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2025-37362眼科装置、眼科装置の検査画像候補作成方法、眼科装置の検査画像候補作成プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025037362
(43)【公開日】2025-03-18
(54)【発明の名称】眼科装置、眼科装置の検査画像候補作成方法、眼科装置の検査画像候補作成プログラム
(51)【国際特許分類】
   A61B 3/10 20060101AFI20250311BHJP
   A61B 3/12 20060101ALI20250311BHJP
【FI】
A61B3/10 100
A61B3/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023144250
(22)【出願日】2023-09-06
(71)【出願人】
【識別番号】000220343
【氏名又は名称】株式会社トプコン
(74)【代理人】
【識別番号】110003937
【氏名又は名称】弁理士法人前川知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】田村 将人
【テーマコード(参考)】
4C316
【Fターム(参考)】
4C316AA09
4C316AA10
4C316AB02
4C316AB11
4C316AB12
4C316AB16
4C316FA06
4C316FB07
4C316FB13
4C316FB16
4C316FB22
4C316FZ01
(57)【要約】
【課題】眼科装置において、検者によって操作され取得された静止画以外からも適切な検査画像を得るための選択肢を広げることを課題とする。
【解決手段】被検眼の動画と検査画像である第1静止画の少なくとも一方を撮影する撮影部(前眼部観察系270)と、第1静止画の撮影を指示する操作部294と、前記動画から静止画を出力し、第2静止画を作成する第2静止画作成部213と、少なくとも動画と、第1静止画と、第2静止画とを記憶する記憶部220と、第1静止画と第2静止画とを並べて表示する表示部203と、撮影部と、操作部294と、第2静止画作成部213と、記憶部220と、表示部203を制御する制御部210と、を備えている。
【選択図】図2

【特許請求の範囲】
【請求項1】
眼科装置であって、
被検眼の動画と検査画像である第1静止画の少なくとも一方を撮影する撮影部と、
前記第1静止画の撮影を指示する操作部と、
前記動画から静止画を出力し、第2静止画を作成する第2静止画作成部と、
少なくとも前記動画と、前記第1静止画と、前記第2静止画とを記憶する記憶部と、
前記第1静止画と前記第2静止画とを並べて表示する表示部と、
前記撮影部と、前記操作部と、前記第2静止画作成部と、前記記憶部と、前記表示部を制御する制御部と、
を備えている眼科装置。
【請求項2】
検眼のためのアライメント処理の開始および終了を検知する検知部をさらに備え、
前記制御部は、
前記検知部により前記アライメント処理の開始が検知されたとき、前記撮影部により前記動画の撮影を開始し、
前記検知部により前記アライメント処理の終了が検知されたとき、撮影された前記動画を前記記憶部に記憶する、請求項1に記載の眼科装置。
【請求項3】
前記第2静止画作成部は、前記動画から複数の前記第2静止画を作成し、
前記表示部に複数の前記第2静止画が表示される、請求項2に記載の眼科装置。
【請求項4】
前記表示部は、前記第1静止画と、前記第2静止画のうち、何いずれか一方を選択可能な選択部を有している、請求項3に記載の眼科装置。
【請求項5】
前記制御部は、検査画像として前記第1静止画が選択されたとき、前記動画および前記第2静止画を前記記憶部から削除する、請求項4に記載の眼科装置。
【請求項6】
前記動画は、眼底画像情報と眼底断層情報の少なくとも一方を含む、請求項1から5のいずれか1項に記載の眼科装置。
【請求項7】
眼科装置の検査画像候補作成方法であって、
検知部が検眼のためのアライメント処理の開始を検知するアライメント開始検知ステップと、
前記検知部が前記アライメント処理の終了を検知するアライメント終了検知ステップと、
撮影部が動画の撮影を開始する動画撮影開始ステップと、
検者が操作部を操作して第1静止画を撮像し記憶部に記憶する第1静止画撮像ステップと、
前記撮影部が前記動画の撮影を終了し前記動画を前記記憶部に記憶する動画記憶ステップと、
第2静止画生成部が前記動画から静止画を出力し第2静止画を作成する第2静止画作成ステップと、を実行する検査画像候補作成方法。
【請求項8】
前記第2静止画作成ステップの後に、
制御部が表示部に検査画像候補として前記第1静止画および前記第2静止画を並べて表示する検査画像候補提示ステップを実行する、請求項7に記載の検査画像候補作成方法。
【請求項9】
前記検査画像候補提示ステップの後に、
検者が前記第1静止画を検査画像候補として前記操作部を用いた選択を受け付ける選択ステップと、
前記制御部は前記動画および前記第2静止画を前記記憶部から削除する、画像削除ステップを実行する、請求項8に記載の検査画像候補作成方法。
【請求項10】
眼科装置の検査画像候補作成プログラムであって、
検知部が検眼のためのアライメント処理の開始を検知するアライメント開始検知ステップと、
前記検知部が前記アライメント処理の終了を検知するアライメント終了検知ステップと、
撮影部が動画の撮影を開始する動画撮影開始ステップと、
検者が操作部を操作して第1静止画を撮像し記憶部に記憶する第1静止画撮像ステップと、
前記撮影部が前記動画の撮影を終了し前記動画を前記記憶部に記憶する動画記憶ステップと、
第2静止画生成部が前記動画から静止画を出力し第2静止画を作成する第2静止画作成ステップと、を実行するための検査画像候補作成プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、眼科装置、眼科装置の検査画像候補作成方法、眼科装置の検査画像候補作成プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、眼科装置においては、特許文献1(段落0044参照)にも記載されているように、アライメント等の準備段階では観察画像として動画撮影が行われ、被検眼の検査用に用いられる撮影画像は静止画像が撮影され用いられていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-68488号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、眼科装置において静止画である検査画像を撮影する際には、検者が撮影ボタンを押下して撮影した静止画像だけが記憶され、撮影前のライブ映像表示のための動画像の撮影も行っているが、ライブ映像表示されている動画像は保存されない。
【0005】
しかしながら、撮影ボタンの押下による静止画の撮像は必ずしも成功するわけではなく、ライブ映像表示されている動画像に含まれる静止画の方が、検査画像として適切な場合もある。
【0006】
そこで、本開示の目的は、眼科装置において検者によって操作され取得された静止画以外からも適切な検査画像を得るための選択肢を広げることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記した目的を達成するために、本開示の眼科装置は、被検眼の動画と検査画像である第1静止画の少なくとも一方を撮影する撮影部と、第1静止画の撮影を指示する操作部と、記動画から静止画を出力し、第2静止画を作成する第2静止画作成部と、少なくとも動画と、第1静止画と、第2静止画とを記憶する記憶部と、第1静止画と第2静止画とを並べて表示する表示部と、撮影部と、操作部と、第2静止画作成部と、記憶部と、表示部を制御する制御部と、を備えている。
【0008】
また、本開示の眼科装置の検査画像候補作成方法は、検知部が検眼のためのアライメント処理の開始を検知するアライメント開始検知ステップと、検知部がアライメント処理の終了を検知するアライメント終了検知ステップと、撮影部が動画の撮影を開始する動画撮影開始ステップと、検者が操作部を操作して第1静止画を撮像し記憶部に記憶する第1静止画撮像ステップと、撮影部が動画の撮影を終了し動画を記憶部に記憶する動画記憶ステップと、第2静止画生成部が動画から静止画を出力し第2静止画を作成する第2静止画作成ステップと、を実行する。
【発明の効果】
【0009】
上記本開示によれば、眼科装置において検者によって操作され取得された静止画以外からも適切な検査画像を得るための選択肢を広げることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本開示の眼科装置の概観を示す図である。
図2】本開示の眼科装置の機能構成を示すブロック図である。
図3】本開示の眼科装置の検査画像候補作成方法の基本的な処理の流れを説明するためのフローチャートである。
図4】表示部に並べて表示される第1静止画と第2静止画の画面例を表す図である。
図5】本開示の眼科装置の検査画像候補作成方法の付加的な処理の流れを説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本開示の実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0012】
本開示の実施形態にかかる眼科装置は、主にOCT(光コヒーレンストモグラフィ)を利用して人間の眼について計測することが可能な装置を例に、その他、眼底カメラ、走査型レーザ検眼鏡(SLO)、スリットランプ顕微鏡、眼科手術顕微鏡等の眼科装置のいずれかであってよい。特に、検査画像となる静止画と、測定中に継続して撮影するライブ動画との撮影方式が同視しうるものが適している。例えば、可視光による撮影は被検者にとって眩しく、負担がかかるため瞬間的に行われ継続されないのであまり適してはいない。一方で、赤外光による撮影は、継続的なライブ動画撮影も静止画撮影も被検者が眩しく感じることなる同じタイミングで行われるもので適しており、これには近赤外光を用いたカラー眼底カメラ等の撮影も含まれていてよい。
【0013】
図1は、本開示の眼科装置の概観を示す図、図2は眼科装置の機能構成を示すブロック図である。図1において、眼科装置200は、測定部201、顎受け部202、表示部203を備えている。
【0014】
測定部201は被検者の眼を測定する機能を有している。測定部201は、制御部210が制御する移動機構291によってもその位置を制御されうる。例えば図1の水平方向(X方向、Z方向)および、これに垂直な垂直方向(Y方向)に駆動される。
【0015】
顎受け部202は、眼科装置200の本体に接続されており、XYZ方向に駆動可能な部分であり、被検者の顎や顔を支持する機能を有する。顎受け部202は、被検者の額を支持する額受け部を備えていてもよい。また、測定時に被検者の眼が動かないように固定されていればよく、必ずしも直接的に顎を支持していなくてもよい。制御部210が、顎受け部202の駆動を制御し、被検者の顎を適切な位置で受けるように駆動する。
【0016】
図2において、眼科装置200は、制御部210、記憶部220、Zアライメント系221、XYアライメント系222、ケラト測定系230、レフ測定投射系241、レフ測定受光系242、OCT光学系250、固視撮影系260、前眼部観察系270、移動機構291、表示部203、操作部294、を備えている。なお、本開示の眼科装置の検査画像候補作成方法の機能と関連性の低い構成、および細部については説明を省略する。
【0017】
制御部210は、プロセッサを含み、眼科装置200の各部を制御する。また、制御部210は、記憶部220にデータを書き込む処理や、記憶部220からデータを読み出す処理、読みだしたデータを用いて各種処理を行う。
【0018】
操作部294は、例えば、測定部201の測定位置などを動かすための操作装置であり、表示部203と一体になっているタッチパネルディスプレイであってもよい。この場合、画面をタッチすることにより操作することができる。または操作部294は、眼科装置200の本体に取り付けられている操作レバー、ボタン等である。例えば操作部294に対する操作は、制御部210に出力され、測定部201の位置等が操作される。
【0019】
記憶部220は、制御部210における制御のために必要とする各種プログラムや各種データを記憶する機能を有する。その他、取得した動画ファイル、静止画(第1静止画、第2静止画等の静止画)等の静止画ファイル、およびその画像情報に基づき算出された情報等を記憶可能である。
【0020】
動画ファイルは、眼底画像情報と眼底断層情報の少なくとも一方を含んでいてよい。ここで、眼底画像情報とは眼底カメラ、走査型レーザ検眼鏡等で撮影された眼底の赤外画像またはカラー画像であり、眼底断層情報とはOCT装置で撮影されたb-scan画像である。眼底断層情報には、3次元OCT画像、OCTA(血管造影)画像が含まれていてもよい。記憶部220は、例えば、HDD、SSD、フラッシュメモリなど各種の記憶媒体により実現される。
【0021】
制御部210は、測定部201や顎受け部202の位置を、移動機構291を介して制御する位置制御コントローラとしての機能も有している。受信する操作情報に応じて、測定部201や顎受け部202といった眼科装置200の可動する構成を、XYZ方向に沿って所定の移動量、所定の移動速度により各可動構成を移動させることができる。
【0022】
移動機構291は、複数の光学系(Zアライメント系221、XYアライメント系222、ケラト測定系230等)が収納された測定部201を前後左右に移動させるための装置であり、駆動力を発生させるためのパルスモータ等のアクチュエータと、駆動力を伝達するためのラック・アンド・ピニオン等の伝達機構を備えている。
【0023】
前眼部観察系270は、被検眼の前眼部を動画撮影する機能を有する。前眼部観察系270には、不図示の照明光源を備え、被検眼の前眼部に照明光(例えば、赤外光)を照射する。照射された光は被検眼から反射し、眼科装置200内部の不図示の光学系である、対物レンズ、ダイクロイックミラー、絞り(テレセン絞り)、ハーフミラー、リレーレンズ、結像レンズ等を通してエリアセンサ等の撮像素子に結像される。
【0024】
撮像素子は、定められたレートで撮影と信号の出力を行い、撮影された映像信号は、制御部210に送られ、それに基づいて前眼部の動画が表示部203の画面に表示される。この画像は、例えば赤外動画像として表示される。なお、前眼部観察系270は、眼底の検査画像(第1静止画像)を撮影することができる機能をさらに有していてもよい。
【0025】
Zアライメント系221、XYアライメント系222は、制御部210に制御された動作によってオートアライメント処理を行う機能を有する。
【0026】
以下に前眼部観察系270によるオートアライメント処理の流れを簡略的に説明する。オートアライメントの開始指示がなされると、制御部210は前眼部観察系270により前眼部のリアルタイムなライブ動画撮影を開始させる。この撮影は本開示においては動画の保存を行わない撮影である。次に、両眼の瞳孔位置を特定し、移動機構291により測定光軸を移動する。移動後にさらに瞳孔位置の特定がなされ、前眼部の画像がフレームの所定領域内に位置していると判定されれば、XYアライメントは終了する。続いて、被検眼の瞳孔中心の3次元位置を算出し、これに基づいて被検眼に対する測定部201のZ方向の位置が所定の作動距離となるように移動させ、位置が収束するとZアライメントは終了する。オートアライメント処理では、制御部210がアライメント指標の位置を解析して光学系を移動させることにより自動的にアライメントを行ってもよい。以上により、アライメントは終了する。アライメントが終了したことは、制御部210の検知部211が検知する。
【0027】
検知部211は、検眼のためのアライメント処理の開始および終了を検知する機能を有する。例えばアライメント処理の開始および終了を指示する制御部210の制御信号、命令等を取得することにより検知が可能である。
【0028】
第1静止画生成部212は、検者が操作部294を操作して静止画の撮影を行った際に、検査画像の候補となる静止画を第1静止画として作成して記憶部220に記憶する機能を有する。また、第1静止画生成部212は、モンタージュ撮影により構築された複数のOCT画像等の画像の合成画像を構築してもよい。画像合成は、例えば特開2020-048910号公報等に開示された公知の手法で実行される。
【0029】
第2静止画生成部213は、撮影され記憶された動画から、第1静止画と比較対象となる検査画像の候補となる静止画を第2静止画として出力し、作成する機能を有する。動画は複数のフレームの静止画が時間的に連続した集合体であるから、それらの中から所定のタイミング、所定の間隔でサンプリングされた画像を抽出して第2静止画として出力したり、出力された複数の画像を合成したりして第2静止画としてもよい。
【0030】
図3は、本開示の眼科装置の検査画像候補作成方法の基本的な処理の流れを説明するためのフローチャートである。
【0031】
ステップS100において、検知部211が検眼のためのオートアライメント処理の開始を検知する(オートアライメント開始検知ステップ)。
【0032】
ステップS101において、検知部211がオートアライメント処理の終了を検知する(オートアライメント終了検知ステップ)。オートアライメントに要する時間は例えば1分間未満である。検知部211は、オートアライメント処理が終了されていない(No)場合は、前のステップに戻り、オートアライメント処理が終了されている場合(Yes)は、次のステップに進む。
【0033】
ステップS102において、撮影部(本開示における「前眼部観察系270」が「撮影部」の一例に相当する。)が動画の撮影を開始する(動画撮影開始ステップ)。ここでの動画はライブ動画であるが、第2静止画作成の元となる動画を保存、記憶するための撮影である。つまり、アライメント処理が終了される前において動画を作成しても、光学系と被検眼との位置が適切ではなく、取得された動画も検査用の画像の切り抜き元として適切でない可能性が高いので、アライメント処理が終了した後に撮影された動画から第2静止画を作成するために、このタイミングでの動画撮影を開始する。
【0034】
ステップS103において、制御部210が表示部293にライブ動画を表示する。
【0035】
ステップS104において、制御部210が撮影した動画を記憶部220に記憶する。ここで、動画ファイルはデータ容量が大きいために、例えば最新の30秒から1分間だけ保存しておくようにしてもよい。また、画質を自動判定するアプリケーションを有し、動画のうち鮮明な部分のみを記憶部220に記憶できるようにしてもよい。
【0036】
ステップS105において、ライブ動画が表示および撮影されている最中に、検者が撮影ボタン(操作部294)を操作したかを判定する。検者により撮影がされる(Yes)と、ステップS106において、撮影データ、すなわち第1静止画が取得される。ステップS106において撮影された第1静止画は記憶部220に記憶され、ライブ動画も撮影が終了して記憶部220に記憶される(動画記憶ステップ)。一方、検者による撮影がされない(No)と、撮影がなされるまでライブ動画の表示および撮影が継続される。
【0037】
ステップS107において、第2静止画生成部213が、記憶部220に記憶されている動画から静止画を出力し、第2静止画を作成する(第2静止画生成ステップ)。
【0038】
ステップS108において、制御部210が表示部203に検査画像候補として第1静止画と、第2静止画とを並べて表示する(検査画像候補提示ステップ)。
【0039】
図4は、表示部203に並べて表示される第1静止画と第2静止画の画面例を表している。この図において、P1が第1静止画、P2が第2静止画として表示されている。第1静止画を表示する枚数はこの図のように1枚に限られず、複数表示してよい。第2静止画も同様に複数表示してよい。
【0040】
ステップS109において、検者が第1静止画を検査画像候補として操作部294を用いた選択を受け付ける(選択ステップ)。例えば、検者が画質の鮮明ないずれかの静止画を選択し、「Enter」ボタンを操作することで、最終的な検査画像が決定される。
【0041】
これにより、眼科装置200において、検者によって操作され取得された静止画以外からも適切な検査画像を得るための選択肢を広げることができる。この手法により、特に第1静止画が鮮明でなかった場合に、静止画の取り直しの手間を省略することができる。
【0042】
図3のフローチャートに示したように、動画の撮影開始はオートアライメント処理の終了後が好ましいが、これに限られるものではない。オートアライメント処理の最中であっても、検査画像に使用できる被検眼の画像が数フレーム撮影できることがあるため、動画撮影の開始タイミングは適宜変更可能である。
【0043】
以上が、本開示の眼科装置の検査画像候補作成方法の基本的な処理の流れであるが、さらに付加してもよい処理の流れについて図5を用いて説明する。
【0044】
図5は、本開示の眼科装置の検査画像候補作成方法の付加的な処理の流れを説明するためのフローチャートである。ここで、ステップS200~S201は、上記のステップS108~S109と同様の内容であるから説明を省略する。
【0045】
ステップS202では、検者が第1静止画を検査画像候補として使用するかを判定する。検者が第1静止画を使用する(Yes)として、操作部294を用いた選択を受け付けた場合、ステップS203において、制御部210は動画(さらに第2静止画)を記憶部220から削除する(画像削除ステップ)。
【0046】
一方、検者が第1静止画を使用せず(No)、検査画像候補として第2静止画を選択した場合、ステップS204において、第1静止画を記憶部220から削除する。これは、主に第1静止画が検査画像としては不鮮明で、適切でなかった場合である。なお、再度動画から第2静止画を作成する可能性もあるので、動画および静止画は必ずしも削除せずともよい。
【0047】
このようにすることで、容量が大きく記憶部220の記憶量を圧迫する動画ファイルを、不要である場合に削除することができる。特に、動画が眼底画像情報と眼底断層情報の少なくとも一方を含む場合には容量が大きく、このような処理による容量削減効果が大きい。
【0048】
以上の本開示の構成について付記する。
[1]
眼科装置であって、
被検眼の動画と検査画像である第1静止画の少なくとも一方を撮影する撮影部と、
前記第1静止画の撮影を指示する操作部と、
前記動画から静止画を出力し、第2静止画を作成する第2静止画作成部と、
少なくとも前記動画と、前記第1静止画と、前記第2静止画とを記憶する記憶部と、
前記第1静止画と前記第2静止画とを並べて表示する表示部と、
前記撮影部と、前記操作部と、前記第2静止画作成部と、前記記憶部と、前記表示部を制御する制御部と、
を備えている眼科装置。
[2]
検眼のためのアライメント処理の開始および終了を検知する検知部をさらに備え、
前記制御部は、
前記検知部により前記アライメント処理の開始が検知されたとき、前記撮影部により前記動画の撮影を開始し、
前記検知部により前記アライメント処理の終了が検知されたとき、撮影された前記動画を前記記憶部に記憶する、[1]に記載の眼科装置。
[3]
前記第2静止画作成部は、前記動画から複数の前記第2静止画を作成し、
前記表示部に複数の前記第2静止画が表示される、[2]に記載の眼科装置。
[4]
前記表示部は、前記第1静止画と、前記第2静止画のうち、何いずれか一方を選択可能な選択部を有している、[3]に記載の眼科装置。
[5]
前記制御部は、検査画像として前記第1静止画が選択されたとき、前記動画および前記第2静止画を前記記憶部から削除する、[4]に記載の眼科装置。
[6]
前記動画は、眼底画像情報と眼底断層情報の少なくとも一方を含む、[1]から[5]のいずれか1つに記載の眼科装置。
[7]
眼科装置の検査画像候補作成方法であって、
検知部が検眼のためのアライメント処理の開始を検知するアライメント開始検知ステップと、
前記検知部が前記アライメント処理の終了を検知するアライメント終了検知ステップと、
撮影部が動画の撮影を開始する動画撮影開始ステップと、
検者が操作部を操作して第1静止画を撮像し記憶部に記憶する第1静止画撮像ステップと、
前記撮影部が前記動画の撮影を終了し前記動画を前記記憶部に記憶する動画記憶ステップと、
第2静止画生成部が前記動画から静止画を出力し第2静止画を作成する第2静止画作成ステップと、を実行する検査画像候補作成方法。
[8]
前記第2静止画作成ステップの後に、
制御部が表示部に検査画像候補として前記第1静止画および前記第2静止画を並べて表示する検査画像候補提示ステップを実行する、[7]に記載の検査画像候補作成方法。
[9]
前記検査画像候補提示ステップの後に、
検者が前記第1静止画を検査画像候補として前記操作部を用いた選択を受け付ける選択ステップと、
前記制御部は前記動画および前記第2静止画を前記記憶部から削除する、画像削除ステップを実行する、[8]に記載の検査画像候補作成方法。
[10]
眼科装置の検査画像候補作成プログラムであって、
検知部が検眼のためのアライメント処理の開始を検知するアライメント開始検知ステップと、
前記検知部が前記アライメント処理の終了を検知するアライメント終了検知ステップと、
撮影部が動画の撮影を開始する動画撮影開始ステップと、
検者が操作部を操作して第1静止画を撮像し記憶部に記憶する第1静止画撮像ステップと、
前記撮影部が前記動画の撮影を終了し前記動画を前記記憶部に記憶する動画記憶ステップと、
第2静止画生成部が前記動画から静止画を出力し第2静止画を作成する第2静止画作成ステップと、を実行するための検査画像候補作成プログラム。
【符号の説明】
【0049】
200 眼科装置
201 測定部
202 顎受け部
203 表示部
210 制御部
211 検知部
212 第1静止画生成部
213 第2生成画生成部
220 記憶部
221 Zアライメント系
222 XYアライメント系
230 ケラト測定系
270 前眼部観察系
291 移動機構

図1
図2
図3
図4
図5