(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025037540
(43)【公開日】2025-03-18
(54)【発明の名称】ガラス繊維の製造装置、及びガラス繊維の製造方法
(51)【国際特許分類】
C03B 37/085 20060101AFI20250311BHJP
【FI】
C03B37/085
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023144525
(22)【出願日】2023-09-06
(71)【出願人】
【識別番号】000232243
【氏名又は名称】日本電気硝子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】松浦 禅
(57)【要約】
【課題】ガラス繊維の生産性を高めることを可能にしたガラス繊維の製造装置、及びガラス繊維の製造方法を提供する。
【解決手段】ガラス繊維の製造装置11は、溶融ガラスMGを流通させるフィーダー12と、フィーダー12の下方に配置され、溶融ガラスMGを流出する複数のノズルNを有するブッシング13とを備えている。ガラス繊維の製造装置11は、フィーダー12とブッシング13との間に配置される流路部材14を備える。流路部材14は、フィーダー12からブッシング13に溶融ガラスMGを流通する流路15を有する。流路部材14は、フィーダー12から流入される溶融ガラスMGを分流させる分流壁部17を有する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶融ガラスを流通させるフィーダーと、
前記フィーダーの下方に配置され、前記溶融ガラスを流出する複数のノズルを有するブッシングと、
前記フィーダーと前記ブッシングとの間に配置され、前記フィーダーから前記ブッシングに前記溶融ガラスを流通する流路を有する流路部材と、を備え、
前記流路部材は、前記フィーダーから流入される前記溶融ガラスを分流させる分流壁部を有する、ガラス繊維の製造装置。
【請求項2】
前記ブッシングは、平面視で長手方向を有し、
前記流路部材の前記分流壁部は、平面視で前記ブッシングの前記長手方向と交差する方向に延びるように配置される、請求項1に記載のガラス繊維の製造装置。
【請求項3】
前記流路部材の前記分流壁部は、前記流路部材の上面位置から下面位置にわたって延びるように配置される、請求項1に記載のガラス繊維の製造装置。
【請求項4】
前記分流壁部における下端の幅寸法は、前記分流壁部における上端の幅寸法よりも大きい、請求項3に記載のガラス繊維の製造装置。
【請求項5】
前記流路部材は、耐火物の一体成形品である、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のガラス繊維の製造装置。
【請求項6】
ガラス繊維の製造装置を用いて複数のガラスフィラメントを成形する成形工程を備えるガラス繊維の製造方法であって、
前記ガラス繊維の製造装置は、溶融ガラスを流通させるフィーダーと、
前記フィーダーの下方に配置され、前記溶融ガラスを流出する複数のノズルを有するブッシングと、
前記フィーダーと前記ブッシングとの間に配置され、前記溶融ガラスを流通する流路を有する流路部材と、を備え、
前記流路部材は、前記溶融ガラスを分流させる分流壁部を有する、ガラス繊維の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガラス繊維の製造装置、及びガラス繊維の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載されるように、ガラス繊維の製造には、溶融ガラスを流通させるフィーダーと、溶融ガラスを流出する複数のノズルを有するブッシングと、フィーダーとブッシングとの間に配置される流路部材とを備える製造装置が用いられる。このようなガラス繊維の製造装置では、ブッシングの各ノズルから溶融ガラスを流出させることで、複数のガラスフィラメントを成形することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記ガラス繊維の製造装置において、フィーダーから流路部材を通じてブッシングに流入する溶融ガラスには、例えば、流路部材の流路の中央側と外周側とにおいて温度ムラが生じることがある。例えば、流路部材の流路の外周側を流通する溶融ガラスの温度よりも流路の中央側を流通する溶融ガラスの温度が高くなる温度ムラが生じる場合がある。このような温度ムラによりブッシングのノズルからの溶融ガラスの流出が不安定となることで、ガラス繊維の生産性が低下するおそれがあった。
【0005】
本発明の目的は、ガラス繊維の生産性を高めることを可能にしたガラス繊維の製造装置、及びガラス繊維の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するガラス繊維の製造装置、及びガラス繊維の製造方法の各態様について説明する。
態様1のガラス繊維の製造装置は、溶融ガラスを流通させるフィーダーと、前記フィーダーの下方に配置され、前記溶融ガラスを流出する複数のノズルを有するブッシングと、前記フィーダーと前記ブッシングとの間に配置され、前記フィーダーから前記ブッシングに前記溶融ガラスを流通する流路を有する流路部材と、を備え、前記流路部材は、前記フィーダーから流入される前記溶融ガラスを分流させる分流壁部を有する。この構成によれば、流路部材に流入する溶融ガラスを流路部材の分流壁部により分流することができるため、流路部材から流出される溶融ガラスの流動を変化させることができる。これにより、例えば、ブッシングに流入する溶融ガラスの温度ムラを低減することが可能となる。
【0007】
態様2のガラス繊維の製造装置では、態様1において、前記ブッシングは、平面視で長手方向を有し、前記流路部材の前記分流壁部は、平面視で前記ブッシングの前記長手方向と交差する方向に延びるように配置されてもよい。この構成によれば、流路部材の分流壁部により分流された溶融ガラスをブッシングの長手方向の両端部に向かうように流動させることができる。これにより、ブッシングの長手方向の両端側のノズルから安定して溶融ガラスを流出させることが可能となる。
【0008】
態様3のガラス繊維の製造装置では、態様1又は態様2において、前記流路部材の前記分流壁部は、前記流路部材の上面位置から下面位置にわたって延びるように配置されてもよい。この構成によれば、例えば、溶融ガラスの流動をより変化させることが可能となる。これにより、例えば、ブッシングに流入する溶融ガラスの温度ムラをより低減することが可能となる。
【0009】
態様4のガラス繊維の製造装置では、態様1から態様3のいずれか一つにおいて、前記分流壁部における下端の幅寸法は、前記分流壁部における上端の幅寸法よりも大きくてもよい。この構成によれば、分流壁部に沿って溶融ガラスを流路部材の外周縁に向かうように流動させることが可能となることで、流路部材から流出される溶融ガラスの流動をより変化させることが可能となる。これにより、例えば、ブッシングに流入する溶融ガラスの温度ムラをより低減することが可能となる。
【0010】
態様5のガラス繊維の製造装置では、態様1から態様4のいずれか一つにおいて、流路部材は、耐火物の一体成形品であってもよい。この構成によれば、流路部材の強度を容易に確保することが可能となる。
【0011】
態様6のガラス繊維の製造方法は、ガラス繊維の製造装置を用いて複数のガラスフィラメントを成形する成形工程を備えるガラス繊維の製造方法であって、前記ガラス繊維の製造装置は、溶融ガラスを流通させるフィーダーと、前記フィーダーの下方に配置され、前記溶融ガラスを流出する複数のノズルを有するブッシングと、前記フィーダーと前記ブッシングとの間に配置され、前記溶融ガラスを流通する流路を有する流路部材と、を備え、前記流路部材は、前記溶融ガラスを分流させる分流壁部を有する。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、ガラス繊維の生産性を高めることが可能となるという効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、第1実施形態におけるガラス繊維の製造装置を示す分解斜視図である。
【
図2】
図2は、ガラス繊維の製造装置を示す断面図である。
【
図3】
図3は、ガラス繊維の製造装置を示す断面図である。
【
図6】
図6は、第2実施形態におけるガラス繊維の製造装置を示す断面図である。
【
図9】
図9は、第3実施形態におけるガラス繊維の製造装置を示す断面図である。
【
図12】
図12は、第4実施形態におけるガラス繊維の製造装置を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[第1実施形態]
以下、ガラス繊維の製造装置、及びガラス繊維の製造方法の第1実施形態について図面を参照して説明する。なお、図面では、説明の便宜上、構成の一部を誇張又は簡略化して示す場合がある。また、各部分の寸法比率についても、実際と異なる場合がある。図面のX軸及びY軸は、水平面内で互いに直交する方向を表し、Z軸は、XY平面に直交する方向を表している。
【0015】
図1~
図3に示すように、ガラス繊維の製造装置11は、溶融ガラスMGを流通させるフィーダー12と、フィーダー12の下方に配置されるブッシング13とを備えている。ガラス繊維の製造装置11は、フィーダー12とブッシング13との間に配置される流路部材14をさらに備えている。
【0016】
<フィーダー>
ガラス繊維の製造装置11のフィーダー12には、図示を省略したガラス溶融炉で得られた溶融ガラスMGが供給される。
【0017】
フィーダー12は、底壁W1と、底壁W1の両側に設けられる一対の側壁W2とを有している。フィーダー12は、上部の開口を塞ぐように配置される上壁W3を有していてもよい。フィーダー12は、図面のY軸方向に沿って溶融ガラスMGを流通させる。
【0018】
フィーダー12の底壁W1は、溶融ガラスMGを下方に流出させる流出部Fを備えている。流出部Fは、流出壁部W1aと、流出壁部W1aにより囲まれる流出部流路FLとを有している。フィーダー12の流出部流路FLは、流路部材14に溶融ガラスMGを流出する流出口FLaを有している。
【0019】
フィーダー12は、耐火物から構成されている。フィーダー12を構成する耐火物としては、例えば、電鋳煉瓦、デンス焼成煉瓦等が挙げられる。電鋳煉瓦としては、例えば、ジルコニア系電鋳煉瓦、アルミナ系電鋳煉瓦、アルミナ・ジルコニア系電鋳煉瓦、アルミナ・ジルコニア・シリカ系電鋳煉瓦等が挙げられる。デンス焼成煉瓦としては、デンスジルコン煉瓦、デンスクロム煉瓦等が挙げられる。
【0020】
フィーダー12に供給される溶融ガラスMGとしては、例えば、Eガラス(アルカリ含有量2%以下のガラス)、Dガラス(低誘電率ガラス)、ARガラス(耐アルカリ性ガラス)、Cガラス(耐酸性のガラス)、Mガラス(高弾性率のガラス)、Sガラス(高強度、高弾性率のガラス)、Tガラス(高強度、高弾性率のガラス)、Hガラス(高誘電率のガラス)、NEガラス(低誘電率のガラス)が挙げられる。ガラスの密度は、例えば、2.0~3.0g/cm3である。
【0021】
<ブッシング>
ガラス繊維の製造装置11のブッシング13は、溶融ガラスMGを流出する複数のノズルNを有している。ブッシング13の各ノズルNによってガラスフィラメントGFを成形することができる。
【0022】
図2及び
図3に示すように、ブッシング13は、溶融ガラスMGが供給されるブッシング本体13aと、ブッシング本体13aの底部に設けられたベースプレート13bとを備えている。ブッシング13のブッシング本体13aは、溶融ガラスMGが流入される流入口13cを有している。
【0023】
ブッシング13は、平面視で長手方向を有している。詳述すると、ブッシング13の形状は、平面視でY軸に沿った長辺を有する長方形状である。
図3に示すように、ブッシング13は、ガラス繊維の製造装置11の設置箇所の構造体STに支持部材Sにより支持されている。なお、
図1では、支持部材Sを省略している。
【0024】
ブッシング本体13aは、ベースプレート13b上に異物が堆積するのを抑制するスクリーン、通電用のターミナル等を有していてもよい。
図1~
図3に示すように、ベースプレート13bには、複数のノズルNが設けられている。ブッシング13におけるノズル孔の数は、100個以上、10000個以下の範囲内であることが好ましい。ブッシング13の各ノズルNにおけるノズル孔の断面形状は、例えば、円形状、長径と短径とを有する扁平形状等が挙げられる。
【0025】
ブッシング本体13a、ベースプレート13b、及びノズルNの材料としては、例えば、貴金属又は貴金属合金が挙げられる。貴金属は、金、銀、白金、パラジウム、ロジウム、イリジウム、ルテニウム、又はオスミウムである。ブッシング本体13a、ベースプレート13b、及びノズルNの材料は、耐久性を高めるという観点から、白金、又は白金合金であることが好ましい。白金合金としては、例えば、白金ロジウム合金が挙げられる。
【0026】
<流路部材>
図1~
図5に示すように、流路部材14は、フィーダー12からブッシング13に溶融ガラスMGを流通する二つの流路15を有している。すなわち、流路部材14は、フィーダー12から溶融ガラスMGが流入される二つの流入口14aと、ブッシング13に溶融ガラスMGを流出する二つの流出口14bとを有している。流路部材14の二つの流入口14aは、フィーダー12の流出部Fの流出口FLaと連通されている。流路部材14の二つの流出口14bは、ブッシング13の流入口13cと連通されている。流路部材14の二つの流路15は、溶融ガラスMGを流下させることで、ブッシング13に溶融ガラスMGを供給する。
【0027】
流路部材14は、二つの流路15を取り囲む周壁部16を有している。流路部材14は、フィーダー12から流入される溶融ガラスMGを分流させる分流壁部17を有している。分流壁部17は、X軸方向に沿った方向において互いに向かい合う周壁部16の内面を連結するように配置されている。
【0028】
分流壁部17は、平面視でブッシング13の長手方向(Y軸に沿った方向)と交差する方向に沿って延びるように配置されている。本実施形態の分流壁部17は、平面視でブッシング13の長手方向と直交する方向(X軸に沿った方向)に沿って延びるように配置されているが、これに限定されない。分流壁部17は、例えば、平面視でブッシング13の長手方向と直角以外の角度で交差するように配置することもできる。
【0029】
分流壁部17は、流路部材14の上面位置から下面位置にわたって延びるように配置されている。
図2、
図4及び
図5に示すように、分流壁部17における上端の幅寸法をD1とし、分流壁部17における下端の幅寸法をD2とした場合、D2は、D1よりも大きい。この場合、分流壁部17の両側面は、例えば、下方に向かうにしたがって流路部材14の外周縁に向かうように傾斜する傾斜面により形成される。
【0030】
図2及び
図5に示すように、流路部材14は、周壁部16の内面のうち、分流壁部17の両側面と向かい合う両内面は、例えば、下方に向かうにしたがって流路部材14の外周縁に向かうように傾斜する傾斜面により形成される。
【0031】
流路部材14の周壁部16及び分流壁部17は、耐火物から構成することができる。周壁部16及び分流壁部17を構成する耐火物の具体例としては、上記フィーダー12の説明で例示した耐火物が挙げられる。流路部材14は、耐火物の一体成形品であることが好ましい。
【0032】
<上記以外の構成>
ガラス繊維の製造装置11は、図示を省略したアプリケーター、及びギャザリングシューを備えている。アプリケーターは、ブッシング13から引き出された多数のガラスフィラメントGFに液体状の集束剤を塗布する。ギャザリングシューは、集束剤が塗布された多数のガラスフィラメントGFを集束させる。多数のガラスフィラメントGFがギャザリングシューにより集束されることで、ガラスストランドが得られる。ガラスストランドは、巻取り装置により巻き取られることで、ガラスストランドが巻回されたケーキが得られる。
【0033】
<ガラス繊維の製造方法>
次に、ガラス繊維の製造方法について説明する。
ガラス繊維の製造方法は、ガラス繊維の製造装置11を用いてガラスフィラメントGFを成形する成形工程を備えている。成形工程では、溶融ガラスMGがフィーダー12からブッシング13に供給される。フィーダー12からブッシング13までの溶融ガラスMGの流路及びブッシング13のブッシング本体13aの内部は、溶融ガラスMGにより満たされている。成形工程では、ブッシング13に供給された溶融ガラスMGがブッシング13のノズルNから流出されることにより、ガラスフィラメントGFが成形される。
【0034】
上記の成形工程で得られたガラスフィラメントGFが集束されることで、ガラスストランドが得られる。ガラスストランドは、例えば、所定の長さに切断されたチョップドストランドとして利用することができる。また、ガラスストランドは、ミルドファイバ、ロービング、ヤーン、マット、クロス、テープ、又は組布等として利用することができる。ガラスストランドの用途としては、例えば、車両用途、電子材料用途、建材用途、土木用途、航空機関連用途、造船用途、物流用途、産業機械用途、及び日用品用途が挙げられる。
【0035】
<作用及び効果>
次に、第1実施形態の作用及び効果について説明する。
(1-1)ガラス繊維の製造装置11は、溶融ガラスMGを流通させるフィーダー12と、フィーダー12の下方に配置され、溶融ガラスMGを流出する複数のノズルNを有するブッシング13とを備えている。ガラス繊維の製造装置11は、フィーダー12とブッシング13との間に配置される流路部材14を備えている。流路部材14は、フィーダー12からブッシング13に溶融ガラスMGを流通する流路15を有している。流路部材14は、フィーダー12から流入される溶融ガラスMGを分流させる分流壁部17を有している。
【0036】
この構成によれば、流路部材14に流入する溶融ガラスMGを流路部材14の分流壁部17により分流することができるため、流路部材14から流出される溶融ガラスMGの流動を変化させることができる。これにより、例えば、ブッシング13に流入する溶融ガラスMGの温度ムラを低減することが可能となる。従って、ブッシング13のノズルNからの溶融ガラスMGの流出が安定するため、ガラス繊維の生産性を高めることが可能となる。
【0037】
(1-2)ガラス繊維の製造装置11のブッシング13は、長手方向を有している。ガラス繊維の製造装置11における流路部材14の分流壁部17は、平面視でブッシング13の長手方向と交差する方向に延びるように配置されている。この場合、流路部材14の分流壁部17により分流された溶融ガラスMGをブッシング13の長手方向の両端部に向かうように流動させることができる。これにより、ブッシング13の長手方向の両端側のノズルNから安定して溶融ガラスMGを流出させることが可能となる。従って、ガラス繊維の生産性をより高めることが可能となる。
【0038】
(1-3)ガラス繊維の製造装置11において、流路部材14の分流壁部17は、流路部材14の上面位置から下面位置にわたって延びるように配置されている。この場合、例えば、溶融ガラスMGの流動をより変化させることが可能となる。これにより、例えば、ブッシング13に流入する溶融ガラスMGの温度ムラをより低減することが可能となる。従って、ブッシング13のノズルNからの溶融ガラスMGの流出がより安定することで、ガラス繊維の生産性をより高めることが可能となる。
【0039】
(1-4)ガラス繊維の製造装置11において、流路部材14の分流壁部17における下端の幅寸法は、分流壁部17における上端の幅寸法よりも大きい。この場合、分流壁部17に沿って溶融ガラスMGを流路部材14の外周縁に向かうように流動させることが可能となることで、流路部材14から流出される溶融ガラスMGの流動をより変化させることが可能となる。これにより、例えば、ブッシング13に流入する溶融ガラスMGの温度ムラをより低減することが可能となる。従って、ブッシング13のノズルNからの溶融ガラスMGの流出がより安定することで、ガラス繊維の生産性をより高めることが可能となる。
【0040】
(1-5)ガラス繊維の製造装置11において、流路部材14は、耐火物の一体成形品であることが好ましい。この場合、流路部材14の強度を容易に確保することが可能となる。従って、ガラス繊維の製造装置11の耐久性を容易に高めることが可能となる。
【0041】
[第2実施形態]
ガラス繊維の製造装置11の第2実施形態について第1実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0042】
図6~
図8に示すように、第2実施形態のガラス繊維の製造装置11における流路部材14は、一つの上流側流路15aと、二つの下流側流路15bとを有している。すなわち、流路部材14は、フィーダー12から溶融ガラスMGが流入される一つの流入口14aと、ブッシング13に溶融ガラスMGを流出する二つの流出口14bとを有している。流路部材14の一つの流入口14aは、フィーダー12の流出部Fの流出口FLaと連通されている。流路部材14の二つの流出口14bは、ブッシング13の流入口13cと連通されている。
【0043】
流路部材14は、上流側流路15a及び下流側流路15bを取り囲む周壁部16を有している。流路部材14は、フィーダー12から流入される溶融ガラスMGを分流させる分流壁部17を有している。流路部材14の分流壁部17は、流路部材14の上面位置と下面位置との間の中間位置から下面位置にわたって延びるように配置されている。本実施形態における分流壁部17における上端の幅寸法と、分流壁部17における下端の幅寸法は、同一である。
【0044】
次に、第2実施形態の作用及び効果について説明する。
(2-1)第2実施形態のガラス繊維の製造装置11では、第1実施形態の(1-1)、(1-2)、及び(1-5)と同様の作用及び効果を得ることができる。
【0045】
[第3実施形態]
ガラス繊維の製造装置11の第3実施形態について第1実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0046】
図9~
図11に示すように、第3実施形態のガラス繊維の製造装置11における流路部材14は、二つの上流側流路15aと、一つの下流側流路15bとを有している。すなわち、流路部材14は、フィーダー12から溶融ガラスMGが流入される二つの流入口14aと、ブッシング13に溶融ガラスMGを流出する一つの流出口14bとを有している。流路部材14の二つの流入口14aは、フィーダー12の流出部Fの流出口FLaと連通されている。流路部材14の一つの流出口14bは、ブッシング13の流入口13cと連通されている。
【0047】
流路部材14は、上流側流路15a及び下流側流路15bを取り囲む周壁部16を有している。流路部材14は、フィーダー12から流入される溶融ガラスMGを分流させる分流壁部17を有している。流路部材14の分流壁部17は、流路部材14の上面位置から上面位置と下面位置との間の中間位置にわたって延びるように配置されている。本実施形態における分流壁部17における上端の幅寸法と、分流壁部17における下端の幅寸法は、同一である。
【0048】
次に、第3実施形態の作用及び効果について説明する。
(3-1)第3実施形態のガラス繊維の製造装置11では、第1実施形態の(1-1)、(1-2)、及び(1-5)と同様の作用及び効果を得ることができる。
【0049】
[第4実施形態]
ガラス繊維の製造装置11の第3実施形態について第1実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0050】
図12及び
図13に示すように、第4実施形態のガラス繊維の製造装置11における流路部材14は、Y軸方向に沿った方向において互いに向かい合う周壁部16の内面を連結するように配置されている。本実施形態の分流壁部17は、平面視でブッシング13の長手方向(Y軸に沿った方向)に沿って延びるように配置されている。
【0051】
次に、第4実施形態の作用及び効果について説明する。
(4-1)第4実施形態のガラス繊維の製造装置11では、第1実施形態の(1-1)、(1-3)、及び(1-5)と同様の作用及び効果を得ることができる。
【0052】
<変更例>
上記実施形態は、以下のように変更して実施することができる。上記実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0053】
・ガラス繊維の製造装置11における流路部材14は、耐火物の一体成形品に限らず、分割された複数の耐火物を組み合わせることで形成することもできる。
・流路部材14の分流壁部17における下端の幅寸法は、分流壁部17における上端の幅寸法よりも小さくてもよい。
【0054】
・流路部材14の分流壁部17は、流路部材14の上面位置と下面位置との間の中間位置に設けることもできる。
・流路部材14の分流壁部17の数は、単数であってもよいし、複数であってもよい。例えば、流路部材14は、上下方向又は水平方向において隣り合う複数の分流壁部17を有していてもよい。
【0055】
・流路部材14の分流壁部17の形状は、平面視において、X軸に沿った方向、Y軸に沿った方向等の複数の方向に延びる形状であってもよい。例えば、第1実施形態の流路部材14は、X軸に沿った方向に延びる分流壁部17を有しているが、Y軸に沿った方向に延びる分流壁部17をさらに組み合わせることもできる。この場合であっても、上記(1-2)欄で述べた作用及び効果を得ることができる。
【0056】
・上記実施形態のガラス繊維の製造装置11の平面視において、フィーダー12の流出部Fは、流出口FLaの長手方向がフィーダー12における溶融ガラスMGの流通する方向(図面のY軸方向)に沿うように配置されているが、これに限定されない。例えば、フィーダー12の流出部Fを、流出口FLaの長手方向が上記溶融ガラスMGの流通する方向と直交する方向(図面のX軸方向)に沿うように配置することもできる。このような流出部Fの配置に合わせて、ブッシング13及び流路部材14を配置する方向を変更することができる。
【0057】
・上記実施形態のガラス繊維の製造装置11におけるブッシング13は、平面視で長手方向を有しているが、この形状に限定されない。ブッシング13は、平面視で、例えば、正方形状等の形状であってもよい。
【符号の説明】
【0058】
11…ガラス繊維の製造装置
12…フィーダー
13…ブッシング
14…流路部材
15…流路
17…分流壁部
GF…ガラスフィラメント
MG…溶融ガラス
N…ノズル