データを生成する表示データ生成部と、
前記目標脳機能改善寄与運動強度算出部により算出された前記目標脳機能改善寄与運動強度、実際の関連するデータおよび時間と、前記表示データ生成部により生成された前記表示データのうちの少なくともいずれか一方を前記表示画面に表示するよう制御する表示制御部と、を含む、脳機能改善促進システム。
【請求項11】
ユーザの脳機能の改善を促進する脳機能改善促進方法であって、
前記ユーザの脳機能の改善に寄与する運動強度である脳機能改善寄与運動強度を経時的に計測する工程と、
前記ユーザにとって脳機能の改善を促進するために必要な目標運動強度として設定される目標脳機能改善寄与運動強度および所定の期限内に到達すべき目標時間を算出する工程と、
算出された前記目標脳機能改善寄与運動強度および前記目標時間を設定する工程と、
計測された前記ユーザの脳機能改善寄与運動強度が設定された前記目標脳機能改善寄与運動強度以上となったか否かを判断する工程と、
前記ユーザの脳機能改善寄与運動強度が前記目標脳機能改善寄与運動強度以上となったと判断されれば、前記目標脳機能改善寄与運動強度以上となっている時間である継続時間を計測するよう制御する工程と、
前記所定の期限内に計測された前記継続時間の総計が設定された前記目標時間に到達したか否かを判断する工程と、
前記継続時間が前記目標時間に到達したと判断されれば、前記継続時間が前記目標時間に達した旨を記憶するよう制御する工程と、
前記継続時間の総計が前記目標時間に到達したと判断されれば、前記目標時間への到達に基づくデータを表示する表示データを生成する工程と、
算出された前記目標脳機能改善寄与運動強度、実際の関連するデータおよび時間と、生成された前記表示データのうちの少なくともいずれか一方を表示するよう制御する工程と、を含む、脳機能改善促進方法。
【請求項12】
ユーザの身体に装着可能であり、前記ユーザの脳機能の改善に寄与する運動強度である脳機能改善寄与運動強度を経時的に計測する脳機能改善寄与運動強度計測部を含む計測センサと、データを記憶する記憶部、データを表示する表示画面および時間を計測する時間計測部を含み、前記計測センサと通信可能な端末装置と、を備え、前記ユーザの脳機能の改善を促進する脳機能改善促進システムに用いられる脳機能改善促進プログラムであって、
前記端末装置を、
前記ユーザにとって脳機能の改善を促進するために必要な目標運動強度として設定される目標脳機能改善寄与運動強度および所定の期限内に到達すべき目標時間を算出する目標脳機能改善寄与運動強度算出部、
前記目標脳機能改善寄与運動強度算出部により算出された前記目標脳機能改善寄与運動強度および前記目標時間を設定する設定部、
前記脳機能改善寄与運動強度計測部により計測された前記ユーザの脳機能改善寄与運動強度が前記設定部により設定された前記目標脳機能改善寄与運動強度以上となったか否かを判断する第1判断部、
前記第1判断部により前記ユーザの脳機能改善寄与運動強度が前記目標脳機能改善寄与運動強度以上となったと判断されれば、前記時間計測部により前記目標脳機能改善寄与運動強度以上となっている時間である継続時間を計測するよう制御する継続時間計測制御部、
前記所定の期限内に計測された前記継続時間の総計が前記設定部により設定された前記目標時間に到達したか否かを判断する第2判断部、
前記第2判断部により前記継続時間が前記目標時間に到達したと判断されれば、前記継続時間が前記目標時間に達した旨を前記記憶部に記憶するよう制御する記憶制御部、
前記第2判断部により前記継続時間の総計が前記目標時間に到達したと判断されれば、前記目標時間への到達に基づくデータを前記表示画面に表示する表示データを生成する表示データ生成部、および
前記目標脳機能改善寄与運動強度算出部により算出された前記目標脳機能改善寄与運動強度、実際の関連するデータおよび時間と、前記表示データ生成部により生成された前記表示データのうちの少なくともいずれか一方を前記表示画面に表示するよう制御する表示制御部として機能させる、脳機能改善促進プログラム。
【請求項13】
ユーザの身体に装着可能であり、前記ユーザの脳機能の改善に寄与する運動強度である脳機能改善寄与運動強度を経時的に計測する脳機能改善寄与運動強度計測部を含む計測センサと、データを記憶する記憶部、データを表示する表示画面および時間を計測する時間計測部を含み、前記計測センサと通信可能な端末装置と、を備え、前記ユーザの脳機能の改善を促進する脳機能改善促進システムに用いられ、コンピューター読み取り可能な記録媒体であって、
前記端末装置を、
前記ユーザにとって脳機能の改善を促進するために必要な目標運動強度として設定される目標脳機能改善寄与運動強度および所定の期限内に到達すべき目標時間を算出する目標脳機能改善寄与運動強度算出部、
前記目標脳機能改善寄与運動強度算出部により算出された前記目標脳機能改善寄与運動強度および前記目標時間を設定する設定部、
前記脳機能改善寄与運動強度計測部により計測された前記ユーザの脳機能改善寄与運動強度が前記設定部により設定された前記目標脳機能改善寄与運動強度以上となったか否かを判断する第1判断部、
前記第1判断部により前記ユーザの脳機能改善寄与運動強度が前記目標脳機能改善寄与運動強度以上となったと判断されれば、前記時間計測部により前記目標脳機能改善寄与運動強度以上となっている時間である継続時間を計測するよう制御する継続時間計測制御部、
前記所定の期限内に計測された前記継続時間の総計が前記設定部により設定された前記目標時間に到達したか否かを判断する第2判断部、
前記第2判断部により前記継続時間が前記目標時間に到達したと判断されれば、前記継続時間が前記目標時間に達した旨を前記記憶部に記憶するよう制御する記憶制御部、
前記第2判断部により前記継続時間の総計が前記目標時間に到達したと判断されれば、前記目標時間への到達に基づくデータを前記表示画面に表示する表示データを生成する表示データ生成部、および
前記目標脳機能改善寄与運動強度算出部により算出された前記目標脳機能改善寄与運動強度、実際の関連するデータおよび時間と、前記表示データ生成部により生成された前記表示データのうちの少なくともいずれか一方を前記表示画面に表示するよう制御する表示制御部として機能させる、脳機能改善促進プログラムを記録したコンピューター読み取り可能な記録媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、脳機能改善促進装置、脳機能改善促進システム、脳機能改善促進方法、脳機能改善促進プログラムおよび記録媒体に関するものである。本出願は、2023年3月15日出願の日本出願第2023-040576号に基づく優先権を主張し、前記日本出願に記載された全ての記載内容を援用するものである。
【背景技術】
【0002】
認知機能の改善を実現するためのプログラムが開示されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1によると、ユーザが着用するヘッドマウントディスプレイに、仮想現実空間において、ユーザの仮想身体が第1の運動強度よりも小さい第2の運動強度で運動を行うときの仮想身体の視点映像を表示することとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-81864号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
昨今、認知症の進行抑制や改善等、脳機能の低下抑制または改善のために一定の運動強度の運動を行うのが良いことが認識されている。しかし、一般のユーザは、自らにとってどのような運動を行えば自らの脳機能の低下抑制や改善を達成することができるか分からず、その結果、ユーザが自ら独自で行った脳機能の低下抑制や改善の目的で行っている運動が不充分であったり、不適切である場合がありうる。また、適切かどうかユーザ自ら確信が持てないため、継続した運動をしなくなってしまうおそれがある。このような状況は、脳機能の低下抑制または改善を求めるユーザにとって好ましくない。
【0005】
そこで、ユーザにとって適切な脳機能の低下抑制や改善を容易に促進することができる脳機能改善促進装置を提供することを本開示の目的の1つとする。この脳機能改善促進装置は、認知症の進行抑制や改善等を目的として利用することもできる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に従った脳機能改善促進装置は、ユーザの身体に装着可能であり、ユーザの脳機能の改善を促進する。脳機能改善促進装置は、データを記憶する記憶部と、データを表示する表示画面と、時間を計測する時間計測部と、ユーザの脳機能の改善に寄与する運動強度である脳機能改善寄与運動強度を経時的に計測する脳機能改善寄与運動強度計測部と、ユーザにとって脳機能の改善を促進するために必要な目標運動強度として設定される目標脳機能改善寄与運動強度および所定の期限内に到達すべき目標時間を算出する目標脳機能改善寄与運動強度算出部と、目標脳機能改善寄与運動強度算出部により算出された目標脳機能改善寄与運動強度および目標時間を設定する設定部と、脳機能改善寄与運動強度計測部により計測されたユーザの脳機能改善寄与運動強度が設定部により設定された目標脳機能改善寄与運動強度以上となったか否かを判断する第1判断部と、第1判断部によりユーザの脳機能改善寄与運動強度が目標脳機能改善寄与運動強度以上となったと判断されれば、時間計測部により目標脳機能改善寄与運動強度以上となっている時間である継続時間を計測するよう制御する継続時間計測制御部と、所定の期限内に計測された継続時間の総計が設定部により設定された目標時間に到達したか否かを判断する第2判断部と、第2判断部により継続時間の総計が目標時間に到達したと判断されれば、継続時間の総計が目標時間に達した旨を記憶部に記憶するよう制御する記憶制御部と、第2判断部により継続時間の総計が目標時間に到達したと判断されれば、目標時間への到達に基づくデータを表示画面に表示する表示データを生成する表示データ生成部と、目標脳機能改善寄与運動強度算出部により算出された目標脳機能改善寄与運動強度、実際の関連するデータおよび時間と、表示データ生成部により生成された表示データのうちの少なくともいずれか一方を表示画面に表示するよう制御する表示制御部と、を含む。
【発明の効果】
【0007】
上記脳機能改善促進装置によれば、ユーザにとって適切な脳機能の改善を容易に促進することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施の形態1における脳機能改善促進装置の外観を概略的に示す図である。
図2図2は、図1に示す脳機能改善促進装置の構成を示すブロック図である。
図3図3は、目標運動強度を算出して設定する際の代表的な工程を示すフローチャートである。
図4図4は、実施の形態1における脳機能改善促進装置を用いて脳機能の改善を促進する際の代表的な工程を示すフローチャートである。
図5図5は、表示画面に表示された表示データの一例を示す概略図である。
図6図6は、実施の形態2に係る脳機能改善促進システムを示すブロック図である。
図7図7は、表示画面に表示された表示データの一例を示す概略図である。
図8図8は、表示画面に表示された表示データの一例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。本開示に係る脳機能改善促進装置は、ユーザの身体に装着可能であり、ユーザの脳機能の改善を促進する。脳機能改善促進装置は、データを記憶する記憶部と、データを表示する表示画面と、時間を計測する時間計測部と、ユーザの脳機能の改善に寄与する運動強度である脳機能改善寄与運動強度を経時的に計測する脳機能改善寄与運動強度計測部と、ユーザにとって脳機能の改善を促進するために必要な目標運動強度として設定される目標脳機能改善寄与運動強度および所定の期限内に到達すべき目標時間を算出する目標脳機能改善寄与運動強度算出部と、目標脳機能改善寄与運動強度算出部により算出された目標脳機能改善寄与運動強度および目標時間を設定する設定部と、脳機能改善寄与運動強度計測部により計測されたユーザの脳機能改善寄与運動強度が設定部により設定された目標脳機能改善寄与運動強度以上となったか否かを判断する第1判断部と、第1判断部によりユーザの脳機能改善寄与運動強度が目標脳機能改善寄与運動強度以上となったと判断されれば、時間計測部により目標脳機能改善寄与運動強度以上となっている時間である継続時間を計測するよう制御する継続時間計測制御部と、所定の期限内に計測された継続時間の総計が設定部により設定された目標時間に到達したか否かを判断する第2判断部と、第2判断部により継続時間の総計が目標時間に到達したと判断されれば、継続時間の総計が目標時間に達した旨を記憶部に記憶するよう制御する記憶制御部と、第2判断部により継続時間の総計が目標時間に到達したと判断されれば、目標時間への到達に基づくデータを表示画面に表示する表示データを生成する表示データ生成部と、目標脳機能改善寄与運動強度算出部により算出された目標脳機能改善寄与運動強度、実際の関連するデータおよび時間と、表示データ生成部により生成された表示データのうちの少なくともいずれか一方を表示画面に表示するよう制御する表示制御部と、を含む。
【0010】
本発明者らは、認知症の進行抑制または認知症の改善等を含むユーザの脳機能の低下抑制またはユーザの脳機能の改善等について、一定の運動強度の運動が有効であることに着目した。そして、ユーザは、脳機能を改善するためにランニング等の運動を長時間行おうとする。ここではランニングを一定の運動強度の運動の一例としている。単調なランニングのような有酸素運動は比較的ハードな運動であり、継続して続けるには困難な場合が多い。また実は、そこまで運動強度の高いランニングをしなくても、継続的に実施さえすれば、脳機能の低下抑制または脳機能の改善等のためには有効である場合も多いと本発明者らは考えた。それゆえ、運動を実施するにあたって、脳機能の低下抑制または脳機能の改善のために必要となるまたは望ましい目標運動強度を明確化することが重要であると考えた。なお、本願明細書においては、説明を容易にする観点から、脳機能の低下抑制については脳機能の改善という概念に含めるものとする。ここで、本発明者らは、ユーザがランニングのようなハードな運動を意識して行わなくても、このような目標運動強度を満たす運動が普段の生活における運動の中にあることに着目した。例えば犬の散歩や通勤途中での早歩きや階段歩き等においては、このような目標運動強度を満たす運動が行われる場合があることにさらに着目した。そして、この普段の生活における運動(いわゆる有酸素運動または無酸素運動を問わない。)によって脳機能が改善されることをユーザに意識させることにより、意識的に脳機能の改善のための運動をする場合でも、他の健康維持または改善のための運動を行う場合でも、またこのような特別な意識はない中での普段の生活においても、目標運動強度を満たす運動を継続して行わせ、結果的に脳機能の改善を効果的に促進することができると考えた。
【0011】
そして、本発明者らは、さらに以下のように考えた。ユーザにとって脳機能改善促進のために必要となるまたは望ましい目標運動強度を満たす運動は、ユーザの脳機能の改善に寄与する運動強度の指標値の目標である目標脳機能改善寄与運動強度と目標時間のバランスである。すなわち、目標脳機能改善寄与運動強度は、ユーザの属性等により設定されつつも、ある程度幅をもって設定することができるところ、目標脳機能改善寄与運動強度が高ければ高いほど、脳機能改善促進のためには効果が高くなるとされる。他方で、目標脳機能改善寄与運動強度が高い運動ほどハードな運動となるため、ユーザによっては、引き続き、または間断なく、実施することが困難となる場合がある。引き続き、または間断なく、実施することが困難となる、場合によっては継続されなくなると、脳機能改善の効果が低減するばかりか、全く意味のないこととなりうる。
【0012】
上記脳機能改善促進装置によると、ユーザの身体に装着された脳機能改善促進装置によりユーザの脳機能改善寄与運動強度を経時的に計測し、目標脳機能改善寄与運動強度以上となった継続時間を計測して、所定の期限内に到達すべき目標時間に達すれば、その旨を表示画面に表示することとしている。また、脳機能改善促進装置を起動することで、ユーザにとって脳機能改善促進のために必要となるまたは望ましい目標運動強度として設定された目標脳機能改善寄与運動強度および目標時間を算出し、目標運動強度を表示画面に表示することもできる。そうすると、普段の生活の中で脳機能の改善に繋がる一定の運動強度の運動が行われた旨を表示画面において視認することができる。したがって、普段の生活において無理なく脳機能の改善に繋がる一定の運動強度の運動が行われた旨を自覚することができる。すなわち、ユーザが積極的に例えばスポーツジム等に赴いてランニングといった一定の運動を行わなくとも、脳機能の改善に繋がる一定の運動強度の運動を行っていると自覚することができる。もちろん、意識的に脳機能の改善のために運動をする場合でも、他の健康維持または改善のために運動を行う場合でも、脳機能改善促進装置は、活用される。具体的には、このような運動を実施するにあたって、脳機能改善促進のために必要となるまたは望ましい目標運動強度を明確化するため、目標脳機能改善寄与運動強度および目標時間を算出し、目標運動強度を表示画面に表示することもできる。これにより、ユーザは、過度にハードな運動をする必要もなく、継続的に脳機能の改善に繋がる運動を行うことができる。また、表示画面による表示によりユーザは脳機能の改善に有効な一定の運動を行ったことが把握できるため、このような特別な意識はない中での普段の生活においても、目標運動強度を満たす運動を行うよう努めるようにして、脳機能の改善の促進に繋げることができる。以上より、このような脳機能改善促進装置によると、ユーザにとって適切な脳機能の改善を容易に促進することができる。
【0013】
上記脳機能改善促進装置において、第2判断部は、継続時間が目標時間に到達したと判断されなければ、継続時間が目標時間よりも短い第1設定時間に到達したか否かを判断してもよい。記憶制御部は、第2判断部により継続時間が第1設定時間に到達したと判断されれば、第1設定時間に到達した旨を記憶部に記憶するよう制御してもよい。表示データ生成部は、第2判断部により継続時間が第1設定時間に到達したと判断されれば、第1設定時間への到達に基づくデータを表示画面に表示する表示データを生成してもよい。このようにすることにより、継続時間が目標時間に満たなくても第1設定時間に到達していれば、その旨を容易にユーザが視認することができる。継続時間が目標時間に満たない場合であって、脳機能の改善の促進にとって記憶し、表示することが有用であるときは、第1設定時間だけでなく、第2設定時間、第N設定時間(Nは3以上の整数)と、複数の設定時間を設けてもよい。したがって、目標時間に近づくように、効果的に設定時間を設定し、継続時間を記憶し、表示することで、引き続き、または間断なく普段の生活における同様の一定の運動を行うよう努めるようにして脳機能の改善の促進に繋げることができる。なお、この第1設定時間、第2設定時間または第N設定時間は、観測可能である限り、1分または1秒等の時間を計測する単位(ここでは分または秒)として観測できる最小値となる時間でもよい。また、第1設定時間、第2設定時間または第N設定時間を足し合わせることで、脳機能の改善に繋がる有効な目標時間である、所定の期限内に到達すべき目標時間に少しずつ近づけることができる。
【0014】
上記脳機能改善促進装置において、記憶制御部は、第2判断部により継続時間が第1設定時間に到達したと判断されれば、継続時間のデータを記憶部に記憶するよう制御してもよい。このようにすることにより、継続時間が目標時間に満たなくても継続時間を足し合わせて表示等することにより、脳機能の改善に繋がる有効な運動を行った旨を視覚によって訴えることができる。したがって、所定の期限内における運動を通じて脳機能の改善の促進に繋げることができる。
【0015】
上記脳機能改善促進装置において、脳機能の改善は、認知症の進行の抑制、脳形態の負の変化を含む脳の萎縮の抑制および脳健康スコアの改善のうちの少なくともいずれか一つを含んでもよい。上記した一定の運動は、認知症の進行の抑制、脳形態の負の変化を含む脳形態の萎縮の抑制および脳健康スコアの改善において非常に有効である。
【0016】
上記脳機能改善促進装置において、表示データ生成部は、時間計測部により計測された時間が所定のタイミングから一定期間内において、脳機能改善寄与運動強度計測部により計測されたユーザの脳機能改善寄与運動強度が、第1判断部により目標脳機能改善寄与運動強度以上となったと判断されなければ、その旨を表示する表示データを生成してもよい。このようにすることにより、目標脳機能改善寄与運動強度以上の脳機能改善寄与運動強度となるような運動を一定期間行っていないことについて、ユーザに視覚的に訴えることができる。したがって、目標脳機能改善寄与運動強度以上の脳機能改善寄与運動強度となる運動を普段の生活において行うよう促進することができる。
【0017】
上記脳機能改善促進装置は、第1判断部による判断は、所定のタイミング毎にリフレッシュされてもよい。このようにすることにより、一週間といった短期間や数か月といった長期間にわたって、繰り返しの一定の運動の促進を効果的に図ることができる。
【0018】
上記脳機能改善促進装置において、目標脳機能改善寄与運動強度算出部は、Rule-basedモデル、機械学習モデルおよび深層学習モデルのうちの少なくともいずれか一つの手法を利用して目標脳機能改善寄与運動強度を算出してもよい。このようにすることにより、よりユーザにとって有意義な目標脳機能改善寄与運動強度を算出することができ、ユーザにとってより適切な脳機能の改善を容易に促進することができる。この場合、Rule-basedモデル、機械学習モデル、深層学習モデルのいずれか一つの手法を用いて算出してもよいし、Rule-basedモデルと機械学習モデルとを組み合わせた手法、Rule-basedモデルと深層学習モデルとを組み合わせた手法、機械学習モデルと深層学習モデルとを組み合わせた手法を利用して目標脳機能改善寄与運動強度を算出してもよく、さらにはRule-basedモデルと機械学習モデルと深層学習モデルとの3つを組み合わせた手法により目標脳機能改善寄与運動強度を算出してもよい。もちろん、Rule-basedモデル、機械学習モデル、深層学習モデルのいずれかと、一つ以上の他の手法とを組み合わせた手法を利用して目標脳機能改善寄与運動強度を算出してもよい。
【0019】
上記脳機能改善促進装置において、目標脳機能改善寄与運動強度算出部は、引き続きまたは間断なく運動を行うという条件を満たしながら可能な限りの高い脳機能改善寄与運動強度である最適化目標脳機能改善寄与運動強度を目標脳機能改善寄与運動強度として算出してもよい。
【0020】
ユーザにとって脳機能改善の効果を最大化するためには、引き続き、または間断なく、運動を行うという条件を満たしながら、可能な限り高い目標脳機能改善寄与運動強度を設定することが有用である。このような目標脳機能改善寄与運動強度の設定は、ユーザの年齢、性別、運動経験(短期、中期、長期での経験のいずれもありうる。)、身体能力、動機等の要因により、一人一人にとって異なるものである。
【0021】
そこで、本発明者らは、「引き続き、または間断なく、運動を行うという条件を満たしながら、可能な限り高い目標脳機能改善寄与運動強度を設定する」ことが脳機能改善の効果を最大化するために有効であること、そして、このような目標脳機能改善寄与運動強度の設定は、ユーザの年齢、性別、運動経験、身体能力、動機等の要因により、一人一人に適した目標脳機能改善寄与運動強度の判断方法を考えた。これらは、脳機能改善促進装置、そしていずれも後述する脳機能改善促進システム、脳機能改善促進方法、脳機能改善促進プログラムおよび記録媒体のいずれにも適用されるものである。
【0022】
この「引き続き、または間断なく、運動を行うという条件を満たしながら、可能な限り高い目標脳機能改善寄与運動強度」を「最適化目標脳機能改善寄与運動強度」として定義する。
【0023】
あるユーザの最適化目標脳機能改善寄与運動強度は、以下(1)および(2)を含む定性的または定量的情報が入力されることにより、目標脳機能改善寄与運動強度算出部から算出される。
【0024】
(1)目標脳機能改善寄与運動強度算出部により得られる情報は、(ア)ユーザの目標脳機能改善寄与運動強度。
【0025】
(2)ユーザが入力することにより得られる情報は、(ア)これから運動する場合における、運動の目標時間、(イ)その運動の運動強度に対する、ユーザの目標または選好レベル(以下、「ユーザ選好度」といい、「Pi」として表されることもある。)
このような脳機能改善促進プログラムによれば、ユーザにとって適切な脳機能の改善を容易に促進することができる。
【0026】
ユーザ選好度(Pi)は、目標脳機能改善寄与運動強度算出部から、複数の選択肢となる客観的な数値(例えば、全力で運動をする場合の「80%」等のパーセンテージ表記)を提示してもよい。またはユーザ選好度(Pi)は、ユーザが複数の主観的な選択肢(例えば、最高度、高、中、低、楽等の5段階)から選択する方式であってもよい。この場合において、目標脳機能改善寄与運動強度算出部が、主観的な選択肢から所定の計算式により、適切な客観的な数値に変換する。
【0027】
最適化目標脳機能改善寄与運動強度を算出するための情報として(1)、(2)の情報以外の情報が入力されることでもよい。例えば、目標脳機能改善寄与運動強度算出部からユーザの年齢または性別を入力してもよいし、装置から昨晩の睡眠時間その他ヘルスケアデータを入力してもよいし、ユーザから本日の体調に関する評価情報を入力してもよい。
【0028】
最適化目標脳機能改善寄与運動強度とは、以下(3)、(4)および(5)の全てを満たした脳機能改善寄与運動強度である。
【0029】
(3)ユーザにとって脳機能の改善を促進するために必要な脳機能改善寄与運動強度以上であること。
【0030】
(4)継続時間(X分として表す。例えば、35分とする。)中、脳機能改善寄与運動強度を一定に保ちながら、運動を行うことができる脳機能改善寄与運動強度であること。この「一定」とはある程度の幅のある概念であり、例えば、最適化目標脳機能改善寄与運動強度として設定される脳機能改善寄与運動強度の95%以上105%以下の範囲内に該当する脳機能改善寄与運動強度を保つことをいう。例えば、最適化目標脳機能改善寄与運動強度が80であった場合、76以上84以内の脳機能改善寄与運動強度であることを一定という。
【0031】
(5)ユーザ選好度(Pi)に即した「客観的な数値」を「目標脳機能改善寄与運動強度」の計算式にある「運動強度」に乗じた後に得られる脳機能改善寄与運動強度であること。
【0032】
目標脳機能改善寄与運動強度算出部を構成する、最適化目標脳機能改善寄与運動強度の求める算式モデルとしては、Rule-basedモデルの他、機械学習モデルや深層学習モデル等の様々な手法を用いることが可能である。
【0033】
Rule-basedモデルの場合には、既存のスポーツ医学・科学等の研究成果や知識に基づいて最適化目標脳機能改善寄与運動強度の計算ルールを定義し、それにより最適化目標脳機能改善寄与運動強度の予測を行う。
【0034】
機械学習モデルにあっては、サポートベクターマシン(support vector machine(SVM))、決定技(decision trees)、ランダムフォレスト(Random forest)、K近傍(K-nearest Neighbor)法等の手法を用いることができる。深層学習モデルにあっては、多層ニューラルネットワーク(Muilti-layer Neural Network(MNN))、回帰型ニューラルネットワーク(Recurrent Neural Network(RNN))や長・短期記憶ネットワーク(Long Short-Term Memory Network(LSTM))、畳み込みニューラルネットワーク(Convolutional neural network(CNN))、トランスフォーマー(Transformer)等の手法を用いることができる。これらの手法は、入力と出力からなるデータを与え教師あり学習を行いモデルのパラメータを最適化し、引き続き、または間断なく、運動を行うという条件を満たしながら、可能な限り高い目標脳機能改善寄与運動強度である「最適化目標脳機能改善寄与運動強度」を出力する。
【0035】
目標脳機能改善寄与運動強度算出部を構成する、上記の最適化目標脳機能改善寄与運動強度を求める算式は、強化学習を用いてユーザからのフィードバックを報酬として用いて、ユーザの目標脳機能改善寄与運動強度の最適化のために学習され、よって変更される。すなわち、ユーザが、最適化目標脳機能改善寄与運動強度を得た上で、実際に運動を行った場合には、以下の結果を得ることができる。
【0036】
(6)運動の継続時間
【0037】
(7)運動時の、目標脳機能改善寄与運動強度を軸とした上での脳機能改善寄与運動強度のボラティリティ
【0038】
(8)(可能な場合)提示された運動強度(目標脳機能改善寄与運動強度)に対する、ユーザの主観的な評価
このような脳機能改善促進プログラムによれば、ユーザにとって適切な脳機能の改善を容易に促進することができる。
【0039】
最適化目標脳機能改善寄与運動強度を求める算式は、上記のRule-basedモデルや機械学習モデル、深層学習モデルのうち単一の手法に限られるものではなく、複数のモデル同士を組み合わせて予測を行うことで、ユーザのさらに最適化された出力を行うことが可能となる。
【0040】
上記のプロセスを経ることにより、目標脳機能改善寄与運動強度算出部を構成する、上記の最適化目標脳機能改善寄与運動強度を求める算式は、ユーザ毎に、常にまたは適宜学習され続ける。これにより、ユーザ毎に「引き続き、または間断なく、運動を行うという条件を満たしながら、可能な限り高い目標脳機能改善寄与運動強度を設定する」ことにより「脳機能改善の効果を最大化する」という本来の目的を達成することができる。
【0041】
なお、上記の学習モデルの学習手順は、いずれにおいても、以下の考え方により行われる。
【0042】
(A)i番目の入力xiを用意する。
【0043】
(B)入力をパラメータθを持つモデルF(・;θ)に与え、i番目のデータに対する予測yi=F(xi;θ)を計算する。
【0044】
(C)予測yiとi番目のデータの正解yiの誤差を計算する。
【0045】
(D)誤差をもとにモデルのパラメータθを更新する。
【0046】
(E)全ての学習データを対象として上記の(A)から(D)までの手順を行い、モデルの学習が開発データにおいて収束するまで行う。
【0047】
上記脳機能改善促進装置において、脳機能改善寄与運動強度は、酸素摂取量、消費カロリー、歩数、自覚的運動強度およびレペティション・マキシマムのうちの少なくともいずれか1つを含んでもよい。
【0048】
本発明者らは、認知症の進行抑制または認知症の改善等を含むユーザの脳機能の低下抑制またはユーザの脳機能の改善等に有効な一定の運動強度の運動に対して、脳機能の改善に寄与する運動強度である脳機能改善寄与運動強度に着目した。この点、ある人にとって、このような認知症の進行抑制または認知症の改善等を含むユーザの脳機能の低下抑制またはユーザの脳機能の改善等に有効な一定の運動強度の運動が、当該ある人にとって、実際にどの程度良好な影響を及ぼすのかは、その運動の一定の運動強度、運動時間および頻度により規定されることが分かっている。この運動強度の表現方法を総称して、「脳機能改善寄与運動強度」と呼ぶ。脳機能改善対応運動強度とは、脳機能ないしは認知機能向上効果が発揮される運動強度を有する運動の表現方法と定義される。
【0049】
「脳機能改善寄与運動強度」の表現方法には、以下の表現方法がある。
【0050】
消費カロリーを表現方法とする場合、目標となるカロリーの数値を設定した上で、脳機能改善促進装置または脳機能改善促進システムが実際の身体活動とその継続時間を計測し、所定の基準をもとに実際に消費されるカロリーの数値を評価し、その達成の有無や程度を判断し、その結果を生成する。所定の基準による評価には、METs(メッツ)と呼ばれる身体活動量を示す単位をもとにしてもよい。
【0051】
酸素摂取量は、有酸素持久力の指標として用いられ、基準となる運動強度の指標値の1つとして、運動中に体が消費できる最大酸素量である最大酸素摂取量(VO2max)がある。VO2maxとは、具体的には、体重1kgあたり1分間に取り込むことのできる最大の酸素量である。VO2maxが高いことにより、肺が酸素をより効果的に取り込んで心臓などの筋肉に送り出せるようになり、心臓が1回の拍動で送り出せる血液の量が増える。VO2maxを表現方法とする場合、目標となるVO2maxとその継続時間を設定した上で、脳機能改善促進装置または脳機能改善促進システムが実際の身体活動をもとにVO2maxの数値とその継続時間を計測し、所定の基準をもとに評価し、その達成の有無や程度を判断し、その結果を生成する。酸素摂取量のその他の基準となる運動強度として、特定の漸増負荷法プロトコルで得られた酸素摂取量の最高値である最高酸素摂取量(VO2peak)を用いてもよい。
【0052】
自覚的運動強度(Rate of Perceived Exertion:RPE)法とは、運動時の主観的負荷度を数字で表したものであり、運動時の活動が肉体的・精神的にどの程度困難であると感じるかをユーザが自分の感覚で示す表現方法である。具体的には、Borgスケールおよび修正Borgスケール(カテゴリーレオシスケール)などの表現方法がある。RPE法の場合、ユーザが自分の感覚で表す必要があるため、目標となるスケールのポイントとその継続時間を設定した上で、脳機能改善促進装置または脳機能改善促進システムに対して、ユーザがこれから行う実際の身体活動のスケールのポイントを入力し、当該スケールのポイントに応じた運動とその継続時間を計測し、所定の基準をもとに評価し、その達成の有無や程度を判断し、その結果を生成する。
【0053】
レペティション・マキシマム(Repetition Maxium:RM)法とは、ある決まった重さに対して何回反復して関節運動を行うことができるかによって運動強度を決める方法である。X回が限界の負荷をXRMとして表す。すなわち、具体的には、1階が限界の負荷を1RM、最高5回繰り返せる負荷を5RMとして表す。高負荷の1RMから3RMでは、神経系の改善や筋力アップが、12RM以上の低負荷では、筋持久力アップに加えて一定の強度の有酸素運動が、それぞれ見込まれる。RPE法の場合、ユーザが自分の感覚で表す必要があるため、目標となるX(Xは、1や12など、繰り返す負荷の回数)とそれに対応する重量およびその継続時間を設定した上で、脳機能改善促進装置または脳機能改善促進システムに対して、ユーザがこれから行う実際の身体活動のXとそれに対応する重量を入力し、当該Xおよび重量に応じた運動とその継続時間を計測し、所定の基準をもとに評価し、その達成の有無や程度を判断し、その結果を生成する。
【0054】
歩数を表現方法とする場合、目標となるある日の歩数を設定した上で、脳機能改善促進装置または脳機能改善促進システムが当該ある日における歩数を計測し、所定の基準をもとに評価し、その達成の有無や程度を判断し、その結果を生成してもよい。単に歩数を計測するだけではなく、平均歩行速度や平均歩幅を加味して、歩数に対応する身体活動が、強度が強めの徒歩であったのか、またはジョギングと評価されるものであったのか、およびその継続時間などを評価し、総合的に当該身体活動の運動強度および継続時間を目標として設定し、その上で、所定の基準をもとに評価し、その達成の有無や程度を判断し、その結果を生成してもよい。なお、歩数については、平均歩行速度および/または平均歩幅により調整された歩数指標を含む。
【0055】
本開示に係る脳機能改善促進システムは、ユーザの脳機能の改善を促進する脳機能改善促進システムであって、ユーザの身体に装着可能であり、ユーザの脳機能の改善に寄与する運動強度である脳機能改善寄与運動強度を経時的に計測する脳機能改善寄与運動強度計測部を含む計測センサと、計測センサと通信可能な端末装置と、を含む。端末装置は、データを記憶する記憶部と、データを表示する表示画面と、時間を計測する時間計測部と、ユーザにとって脳機能の改善を促進するために必要な目標運動強度として設定される目標脳機能改善寄与運動強度および所定の期限内に到達すべき目標時間を算出する目標脳機能改善寄与運動強度算出部と、目標脳機能改善寄与運動強度算出部により算出された目標脳機能改善寄与運動強度および目標時間を設定する設定部と、脳機能改善寄与運動強度計測部により計測されたユーザの脳機能改善寄与運動強度が設定部により設定された目標脳機能改善寄与運動強度以上となったか否かを判断する第1判断部と、第1判断部によりユーザの脳機能改善寄与運動強度が目標脳機能改善寄与運動強度以上となったと判断されれば、時間計測部により目標脳機能改善寄与運動強度以上となっている時間である継続時間を計測するよう制御する継続時間計測制御部と、所定の期限内に計測された継続時間の総計が設定部により設定された目標時間に到達したか否かを判断する第2判断部と、第2判断部により継続時間が目標時間に到達したと判断されれば、継続時間が目標時間に達した旨を記憶部に記憶するよう制御する記憶制御部と、第2判断部により継続時間の総計が目標時間に到達したと判断されれば、目標時間への到達に基づくデータを表示画面に表示する表示データを生成する表示データ生成部と、目標脳機能改善寄与運動強度算出部により算出された目標脳機能改善寄与運動強度、実際の関連するデータおよび時間と、表示データ生成部により生成された表示データのうちの少なくともいずれか一方を表示画面に表示するよう制御する表示制御部と、を含む。
【0056】
このような脳機能改善促進システムによれば、ユーザにとって適切な脳機能の改善を容易に促進することができる。
【0057】
本開示に係る脳機能改善促進方法は、ユーザの脳機能の改善を促進する脳機能改善促進方法であって、ユーザの脳機能の改善に寄与する運動強度である脳機能改善寄与運動強度を経時的に計測する工程と、ユーザにとって脳機能の改善を促進するために必要な目標運動強度として設定される目標脳機能改善寄与運動強度および所定の期限内に到達すべき目標時間を算出する工程と、算出された目標脳機能改善寄与運動強度および目標時間を設定する工程と、計測されたユーザの脳機能改善寄与運動強度が設定された目標脳機能改善寄与運動強度以上となったか否かを判断する工程と、ユーザの脳機能改善寄与運動強度が目標脳機能改善寄与運動強度以上となったと判断されれば、目標脳機能改善寄与運動強度以上となっている時間である継続時間を計測するよう制御する工程と、所定の期限内に計測された継続時間の総計が設定された目標時間に到達したか否かを判断する工程と、継続時間が目標時間に到達したと判断されれば、継続時間が目標時間に達した旨を記憶するよう制御する工程と、継続時間の総計が目標時間に到達したと判断されれば、目標時間への到達に基づくデータを表示する表示データを生成する工程と、算出された目標脳機能改善寄与運動強度、実際の関連するデータおよび時間と、生成された表示データのうちの少なくともいずれか一方を表示するよう制御する工程と、を含む。
【0058】
このような脳機能改善促進方法によれば、ユーザにとって適切な脳機能の改善を容易に促進することができる。
【0059】
本開示に係る脳機能改善促進プログラムは、ユーザの身体に装着可能であり、ユーザの脳機能の改善に寄与する運動強度である脳機能改善寄与運動強度を経時的に計測する脳機能改善寄与運動強度計測部を含む計測センサと、データを記憶する記憶部、データを表示する表示画面および時間を計測する時間計測部を含み、計測センサと通信可能な端末装置と、を備え、ユーザの脳機能の改善を促進する脳機能改善促進システムに用いられる脳機能改善促進プログラムであって、端末装置を、ユーザにとって脳機能の改善を促進するために必要な目標運動強度として設定される目標脳機能改善寄与運動強度および所定の期限内に到達すべき目標時間を算出する目標脳機能改善寄与運動強度算出部、目標脳機能改善寄与運動強度算出部により算出された目標脳機能改善寄与運動強度および目標時間を設定する設定部、脳機能改善寄与運動強度計測部により計測されたユーザの脳機能改善寄与運動強度が設定部により設定された目標脳機能改善寄与運動強度以上となったか否かを判断する第1判断部、第1判断部によりユーザの脳機能改善寄与運動強度が目標脳機能改善寄与運動強度以上となったと判断されれば、時間計測部により目標脳機能改善寄与運動強度以上となっている時間である継続時間を計測するよう制御する継続時間計測制御部、所定の期限内に計測された継続時間の総計が設定部により設定された目標時間に到達したか否かを判断する第2判断部、第2判断部により継続時間が目標時間に到達したと判断されれば、継続時間が目標時間に達した旨を記憶部に記憶するよう制御する記憶制御部、第2判断部により継続時間の総計が目標時間に到達したと判断されれば、目標時間への到達に基づくデータを表示画面に表示する表示データを生成する表示データ生成部、および目標脳機能改善寄与運動強度算出部により算出された目標脳機能改善寄与運動強度、実際の関連するデータおよび時間と、表示データ生成部により生成された表示データのうちの少なくともいずれか一方を表示画面に表示するよう制御する表示制御部として機能させる、脳機能改善促進プログラムである。
【0060】
このような脳機能改善促進プログラムによれば、ユーザにとって適切な脳機能の改善を容易に促進することができる。
【0061】
本開示に係る記憶媒体は、ユーザの身体に装着可能であり、ユーザの脳機能の改善に寄与する運動強度である脳機能改善寄与運動強度を経時的に計測する脳機能改善寄与運動強度計測部を含む計測センサと、データを記憶する記憶部、データを表示する表示画面および時間を計測する時間計測部を含み、計測センサと通信可能な端末装置と、を備え、ユーザの脳機能の改善を促進する脳機能改善促進システムに用いられ、コンピューター読み取り可能な記録媒体であって、端末装置を、ユーザにとって脳機能の改善を促進するために必要な目標運動強度として設定される目標脳機能改善寄与運動強度および所定の期限内に到達すべき目標時間を算出する目標脳機能改善寄与運動強度算出部、目標脳機能改善寄与運動強度算出部により算出された目標脳機能改善寄与運動強度および目標時間を設定する設定部、脳機能改善寄与運動強度計測部により計測されたユーザの脳機能改善寄与運動強度が設定部により設定された目標脳機能改善寄与運動強度以上となったか否かを判断する第1判断部、第1判断部によりユーザの脳機能改善寄与運動強度が目標脳機能改善寄与運動強度以上となったと判断されれば、時間計測部により目標脳機能改善寄与運動強度以上となっている時間である継続時間を計測するよう制御する継続時間計測制御部、所定の期限内に計測された継続時間の総計が設定部により設定された目標時間に到達したか否かを判断する第2判断部、第2判断部により継続時間が目標時間に到達したと判断されれば、継続時間が目標時間に達した旨を記憶部に記憶するよう制御する記憶制御部、第2判断部により継続時間の総計が目標時間に到達したと判断されれば、目標時間への到達に基づくデータを表示画面に表示する表示データを生成する表示データ生成部、および目標脳機能改善寄与運動強度算出部により算出された目標脳機能改善寄与運動強度、実際の関連するデータおよび時間と、表示データ生成部により生成された表示データのうちの少なくともいずれか一方を表示画面に表示するよう制御する表示制御部として機能させる、脳機能改善促進プログラムを記録したコンピューター読み取り可能な記録媒体である。
【0062】
このような記憶媒体によれば、ユーザにとって適切な脳機能の改善を容易に促進することができる。
【0063】
[本願発明の実施形態の詳細]
次に、本開示の脳機能改善促進装置の実施形態を、図面を参照しつつ説明する。以下の図面において同一または相当する部分には同一の参照符号を付しその説明は繰り返さない。
【0064】
(実施の形態1)
本開示の実施の形態1における脳機能改善促進装置の構成について説明する。図1は、実施の形態1における脳機能改善促進装置の外観を概略的に示す図である。図2は、図1に示す脳機能改善促進装置の構成を示すブロック図である。
【0065】
図1および図2を参照して、実施の形態1における脳機能改善促進装置11は、ユーザの身体に着脱可能である。すなわち、ユーザは、実施の形態1における脳機能改善促進装置11を自らの身体に装着したり、取り外したりすることができる。脳機能改善促進装置11は、例えば腕時計型であり、ユーザの腕に巻き付けて装着することができる。なお、腕時計型以外でもよく、例えば、リストバンド型、リング型等がある。また、これらの腕時計型、リストバンド型、リング型等が、例えば、酸素摂取量の直接の測定に必要なマスクとデータとの連携がなされる場合であってもよい。マスクももちろん、ユーザの身体に着脱可能である。
【0066】
脳機能改善促進装置11は、データを表示する表示画面12と、ユーザの腕に巻き付ける際に利用されるバンド13と、を含む。バンド13によって脳機能改善促進装置11がユーザの腕に巻きつけられた際に、表示画面12がユーザに視認可能な位置に配置される。また、脳機能改善促進装置11には、表示画面12の側面に、種々の設定を行うボタン14が配置される。
【0067】
脳機能改善促進装置11は、脳機能改善促進装置11自体を制御する制御部21と、記憶部としての記憶メモリ22と、ユーザの脳機能改善寄与運動強度を経時的に計測する脳機能改善寄与運動強度計測部としての酸素摂取量計測部23と、脳機能改善促進装置11と外部との通信を行う通信部24と、時間を計測する時間計測部25と、を含む。脳機能改善促進装置11は、時間計測部25を有するため、単なる時計としても機能する。酸素摂取量計測部23は、データの連携がなされる酸素摂取量の測定が可能なマスクから酸素摂取量を計測することでもよい。または、腕時計型、リストバンド型、リング型等の脳機能改善促進装置11が測定する心拍数から所定の計算式により酸素摂取量を推定して計測することにしてもよい。
【0068】
制御部21は、目標脳機能改善寄与運動強度算出部としての目標酸素摂取量算出部31と、設定部32と、第1判断部33と、継続時間計測制御部34と、第2判断部35と、記憶制御部36と、表示データ生成部37と、表示制御部38と、を含む。目標酸素摂取量算出部31は、ユーザにとって脳機能の改善を促進するために必要な目標運動強度として設定される目標脳機能改善寄与運動強度である目標酸素摂取量および所定の期限内に到達すべき目標時間を算出する。設定部32は、目標酸素摂取量算出部31により算出された目標酸素摂取量および目標時間を設定する。第1判断部33は、酸素摂取量計測部23により計測されたユーザの酸素摂取量が設定部32により設定された目標酸素摂取量以上となったか否かを判断する。継続時間計測制御部34は、第1判断部33によりユーザの酸素摂取量が目標酸素摂取量以上となったと判断されれば、時間計測部25により目標酸素摂取量以上となっている時間である継続時間を計測するよう制御する。第2判断部35は、所定の期限内に計測された継続時間の総計が設定部32により設定された目標時間に到達したか否かを判断する。記憶制御部36は、第2判断部35により継続時間が目標時間に到達したと判断されれば、継続時間が目標時間に達した旨を記憶部に記憶するよう制御する。表示データ生成部37は、第2判断部35により継続時間の総計が目標時間に到達したと判断されれば、目標時間への到達に基づくデータを表示画面12に表示する表示データを生成する。表示制御部38は、目標酸素摂取量算出部31により生成された目標酸素摂取量、実際の関連するデータおよび時間と、表示データ生成部37により生成された表示データのうちの少なくともいずれか一方を表示画面12に表示するよう制御する。これらの構成については、後に詳述する。
【0069】
次に、目標脳機能改善寄与運動強度である目標酸素摂取量を算出して設定する場合について説明する。図3は、目標酸素摂取量を算出して設定する際の代表的な工程を示すフローチャートである。図3を参照して、まず、ユーザは、脳機能改善促進装置11を自らの腕に装着する。ここで、スイッチの押下等により、脳機能改善促進装置11は、酸素摂取量計測部23により最高酸素摂取量の計測を開始する(図3において、ステップS11、以下、「ステップ」を省略する)。所定の時間の経過後、酸素摂取量計測部23による最高酸素摂取量の計測を終了する(S12)。そして、目標酸素摂取量算出部31は、目標酸素摂取量および目標時間を算出して設定する(S13)。
【0070】
ここで、目標酸素摂取量の一例としては、以下のものが挙げられる。まず、酸素摂取量計測部23により、所定の漸増負荷法プロトコルで得られた酸素摂取量の最高値である最高酸素摂取量を計測する。なお、この最高酸素摂取量は、ユーザの入力により取得してもよい。この最高酸素摂取量は、ユーザによってそれぞれ異なる。そして、以下の式によって算出される値が目標酸素摂取量となる。
【0071】
目標酸素摂取量=運動強度×最高酸素摂取量
ここで、運動強度については、ユーザによって設定される数値であり、百分率によって表され、例えば、50%や60%といった値が選択される。
【0072】
また、所定の期限内に到達すべき目標時間としては、例えば、1週間あたり120分や150分などとして設定される。一度の運動で達成する必要はなく、むしろ、1週間の中でバランスよく継続して達成することが望ましい場合が多い。この場合、予め定められた設定時間に到達した継続時間が、複数回にわたって累積されることで、120分や150分といった目標時間に到達することになる。この設定時間についても、脳機能改善の目的において、単一の設定時間として60分の1種類の設定時間を用意してもよい。例えば、1週間の間で、60分を超える運動を2回行うと、累積して120分の運動となり、条件を満たした上で、1週間の目標時間である120分が達成される。また、この設定時間については、脳機能改善の目的において、第1設定時間としての30分と第2設定時間としての5分の2種類の設定時間を用意してもよい。この第2設定時間は、脳機能の改善に最低限有効とされる一定の継続した時間であってもよいし、ユーザに対して表示をする上で引き続きまたは間断なく運動を行うという条件を満たすための最小値となる時間であってもよい。例えば、1週間の間で、30分の運動(第2設定時間および第1設定時間を到達している。)を2回行い、かつ、5分の運動(第1設定時間には到達していないが第2設定時間には到達している。)を12回行うと、累積して120分の運動となり、条件を満たした上で、1週間の目標時間である120分が達成される。目標運動強度として設定された目標酸素摂取量および目標時間については、後述する表示画面により表示することにしてもよい。なお、上記において第1設定時間として30分を規定することとしたが、これに限らず、脳機能改善の目的において有用であるときは、観測可能である限り、第1設定時間として1分や1秒、0.01秒として観測できる最小値となる時間を規定することにしてもよい。また、第2設定時間として第1設定時間よりも短い時間、例えば、第1設定時間として1分を規定した場合、観測可能である限り、第2設定時間として30秒や0.01秒など観測できる最小値となる時間を規定することにしてもよい。脳機能改善の目的において有用である場合には、設定時間は、3種類以上設けてもよい。
【0073】
なお、目標酸素摂取量算出部31は、目標酸素摂取量として、引き続きまたは間断なく運動を行うという条件を満たしながら可能な限りの高い目標酸素摂取量である最適化目標酸素摂取量を算出してもよい。すなわち、目標酸素摂取量算出部31は、引き続きまたは間断なく運動を行うという条件を満たしながら可能な限りの高い酸素摂取量である最適化目標酸素摂取量を目標酸素摂取量として算出してもよい。これについては、上記したRule-basedモデル、機械学習モデルおよび深層学習モデルのうちの少なくともいずれか一つの手法を利用して算出してもよい。
【0074】
その後、目標酸素摂取量および目標時間が設定部32により設定される。
【0075】
次に、目標運動強度が設定された状況において、このような脳機能改善促進装置11の動作について説明する。図4は、実施の形態1における脳機能改善促進装置11を用いて脳機能の改善を促進する際の代表的な工程を示すフローチャートである。設定時間として、脳機能改善の目的において、単一の設定時間として1種類の設定時間を用意してもよいし、2種類以上の設定時間を用意してもよいが、図4では、第1設定時間および第2設定時間の2種類の設定時間が設定されている。
【0076】
図4を参照して、ユーザが脳機能改善促進装置11を自らの腕に装着すると、脳機能改善促進装置11に含まれる酸素摂取量計測部23は、ユーザの酸素摂取量を検知する。そして、酸素摂取量計測部23は、ユーザの酸素摂取量を経時的に計測する(S21)。すなわち、酸素摂取量計測部23は、ユーザの酸素摂取量の経時的な計測を開始する。なお、この場合、脳機能改善促進装置11に備えられるボタン14の押下を検知することにより、酸素摂取量計測部23によるユーザの酸素摂取量の計測を開始してもよい。また、脳機能改善促進装置11は、心拍数を計測する機構を含み、この機構によりユーザに装着された際に心拍数を計測し、これに基づき酸素摂取量の推定値を測定することにより、酸素摂取量計測部23による酸素摂取量の計測を開始することにしてもよい。
【0077】
酸素摂取量の計測を開始後、ユーザは、腕に脳機能改善促進装置11を装着したままで、普段の生活を行う。この場合、例えば、犬の散歩をしたり、家事や庭仕事といった類のユーザの身体を動かす運動を行う。なお、この普段の運動としては、有酸素運動としてユーザが自認するランニングや水泳は含まない。そして、例えば犬の散歩中において犬と共に長時間歩き続ける運動を行うとする。第1判断部33は、酸素摂取量計測部23により計測されたユーザの酸素摂取量がユーザ毎に設定された目標酸素摂取量以上となったか否かを判断する(S22)。
【0078】
第1判断部33により、ユーザの酸素摂取量が目標酸素摂取量以上となったと判断されれば(S22において、YES)、継続時間計測制御部34は、時間計測部25により目標酸素摂取量以上となっている時間である継続時間を計測するよう制御する(S23)。
【0079】
そして、ユーザは、犬の散歩を続ける。そうすると、目標酸素摂取量以上の酸素摂取量が継続する。ここで、第2判断部35は、計測された継続時間が予め定められた第2設定時間に到達したか否かを判断する(S24)。ここでの第2設定時間とは、脳機能の改善に最低限有効とされる一定の継続した時間として定めている。例えば、5分(300秒)といった数値が選択される。第2設定時間については、後述する第1設定時間よりも短いものとなる。
【0080】
第2判断部35により、継続時間が第2設定時間に達したと判断されれば、その後も酸素摂取量の計測を続ける。ユーザは、犬の散歩を続ける。
【0081】
そして、第2判断部35は、継続時間が第2設定時間よりも長い第1設定時間に到達したか否かを判断する(S25)。第1設定時間とは、一連の継続される運動において脳機能の改善に有効とされる一定の運動として認められる時間であり、例えば、30分(1800秒)といった数値が選択される。
【0082】
第2判断部35により、継続時間が第1設定時間に到達したと判断されれば(S25において、YES)、第2判断部35は、所定の期限内に計測された継続時間の総計が目標時間に到達したか否かを判断する(S26)。この場合、第2判断部35により、所定の期限内に計測された継続時間の総計が目標時間に到達したと判断されれば(S26において、YES)、到達した旨を記憶メモリ22に記憶するよう制御する(S27)。
【0083】
その後、表示データ生成部37は、第2判断部35により継続時間の総計が目標時間に到達した旨を表示画面12に表示する表示データを生成する(S28)。そして、表示制御部38は、表示データ生成部37により生成された表示データを表示画面12に表示するよう制御する(S29)。
【0084】
図5は、表示画面12に表示された表示データの一例を示す概略図である。図5を参照して、表示画面12には、目標酸素摂取量以上の酸素摂取量を計測した時間である継続時間の表示データ41と、計測された酸素摂取量(現在時点の酸素摂取量に限らず、現在時点の酸素摂取量を含む一定の期間における酸素摂取量の平均値でもよい)である酸素摂取量の表示データ42と、目標時間に到達した旨に対する褒めの言葉である「素晴らしい」の文字の表示データ43と、が表示されている。ユーザは、犬の散歩から帰ってきた時に、表示画面12において可視化されたこれらの表示データ41,42,43を視認することができる。
【0085】
本開示の脳機能改善促進装置11によると、ユーザにとって適切な脳機能の改善を容易に促進することができる。
【0086】
なお、S24において、第2判断部35により、継続時間が第2設定時間に到達したと判断されなければ(S24において、NO)、再びS22に戻って計測した酸素摂取量が目標酸素摂取量以上か否かを判断する。また、S25において、第2判断部35により継続時間が第1設定時間に到達したと判断されなければ(S25において、NO)、記憶制御部36は、第2設定時間に到達した旨および継続時間のデータを記憶メモリ22に記憶するよう制御する(S30)。この場合、継続時間の総計の表示を行ってもよい。そして、第2判断部35は、所定の期限における継続時間の総計が目標時間に到達したか否かを判断する(S31)。目標時間に到達したと判断されなければ(S31において、NO)、再びS22に戻って計測した酸素摂取量が目標酸素摂取量以上か否かを判断する。一方、目標時間に到達したと判断されれば(S31において、YES)、目標時間に到達した旨を記憶メモリ22に記憶するよう制御する(S27)。その後、表示データ生成部37は、第2判断部35により継続時間の総計が目標時間に到達した旨を表示画面12に表示する表示データを生成する(S28)。そして、表示制御部38は、表示データ生成部37により生成された表示データを表示画面12に表示するよう制御する(S29)。
【0087】
また、S26において、第2判断部35により継続時間の総計が目標時間に到達したと判断されなければ(S26において、NO)、記憶制御部36は、第1設定時間に到達した旨および継続時間のデータを記憶メモリ22に記憶するよう制御する(S32)。この場合、継続時間の総計の表示を行ってもよい。そして同様に、第2判断部35は、所定の期限における継続時間の総計が目標時間に到達したか否かを判断する(S31)。目標時間に到達したと判断されなければ(S31において、NO)、再びS22に戻って計測した酸素摂取量が目標酸素摂取量以上か否かを判断する。一方、目標時間に到達したと判断されれば(S31において、YES)、目標時間に到達した旨を記憶メモリ22に記憶するよう制御する(S27)。その後の処理S28、S29については、上記と同様である。
【0088】
このようにすることにより、継続時間が目標時間に満たなくても第1設定時間に到達していれば、その旨を容易にユーザが視認することができる。したがって、目標時間に近づくように、引き続き、または間断なく普段の生活における同様の一定の運動を行うよう努めるようにして脳機能の改善の促進に繋げることができる。第2設定時間についても、同様である。
【0089】
また、このようにすることにより、継続時間が目標時間に満たなくても継続時間を足し合わせて表示等することにより、脳機能の改善に繋がる有効な運動を行った旨を視覚によって訴えることができる。したがって、所定の期限内における運動を通じて脳機能の改善の促進に繋げることができる。
【0090】
なお、このようなルーチンを、所定の期限毎、例えば、1週間毎に行う。例えば、目標時間を120分とし、設定時間を2種類に分けて第1設定時間を30分とし、第2設定時間を5分とする。30分の第1設定時間は、1週間に最低でも2回達成する必要があるものと条件付けをすると、30分×2回の運動を1週間に少なくとも2つ含み、合計が120分の運動となるように表示画面における表示を促す。この場合、30分×4=120分としてもよいし、30分×2回に加え、第2設定時間である5分×12回の運動を足し合わせて合計120分の運動としてもよい。また、第1設定時間を超えて90分の運動を1度行った場合、その週内において、1回の第1設定時間、すなわち、1回の30分の運動を足し合わせて週の合計120分としてもよい。
【0091】
(実施の形態2)
次に、他の実施の形態である実施の形態2について説明する。図6は、実施の形態2に係る脳機能改善促進システムを示すブロック図である。実施の形態2における脳機能改善促進システムは、酸素摂取量を計測する計測センサと、端末装置と、を備える点において、実施の形態1に係る脳機能改善促進装置11と異なっている。
【0092】
図6を参照して、脳機能改善促進システム51は、ユーザの脳機能の改善を促進する脳機能改善促進システムである。脳機能改善促進システム51は、ユーザの身体に装着可能であり、ユーザの酸素摂取量を経時的に計測する計測センサ52と、計測センサ52と通信可能な端末装置53と、を含む。計測センサ52は、外部との通信を行う計測センサ通信部54と、計測センサ52自身を制御する計測センサ制御部55と、ユーザの脳機能の改善に寄与する運動強度である脳機能改善寄与運動強度を経時的に計測する脳機能改善寄与運動強度計測部、本実施形態においては、脳機能改善寄与運動強度計測部としての酸素摂取量を計測する酸素摂取量計測部56と、記憶部としての計測センサメモリ57と、を含む。端末装置53は、外部との通信を行う端末装置通信部61と、端末装置53自身を制御する端末装置制御部62と、表示画面63と、時間を計測する時間計測部64と、データを記憶する記憶部としての端末装置メモリ65と、を含む。そして、端末装置制御部62は、ユーザにとって脳機能の改善を促進するために必要な目標運動強度として設定される目標酸素摂取量および所定の期限内に到達すべき目標時間を算出する目標脳機能改善寄与運動強度算出部としての目標酸素摂取量算出部71と、目標酸素摂取量算出部71により算出された目標酸素摂取量および目標時間を設定する設定部72と、酸素摂取量計測部56により計測されたユーザの酸素摂取量が設定部72により設定された目標酸素摂取量以上となったか否かを判断する第1判断部73と、第1判断部73によりユーザの酸素摂取量が目標酸素摂取量以上となったと判断されれば、時間計測部64により目標酸素摂取量以上となっている時間である継続時間を計測するよう制御する継続時間計測制御部74と、所定の期限内に計測された継続時間の総計が設定部72により設定された目標時間に到達したか否かを判断する第2判断部75と、第2判断部75により継続時間が目標時間に到達したと判断されれば、継続時間が目標時間に達した旨を端末装置メモリ65に記憶するよう制御する記憶制御部76と、第2判断部75により継続時間の総計が目標時間に到達したと判断されれば、目標時間への到達に基づくデータを表示画面63に表示する表示データを生成する表示データ生成部77と、目標酸素摂取量算出部71により算出された目標酸素摂取量、実際の関連するデータおよび時間と、表示データ生成部77により生成された表示データのうちの少なくともいずれか一方を表示画面に表示するよう制御する表示制御部78と、を含む。
【0093】
図7および図8はそれぞれ、表示画面63に表示された表示データの一例を示す概略図である。まず図7を参照して、表示画面63には、種々のデータ表示に加え、運動の達成度を円の大きさというビジュアルで示す領域データ81aと、今週の曜日に対応した到達運動強度等を示すグラフデータ82aと、操作用のアイコンデータ83a等とが表示されている。ユーザは、特に図7に示す領域データ81aの円の大きさを視覚的に認識して、運動の頑張りへのモチベーションアップを図ることができる。また、図8を参照して、表示画面63には、種々のデータ表示に加え、運動の達成度を円の大きさというビジュアルで示す領域データ81bと、今週の曜日に対応した到達運動強度等を示すグラフデータ82bと、操作用のアイコンデータ83b等とが表示されている。ユーザは、特に図8に示す領域データ81bの円の小ささを視覚的に認識して、こちらも運動の頑張りへのモチベーションアップを図ることができる。
【0094】
このような脳機能改善促進システム51によると、ユーザにとって適切な脳機能の改善を容易に促進することができる。
【0095】
(他の実施の形態)
なお、上記の実施の形態において、表示データ生成部は、時間計測部により計測された時間が所定のタイミングから一定期間内において、酸素摂取量計測部により計測されたユーザの酸素摂取量が、第1判断部により目標酸素摂取量以上となったと判断されなければ、その旨を表示する表示データを生成してもよい。このようにすることにより、目標酸素摂取量以上の酸素摂取量となるような運動を一定期間行っていないことについて、ユーザに視覚的に訴えることができる。したがって、目標酸素摂取量以上の酸素摂取量となる有酸素運動を普段の生活において行うよう促進することができる。
【0096】
また、上記の実施の形態において、第1判断部による判断は、所定のタイミング毎にリフレッシュされてもよい。このようにすることにより、一週間といった短期間や数か月といった長期間にわたって、繰り返しの一定の有酸素運動の促進を効果的に図ることができる。
【0097】
なお、上記の実施の形態において、脳機能の改善は、認知症の進行の抑制、脳形態の萎縮の抑制および脳健康スコアの改善のうちの少なくともいずれか一つを含んでもよい。上記した一定の有酸素運動は、認知症の進行の抑制、脳形態の萎縮の抑制および脳健康スコアの改善において非常に有効である。
【0098】
なお、上記の実施の形態において、脳機能改善寄与運動強度については主に酸素摂取量を用いて説明することとしたが、これに限らず、脳機能改善寄与運動強度として、他に上記した消費カロリー、歩数、自覚的運動強度およびレペティション・マキシマムのいずれかを用いることにしてもよい。すなわち、脳機能改善寄与運動強度は、酸素摂取量、消費カロリー、歩数、自覚的運動強度およびレペティション・マキシマムのうちの少なくともいずれか1つであってもよい。なお、例えば、脳機能改善寄与運動強度として消費カロリーを適用する場合、脳機能改善促進装置または脳機能改善促進システムは、脳機能改善寄与運動強度計測部としての消費カロリー計測部および目標脳機能改善寄与運動強度算出部としての目標消費カロリー算出部を含むようにしてもよい。また、例えば、脳機能改善寄与運動強度として歩数を適用する場合、脳機能改善促進装置または脳機能改善促進システムは、脳機能改善寄与運動強度計測部としての歩数計測部および目標脳機能改善寄与運動強度算出部としての目標歩数算出部を含むようにしてもよい。また、例えば、脳機能改善寄与運動強度として自覚的運動強度を適用する場合、脳機能改善促進装置または脳機能改善促進システムは、脳機能改善寄与運動強度計測部としての自覚的運動強度計測部および目標脳機能改善寄与運動強度算出部としての目標自覚的運動強度算出部を含むようにしてもよい。また、例えば、脳機能改善寄与運動強度としてレペティション・マキシマムを適用する場合、脳機能改善促進装置または脳機能改善促進システムは、脳機能改善寄与運動強度計測部としてのレペティション・マキシマム計測部および目標脳機能改善寄与運動強度算出部としての目標レペティション・マキシマム算出部を含むようにしてもよい。
【0099】
本開示に係る脳機能改善促進方法は、ユーザの脳機能の改善を促進する脳機能改善促進方法であって、ユーザの脳機能の改善に寄与する運動強度である脳機能改善寄与運動強度を経時的に計測する工程と、ユーザにとって脳機能の改善を促進するために必要な目標運動強度として設定される目標脳機能改善寄与運動強度および所定の期限内に到達すべき目標時間を算出する工程と、算出された目標脳機能改善寄与運動強度および目標時間を設定する工程と、計測されたユーザの脳機能改善寄与運動強度が設定された目標脳機能改善寄与運動強度以上となったか否かを判断する工程と、ユーザの脳機能改善寄与運動強度が目標脳機能改善寄与運動強度以上となったと判断されれば、目標脳機能改善寄与運動強度以上となっている時間である継続時間を計測するよう制御する工程と、所定の期限内に計測された継続時間の総計が設定された目標時間に到達したか否かを判断する工程と、継続時間が目標時間に到達したと判断されれば、継続時間が目標時間に達した旨を記憶するよう制御する工程と、継続時間の総計が目標時間に到達したと判断されれば、目標時間への到達に基づくデータを表示する表示データを生成する工程と、算出された目標脳機能改善寄与運動強度、実際の関連するデータおよび時間と、生成された表示データのうちの少なくともいずれか一方を表示するよう制御する工程と、を含む。
【0100】
このような脳機能改善促進方法によれば、ユーザにとって適切な脳機能の改善を容易に促進することができる。
【0101】
本開示に係る脳機能改善促進プログラムは、ユーザの身体に装着可能であり、ユーザの脳機能の改善に寄与する運動強度である脳機能改善寄与運動強度を経時的に計測する脳機能改善寄与運動強度計測部を含む計測センサと、データを記憶する記憶部、データを表示する表示画面および時間を計測する時間計測部を含み、計測センサと通信可能な端末装置と、を備え、ユーザの脳機能の改善を促進する脳機能改善促進システムに用いられる脳機能改善促進プログラムであって、端末装置を、ユーザにとって脳機能の改善を促進するために必要な目標運動強度として設定される目標脳機能改善寄与運動強度および所定の期限内に到達すべき目標時間を算出する目標脳機能改善寄与運動強度算出部、目標脳機能改善寄与運動強度算出部により算出された目標脳機能改善寄与運動強度および目標時間を設定する設定部、脳機能改善寄与運動強度計測部により計測されたユーザの脳機能改善寄与運動強度が設定部により設定された目標脳機能改善寄与運動強度以上となったか否かを判断する第1判断部、第1判断部によりユーザの脳機能改善寄与運動強度が目標脳機能改善寄与運動強度以上となったと判断されれば、時間計測部により目標脳機能改善寄与運動強度以上となっている時間である継続時間を計測するよう制御する継続時間計測制御部、所定の期限内に計測された継続時間の総計が設定部により設定された目標時間に到達したか否かを判断する第2判断部、第2判断部により継続時間が目標時間に到達したと判断されれば、継続時間が目標時間に達した旨を記憶部に記憶するよう制御する記憶制御部、第2判断部により継続時間の総計が目標時間に到達したと判断されれば、目標時間への到達に基づくデータを表示画面に表示する表示データを生成する表示データ生成部、および目標脳機能改善寄与運動強度算出部により算出された目標脳機能改善寄与運動強度、実際の関連するデータおよび時間と、表示データ生成部により生成された表示データのうちの少なくともいずれか一方を表示画面に表示するよう制御する表示制御部として機能させる、脳機能改善促進プログラムである。
【0102】
このような脳機能改善促進プログラムによれば、ユーザにとって適切な脳機能の改善を容易に促進することができる。
【0103】
本開示に係る記憶媒体は、ユーザの身体に装着可能であり、ユーザの脳機能の改善に寄与する運動強度である脳機能改善寄与運動強度を経時的に計測する脳機能改善寄与運動強度計測部を含む計測センサと、データを記憶する記憶部、データを表示する表示画面および時間を計測する時間計測部を含み、計測センサと通信可能な端末装置と、を備え、ユーザの脳機能の改善を促進する脳機能改善促進システムに用いられ、コンピューター読み取り可能な記録媒体であって、端末装置を、ユーザにとって脳機能の改善を促進するために必要な目標運動強度として設定される目標脳機能改善寄与運動強度および所定の期限内に到達すべき目標時間を算出する目標脳機能改善寄与運動強度算出部、目標脳機能改善寄与運動強度算出部により算出された目標脳機能改善寄与運動強度および目標時間を設定する設定部、脳機能改善寄与運動強度計測部により計測されたユーザの脳機能改善寄与運動強度が設定部により設定された目標脳機能改善寄与運動強度以上となったか否かを判断する第1判断部、第1判断部によりユーザの脳機能改善寄与運動強度が目標脳機能改善寄与運動強度以上となったと判断されれば、時間計測部により目標脳機能改善寄与運動強度以上となっている時間である継続時間を計測するよう制御する継続時間計測制御部、所定の期限内に計測された継続時間の総計が設定部により設定された目標時間に到達したか否かを判断する第2判断部、第2判断部により継続時間が目標時間に到達したと判断されれば、継続時間が目標時間に達した旨を記憶部に記憶するよう制御する記憶制御部、第2判断部により継続時間の総計が目標時間に到達したと判断されれば、目標時間への到達に基づくデータを表示画面に表示する表示データを生成する表示データ生成部、および目標脳機能改善寄与運動強度算出部により算出された目標脳機能改善寄与運動強度、実際の関連するデータおよび時間と、表示データ生成部により生成された表示データのうちの少なくともいずれか一方を表示画面に表示するよう制御する表示制御部として機能させる、脳機能改善促進プログラムを記録したコンピューター読み取り可能な記録媒体である。
【0104】
このような記憶媒体によれば、ユーザにとって適切な脳機能の改善を容易に促進することができる。
【0105】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって、どのような面からも制限的なものではないと理解されるべきである。本発明の範囲は上記した意味ではなく、請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0106】
11 脳機能改善促進装置、12,63 表示画面、13 バンド、14 ボタン、21 制御部、22 記憶メモリ、23,56 酸素摂取量計測部、24 通信部、25,64 時間計測部、31,71 目標酸素摂取量算出部、32,72 設定部、33,73 第1判断部、34,74 継続時間計測制御部、35,75 第2判断部、36,76 記憶制御部、37,77 表示データ生成部、38,78 表示制御部、41,42,43 表示データ、51 脳機能改善促進システム、52 計測センサ、53 端末装置、54 計測センサ通信部、55 計測センサ制御部、57 計測センサメモリ、61 端末装置通信部、62 端末装置制御部、65 端末装置メモリ、81a,81b 領域データ、82a,82b グラフデータ、83a,83b アイコンデータ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8