(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025036867
(43)【公開日】2025-03-17
(54)【発明の名称】液切れ性評価システム
(51)【国際特許分類】
G01N 11/00 20060101AFI20250310BHJP
G01M 99/00 20110101ALI20250310BHJP
【FI】
G01N11/00 F
G01M99/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023143477
(22)【出願日】2023-09-05
(71)【出願人】
【識別番号】390029090
【氏名又は名称】靜甲株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100117190
【弁理士】
【氏名又は名称】前野 房枝
(72)【発明者】
【氏名】井原 拓眞
【テーマコード(参考)】
2G024
【Fターム(参考)】
2G024AA30
2G024AD01
2G024BA30
2G024CA21
2G024CA22
2G024CA30
2G024FA03
2G024FA06
2G024FA15
(57)【要約】
【課題】 充填装置と、これと独立した画像装置とを同期でき、液切れ性の判定の根拠を明確かつ客観的なものとでき、実測と判定の試験時間も短縮でき、よって試験回数の増加が簡便になり、オフラインであっても判定可能な液切れ性評価システムを提供すること。
【解決手段】
充填液の供給経路を開閉させる1乃至複数基のバルブの駆動動作のON/OFFに従い、前記充填液を充填ノズル2の吐出口から吐出する充填装置1と、前記バルブの駆動動作のON/OFFに同期した切替表示が実行される切替表示部4と、前記充填ノズル2の吐出口と前記切替表示部4とを1画面に収めて動画を画像可能に配設された画像装置6とを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
充填液の供給経路を開閉させる1乃至複数基のバルブの駆動動作のON/OFFに従い、前記充填液を充填ノズルの吐出口から吐出する充填装置と、
前記バルブの駆動動作のON/OFFに同期した切替表示が実行される切替表示部と、
前記充填ノズルの吐出口と前記切替表示部とを1画面に収めて動画を画像可能に配設された画像装置と、
を備えることを特徴とする液切れ性評価システム。
【請求項2】
前記動画を処理して充填状況を数値化する充填状況検出および/または前記表示部の動画を処理して前記バルブの駆動動作のON/OFFを検出するノズル制御検出とを行う画像処理手段を備えることを特徴とする請求項1に記載の液切れ性評価システム。
【請求項3】
前記充填状況検出は、背景差分を用いた動体検出により、充填状況を検出することを特徴とする請求項2に記載の液切れ性評価システム。
【請求項4】
前記ノズル制御検出は、切替表示部の表示色の判別処理により、前記バルブの駆動動作のON/OFFのタイミングを検出することを特徴とする請求項2に記載の液切れ性評価システム。
【請求項5】
充填液の充填開始からの経時に沿って前記画像処理手段の結果を示すデータを可視化する判定表示手段を備えることを特徴とする請求項2乃至請求項4のいずれか1項に記載の液切れ性評価システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理技術を用いたノズル充填の液切れ性評価システムに関する。
【背景技術】
【0002】
食品や医薬品などの製造において充填機を用いて液体を容器に充填する工程では、充填タンクに貯留された液体を充填ノズルを介して容器に充填している。この充填工程において順次供給される容器に対し、一定の時間で一定量の液体を充填する際、充填ノズルの先端から液だれがあると、充填精度や充填効率も低下し、製品の汚染や品質低下の原因となる。
【0003】
充填機の液だれの発生、換言すれば、液切れの良さは使用するポンプ、液種、温度などにより変化するため、個々の条件に応じた液切れ性の評価を行うことは重要である。
【0004】
従来より、輸液量の制御を行うために液滴の体積を測定する技術(特許文献1)や、圧電素子を利用するインクジェットヘッドから吐出されるインクの液滴の体積、吐出速度、吐出角度を安定させる条件を適切に調整する為に液滴を観察する方法とその装置に関する技術(特許文献2、3)が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010-145334号公報
【特許文献2】特開2004-069484号公報
【特許文献3】特開2022-023560号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、これらの技術では充填機を用いて定量の液体を容器に充填する充填ノズルからの液だれを抑止するべく、液切れ性の評価を行うことはできない。
【0007】
そして、従来の液切れ性の評価を行う一方法としては、充填中の映像を市販のカメラ等を用いて録画し、スロー再生か画像シーケンスに変換し、目視で確認することで、液だれの有無や液切れの良し悪しを個々の充填状況において比較判断する方法を採用していた。
【0008】
しかしながら、この従来法は、カメラと充填機が同期していないため、充填ノズルの開閉のタイミングと動画の充填状況の相関が取りづらい。また、目視による判断のため、個々人の主観によるところが大きく、測定基準が明確にならない。そして、データとして判断理由とを記載することが困難であり、さらには、測定や判断などの評価試験に時間がかかる。
【0009】
本発明は、このような問題点に鑑みなされたものであり、充填装置と、これと独立した画像装置とを同期でき、液切れ性の判定の根拠を明確かつ客観的なものとでき、実測と判定の試験時間も短縮でき、よって試験回数の増加が簡便になり、オフラインであっても判定可能な液切れ性評価システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前述した目的を達成するため、本発明の請求項1に記載の液切れ性評価システムは、充填液の供給経路を開閉させる1乃至複数基のバルブの駆動動作のON/OFFに従い、前記充填液を充填ノズルの吐出口から吐出する充填装置と、前記バルブの駆動動作のON/OFFに同期した切替表示が実行される切替表示部と、前記充填ノズルの吐出口と前記表示部とを1画面に収めて動画を画像可能に配設された画像装置と、を備えることを特徴とする。
【0011】
この構成を備えることにより、前記バルブの駆動動作のON/OFFとノズルからの充填液の吐出状態を1つの動画の再生画面で目視確認することが可能となる。
【0012】
さらに、前記動画を処理して充填状況を数値化する充填状況検出および/または前記表示部の動画を処理して前記バルブの駆動動作のON/OFFを検出するノズル制御検出とを行う画像処理手段を備えることを特徴とする。
【0013】
前記充填状況検出は、背景差分を用いた動体検出により、充填状況を検出することを特徴とする。
【0014】
また、前記ノズル制御検出は、切替表示部の表示色の判別により、前記バルブの駆動動作のON/OFFのタイミングを検出することを特徴とする。
【0015】
また、充填液の充填開始からの経時に沿って前記画像処理部の充填状況検出の結果を示すデータを可視化する判定表示手段を備えることを特徴とする。
【0016】
この画像処理手段や判定表示手段は、前記充填装置や画像装置と同じ空間内に配設されている必要は無く、充填装置と離間した場所においてでも、動画を処理し、充填状況を数値化し、データを可視化して表示することができる。
【0017】
よって、前記バルブの開閉駆動動作のOFF後に検出される異物(液滴)を異物としてアノマリー検出することで、その液種とその充填条件下における液切れまでの時間や液だれなどのエラーを検知することができる。
【発明の効果】
【0018】
このように、本発明の液切れ性評価システムによれば、液切れ性の判定の根拠を明確かつ客観的なものとでき、実測と判定の試験時間も短縮でき、よって試験回数の増加が簡便になり、液種や充填条件を変更した多くのデータを収集することができ、オフラインであっても、液切れ性評価を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明に係る液切れ性評価システムの全体構成説明図
【
図2】本実施形態における各バルブの駆動動作のON/OFFに同期した切替表示の一例を示すタイミングチャート
【
図3】充填液の充填開始からの経時に沿って画像処理部の充填状況検出の結果を可視化したグラフの表示例を示す図
【
図4】充填液の充填開始からの経時に沿って画像処理部の充填状況検出の結果を可視化した第1のグラフと、充填液の充填開始からの経時に沿って画像処理部のノズル制御検出の結果を可視化した第2のグラフとを重ね、各ノズルの開閉制御と充填の相関を示す表示例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明に係る液切れ性評価システムの実施形態について、
図1乃至
図4を参照して説明する。
【0021】
図1は、本実施形態の液切れ性評価システムの全体構成を示す図である。
本実施形態の液切れ性評価システムは、評価対象の充填液Lの供給経路を開閉させるバルブの開閉駆動動作のON/OFFに従い、充填液Lを充填ノズル2の吐出口から吐出する充填装置1を備えている。
【0022】
前記充填装置1は、評価対象の充填液Lを貯留するタンク(不図示)と、充填液Lを容器(不図示)に注入するべく吐出する充填ノズル2と、前記タンクと前記充填ノズルとの間の充填液Lの供給経路を形成する可撓性のチューブからなる配管(不図示)と、前記タンクに貯留された充填液Lを前記配管を通して前記充填ノズルへ送液する送液手段(不図示)と、前記配管に設けられた前記供給経路の開閉手段としての開閉バルブ(不図示)と、前記配管のチューブへの押圧量を可変させてサックバックを実行するサックバックバルブ(不図示。いずれも電磁バルブ)と、前記開閉バルブと前記サックバックバルブの各駆動動作のON/OFFを制御する制御手段3から構成されている。
【0023】
また、本実施形態の液切れ性評価システムは、各バルブの駆動動作のON/OFFに同期して切替表示が実行される切替表示部4を備えている。本実施形態において、切替表示部4は、充填装置1の駆動条件等を表示するモニタであるが、そのモニタの背景色(表示色)が制御手段3の制御により各バルブの駆動動作のON/OFFに同期して切替わるように構成されている。例えば、
図2に示すように、各バルブが閉状態である通常時は黒色の背景色を、開閉バルブ並びにサックバックバルブの双方に開動作の信号が入ると緑色、開閉バルブが閉状態、サックバックバルブは開動作の信号が入ると赤に切替わるように設定することができる。
【0024】
そして、液切れ性評価システムは、さらに、充填ノズル2の吐出口と切替表示部4とを1色(例えば水色)のカラーバック5の1画面に収め、充填中の動画をカラーで画像可能に配設された画像装置としてのカメラ6を備えている。
【0025】
この構成を備えることで、充填中はもちろんのこと、カラーの動画をスロー再生し、その一画面内の背景色が切替わることで前記開閉バルブ並びに前記サックバックバルブの開閉駆動動作のON/OFFを判断しながら充填中から充填後の液切れの状態を確認できるので、各バルブの開閉駆動状態を目視で確認することができなかった従来に比べ、開閉バルブ並びにサックバックバルブの開閉駆動のタイミングとの関係における液切れ性の評価が頗るし易くなる。
【0026】
そして、本実施形態の液切れ性評価システムはさらに、画像処理手段10を備えている。本実施形態において、画像処理手段10は具体的には充填装置1と別に配設された情報処理装置(PC)11に搭載されて起動する画像処理ソフトであり、この画像処理ソフトは、前記動画を処理して充填状況を数値化する充填状況検出や、切替表示部4の動画を処理して前記バルブの駆動動作のON/OFFのタイミングを数値化して検出するノズル制御検出とを行う。各検出については後述する。
【0027】
また、本実施形態の液切れ性評価システムは、情報処理装置11に、充填液Lの充填開始からの経時に沿って前記画像処理部の充填状況検出を示すデータを可視化する判定表示ソフトからなる判定表示手段12を備えており、前記情報処理装置11の入出力部としての表示画面の一領域に、その結果としてのデータを表示し、および/または出力装置(不図示。プリンタ)からプリントアウト可能に構成されている。
【0028】
この画像処理手段10や判定表示手段12は、充填装置1と同じ空間内に配設されている必要は無く、充填装置1と隔離された場所においてでも、動画を処理し、充填状況を1画面内でバルブの開閉の切替とリンクさせて目視確認することができ、さらには、充填状況を数値化し、データを可視化して表示することができる。
【0029】
これにより、可視化されたデータから前記バルブの開閉駆動動作のOFF後に検出される異物(液滴)を異物としてアノマリー検出することで、その液種とその充填条件下における液切れまでの時間や液だれなどのエラーを判断することができる。
【0030】
<撮像>
上記構成を備えた上で、充填装置1の制御手段3は、前記開閉バルブ並びに前記サックバックバルブをON/OFFさせながら評価対象の充填液Lを充填ノズル2から吐出させるとともに、切替表示部4の背景色を各バルブの駆動動作のON/OFFに同期させて切替える。また、カメラ6は、充填ノズル2の吐出口とモニタの切替表示部4とをカラーバック5で1画面に収め、充填液Lの吐出開始から吐出終了後の液だれが発生しうる一定時間の画像をカラーで撮像し、データ化する。
【0031】
<可視化>
本実施形態においても、各バルブの駆動動作のON/OFFに同期させて一画面内の背景色が切替わることで前記開閉バルブ並びに前記サックバックバルブの開閉駆動動作のON/OFFを判断しながら充填中から充填後の液切れの状態を確認できることが前述の通りであるが、さらに、前記カメラ6の画像データを用い、情報処理装置11に搭載された画像処理ソフトにより、前記動画中の充填液Lの画像を処理して充填状況を数値化する充填状況検出や、前記表示部の動画像を処理して前記バルブの駆動動作のON/OFFのタイミングを数値化して検出するノズル制御検出を行う。
【0032】
前記充填状況検出は、前記カメラ6で撮影した充填液Lの吐出開始から吐出終了後の液だれが発生しうる一定時間の画像データについて、背景差分を用いた動体検出により、充填状況を数値化する。背景差分を取得する方法はいくつもあるが、本実施形態においては、目標となるフレームまでの3枚以上の画像データから背景画像を生成し、その画像との比較を行って動体を抽出する処理を行ない、画像に写る充填液Lの面積を取得する(評価)。面積の取得は、前記カメラ6が1秒間に何枚の画像を撮影するかというフレームレート(fps)を勘案しつつ、動画を構成するすべてのフレームに対して行う。
【0033】
また、前記ノズル制御検出は、前記動画を処理して前述の切替表示部4の背景色を特定し、前記バルブの駆動動作のON/OFFを判断する。つまり、前述した本実施形態における設定においては、切り替え表示部4の前記モニタの画像からHSV色空間の彩度を求め、画像全体の彩度の平均値を求めることで、前記開閉バルブ並びに前記サックバックバルブの双方の開閉状態を判断する。そして、前記バルブの駆動動作のON/OFFのタイミング、つまり、切替表示部4の表示色の切替タイミングをその時の画像の枚数(フレーム数)で把握する。
【0034】
<分析・評価>
そして、判定表示ソフトからなる判定表示手段12は、
図3に示すように、前記バルブの駆動動作のONを検出した充填液Lの充填開始からの経時で変化した前記画像処理手段10の充填状況検出の結果を示すデータを情報処理装置11の可視化する。本実施形態においては、横軸に時間の経過を示す撮像時のフレーム数、縦軸に画像中の流体面積を示すグラフを作成する。
【0035】
続いて、作成されたグラフの解釈について説明する。
この
図3のグラフは(A)に示すフレーム数440の時点から(B)に示すフレーム数525の時点へ向かって全体として下降するラインを描くが、(A)時点と(B)時点とで充填液Lの流量が減少している訳ではない。この下降するラインは、動体検出の結果であるので、充填液Lの流れが安定するに従って動体検出される充填液の面積が減少することを示している。
【0036】
また、
図3中に(C)に示すフレーム数530の時点でグラフ上に目立つ大きさのピークが現れる。これは、充填の完了間近になって液が切れ始め、安定していた充填液Lの流れが変化し、動体として検出されたことを示している。その後、充填液Lの充填終了前に、(D)に示すように充填終了を示すピークが現れ、やがて充填液Lの検出面積は0となる。
【0037】
また、
図3中に(E)に示すフレーム数791の時点のグラフ上に現れた小さなピークは、充填終了後の動体検出であるので、この時点で液だれが発生したと判断することができる。
【0038】
このグラフを作成する基となるフレーム数(時間と)と流体面積の数値を表として管理することも可能である。このように数値として把握することにより、充填開始から充填完了、充填完了から液だれ発生までの時間を簡単に計算で求めることが可能となる。
【0039】
例えば、ある液種の評価の場合において、フレームレートを120fpsとして撮像したとき、充填開始がフレーム数421の時点、充填終了がフレーム数571の時点、液だれが生じたのがフレーム数786の時点であれば、充填開始から充填終了までのフレーム数は150フレームであるので、時間に換算すると、(571-421)/120(fps)で1.3秒ということがわかる。同様の計算で、充填終了から液だれ発生までは215フレームであるので、時間に換算すると(786-571)/120(fps)で1.8秒であることがわかる。
【0040】
また、
図4は、横軸の時間の経過を示す撮像時のフレーム数を共有し、縦軸を画像中の流体面積としてデータをプロットして充填の状況を示す第1のグラフAと、縦軸に前記モニタの画像から求めた彩度の平均値としてデータをプロットし前記バルブの駆動動作のON/OFFの状況を示す第2のグラフBとを重ねて表示している。
【0041】
この
図4においては、ある液種の評価の場合において、フレームレートを120fpsとして撮像したとき、第1のグラフAから充填液の充填開始がフレーム数401の時点、充填完了がフレーム数655の時点であり、液だれの現象は検知されていなかったことが分かる。重ねた第2のグラフBでは、フレーム数283の時点で開閉ノズルが充填装置の制御手段からのON信号に基づいて開状態となり、フレーム数633の時点で開閉ノズルが充填装置の制御手段からOFF信号に基づいて閉状態となり、そして、フレーム数693の時点でサックバックノズルが充填装置の制御手段からOFF信号に基づいて閉状態となったことが可視化されて情報表示手段11の出力部13としてのモニタ画面に表示されている。
【0042】
そして、この結果から、両バルブの開閉制御と充填液の充填の時間的相関を計算し、求めることができる。すなわち、前記開閉バルブがONとなってから、充填液Lが充填ノズル2の吐出口から吐出され始めるまでの時間は、(401-283)/120(fps)で0.98秒ということがわかる。また、同様の計算で、開閉バルブがOFFとなってから、充填液が完全に切れるまで(充填終了)までの時間は、(655-633)/120(fps)で0.18秒ということが分かる。そして、この液種における充填の液切れ性の評価において液だれが発生していない今回の条件下において、開閉ノズルがOFFとなった後、サックバックバルブがOFFとなるまでの遅延時間は、(693-633)/120(fps)で0.5秒であったことを確認することができる。
【0043】
このような検証を、液種毎に複数回、充填条件を変更する等してデータを収集することにより、例えば、サックバックバルブの遅延時間の適切な設定値、つまり、液だれが発生しにくいサックバックバルブの遅延時間などを検証・評価することができる。
【0044】
このように、本実施形態の液切れ性評価システムによれば、例えば、液だれ対策の部品を違えた装置を比較検証するような場合に、客観的かつ数値的な指標を示すことが可能となる。その際に、従来、動画のコマ送り等の手作業で行っていた液切れの確認の作業を、画像処理手段10と判定表示手段12を用いることで自動化し、可視化することが可能となる。そして、液切れ性の評価を自動化できることにより、同条件又は異なる条件における試行回数を増やすことが容易となり、試行回数を増やし多くのデータを収集することができれば、その評価の信頼性も高いものとすることができる。なお、可視化したデータは
図1に示すように情報処理装置11の出力部13としてのモニタ画面に表示したり、プリンタ(不図示)から出力してもよい。
【0045】
また、本発明の液切れ性評価システムは、前述した実施の形態に限定されるものではなく、本考案の特徴を損なわない限度において種々変更することができる。例えば、
図4に示す、充填液Lの充填開始からの経時に沿って画像処理部のノズル制御検出の結果を可視化した第2のグラフのみを表示することも可能である。また、表示切替部の構成も、本実施形態のように充填装置1の駆動条件等を表示するモニタとせず、多色に切替発光可能なランプのようなものであってもよい。
【符号の説明】
【0046】
1 充填装置
2 充填ノズル
3 制御手段
4 切替表示部
5 カラーバック
6 カメラ
10 画像処理手段
11 情報処理装置
12 判定表示手段
A 第1のグラフ
B 第2のグラフ
L 充填液