(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025037632
(43)【公開日】2025-03-18
(54)【発明の名称】情報処理装置、調査システム、調整方法、および調整プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/10 20230101AFI20250311BHJP
G06F 40/56 20200101ALI20250311BHJP
G06F 40/44 20200101ALI20250311BHJP
【FI】
G06Q10/10
G06F40/56
G06F40/44
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023144682
(22)【出願日】2023-09-06
(71)【出願人】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】川島 正史
【テーマコード(参考)】
5L010
5L049
【Fターム(参考)】
5L010AA11
5L049AA11
(57)【要約】
【課題】言語モデルにより、所定のユーザの業務上の使用に適合した回答を生成することを可能にする。
【解決手段】情報処理装置は、所定のユーザの業務に関連するデータを業務関連データとして特定する特定部と、クエリに対する回答を出力するように機械学習された言語モデルを、前記業務関連データを用いて所定のユーザ向けに調整する調整部と、を備える。このようにして調整された言語モデルは前記所定のユーザの意思決定の支援に利用することもできる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定のユーザの業務に関連するデータを業務関連データとして特定する特定手段と、
クエリに対する回答を出力するように機械学習された言語モデルを、前記業務関連データを用いて前記所定のユーザ向けに調整する調整手段と、を備える情報処理装置。
【請求項2】
前記調整手段は、前記言語モデルによる回答生成の際に参照するデータとして前記業務関連データを登録することにより、当該言語モデルを前記所定のユーザ向けに調整する、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記特定手段は、前記所定のユーザが所属する組織の階層構造を示す階層情報を用いて当該所定のユーザの所属する階層と所定の関係性を有する階層を特定し、特定した階層に関連する前記業務関連データを特定する、請求項1または2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記特定手段は、前記所定のユーザの業務に関連する各データに設定された秘匿レベルに応じて前記業務関連データを特定する、請求項1または2に記載の情報処理装置。
【請求項5】
所定のユーザからのクエリの入力を受け付ける受付手段と、
クエリに対する回答を出力するように機械学習された言語モデルであって、前記所定のユーザの業務に関連する業務関連データを用いて前記所定のユーザ向けに調整された言語モデルにより前記受付手段が受け付けたクエリに対する回答を生成するか、または、前記業務関連データと言語モデルとを用いて前記受付手段が受け付けたクエリに対する回答を生成する応答手段と、を備える情報処理装置。
【請求項6】
前記言語モデルは、入力された質問に対して、前記所定のユーザの代理として回答を生成できるように機械学習された代理回答用言語モデルであり、
前記受付手段は、前記所定のユーザに対する質問の入力を受け付け、
前記質問に対する回答を前記代理回答用言語モデルに生成させるか否かを判定する回答可否判定手段を備える、請求項5に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記回答可否判定手段は、前記質問に対応付けられた条件を前記所定のユーザが満たしている場合に、前記質問に対する回答を、当該所定のユーザに対応する前記代理回答用言語モデルに生成させると判定する、請求項6に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記質問に対応付けられた条件に代わる代替条件を生成する代替条件生成手段と、
前記質問の送信元に前記代替条件を通知して、当該代替条件を了承するか否かを問い合わせる交渉手段と、を備える、請求項6または7に記載の情報処理装置。
【請求項9】
請求項5から7の何れか1項に記載の情報処理装置と、
所定の質問に対する回答を収集する調査の依頼を受け付け、当該質問に対する回答を前記言語モデルに生成してもらうための交渉を前記情報処理装置と行う仲介装置と、を含む調査システム。
【請求項10】
少なくとも1つのプロセッサが、
所定のユーザの業務に関連するデータを業務関連データとして特定する特定処理と、
クエリに対する回答を出力するように機械学習された言語モデルを、前記業務関連データを用いて前記所定のユーザ向けに調整する調整処理と、を実行する調整方法。
【請求項11】
コンピュータを、
所定のユーザの業務に関連するデータを業務関連データとして特定する特定手段、および
クエリに対する回答を出力するように機械学習された言語モデルを、前記業務関連データを用いて前記所定のユーザ向けに調整する調整手段、として機能させる調整プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、情報処理装置、調査システム、調整方法、および調整プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
言語モデルに関する技術が知られている。言語モデルに関する技術の一例としては、例えば、特許文献1に記載されている、カスタム言語モデルを生成するシステムが挙げられる。当該システムでは、文書をクラスタリングして各クラスタに対するクラスタ・ベクトルを生成すると共に、対象プロファイルに関連付けられた対象ベクトルを生成する。そして、クラスタ・ベクトルの各々と対象ベクトルとを比較し、その比較に基づいて選択したクラスタの文書を使用して言語モデルを生成する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近時、様々なユーザによる様々な業務において、言語モデルの適用が検討されている。しかし、特許文献1のシステムでは、所定のユーザの業務上の使用に適合した言語モデルを生成することが難しい場合がある。これは、様々なユーザおよびその業務に対応するクラスタを予め用意しておくことは難しいためである。それゆえ、特許文献1のシステムにより生成された言語モデルでは、所定のユーザの業務上の使用に適合した回答を生成することが難しい場合がある。
【0005】
本開示は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、その一例示的目的は、言語モデルを用いて所定のユーザの業務上の使用に適合した回答を生成することを可能にする技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一例示的側面に係る情報処理装置は、所定のユーザの業務に関連するデータを業務関連データとして特定する特定手段と、クエリに対する回答を出力するように機械学習された言語モデルを、前記業務関連データを用いて前記所定のユーザ向けに調整する調整手段と、を備える。
【0007】
本開示の一例示的側面に係る情報処理装置は、所定のユーザからのクエリの入力を受け付ける受付手段と、クエリに対する回答を出力するように機械学習された言語モデルであって、前記所定のユーザの業務に関連する業務関連データを用いて前記所定のユーザ向けに調整された言語モデルにより前記受付手段が受け付けたクエリに対する回答を生成するか、または、前記業務関連データと言語モデルとを用いて前記受付手段が受け付けたクエリに対する回答を生成する応答手段と、を備える。
【0008】
本開示の一例示的側面に係る調整方法では、少なくとも1つのプロセッサが、所定のユーザの業務に関連するデータを業務関連データとして特定する特定処理と、クエリに対する回答を出力するように機械学習された言語モデルを、前記業務関連データを用いて前記所定のユーザ向けに調整する調整処理と、を実行する。
【0009】
本開示の一例示的側面に係る調整プログラムは、コンピュータを、所定のユーザの業務に関連するデータを業務関連データとして特定する特定手段、およびクエリに対する回答を出力するように機械学習された言語モデルを、前記業務関連データを用いて前記所定のユーザ向けに調整する調整手段、として機能させる。
【発明の効果】
【0010】
本開示の一例示的側面によれば、言語モデルを用いて所定のユーザの業務上の使用に適合した回答を生成することを可能にする技術を提供することができるという一例示的効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本開示に係る情報処理装置の構成を示すブロック図である。
【
図2】本開示に係る調整方法および応答方法の流れを示すフロー図である。
【
図3】本開示に係る他の情報処理装置の構成を示すブロック図である。
【
図4】本開示に係る仲介方法の流れを示すフロー図である。
【
図5】本開示に係るさらに他の情報処理装置の構成を示すブロック図である。
【
図6】
図5に示す情報処理装置の動作例を示す図である。
【
図7】
図5に示す情報処理装置が言語モデルの調整を行う処理の流れを示すフロー図である。
【
図8】
図5に示す情報処理装置がクエリに対する回答を生成し、提示する際に実行する処理の流れを示すフロー図である。
【
図9】本開示に係る調査システムの構成を示す図である。
【
図10】本開示に係るさらに他の情報処理装置の構成を示すブロック図である。
【
図11】本開示に係るさらに他の情報処理装置の構成を示すブロック図である。
【
図12】
図9に示す調査システムにおける処理の流れを示すフロー図である。
【
図13】
図9に示す調査システムにおける情報処理装置間で行われる質疑応答の流れを示す図である。
【
図14】
図10に示す情報処理装置が実行する処理の例を示すフロー図である。
【
図15】
図11に示す情報処理装置が実行する処理の例を示すフロー図である。
【
図16】
図11に示す情報処理装置が追加の質問を受け付ける処理の例を示すフロー図である。
【
図17】
図11に示す情報処理装置が回答の評価と再交渉を行う処理の例を示すフロー図である。
【
図18】本開示に係る情報処理装置として機能するコンピュータの構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態を例示する。ただし、本発明は、以下に示す各例示的実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。例えば、以下に示す各例示的実施形態において採用される技術的手段を適宜組み合わせることにより得られる実施形態についても、本発明の範疇に含まれ得る。また、以下に示す各例示的実施形態において採用される技術的手段の一部を適宜省略することにより得られる実施形態についても、本発明の範疇に含まれ得る。また、以下に示す各例示的実施形態において言及する効果は、その例示的実施形態において期待される効果の一例であり、本発明の外延を規定するものではない。すなわち、以下に示す各例示的実施形態において言及する効果を奏さない実施形態についても、本発明の範疇に含まれ得る。
【0013】
〔第1の例示的実施形態〕
本発明の実施形態の一例である第1の例示的実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。本例示的実施形態は、後述する各例示的実施形態の基本となる形態である。なお、本例示的実施形態において採用する各技術的手段の適用範囲は、本例示的実施形態に限定されない。すなわち、本例示的実施形態において採用する各技術的手段は、特段の技術的支障が生じない範囲で、本開示に含まれる他の例示的実施形態においても採用可能である。また、本例示的実施形態を説明するために参照する図面に示される各技術的手段も、特段の技術的支障が生じない範囲で、本開示に含まれる他の例示的実施形態においても採用可能である。
【0014】
(情報処理装置1の構成)
情報処理装置1の構成について、
図1を参照して説明する。
図1は、情報処理装置1および2の構成を示すブロック図である。情報処理装置1は、
図1に示すように、特定部101と、調整部102と、を備えている。
【0015】
特定部101は、所定のユーザの業務に関連するデータを業務関連データとして特定する。所定のユーザは、言語モデルの調整の対象となるユーザである。どのようなユーザを所定のユーザとするかは特に限定されない。また、「業務」とは、事業・商売などに関して、日常継続して行う仕事を意味する。どのような仕事を「業務」とするかは任意である。
【0016】
業務関連データは、所定のユーザの業務に関連するデータであればよい。例えば、所定のユーザの業務内容を記した日報や月報、所定のユーザが業務上作成した文書、所定のユーザが業務において送信または受信したメールやメッセージ、所定のユーザがその業務について回答したアンケート等を業務関連データとすることもできる。また、このような所定のユーザが業務において記入した文書以外にも、例えば、所定のユーザが所属する会社、あるいは所定のユーザが所属する部署に関する各種データを業務関連データとしてもよい。具体例を挙げれば、会社や部署を説明する文書、会社や部署で作成された文書等を業務関連データとしてもよい。なお、業務関連データは文書(テキスト)に限られず、グラフ、図、表、音声、または画像等のデータであってもよい。テキスト以外の形式の業務関連データについては、例えば周知のテキスト化技術を用いてテキスト化して利用することができる。
【0017】
調整部102は、クエリに対する回答を出力するように機械学習された言語モデルを、業務関連データを用いて所定のユーザ向けに調整する。「言語モデル」は、文におけるその構成要素(単語など)の並びや、文章における文と文の並びを機械学習したモデルであり、上記のとおり、クエリに対する回答を出力するように機械学習されている。
【0018】
なお、「クエリ」とは、言語モデルに対する回答の生成指示あるいは生成命令を意味する。従って、以下の説明における「クエリ」は、「生成指示」あるいは「生成命令」に置き換えることができる。また、入力されるクエリの形式は特に限定されない。入力されるクエリは、例えば、テキスト形式であってもよいし、音声形式等の他の形式であってもよく、テキストと画像の組み合わせ等のように複数の形式のデータを含むものであってもよい。同様に、クエリに対して出力される回答の形式も特に限定されない。
【0019】
業務関連データを用いた言語モデルの調整方法は、所定のユーザ向けの言語モデルを生成できるような方法であればよく、特に限定されない。例えば、調整部102は、特定部101が特定した業務関連データを用いて言語モデルの再学習を行ってもよい。具体的には、調整部102は、業務関連データに含まれるテキストを訓練データとして、その一部分を他の部分から推論できるように再学習を行う。例えば、業務関連データに「営業部の上半期の目標は営業成績10%向上」というテキストが含まれていたとする。この場合、調整部102は、このテキストを用いて、「営業部の上半期の目標は」というクエリに対して、「営業成績10%向上」という回答が出力されるように言語モデルを再学習する。
【0020】
また、例えば、調整部102は、特定部101が特定した業務関連データに含まれるテキストに正解データを対応付けた訓練データを用いて言語モデルの再学習を行ってもよい。例えば、業務関連データに「人事部の業務プロセス」というテキストが含まれていたとする。この場合、調整部102は、このテキストに対して人事部の業務プロセスを説明するテキストを正解データとして対応付けた訓練データを用いて言語モデルを再学習する。なお、正解データを対応付ける処理は、情報処理装置1が行ってもよいし、他の装置に行わせてもよい。また、人手により正解データを対応付けた訓練データを情報処理装置1に入力してもよい。あるいは、調整部102は、同一のクエリに対して、言語モデルから複数の回答を生成し、ユーザが好みの回答を選択した結果を学習データとして用いてもよい。
【0021】
また、調整部102は、言語モデルによる回答生成の際に参照するデータとして所定のユーザの業務関連データを登録することにより、当該言語モデルを所定のユーザ向けに調整してもよい。これにより、クエリに対する回答を言語モデルによって生成する際に、所定のユーザの業務関連データを参照し、そのクエリに関連する業務関連データを用いてそのクエリを書き換えることにより、所定のユーザに適合した回答を生成することができる。なお、クエリに関連する業務関連データは、例えば、クエリから抽出した文字列で業務関連データの検索を行うことにより検出可能である。例えば、「現在の役職における留意事項を説明して下さい」とのクエリが入力されたとする。この場合、業務関連データから所定のユーザの「役職」を検索し、その役職名をクエリに追加して「現在の役職における留意事項を説明して下さい。役職名はXです。」とすることにより、所定のユーザの役職に適合した回答を言語モデルに生成させることができる。なお、調整部102は、書き換え後のクエリにおける「X」の部分に、検出した役職名を入力する。
【0022】
(情報処理装置1の効果)
以上のように、情報処理装置1は、所定のユーザの業務に関連するデータを業務関連データとして特定する特定部101と、クエリに対する回答を出力するように機械学習された言語モデルを、業務関連データを用いて所定のユーザ向けに調整する調整部102とを備える。このため、情報処理装置1によれば、言語モデルを用いて所定のユーザの業務に適合した回答を生成することが可能になるという効果が得られる。
【0023】
また、このようにして調整された言語モデルは上記所定のユーザの意思決定の支援に利用することもできる。例えば、ユーザは、自身に与えられた質問に対する回答を上記言語モデルに生成させることができる。このようにして生成された回答は、ユーザの過去の業務関連データに応じた内容となる。そして、ユーザは、言語モデルにより生成された、自身の過去の業務関連データに応じた回答を参考にして、その質問に対してどのように回答するかを決定することができる。
【0024】
なお、特定部101は、複数のユーザのそれぞれについて、各ユーザの業務に関連するデータを業務関連データとして特定することもできる。そして、調整部102は、特定された各業務関連データを用いて、言語モデルを各ユーザ向けに調整することもできる。この場合、ユーザのそれぞれに適合した複数の言語モデルが生成される。また、調整部102は、複数のユーザのそれぞれについて、言語モデルによる回答生成の際に参照するデータとして、各ユーザに対応する業務関連データをそれぞれ登録することもできる。
【0025】
(情報処理装置2の構成)
引き続き
図1を参照し、情報処理装置2の構成について説明する。情報処理装置2は、
図1に示すように、受付部201と、応答部202と、を備えている。
【0026】
受付部201は、クエリの入力を受け付ける。このクエリは、言語モデルを用いて当該クエリに対する回答を生成することを指示するものである。例えば、受付部201は、所定のユーザの業務に関する質問をクエリとして受け付けてもよい。
【0027】
応答部202は、クエリに対する回答を出力するように機械学習された言語モデルであって、所定のユーザの業務に関連する業務関連データを用いて所定のユーザ向けに調整された言語モデルにより受付部201が受け付けたクエリに対する回答を生成する。この言語モデルは、例えば、情報処理装置1の調整部102により調整されたものであってもよい。
【0028】
また、応答部202は、上記のように機械学習により調整された言語モデルを用いる代わりに、業務関連データと言語モデルとを用いて受付部201が受け付けたクエリに対する回答を生成してもよい。例えば、応答部202は、クエリに関連する業務関連データを検索し、検出した業務関連データをクエリに追加するか、または検出した業務関連データに基づいてクエリを書き換えてもよい。そして、応答部202は、追加または書き換え後のクエリを言語モデルに入力することにより回答を生成してもよい。なお、回答を生成するための業務関連データの参照先は、例えば、情報処理装置1の調整部102により登録されたものであってもよい。
【0029】
(情報処理装置2の効果)
以上のように、情報処理装置2は、クエリの入力を受け付ける受付部201と、クエリに対する回答を出力するように機械学習された言語モデルであって、所定のユーザの業務に関連する業務関連データを用いて所定のユーザ向けに調整された言語モデルにより受付部201が受け付けたクエリに対する回答を生成するか、または、業務関連データと言語モデルとを用いて受付部201が受け付けたクエリに対する回答を生成する応答部202を備える。このため、情報処理装置2によれば、言語モデルを用いて所定のユーザの業務に適合した回答を生成することが可能になるという効果が得られる。
【0030】
なお、複数のユーザのそれぞれに適合した複数の言語モデルを用意しておいてもよい。この場合、応答部202は、複数の言語モデルのうち、回答を生成する対象となるユーザに対応する言語モデルを用いて回答を生成する。また、複数のユーザのそれぞれについて、当該ユーザに対応する業務関連データの参照先を登録しておいてもよい。この場合、応答部202は、登録された参照先のうち、回答を生成する対象となるユーザに対応する参照先の業務関連データと言語モデルとを用いて回答を生成する。
【0031】
情報処理装置1および2は、医療やヘルスケアの分野に適用することも可能である。例えば、業務関連データとして、ある医療機関における診療データを用いてもよい。これにより、診療に関する質問に対し、その医療機関に所属する医療従事者と同様の回答を生成することが可能な言語モデルを調整することもできる。このようにして生成された回答は、例えばセカンドオピニオンとして利用することも可能である。
【0032】
(調整プログラム)
上述の情報処理装置1の機能は、プログラムによって実現することもできる。本例示的実施形態に係る調整プログラムは、コンピュータを、所定のユーザの業務に関連するデータを業務関連データとして特定する特定手段、およびクエリに対する回答を出力するように機械学習された言語モデルを、業務関連データを用いて所定のユーザ向けに調整する調整手段、として機能させる。このため、本例示的実施形態に係る調整プログラムによれば、言語モデルを用いて所定のユーザの業務に適合した回答を生成することが可能になるという効果が得られる。
【0033】
(応答プログラム)
また、上述の情報処理装置2の機能も、プログラムによって実現することもできる。本例示的実施形態に係る応答プログラムは、コンピュータを、クエリの入力を受け付ける受付手段、および、クエリに対する回答を出力するように機械学習された言語モデルであって、所定のユーザの業務に関連する業務関連データを用いて所定のユーザ向けに調整された言語モデルにより受付手段が受け付けたクエリに対する回答を生成するか、または、業務関連データと言語モデルとを用いて受付手段が受け付けたクエリに対する回答を生成する応答手段、として機能させる。このため、本例示的実施形態に係る応答プログラムによれば、言語モデルを用いて所定のユーザの業務に適合した回答を生成することが可能になるという効果が得られる。
【0034】
(調整方法の流れ)
調整方法の流れについて、
図2を参照して説明する。
図2は、調整方法および応答方法の流れを示すフロー図である。なお、
図2に示す調整方法における各ステップの実行主体は、情報処理装置1が備えるプロセッサであってもよいし、他の装置が備えるプロセッサであってもよく、各ステップの実行主体がそれぞれ異なる装置に設けられたプロセッサであってもよい。同様に、
図2に示す応答方法における各ステップの実行主体は、情報処理装置2が備えるプロセッサであってもよいし、他の装置が備えるプロセッサであってもよく、各ステップの実行主体がそれぞれ異なる装置に設けられたプロセッサであってもよい。
【0035】
本調整方法は、
図2のフローF1に示すように、少なくとも1つのプロセッサが、所定のユーザの業務に関連するデータを業務関連データとして特定する特定処理S11と、少なくとも1つのプロセッサが、クエリに対する回答を出力するように機械学習された言語モデルを、業務関連データを用いて所定のユーザ向けに調整する調整処理S12と、を含んでいる。
【0036】
(調整方法の効果)
以上のように、本調整方法は、少なくとも1つのプロセッサが、所定のユーザの業務に関連するデータを業務関連データとして特定する特定処理と、クエリに対する回答を出力するように機械学習された言語モデルを、業務関連データを用いて所定のユーザ向けに調整する調整処理と、を含む。このため、本調整方法によれば、言語モデルを用いて所定のユーザの業務に適合した回答を生成することが可能になるという効果が得られる。
【0037】
(応答方法の流れ)
引き続き
図2を参照して本応答方法の流れについて説明する。本応答方法は、
図2のフローF2に示すように、少なくとも1つのプロセッサが、クエリの入力を受け付ける受付処理S21と、少なくとも1つのプロセッサが、クエリに対する回答を出力するように機械学習された言語モデルであって、所定のユーザの業務に関連する業務関連データを用いて所定のユーザ向けに調整された言語モデルにより受付処理S21で受け付けたクエリに対する回答を生成するか、または、業務関連データと言語モデルとを用いて、受付処理S21で受け付けたクエリに対する回答を生成する応答処理S22と、を含んでいる。
【0038】
(応答方法の効果)
以上のように、本応答方法は、少なくとも1つのプロセッサが、クエリの入力を受け付ける受付処理と、クエリに対する回答を出力するように機械学習された言語モデルであって、所定のユーザの業務に関連する業務関連データを用いて所定のユーザ向けに調整された言語モデルにより受付処理S21で受け付けたクエリに対する回答を生成するか、または、業務関連データと言語モデルとを用いて、受付処理で受け付けたクエリに対する回答を生成する応答処理と、を含む。このため、本応答方法によれば、言語モデルを用いて所定のユーザの業務に適合した回答を生成することが可能になるという効果が得られる。
【0039】
(情報処理装置3の構成)
情報処理装置3の構成について、
図3を参照して説明する。
図3は、情報処理装置3の構成を示すブロック図である。情報処理装置3は、
図3に示すように、受付部301と、交渉部302と、を備えている。
【0040】
受付部301は、所定の質問に対する回答を収集する調査の依頼を受け付ける。調査および質問の内容は特に限定されない。例えば、受付部301は、マーケティング調査の依頼を受け付けてもよい。また、例えば、受付部301は、所定の会社に所属する人や、医療従事者等の所定の職種の人を対象としたアンケート調査の依頼を受け付けてもよい。受付部301は、1つの依頼元から1または複数の依頼を受け付けてもよいし、複数の依頼元のそれぞれから1または複数の調査依頼を受け付けてもよい。調査の依頼には、少なくとも1つの、回答の対象となる質問が含まれていればよい。また、以下では、マーケティング調査を例に説明するが、受付部301が受け付ける依頼内容は調査に限定されず、言語モデルが出力可能な情報に対応するものであれば如何なる依頼でも受けつけることが可能である。
【0041】
交渉部302は、入力された質問に対して、所定のユーザの代理として回答を生成できるように機械学習された代理回答用言語モデルに、質問に対する回答を生成してもらうための交渉を所定の交渉先と行う。なお、所定の交渉先は、人(例えば上記所定のユーザ)であってもよいし、装置(例えば上述の情報処理装置2)であってもよいし、当該代理回答用言語モデルであってもよい。交渉部302が行う「交渉」には、例えば、回答を生成してもらいたい質問およびその質問に対する回答の条件の少なくとも何れかを交渉先に通知することと、その通知に対する回答を交渉先から受信すること、とが少なくとも含まれていてもよい。
【0042】
上記代理回答用言語モデルは、所定のユーザの代理として回答を生成できるように機械学習されたものであればよい。例えば、上述の調整部102により調整された言語モデルを代理回答用言語モデルとしてもよい。また、上述の調整部102により、回答生成の際に参照するデータとして、所定のユーザの業務関連データが登録された言語モデルを代理回答用言語モデルとしてもよい。
【0043】
(情報処理装置3の効果)
以上のように、情報処理装置3は、所定の質問に対する回答を収集する調査の依頼を受け付ける受付部301と、入力された質問に対して、所定のユーザの代理として回答を生成できるように機械学習された代理回答用言語モデルに、質問に対する回答を生成してもらうための交渉を所定の交渉先と行う交渉部302を備える。このため、情報処理装置3によれば、所定の質問に対する回答を収集する調査を容易に行うことが可能になるという効果が得られる。また、情報処理装置3によれば、質問の回答者を最適化することも可能になる。例えば、情報処理装置3によれば、複数の回答者すなわち代理回答用言語モデルを対象として交渉を行うことにより、最適な代理回答用言語モデルに回答を生成してもらうことも可能である。
【0044】
(仲介プログラム)
上述の情報処理装置3の機能は、プログラムによって実現することもできる。本例示的実施形態に係る仲介プログラムは、コンピュータを、所定の質問に対する回答を収集する調査の依頼を受け付ける受付手段、および、入力された質問に対して、所定のユーザの代理として回答を生成できるように機械学習された代理回答用言語モデルに、質問に対する回答を生成してもらうための交渉を所定の交渉先と行う交渉手段、として機能させる。このため、本例示的実施形態に係る仲介プログラムによれば、所定の質問に対する回答を収集する調査を容易に行うことが可能になるという効果が得られる。
【0045】
(仲介方法の流れ)
仲介方法の流れについて、
図4を参照して説明する。本仲介方法は、
図4のフローF3に示すように、少なくとも1つのプロセッサが、所定の質問に対する回答を収集する調査の依頼を受け付ける受付処理S31と、少なくとも1つのプロセッサが、入力された質問に対して、所定のユーザの代理として回答を生成できるように機械学習された代理回答用言語モデルに、質問に対する回答を生成してもらうための交渉を所定の交渉先と行う交渉処理S32と、を含んでいる。
【0046】
(仲介方法の効果)
以上のように、本仲介方法は、少なくとも1つのプロセッサが、所定の質問に対する回答を収集する調査の依頼を受け付ける受付処理と、少なくとも1つのプロセッサが、入力された質問に対して、所定のユーザの代理として回答を生成できるように機械学習された代理回答用言語モデルに、質問に対する回答を生成してもらうための交渉を所定の交渉先と行う交渉処理と、を含む。このため、本仲介方法によれば、所定の質問に対する回答を収集する調査を容易に行うことが可能になるという効果が得られる。
【0047】
〔第2の例示的実施形態〕
本発明の実施形態の一例である第2の例示的実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。上述した例示的実施形態にて説明した構成要素と同じ機能を有する構成要素については、同じ符号を付し、その説明を適宜省略する。なお、本例示的実施形態において採用する各技術的手段の適用範囲は、本例示的実施形態に限定されない。すなわち、本例示的実施形態において採用する各技術的手段は、特段の技術的支障が生じない範囲で、本開示に含まれる他の例示的実施形態においても採用可能である。また、本例示的実施形態を説明するために参照する各図面に示される各技術的手段は、特段の技術的支障が生じない範囲で、本開示に含まれる他の例示的実施形態においても採用可能である。以上の事項は後述する第3の例示的実施形態においても同様である。
【0048】
(情報処理装置1Aの構成)
情報処理装置1Aの構成について、
図5を参照して説明する。
図5は、情報処理装置1Aの構成を示すブロック図である。図示のように、情報処理装置1Aは、情報処理装置1Aの各部を統括して制御する制御部10Aと、情報処理装置1Aが使用する各種データを記憶する記憶部11Aを備えている。また、情報処理装置1Aは、情報処理装置1Aが他の装置と通信するための通信部12A、情報処理装置1Aに対する各種データの入力を受け付ける入力部13A、および情報処理装置1Aが各種データを出力するための出力部14Aを備えている。また、図示のように、制御部10Aには、特定部101A、調整部102、受付部201、応答部202A、および提示部203Aが含まれている。
【0049】
特定部101Aは、情報処理装置1の特定部101と同様に、所定のユーザの業務に関連するデータを業務関連データとして特定する。詳細は
図6に基づいて説明するが、特定部101Aは、所定のユーザが所属する組織の階層構造を示す階層情報を用いて業務関連データの特定を行う点で特定部101と相違している。
【0050】
応答部202Aは、情報処理装置2の応答部202と同様に、所定のユーザが入力したクエリに対する回答を、言語モデルを用いて生成する。応答部202Aは、階層情報を用いて特定された業務関連データを用いて生成または更新された言語モデル4Aを用いる点で、応答部202と相違している。
【0051】
言語モデル4Aは、クエリに対する回答を出力するように機械学習された言語モデルである。言語モデル4Aは、調整部102による業務関連データを用いた調整により、所定のユーザに適合したものとなっている。なお、このような調整が行われていない、クエリに対する回答を出力するように機械学習された言語モデルを言語モデル4Aとして適用してもよい。この場合、調整部102により、言語モデル4Aを用いた回答生成の際に参照するデータとして、所定のユーザの業務関連データを言語モデル4Aと対応付けて登録しておく。そして、応答部202Aは、当該業務関連データと言語モデル4Aとを用いてクエリに対する回答を生成する。なお、
図5では情報処理装置1Aの外部に言語モデル4Aを記載しているが、言語モデル4Aは情報処理装置1Aの内部(例えば記憶部11A)に記憶させておいてもよい。
【0052】
提示部203Aは、応答部202Aが生成する回答を所定のユーザに提示する。回答の提示態様は特に限定されない。例えば、提示部203Aは、回答を表示装置に表示出力させることにより提示してもよいし、音声出力装置に音声出力させることにより提示してもよく、印字装置に印字出力させることにより提示してもよい。また、回答を提示させる装置(例えば、上述の表示装置、音声出力装置、または印字装置)は、情報処理装置1Aが備えているものであってもよいし、情報処理装置1Aの外部の装置であってもよい。
【0053】
情報処理装置1Aは、言語モデル4Aを用いた回答の生成と、言語モデル4Aについての調整(言語モデル4Aの更新または参照先とする業務関連データの追加)の両方を行うことができる。このため、情報処理装置1Aは、ユーザが入力するクエリを用いて、言語モデルについての調整を行うことができる。なお、例示的実施形態1と同様に、言語モデルに関する調整を行う装置(情報処理装置1に相当する装置)と、言語モデルを用いた回答の生成を行う装置(情報処理装置2に相当する装置)とをそれぞれ独立した別個の装置としてもよい。
【0054】
(動作例)
情報処理装置1Aの動作例を
図6に基づいて説明する。
図6は、情報処理装置1Aの動作例を示す図である。
図6には、情報処理装置1Aがスマートフォンである例を示している。情報処理装置1Aは、
図5に示した各機能ブロックの機能を実現可能な装置であればよく、スマートフォンに限られない。
【0055】
情報処理装置1Aは、クエリの入力を受け付け、そのクエリに対する回答を生成し、生成した回答を提示する。例えば、
図6に示すように、情報処理装置1Aを使用する所定のユーザが、「わが社のX事業部の特徴を教えて」とのクエリを入力したとする。この場合、情報処理装置1Aの受付部201がそのクエリの入力を受け付け、応答部202Aが言語モデル4Aを用いてこのクエリに対する回答を生成し、提示部203Aがその回答を情報処理装置1Aが備える表示部に表示させる。
【0056】
図6に示す言語モデル4Aは、クエリに対する回答を出力するように機械学習された言語モデルであって、所定のユーザの業務に関連する業務関連データを用いて、所定のユーザ向けに調整された言語モデルである。この言語モデル4Aは、階層情報を用いて特定部101Aにより特定された業務関連データを用いて生成または更新されたモデルである点で、例示的実施形態1において説明した言語モデルと相違している。
【0057】
上述のように、特定部101Aは、業務関連データの特定において、所定のユーザが所属する組織の階層構造を示す階層情報を用いる点で情報処理装置1と相違する。より詳細には、特定部101Aは、階層情報を用いて、所定のユーザが属する階層と所定の関係性を有する階層を特定し、特定した階層に関連する業務関連データを特定する。
【0058】
図6には、所定のユーザが所属する会社のX事業部に属する各部署の階層構造を模式的に示している。図示のように、X事業部には部署X1~X4が含まれている。そして、部署X1が最上位の階層に属し、部署X2およびX3はX1の直下の階層に属している。また、部署X2の下層には部署X4が属している。階層情報は、各部署のこのような階層構造、すなわち、各部署が属する階層と階層間の関係とを示す情報であってもよい。
【0059】
図6には、部署X1~X4のそれぞれに関連する業務関連データd1、d2、d31およびd32、d4を、言語モデル4Aの学習に利用可能な業務関連データの例として示している。これらのデータは、何れも広い意味では所定のユーザの業務に関連しているといえるが、所定のユーザの業務との関連性が低いデータを含んでいる可能性がある。そこで、特定部101Aは、階層情報を用いることにより、これらの業務関連データのうち、所定のユーザの業務への関連性が高いものを特定する。これにより、言語モデル4Aの所定のユーザの業務への適合性を向上させることができる。
【0060】
例えば、所定のユーザが部署X2に所属しているとする。この場合、特定部101Aは、部署X2に関連する業務関連データd2に加え、部署X2の直下の階層に属する部署X4に関連する業務関連データd4を、言語モデル4Aの生成または更新に用いる業務関連データとして特定してもよい。また、特定部101Aは、業務関連データd4に加えて、あるいは、業務関連データd4の代わりに、部署X2の直上の階層に属する部署X1に関連する業務関連データd1を、言語モデル4Aの生成または更新に用いる業務関連データとして特定してもよい。また、特定部101Aは、業務関連データd4に加えて、あるいは、業務関連データd4の代わりに、部署X2と同じ階層の部署X3に関連する業務関連データd31およびd32を、言語モデル4Aの生成または更新に用いる業務関連データとして特定してもよい。
【0061】
ここで、1つの部署に関連する業務関連データの中にも、共有に適するデータと共有に適さないデータとが含まれ得る。このため、各業務関連データには秘匿レベルを設定しておき、特定部101Aは、設定された秘匿レベルに応じた業務関連データを、言語モデル4Aの生成または更新に用いる業務関連データとして特定してもよい。
【0062】
例えば、
図6に示す業務関連データd31の秘匿レベルが「1」に設定され、業務関連データd32の秘匿レベルが「0」に設定されていたとする。なお、ここで「1」は秘匿すべきことを示し、「0」は秘匿の必要がないことを示す。この場合、特定部101Aは、業務関連データd32については言語モデル4Aの生成または更新に用いる業務関連データとして特定するが、業務関連データd31については言語モデル4Aの生成または更新に用いる業務関連データとして特定しない。これにより、秘匿すべき業務関連データが言語モデル4Aの学習に用いられて、言語モデル4Aの出力を介して秘匿すべき業務関連データが漏えいすることを防ぐことができる。
【0063】
なお、秘匿レベルは、秘匿すべきか否かを示すものであってもよいし、秘匿すべき度合いを示すものであってもよい。後者の場合、ユーザごとにどの程度の秘匿レベルの業務関連データまで利用できるかを定めておいてもよい。この場合、情報処理装置1Aは、ユーザに応じた秘匿レベルの業務関連データを用いて言語モデル4Aの生成または更新を行うことができる。
【0064】
情報処理装置1Aの調整部102は、以上のようにして特定部101Aにより特定された業務関連データを用いて言語モデル4Aを生成または更新する。これにより、所定のユーザが所属する組織の階層構造に適合した言語モデル4Aを得ることができる。
【0065】
なお、調整部102は、言語モデル4Aを生成または更新する代わりに、応答部202Aが言語モデルを用いて回答を生成する際に参照するデータとして、特定部101Aが特定した業務関連データを登録する調整を行ってもよい。この場合、言語モデル4Aとして、例示的実施形態1と同様の言語モデルを適用すればよい。
【0066】
以上のように、特定部101Aは、所定のユーザが所属する組織の階層構造を示す階層情報を用いて当該所定のユーザの所属する階層と所定の関係性を有する階層を特定し、特定した階層に関連する業務関連データを特定する。このため、情報処理装置1Aによれば、情報処理装置1の奏する効果に加えて、ユーザが所属する組織の階層構造を考慮して、言語モデル4Aの調整に有用な業務関連データを特定することができるという効果が得られる。
【0067】
また、以上のように、特定部101Aは、所定のユーザの業務に関連する各データに設定された秘匿レベルに応じて業務関連データを特定してもよい。これにより、情報処理装置1の奏する効果に加えて、秘匿レベルに応じた段階的な業務関連データの利用が実現できるという効果が得られる。
【0068】
(言語モデル4Aの調整時の処理の流れ)
情報処理装置1Aが言語モデル4Aの調整を行う際の処理の流れを
図7に基づいて説明する。
図7は、情報処理装置1Aが言語モデル4Aの調整を行う処理の流れを示すフロー図である。
【0069】
図7に示すフローF1aにおけるS11aでは、特定部101Aが所定のユーザを対象ユーザとして特定する。所定のユーザを特定する方法は特に限定されない。例えば、所定のユーザの識別情報を通信部12Aまたは入力部13Aを介して、情報処理装置1Aのオペレータに入力させてもよい。この場合、特定部101Aは、入力された識別情報で識別されるユーザを所定のユーザと特定する。
【0070】
S12aでは、特定部101Aは、S11aで特定されたユーザの所属部署を特定する。所属部署を特定する方法も特に限定されない。例えば、ユーザの所属部署を示す情報を通信部12Aまたは入力部13Aを介して、情報処理装置1Aのユーザに入力させてもよい。この場合、特定部101Aは、入力された情報に示される部署を所定のユーザの所属部署と特定する。
【0071】
S13aでは、特定部101Aは、S12aで特定した部署が属する階層と所定の関係性を有する階層を特定する。そして、特定部101Aは、特定した階層に属する部署すなわち関連部署を特定する。例えば、特定部101Aは、所属部署と同じ階層の部署、所属部署の上位の階層の部署、および所属部署の下位の階層の部署の何れかを関連部署として特定してもよい。なお、階層単位で業務関連データが管理されている場合、特定部101Aは、関連部署を特定する必要はなく、関連する階層のみを特定すればよい。
【0072】
S14aでは、特定部101Aは、所定のユーザの業務に関連するデータを業務関連データとして特定する。より詳細には、特定部101Aは、所定のユーザの業務に関連するデータのうち、S13aで特定した関連部署に関連するデータを、業務関連データとして特定する。なお、関連部署に関連するデータは、ユーザの所属する階層に関連した階層に関連するデータであるともいえる。
【0073】
S15aでは、調整部102が、クエリに対する回答を出力するように機械学習された言語モデルを、S14aで特定された業務関連データを用いて所定のユーザ向けに調整する。例えば、調整部102は、S14aで特定された業務関連データを用いて言語モデル4Aを生成してもよい。また、例えば、調整部102は、クエリに対する回答を出力するように機械学習された言語モデルを、S14aで特定された業務関連データを用いて更新することにより言語モデル4Aを生成してもよい。生成された言語モデル4Aは所定の記憶装置に記憶され、フローF1aの処理は終了となる。また、調整部102は、言語モデルによる回答生成の際に参照するデータとして、S14aで特定された業務関連データを登録することにより、当該言語モデルを所定のユーザ向けに調整してもよい。
【0074】
(クエリに対する回答時の処理の流れ)
情報処理装置1Aがクエリに対する回答を生成し、提示する際の処理の流れを
図8に基づいて説明する。
図8は、情報処理装置1Aがクエリに対する回答を生成し、提示する際に実行する処理の流れを示すフロー図である。
【0075】
図8に示すフローF2aにおけるS21aでは、受付部201が、クエリの入力を受け付ける。このとき、提示部203Aは、クエリの入力を受け付けるためのUI画面を、例えば所定のユーザの所持する端末装置の表示部等に表示させてもよい。この場合、受付部201は、端末装置を介してクエリの入力を受け付ける。なお、受付部201は、入力部13Aを介してクエリの入力を受け付けてもよい。
【0076】
S22aでは、応答部202Aが、所定のユーザの業務関連データを用いて生成された言語モデル4Aを用いて、S21aで入力されたクエリに対する回答を生成する。なお、応答部202Aは、S21aでクエリを入力した所定のユーザの業務関連データと、クエリに対する回答を出力するように機械学習された言語モデルとを用いて回答を生成してもよい。
【0077】
S23aでは、提示部203Aが、S22aで生成された回答を提示する。例えば、端末装置を介してクエリの入力を受け付けた場合、提示部203Aは、その端末装置に回答を出力させてもよい。また、提示部203Aは、出力部14Aを介して回答を提示してもよい。以上により、フローF2aの処理は終了する。
【0078】
なお、複数のユーザのそれぞれに適合した言語モデル4Aを予め用意しておいてもよい。この場合、S21aでは、受付部201がユーザの識別情報を入力させる等して対象となるユーザを識別する。そして、S22aでは、応答部202Aが、識別されたユーザに適合した言語モデル4Aを用いて回答を生成する。また、複数のユーザのそれぞれに適合した言語モデル4Aを用意しておく代わりに、複数のユーザのそれぞれの業務関連データを参照するための参照先を登録しておいてもよい。この場合、S22aでは、応答部202Aが、識別されたユーザに対応する参照先を参照することにより特定した業務関連データを用いて回答を生成する。
【0079】
〔第3の例示的実施形態〕
(調査システム7Bの構成)
調査システム7Bの構成について、
図9を参照して説明する。
図9は、調査システム7Bの構成を示す図である。調査システム7Bは、調査の実施依頼を受け付けて、調査結果を出力するシステムである。図示のように、調査システム7Bには、情報処理装置1Bと、情報処理装置3Bが含まれている。なお、調査システム7Bに含まれる情報処理装置1Bおよび情報処理装置3Bの数は何れも任意であり、図示の例に限られない。
【0080】
調査システム7Bでは、情報処理装置3Bが、所定の質問に対する回答を収集する調査の依頼を受け付ける。そして、情報処理装置3Bは、その質問に対する回答を代理回答用言語モデル4Bに生成してもらうための条件について、情報処理装置1Bと交渉する。この交渉には、交渉用言語モデル5Bが用いられる。このように、情報処理装置3Bは、情報処理装置1Bと調査の依頼元との間で仲介を行う仲介装置として機能する。
【0081】
代理回答用言語モデル4Bは、入力された質問に対して、所定のユーザの代理として回答を生成できるように機械学習された言語モデルである。情報処理装置1Bは、代理回答用言語モデル4Bを用いることにより、自機のユーザの代理あるいは私設秘書としての役割を果たす。例えば、情報処理装置1Bは、自機のユーザに対する質問の入力を受け付け、その質問に対する回答を代理回答用言語モデル4Bに生成させるか否かを判定する。各情報処理装置1Bには、そのユーザの代理として回答を生成する代理回答用言語モデル4Bがそれぞれ対応付けられている。
【0082】
代理回答用言語モデル4Bは、所定のユーザの代理として回答を生成できるように機械学習されたものであればよい。例えば、上述の調整部102により調整された言語モデルを代理回答用言語モデル4Bとしてもよい。また、上述の調整部102により、回答生成の際に参照するデータとして、所定のユーザの業務関連データが登録された言語モデルを代理回答用言語モデル4Bとしてもよい。
【0083】
情報処理装置1Bに対しては、そのユーザと情報処理装置3B以外はアクセス不可とすることが好ましい。これにより、代理回答用言語モデル4Bを介してユーザに関する情報が漏えいすることを防ぐことができる。
【0084】
以上のように、調査システム7Bは、クエリの入力を受け付け、クエリに対する回答を出力するように機械学習された言語モデルであって、所定のユーザの業務に関連する業務関連データを用いて所定のユーザ向けに調整された言語モデルである代理回答用言語モデル4Bにより上記クエリに対する回答を生成する情報処理装置1Bと、所定の質問に対する回答を収集する調査の依頼を受け付け、当該質問に対する回答を代理回答用言語モデル4Bに生成してもらうための交渉を情報処理装置1Bと行う仲介装置である情報処理装置3Bとを含む。この調査システム7Bによれば、所定の質問に対する回答を収集する調査を容易に行うことが可能になるという効果が得られる。
【0085】
なお、情報処理装置1Bは、業務関連データと代理回答用言語モデル4Bとを用いてクエリに対する回答を生成するものであってもよい。この場合、代理回答用言語モデル4Bは、クエリに対する回答を出力するように機械学習された言語モデルであればよく、所定のユーザの業務に関連する業務関連データを用いて調整されたものである必要はない。回答生成時に用いる業務関連データの参照先を、代理回答用言語モデル4Bと対応付けて登録しておけばよい。
【0086】
(情報処理装置1Bの構成)
情報処理装置1Bの構成について、
図10を参照して説明する。
図10は、情報処理装置1Bの構成を示すブロック図である。図示のように、情報処理装置1Bは、情報処理装置1Bの各部を統括して制御する制御部10Bを備えている。制御部10Bには、受付部201B、応答部202B、提示部203B、認証部204B、充足判定部205B、回答可否判定部206B、代替条件生成部207B、交渉部208B、信頼度判定部209B、修正部210B、および校閲部211Bが含まれている。
【0087】
なお、情報処理装置1Bは、特定部101または101Aと調整部102を備えていてもよい。また、回答可否判定部206Bおよび校閲部211Bの詳細は
図12に基づいて後述し、代替条件生成部207B、信頼度判定部209B、および修正部210Bの詳細は
図14に基づいて後述する。以下ではこれら以外の各構成について説明する。
【0088】
受付部201Bは、情報処理装置2の受付部201と同様に、クエリの入力を受け付ける。例えば、受付部201Bは、所定のユーザに対する質問の入力を受け付ける。ここで、所定のユーザとは、情報処理装置1Bが使用する代理回答用言語モデル4Bに対応するユーザである。
【0089】
また、受付部201Bは、質問と共に、当該質問に対する回答についての条件についても受け付けてもよい。条件は依頼元により適宜設定される。例えば、この条件には、回答を提供することに対する報酬、回答方法(例えば択一式か記述式か等)、追加質問の可否、回答者の属性(例えば専門分野、職務経歴、保有資格等)、および回答に含める情報の範囲、の少なくとも何れかが含まれていてもよい。回答に含める情報の範囲は、例えば各情報に設定された秘匿レベルに基づいて定めてもよい。
【0090】
応答部202Bは、情報処理装置2の応答部202と同様に、クエリに対する回答を出力するように機械学習された言語モデルであって、所定のユーザの業務に関連する業務関連データを用いて所定のユーザ向けに調整された言語モデル(具体的には代理回答用言語モデル4B)により、受付部201Bが受け付けたクエリに対する回答を生成する。また、応答部202Bは、所定のユーザに適合するように機械学習された代理回答用言語モデル4Bを用いる代わりに、所定のユーザの業務関連データと、当該ユーザ向けに調整されていない代理回答用言語モデル4Bとを用いて回答を生成してもよい。
【0091】
提示部203Bは、応答部202Bが生成した回答をユーザに提示する。回答の提示態様は特に限定されない。例えば、提示部203Bは、回答内容を示す画像を表示装置に表示出力させることにより提示してもよいし、回答内容を示す音声を音声出力装置に音声出力させることにより提示してもよく、印字装置に回答内容を印字出力させることにより提示してもよい。また、回答を提示させる装置(例えば、上述の表示装置、音声出力装置、または印字装置)は、情報処理装置1Bが備えているものであってもよいし、情報処理装置1Bの外部の装置であってもよい。
【0092】
認証部204Bは、受付部201Bが質問の入力を受け付けたときに、その質問の送信元が正当であるか否かを判定する。具体的には、認証部204Bは、受付部201Bが入力を受け付けた質問の送信元が情報処理装置3Bであれば正当な送信元であると判定し、情報処理装置3Bでなければ正当な送信元ではないと判定する。質問の送信元が情報処理装置3Bであるか否かの判定方法は特に限定されない。例えば、情報処理装置3Bにその識別情報を送信させてもよく、この場合、認証部204Bは、受信した識別情報を用いて質問の送信元が情報処理装置3Bであるか否かを判定してもよい。この他にも、例えば、認証部204Bは、ブロックチェーン等の技術を適用して、質問の送信元が情報処理装置3Bであるか否かを判定してもよい。
【0093】
充足判定部205Bは、情報処理装置1Bのユーザが、受付部201Bが受け付けた条件を充足しているか否かを判定する。例えば、受付部201Bが受け付けた条件に、回答者の属性が指定されていた場合、充足判定部205Bは、情報処理装置1Bのユーザの属性を示す属性情報を参照して、条件を充足しているか否かを判定する。例えば、回答者の属性として特定の部署での実務経験が所定年数以上であることが指定されていたとする。この場合、充足判定部205Bは、情報処理装置1Bのユーザの職務経歴を示す属性情報を参照し、条件を充足しているか否かを判定する。同様に、質問に対する回答可能範囲(例えば回答に含めることが可能な情報の秘匿レベル等)についても属性情報として予め登録しておいてもよい。
【0094】
また、充足判定部205Bは、情報処理装置1Bのユーザの業務履歴データ等から当該ユーザの属性を判定し、その判定結果に基づいて条件を充足しているか否かを判定してもよい。例えば、条件として回答者が所定の専門分野に属していることが規定されていたとする。この場合、充足判定部205Bは、情報処理装置1Bのユーザの業務履歴データから、当該ユーザの専門分野と条件に示される専門分野との一致度を判定してもよい。このように、充足判定部205Bは、条件を満たしているか否かではなく、条件をどの程度満たしているかを判定してもよい。
【0095】
また、質問に回答することに対する報酬が条件として規定されていた場合、充足判定部205Bは、情報処理装置1Bのユーザが希望する報酬が規定されていれば条件を充足していると判定し、規定されていなければ充足していないと判定してもよい。なお、ユーザの希望については予め記憶部11A等に記憶させておけばよい。また、充足判定部205Bは、報酬についての条件を充足している程度を判定してもよい。また、充足判定部205Bは、複数の条件のそれぞれについて、充足しているか否か、あるいは充足の程度を判定してもよい。そして、充足判定部205Bは、各条件についての判定結果に基づき、総合的な条件の充足度を判定してもよい。
【0096】
交渉部208Bは、受付部201Bが受け付けた質問に対する回答を代理回答用言語モデル4Bに生成させるか否かについて、情報処理装置3Bとの交渉を行う。例えば、交渉部208Bは、質問と条件について情報処理装置3Bに問い合わせる処理や、代替条件を情報処理装置3Bに通知して、当該代替条件を了承するか否かを問い合わせる処理等を行う。
【0097】
(情報処理装置3Bの構成)
情報処理装置3Bの構成について、
図11を参照して説明する。
図11は、情報処理装置3Bの構成を示すブロック図である。図示のように、情報処理装置3Bは、情報処理装置3Bの各部を統括して制御する制御部30Bと、情報処理装置3Bが使用する各種データを記憶する記憶部31Bを備えている。また、情報処理装置3Bは、情報処理装置3Bが他の装置と通信するための通信部32B、情報処理装置3Bに対する各種データの入力を受け付ける入力部33B、および情報処理装置3Bが各種データを出力するための出力部34Bを備えている。また、図示のように、制御部30Bには、受付部301B、交渉部302B、質問分類部303B、依頼先決定部304B、代替条件生成部305B、回答評価部306B、質問追加部307B、および報告部308Bが含まれている。なお、回答評価部306Bについては
図17に基づいて後述し、質問追加部307Bについては
図16に基づいて後述する。
【0098】
受付部301Bは、情報処理装置3の受付部301と同様に、所定の質問に対する回答を収集する調査の依頼を受け付ける。また、受付部301Bは、当該質問と共に、当該質問に対する回答についての条件についても受け付けてもよい。
【0099】
交渉部302Bは、情報処理装置3の交渉部302と同様に、入力された質問に対して、所定のユーザの代理として回答を生成できるように機械学習された代理回答用言語モデル4Bに、質問に対する回答を生成してもらうための交渉を所定の交渉先と行う。所定の交渉先は、人(例えば上記所定のユーザ)であってもよいし、装置であってもよいし、代理回答用言語モデル4Bであってもよい。本例示的実施形態では、所定の交渉先が情報処理装置1Bである例を主に説明する。
【0100】
例えば、交渉部302Bは、受付部301Bが受け付けた調査における質問に対応付けられた、当該質問に対する回答の条件を所定の交渉先に通知し、当該交渉先から受け取った当該通知に対する回答に基づいて、質問に対する回答を当該交渉先に求めるか否かを決定してもよい。これにより、情報処理装置3の奏する効果に加えて、回答の条件を加味した交渉を自動で行うことが可能になるという効果が得られる。
【0101】
上述のように、条件は依頼元により適宜設定される。例えば、この条件には、回答を提供することに対する報酬、回答方法、追加質問の可否、回答者の属性、および回答に含める情報の範囲の少なくとも何れかが含まれていてもよい。これにより、情報処理装置3の奏する効果に加えて、交渉における重要事項である上述のような条件を加味した交渉を自動で行うことが可能になるという効果が得られる。
【0102】
また、例えば、交渉部302Bは、人と人との交渉においてやり取りされた言葉、言い換えれば自然言語で表された交渉履歴を訓練データとして機械学習することにより生成された交渉用言語モデル5Bを用いて交渉を行ってもよい。これにより、情報処理装置3の奏する効果に加えて、人と人との交渉に準じた内容の交渉を、交渉用言語モデル5Bを用いて実現することが可能になるという効果が得られる。なお、交渉用言語モデル5Bの訓練データには、人と人との交渉においてやり取りされた言葉以外の語や文が含まれていてもよい。また、人と人との交渉においてやり取りされた言葉を訓練データとして用いることなく生成された交渉用言語モデル5Bを用いて交渉を行うことも可能である。
【0103】
質問分類部303Bは、受付部301Bが受け付けた複数の依頼に含まれる質問を、その質問の対象者に応じて分類する。これにより、複数の依頼に含まれる質問が、対象者毎に集約される。質問の対象者は、例えば質問に回答する条件として規定されていてもよい。例えば、特定の部署での実務経験が所定年数以上であることが回答者の条件として規定されている質問が複数存在した場合、質問分類部303Bは、それらの質問を同じ分類としてもよい。質問分類部303Bが質問を分類した場合、交渉部302Bは、同じ分類に分類された質問についての交渉を、当該分類に対応する交渉先と行う。
【0104】
依頼先決定部304Bは、質問への回答を依頼する依頼先を決定する。依頼先は、複数の情報処理装置1B(代理回答用言語モデル4Bと言い換えることもできる)の中から選択される。また、質問分類部303Bが質問を分類した場合、依頼先決定部304Bは、質問の分類毎に回答の依頼先を決定する。
【0105】
依頼先決定部304Bは、交渉部302Bによる交渉の結果に基づいて依頼先を決定してもよい。例えば、依頼先決定部304Bは、交渉部302Bが交渉を行った情報処理装置1Bのうち、質問に回答することを了承した情報処理装置1Bの一部または全部を依頼先に決定してもよい。また、依頼先決定部304Bは、交渉部302Bによる交渉に先立って依頼先(この場合、交渉先と言い換えることもできる)を決定してもよい。
【0106】
代替条件生成部305Bは、交渉先から質問への回答について了承が得られなかった場合に、その質問への回答に関する代替条件を生成する。代替条件生成部305Bによる代替条件の生成方法については
図15に基づいて後述する。
【0107】
報告部308Bは、交渉部302Bが上述の交渉の結果として情報処理装置1Bから取得した回答を依頼元に報告する。報告の形式は特に限定されない。例えば、報告部308Bは、情報処理装置1Bから取得した回答をそのまま依頼元に通知してもよい。また、報告部308Bは、情報処理装置1Bから取得した回答を集計して報告書を生成し、生成した報告書を依頼元に送信してもよい。報告書には、上記の集計の結果に基づく統計値、その統計値を用いて生成されたグラフ、回答から抽出したキーワード、および集計結果の要約等が含まれていてもよい。報告部308Bは、例えば、言語モデルを用いてこのような報告書を生成することも可能である。
【0108】
(調査システム7Bにおける処理の流れ)
調査システム7Bにおける処理の流れを
図12に基づいて説明する。
図12は、調査システム7Bにおける処理の流れを示すフロー図である。なお、
図12には、情報処理装置3Bが実行するフローF3aと、情報処理装置1Bが実行するフローF1bを示している。
【0109】
フローF3aにおけるS31aでは、情報処理装置3Bの受付部301が、所定の質問に対する回答を収集する調査の依頼を受け付ける。例えば、受付部301は、
図9の例のように、1つの依頼元から調査の依頼を受け付けてもよいし、複数の依頼元のそれぞれから調査の依頼を受け付けてもよい。また、受付部301は、1つの依頼元から複数の調査の依頼を受け付けてもよい。
【0110】
受付部301Bが受け付ける調査の依頼には、回答の対象となる質問に加えて、回答に関する条件が含まれている。条件は任意に設定することが可能である。例えば、回答を提供することに対する報酬の有無、報酬の内容(金銭による報酬である場合にはその金額等)、回答方法(選択式か記述式か等)、追加質問の可否、回答者の属性(例えば性別、年齢、所属部署、専門分野など)、および回答に含める情報の秘匿レベルの少なくとも何れかを条件に設定してもよい。
【0111】
S32aでは、質問分類部303Bが、S31aで受け付けられた依頼に含まれる質問をその質問の対象者に応じて分類する。なお、S31aで複数の依頼を受け付けた場合、質問分類部303Bは、各依頼に含まれる各質問を分類する。これにより、複数の質問がその対象者毎に集約される。
【0112】
S33aでは、依頼先決定部304Bが、S32aにおける分類毎に、質問への回答を依頼する依頼先を決定する。依頼先は、複数の情報処理装置1B(代理回答用言語モデル4Bと言い換えることもできる)の中から選択される。
【0113】
S33aにおける依頼先の決定方法は予め定めておけばよい。例えば、依頼先決定部304Bは、質問の分類毎に依頼先を決定する場合、その分類に対応する条件(例えば、特定の部署での実務経験が所定年数以上である者を対象とする等)を満たすユーザの情報処理装置1Bを依頼先に決定してもよい。また、例えば、依頼先決定部304Bは、調査依頼に予算枠が定められている場合、その予算枠に応じて依頼先とする情報処理装置1Bを決定してもよい。この場合、情報処理装置1Bのそれぞれに対し、予め標準的な報酬額を定めておいてもよい。また、依頼先決定部304Bは、各情報処理装置1Bに報酬額を問い合わせた上で依頼先とする情報処理装置1Bを決定してもよい。
【0114】
S34aおよびS35aでは、交渉部302Bによる交渉、すなわち交渉処理が行われる。具体的には、S34aでは、交渉部302Bは、S33aで決定された依頼先に、当該依頼先に回答を依頼する質問と、その質問に対応する条件を送信する。そして、S35aでは、交渉部302Bは、S34aで送信した質問に対する回答を上記の依頼先から受信する。ここで受信する回答は、送信した質問に対する代理回答用言語モデル4Bの回答であるか、または、送信した質問に対して代理回答用言語モデル4Bが回答できないことを通知する回答である。
【0115】
なお、交渉を行うにあたり、交渉部302Bは、交渉相手が正当な情報処理装置1Bであるか否かを判定してもよい。これにより、情報処理装置1Bを装って質問に回答することによる報酬の詐取を防ぐことができる。正当性の判定方法は任意である。例えば、交渉部302Bは、識別情報を用いて正当性を判定してもよいし、ブロックチェーン等の技術を適用して正当性を判定してもよい。
【0116】
S36aでは、交渉部302Bは、依頼された調査における各質問に対する回答が揃ったか否かを判定する。S36aで回答が揃った(S36aでYES)と判定された場合にはS37aに進み、回答が揃っていない(S36aでNO)と判定された場合にはS33aに戻る。S36aから遷移したS33aでは、依頼先決定部304Bが新たな依頼先を決定する。
【0117】
S37aでは、報告部308Bが、S33a~S36aの処理で取得された回答を依頼元に報告する。これにより、フローF3aの処理は終了する。
【0118】
一方、フローF1bにおけるS11bでは、情報処理装置1Bの受付部201Bが、情報処理装置3BがS34aで送信した質問と条件を受信する。つまり、フローF1bの実行主体は、調査システム7Bに含まれる複数の情報処理装置1BのうちフローF3aのS33aで依頼先として決定された情報処理装置1Bである。
【0119】
S12bでは、認証部204Bが、S11bで受信した質問と条件の送信元が正当であるか否かを判定する。S12bで正当である(S12bでYES)と判定された場合にはS13bに進み、正当ではない(S12bでNO)と判定された場合にはフローF1bの処理は終了する。
【0120】
S13bでは、充足判定部205Bが、情報処理装置1Bのユーザが、S11bで受信した条件を充足しているか否かを判定する。なお、上述のように、充足判定部205Bは、条件を充足している程度を判定してもよい。
【0121】
S14bでは、回答可否判定部206Bが、S13bの判定結果に基づいて、質問に対する回答を代理回答用言語モデル4Bに生成させるか否かを判定する。このように、回答可否判定部206Bは、所定のユーザに対する質問に対する回答を代理回答用言語モデル4Bに生成させるか否かを判定する。そして、この判定は、充足判定部205Bによる判定結果に基づいて行われてもよい。S14bで回答を生成させる(S14bでYES)と判定された場合にはS15bに進み、回答を生成させない(S14bでNO)と判定された場合にはS17bに進む。S14bから遷移したS17bでは、回答可否判定部206Bが、回答できないことを通知する回答を情報処理装置3Bに送信する。
【0122】
S14bにおいて、回答を生成させるか否かの判定基準は適宜設定しておけばよい。例えば、回答可否判定部206Bは、S13bでユーザが条件を充足していると判定され、かつ、報酬額がユーザの設定した下限値以上であった場合に、回答を生成させると判定してもよい。また、提示部203Bが、受信した質問と条件の両方または一方をユーザに提示し、回答の可否をユーザに選択させるようにしてもよい。この場合、回答可否判定部206Bは、S13bでユーザが条件を充足していると判定され、かつ、ユーザが回答可であると選択した場合に、回答を生成させると判定してもよい。
【0123】
S15bでは、応答部202Bが、代理回答用言語モデル4Bを用いて、S11bで受信した質問に対する回答を生成する。続いて、S16bでは、校閲部211Bが、S15bで生成された回答が送信可能な内容となっているか否かを判定する。このように、校閲部211Bは、生成された回答が送信可能な内容となっているか否か、言い換えれば当該回答が送信すべきでない内容を含んでいないか否かを判定する。例えば、送信すべきではない情報のリストを記憶部11A等に記憶させておいてもよい。この場合、校閲部211Bは、当該リストに含まれる情報が生成された回答に含まれていればその回答を送信不可と判定する。
【0124】
S16bでYESと判定された場合にはS17bに進む。S17bでは、提示部203Bが、S15bで生成された回答を情報処理装置3Bに送信する。これにより、フローF1bの処理は終了する。
【0125】
一方、S16bでNOと判定された場合には、S15bに戻り、応答部202Bが、代理回答用言語モデル4Bを用いて、S11bで受信した質問に対する回答を生成する。一般に言語モデルはその出力が確率的に変化する。よって、代理回答用言語モデル4Bに同じクエリを入力した場合であっても出力される回答は異なるものとなり得る。このため、S16bから遷移したS15bでは、応答部202Bは、同じ質問をクエリとして代理回答用言語モデル4Bに入力してもよい。また、応答部202Bは、校閲部211Bが検出した送信すべきではない情報を含まない回答を生成するように指示するクエリを生成して代理回答用言語モデル4Bに入力してもよい。これにより、S16bで送信可と判定される可能性がより高い回答を代理回答用言語モデル4Bに生成させることが可能になる。
【0126】
以上のように、情報処理装置1Bが使用する言語モデルは、入力された質問に対して、所定のユーザの代理として回答を生成できるように機械学習された代理回答用言語モデル4Bであってもよい。また、受付部201Bは、所定のユーザに対する質問の入力を受け付ける。そして、情報処理装置1Bは、質問に対する回答を代理回答用言語モデル4Bに生成させるか否かを判定する回答可否判定部206Bを備えている。これにより、情報処理装置1の奏する効果に加えて、必要に応じて代理回答用言語モデル4Bに回答を生成させずに済ませることが可能になるという効果が得られる。
【0127】
また、以上のように、回答可否判定部206Bは、質問に対応付けられた条件を所定のユーザが満たしている場合に、質問に対する回答を、当該所定のユーザに対応する代理回答用言語モデル4Bに生成させると判定してもよい。これにより、情報処理装置1の奏する効果に加えて、質問に対応付けられた条件に適合した回答を生成させることが可能になるという効果が得られる。
【0128】
また、以上のように、情報処理装置3Bは、受付部301Bが受け付けた複数の依頼に含まれる質問を、その対象者に応じて分類する質問分類部303Bを備えている。そして、交渉部302Bは、同じ分類に分類された質問についての交渉を、当該分類に対応する交渉先と行う。これにより、情報処理装置3の奏する効果に加えて、対象者毎に質問を集約して効率よく交渉を行うことが可能になるという効果が得られる。
【0129】
(質疑応答の流れ)
調査システム7Bでは、情報処理装置1Bと3Bとの間で行われる交渉において、質問や条件に関する質疑応答を行うこともできる。これについて
図13に基づいて説明する。
図13は、情報処理装置1Bと3Bとの間で行われる質疑応答の流れを示す図である。なお、
図13には、情報処理装置3Bが実行するフローF3bと、情報処理装置1Bが実行するフローF1cを示している。
【0130】
フローF3bにおけるS31bでは、情報処理装置3Bの交渉部302Bが、質問とその質問に対応する条件を情報処理装置1Bに送信する。なお、S31bの処理の前には、
図12のS31a~S33aの処理が行われている。
【0131】
S32bでは、受付部301Bが、情報処理装置1Bからの問合せを受信する。この問い合わせは、S31bで送信された質問および条件の少なくとも何れかに関する問合せであり、後述するS14cの処理により送信される。
【0132】
S33bでは、交渉部302Bが、S32bで受信した問合せに対する回答を生成する。例えば、交渉部302Bは、交渉用言語モデル5Bを用いて、S32bで受信した問合せに対する回答を生成してもよい。具体的には、交渉部302Bは、S32bで受信した問合せの文(例えば「報酬の増額は可能ですか?」等)を交渉用言語モデル5Bに入力することにより、その問合せに対する回答(例えば「報酬の増額はできません」や「追加の質問にもご回答頂ける場合には増額可能です」等)を生成する。また、例えば、交渉部302Bは、受信した問合せを調査の依頼元に通知してもよい。この場合、交渉部302Bは、その通知に対する調査の依頼元からの回答を、S32bで受信した問合せに対する回答としてもよい。
【0133】
S34bでは、交渉部302Bは、S33bで生成した回答を情報処理装置1Bに送信する。続くS35bでは、交渉部302Bは、質疑応答を終了するか否かを判定する。S35bで質疑応答終了(S35bでYES)と判定された場合には、フローF3bの処理は終了し、質疑応答継続(S35bでNO)と判定された場合には、S32bに戻る。なお、質疑応答を終了するか否かの判定基準は適宜設定しておけばよい。例えば、交渉部302Bは、S34bで回答を送信した後、所定時間以内に再問合せの受信が確認できない場合に質疑応答を終了すると判定してもよい。
【0134】
一方、フローF1cにおけるS11cでは、情報処理装置1Bの受付部201Bが、情報処理装置3BがS31bで送信した質問と条件を受信する。なお、
図12のフローF1bと同様に、S11cの後、認証部204Bによる認証を行い、質問と条件の送信元が正当であるか否かを判定してもよい。また、以下の処理は、フローF1bにおけるS13b(ユーザが条件を充足しているか否かの判定)の後で行うようにしてもよい。
【0135】
S12cでは、交渉部208Bが、S11cで受信した質問と条件に関する問合せを行うか否かを判定する。S12cでYESと判定された場合にはS13cに進み、S12cでNOと判定された場合にはフローF1cの処理は終了する。
【0136】
S12cにおいて問合せを行うか否かの判定基準は適宜設定しておけばよい。例えば、交渉部208Bは、S11cで受信した質問と条件に関する問合せ事項がないかを問うクエリを生成して代理回答用言語モデル4Bに入力し、出力された回答に基づいて問合せを行うか否かを判定してもよい。例えば、交渉部208Bは、代理回答用言語モデル4Bが出力した回答が「質問および条件の何れも明確であり問合せは不要です」のような内容であれば、問合せを行わないと判定すればよい。一方、交渉部208Bは、代理回答用言語モデル4Bが出力した回答が「報酬が規定されていないため問合せをお勧めします」のような内容であれば、問合せを行うと判定すればよい。
【0137】
また、例えば、交渉部208Bは、報酬の金額が所定の閾値未満であった場合や、条件の一部をユーザが充足していない場合に問合せを行うと判定してもよい。この他にも、例えば、提示部203Bが、受信した質問と条件をユーザに提示し、問合せを行うか否かを当該ユーザに選択させてもよい。この場合、交渉部208Bは、ユーザが問合せを行うことを選択した場合に、問合せを行うと判定する。
【0138】
S13cでは、交渉部208Bは、問合せを生成する。また、S14cでは、交渉部208Bは、生成した問合せを情報処理装置3Bに送信する。問合せの生成方法は予め定めておけばよい。例えば、交渉部208Bは、代理回答用言語モデル4Bに問合せを生成させてもよい。この場合、交渉部208Bは、S11cで受信した質問と条件に関する問合せの生成を指示するクエリを生成して代理回答用言語モデル4Bに入力すればよい。また、例えば、「条件についてより詳細な情報を教えて下さい」や「報酬金額の増額は可能でしょうか」等の定型の問合せ文を予め用意しておいてもよい。この場合、交渉部208Bは、S11cで受信した質問と条件に応じた問合せ文を選択すればよい。
【0139】
S15cでは、交渉部208Bは、S34bで情報処理装置3Bが送信した回答を受信する。続いて、S16cでは、交渉部208Bは、S15cで受信した回答について、再問合せを行うか否かを判定する。S12cと同様に、再問合せを行うか否かの判定基準は適宜設定しておけばよい。S16cでYESと判定された場合にはS13cに戻り、S16cでNOと判定された場合にはフローF1cの処理は終了する。なお、フローF1cの処理の終了後は、例えば
図12のフローF1bにおけるS14bの処理に進めばよい。
【0140】
(信頼度の算出、代替条件の生成、ユーザによる修正の受け付け)
情報処理装置1Bの信頼度判定部209Bは、代理回答用言語モデル4Bが生成した回答の信頼度を判定する。信頼度とは、回答の信頼性を示す指標である。また、代替条件生成部207Bは、回答が求められている質問に対応付けられている条件に代わる代替条件を生成する。また、修正部210Bは、代理回答用言語モデル4Bが生成した回答に対するユーザの修正を受け付ける。これらの処理について
図14に基づいて説明する。
図14は、情報処理装置1Bが実行する処理の例を示すフロー図である。
【0141】
図14に示すフローF1dのS11dでは、受付部201Bが、情報処理装置3Bが送信した質問と条件を受信する。なお、
図12のフローF1bと同様に、S11dの後、認証部204Bによる認証を行い、質問と条件の送信元が正当であるか否かを判定してもよい。また、以下の処理は、フローF1bにおけるS13b(ユーザが条件を充足しているか否かの判定)の後で行うようにしてもよい。
【0142】
S12dでは、回答可否判定部206Bが、質問に対する回答を代理回答用言語モデル4Bに生成させるか否かを判定する。S12dでYESと判定された場合にはS13dに進み、S12dでNOと判定された場合にはS18dに進む。
【0143】
S13dでは、応答部202Bが、代理回答用言語モデル4Bを用いて、S11dで受信した質問に対する回答を生成する。続いて、S14dでは、信頼度判定部209Bが、S13dで生成された回答の信頼度を判定する。
【0144】
信頼度の判定方法は特に限定されない。例えば、信頼度判定部209Bは、あるユーザの代理回答用言語モデル4Bを用いて生成された回答が、そのユーザの業務関連データを含む場合や、そのユーザが過去に入力した回答と一致する場合に、その回答の信頼度を高いと判定してもよい。一方、その回答がそのユーザの業務関連データを含まない場合や、その回答とそのユーザが過去に入力した回答との間に齟齬がある場合には、その回答の信頼度を低いと判定してもよい。なお、信頼度判定部209Bは、信頼度が高、中、低のような複数の段階の何れに該当するかを判定してもよいし、信頼度を示す数値を算出してもよい。
【0145】
S15dでは、提示部203Bが、S13dで生成された回答をユーザに提示する。このとき、提示部203Bは、S14dで判定された信頼度についてもユーザに提示するようにしてもよい。
【0146】
S16dでは、修正部210Bが、S15dで提示された回答に対するユーザによる修正を受け付ける。ここで、信頼度判定部209Bは、ユーザによる修正がなされた回答、および、ユーザが内容の妥当性を確認して修正がなされなかった回答については、その信頼度を更新してもよい。例えば、信頼度判定部209Bは、上記のような回答について、その信頼度を一段階あるいは所定値だけ大きくする更新を行ってもよいし、信頼度をその最大値に更新してもよい。
【0147】
S17dでは、提示部203Bが、S13dで生成された回答、または、当該回答がS16dで修正されたものを情報処理装置3Bに送信する。これにより、フローF1dの処理は終了する。なお、S17dにおいて、提示部203Bは、回答の信頼度を情報処理装置3Bに通知してもよい。また、S15dおよびS16dの処理は省略し、S17dでは、提示部203Bが、S14dで判定された信頼度が閾値未満の回答は送信しないか、あるいはその質問については回答不可である旨の回答を送信するようにしてもよい。
【0148】
ここで、上述のように、S12dでNOと判定された場合にはS18dに進む。S18dでは、代替条件生成部207Bが、S11dで受信した条件の代わりとなる代替条件を生成する。
【0149】
代替条件の生成方法は予め定めておけばよい。例えば、代替条件生成部207Bは、代理回答用言語モデル4Bに代替条件を生成させてもよい。この場合、代替条件生成部207Bは、S11dで受信した質問と条件について、代替条件の生成を指示するクエリを生成して代理回答用言語モデル4Bに入力すればよい。また、例えば、ユーザの回答確認が必須の条件となっていない質問については、ユーザに回答を確認してもらう代わりに、提示された報酬の10%増額を求める、等の代替条件の生成ルールを予め設定しておいてもよい。この場合、代替条件生成部207Bは、設定された生成ルールに従って代替条件を生成することができる。
【0150】
S19dでは、提示部203Bが、S18dで生成された代替条件をユーザに提示する。続いて、S20dでは、代替条件生成部207Bが、代替条件のユーザによる修正を受け付ける。なお、S18dでは、代替条件をユーザに入力させてもよい。この場合、S19dおよびS20dの処理は省略される。
【0151】
S21dでは、交渉部208Bが、S18dで生成された代替条件、または、当該代替条件がS20dで修正されたものを情報処理装置3Bに通知して、代替条件を了承するか否かを問い合わせる。代替条件を受信した情報処理装置3Bでは、交渉部302Bが、代替条件を了承するか否かを判定し、判定結果を情報処理装置1Bに通知する。
【0152】
なお、代替条件を了承するか否かの判定方法は予め定めておけばよい。例えば、交渉部302Bは、受信した代替条件を了承すべきか否かを問うクエリを生成して交渉用言語モデル5Bに入力することにより得られる回答に基づき、代替条件を了承するか否かを判定してもよい。また、例えば、報酬等の条件について予め許容範囲を定めておいてもよい。この場合、交渉部302Bは、代替条件が許容範囲内であれば了承すると判定し、許容範囲を超えていれば了承しないと判定してもよい。また、交渉部302Bは、代替条件を調査の依頼元に提示し、依頼元にその代替条件を了承するか否かを選択させてもよい。
【0153】
S22dでは、交渉部208Bは、代替条件が了承されたか否かを判定する。S22dでYESと判定された場合にはS13dに進み、S22dでNOと判定された場合にはフローF1dの処理は終了する。なお、S22dでNOと判定された場合に、S18dに戻って新たな代替条件を生成するようにしてもよい。
【0154】
以上のように、情報処理装置1Bは、質問に対応付けられた条件に代わる代替条件を生成する代替条件生成部207Bと、質問の送信元に代替条件を通知して当該代替条件を了承するか否かを問い合わせる交渉部208Bとを備えている。これにより、情報処理装置1の奏する効果に加えて、条件を変更しつつ柔軟な交渉を行うことが可能になるという効果が得られる。
【0155】
なお、上述のように、情報処理装置1Bは、特定部101または101Aと調整部102とを備えていてもよい。この場合、特定部101または101Aは、S16dで修正された回答と、その回答に対応する質問との組み合わせを業務関連データとして特定してもよい。そして、調整部102は、その業務関連データを訓練データとして代理回答用言語モデル4Bの再学習を行ってもよい。また、調整部102は、再学習を行う代わりに、当該業務関連データを代理回答用言語モデル4Bによる回答生成の際に参照するデータとして登録してもよい。これにより、代理回答用言語モデル4Bを用いた回答の精度を高めることができる。
【0156】
(情報処理装置3B側での代替条件の生成)
代替条件の生成は情報処理装置3B側でも行うことができる。情報処理装置3Bによる代替条件の生成について
図15に基づいて説明する。
図15は、情報処理装置3Bが実行する処理の例を示すフロー図である。
【0157】
図15に示すフローF3cのS31cでは、交渉部302Bが、質問について回答できないことを通知する回答を情報処理装置1Bから受信する。この回答は、
図12のフローF1bにおいて、S14aでNOと判定された場合に、S17aで送信されるものである。
【0158】
S32cでは、代替条件生成部305Bが、先に情報処理装置1Bに通知した条件の代わりとなる代替条件を生成する。代替条件の生成方法は予め定めておけばよい。例えば、代替条件生成部305Bは、交渉用言語モデル5Bに代替条件を生成させてもよい。この場合、代替条件生成部305Bは、先に送信した質問と条件について、代替条件の生成を指示するクエリを生成して交渉用言語モデル5Bに入力すればよい。また、例えば、ユーザの確認が必須ではない質問に回答することについての了承が得られなかった場合には、報酬を5%増額する代わりにユーザに回答を確認してもらう、等の代替条件の生成ルールを予め設定しておいてもよい。この場合、代替条件生成部305Bは、設定された生成ルールに従って代替条件を生成することができる。なお、代替条件生成部305Bは、生成した代替条件を調査の依頼元に通知し、その代替条件を了承するか否かを問い合わせてもよい。また、依頼元が許容する条件の範囲(例えば報酬額の範囲)を予め定めておいてもよい。この場合、代替条件生成部305Bは、規定された範囲内で代替条件を生成する。また、代替条件生成部305Bは、依頼元に質問への回答についての了承が得られなかった旨を通知して、当該依頼元に代替条件の設定を求めてもよい。
【0159】
S33cでは、交渉部302Bが、S32cで生成された代替条件を、交渉先である情報処理装置1Bに送信して、当該代替条件を了承するか否かを問い合わせる。代替条件を受信した情報処理装置1Bでは、交渉部208Bが、代替条件を了承するか否かを判定し、判定結果を情報処理装置3Bに通知する。
【0160】
なお、代替条件を了承するか否かの判定方法は予め定めておけばよい。例えば、交渉部208Bは、受信した代替条件を了承すべきか否かを問うクエリを生成して代理回答用言語モデル4Bに入力することにより得られる回答に基づき、代替条件を了承するか否かを判定してもよい。また、例えば、報酬等の条件について予め許容範囲を定めておいてもよい。この場合、交渉部208Bは、代替条件が許容範囲内であれば了承すると判定し、許容範囲を超えていれば了承しないと判定してもよい。また、交渉部208Bは、代替条件を情報処理装置1Bのユーザに提示し、当該ユーザにその代替条件を了承するか否かを選択させてもよい。
【0161】
S34cでは、交渉部302Bは、代替条件が了承されたか否かを判定する。S34cでYESと判定された場合にはS35cに進み、S34cでNOと判定された場合にはフローF3cの処理は終了する。なお、交渉部302Bは、S34cでNOと判定された場合に、S32cに戻って新たな代替条件を生成するようにしてもよい。また、交渉部302Bは、S34cでNOと判定された場合に、交渉先の情報処理装置1Bに代替条件の提示を求めてもよい。この場合、交渉先の情報処理装置1Bでは、
図14のS18dおよびそれ以降の処理が行われる。
【0162】
S35cでは、交渉部302Bは、交渉先の情報処理装置1Bに対し、質問に回答するように要請する。これにより、フローF3cの処理は終了する。この後、
図12のフローF3aにおけるS35a以降の処理が行われる。
【0163】
以上のように、情報処理装置3Bは、交渉先から質問への回答について了承が得られなかった場合に、その質問への回答に関する代替条件を生成する代替条件生成部305Bを備える。そして、交渉部302Bは、当該交渉先に代替条件を通知して、当該代替条件を了承するか否かを問い合わせる。これにより、情報処理装置3の奏する効果に加えて、条件を変更しつつ柔軟な交渉を行うことが可能になるという効果が得られる。
【0164】
(質問の追加の受け付け)
情報処理装置3Bの質問追加部307Bは、情報処理装置1Bが代理回答用言語モデル4Bにより生成した回答について、調査の依頼元からの追加の質問を受け付ける。追加の質問の受け付けについて
図16に基づいて説明する。
図16は、情報処理装置3Bが追加の質問を受け付ける処理の例を示すフロー図である。
【0165】
図16に示すフローF3dのS31dでは、交渉部302Bは、質問に対する回答を情報処理装置1Bから受信する。ここで、交渉部302Bは、回答と共に、その回答の信頼度を情報処理装置1Bから受信してもよい。信頼度は、
図15のS14dで判定されたものである。なお、S31dの処理の前には、
図12のフローF3aにおけるS31a~S34aの処理が行われている。
【0166】
S32dでは、質問追加部307Bが、S32dで受信した回答を依頼元に通知する。ここで、交渉部302Bは回答の信頼度についても通知してもよい。また、S32dにおいて、質問追加部307Bは、通知した回答について追加の質問を送信することを促すメッセージを依頼元に送信してもよい。なお、質問に対応付けられた条件において、追加の質問の可否や追加の質問を受け付ける回数が規定されている場合、質問追加部307Bは、その規定に応じたメッセージを送信する。例えば、追加の質問の回数が規定されている場合、質問追加部307Bは、その回数についても上記メッセージに含めてもよい。また、追加の質問を受け付けないことが条件に規定されていた場合、質問追加部307Bは、その旨を上記メッセージに含めてもよい。この場合、以下説明するS33dにおいてNOと判定されてフローF3dの処理は終了する。
【0167】
S33dでは、質問追加部307Bは、依頼元から追加の質問を受信したか否かを判定する。S33dでNOと判定された場合にはフローF3dの処理は終了する。フローF3dの処理が終了した後には、
図12のフローF3aにおけるS36a以降の処理が行われる。
【0168】
S34dでは、質問追加部307Bは、依頼元から受信した追加の質問を情報処理装置1Bに送信し、当該追加の質問に対する回答を代理回答用言語モデル4Bに生成させる。この後、処理はS31dに戻り、交渉部302Bが、追加の質問に対する回答を受信する。
【0169】
以上のように、情報処理装置3Bは、代理回答用言語モデル4Bにより生成された回答について、調査の依頼元からの追加の質問を受け付けて、当該追加の質問についての回答を代理回答用言語モデル4Bに生成させる質問追加部307Bを備えている。これにより、情報処理装置3の奏する効果に加えて、依頼元が、回答についての不明点を明確にすることや、さらに掘り下げた追加の質問を行うことが可能になるという効果が得られる。
【0170】
(回答の評価と再交渉)
情報処理装置3Bの回答評価部306Bは、情報処理装置1Bが代理回答用言語モデル4Bにより生成した回答を評価する。そして、交渉部302Bは、回答評価部306Bの評価結果に応じて条件の再交渉を行う。以下では、回答の評価と再交渉について
図17に基づいて説明する。
図17は、情報処理装置3Bが回答の評価と再交渉を行う処理の例を示すフロー図である。
【0171】
図17に示すフローF3eのS31eでは、交渉部302Bは、質問に対する回答を情報処理装置1Bから受信する。なお、S31eの処理の前には、
図12のフローF3aにおけるS31a~S34aの処理が行われている。
【0172】
S32eでは、回答評価部306Bが、S31eで受信された回答を評価する。回答の評価方法は予め定めておけばよい。例えば、回答評価部306Bは、受信した回答が、質問に関連付けられた条件を充足しているか否かにより回答を評価してもよい。具体例を挙げれば、条件において各回答をユーザが確認して必要に応じて修正する旨が規定されているにもかかわらず、受信した回答にユーザが確認済みであることが示されていなかった場合、回答評価部306Bは、その回答の評価を低評価とする。評価は、高、中、低のような複数の段階の何れに該当するかを判定することにより行われもよい。また、回答評価部306Bは、回答の良し悪しを示す指標値を算出してもよい。また、回答評価部306Bは、情報処理装置1Bから通知された信頼度に基づいて回答の評価を行ってもよい。例えば、回答評価部306Bは、各回答の信頼度の平均値をそれらの回答の評価値としてもよい。
【0173】
S33eでは、交渉部302Bが、S32eの評価結果に基づき、報酬について交渉を行うか否かを判定する。例えば、交渉部302Bは、S32eの評価結果が、所定の許容範囲内であれば交渉を行わないと判定し、許容範囲外であれば交渉を行うと判定してもよい。なお、交渉部302Bは、報酬以外の条件(例えば、追加の質問の可否やその許容回数、ユーザによる回答の確認および修正の要否等)について交渉することも可能である。S33eでYESと判定された場合にはS34eに進み、質問に対する回答の条件についての再交渉が行われる。一方、S33eでNOと判定された場合には再交渉は行わずにS37eに進む。
【0174】
S34eでは、交渉部302Bは、代替条件生成部305Bに報酬額を再設定させる。報酬額を再設定する方法は予め定めておけばよい。例えば、代替条件生成部305Bは、予め定められた標準的な報酬額の範囲内となるように報酬額を再設定してもよい。また、例えば、代替条件生成部305Bは、交渉用言語モデル5Bに報酬額を再設定させてもよい。この場合、代替条件生成部305Bは、先に送信した質問と条件、およびS32eにおける評価結果を踏まえて報酬額を再設定するように指示するクエリを生成して交渉用言語モデル5Bに入力すればよい。また、例えば、S32eにおける評価結果と、報酬の減額率との関係をモデル化しておいてもよい。この場合、代替条件生成部305Bは、当該モデルを用いて報酬額を再設定することができる。この他にも、例えば、代替条件生成部305Bは、情報処理装置1Bの過去の回答履歴や信頼度を加味して報酬額を再設定してもよい。
【0175】
S35eでは、交渉部302Bが、S34eで再設定された報酬額を情報処理装置1Bに通知する。報酬額の通知を受信した情報処理装置1Bでは、交渉部208Bが、報酬額を了承するか否かを判定し、判定結果を情報処理装置3Bに通知する。
【0176】
なお、報酬額を了承するか否かの判定方法は予め定めておけばよい。例えば、交渉部208Bは、通知された報酬額を了承すべきか否かを問うクエリを生成して代理回答用言語モデル4Bに入力することにより得られる回答に基づき、報酬額を了承するか否かを判定してもよい。また、例えば、報酬等の条件について予め許容範囲を定めておいてもよい。この場合、交渉部208Bは、通知された報酬額が許容範囲内であれば了承すると判定し、許容範囲を超えていれば了承しないと判定してもよい。また、交渉部208Bは、通知された報酬額を情報処理装置1Bのユーザに提示し、当該ユーザにその報酬額を了承するか否かを選択させてもよい。
【0177】
S36eでは、交渉部302Bが、再設定した報酬額が了承されたか否かを判定する。S36eでNOと判定された場合にはS33eに戻り、S36eでYESと判定された場合にはS37eに進む。S37eでは、交渉部302Bは確定した報酬額を依頼元に通知し、これによりフローF3eの処理は終了する。この後、依頼元から情報処理装置1Bのユーザに対して確定した報酬額が供与される。
【0178】
以上のように、情報処理装置3Bは、代理回答用言語モデル4Bにより生成された回答を評価する回答評価部306Bを備え、交渉部302Bは、当該評価の結果に基づいて、当該質問に対する回答の条件についての再交渉を行う。これにより、情報処理装置3の奏する効果に加えて、生成された回答の良し悪しに応じて条件を自動的に見直すことが可能になるという効果が得られる。
【0179】
〔変形例〕
上述の各例示的実施形態で説明した各処理の実行主体は任意であり、上述の例に限られない。つまり、相互に通信可能な複数の装置(プロセッサということもできる)により、情報処理装置1、1A、1B、2、3、3Bの機能を実現することができる。例えば、
図2、4、7、8、12~17のフロー図に記載されている各処理を複数のプロセッサに分担で実行させることもできる。つまり、上述の各例示的実施形態における各処理の実行主体は、1つのプロセッサであってもよいし、複数のプロセッサであってもよい。
【0180】
〔ソフトウェアによる実現例〕
情報処理装置1、1A、1B、2、3、3B(以下、「上記各装置」とも記載する)の一部又は全部の機能は、集積回路(ICチップ)等のハードウェアによって実現してもよいし、ソフトウェアによって実現してもよい。
【0181】
後者の場合、上記各装置は、例えば、各機能を実現するソフトウェアであるプログラムの命令を実行するコンピュータによって実現される。このようなコンピュータの一例(以下、コンピュータCと記載する)を
図18に示す。
図18は、上記各装置として機能するコンピュータCのハードウェア構成を示すブロック図である。
【0182】
コンピュータCは、少なくとも1つのプロセッサC1と、少なくとも1つのメモリC2と、を備えている。メモリC2には、コンピュータCを上記各装置として動作させるためのプログラム(調整プログラム/応答プログラム/仲介プログラム)Pが記録されている。コンピュータCにおいて、プロセッサC1は、プログラムPをメモリC2から読み取って実行することにより、上記各装置の各機能が実現される。
【0183】
プロセッサC1としては、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphic Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、MPU(Micro Processing Unit)、FPU(Floating point number Processing Unit)、PPU(Physics Processing Unit)、TPU(Tensor Processing Unit)、量子プロセッサ、マイクロコントローラ、又は、これらの組み合わせなどを用いることができる。メモリC2としては、例えば、フラッシュメモリ、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、又は、これらの組み合わせなどを用いることができる。
【0184】
なお、コンピュータCは、プログラムPを実行時に展開したり、各種データを一時的に記憶したりするためのRAM(Random Access Memory)を更に備えていてもよい。また、コンピュータCは、他の装置との間でデータを送受信するための通信インタフェースを更に備えていてもよい。また、コンピュータCは、キーボードやマウス、ディスプレイやプリンタなどの入出力機器を接続するための入出力インタフェースを更に備えていてもよい。
【0185】
また、プログラムPは、コンピュータCが読み取り可能な、一時的でない有形の記録媒体Mに記録することができる。このような記録媒体Mとしては、例えば、テープ、ディスク、カード、半導体メモリ、又はプログラマブルな論理回路などを用いることができる。コンピュータCは、このような記録媒体Mを介してプログラムPを取得することができる。また、プログラムPは、伝送媒体を介して伝送することができる。このような伝送媒体としては、例えば、通信ネットワーク、又は放送波などを用いることができる。コンピュータCは、このような伝送媒体を介してプログラムPを取得することもできる。
【0186】
〔付記事項1〕
本開示には、以下の各付記に記載の技術が含まれる。ただし、本発明は、以下の各付記に記載の技術に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。
【0187】
(付記A1)
所定のユーザの業務に関連するデータを業務関連データとして特定する特定手段と、クエリに対する回答を出力するように機械学習された言語モデルを、前記業務関連データを用いて前記所定のユーザ向けに調整する調整手段と、を備える情報処理装置。
【0188】
(付記A2)
前記特定手段は、前記所定のユーザが所属する組織の階層構造を示す階層情報を用いて当該所定のユーザの所属部署が属する階層と所定の関係性を有する階層の部署を特定し、特定した部署に関連する前記業務関連データを特定する、付記A1に記載の情報処理装置。
【0189】
(付記A3)
前記特定手段は、前記所定のユーザの業務に関連する各データに設定された秘匿レベルに応じて前記業務関連データを特定する、付記A1またはA2に記載の情報処理装置。
【0190】
(付記A4)
所定のユーザからのクエリの入力を受け付ける受付手段と、クエリに対する回答を出力するように機械学習された言語モデルであって、前記所定のユーザの業務に関連する業務関連データを用いて前記所定のユーザ向けに調整された言語モデルにより前記受付手段が受け付けたクエリに対する回答を生成するか、または、前記業務関連データと言語モデルとを用いて前記受付手段が受け付けたクエリに対する回答を生成する応答手段と、を備える情報処理装置。
【0191】
(付記A5)
前記言語モデルは、入力された質問に対して、前記所定のユーザの代理として回答を生成できるように機械学習された代理回答用言語モデルであり、前記受付手段は、前記所定のユーザに対する質問の入力を受け付け、前記質問に対する回答を前記代理回答用言語モデルに生成させるか否かを判定する回答可否判定手段を備える、付記A4に記載の情報処理装置。
【0192】
(付記A6)
前記回答可否判定手段は、前記質問に対応付けられた条件を前記所定のユーザが満たしている場合に、前記質問に対する回答を、当該所定のユーザに対応する前記代理回答用言語モデルに生成させると判定する、付記A5に記載の情報処理装置。
【0193】
(付記A7)
前記質問に対応付けられた条件に代わる代替条件を生成する代替条件生成手段と、前記質問の送信元に前記代替条件を通知して、当該代替条件を了承するか否かを問い合わせる交渉手段と、を備える、付記A5またはA6に記載の情報処理装置。
【0194】
(付記A8)
付記A4からA7の何れか1項に記載の情報処理装置と、所定の質問に対する回答を収集する調査の依頼を受け付け、当該質問に対する回答を前記言語モデルに生成してもらうための交渉を前記情報処理装置と行う仲介装置と、を含む調査システム。
【0195】
(付記B1)
少なくとも1つのプロセッサが、所定のユーザの業務に関連するデータを業務関連データとして特定する特定処理と、クエリに対する回答を出力するように機械学習された言語モデルを、前記業務関連データを用いて前記所定のユーザ向けに調整する調整処理と、を実行する調整方法。
【0196】
(付記B2)
前記特定処理では、前記少なくとも1つのプロセッサは、前記所定のユーザが所属する組織の階層構造を示す階層情報を用いて当該所定のユーザの所属部署が属する階層と所定の関係性を有する階層の部署を特定し、特定した部署に関連する前記業務関連データを特定する、付記B1に記載の調整方法。
【0197】
(付記B3)
前記特定処理では、前記少なくとも1つのプロセッサは、前記所定のユーザの業務に関連する各データに設定された秘匿レベルに応じて前記業務関連データを特定する、付記B1またはB2に記載の調整方法。
【0198】
(付記B4)
少なくとも1つのプロセッサが、所定のユーザからのクエリの入力を受け付ける受付処理と、クエリに対する回答を出力するように機械学習された言語モデルであって、前記所定のユーザの業務に関連する業務関連データを用いて前記所定のユーザ向けに調整された言語モデルにより前記受付処理で受け付けたクエリに対する回答を生成するか、または、前記業務関連データと言語モデルとを用いて前記受付工程が受け付けたクエリに対する回答を生成する応答処理とを実行する応答方法。
【0199】
(付記B5)
前記言語モデルは、入力された質問に対して、前記所定のユーザの代理として回答を生成できるように機械学習された代理回答用言語モデルであり、前記受付処理では、前記少なくとも1つのプロセッサは、前記所定のユーザに対する質問の入力を受け付け、前記少なくとも1つのプロセッサが前記質問に対する回答を前記代理回答用言語モデルに生成させるか否かを判定する回答可否判定処理を実行する、付記B4に記載の応答方法。
【0200】
(付記B6)
前記回答可否判定処理では、前記少なくとも1つのプロセッサは、前記質問に対応付けられた条件を前記所定のユーザが満たしている場合に、前記質問に対する回答を、当該所定のユーザに対応する前記代理回答用言語モデルに生成させると判定する、付記B5に記載の応答方法。
【0201】
(付記B7)
前記少なくとも1つのプロセッサが、前記質問に対応付けられた条件に代わる代替条件を生成する代替条件生成処理と、前記質問の送信元に前記代替条件を通知して、当該代替条件を了承するか否かを問い合わせる交渉処理と、を含む付記B5またはB6に記載の応答方法。
【0202】
(付記C1)
コンピュータを、所定のユーザの業務に関連するデータを業務関連データとして特定する特定手段、および、クエリに対する回答を出力するように機械学習された言語モデルを、前記業務関連データを用いて前記所定のユーザ向けに調整する調整手段、として機能させる調整プログラム。
【0203】
(付記C2)
前記特定手段は、前記所定のユーザが所属する組織の階層構造を示す階層情報を用いて当該所定のユーザの所属部署が属する階層と所定の関係性を有する階層の部署を特定し、特定した部署に関連する前記業務関連データを特定する、付記C1に記載の調整プログラム。
【0204】
(付記C3)
前記特定手段は、前記所定のユーザの業務に関連する各データに設定された秘匿レベルに応じて前記業務関連データを特定する、付記C1またはC2に記載の調整プログラム。
【0205】
(付記C4)
コンピュータを、所定のユーザからのクエリの入力を受け付ける受付手段、および、クエリに対する回答を出力するように機械学習された言語モデルであって、前記所定のユーザの業務に関連する業務関連データを用いて前記所定のユーザ向けに調整された言語モデルにより前記受付手段が受け付けたクエリに対する回答を生成するか、または、前記業務関連データと言語モデルとを用いて前記受付手段が受け付けたクエリに対する回答を生成する応答手段、として機能させる応答プログラム。
【0206】
(付記C5)
前記言語モデルは、入力された質問に対して、前記所定のユーザの代理として回答を生成できるように機械学習された代理回答用言語モデルであり、前記受付手段は、前記所定のユーザに対する質問の入力を受け付け、前記コンピュータを、前記質問に対する回答を前記代理回答用言語モデルに生成させるか否かを判定する回答可否判定手段として機能させる、付記C4に記載の応答プログラム。
【0207】
(付記C6)
前記回答可否判定手段は、前記質問に対応付けられた条件を前記所定のユーザが満たしている場合に、前記質問に対する回答を、当該所定のユーザに対応する前記代理回答用言語モデルに生成させると判定する、付記C5に記載の応答プログラム。
【0208】
(付記C7)
前記コンピュータを、前記質問に対応付けられた条件に代わる代替条件を生成する代替条件生成手段、および、前記質問の送信元に前記代替条件を通知して、当該代替条件を了承するか否かを問い合わせる交渉手段、として機能させる、付記C5またはC6に記載の応答プログラム。
【0209】
〔付記事項2〕
本開示には、以下の各付記に記載の技術が含まれる。ただし、本発明は、以下の各付記に記載の技術に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。
【0210】
(付記D1)
少なくとも1つのプロセッサを備え、前記少なくとも1つのプロセッサは、所定のユーザの業務に関連するデータを業務関連データとして特定する特定処理と、クエリに対する回答を出力するように機械学習された言語モデルを、前記業務関連データを用いて前記所定のユーザ向けに調整する調整処理と、を実行する情報処理装置。
【0211】
(付記D2)
前記少なくとも1つのプロセッサは、前記特定処理において、前記所定のユーザが所属する組織の階層構造を示す階層情報を用いて当該所定のユーザが属する階層と所定の関係性を有する階層を特定し、特定した階層に関連する前記業務関連データを特定する、付記D1に記載の情報処理装置。
【0212】
(付記D3)
前記少なくとも1つのプロセッサは、前記特定処理において、前記所定のユーザの業務に関連する各データに設定された秘匿レベルに応じて前記業務関連データを特定する、付記D1またはD2に記載の情報処理装置。
【0213】
(付記D4)
少なくとも1つのプロセッサを備え、前記少なくとも1つのプロセッサは、所定のユーザからのクエリの入力を受け付ける受付処理と、クエリに対する回答を出力するように機械学習された言語モデルであって、前記所定のユーザの業務に関連する業務関連データを用いて前記所定のユーザ向けに調整された言語モデルにより前記受付処理が受け付けたクエリに対する回答を生成するか、または、前記業務関連データと言語モデルとを用いて前記受付処理が受け付けたクエリに対する回答を生成する応答処理と、を実行する情報処理装置。
【0214】
(付記D5)
前記言語モデルは、入力された質問に対して、前記所定のユーザの代理として回答を生成できるように機械学習された代理回答用言語モデルであり、前記少なくとも1つのプロセッサは、前記受付処理において、前記所定のユーザに対する質問の入力を受け付け、前記質問に対する回答を前記代理回答用言語モデルに生成させるか否かを判定する回答可否判定処理を実行する、付記D4に記載の情報処理装置。
【0215】
(付記D6)
前記少なくとも1つのプロセッサは、前記回答可否判定処理において、前記質問に対応付けられた条件を前記所定のユーザが満たしている場合に、前記質問に対する回答を、当該所定のユーザに対応する前記代理回答用言語モデルに生成させると判定する、付記D5に記載の情報処理装置。
【0216】
(付記D7)
前記少なくとも1つのプロセッサは、前記質問に対応付けられた条件に代わる代替条件を生成する代替条件生成処理と、前記質問の送信元に前記代替条件を通知して、当該代替条件を了承するか否かを問い合わせる交渉処理と、を実行する、付記D5またはD6に記載の情報処理装置。
【0217】
なお、前記情報処理装置は、更にメモリを備えていてもよい。また、前記メモリには、前記各処理を前記少なくとも1つのプロセッサに実行させるためのプログラムが記憶されていてもよい。
【0218】
(付記E1)
情報処理装置としてコンピュータを機能させるプログラムであって、前記コンピュータに、所定のユーザの業務に関連するデータを業務関連データとして特定する特定処理と、クエリに対する回答を出力するように機械学習された言語モデルを、前記業務関連データを用いて前記所定のユーザ向けに調整する調整処理と、を実行させる調整プログラム、を記録した一時的でない記録媒体。
【0219】
(付記E2)
情報処理装置としてコンピュータを機能させるプログラムであって、前記コンピュータに、所定のユーザからのクエリの入力を受け付ける受付処理と、クエリに対する回答を出力するように機械学習された言語モデルであって、前記所定のユーザの業務に関連する業務関連データを用いて前記所定のユーザ向けに調整された言語モデルにより前記受付処理が受け付けたクエリに対する回答を生成するか、または、前記業務関連データと言語モデルとを用いて前記受付処理が受け付けたクエリに対する回答を生成する応答処理と、を実行させる応答プログラム、を記録した一時的でない記録媒体。
【符号の説明】
【0220】
1 情報処理装置
101 特定部(特定手段)
102 調整部(調整手段)
2 情報処理装置
201 受付部(受付手段)
202 応答部(応答手段)
1A 情報処理装置
101A 特定部(特定手段)
202A 応答部(応答手段)
4A 言語モデル
1B 情報処理装置
201B 受付部(受付手段)
202B 応答部(応答手段)
206B 回答可否判定部(回答可否判定手段)
207B 代替条件生成部(代替条件生成手段)
208B 交渉部(交渉手段)
3B 情報処理装置(仲介装置)
4B 代理回答用言語モデル
5B 交渉用言語モデル
7B 調査システム