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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025037165
(43)【公開日】2025-03-17
(54)【発明の名称】全周カメラ及び地上型レーザスキャナ
(51)【国際特許分類】
   G03B 37/00 20210101AFI20250310BHJP
   G03B 15/00 20210101ALI20250310BHJP
   G03B 17/17 20210101ALI20250310BHJP
   G03B 19/07 20210101ALI20250310BHJP
   H04N 23/55 20230101ALI20250310BHJP
【FI】
G03B37/00 A
G03B15/00 W
G03B15/00 H
G03B17/17
G03B19/07
H04N23/55
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023143968
(22)【出願日】2023-09-05
(71)【出願人】
【識別番号】000220343
【氏名又は名称】株式会社トプコン
(74)【代理人】
【識別番号】100083563
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 祥二
(72)【発明者】
【氏名】湯浅 太一
【テーマコード(参考)】
2H054
2H059
2H101
5C122
【Fターム(参考)】
2H054BB02
2H054BB05
2H054BB07
2H059BA03
2H059BA11
2H101FF08
5C122DA04
5C122DA13
5C122DA30
5C122EA54
5C122FA02
5C122FB02
5C122FB03
5C122FB15
5C122FC04
5C122GE05
5C122GE11
5C122GG05
(57)【要約】      (修正有)
【課題】カメラ間の視差を小さく、且つ全周カメラの小型化を図った全周カメラ及び該全周カメラを有する地上型レーザスキャナを提供する。
【解決手段】鉛直軸心を中心に同一円周上の所定等分された位置に設けられた複数組のカメラユニット2a,2cを具備し、該各カメラユニットの光学系は、所定の仰角で上方に向けられた撮像光軸13a,13cと、該撮像光軸上に設けられた対物レンズ群6a,6cと、該対物レンズ群の撮像光軸を結像光軸として前記鉛直軸心と平行又は略平行に屈曲させる光軸偏向部材8a,8cと、前記結像光軸上に設けられた結像レンズ群7a,7cと、該結像レンズ群で結像される像を受光する受光素子9a,9cとを有し、前記対物レンズ群は、下方所定角度の未撮像範囲を形成する画角を有し、前記結像レンズ群は、前記鉛直軸心を中心として同心円上に配置される様構成された。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉛直軸心を中心に同一円周上の所定等分された位置に設けられた複数組のカメラユニットを具備し、該各カメラユニットの光学系は、所定の仰角で上方に向けられた撮像光軸と、該撮像光軸上に設けられた対物レンズ群と、該対物レンズ群の撮像光軸を結像光軸として前記鉛直軸心と平行又は略平行に屈曲させる光軸偏向部材と、前記結像光軸上に設けられた結像レンズ群と、該結像レンズ群で結像される像を受光する受光素子とを有し、前記対物レンズ群は、下方所定角度の未撮像範囲を形成する画角を有し、前記結像レンズ群は、前記鉛直軸心を中心として同心円上に配置される様構成された全周カメラ。
【請求項2】
前記光軸偏向部材は前記撮像光軸を結像光軸として下方に屈曲させる請求項1に記載の全周カメラ。
【請求項3】
前記光軸偏向部材は前記撮像光軸を結像光軸として上方に屈曲させる請求項1に記載の全周カメラ。
【請求項4】
偶数組のカメラユニットを有し、該偶数組のカメラユニットは前記光軸偏向部材により前記結像光軸が下方に屈曲されたカメラユニットと、前記光軸偏向部材により前記結像光軸が上方に屈曲されたカメラユニットとから成り、前記結像光軸が下方に屈曲されたカメラユニットと前記結像光軸が上方に屈曲されたカメラユニットとが交互に配設された請求項1に記載の全周カメラ。
【請求項5】
下方に屈曲された前記結像光軸が第2の光軸偏向部材によって水平方向に屈曲され、又上方に屈曲された前記結像光軸が第2の光軸偏向部材によって水平方向に屈曲された請求項4に記載の全周カメラ。
【請求項6】
前記各カメラユニットの受光素子及び前記カメラユニットの受光素子が、同一平面内に位置する様、前記カメラユニットが配設された請求項2又は請求項3に記載の全周カメラ。
【請求項7】
前記各カメラユニットの入射瞳位置が、同一円周上に位置する様構成された請求項1に記載の全周カメラ。
【請求項8】
前記結像レンズ群の結像光軸に第2の光軸偏向部材が設けられ、該第2の光軸偏向部材は前記結像光軸を円周の接線方向に屈曲させる様構成された請求項2又は請求項3に記載の全周カメラ。
【請求項9】
前記カメラユニット全体の総合画角は、下方90°~60°の範囲で、未撮像範囲が形成される様構成された請求項1に記載の全周カメラ。
【請求項10】
前記カメラユニットは4組であり、該カメラユニットの画角は135°~180°である請求項1に記載の全周カメラ。
【請求項11】
前記請求項1~請求項5のいずれか1つの全周カメラを具備する地上型レーザスキャナ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モバイルマッピングシステム(Mobile Mapping System)、或は地上型レーザスキャナに於いて画像取得の為に用いられる全周カメラ及び該全周カメラを有する地上型レーザスキャナに関するものである。
【背景技術】
【0002】
モバイルマッピングシステムに於いて、或は地上型レーザスキャナに於いて、3次元データの取得と共にデータ取得範囲の画像を取得し、3次元データと画像とのマッチングを行い、3次元データ付きの画像を取得することが行われる。
【0003】
この画像の取得の為に全周カメラが用いられる。
【0004】
従来、全周カメラは複数のカメラによって構成され、構成されるカメラの数によってカメラの画角が決定される。又、カメラの角度分解能は、画角の大小に影響され、広画角カメラでは角度分解能が低下する。この為、角度分解能を高める為には、カメラの数を多くし、カメラ1個当りの画角を小さくすれば良いが、カメラの数を多くすることで、全周カメラが大型化する、或はカメラ間の視差が大きくなり、各カメラで取得した画像を合成する場合に、画像処理が複雑になるという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2012-204982号公報
【特許文献2】特開2019-49739号公報
【特許文献3】特開2016-27438号公報
【特許文献4】米国特許第11637954号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、カメラ間の視差を小さく、且つ全周カメラの小型化を図った全周カメラ及び該全周カメラを有する地上型レーザスキャナを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、鉛直軸心を中心に同一円周上の所定等分された位置に設けられた複数組のカメラユニットを具備し、該各カメラユニットの光学系は、所定の仰角で上方に向けられた撮像光軸と、該撮像光軸上に設けられた対物レンズ群と、該対物レンズ群の撮像光軸を結像光軸として前記鉛直軸心と平行又は略平行に屈曲させる光軸偏向部材と、前記結像光軸上に設けられた結像レンズ群と、該結像レンズ群で結像される像を受光する受光素子とを有し、前記対物レンズ群は、下方所定角度の未撮像範囲を形成する画角を有し、前記結像レンズ群は、前記鉛直軸心を中心として同心円上に配置される様構成された全周カメラに係るものである。
【0008】
又本発明は、前記光軸偏向部材は前記撮像光軸を結像光軸として下方に屈曲させる全周カメラに係るものである。
【0009】
又本発明は、前記光軸偏向部材は前記撮像光軸を結像光軸として上方に屈曲させる全周カメラに係るものである。
【0010】
又本発明は、偶数組のカメラユニットを有し、該偶数組のカメラユニットは前記光軸偏向部材により前記結像光軸が下方に屈曲されたカメラユニットと、前記光軸偏向部材により前記結像光軸が上方に屈曲されたカメラユニットとから成り、前記結像光軸が下方に屈曲されたカメラユニットと前記結像光軸が上方に屈曲されたカメラユニットとが交互に配設された全周カメラに係るものである。
【0011】
又本発明は、下方に屈曲された前記結像光軸が第2の光軸偏向部材によって水平方向に屈曲され、又上方に屈曲された前記結像光軸が第2の光軸偏向部材によって水平方向に屈曲された全周カメラに係るものである。
【0012】
又本発明は、前記各カメラユニットの受光素子及び前記カメラユニットの受光素子が、同一平面内に位置する様、前記カメラユニットが配設された全周カメラに係るものである。
【0013】
又本発明は、前記各カメラユニットの入射瞳位置が、同一円周上に位置する様構成された全周カメラに係るものである。
【0014】
又本発明は、前記結像レンズ群の結像光軸に第2の光軸偏向部材が設けられ、該第2の光軸偏向部材は前記結像光軸を円周の接線方向に屈曲させる様構成された全周カメラに係るものである。
【0015】
又本発明は、前記カメラユニット全体の総合画角は、下方90°~60°の範囲で、未撮像範囲が形成される様構成された全周カメラに係るものである。
【0016】
又本発明は、前記カメラユニットは4組であり、該カメラユニットの画角は135°~180°である全周カメラに係るものである。
【0017】
更に又本発明は、上記いずれか1つの全周カメラを具備する地上型レーザスキャナに係るものである。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、鉛直軸心を中心に同一円周上の所定等分された位置に設けられた複数組のカメラユニットを具備し、該各カメラユニットの光学系は、所定の仰角で上方に向けられた撮像光軸と、該撮像光軸上に設けられた対物レンズ群と、該対物レンズ群の撮像光軸を結像光軸として前記鉛直軸心と平行又は略平行に屈曲させる光軸偏向部材と、前記結像光軸上に設けられた結像レンズ群と、該結像レンズ群で結像される像を受光する受光素子とを有し、前記対物レンズ群は、下方所定角度の未撮像範囲を形成する画角を有し、前記結像レンズ群は、前記鉛直軸心を中心として同心円上に配置される様構成されたので、前記対物レンズ群に関する奥行距離が短くなり、全周カメラの小型化が可能となり、又前記カメラユニットの前記撮像光軸は装置中心から放射状に延出し、奥行距離が短くなることから視差が減少するという優れた効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】第1の実施例の外観図である。
図2】第1の実施例の光学系を示す平面図である。
図3図2のA-A矢視図である。
図4】第1の実施例に係る全周カメラの撮像範囲を示す図である。
図5】第2の実施例の光学系を示す立面図であり、図2のA-A矢視相当図である。
図6】第3の実施例の光学系の一部を展開した立面図であり、図2のA-A矢視相当図である。
図7】第3の実施例のカメラユニットの1つを示す立体図である。
図8】第4の実施例の光学系の一部を展開した立面図であり、図2のA-A矢視相当図である。
図9】第4の実施例のカメラユニットの1つを示す立体図である。
図10】第5の実施例の光学系を示す平面図である。
図11】第5の実施例の光学系の一部を展開した立面図であり、図10のB-B矢視図である。
図12】第5の実施例の図10のB-B矢視相当の立体図である。
図13】第5の実施例の光学系の一部を展開した立面図であり、図10のC-C矢視図である。
図14】第5の実施例の図10のC-C矢視相当の立体図である。
図15】第6の実施例の光学系を示す立面図であり、図2のA-A矢視相当図である。
図16】本発明に係る全周カメラを搭載した地上型レーザスキャナの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施例を説明する。
【0021】
図1図3を参照して第1の実施例に係る全周カメラ1を説明する。
【0022】
該全周カメラ1は、斜め上方に向けられた4組のカメラユニット2a,2b,2c,2dの計4組のカメラユニットを有する。該カメラユニット2a,2b,2c,2dは、中心線Oを中心として円周4等分の位置に配設される。前記4組のカメラユニット2a~2dは、ケース31に液密に収納され、前記全周カメラ1は防水構造となっている。
【0023】
又、前記ケース31は、制御部32、電源33、電源スイッチ34を含んでいる。
【0024】
図2は、第1の実施例に係る全周カメラ1の光学系を示す平面図であり、図3図2のA-A矢視図を示している。図2図3に於いて、4a,4b,4c,4dは、各カメラユニット2a,2b,2c,2dの入射瞳位置を示し、該入射瞳位置4a,4b,4c,4dは、前記中心線Oに直交する水平面内に存在し、且つ前記中心線Oを中心とする円周C上の4等分位置に存在する。
【0025】
前記入射瞳位置4a,4b,4c,4dが存在する水平面と前記中心線Oが交差する点は、前記全周カメラ1の装置中心Oとなっている。
【0026】
前記カメラユニット2a,2b,2c,2dについて説明する。尚、該カメラユニット2a,2b,2c,2dの構成は同一であるので、以下前記カメラユニット2aについて説明する。
【0027】
前記カメラユニット2aの光学系5aは、レトロフォーカスタイプとなっており、対物レンズ群6a及び結像レンズ群7aと、前記対物レンズ群6aと前記結像レンズ群7aとの間に介在し、光軸偏向部材としてのプリズム8aと、受光素子9aとを有する。尚、光軸偏向部材としてプリズムに代え、反射鏡が用いられても良い。
【0028】
前記プリズム8aは、前記対物レンズ群6aに対して可及的に接近させて設けられる。尚、11aはフィルタ、12aはカバーガラスを示している。
【0029】
前記対物レンズ群6aの撮像光軸13aは、水平面に対してα°の仰角で傾斜している。
【0030】
前記プリズム8aは、前記撮像光軸13aを前記中心線Oと平行に偏向し、結像光軸14aとしている。該結像光軸14a上に前記対物レンズ群6a、前記フィルタ11a、前記カバーガラス12aが設けられている。
【0031】
該受光素子9aは、画素の集合体であるCCD、或はCMOSセンサであり、各画素は前記受光素子9a上での位置が特定できる様になっている。例えば、各画素は、前記撮像光軸13aの位置を原点とした画素座標を有し、該画素座標によって前記受光素子9a上での位置が特定される様になっている。前記受光素子9aからの受光信号は、各画素の位置情報(画素座標)を含む様に構成されている。
【0032】
前記対物レンズ群6aに入射した光は、前記プリズム8aにより下方に屈曲されて、前記結像レンズ群7aに入射し、該結像レンズ群7aによって前記受光素子9aに結像される。該受光素子9aは、受光信号を画像データとして前記制御部32に出力する。
【0033】
前記カメラユニット2a,2b,2c,2dの前記対物レンズ群6a,6b,6c,6dの前記撮像光軸13a,13b,13c,13dは、前記中心線Oを中心として放射状に延出し、前記撮像光軸13a,13b,13c,13dは90°の等間隔となっている。
【0034】
更に、各カメラユニット2a,2b,2c,2dの入射瞳位置4a,4b,4c,4dは、同一円周C上に位置する様に設定されている。
【0035】
前記プリズム8a,8b,8c,8dによって下方に屈曲された前記結像光軸14a,14b,14c,14dに設けられた前記結像レンズ群7a,7b,7c,7dは、前記中心線Oを中心とした同心円上に配置された構成となる。
【0036】
前記カメラユニット2a,2b,2c,2dの前記撮像光軸13a,13b,13c,13dは、前記中心線O上の一点で交差する。
【0037】
前記対物レンズ群6a,6b,6c,6dの画角βは、隣接するカメラユニットの画角と側辺部で隙間が生じない様、或は所定量オーバラップする角度に設定される。更に、前記対物レンズ群6a,6b,6c,6dの上側画角境界が前記中心線Oと平行又は略平行(垂直又は略垂直)となる様に設定される。従って、前記対物レンズ群6a,6b,6c,6dの画角β、即ち前記カメラユニット2a,2b,2c,2d単体の画角βは、135°~180°、更に前記撮像光軸13a,13b,13c,13dの仰角αは、10°~30°が望ましい。
【0038】
ここで、前記オーバラップする所定量とは、隣接する画角間で隙間が生じない、或は前記カメラユニット2a,2b,2c,2dで取得した画像を合成してパノラマ画像を作成する場合に、必要とされる量とされる。
【0039】
而して、本実施例に係る全周カメラ1では、鉛直下方全幅で60°~90°を除く全周画像が取得できる。
【0040】
前記カメラユニット2a,2b,2c,2dで撮像した画像は、制御部(図示せず)に出力され合成される。画像を合成する場合、各カメラユニット間の視差は無いことが好ましい。然し乍ら、本実施例の様に、複数のカメラにより全周カメラが構成される場合、全てのカメラ間の視差を0とすることは物理的に無理であるので、可能な限り小さくすることが望まれる。
【0041】
本実施例では、前記撮像光軸13aを前記対物レンズ群6aの直後で下方に屈曲させているので、前記対物レンズ群6aに関する奥行距離が短くなっている。この為、前記装置中心と前記入射瞳位置4a間の距離を短くすることができる。
【0042】
他のカメラユニット2b,2c,2dについても同様であり、前記装置中心と前記入射瞳位置4b,4c,4d間の距離を短くすることができ、各カメラの前記入射瞳位置4a,4b,4c,4dを可及的に装置中心に近付けることができ、前記カメラユニット2a,2b,2c,2d間の視差を小さくすることができる。
【0043】
更に、前記入射瞳位置4a,4b,4c,4dが前記中心線Oを中心とした同心円上に90°ピッチで存在することから、取得した画像間で対称性、規則性が確保できるので、画像合成時の演算を簡略化でき画像合成の精度を向上させることができる。
【0044】
更に、前記カメラユニット2a,2b,2c,2dの奥行距離を短くできるので全周カメラ1の小型化が可能となる。
【0045】
又、本実施例に係る全周カメラは、モバイルマッピングシステム(Mobile Mapping System)で取得した測定データ、或は地上型レーザスキャナで所得した測定データとの合成に用いられる全周画像を取得する全周カメラであり、図1で示される前記全周カメラ1は走行車両、或は地上型レーザスキャナに搭載される。この為、全周カメラ1の下方は、前記走行車両、前記レーザスキャナによって死角となっており、画像が必要な範囲は、図4に示される様に下方90°~60°を除く上方270°~300°で全周画像が取得できれば良い。本実施例の全周カメラ1では鉛直下方の角度で90°~60°が空白の未撮像部分となるが、上記した様に、下方90°~60°が死角部分に相当するので、実用上支障ない。従って、前記カメラユニット2a,2b,2c,2d全体の総合画角は、下方90°~60°の範囲で未撮像範囲が形成される様設定される。
【0046】
更に又、本実施例に係る全周カメラ1は、モバイルマッピングシステムで取得した測定データ、レーザスキャナで取得した測定データと全周画像とが合成されることから、測定データと全周画像間での整合性が求められる。従って、全周画像には測定データに対応する角度分解能が求められる。
【0047】
本実施例では、水平方向の画像を取得するのに4の前記カメラユニット2a,2b,2c,2dによって画像を取得する。該4のカメラユニット2a,2b,2c,2dによって水平方向の全周画像を取得するには、各カメラは(360°/4+γ°=90°+γ°)の画角、例えば150°程度あれば良い。
【0048】
前記4のカメラユニット2a,2b,2c,2dで、下方の空白部分(未撮像部分)を除く画像を取得するので、前記カメラユニット2a,2b,2c,2dの個々の画角を小さくできる。
【0049】
上記した様に、画像のオーバラップ部分を含めても、1つのカメラユニット2に必要な画角は、150°程度となり、充分な角度分解能が得られる。
【0050】
次に、本実施例では、前記カメラユニット2a,2b,2c,2dの光学系について、前記プリズム8a,8b,8c,8dにより、前記カメラユニット2a,2b,2c,2dの光軸を鉛直下方(の光軸と平行)に屈曲させているが、必ずしも鉛直下方でなくてもよく、略鉛直下方であれば良い。例えば、前記カメラユニット2a,2b,2c,2dの光学系(特に、結像レンズ群7a,7b,7c,7d)同士が干渉しない様に、前記結像レンズ群7a,7b,7c,7dの光軸を適宜外側に傾斜させても良い。
【0051】
本実施例では、前記結像レンズ群7a,7b,7c,7dの光軸が鉛直下方に延出し、前記受光素子9a,9b,9c,9dが同一レベルとなるので、前記受光素子9a,9b,9c,9dに対する配線、調整作業が下方からの一方向からの作業となり、作業性が向上する。
【0052】
尚、上記実施例に於いて、光軸偏向部材としてプリズムが使用されたが、光軸偏向部材として反射鏡が用いられても良い。
【0053】
又、前記結像光軸14a,14b,14c,14dは、厳密に中心線Oと平行である必要はなく、結像レンズ群7a,7b,7c,7d間の干渉を避ける為、既知の角度で適宜外側に(中心線から離反側に)傾斜させても良い。
【0054】
図5は第2の実施例を示し、図2のA-A矢視相当図である。図5中、図3中で示したものと同等のものには同符号を付し、その説明を省略する。尚、図5に於いて、カメラユニット2b,2dは図示されていない。
【0055】
対物レンズ群6a,6b,6c,6d、結像レンズ群7a,7b,7c,7dの構成、撮像光軸13a,13b,13c,13dの仰角等については、第1の実施例と同様である。
【0056】
第2の実施例では、プリズム16a,16b,16c,16dにより結像光軸14a,14b,14c,14dを上方に屈曲させたものである。
【0057】
屈曲させた前記結像光軸14a,14b,14c,14dは、中心線Oと平行(鉛直)となっている。尚、前記結像光軸14a,14b,14c,14dは、厳密に中心線Oと平行である必要はなく、結像レンズ群7a,7b,7c,7d間の干渉を避ける為、既知の角度で適宜外側に(中心線Oから離反側に)傾斜させても良い。
【0058】
第2の実施例に於いて、第1の実施例と同様、前記受光素子9a,9b,9c,9dが同一レベルとなり、更に前記受光素子9a,9b,9c,9dに対する配線、調整作業が上方からの一方向からの作業となり、作業性が向上する。
【0059】
又、光軸偏向部材としてプリズムが使用されたが、光軸偏向部材として反射鏡が用いられても良い。
【0060】
図6図7は第3の実施例を示しており、図2のA-A矢視相当図である。該第3の実施例は、同一構成の4のカメラユニット2a,2b,2c,2dを有している。
【0061】
尚、第3の実施例に於いて、図6図7中、図3中で示したものと同等ものには同符号を付しその説明を省略する。又、図6に於いて、前記カメラユニット2b,2dは図示されていない。
【0062】
対物レンズ群6a,6b,6c,6dの撮像光軸13a,13b,13c,13dは仰角αで放射状に延出しており、プリズム8a,8b,8c,8dにより前記撮像光軸13a,13b,13c,13dは鉛直下方に結像光軸14a,14b,14c,14dとして屈曲される。前記撮像光軸13a,13b,13c,13dは中心線Oを中心とした同一円周上の4等分の位置に位置する。
【0063】
該結像光軸14a,14b,14c,14dにはそれぞれ結像レンズ群7a,7b,7c,7d、フィルタ11a,11b,11c,11d、カバーガラス12a,12b,12c,12d、受光素子9a,9b,9c,9dが設けられる。
【0064】
前記カメラユニット2a,2b,2c,2dは同一の構成であるので、以下は、前記カメラユニット2aについて説明する。
【0065】
前記各結像レンズ群7aの所要位置に第2の光軸偏向部材としての偏向プリズム18aが設けられる。例えば、結像レンズ群7aの第1レンズ19aと第2レンズ20aとの間に前記偏向プリズム18aが設けられる。
【0066】
該偏向プリズム18aは、前記円周の接線方向(水平方向)に前記結像光軸14aを直角に偏向する。尚、偏向角度は必ずしも、90°でなくともよく、隣接する結像レンズ群7b,7c,7dが干渉しない様になっていれば良い。
【0067】
又、図6に於いて前記偏向プリズム18a、前記結像レンズ群7aについては、説明を容易とする為、鉛直方向に展開して図示している。従って、実際には、前記撮像光軸13aは紙面に対して裏面側に屈曲し、前記撮像光軸13cは紙面に対し表面側に屈曲している。
【0068】
前記結像レンズ群7a,7b,7c,7dを前記プリズム8a,8b,8c,8dにより、隣接する結像レンズ群7a,7b,7c,7d同士での干渉を避ける様に屈曲させるので、結像レンズ群7a,7b,7c,7d同士をより接近させることができ、入射瞳位置4a,4b,4c,4dがより装置中心に接近し、視差が少なくなり、小型化が図れる。更に、前記結像レンズ群7a,7b,7c,7dの一部を水平方向に屈曲させるので、上下方向の寸法が短くなり、全周カメラ1の小型化が図れる。
【0069】
図8図9は、第4の実施例を示し、図2のA-A矢視相当図である。
【0070】
第4の実施例では、撮像光軸13a,13b,13c,13dをプリズム16a,16b,16c,16dにより上方に屈曲させている。
【0071】
結像レンズ群7a,7b,7c,7d、例えば結像レンズ群7aについて説明すると、結像レンズ群7aの所要位置、例えば第1レンズ19aと第2レンズ20aとの間に第2の光軸偏向部材としての偏向プリズム18aが設けられる。
【0072】
該偏向プリズム18aは、円周の接線方向(水平方向)に前記結像光軸14aを直角に偏向する。尚、偏向角度は必ずしも、90°でなくともよく、隣接する結像レンズ群7b,7c,7dが干渉しない様になっていれば良い。
【0073】
又、図8に於いて前記偏向プリズム18a、前記結像レンズ群7aについては、説明を容易とする為、鉛直方向に展開して図示している。従って、実際には、前記撮像光軸13aは紙面に対して裏面側に屈曲し、前記撮像光軸13cは紙面に対し表面側に屈曲している。
【0074】
前記結像レンズ群7a,7b,7c,7dを前記プリズム8a,8b,8c,8dにより、隣接する結像レンズ群7a,7b,7c,7d同士での干渉を避ける様に屈曲させるので、結像レンズ群7a,7b,7c,7d同士をより接近させることができ、入射瞳位置4a,4b,4c,4dがより装置中心に接近し、視差が少なくなり、小型化が図れる。更に、前記結像レンズ群7a,7b,7c,7dの一部を水平方向に屈曲させるので、上下方向の寸法が短くなり、全周カメラ1の小型化が図れる。
【0075】
尚、第3、第4の実施例に於いて、プリズム8a,8b,8c,8d、偏向プリズム18a,18b,18c,18dに代え、光軸偏向部材として、反射鏡が用いられても良い。
【0076】
図10図14は、第5の実施例を示している。
【0077】
図10は、第5の実施例に係る全周カメラ1の光学系を示す平面図であり、図11図10のB-B矢視図を示し、図12はその立体図を示し、図13図10のC-C矢視図であり、図14はその立体図を示している。又、図11図13は説明を容易にする為、鉛直方向に展開して示している。
【0078】
第5の実施例は、第3、第4の実施例に於いて示されたカメラユニットの組合わせで構成される。即ち、第3の実施例で示されたカメラユニットと第4の実施例で示されたカメラユニットが交互に配置される構成となっている。
【0079】
図10に於いて、カメラユニット2a及びカメラユニット2cは、第3の実施例に於いて示されたカメラユニットであり、プリズム8a,8cによって結像光軸14a,14cが下方に屈曲され、更に偏向プリズム18a、偏向プリズム18cによりそれぞれ水平方向又は略水平方向(図示では中心線Oに向って右)に屈曲されている。
【0080】
又、カメラユニット2b及びカメラユニット2dは、第4の実施例に於いて示されたカメラユニットであり、プリズム8b,8dによって結像光軸14b,14dが上方に屈曲され、更に偏向プリズム18b、偏向プリズム18dによりそれぞれ水平方向又は略水平方向(図示では中心線Oに向って右)に屈曲されている。
【0081】
第5の実施例に於いては、結像レンズ群7a,7b,7c,7dが交互に下方、上方に屈曲されて配置されているので、隣接する前記結像レンズ群7a,7b,7c,7d間での干渉が避けられる。更に、前記偏向プリズム18a,18b,18c,18dによって、前記結像レンズ群7a,7b,7c,7dの受光素子9a,9b,9c,9dを含むレンズ群が水平方向に屈曲されるので、全周カメラ1の上下寸法が小さくなり小型化が図れる。
【0082】
尚、第5の実施例に於いて、結像光軸14a,14b,14c,14dを水平方向に屈曲させる前記偏向プリズム18a,18b,18c,18dを省略することも可能である。
【0083】
図15は第6の実施例を示し、図2のA-A矢視相当図である。第6の実施例では、第1の実施例に於けるプリズム8a,8b,8c,8dに代え、直角反射プリズム22a,22b,22c,22dが用いられている。
【0084】
対物レンズ群6a,6b,6c,6d、結像レンズ群7a,7b,7c,7dについては、第1の実施例と同様であるので、説明を省略する。
【0085】
第6の実施例に於いても、前記対物レンズ群6a,6b,6c,6dの撮像光軸13a,13b,13c,13dの仰角α、前記対物レンズ群6a,6b,6c,6dの画角は第1の実施例と同様である。
【0086】
従って、結像レンズ群7a,7b,7c,7dの結像光軸14a,14b,14c,14dは、中心線O(鉛直線)に対してαだけ離反方向に傾斜している。
【0087】
前記結像レンズ群7a,7b,7c,7dが離反する構成となるので、該結像レンズ群7a,7b,7c,7d間の干渉が避けられ、カメラユニット2a,2b,2c,2dをより中心側に接近させることができ小型化が図れると共に、入射瞳位置4a,4b,4c,4dを中心線Oに接近させることができる。
【0088】
該入射瞳位置4a,4b,4c,4dは、同一水平面上、且つ同一円周上の4等分位置に設定されていることは言う迄もない。
【0089】
第6の実施例では、光軸偏向部材として、安価な直角反射プリズムを使用するので、製作コストが低減する。
【0090】
尚、上記実施例に於いてカメラユニットを4組として説明したが、6組であっても良いことは言う迄もない。
【0091】
図16は、本発明に係る全周カメラ1が地上型レーザスキャナに搭載された場合を示している。
【0092】
図16中、35はレーザスキャナ本体を示し、三脚36を介して既知の位置に設置される。
【0093】
前記レーザスキャナ本体35は、托架部37、測距部38、制御部39を有する。前記全周カメラ1は、前記托架部37の上面に搭載される。
【0094】
前記レーザスキャナ本体35は測定基準点を有し、該測定基準点を基準とした測定が行われる。前記全周カメラ1の前記装置中心の位置と前記測定基準点の位置との関係は既知となっている。
【0095】
前記托架部37は、前記三脚36に水平方向に回転可能に搭載され、前記托架部37の水平角は、水平角検出器41により検出される様になっている。該水平角検出器41によって検出された水平角は前記制御部39に入力される。
【0096】
前記托架部37には、前記測距部38が鉛直方向に回転可能に支持され、鉛直角は鉛直角検出器42によって検出される様になっている。該鉛直角検出器42によって検出された鉛直角は前記制御部39に入力される。
【0097】
前記測距部38は、パルス測距光を照射し、測定対象物で反射されたパルス測距光(以下反射測距光)を受光し、パルス測距光の照射タイミングと反射測距光の受光タイミングとの時間差で測定対象物の測距を各パルス測距光毎に行う。各パルス測距光毎の測距結果は、水平角、鉛直角と関連付けられ、前記制御部39に入力される。
【0098】
パルス測距光を照射しつつ、前記托架部37の水平回転、前記測距部38の鉛直回転をすることで、点群データが取得される。
【0099】
前記托架部37が静止した任意の位置で、前記全周カメラ1による全周画像が取得される。尚、前記托架部37が静止した位置は、前記水平角検出器41によって水平角が検出される。
【0100】
前記全周カメラ1が取得した時の水平角と、前記全周カメラ1の装置中心の位置と前記レーザスキャナ本体35の前記測定基準点の位置との関係とに基づき全周画像と点群データとの関連付けが行われる。尚、全周画像と点群データとの関連付けは、前記制御部39で行っても良いし、別途PC等で行っても良い。而して、3次元データ付き全周画像を取得することができる。
【0101】
尚、上記実施例では、カメラユニットが4組の場合を示したが、3組、5組であっても同様に実施可能であることは言う迄もない。
【符号の説明】
【0102】
1 全周カメラ
2a~2d カメラユニット
4a~4d 入射瞳位置
6a~6d 対物レンズ群
7a~7d 結像レンズ群
8a~8d プリズム
9a~9d 受光素子
13a~13d 撮像光軸
14a~14d 結像光軸
16a~16d プリズム
18a~18d 偏向プリズム
22a~22d 直角反射プリズム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16