(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025037164
(43)【公開日】2025-03-17
(54)【発明の名称】全周カメラ
(51)【国際特許分類】
G03B 37/00 20210101AFI20250310BHJP
G03B 37/04 20210101ALI20250310BHJP
G03B 19/07 20210101ALI20250310BHJP
G03B 15/00 20210101ALI20250310BHJP
H04N 23/90 20230101ALI20250310BHJP
H04N 23/50 20230101ALI20250310BHJP
G02B 13/00 20060101ALN20250310BHJP
G02B 13/06 20060101ALN20250310BHJP
【FI】
G03B37/00 A
G03B37/04
G03B19/07
G03B15/00 W
G03B15/00 U
G03B15/00 H
H04N23/90
H04N23/50
G02B13/00
G02B13/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023143967
(22)【出願日】2023-09-05
(71)【出願人】
【識別番号】000220343
【氏名又は名称】株式会社トプコン
(74)【代理人】
【識別番号】100083563
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 祥二
(72)【発明者】
【氏名】湯浅 太一
【テーマコード(参考)】
2H054
2H059
2H087
5C122
【Fターム(参考)】
2H054BB02
2H054BB05
2H054BB07
2H059BA03
2H059BA11
2H087KA02
2H087KA03
2H087LA03
2H087PA06
2H087PA20
2H087PB09
2H087QA02
2H087QA07
2H087QA17
2H087QA22
2H087QA26
2H087QA37
2H087QA41
2H087QA45
2H087RA32
2H087RA41
2H087RA42
2H087RA43
2H087RA44
5C122EA54
5C122FA03
5C122FA18
5C122FB06
5C122FB15
5C122GE05
5C122GE06
5C122GE11
(57)【要約】 (修正有)
【課題】カメラ間の視差を小さく、且つ全周カメラの小型化を図った全周カメラを提供する。
【解決手段】同一平面内、且つ同一円周上の所定等分位置に設けられ、水平方向を向く複数の水平カメラユニット2a,2cと、複数の水平カメラユニットの中心に天頂を向く天頂カメラユニット2fを具備し、各水平カメラユニットの光学系5a,5cは、水平方向の撮像光軸13a,13c上に設けられた対物レンズ群6a,6cと、対物レンズ群の撮像光軸を下方に屈曲させる光軸偏向部材8a,8cと、光軸偏向部材に屈曲された結像光軸上に設けられた結像レンズ群7a,7cと、像を受光する受光素子9a,9cとを有し、天頂カメラユニットの光学系は、真直な光軸上に対物レンズ群6f、光路長調整部材15、結像レンズ群7f、像を受光する受光素子9fとを有し、各水平カメラユニットの結像レンズ群は、天頂カメラユニットの光学系を中心として同心円上に配置される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
同一平面内に、且つ同一円周上の所定等分された位置に設けられ、水平方向に向けられた複数の水平カメラユニットと、該複数の水平カメラユニットの中心に設けられ、天頂方向に向けられた天頂カメラユニットを具備し、前記各水平カメラユニットの光学系は、水平方向に向けられた撮像光軸上に設けられた対物レンズ群と、該対物レンズ群の撮像光軸を下方に屈曲させる光軸偏向部材と、該光軸偏向部材に屈曲された結像光軸上に設けられた結像レンズ群と、該結像レンズ群で結像される像を受光する受光素子とを有し、前記天頂カメラユニットの光学系は、真直な光軸上に対物レンズ群、光路長調整部材、結像レンズ群、該結像レンズ群で結像される像を受光する受光素子とを有し、前記各水平カメラユニットの結像レンズ群は、前記天頂カメラユニットの光学系を中心として同心円上に配置される様構成された全周カメラ。
【請求項2】
前記各水平カメラユニットの受光素子及び前記天頂カメラユニットの受光素子が、同一平面内に位置する様、前記水平カメラユニット、前記天頂カメラユニットが配設された請求項1に記載の全周カメラ。
【請求項3】
前記各水平カメラユニットの入射瞳位置、前記天頂カメラユニットの入射瞳位置が、同一球面上に位置する様構成された請求項1に記載の全周カメラ。
【請求項4】
前記光軸偏向部材は、前記撮像光軸を水平方向、鉛直方向に屈曲させ、各水平カメラユニットの結像レンズ群が、隣接する対物レンズ群と対物レンズ群との間に位置する様構成された請求項1に記載の全周カメラ。
【請求項5】
前記水平カメラユニット全体の総合画角は、下方90°~60°の範囲で、未撮像範囲が形成される様設定された請求項1に記載の全周カメラ。
【請求項6】
前記水平カメラユニットは5組であり、該水平カメラユニットの水平画角は72°~120°である請求項1に記載の全周カメラ。
【請求項7】
前記水平カメラユニットは4組であり、該水平カメラユニットの水平画角は90°~135°である請求項1に記載の全周カメラ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モバイルマッピングシステム(Mobile Mapping System)、或は地上型レーザスキャナに於いて画像取得の為に用いられる全周カメラに関するものである。
【背景技術】
【0002】
モバイルマッピングシステムに於いて、或は地上型レーザスキャナに於いて、3次元データの取得と共にデータ取得範囲の画像を取得し、3次元データと画像とのマッチングを行い、3次元データ付きの画像を取得することが行われる。
【0003】
この画像の取得の為に全周カメラが用いられる。
【0004】
従来、全周カメラは複数のカメラによって構成され、構成されるカメラの数によってカメラの画角が決定される。又、カメラの角度分解能は、画角の大小に影響され、広画角カメラでは角度分解能が低下する。この為、角度分解能を高める為には、カメラの数を多くし、カメラ1個当りの画角を小さくすればよいが、カメラの数を多くすることで、全周カメラが大型化する、或はカメラ間の視差が大きくなり、各カメラで取得した画像を合成する場合に、画像処理が複雑になるという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2012-204982号公報
【特許文献2】特開2019-49739号公報
【特許文献3】特開2016-27438号公報
【特許文献4】米国特許第11637954号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、カメラ間の視差を小さく、且つ全周カメラの小型化を図った全周カメラを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、同一平面内に、且つ同一円周上の所定等分された位置に設けられ、水平方向に向けられた複数の水平カメラユニットと、該複数の水平カメラユニットの中心に設けられ、天頂方向に向けられた天頂カメラユニットを具備し、前記各水平カメラユニットの光学系は、水平方向に向けられた撮像光軸上に設けられた対物レンズ群と、該対物レンズ群の撮像光軸を下方に屈曲させる光軸偏向部材と、該光軸偏向部材に屈曲された結像光軸上に設けられた結像レンズ群と、該結像レンズ群で結像される像を受光する受光素子とを有し、前記天頂カメラユニットの光学系は、真直な光軸上に対物レンズ群、光路長調整部材、結像レンズ群、該結像レンズ群で結像される像を受光する受光素子とを有し、前記各水平カメラユニットの結像レンズ群は、前記天頂カメラユニットの光学系を中心として同心円上に配置される様構成された全周カメラに係るものである。
【0008】
又本発明は、前記各水平カメラユニットの受光素子及び前記天頂カメラユニットの受光素子が、同一平面内に位置する様、前記水平カメラユニット、前記天頂カメラユニットが配設された全周カメラに係るものである。
【0009】
又本発明は、前記各水平カメラユニットの入射瞳位置、前記天頂カメラユニットの入射瞳位置が、同一球面上に位置する様構成された全周カメラに係るものである。
【0010】
又本発明は、前記光軸偏向部材は、前記撮像光軸を水平方向、鉛直方向に屈曲させ、各水平カメラユニットの結像レンズ群が、隣接する対物レンズ群と対物レンズ群との間に位置する様構成された全周カメラに係るものである。
【0011】
又本発明は、前記水平カメラユニット全体の総合画角は、下方90°~60°の範囲で、未撮像範囲が形成される様設定された全周カメラに係るものである。
【0012】
又本発明は、前記水平カメラユニットは5組であり、該水平カメラユニットの水平画角は72°~120°である全周カメラに係るものである。
【0013】
更に又本発明は、前記水平カメラユニットは4組であり、該水平カメラユニットの水平画角は90°~135°である全周カメラに係るものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、同一平面内に、且つ同一円周上の所定等分された位置に設けられ、水平方向に向けられた複数の水平カメラユニットと、該複数の水平カメラユニットの中心に設けられ、天頂方向に向けられた天頂カメラユニットを具備し、前記各水平カメラユニットの光学系は、水平方向に向けられた撮像光軸上に設けられた対物レンズ群と、該対物レンズ群の撮像光軸を下方に屈曲させる光軸偏向部材と、該光軸偏向部材に屈曲された結像光軸上に設けられた結像レンズ群と、該結像レンズ群で結像される像を受光する受光素子とを有し、前記天頂カメラユニットの光学系は、真直な光軸上に対物レンズ群、光路長調整部材、結像レンズ群、該結像レンズ群で結像される像を受光する受光素子とを有し、前記各水平カメラユニットの結像レンズ群は、前記天頂カメラユニットの光学系を中心として同心円上に配置される様構成されたので、前記対物レンズ群に関する奥行距離が短くなり、全周カメラの小型化が可能となり、又前記水平カメラユニットの前記撮像光軸は装置中心から放射状に延出し、奥行距離が短くなることから視差が減少するという優れた効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】第1の実施例を示し、
図2のB-B矢視図である。
【
図2】第1の実施例を示し、
図1のA矢視図である。
【
図3】第1の実施例に係る全周カメラの撮像範囲を示す図である。
【
図4】第1の実施例の第1の変形例を示す図である。
【
図5】第1の実施例の第2の変形例を示す図である。
【
図6】第1の実施例の第3の変形例を示し、
図7のD-D矢視図である。
【
図7】第1の実施例の第3の変形例を示し、
図6のC矢視図である。
【
図8】第2の実施例を示し、
図9のF-F矢視図である。
【
図9】第2の実施例を示し、
図8のE矢視図である。
【
図10】第3の実施例を示し、カメラユニットの概略立体図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施例を説明する。
【0017】
図1、
図2を参照して第1の実施例に係る全周カメラ1を説明する。
【0018】
該全周カメラ1は、水平方向に向けられた5組の水平カメラユニット2a,2b,2c,2d,2e及び天頂方向に向けられた天頂カメラユニット2fの計6組のカメラユニットを有する。
【0019】
前記5組の水平カメラユニット2a,2b,2c,2d,2e及び前記天頂カメラユニット2fは、ケース3に液密に収納され、前記全周カメラ1は防水構造となっている。尚、
図1、
図2に於いて、前記水平カメラユニット2a,2b,2c,2d,2e及び前記天頂カメラユニット2fの要部を示し、カメラユニットの支持構造等については図示を省略している。
【0020】
前記水平カメラユニット2a,2b,2c,2d,2eは、中心O1 を中心とする同一円周の5等分の位置に配設される。前記天頂カメラユニット2fは、前記水平カメラユニット2a,2b,2c,2d,2eの中心位置、前記中心O1 に設けられる。
【0021】
前記水平カメラユニット2a,2b,2c,2d,2eについて説明する。尚、該水平カメラユニット2a,2b,2c,2d,2eの構成は同一であり、以下は、前記水平カメラユニット2aについて説明する。
【0022】
前記水平カメラユニット2aの光学系5aは、対物レンズ群6a及び結像レンズ群7aと、前記対物レンズ群6aと前記結像レンズ群7aとの間に介在し、光軸偏向部材としての直角プリズム8aと、受光素子9aとを有する。
【0023】
前記直角プリズム8aは、前記対物レンズ群6aに対して可及的に接近させて設けられる。尚、11aはフィルタ、12aはカバーガラスを示している。
【0024】
前記対物レンズ群6aの撮像光軸13aは、前記中心O1 を通過し水平方向に延出する。更に、前記撮像光軸13aは前記直角プリズム8aにより、結像光軸14aとして直角下方に屈曲され、該結像光軸14aに前記結像レンズ群7a、前記フィルタ11a、前記カバーガラス12a、前記受光素子9aが配設されている。
【0025】
該受光素子9aは、画素の集合体であるCCD、或はCMOSセンサであり、各画素は前記受光素子9a上での位置が特定できる様になっている。例えば、各画素は、前記撮像光軸13aの位置を原点とした画素座標を有し、該画素座標によって前記受光素子9a上での位置が特定され、受光信号と共に位置情報(画素座標)を出力する様に構成されている。
【0026】
前記対物レンズ群6aに入射した光は、前記直角プリズム8aにより屈曲され、前記結像レンズ群7aによって前記受光素子9aに結像される。該受光素子9aは、受光した画像を画像データとして図示しない制御部に出力する。
【0027】
前記水平カメラユニット2a,2b,2c,2d,2eの対物レンズ群6a,6b,6c,6d,6eの撮像光軸は、同一の水平面内に存在し、且つ中心O1 を中心とし、円周Cを5等分する様に、即ち72°の角度ピッチで放射状に延出している。
【0028】
更に、各水平カメラユニット2a,2b,2c,2d,2eの入射瞳位置4a,4b,4c,4d,4eは、同一円周C上に位置する様に設定されている。
【0029】
前記直角プリズム8a,8b,8c,8d,8eによって屈曲された結像光軸14a,14b,14c,14d,14eに設けられた結像レンズ群7a,7b,7c,7d,7eは、前記天頂カメラユニット2fの光学系(光軸)を中心とした同心円上に配置された構成となる。
【0030】
前記天頂カメラユニット2fの光軸13fは真直であり、前記円周Cを含む平面に対して垂直であり、前記円周Cの中心O1 を通過する様に、前記天頂カメラユニット2fが設けられている。
【0031】
前記天頂カメラユニット2fは、前記光軸13f上に、対物レンズ群6f、結像レンズ群7f、前記対物レンズ群6fと前記結像レンズ群7fとの間に介在する光路長調整部材15、及び受光素子9f、フィルタ11f、カバーガラス12fを有する。
【0032】
前記天頂カメラユニット2fの前記対物レンズ群6f、前記結像レンズ群7fと前記水平カメラユニット2aの前記対物レンズ群6a、前記結像レンズ群7aとは同一の構成となっている。更に、前記受光素子9f、前記フィルタ11f、カバーガラス12fと、前記受光素子9a、前記フィルタ11a、カバーガラス12aとは同等となっている。
【0033】
更に、前記光路長調整部材15は、前記水平カメラユニット2aの光路長と前記天頂カメラユニット2fの光路長とを同一にする為の光学部材であり、前記光路長調整部材15と前記直角プリズム8aとは同等の光路長を有する。従って、前記天頂カメラユニット2fは、前記水平カメラユニット2a,2b,2c,2d,2eと光学的には同一の構成となっている。
【0034】
前記水平カメラユニット2a,2b,2c,2d,2eの撮像光軸13a,13b,13c,13d,13eと前記天頂カメラユニット2fの前記光軸13fは、前記中心O1 の一点で交差し、該中心O1 は全周カメラ1の装置中心となっている。
【0035】
更に、前記天頂カメラユニット2fの入射瞳位置4fが、前記入射瞳位置4a,4b,4c,4d,4eを含む球面S上に位置する様に、前記天頂カメラユニット2fの位置が設定されている。
【0036】
前記対物レンズ群6a,6b,6c,6d,6eの画角は、隣接するカメラの画角間で隙間が生じない様、或は周辺部で所定量オーバラップする角度に設定される。尚、以下の説明に於いて、特に水平方向の画角を意味する場合には、水平画角と称す。
【0037】
水平カメラユニットが5組の本実施例では、水平カメラユニット2a,2b,2c,2d,2e単体の水平画角は、72°~120°が望ましい。
【0038】
更に、前記対物レンズ群6fの画角と前記対物レンズ群6a,6b,6c,6d,6eの画角間で隙間が生じない様、或は周辺部で所定量オーバラップする様にする。
【0039】
前記水平カメラユニット2a,2b,2c,2d,2e、前記天頂カメラユニット2fで撮像した画像は、制御部(図示せず)に出力され合成される。画像を合成する場合、各カメラユニット間の視差は無いことが好ましい。然し乍ら、本実施例の様に、複数のカメラにより全周カメラが構成される場合、全てのカメラ間の視差を0とすることは物理的に無理であるので、可能な限り小さくすることが望まれる。
【0040】
本実施例では、前記撮像光軸13aを前記対物レンズ群6aの直後で下方に屈曲させているので、前記対物レンズ群6aに関する奥行距離が短くなっている。この為、前記中心O1 (即ち、装置中心)と前記入射瞳位置4a間の距離を短くすることができる。
【0041】
他の水平カメラユニット2b,2c,2d,2eについても同様であり、前記中心O1 と前記入射瞳位置4b,4c,4d,4e間の距離を短くすることができ、各カメラの前記入射瞳位置4a,4b,4c,4d,4eを可及的に前記中心O1 (即ち、装置中心)に近付けることができる。
【0042】
更に、前記天頂カメラユニット2fの光軸は、前記中心O1 (装置中心)を通過し、前記入射瞳位置4f及び前記入射瞳位置4a,4b,4c,4d,4eは前記中心O1 を中心とする球面上に位置し、前記入射瞳位置4a,4b,4c,4d,4eは同一円周上の5等分した位置にあるので、前記水平カメラユニット2a,2b,2c,2d,2eで取得した画像間で対称性、規則性が確保できる。
【0043】
而して、本実施例では、奥行距離が短くなり、前記各水平カメラユニット2a,2b,2c,2d,2eの入射瞳位置が接近し、又入射瞳位置が装置中心に近くなることで、前記水平カメラユニット2a,2b,2c,2d,2e間の視差を小さくすることができると共に取得した画像間で対称性、規則性が確保できるので、画像合成時の演算を簡略化でき画像合成の精度を向上させることができる。
【0044】
更に、前記水平カメラユニット2a,2b,2c,2d,2eの奥行距離を短くできるので全周カメラの小型化が可能となる。
【0045】
又、本実施例に係る全周カメラは、モバイルマッピングシステム(Mobile Mapping System)で取得した測定データ、或は地上型レーザスキャナで所得した測定データとの合成に用いられる全周画像を取得する全周カメラであり、
図1で示される前記全周カメラ1は走行車両、或は地上型レーザスキャナに搭載される。この為、全周カメラ1の下方は、前記走行車両、前記レーザスキャナによって死角となっており、画像が必要な範囲は、
図3に示される様に下方90°~60°を除く上方270°~300°で全周画像が取得できればよい。本実施例の全周カメラ1では下方90°~60°が空白の未撮像部分となる。即ち、水平カメラユニット2a~2eを総合した撮像画角(総合画角)は鉛直下方の角度で90°~60°が未撮像範囲となる。
【0046】
更に又、本実施例に係る全周カメラ1は、モバイルマッピングシステムで取得した測定データ、レーザスキャナで取得した測定データと全周画像とが合成されることから、測定データと全周画像間での整合性が求められる。従って、全周画像には測定データに対応する角度分解能が求められる。
【0047】
本実施例では、水平方向の画像を取得するのに5の前記水平カメラユニット2a,2b,2c,2d,2eを使用する。該5の水平カメラユニット2a,2b,2c,2d,2eによって水平方向の全周画像を取得するには、各カメラは(360°/5+α°=72°+α°)の水平画角、例えば90°程度あればよい。
【0048】
前記5の水平カメラユニット2a,2b,2c,2d,2eでは、天頂方向、下方に空白部分が生じるが、天頂方向は前記天頂カメラユニット2fによって画像が取得され、下方については画像を取得する必要がない。従って、前記水平カメラユニット2a,2b,2c,2d,2eの個々の画角を小さくできる。
【0049】
上記した様に、画像のオーバラップ部分を含めても、1つのカメラユニット2に必要な水平画角は、90°程度となり、充分な角度分解能が得られる。
【0050】
次に、本実施例では、前記水平カメラユニット2a,2b,2c,2d,2eの光学系について、中心部に前記天頂カメラユニット2fが収納される空間を確保する為、前記直角プリズム8a,8b,8c,8d,8eにより、前記水平カメラユニット2a,2b,2c,2d,2eの光軸を鉛直下方(前記天頂カメラユニット2fの光軸と平行)に屈曲させているが、必ずしも鉛直下方でなくてもよく、略鉛直下方であればよい。例えば、前記水平カメラユニット2a,2b,2c,2d,2eの光学系(特に、結像レンズ群7a,7b,7c,7d,7e)と前記天頂カメラユニット2fの光学系が干渉しない様に、前記結像レンズ群7a,7b,7c,7d,7eの光軸を既知の角度で適宜傾斜させても良い。
【0051】
更に又、前記天頂カメラユニット2fの画角と前記水平カメラユニット2a,2b,2c,2d,2eとの画角のオーバラップ量を増大させる為、前記対物レンズ群6a,6b,6c,6d,6eの前記撮像光軸13a,13b,13c,13d,13eを水平より上方に傾斜させても良い。或は、前記水平カメラユニット2a,2b,2c,2d,2eにより下方の画像をより多くする為、前記撮像光軸13a,13b,13c,13d,13eを水平より下方に傾斜させても良い。尚、前記撮像光軸13a,13b,13c,13d,13eを傾斜させる場合は、前記中心O1 を中心に傾斜させることが好ましい。
【0052】
従って、前記撮像光軸13a,13b,13c,13d,13eは、正確に水平でなくとも、画像取得上大きな変化が生じない範囲で傾斜させても良い。
【0053】
前記撮像光軸13a,13b,13c,13d,13eを傾斜させる場合も、前記入射瞳位置4a,4b,4c,4d,4e,4fは前記球面S上に位置する様に設定される。
【0054】
又、本実施例では、前記結像レンズ群7a,7b,7c,7d,7e及び前記結像レンズ群7fの光軸が鉛直下方に延出し、受光素子9a,9b,9c,9d,9eが同一レベルとなり、前記受光素子9fを含めたとしても略同一レベルとなり、更に前記受光素子9a,9b,9c,9d,9e,9fに対する配線、調整作業が下方からの一方向からの作業となり、作業性が向上する。
【0055】
図4は第1の実施例の第1の変形例、
図5は第2の変形例を示している。
【0056】
尚、
図4、
図5は、水平カメラユニット2a,2b,2c,2d,2eの1つ、例えば水平カメラユニット2aを示しており、
図4、
図5中、
図1中で示したものと同等のものには同符号を付してある。
【0057】
該第1の変形例では、光軸偏向部材として、前記直角プリズム8aの代りに反射鏡17が用いられ、該反射鏡17により撮像光軸13aを鉛直下方に屈曲させている。
【0058】
前記第2の変形例では、前記直角プリズム8aの代りに反射鏡17が用いられ、該反射鏡17により撮像光軸13aを下方に屈曲させ、更に該撮像光軸13aを鉛直に対して所要の角度傾斜させたものである。前記反射鏡17を用いることで、前記撮像光軸13aの角度を容易に変更することができる。
【0059】
図6、
図7は第1の実施例の第3の変形例を示している。尚、
図6、
図7中、
図1、
図2中で示したものと同等のものには同符号を付してある。又、
図6、
図7中、ケース3の図示を省略している。
【0060】
第3の変形例では、天頂カメラユニット2fの入射瞳位置4fをより中心O1 (装置中心)に近付けたものである。入射瞳位置4a,4b,4c,4d,4eは同一円周C上、5等分の位置に存在することは第1の実施例と同様である。尚、第3の変形例の場合も、入射瞳位置4f、入射瞳位置4a,4b,4c,4d,4eは同一球面S′上に位置するが、この球面の半径は前記円周Cの半径より大きくなる。
【0061】
又、第3の変形例では、受光素子9a,9b,9c,9d,9e及び受光素子9fが同一平面内に位置する様に、天頂カメラユニット2fが設定されている。
【0062】
前記受光素子9a,9b,9c,9d,9e,9fが同一平面内に位置することで、該受光素子9a,9b,9c,9d,9e,9fの支持機構が簡略化でき、更に前記受光素子9a,9b,9c,9d,9e,9fを同一基板に設けることもでき、部品点数の低減、製作コストの低減が行える。
【0063】
前記入射瞳位置4fはより装置中心に近くなり、天頂カメラユニット2fについて視差が小さくなる。又、該天頂カメラユニット2fの光軸13fに関して、前記入射瞳位置4a,4b,4c,4d,4eの対称性は損われないので、パノラマ画像合成時の演算を簡略化できる。
【0064】
【0065】
第2の実施例では、水平方向の画像を取得する4組の水平カメラユニット2a,2b,2c,2dと天頂方向の画像を取得する天頂カメラユニット2fの計5組のカメラユニットによって構成されている。
【0066】
尚、前記水平カメラユニット2a,2b,2c,2d及び前記天頂カメラユニット2fは第1の実施例で示した水平カメラユニット2a,2b,2c,2d及び前記天頂カメラユニット2fと同一の構成となっている。
【0067】
第2の実施例では、入射瞳位置4a,4b,4c,4dは同一水平面内、同一円周上の4等分位置に存在し、且つ前記入射瞳位置4a,4b,4c,4d,4fは、同一球面S上に存在する様に設定される。更に、前記水平面内に前記球面Sの中心が含まれる様に設定される。
【0068】
隣接する水平カメラユニット2a,2b,2c,2d間で画角間で隙間が生じない様、更に前記天頂カメラユニット2fと前記水平カメラユニット2a,2b,2c,2dとの間で画角間の隙間が生じない様、対物レンズ群6a,6b,6c,6d,6fの画角が設定される。尚、水平カメラユニットが4組の本実施例では、水平カメラユニット2a,2b,2c,2d,2e単体の水平画角は、90°~135°が望ましい。
【0069】
前記水平カメラユニット2a,2b,2c,2dの各隣接するカメラユニットの撮像光軸13a,13b,13c,13d間の角度は90°であり、前記各撮像光軸13a,13b,13c,13dと前記光軸13f間の角度も90°であるので、前記水平カメラユニット2a,2b,2c,2d,2fで取得した画像間で規則性、対称性があり、パノラマ画像の合成が容易となる。
【0070】
又、第2の実施例に於いても、結像光軸14a,14b,14c,14d,14eを適宜傾斜させても良いこと、前記直角プリズム8a,8b,8c,8dを反射鏡に変更可能なことについては、第1の実施例と同様である。
【0071】
【0072】
第3の実施例の全周カメラは、水平方向の画像を取得する4組の水平カメラユニット19a,19b,19c,19d、天頂方向の画像を取得する天頂カメラユニット19fの5組のカメラユニットにより構成されている。
【0073】
前記水平カメラユニット19a,19b,19c,19dの入射瞳位置4a,4b,4c,4d、前記天頂カメラユニット19fの入射瞳位置4fは、上記した実施例と同様、球面S内に位置する(
図1参照)。
【0074】
前記水平カメラユニット19a,19b,19c,19dは同一の構成であり、
図10は水平カメラユニット19a,19b,19c,19dの1つ、例えば水平カメラユニット19aを示している。
【0075】
該水平カメラユニット19aの光学系は、対物レンズ群6a、プリズム21a、結像レンズ群7a、受光素子9aを含んでいる。
【0076】
前記プリズム21aはプリズム21′、プリズム21″から構成され、前記対物レンズ群6aの撮像光軸13aは前記プリズム21′により水平方向に1回屈曲され、更にプリズム21″により鉛直方向に1回屈曲される。即ち、前記撮像光軸13aは前記プリズム21aにより2回屈曲され、垂直下方に延出する結像光軸14aとなっている。尚、光軸偏向部材は、前記プリズム21aに代え、2つの反射鏡により構成されても良い。各水平カメラユニット19a,19b,19c,19dの光軸を上記の様に2回屈曲させることで、各水平カメラユニット19a,19b,19c,19dの結像レンズ群7a,7b,7c,7dがそれぞれ隣接する対物レンズ群6a,6b,6c,6dとの間に位置する様に構成される。
【0077】
該結像光軸14a上に前記結像レンズ群7a、前記受光素子9aが設けられている。
【0078】
前記天頂カメラユニット19fの真直な光軸は、前記球面Sの中心O1 を通過し、前記天頂カメラユニット19fは前記水平カメラユニット19a,19b,19c,19dの中心に設けられる。
【0079】
前記天頂カメラユニット19fは、対物レンズ群6f(図示せず)、光路長調整部材(図示せず)及び結像レンズ群7f(図示せず)を含み、該光路長調整部材は前記プリズム21aと同等の光路長を有し、前記水平カメラユニット19a,19b,19c,19d、前記天頂カメラユニット19fの光路長が同一となる様に前記天頂カメラユニット19fの光路長を調整している(
図1参照)。
【0080】
前記天頂カメラユニット19fの前記対物レンズ群6f、前記結像レンズ群7fと前記水平カメラユニット2aの前記対物レンズ群6a、前記結像レンズ群7aとは同一の構成となっている。
【0081】
第3の実施例では、前記撮像光軸13aを一度水平方向に屈曲させ、結像レンズ群7a,7b,7c,7dを対物レンズ群6a,6b,6c,6d間に移動させていることから、前記対物レンズ群6a,6b,6c,6dに関する奥行距離を更に短くでき、全周カメラ1の小型化が図れる。
【0082】
尚、上記実施例では水平カメラユニットが、4組、5組の場合を説明したが、6組であっても実施可能であることは言う迄もない。
【符号の説明】
【0083】
1 全周カメラ
2a~2e 水平カメラユニット
2f 天頂カメラユニット
4a~4f 入射瞳位置
5a 光学系
6a~6f 対物レンズ群
7a~7f 結像レンズ群
8a~8e 直角プリズム
9a~9f 受光素子
13a~13e 撮像光軸
13f 光軸
14a~14e 結像光軸
15 光路長調整部材
17 反射鏡