IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日本電気硝子株式会社の特許一覧

特開2025-36902ブッシング、ガラス繊維の製造装置及びガラス繊維の製造方法
<>
  • 特開-ブッシング、ガラス繊維の製造装置及びガラス繊維の製造方法 図1
  • 特開-ブッシング、ガラス繊維の製造装置及びガラス繊維の製造方法 図2
  • 特開-ブッシング、ガラス繊維の製造装置及びガラス繊維の製造方法 図3
  • 特開-ブッシング、ガラス繊維の製造装置及びガラス繊維の製造方法 図4
  • 特開-ブッシング、ガラス繊維の製造装置及びガラス繊維の製造方法 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025036902
(43)【公開日】2025-03-17
(54)【発明の名称】ブッシング、ガラス繊維の製造装置及びガラス繊維の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C03B 37/08 20060101AFI20250310BHJP
【FI】
C03B37/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023143549
(22)【出願日】2023-09-05
(71)【出願人】
【識別番号】000232243
【氏名又は名称】日本電気硝子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】松浦 禅
【テーマコード(参考)】
4G021
【Fターム(参考)】
4G021FA00
4G021MA01
(57)【要約】
【課題】スクリーンの変形を抑制可能としたブッシング、ガラス繊維の製造装置及びガラス繊維の製造方法を提供する。
【解決手段】ブッシング13は、溶融ガラスMGを下方に流下する複数のノズル24を含むブッシング本体20と、ブッシング本体20の内部に配置されるスクリーン30とを備える。スクリーン30は、開口部を有する。スクリーン30は、スクリーン30の中央側から両側の端部に向かってそれぞれ下方に傾斜する一対の傾斜部34を有している。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラス繊維の製造装置に用いられるブッシングであって、
溶融ガラスを下方に流下する複数のノズルを含むブッシング本体と、
前記ブッシング本体の内部に配置される、開口部を有するスクリーンと、を備え、
前記スクリーンは、前記スクリーンの中央側から両側の端部に向かってそれぞれ下方に傾斜する一対の傾斜部を有している、
ブッシング。
【請求項2】
前記ブッシング本体は、前記複数のノズルを有するベースプレートと、前記ベースプレートの上面に立設されている補強リブと、を有し、
前記スクリーンは、前記補強リブの上に載置されている、
請求項1に記載のブッシング。
【請求項3】
前記スクリーンは、全体として板状をなし、
前記補強リブは、前記補強リブの上端部が前記一対の傾斜部の形状に沿った傾斜構造を有している、
請求項2に記載のブッシング。
【請求項4】
前記補強リブは、高さ方向に対して垂直な方向な第1方向に沿って延在しており、
前記一対の傾斜部は、前記スクリーンの前記第1方向における両端部に向かってそれぞれ下方に傾斜しており、
前記傾斜構造は、前記補強リブにおける前記第1方向の一端部から他端部にわたって、前記一対の傾斜部の形状に沿って形成されている、
請求項3に記載のブッシング。
【請求項5】
前記一対の傾斜部は、前記スクリーンの中央部から両側の端部のそれぞれにわたって設けられている、
請求項1に記載のブッシング。
【請求項6】
前記開口部は、前記一対の傾斜部の各々において上流側から下流側にかけて延びるように形成されたスリットを含む、
請求項1に記載のブッシング。
【請求項7】
前記スリットは、自身の延在方向に直交する並び方向に沿って複数並んで設けられ、
前記複数のスリットのうち、前記並び方向における前記スクリーンの端部付近に位置するスリットの幅は、前記並び方向における前記スクリーンの中央部付近に位置するスリットの幅よりも大きい、
請求項6に記載のブッシング。
【請求項8】
溶融ガラスを流通させるフィーダーと、前記フィーダーの下方に配置されるブッシングと、を備えるガラス繊維の製造装置であって、
前記ブッシングは、
溶融ガラスを下方に流下する複数のノズルを含むブッシング本体と、
前記ブッシング本体の内部に配置される、開口部を有するスクリーンと、を備え、
前記スクリーンは、前記スクリーンの中央側から両側の端部に向かってそれぞれ下方に傾斜する一対の傾斜部を有している、
ガラス繊維の製造装置。
【請求項9】
ガラス繊維の製造装置を用いて複数のガラスフィラメントを成形する成形工程を備えるガラス繊維の製造方法であって、
前記ガラス繊維の製造装置は、溶融ガラスを流通させるフィーダーと、前記フィーダーの下方に配置されるブッシングと、を備え、
前記ブッシングは、
溶融ガラスを下方に流下する複数のノズルを含むブッシング本体と、
前記ブッシング本体の内部に配置される、開口部を有するスクリーンと、を備え、
前記スクリーンは、前記スクリーンの中央側から両側の端部に向かってそれぞれ下方に傾斜する一対の傾斜部を有している、
ガラス繊維の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブッシング、ガラス繊維の製造装置及びガラス繊維の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載されるように、ガラス繊維の製造には、複数のノズルを有するブッシングを備える製造装置が用いられる。ブッシングは、ブッシングの上側に設けられたフィーダーから供給された溶融ガラスを各ノズルから下方に流下することで、複数のガラスフィラメントを成形する。ブッシングは、ブッシングの内部において溶融ガラス内の異物がノズル上に堆積することを防止するためのスクリーンを備える。溶融ガラス内の異物としては、例えば、フィーダーとブッシングの間に設けられて溶融ガラスの流路を構成する、耐火物からなるフローブロックの破片等が挙げられる。スクリーンは、溶融ガラスが流通する開口部を有している。スクリーンは、溶融ガラスの異物がノズルに到達する前段において当該異物を捕捉する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012-91954号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のようなブッシングでは、例えば、スクリーンにおける1箇所に異物が堆積した場合、その箇所に負荷が集中する。すると、その負荷によりスクリーンが変形するおそれがあった。
【0005】
本発明の目的は、スクリーンの変形を抑制可能としたブッシング、ガラス繊維の製造装置及びガラス繊維の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
[1]上記課題を解決するブッシングは、ガラス繊維の製造装置に用いられるブッシングであって、溶融ガラスを下方に流下する複数のノズルを含むブッシング本体と、前記ブッシング本体の内部に配置される、開口部を有するスクリーンと、を備え、前記スクリーンは、前記スクリーンの中央側から両側の端部に向かってそれぞれ下方に傾斜する一対の傾斜部を有している。
【0007】
この構成によれば、一対の傾斜部の傾斜によって、スクリーン上に到達した異物を両端部の方に誘導することが可能となる。すなわち、スクリーン上に到達した異物を少なくとも2方向に分散させることが可能となる。その結果、異物がスクリーン上の1箇所に堆積することによるスクリーンの変形を抑制することが可能となる。
【0008】
[2]上記[1]において、前記ブッシング本体は、前記複数のノズルを有するベースプレートと、前記ベースプレートの上面に立設されている補強リブと、を有し、前記スクリーンは、前記補強リブの上に載置されていてもよい。
【0009】
この構成によれば、ブッシング本体の補強リブによって、スクリーンを支持することができる。これにより、スクリーンをブッシング本体に固定するための構成を別途設ける必要がなくなるため、構成の簡素化が可能となる。
【0010】
[3]上記[2]において、前記スクリーンは、全体として板状をなし、前記補強リブは、前記補強リブの上端部が前記一対の傾斜部の形状に沿った傾斜構造を有していてもよい。
【0011】
この構成によれば、一対の傾斜部の形状に沿った補強リブの傾斜構造によって、スクリーンを補強リブ上に安定して設置することが可能となる。
[4]上記[3]において、前記補強リブは、高さ方向に対して垂直な方向な第1方向に沿って延在しており、前記一対の傾斜部は、前記スクリーンの前記第1方向における両端部に向かってそれぞれ下方に傾斜しており、前記傾斜構造は、前記補強リブにおける前記第1方向の一端部から他端部にわたって、前記一対の傾斜部の形状に沿って形成されていてもよい。
【0012】
この構成によれば、補強リブの上端部に形成された傾斜構造によって、スクリーンを好適に支持することが可能となる。
[5]上記[1]から[4]のいずれかにおいて、前記一対の傾斜部は、前記スクリーンの中央部から両側の端部のそれぞれにわたって設けられていてもよい。
【0013】
この構成によれば、一対の傾斜部がスクリーンの中央部から両側の端部のそれぞれにわたって設けられることで、スクリーン上に到達した異物を両側の端部の方に分散して誘導しやすくなる。
【0014】
[6]上記[1]から[5]のいずれかにおいて、前記開口部は、前記一対の傾斜部の各々において上流側から下流側にかけて延びるように形成されたスリットを含んでいてもよい。
【0015】
この構成によれば、スクリーンのスリットに溶融ガラスを流入しやすくすることが可能となる。
[7]上記[6]において、前記スリットは、自身の延在方向に直交する並び方向に沿って複数並んで設けられ、前記複数のスリットのうち、前記並び方向における前記スクリーンの端部付近に位置するスリットの幅は、前記並び方向における前記スクリーンの中央部付近に位置するスリットの幅よりも大きい構成であってもよい。
【0016】
この構成によれば、以下のような効果を得ることができる。ブッシング内に流れる溶融ガラスの温度は、ブッシングの周縁部(周壁付近)ブッシングの中央部で高くなる傾向がある。したがって、ブッシング内に流れる溶融ガラスの粘度は、ブッシングの中央部よりもブッシングの周縁部で高くなるため、ブッシングの周縁部では溶融ガラスの流動性が低くなる。そこで、スクリーンの複数のスリットのうち、スクリーンの端部付近に位置するスリットの幅を、スクリーンの中央部付近に位置するスリットの幅よりも大きくすることで、ブッシングの周縁部における溶融ガラスの流動性を確保することが可能となる。これにより、ブッシング内における溶融ガラスの滞留を抑制することが可能となる。
【0017】
[8]上記課題を解決するガラス繊維の製造装置は、溶融ガラスを流通させるフィーダーと、前記フィーダーの下方に配置されるブッシングと、を備えるガラス繊維の製造装置であって、前記ブッシングは、溶融ガラスを下方に流下する複数のノズルを含むブッシング本体と、前記ブッシング本体の内部に配置される、開口部を有するスクリーンと、を備え、前記スクリーンは、前記スクリーンの中央側から両側の端部に向かってそれぞれ下方に傾斜する一対の傾斜部を有している。
【0018】
この構成によれば、一対の傾斜部の傾斜によって、スクリーン上に到達した異物を両端部の方に誘導することが可能となる。すなわち、スクリーン上に到達した異物を少なくとも2方向に分散させることが可能となる。その結果、異物がスクリーン上の1箇所に堆積することによるスクリーンの変形を抑制することが可能となる。
【0019】
[9]上記課題を解決するガラス繊維の製造方法は、ガラス繊維の製造装置を用いて複数のガラスフィラメントを成形する成形工程を備えるガラス繊維の製造方法であって、前記ガラス繊維の製造装置は、溶融ガラスを流通させるフィーダーと、前記フィーダーの下方に配置されるブッシングと、を備え、前記ブッシングは、溶融ガラスを下方に流下する複数のノズルを含むブッシング本体と、前記ブッシング本体の内部に配置される、開口部を有するスクリーンと、を備え、前記スクリーンは、前記スクリーンの中央側から両側の端部に向かってそれぞれ下方に傾斜する一対の傾斜部を有している。
【0020】
この製造方法によれば、一対の傾斜部の傾斜によって、スクリーン上に到達した異物を両端部の方に誘導することが可能となる。すなわち、スクリーン上に到達した異物を少なくとも2方向に分散させることが可能となる。その結果、異物がスクリーン上の1箇所に堆積することによるスクリーンの変形を抑制することが可能となる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、スクリーンの変形を抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1図1は、実施形態におけるガラス繊維の製造装置を示す模式断面図である。
図2図2は、同形態におけるブッシングの分解斜視図である。
図3図3は、同形態におけるブッシングの断面図である。
図4図4は、変更例におけるブッシングの断面図である。
図5図5は、変更例におけるスクリーンの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、ブッシング、ガラス繊維の製造装置及びガラス繊維の製造方法の一実施形態について図面を参照して説明する。なお、図面では、説明の便宜上、構成の一部を誇張又は簡略化して示す場合がある。また、各部分の寸法比率についても、実際と異なる場合がある。
【0024】
(ガラス繊維の製造装置11)
図1に示すように、ガラス繊維の製造装置11は、溶融ガラスMGを流通させるフィーダー12と、フィーダー12の下方に配置されるブッシング13とを備える。各図面には、互いに直交する3軸(X軸、Y軸及びZ軸)を示している。本実施形態において、X軸は、ブッシング13の長さ方向に沿って延びている。Y軸は、ブッシング13の幅方向に沿って延びている。Z軸は、ブッシング13の高さ方向に沿って延びている。ブッシング13は、高さ方向(Z軸方向)が鉛直方向に沿うように配置される。
【0025】
(フィーダー12)
ガラス繊維の製造装置11のフィーダー12には、図示を省略したガラス溶融炉で得られた溶融ガラスMGが供給される。フィーダー12は、耐火壁から構成されている。耐火壁を構成する耐火物としては、例えば、電鋳煉瓦、デンス焼成煉瓦等が挙げられる。電鋳煉瓦としては、例えば、ジルコニア系電鋳煉瓦、アルミナ系電鋳煉瓦、アルミナ・ジルコニア系電鋳煉瓦、アルミナ・ジルコニア・シリカ系電鋳煉瓦等が挙げられる。デンス焼成煉瓦としては、デンスジルコン煉瓦、デンスクロム煉瓦等が挙げられる。
【0026】
フィーダー12は、溶融ガラスMGを流下させる流路を形成するフローブロック12aを備えている。フローブロック12aについても耐火物から構成される。また、フィーダー12は、フローブロック12aの下側にブッシングブロック12bを有している。ブッシングブロック12bは、フィーダー12とブッシング13との間における溶融ガラスMGの流路を形成している。ブッシングブロック12bにより形成された流路を流下した溶融ガラスMGは、ブッシング13に供給される。ブッシングブロック12bは、例えば、上述した非導電性の耐火物から構成される。
【0027】
溶融ガラスMGのガラスとしては、例えば、Eガラス(アルカリ含有量2%以下のガラス)、Dガラス(低誘電率ガラス)、ARガラス(耐アルカリ性ガラス)、Cガラス(耐酸性のガラス)、Mガラス(高弾性率のガラス)、Sガラス(高強度、高弾性率のガラス)、Tガラス(高強度、高弾性率のガラス)、Hガラス(高誘電率のガラス)、NEガラス(低誘電率のガラス)が挙げられる。ガラスの密度は、例えば、2.0~3.0g/cmである。
【0028】
(ブッシング13)
図1及び図2に示すように、ブッシング13は、溶融ガラスMGが供給されるブッシング本体20と、ブッシング本体20の内部に配置されるスクリーン30と、を備える。
【0029】
(ブッシング本体20)
ブッシング本体20は、ベースプレート21と、周壁22と、フランジ部23とを含む。
【0030】
ブッシング本体20のベースプレート21は、ブッシング本体20の底部を形成している。ベースプレート21は、例えば、ブッシング13の高さ方向に対して垂直な平板状をなす。ベースプレート21は、複数のノズル24を有している。各ノズル24は、ベースプレート21の下面から下方に延びている。ブッシング13の内部に流通する溶融ガラスMGは、各ノズル24におけるノズル孔を通じてベースプレート21の下方に流出される。すなわち、ブッシング13の各ノズル24によってガラスフィラメントGFが成形される。なお、ブッシング13におけるノズル24の数は、100個以上、10000個以下の範囲内であることが好ましい。また、各ノズル24におけるノズル孔の断面形状は、例えば、円形状、長径と短径とを有する扁平形状等が挙げられる。
【0031】
ブッシング本体20の周壁22は、ベースプレート21の周縁から上側に延びている。周壁22は、Z軸方向から見て環状をなしている。本実施形態の周壁22は、Z軸方向から見て、例えば長方形をなしている。周壁22の上端部には、フィーダー12から溶融ガラスMGが供給される。周壁22の内側には、溶融ガラスMGが流通される。なお、ベースプレート21または周壁22には、抵抗加熱用の図示しないターミナルが設けられている。
【0032】
ブッシング本体20のフランジ部23は、周壁22の上端部から外方に延びている。フランジ部23は、例えば、XY平面に沿って延びる平板状をなす。フランジ部23は、周壁22の全周にわたって設けられている。すなわち、フランジ部23は、Z軸方向から見て連続的な環状をなしている。
【0033】
図1に示すように、ガラス繊維の製造装置11は、ブッシング13を支持する支持部材Sを有している。支持部材Sは、例えばフィーダー12から延びている。支持部材Sは、例えば、ブッシング本体20のフランジ部23がブッシングブロック12bの下面に接するように、ブッシング13を下方から支持している。
【0034】
(補強リブ25)
図2及び図3に示すように、ブッシング本体20は、ベースプレート21の上面21aに立設されている補強リブ25を有している。補強リブ25は、ブッシング13の高さ方向(Z軸方向)に対して垂直な方向である第1方向としてのY軸方向に沿って延在している。補強リブ25は、例えば、X軸方向に対して垂直な平板状をなす。補強リブ25の下端部は、ベースプレート21の上面21aに対して例えば溶接等により固定されている。補強リブ25におけるY軸方向の両端部は、周壁22の内側面22aに対して溶接等により固定されている。補強リブ25は、例えば、X軸方向に並ぶように複数設けられている。複数の補強リブ25は、例えば、互いに同一形状をなしている。
【0035】
(スクリーン30)
図2及び図3に示すように、ブッシング13のスクリーン30は、例えば、全体として板状をなしている。スクリーン30は、ブッシング本体20の周壁22の内側において、例えば、フランジ部23よりも下方に配置されている。スクリーン30は、ブッシング本体20の内部における溶融ガラスMGの流路を横切るように設けられている。
【0036】
Z軸方向から見て、スクリーン30の外縁は、ブッシング本体20の周壁22に沿っている。すなわち、本実施形態のスクリーン30は、Z軸方向から見て、例えば長方形をなしている。詳しくは、Z軸方向から見たときのスクリーン30の外縁は、X軸方向に沿って延びる一対の長辺端部31と、Y軸方向に沿って延びる一対の短辺端部32とを含む。各長辺端部31は、Z軸方向から見て、X軸に沿った互いに平行な直線状をなしている。各短辺端部32は、Z軸方向から見て、Y軸に沿った互いに平行な直線状をなしている。
【0037】
スクリーン30は、例えば、全体として山形の形状をなしている。詳しくは、スクリーン30は、例えば、頂部33と、頂部33から下方に傾斜して延びる一対の傾斜部34を有している。
【0038】
スクリーン30の頂部33は、例えば、X軸に沿って直線状に延在するように形成されている。すなわち、本実施形態の頂部33は、ブッシング13の長さ方向に沿った直線状をなしている。言い換えると、頂部33はスクリーン30の山形形状の稜線部を形成している。また、頂部33は、各長辺端部31に対して平行に延びている。
【0039】
スクリーン30の頂部33は、例えば、スクリーン30におけるY軸方向の中央部に形成されている。すなわち、ブッシング13の幅方向(Y軸方向)において、頂部33から一方の長辺端部31までの長さと、頂部33から他方の長辺端部31までの長さとは、互いに等しくなっている。言い換えると、スクリーン30はX軸方向から見て、頂部33を通るZ軸方向の軸線を中心として左右対称となっている。
【0040】
(一対の傾斜部34)
スクリーン30における一対の傾斜部34は、スクリーン30のY軸方向の中央部に位置する頂部33から両側の長辺端部31に向かってそれぞれ下方に傾斜している。各傾斜部34は、例えば、ブッシング13の高さ方向(Z軸方向)に対して傾斜する板状をなしている。すなわち、各傾斜部34における傾斜勾配は、頂部33から長辺端部31にかけて一定に設定されている。Z軸方向におけるスクリーン30とベースプレート21との間隔は、頂部33で最も大きく、各長辺端部31で最も小さく設定されている。各傾斜部34のベースプレート21に対する傾斜角度は15~40°であることが好ましく、さらには20~25°であることがより好ましい。当該傾斜角度が小さすぎると、スクリーン30上に到達した異物を分散させることが困難となる。一方、当該傾斜角度が大きすぎると、傾斜部34の面積が大きくなって材料コストが高くなる。
【0041】
(開口部40)
図2に示すように、スクリーン30は、溶融ガラスMGが流通可能な開口部40を有する。スクリーン30は、溶融ガラスMG内に含まれる異物を捕捉しつつ、開口部40を通じて溶融ガラスMGを下流側に流す。これにより、溶融ガラスMG内の異物がベースプレート21上に堆積することが抑制される。
【0042】
スクリーン30の開口部40は、一対の傾斜部34のそれぞれに設けられている。開口部40の構成は、例えば、一対の傾斜部34の各々で互いに同一である。各傾斜部34における開口部40は、例えば、第1スリット41と、第2スリット42と、第3スリット43とを含む。第1スリット41、第2スリット42及び第3スリット43の各々は、傾斜部34における上流側から下流側にかけて延びている。つまり、本実施形態では、第1スリット41、第2スリット42及び第3スリット43の各々は、傾斜部34における頂部33側から長辺端部31側にかけて延びている。また、Z軸方向から見ると、第1スリット41、第2スリット42及び第3スリット43の各々は、ブッシング13の幅方向(Y軸方向)に沿った直線状をなしている。また、第1スリット41、第2スリット42及び第3スリット43は、X軸に沿って並んでいる。
【0043】
スクリーン30の各傾斜部34において、第1スリット41は、例えば複数設けられている。複数の第1スリット41は、互いに同一形状をなす。複数の第1スリット41は、傾斜部34におけるX軸方向の中央部にまとまって設けられている。
【0044】
スクリーン30の各傾斜部34において、第2スリット42は、例えば複数設けられている。複数の第2スリット42は、互いに同一形状をなす。本実施形態では、複数の第1スリット41のまとまりのX軸方向における両側に、それぞれ2つの第2スリット42が設けられている。
【0045】
スクリーン30の各傾斜部34において、第3スリット43は、例えば複数設けられている。複数の第3スリット43は、互いに同一形状をなす。第3スリット43は、一対の短辺端部32の各々の近傍に例えば2つずつ設けられている。第3スリット43は、開口部40を構成する複数のスリット(各第1スリット41、各第2スリット42及び各第3スリット43)のうち、スリット並び方向(X軸方向)の両端に位置している。X軸方向において、第3スリット43の幅は、スクリーン30のX軸方向の中央部に近い位置にあるスリット、すなわち第1スリット41の幅よりも大きく設定されている。
【0046】
X軸方向において、スクリーン30の各第2スリット42は、各第1スリット41のまとまりと各第3スリット43のまとまりとの間に設けられている。第2スリット42の幅は、第1スリット41の幅よりも大きく、かつ、第3スリット43の幅よりも小さく設定されている。
【0047】
スクリーン30の各スリット41,42,43において、頂部33に近い方の端部を上流側端部と称し、長辺端部31に近い方の端部を下流側端部と称する。本実施形態では、各スリット41,42,43の下流側端部と長辺端部31との間の距離は、各スリット41,42,43で同一に設定されている。各第2スリット42の上流側端部と頂部33との間の距離と、各第3スリット43の上流側端部と頂部33との間の距離とは、例えば互いに同一に設定されている。各第1スリット41の上流側端部と頂部33との間の距離は、例えば、各第3スリット43の上流側端部と頂部33との間の距離よりも大きく設定されている。
【0048】
(スクリーン30の配置について)
図3に示すように、スクリーン30は、例えば、各補強リブ25の上に載置されている。すなわち、各補強リブ25の上端部は、スクリーン30の下面に接している。これにより、各補強リブ25は、その上端部にてスクリーン30を支持している。
【0049】
各補強リブ25の上端部は、スクリーン30における一対の傾斜部34の形状に沿った傾斜構造50を備える。傾斜構造50は、補強リブ25におけるY軸方向の一端部から他端部にわたって形成されている。詳しくは、各補強リブ25の上端部は、スクリーン30の頂部33に対応するリブ側頂部51と、スクリーン30の一対の傾斜部34のそれぞれに対応する一対のリブ側傾斜部52とを備える。本実施形態における補強リブ25の傾斜構造50は、リブ側頂部51と一対のリブ側傾斜部52とを含む。各補強リブ25において、リブ側頂部51は、スクリーン30の頂部33(より詳しくは頂部33の裏側)に当接して、当該頂部33を支持する。また、各補強リブ25において、一対のリブ側傾斜部52は、スクリーン30の一対の傾斜部34(より詳しくは一対の傾斜部34の裏側)にそれぞれ当接して、当該一対の傾斜部34をそれぞれ支持する。
【0050】
補強リブ25の傾斜構造50におけるリブ側頂部51は、例えば、ブッシング本体20におけるY軸方向の中央部に位置している。一対のリブ側傾斜部52は、リブ側頂部51からY軸方向の両側に向かってそれぞれ下方に傾斜している。一対のリブ側傾斜部52の傾斜勾配は、スクリーン30の一対の傾斜部34の傾斜勾配と同等に設定されている。
【0051】
上記のブッシング13において、ベースプレート21及び補強リブ25を含めたブッシング本体20及びスクリーン30の材料としては、例えば、貴金属又は貴金属合金が挙げられる。貴金属は、金、銀、白金、パラジウム、ロジウム、イリジウム、ルテニウム、又はオスミウムである。ブッシング本体20及びスクリーン30の材料は、耐久性を高めるという観点から、白金、又は白金合金であることが好ましい。白金合金としては、例えば、白金ロジウム合金が挙げられる。
【0052】
(上記以外の構成)
ガラス繊維の製造装置11は、図示を省略したアプリケーター、及びギャザリングシューを備えている。アプリケーターは、ブッシング13から引き出された多数のガラスフィラメントGFに液体状の集束剤を塗布する。ギャザリングシューは、集束剤が塗布された多数のガラスフィラメントGFを集束させる。多数のガラスフィラメントGFがギャザリングシューにより集束されることで、ガラスストランドが得られる。ガラスストランドは、巻取り装置により巻き取られることで、ガラスストランドが巻回されたケーキが得られる。
【0053】
(ガラス繊維の製造方法)
次に、ガラス繊維の製造方法を説明する。
ガラス繊維の製造方法は、ガラス繊維の製造装置11を用いてガラスフィラメントGFを成形する成形工程を備えている。成形工程では、溶融ガラスMGがフィーダー12からブッシング13に供給される。フィーダー12からブッシング13までの溶融ガラスMGの流路及びブッシング13のブッシング本体20の内部は、溶融ガラスMGにより満たされている。溶融ガラスMG内に含まれる異物は、ブッシング本体20の内部に配置されたスクリーン30にて捕捉される。成形工程では、ブッシング13に供給された溶融ガラスMGがブッシング13の各ノズル24から流出されることにより、複数のガラスフィラメントGFが成形される。
【0054】
成形工程において、スクリーン30上に到達した溶融ガラスMG内の異物は、スクリーン30の一対の傾斜部34の傾斜によって、スクリーン30の一対の長辺端部31のいずれかに向かって誘導される。すなわち、スクリーン30の一対の傾斜部34によって、スクリーン30上に到達した異物をY軸方向の一方側と他方側の2方向に分散させることが可能となる。これにより、異物がスクリーン30上の1箇所に堆積することによるスクリーン30の変形を抑制することが可能となっている。
【0055】
また、成形工程において、フィーダー12から流下する溶融ガラスMGの温度が低い場合、ブッシング本体20は、抵抗加熱用の前記ターミナルを通じた電圧印加によって、ベースプレート21を主として加熱される。このようなブッシング本体20の加熱により、ブッシング本体20の内部の溶融ガラスMGを加熱して所定の温度まで昇温させることが可能となっている。これにより、各ノズル24からの溶融ガラスMGの流出を安定させることが可能となる。
【0056】
上記の成形工程で得られたガラスフィラメントGFが集束されることで、ガラスストランドが得られる。ガラスストランドは、例えば、所定の長さに切断されたチョップドストランドとして利用することができる。また、ガラスストランドは、ミルドファイバ、ロービング、ヤーン、マット、クロス、テープ、又は組布等として利用することができる。ガラスストランドの用途としては、例えば、車両用途、電子材料用途、建材用途、土木用途、航空機関連用途、造船用途、物流用途、産業機械用途、及び日用品用途が挙げられる。
【0057】
(実施形態の効果)
(1)ブッシング13のスクリーン30は、スクリーン30の中央側から両側の一対の長辺端部31に向かってそれぞれ下方に傾斜する一対の傾斜部34を有している。この構成によれば、一対の傾斜部34の傾斜によって、スクリーン30上に到達した異物を各長辺端部31の方に誘導することが可能となる。すなわち、スクリーン30上に到達した異物を2方向に分散させることが可能となる。その結果、異物がスクリーン30上の1箇所に堆積することによるスクリーン30の変形を抑制することが可能となる。
【0058】
(2)ブッシング本体20は、複数のノズル24を有するベースプレート21と、ベースプレート21の上面21aに立設されている補強リブ25と、を有する。スクリーン30は、補強リブ25の上に載置されている。この構成によれば、ブッシング本体20の補強リブ25によって、スクリーン30を支持することができる。これにより、スクリーン30をブッシング本体20に固定するための構成を別途設ける必要がなくなるため、構成の簡素化が可能となる。
【0059】
(3)スクリーン30は、全体として板状をなす。補強リブ25は、補強リブ25の上端部が一対の傾斜部34の形状に沿った傾斜構造50を有している。この構成によれば、一対の傾斜部34の形状に沿った補強リブ25の傾斜構造50によって、スクリーン30を補強リブ25上に安定して設置することが可能となる。
【0060】
(4)補強リブ25は、ブッシング13の高さ方向(Z軸方向)に対して垂直な方向な第1方向としてのY軸方向に沿って延在している。一対の傾斜部34は、第1方向としてのY軸方向におけるスクリーン30の両端部(一対の長辺端部31)に向かってそれぞれ下方に傾斜している。補強リブ25の傾斜構造50は、補強リブ25におけるY軸方向の一端部から他端部にわたって、一対の傾斜部34の形状に沿って形成されている。この構成によれば、補強リブ25の上端部に形成された傾斜構造50によって、スクリーン30を好適に支持することが可能となる。
【0061】
(5)一対の傾斜部34は、スクリーン30の中央部から両側の長辺端部31のそれぞれにわたって設けられているため、スクリーン30上に到達した異物を各長辺端部31の方に分散して誘導しやすくなる。
【0062】
(6)開口部40は、傾斜部34においてその上流側から下流側にかけて延びるように形成された第1スリット41、第2スリット42及び第3スリット43を含んでいる。この構成によれば、各スリット41,42,43を含む開口部40に溶融ガラスMGを流入しやすくすることが可能となる。
【0063】
(7)各スリット41,42,43は、自身の延在方向に直交する並び方向(X軸方向)に沿って複数並んで設けられている。そして、各スリット41,42,43のうち、前記並び方向におけるスクリーン30の端部付近に位置する第3スリット43の幅は、前記並び方向におけるスクリーン30の中央部付近に位置する第1スリット41の幅よりも大きい。この構成によれば、以下のような効果を得ることができる。ブッシング13内に流れる溶融ガラスMGの温度は、ブッシング13の周縁部(周壁22付近)よりもブッシング13の中央部で高くなる傾向がある。したがって、ブッシング13内に流れる溶融ガラスMGの粘度は、ブッシング13の中央部よりもブッシング13の周縁部で高くなるため、ブッシング13の周縁部では溶融ガラスMGの流動性が低くなる。そこで、スクリーン30の各スリット41,42,43のうち、スクリーン30の端部付近に位置する第3スリット43の幅を、スクリーン30の中央部付近に位置する第1スリット41の幅よりも大きくすることで、ブッシング13の周縁部における溶融ガラスMGの流動性を確保することが可能となる。これにより、ブッシング13内における溶融ガラスMGの滞留を抑制することが可能となる。
【0064】
(8)第1スリット41の上流側端部と頂部33との間の距離を第1距離と称する。第2スリット42の上流側端部と頂部33との間の距離を第2距離と称する。また、第3スリット43の上流側端部と頂部33との間の距離を第3距離と称する。そして、前記第1距離は、前記第2距離及び前記第3距離よりも大きく設定されている。この構成によれば、スクリーン30の中央部において、第1スリット41の上流側端部から頂部33までのスリットが形成されていない領域を大きくすることが可能となる。これにより、ブッシング13の中央部を流れる温度の高い溶融ガラスMGを、スクリーン30の一対の傾斜部34によってY軸方向の両側(各長辺端部31側)に散らしやすくなる。したがって、一対の傾斜部34によって溶融ガラスMGを好適に撹拌させることが可能となる。
【0065】
(変更例)
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0066】
・上記実施形態のスクリーン30は、各傾斜部34によってY軸方向に傾斜勾配を持つように構成されるが、これに限らず、X軸方向に傾斜勾配を持つスクリーンに変更してもよい。例えば、図4に示す構成において、スクリーン60は、例えば、頂部61と、頂部61から下方に傾斜して延びる一対の傾斜部62を有している。頂部61は、Y軸に沿って直線状に延在するように形成されている。すなわち、頂部61は、ブッシング13の幅方向に沿った直線状をなしている。また、頂部61は、スクリーン60の各短辺端部32に対して平行に延びている。頂部61は、例えば、スクリーン60におけるX軸方向の中央部に形成されている。すなわち、ブッシング13の長さ方向(X軸方向)において、頂部61から一方の短辺端部32までの長さと、頂部61から他方の短辺端部32までの長さとは、互いに等しくなっている。
【0067】
スクリーン60の一対の傾斜部62は、スクリーン60のX軸方向の中央部に位置する頂部61から両側の短辺端部32に向かってそれぞれ下方に傾斜している。各傾斜部62は、例えば、ブッシング13の高さ方向(Z軸方向)に対して傾斜する板状をなしている。すなわち、各傾斜部62における傾斜勾配は、頂部61から短辺端部32にかけて一定に設定されている。Z軸方向におけるスクリーン60とベースプレート21との間隔は、頂部61で最も大きく、各短辺端部32で最も小さく設定されている。
【0068】
このような構成によっても、上記実施形態と同様の効果を得ることが可能である。すなわち、一対の傾斜部62の傾斜によって、スクリーン60上に到達した異物を各短辺端部32の方に誘導することが可能となる。すなわち、スクリーン60上に到達した異物を2方向に分散させることが可能となる。その結果、異物がスクリーン60上の1箇所に堆積することによるスクリーン60の変形を抑制することが可能となる。
【0069】
また、図4に示す構成において、Y軸方向に延在する各補強リブ25は、それらの上端部が一対の傾斜部62の形状に沿った傾斜構造70を有している。詳しくは、各補強リブ25は、延在方向(Y軸方向)において高さが一様に設定されている。そして、各補強リブ25は、X軸方向において傾斜勾配を持つ一対の傾斜部62の傾斜に応じた高さに設定されている。つまり、X軸方向の中央部に位置する補強リブ25ほど高さが高く、X軸方向の端に位置する補強リブ25ほど高さが低く設定されている。これにより、各補強リブ25の上端部によって傾斜構造70が構成される。このような構成によっても、一対の傾斜部62の形状に沿った補強リブ25の傾斜構造70によって、スクリーン60を各補強リブ25上に安定して設置することが可能となる。
【0070】
・上記実施形態のスクリーン30において、Y軸方向に傾斜勾配を持つ一対の傾斜部34に加えて、例えば、X軸方向に傾斜勾配を持つ一対の傾斜部を有していてもよい。すなわち、スクリーン30は、一対の長辺端部31及び一対の短辺端部32のそれぞれに向かって下方に傾斜する傾斜部を有していてもよい。この構成によれば、スクリーン30の一対の傾斜部34を含む4つの傾斜部によって、スクリーン30上に到達した異物を4方向に分散させることが可能となる。
【0071】
・上記実施形態において、スクリーン30の開口部40の構成を例えば図5に示すような構成に変更してもよい。図5に示すように、スクリーン30の開口部40は、X軸に沿って延びる複数のスリット81を有している。複数のスリット81は、傾斜部34の上流側から下流側にかけて傾斜部34の傾斜に沿って並んでいる。なお、各スリット81は、互いに同一形状であってもよい。また、各スリット81において、例えば幅を互いに異ならせてもよい。
【0072】
・上記実施形態のスクリーン30において、開口部40は、互いに形状が異なる複数のスリット41,42,43を含むが、これ以外に例えば、互いに同一形状をなす複数のスリットのみから構成されていてもよい。
【0073】
・上記実施形態のスクリーン30において、開口部40は、円形状、楕円形状、多角形状等の孔を含む構成であってもよい。
・上記実施形態のスクリーン30において、開口部40の構成が一対の傾斜部34のそれぞれで異なっていてもよい。
【0074】
・上記実施形態において、スクリーン30の頂部33は、Y軸方向においてスクリーン30の中央部からずれた位置に設けられていてもよい。すなわち、Y軸方向において、頂部33から一方の長辺端部31までの長さと、頂部33から他方の長辺端部31までの長さとが互いに異なっていてもよい。
【0075】
・上記実施形態において、スクリーン30の頂部33は直線状をなしている。すなわち、頂部33は、各傾斜部34の上端部が繋がる部分に形成される角部にて構成されている。しかしながら、これ以外に例えば、頂部33がZ軸に対して垂直な平板状に形成されていてもよい。すなわち、X軸方向から見て、スクリーン30の全体が台形形状に形成されていてもよい。
【0076】
・上記実施形態のスクリーン30では、傾斜部34が頂部33から長辺端部31にわたって形成されているが、これ以外に例えば、傾斜部34が、頂部33から、頂部33と長辺端部31の中間位置までの範囲に形成されていてもよい。この場合、スクリーン30は、傾斜部34の下端部から長辺端部31までの範囲において、Z軸に対して垂直な平坦部を有していてもよい。
【0077】
・上記実施形態において、スクリーン30の一部がフランジ部23よりも上方に位置していてもよい。
・ブッシング本体20におけるスクリーン30の支持構造は、上記実施形態の補強リブ25に限定されるものではない。例えば、ベースプレート21の上面21aからZ軸方向に突出する柱状の支持部を複数設け、その複数の支持部にスクリーン30を載置する構成としてもよい。
【0078】
・フィーダー12の構成は上記実施形態に限定されるものではなく、適宜変更可能である。例えば、ガラス繊維の製造装置11は、複数のブッシングブロック12bを積み重ねて配置された構造を有していてもよい。また、例えば、ガラス繊維の製造装置11からブッシングブロック12bを省略することもできる。この場合、ブッシング本体20のフランジ部23が、フローブロック12aの下面に接する構成であってもよい。
【0079】
・上記の実施形態及び変更例はすべての点で例示であって、本発明はこれらの例示に限定されるものではない。すなわち、本発明の範囲は、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0080】
11…ガラス繊維の製造装置
12…フィーダー
13…ブッシング
20…ブッシング本体
21…ベースプレート
21a…上面
24…ノズル
25…補強リブ
30…スクリーン
34…傾斜部
40…開口部
41…第1スリット(スリット)
42…第2スリット(スリット)
43…第3スリット(スリット)
50…傾斜構造
60…スクリーン
62…傾斜部
70…傾斜構造
81…スリット
GF…ガラスフィラメント
MG…溶融ガラス
図1
図2
図3
図4
図5